山岡士郎、将棋を語る

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55名無し名人
海原「ほう。谷川将棋で勝負したいだと?」

三上「はい、それもタニヲタの好みに合った谷川将棋をということです。」

海原「なに?・・・。よろしい、承知した。ただし、そのタニヲタの好みに合ったという
   点に重きをおくという条件でだ」
56名無し名人:04/10/10 15:36:31 ID:sB8GpP+4
大原「なんだ、そのタニヲタの好みに合った谷川将棋というのは・・・
   角換わり将棋を選んだりするのかね?有名な光速の寄せを選んだり・・・」

山岡「ま、それもいいでしょう。しかしタニヲタは自虐も好きですからね。
   内容の悪い負け将棋だっていいわけです。タニヲタの好みに合えば。」

大原「ふうむ・・・タニヲタ好みという点の解釈の仕方に
    今度の勝負のカギがひそんでいるようだな」
57名無し名人:04/10/10 15:52:16 ID:sB8GpP+4
栗田「で、山岡さん、タニヲタ好みの谷川将棋として、どんなもの選んだの?」

山岡「うん、やはりタニヲタのマニア度は無視できないな。
   そして一般将棋ヲタでは思いも寄らない、谷川のマニアックな棋譜だ。」

栗田「え・・・?」

山岡「もちろんタニヲタは守備の幅が広いし、阪神の勝利も自分の喜びとしてしまうくらいだから、
   公式戦だけに限ってるわけではない。
   お好み対局、対アマ戦、練習将棋のようなものだって、それがタニヲタの好みならいいわけだ。
   でも、それこそ一般将棋ヲタが谷川将棋について考えもしないことなんじゃないかな?」

栗田「それはおかしいわ」

山岡「なにが?」

栗田「だってそれじゃあ、タニヲタ好みというのは、一般将棋ヲタの嗜好を無視する所にあるみたい。
   タニヲタの守備の幅は広いというなら、むしろ正統的な谷川将棋の棋譜も考えるべきじゃないの?」
581:04/10/10 15:54:12 ID:sB8GpP+4
栗田「じゃあ山岡さん、どんな谷川将棋を選んだのか具体的に教えて……」

山岡「いろいろあるけどね。ま、候補作をいくつかあげると……
   将棋の日での羽生との次の一手名人戦、故村山九段が四段時代に指した
   角落ち将棋、今年の将棋祭りでの対鈴木戦での鮮やかな即詰み、・・・
   ええと・・・・・まだまだあるけれど・・・・・」

栗田「ふうん…なんだか、ピンとこないわね・・・」


〜〜〜〜


審査員「『至高の将棋』と『究極の将棋』の対決。今回は谷川将棋であります。
    タニヲタ好みの谷川将棋とはどんなものなのか、双方の鑑賞眼の冴えを
   じっくり味わいたいと思います。」
59名無し名人:04/10/10 16:09:08 ID:sB8GpP+4
海原「当方は二種類用意した。まず最初の名人位獲得の将棋を」

