1 :
名無し名人:
2 :
名無し名人:2008/09/14(日) 20:25:08 ID:EZhQjJ/7
野月は深浦とアメリカに行った
3 :
名無し名人:2008/09/14(日) 20:26:01 ID:x1lN0lxr
おっとマトモじゃんw
4 :
名無し名人:2008/09/14(日) 20:27:03 ID:TFYw/Owr
矢内のクリ
5 :
名無し名人:2008/09/14(日) 20:35:19 ID:FeNNWxHW
6 :
名無し名人:2008/09/14(日) 20:48:26 ID:329kiSgW
7 :
名無し名人:2008/09/14(日) 21:39:20 ID:PSsc+GsS
先生が降臨しないじゃん 怒ってるよ
もうマ○コなんて書き込みしません ごめんなさい って謝れば?
このスレにはふさわしくない
8 :
名無し名人:2008/09/14(日) 21:53:16 ID:CJW8ooT0
先生ここだよ〜
9 :
名無し名人:2008/09/14(日) 21:57:14 ID:AiseuZqm
>>1-8 どう見てもクソスレの流れだろ…
先生は2ちゃん慣れてなさそうだから、新スレに気づかないかもなw
10 :
◆lcoQbZqMNg :2008/09/14(日) 22:23:41 ID:7yZGEXmO
※今後ここに書かせていただきます。
皆様、有難う御座います。
スレ立てていただいた方、有難う御座います。
11 :
名無し名人:2008/09/14(日) 22:25:12 ID:33tcRe45
これ1本の話なの?
12 :
名無し名人:2008/09/14(日) 22:25:17 ID:EZhQjJ/7
ktkr!
13 :
名無し名人:2008/09/14(日) 22:28:27 ID:vrVyizr4
お待ちしておりました。
14 :
名無し名人:2008/09/14(日) 22:33:56 ID:UA75htBg
一応言っとく
メール欄にsageと入れる
15 :
◆lcoQbZqMNg :2008/09/14(日) 22:40:48 ID:7yZGEXmO
昭和23年。
プロ棋界の出来事として、
前年22年から続いた、A級順位戦において、
升田幸三八段が、11勝2敗で優勝するものの、
この年は、第2位、第3位、そしてB級優勝者の
4人で、名人挑戦者を決める特殊な方法が取られました。
「錯覚いけない、よく見るよろし」
升田が大山に敗れる、高野山の決戦が行われた年です。
終戦直後から、時間を見つけては
東京中野にある、将棋道場に顔を出していた二郎。
そこで知り合った者と、ぶつかり稽古を
していた二郎は、知らぬ間に、将棋の力を
付けていきました。
「蝶」を開店後も、あらゆる道場に顔を出す二郎。
当然、アマ強豪との交流もできました。
ある人は、二郎に言います。
「喫茶店で、将棋道場開けばいいじゃないか」
決まって二郎は言います。
「そんな事したら、道場に縛られてしまう」
田舎電車の揺れに身を任せる、ナベヤ。
「当時は、アマ名人戦も、出来たばかりで
全国のアマ強豪は、試合の出方も分からない
人が多くてね」
将棋好きには、2種類あります。
将棋の強さを、表に表現できる者。そして、
強くなる事が、面白くて熱中する者。
当時の将棋道場には、すでにセミプロ(真剣師)も
出入りしてました。
「坊ちゃん。名前が残っていない強豪も
沢山いましたよ」
将棋で生活をする、と言う感覚が全くない時代。
あらゆる事情で、プロにならなかった者もいました。
当然、プロを目指しても、成功する保証はありません。
しかし、思う存分好きな将棋に尽力した経験は、必ず
個人の財産に成り得ます。
後日。つづく・・?
19 :
名無し名人:2008/09/14(日) 23:29:56 ID:x1lN0lxr
お茶ドゾー
つ旦~
20 :
名無し名人:2008/09/14(日) 23:32:42 ID:Hi59eJ0L
先生&新スレ&お茶乙であります
21 :
名無し名人:2008/09/15(月) 04:30:18 ID:9ts+MAJf
はよかけボケ 気になるやんけ
22 :
名無し名人:2008/09/15(月) 23:11:12 ID:YWedAQdG
かつてないほど勢いが落ちたな・・・
まとめサイトの人も結局いなくなったし、
作者のモチベーションの低下に影響しまくるだろうな
23 :
名無し名人:2008/09/15(月) 23:15:55 ID:63FJAlWf
全体の構成を先に作ってから…ね、
24 :
名無し名人:2008/09/16(火) 02:37:40 ID:+PWhQ7Va
もう前スレないけどまとめサイトは更新されてない。
大丈夫?
25 :
名無し名人:2008/09/16(火) 05:45:33 ID:1MfAXk9w
アメリカと戦争がはじまるとこまで読んでたんだけど…久しぶりにきたらサッパリだあああ
26 :
名無し名人:2008/09/16(火) 06:18:03 ID:GlHfMZ8T
読者は何も言わず 貰った文章を咀嚼している
気に入らない人は中傷せずに消えていくだけ
文句言ってる人の十倍の読者がいると推定される
二郎は、山城の事務所に呼ばれていました。
「おう。二郎。久しぶりだな」
雑居ビルの2階。
事務所に入ると、正面に山城のデスクが、
その手前に、テーブルがあり、両サイドに
2人掛けのソファがある。
相変わらず、山城は羽振りがよさそうでした。
「ご無沙汰しています。山城さん」
山城は、右腕のゴールドの腕時計をいじりながら、
二郎に近づきます。
「まあ、座れよ二郎」
二郎は、山城に促されるようにソファに座りました。
28 :
名無し名人:2008/09/16(火) 18:02:50 ID:03mMGlDq
山城ktkr
「二郎。お前、片岡仁って男、知ってるか?」
仁?あの、川崎で知り合った仁?
「知ってますが。仁が何か?」
二郎は、平静を装い、山城に聞き返します。
「その、仁がなぁ、将棋でイカサマをしてな、
今、都内の病院にいる」
「仁が?なぜ東京なんかに?」
「さあな、お前を尋ねに来たらしい、しかし、
魔がさしたのか、S組の代貸と勝負したらしい」
「S組?」
「ああ。テッポウの上に、駒を意図的に動かした
んだとさ。なんとも、お粗末な奴だぜ」
山城は、タバコに火をつけながら話を
続けました。
「S組と俺達は、直接利害を争ってる訳じゃない。
しかし、仁って野郎が、お前の名前を出した」
ゆっくり煙を吐く山城。
「ふ〜。お前最近、中野に出てるらしいな。
お前を探すのは、そんなに難しくはなかったよ。
たまたまその場に、俺の部下がいてな」
「なにを言いたいんだい?山城さん」
「結局、俺の部下が、仁を保護した。相手が
お前と一局設けたいそうだ」
山城と会うのは、2回目の二郎ですが
山城と言う男、なかなか威圧感があります。
「仁は、無事なんですか?」
「ああ。とりあえずはな。S組は、厄介な組だぜ。
麻薬に売春、不法為替に闇ドル」
「将棋でしたら、いつでもお相手はしますが」
「心配するな。たんなる余興だが、相手はS組だ、
何があるかわからねぇ。詳しい事は、追って連絡
するよ。八代の所でいいんだよな」
「はい」
八代は、未だに山城と手を組んでいるのか?
心中穏やかではない二郎でした。
32 :
名無し名人:2008/09/16(火) 18:42:54 ID:7Mc6gptp
これはハイパーピコピコアグレッシブデンジャラスタイム突入の悪寒!
「ヤッチン。お前まだ山城なんかと組んでるのか?」
二八商会の事務所。
二郎は、八代に問いかけていました。
「あ?ああ、この辺じゃ、山城の兄貴に話を
通すのが筋だ。心配するなよ二郎。当たり前のことだ」
「いつか山城に騙されるかもしれないんだぞ?」
「騙すって、何を?闇市するにもバカ高いショバ代払うんだぞ?
それを、いくらかは安くしてもらっているし、警察の
手入れだって、避けられてるのは、山城の兄貴の
おかげだ」
「ヤッチン。俺は今、山城から、ある組との対局を
持ちかけられてる。それが終わったら、二八、
抜けさせてもらうぜ。厄介は御免だ」
「二郎。お前まさか、プロになろうなんて考えてんじゃ
ないだろうな?やめとけ、得は無いし、蝶はどうする?
雪子さんがいるんじゃないのか?」
二郎が気にかけているのは、雪子の事でした。
蝶を完全に任せている上に、自分は、将棋三昧。
最近は、雪子の体調も優れません。
「ヤッチン。俺はプロにはならないよ。もう25だ。
しかし、周りで奨励会に行く奴を見ていると、
将棋の未練も断ち切れない」
一番厄介なパターンである。
将棋は強い。しかし、時代的にプロ棋士は、
生活を安定させるものではないし、なによりも
周りの人間とのしがらみ。
特に、雪子の事を二郎は案じていました。
「二郎。雪子さんは、お前が来いって言ったから
来たんだ。厄介が面倒なら、会社の登記から
お前の名前を消せばいい。でも、いつまでも
道楽してられないんだぞ」
二郎には、こたえる一言でした。
二郎は、山城の車に乗っていました。
「二郎。これから、料亭に行く。対局場所だ。
持ち時間は、たっぷりあった方がいいんだろうが、
それじゃ、俺の体がもたない」
「山城さん、観戦するつもりなのかい?」
「ああ。なにがあるか分からねぇからな。
そこで、持ち時間は15分。切れたら一手
30秒だ」
「随分、早いですね」
「ものの1時間もすれば、終わるだろう。とっとと
終わらせて帰るぞ」
山城の表情から、早い所終わらせたいのが分かりました。
「ルノー」は、足早に料亭へ向かいました。
つづく・・?
37 :
名無し名人:2008/09/16(火) 19:23:03 ID:6y435P+O
乙〜
38 :
名無し名人:2008/09/16(火) 19:36:38 ID:FJdSb3wM
お茶ドゾー
つ旦~
39 :
名無し名人:2008/09/16(火) 19:38:02 ID:FJdSb3wM
ところで
テッポウの上に、駒を意図的に動かした
ってどういう意味ですか?
40 :
名無し名人:2008/09/16(火) 20:05:32 ID:BEi3qelv
テッポウとは某アマ強豪みたいに
勝ったら金をもらうけど、負けた時の金は用意してない事。
駒を意図的に動かしたってのは、
どさくさにまぎれてイカサマで駒を動かしたんじゃない?
41 :
名無し名人:2008/09/16(火) 20:08:43 ID:03mMGlDq
テッポウで指させたら相手のヤクザも
上に怒られる気がする。
42 :
名無し名人:2008/09/16(火) 20:15:10 ID:gCSK12X/
賭け麻雀とかで負けた場合に払う金を持ってないくせに雀荘に来るヤツのことをテッポウというから
それと同じ意味だと思う
43 :
名無し名人:2008/09/16(火) 20:18:53 ID:FJdSb3wM
そうなんだ。みんな詳しいね。
ピストルの上に駒を動かして
発砲したのかと思ったぜ。
いやマジでw
44 :
名無し名人:2008/09/16(火) 20:42:27 ID:Eg28RWp4
総務のお茶部長、乙!
45 :
名無し名人:2008/09/16(火) 20:44:28 ID:Eg28RWp4
「ルノー」
日野がライセンス生産してたよね。
なつかし。
46 :
名無し名人:2008/09/16(火) 21:02:20 ID:FJdSb3wM
あ、でも私は初代お茶係ではないんですよ。
前スレの最後のほうから担当しております。
ほどなく車は、料亭へ到着しました。
「二郎。とりあえず、これに着替えろ」
山城は、二郎に背広とワイシャツを与えました。
「山城さん。格好なんてどうでもいいだろ」
「そうはいかない。俺たちの世界は、格好も大事だ。
もっとも、お前は組の者じゃないが、そんな汚い
恰好じゃ、こっちが笑われる」
薄汚れたズボンにヨレヨレのシャツ。
二郎もつい、笑ってしまいました。
「確かに、汚いな・・。さぁ行こうか、山城さん」
仲居に案内され部屋に入る二郎。
20畳ほどの和室。
すでに宴は始まっていました。
「おう。山城、待ったぞ」
約束の時間より、15分遅れました。
「酒井さん。ご無沙汰してます。連れてきましたよ。
彼が、斉藤二郎です」
黒いスーツ、白のワイシャツに身を包む二郎。
「どうも」
こう言う相手には、動じない姿勢が大事だ。
49 :
名無し名人:2008/09/16(火) 21:46:05 ID:jY9Bw9up
酒井は、S組賭場の代貸で、生粋の博徒です。
丁半から花札、麻雀、囲碁、将棋にも精通しています。
すでに、酒井側10名ほどが、酒を飲んでおり、端では
麻雀、花札をしている者もいました。
その数総勢21名。
対する山城陣営は、山城、二郎を含めて5人。
「まあ、こっちきて一杯付き合え。山城」
「はぁ」
山城は、渋々酒井に近づきます。
「二郎。お前も付き合え」
山城は、二郎も連れだって酒井の元へ進みました。
51 :
名無し名人:2008/09/16(火) 22:02:47 ID:DEOIh0Rx
>>46失礼しました。本日より総務部総務課お茶係長を任命します。
「最近じゃ、不良外国人も増えて、銀座あたりじゃ、
銃撃戦もあるらしい。まったく、物騒な世の中だな。山城」
「はぁ」
「GIの相手も楽じゃねぇ。クラブ、キャバレーに賭場。
用心棒の利権まで絡んできやがる」
酒井の手下たちの目が光ります。
「その話は、また今度にしましょう。酒井さん」
「そうか?じゃぁ、話は変わるが」
急に酒井の目の色が変わりました。
「この間の、片岡って男の件だが」
仁の事です。
「お前の所が、引き取ったのはいいが、20万の
賭け金がまだだ」
「分かってますよ。本来なら、そいつをここに引っ張って
来るところですが、あいにく、奴は瀕死でして、代わりに
ここにいる、二郎を探して連れてきました」
「話が早い。さぁ20万出してもらおうか?斉藤さん」
”話が違うじゃないか”
二郎の思惑は外れます。
そこへ、山城が割って入る。
「いや、酒井さん。二郎が一局、酒井さんと交えたいと」
「ワシとか?」
「はい。20万を賭けて、是非と」
「面白いな。しかし、テッポウは御免だぜ」
「心配ありませんよ」
そう言うと山城は、自分の懐から、50万を取り出し
酒井の目の前に置きました。
「長考が嫌いな酒井さんの事だ、持ち所間は15分の
切れ一手30秒で」
「面白い。面白いぜ、山城」
二郎は、口を挟む事無く、ただ行く末を見ます。
「山城、15分もいらねぇ。10分切れ負けだ」
10分切れ負け?
二郎が経験する、かつてない早差し。
山城は二郎に聞きます。
「二郎。負けたら当然50万は、きっちり返してもらう。
八代に言えば、すぐ出してもらえる額だろう」
冗談じゃ無い。
いくら二郎でも、八代にそこまでは頼めない。
それよりも、勝負だ。
「分かりました。10分切れ負けで」
振り駒の結果、二郎が先手に。
”長い将棋は不利だ。相居飛車になろうものなら
たちまち時間が切れる。ここは、振り飛車だ”
先手二郎。 5八飛
後手酒井。3四歩
▲5六歩△5四歩▲7六歩
この手順を二郎は、中野で研究していました。
▲7六歩△3四歩▲5八飛では、角交換から
4五角がある。
△6二銀▲4八玉△4二玉▲3八玉△3二玉
▲2八玉△5二金右▲3八銀
まずは、玉を固めない事には、強い戦いができない。
なにしろ、二郎は、超急戦を狙っています。
つまり、△6二銀の場面。4二玉なら、角交換から
▲7五角。
△6四角なら、再度角交換から、6三角を狙う。
△3二玉でも、馬を作る手順がある。
二郎は、角道を開けたまま決戦に備えました。
後日。つづく・・?
58 :
名無し名人:2008/09/16(火) 22:53:44 ID:FJdSb3wM
お茶ドゾー
つ旦~
59 :
名無し名人:2008/09/16(火) 22:57:24 ID:04Y950mU
先生&お茶係長おつ
60 :
名無し名人:2008/09/16(火) 23:08:05 ID:03mMGlDq
▲3八銀 まで
▽後手持ち駒:
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│▽桂│__│__│__│▽金│▽銀│▽桂│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▽飛│__│▽銀│▽金│__│▽玉│▽角│__│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│▽歩│▽歩│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│▽歩│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│▽歩│__│▽歩│__│__│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│__│__|__│__│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│▲歩│__│▲歩│__│__│__│__│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│▲歩│▲歩│__│▲歩│__│▲歩│▲歩│▲歩│▲歩│七 成香−杏
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−圭
│__│▲角│__│__│▲飛│__│★銀│▲玉│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│▲香│▲桂│▲銀│▲金│__│▲金│__│▲桂│▲香│九 成飛−龍
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
▲先手持ち駒:
61 :
名無し名人:2008/09/17(水) 00:57:19 ID:s2g3osEe
つづきがよみたくて仕方ないなぁ・・・
中飛車模様だし、ゴキ中さしこな本でも読みながら盤駒動かして寝ますかね。
イコー先生、毎晩、お疲れ様です。
面白すぎます!Q
62 :
名無し名人:2008/09/17(水) 01:12:55 ID:46fj5aHE
習慣将棋あたりから
読み物として採用してやってくれ
電車の中で読んでるオレにはちょうどいい
最近の習慣将棋はネタぎれ
63 :
名無し名人:2008/09/17(水) 01:21:41 ID:Tg9L44gX
週刊将棋、将棋世界等にメールでこういう掲示板で
こうやって書いてる人が居ますと報告してる俺。
返信はないけど見ているに違いない。どちらにしろ
オファーをどう出してくるか。
まとめサイトの管理人さんにきても意味ないし・・
64 :
名無し名人:2008/09/17(水) 01:23:48 ID:g/9I80qY
このスレ主はKGSのakiosanの影響を受けたんじゃまいか?
65 :
名無し名人:2008/09/17(水) 01:26:40 ID:Mq1eb2+a
舞台の切り替わりが唐突すぎて読む気しないんだが
基本的にどういう構成なの?
66 :
名無し名人:2008/09/17(水) 01:30:03 ID:idLiSu2T
作者がsageてるのに・・
おまいらsageるぐらい出来ないのか
67 :
名無し名人:2008/09/17(水) 01:32:06 ID:Gr16KGC/
囲碁のakiosanは実在の人物で
実話のノンフィクションなんだけど、
こっちはどうなってるんですかね
似ていると思わないでもないけど
akiosanとは比較するのはどうかな
68 :
名無し名人:2008/09/17(水) 01:33:33 ID:Gr16KGC/
つまりフィクションなんだから自由なんだけど、
フィクションだからこそかえって不自由なこともあるんだろうなと
69 :
名無し名人:2008/09/17(水) 02:37:03 ID:BuGJ/bKH
面白スレはあげ推奨
70 :
名無し名人:2008/09/17(水) 03:03:04 ID:xOyIV2z4
>>66 そんな風に気を使える人間なら、ねらーやってないと思う。
71 :
名無し名人:2008/09/17(水) 04:08:07 ID:gaWEaI3H
>>66 厨房比率の高い板ならともかく将棋板に限っていえば、
注目させるためにむしろageのほうがいいくらいなんだがな。
試しにこの板の勢いのあるスレ開いてみなよ。
その中で基地外が沸いてるスレなんてほとんど見当たらん。
まあ最近じゃ2ch全体も、sageろsageろうるさい御仁が登場すると荒れる傾向があるな。
72 :
名無し名人:2008/09/17(水) 09:53:10 ID:xOyIV2z4
ageても前スレが見れないんじゃ仕方なくね?
落ちちゃったし。
まとめサイトは携帯から見れるの?
73 :
名無し名人:2008/09/17(水) 16:01:33 ID:ZCjODpzy
前スレおちちゃったのか
途中まで読んだけど、まとめサイトの奴はサボってんのな
74 :
名無し名人:2008/09/17(水) 16:21:18 ID:oo3iNurw
俺は全部保存してる。
酒井は、チビチビと酒を飲みながら対局を続けます。
「しかし、斉藤さん。将棋はつまらねぇ」
酒井、二郎の角を角をつまみ上げ、自分の駒台へ。△8八角成
「そうですか?」
二郎、酒井の馬を取り。▲同銀
「将棋には、”遊び”が無い」
△8四歩
「と、言いますと?」
▲7七銀
「一手一手に、遊びが無いって事さ」
△8五歩
「確かに。手抜く瞬間でさえ、速度を考えますかね」
▲5九金左
二郎。じっと、金を寄ります。
「どうだい、斉藤さん?一杯、飲みながら」
酒井は、二郎に酒を進めました。
対局中に、酒とは不謹慎かもしれません。
しかし、この酒井と言う男。
一目見れば、数々の修羅場を抜けてきた事は
容易に分かる雰囲気を持っています。
「じゃ。遠慮なく」
「おい。こちらさんに、酒だ」
慌ただしく、酒井の子分が正座をして、二郎に
お酌をします。
「斉藤さん。ワシはね、将棋は強い者が勝つと思っている」
△4二銀
「そうですね。運の介入は、ほぼありませんからね」
▲5五歩
ここで二郎、仕掛ける。
酒井は思います。
”同歩として、位取りにするか”
「随分、早く仕掛けたもんだな」
△同歩
酒井は、引かない。
通常であれば、考えたい局面。
しかし、早指しでは、気合い負けは、もっとも避けなければいけません。
二郎は思います。
”なるほど、生粋の博徒だけのことはある”
二郎。▲6六銀。
「8筋を、明け渡すってか?」
酒井。△8六歩。
二郎、杯をグイッと飲み干します。
▲同歩
「短期決戦か?面白い、限られた時間で指す将棋は、面白い」
△同飛
二郎の杯に、酒が注がれます。
若干、酒井の子分の手が震えています。
二郎、再びグイッと飲み干し
▲7七桂
「斉藤さん。高校野球を見た事はあるかい?」
△8九飛成
「いえ。ラジオでたまに聞く程度です」
「そうか、実際見ると、いいもんだぞ。
負けた球児が、大泣きしている」
二郎、じっと考えます。
「なぜ、泣くかわかるか?斉藤さん」
「悔しいからでしょ?」
酒井は、酒を飲み干します。
「それもあるだろうが、ワシはこう思う。
結局、奴らは、試合が終わった後も
立っていられる、まだ走れるし、打てる」
二郎。▲5四歩
酒井は右膝を立て、話を続けます。
「つまり、まだ動けるのに、終わってしまった無念。
もっとやれたかもしれない、と言う後悔が、あの涙」
左手で、着物の襟を直す酒井は続けます。
「ためしに、裏表200回もやらせてみれば、お互い
くたびれて、試合が終わる頃には、泣くどころじゃ
ないだろ。つまり9回と言う限られた時間が
人間の無念や、後悔を増大させる」
一息ついて酒井は続けました。
「ワシは、勝負ってのは、そう言うモノだと思っている」
△6四歩
つづく・・?
82 :
名無し名人:2008/09/17(水) 19:36:03 ID:uFyNfDTy
ハゲ常連が随分年齢低そうに思える。
頭気にしすぎだろ。
83 :
名無し名人:2008/09/17(水) 19:58:03 ID:6MrH7+JS
お茶ドゾー
つ旦~
二郎は、一旦は聞き入れたが、酒井に対して言いました。
「難しい事は分からないが、こと将棋に関しては
持ち時間が長かろうが、短かろうが、負けたら
悔しいですけどね」
▲5五銀
「確かに、負けると相手にお前は馬鹿だって
言われているようだな」
△6三金
「私は、長い事将棋をしていますが、好手で勝つ場面より
直観とは違う手を指して負けた人をたくさん見てきました」
▲4六角
「なるほど、考慮中、別の手がうかび、その手を指してしまう
訳か」
△5二歩
85 :
名無し名人:2008/09/17(水) 20:42:32 ID:s2g3osEe
う〜む、これは面白卓!!!
どっちが勝つかまだまだわからんですたい!1
86 :
名無し名人:2008/09/17(水) 20:46:46 ID:LtN7cGON
ナベヤカン
「結果、手を変えた事が敗因となる場面が
多い気がします」
▲6四銀
「確かに、驚くような好手に出会うより、
”最初はこう指そうと思ったが、指さずにこう指した”
と、悔やむ場面が多い気がするな」
△同金
「その手の好悪は、どうでもいい、大事なのは、
なぜ自分の直感を、最後まで信じれなかったって
事です」
▲同角
「人は、結局その人の棋力に応じた最善手しか
見えない」
△3三角
「そうです。捨て身になれない人は、自我に囚われ
直感を疑ってしまう。常に堂々としていればいいのに」
▲5五角
「ワシも、短い将棋でみごと勝ちきる将棋より
短いがゆえ、優勢を落とす場面が多い気がする」
△同角
「こう言う短い将棋だからこそ、その人の本質が
現れる。その点はアマもプロも大差ない」
▲同飛
「そのとうりだよ、斉藤さん。短い将棋は、その人間の
真の心の強さが試される」
△3三角
「五角に見える局面でも、神様の目から見たら
優劣はついている」
▲8五飛
「心が平静であれば、1分も長く感じる」
△同龍
「自分にとっての最善手が浮かべば、その心さえ
平静に保つことさえ出来れば、数手先のもう一つの
最善手が見えます」
▲同桂
「なるほど、面白い。それが指運か」
△9九角成
一直線の切り合い。
二郎残り、2分。
酒井、5分。
双方、一歩も引かない激突模様です。
後日。つづく・・?
91 :
名無し名人:2008/09/17(水) 21:14:37 ID:38TIPJO9
やべー、続きが気になるぜ
ナベヤ時間大丈夫か?
92 :
名無し名人:2008/09/17(水) 21:21:27 ID:oo3iNurw
△9九角成り まで
▽後手酒井 持ち駒:飛 銀 香 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│▽桂│__│__│__│▽金│__│▽桂│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│▽銀│▽歩│▽銀│▽玉│__│__│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│__│▽歩│__│__│▽歩│__│▽歩│▽歩│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│▲歩│__│▽歩│__│__│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▲桂│__│__│__│__|__│__│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│▲歩│__│__│__│__│__│__│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│▲歩│__│__│▲歩│__│▲歩│▲歩│▲歩│▲歩│七 成香−杏
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−圭
│__│__│__│__│__│__│▲銀│▲玉│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│☆馬│__│__│__│▲金│▲金│__│▲桂│▲香│九 成飛−龍
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
▲先手二郎 持ち駒:飛 角 金 歩×2
93 :
名無し名人:2008/09/17(水) 21:50:43 ID:6MrH7+JS
何という強さか
お茶ドゾー
つ旦~
94 :
名無し名人:2008/09/17(水) 22:10:37 ID:8aKabQlY
◆lcoQbZqMNgノリノリである
95 :
名無し名人:2008/09/17(水) 22:39:35 ID:zIscBADV
96 :
名無し名人:2008/09/17(水) 22:40:53 ID:s2g3osEe
97 :
名無し名人:2008/09/17(水) 22:43:02 ID:zIscBADV
>>86 パート1の始めでNGワードだったような。
98 :
名無し名人:2008/09/18(木) 06:49:54 ID:WE2H3BQF
続きが待ち遠しくてイライラするw
99 :
名無し名人:2008/09/18(木) 12:22:04 ID:1ZYE+UXT
俺は前スレでまとめサイト作りかけで身を引いたってのに
100 :
名無し名人:2008/09/18(木) 13:28:45 ID:D9fSiRb7
本当に途中で投げ出してしまったのか
投げ出しの言葉のおかげで
私はあなたとは違うんです!って頭に浮かぶわ
101 :
名無し名人:2008/09/18(木) 13:55:31 ID:KLrULCoZ
102 :
名無し名人:2008/09/18(木) 15:05:33 ID:J1N+9ZFv
◆lcoQbZqMNgさん乙です
ログ保存してる人多そうだけどね
PCはもちろんのこと、携帯でもW2Ch使ってる人は保存してるんじゃない
俺はW2Chで保存してるし
103 :
74:2008/09/18(木) 15:16:33 ID:ca180FQP
俺はメモ帳にコピペして保存しているが、
読みやすくしようと勝手に改行したりしてしまっているので
やはりログをそのまま保存しているか見ることの出来る人にお願いしたい。
104 :
名無し名人:2008/09/18(木) 15:24:29 ID:6JAS7C9C
105 :
名無し名人:2008/09/18(木) 15:25:25 ID:J1N+9ZFv
623/1001:名無し名人[]
2008/09/04(木) 14:02:33 ID:xiwCfIVM
http://shogi.so.land.to/のまとめページの管理者です。
10月以降、大きな広告が入り読み辛くなります。
広告規約が大幅に変更になる前に、移転作業をします。
すでに著者の二部が始まっているので、その更新も兼ねて移転します。
仕事が忙しく、更新することも出来ていませんが宜しくお願いします。
移転作業中か
単に忙しくて時間ないだけかもしれないよ
106 :
名無し名人:2008/09/18(木) 17:32:36 ID:1ZYE+UXT
暫く様子を見よう。
俺としてはまとめなくてもログ保存ってだけでもいいんだけどね。
107 :
名無し名人:2008/09/18(木) 20:45:28 ID:U+5Bb8YV
ちょっとageますね
108 :
名無し名人:2008/09/18(木) 22:24:13 ID:3eW+o6MI
今日はお休みかな。
山城は、黙って盤面を凝視しています。
山城は、タバコに火を付けました。
”この一直線の切り合い。全て二郎の計算だ。
まず、定跡破りの角道を開けたままの会戦。
酒井は、たまらず角交換してしまう”
山城は、チラリと二郎を見ます。
酒のせいか、若干頬が紅潮しています。
”そして、8筋の明け渡し。実戦心理でいけば、
居飛車側は、8筋突破してしまうだろう”
山城、今度は酒井を見ます。
脇息に左ひじを掛け、斜に構えています。
”二郎の手順は巧妙だ。△8六歩のところ、△5三銀なら
▲5五銀と出る。△5四歩なら銀交換から飛車が大威張り。
そこで△8六歩だが、▲5四歩。対して、4四銀は交換から
▲7一角。△6四銀は交換から▲5三銀。△6二銀なら▲8六歩
とし、△同飛に▲7七桂△8九飛成▲6五桂。いずれも居飛車
潰れだ。しかし・・”
山城は、出されたビールをコップに注ぎ一口飲む。
”5筋は、△5二歩で受けられ、その上馬まで作られている。
確かに、酒井は、二郎の手順に吸い込まれている。しかし、
二郎、この局面、勝ち目はあるのか?”
二郎は、酒井に対して言いました。
「酒井さん。ビールいいですか?」
「ビール?ああ。好きなだけ飲め。おい。ビールだ」
酒井は、子分にビールを催促しました。
二郎は、ワイシャツのボタンを一つ、二つ外しました。
静まりかえる座敷。
遠くから、三味線の音色と、ドンチャン騒ぎの声が聞こえます。
二郎は、コップに注がれた、キンキンに冷えたビールを
一気に飲み干します。
「だた、本能に従って、堂々と指すのみ」
▲8二飛
「なるほど、面白い。勝負所か?」
△5一銀右
「針の穴をすり抜ける」
▲8一飛成
「無駄だ。5筋が凹んでる形は、思いのほか固いぜ」
△8九飛
「いや。通る」
▲5三歩成
「攻めが切れるぜ?」
△同歩
山城、二郎を見る。
「通るさ」
▲5二歩
味のいい歩。二郎あくまでも中央から突破します。
山城、二郎を見つめたままビールを持つ手が止まりました。
”うまい。狙いが最初から一貫している。
△6二銀なら▲6一龍から▲7三桂成。
△5四から香を打っても、自玉が手順に固くなる”
酒井の手が止まりました。
気づいた時には、網に掛かっている。
二郎はなにも、ハメ手を使った訳ではありません。
自然に、手順に従って、酒井を網に掛けたのです。
その吸い込まれるような手順。
「斉藤さん。この勝負、まだまだだぜ。なんと言っても
この勝負。切れ負けだ」
△同銀
「寄せに入ったら、一手、1秒もいらない」
▲6四桂
決め手。
二郎の攻めが切れない形になりました。
酒井は困惑しています。
”この若造強い”
しかも、相手の手を引きだして決める。
「なるほど、面白い。さぁ寄せてみろ」
△6三銀
二郎。駒台から金を取り上げ▲5二金。
その時。座敷のふすまが、勢いよく開いた。
八代だ。
八代が、勢いよく座敷に入ってきました。
「なんだ。てめぇ」
「なにしに来やがった?」
「おい。引きずり出せ」
いろめきだす座敷内。
山城が制する。
「ちょっと待ってください。この男は
二郎の知り合いでして」
興奮する酒井の子分は、聞き入れません。
八代に掴みかかります。
八代の両脇から、2人抱えるように八代を
引きずり出そうとします。
「ちょっと、待ってくれ」
八代の言葉を、遮るように酒井の子分は、怒声を
浴びせます。
一気に座敷が騒然とします。
テーブルの食器類は倒れ、酒井は一旦後ろへ下がります。
二郎は、集中していたため、呆然と事の成り行きを
見ています。
「二郎。雪子さんが、雪子さんが倒れた」
一瞬理解できない二郎。
しかし、次の瞬間、二郎は立ち上がりました。
117 :
名無し名人:2008/09/19(金) 16:58:33 ID:ek2bqF5N
∩___∩
|ノ⌒ ⌒ ヽ
/ ●) ●) |
オツカレチャ━━━━━| ( _●_) ミ━━━━━ン♪
彡、 |∪| 、`
/ ヽノ ヽ
/ 人 \\ 彡
⊂´_/ ) ヽ__`⊃
/ 人 (
(_ノ (_)
118 :
名無し名人:2008/09/19(金) 16:59:36 ID:nTx7FxHS
将棋か女かどちらをとる?!
