NHK将棋トーナメント Part48

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89名無し名人
開始日時:2003/06/08(日)
表題:解説:中川大輔七段
棋戦:NHK杯53回1回戦第10局
戦型:矢倉模様
先手:神谷広志七段
後手:渡辺 明五段

▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲6八銀 △5四歩
▲5六歩 △5二金右 ▲4八銀 △4二銀 ▲5八金右 △3二金
▲6七金 △4一玉 ▲7七銀 △7四歩 ▲7九角 △3三銀
▲3六歩 △8四歩
*▲7九角と関連。先手の早囲いを警戒。通常の形に戻った。
▲7八金 △3一角 ▲6九玉 △4四歩 ▲3七銀
*通常の矢倉3七銀戦法の形。
△6四角 ▲6五歩 △4二角 ▲5五歩
*過去に一時流行った形。△同歩は▲4六銀で一歩持ちながら銀を6六に持って行くことができ、先手がよい。
△5三銀
*▲5四歩△同銀となれば逆に後手が好形となる。
▲5八飛 △4三金右 ▲5四歩 △同 銀 ▲6六銀 △5三金
*銀の引き場所を作る。
▲4六銀 △3一玉 ▲5五歩 △4三銀 ▲5七銀右
*この銀は5六に使い中央を厚くするのが筋。ねらいとしては▲5六銀〜▲4六角〜▲5四歩。(もちろんこうはならないが。)
*右銀を3五の方向に使うのは筋が悪いらしい。
△6四歩
*先手が好形を作る前に動いていく。手順に角筋を8〜9筋方面に通すのがいい感じ。
▲同 歩 △同 金 ▲5六銀 △7三桂 ▲7七桂 △6二飛
*わざわざ銀が固まっているところに向けたのは、攻めというよりは歩を打たせようという趣旨。
▲6五歩 △6三金 ▲1六歩 △1四歩
*これは受けておくところ。
▲2六歩 △2二玉 ▲3七桂
*先手は8〜9筋方面が薄いので、角を動かしにくい。攻めの形を作るのがむずかしいところ。
90名無し名人:03/06/08 13:25 ID:5Ud9iIfP
△9四歩 ▲8八金 △8五歩 ▲7八玉 △8二飛 ▲4六歩
*4筋で歩を手持ちにしようという手だが、この瞬間角筋が止まるので△3五歩が怖いところ。ただし、△3五歩に▲4七銀と引いておいて後続がなければ大したことがないので、8〜9筋方面を狙う後手の攻めを分散させることになるわけで、誘いのスキのような意味もある。
△8六歩
*ということで無視して8筋から攻める。
▲同 歩 △8五歩
*△8六同飛から一歩交換して引いておく手もあるが、猛攻に出た。
▲同 歩 △8六歩 ▲2五桂
*質駒になるのでやはり危険な意味もあるが、これもギリギリのところに踏み込む神谷流。
△8五桂
*桂が入れば8七に打ち込む手があるので、銀はすぐに逃げなくてもよい。
▲同 桂 △同 飛 ▲5七角
*△9五桂に▲7九桂を用意した。
△2四銀
*とりあえず逃げたようだが・・・。
▲1五歩 △9五桂 ▲7九桂 △2五銀
*これが狙いだった。
▲同 歩 △8七桂打 ▲9六銀 △7九桂成
*決めずに飛車を引いておき、9九に成る余地を残すのもある。
▲同 玉 △8一飛 ▲8四歩
*△同飛なら▲8五歩で先手を取って1筋を取り込む。
△8七歩成 ▲同 銀 △同桂成 ▲同 金 △8六歩 ▲7七金左
△9五桂
*気づきにくい好手。部分的には受けがきかない形。
*先に飛車を出てしまうと歩が利いてしまうのでむずかしくなる。
▲9六歩
*これまた危ないが、△8七歩成なら▲9五歩と取り、△7七と▲同金でしのぐ意味。多少駒損しても受けきってしまえば1筋方面で楽しみがある。
△8七桂成 ▲1四歩
*大きな手。△1二歩と受けさせるだけでも大きいのに、後手は歩切れなのでそれすらも打てない。
△同 香
*思い切った手。1筋は清算してしまう。
▲同 香 △1五角
*香を走ったときからの読み筋で挟撃の狙いだが、すぐ飛び出すのはどうだったか。
91名無し名人:03/06/08 13:25 ID:5Ud9iIfP
▲1二香成
*これが利く。(△同玉は▲1九香)
△3三玉 ▲4八角
*▲7二角・▲1五角の狙いのほか、△8四飛に▲5一角の王手飛車の筋もあるので、角交換は先手が明らかに得。
△同角成 ▲同 飛 △3七角
*▲1五角を防ぎながら攻め続けるしかない。
▲5八飛 △1一歩 ▲3九香
*角に働きかけて角筋をずらす。他に▲4九桂も同じような意味。
△4六角成 ▲5七銀 △7七成桂
*馬を逃げているようでは▲1五角が厳しすぎる。
▲4六銀
*ギリギリの切り合い。
△8七歩成
*詰めろ。
▲7七金 △同 と ▲1五角 △2四歩
*2四に金駒を打つのはつらすぎるが、これでしのげるかどうか。
▲同 角 △2三玉 ▲1三成香 △同 桂 ▲1五桂
*他に考えられるとすれば▲1四歩。
*頭が丸い駒ばかりなのでなかなか寄せ方がむずかしい。
△1二玉 ▲1四歩 △6六銀
*詰めろ。△6六香や△6八歩も詰めろだが、それだと玉を3一まで追われたときに▲8六角でと金を抜かれてしまう。
▲1三歩成 △2一玉 ▲3三桂
*ここで▲8六角と詰めろを受けながらしばるのがよかったようで、それなら先手勝ちのようだ。
△3一玉 ▲8六角 △7五香 ▲5四桂 △同 銀 ▲2一桂成
△4一玉 ▲5四歩
*これは詰めろでない。
△6八歩
*歩で詰めろがかかってしまった。むずかしかったものの先手にも勝ち筋があった。見応えのある終盤だったといえる。
▲5三桂 △5二玉
まで136手で後手の勝ち