あれから5年 村山聖の偉大さを語るスレ

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377名無し名人
棋戦名:第56期B級1組順位戦2回戦    対局日:1997年7月14日
(先手)七 段:丸山忠久(1勝0敗)    戦 型:角換わり腰掛け銀
(後手)八 段:村山 聖(1勝0敗)    終 局:1時43分

▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲7八金 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △7七角成▲同 銀△4二銀 ▲1六歩 △1四歩 ▲9六歩 △9四歩
▲3八銀 △7二銀 ▲4六歩 △6四歩 ▲4七銀 △6三銀 ▲6八玉 △5四銀
▲5六銀 △6五歩 ▲7九玉 △5二金 ▲5八金 △4一玉 ▲3六歩 △3一玉
▲2五歩 △3三銀 ▲3七桂 △6四角▲4七金△4四歩▲6八飛△7四歩
▲6六歩△同 歩▲同 銀△6二飛▲7七桂△2二玉▲6九玉△9五歩
▲6五歩△7三角▲9五歩△8二飛▲5八玉△9六歩▲6九飛△8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8二飛▲4八玉 △9五香▲9八歩△6三金
▲6四歩△同 金▲7一角△5二飛▲6五桂△6八歩▲同 飛△6五金
▲同銀直 △6七歩▲同 飛△5五桂 ▲6九飛△4七桂成▲同 銀△4五歩
▲6四銀△4六歩▲同 銀△5一飛▲7三銀不成△7一飛▲6二銀成△4一飛
▲4五歩 △4七歩▲同 玉△4四歩▲5六金△4五歩▲同 桂 △4四銀
▲5二角△4二飛▲4三歩 △5二飛▲同成銀△4三銀▲5三成銀△同 銀
▲同桂成 △2六角 ▲4八歩 △5三角 ▲2四歩 △6八歩 ▲同 金△6七歩
▲7八金 △2七銀▲2三歩成 △同 金 ▲2四歩△同 金▲5五桂 △3二銀
▲5八玉 △3六銀成▲4三銀 △4二歩 ▲3二銀成△同 玉▲6七飛 △8九角
▲8八飛△4六成銀▲8九飛△5六成銀▲6五角 △2二玉▲5六角 △4六金
▲2九飛 △5六金 ▲同 歩 △3五角 ▲2三歩 △同 玉 ▲6三飛成 △5三歩
▲6七玉 △6五歩 ▲同 龍 △7三桂 ▲7四龍△6六歩▲7七玉 △8五銀
▲2四飛 △同 玉 ▲2五歩 △1三玉 ▲2四銀 △同 角 ▲2三金 △同 玉
▲2四歩 △同 玉 ▲2五歩△同 玉▲3六銀△同 玉▲3四龍△3五歩
▲4七角 △4六玉 ▲3七金 △同 玉 ▲3五龍 まで
173手にて丸山七段の勝ち!
・消費時間(各6時間持ち)
▲丸山七段:5時間59分
△村山八段:5時間59分
378名無し名人:03/09/29 08:08 ID:fBtSk++W
【解説】
61=戦場から遠のく玉の移動だが、前の動きも村山のうまい応接で戦果はなく
  「つまらない展開」(丸山)に。 65=先手攻撃再開。
70=以下△5五桂まで適切な反撃で後手は崩れない。
80=先手陣を薄くして急所の歩突き。激しい玉頭戦に。
123=先手、これより1分将棋
128=後手も1分将棋に。
129=悪手。▲6一飛成として▲3一飛をねらう一手だった。
  本譜は飛車を手放したため戦力低下となった。
150=疑問手。△5四桂の方が手堅い。
164=痛恨の失着。△1三玉なら詰まなかった。
169=以下はトン死。

【村山聖A級初昇級時の手記】
「四段になって数えていた。
六十連勝すれば名人になれる。
だが勝ちたいと思う勝負に負け何度も挫折した。
その度に立ち上がり、上を目指した。

何故A級八段になれたのだろう。
体も弱いし将棋も余り強くない僕が、何故?
神様のすることは僕には予測できないことだらけだ。
願うことは、これから僕の思い描いた絵の通りに
現実が進んでいくことだ。これからが本当の勝負。
そう思っている。」
379名無し名人:03/09/29 08:09 ID:fBtSk++W
【詳細&将棋内容】
(先崎学)
大阪で、偶然に、村山×丸山の順位戦を見る機会に恵まれた。
村山聖は、王将リーグで羽生と戦った頃の村山に、あるいは終盤は村山に訊けと
いわれた頃の村山に戻れるかというのが、最近の私の関心事の一つだった。
6月の中旬、村山は8時間半にも及んだ、生命も危ぶまれたほどの手術をした。
当然、半年なり一年なり休場して、体力の回復にあてる。これが常識である。
だが彼は順位戦を指すといいはった。身内、医者は正気の沙汰ではないと止めた。
この常識以前の正論を彼はきかなかった。
私は村山が指すと聞いたとき、書きにくいことを書いてしまえば、彼は死ぬ気だな、
と思った。将棋盤の前で、死んでも悔いはないんだろうなと思った。
順位戦は、彼にとって、特別な棋戦である。よく、医者に止められている酒を飲んで
酔っぱらったとき「はやく将棋をやめたい」ということがあった。
この言葉の上には「名人になって」という冠が隠されている。
名人になることだけが彼の望みであり夢なのである。
広い部屋に対局は一局だけだった。控の間には看護婦さんが、万が一の時のため
待機していた。
将棋の内容は村山君が序盤から積極的に指し回して圧倒した。
まったく病み上がりの人間の指す将棋とは思えなかった。
いよいよあとは寄せるだけという局面を迎えたのは深夜の十二時だった。
ここまで村山君には一手の悪手もなかった。
寄せの入口で、一手、村山君がぬるい手を指した。守りの銀を攻めに使ったために
一挙に自陣が危なくなった。局面は混沌として、粘り強さが身上の丸山君の
ペースかと思われた。時刻は一時を過ぎた。丸山君も簡単な勝ちを逃した。
その代わり、妙な自陣飛車がでて、もうなんだか分からない。
一時二十分。やっとはっきり村山勝ちになった。
桂を打てばお終いだった。村山君は一分将棋のなか詰ましにいった。
瞬間、あっ危ないなと思った。本能で打ちそうな桂を打たなかったのが嫌な予感を呼んだのである。
丸山君はするりと玉をかわした。
380名無し名人:03/09/29 08:10 ID:fBtSk++W
(中略)
最後は三十三手詰め、村山君にはツキがなかった。終了は一時四十三分。
感想戦は一言もなし。村山君の顔は見るに忍びなかった。
いいものを見た、と思った。
あの状態で、あれだけの将棋を指す奴を将棋の神様が見捨てる訳がない。
本心からそう思えてならなかった。
(谷川浩司)「鳥肌が立つというか、手術後1ヶ月で、これだけの将棋を
指したんだなと・・・」
(羽生善治)「凄い、凄い将棋だな。」