119 :
名無し名人:2008/09/19(金) 17:02:55 ID:v0YPECl0
あと数分で終わるというのに
”雪子、が、倒れ、た”
「なんだって。ヤッチン。本当か?」
八代に掴みかかる二郎。
二郎は、両手で八代の胸グラを掴み
至近距離で、八代の目を見つめ、早口にまくし立てます。
「雪子が倒れたって、どう言う事だ」
その様子に、さすがに酒井の子分も、呆気にとられます。
八代は、二郎を落ち着かせるように、ゆっくりと
二郎の両手を下ろします。
121 :
名無し名人:2008/09/19(金) 17:10:43 ID:EHhuMovw
八代の両脇から、2人抱えるように八代を
引きずり出そうとします。
「ちょっと、待ってくれ」
八代の言葉を、遮るように酒井の子分は、怒声を
浴びせます。
一気に座敷が騒然とします。
テーブルの食器類は倒れ、酒井は一旦後ろへ下がります。
二郎は、集中していたため、呆然と事の成り行きを
見ています。
「二郎wwww雪子さんがwww 雪子さんが倒れたwwwwwwww(爆)」
一瞬理解できない二郎。
しかし、次の瞬間、二郎は立ち上がりました。
「落ち着いて聞いてくれ。二郎」
八代は、さっきの騒動で少し息が上がっています。
「さっき、蝶の客から、電話があった、
店で、雪子さんが、血を吐いて、倒れたそうだ」
「なんだって?血を吐いて?」
二郎は、崩れそうな自分の体を、必死に気持ちで支えます。
その、呆然とした姿に、八代は手を掛けて言います。
「すぐに、病院へ行こう。将棋なんて
やってる場合じゃないだろ?」
困惑する二郎。
「分かった。すぐ行こう」
山城。その時、横から口を挟みました。
「ちょっと待て二郎。今はまだ対局中だぞ」
その言葉に対して、八代が言い返します。
「山城さん。言いたい事は分かる。でも
二郎の気持ちも分かって下さい」
「八代、俺も二郎の気持ち、分からないわけじゃ無い、
しかし、後もう少しで対局は終わる。あと5分も無いんだ」
「待ってくれ山城さん。そこをお願いしているんだ。
人が倒れてるんだ、悠長に将棋なんかできるか?」
酒井はジッと、山城を睨みつけています。
ゆっくり口を挟む酒井。
「どう言う事だ?山城?」
山城は、酒井の方を向き、両手で少し待ってくれと
挨拶しました。
「八代、これは遊びじゃ無い。病院、行くなら
対局が終わってからだ」
引かない山城に、業を煮やした八代は、
二郎を引っ張って、部屋を出ようとします。
「ちょっと待て、八代。
この勝負には、金が賭けられてんだぞ?
分かって言ってんのか?八代?」
八代は、山城に向って言い放ちます。
「金なら、僕がなんとかします」
酒井が、割って入る。
「このガキ、道理が分かってんのか?山城?」
こうしている時間がもったいない。
八代は、二郎を引っ張って座敷を後にしました。
二郎と八代は、表に止めてある社用車に乗り込みました。
「二郎。雪子さんの病状は分からないが、しっかりしてくれ。
雪子さんは、今、僕が行きつけの病院いる。
ボロいが腕は確かだ。大丈夫さ、心配するな」
車は、猛スピードで闇に包まれていきました。
つづく・・?
127 :
名無し名人:2008/09/19(金) 17:37:28 ID:UPz+cZYz
山城「俺の面目が丸潰れじゃねぇか。どう始末つけてくれるってんだ。」
128 :
名無し名人:2008/09/19(金) 17:41:49 ID:URkSvNLt
山城新伍?
ナベヤ・カン?
八代俊二?
129 :
名無し名人:2008/09/19(金) 18:24:46 ID:q7IcrKLh
「自分は医者じゃないんだから急いで行ったって仕方ないのに…」
by五代目志ん生
でも修正は作品完成後にできます
応援してます
130 :
名無し名人:2008/09/19(金) 19:44:41 ID:rBsJ7GIe
う〜ん、緊迫の場面!
二郎・八代は、山城の顔に泥を塗った!
到着した場所は、小さな個人病院でした。
入口ドアを開け、正面の受付に駆けつける二郎。
しかし受付には、誰もいません。
二郎は、病院内を探します。
後を追う八代。
そんなに大きくない病院です、やけに明るい病室
が目につきました。
二郎は、その部屋に飛び込みます。
中に入ると、看護婦が一人、寝たきりの患者に
点滴をしています。
雪子でした。
雪子に駆け寄る二郎。
「雪子。雪子」
看護婦が二郎に声をかけます。
「今、眠っているところです。落ち着いてください」
「すいません。あの、先生は?」
「ご家族の方ですか?」
「はい。先生をお願いします」
案内されたのは、診察室でした。
「先生。雪子は?大丈夫なんですか?血を吐いたって」
医者は、二郎をイスに座るように促し、
ゆっくりと説明し始めました。
「落ち着いて聞いて下さい。彼女は、肺結核を患って
います。今、抗生物質での治療をしていますが、
問題は、菌が、脳や脊髄に感染しています。
結核性の髄膜炎です」
二郎は、医学の事は分からないが、なにかただ事ではない
事は、医者の表情から、読み取れました。
「高齢者には、よく見られるんですが、治るかどうかは」
戦後の、劣悪な環境の中での奉公生活が祟ったか、
気づいてやれなかった事を、二郎は悔いた。
「全然気付かなかった、将棋ばっかりやってて
全然、雪子に気を使う事が、無かった」
そっと二郎に近づく八代。
医者は続けます。
「仮に、大きな病院へ行っても、痛かったら鎮静剤。
熱が出たら解熱剤と、その場その場の対処療法しか
ありません。ご自宅に連れていくか、入院させるかは
あなたが決めてください」
二郎は、再び雪子のいる病室へ行きました。
ベッドに横たわる雪子。
八代は、二郎を気遣いますが、二郎は、雪子と2人きりにしてくれ
と言います。
八代は、一旦、会社に戻る事にしました。
「二郎。なんかあったら、会社に電話してくれ。
ずっと会社にいるから」
八代の言うとおりだった。
いつまでも、道楽していた罰が当たったんだ。
自分に罰が当たる分にはいい、しかし、よりによって
なぜ、雪子に。
二郎は、ただただ悔いるだけでした。
136 :
名無し名人:2008/09/19(金) 21:11:29 ID:gYrInQ7q
ふむふむ
137 :
名無し名人:2008/09/19(金) 21:12:19 ID:v0YPECl0
どんだけ将棋やってたんだろ
「すまない。雪子。俺が全部悪い。
お前を、ほったらかして、好きな事
ばっかりやってて、俺は、本当に、馬鹿だ」
八代が帰って、1時間は経ったでしょうか?
代われるものなら代わってやりたい。
しかし、そう思えば思うほど、二郎は辛くなりました。
あの時、ああしていれば、こうしていれば、
意味が無い事を思い続けます。
しかし、あの時自分は勝負に、そしてその響きに酔っていた。馬鹿だ。
そんな自分が、情けなくなりました。
なんて馬鹿なんだ。
ただ雪子の手を握る事しかできない二郎。
その時です。遠くから、コツコツ・・。
誰かの靴音がします。
靴音は二郎のいる病室前で止まりました。
ガチャ。ゆっくりドアが開きます、
入ってきたのは、山城でした。
後日。つづく・・?
140 :
名無し名人:2008/09/19(金) 21:19:47 ID:a/lKllOW
何というドラマか
お茶ドゾー
つ旦~
141 :
名無し名人:2008/09/19(金) 21:56:20 ID:xjd9QTcc
最初のうちは、本人の体験談と、知り合いの真剣師から聞いた話を
思い出しながら淡々と書く、というコンセプトだったような気がするけど、
途中で小説風に補完するようになった?
第三者の脳内の描写とかでてきてるし。
それはもちろん全然かまわないんだが、作者のスタンスが分からなくなって
ちょっと混乱している
142 :
名無し名人:2008/09/19(金) 22:09:20 ID:0wy4wa3d
その辺がアマに留まったとこと勝手に想像
143 :
名無し名人:2008/09/19(金) 22:17:13 ID:a/lKllOW
プロには書けない面白さ
144 :
名無し名人:2008/09/19(金) 22:27:06 ID:IGaaOpzU
完全に勝勢であと数分で終わったのに・・・
これを分岐点に二八商会が傾くことになりそうだ
145 :
名無し名人:2008/09/19(金) 22:51:39 ID:hdreBRtM
でも二郎→ナベヤに変わるにはもう一つくらい深い穴に落ちてからだと思う
なんにせよ続きが気になるなー
146 :
名無し名人:2008/09/19(金) 23:16:03 ID:H9eEnX+l
乙
147 :
名無し名人:2008/09/19(金) 23:43:33 ID:LDYSg9+i
おつです
148 :
名無し名人:2008/09/20(土) 02:02:59 ID:UNNG7jy1
早くしろー!間に合わなくなっても知らんぞ!
以下AA
149 :
名無し名人:2008/09/20(土) 06:15:12 ID:EFIFg3mn
お茶っぱがきれているので・・・
____
/__ o、 |、
( ´・ω・) .| ・ \ノ
□ ) .| ・ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ジャー ____
つ/__ o、 |、
( ´・ω・)ノ .ii | ・ \ノ
( □| ・ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´・ω・`) ζ
( ) □ 今日はお湯です・・
山城は、無言で病室に入ってきます。
近くにあったパイプ椅子を、広げ座りました。
二郎は、すぐさま山城の足元に近づき、土下座をして
詫びを入れました。
「山城さん。申し訳ありませんでした。
申し訳ありませんでした」
山城は、座ったまま、前傾姿勢になり、
一つため息をつきました。
「はぁぁ」
「必ずお金は、お返ししますから。
勘弁して下さい。すみませんでした」
山城は、体をのけぞるようにして、首を
回します。
「八代に、ここの場所聞いたよ。ところで二郎。
対局の方だが、お前が▲5二金と打った局面。
あれから、酒井は、一手も指さなかった。
酒井の時間切れ、お前の勝ちだ」
二郎、ゆっくりと、顔を上げます。
「二郎。お前は、下手なヤクザや、芸人、まして、
専門棋士でもない。勝負より大事な物を優先したと
しても、誰もお前を責める事はしないだろう」
山城は、二郎の肩に手をやります。
長い沈黙が続き、山城は言います。
「俺は、お前に言ったはずだ、その世界の
ルールを守れないと、長生きできないってな」
二郎は、黙って下を向いています。
「お前は、自分の意の反する所で、知らず知らずの
うちに、人を不幸にするだろう。
いつかお前が、正しいと思ったことで、
他人はおろか、自分まで不幸にするだろうな」
そう言うと、山城は立ち上がり、病室を後にしました。
153 :
名無し名人:2008/09/20(土) 18:28:07 ID:Grv3HFZR
ほうほう
上手い展開にしたもんだ。
作者ひねり出したな やりおるわい。
154 :
名無し名人:2008/09/20(土) 18:35:26 ID:21Cv6lMm
勝ったのなら山城は金を持ってこないで出て行ったのか?w
155 :
名無し名人:2008/09/20(土) 18:38:00 ID:fo12u+ck
勝ったら他人の借金がチャラになるだけじゃなかったっけ?
なんで他人の借金のために指して、負けたら自分がそれ以上の額を
払わなきゃいけないのか、あんまりよく分からんかったけど。
そういう世界なんかね。
二郎は、決めました。
雪子を、家へ連れて帰ろうと。
雪子を、不幸にしたのは自分だ。
後は最後まで、雪子のそばにいてやろう、
二郎は、そう思いました。
蝶を休業し、二郎はただ雪子のそばにいました。
お粥を作り、雪子のいる部屋に行っては、体を拭いて、
着替えをさせる。
二郎は、将棋から離れ、この単純作業を繰り返します。
それも苦にならない。
一日が三日、三日が気づけば一週間。
延々と二郎は、雪子の身の回りの世話をしました。
たまに病院へ行っては、薬をもらい。
八代のところへ寄っては、お金を工面してもらう。
一か月も経っただろうか。
或る夜。
二郎が夜中、目を覚ますと、雪子の姿が見えません。
一抹の不安を覚える二郎。
”もしや、自殺なんかを?”
二郎は起き上がり、一階の玄関へ急ぎます。
鍵は内側から掛かっている。
外には出ていない。
便所か?
いや、トイレにもいません。
二郎は、物音に気付きます。
その音は、二郎が蝶で真剣を指す部屋、
カウンター奥、カーテンの向こうから聞こえました。
二郎は、恐る恐る部屋をのぞきます。
決して広いとは言えない二郎の居場所。
中にいたのは、雪子でした。
雪子は、将棋盤を抱くように座り込み、
駒をまとめて数個握っては、盤の上に手から
滑らすように、こぼします。
それを、何度も繰り返す雪子。
駒のすれる音が、サラサラとします。
その全体的な動きには、力がありません。
二郎は、静かに近づき、雪子に声をかけました。
「こんな所で、何をしているんだい?雪子」
雪子は、気持ち少し二郎を見、再び盤に目を落とします。
「二郎さん。この将棋盤と駒、随分綺麗ね」
その言葉にも、力はありませんでした。
「ああ。綺麗だろ」
「いい匂いがする」
「ああ。いい匂いだろ」
そっと、雪子を後ろから、優しく抱く二郎。
160 :
名無し名人:2008/09/20(土) 19:35:15 ID:srimz/RI
病人になんてことを・・・
「私、将棋の事、知らないけど、この綺麗な、
盤と駒を、見てるだけで、将棋の、素晴らしさが、
分かるわ」
「ああ。分かるだろ」
「二郎さん。いつも手入れしているのね」
「ああ。いつもしているよ」
雪子は、所々、せき込みながら言います。
「私も、二郎さんに、将棋、教えてもらえば、よかった」
「ああ。元気になったら、いつでも教えるよ」
二郎は、涙が溢れてきました。
雪子の言葉は、まるで二郎を慰めるものでした。
自分が、将棋の素晴らしさに、たまたま気付かなかった様に、
病気にも、気付かなかっただけだと。
誰が悪いわけでもないと。
「二郎さん。私ね、初めて、二郎さんを、見た時から、
本当は、気になっていたの」
「ああ。俺もだよ」
「二郎さん。私ね、二郎さんを、追いかけてきて良かった」
「ああ。良かった」
「二郎さん。鉄砲玉だから、あまり、心配、掛けさせないでね」
「ああ。掛けさせないよ」
「二郎さん。たまには、私もかまってね」
「ああ。そうするよ」
「二郎さんの、傍に入れて、幸せだった」
「ああ。俺もだよ」
二郎は、消えかかりそうな命を、その胸に抱きしめました。
それから一週間後、雪子は26年間の人生に、幕を閉じました。
つづく・・?
165 :
名無し名人:2008/09/20(土) 19:47:22 ID:srimz/RI
かなしいけれど
お茶ドゾー
つ旦~
166 :
名無し名人:2008/09/20(土) 19:50:15 ID:Grv3HFZR
ありゃ・・・
167 :
名無し名人:2008/09/20(土) 19:55:52 ID:BTdkPtue
・・・
168 :
名無し名人:2008/09/20(土) 20:05:31 ID:7LpAeDHH
うう…う
169 :
名無し名人:2008/09/20(土) 21:13:24 ID:lSspia/t
(´・ω・`)カワイソス
1951年(昭和26年)。
朝鮮戦争による特需景気により、
戦後復興期となるこの年。
プロ棋界、名人戦は、木村義雄対升田幸三。
3月に始まった名人戦は、木村名人が4勝2敗で防衛。
純喫茶「蝶」の店先。
入口カーテンは閉まったままです。
中へ入ると、カウンター奥の部屋。
タバコの煙が、部屋を占拠しています。
「蝶」は、喫茶としての営業はすでにしておらず、
カウンターやボックス席は、もう何年も使用していない
のが、一目で分かるほど、褪せていました。
171 :
◆lcoQbZqMNg :2008/09/20(土) 23:32:42 ID:IoBdrUJ5
「蝶」はもはや、真剣オンリーの、吹きだまりと
なっていました。
7〜8人が集まり、将棋を指しています。
男は、朝から酒を浴びるように飲み、タバコも覚えました。
不精ひげを生やし、対局する事も無く、ただ酒を飲み、
タバコを吸い、部屋中を見渡しています。
一人の同年代位の、眼鏡をかけた男が近づいてきました。
「二郎さん。たまには、相手して下さいよ」
仁は、あの日から、ずっと二郎に付いてきました。
仁は、客に手合いを付けて、100円をいただく。
相手を変える度に貰う為、1日でかなりの金額にはなります。
二郎は、ゴロッと横になりました。
「将棋は、気が向いた時しか、指さねぇよ」
相当酔っています。
仁は、手合いを付ける傍らで、自らも
真剣の相手をします。
1日の売り上げのうち、少しばかり給金を
貰い、後は全部、二郎に渡します。
二郎にわたるお金は、大半は、酒、タバコ、
博打に消えていきました。
「仁。ちょっと、出るから。後よろしくな」
いつもこんな調子です。
二八商会。
戦後、闇市から始めたこの小さな会社は、
農地改革に便乗し、莫大な利益を上げ、
現在では、小さいながらも、バーやキャバレーも
手がけていました。
グレーのスーツに身を包んだ、男がデスクに
腰を掛けています。
八代です。
「一軒一軒、伝票間違えんなよ」
従業員も、15名程雇っていました。
二郎は、よくここに立ち寄ります。
174 :
名無し名人:2008/09/21(日) 00:02:52 ID:rvQ1GCRJ
>>141 俺も同じ事思った。正直言っちゃえば最初の思い出しながら淡々と書くってスタンスの
方が好きだったかな。相手の心理描写やセリフとかあると、ナベヤがそこまで丁寧に
話すのか?って思ってしまうし。
別に批判するために書いたのではないのであしからず。
楽しみにしてるスレだし、これからの展開を期待してます。つ旦~
「よう。ヤッチン。元気かい?」
二郎は、酔った体をごまかすように歩きますが、
足元がおぼつかない。
「おう、二郎。中に入れよ」
八代は、二郎に近づき、中へ入る様に促します。
奥の居間に通される二郎。
ほどなく、八代がお茶を持ってきました。
「いつもいつも、入口で僕を待つなんて、
遠慮しないで、勝手に中へ入ってこいよ」
「ああ、悪いなヤッチン。なんか、都合悪くてさ」
「何言ってんだ。ここは、僕と二郎の会社だぜ。
都合悪い事なんか無いさ」
二郎は、熱いお茶を飲んで、酔いを覚まそうとします。
「二郎。また飲んでるのかい?飲みすぎは
体に悪いぜ」
「ああ。分かってるさ」
「しかし、耳にするぜ。蝶は、真剣師の吹きだまり
だって。結構な腕自慢も、来るみたいじゃないか」
「まあな。とは言っても、仁に任せてるけどな」
二郎は、体を起こしているのが辛くなり、
横になります。
二郎は、アマのタイトルには興味が無くなっていました。
前年アマ名人戦における、セミプロ排除案により
人間関係や、しがらみに嫌気がさしていたのでした。
「なあ、二郎。たまには僕にも、将棋教えてくれよ」
八代は、横になっている二郎に話しかけます。
「ああ。いいよ」
ゆっくりと体を起こす二郎。
八代が、二郎の方まで駒を並べます。
久しぶりに指す二郎と八代。
一手一手は非常にゆっくりです。
「なあ、二郎。また一緒に会社やらないか?」
「・・・」
「いつまでも、そんな生活、していられないだろ?」
「・・・」
「なんなら、蝶を改築して、将棋道場にしたって
いいんだぜ」
「・・・。いいよ。ヤッチン」
二郎のその声は、自暴自棄になっている者の、それでした。
「いまさら戻っても、やる事が無いし、まぁ、今でも
なんとか生きてはいける」
二郎は、ワイシャツの胸ポケットから、タバコを取り出し
まだ火の点いていないタバコを、くわえました。
「二郎。将棋は好きかい?」
八代の唐突な質問に、二郎は答えます。
「ああ。嫌いじゃ無いな」
「何の目的があって将棋を指してるんだい?」
「目的?そんなもの、無いよ。ヤッチンはインテリだ、
何でも、理由が必要なのかもしれないが、俺は、
理屈じゃ無いんだ」
アマの大会に出る訳でもなく、ただ強い奴と勝負する。
一見、自己満足の世界にも見える二郎の態度。
「ヤッチン。・・最近じゃ俺、勝っても、嬉しくもなんとも
ないんだ」
「どう言う事だい?二郎」
「なんか、もう一人、冷めてる自分がいてさ。
勝った後は、ただ終わったって感じだ」
将棋にかかわらず、強いものが陥る、虚無感とでも
いうのでしょうか。
「本当は、嬉しいんだろうけど、なんか、心の底から
やったぁって、気持ちが起きないんだよ。
重症だろ?」
そう言うと二郎は、すこし口を歪め、笑いました
「二郎。僕と初めて会った日の事、
覚えているかい?」
二郎は、持ち駒を盤上に打ちつけます。
その手には、力がこもっていません。
「忘れたよ」
「よくあの時、山城の駒、取ったもんだよな?」
「フッ、そうだっけ?」
「そうだよ。山城の歩、抜き取ったんだ」
「どうでもよかったんだろ」
「どうでもよかった?」
「ああ。どうでもよかったんだよ」
この頃の二郎は、もはや、自分の殻に閉じこもりぎみでした。
何をやっても報われない。
大海に、ポツンと一人浮かんでいる様な孤独感。
雑踏の人ゴミをかき分けるような、わずらわしさ。
たまに来る、高揚感。
そして、時に襲う悲壮感。
"どうでもいい”
そんな一言で済まされる様な、単純で軽い
人生を歩んできたわけではない。
しかし、今の二郎は、明らかに抜け殻である。
太陽さえ眩しくなく、月さえも見えない。
その日とりあえず過ごせればよく、別に、明日死んでもよい。
二郎にとって、生きる事はただ存在しているだけで、
失うものはあっても、決して何かを生み出す訳ではない。
誰かが一言、”死ね”と言えば、二郎は迷う事無く死ぬだろう。
自分と真正面に向き合った時、
自分の命に価値なんか無い事を
二郎は悟っていました。
自ら命を絶たないのは、勇気が無いからではなく、
ただ、死ぬ必要にせまられていないだけであり、
花を見てもきれいと思わず、なぜ酒を飲むのかと
聞かれても、そこに酒があるだけで
別に理由などありません。
”どうでもいい”
そう思うしかない人生。それでいい。
ただそれで二郎は良かったのです。
「やっぱり二郎は強い。まいったよ」
八代は笑顔で駒を投じます。
「ヤッチン。変わらないな、その笑顔」
「なんだよ。二郎。からかってんのか?」
「いや。何にも変わらないってだけさ」
「ああ。僕たちは何にも変わらない」
戦後を駆け抜けた若者2人の絆。
笑って過ごすのも一日。泣いて過ごすのも一日。
二郎にとって、いつもそばにいたのは八代でした。
私は、目の前に座っているナベヤを
じっと見ていました。
私の頭に、ある曲が浮かびました。
祖父が好きで、良く聞いていた曲。
イーグルスの”desperado"
私の目の前にいる老人は、まるで今までの
自分の人生の総括をするように、言葉を選びながら、
話します。
”ならず者”
一度しかない人生、楽しく生きなきゃ損だなんて嘘だ。
いい事も、悪い事も全て運命。
自分の意と反する所で、人生なんて良くもなるし、悪くもなる。
それは、自分ではどうする事も出来ない。
神様の目から見たら、優劣はついている。
無人駅に止まる田舎電車。
次が終点、祖父の家がある駅です。
”お急ぎのところ申し訳ありません、上り電車
通貨の為少々停車いたします”
中学時代だろうか、新たに走る事になった
快速電車を待つため、停車するみたいです。
「ナベヤさんも祖父のところへ?」
話の内容に圧倒されてた私は、気分転換も兼ね
ナベヤに聞きました。
「いえ。私は、ちょっと終点で乗り換えて、
その先の町へ」
二郎は、自暴自棄な生活をしていました。
何に期待するわけでもない日々。
相変わらず「蝶」は、真剣師の吹き溜まりのままです。
「二郎さん。ちょっとお酒買ってきますから、
お願いしますね」
仁は、よく気が利く。
そして買い物も早い。
その吹き溜まり場は、タバコの煙で、もうもうと
していました。
二郎は、空気の入れ替えのため、少し窓を開けます。
ほどよく心地いい空気が入ってくるものの、
二郎には、感じませんでした。
15分後、仁が帰ってきました。
紙袋からガサガサと、酒とタバコを取り出しながら仁は言います。
「俺考えたんですけど。やっぱり二郎さんは、
将棋が強い。俺、一回でいいから
二郎さんの真剣勝負、見たかったですよ」
仁のその顔は、薄っすらと笑みがこぼれていました。
それはまるで、宝くじが当たったらいいなと思うような笑みでした。
「あ。そうだ二郎さん。さっき二八商会の前、
通ったら八代さんが、来てくれって」
「ヤッチンが俺に?」
「ええ。来てくれって」
何事だろう?二郎は、すぐさま八代の待つ、二八商会に向かいました。
八代は、会社の前で二郎を待っていました。
「おう。ヤッチン。どうした?」
軽く右手を挙げる二郎。
珍しく今日は、そんなに酔っていませんでした。
「二郎。待ってたよ。まぁ中に入ってくれ」
奥の居間に通される二郎。
「なあ二郎。お前東北出身だよな?」
「ああ。それがどうした?」
「東北ってのは、お国柄、将棋が盛ん
なんだってな」
「さぁ、そこまでは知らないよ」
二郎は、出されたお茶を飲みながら、答えます。
「二郎。東北、行ってみないか?」
「え?何しに?」
「将棋だよ、将棋」
八代は、急須にお湯を注ぎ、自分の湯呑と
二郎の湯呑にお茶をいれます。
「僕の大学時代の友人に、東北出身の葛西って男がいてな、
どうやら現地で将棋の強い奴を探してるって訳だ」
「なんでまた?将棋なんか強い奴を?」
「お前、知らないのか?アマ名人に、東北出身者が
なったんだよ」
「知らないな」
東北は、将棋が盛んです。
当時、アマ名人は知らなくても、東北名人は
誰でも知っている、それ位、将棋が盛んでした。
現在でも、東北6県の対抗戦が行われている様です。
八代は、二郎の事が気掛かりでした。
このままでは、この男は、ダメになってしまう。
問題なのは、本人である二郎が、それでいいと
思っている事でした。
「その僕の友人の葛西が、そのアマ名人と同郷だ。
今は、違う県にいるけど、そのアマ名人は、
ちょくちょく真剣を指すらしい」
二郎は、黙って八代の話に、耳を傾けます。
話を聞くと、関西の真剣師までも、東北に
出掛けていると言うではありませんか。
「どうだい二郎?お前にその気があるんなら、
葛西に話をつけておくけど」
二郎は、ただ黙って考えていました。
少し間をおいて、二郎は答えます。
「ヤッチン。ありがたい話だが、断るよ」
八代は、二郎の顔に目が行きます。
「二郎なんでだよ?思ってもいない事だろ?」
「ああ、確かにアマ名人と指せるなんて、
願っても無い事だ。しかし・・」
「しかし?」
二郎は、胡坐をかいたまま、天井を見上げます。
「闘志が湧かないんだ」
二郎の表情が冴えません。
193 :
名無し名人:2008/09/21(日) 04:08:21 ID:wWHzhYYe
先生深夜にご苦労様です
いいねぇ〜
194 :
名無し名人:2008/09/21(日) 04:13:57 ID:f2m+k4Jd
23時からおつです
つ ぶどう
195 :
名無し名人:2008/09/21(日) 04:14:10 ID:w6yxhzbL
ヤマガタktkr
「ヤッチン。雪子が死んで、もう2,3年か?
俺は、もう勝負なんてできる精神力、
持っていやしないよ」
二郎は、ガックリと肩を下ろしました。
「二郎・・」
八代はかける言葉を失います。
しかし、少しでも心に勝負の火種が残って
いれば、二郎は必ず立ち直れる。
八代はそう信じていました。
「ヤッチン。勝負なんてくだらないよ。
俺は毎日、ただ生きてりゃそれでいいんだよ、
何にも望まないさ」
八代は、落胆してしまいました。
二郎のその”すさんだ心”にではなく、二郎のその心を
救ってやれない自分に。
「二郎。聞いてくれ。僕は今まで二郎に反対したことは
無かった。それは、お前が僕の恩人だからだ」
「・・・俺が恩人?ふざけるなよヤッチン。
俺は、好き勝手やってきただけさ。
ヤッチンの為なんかじゃないさ」
2人の間に、長い沈黙が続きます。
沈黙を破ったのは、二郎でした。
「二八商会の名を借りて、好き勝手将棋して
これたのは、ヤッチンの御蔭だろ?
俺は、恩人なんかじゃないよ」
八代は二郎にかける言葉を考えます。
しかし、考えても浮かびません。
思いのたけを言うしかありませんでした。
「違うよ二郎。2人が初めて会った日の事、
おぼえているかい?あの日僕は、すさんでいた。
借金が増えて、もうどうしようもなくて、
あの日僕は、山城と勝負をしていた」
二郎は黙って目をつむっています。
「あの日もし僕が負けていたら、もう死ぬしかない、
そう思っていたんだ」
あの日、八代は八代で思いつめていました。
「9分9厘負けの局面。そこを救ってくれたのは
二郎じゃないか?」
二郎は、湯呑に口を付けます。
「あの時のお前は、大胆だった。輝いていたよ。
そして僕は、お前に乗った。結果お前は勝ち、
僕を救ってくれた。今度は僕が、二郎を
救う番だ」
「よしてくれ、ヤッチン。もうあの時の
俺じゃない。放っておいてくれ、俺は
もう何も望まないって決めたんだ」
八代は、もう怒りに身をまかせました。
「ふざけるな。お前が望まなくても、
僕が、二郎を望んでいるんだ。
もう一度、戦うんだよ二郎。
もう一度だけ、もう一度だけ」
再び2人に長い沈黙が続きました。
「二郎。死んだ雪子さんが、いまのお前を
見てどう思う?そんなしけたツラしやがって。
家庭をかえりみなくったって、将棋に
打ちこんで、周りの人に囲まれて、そうして輝いている
お前に惚れて付いてきたんじゃないのかよ?」
「雪子の話はよしてくれ」
「二郎。しっかりしてくれ。もう一度戦うんだよ。
お前なら出来るさ。もう一度、あの時の自分を
取り戻すんだよ。二郎」
八代は、二郎の両肩をしっかりと掴みます。
あの日の様に。
「ヤッチン。ありがとう。でもよ。俺の勝負の
心の糸は、もう切れちまってるのさ。
諦めてくれ。すまないヤッチン」
二郎の目に、うっすらと涙が見えます。
八代は、二郎の肩を握りしめたまま、
力強く言い放ちます。
「二郎。切れてるんじゃない。切れかかってんだ」
2人の時間があの日に帰ります。
二郎の体を揺さぶる八代。
もう一度戦うんだ。もう一度。
「ヤッチン」
二郎を抱き寄せる八代。
「お前は、まだ死んじゃいない。まだ戦える。
お前ならこの苦しみ、まだ乗り越えられる。
なぜなら、お前は、僕が唯一賭けた男だからだ」
「ヤッチン」
二郎の心の奥底にある、勝負の火種がくすぶり始めました。
「ヤッチン。やっぱり俺は勝負師だよな、
すぐ乗せられちまう。
ヤッチン。俺、戦えるかな」
「ああ二郎。お前はまだ戦える。
やってくれるな。二郎」
二郎は、一呼吸置いて答えました。
「ああ。やってやるぜ」
「そうとなれば、話は早い。二郎、東北へ飛べ。
話はつけておく」
「ああ。ヤッチンやってやるぜ。そいつの名前は
なんて言うんだ?」
八代は、改めて二郎の顔を見ます。
「山形義雄だ」
「山形義雄?」
二郎の闘志に火が付きました。
八代はたたみ掛けるように、二郎に言いました。
「二郎。その山形って男。・・・吹っ飛ばして来い」
二郎は、東北へ向かう事を決意します。
後日。つづく・・?
206 :
名無し名人:2008/09/21(日) 05:40:17 ID:f2m+k4Jd
おつ〜&おやすみ
207 :
名無し名人:2008/09/21(日) 08:24:10 ID:O6Y/80BS
おはようございます。
お茶ドゾー
つ旦~
208 :
名無し名人:2008/09/21(日) 08:46:43 ID:gF1YD5Nf
リアルな実名が出てきましたねえ
209 :
名無し名人:2008/09/21(日) 09:33:20 ID:ApGCW0BZ
ナベヤが筆者に対して丁寧語であることが解き明かされていない
(或いは永遠の謎か?)
将棋に儀の所も 謎 楽しみにしてます
210 :
名無し名人:2008/09/21(日) 10:05:27 ID:R/5WKTRT
>>209 バカか?お前は
お世話に成った家の「坊ちゃん」だぞ、アホ(或いは永遠の謎か?) 永遠の馬鹿だよお前は
211 :
名無し名人:2008/09/21(日) 16:48:02 ID:odOlxz8R
とうとうラスボス登場か
212 :
名無し名人:2008/09/21(日) 19:05:33 ID:KQHt7tiM
毎日面白ろすぐる!!
続きワクテカですたい!
第二章は長編だすな(*^-^*)
213 :
名無し名人:2008/09/21(日) 19:11:05 ID:61lFaapF
舞台の切り替わりが唐突すぎて読む気しないんだが
214 :
名無し名人:2008/09/21(日) 19:36:34 ID:XlI5nLWz
読まなきゃいいだけ
それとも読まないと死ぬの?
