●JT杯 新人王戦 勝ち抜き戦 達人戦 統合スレ●

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14新人王戦 三須三段vs松尾五段
http://game.2ch.net/test/read.cgi/bgame/1016923619/l50
「こんなスレたてよーよ▲△じぜん相談すれ」で、親切な方が、新人王戦(三須三段 対 松尾五段)の
棋譜と観戦記を貼って下さいましたので、こちらに転載致します。どうもありがとうございました。


215 :名無し名人 :02/05/21 23:34 ID:rHF7q5q.
新聞『赤旗』とってる人、いる? 地元の図書館にないんだよ。
ついでに言うと、近所のコンビニにも置いてない。ある意味、幻の新聞。

224 :名無し名人 :02/05/22 08:24 ID:mF4.Ta/k
(^∀^)赤旗読者だったりする。将棋は新人王戦。他紙がうらやましい。

237 :名無し名人 :02/05/24 00:38 ID:fIHOAHQg
>>224
赤旗新聞に、(奨励会退会が決定してた)三須智弘三段vs松尾歩新人王の
新人王戦の連載が、はじまったそうですね。こんな時は、うらやましい。
三須にとっては、万感の思いこもるプロ最後の一戦。くしくも相手は新人王(前回の覇者)。ドラマだ。

240 :(^∀^)224 :02/05/24 08:24 ID:f94m2FUU
棋譜うpしようか?
15新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:16 ID:64sSQS6Y
第33期 将棋・新人王戦 2回戦第10局  先手:三須智弘三段 後手:松尾歩五段(新人王)
第1譜 二手の思い

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲5六歩 △5四歩 ▲4八銀 △4二銀
▲5八金右 △3二金 ▲7八金 △5二金 ▲6九玉 △3三銀 ▲7七銀 △3一角 ▲3六歩 △4四歩
▲7九角 △4三金右

 なんともやるせない思いである。棋界からまた一人才能のある人材が姿を消していく。
勝負の世界、仕方ないといえばそうだが、専門棋士四段になれず、
奨励会三段を年齢制限で辞めていく者の姿を見るのはいつの場合も忍び難いものだ。

 午前9時45分、早めに入室した三須、やや遅れての松尾。着座して駒を並べる手つきには双方、
いつもと変わりないものがあった。記録係、山崎健太2級の振り駒は、と金が4枚。三須の先手と決まる。

 三須は正座で顔を盤に向けてジッとし、松尾もまた正座だがこちらは盤から少し離れて下を向いている。
このスタイルもいつもと同じに見えるが、三須の目は心なし遠くを見ており、
松尾のそれはどこか遠慮気味なものが感じられた。

 実は、本局の時点ですでに三須は専門棋士への道が断たれていた。第30回奨励会3段リーグの成績は
ここまで5勝9敗。残り4局あるがそれを全勝しても指し分けとなり、年齢制限の関係で退会しなればならない。

 四段以上との公式戦はこれが最後になるかもしれない本局。悔いなく指そう、それには矢倉で。
初手▲7六歩にはそんな思いが見て取れる。松尾も万事承知。△8四歩と意をくんでいく。
16新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:17 ID:64sSQS6Y
第2譜 後手、積極的

▲6七金右 △4一玉 ▲6八角 △7四歩 ▲7九玉 △9四歩 ▲3七銀 △7三銀 ▲4六銀 △9五歩

 3年前の第24回奨励会3段リーグ。その15回戦で二人は対戦している。結果は松尾の勝ちで、
その後も松尾は勝ち進み、たった1期で三段リーグを卒業。
晴れて専門棋士四段となった。このとき、三須は三番手につけていたが、結局次点に泣いた。

 どこか因縁めいたものを感じる二人だが、松尾の方は本局の三日前、
C級2組順位戦において9連勝をあげ、1局を残して昇級昇段が決定。この4月よりC級1組5段となる。
 それにしてもこの1年、松尾の充実ぶり、成長ぶりは著しいものがある。「松尾君て強いんだネ」と、
ある年配棋士が昨年秋口に漏らしていたが、それまで松尾はあまり目立たなかった。おとなしい性格にも
よるのだが、前期新人王戦で準決勝に進んだ辺りから、にわかに松尾への評価が高まっていく。

 その間、順位戦も好調を維持し、2月12日、C級2組をわずか3期で抜けることになった。
新人王戦で棋戦初優勝、順位戦の昇級昇段。この1年、松尾にとっては忘れられない年になったことだろう。
 一方、三須は残念なことに3月をもって奨励会を退くことになっている。陽と陰。二人の思いは
いかばかりと思うが、力いっぱい指そうと三須は予定の矢倉。応えて松尾△7三銀〜△9五歩は積極的。
17新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:17 ID:64sSQS6Y
第3譜 欲張った松尾

