山岡士郎、将棋を語る

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383名無し名人
開始日時:1990/07/12
棋戦:全日プロ     
戦型:矢倉
先手:丸山忠久
後手:滝誠一郎

▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲4八銀 △3二金 ▲5六歩 △5二金
▲7八銀 △2二銀 ▲7九角 △8四歩 ▲7七銀 △8五歩 ▲7八金 △4三金右 ▲6九玉 △4一玉
▲5八金 △5四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲3六歩 △4二角 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 角 △3三桂
▲7九玉 △6四角 ▲4六角 △5三角 ▲6七金右 △4五歩 ▲6八角 △2三歩 ▲8八玉 △7四歩
▲3七銀 △7三桂 ▲4六歩 △同 歩 ▲4八飛 △4四金 ▲5五歩 △同 歩 ▲3五歩 △同 金
▲4六銀 △同 金 ▲同 飛 △3一玉 ▲5四金
まで55手で先手の勝ち

老人「いくら滝が弱いとはいえ、55手で勝ってしまうだなんて・・・
丸山さんが強いだの弱いだの言う以前の問題じゃないか」

富井「待ってくれ。今、山岡君が並べたは最悪の棋譜だよ。これはどうだ?
最高の丸山の棋譜だよ」
384名無し名人:05/01/29 22:11:51 ID:AW1p+Pv6
開始日時:2001/06/21
棋戦:名人戦
戦型:横歩取り
先手:谷川浩司九段
後手:丸山忠久名人

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲3四飛 △3三角 ▲3六飛 △2二銀 ▲8七歩 △8五飛
▲2六飛 △4一玉 ▲6八玉 △6二銀 ▲3八銀 △5一金 ▲3六歩 △7四歩 ▲3七桂 △7三桂
▲4六歩 △5五飛 ▲4五歩 △5四飛 ▲3三角成 △同 桂 ▲6六歩 △7五歩 ▲8三角 △4五桂
▲同 桂 △4六角 ▲5八金 △1九角成 ▲2三歩 △3一銀 ▲3三桂打 △5二玉 ▲2一桂成 △2五歩
▲2七飛 △5五馬 ▲2五飛 △6六馬 ▲2二歩成 △同 銀 ▲同成桂 △同 金 ▲7七金 △4四馬
▲3五銀 △2三香 ▲2四歩 △4五馬 ▲2三歩成 △6五桂打 ▲4四歩 △同 歩 ▲2二と △3六馬
▲4三金 △同 玉 ▲2三飛成 △5二玉 ▲4七銀 △5七桂成 ▲同 金 △同飛成 ▲同 玉 △6五桂打
▲6六玉 △4七馬 ▲3二飛 △4二金打
まで84手で後手の勝ち
385名無し名人:05/01/29 22:12:45 ID:AW1p+Pv6
山岡「でも85飛全盛の頃の名人戦の棋譜ですね。
丸山の将棋にハマるとこんなものは全然将棋なんかじゃない」

板山「うくくっ」

山岡「結局素晴しい棋譜を並べたかったら手間隙を惜しまずデータベースを漁るしかないんです」

老人「すると素晴しい棋譜とは・・・」

山岡「24の実戦集と一緒ですよ。ひどい棋譜はいくら並べても価値がない。
そんな棋譜を並べても強くなるわけがないでしょう」

老人「がっくり。分かりましたよ。私が強くならないわけが。
50年前に並べた大山名人の棋譜とは比べ物にならない棋譜だったんですね」

老妻「でも、良かったわね。あなたがボケていないことが分かって」

栗田「ボケているどころか、50年も前の棋譜を覚えているなんて凄いわ」

老人「はて、丸山さんの将棋については、これで理解できたけど、
他のプロ棋士についてはどうなんでしょう。田中寅彦九段なんか強いはずですよね」

山岡「では、あちらにまいりましょう。田中さんの棋譜を見てください」

老人「田中九段の才能はただものじゃないだろう」

山岡「さて、どうですか」
386名無し名人:05/01/29 22:13:03 ID:AW1p+Pv6
開始日時:2004/06/04
棋戦:順位戦
戦型:三間飛車
先手:中村 修八段
後手:田中寅彦九段

▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲7八飛 △6四歩 ▲4八玉 △6三銀 ▲3八玉 △5四銀
▲5八金左 △6二飛 ▲6八銀 △4二玉 ▲2八玉 △3二玉 ▲3八銀 △5二金右 ▲1六歩 △1四歩
▲7五歩 △6五歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲2二角成 △同 銀 ▲7七銀 △6六歩 ▲6八歩 △3三銀
▲8六歩 △3五歩 ▲8五歩 △6四角 ▲4六角 △7五角 ▲7六銀 △6四角 ▲同 角 △同 飛
▲7二角 △3四角 ▲7九飛 △7六銀 ▲同 飛 △8九角成 ▲8一角成 △6一桂 ▲9一馬 △9九馬
▲8一馬 △9八馬 ▲9六飛 △9四歩 ▲7二馬 △5四馬 ▲同 馬 △同 歩 ▲7五銀 △6五飛
▲6六銀 △6二飛 ▲7一角 △9二飛 ▲3五角成 △4四銀 ▲4六馬 △9五歩 ▲7六飛 △6二飛
▲5六馬 △6三香 ▲4六歩 △5五歩 ▲同 銀 △6五銀 ▲4四銀 △同 歩 ▲6七馬 △7六銀
▲同 馬 △6五角 ▲7七馬 △7四飛 ▲7五歩 △同 飛 ▲4四馬 △3三歩 ▲5六香 △同 角
▲同 歩 △5三銀 ▲8八馬 △6八香成 ▲6三歩 △同 飛 ▲4四桂 △同 銀 ▲5四角 △4三歩
▲6三角成 △5八成香 ▲5二馬 △同 金 ▲5八金 △5七歩 ▲5九金 △1五歩 ▲5四香 △5三香
▲同香成 △同 銀 ▲1四香 △同 香 ▲1二飛 △2二香 ▲1一銀 △3一金 ▲2二銀成 △同 金
▲4一銀 △同 玉 ▲2二飛成 △3一銀 ▲2一龍 △3二銀打 ▲1一龍 △1六歩 ▲1八歩 △2一香
▲5五香 △8五飛 ▲6六馬 △8九飛成 ▲6九歩 △5四桂 ▲同 香 △同 銀 ▲1四龍 △6二香
▲5四龍 △5三歩
まで142手で先手の反則勝ち
387名無し名人:05/01/29 22:13:30 ID:AW1p+Pv6
老人「なにっ、二歩で反則負けだと!」

山岡「プロ棋界には田中九段以外にも二歩で負けている棋士が多数います。

老人「なんてことだ」

板山「いったい将棋界はどうなっているんだね。棋士が平気で二歩を打つだなんて」

老人「ああ50年間我慢してきたというのに」

老妻「本当にねぇ」

山岡「そんなに嘆くことはありませんよ。数は微々たるものですが、いかにもプロ棋士という棋譜なら今でもある」

老人「ほう、そんなに凄い棋譜があるのかね」

山岡「たとえばこの棋譜は王位戦の対大島戦で指されたものなんです」
388名無し名人:05/01/29 22:14:09 ID:AW1p+Pv6
開始日時:1991/06/04(火)
棋戦:王位戦      
戦型:矢倉
先手:大島映二
後手:丸山忠久

