ここなら・・・いいよ・・・ね? 既に削除依頼済みのようだけどw
ttp://allegromistic.hp.infoseek.co.jp/illust/il/s.html 第一話 名人誕生
「あ、負けました」
現名人森内の少々情けない投了の宣言とともに、一斉にシャッターが切られる。
弱冠17歳、史上最年少名人が誕生した瞬間である――
対局を終えたばかりの新名人、的場秋久に記者らから矢継ぎ早に質問が繰り出される。
「史上最年少の名人となったわけですが、どのようなお気持ちでしょうか?」
「この喜びを、まず誰に伝えたいですか?」
「今シリーズ通して非常に難解な将棋が多かったと思いますが、勝因はどの辺りに?」
三勝三敗で迎えた名人戦第七局、二日目。史上最年少名人がかかった今シリーズの、最終日。
注目されていることは知っていた。けれど秋久にとっては、目の前の対局がすべてであり、
それ以外のことはあまり気にしていなかった。いや、気にする余裕もなかった。
名人戦が始まる前の、森内との対局通算成績は一勝五敗。四段に昇段し、プロになってから五連敗、
その後何とか一勝することができただけ。秋久にとっては、まだ分の悪い相手。
ここまで戦えるとは思ってもいなかった。ただただ一局一局を、目いっぱい指してきた、それだけである。
「まだ、実感がありません。まさか名人に勝てるなんて思っていませんでしたし……」
「まず、師匠に。そこに」そう言うと、秋久は頭を深く下げた。
「分かりません。一手一手が難しくて……。あまりいろいろ考える余裕がなかったのが
かえって良かったかのもしれません」