開始日時:1983/06/14(火) 00:00:00
棋戦:名人戦
戦型:ひねり飛車
先手:谷川浩司
後手:加藤一二三

▲26歩 △84歩 ▲25歩 △85歩 ▲78金 △32金 ▲24歩 △同歩 ▲同飛 △23歩 ▲26飛
△62銀 ▲96歩 △34歩 ▲36飛 △33金 ▲38銀 △14歩 ▲76歩 △86歩 ▲同歩 △同飛
▲75歩 △82飛 ▲77桂 △41玉 ▲48玉 △42銀 ▲97角 △72金 ▲86飛 △83金 ▲87金
△32玉 ▲76金 △44金 ▲68銀 △54金 ▲66歩 △84歩 ▲67銀 △44歩 ▲39玉 △45歩
▲58銀 △15歩 ▲79角 △64歩 ▲56歩 △63銀 ▲57角 △74歩 ▲同歩 △同金 ▲75歩
△73金 ▲98香 △44角 ▲28玉 △94歩 ▲65歩 △同歩 ▲66歩 △72金 ▲65歩 △85歩
▲89飛 △33桂 ▲66金 △68歩 ▲85飛 △同飛 ▲同桂 △69歩成▲55歩 △同金 ▲84飛
△54飛 ▲81飛成△66金 ▲36桂 △57金 ▲44桂 △43玉 ▲32角 △44玉 ▲54角成△同歩
▲57銀 △79角 ▲58歩 △71歩 ▲41飛 △31金 ▲61飛成△43角 ▲64歩 △52銀 ▲72龍右
△同歩 ▲78金 △57角成▲同歩 △89飛 ▲56歩 △55歩 ▲84龍 △73銀 ▲同桂成△84飛成
▲63成桂△75龍 ▲67金 △59と ▲71角 △53桂 ▲同成桂△同銀左▲36桂 △54玉 ▲66金打
△64龍 ▲55金 △同龍 ▲同歩 △63玉 ▲64歩 △同玉 ▲82角成△73金 ▲65歩 △同角
▲71飛 △49と ▲72飛成△78飛 ▲76歩 △62金 ▲73馬 △同金 ▲75銀 △55玉 ▲66金
△54玉 ▲44金
まで145手で先手の勝ち

60名無し名人:04/10/10 16:14:14 ID:sB8GpP+4
海原「棋譜はもちろん公式戦です。谷川浩司当時21歳、史上最年少名人誕生か、と
   谷川フィーバーを起こし、3連勝のあと2連敗した後の一局です。」

山岡「ふふ、こんなものか。」

海原「次は、羽生の七冠を阻止した一局。」

開始日時:1995/03/24(金) 00:00:00
棋戦:王将戦
戦型:矢倉
先手:谷川浩司
後手:羽生善治

▲76歩 △84歩 ▲68銀 △34歩 ▲66歩 △62銀 ▲56歩 △54歩 ▲48銀 △42銀 ▲58金右
△32金 ▲78金 △41玉 ▲69玉 △74歩 ▲67金右△52金 ▲77銀 △33銀 ▲79角 △31角
▲36歩 △44歩 ▲37銀 △85歩 ▲35歩 △64角 ▲34歩 △同銀 ▲18飛 △53銀 ▲57角
△31玉 ▲79玉 △73角 ▲88玉 △42銀 ▲36銀 △33銀 ▲35歩 △43銀 ▲46歩 △42金右
▲26歩 △55歩 ▲同歩 △同角 ▲68角 △52飛 ▲37桂 △64角 ▲96歩 △73桂 ▲38飛
△94歩 ▲18香 △93香 ▲25桂 △24銀 ▲65歩 △同桂 ▲66銀 △57歩 ▲65銀 △58歩成
▲77角 △57と ▲66金 △46角 ▲55桂 △19角成▲45歩 △46馬 ▲43桂成△同金直▲55銀
△37歩 ▲44歩 △42金引▲46銀 △38歩成▲34角 △58飛 ▲52角成△同金 ▲57銀 △同飛成
▲67金引△48龍 ▲53歩 △同金 ▲51飛 △41桂 ▲54歩 △44金 ▲53歩成△69銀 ▲68金寄
△78角 ▲56銀 △25銀 ▲52と △22玉 ▲41飛成△86歩 ▲同角 △36銀 ▲42と △33玉
▲16桂
まで111手で先手の勝ち
61名無し名人:04/10/10 16:22:16 ID:sB8GpP+4
富井「七冠阻止の一局なんてあまりのも芸がなさすぎるんじゃないの?」

唐山「なんじゃい今日の雄山は」

京極「どんな凄いものがでてくるのかと思ったのに」

二木「タニヲタ好みの谷川将棋のはずでしょ?これじゃ一般将棋ヲタの好みでもあるわ」

海原「当時、将棋界初の七冠制覇なるかということで世間を将棋ブームに巻き込み
   その最後の最後で谷川が牙城を守りきったという一局。
   この最終局は千日手局と同一手順が続き、互いが互いを認め合ってる
   ということでも有名な一局だ。」