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲7七銀 △6二銀 ▲5六歩 △3二金 ▲4八銀 △4一玉
▲5八金右 △4二銀 ▲6六歩 △5四歩 ▲6七金 △7四歩 ▲7八金 △5二金 ▲6九玉 △3三銀
▲7九角 △3一角 ▲3六歩 △4四歩 ▲6八角 △4三金右 ▲7九玉 △6四角 ▲3七桂 △3一玉
▲8八玉 △9四歩 ▲3八飛 △9五歩 ▲5七銀 △7三桂 ▲4六銀 △2二玉 ▲8六銀 △2四銀
▲1六歩 △5三銀 ▲2六歩 △3三桂 ▲1七香 △1四歩 ▲5七銀 △4二銀 ▲4八銀 △4五桂
▲4六歩 △3七桂成 ▲同 銀 △8五歩 ▲7七銀 △9四桂 ▲9八桂 △3三銀上 ▲2八飛 △1五歩
▲同 歩 △同 銀 ▲同 香 △同 香 ▲2五歩 △1七香成 ▲2九飛 △1六成香 ▲1四歩 △1五成香
▲1三歩成 △同 玉 ▲4五歩 △2二玉 ▲4四歩 △同 金 ▲1三銀 △3一玉 ▲4六角 △同 角
▲同 銀 △1四成香 ▲1二銀成 △4五歩 ▲5三角 △4二金 ▲7一角成 △5二飛 ▲1五歩 △1一歩
▲同成銀 △1三成香 ▲5七銀 △2二玉 ▲1九飛 △3七角 ▲1八飛 △1七歩 ▲同 飛 △2八角成
389名無し名人:05/01/29 22:15:00 ID:AW1p+Pv6
▲1六飛 △2七馬 ▲1九飛 △1七香 ▲2九飛 △3八馬 ▲6九飛 △5一飛 ▲6二馬 △1一飛
▲7三馬 △2四歩 ▲6八飛 △2七馬 ▲2八馬 △同 馬 ▲同 飛 △2五歩 ▲同 飛 △2四歩
▲2八飛 △1九角 ▲3八飛 △4六歩 ▲4八歩 △2三成香 ▲3七角 △4五金 ▲1九角 △同香成
▲3九飛 △1五飛 ▲7三角 △5五歩 ▲9一角成 △1八飛成 ▲7九飛 △5八角 ▲6八銀右 △3六角成
▲3八歩 △2九成香 ▲7三馬 △3八龍 ▲6三馬 △3九成香 ▲5七桂 △3五金 ▲3六馬 △同 金
▲4五香 △3二金 ▲6一角 △4七歩成 ▲4三香成 △同 金 ▲同角成 △4二歩 ▲5四馬 △5一香
▲3二金 △1三玉 ▲3六馬 △同 龍 ▲4七歩 △4四銀 ▲4二金 △5六歩 ▲5一金 △5七歩成
▲同 金 △5六歩 ▲同 金 △同 龍 ▲3九飛 △5一龍 ▲1八香 △1四歩 ▲1七香打 △4五角
▲1四香 △同成香 ▲同 香 △同 玉 ▲4六香 △7八角成 ▲同 玉 △5六角 ▲6七角 △同角成
▲同 銀 △5七金 ▲6八金 △6七金 ▲同 金 △5八銀 ▲5六歩 △6七銀成 ▲同 玉 △5八銀
▲同 玉 △5六龍 ▲5七金 △6七金 ▲4九玉 △4八金
まで206手で後手の勝ち

老人「これこそ、プロの将棋です。成香を自陣に引き付けて成香冠を作るだなんて。
実に勝負に辛いが投了図はさわやか。これなら何度でも並べられますよ。ありがたいっ。
50年の乾きが癒せる」

老妻「良かったわね、あなた」

栗田「でも、どうして成香冠を作るの?」

山岡「勝ちを急がないことさ。じっと相手の手を殺して待つ、それだけのことさ」

板山「よろしい。プロの中途半端な棋譜を公表していた私の罪滅ぼしだ。私が最高の丸山棋譜を紹介しよう」

栗田「わぁ、すごい」
390名無し名人:05/01/29 22:17:51 ID:AW1p+Pv6
板山「ここは日本でも有数の棋譜データベース管理会社だよ」

栗田「じゃあ、ここで凄い丸山将棋を並べられるんですね」

板山「ここの社長とは懇意にしているんで協力してくれることになったんだよ」

社長「というわけで、管理部長よろしく」

部長「ここで丸山将棋を見せるだなんて・・・」

社長「おいおい、丸山将棋じゃなければ並べる意味がなくなってしまう」

部長「大山名人の棋譜じゃなければ並べる意味がありません。後味も悪いしね」

板山「いや、それは大山名人の棋士の棋譜を並べるからでしょう。丸山九段の棋譜ならば・・・」

部長「ダメですね、そんな素人考えは」

板山「素人考えも何も並べてみなければ」

部長「ダメです。大山名人の辛さは本場韓国の唐辛子とは比較にならないんです。
第一辛ければいいってもんじゃない。相手の希望を打ち砕くような冷血さがないと・・・」
391名無し名人:05/01/29 22:18:04 ID:AW1p+Pv6
山岡「それは違うんじゃないかな。いくら敗色濃厚とはいえ、相手は一思いに斬ってほしいと
願っているなら、望みを絶つような指し方をしてもいいんじゃないかな。
相手の飛車を捕獲しても許されるというような・・・」

部長「究極の棋譜を探すために我々は努力しているんです。素人考えのないものねだりはやめていただきたい」

板山「なんてこった。社長が本物の丸山棋譜を探そうと言っているのに管理部長の反対で
ダメになるだなんて」

山岡「あの管理部長は悪い意味での大山ヲタですね。一番最初に大山名人の受けの妙技を
見てしまい、叩き込まれてしまったのでしょう。」

栗田「丸山将棋のことを頭からバカにしているのね」

山岡「よし、こうなればNHKに逝こう」

栗田「NHKに棋譜を探しに逝くの?」
392名無し名人:05/01/29 22:18:58 ID:AW1p+Pv6
山岡「こちら不祥事だらけで辞任した元蝦沢会長です」