215 :
名無し名人:2008/09/21(日) 21:12:55 ID:odOlxz8R
>>214 最近東北地方の高校じゃ、休憩時間の話題の中心はナベヤなんだぜ
だから嫌でも読んでないと友人関係壊れるんだぜ
女子高生の間では雪子ヘアーが流行りなんだぜ
216 :
名無し名人:2008/09/21(日) 22:23:27 ID:lvgaF+wq
217 :
名無し名人:2008/09/22(月) 03:01:21 ID:cHLaMXvx
雪子ヘアー?萌え〜♪
218 :
名無し名人:2008/09/22(月) 05:22:29 ID:43OoeGFO
東北の高校の戦中、戦後の日本史の副読本は「或る真剣師の告白」だョ。
219 :
名無し名人:2008/09/22(月) 11:50:29 ID:ojZdMBHL
山形義雄って山形県に住んでる木村義雄ファンの仮名かと思ったよ・・・
すぐにでも、東北へ飛びたい二郎ではあったが、
仲介人、葛西の都合もあり、旅立ちは一ヶ月後と
なりました。
葛西は、地元市役所に勤めていました。
近いうち、地元米問屋の令嬢との結婚を控えて
いたのでした。
二郎はそれでも良かった。
しかし、事はそう簡単には行きませんでした。
昭和26年、5月から、山形側は、東北アマ名人戦があり、
9月には、第5回全日本アマ名人戦があったからです。
前年アマ名人である山形は、この年の東北名人戦には
敗れるものの、全日本アマ名人戦では、優勝候補の一人でした。
221 :
名無し名人:2008/09/22(月) 17:15:20 ID:H9KiQMNT
まとめまだー(TT)
前スレの途中で止まってるんですが
山形義雄は、奨励会に入るものの
病の為か、退会しアマ棋界に参戦。
第四回アマ名人となる。
この年昭和26年。
アマ名人戦において、山形は前年名人の為、
初日の予選は免除でした。
しかし、翌日のトーナメントで初戦敗退。
病のせいか、山形は不覚を取る。
二郎との対戦は、さらに伸びる。
地元の期待が大きかったのもあるのだろうか、
山形は、名人戦敗退後、すぐに帰郷しませんでした。
山形の所在がつかめないまま、年は翌年になりました。
昭和27年初月。
八代の元へ、一本の電話が入ります。
葛西から、山形が帰郷している事を
聞き、八代はすぐさま二郎に伝えます。
山形との対戦が実現見を帯びてきました。
すぐに出発しなければ。
山形は、東北出身の生真面目な、人格者で
あったとしても、今度またプラッと、どこかへ
でも行かれたら、今度はいつ捕まるか
わかりません。
二郎はすぐに、葛西の元へ飛びました。
葛西は、当時山形とは同郷であったが、
違う隣の県に居ました。
大学卒業後、地元の市役所に勤め、
前年、地元米問屋の娘と結婚したばかりでした。
「いや〜。あんたが、二郎かい?」
葛西は、二郎を快く歓迎しました。
肩書きも、身なりもしっかりしたその男は、
親兄弟でさえ、呼び捨てにします。
それは、彼なりの礼儀で、自分にとって
親密な関係であればある程、その現れとして
敬称など付けないのでした。
二郎にすれば、そのほうが有難い。
妙によそよそしくされるのは、気恥しい。
「葛西さん。お世話になります」
「いいって事よ。ゆっくりして行ってくれ。
山形先生は、5月には東北名人戦があるから、
当分地元にいるとさ」
「有難う御座います。助かります」
葛西は、イヤミ無く、二郎に溶け込んでいきます。
葛西は、米問屋の娘が、一人娘と言う事で、
婿養子に入ったそうです。
どうりで、葛西の家が大きいはずです。
市役所に勤めるかたわらで、義父の手伝いを
しているそうです。
葛西は、自分の身の上話を二郎にします。
まず、自分の事を知ってもらう。
それが、葛西の流儀でした。
2週間後、二郎は葛西を連れだって出発します。
山形と葛西の故郷は、城下町でした。
碁盤の目の様な街並みを、横眼で見ながら、
二郎は、約束の旅館に到着します。
すでに、山形は待っていました。
この頃、山形には弟子筋がいて、その弟子から
手合いが言い渡されます。
まず香落ち戦、その結果を見て、平手にする。
そう言うものでした。
夕方、香落ち戦、対局が始まりました。
お互い均衡を保ちながら、駒組みを進めます。
二郎は、焦らず、優位を拡大していきます。
山形の棋譜を、事前に葛西から教えてもらっていたのでした。
二郎からすると、山形は強い。しかし、葛西の
棋譜から見ると、相手がしっかり受ける場面で、
受ければいいのに、と思う局面がいくつもあったのでした。
焦ってはいけない。
香落ち戦。
二郎は、確実に網を張ります。
山形も、はなから香落ちだからと言う雰囲気ではありません。
お互い、慎重に手を進めるものの、
端から、手を付けた二郎が、からくも勝利。
「ん〜。なかなかいい将棋指すな」
山形は、そう一言言うと、自分の首をさすります。
葛西は、ここで夕食にしようかと提案しました。
「いや。全部終わってからで、いいベ」
山形義雄は、四角い顔に太い眉、
細く鋭い眼差しで、盤上を見ると
一言二言、弟子と会話をし、駒を並べ始めました。
第2局平手戦。
戦形は相掛りになりました。
先手二郎の2六歩。
後手山形、8四歩。
▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金。
二郎。飛車先を切り、一歩手持ちに
深く2八に飛車を引きます。
序盤、双方一歩を持ち、銀を繰り出していきます。
お互い腰掛け銀とし、角交換。
双方矢倉模様へ進みました。
お互い慎重に手を進めます。
両者未だ入城しておらず、どこかで
位を取る機会を見定めます。
一足早く、4筋の位を取る二郎。
山形は、巧みに飛車を上下左右に動かし
”後の先”を取りにかかる。
後の先とは、いわば、相手の攻撃を見定め、
先読みし、切り返す事です。
230 :
名無し名人:2008/09/22(月) 19:26:14 ID:3n1U5FUm
ワクドキ
将棋は、自分の形を知らなければいけない。
そして、弱点、苦手を知り尽くし、自分の
力を出せる指定条件を見定めなければいけません。
言葉にするのは簡単ですが、実践するのは難しい。
負けや、仕掛け受けの失敗を繰り返し、自分の形の
強弱のインプット、アウトプットを延々と繰り返す
しかない。
将棋に強い者は、その苦労を惜しまないし、
弱い者は、いつまでも怠ける。
今盤上は正に、その知力を尽くした戦いが
行われていました。
二郎が入城します。
山形は、6筋から仕掛け、位を取り
二郎の形を、崩しにかかる。二郎が下段に
飛車を動かすと、今度は山形、8筋に歩を打ちます。
山形は、巧みに継歩を使い、小刻みに飛車を動かす。
二郎も負けじと、歩を使い、山形右桂頭を狙う。
二郎は思う。
”まずい、戦線が6、7,8筋で起こってしまう。
当分辛抱するしかないか・・”
角を打ち、角筋を利用して、8筋を襲う山形。
二郎は、決戦を中央、天王山に求めます。
左銀を繰り出し、角を打ち8筋の補強を
する二郎。
山形、8筋の強襲から、角交換すぐさま△8七歩。
寄せへの足場を固めます。
二郎も、3筋、4筋から、歩を突きこし、
中央を、銀交換から銀で制圧する。
一進一退の攻防。
一歩早く、山形の8筋からの攻撃が火を吹く。
なんとか凌ぐ。
はたから見るよりは、思いのほか耐久力が
ありそうだが、予断は許さない。
山形、8筋で一旦清算する。
二郎、歩で飛車の成り込みを防ごうと
するものの、下段に落とされ、龍を作られてしまった。
駒を打ち、受ける二郎。
先手先手で攻める山形。
しぶとく受ける二郎。
山形、焦らず駒得をはかる。
二郎、まだ入城していない山形玉を
さらに引っ張り出すように、歩を打つ。
いやらしい歩だ。
手がかりを作らせない山形、二郎の手に
乗るかのように、その歩をむしり取る。
二郎、角を打ち再度、攻めへの足がかりを
作る。
返す刀で山形、8筋に歩を打ち、二郎玉を
引っ張り上げる。
2筋に角を転回する二郎。
山形、9筋攻略にかかる。
9筋を食い破るその一瞬の隙を突いて、
二郎、3筋に手を付け、桂を吊り上げる。
9筋の代償に、銀を手に入れる二郎。
しかし、すぐさま香を打つ山形。
香を打ち返すものの、二郎の桂も釣り上げられてしまった。
歩で桂頭を狙う山形。
一足早く、3筋で桂を手に入れる二郎。
今度は、山形の金を吊り上げる。
吊り上げたと見るや否や、二郎今度は、今取った
桂で、狙われている桂頭の補強をする。
双方、桂と香を巧みに使い、ねじり合い
になってきました。
4筋を攻め、3筋を薄くしてから、
2筋突破をはかる二郎。
2筋で歩を突きこしてから、山形のその
無防備な4筋へ、香を打ち込む。
山形、徹底して7筋を攻めるものの、二郎
かろうじて、受ける。
二郎の桂頭に山形が、桂を打つ。
嫌な展開、嫌な手です。
しかし二郎、その瞬間、手を抜き、4筋を香で
攻略。
すぐさま角を成り込み、飛車で2筋を食い破る。
荒技。
まさしく、獅子の首に食らいつく二郎。
一旦食いついたら、その牙は、獅子の息の根を
止めるまで、離しません。
山形、必死に攻めをつなぎます。
山形は、終盤にきて、清算する攻めをしません。
慎重に、しかし、すでに先を見切っているかのように
7筋から、再度歩を打ち、桂で王手。
二郎、▲6五玉。
静まり返る室内。
二郎の玉に王手が掛からない形です。
山形が、何か一手指せば、たちまち二郎は
山形玉を、寄せに来るだろう。
”詰むか?詰まないか?”
「もう、ないべ」
山形は、軽く自分の駒台に右手をかけ、
投了した。
「めしに、するべか?葛西さん」
いたたまれないのか、山形から発せられる言葉。
二郎は、落ち着いて受けた、そして辛抱に辛抱を
重ねて、攻めた。
山形は、首をさする。
「いや〜。斉藤さん。ウチの玉、詰んでるベカ?」
山形にすれば、どうでもよい事だった、自ら、
この形になれば、二郎の玉に寄せは無いし、しかし、
自分の玉は、寄るだろうと言う事は、容易に分かる。
そう言う”匂い”がする。
粘ろうとすれば、出来るのだろうが、山形は
もはや、そうする気力が無かったのだろう。
二郎は答えます。
「詰んでますよ。多分」
「多分?」
葛西は、二郎に聞き返します。
しかし、二郎も山形も盤面を動かそうとしません。
「あんた。いい将棋指すな」
山形は、笑顔で二郎に言います。
「有難う御座いました」
二郎は、呆然としたまま答えます。
「あんた。わざわざ東京から来たのかい?」
「ええ。でも生まれは東北ですから」
「なんだ。あんたも東北生まれかい?」
お互い、東北出身者と言う事で、話に花が咲きます。
さっきまでの勝負が嘘の様に・・・。
”随分、上り電車、遅いな”
ナベヤは、じっと窓から外を眺めています。
「山形先生には、緩めてもらったんですよ」
ナベヤは、昔を懐かしむ様にそう言うと、
視線を私に向けました。
緩めた、緩めないはどうでもいい。
ただ、この老人の話を聞いているだけで、
まるで、自分もタイムスリップした様な
感じになり、なぜか私は、切なくなりました。
「東京へ戻る日が来まして、まぁ、それでも八代さんに
電話して、一旦、田舎へ寄ってみたんですよ」
ナベヤは、再び窓から見える景色に目をやりました。
つづく・・?
242 :
名無し名人:2008/09/22(月) 21:25:42 ID:MP49R9Cy
∧_∧
オツカレチャ━━━━━━(´∀` )━━━━━━ソ!!!!!
/ ヽ
/ 人 \\ 彡
⊂´_/ ) ヽ__`⊃
/ 人 (
(_ノ (_)
243 :
名無し名人:2008/09/22(月) 21:30:45 ID:tHcLK8aR
あげときます
お茶ドゾー
つ旦~
244 :
名無し名人:2008/09/22(月) 22:24:38 ID:AWGs7sKp
棋譜はないのかな・・・
あったらあったでいろいろツッコミが入ってめんどくさいか
245 :
名無し名人:2008/09/22(月) 22:38:16 ID:43OoeGFO
お茶係長さんが仕事してると、なぜかホットします。乙です。
二郎は、久しぶりに生まれ故郷へ戻りました。
相変わらず、あか抜けない風景。
しかし、親や懐かしい友と会うのはいいものです。
数週間すごした後、あの港町へ行きました。
すでに、源二の家は取り壊されており、
浜辺も、漁師の小屋は昔と比べると少なく
なっていました。
二郎は、町を散策します。
見覚えのある顔に出会います。
昔の漁師仲間でした。
「二郎?二郎じゃないか」
駆け寄ってくる男。
懐かしい顔に、話がはずみますが、
二郎が気になるのは、源二と絹子の事でした。
話を聞いても、言い答えは返ってきません。
「戦中、源二の兄貴が、東京で軍関係の仕事を
しているからって、絹子連れて、東京へ
行ったよ」
その後の事は、皆知らないと言います。
「もう、戦争も終わっちまったからな、
今も東京にいるのかどうか・・」
東京は、大空襲に見舞われました。
2人の、その生死すら、誰も知りませんでした。
二郎は信じていました。
いつか必ず逢えると。
懐かしい港町では、皆が歓迎してくれました。
人と言うものは、本当にありがたい。
葛西には、多大に世話になってしまいました。
そして今は、この町で。
二郎は、宮田の屋敷に挨拶に行き、
仏前に手を合せました。
”もう、将棋はほどほどにして、これからは、
ヤッチンとまた2人で、働こう”
新たな決意を胸に、東京へ戻る二郎。
東京は、実に2か月半ぶりでした。
しかし、運命はどこまでも非情。
二郎を取り巻く環境は、急変していました。
後日。つづく・・?
250 :
名無し名人:2008/09/22(月) 23:19:23 ID:tHcLK8aR
ドラマチックがとまらない
お茶ドゾー
つ旦~
251 :
名無し名人:2008/09/23(火) 00:16:50 ID:Dz3/X7ZO
非常な運命…
東京へ戻ると、二郎はさっそく八代の元へ
行きました。
しかし、二八商会に八代の姿は見えません。
従業員に聞いても、分からないと言います。
一旦、「蝶」へ戻る二郎。
仁が、二郎の留守を、しっかり守ってくれていました。
「お疲れ様でした。二郎さん」
蝶は、ガランとしていました。
「どうした仁?今日は休みか?」
イヤミの様に言う二郎。
しかし、仁の返事は、二郎の想像していないものでした。
「二郎さん。二八がヤバイ事になってるみたいです」
「二八が?どうしたんだ」
仁の言うところによると、朝鮮戦争の特需景気を狙い、
会社の拡大を目指した八代だったが、物資の調達を
任せていた外国人に騙されたと言います。
事前に金を渡し、物資をお願いしていたが、その男が
金を持って逃げたらしい。
しかも、物資が無いと客が入らない。
飲食店は、特に大打撃を受けていました。
店を立てた時の、借入金の返済もままならなくなり、
八代は今、方々へ金策に出ていると言います。
「馬鹿な。ヤッチンが?」
驚きを隠せない二郎は、あてもなく八代を探します。
八代は見つかりません。
二八商会に戻った二郎。
従業員も1人辞め、2人辞め、今事務所には
一人の若者しかいません。
二郎は、その従業員に話しかけます。
「君。二八商会はいつからこんな風に?」
「さぁ。分かりません、かなり前から
ヤバイ感じはしていたんですが」
2人で話していると、1人のヤクザ風な男が
入ってきました。
その男は、二郎を見つけると話しかけます。
「おい。兄ちゃん。ここの社長は、まだ
戻ってこないのか?」
二郎は、その素性のわからない男に答えます。
「すいません。まだ社長は・・」
男は、グルリと事務所を見渡し、又来ると言います。
「君。あの男は?」
二郎の質問に、従業員は答えます。
「S組って、ヤクザです。毎日来るんです。
社長を探しているみたいで」
「とりあえず、カーテンをかけよう」
二郎は、店先の入口のカーテンを引きます。
”ヤッチンまさか、高利貸しから・・?”
二郎に、嫌な予感が走ります。
どうしたらいいんだ?
八代が戻ってくる気配は無い。
あるいは、すでにどこかへ拉致されているかも
しれない。
二郎は、じっとしていられません。
”なんてことだ。また将棋なんてやっているうちに・・・”
二郎は、山城なら何か知っているかもしれない、
そう思い、山城の元を訪ねる事にしました。
山城の事務所なら、一回行った事があります。
二郎は急いで、山城の事務所へ行きました。
幸い山城は事務所に居ました。
息を切らせて入っていく二郎。
山城は、驚くことも無く、やっと来たかと
思わんばかりに、二郎を迎い入れました。
「よお、二郎。随分来るのが遅いじゃないか?」
山城は、タバコを吸いながら二郎に近づきます。
「おい。お茶2つ、持ってきてくれ」
山城は、部下にそう言うと、二郎をソファへ座らせました。
「二郎。二八商会が、エライ事になってる
みたいじゃないか?」
相変わらず、ドスの利いた声で山城は続けます。
「八代の野郎。金、持ち逃げされて、金に窮した
んだろ、高利貸しで借りやがった」
”やっぱり”
二郎の予感は、的中しました。
一時凌げれば、何とかなると思ったのでしょう。
事実、最初は何とかなったみたいですが、
結果的に見れば、焼け石に水でした。
八代は、一回山城の元を訪れたみたいですが、
その高利貸しが、S組の息がかかっていると
分かると、山城はサジを投げたそうです。
相手が悪い。
山城は言います。
「最初から、二八を乗っ取るつもりだったんだろう。
銀行の返済も、滞っているみたいだ。
すでに、二八の債権は、S組が持っててもおかしくない」
山城は、お茶を飲みながら、”そんな事はヤクザなら
平気でやるよ”とでも言いたげに、視線を二郎に向けました。
二郎は、言葉を失います。
”ひょっとして、俺を東北へ行かせたのも、
二八をそのうちにたたみ、俺にその姿を
見せないために?”
二郎の想像は、1人、先走りしてしまいます。
二郎の握り拳が、両膝でブルブルと震えます。
「二郎。おそらく、二八の全ての土地、建物は、
債権の担保になっているはずだ。
その全てを、清算すれば、お前たちの元から
二八は無くなるが、大分楽にはなるはずだ」
山城は、観念しろと、二郎に引導を渡しました。
”それでもいい。それでもまた八代と
一から始めればいい”
山城は、そう二郎を諭します。
しかし、二郎は納得しませんでした。
”全ての、土地、建物?”
雪子との、思い出が詰まった「蝶」を
失う事が、二郎にはどうしても
納得いかないのでした。
山城の事務所を、飛び出す二郎。
”八代〜。どこだ〜”
二郎の腹の中は、怒りで煮えくり返っていました。
必死で探す二郎。
”勝手に二八を潰そうとしやがって〜”
”一緒に、二八やろうって言ったのも嘘か〜”
二郎の怒りは収まりません。
その夜、二郎は捜し疲れた体を引きずりながら
二八商会へ戻りました。
事務所に明かりが点いています。
ゆっくり、ドアを開ける二郎。
事務所に八代がいました。
デスクに両手をつき、うなだれ、背を向けていました。
二郎は、すぐさま、八代に飛び掛ります。
「なにやってんだよ。八代!おい。何したんだよ」
二郎は、八代を強引に振り向かせると、自分の
右拳で、八代を一発思いっきり殴りました。
勢い、吹っ飛び、壁に叩きつけられる八代。
すぐさま二郎は、八代を壁に押し付け、さらに一発。
倒れた八代に対して、馬乗りになり今度は、両の
掌で八代をはたきます。
「馬鹿野郎〜。馬鹿野郎〜」
八代は、体を丸くうずめ、ただ二郎の制裁を受け続けました。
はたき疲れた二郎。
ゆっくり、八代から離れます。
そして、その場にへたり込みました。
八代は、まだうずくまったままです。
二郎は泣きました。ただ泣きました。
今度は、八代が二郎に話しかけます。
「すまない。すまない二郎」
ゆっくり体を起こす八代。
胡坐をかいている八代の、両膝に二郎は
両手をかけ、ゆさぶります。
そして、八代に説明を求めました。
大体の経緯は、聞いた話の通りでした。
S組は、最初から二八を狙い撃ちしてきた。
八代は、そう言います。
新しく手を組んだ外国人も、高利貸しも
全てS組の、差し金だったと。
「二郎。すまない。もうどうしようもない」
涙ながらに言う八代。
「蝶は、蝶はどうなるんだ?八代!」
二郎は、怒鳴ります。
土地、建物は、全て担保に入っています。
蝶も例外ではありませんでした。
「分かってるよ。二郎。蝶はお前と、雪子さんの
思い出の店だ。何とか残すように・・」
「ふざけるな!」
八代の言葉を遮るように、二郎はたたみかけます。
「どうなるってんだよ!全部取られちまうだろうが!」
二郎が、ここまで取り乱すのを八代は、
今まで、見た事がありませんでした。
八代は、怯えたように言います。
ただ、すまない。すまないと・・。
267 :
名無し名人:2008/09/23(火) 03:00:34 ID:MXoSahUf
_________
/ \ お茶うまいおーっ!
/ ⌒ ⌒\
/ ( >) (<)\
i ::::::⌒ (__人__) ⌒:: i
ヽ、 `ー ' /
/ ┌─┐
i 丶 ヽ{ .茶 }ヽ
r ヽ、__)一(_丿
ヽ、___ ヽ ヽ
と_____ノ_ノ
数日後。
状況は、ますます悪化していきました。
このままでは、蝶は無くなってしまう。
”八代の野郎。絶対許さねぇ〜!”
毎夜、二郎は八代の元を訪ねます。
たまに、八代を捕まえると、蝶の事を
聞きます。
その度に、八代は、”何とかする、何とかする”の
一点張りで、話になりません。
”この野郎!そのうち、トンズラする気じゃねぇだろうな?”
二郎は、先走りします。
あながち、そう思うのも無理は無い状況でした。
「二郎。蝶は何とかなるかもしれない」
そんな、八代の言葉も、現実の状況を見れば、
気休めにしか聞こえません。
その頃、八代は何とか蝶だけは残したいと
山城に泣きついていました。
せめて、蝶だけでも残れば、自分はどうなってもいい。
八代はそう思っていました。
「おい、八代。気をつけろ。お前、しょっちゅう
見張られてるぞ」
山城の言葉も、八代には聞こえません。
ただ蝶だけ、蝶だけは残したい。
八代の懇願でした。
「八代。一つだけ手がある」
”八代の野郎。ぶっ殺さなきゃ気が済まねぇ”
二郎は、自分の事を棚に上げ、八代をただ責めます。
蝶が、S組の手に渡るのも、時間の問題となりました。
雪子と始めた蝶。
いい事ばかりでは、ありませんでしたが、
雪子が生きた証の蝶は、二郎の命でもありました。
自分では、どうする事もできない歯がゆさに、
二郎は、八代を責める事で、なんとか
気を収めようとします。
しかし、八代が抵抗しなければ、しないほど
事の重大さが身に染みて、やりきれなく
なります。
「八代。蝶を救う唯一の手がある」
八代は、蝶が助かるならなんでもする。
そう山城に言います。
「蝶の名義を、今のうちに二郎の名義に変えろ」
財産隠し?そんな手が通用するのか?
「通用するも、しないも、それしかない。
幸い、二郎は会社の登記に、名前は無い。
仮に、S君が、何か言ってきたら、
その時は、俺が出るしかねぇだろう」
山城も、八代の二八でおいしい思いをしてきた
男です。
最後、八代の願いを叶えてやろうと思ったのでしょう。
そんな事など知らない二郎。
毎夜酒を浴びるように飲み、仁にもからみ、
物騒な事まで言い出しました。
”あいつ殺して、俺も死ぬ”
二郎に、善悪の判断はありませんでした。
ただ、蝶を失うのは、八代のせいである事を、
そして、その蝶の為に何もせず、
ただ保身に走っている様に見える八代を
許せませんでした。
”もう、終わりだ。雪子〜許してくれ〜”
心で叫ぶ二郎。
振り上げた拳のやり場は、八代しかありませんでした。
「安心しろ。八代。手続きは俺がする。
お前は、お前で蝶以外にもやる事が
あるだろう。
ここ、2,3日の辛抱だ。
何とか、蝶だけは助けてやる」
山城の言葉に、八代はただただ泣くばかりです。
他の財産を処分して、蝶だけでも
残れば、また二郎とやり直せる。
八代は、唯一の希望に賭けます。
ますます荒れる二郎。
二八が苦しい時、八代が苦しんでいる時
傍にいてやれなかった自分を責めるものの、
”なんでもっと早く言ってくれなかったんだ”
と言う思いが、さらに二郎を苦しめます。
襲ってくる絶望感。
毎日、その絶望感との戦いです。
ただ黙って、ここを追い出されるのを
待つ日々。
二郎はただ、二郎の運命の日を待つだけでした。
その日は雨でした。
「八代。蝶の名義、二郎に変えておいた。
これ持って、二郎の所へいってやれ」
山城は、八代に名義変更した蝶の登記簿を
渡しました。
「有難う御座います。有難う御座います」
八代は、ひたすら山城に礼を言います。
「なんかあっても、その時は俺が出る。
なにも心配するな。八代。そして、
二郎ともう一度やり直せ。
二郎も分かってくれる。
お前が、大事な友だって事は、二郎が
一番よく分かってるはずだ」
「はい」
八代は、その登記簿を、大事に懐へ入れ、
山城の事務所を後にします。
”やったぞ、二郎。蝶は守った。そして、僕たち
また2人でやり直そうな。そうしような、二郎”
八代は、希望に胸膨らませ、二八商会へ戻ります。
降りしきる雨。
八代を乗せたタクシーは、ゆっくりと
二八商会前に停車しました。
「この雨じゃ、登記簿濡れないかな?」
八代は、この大事な”友の証”を胸に抱き
心配します。
お金を払い、車を出る八代。
足早に、二八の入口に立ちます。
「あれ?カギどこだっけか?」
背広の内ポケット、ズボンのポケットを
まさぐる八代。
その時です。
「ヤッチン」
二郎の声です。
雨に打たれ、びしょ濡れの二郎が、後ろの電柱の
陰に立っていました。
「二郎。そんなとこで、何してんだよ?風邪ひくぞ?
こっち来いよ。今、カギ開けるから」
暗い夜道、絶望に打ちひしがれている二郎。
ゆっくり八代に近づきます。
雷が鳴り始めました。
「あ。あったカギだ。二郎、中へ入れよ、
いい話が・・・・・・・・・!!」
雷鳴響く、二八商会前。
雷の光に浮かび上がった光景。
青白く光る包丁が、八代の腹部にグッサリと
突き刺さっていました。
「え・・?二郎・・・?本当に二郎か・・・・?」
二郎は、その両手にしっかりと握られた包丁を、
再度、八代の腹部へグサリ、深く突き刺す。
崩れ落ちる八代。
”嘘だろ?二郎・・・・・・・・・・・・・?”
楽しかった日々。
戦後、方々地方へ行き、笑いあった2人。
これから、また待っていたであろう、希望。
すべてが終わった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁl!!」
二郎は、ただ絶叫した。
発狂した。
雷の光に映し出されたその姿は、真っ赤な血に
まみれ、染まった、友の姿だった・・・。
第二部 完
278 :
名無し名人:2008/09/23(火) 04:24:47 ID:Q0gbzlIB
二郎、めちゃくちゃじゃないか
279 :
名無し名人:2008/09/23(火) 04:37:57 ID:LUcUw8xD
八代を恨むのは筋違いk(ry
どうせやるなら騙したヤクザのとこカチコミかければいいのに。
280 :
名無し名人:2008/09/23(火) 04:55:19 ID:iWxPZJRC
蝶の経営ろくにしないで酒煙草してたくせに……
感情移入してしまった…
281 :
名無し名人:2008/09/23(火) 05:01:22 ID:/p8GqLMn
うーん・・・・
282 :
名無し名人:2008/09/23(火) 06:28:33 ID:Dz3/X7ZO
何て事を・・・・
283 :
名無し名人:2008/09/23(火) 07:41:55 ID:9bDAM3Rg
なんという筋違いか
お茶ドゾー
つ旦~
284 :
名無し名人:2008/09/23(火) 09:02:29 ID:JQO0G1Zr
中2病かよ・・・ 最低なストーリーになっちゃったな。
まぁ前兆はあったが。
大方、作者自身が情緒不安定になってるんだろうな。
そういうのは作品に表れる。
285 :
名無し名人:2008/09/23(火) 09:28:39 ID:Tz2eB0x4
とうとう二郎が全てを失いナベヤに堕ちるターニングポイントが来たな
286 :
名無し名人:2008/09/23(火) 10:11:25 ID:224Tmh8d
暗黒編wktk
作者乙
287 :
名無し名人:2008/09/23(火) 17:58:39 ID:ScqTZMUn
人殺しとの交流、人殺しの思い出話ってことになるのか
どんな理由があれ人殺しのナベヤが言うことなんかもう興味もてない
288 :
名無し名人:2008/09/23(火) 18:23:20 ID:MXoSahUf
まあまだ八代が死んだとは限らないんだが・・・
289 :
名無し名人:2008/09/23(火) 19:02:05 ID:Pv2+gZRr
おい!
これ小説として売れるぞ!
とにかく、面白ろすぎる!!
290 :
名無し名人:2008/09/23(火) 19:22:51 ID:613923A2
一気に凄い展開
これからどうなることやら
291 :
名無し名人:2008/09/23(火) 19:34:23 ID:9wKeayuT
292 :
名無し名人:2008/09/23(火) 19:48:36 ID:sNNQemW/
ドラマ化決定だな
293 :
名無し名人:2008/09/23(火) 19:49:10 ID:Swr8SvM7
じゃあそろそろ配役を考えましょう
294 :
名無し名人:2008/09/23(火) 19:54:00 ID:rNZHvDZ/
>>293 うむうむ・・・筆者役は妻武器くんあたりでよろしいかな?
ナベヤは思いつかないな。雪子は宮沢りえでどうだ?
295 :
名無し名人:2008/09/23(火) 20:10:22 ID:dBdBgclu
ナベヤも筆者も二人必要かと?
296 :
名無し名人:2008/09/23(火) 20:12:14 ID:Swr8SvM7
まあそうなるな。
297 :
名無し名人:2008/09/23(火) 20:14:08 ID:9wKeayuT
少しはプロ棋士もゲスト出演させておくれ
298 :
名無し名人:2008/09/23(火) 20:14:52 ID:dBdBgclu
東映でどうですか?
松方弘樹、梅宮辰夫は絶対。
若山富三郎が生きていればなァ。
299 :
名無し名人:2008/09/23(火) 20:19:12 ID:dBdBgclu
源二は田中邦衛。
300 :
名無し名人:2008/09/23(火) 20:23:23 ID:dBdBgclu
301 :
名無し名人:2008/09/23(火) 20:26:02 ID:9wKeayuT
>>300 二人がスクリーンに映っただけで、なんだか笑ってしまいそうww
302 :
名無し名人:2008/09/23(火) 20:26:21 ID:dBdBgclu
303 :
名無し名人:2008/09/23(火) 20:36:41 ID:dBdBgclu
>>300 ヒフミンなら「蝶」のお客さんで2シーンで
ギャラはうな重50人分くらいでOKか?
石田先生は、柏将棋センターの家賃一月分?
ヒフミンの方が安くなるか。
じゃあ奮発して、うな重100人分。
304 :
名無し名人:2008/09/23(火) 20:59:58 ID:Ximew99b
山城はサンドウィッチマンの富沢で
305 :
名無し名人:2008/09/23(火) 22:16:37 ID:dBdBgclu
八代は三遊亭昇太でお願いします
306 :
名無し名人:2008/09/24(水) 01:10:51 ID:fr9CGpas
ナベヤ氏ねよ
307 :
名無し名人:2008/09/24(水) 01:31:54 ID:xccPo7nd
いくら任侠が入ってるても殺る方はマズイっしょ、逆ならまだしもねえ
ちょっとガッカリだな
308 :
名無し名人:2008/09/24(水) 02:39:35 ID:CG+5hpGI
なんだこの知恵遅れ
309 :
名無し名人:2008/09/24(水) 02:54:46 ID:7v7hoKEs
殺られたらそこでおしまいですよ
つーかいっぱしに打てる脳味噌と度胸があるのに、どうして名を偽りナベヤと名乗り、
秋田の片田舎の民宿で、勤めず、常に貧乏、家庭もロクに持てず
金物修理の行商なんて仕事してるのか考えろよ
どうみても薄暗い業があるに決まってんだろ…
310 :
名無し名人:2008/09/24(水) 03:09:51 ID:bKGDD21v
大切なやっちんを自らの手で・・・
八代が残ってこいつが死ねばよかったのにね
311 :
名無し名人:2008/09/24(水) 03:12:03 ID:USsQaRwP
おいおいおまいらまだやっちん死んだとは決まってないぞ!
映画化に向けて早く配役を決めねば・・・
312 :
名無し名人:2008/09/24(水) 04:31:39 ID:qG8j1csJ
偽名じゃなくてナベヤはナベ屋だろw
313 :
名無し名人:2008/09/24(水) 06:56:34 ID:0O6fLV8B
お鍋の凹みとか直したりする仕事だからナベヤか。
314 :
名無し名人:2008/09/24(水) 14:17:54 ID:FRx/GEFK
八代の懐には雪子の写真があって、
ナイフはその写真に刺さったお陰で八代には届かなかった。
二郎は雪子が自分を犯罪から守ってくれたことに気づき号泣。
315 :
名無し名人:2008/09/24(水) 16:50:56 ID:lhDBeGU3
まとめまだー
316 :
名無し名人:2008/09/25(木) 01:56:18 ID:GrFrD9Ml
>>314 277に
「雷の光に映し出されたその姿は、真っ赤な血に
まみれ、染まった、友の姿だった・・・。」
とあるが?
317 :
名無し名人:2008/09/25(木) 18:27:25 ID:Qs4UmwA7
第三章
が楽しみで仕方無い!!
将棋小説では、聖の青春や小池重明物語以来の面白さ!
時間はじっくりかかって構いませんので、続き、期待して待ってます!
ファンより!
318 :
名無し名人:2008/09/25(木) 18:32:35 ID:Qs4UmwA7
第三章楽しみ過ぎる!!
聖の青春、小池重明物語以来の面白さ!続きワクテカですたい!
ファンより!
319 :
名無し名人:2008/09/25(木) 20:56:26 ID:XH9aGmvT
なんで二回言うねんw
320 :
名無し名人:2008/09/25(木) 20:59:28 ID:aXrsvE2H
大事なことだからじゃないの?w
321 :
名無し名人:2008/09/25(木) 22:44:39 ID:IlfBKGXG
もったいぶらずに早よう書けや
322 :
名無し名人:2008/09/25(木) 22:54:10 ID:a7SrmGde
たぶん充電中です。気長にそのままお待ちください
323 :
名無し名人:2008/09/25(木) 23:13:43 ID:ZdUy3Yuk
伝聞だから、ナベヤが刺しちゃったのが
いきなりすぎて訳分らんのも仕方ないな。
「いやあ坊ちゃん、あの時私はどうかしててね・・・。
気がついたら刺してたんですよ・・・」
とか言われたらガクブルですよ。
324 :
名無し名人:2008/09/25(木) 23:27:49 ID:Q6zpEBBN
坊っちゃん、この話を聞いたからには・・・わかってますね
グサリ
325 :
名無し名人:2008/09/25(木) 23:29:21 ID:a7SrmGde
そしてナベヤも自らグサリ
誰もいなくなった
326 :
名無し名人:2008/09/26(金) 01:03:41 ID:aRTcnG6y
327 :
名無し名人:2008/09/26(金) 07:36:39 ID:tK5UTte9
l;
328 :
名無し名人:2008/09/26(金) 20:17:22 ID:jox7xhCF
まとめー
まとめまだー
ストック多くなると読む気なくなるわ
329 :
名無し名人:2008/09/26(金) 22:53:58 ID:KaylobrB
告白というタイトルにふさわしい展開になった
けど
こんな話をするのに、棋譜の詳細まで話すってのは何か変だな
もう罪の意識はないってことだろうか
330 :
名無し名人:2008/09/26(金) 23:21:46 ID:dDT1az7q
そろそろ作者の補正が入るだろう。
列車で話を聞いたのが事実だとしても
さすがに八代の心情とかは創作としか言えないだろうし。
これで実は八代が作者の祖父とかいうオチになったら
ミステリーも真っ青な展開だが、伏線もないし、違うだろう。
ヤマガタの嫁さんが東北の地元米問屋出身というのが引っかかる。
331 :
名無し名人:2008/09/27(土) 04:24:09 ID:XYvDrqQT
被告人は無期懲役となる。
模範囚だったナベヤは釈放される。
昭和40年代になると真剣師はいなかった。
宮田夫人も他界しており、絹子さんの消息も分からない。
刑務所で受けた職業訓練だけで食いつないでいくのは辛かった。
何より、友を殺めたことが生きていく資格があるか問い詰めていた。
そんな時に筆者の祖父に出会うことになる。
って感じかな? ↓後は炎上
332 :
名無し名人:2008/09/27(土) 07:04:39 ID:WvCwmnK4
続きまだかよ
気になるじゃねぇか早く書けボケ
第二部完で切ってんじゃねぇよクソが
333 :
名無し名人:2008/09/27(土) 18:21:40 ID:3uTNcvWB
このスレ見てたナベヤに刺されたとか
334 :
名無し名人:2008/09/27(土) 22:38:48 ID:J00yDI34
ここは、ジッと、溜めの保守!
