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名無し名人:
林葉さんは,それまでは中原さんのために捨てていた気配もある自分の生活の具体的な再建に着手するが、将棋界を捨ててタレントに転向するといっても、そう容易なことではない。
ところが、中原さんは、たとえば林葉さんのお姉さんが「直子は将棋を辞めたくなかった。
辞める時に中原さんに相談したら、いとも簡単に『辞めれば』といわれてショックを受けたようだ」と言うよう
に、林葉さんの人生の最も大切なもの、仕事である将棋をまともに認識していない。
中原さんは「仕事については好きなようにマイペースで」という主義で
極楽とんぼだから、将棋上のライバル米長邦雄さんのように
泥沼流人生相談もできないから、林葉さんの人生の危険な選択を
放置してしまったのである。
仕事のない林葉さんにはお金もなくなってくる。
林葉さんの心から「好き」とか「アイ・ラブ・ユー」とかいうような
感情が失われ,「強い人」への尊敬の念も消滅寸前になり,
自分がこういう状況に陥ったことに責任がある(と林葉さんは思う)
中原さんにお金を借りる権利があるように思い始める。
中原さんは,林葉さんにお金を貸しながら、その時、お金を貸した返礼として
「好き」と尊敬とたぶん激しい性交も求める。
お金だけ借りて、さっさっと林葉さんが帰ったりすると、憤懣やるかたない。
林葉さんの留守電に残ったストーカーとしての中原さんの言葉はそういう
時のものだそうである。
「もしも?し、今から突入しまーす」とか「おい!いるんだろ!
今から行くぞ!」とか。
それは林葉さんには許しがたいものであり,当然、激しい怒りが生じる。
林葉さんは自分の人生のめりはり、お金を稼ぐ機会を
中原さんによって失ったと思っている。