その日俺は夜遅く家路についていた。走り屋の群れる某バイパスをそこそこの
速度で走っているとニンジャ2台が側道からかなりの速度で合流してきた。
当然かなりの勢いで抜いていくだろうと少しマシンを左に振ったのだが、2台は
俺の後ろに付けて抜いていかない。
眩しいミラーを見つめてスイッチが入った。
ギアを2速に落として右手を捻る。デビル管が悦びの咆哮を上げ、決して軽いとは
いえないマシンが軽く前足を上げながら狂った様に加速する。
5速全開レッド手前から丁寧にかつ大胆にシフトダウン、外に膨らもうとする
マシンを押さえつけながらバンク、視界が直線を捉え全開。
両側に建つ街路灯が滑走路に見える。普段は長いトンネルを一瞬で駆け抜ける
頃にはニンジャの不快なハイビームは点になっていた。
そのまま通り過ぎるつもりだったが高揚した体を落ち着かせるべくギャラリー
の群れるPAにマシンを滑り込ませる。
自販機の前に停車しエンジンを落ち着かせるべくアフターアイドル。俺は
この雰囲気に酔うべく普段は口にしないコーヒーを購入した。
その頃には2台のニンジャもPAに入ってきて離れてとまり、遠巻きにこちらを
みながら何か話している。
バイクの左側に両足を出し横座りし、苦いコーヒーを胃に流し込む。
そう、相棒と共に小さな勝利に酔っていた。
!
ぐっとコーヒーを飲み干した瞬間・・・
華奢なスタンドが名残惜しそうに地面から離れマシンが右に傾き勢いよく
・・・ガシャアァァァァン!!
ああぁぁぁ!今の俺はなんてかっこ悪いんだあぁぁぁ!
焦ってはいたが、あくまでクールを装い(いや、もうかなり無理なんだけど)つつ
相棒改め転がったトドを起こそうとするが地面が汚く、半分位起こしたところで
蛙の様な恰好でずるずると転ぶ。
ふと見るとニンジャの奴等が「しょうがねーなぁ」って顔でこっちに来ようと
している。
やべぇ!やべぇ!ここで助けられたら今俺はこの県で3本の指には入るかっこ悪さ
だ!
底力でトドを引きずり起こしヘルメットを被ってEgかけて気が付いた。
ギャラリーが一部始終見てる・・・
何か、何か挽回を!とっさにPAを出ざまにウイリー!
・・・に失敗し、あきらかに失敗の排気音が鳴り響いた・・・
コーヒーキライでつ щ(TДTщ)ノォォォォォ