335 :
名無し名人:2008/09/28(日) 12:43:32 ID:Sz+cMuVr
まとめはよせんかい!
336 :
名無し名人:2008/09/28(日) 13:46:58 ID:jE86jU0T
>お鍋の凹みとか直したりする仕事だからナベヤか・・・
「いかけや」のことだよね
337 :
名無し名人:2008/09/28(日) 14:12:52 ID:mOdMvUrc
巳代松だな。
338 :
名無し名人:2008/09/28(日) 15:27:29 ID:K+qD76aM
さっさと再開せーや
あんまり待たせると殺すぞ
二郎は、荷物をまとめていた。
幸い、八代は一命を取り留めたものの、
二郎は、重度のアルコール中毒で、
病院と言う名の、監獄の様な場所にいた。
八代は、事を収めた。
ここでも、運命の悪戯がある。
八代が、病院に運ばれて3日後、
心労が祟ったのか、脳卒中で倒れた。
運よく、倒れた場所が病院だったため、
大事には至らなかったが、右半身に
麻痺が残った。
二郎は、この日病院を出る。
事件から、実に5年経っていた。
340 :
名無し名人:2008/09/28(日) 16:40:39 ID:+OLNEtGi
そして第2部完から、実に5日経っていた。
二郎”出所”の日。
ヨレヨレのスーツと、1つのボストンバッグ。
表へ出て、振りむく二郎。
2〜3メートル程の壁を見て二郎は、
ついさっきまで、この塀の向こう側へ居た
と言う、現実と向き合う。
誰も、出迎いに来ないと思っていた
二郎の前に、1人の男が現れた。
葛西だった。
二郎は、そこで八代が、右半身麻痺している
事を知る。
命が助かったのは、5年前に聞いていたが、
この日聞く事実は、初めて耳にした。
葛西は、八代に頼まれて来たと言う。
1957年。二郎32歳。
1950年代前半。
東京は、物騒な事件が多かった。
米兵とチンピラの喧嘩で、命まで落とす
事件があったりもした。
二郎は、葛西に連れられて、八代の元へ
訪れた。
最初は、合わす顔が無いと思う二郎だったが、
八代は、二郎に会いたがっていると言う。
久しぶりに会う2人。
八代は、山城の下で、最近はやり出して来た
パチンコ店の、景品を卸す仕事を任されていた。
「二郎。久しぶりじゃないか。元気だったか?」
八代から声を掛けてきた。
麻痺が残る為、右手に杖を持ち、二郎に
近づく八代。
二郎は、八代が2.3歩進んだのを見ると、
自分から八代に駆け寄った。
「すまない。すまない事をしてしまった」
八代に頭を下げ、土下座する二郎。
八代は言います。
お前に刺されたおかげで、麻痺で済んだ。
その口調は、決して皮肉ではなく、
素直に、二郎に会えた喜びを表現していました。
344 :
名無し名人:2008/09/28(日) 17:06:12 ID:aFvcWDtW
なるほど・・・
八代は、二郎を連れて後楽園へ行く。
数万人が熱狂している先には、黒いタイツを
履いた男が、四角いリングと呼ばれる土俵の
上で、外国人を相手に、けりを入れ、投げつけ、
チョップをしていた。
”ここは、日本か?”
一瞬、そんな幻想にとらわれる二郎。
八代は言う。
「全て、仕組まれたショーさ」
時として、八代は二郎を夜のネオン街へ
連れて行く事もあった。
ぎこちないが、器用に杖を突き、歩く八代。
露天商は姿を消し、街はホームレス同然の
若者が、徒党を組み闊歩し、次々と闇の世界へ
入っていった。
「随分変わったろ。二郎」
二郎と八代は、一軒のバーに入る。
八代は、二郎に2つ話があると言う。
二郎を、一通り東京見物させたのも、
”昔とは違う”
と言う事を、暗に二郎に教えたかったのか?
八代は、懐からまず、「蝶」の登記簿を
二郎に渡した。
今まで、これを渡したかったのだと、八代は言う。
そして、2つ目の話。
その話は、二郎を驚愕させた。
二郎が、思いもしない話だった。
絹子らしい女性が、見つかったのだと言う。
八代は、絹子の事を二郎から過去に
聞いていた。
二郎を立ち直らせるため、葛西に協力
してもらって、探したと言う。
葛西は、役所勤めの経験から、絹子らしい
女性の後を、辿りに辿ったらしい。
そこで、1人の女性に行きつく。
その女性が、絹子らしいのだが、あいにく、
八代も、葛西も絹子の顔を知らない。
そこで、二郎に一回合って見てはと言う
事らしい。
しかし、八代は浮かない顔だ。
「実はな二郎。その女は、新宿にいる」
なにやら、訳がありそうでした。
年が明けて、二郎は新宿へ行きます。
一目見れば、その女が絹子かどうかは
分かります。
二郎には自信があった。
軒に並ぶ、小さなスナックやバー。
異臭漂う路地をぬけ、突き当たりを
右へ曲がる。
すると、道が少し開けた。
左右に、昔ながらの長屋の様な建物が並ぶ。
二郎は、八代から教えてもらった住所が
書かれたメモを片手に、一軒一軒あたる。
どの長屋も、看板らしいものが見当たらないためである。
二郎は、”らしい”建物の前に立ちます。
一見、旅館の様なその建物を見渡します。
そっと、中へ入りました。
「すいません。誰かいませんか?」
二郎は、初め小さな声で呼びかけます。
中へ入ると、右側に小さなテーブルが
2つ、それに備え付けられている椅子が
計4脚ありました。
見るからに、胡散臭いその店の雰囲気。
左側に、階段があり、靴のまま上がるらしい。
正面にカウンターがあるものの、誰もいない。
二郎は、今度は多少大きめの声で、店の者を
呼びました。
しばらく経つと、奥から、いかにも旅館の番頭を
真似た感じの、あたりの良さそうな男が現れました。
つづく・・?
352 :
名無し名人:2008/09/28(日) 17:51:03 ID:aFvcWDtW
お茶ドゾー
つ旦~
353 :
名無し名人:2008/09/28(日) 20:08:50 ID:n8NpUpux
八代いいやつだな
俺ならナベヤを許すことも連絡することもしないが・・・
354 :
名無し名人:2008/09/28(日) 21:45:14 ID:cLfau+K7
おぉ、続きキター!!!!
面白いなぁ。何度読んでも面白い。
これは列記とした小説だ!!
355 :
名無し名人:2008/09/29(月) 00:53:27 ID:/b+MX77z
今回もおもしろいお(^ω^ )
作者乙だお(^ω^ )
356 :
名無し名人:2008/09/29(月) 00:59:24 ID:HZ8zoje/
357 :
名無し名人:2008/09/29(月) 06:56:04 ID:c875r9oB
>>340 フイタw
◆lcoQbZqMNgさん
新宿の看板の無い旅館のようなトコって…><
山城サンの
>>152のせりふがどうも心に残る><
続き楽しみに待ってます
358 :
名無し名人:2008/09/29(月) 14:06:17 ID:NtbRIn/l
新宿の看板のない旅館てトルコ風呂みたいなとこ??
「すいません。こちらに絹子さんと言う方が、
いらっしゃると聞いて来たんですが?」
恐る恐る聞く二郎。
番頭は、その初めて見る顔に不信感を抱く。
「はあ?”キヌ”と言う女ならいるが、絹子と言う人は
いませんよ」
番頭は、探り探り二郎に答えます。
そのキヌと言う女が、ひょっとしたら
絹子かも知れない。
そう思った二郎でしたが、なにしろ
店の雰囲気が妖しい。
二郎は、率直にこの店屋が何屋なのかを聞いた。
「は?あんた見ない顔だね?ここ?
ここは、遊郭さ」
1946年(昭和21年)に、公娼制度は
廃止になったものの、カフェーや料亭と称して、
なかば公然に風俗はあった。
いはば、「赤線・青線」である。
絹子に会わせてくれと、お願いする二郎
ではあったが、番頭は金を払えと言う。
あまりにも、しつこく二郎が迫る為、
ほどなく奥から、”その筋”の者が現れた。
「兄ちゃん。女が欲しいんなら、金払え!」
最初は、ゆっくり口調で話すものの、
語尾に行くにしたがって、鋭さを増す。
二郎は、店を叩きだされた。
見知らぬ男に、この地域の人は冷たい。
人探しとあれば尚更だ。
二郎は、その足で山城の元を訪ねる。
昔行った、山城の事務所はまだそこにあった。
しかし、いきなり行っても山城はいなかった。
と言うより、すでにこの頃、山城は組若頭と
して、別の事務所へ移っていた。
とりあえず、事情を説明し、事務所にいる
組員に、山城とのコンタクトをお願いする。
「30分後に、ここに来るそうです」
山城と会うのも久しぶりだ。
しかし、今はそれ以上に山城に
お願いしたい事がありました。
「よお。二郎。久しぶりだな」
山城は、相変わらず派手だ。
二郎は、ソファから立ち上がって山城
を迎えた。
ストライプのスーツを着こなし、事務所
ソファにドカッと座る山城。
「よお二郎。お前八代、殺しそこなって
病院に居たんだってな」
山城はストレートだ。
もっとも避けて通れない話題でもある。
「どうした、二郎?組に入る気にでもなったか?」
人を刺した経験がある男なら、大歓迎だと
山城は皮肉たっぷりに言う。
山城にすれば、都合よく使える男は、
多ければそれにこした事は無い。
ヤクザ同士のイザコザも絶えない。
二郎は、他愛も無い会話を山城と交わす。
懐かしいその事務所は、昔と大して変っていなかった。
変わったのは自分だ。
二郎は、程よく八代から貰った、新宿のメモを
山城に渡した。
「実は、山城さん。お願いがあるです。
その場所に、会いたい人がいるんですが、
どうも雰囲気が・・」
山城は、昔の様にタバコを取り出し、
口にくわえると、ゆっくり火を付けた。
一息吐くと、山城は天井を見上げ、
二郎に言った。
「二郎。そこは遊郭だ。しかも赤線、青線
なんてもんじゃ無い。”黒線”だ」
黒線とは、ヤクザが完全に仕切っている
遊郭で、当然警察にも賄賂は渡っている。
つまり、事を起こすと厄介な場所だと
山城は言いたいらしい。
「山城さん。お願いだ。一緒に来て下さい」
一目見て、その女が絹子でなければ、
話はそれまでの簡単な作業だ。
しかし、山城は簡単に二郎の頼みを聞かない。
「二郎。俺が出て行ってどうする?
トラブルは御免だ」
もっともな答えだった。
「二郎。お前が俺の組に入るって言うんなら、
考えてもいいぜ」
同じ組員が、困っているならば、助けてやって
もいい、と言う事だ。
考える二郎。そして決めた。
「分かりました。俺も長い事、山城さんには
世話になりましたからね。そろそろ山城さんの
役にも立たなくてはいけませんね」
二郎は、観念した口調で山城に言う。
山城は、首をかしげながら二郎に言った。
「そう簡単に、ヤクザになるなんて言うもんじゃないぜ」
山城は、タバコを吹かしながら、二郎に
語りかけます。
「二郎。お前は馬鹿だ。どうしょうも無い馬鹿だ。
世間知らずで、あれよあれよと言う間に
年を喰った。お前は自分の感情のままに生きる。
ヤクザって言うのはな、自由の様で自由じゃ無い。
お前の様な男が、ヤクザになったら、1年で、
廃人かあの世行きだ」
山城の言いたい事が、二郎には分からなかった。
二郎は、ある意味、俗世間には合わず、
扱いにくい人間なのかもしれない。
普通の人なら、簡単に渡れる橋も、二郎の番に
回ると、つい心配してしまう。
この時期の二郎は、そんな危うさを漂わせていた。
「二郎。どうして八代が、お前を許すと思う?
奴も、1人じゃ生きていけないんだ。
戦後の荒廃しきった日本。
だれも1人じゃ生きていけなかった」
山城は、二郎に諭すように語る。
「二郎。俺だってな。もう一度人生、
やり直したいって思う時があるんだぜ」
二郎は、気付いていなかった。
何気に、フラフラ生きてきたものの
随所で、報われてきた事を。
「わかったよ。二郎。だが、俺が行くわけ
にはいかない。俺の部下を付けるから、
そいつと、その場所に行ってこい」
山城は、二郎の頼みを聞いた。
出発は、翌日と決めた。
二郎は、八代が待つ卸の事務所へ帰った。
夜の帳。
家路に着くと、八代は1人飲んでいた。
「二郎。飲むか?」
屈託なく八代は言う。
「いや。酒はやめた」
「そうか」
「ヤッチン」
「あ?」
「ありがとう」
「なんだよ、いきなり」
「いや、何となくさ。ありがとう。ヤッチン」
「よせやい二郎。気持ち悪い」
二郎は、翌日、改めて新宿へ向かった。
つづく・・?
370 :
名無し名人:2008/09/29(月) 21:11:38 ID:OZg7Yc07
今日は、おいらがお茶を出す!
ドゾー
つ旦~
371 :
名無し名人:2008/09/29(月) 22:05:52 ID:wY/ETP7b
新人のお茶係り、乙。
372 :
名無し名人:2008/09/29(月) 22:50:23 ID:c875r9oB
最初の頃の利発なナベヤのイメージがどんどん崩れてく…
それにしてもどんどん悲惨になってくなぁ
そういや現在の方の話はどうなったの?今何人抜きだっけ?
373 :
名無し名人:2008/10/01(水) 01:28:39 ID:a6MlHMVp
あげ
374 :
名無し名人:2008/10/01(水) 02:09:35 ID:8cwrqFP0
今日は更新来なかったな・・。
375 :
名無し名人:2008/10/01(水) 02:37:33 ID:JKc/mb7Z
>>372 構想が二転三転してるうちに、無かったことになったんだよw
376 :
名無し名人:2008/10/01(水) 04:51:03 ID:XZTfaVbq
Don't think Feel
377 :
名無し名人:2008/10/01(水) 22:17:13 ID:OoVU4UFL
あぁ!
続きワクテカですたい!
ゆっくりで良いので早くお願いしますだ!
378 :
名無し名人:2008/10/01(水) 23:49:47 ID:a6MlHMVp
待ちわび上ゲ
379 :
名無し名人:2008/10/02(木) 00:19:25 ID:CLVHOQGD
380 :
名無し名人:2008/10/03(金) 17:04:44 ID:AxEPitWi
あーあ、まとめ楽しみにしてたのに、作りっぱなしで放置かよ。
書き主も結局何も対処しねーし…
削除依頼出すか…
381 :
名無し名人:2008/10/03(金) 18:10:13 ID:H7e6AYZ+
続きワクテカですたい!
マジで待ってます!
382 :
名無し名人:2008/10/03(金) 18:30:15 ID:H7e6AYZ+
このスレ、ロムるだけの人も入れたら、かなりの人数読んでるはず。
酷評しないで楽しく読もうや。
書いてるのは、作家じゃないんだから、酷評は筋違い。
大勢で読んでるのもプレッシャーだろうし。
皆で、ワクテカで待とうや。
最近、寄稿ペース早かったし、当初の頃みたいに、ボチボチで十分なんで、続きワクテカしてます!
383 :
作者近状:2008/10/03(金) 21:05:47 ID:Xx9VekAT
|
\ __ /
_ (m) _
|ミ|
/ `´ \
∧ ∧
(・∀ ・)
ノ( )ヽ
< >
\ /
_ `゙`・;`' _バチュ--ン
`゙`・;`
/ `´ \
∧ ∧
(・∀ ・)
ノ( )ヽ
< >
∧ ∧
(・∀ ・) <何だっけ
ノ( )ヽ
< >
384 :
名無し名人:2008/10/03(金) 21:45:02 ID:raR1IUw0
いいからさっさと再開しろよコラ
殺すぞボケ
385 :
名無し名人:2008/10/03(金) 22:33:40 ID:a3oDgMy7
酷評って、誰もしていないような気がするんだが
なんで唐突に。
386 :
名無し名人:2008/10/03(金) 22:53:50 ID:j9yvvaSC
387 :
名無し名人:2008/10/03(金) 22:58:42 ID:qeJFxDnG
作品は一級品でも投下スピードによって糞扱いされる場合がある
388 :
名無し名人:2008/10/03(金) 23:30:31 ID:d7ng429w
いつも楽しみに見てます
389 :
名無し名人:2008/10/03(金) 23:35:23 ID:XPAUPRaH
酷評しちゃいけないなんて決まりはない
するなというほうが筋違い
390 :
名無し名人:2008/10/04(土) 00:28:59 ID:OcUyb16v
あるあ・・・ねーよ
391 :
名無し名人:2008/10/04(土) 01:34:22 ID:79tO5oQi
おちんぽ侍とおまんこ代官
392 :
370:2008/10/04(土) 15:56:15 ID:ojMPwtWB
うーん。おいらが出したお茶がいけなかったのかな。
六本木でロシア人に人気の葉っぱだったんだが・・・
393 :
名無し名人:2008/10/04(土) 20:03:43 ID:gEjSE2PY
それお茶用じゃないんじゃない?
394 :
名無し名人:2008/10/04(土) 21:53:18 ID:GfcBhM5D
白露山の「飲み残し」だろ 食中りしたな
翌日、二郎は山城の部下と2人で、新宿の
宿に行った。
相変わらず、胡散臭い店の風貌、そして、
誰もいない店先。
二郎は、山城の部下を連れている事もあり、
前回よりは、気持ちが楽だった。
二郎が、店の奥に向かって、店主を呼ぶ。
その声は、幾分大きく、心強さを感じる。
しばらくすると、前に見たあの店主が顔を出す。
”また、あんたか?”
とでも、言いたげな表情で、ゆっくり店先に
現れる。
しかし、今日は二郎一人ではない。
店主は、一瞬、山城の部下に視線を送り、
二郎に向って言った。
「あんた。なんの様だい?」
その顔は、いかにも”面倒くさい男”に
付きまとわれている様な顔だった。
二郎にとって、望みはただ一つ。
この宿にいる、”キヌ”と言う女に会う事だ。
二郎は、早速話を切り出す。
とにかく、会いたい一心だった。
二郎と店主の会話は、堂〃巡りだった。
”キヌと言う女はいるが、金を出せ。”
”話はすぐ終わるから、少しだけ時間をくれ。”
金のない二郎にしてみれば、何とか合わせてほしい。
ラチが開かない二郎に対いて、店主が、奥から用心棒を呼んだ。
「またあんたか?しつこいな。金が無いんなら
怪我する前に、とっとと出て行け。」
用心棒は、山城の部下と二郎を、交互に見て威圧する。
山城の部下は、懐から財布を取り出し。
数千円抜き出す。
こういう場面は、山城の部下の方が、
話が早い。
「いくらだい?」
今まで、二郎と店側の会話に一切入らなかった
山城の部下が、唐突に言う。
山城の部下は、店奥で店主と用心棒を相手に、
何やらやり取りをしている。
話が着いたのか、山城の部下は二郎に近づいてきた。
「どうぞ、二郎さん。二階、上がって下さい。
話はつけましたので」
「本当に?ありがとう」
そう言うと山城の部下は、
「いえ。兄貴に話は金で解決しろって言われまして」
頭を掻きながら、二郎に言う。
そこに、店主が割って入る。
「おい。ただし、一時間だけだぞ」
山城の部下は、その言葉を聞いてまくし立てる。
「うるせぇ!俺がこの辺の相場、知らねぇとでも
思ってるのか!」
静まり返る店内。山城の部下は、二郎の方へ向き直し
早く2階へ上がる様に促す。
二郎は、勇んで2階へ駆け上がった。
どうやら、そのキヌと言う女は、
一番奥の部屋にいるらしい。
この、如何わしい宿に努めている女が
絹子なのか?
二郎は、会いたい、と言う気持ち半分、
違ってくれ、と言う気持ち半分で、その
部屋の襖を開けた。
女は、入口に対し、背を向けていた。
「こんな、昼間っから、ここに来るなんて、
あんたも変わり者だねぇ」
女は、背を向けたまま言う。
どうやら、酒を煽っているみたいだ。
8畳程の和室。
部屋奥に小さいちゃぶ台がある。
どうやら、女はこの部屋を間借りしている様だ。
「あんたも、一緒に飲むかい?」
とっくりを、左手に持ち、女は振り向いた。
次の瞬間、二郎はすぐに分かった。
目の前にいる女は、あの絹子だ。
あの、東北の港町で、一緒に行商をした
あの絹子だ。
女もまた、二郎に気付いたのか、すぐに
二郎に対し、背を向ける。
17年ぶりの再会だった。
401 :
名無し名人:2008/10/05(日) 00:12:39 ID:NncEBZHK
支援
402 :
名無し名人:2008/10/05(日) 00:14:41 ID:SNeUpV/Q
うぉぉぉ。
何より、主さん、久しぶりの長文の続き、本当にお疲れ様です。
一気に読みました。話もこれが面白い!!
しかし、今夜は、何より、主さんのアップを頂いただけで本当に嬉しいです。
続きは、数日に一回で十分だと思います。
これだけの文章打ち込むだけでも、そうとうな時間かかるのは本当に解ります。
だからボチボチで!!
いっきに、どうなるかわからないワクテカな展開になってきましたね!!
403 :
名無し名人:2008/10/05(日) 00:42:33 ID:9+NOkfgJ
主さん、お疲れ様です。
これからもマイペースで気長に連載してください。
ファンの一人として応援しております。
気まずい雰囲気の中、二郎は絹子に
声をかけるものの、まだ、半信半疑だった。
絹子が、こんな場所で、女郎めいた事をしているのが
信じられないのである。
絹子は、二郎の問いかけに返事をしない。
絹子にしてみれば、兄と慕った男に、
見られたくない姿を、見られた後ろめたさが
あった。
しばらくの沈黙の後、絹子が一言いった。
「今日のところは、帰って下さい」
その言葉は、二郎にとって今、目の前にいる
女が、絹子であると言う、確信以外のなにものでも
無かった。
「二郎。あの店は、ただの遊郭じゃねぇ」
山城は、二郎にそう言った。
二郎は、山城の新しい事務所にいた。
「二郎。あそこはヤクザが仕切ってる。
普通の年季の女郎なら、時期が来れば
一緒にもなれるだろう。しかし・・」
山城は、この道で生きてきた男だ。
この手の話も、当然精通している。
山城は続ける。
「あそこの女郎なら、今頃、借金で
”カタ”にはめられて、抜け出せない
だろう、所詮、女郎にもなれない女が
行くような場所だ。
悪い事は言わない。忘れろ二郎」
思い続けた女が遊郭勤めと言う現実。
二郎は、思い悩んだ。
ここで出会うべき運命だったのか?
ただ重い時間だけが過ぎて行った。
つづく・・?
407 :
名無し名人:2008/10/05(日) 01:09:50 ID:X7kQszqN
お茶ドゾー
つ旦~
408 :
名無し名人:2008/10/05(日) 01:11:49 ID:SNeUpV/Q
続き、さらに読みました。
次は来週後半くらいでしょうか。
う〜ん、しかし、悲しい二郎。もっと悲しいのは絹子なのだろうか。
捨てた涙は、再び流すとき、深い悲しみと、傷を伴う・・・・
続き、また楽しみに待っています!!!
本当、お疲れ様であります!
409 :
名無し名人:2008/10/05(日) 01:46:53 ID:J2KRLxU4
想い続けた女が風俗で働いてたらショックかなー
410 :
名無し名人:2008/10/05(日) 07:34:48 ID:gzWdLX2K
オレ、風俗嬢と付き合ってたけど、
別に悲しくなかったけどな。
B型だからかなw
411 :
名無し名人:2008/10/05(日) 22:20:41 ID:IlaSaLIL
風俗嬢と付き合うのと
好きだった人が風俗嬢だったのはかなり違うだろ
おなじ行列並ぶにしても
ラーメン屋でウンコしたくてトイレの行列に並ぶのと
ラーメン屋に入って行列にならんだらトイレ待ちだったってくらい違うだろ
412 :
名無し名人:2008/10/06(月) 01:49:06 ID:Y0duEa0P
絹子は二郎に助けられてほしい!
山城さん二郎に力を貸してくれーーー!
(T_T)
413 :
名無し名人:2008/10/06(月) 14:50:17 ID:rMZbL6qd
しかし山城に助けられれば助けられるほど「代打ち」に堕ちる気が…
414 :
名無し名人:2008/10/07(火) 03:21:51 ID:x6cGgEF4
415 :
名無し名人:2008/10/07(火) 16:23:26 ID:IQ7JlQR3
早く続きを
416 :
名無し名人:2008/10/07(火) 16:32:16 ID:FM4wIABU
最近は中4日ペースだな
417 :
名無し名人:2008/10/07(火) 16:44:13 ID:yper/NDJ
本当、ちょうどいいペースだと思う。
構想もいろいろだるだろうし、書き込んでたらすごい時間もかかってると思う。
これでもまだ負担になってるんじゃないかと、俺は心配だ。
418 :
名無し名人:2008/10/08(水) 11:15:16 ID:mMB/QduE
主さん頑張ってください!
419 :
名無し名人:2008/10/08(水) 17:04:26 ID:BzSGvgg8
主さん、労り応援アゲ!!
420 :
名無し名人:2008/10/08(水) 19:09:28 ID:XDap/Z1b
作者を特定してしまった…モバゲーにいた
421 :
名無し名人:2008/10/08(水) 19:16:14 ID:bGyh8Ec5
頭を使うパズル系しかやらないと…
422 :
名無し名人:2008/10/08(水) 20:24:17 ID:q7IjJt/7
423 :
名無し名人:2008/10/09(木) 23:45:00 ID:O3TRBkzz
期待アゲ&保守!!
424 :
名無し名人:2008/10/10(金) 00:59:18 ID:Ivlw+C+H
おまんこも寂しいよ。
425 :
名無し名人:2008/10/10(金) 21:45:23 ID:VpbHQbch
5日も間があいたね
426 :
名無し名人:2008/10/10(金) 23:01:38 ID:P+blwzg8
なに怠けてんだ
早く書け
これだけ待たしたんだから次は一気に書けよ
427 :
名無し名人:2008/10/10(金) 23:11:39 ID:fece0gWs
428 :
名無し名人:2008/10/10(金) 23:38:46 ID:xPikZRFT
2008/09/14(日) 22:40:48
2008/09/16(火) 17:54:56
2008/09/17(水) 17:05:49
2008/09/19(金) 16:09:23
2008/09/20(土) 18:18:43
2008/09/22(月) 17:05:12 第二部完
2008/09/28(日) 16:30:52
2008/09/29(月) 19:33:15
2008/10/04(土) 23:23:37
二郎は、絹子の気持ちを察すると、
なかなか会う気にはなれなかった。
いや、自分自身、会いづらかった。
二郎はこの時、働いてはいなかった。
とりあえず、八代の世話になっているものの、
八代も、山城も二郎をヤクザな道に進めようとは
思っていなかった。
もっとも、八代は、最初からの経緯から、山城の
世話になってはいたが、八代自身は、二郎にそんな
世界に入って欲しいとは思っていなかった。
むしろ、八代は、二郎の将棋に対する才能や、
その一本気な性格に惚れていた。
八代にとっては、過去のわだかまりに固執するより
今の二郎を、何とかしたいと思っていた。
二郎は悩んでいた。
このまま、絹子と逢わずに生きていくかどうかを。
そんな二郎を見かねて、八代は二郎を馴染みの
ホルモン焼き屋へ連れて行った。
「二郎。そう言えば、2人の初めての食事が
ホルモンだったよな。懐かしいだろ?」
二郎には、八代の気遣いが心苦しかった。
八代の運命を、初めから狂わせてしまったのは
自分ではないのか?
事あるごとに、二郎の好きなようにさせてくれた
八代に対し、刃を向け、しかもそれを許してくれた。
八代に、何もしてやれない自分が、情けなかった。
「二郎との付き合いも、長くなったな」
ポツリと八代は言う。
初めての出会いは、パールだった。
テキヤに追われていた、汚い軍服を着た男と
人生を賭けた勝負をしていた男は出会った。
山城との対局。
歩をくすねての勝負だったが、玉頭攻めへ使う
歩を、2度も受けに使う奇手。
そして、二八商会での日々。
各地での、営業を兼ねた真剣。
雪子との出会い。
酒井との切れ負け勝負。
雪子との別れの後の、山形戦。
全てが、まるで昨日の事の様に思いだされる。
「二郎。もう一度、絹子さんに会ってこい」
会って、自分の言いたい事を言ってこいと
八代は言う。
結果どうなっても、それは運命だ。
会いたければ会えばいい。
それだけだ。
二郎は、八代に背を押され、腹を決める。
3日後、二郎は再び絹子に会いに行った。
2度目に行くと、前回とは違い、金を払うと
すんなり中へ入れた。
向こうも商売だ、金が手に入れば、絹子の
気持などどうでもいい。
すさんだ世界だ。
433 :
名無し名人:2008/10/11(土) 01:06:27 ID:MKlyXv0u
再開うれしいです
狭い和室。
重い空気が2人を包む。
以外にも、先に声を掛けてきたのは絹子だった。
「びっくりしました。いきなり、お兄さんが
現れたものですから」
絹子は、二郎をお兄さんと呼んだ。
田舎の港町で、行商をしていた少女が、
この世界に入ったのには、きっと何か
理由があるはずだ。
二郎は、何事も無いように絹子に
話しかけた。
「元気そうでなによりだ。5〜6年前に
久しぶりにあの港町へ行ったよ」
「そうですか。私はもう、ずっと帰っていません。
あの町には、私が帰る場所はもうありませんから」
絹子が、二郎にお茶をすすめる。
二郎は、終戦後からの事を、かいつまんで話した。
絹子が言うには、戦争が始まって源二は、千葉にいる
兄弟を頼って、軍関係の工場に勤めたらしい。
隣組として、多くの若者を戦地へ送った源二は、
終戦後、その事を気にかけ、自殺したと言う。
源二自身、陰でいろいろ言われたのだろう。
親戚関係を、タライ回しにされた絹子は、挙句
横浜のカフェーで、米兵を相手に働き始める。
そのうち、ヤクザな男と出会い、一緒に生活するものの、
男は、絹子のお金を目当てに、毎日、酒、女、博打で
絹子は、身も心もボロボロになった。
絹子の、右足内腿には、タバコを押しつけられた様な
跡が残っていた。
「お兄さんに会えて。私はもう思い残すことは、
ありません。本当に会いに来てくれて、有難う
ございました。お兄さんも、お体に気を付けて」
絹子は、そう言うと、二郎に背を向けた。
その背中は、小刻みに揺れていた。
437 :
名無し名人:2008/10/11(土) 01:28:40 ID:fnJCmGuc
絹子がんばれ!
もしここで、二郎がそのまま帰っていたら。
そんな事、できる二郎ではなかった。
今まで、多くの人を傷付けてきたであろう二郎。
二郎は、幸せと言う物が分からない。
楽しいと言う事は分かっても、なにが幸せなのか
分からなかった。
そして、絹子もまた、愛を知らずに生きてきた。
二郎は、絹子に言った。勇気を出して。
「絹子さん。こんな所、やめて、一緒に
田舎へ帰りませんか?」
二郎の問に、絹子は答える。
「お兄さん。気持ちは有難いのですが、私はもう
昔の絹子では、ありません。どうか、どうか
このまま・・このまま帰って下さい。そして、
2度と、ここには来ないでください」
愛を知らない絹子は、自分が幸せになれるなど
考えた事も無い。
ただ、現状維持のすさんだ世界に、身を任せてきた
のは、自分であり、誰のせいでもない。
ただ、時が過ぎ、男の相手をし、死んで行くだけの
人生を過ごすだけである。
どうなるモノでも無い、と言う諦めと、
自分自身に対しても無関心で、別に
明日死んでも、後悔無い。
絹子は、昔の、あの雪子を失ってからの
二郎そのものだった。
そして、絹子には、勇気が無かった。
悲観するばかりの絹子。
二郎にしても、まともな人生を
歩んできたわけではない。
しかし、二郎は、言わずにいられなかった。
二郎は、今までの自分の人生を、噛みしめながら
言った。
「過ぎた事です。
昔の事が、深い傷になることもある。
その傷の深さは、本人しか分からない。
私だって、昔の事言い出したら、
大手を振って街を歩けないよ。
戦後混乱期。まともに生きてた方が
おかしかったんだ。
お互い、いろいろあって、”そうした”。
生きるか死ぬか。皆ギリギリだったんだ。
体はおろか、心、魂まで売って生きてきた。
それが、戦後だったんだ」
後は、絹子に任せよう。
絹子の魂に、任せよう。
二郎は、そう思った。
二郎は今、絹子の心に手を差し伸べた。
後は、その手を絹子が掴むかだ。
誰かが、自分に手を差し伸べたら、
自分の心に正直になればいい。
そこには、恥や外聞は無い。
自分の信じる所に従うのだ。
勇気を出して従うのだ。
それは服従ではなく、変化だ。
無限の宇宙に広がる、変化だ。
信じろ。
ただ、自分自身を信じて進め。
絹子は、うなずいた。
ただ、首を縦に振った。
言葉はいらない。
しかし、絹子はここを抜け出せないでいた。
多額の借金が絹子を縛っていた。
それは、無一文の二郎には、到底、用立てられない
額だった。
連れ出す事も考えたが、それは不可能だ。
そんな危険な橋は渡れない。
二郎は、一旦、八代の元へ帰った。
二郎には収穫があった。
少なくとも、絹子はあの現状から、
抜け出したいと思っている。
後は、どうするかだ。
夕暮れの新宿を、二郎は颯爽と駆けた。
「難しいな。二郎」
そう言うと、八代は畳に寝転んだ。
体が不自由なためか、あまり長い時間
座っていられないのである。
思いもしない多額の借金。
八代にも、用立てれる額では無い。
しかし、あてはある。
山城だ。
山城に相談するしかない。
山城に借金してでも、絹子を自由にする。
それは、二郎にとっては、源二に対する
恩返しでもあり、何より二郎がそうしたかった。
二郎は、翌日八代と共に、山城の元を
訪れた。
しかし、返事はノーだった。
いくら二郎や八代の頼みでも、出来る事と
出来ない事がある。
二郎も当然、山城の御蔭で絹子に会えた事は
分かっているし、その上、その絹子を助ける
為とはいえ、多額の金を借りる事に、ためらいは
あった。
3人は、案を出し合うが、絹子のバックはヤクザだ。
金で解決するのが一番いい。
しばらく経っただろうか。
山城が言った。
「二郎。方法が見つかった。しかし、
それは、お前自身の心を、売る事に
なるかもしれない」
二郎は、自分に出来る事なら、何でも
しようと思っていた。
八代が言う。
「山城さん。何ですか?その方法って」
山城は、いつものようにタバコに火を付けて行った。
「蝶だよ。蝶の土地と建物を売却する。それしか無い。
それなら、俺が買い手を見つけてやる。
最近じゃ、この辺の土地も高騰してるから、かなり
高額で売れるぞ。しかし、蝶は雪子との思い出の
店だろ?
