>>43 の続き
彼女は胸の奥から、よく言葉を選びながら語りはじめた。
どうやら札幌の銀行にいた時に、既婚の上司といわゆる不倫という
関係で付き合ってた人がいたそうだ、よくある「妻とは別れるから・・・」
というやつだった、その上司には幸い子供がいなかった事もあり、
彼女はいずれ、二人の夢は実現するものと思っていたそうだ、
しかし、今年のゴールデンウィーク明けに、彼から「妻に子供が
できた・・・」離婚するわけにはいかなくなったとの事、その後
職場を後にしたそうだ。
空はすっかり夕焼けに近ずいていた、このぶんだと綺麗な夕日が
見れそうだ。
(俺)そんな事、早く忘れちゃいなよ(女)うん、フェリーに乗って
北海道出た時には、だいぶ楽になったんだ・・・(俺)じゃぁ
もやもやしてる事があったら、燃やしちゃいな。
そう言って俺は、彼女に一本の小さな流木を渡した・・・
彼女はしばらくその流木を強く握り締めていた・・・
(俺)ほら、あの太陽が沈む前に燃やしちゃいな、そうすると
忘れるよ、そう念じるんだよ!
彼女は俺の目を見た、そして強く握り締めていたその流木を
焚き火の中に入れた、その瞬間、俺は彼女を抱きしめた。
続く