【テラ】お前らが笑ったレスをコピペしる!13【ワロス】

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AM7:00彼はいつも通り仕事場へと愛車を走らせていた。
走りから離れて10年、当時新婚だったカツオはカオリに走り屋を卒業して欲しいと懇願され、それ以来仲間とも連絡を絶っていた。
(俺ももう34か、時間が経つってのは早いもんだ。若い頃は色々無茶をしてたなぁ…)
カツオはかつての仲間と共に峠を攻めていた頃を懐かしんだ。
当時カツオは神懸かりなドライビングテクニックから「神童」と呼ばれていた。だが彼にはどうしても超えられない壁があった。
義理の兄、マスオである。
今でこそ落ち着いた彼であったが、昔は80スープラを駆り「魔に棲む男」と呼ばれていた。
カツオは幾度となくマスオに勝負を挑んだが圧倒的なスキルの違いから全戦全敗という凄惨たるものだった。

いつしかマスオはかつてのギラギラした瞳を失い平凡で退屈な世界の住人となっていった。
それ以来マスオはカツオとの勝負を受けなくなった。未だにその理由は明らかになっていなかった。
(マスオ兄さんは何故走りをやめてしまったのだろうか?)
カツオはそんな事を考えながら交差点に差し掛かった。
その刹那、交差点に勢いよく一台の真紅の車が飛び込んで来た。
779774RR:2006/01/30(月) 11:58:38 ID:sXN56NA6
「!!」カツオは自分の目を疑った。
「あっあれは!マスオ兄さんの・・・!!?」

その車はかつてのマスオの愛車、JZA80スープラと瓜二つだったのだ。


官能的なエグゾーストノート。
垢抜けたデザインのエアロ。そして真紅にオールペンさたボディ。
すべてがあの頃のままだった。
(だが、何故・・・一体誰が・・・?)
カツオはふっとドライバーシートを見た。
そこにはマスオの愛息タラが乗っていた。
「なっ!!何故あの車にタラちゃんが!!!?」
カツオは真相を知るべくタラが乗る紅いスープラに勝負を仕掛けた。

シグナルスタート。
それはシフトのタイミングが明暗を分ける究極のスタート方式、熟練したドライバーでなければスープラに勝つ見込みなどほぼ無い。
ましてやカツオの乗るS2000はチューンしてあるとはいえとても3000ccクラスの車に勝てるほどのパワーはない。
信号が青に変わった!
軽さを生かし前に出るS2000。
「やるな…カツオ兄さん」
狂ったような排気音を撒き散らしながら猛烈な勢いでスープラが後を追って来る。
カツオはステアに取り付けたエマージェンシーブーストのスイッチへ親指をのばす。
780774RR:2006/01/30(月) 11:59:56 ID:sXN56NA6
ルームミラーを覗くカツオ
しかしそこにはスープラの姿は無い。
「どこへいった!!」
カツオは辺りを見渡す。
その時、6気筒エンジン独特の排気音と共にタラを乗せたスープラが一気にカツオの前に出る。
「兄さん、これで終わりだ!」
「くっ。。。流石にそう簡単には勝たせてくれないか…」

カツオの手がナイトロのスイッチへとのびる。
直後カツオのS2000のタイヤが悲鳴を上げながら急加速して来た。
「まだ加速するだと!!?」
カツオの走りはタラの理解を超えている。明らかに車の限界を超えた加速に恐怖すら覚えた。
一方カツオは久しぶりの本気のバトルに走り屋の血が騒ぎ出した事に気付いていた。
「長く味わって無かったな…この感じ…」


その時にはすでに勝負は付いていた。
スープラが心なしか落ち込んだような排気音とともに脇道へ入っていった。
カツオは我にかえって時計を見た。
「やっば!遅刻やん!!」
急いで仕事場に行くも間に合わず上司に怒鳴られてしまった。だが彼は妙に晴々した顔をしていた。
走り屋の血が騒ぎ出した事に喜びを感じずにはいられないのだ。
そして帰宅後、久しぶりに実家へ帰った。