二郎。どうする?お前に蝶を売れるか?」
確かに、それしか方法が無さそうだ。
二郎は悩んだ。
蝶を守るため、大事な友も傷つけた。
しかし、その友の御蔭で蝶は守られた。
二郎1人では、答えを出しかねていた。
二郎は、八代の顔を見る。
八代は、ニコっと笑った。
お互い歳は取ったが、笑顔はあの時のままだ。
八代は二郎に言った。
「二郎。やり直せ。蝶を売って、もう一度
今度は、絹子さんとやり直せ。
雪子さんも分かってくれる。
雪子さんも、お前が幸せになるのを
望んでいるに違いない」
447 :
名無し名人:2008/10/11(土) 03:09:58 ID:hIDBMY6a
おつおつ
448 :
名無し名人:2008/10/11(土) 03:14:08 ID:2Lqhv5Km
むかし、或る所にお爺さんとお婆さんが居ました
ある日、お婆さんは川へ洗濯を
お爺さんはソープランドへ泡踊りを
数日後。
二郎は、蝶を手放した。
雪子に対する、後ろめたさはあった。
しかし、そうするしか無かった。
何かを得るには、何かを失う。
その失うものが、例えかけがえの無いモノだと
しても。
失った分、プラスがある保証は無い。
しかし、それもまた人の生き方だ。
二郎は、絹子を自由にしてあげたかった。
その為には、金が必要だった。
蝶がここまで残ったのも、この日の為かも
しれない。
当然それは、都合のいい言い訳だと言う人も
いるだろう。
しかし、大事な事は、二郎は幸せになる為に
そう決断した。
いつまでも過去に縛られてもいられない。
一歩、今、一歩進む為の、決断だった。
つづく・・?
451 :
名無し名人:2008/10/11(土) 03:53:44 ID:vsxasE/8
旦~
452 :
名無し名人:2008/10/11(土) 05:51:43 ID:f2A4nXS7
>>372 ▲6五同銀 まで
▽後手 私(作者) 持ち駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│__│__│__│__│__│__│▽桂│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▽飛│__│▽銀│▽金│▽金│▽玉│▽角│__│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│▽桂│__│▽銀│▽歩│__│▽歩│__│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│★銀│__│▲歩|__│__│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲歩│▲歩│▲歩│__│▲歩│__│▲歩│__│▲歩│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│__│__│▲角│__│__│▲金│__│▲歩│__│七 成香−杏
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−圭
│__│__│__│▲飛│__│__│▲銀│▲玉│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│▲香│▲桂│__│__│__│▲金│__│▲桂│▲香│九 成飛−龍
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
▲先手 6人目 4段 Hさん 持ち駒:歩×3
453 :
名無し名人:2008/10/11(土) 19:31:55 ID:Cat4oABq
主さんへ
いつも楽しくワクテカで読んでいます!
今日は特に長文でびっくりしました。無理せずに。
応援しています!
454 :
名無し名人:2008/10/11(土) 22:52:20 ID:nEmzsCty
やっと…やっときた…
455 :
名無し名人:2008/10/12(日) 15:14:04 ID:bV1mtyXv
まだかなっ?と楽しみに続きをいつもまってます。
昭和という一つの時代を生きたぬいた男達の生きざまが、新鮮でもあり懐かしくもあります。
今は忘れてられた何かがここには有ります。
季節の変わりめ、お身体に気をつけて下さい。
もうすぐインフルエンザの予防接種の季節だお!
続き、楽しみに待ってますので頑張って下さいo(^▽^)o
456 :
名無し名人:2008/10/12(日) 16:26:06 ID:KXR09Uih
457 :
名無し名人:2008/10/12(日) 17:03:21 ID:ZtCvHLkZ
まとめサイト作ってる奴に腹立ってきた…
誰かまとめサイト作ってくれよ…
ログアップするだけでもいいんだ
458 :
名無し名人:2008/10/12(日) 23:40:28 ID:ma/Q7HEA
そうだな
更新できねえなら最初から作るなよ
その日は快晴だった。
人でごった返す上野駅。
二郎は、絹子と共に東北へ行くことにした。
2人の事を、誰も知らない土地へ行こうと決めた。
八代の薦めで、葛西の下で働くことにした。
葛西は、ちょうど役所勤めを辞め、義父の
米問屋を1人でまかされていた。
人でも欲しい頃で、葛西にとっても渡りに船だった。
二郎は、財産をすべて失ったが、そのかわり、
かけがえのない大事な人を得た。
上野駅には、八代が見送りに来てくれた。
あたりを見渡すと、あちこちで、子供連れの家族や
見送りの人が目についた。
「二郎。向こうに着いたら、連絡をくれ」
「ああ。ヤッチン。世話になったな」
激動の日本を駆け抜けた男たちは、しばしの別れに涙した。
無一文から始まった東京生活。
様々な出会いと別れ。
そして死闘。
人の温かさを知った二郎。
やっと手に入れた幸せ。
二郎は心から、そう”感じた”。
二郎は、おもむろに桐の箱を取り出した。
そして、八代に宮田から貰った江戸時代の
詰将棋集を渡した。
「ヤッチン。将棋は終盤だ。これで勉強してくれ」
「いいのか?二郎」
「ああ。今度会うときは、もうちょっと強くなってて
くれよ」
二郎は、八代に微笑みかけた。
そして、二郎と八代は抱き合った。泣いた。
人目をはばからず泣いた。
それでいい。それだけで分かり合える。
二郎と絹子が、列車に乗り込む。
と、ほぼ同時に、発車のベルが鳴り響いた。
「二郎。お前は僕の一生の友だ。忘れるなよ二郎」
「ああ。ヤッチン。俺達は、一生の友だ」
ゆっくり出発する列車。
その胸に、絹子との幸せを抱きながら
二郎は、新たな人生を歩み始めた。
延々と続く田舎風景。
ガタガタうるさい田舎電車。
”間もなく、終点、終点です”
アナウンスが聞こえます。
ナベヤは、そこまで言うと、荷物をまとめ始めました。
終点の駅は、田舎の小さな駅でしたが、3番ホームまで
あります。
1番ホームは、上り用。
2番ホームは、下り用。
そして、3番ホームは、ここから先の田舎へ行くため
の電車用です。
キキーと、金属音をたてて田舎電車は、2番ホームへ着きました。
ナベヤは、向かい側の3番ホームへ歩き出します。
まだ、電車は来ていません。
3番ホーム一本で、上りと下りを兼用しているため、
奥の田舎から来る電車が、そのまま下り電車になるのです。
その為、出発までまだ50分程ありました。
プラットホームにある、小さな待合室に
ナベヤは入っていきました。
中は、4〜5人が横一列に座れるようになっています。
私は、電車が来るまでナベヤの話し相手を
しようと思いました。
田舎だけのことはあり、待合室には
誰もいません。
私とナベヤの2人だけでした。
私は、ホームにある自動販売機で、お茶を2本
購入し、1本をナベヤに渡しました。
ナベヤは、冷たいお茶に一口つけると言いました。
「本当に、旦那さまには、お世話になりました」
田舎米問屋の娘と結婚した葛西。
この葛西こそ、私の祖父です。
「やばいな。銀を取るか?角交換か?」
将棋会館道場。
少し離れたところでは、子供が4〜5人、一つの
将棋盤を囲み、”あ〜でもない。こ〜でもない”と
ワイワイガヤガヤやっています。
局面は、四間飛車対早仕掛けの序盤。
私が居飛車。
この時私は、昔ナベヤに言われたある言葉から、
ある棋譜を思い出していました。
以下に、その思い出した”ある”棋譜を公開します。
466 :
名無し名人:2008/10/13(月) 00:33:04 ID:nCNwHFSU
二郎と絹子が乗った電車が出発・・・・・終点の場面でナベヤと私の場面へ・・・
う〜ん、絶妙に面白い!!!
ワクテカワクテカ!!!主さん、深夜だから無理しないで!!
この小説は、本当に面白いです!!
467 :
名無し名人:2008/10/13(月) 01:02:52 ID:HGX0v+ig
ついに筆者と繋がったか
葛西の孫だったとは
ナベヤ、絹子とは結婚できたのかな
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲2五歩△3三角
▲4八銀△3二銀▲5六歩△5四歩▲3六歩△4二飛
▲6八王△6二王▲7八王△7二王▲5八金△9四歩
▲9六歩△8二王▲7七角△4三銀▲8八銀△7二銀
▲3七桂△5二金▲4六歩△6四歩▲1六歩△6三金
▲4五歩△7四歩▲4四歩△同 銀▲4五歩打△5三銀
▲2四歩△同 歩▲3三角成△同 桂▲2四飛△4五桂
▲同 桂△同 飛▲4七歩打△6五歩▲2二角打△4一飛
▲3三角成△6四角打▲1七香△3五歩▲2二飛成△3六歩
▲3二竜△4五飛▲3四馬△4二飛▲3一竜△6二飛
▲4五桂打△4二銀▲1一竜△3七歩成▲5七銀△4六歩打
▲同 銀△3六と▲4四香打△4六と▲同 歩△3一歩打
▲4二香成△同 飛▲3一竜△4三歩打▲3五馬△5二飛
▲3四歩打△3二歩打▲1一竜△4四銀▲2四馬△5五歩
▲3三歩成△同 歩▲同 桂成△5六歩▲4三成桂△5五飛
▲4五歩△4六歩打▲6八銀打△3五桂打▲4四成桂△4七桂成
▲2五馬△5七歩成▲同 銀△同 成桂▲6一馬△同 銀
▲同 竜△6六歩▲7一銀打△9三王▲8六歩△6七成桂
▲8七王△8五銀打▲7七銀打△5八飛成▲8四金打△同 歩
▲6三竜△8三香打▲6八金打△同 竜▲同 金△同 成桂
まで120手で後手の勝ち
この棋譜は、平成のモノではありません。
昭和でもありません。
実は、この棋譜は、江戸時代のモノです。
ナベヤは、私に話してくれた事がありました。
「坊ちゃん。上達に行き詰ったら、江戸時代の棋譜を
並べてごらんなさい」
ナベヤが言いたいのは、息抜きも兼ねて、と言う
ニュアンスもありましたが、現代将棋もいいが
道無き道を切り開いた先人の、息遣いを感じる事も
重要だ。と言う感じでした。
祖父の家に、江戸時代の棋譜が載った本があったので
私は、よくその本を、意味も分からず並べていた
事がありました。
470 :
名無し名人:2008/10/13(月) 01:16:24 ID:Pnv2Hmyq
119手目▲同銀ですよん
部分的に見れば、35手目の場面は、
これが、江戸時代に指されていたのかと
驚きます。
▲4五歩と打った場面。
私は、この棋譜をなぜか、思い出しました。
△7七角成。
私は、角交換から入った。
Hさん。▲同桂。
△6五桂▲同桂△6四銀。
銀を取りに入っても、角交換から入っても
どちらでも、一局だとは思いますが、
なにしろ私は、初めて早仕掛けをします。
経験と勘だけで局面を進めます。
▲8五桂。
序盤、この段階で、すでに後手劣勢でしょうか。
▲8五桂は、初めて見る手。
△7二銀。
とにかく局面を収めたい。
▲7三角。
Hさん。嵩になって畳み掛けてきます。
”一直線に斬り合ってやる”
こっちは、手将棋丸出し。
”なるようになれ”だ。
△同銀直▲同桂右成△同銀引▲同桂成△同銀▲6一飛成。
飛車に成り込まれました。
Hさんは、頭を小刻みに動かしながら、
盤面を見ています。
局面が落ち着くとは、到底思えません。
”辛抱しながら、攻めを繋ぐしか無い”
△6二銀▲6三歩△5一銀▲7三銀△8六飛。
こちらも、飛車の成り込みが確定しました。
しかし、6筋、5筋で攻めてくることが
予想されます。
Hさん、▲6二歩成。
”きた”
当然と言えば、当然の一手。
アマの将棋では、プロの様に力を溜める
様な事はあまりない。
攻めるときは、一直線に攻めきる。
△同銀▲同銀不成。
Hさん。用意周到です。
▲同銀成なら、△7三角で銀が抜ける。
素人なら、手拍子で▲同銀成としそうですが、
当然そうなるはずはありません。
初心者の方も、しっかり局面を読む事を
心がけましょう。
△8九飛成▲5三銀打。
ますます攻めに拍車がかかります。
しかし、こっちもそれは読み筋。
局面を収めて、龍を召し取る手順を
探ります。
つづく・・?
477 :
名無し名人:2008/10/13(月) 02:18:40 ID:nWAnLjqn
葛西(孫)さん乙
478 :
名無し名人:2008/10/13(月) 02:28:33 ID:7vaUX+wK
おつんつん
この小説も最終盤に突入かの
さびしいのう
479 :
名無し名人:2008/10/13(月) 03:28:47 ID:Hp5MquSI
ログで良いなら俺がまとめてあげるが、どういう形でログをまとめたらいい?
作者の投稿のみまとめたほうがいい?それともそのままdat渡して平気?
まとめサイトの人も更新しないなら俺がまとめていくが。。。
480 :
名無し名人:2008/10/13(月) 04:29:50 ID:3SQCR4rG
小細工しないでログ保管所紀本
481 :
名無し名人:2008/10/13(月) 08:05:04 ID:0QY6yBs6
>>初心者の方も、しっかり局面を読む事を
心がけましょう。
おまいらわかったか?
王手飛車で飛車逃げんなよ?
482 :
名無し名人:2008/10/13(月) 15:24:51 ID:rY+DjGAk
483 :
名無し名人:2008/10/13(月) 16:49:07 ID:U1U4q1zt
▲5三銀打 まで
▽後手 作者 持ち駒:角×2 桂×2 歩×2
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│__│__│▲龍│__│__│__│▽桂│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│▲銀│▽金│▽金│▽玉│__│__│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│★銀│▽歩│__│▽歩│__│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│__│▲歩|__│__│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲歩│__│▲歩│__│▲歩│__│▲歩│__│▲歩│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│__│__│__│__│__│▲金│__│▲歩│__│七 成香−杏
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−圭
│__│__│__│__│__│__│▲銀│▲玉│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│▲香│▽龍│__│__│__│▲金│__│▲桂│▲香│九 成飛−龍
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
▲先手 4段 Hさん 持ち駒:銀 歩×2
484 :
名無し名人:2008/10/13(月) 23:35:53 ID:4nyOBiHo
>>482 あー、普通に見てしまった
たしかに違和感ない
485 :
名無し名人:2008/10/14(火) 03:25:15 ID:k6Egjyh/
58金左は流石にねーよwって思ったがw
486 :
名無し名人:2008/10/14(火) 22:24:55 ID:WWqjNA7P
あの棋譜をソフトで読み込んだら、58金は勝手に左を指していた。
将棋盤で並べたらそんなことないだろうけどね。
487 :
名無し名人:2008/10/15(水) 01:08:58 ID:yKWZv8wS
79手目に龍が逃げないのと
その次龍を取らないのが意味ワカラン
なんで?
488 :
名無し名人:2008/10/15(水) 05:52:11 ID:iew8ZCt2
大河ドラマ「森脇健児」
森脇健児:北村一輝
山田雅人:堤真一
森口博子:黒木瞳
中山秀征:佐藤浩市
ヒロミ:宇崎竜童
中居正広:中村勘三郎
木村拓哉:北大路欣也
香取慎吾:千葉真一
稲垣吾郎:松本幸四郎
草なぎ剛:田中邦衛
森且行:緒形拳(撮影済み)
松本人志:江守徹
浜田雅功:石立鉄男
小川菜摘:白川由美
黒柳徹子:清川虹子
美輪明宏:西田敏行
大鶴義丹:唐十郎
吉田栄作:小林旭
タモリ:渡鉄也
489 :
名無し名人:2008/10/15(水) 06:05:02 ID:4lCJt8Y0
笑福亭鶴瓶と北野誠は入れてやってもいいと思う。
490 :
名無し名人:2008/10/15(水) 23:37:35 ID:tEGCXTkd
>>487 大駒を差し出されて「と金」作る方が
価値が高いと主張されると考えるだろ
それは手の優劣じゃなくて勝負のハナシ
筆者が「棋理」と表現した部分を推して図るべし
491 :
名無し名人:2008/10/16(木) 17:11:46 ID:exTrYfzK
誰でもいいから第2部まとめて!
492 :
名無し名人:2008/10/17(金) 08:31:24 ID:+pCIZVMy
当初の自叙伝的流れから、
創作的流れになってきたから、
執筆に時間がかかるのかな?
色気だして創作しちゃってるのかな…
残念。
493 :
名無し名人:2008/10/17(金) 09:22:42 ID:Aomd65UV
正直、自分はちょっと…フェアではないという気がしてしまう。
淡々と事実のみを綴ると言うから、その事実を知りたかっただけなのに
自作小説を読まされた、という感じで、どうも釈然としなくてね
方針変更するならするで、一言どこかで言ってほしかったよ
作品や文章を、批判したいわけじゃないし、叩きたいわけでもないから念のため。
続きを楽しみにしている人も多いと思うよ。
494 :
名無し名人:2008/10/17(金) 15:14:45 ID:Xtg37FAE
ところで今昭和何年ごろ?
495 :
名無し名人:2008/10/17(金) 19:17:40 ID:FNpq9kJI
今は平成20年ですが…
496 :
名無し名人:2008/10/17(金) 19:33:31 ID:cEQnkYQw
昭和で言うと、だろ。83年だな。
いや、物語の進行状況のことか。
497 :
名無し名人:2008/10/17(金) 20:17:07 ID:0nMqibLr
じゃあナベヤは生きてたら85歳か。
498 :
名無し名人:2008/10/17(金) 20:28:43 ID:0nMqibLr
そして作者は羽生とタメと予想。
499 :
名無し名人:2008/10/17(金) 21:34:37 ID:Xtg37FAE
ナベヤはメタボではなさそう
500 :
名無し名人:2008/10/19(日) 02:16:55 ID:UtQygXzy
竜王戦で書くどころではないか
501 :
名無し名人:2008/10/19(日) 11:14:37 ID:OPE21Vc7
さっさと再開しろよカス
おめーは続き書く以外に存在意義がないってことを自覚しろ
俺の存在意義のクソレスができねーだろボケ
502 :
名無し名人:2008/10/20(月) 14:06:33 ID:2fW9OpFe
2008/09/14(日) 22:40:48
2008/09/16(火) 17:54:56
2008/09/17(水) 17:05:49
2008/09/19(金) 16:09:23
2008/09/20(土) 18:18:43
2008/09/22(月) 17:05:12 第二部完
2008/09/28(日) 16:30:52
2008/09/29(月) 19:33:15
2008/10/04(土) 23:23:37
2008/10/11(土) 00:12:14
2008/10/12(日) 23:50:19
そろそろかな
503 :
名無し名人:2008/10/21(火) 14:25:26 ID:YOsTuJB9
はよ創作しろや、ボケぇ
田舎駅のプラットホーム。
待合室で、ナベヤは”その後”を、ポツリポツリと
話し始めました。
二郎は葛西の元で、米問屋を手伝い、絹子は葛西夫人の営む
旅館の仲居として働き始める。
将棋は、葛西と指す程度で、もちろん真剣ではあるが、
少額である。
田舎では、将棋の強豪もおらず、
もっぱら将棋は、余興となっていた。
二郎にしてみれば、それでも良かった。
誰も知らない土地で、ひっそりと暮らす。
それでよかった。
二郎は、来る日も来る日も働いた。
葛西の恩義に応えるためである。
この間、二郎は葛西から、包丁の研ぎ方や、
鍋の修復工程を葛西から教わった。
葛西が、役場勤めをしていた時、月一の
割合で、その手の業者が来ていた為、その際
その技術を眼で盗んで覚えていたのだ。
後に二郎は、それを生業とするわけだが、
この時は、まだその事を知る由も無い。
二郎はまた、八代の事も忘れなかった。
2人が再開するのに、実に15年の歳月がかかる。
二郎が葛西の元に来て3年目。
二郎は、絹子と結婚した。
真っ白な着物に身を包む絹子は、美しかった。
仲人や、結納等、段どりは全て、葛西夫婦が
仕切った。
地元名士の、使用人の様な2人には、
もったいないくらい、盛大に式は行われた。
葛西にしてみれば、今まで真面目に勤めてきた
二郎に対して、これくらいの事は当然と
思っていただろうが、二郎は感謝した。
二郎と絹子は、改めて夫婦として、
葛西夫妻の元に世話になり、また、葛西夫婦も
二郎夫婦をかわいがった。
二郎は、あか抜けないこの生活に幸せを感じていた。
507 :
名無し名人:2008/10/21(火) 18:43:17 ID:XGrXQJt/
やっとか
あんまり待たせんな
将棋連盟道場。
Hさんは、相変わらず頭を上下に揺らしています。
”龍を取るなら、この手順しかない”
△同金直▲同銀成△同金▲6二龍△5二銀▲6三金△6一銀打。
仮に龍がどこかへ逃げても、3九に角を利かせる
事ができる。
もっとも、Hさんも、この局面で龍を逃がすとは
考えにくい。
▲5三金。
”Hさん、寄せが見えているのか?”
そんなはずは無い。
△6二銀▲5二金△7九飛。
ようやく、攻めへの足がかりを作った。
Hさん。時間を使って考えます。
ほぼ一直線に、この局面まで来ました。
私は、直観的に自玉に寄せは無いと思いました。
▲4一銀△2ニ玉▲6二金。
Hさんは、駒を補充する。
△7三角。
王手金取り。
”これは、Hさんの罠か?”
▲6四歩。
”どっちだ?金を取るか?歩を取るか?”
ここまで来て、気合い負けはしたくない。
”最後の勝負。最後まで、斬り合う”
△同角▲5五歩△同角▲4六銀。
”まだ角は、切れない”
△7七角成。
これで、自玉に馬が利く。
負けにくい形。
▲3二金△1二玉▲5九歩。
底歩。
怪しい底歩。
行くべきか?行かざるべきか?
後手、3枚の駒が利いている5九の地点。
急転直下の結末が待っていた・・。
511 :
名無し名人:2008/10/21(火) 19:26:00 ID:GFteOaP6
▲5九歩 まで
▽後手 作者 持ち駒:角 桂×2 歩×4
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│__│__│__│__│▲銀│__│▽桂│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│▲金│__│__│▲金│__│▽玉│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│__│▽歩│__│▽歩│__│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│__│▲歩|__│__│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲歩│__│▲歩│__│__│▲銀│▲歩│__│▲歩│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│__│__│▽馬│__│__│▲金│__│▲歩│__│七 成香−杏
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−圭
│__│__│__│__│__│__│▲銀│▲玉│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│▲香│▽龍│▽飛│__│★歩│▲金│__│▲桂│▲香│九 成飛−龍
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
▲先手 4段 Hさん 持ち駒:銀
512 :
名無し名人:2008/10/22(水) 00:02:55 ID:S9rzbdfY
つづく、が今回ないからこの後すぐ再開?
513 :
名無し名人:2008/10/22(水) 01:42:32 ID:Pv9asMlp
あり?続か…ないの?
514 :
名無し名人:2008/10/22(水) 20:51:41 ID:3MRUBwkb
おー、久々ですね。
ちょっと上げておきます。
515 :
名無し名人:2008/10/25(土) 06:14:03 ID:yv6wecNp
二郎は葛西から、包丁の研ぎ方や、
鍋の修復工程を葛西から教わった。
葛西から、火災から、
516 :
名無し名人:2008/10/25(土) 15:34:32 ID:J7tn3H0p
坊ちゃん「何のために包丁を研ぐの?」
ナベヤ「それは、今度は坊ちゃんを刺す為ですよ
八代の時は失敗しましたからねぇ」
517 :
名無し名人:2008/10/25(土) 21:19:20 ID:W0QvlmZX
_, ,_ _, ,_
:(;゚∀゚)゚∀゚;): ヒィィィィ──!
:( `⊃⊂´ .):
:と_ _))(_ _つ:
518 :
名無し名人:2008/10/26(日) 12:24:23 ID:YjluT6X8
ナベヤ 「もう真剣はやらないと誓ったんですよ。その代わりせめて包丁を研ごうと思ったんです」
1973年(昭和48年)夏。
二郎の元に、一通の手紙が届いた。
差出人は、八代だった。
いつかまた会おう、と約束をしたものの、
現実に、東北と東京では会えるものでは
無かった。
もう二度と、会う事は無いかと、
思っていた矢先の手紙だった。
「二郎、懐かしい奴から、手紙だぞ」
葛西が手紙を差し出す。
封を開ける二郎。
長いこと、葛西の世話になった。
これからも、葛西の下で働きたいと
思っていた二郎。
仮に、東京へ戻ってこいと言われても、
戻る気は無かった。
しかし、手紙の内容は、一度東京へ
来てほしいと言うものだった。
山城が、トラブルに巻き込まれたらしい。
そうとなれば、二郎も断る訳にはいかない。
二郎は、葛西夫妻と絹子にことわり、
一週間の休みをもらう。
そして、東京へ再び向かった。
久しぶりに八代と再会した二郎。
落ち着いて、ゆっくり話でも
したい所だが、八代は急だと言う。
とりあえず、2人で山城の事務所へ
向かった。
話の大筋はこうだ。
始まりは、他愛も無いことだった。
山城の組が、経営するキャバレーに、
あのS組のチンピラがやってきた。
散々、飲食したものの、お代を払わないと言う。
そこで喧嘩沙汰になった。
当時、はばを利かせていたS組は、それを
口実に、山城の組に圧力をかけてきた。
”シマ”から出て行けと言う。
言われる筋合いの無い山城は、S組組長に
直談判しに行く。
そこに居たのがかつて、二郎と対局した
酒井だった。
通常、この手の話は、話し合いや、究極的には
抗争でもって終結するものだが、今回は
話が違った。
S組の方で、山城側に”その地域”の債権を
全てS組に譲渡しろと言う。
つまり、完全に撤退しろと言ってきたのである。
S組は、山城側との話し合いに応じるつもりはない。
かと言って、抗争も御免だ。
そこで、S組生粋の博徒、酒井を呼んだ。
ここは一つ。博打でカタを付けようと言うのだ。
勝負の内容は、山城に一任された。
麻雀、サイコロ、カード・・・。
山城は思う。
”駄目だ。全て、イカサマが介入しそうだ”
そこで山城は、勝負を将棋に絞った。
囲碁でもよかった。
しかし、山城は、”信頼できる代打ち”に
頼みたかった。
白羽の矢は、二郎に当たった。
高度成長期末期の東京は、二郎にとって
別世界だった。
すでに50歳を迎えようとしていた二郎。
二郎にとっては、断れるはずも無い。
むしろ、この50の男に、命運を掛けてくれる
”思い”に応えたかった。
賭け対象の”ブツ”は、双方の”ある地域”の
債権だ。
その中には、かつての”二八商会”の
土地、建物の権利書も含まれていた。
山城は、相変わらず、ドスの効いた声でゆっくりと話をする。
「二郎、すまねぇな。お前を巻き込んじまって」
今回の勝負は、ただの勝負ではない。
もし負ければ、山城の組に、多大な傷を負わせる。
ヤクザ同士の勝負だ。
負けはイコール、二郎の”死”を意味する。
二郎は言う。
「勝負は受けます。でもこれが最後です」
山城は、タバコに火を付けて言った。
「分かってるよ。あらかじめ言っておくが、
もし、負けた時は、本当に最後になる」
続けて山城は言った。
「二郎。勝った場合の報酬は、何がいい?」
二郎は、出されたお茶を、一口飲んで言った。
「一つだけ。二八の土地、建物の権利書を
ヤッチンに」
その場に居合わせた八代は、一瞬二郎を見る。
「いいだろう。頼んだぞ。二郎」
二郎。
最後の勝負は、友の為。男と男の友情の証の為戦う。
その夜。
二郎と八代は、語り合った。
昔話を、存分に語り合った。
しかし、フっと現実に帰ると、来る対局に
寒気がした。
「二郎。勝っても負けても、これが最後だ」
「分かってる。ヤッチン」
「二郎。お前の気持ち。有難かったよ」
「いいんだ、ヤッチン。俺には、これ位しか出来ないから」
とは言っても、実践からほど遠く経っている二郎。
不安は隠せなかった。
翌日。
二郎の元へ、1人の男が訪ねる。
二郎のかつての弟子。仁だった。
つづく・・?
529 :
名無し名人:2008/10/26(日) 17:25:54 ID:f22zMpYT
お茶ドゾー
つ旦~
530 :
名無し名人:2008/10/26(日) 17:29:12 ID:MfpX81i0
仁はデビルと化していた
531 :
名無し名人:2008/10/26(日) 18:42:47 ID:F1rvfT56
いよいよ最終盤か
532 :
名無し名人:2008/10/26(日) 19:13:39 ID:bsDrBpFa
いいねー、
すごく楽しみに読んでます。
作者さん、がんばってくださいね>マイペースでいいから^^
533 :
名無し名人:2008/10/26(日) 23:03:18 ID:aHnRtPH9
現代東京編の対局も気になる><
ストーリー展開予想厨に負けず頑張ってくだちい
534 :
名無し名人:2008/10/26(日) 23:15:25 ID:fsiqcNyW
ん?
相手がヤマガタなのか?
535 :
名無し名人:2008/10/27(月) 01:47:32 ID:aooxkhP2
わくわく、どきどき。
二郎は生き残ってるんで、結末はわかってるんだけど、楽しみです。
536 :
名無し名人:2008/10/27(月) 01:50:29 ID:xehOo8k7
鷲巣麻雀状態だな。
面白かったらいいのよ。
537 :
名無し名人:2008/10/27(月) 03:32:59 ID:Xn1BMh92
ナベヤは鍋屋だったわけか・・・
538 :
名無し名人:2008/10/27(月) 06:26:24 ID:K70YwgCz
面白過ぎる!
ドラマや漫画になればいいのに!
あと、俺はナベヤと一局お手合わせ願いたいwww
539 :
名無し名人:2008/10/27(月) 18:24:16 ID:mzLKRXUv
いよいよクライマックスか。
540 :
名無し名人:2008/10/29(水) 21:16:08 ID:N6Kwq+hq
おもしろっ
541 :
名無し名人:2008/10/30(木) 15:08:21 ID:pw6SZagJ
「ご無沙汰しています。二郎さん」
仁は、二郎が東京へ戻ってきていると、
噂を聞き八代の元へ駆けつけたのであった。
「おお。仁。元気にしてたか?」
「はい。お陰様で。ところで二郎さん、
また八代さんと一緒に仕事を?」
屈託のない、笑顔と会話が続く。
「いや。仕事と言えば仕事だが」
二郎が言い掛けると、横から八代が口を挟んだ。
「二郎。仁は今じゃ、東京でもアマの強豪で
名も知られてるんだぜ」
「そうか。仁。すごいじゃないか」
仁は、照れくさそうに、頭を掻いた。
「二郎さんのお陰ですよ」
仁は、そう言うと改めて二郎にお辞儀をした。
しばらくすると、八代自宅前に、
一台の車が止まった。
山城だった。
さっきまで、笑い声で溢れていた室内が、
一気に静まる。
山城は、二郎に言う。
「二郎。日時と対戦相手が決まった」
二郎、八代、仁の3人は、揃って山城の方を見る。
「日時は、4日後の夜。相手は、牧村栄作だ」
「牧村?相手は、酒井じゃないのか?」
八代が聞き返す。
二郎にとっては、もはや相手は誰でも一緒だった。
その時、仁が口を挟んだ。
「牧村って、聞いた事があります」
八代は、仁の方へ向き直り、聞いた。
「どんな奴だ?その牧村って奴は」
「ええ。まだ若いんですが、かなり強いみたいです」
「強いって、お前、対局したこと無いのか?」
「はい。なんでも元奨励会って噂もあります。それと・・」
「それと?」
「ええ。あまり、いい話を聞かないんですよ」
八代と仁の会話が続く。
牧村は、あまり実態を知られていない男だった。
なんでも、かなり借金があり、ヤクザの用心棒や、
博打の代打ちをして、ヤクザの出入りも激しいみたいだった。
二郎は、ポツリと言った。
「相手は、誰でも一緒だよ」
八代、仁そして山城は、二郎をじっと見た。
「別に、弱気になる事もないだろ?」
二郎がそう言うと、各々男たちの顔に笑顔が戻る。
勝負事に、理屈は似合わない。
ただ、敵に背中を向けない生き方だけが、男たちを支える。
「そうとなれば話は早い。仁。相手してくれ」
二郎と仁は、その日から徹底して今で言う”VS”を
行った。
4日後の朝。
決戦の日。
二郎は、八代、仁が寝ている邪魔をしないように
こっそりと外へ出た。
その日は、朝から心地いい空気が流れていた。
思いっきり吸い込む二郎。
その時思い出したのは、宮田だった。
”宮田先生。私は、あなたが望むような生き方は
出来なかったかもしれない。しかし、今日は
自分にとって集大成です。一芸に心血注いで、
打ち込んだ男の、集大成です。
見ていてください。先生”
二郎は自分の心に熱く、固く、誓った。
548 :
名無し名人:2008/11/01(土) 21:44:33 ID:lr7DkhGu
いい加減完結させろよ
大した文量でもねーのに引っ張りすぎ
対局の日。
この日二郎は、朝から恒例の仁との
練習将棋をしていない。
対局ギリギリまで、神経を削られる思いを
したくなかったのか?