▲2六歩 △6四銀 ▲2五歩 △5三角 ▲3五歩 △4五歩 ▲3四歩 △同 銀 ▲3七銀 △3五歩
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △3一玉 ▲1六歩 △9三桂

 目の前の対戦相手が先輩で、専門棋士への道が閉ざされているとなるといかなる心境になるものだろう。
 対局が始まってしまえば雑念は泡となって消えるのが棋士の習性だが、松尾の指し手△7三銀から9五歩は
三須の心情に応えたものに感じられる。力の限りガップリと矢倉で、それが三須の思いとすれば、
松尾もその意をくんで積極的に動く。それが△9五歩に見て取れるが「ちょっと欲張った手」と松尾は言う。

 三須も「△9五歩は意外でした。△6四銀だと思っていました」とのこと。
 その変化は以下、▲2六歩△7三桂▲2五歩△5三角▲8六銀△9五歩▲3五歩△4五歩
▲3四歩△同銀▲3七銀△3五歩▲6五歩△同桂▲6六歩△8五歩▲9五銀(参考図)となる。

 本譜も似たような進行となるが、参考図の方が少し得だったと松尾。
先手に2筋の歩を切られ銀の進出を図られた本譜は△9五歩が緩手となる可能性が生じてしまった。
 三須の▲1六歩は間合いの呼吸。すぐに▲2六銀は△4四金で次の手に困る。
松尾の△9三桂(指了図)は△9五歩を生かそうという手だが、ちょっとヘンだったという。
18新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:18 ID:64sSQS6Y
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐第33期 将棋・新人王戦
│▽香│    │    │    │    │    │▽王│▽桂│▽香│2回戦第10局 第3譜
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤50手目◎9三桂まで
│    │▽飛│    │    │    │    │▽金│    │    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│◎桂│    │    │▽歩│▽角│▽金│    │▽歩│▽歩│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤▽後手:松尾歩新人王
│    │▽歩│▽歩│▽銀│▽歩│    │▽銀│    │    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤持ち駒:なし
│▽歩│    │    │    │    │▽歩│▽歩│    │    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │▲歩│▲歩│▲歩│    │    │    │▲歩│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲歩│▲歩│▲銀│▲金│    │▲歩│▲銀│    │    │▲先手:三須智弘三段
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │▲金│▲角│    │    │    │▲飛│    │持ち駒:歩歩
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲香│▲桂│▲玉│    │    │    │    │▲桂│▲香│
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
19新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:19 ID:64sSQS6Y
第4譜 奇異な桂跳ね

▲2六銀 △4四金 ▲1七桂

 矢倉の将棋は一手一手、その裏にある意味がほかの将棋に比べて見えにくい。
図の局面は初めて出るものだが、先手玉の堅さ対後手3筋の位という図式はどちらに分が良いのだろうか。
 松尾「▲2六銀から▲3六歩の攻めが見えているので△9三桂はおかしかったかもしれない」
 △9三桂では△5五歩から△7三桂を一考とのこと。

 前者は▲6五歩△同銀▲5五歩△7五歩▲同歩△同角▲6六歩△7六歩▲同銀△同銀
▲同金△6四角▲6五金△4二角▲6七銀(参考1図)

 後者△7三桂は▲6五歩△同桂▲6六銀△7五歩▲同歩△7二飛▲7六金(参考2図)
 どちらも難しく一局だが三須はやられたら仕方ないと思っていたようだ。松尾の方は▲6五歩の余分な
変化は避けたいとの読み。今度は三須が△3六歩を嫌って▲1七桂と跳ねる。が疑問だった。
20新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:19 ID:64sSQS6Y
第5譜 実戦心理

△8五桂 ▲8六銀 △7五歩 ▲同 歩 △4三金引 ▲7四歩 △7二飛 ▲2五銀 △7四飛 ▲7六歩
△7二飛 ▲3四銀 △同 金 ▲2五銀 △3三金引 ▲4六歩 △同 歩 ▲3四歩 △4三金寄 ▲4六角
△4五銀 ▲5七角 △7五歩

 局面は見たこともない形となっている。松尾は後手番ながら積極的に動こうとしてきたが、
玉形の差、お互いの右銀の働きを考えるとどうやら三須の方が若干指しやすいように見える。
 「ただ▲1七桂はおかしかった」と三須。松尾の9三桂とバランスが取れているようだが
「▲3七桂とするべきでした」と言う。

