>>149 研削という工程は一見どれも同じように見えるのですが、
実際はその知識だけで食べて行ける程奥が深く簡単に語れるものではありません。
よって私も専門からは両足外れているのですがセンタースティックがちょっと入っているのでレスしてみますね。
まずは砥石に関してですが、これは被削材に合わせ様々な砥粒(材質と番手)の組み合わせがあり
一般的にはセラミック系のアルミナかそれよりも硬い炭化ケイ素系のカーボランダムが使用されます。
これを最適な結合剤(ビトリファイドかポリノイド)で固めて作られます。
そしてここで肝心なのが適切な気孔と呼ばれる空気のポケットが均一に生成されることで
刃物で言う「すくい」の効果でキレ味を出すのと目づまりの防止に重要な意味を成しています。
これらが被削材に対して最適な組み合わせになっていると、
適度に砥粒のセンタンが丸まった頃に気孔も目づまり寸前となり、
その切削抵抗に結合剤が耐えられなくなり砥粒が脱落し、新しい一層下の砥粒が現れるのです。
この切れ刃を自己再生しながら研削することを自生作用と呼んでいますが、
この砥粒、結合剤、気孔の絶妙のバランスが生み出す砥石の切れ味こそがまさに至高だと思います。
そして質問にあったダイヤモンドシャープナですが、これはダイヤモンド粒を電着で表層につけてるだけなので、
層は薄く耐久性もないですし自生作用もないのであっという間に歯先が丸まってしまった後は、
その丸まった砥粒を押しつけて歯先をダラシながら返りを作っているようなものです。
よって一時的なタッチアップ用途向けと考えた方が良いかと思います。
近頃はその弱点を補う為にダイヤモンドを焼結したタイプのダイヤモンド砥石も特注で作れるようになりましたが、
コブシサイズのホイール表層に1mmくらいのダイヤモンド砥石が載せられただけで15万程するので一般向けではありません。
それに加えて素材の基本として硬度のある物ほど脆くなるので、
ダイヤや超硬といった硬度の高い刃物の歯先は鋭角ではすぐに欠けてしまう事から
鈍角の歯先で押し切る切削となるのでどうしてもキレ味は出せません。
よってキレ味を求めるならば硬すぎない硬度の物の方が優れることとなります。
そして最後にこれだけは言わせて下さい、刃物も、刃物の研ぎも心です!