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関西メルマガ:
先日、棋士室をのぞくと有吉九段が将棋盤を前に一人で座って
いました。この日は竜王戦4組の残留決定戦で堀口一史座七段
と対局。昼食を済ませて、誰かが並べかけている将棋の局面を
考えているのかな、と思っていたらその空いていた席に奨励会の
村田顕弘三段が座り、その二人で将棋を再開しました。時計は
午後1時を回り、対局は再開している時間です。
この日の対局は前述の1局のみ。局面が映っているはずのモ
ニターはすでに消えていました。もしや、と思い、棋譜の綴じてあ
るファイルをめくると、そこには「66手にて有吉九段の勝ち」とあ
り、終局時間は「11時52分」と記されていました。
矢倉模様の出だしから後手番の有吉九段は陽動振り飛車!
に変化。読み違いがあったのか、中央での折衝の後に有吉九
段が一方的に駒得が約束される強烈な一撃が決まって、堀口
七段はあっさりと駒を投じていました。これで有吉九段は4組
残留を決めました。
前期の順位戦でも降級の目がありながら淡白な投了で話題
を呼んだ堀口七段。今期はその順位戦でも2番手に立ってい
ますが、有吉九段の好手を見落としていた自らの不甲斐なさを
恥じてなのか、降級の一番をお昼前に終わらせてしまいました。
有吉九段と村田三段の練習将棋は夕方近くまで続き、やが
てその対戦相手は井上八段になっていました。
順位戦ではまだ初日が出ない有吉九段ですが、この不屈の
闘志と将棋を楽しむ気持ち。来週(20日)の順位戦の島本亮四
段との対局はお互いに初日が出ていない者同士の対戦という
事もあり、注目です。
〔メールマガジンスタッフ 出原〕