【囲碁】有段死活・手筋研究【但し級位も可】

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341名無し名人
>>338
 >>338の図は、後手5目と逆ヨセ3目があるときに、どちらを選ぶかという図。
 >>282の図は、後手3目と先手1目の二通りのヨセ方があるときに、どちらを選ぶかという図。

 さて、これを判断するのに、「手番の利」>>338が理解できないと、判断できないということだ。
 「あくまで『最後まで読みきれていない』という前提つき」というが、最後まで読みきれていれば「手番の利」=読みきった利 だ。
 しかし、われわれアマが日常限られた時間で打つ場合に、それは難しい。

 そこで、出てくるのが、「逆ヨセは後手ヨセの2倍」という目安だ。
 王 銘エン先生は、さらに踏み込んで、>>338の図で他に残っている最大の後手ヨセの目数を調べ、その半分を「手番の利」と考えよという。
 つまり、他に後手4目しか残っていなければ、読みきれていないという前提で、「手番の利」=2目と考えなさいという。

 さてそれでは、最後まで読みきれていなければ、全く価値がないのか?
 そうではないだろう。途中まででも、読めていればそれは役に立つ。
 それを、後手4目=「手番の利」=2目を説明しつつ、示そう。
342名無し名人:04/12/19 07:38:09 ID:AKFuBfWn
>>341
 さて、簡単な場合からはじめよう。
 いま、ヨセの最終場面で、後手1目しか残っていないとしよう。
 この場合、後手1目が奇数個残っているか偶数個残っているか、2通りだ。
 奇数個残っている場合は、手番が最後の手どまりを打って、1目の利。
 偶数なら、全て見合いで、手番の利はゼロ。
 (この話は>>291にも書いた通り。)

 奇数か偶数かの確率は、各1/2だ。すると期待値は、1×1/2=1/2。
 つまり、後手1目=「手番の利」=半目。

 では、後手2目の局面なら?
 後手2目が奇数で1目が偶数の場合、確率1/4 期待値1/2。
 後手2目が偶数で1目が奇数の場合、確率1/4 期待値1/4。
 後手2目が奇数で1目が奇数の場合、確率1/4 期待値1/4。
 (これ分かるよね? 後手2目を自分が打って1目を相手が打つ。その差は1目になるから。)
 後手2目が偶数で1目が偶数の場合、確率1/4 期待値ゼロ。

 期待値の計1目。後手2目=「手番の利」=1目。

 同様にして、場合分けして行くと、後手3目の局面なら、
 手番で3目の利 確率1/8 期待値3/8。
 手番で2目の利 確率3/8 期待値6/8。
 手番で1目の利 確率3/8 期待値3/8。

 期待値の計12/8目。後手3目=「手番の利」=1目半。

 これから、後手n目=「手番の利」=n/2目 が予想されるだろう。
343名無し名人:04/12/19 07:54:47 ID:AKFuBfWn
>>342
 ついでに書いておくと

 同様にして、場合分けして行くと、後手4目の局面なら、
 手番で4目の利 確率1/16 期待値 4/16。
 手番で3目の利 確率4/16 期待値12/16。
 手番で2目の利 確率6/16 期待値12/16。
 手番で1目の利 確率4/16 期待値 4/16。

 期待値の計32/16目。後手4目=「手番の利」=2目。

 後手5目の局面なら、
 手番で5目の利 確率 1/32 期待値 5/32。
 手番で4目の利 確率 5/32 期待値20/32。
 手番で3目の利 確率10/32 期待値30/32。
 手番で2目の利 確率10/32 期待値20/32。
 手番で1目の利 確率 5/32 期待値 5/32。

 期待値の計80/32目。後手5目=「手番の利」=2目半。

 数学的に、『後手n目=「手番の利」=n/2目』が証明できると思うが、まあそれは省略させてもらう。
 後手5目の局面で、偶数奇数の組み合わせを考えると、場合の数は2の5乗=32になる。
 後手5目偶数、4目偶数、3目偶数、2目奇数、1目奇数の場合なら、自分が2目を打って相手が1目を打つから、1目の利とかね。
344名無し名人:04/12/19 08:19:00 ID:AKFuBfWn
>>343
 さて、これで数学的に、『後手n目=「手番の利」=n/2目』が納得いただけたとして、
 王 銘エン先生いうところの、最後まで読みきれていないという前提で、後手4目=「手番の利」=2目の説明がついた。

 つまり、「読みきれていない」=「後手n目の局面までは分かったが、偶数奇数までは読みきれていない」だと。
 偶数奇数までは読みきれていないというなら、確率の期待値で考えるしかない。

 では、最後まで読みきらないと価値がないのか?>>341
 そうじゃない。>>343の最後の例で示したように、大きなヨセの個数の偶数奇数だけでも分かれば、役立つ。

 例えば、「後手5目偶数、4目偶数」まで読みきれたとする。
 これは必ずしも全く不可能ではないだろう。
 そうすると、その局面は後手3目の局面と等価だ。
 つまり、その局面では、後手3目=「手番の利」=1目半という判断になる。

 だから、大ヨセの数だけでも、偶数奇数の判断ができれば、『後手n目=「手番の利」=n/2目』を使って、より目数の小さな局面の判断に還元できるというわけさ。
 これが、結論。