朝食は、二郎が作った。
まるで今日、決戦を迎えるとは、思えないような
振る舞いをする二郎。
テレビニュースは、韓国大統領の拉致事件を取り上げていた。
夕方、山城を乗せた車が、二郎たちを迎えにきた。
対局条件は、全て酒井に一任していると言う。
車は、静岡県内、温泉街へ向かった。
二郎、八代、仁そして山城の4人は、
温泉街某旅館へ到着した。
すでに、酒井は到着して、一杯やっている。
和室は16畳位だろうか?
1人の若者が胡坐をかいて、酒井の相手をしている。
この男が、牧村か?
若者は、ストライプのスーツにオールバック。
一見、俳優かと思えるような、面立ちだった。
「よう。山城。こいつが牧村だ」
やっぱり。
酒井は、軽く牧村の肩を叩き、4人に紹介した。
551 :
名無し名人:2008/11/01(土) 22:09:46 ID:Al/RXskJ
wktk
「酒井さん。どいつが俺の相手です?」
牧村は、4人を見回す。
二郎は一歩、前へ出た。
「牧村君だね。私が対局相手の・・」
「あんたが、二郎さんかい?」
ゆっくり立ち上がる牧村。
180pはあるだろうか、牧村はかなりの
長身だった。
「おい、淳。4人へ座布団、あと杯だ」
牧村は、自身の舎弟、淳にそう命じた。
牧村は、口角を少し上げ、二郎に言った。
「対局前に、命張った2人が、酒を酌み交わすのも
なかなか、オツなもんでしょ?おっさん」
二郎と牧村は一気に打ち解けた。
酒は、付き合い程度にしていた二郎。
”牧村、なかなか面白い男かもしれない”
二郎は、そう思った。
今回の勝負は、酒井が仕切っている。
まず酒井が、対局について説明を始めた。
「これから、別室に行く。二郎と牧村は
ついてこい。後の人は、ここに居てくれ
少ししたら、戻ってくる」
それだけ言うと、酒井は二郎と牧村を連れて
部屋を出て行った。
どう言うつもりだ?
残された3人に、不穏な空気が漂う。
二郎と牧村が着いた部屋。
その部屋には、すでに100人はいるだろうか?
大宴会場だった。
本来、将棋は強い者が勝つ。
1対1の為、博打としては面白くない。
そのため、この様な対局の場合、観衆にどちらが勝つか
賭けさせるのだ。
つまり、対局者は馬となる。
酒井はすでに、100人の実業家達を集めて接待の
傍ら、余興としてこの賭場を開いたのだった。
まず、20手まで進める。
20手目を封じ手とし、その後はまた別室で対局再開する。
観衆は、その20手目までの対局者の手や姿勢を見て
どちらかに賭けてもらう。
そして、その対局の持ち時間は・・
初手から1手1分。
観衆は、ダラダラ長い対局は好まない。
二郎と牧村の対局は、こうして始まる。
もちろん2人に異存は無い。
その一報は、すぐに別室で待つ八代達に伝えられた。
”ムチャクチャだ”
そうは思っても、もう後に引けない。
山城にとっては、組の命運が懸かっている。
大宴会場では、ザワザワと騒々しい。
舞台に2人は上げられた。
6寸盤を挟み、2人は対峙する。
数人の酔っ払いが、舞台に上がり2人を囲む。
振り駒の結果、先手は牧村。
つづく・・?
558 :
名無し名人:2008/11/01(土) 23:57:34 ID:jsj3vapU
おつんつん
559 :
名無し名人:2008/11/01(土) 23:57:54 ID:N02/Gmmo
毎回読んでるけど、凄まじい展開だ!!
おもしろすぐる!!
またじっくり数日明けてじっくり続きをお願いします!!
ワクテカで待っています!
560 :
名無し名人:2008/11/02(日) 00:18:01 ID:eHJtBF65
お茶ドゾー
つ旦~
561 :
名無し名人:2008/11/02(日) 03:20:07 ID:mU+zOvch
どうでもいいことですが、73年の拉致事件というのは金大中事件であると思いますが、
彼は当時大統領ではありません。
562 :
名無し名人:2008/11/02(日) 06:13:08 ID:1s+X01ay
大頭領はナベヤ
563 :
名無し名人:2008/11/02(日) 06:26:55 ID:LUBk/GRs
先に別室で20手指して封じ手してるのに、戻ってから振り駒とか…気にせず楽しんでます!
564 :
名無し名人:2008/11/02(日) 08:27:35 ID:MonwB9h9
戻って振りゴマ??
どこにかいてあるん?
565 :
名無し名人:2008/11/02(日) 10:59:00 ID:dfkjtfaO
>>563 ルールの説明部分を実際にやったと勘違いしてるだけじゃねーのか?
566 :
名無し名人:2008/11/02(日) 12:01:58 ID:bJwotrQn
>>563-
>>565 もう一度読み直すことをお勧めする。
567 :
名無し名人:2008/11/02(日) 12:10:42 ID:dfkjtfaO
568 :
566:2008/11/02(日) 12:23:41 ID:bJwotrQn
>>567 お前さんも読み直したら?
>先に別室で20手指して封じ手してる
これが誤認
20手まで観客の前で指して手を封じて、別室にて対局を再開する。
>>556 は、その大宴会場での対局開始の場面。
569 :
名無し名人:2008/11/02(日) 12:25:17 ID:BREsi7kP
馬鹿に構うなよ
570 :
名無し名人:2008/11/02(日) 14:23:28 ID:BkZG+wIt
>>559 毎回同じようなコメいらんて。
作者はそんなのんびりしなくて早く終わらせてほしい。
571 :
名無し名人:2008/11/02(日) 20:33:32 ID:NWtzGaYl
毎回、楽しみにしてます。
批判は気にせず、じっくり続けてくださいね!
572 :
名無し名人:2008/11/02(日) 21:16:16 ID:nOjsFVQS
さっさと書け
勿体ぶるな
573 :
名無し名人:2008/11/02(日) 21:55:58 ID:dfkjtfaO
>>568 オレはそんな誤認していない
勝手に勘違いすんな
574 :
名無し名人:2008/11/02(日) 22:20:56 ID:yVnloUY8
〉572
うるせんだよ。いやなら読むな。
このボケナスが。
575 :
名無し名人:2008/11/02(日) 22:41:06 ID:bJwotrQn
576 :
名無し名人:2008/11/03(月) 00:06:05 ID:JqLJq/5O
やめてー!私のために争わないでー!!
文句があるなら将棋で決着をつけろ
577 :
名無し名人:2008/11/03(月) 00:54:22 ID:NO4S99Y7
この小説に影響されて
ヤクザ気取りのレスが目立ちます。
578 :
名無し名人:2008/11/03(月) 21:58:00 ID:V6ipu0+e
9末からためてた分、やっと追い付いた。
完結してなくてよかった。
579 :
名無し名人:2008/11/04(火) 00:01:06 ID:ZdDHA1Xn
筆者さん 久し振りにカキコします
物語も終盤に近づいた感じですが
生死のはざまを闘って生きることができた姿
ナベヤの告白を聞いた後 筆者が将棋会館で体感したこと
創作が入っているというカキコもありますが
本当に筆者さんが体験したことや思ったことに嘘はないはず
崇高な文学なんて望んでないから 今までとおり
へたくそでいい 想いを忠実に落としてください
580 :
名無し名人:2008/11/04(火) 00:13:56 ID:XdBUGwd3
581 :
名無し名人:2008/11/04(火) 00:27:50 ID:vMVYgRnj
最近読み始めてやっと追いついた。久々に、将棋板を見てて良かったと思った。
582 :
名無し名人:2008/11/05(水) 00:34:16 ID:OsBirnEF
>>566 お前は頭冷やして自分の書き込みを見直したほうがいいと感じた今日この頃。
583 :
名無し名人:2008/11/05(水) 01:12:36 ID:uJEbdwim
先生乙です
続きwktk
584 :
名無し名人:2008/11/05(水) 01:38:04 ID:S9QMztfr
585 :
名無し名人:2008/11/05(水) 13:35:06 ID:rCZRf0Lj
586 :
名無し名人:2008/11/06(木) 10:24:34 ID:ROSNe6IB
まけたら死ぬの?
当時のヤクザのだいうちって。
587 :
名無し名人:2008/11/06(木) 12:55:45 ID:m/Z2Xgjk
さっさと書けやカス
得意のリアル美濃囲いで二郎を取り囲む牧村。
589 :
名無し名人:2008/11/07(金) 02:11:38 ID:s1EelA1Q
なくなったかと思ってびっくりしたよ
590 :
名無し名人:2008/11/07(金) 16:41:23 ID:54jh9gei
いやぁ、いっきに読みました。本当に思しろいです。
全然先が読めない。期待以上の出来ですね。
続き、また数日あいても、ワクテカでまっています!!
591 :
◆lcoQbZqMNg :2008/11/08(土) 18:01:56 ID:4RLAMFog
ざわめいている大宴会場。
いたる所で、酒を酌み交わしている光景が
目に付く。
ルール説明が酒井の方から告げられ、
いよいよ対局が始まった。
記録係として、酒井の部下が時計をチェックする。
牧村の先手。牧村は、静かに目を閉じた。
牧村は、初手は決めていた。
▲2六歩だ。
しかし、すぐには指さない。
牧村は考えていた。
自分が、▲2六歩と指した後の事を。
まず、▲2六歩の後、△3四歩と来た場合を読んだ。
そしてある程度読んだら、次は△8四歩と来た場合を読んだ。
1分という、限られた時間を、目一杯使う牧村。
もう、何手読んだだろうか?
牧村は、ゆっくりと右手で2七の歩をつまむ。
50秒、1,2,3・・。
牧村は、カッと目を見開いた。
牧村、初手▲2六歩。
592 :
◆lcoQbZqMNg :2008/11/08(土) 18:08:42 ID:4RLAMFog
二郎の手番。
二郎も初手は決めていた。
▲8四歩だ。
しかし、こちらもすぐには指さない。
二郎も、牧村同様読みに入る。
にわかに、大宴会場の雰囲気が変わった。
皆、酒を飲む手を止め、舞台の2人を
食い入るように見つめる。
”初手は、飛車先の歩を突く”
50秒、1,2,3,4,5・・
二郎。△8四歩。
戦いの火蓋が切って落とされた。
593 :
名無し名人:2008/11/08(土) 18:15:31 ID:DcJ8hN11
乙
待ってたよ
594 :
◆lcoQbZqMNg :2008/11/08(土) 18:16:10 ID:4RLAMFog
牧村。
気合い負けだけは出来ない。
今まで、いく度も真剣勝負をしてきた。
日本刀や、拳銃をチラつかせられながら
対局したことも、1度や2度では無い。
勝負が大きければ、大きいほど燃える男。
牧村栄作。
キっと二郎を睨みつける。
その姿を周りの観衆が見て、”おぉ”と
歓声を上げる。
牧村。▲2五歩。
この突き越しは意地の突き越しだ。
595 :
◆lcoQbZqMNg :2008/11/08(土) 18:22:28 ID:4RLAMFog
一手1分とはいえ、双方時間をフルに
使ったとして、終局120手でも約2時間。
正に、精神力の勝負だ。
1分間で、双方読み切れる所まで
トコトン読む。
どちらかに読みぬけがあればそれまでの勝負に
なりかねない。
”神経を使う”
二郎はそう思った。
いっても二郎はもう50歳である。
この神経戦に耐えられるか?
二郎。△8五歩。
596 :
◆lcoQbZqMNg :2008/11/08(土) 18:29:02 ID:4RLAMFog
どうと言う事は無い”相掛り”ではあるが
この4手のやり取り。
2人にとっては、まさしくお互いの喉元に
剣先を突き付けるかのような”歩の付き合い”である。
手拍子に、すぐ指すような事はしない。
限られた1分を、最大限フルに使う。
定跡形になれば、研究量がモノを言う。
お互い、相手の土俵では戦いたくない。
微妙な駆け引きが続く。
50秒、1,2・・。
牧村は、ハッと我に帰った。
▲7八金。
二郎。
ジッと考える。
”この神経戦では、早めに手将棋にした方がいい”
局面が煮詰まる前に、力戦にし、
1手1手にプレッシャーをかける。
その方が、二郎にとっては戦いやすい。
もっとも、手将棋は得意とする二郎だが
牧村の力量は分からない。
手将棋になれば、後はどちらの読みが
相手を上回っているかだ。
二郎は、その方が勝負としては潔いと思った。
二郎。△8四飛。
序盤、渾身の1手。
牧村、虚を突かれたか?
一瞬、首を傾けるのを誰しも見逃さなかった。
”おっさん。序盤早々ケンカ売ってんのか?”
一見、すぐにでも咎める事が出来そうだが
冒険はいけない。
負けられない勝負だ。
▲7六歩。
△3二金。
牧村は、襲ってくる高揚感を抑えられない。
”ワクワクするぜ、おっさん”
牧村。▲6六角。
まずは、一回角を飛車に当てる。
わずか10手目で、双方の大駒が
奇抜な動きを見せる。
この10手のやり取りで、観衆はすでに
2人の対局に魅入られていた。
二郎。
”まだ角道は、開けられない”
一気に、斬った張ったの勝負は出来ない。
△7四飛。
二郎、ジッと飛車を寄る。
縦歩を狙うのか?
駒組を乱したくないのは、双方同じだ。
牧村。
”金で受けるなど、言語道断”
▲7五歩。
牧村は思った。
もし、この段階で後手が角道を
開けたとしても、▲8八銀で
なんでもない。
後手は、次の△5三角成をふさぐ為、
一旦、受けなくてはいけない。
”ここで、角道を開ける手は無い”
すでに手将棋の様子になった。
へたに形を乱す手は指せない。
△5四飛。
※訂正。
>>599 最後▲7五歩は
▲7五角の間違いです。
牧村はジッと盤面を見る。
”ある程度局面を収めながら攻めたい”
二郎の飛車は不安定と見る牧村。
歩越しの飛車。
局面を読む牧村。
50秒、1,2,3,4,5、・・。
▲4八銀。
牧村は思う。
”焦る必要は無い、手堅く行く処は、手堅くだ”
二郎もまた、盤面を凝視する。
読みふける。
”読み筋”
そして、二郎はこう思っていた。
牧村の角こそ、不安定。
後は、角道を開けるタイミングだ。
ギリギリ、いい条件で開けたい。
権利は、こっちに有る。
△7二銀。
牧村。
”おっさん、いつまで意地張ってるつもりだ?”
ジワジワ、ゆっくりと飛車をいじめて
優勢だ。
機を見て飛車先の歩を交換したい。
そのタイミングは、後手が角道を開けた時だ。
まさか、端歩突いて△1三角なんて受けはしないだろう・・。
まずは、自分の角の安定を図るのが先決。
▲6六角。
二郎。
ワイシャツの胸ポケットから
タバコを1本取り出す。
これは、二郎の癖で、二郎はタバコの箱本体を
人に見せずに、器用に1本だけタバコを取り出すのだ。
火を付ける。
ここまでの動作で15秒程使ったか?
”上から圧力を掛けてやる”
手将棋である以上、ある程度は独善の読みになる。
落とし穴だけに気を付ける。
細心の注意を払う。
△8三銀。
牧村。
”▲8二角がある以上、まだ角道は開けないな”
玉を安定させよう。
いつまでも居玉に付き合ってられるか。
後手も次△7二金か・・。
そこから牧村は読みふける。
読み抜けは許されない。
”・・・そこで角をいじめられる前に、手を作りたい”
▲6九玉。
二郎。
二郎はすでに、数手先を何通りか読んでいた。
”いずれ、牧村は▲5六歩を突いて、飛車を呼び込む”
その時に、どのような局面になっているか?
二郎も気合い負けはしたくない。
もし、どこかで▲5六歩と来たら、△同飛と
するつもりだ。
そうしたら、▲5七銀・・・。
ジッと局面を読む二郎。
50秒、1,2,3,4,5,6,7・・。
△7二金。
牧村。
”読み通りだ”
まずは、自陣を安定させない事には、
安心して勝負できない。
極力、離れ駒をなくし攻める。
▲5九金。
ここまでで19手。
二郎は、つぎの1手を封じた。
609 :
封じ手前:2008/11/08(土) 20:08:35 ID:xuM+WDXr
19手目▲5九金 まで
後手 二郎 持ち駒: なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│▽桂│__│__│▽玉│__│▽銀│▽桂│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│▽金│__│__│__│▽金│▽角│__│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│▽銀│▽歩│▽歩│▽歩│▽歩│▽歩│▽歩│▽歩│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│▽飛│__│__│__│__│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▽歩│__│__│__│__│__│▲歩│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│▲歩│▲角│__│__│__│__│__│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│▲歩│▲歩│__│▲歩│▲歩│▲歩│▲歩│__│▲歩│七 成香−仝
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−今
│__│__│▲金│__│__│▲銀│__│▲飛│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│▲香│▲桂│▲銀│▲玉│★金│__│__│▲桂│▲香│九 成飛−竜
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
先手 牧村 持ち駒: なし
つづく・・?
611 :
名無し名人:2008/11/08(土) 20:43:36 ID:nKdPW+xv
608 名前: ◆lcoQbZqMNg [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 19:48:48 ID:4RLAMFog
610 名前: ◆lcoQbZqMNg [sage] 投稿日:2008/11/08(土) 20:21:56 ID:4RLAMFog
つづく・・?
ネタが思いつかなくて先が書けません、てかw
612 :
名無し名人:2008/11/08(土) 21:02:29 ID:RSsjkyuB
お茶ドゾー
つ旦~
613 :
名無し名人:2008/11/08(土) 21:14:31 ID:DPXpLHyS
おぉ、ドゾー課長も御健在ですか!
いよいよ、ナベヤの最終決戦!
ワクテカです。
今から、一番初めから一気に読み直す!何度読んでも面白い!
614 :
名無し名人:2008/11/08(土) 21:19:39 ID:e8heJnG7
展開遅っ!
615 :
笑った:2008/11/08(土) 21:25:49 ID:8svJ02Wg
「なぜ竜王に襲われた城や町民は立ち上がらないのか?
勇者のくせに、モンスターを倒して金を得るなど
盗賊と同じではないか」等
616 :
名無し名人:2008/11/08(土) 21:33:57 ID:8Fz1CLFM
>>615 エニックス「申し訳ございません
お詫びに盗賊という職業を作っておきました」
617 :
名無し名人:2008/11/08(土) 22:02:52 ID:/uS7cJNF
しかし最終決戦に凄い将棋だな
618 :
名無し名人:2008/11/08(土) 22:21:03 ID:cypqekmP
緊迫感が伝わってくるね〜
次の手で20手だけど、この局面だけを見たら俺は先手に賭けるな
619 :
名無し名人:2008/11/08(土) 22:40:26 ID:8svJ02Wg
二郎たれ?
まとめサイトの次に1から読んだら意味踏めい
620 :
名無し名人:2008/11/08(土) 23:03:08 ID:7LyCIR6J
途中でdズラとかまとめサイトの管理人は最悪すぎる
621 :
名無し名人:2008/11/09(日) 05:45:00 ID:7qNpcpEN
住人で全部保存してるって言ってた人いたよね?
欠けてるとこだけ、まんまコピぺしてほしいんだけど、できる??
622 :
名無し名人:2008/11/09(日) 06:25:15 ID:BmSpMeae
自分じゃないけどやってみるよ。
以下、『或る真剣師の告白』スレからのコピペね。
623 :
名無し名人:2008/11/09(日) 06:27:35 ID:BmSpMeae
339 : ◆lcoQbZqMNg :2008/08/31(日) 22:56:21 ID:kymJybaR
ナベヤは、その時宮田がその年の初めに
亡くなった事を知りました。
学のない自分に、世界観を教えてくれた
心の師の悲報は、ナベヤを心の底から
苦しめます。
日本の山奥にでも逃げて、戦争なんかに
行かなければよかった。
そうすれば、ひょっとすると、もっと充実した時を
過ごせたかもしれません。
なによりも、ナベヤを苦しめたのは、
戻ってこい。また会おう。と言ってくれた人が
誰一人として、ナベヤを迎えてくれなかった
事です。
失意と落胆、そして、なにか裏切られたと言う
感情がナベヤに芽生えたそうです。
帰り際、玲子がナベヤに少し大きめな
包みを渡します。
その包みをしっかりと両手で持ち、ナベヤは
かつて、宮田が言った言葉
「見聞を広げる、一芸に秀でた男」
を思い出します。
将棋だ!将棋だ!将棋だ!
青々と広がる大空と潮の匂い。どこまで続いているのか?
ナベヤは、東京へ向かいます。
第一部 完結
624 :
名無し名人:2008/11/09(日) 06:28:53 ID:BmSpMeae
340 : ◆lcoQbZqMNg :2008/08/31(日) 22:59:57 ID:kymJybaR
※本文中、戦争の話が出てきますが
戦争を美化するつもりも、思想を
押しつける気もありません。
ただ、彼の話を書く上で、外せない
と勝手に判断しただけです。
一部の方に、不快な思いをさせて
しまった事を、お詫びいたします。
625 :
名無し名人:2008/11/09(日) 06:29:57 ID:BmSpMeae
344 : ◆lcoQbZqMNg :2008/08/31(日) 23:09:21 ID:kymJybaR
※当初、この話は、私のわがままで始めました。
投書すぐ、撤退かな?と思いましたが、
皆様の温かい応援に支えられ、ここまで書く
事ができました。有難う御座いました。
ナベヤの、真剣時代は、戦後から始まります。
では、戦後から書けばいいのでは?と御思い
でしょうが、なにぶん、わがままで始めた事と
構成上もっと時代を遡った所からになって
しまいました。東京編は、お邪魔でなかったら
書きたいと思います。
では、改めて皆様、有難う御座いました。
626 :
名無し名人:2008/11/09(日) 06:31:18 ID:BmSpMeae
367 : ◆lcoQbZqMNg :2008/09/01(月) 00:14:07 ID:eseXBM56
※1000まで埋めるつもりです。
東京編は、構成が頭で決まり次第
書きます。お約束いたします。
記憶をたどるだけですので
しばし、荒さずお待ちください。
勝手なお願いですが。できれば、
感想などありましたらお願いいたします。
627 :
622:2008/11/09(日) 06:57:04 ID:pGsV7pHR
連続投稿で書き込みできなくなったので、今携帯からの書き込みです。
面倒なのでVIP Uploaderの4Mにそっくりあぷしました。
ぱすは6桁です。
628 :
名無し名人:2008/11/09(日) 10:12:37 ID:WIBK3AwB
全部コピペなんて依頼する方もやろうとする方も
とんでもねえな。
629 :
622:2008/11/09(日) 21:04:57 ID:BmSpMeae
>>628 ヒマだったからねw
でもまとめてアップしてやっぱり良かった。
630 :
名無し名人:2008/11/12(水) 00:21:41 ID:JatmEXqP
すみません。ぱす6桁ってnabeyaじゃないんですか?
631 :
名無し名人:2008/11/12(水) 00:57:43 ID:zWuBVN08
見てないがたぶん日付だろう
632 :
名無し名人:2008/11/12(水) 01:37:18 ID:KTLbrxeM
ビンゴ!
>631さん、ありがとう!
八代、仁そして山城の居る座敷に
酒井が入ってきた。
「た、対局はどうなった?」
八代が話の口火をきる。
「一旦、休憩だ。」
酒井が返す。
酒井、そして二郎、牧村がこの座敷を出て行って
約30分。
対局の経緯と状況を、酒井は3人に説明した。
そして、1枚の棋譜を3人に差し出した。
2人の、19手までの棋譜だ。
受け取る八代。
酒井が言う。
「あと5分もすれば、場所を改め対局再開だ。
対局場は、奥の座敷を用意してある。
そこには、二郎、そして牧村。後、記録係と
立会人としてワシが陣取る。
対局の棋譜は、10手ごとにここへ係りの者が
届ける。
不正が無いよう双方、1名づつ誰か付ける事が
出来るが、お前たち、誰か付くか?」
山城が言う。
「仁を付けよう」
それを制するように八代が言う。
「駄目だ。仁がいないと、対局の形勢判断を
出来る者がいなくなる」
結局、二郎サイドは誰も付けない事にした。
二郎もその方がいいだろう、と言う配慮もあった。
最後に、酒井が言った。
「今度、ワシがここへ来る時は、対局が終わった時だ」
八代、仁、山城の3人は、一抹の不安を抑えるので
精一杯であった。
酒井が、部屋を出て行く。
早速、棋譜を並べる仁。
「どうだ仁?形勢の方は?」
八代が聞く。
「考えるのもイヤになる様な将棋です」
仁の言葉に、2人声を失う。
とても、1分で指す将棋とは思えない。
短手数での決着もあり得る。
「ここからは、駒組みと細かい応酬が
続きそうです」
仁が言う。
都内でも、アマ強豪に名を連ねる仁の言葉だ
信ぴょう性は高い。
八代が、山城に向って言った。
「山城さん。もし二郎が負けたら、どうするんですか?」
山城は、タバコを取り出し、火を付け、一口吸ってから
ジワリと低い声で言った。
「その時は、二郎を殺して、俺も死ぬ」
組の縄張りが懸った勝負だ。
思いは、山城も二郎も一緒だ。
”負けられない”
二郎の封じ手は、△5二玉。
さすがに、居玉のままでは戦えないと見たか?
牧村も考える。
”中央を制圧したい”
その手順を読む。
一心不乱に読む。
50秒、1,2,3,4・・。
牧村。
▲6八銀。
この様な対局の場合、一見、攻め手順に
目が行きがちだが、いかに”手を渡すか”も
重要になる。
二郎。
じっと△1四歩。
牧村。受ける、▲1六歩。
二郎。牧村の中央制圧を警戒する、△7四銀。
牧村。引かない、▲7七桂。
二郎。あくまで角頭狙いか?△6四歩。
牧村。じっくり腰を落として考える。
”なにか技が掛りそうだ”
牧村は、そっと歩を突いた。
牧村。▲5六歩。
”来た”
二郎はそう思った。
同飛以下の手順を読む。
当初から、同飛は予定とはいえ、状況が
変われば手も変わる。
しかし二郎。迷わず、△同飛。
牧村。力強い手つきで、▲5七銀右。
パシッと高らかに駒音をたてる。
二郎。来るならこい、とばかりに、△5四飛。
牧村。思い通りの中央制圧、▲4六銀。
二郎。返す刀で、△6五歩。
牧村。深追いはしない、ジッと、▲4八角。
二郎。ここぞとばかりに、△3四歩。
ついに二郎。
角道を開けた。
その頃、八代達が待つ座敷は、さながら
控え室と化していた。
その控室に、棋譜が届けられる。
▲5七銀右までの棋譜だ。
仁はすぐに並べる。
「どうだ?仁?」
「中央が暑い分、若干、若干ですが二郎さん、不利と・・」
深い沈黙の控え室。
ほぼ必然とも言える手順ではあるが
二郎は、牧村を引きこんでいるのか?
先に歩得をした二郎。
”じっくり、歩得を生かしてくれ二郎さん”
仁はそう思っていた。
50秒、1,2,3,4,5,6,7,8・・。
牧村。9を読まれる寸前。
開戦の狼煙を上げる、▲2四歩。
二郎。取る1手ではあるが、時間をかけて読む。
こう言う時にこそ時間を有効に使う。
50秒、1,2,3,4,5・・。
△同歩。
そこは、牧村も同じだ。
同飛の1手に、その先を読む。
50秒、1,2,3,4、・・。
▲同飛。
二郎。スッと飛車を滑らす。
△6四飛。
牧村。飛車先を切ってまずは満足、▲2八飛。
二郎。局面を一時的に収める、△2三歩。
牧村。桂と角の活用を図る、▲3六歩。
二郎。臨戦態勢に入る、△4二銀。
ここまで双方、1分間、ギリギリまで考えて指す。
牧村の角が窮屈から脱すると、二郎の飛車も
気づけば下段に引ける態勢。
牧村は考える。
”揺さぶりを掛けてやる”
牧村。意表の、▲4五銀。
二郎。ここは考え所だ。
644 :
名無し名人:2008/11/15(土) 18:37:14 ID:BO3/g5fr
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △8四飛
▲7六歩 △3二金 ▲6六角 △7四飛 ▲7五角 △5四飛
▲4八銀 △7二銀 ▲6六角 △8三銀 ▲6九玉 △7二金
▲5九金 △5二玉 ▲6八銀 △1四歩 ▲1六歩 △7四銀
▲7七桂 △6四歩 ▲5六歩 △同 飛 ▲5七銀右 △5四飛
▲4六銀 △6五歩 ▲4八角 △3四歩 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △6四飛 ▲2八飛 △2三歩 ▲3六歩 △4二銀
▲4五銀
どちらも緻密に考える。
読み抜けは、即、負けを意味する力将棋。
まずは、二郎の読みを外す▲4五銀。
先に試してきたのは、牧村だった。
二郎も、頭をフル回転させる。
”今は”まだ何でもない銀だ。
しかし、後手の3四の歩を狙っているのは
明確だ。
この局面をどう考える?
二郎の飛車を、4段に釘付けにする牧村の▲4五銀。
複雑な経路をたどり、読み合い合戦になってきた。
立会の酒井は、汗ばむ自分の手をギュっと握り締めた。
つづく・・?
647 :
名無し名人:2008/11/15(土) 19:13:51 ID:hkjkAOyh
お茶ドゾー
つ旦~
648 :
名無し名人:2008/11/15(土) 19:49:20 ID:q6IO2p8k
面白い!!
興奮した!
しかも凄まじい場面で、次回のお楽しみっすか!!
文体も独特でしかも整ってきた!
本物の小説そのものですね。
次回を心から楽しみにしています!
649 :
名無し名人:2008/11/16(日) 02:35:56 ID:TTn01Zv8
43手目▲4五金 まで
後手 二郎 持ち駒: 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│▽桂│__│__│__│__│__│▽桂│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│▽金│__│▽玉│▽銀│▽金│▽角│__│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│▽歩│__│▽歩│__│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│▽銀│▽飛│__│__│▽歩│__│▽歩│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▽歩│__│▽歩│__│★銀│__│__│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│▲歩│__│__│__│▲歩│__│▲歩│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│▲歩│▲歩│▲桂│▲歩│__│▲歩│__│__│__│七 成香−仝
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−今
│__│__│▲金│▲銀│__│▲角│__│▲飛│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│▲香│__│__│▲玉│▲金│__│__│▲桂│▲香│九 成飛−竜
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
先手 牧村 持ち駒: 歩
650 :
名無し名人:2008/11/17(月) 01:37:20 ID:sX67yDz+
面白さに拍車がかかってきましたね!
マジで目が離せない
651 :
名無し名人:2008/11/17(月) 04:22:44 ID:s3Sv078p
展開遅いなぁ
652 :
名無し名人:2008/11/17(月) 10:20:32 ID:c4Mio5tx
徐々にアカギやカイジ並の展開&執筆速度になりつつあるような・・・w
653 :
名無し名人:2008/11/17(月) 17:58:43 ID:0/tcGeLQ
>>649 この局面はほぼ互角なのかな。
k-shogi同士でやったら先手が勝ったけど。
「おっさん、茶でも飲むか?」
話しかけてきたのは、牧村だった。
決して盤外戦術ではない。
牧村は、この空気にいたたまれなくなって
二郎に、純粋に話しかけたのだ。
「いただこうか・・・」
二郎は答えた。
「おい。淳、俺とおっさんに茶を出してくれ」
「はい。栄さん」
この淳という若者を見ると、牧村の教育が
行きとどいている事がよく分かる。
それほど、淳の行動は気が利いていた。
淳は、二十歳そこそこの年齢だろうか?
なんの因果でこの世界へ・・。
二郎は、一瞬そう考えると銀をつまみ、引いた。
二郎。△6三銀。
飛車を引けば3四の歩を取られる。
ここは、1歩損すらしたくない二郎だった。
牧村。二郎のその無防備な飛車のコビンへ、▲7五角。
また揺さぶりをかける牧村。
二郎。再度飛車を滑らす、△7四飛。
当然、二郎は飛車を角と刺し違えるつもりは無い。
二郎陣は、明らかに飛車を打ち込まれると弱い形だからだ。
もちろん、そんな事は牧村は見越している。
角を動かす手は無い。
角は、逃げる必要は無いのだ。
牧村は、ここから10数手先の、決戦の手順を
読んでいた。
”おそらく、こうなる筈だ・・”
50秒、1,2,3,4,5,6・・。
牧村。安全に指す、▲7九玉。
少しでも、玉を安全な場所へ
移動させようとする牧村。
その手に迷いは無い。
二郎。角が舞う、△5五角。
今度は、二郎が1回、牧村の飛車に
角を当てる。
淳が、2人にお茶を出したのはその時だった。
一心不乱に読みふける牧村。
淳が近づいたのも気づかない。
牧村。▲1八飛。
二郎。ここは読み筋、△6四銀。
牧村。薬指で頭を掻く、▲5七角。
二郎。△7六飛。
無条件で、歩を獲得。
これで2歩得だ。
牧村は、20代後半に見える若者だった。
この男にも、いろいろな人生があった事だろう。
噂では、ヤクザに莫大な借金があるらしい。
その為、時には代打ちとなり、時には
こうして馬になる。
”皆、勘違いするな。今日、生きているのは、タマタマだ”
牧村はよく、淳にそう言っていた。
いつもギリギリで生きてきた。
辛抱に辛抱を重ねて生きてきた。
牧村。なけなしの歩を打つ、▲5六歩。
二郎。当然角を引く1手に時間を掛ける。
”この2枚の歩が生きる”
50秒、1,2,3,4,5,6・・。
△2二角。
牧村。歩損ながらも果敢に攻める、▲4六角。
二郎。受ける、△6三金。
牧村。▲3四銀。歩を補充すると共に
力強く銀を出る。
二郎。嫌味を付ける、△8六歩。
牧村。ここぞとばかり、▲2八飛。
2筋突破を目指す牧村。
1本取ったか?