栗田.。oO(名人獲得の一局といい、この七冠阻止の一局といいなんと澄み切った
     素直な選局なんだろう。私は山岡さんにこういう将棋を選んで欲しかったんだわ)
62名無し名人:04/10/10 16:25:20 ID:sB8GpP+4
二木「あきれたわ、これがタニヲタ好みの至高の将棋だなんて!
   山岡さん、この勝負私たちの勝ちね!」

山岡「おう!オレの棋譜を見たら、みんなひっくり返るぜ!」

三上「では次に、『究極の将棋』の方をお願いします。」
63名無し名人:04/10/10 16:33:54 ID:sB8GpP+4
開始日時:1988/10/09
持ち時間:15分
棋戦:第1回全国高校竜王戦 特別公開対局
戦型:四間飛車
場所:福岡市第一薬科大学厚生会館
先手:大山康晴
後手:谷川浩司
▲7六歩 △8四歩 ▲7八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲6八飛 △4二玉
▲4八玉 △3二玉 ▲3八玉 △5二金右 ▲2八玉 △5四歩 ▲3八銀 △1四歩
▲1六歩 △4二銀 ▲5八金左 △7四歩 ▲5六歩 △5三銀左 ▲4六歩 △8五歩
▲7七角 △4二金上 ▲4七金 △7五歩 ▲同 歩 △6四銀 ▲7四歩 △7五銀
▲6五歩 △7七角成 ▲同 銀 △8六歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲同 銀 △同 飛
▲7七角 △8九飛成 ▲8八飛 △同 龍 ▲同 角 △4四角 ▲同 角 △同 歩
▲8二飛 △6九飛 ▲5八銀 △9九飛成 ▲6六角 △7九龍 ▲8一飛成 △5三銀
▲3六歩 △1五歩 ▲4五歩 △1六歩 ▲1八歩 △7四龍 ▲4四歩 △7一歩
▲4五桂 △6二銀 ▲8六龍 △6五龍 ▲7五龍 △7三角 ▲3七銀 △7五龍
▲同 角 △2四香 ▲7四歩 △6四角 ▲同 角 △同 歩 ▲6六角 △3三桂打
▲4三歩成 △同金直 ▲3三桂成 △同 桂 ▲4四桂 △同 金 ▲同 角 △1五桂
▲2六歩 △7五角 ▲6六歩 △4一飛 ▲4五飛 △同 桂 ▲3三金 △3一玉
▲6二角成 △2七銀
まで98手で後手の勝ち
64名無し名人:04/10/10 16:37:17 ID:sB8GpP+4
山岡「まず、第1回高校竜王戦での特別公開対局です。
   これは全集にも載っていないような非公式戦、しかも一般将棋ファンが
   集まりにくい高校竜王戦における特別対局です」

小泉「うは!これはマニアックな棋譜だぞ!」

大原「山岡の奴、張り切りおったな!」

唐山「こら極楽!泣けてくるマニアックさじゃな!」



65名無し名人:04/10/10 16:43:07 ID:sB8GpP+4
山岡「そして谷川兄弟対決の棋譜です。将棋月刊誌の企画で実現した
   当時名人だった谷川とその兄でアマ強豪の俊昭氏との特別対局です」

開始日時:1983/07/17(日) 00:00:00
棋戦:将棋世界特別企画兄弟対決
手合割:角落ち 
下手:谷川俊昭
上手:谷川浩司

△84歩 ▲76歩 △62銀 ▲68銀 △54歩 ▲56歩 △53銀 ▲48銀 △52金右▲78金 △64歩
▲66歩 △42玉 ▲58金 △32玉 ▲67金右△62飛 ▲69玉 △65歩 ▲同歩 △同飛 ▲26歩
△61飛 ▲25歩 △22銀 ▲36歩 △42金上▲46歩 △74歩 ▲47銀 △65歩 ▲35歩 △64銀
▲45歩 △75歩 ▲36銀 △76歩 ▲同金 △71飛 ▲67銀 △75歩 ▲86金 △74飛 ▲34歩
△55歩 ▲33歩成△同金 ▲38飛 △73桂 ▲76歩 △同歩 ▲75歩 △同銀 ▲同金 △同飛
▲55角 △66歩 ▲同銀 △55飛 ▲同銀 △51歩 ▲71飛 △35歩 ▲34歩 △同金 ▲47銀
△65桂 ▲68飛 △57桂成▲61飛上成△62金打▲同龍△同金 ▲33歩 △同玉 ▲51飛成△39飛
▲59金 △25金 ▲54龍 △47成桂▲44銀 △24玉 ▲43銀不成△15玉▲16銀 △同金 ▲同歩
△26玉 ▲17金 △36玉
まで91手で上手の勝ち
66名無し名人:04/10/10 16:49:44 ID:sB8GpP+4
京極「若貴の兄弟決戦によう似とるが、マニア度は数倍こちらが上!」