蝦沢「やあ、いらっしゃい。不祥事だらけの蝦沢です」

山岡「蝦沢さんは、不祥事の多さで疲れてしまって、平凡な棋譜では満足できなくなって
しまったんだ。そこで自分で刺激的な棋譜を探し始めるようになった」

板山「病、膏盲に入るというやつですな」

蝦沢「わっはっは、ごもっとも」

板山「そのNHKが放映した棋譜が絶品でね。それだけでもあの老人を満足させられると思うんだが、
 残念ながらすでに放映済みなんだ。と言っても視聴率はほんの数%だからほとんどの国民は見ていないはずなんだが」

蝦沢「ま、うまくいくかどうかは分かりませんが頑張ってみます」

数日後

蝦沢「今日は絶品と言われる丸山ー加藤戦を用意してみました。しかし、どうもイヤですね。
飛車を生け捕りされるというのは」

山岡「飛車が生け捕りされるかどうか棋譜を並べてみましょう」
393名無し名人:05/01/29 22:19:14 ID:AW1p+Pv6
開始日時:1996/08/25
棋戦:NHK杯
戦型:角換わり棒銀
先手:丸山忠久
後手:加藤一二三

▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩 ▲8八銀 △3二金 ▲7八金 △7七角成
▲同 銀 △2二銀 ▲3八銀 △3三銀 ▲1六歩 △7二銀 ▲1五歩 △8三銀 ▲3六歩 △8四銀
▲9六歩 △9四歩 ▲3七銀 △9五歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲同 香 △同 香 ▲9四歩 △9二歩
▲6六銀 △8六歩 ▲同 歩 △9八角 ▲8八金 △7六角成 ▲9一角 △5二飛 ▲8二銀 △6七馬
▲7七金 △8九馬 ▲8一銀不成△8二歩 ▲8五桂 △4二玉 ▲7三桂成 △4五馬 ▲6二歩 △7一金
▲7二銀不成△同 金 ▲同成桂 △7六歩 ▲同 金 △3五歩 ▲8二角成 △3六歩 ▲4六銀 △3七歩成
▲同 桂 △6七馬 ▲7七金 △4九馬 ▲同 玉 △3六桂 ▲1八飛 △7六歩 ▲同 金 △1七香
▲3八飛 △6七銀 ▲4五桂 △4八金 ▲同 飛 △同桂成 ▲同 玉 △1九香成 ▲7七金 △6八飛
▲3七玉 △1八成香 ▲4八桂 △5八銀成 ▲7九金 △9八飛成 ▲8八金打 △9九龍 ▲8九金寄 △1七成香
▲9九金 △同香成 ▲7一飛 △4四歩 ▲2一飛成 △4五歩 ▲同 銀 △3五金 ▲4六歩 △6四香
▲4七玉 △4八成銀 ▲同 玉 △5一飛 ▲同 龍 △同 玉 ▲7一飛 △4二玉 ▲5一角
まで109手で先手の勝ち
394名無し名人:05/01/29 22:20:15 ID:AW1p+Pv6
解説者「ここで飛車が打ち下ろされました。しかし丸山さんは虎視眈々と飛車を狙っています。
だいぶ包囲網が完成したようです。そろそろ捕獲しましょうか。もったいかもしれませんが、
ここは持ち駒の金を投入しましょう」

栗田「金で飛車を詰ますんですね」

解説者「これで飛車の捕獲完了です。駒台に乗せておきましょう」

栗田「あっ、辛い。ここまですることないのに」

解説者「そりゃ、当然ですよ。取らなければ逆にこちらの玉が寄せられてしまう。
みんな必死なんですから。じゃあ一気に加藤玉を寄せに逝きましょう」

山岡「うほっ、あっさり寄るもんなんだな」

老人「これこれ、この棋譜だ。これこそ50年間求めていた棋譜だ」

山岡「ううむ。50年間棋譜並べを断っていたから、こんなに感動するんだろうなあ。
よし、俺もしばらく棋譜並べを断ってみよう」

栗田「そうですか」(盤上をぐちゃぐちゃにする)

山岡「待ってくれ! 断つのは明日からにするよ」