いや、二郎。そこも読み筋。△4四角。
牧村。ここは行くしか無い、▲2三銀不成。
気が付くと、二郎の歩得はイーブンに戻っている。
二郎。牧村の飛車先へ、歩を打ちつける、△2七歩。
牧村。▲同飛。
二郎。△2六歩。
二郎、2歩を生かして牧村の飛車先を止める。
何が何でも飛車の侵入は許されない。
牧村。ここは引けない、▲3二銀成。
二郎。行く、△2七歩成。
牧村。意図的に桂を吊り上げる、▲2二歩。
二郎。牧村の術中どうり、△3三桂。
牧村。二郎陣を薄くする、▲4二成銀。
二郎。同玉。
ここまで、お互いギリギリまで読む。
ほぼ一直線の斬り合い。
牧村。二郎陣の隙を突く、▲7二銀。
二郎、考える。
50秒、1,2,3,4,5,6,7,8・・。
△5二玉。
ジッと玉を寄った。
牧村。簡単に金は取らない、▲3五金。
二郎に対し、畳み掛ける牧村。
対局が始まって、すでに1時間以上経っていた。
不屈の精神力で己を支える2人。
二郎は、額から流れ、首筋にまできた汗を拭った。
牧村の手順に、吸い込まれる二郎。
△同角。
牧村。▲同歩。
角を取ると同時に、先ほど釣り上げた桂へ向けて
歩を突きだす。
牧村の飛車が、2筋突破を目指す。
二郎。△5六飛。
牧村。手堅く、▲5七歩。
二郎。何が何でも、飛車先突破を阻止する、△5四飛。
663 :
名無し名人:2008/11/17(月) 22:05:18 ID:rE2vXnNJ
>牧村の飛車が、2筋突破を目指す。
これは??
※訂正 牧村は飛車がありません。
桂頭と勘違いしました。
二郎は、手順に飛車を引いた。
薄い桂頭を守る飛車引きだ。
この勝負、先に龍や馬を作りたい。
今、手番は牧村。
馬を先に作る権利を得た。
ここはじっくり考える。
牧村は駒台から、角を摘み取った。
パシぃっっ。
牧村。駒音高らかに角を打ちつける。
▲6一角。
つづく・・?
ちょっと疲れたみたいです。
667 :
名無し名人:2008/11/17(月) 22:22:55 ID:C0qGAIGm
79手目▲6一角 まで
後手 二郎 持ち駒: 飛 金 銀 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│▽桂│__│★角│__│__│__│__│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│▲銀│__│▽玉│__│__│▲歩│__│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│__│▽歩│▽金│▽歩│▽歩│▽桂│__│__│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│▽銀│▽飛│__│__│__│▽歩│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│▽歩│__│__│▲歩│__│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▽歩│__│__│__│▲角│__│__│▲歩│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│▲歩│▲歩│▲桂│▲歩│▲歩│▲歩│__│▽个│__│七 成香−仝
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−今
│__│__│▲金│▲銀│__│__│__│__│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│▲香│__│▲玉│__│▲金│__│__│▲桂│▲香│九 成飛−竜
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
先手 牧村 持ち駒: 歩
668 :
名無し名人:2008/11/17(月) 22:24:38 ID:0/tcGeLQ
お茶ドゾー
つ旦~
669 :
名無し名人:2008/11/17(月) 22:34:04 ID:S3Qkfbes
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △8四飛
▲7六歩 △3二金 ▲6六角 △7四飛 ▲7五角 △5四飛
▲4八銀 △7二銀 ▲6六角 △8三銀 ▲6九玉 △7二金
▲5九金 △5二玉 ▲6八銀 △1四歩 ▲1六歩 △7四銀
▲7七桂 △6四歩 ▲5六歩 △同 飛 ▲5七銀右 △5四飛
▲4六銀 △6五歩 ▲4八角 △3四歩 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △6四飛 ▲2八飛 △2三歩 ▲3六歩 △4二銀
▲4五銀 △6三銀 ▲7五角 △7四飛 ▲7九玉 △5五角
▲1八飛 △6四銀 ▲5七角 △7六飛 ▲5六歩 △2二角
▲4六角 △6三金 ▲3四銀 △8六歩 ▲2八飛 △4四角
▲2三銀不成△2七歩 ▲同 飛 △2六歩 ▲3二銀成 △2七歩成
▲2二歩 △3三桂 ▲4二成銀 △同 玉 ▲7二銀 △5二玉
▲3五金 △同 角 ▲同 歩 △5六飛 ▲5七歩 △5四飛
▲6一角
670 :
名無し名人:2008/11/17(月) 22:38:01 ID:rE2vXnNJ
▲6二玉、△6三銀成り、▲同玉、△4三角成り
と進むのだろうか?
671 :
名無し名人:2008/11/17(月) 22:39:57 ID:rE2vXnNJ
あ、↑の▲と△が逆だ・・・
※ブレークタイム
今回投稿で、ミスをしてしまいました。
過去にも、たしか1回位ミスしています。
構成を考えず、一気に書くため
ミスすると結構ヘコミます。
ご迷惑をおかけします。又、展開が遅い等
ありますが、自分自身、過去の文を読まずに
保存もせず書いています。一度全部読んでみたいのですが
何か方法はありませんでしょうか?
673 :
名無し名人:2008/11/17(月) 23:47:34 ID:C0qGAIGm
※有難う御座います。
改めて見たいと思います。
私は、パソコンが苦手なもので
このように、保存していただけるような
方がいるとは思いませんでした。
改めて、有難うございました。
675 :
名無し名人:2008/11/18(火) 00:32:17 ID:13gsQY7S
>>674 いえいえ。
結構、保存されている方はいると思いますよ。
焦らず頑張ってください。
676 :
名無し名人:2008/11/18(火) 07:00:47 ID:ALAgS1Nf
逆にこんなにみんな専用ブラウザ使ってないのか…と驚いたくらいだぜ
677 :
名無し名人:2008/11/18(火) 19:09:29 ID:kbCKrcAm
これは先手優勢かな。
どうするナベヤ
678 :
名無し名人:2008/11/18(火) 20:42:05 ID:mqLkM6s2
二郎のタバコの取り方と同じ俺はナベヤwww
679 :
名無し名人:2008/11/18(火) 20:47:14 ID:13gsQY7S
ナベヤが入玉して勝つのかな
680 :
名無し名人:2008/11/18(火) 20:50:31 ID:kbCKrcAm
なるほど入玉か。
真剣師らしいかもな。
681 :
名無し名人:2008/11/18(火) 21:08:33 ID:3IKJQg5L
こういうのでちゃんと風呂敷畳めそうなの初めて見たかも
一見、先手優勢の局面か?
いや、おそらく、見る者が見れば互角と
言うだろう。
二郎。80手目。△6二玉。
牧村。6三銀成から4三角成、などと言う手は
1秒も読まない。
なぜなら、仮に飛車を手持ちにしても
飛車1枚の持ち駒では、到底、二郎玉を
寄せきれないからだ。
そればかりか、馬で5四の飛車を取る1手の
動きが必要だ、二郎の方が先に3九等に飛車を打ちこめる。
それでは速度負けしてしまう。
銀、角を手放してまで、飛車を取ろうなどとは
”到底、考えられない手”
なのである。
”心配するな、自玉は堅い”
牧村は、無理攻めをする必要は無い。
ジワジワと網を張ればよい。
あと1手、あと1手、▲8八玉とは入れれば
盤石だ。
牧村。6三銀成。
二郎。同玉。
牧村。8六歩。
目ざわりな歩を払う。
手番は二郎。
二郎は、龍を作りたい。
欲を言えば、いまある5四の飛車を成り込みたい。
二郎。△5二銀。
牧村。▲8三角成。
牧村、馬を作ったとはいえ、持ち駒不足は
否めない。
故に、見る者が見れば、互角の局面なのだ。
二郎は、今打った5二の銀が邪魔だ。
角をそらす為とはいえ、5二から玉を逃す手は
無くなった。
玉の固さで言えば、牧村の方が上だ。
二郎。ここは豊富な持ち駒で、自玉の安全を
図る、△7二金。
牧村。▲8四馬。
二郎。△8三歩。
牧村。▲8五馬。
二郎。△6二玉。
一旦、収めた。しかし、手番は牧村。
ことごとく、いい所で牧村に手番が渡る。
しかも、牧村は、要所に馬を配置する。
牧村。当然とばかりに、▲3四歩。
二郎の、桂頭を突いてくる。
”△3九に飛車を打って、▲3三歩成、そこで△同飛車成とするか?”
素人相手であれば、龍を一刻も早く作りたいが故に、
そう考えそうである。
しかし、相手は牧村。
どんな罠が待っているかもしれない。
時が過ぎていく。
50秒、1,2,3,4,5,6,7・・。
二郎。△同飛。
今、盤上にある飛車を成り込みたい。
初志貫徹の△3四同飛。
牧村。手堅く、▲3五金。
牧村の手がしなる。
負けられない勝負。
迷う事無く、金を打つ。
これで牧村の持ち駒は、歩2枚。
二郎は、持ち駒はあるものの、打つ暇が無い。
容赦無い牧村の攻め。
二郎。ジッと、△5四飛。
牧村。持ち駒の歩をフルに活用する、▲3四歩。
二郎。ここは踏み込んでいくしか無い、△5五銀。
牧村の角を殺した。
▲同角とすれば、△同飛。飛車が牧村の金に当たる。
どうする、牧村?
”しつこい、おっさんだ”
簡単に楽にはしてくれない。
”龍を作らせる展開になってもいい、しかし、
その前に、寄せの網を張らなければ。
こっちがいい条件の時に、龍を作らせる”
牧村。踏み込む、▲3三歩成。
二郎。△4六銀。
ボロっと牧村の角を取る。
4段目で、牧村の攻めを牽制する二郎の飛車。
牧村。▲同歩。
さあ、手番は二郎だ。
つづく・・?
689 :
名無し名人:2008/11/18(火) 23:46:47 ID:2KoWtyBm
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △8四飛
▲7六歩 △3二金 ▲6六角 △7四飛 ▲7五角 △5四飛
▲4八銀 △7二銀 ▲6六角 △8三銀 ▲6九玉 △7二金
▲5九金 △5二玉 ▲6八銀 △1四歩 ▲1六歩 △7四銀
▲7七桂 △6四歩 ▲5六歩 △同 飛 ▲5七銀右 △5四飛
▲4六銀 △6五歩 ▲4八角 △3四歩 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △6四飛 ▲2八飛 △2三歩 ▲3六歩 △4二銀
▲4五銀 △6三銀 ▲7五角 △7四飛 ▲7九玉 △5五角
▲1八飛 △6四銀 ▲5七角 △7六飛 ▲5六歩 △2二角
▲4六角 △6三金 ▲3四銀 △8六歩 ▲2八飛 △4四角
▲2三銀不成△2七歩 ▲同 飛 △2六歩 ▲3二銀成 △2七歩成
▲2二歩 △3三桂 ▲4二成銀 △同 玉 ▲7二銀 △5二玉
▲3五金 △同 角 ▲同 歩 △5六飛 ▲5七歩 △5四飛
▲6一角 △6二玉 ▲6三銀成 △同 玉 ▲8六歩 △5二銀
▲8三角成 △7二金 ▲8四馬 △8三歩 ▲8五馬 △6二玉
▲3四歩 △同 飛 ▲3五金 △5四飛 ▲3四歩 △5五銀
▲3三歩成 △4六銀 ▲同 歩
690 :
名無し名人:2008/11/18(火) 23:58:26 ID:sUnrSd7F
99手目▲4六同歩 まで
後手 二郎 持ち駒: 飛 角 銀 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│▽桂│__│__│__│__│__│__│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│▽金│▽玉│▽銀│__│__│▲歩│__│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│▽歩│▽歩│__│▽歩│▽歩│▲个│__│__│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│▽飛│__│__│__│▽歩│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▲馬│__│▽歩│__│__│▲金│__│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▲歩│__│__│__│★歩│__│__│▲歩│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│▲歩│__│▲桂│▲歩│▲歩│__│__│▽个│__│七 成香−仝
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−今
│__│__│▲金│▲銀│__│__│__│__│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│▲香│__│▲玉│__│▲金│__│__│▲桂│▲香│九 成飛−竜
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
先手 牧村 持ち駒: 銀 桂 歩
691 :
名無し名人:2008/11/19(水) 00:08:37 ID:66vm0Eh7
1秒も考えなかった牧村には悪いが、
▲4三角成りとしておいたら勝ち筋もたくさんあったような。
692 :
名無し名人:2008/11/19(水) 00:38:34 ID:OHqAfXtI
一手一手解説が入るだけで凄く引き込まれます
作者さんがんばって下さい、楽しみにしてます
693 :
名無し名人:2008/11/19(水) 02:44:23 ID:hDNfrvHH
なんか普通の解説より勉強になる気がするな
竜王戦で羽生と渡辺が一手指すごとにこんな感じでコメント残してくれたらいいな
694 :
名無し名人:2008/11/19(水) 02:54:03 ID:CmDR8a+v
島朗の解説読んでみ
こんな感じだから
695 :
名無し名人:2008/11/19(水) 03:30:54 ID:I6uKzon5
俺の感覚では83歩は打ちたくないな、87歩の余地を残すために
本譜の83歩、85馬、62玉の交換は得をしてるとは思えない
ま、俺はへぼなんで、俺の感覚が間違ってるんだろうけどね
696 :
名無し名人:2008/11/19(水) 10:50:35 ID:0ErVCk81
一手毎に心情が入ってるから悪手でも別に良いのでは?
『牧村。ここは引けない、▲3二銀成』
とか言われるとそれが最善かどうかあまり関係ないし
※ブレークタイム
2ちゃんという媒体をせっかく利用
しているので、新機軸(?)的に
(あくまでも実験です。大人の読み物として)
試してみます。本作において、所々でBGMとして
数曲、本文中で紹介してきましたが、リアルに
その曲を聞きながら本作を読んだらどうなるか?
というものです。
読み物と音楽を同時進行させ、より臨場感が
(本文が稚拙なためのゴマカシです・・)
出ればと思います。
一大決心だった、東京進出。
上野駅でのテキヤとのイザコザ。
逃げるように駆け込んだ、パール。
東京での初戦。イカサマで駒を抜いた瞬間。
そこで出会った、生涯の友。
起業した事。楽しかった思い出。
川崎での、雪子との出会い。仁との出会い。
酒井との早指し戦。
忘れられない雪子の死。
自暴自棄な自分。
そこから這い上がっての、山形戦。
八代を殴った自分。
二八商会の倒産と、友を傷つけた自分。
病院での5年間。
温かく迎えてくれた、友。
絹子との再会。
絹子を救いだし、再起を誓った上野駅。
友との別れ。
面倒を見てくれた葛西。
盛大な結婚式。
まるで、フラッシュバックの様に蘇る記憶。
”俺は今まで、何を信じた?何を愛した?”
今の自分は1人では無い。
様々な縁で、様々な人に出会い、傷つけ、笑い、泣き・・。
答えはきっと、盤上にある。
この盤上に・・。
つづく・・?
702 :
名無し名人:2008/11/19(水) 13:56:12 ID:CzMNFrpk
おおお・・・
703 :
名無し名人:2008/11/19(水) 14:51:04 ID:hDNfrvHH
そんなことより棋譜の続きを
704 :
名無し名人:2008/11/19(水) 18:12:46 ID:2TCZGY2C
>>699 「友を傷つけた」ってレベルじゃねーだろ!
705 :
名無し名人:2008/11/19(水) 20:26:55 ID:54X8fqyA
お茶ドゾー
つ旦~
706 :
名無し名人:2008/11/19(水) 22:13:48 ID:CmDR8a+v
ぶっちゃけBGMなど要らん
マルチタスクな人間じゃないから文章に集中するから聞いてないし、聞こえてると文章に集中できない
707 :
名無し名人:2008/11/19(水) 22:18:14 ID:HTR3sP8i
それを書く必要がどこにあるのだ
708 :
名無し名人:2008/11/19(水) 22:22:06 ID:3yqMlQwL
まったくだ
リンク踏まなきゃいいだけの話だ
709 :
名無し名人:2008/11/20(木) 03:24:45 ID:dYayigSv
>>704 「友を刃物で刺し殺しかけた」だよな
でもいいんだよ、懐古するときは美化されるんだからw
710 :
名無し名人:2008/11/20(木) 03:35:18 ID:TQHD9+rr
あのさ、刺したなんて書くと肉体ばっか連想しちゃうだろ?
単に傷つけただけだと身体も心も傷つけたと読み取れるんだよ
711 :
名無し名人:2008/11/20(木) 04:21:33 ID:jskZlz1S
或る真剣師の創作だな
712 :
名無し名人:2008/11/20(木) 14:11:41 ID:BvRtFPDj
>>710 確かにその通りだな
自分の読解力の無さに恥じてくるわ…orz
713 :
名無し名人:2008/11/20(木) 21:04:07 ID:assJouxW
>>710 で、ナベヤは精神的に危うく殺しかけたのか?
違うだろ?
どう考えても肉体的>>>>>>>>>精神的だろ?
同列に語るのもおこがましい
714 :
名無し名人:2008/11/20(木) 21:40:17 ID:UJgYXzwi
>>713 刺されてみ?精神的にかなり来ると思うぞ
病院で目を覚まして体の痛みよりもそこまで追い込んだ自分に参る
715 :
名無し名人:2008/11/20(木) 22:59:52 ID:KLzroIQv
現局面どっち優勢なんだろ。以後、△3九飛に▲4五金
(当たってる金を逃げる+中央に活用+飛車に当てる)に、
△5七飛成が待望の二郎の飛車成りこみ。
この龍、取るべきかどうかすごく悩ましい・・
無視して△6四桂の詰めろでわずかに牧村指せるか。
716 :
名無し名人:2008/11/20(木) 23:11:43 ID:Ywc4jfBt
ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!
ハチワンダイバーより面白いよこれ!
717 :
名無し名人:2008/11/21(金) 00:16:25 ID:F3Cv09FT
まず目につくのは、6四の地点だ。
二郎の飛車が、4筋からいなくなると
そこがキズとなる。
なんとかそのキズを消したい二郎。
しかし、時間は無情にも過ぎる。
50秒、1,2,3,4,5,6,7,8・・。
二郎。△3八と。
延々と続く1分地獄。
まるで、いつまでも終わる事無く続くのでは
ないか?と錯覚してしまうほどだ。
”無限地獄”
ここから、2人の思考回路は、まるで時空を捻じ曲げる
かのように、倒錯して行く。
”どう見ても、俺が優勢だ”
自玉は、金、銀でスクラムを組んでいる。
簡単には崩れない。
牧村は、焦ることなく迫ればよい。
牧村。ジワリと食いつく、▲4二と。
二郎。銀をかわすと同時に6四を補強、△6三銀。
牧村は考える。
”このタイミングで飛車を取れば、勝てるか?”
4五に銀を打てば、二郎の飛車がどこへ逃げようと
桂を打って飛車を召し取れる。
しかし、貴重な持ち駒をここで投入する事にも
ためらう。
それで、勝ちが確定すれば、迷う事無く、駒を
投入するが・・・。
牧村、ここに来て、ためらう。
”駄目だ、焦るな、焦っちゃ駄目だ”
牧村。中央に厚みを求める、▲4五金。
二郎の飛車にあてた。
二郎。ヒラリと、△2四飛。
飛車の成り込みが、確定した。
しかし、牧村の玉、右側は強固だ。
牧村。アジよく桂を跳ねる、▲6五桂。
二郎。待望の飛車成り込み、△2九飛成。
しかし、一見、牧村の玉は遠く感じる。
牧村。安全に行く、▲4三と。
二郎。ここで、観念したか?△7一玉。
玉を逃げた。
牧村。ノータイムで、▲5三桂成。
あくまでも、安全策で行く。
と、言うより、牧村自身混乱していたか?
二郎。耐える1手、△7四銀打。
牧村。畳み掛ける、▲7五桂。
二郎。耐える、△6二歩。
”俺が、優勢に、決まってる”
牧村、顔面蒼白。
流れるアブラ汗が、牧村の精神状態を表す。
ここまで1分将棋をしてきた両者だ。
その精神状態は、計り知れない。
まして、全て完璧に指せ、と言う方が酷だ。
ここにきて牧村、手に沿って指す。
3枚目の成り駒、▲6三桂成。
4三、5三、6三と3枚の成り駒を作る牧村。
二郎。ジッと、△同歩。
「牧村、茶でも飲んで、落ち着いたらどうだ?」
二郎は声をかけた。
酒井も、牧村の以上には何となく気付いていた。
明らかに、牧村優勢だ。
しかし、そこからが、長い。
二郎が、108手目ジッと引いた△7一玉が遠い。
”俺の玉は寄らない。焦らず迫れば俺の、勝ちだ”
牧村。▲5二と。
二郎。ここで馬を銀と刺し違える、△8五銀。
牧村は、流れる汗を右腕で、拭った。
”勝った”
”俺の勝ちだ。相手玉に必死が掛かる”
牧村。駒台からゆっくり銀を取る、▲6一銀。
二郎。退路を作る、△9四歩。
牧村。二郎の金を取る、▲7二銀成。
二郎。じっくり時間を使う、△同玉。
牧村は、一呼吸ついた。
”やった。勝った”
牧村。二郎玉を裸にする、▲6二と。
すでに、対局が始まってから2時間経過。
控え室は空気が重い。
途中、幾多も変化はあるだろう。
しかし、今が現実なのである。
両対局者は、自らのその手で、現局面まで指した。
その全てが、現実なのである。
「どうなんだ?仁?」
「・・分からない。二郎さん、何か手を狙っているのか?」
「二郎・・ダメか・・」
仁の検討は、ほぼ両対局者の指し方に沿っていた。
「駄目か・・二郎さん・・必至が掛かる・・・」
二郎。逃げる、△8二玉。
牧村。じっくり時間を使う。
10秒、20秒、30秒・・。
”分からない、何か罠があるのか?もう分からない・・”
50秒、1,2,3,4,5,6,7,8、・・。
牧村。時間一杯使う。
”もう、安全策でいい・・”
牧村。確実に、焦らず二郎玉に迫る、▲8五歩。
銀を取った。
二郎。万事休す。
”終わったか・・”
酒井は、ゆっくりと一口、お茶を飲んだ。
控え室には、120手まで、牧村の銀が
金を取り7二に成り、その成銀を二郎の
玉が取った局面まできていた。
二郎が負ける。
牧村は焦る事無く、二郎玉に迫れば良い。
誰が見てもそう思える。
二郎が負ける。
誰しもがそう思った。
”二郎以外は”
二郎。50秒、1,2,3,4,5,6,7,8,9・・!!!
二郎。渾身の1手、△6五角!
すでに日は落ちていました。
平成13年。
5人抜きをした私は、4段のHさんを相手に
四間飛車対6五歩早仕掛けの、居飛車側を持って
闘っていました。
慣れない居飛車。
初めての仕掛け。
しかし、この局面まで、私は自身の優勢を確信していました。
89手目。▲5九歩と打たれるまでは・・。
ここまで来て、引くのはどうか?
確実に、まずは香でも取っておくか?
”いや!最後の勝負。行くしか無い”
問題は、飛車で取るか?馬で取るか?である。
”馬は自陣に利かせておいた方がいい”
ここは、飛車で行く!
”飛車を渡しても”▲2二銀には△同角がある。
自玉は寄らない。
△同飛成。
Hさん。頭を小刻みに動かす、▲同金。
私。飛車を渡したが、自玉、詰みは無い、△同龍。
Hさん。テーブルに肘をつき、頬杖をつく、▲2二銀。
”勝った。安全策でいい”
私。△同馬。
大悪手。
※>729
”飛車を渡しても”▲2二銀には△同角がある。
は、△同馬があるの間違いです。
訂正して、お詫びいたします。
つづく・・?
731 :
名無し名人:2008/11/22(土) 23:26:06 ID:tYV8nUNZ
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △8四飛
▲7六歩 △3二金 ▲6六角 △7四飛 ▲7五角 △5四飛
▲4八銀 △7二銀 ▲6六角 △8三銀 ▲6九玉 △7二金
▲5九金 △5二玉 ▲6八銀 △1四歩 ▲1六歩 △7四銀
▲7七桂 △6四歩 ▲5六歩 △同 飛 ▲5七銀右 △5四飛
▲4六銀 △6五歩 ▲4八角 △3四歩 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △6四飛 ▲2八飛 △2三歩 ▲3六歩 △4二銀
▲4五銀 △6三銀 ▲7五角 △7四飛 ▲7九玉 △5五角
▲1八飛 △6四銀 ▲5七角 △7六飛 ▲5六歩 △2二角
▲4六角 △6三金 ▲3四銀 △8六歩 ▲2八飛 △4四角
▲2三銀不成△2七歩 ▲同 飛 △2六歩 ▲3二銀成 △2七歩成
▲2二歩 △3三桂 ▲4二成銀 △同 玉 ▲7二銀 △5二玉
▲3五金 △同 角 ▲同 歩 △5六飛 ▲5七歩 △5四飛
▲6一角 △6二玉 ▲6三銀成 △同 玉 ▲8六歩 △5二銀
▲8三角成 △7二金 ▲8四馬 △8三歩 ▲8五馬 △6二玉
▲3四歩 △同 飛 ▲3五金 △5四飛 ▲3四歩 △5五銀
▲3三歩成 △4六銀 ▲同 歩 △3八と ▲4二と △6三銀
▲4五金 △2四飛 ▲6五桂 △2九飛成 ▲4三と △7一玉
▲5三桂成 △7四銀打 ▲7五桂 △6二歩 ▲6三成桂 △同 歩
▲5二と △8五銀 ▲6一銀 △9四歩 ▲7二銀成 △同 玉
▲6二と △8二玉 ▲8五歩 △6五角
732 :
名無し名人:2008/11/22(土) 23:28:03 ID:YL/ZLzd6
124手目 △6五角 まで
後手 二郎 持ち駒: 飛 角 銀 桂×2
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│▽桂│__│__│__│__│__│__│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▽玉│__│▲个│__│__│__│▲歩│__│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▽歩│▽歩│▽歩│▲今│__│__│__│__│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│__│__│__│__│__│__│__│▽歩│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│▲歩│__│☆角│__│▲金│__│__│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│__│▲歩│__│__│▲歩│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│▲歩│__│__│▲歩│▲歩│__│__│__│__│七 成香−仝
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−今
│__│__│▲金│▲銀│__│__│▽个│__│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│▲香│__│▲玉│__│▲金│__│__│▽竜│▲香│九 成飛−竜
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
先手 牧村 持ち駒: 金 銀×2 歩×4
733 :
名無し名人:2008/11/22(土) 23:31:59 ID:YL/ZLzd6
△2二同馬 まで
▽後手 作者 持ち駒:角 金 銀 桂×2 歩×5
9 8 7 6 5 4 3 2 1
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐
│▽香│__│__│__│__│▲銀│__│▽桂│▽香│一
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│▲金│__│__│▲金│☆馬│▽玉│二
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│__│▽歩│__│▽歩│__│三
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│__│▽歩│四
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│__│__│__│__│__│▲歩|__│__│__│五
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲歩│__│▲歩│__│__│▲銀│▲歩│__│▲歩│六
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成歩−个
│__│__│__│__│__│▲金│__│▲歩│__│七 成香−杏
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成桂−圭
│__│__│__│__│__│__│▲銀│▲玉│__│八 成銀−全
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤ 成角−馬
│▲香│__│__│__│▽龍│__│__│▲桂│▲香│九 成飛−龍
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
▲先手 4段 Hさん 持ち駒:飛
734 :
名無し名人:2008/11/22(土) 23:35:37 ID:NXMo4koS
誰かkifu for winでコメント付きで棋譜を見れるようにまとめてる奴はいないのだろうか?
735 :
名無し名人:2008/11/22(土) 23:48:55 ID:YL/ZLzd6
先手:Hさん
後手:作者
▲7六歩△8四歩▲6六歩△3四歩▲6八飛△6二銀▲1六歩△1四歩
▲3八銀△5四歩▲7八銀△4二玉▲6七銀△3二玉▲5八金左上△5二金右上
▲4六歩△8五歩▲7七角△9四歩▲9六歩△4二銀▲4八玉△7四歩
▲3九玉△5三銀左上▲2八玉△4二金直▲5六歩△6四歩▲3六歩△6五歩
▲4七金△7三桂▲4五歩△8六歩▲同歩△6六歩▲同銀△6五歩
▲同銀△7七角成▲同桂△6五桂▲同桂△6四銀▲8五桂打△7二銀打
▲7三角打△同銀直▲同桂右成△同銀左引▲同桂成△同銀▲6一飛成△6二銀
▲6三歩△5一銀▲7三銀打△8六飛▲6二歩成△同銀▲同銀不成△8九飛成
▲5三銀打△同金直▲同銀成△同金▲6二龍△5二銀打▲6三金打△6一銀打
▲5三金△6二銀▲5二金△7九飛打▲4一銀打△2二玉▲6二金△7三角打
▲5五歩△同角▲4六銀打△7七角成▲3二金打△1二玉▲5九歩△同飛成
▲同金△同龍▲2二銀打△同馬
736 :
名無し名人:2008/11/23(日) 00:23:17 ID:QsYcAzUp
737 :
名無し名人:2008/11/23(日) 00:29:52 ID:QsYcAzUp
738 :
名無し名人:2008/11/23(日) 03:37:05 ID:y3J4oVRO
作者は詰みか
739 :
名無し名人:2008/11/23(日) 20:16:44 ID:JdBAUQza
740 :
名無し名人:2008/11/24(月) 20:40:00 ID:8kmzPZ17
あれ?
ナベヤ詰まされちゃうの?
741 :
名無し名人:2008/11/28(金) 01:52:50 ID:U9KCvBE4
竜王戦の対局が終わったから今日辺り再開かな
742 :
名無し名人:2008/11/28(金) 19:29:07 ID:CkJmcUYX
いや、本筋で読むと明日だな。
”私は、疲れていたのでしょうか?”
▲同金△同玉は、▲3二飛から自玉が詰んでしまいます。
かといって、この局面は△同玉と取れないと
おかしい。
こうなると将棋はお終いです。
私の負けです。
Hさん。▲同金。
私は、投了のタイミングを考えていました。
飛車と角、2枚であっさりと寄せられてしまった。
将棋は、恐ろしい。
744 :
名無し名人:2008/11/28(金) 20:15:33 ID:Fpv8Afki
おおお
”飛車を渡しても詰まない”とは独善。
実際は、△2二同馬で、角を持たれる事を
うっかりしていました。
”あと1手、玉を逃げて投了しよう”
延命はできる。
しかしそれは出来ない。
勝負は、潔さも必要だ。
ただ粘る手は、相手に失礼だ。
義をもって義に殉ずる。
△1三玉▲3一飛。
私は、ここで投了した。
終わった。
会館を出て、右折する。
左手に、神社が見える。
そこに、もうずっと生き続けているであろう
木々が、私に語りかける。
”また、遊びに来いよ”
雨は、すっかり上がり、滴が木々を輝かせる。
空を見上げる私。
”もう、将棋をやめるなんて、言うのはやめよう”
こんな、すばらしい世界がある事を改めて知った。
会館での、子供たちの笑顔。
心配そうに見守る母親。
仕事そっちのけで、熱中するサラリーマン。
老後の余興に楽しむ老人。
その笑顔の一つ一つが蘇る。
私は、改めて神社のその木々を見上げた。
”ああ。また、遊びに来るよ”
木々が、カサカサと優しく応える。
なぜか、心が軽くなった。
もう、さっきまでの自分じゃない。
足取り軽く、ゆるい坂道を歩く。
”さあ。アパート戻って、荷造りだ”
誰しも皆、一時期、猛烈に将棋に打ち込んだ事が
あるだろう。
個人差はあるにせよ、将棋に打ち込んだ日々が。
改めて思い返してみると
”よくもまぁあんなにハマッたものだと、思える日々が”
同じ事を、”今してみろ”と言われても、出来ない日々が。
その全てが、個人の財産である。
将棋は、喧嘩じゃない。まして、戦争でもない。
思い返したのは、子供のころ、ただ面白くて、
負ければ悔しくて、ただ、そう・・
ただ純粋に将棋が面白かった日々である。
会館での将棋は、私にその事を思い出させてくれた。
再び、私の頬を優しく撫でる風。
将棋。そのすばらしい世界。
”悪いけど、将棋とは一生の付き合いだな”
私は、足早に家路についた。
休憩。
752 :
名無し名人:2008/11/28(金) 21:27:00 ID:t52sNQQt
▲3一飛でいいの?
角じゃなくて?
※失礼しました。
▲3一角です・・。
754 :
名無し名人:2008/11/28(金) 21:53:28 ID:U9KCvBE4
今日再開
読み筋通りです
二郎は、追い込まれていた。
二郎、渾身の124手目△6五角。
牧村は焦らない。
確実に、ゆっくり縛る。
”俺の玉は、寄らない”
牧村。収束に入る、▲7一銀。
二郎。58秒まで読まれ、△9二玉。
牧村。ジッと”と金”を寄る、▲7二と。
この局面、二郎、仮に△8四歩と突けば
なんと、二郎玉に詰みは無い。
しかし、その歩を▲同歩とすれば、二郎玉は必至。
その瞬間二郎は、牧村の玉を詰ますしか無い。
控え室の空気は重かった。
すでに仁は、進行を読んでいた。
しかし、△6五角は、仁には見えていなかった。
故に、二郎の負けを覚悟していた。
二郎は考える。
牧村の、玉を詰ます手順を、考える。
しかし、時間が無い。
”もう1回、△8四歩と突き、あと2分考えるか?”
その考えは、すぐに吹き飛ぶ。
”牧村が、この局面、1分考えて▲同歩とする保証がどこにある?”
そのとうりである。
牧村が、ノータイムで▲同歩とし、二郎玉に必死を
掛けてくる事は、明確である。
ここで詰ます手順を見つけなければ
二郎。負けである。
どうする?どうする?
50秒、1,2,3,4,5,6,7,8,9・・!
二郎。最後の望み、見切り発車か??龍を切った!!
△5九龍!
牧村玉に、初めて王手を掛けた。
数10分経っただろうか・・。
重苦しい控え室。
八代が言う。
「棋譜・・遅いな・・」
「確かに・・もう数手進んでいるはずだが・・」
山城が答える。
奥から、足音が聞こえてきた。
”棋譜だ。130手までの棋譜だ。・・どうなっている?”
襖が開いた。入ってきたのは、酒井だった。
”今度俺が、この部屋に戻ってくる時は・・”
開いた襖。
立っているのは酒井。
”対局が、終わったのか・・・?”
今、この和室、控え室にいるのは、八代、仁、山城
そして、酒井の3人だけである。
八代が、言った。
「た、対局は?」
応える酒井。
「終わったよ」
760 :
名無し名人:2008/11/28(金) 22:28:54 ID:U9KCvBE4
「どっちが、勝った?」
山城が言う。
「二郎だ・・二郎が勝った」
あっけに取られる3人。
酒井は続ける。
「二郎。龍と角、2枚で牧村を寄せやがった・・」
762 :
名無し名人:2008/11/28(金) 22:31:40 ID:Fpv8Afki
なんてことを・・・
763 :
名無し名人:2008/11/28(金) 22:31:53 ID:o3yMGyCe
いやー見事な構成だ
二郎の、△6五角は”詰めろ”だった。
詰手順はこうだ。
△5九龍▲同銀△8七桂▲同金△6九金▲同玉
△8七角成▲7八金△7七桂▲6八玉△6九飛!
