ヤマハ発が2スト搭載二輪車の開発を中止
ヤマハ発動機は、2ストロークエンジン搭載2輪車の新商品開発を中止する。
来年度以降に市場投入する新型車は、全車種を燃費性能が高い4ストローク
エンジン搭載車にする。2006年をめどに日米欧で導入される次期排ガス規制を
クリアするには4スト化が不可欠と判断した。2ストの基礎研究開発は継続する
ものの、2スト搭載車は既存モデルの供給が終わり次第、生産を停止する。
国内二輪メーカーでは既にホンダ、スズキ、川崎重工業の各社が4スト化に
移行しており、ヤマハ発の4スト化決定により2スト時代は終焉(しゆうえん)
する。
ヤマハ発は現在、排気量100ccの二輪車で1機種、50ccスクーターで5機種に
2ストエンジンを搭載しているが、それ以外の車種は4スト化している。来春には
同社初となる50ccスクーターの4スト車を市場投入するのを機に、4スト化へ
全面移行する方針だ。ただ、モーターレース用の2スト車は続ける。
2ストは機構上、パワーを出しやすく部品点数が少ないため、低コストで
軽量になるが、排ガス制御が難しい。半面、4ストは吸気・圧縮・燃焼・
排気の4工程と機構が細かいため、排ガス制御がしやすく燃費に優れ、
静粛性が高いのが特徴だ。
業界2位のヤマハ発はこれまでパワー重視で2ストを商品展開の主軸に据える
一方、業界首位のホンダは4スト開発に早くからシフト、両社は対極で
商品展開を進めてきた。
だが、世界的に環境規制が高まる中、2ストでの規制対応は課題が多く、
環境対応しやすい4スト化が世界の潮流となった。2スト重視のヤマハ発も
「今後は4スト化にシフトする」(長谷川至社長)ことを迫られた形だ。
業界は今後、4スト化時代に移行し、二輪車開発は新たな競争に突入する。
(日本工業新聞 2003/12/19)
http://www.jij.co.jp/news/car/art-20031218194512-JEQCKHZAOS.nwc