審査員A「こらますますヲタな棋譜!」

審査員B「しかもこちらは、まさに谷川将棋!」

二木「みんなすごい反応よ!タニヲタ好みの谷川将棋とはまさにこれだったのね!」

山岡「手ごたえあり、だ。」

谷村「ま、これなら。」

富井「はい、間違いないでしょう」


審査員C「審査結果を発表します。タニヲタ好みの谷川将棋対決は・・・・・・

     『至高の将棋』の勝ちといたします!   」

67名無し名人:04/10/10 16:53:18 ID:sB8GpP+4
山岡「な、なぜだ!!??」

二木「こっちの方がずっとマニアックだったじゃないの!?」

小泉「まさにヲタの棋譜じゃないか!」

大原「審査員は不公平だ!」

唐山「審査員全員、最初は『究極の将棋』側の方に心を惹かれたが、
   すぐに重大な事実に気付いたのじゃ。
   タニヲタが本当に喜ぶ棋譜はどっちだったか、何度でも並べたいと思うのはどっちか」

山岡「え……?」

68名無し名人:04/10/10 17:19:04 ID:sB8GpP+4
京極「『究極の将棋』側の棋譜はとにかくマニアック。ヲタ度とマニア度では上やろ。
   しかしそれは、珍しいという希少価値という意味でのマニアや。
   タニヲタの欲求を完全にひき出したものではない。
   コレクターとしての欲求を満たしたに過ぎない。」

唐山「一方、『至高の将棋』側の棋譜は、舞台設定と認知度は最高。
   それがヲタの心を十全に満たしている。これなら何回並べても飽きることがないだろう」

谷村「たしかに言われてみれば・・・」

大原「プロ棋士は公式戦の結果が一番大事なんだからな・・・・」
69名無し名人:04/10/10 17:30:05 ID:sB8GpP+4
海原「士郎。 おまえはタニヲタもミーハーの仲間だということを忘れていたな。
   日本には、ミーハーとおたくという文化がある。ミーハーには追っかけ、
   おたくにはコレクターなどたくさんのものがあるが・・・」

海原「やはり一番ミーハーが好きなのは、その対象人物の最高の舞台設定で結果を出して
   もらい、その対象人物が喜ぶさまを見て共に喜びを味わうものだ」

山岡「あ!!!!」

海原「私の用意した二つの棋譜は、タニヲタの内に眠る谷川と喜びを分かち合うという
   喜びを十全に思い起こさせた。
   一方おまえの高校竜王戦の特別公開対局、兄弟対決の棋譜は谷川の喜びよりも
   コレクターが珍しい棋譜に出会ったという喜びのほうが大きい」

山岡「う・・・・」
70名無し名人:04/10/10 17:37:44 ID:sB8GpP+4
海原「おまえはタニヲタとか一般将棋ヲタとかの外形に心を奪われ本質を忘れた。」
   たとえ、有名な棋譜であれマニアックな棋譜であれ、タニヲタというものは
   最高の舞台で最良の結果を出せた将棋が好きなのだ。
   それがタニヲタ好みというもの。
   例え谷川の将棋であっても、非公式戦で勝っても負けてもどうでもよいような
   将棋の棋譜は、タニヲタ好みではないのだ。

   ことの本質を忘れては、いい棋譜もわるい棋譜もない!!
   おまえは将棋ヲタのくせにタニヲタの好みをわからぬ愚か者だ!!」

谷村「まさに海原雄山の言う通り・・・・・・・」

大原「ヲタの質が違ったな・・・・・・」