▲5八玉△5九飛成▲同玉△4八金▲6八玉
△5九角▲7九玉△6八銀▲同金△8八銀 まで。
二郎は、持ち駒の全てを使った。
途中、駒を使わずに詰ます事も出来るが、
あえて、全ての駒を使った。
それは、まるでこの世に不必要なモノなど無い
と言うメッセージかの様だった・・。
※ぶれ〜くたいむ
詰手順長くてすいません。
実は、この棋譜、私はナベヤから直接2度
並べてもらいました。
後年思い出した私は、この棋譜の終盤、
△6五角からの、ナベヤの詰め手順を
ソフトに掛けました。
今から、5〜6年前の事です。(もうちょっと前かも)
その時、おかしな事がありました。
766 :
名無し名人:2008/11/28(金) 22:47:15 ID:QwZFO08a
だれかソフトにかけてくれって言おうとしたら
なんていいタイミングの閑話休題
※ソフトが、なかなか詰ませられないのです。
なにぶん、昔のソフト(東大)でしたけど。
結局、ナベヤが考えた1分では、ソフトは
解答できず、5分経っても解けなかったので
打ち切りました。
誰か、最近のソフトで、この局面を解かせて
いただけないでしょうか?
今の時代なら、瞬時に解けると思います。
ぜひ、お願いします。
768 :
名無し名人:2008/11/28(金) 22:49:27 ID:U9KCvBE4
局面あってるかはしらないが一瞬で詰んだ
※ちなみに、おかしかった事とは、
△5九龍とすると、玉方が、どう
指しても、瞬時に解いてしまうのです。
つまり、つぎの1手”△5九龍”が
ソフトには、分からなかったのか?
と言うことです。
ちなみに、△5九龍以外、△8七桂から
でも詰むことが分かっています。
こちらも、当時ソフトはこの1手を
見つけられませんでした。
不思議な局面の思いでです。
770 :
名無し名人:2008/11/28(金) 22:54:15 ID:o3yMGyCe
うちの超低スペックPC(5〜6年前のもの)でやらせると
△8七桂に▲同金ならすぐ詰むが、▲8八玉ならちょっと悩むようだ。
先手:牧村
後手:二郎
▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△8四飛▲7六歩△3二金
▲6六角△7四飛▲7五角△5四飛▲4八銀△7二銀▲6六角△8三銀
▲6九玉△7二金▲5九金△5二玉▲6八銀△1四歩▲1六歩△7四銀
▲7七桂△6四歩▲5六歩△同飛▲5七銀右上△5四飛▲4六銀△6五歩
▲4八角△3四歩▲2四歩△同歩▲同飛△6四飛▲2八飛△2三歩
▲3六歩△4二銀▲4五銀△6三銀▲7五角△7四飛▲7九玉△5五角
▲1八飛△6四銀▲5七角△7六飛▲5六歩△2二角▲4六角△6三金
▲3四銀△8六歩▲2八飛△4四角▲2三銀不成△2七歩▲同飛△2六歩
▲3二銀成△2七歩成▲2二歩△3三桂▲4二成銀△同玉▲7二銀打△5二玉
▲3五金打△同角▲同歩△5六飛▲5七歩△5四飛▲6一角打△6二玉
▲6三銀成△同玉▲8六歩△5二銀打▲8三角成△7二金打▲8四馬△8三歩
▲8五馬△6二玉▲3四歩△同飛▲3五金打△5四飛▲3四歩△5五銀
▲3三歩成△4六銀▲同歩△3八と▲4二と△6三銀▲4五金△2四飛
▲6五桂△2九飛成▲4三と△7一玉▲5三桂成△7四銀打▲7五桂打△6二歩
▲6三桂成△同歩▲5二と△8五銀▲6一銀打△9四歩▲7二銀成△同玉
▲6二と△8二玉▲8五歩△6五角打▲7一銀打△9二玉▲7二と△5九龍
▲同銀△8七桂打▲同金△6九金打▲同玉△8七角成▲7八金打△7七桂打
▲6八玉△6九飛打▲5八玉△5九飛成▲同玉△4八金打▲6八玉△5九角打
▲7九玉△6八銀打▲同金△8八銀打
まで後手の勝ち
772 :
名無し名人:2008/11/28(金) 22:59:47 ID:KuXWWtZe
激指とボナンザ、瞬殺で詰めたぜ。
やはりソフトの終盤は鬼だな。
「△6五角は、詰めろだったか・・」
ポツリつぶやく牧村。
「どうだ?牧村。感想戦でもするか?」
「へへ・・。悪りぃけど、おっさん。
今、そんな気分じゃ無いんだ・・」
「そうか・・」
牧村は、軽く微笑んだ。
そして黙って牧村は、右手を二郎に差し出した。
握手を求めたのだ。
しっかり、その右手を握る二郎。
戦いは、終わった。
「ところで、ナベヤさん。ここから先の
町に何の様なんですか?」
私は、田舎駅ホームにある、小さな待合室で
ナベヤに再び聞いた。
「ええ・・。墓参りですよ」
「墓参り?」
「はい。絹子のね・・」
そそくさと、盤と駒をしまうナベヤ。
どうやら、電車がきたようです。
「ナベヤさん。お墓参り終わったら、寄ってくださいよ」
電車に乗り込むナベヤ。
「はい。そのつもりです」
牧村の右手は、汗ばんでいた。
若干の震えがある・・。
それを悟られまいと、すぐに解く牧村。
「おっさん、一つだけ教えてくれ・・」
「なんだ?牧村」
「あの、△6五角は、狙い筋だったのか?」
2人の間に、沈黙が流れる。
「さぁな・・。見えなかった訳じゃ無いが、
右手が、そう指させていた。それだけだ」
「そうかい・・」
ジッと二郎を見つめる牧村。
ttp://jp.youtube.com/watch?v=qCp-KVjJHS0 戦い終えた男に言葉はいらない。
2人は、語らずとも、頭の中で今の
1局を振り返る。
ゆっくりと・・・。
この1局は、双方にとって非常に大きな対局だった。
抱えているものが、大きかった。
二郎は、首の皮1枚で勝った。
これが勝負だ。
ガクっとうなだれる牧村。
この男にも、人生がある。
こんな荒んだ世界に、身を沈めなければ
ならなかった壮絶な人生が。
淳が牧村の傍による。
「栄さんらしいや・・。」
「なんだ?淳?」
「相手が強いと、1歩も引かない」
「なんだ?押したり引いたりする俺を、期待してんのか?」
「そんなんじゃないですよ」
「何、言いたいんだよ、淳?」
「栄さんの、生き方は、カッコいいって事!」
「馬鹿にしてんのか?」
牧村は、淳に笑いながら、淳の頭を軽くはたいだ。
しばらくすると、酒井が帰ってきた。
今まで、2人に賭けていた人達の
配当をしていたらしい。
「牧村」
酒井が言う。
「牧村。負けちまったな?」
「ああ。負けたよ」
すると、襖が開き、酒井の部下が4人
部屋に入ると、座っている牧村を囲んだ。
両脇から、牧村を抱え上げる。
「栄さん!」
淳が声を上げる。
「心配するな、淳。すぐ戻る」
牧村はそう言うと、淳に微笑みかけた。
「牧村を、どうするつもりだ!?」
二郎は、たまらず酒井に食ってかかった。
「二郎。牧村は負けたんだ」
「だから何だ!」
「これは、最初っから遊びじゃない」
「・・・」
「牧村は、負けちゃいけない勝負に負けた」
「牧村を、どうするつもりだ」
牧村が、口を挟む。
「おっさん。心配するなよ」
「牧村・・」
「おっさん・・」
「・・・」
「今度会ったら、負けないぜ」
牧村は、二郎に向ってニヤりと笑った。
以後、二郎と牧村が再び逢う事は無かった。
つづく・・?
782 :
名無し名人:2008/11/29(土) 00:18:30 ID:d0M4wuFV
お茶どぞー
つ旦~
783 :
名無し名人:2008/11/29(土) 00:49:54 ID:xm8P4aeS
淳の明るいセリフで一瞬油断させといて・・・
なんてことしやがる・・・
なんなんだよ淳・・・
784 :
名無し名人:2008/11/29(土) 03:12:47 ID:pt/+vK+D
今までに様々な将棋の小説や漫画などを見てきたが、これ最高だ!
主さん、書籍化すればいいのに。
俺、速攻で予約するよ?
または、この作品を原作とし、月下の棋士を書いた漫画家にでも頼んで週刊誌で連載とかもいいな。
漫画にすればさらに読者も増えそうだし。
785 :
:2008/11/29(土) 03:15:53 ID:ItXqHcNN
ニコ神さんのところに行ったと信じたい・・・。
786 :
名無し名人:2008/11/29(土) 20:07:25 ID:sMWsmfc8
映画化決定!!
配役
牧村 竹内力
二郎 松方弘樹
若い二郎 松田なんとか
(松田勇作の息子)
酒井 梅宮辰夫
(スキンヘッドで)
山城 山城慎吾
淳 柳沢慎吾
八代
渡辺謙
若い頃の八代
(中村獅童)
他、牧村の候補は豊川悦司もあり。
淳は中村トオルもあり。
また、酒井の候補は岸辺一徳もあり。
絹子 宮沢りえ
○子 堀北真希
筆者 伊藤なんとか
(海猿)
みんなで映画化しよう!
787 :
名無し名人:2008/11/29(土) 20:14:06 ID:sMWsmfc8
将棋会館のシーンは、チラッとプロが写る
二郎(松方弘樹)対牧村(竹内力)
のシーンは、ヤクザの奥座敷で。ヤクザ屋さん風の仏壇前で指す。
仏壇横には、守り仏として小池重明の遺影とか
筆者のじいちゃんは、三國連太郎か、ひふみん。
もう制作費が凄まじいな!!
788 :
名無し名人:2008/11/30(日) 03:25:08 ID:e7m9SMBO
二郎はもっと栄養失調的な人かと思っていたが
北の国からのじいちゃんみたいな人
789 :
名無し名人:2008/11/30(日) 07:01:40 ID:4lSnJUcM
ナベヤは緒方拳がいいな。亡くなっちゃったけど。
790 :
名無し名人:2008/12/01(月) 04:30:14 ID:v3YNBBCN
高倉健とかもどうだろうか
791 :
名無し名人:2008/12/02(火) 10:25:08 ID:r/NXql2p
牧村は死んだの?
ナベヤも負けてたら殺されてたの?
おしえてください><
792 :
名無し名人:2008/12/02(火) 12:06:47 ID:rsjF4YOJ
主人公は牧村の息子
ナベヤはこれから主人公に殺られる
793 :
名無し名人:2008/12/02(火) 17:24:58 ID:gZ/p77Ik
じろー負けたら山城に殺されたよ
794 :
名無し名人:2008/12/02(火) 21:25:06 ID:Sv8Izcl5
負けたら殺されるのか
こわいなー。
こういう勝負は穴熊に限るね。
795 :
名無し名人:2008/12/03(水) 19:43:37 ID:4ZzMylxb
超おもしろいアゲーン!
1993年。
祖父が亡くなった。
新聞のお悔やみ欄に出した事もあり
通夜、葬式には900人を超える人が集まりました。
会場は、町のホールを貸し切って行われました。
当日、孫である私は、会場入り口で受付をしていました。
次から次へと訪れる弔問客。
ほとんどの人は、会場へ入りますが
香典だけおいて帰る人もいました。
人の波も落ち着き、式が始まる時間が迫ります。
私は、一旦受付テーブルを片付け、なにげなく
外を眺め、祖父への思い出を一人回想していました。
目を凝らしてよく見ると、外の街灯付近に
人影が見えました。
797 :
名無し名人:2008/12/06(土) 14:47:24 ID:3zEZz4SX
なんで再開はいつも竜王戦の次の日なんだ?
良く見ると、見覚えのある顔。
ナベヤでした。
私は、外に出てナベヤの近くへ行きます。
「ご無沙汰しています。ナベヤさん」
「これは、お坊ちゃん、随分立派になられて」
「なにしてるんですか?ナベヤさん。どうぞ中へ」
私は、ナベヤを中へ促そうとしました。
しかし、ナベヤは自身のみすぼらしい恰好で
中へ入ったら、ご遺族の方に申し訳ないと言います。
「なに言っているんですか?さ、中へ」
ナベヤは、中へ入ろうとしません。
「ナベヤさんが来てくれたら、きっと祖父も喜びますよ」
私は、とりあえずナベヤを会場の入り口ホールへ誘った。
ここなら人目に付かない。
1〜2分。他愛も無い会話をしました。
そして少しの沈黙。
突然、ナベヤは、顔を両手で覆い泣きだしました。
「本当に、旦那さまにはお世話になりました。
今の私があるのは、旦那さまのお陰です。
それなのに、私の様なものが生き延び・・
誠に、申し訳ありません」
私は、ナベヤの肩にそっと手を添えました。
言葉はかけませんでした。
泣きたい時は泣けばいい。
「お兄ちゃん。式が始まるからお母さんが上に来いって」
少しすると、妹が私を呼びにきました。
「いや。いいんだ。お前、先に行ってろ」
妹は、一瞬ナベヤに会釈し、2階へ行きました。
「坊ちゃん、さぁ、式が始まりますよ。行ってください・・」
「いや、いいんだよ、ナベヤさん」
私は、ナベヤと2人。
肩を並べて、ただ黙っていました。
2003年。
私の元へ1通の手紙が届いた。
祖父は、昭和50年代から米問屋を閉め
小さいながらも運送会社を営んでいました。
私は、連盟での勝負の後、田舎へ戻り
この運送会社を継ぎました。
手紙の宛名は、知らない人でした。
とにかく、中を見てみよう。
手紙の内容は、差出人の父親の死。
ナベヤの死を知らせるものでした。
私は、ナベヤが牧村と戦った後、どの様な
人生を歩んだのか聞いていません。
しかし、手紙から分かるのは、
ナベヤは、絹子さんとの間に2人の子をもうけていました。
ナベヤは、生前もし自分が死んだら、ここ・・つまり
元祖父の米問屋である今は私の会社へ手紙を出すように
言っていたそうです。
すでに、数年前に絹子さんは亡くなっているそうです。
晩年、ナベヤは長男夫婦の元に
身を寄せていたみたいです。
ナベヤの長男は、出来が良く
奨学金で、アメリカへ留学していたそうです。
生前、ナベヤは、長男にやたらと
アメリカに連れて行け・・と言っていたそうです。
この話を読んでいる方は、もうお気づきだと思います。
そうです、ナベヤは宮田からアメリカの文化を
聞かされていたのです。
アメリカに憧れたナベヤ。
長男は、ナベヤの足腰が丈夫なうちに
1度だけナベヤをアメリカへ連れて行ったそうです。
長男の嫁は、かなり心配していたそうですが。
その手紙には、そのアメリカへ行った際の
思い出話が綴られていました。
ttp://jp.youtube.com/watch?v=rRRjMbY6kl8 私は、フッと思いました。
”よかったね。ナベヤさん”
私は、確かにあの時、あの話を聞いた。
私は、ナベヤの人生を否定も出来ないし
肯定も出来ない。
人の人生の肯定、否定など誰にも出来ないのだろう。
なぜ、ナベヤが私に ”あの話”をしたのだろう?
私は、今でも時々考える。
もし、私がナベヤと同じ年になった時
誰かに自分の人生を赤裸々に語れるだろうか?
手紙を読むと、晩年のナベヤがいかに
幸せだったか、伝わってきます。
長男の子供、つまり孫を連れてよく公園へ
散歩に行っていたみたいです。
時には、孫に将棋を教えたり、一緒に
テレビゲームをやっていたそうです。
”ナベヤさん。忘れたかい?テレビゲームは自由じゃ無いんだろ・・・”
私は、フッと笑みを浮かべ、手紙の続きを読みます。
ナベヤと絹子さんの仲は、長男である
子供が見ていても、あきれるくらい
良かったそうです。
いつも、どこへ行くにも一緒でした。
ナベヤは、絹子さんを失った後も
自身の充実感からか、決して落ち込む事は
無かったそうです。
しかし、時折、フッと悲しい顔を見せる事も
あったみたいです。
ナベヤがアメリカへ行ったのは、
絹子さんが亡くなった後でした。
たぶん、一緒に行きたかった事でしょう・・。
手紙に同封されていた写真がありました。
生前のナベヤが、孫と将棋を指している写真です。
ナベヤが、自身の左胸ポケットからタバコを取り出す
瞬間を捕らえた1枚。
タバコの銘柄を見せず、器用に1本だけ取り出す
瞬間の1枚。
そして、もう1枚。
同封されている紙が。
それは、ナベヤが眠るお墓のあるお寺の地図でした。
ナベヤは、自身がアメリカへ行った後
自身の行く末も考えてか?
お墓を新しくしたみたいです。
その手紙には、元々は長男の自宅近所の
お寺にお墓はあったみたいですが
移したみたいです。
その場所が、祖父の住んでいた町から
少し先にいった町にあるお寺でした。
偶然か、祖父も同じお寺にいます。
私は、フッと思いました。
”そうだ。一度、ナベヤのお墓参りでもしてみるか?”
私は、あの思い出のホームの待合室を、ゆっくり横切り
そして電車に乗り込んだ。
※次回、いよいよ最終回。
(ちょっと長くなるかもしれませんが・・・)
先月末から、ブログを始めていまして
いろいろそっちの更新もあったのでこの投稿が
遅れ遅れになっていました。
ブログの方が、素の自分です。
ちなみに、ブログには連盟での将棋のシーン冒頭で
でる手合いカードを公開したりしてます。
できれば、今日中に完結したいと思っております。
少し休憩します。
810 :
名無し名人:2008/12/06(土) 18:14:14 ID:3zEZz4SX
ブログのアドレスは?
※宣伝、広告みたいなのはアク禁になる可能性も
あるので。一応、人気ブログランキングの
囲碁・将棋でトップ10に入っていますので
1〜10位まで根気強く当たってみてください。
※新しくエントリーしたのでnewと表記されているので
分かると思います。
ブログの方が素の自分ですので、イメージを
壊すかも・・・。
813 :
名無し名人:2008/12/06(土) 20:36:23 ID:3zEZz4SX
この作者と知らなかったら間違いなく2秒で閉じてたな
814 :
名無し名人:2008/12/06(土) 21:04:04 ID:hnyIN0OO
たしかに1文字も読まずに消すゾー
815 :
名無し名人:2008/12/06(土) 21:12:15 ID:XOPNci0A
816 :
名無し名人:2008/12/06(土) 21:17:02 ID:2vEc/r12
817 :
名無し名人:2008/12/06(土) 21:34:34 ID:JZQzAxFT
わかんねー
818 :
名無し名人:2008/12/06(土) 22:10:36 ID:twm7u1Bw
ねぇねぇなるゾーさん、
本当の自分をさらけ出すのってどんな気分?
気持ち良いの?気持ち悪いよ?
819 :
名無し名人:2008/12/06(土) 22:13:06 ID:sT54Vll1
820 :
名無し名人:2008/12/06(土) 22:34:04 ID:3zEZz4SX
別に素があんなのでもどうでもいいからさっさと完結させんかい
今日終わっちまうぞコラ
821 :
名無し名人:2008/12/06(土) 22:53:34 ID:v7eBYl9v
素がこれだとイメージが相当崩れてしまったよ
言わなきゃいいのに、これじゃ囲碁の実在の人のブログのがいいじゃねえか
ttp://jp.youtube.com/watch?v=IYHAPvLiHQU ナベヤのお墓のある街に着いた。
初夏ではあるが、都会と違い風が気持ちいい。
何度か祖父のお墓参りのため訪れた事が
ある町ですが、相変わらずあか抜けない。
お寺は、駅から徒歩10分位でしょうか?
少し高い丘にあります。
長い石で造られた階段を1歩づつ上がると
広い駐車場に出ます。
お盆前と言う事もあり、車は2〜3台止まっていました。
823 :
名無し名人:2008/12/06(土) 23:19:13 ID:RzkbnIj3
ナベヤのお墓のある街に着いたゾー
初夏ではあるが、都会と違い風が気持ちいいゾー
824 :
名無し名人:2008/12/06(土) 23:22:01 ID:/BKAp1/l
とりあえずブログはまだ見てない(レスの内容からするに、見ないほうが幸せなのか?)
一言だけ。
>”ナベヤさん。忘れたかい?テレビゲームは自由じゃ無いんだろ・・・”
ここで泣きかけた。
825 :
名無し名人:2008/12/06(土) 23:22:14 ID:3zEZz4SX
>>823 もうちょっと自重しろカス
完結してからなら好きなだけやっていいぞ
まっすぐ境内に向かいます。
途中、家族連れとすれちがいながら。
お寺の住職に、ナベヤのお墓の位置を
聞きました。
住職は、先頭にたち、私を案内してくれました。
ナベヤが眠るお墓は、墓地敷地内の外れ
町と海を一望できる場所にあります。
”この墓地に、こんな場所があったんだ”
勝手な推測ですが、そのお墓は海の彼方
アメリカに向けられている様に感じました。
「ここの檀家さんは、いつも月命日には
訪れるんですよ」
お墓を良く見ると、真新しい花が活けてあります。
私は、フッと振り返りました。
”まさか?さっきの家族連れが・・?”
私は、再びお墓の方に向きを変えました。
「ナベヤさん。ご無沙汰しています」
私は、線香に火を付け墓に数本立てました。
巡る思いは遠いあの日。
「ナベヤさん?何で俺にあんな話・・・
してくれたんですか?」
帰ってくるはずもない答え。
「でも、良かった。ナベヤさん、
最後は幸せだったんでしょ?」
一瞬。
風が止みます。
私は、空を見上げました。
829 :
名無し名人:2008/12/06(土) 23:50:06 ID:b7m0v9kr
おおお
・・・・・・。
アメリカ・イリノイ州シカゴ郊外公園。
「まったく・・・。お義父さん・・どこ
行っちゃったのかしら・・・?」
「ホントだよ。親父の奴、アメリカ連れて行けって
うるさいもんだから、連れてきたら、初日で
迷子かよ?」
公園では、家族連れやカップル、子供達が
思い思いに時を過ごしています。
「じゃ。俺。向こう探してくるから」
「分かった。じゃ。私はあっちを」
公園の、2人掛けの小さいベンチに
腰を下ろしている老人。
その左横のシートには、将棋の盤と駒が。
「ん〜。先手、こう来ると・・・
後手はこう・・・。ん〜・・・
これじゃ、先手もたないなぁ・」
1人。駒を動かす老人。
自身の過去の棋譜でも振り返っているのだろうか?
1人研究は続く。
遠くで、男が老人を見つける。
声をかけようとするが止める。
「あら。あなた?・・・あれ?お義父さん
あんな所に・・・。ちょっと行ってきますね」
男は、女の腕を掴みその動きを制した。
そして顔を横に振った。
「いや。いいんだ。親父、将棋盤出すと
いつも、ああだから・・・」
「・・・そうね・・。お義父さんが見つかれば
それでいい事だし・・。少し様子を見ましょうか?」
「違うなぁ・・・。」
1人研究に没頭する老人。
そこに黒人の子供が近づいてきた。
「what do you do?(何してるの?)」
「・・・ん?何だい?僕?」
「what do you do?」
少年は、今度は老人に分かるように、ゆっくり話しかけた。
少年は、両手を広げ、首をかしげた。
そして、将棋盤を指で指した。
「what is this?(これは何?)」
「・・・ああ・・これね」
老人は、将棋盤と駒を指で指した。
そして言った。
「ディス イズ ショーギ」
「shogi?」
「イエス。ディス イズ ショーギ」
少年は、その老人の駒を、おもむろに動かし始めた。
そして、すこし動かしては、老人の顔を見て笑い
また少し動かしてはケラケラと笑った。
「is it chess?(チェスなの?)」
「何?」
「is it chess?]
2度目はゆっくり言う少年。
「まいったなぁ・・英語・・分からんな・・」
少年は、再び駒をチョコチョコと動かし
老人を見て言った。
「chinese chess?(中国のチェス?)」
「チェス?・・・そうかい・・イエス。イエス。チェス
あ〜ノー チャイニーズチェス。ジャパニーズチェス」
「japanese chess?」
「イエス。ジャパニーズチェス」
そう言うと、老人は少年に微笑みかけた。
優しい眼差しで少年を見る老人。
「do you like chess?(チェス好きなの?)」
「ん?何?もう一回言ってくれ」
老人は、そう言うと、少年に指を1本立てて言った。
「do you like japanese chess?」
「ん?何だ?」
そう言うと、少年は自分を抱きしめてキスをする
マネをしてみせた。
そして、再び老人にゆっくりとした口調で聞いた。
「do you like japanese chess?」
「ん?好きかって聞いてんのか?」
老人は、少し間をおいて満面の笑顔で答えた。
「イエス。アイラブショーギ!」
完
※約3か月間、稚拙な文にお付き合いしていただき
誠にありがとうございました。
これからも、是非皆さん思い思いに将棋を
楽しんでください。
ありがとうございました。
839 :
名無し名人:2008/12/07(日) 00:37:06 ID:eS5RLyJo
お疲れ様でした
840 :
名無し名人:2008/12/07(日) 00:37:13 ID:FaXA0r7Y
オワタ
841 :
名無し名人:2008/12/07(日) 00:42:55 ID:KGarNodT
おつかれさま
楽しませてもらったよ
842 :
名無し名人:2008/12/07(日) 00:46:17 ID:/vsF6A6b
面白かったよ、お疲れさまです
しかし最終盤でなんというキャラ崩壊、なんというファンタジスタ
843 :
名無し名人:2008/12/07(日) 00:49:46 ID:JZLIEObf
長い間お疲れ様でした 俗なところの多い文章ではありましたが十分楽しませて
もらいました 続編などの色気を出さず生涯一編にしておけばキズも含めて
愛される一文で終われるとおもいます どうもありがとう
844 :
名無し名人:2008/12/07(日) 01:00:28 ID:UjDm3CN6
小池さん物語より面白い
有難うございました
845 :
名無し名人:2008/12/07(日) 01:06:44 ID:iU7NHLc8
お疲れー
846 :
名無し名人:2008/12/07(日) 01:12:09 ID:4ddAO7Hh
847 :
名無し名人:2008/12/07(日) 01:43:02 ID:5WUVxUT2
読み始めた時はここまで話が大きくなるとは思ってませんでした。
なべやと坊ちゃんの会話が好きでした。
作者さんお疲れさまでした。ありがとう。
848 :
名無し名人:2008/12/07(日) 03:14:22 ID:wILsnM0E
全部読みました。お疲れさま。
でも黒人の子供ってw
入れ込みすぎっすw
849 :
名無し名人:2008/12/07(日) 05:55:55 ID:L4vXVeZ5
イエス。アイラブショーギだゾー
850 :
名無し名人:2008/12/07(日) 07:32:08 ID:4lJN9pne
無事おわりましたね
お茶ドゾー
つ旦~
851 :
名無し名人:2008/12/07(日) 10:34:31 ID:bfExaLxa
しかしおかしいな
作者は高速棋譜並べスレと同じ人物と言った
そこでは24で二段ほどといい指導するような発言をしていたはず
なのにブログではR800、怪しい
※おはようございます。
>>851さん。確かに私は一時期24で
2段まで行きました。
しかし、少し将棋から離れていました。
この話を書いているうちにまた将棋が指したくなり
この度、再度24に登録しました(pcを
新しくした事で前のパスワードを忘れたため)
当然、1級位からスタートしてもいいのでしょうが、
元々、段、級に興味がない事と、ブログを通して今後
読者の将棋の上達をサポートできたらな・・と言う
思いでとりあえず低級の将棋を肌で感じたいと思いました。
故に、ブログ内で、自身で過小か?と言う事を書いています。
まったく悪意はありません。将棋の伸びを実感できない人の
為に、私自身低級の将棋を知る必要があったのです。(当初からここを
知らずにブログを読んでいる人もいるので)
今考えてる企画があります、それはビリーの
ブートキャンプの様に将棋強化100日プログラムを
始める事です。1日づつ体系付けて将棋を強化します。
その企画の為に低級にいます。ブログにかいてあるとおり
Rはいずれ落ち着く所に落ち着くと思います。
853 :
名無し名人:2008/12/07(日) 11:14:37 ID:UpEt8NLT
ブログ、そんなにキャラ崩壊でもないような
公開する必要も感じなかったけどw
物語面白かったです、お疲れさま
※また、この話を書いているとどうしても精神的に
暗くなり(現にナベヤを知っている為)ブログでは
ハッチャケテいます。ここを読んでブログに来る人は
ある程度その辺をくんで来て下されば幸いです。
ブログのコンセプトは、「一緒に上達しよう」です。
ですから日々の自身のRの変化を公開しています。
低級の気持ちを改めて知る事で、一気に抜ける強化法
を探りたいと思っています。故に、あえて6段に挑戦もします。
(フリーでしたが相手はhn公開の人でしたので、本当の6段だと思います)
ブログに来た際には、ぜひ応援ボタンを押していただければ
幸いです。
※あ。それから最後に一言。
あくまでブログは、「皆。肩に力が入りすぎだよ。
今は楽しく行こうぜ、苦しさはこの先にあるんだから」
の姿勢です。
856 :
名無し名人:2008/12/07(日) 16:37:17 ID:ghkIMSJa
ナベヤ「俺は斉藤に勝った・・・勝った・・・」みたいなのの話って書かないの?>作者さん
857 :
名無し名人:2008/12/07(日) 22:11:32 ID:LHDbN4Ib
応援ボタンを押していただければ嬉しいんだゾー^^
858 :
名無し名人:2008/12/07(日) 22:43:44 ID:AqpPzZyE
面白かった。おれも、ずーっと将棋が好きでいられるのかなぁ
859 :
名無し名人:2008/12/08(月) 20:34:10 ID:uUIUjTav
面白かった
ありがとう
860 :
名無し名人:2008/12/11(木) 07:17:09 ID:ISkyh7zk
牧村の運命は・・
高速棋譜並べはナベヤ推奨だっけ?
高速で一定のリズムで進めるってのは速読でも聞くけど
加えて多読で自然と先が予測出来るようになってくるって感じかな
861 :
名無し名人:2008/12/11(木) 13:15:50 ID:2xZMThHY
なるゾー強いじゃん
10勝1敗だし、フリーで六段にも勝ってる!!
初段の実力は十分あるんでないのか?
※ ↑ は自演じゃないよ。
ブログは、勝手気ままにやってます・・・。
(6段戦は、フリーですから・・・)
863 :
名無し名人:2008/12/13(土) 03:45:55 ID:12mbgHYo
ブログどこですか?
864 :
名無し名人:2008/12/13(土) 04:12:20 ID:lNHQm/L3
モバゲーのうp氏が筆者じゃないの?
865 :
名無し名人:2008/12/13(土) 07:30:18 ID:qqZrC+hF
終盤、あだち充臭がしたのは、世代が原因か。
何かと爽やかに、余韻を残すあだち手法。
866 :
名無し名人:2008/12/13(土) 10:41:16 ID:MeS46pPi
867 :
名無し名人:2008/12/13(土) 11:09:47 ID:bQ0BrCq7
過小マジムカツク
ちゃんとクメールしろ
868 :
名無し名人:2008/12/14(日) 01:19:08 ID:AqnBR10A
>通算11勝1敗
869 :
名無し名人:2008/12/14(日) 13:32:08 ID:WLqNukdX
うどそとチャーハソってなんだよ
870 :
名無し名人:2008/12/20(土) 19:59:55 ID:utx/dTge
ケロロ軍曹とガチャピン、買ってもいいよね?
クリスマスだからいいよね?
871 :
名無し名人:2008/12/21(日) 09:42:56 ID:7qdGanZZ
嚔しただけで風邪だって。
相変わらず阿呆な論理だな。
872 :
名無し名人:2008/12/21(日) 19:34:49 ID:bwam3I13
モバゲーのうp氏って何?
873 :
名無し名人:2008/12/23(火) 16:34:49 ID:al8Ln+1j
プレゼント何にするかな。
困ったな
874 :
名無し名人:2008/12/23(火) 22:20:58 ID:al8Ln+1j
ものもらいになっちゃったよ。
いてーな
875 :
名無し名人:2008/12/24(水) 08:35:01 ID:EOiV/zrP
また頭痛だよ、吐き気もするし。
何なんだよ、この身体
876 :
名無し名人:2008/12/25(木) 17:04:35 ID:Y6/sqhPL
腰いてーな。
なんとかしてーな。
877 :
名無し名人:2008/12/26(金) 01:27:45 ID:S+kwvUBT
モバゲーのうp氏って何?
878 :
名無し名人:2008/12/26(金) 13:44:12 ID:84AWulXw
これは良スレ
879 :
名無し名人:2008/12/27(土) 17:22:42 ID:c1tWE+BD
耳がチギレル
880 :
名無し名人:2008/12/28(日) 06:54:01 ID:6rohJbDV
コミケだな
881 :
名無し名人:2008/12/29(月) 06:44:06 ID:emgbcl4M
弁慶橋で僕と悪手
882 :
名無し名人:2008/12/30(火) 00:29:02 ID:lfpapqSm
12万円の売上でした
883 :
名無し名人:2008/12/31(水) 15:45:04 ID:aghNrtWB
よーし、MJやりにいくぞ
884 :
名無し名人:2009/01/01(木) 21:37:46 ID:RF+lL9sk
ヲタク文化か
885 :
名無し名人:2009/01/04(日) 08:57:14 ID:DgXjX3j5
あけおめ。
今年は年始からダメだね。
今年は終わったよ
886 :
名無し名人:2009/01/05(月) 00:05:42 ID:DgXjX3j5
モソハソは四人に限るね、間違いない。
887 :
名無し名人:2009/01/09(金) 18:37:05 ID:CH+wkzL0
BACHいいよ、BACH
888 :
名無し名人:2009/01/10(土) 13:08:30 ID:k/f9JzJC
888:名無し名人
888:名無し名人
888:名無し名人
888:名無し名人
889 :
名無し名人:2009/01/11(日) 23:19:53 ID:NQ9MaRs8
今日はかなり進んだな
890 :
名無し名人:2009/01/12(月) 19:53:38 ID:quXcHRnY
モンハン秋田
891 :
名無し名人:2009/01/13(火) 23:05:22 ID:3Q0b/2Th
能動的にね、受動はだめ
892 :
名無し名人:2009/01/23(金) 15:23:57 ID:W4rNyyfr
age
893 :
名無し名人:2009/01/23(金) 18:04:45 ID:QH9COFe1
さげろカス
894 :
名無し名人:
保守