チェス 雑談・雑学・質問総合スレッド その25

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23名無し名人
>>19
ソフトは開いた局面、戦術的要素が濃い局面については人間の誰よりも強い。
読みのスキルでコンピュータを上回ることは不可能といっていい。
ただし、閉じた局面、戦略的要素が濃い局面については人間のトップに分がある。
正確な局面評価やプラニングとなると、読みほど単純じゃないから、人間の想像力や
カンが活きてくる。人間がコンピュータと勝負するなら、この領域で勝負できるように
閉じた局面へ誘導するのが上策。ナカムラがコンピュータを下した試合にも閉じた局面から
上手く捻り上げた試合が複数ある。ナカムラとコンピュータの試合には思考ルーチンを
逆手に取ることでコンピュータを散々弄んでコケにした試合があるから、調べてみると面白い。

例えばこの試合
Rybka - Nakamura
http://www.chessgames.com/perl/chessgame?gid=1497429

ナカムラは局面を閉じてからR+R vs B+Nの局面を作り、コンピュータに「白が駒得で、
勝勢に決まっている」という局面評価をするように仕向けた。そしてそのまま白が
何もしなければ50手ルールでのドローが適用される174手目になり、「この駒得の、
勝勢の状態からドローにするなんてありえない」と判断したコンピュータは50手ルールの
ドローを避けるために174. c4と突いたが、これが悲劇の始まり。人間から見れば
ここはドローに落ち着くのが最善だとわかっても、コンピュータの思考ルーチンは
駒得を重視しすぎていたため、あらぬ勝ちを信じてミスをしてしまった。
このミスだけならよかったが、さらに181手目。181. Rg3としていればドローだったが、
白はまたしても駒得からの勝ちを信じてドローを避けようと思ったのか(ここでなぜb4の
ポーンを落とす手を指したのか、本当にわからない)181. Kb2?と指し、これでb4の
ポーンが落ちて完全な黒勝ちになった。後はナカムラによる陵辱。