 松尾の△9三桂は△7三桂だと▲6五歩、三須の▲1七桂は3七桂だと将来△3六歩が嫌というもの。
どちらも実戦的な心理のなせる桂跳ねだが、「やはり▲3七桂」だったようだ。
 その変化は△2四歩▲2五歩△同歩(△3六歩は▲2四歩△3七歩成▲同銀で
後手桂得ながら歩切れで、先手2四の歩の存在が大きく先手有望)▲同銀△同銀
▲同桂△2四歩▲3三歩△同桂▲同桂成△同金▲6五歩△7三銀▲4六歩。

 松尾は陣形がバラバラで自信がないと言い、三須はこっちを選ぶべきだった局後の感想。
検討すればお互いに良くなる順はあるが、そこは実戦。双方端への桂跳ねは大事をとってのこと。
本譜、松尾の△4三金引も角交換から▲5三角を避け、指了図の△7五歩は▲6五歩を嫌ったもの。
21新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:20 ID:64sSQS6Y
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐第33期 将棋・新人王戦
│▽香│    │    │    │    │    │▽王│▽桂│▽香│2回戦第10局 第5譜
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤76手目◎7五歩まで
│    │    │▽飛│    │    │    │▽金│    │    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │    │▽歩│▽角│▽金│    │▽歩│▽歩│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤▽後手:松尾歩新人王
│    │▽歩│    │▽銀│▽歩│    │▲歩│    │    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤持ち駒:歩
│▽歩│▽桂│◎歩│    │    │▽銀│▽歩│▲銀│    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │▲銀│▲歩│▲歩│▲歩│    │    │    │▲歩│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲歩│▲歩│    │▲金│▲角│    │    │    │▲桂│▲先手:三須智弘三段
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │▲金│    │    │    │    │▲飛│    │持ち駒:歩歩
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲香│▲桂│▲玉│    │    │    │    │    │▲香│
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
22新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:21 ID:64sSQS6Y
第6譜 悪手の後の勝負形

▲4六歩 △3六銀 ▲6五歩 △同 銀 ▲7五角 △同 角 ▲同 歩 △3七角 ▲6八飛 △7七歩
▲同 桂 △同桂成 ▲同 銀 △8五桂 ▲8三角

 専門棋士の将棋は手の消し合いが多く、戦いが始まったと思っても落ち着いた展開になるものだ。
 図は先手からの▲6五歩△同銀▲8四角の筋を消して松尾が△7五歩としたところ。
さてここで先手は貴重な手番。一番自然な手は▲2四歩の合わせから銀の活用を図る手だが、
三須はなぜか歩を4六に打っていった。それもたった5分の考慮で。

 いや、その5分には意味があった。三須の残り時間はわずか15分。局面は終盤の入口。
少しでもこの後に時間を残しておきたかったのではないだろうか。まず銀を追って…。
それが▲4六歩の意味と理解しないと分からない。三須とて▲2四歩は見えていたのだ。

 続いて△2四同歩▲同銀△3四銀▲8五銀△同歩▲2三桂△4二玉▲1一桂成△3六歩▲2一成桂
△3七歩成▲2九飛。後手が良さそうにも見えるが、ギリギリの勝負手と松尾も言う。
 本譜▲4六歩は、せっかく通した角筋をまた自ら止めた悪手。時に将棋は分かっていたとしても
ついその手を指してしまうことがあるものだが、三須は左翼で角をさばき、▲8三角と勝負形に持ち込む。
23新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:21 ID:64sSQS6Y
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐第33期 将棋・新人王戦
│▽香│    │    │    │    │    │▽王│▽桂│▽香│2回戦第10局 第6譜
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤91手目●8三角まで
│    │    │▽飛│    │    │    │▽金│    │    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │●角│    │▽歩│    │▽金│    │▽歩│▽歩│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤▽後手:松尾歩新人王
│    │▽歩│    │    │▽歩│    │▲歩│    │    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤持ち駒:歩
│▽歩│▽桂│▲歩│▽銀│    │    │▽歩│▲銀│    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │    │    │▲歩│▲歩│▽銀│    │▲歩│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲歩│▲歩│▲銀│▲金│    │    │▽角│    │▲桂│▲先手:三須智弘三段
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │▲金│▲飛│    │    │    │    │    │持ち駒:桂歩歩歩
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲香│    │▲玉│    │    │    │    │    │▲香│
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
24新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:23 ID:64sSQS6Y
第7譜 寄せの構図
△7七桂成 ▲同金直 △7六歩 ▲同金直 △同 銀 ▲7二角成 △4六角成 ▲6一飛打 △2二玉

 駒の損得が無く、今、先手が▲8三角と飛車銀両取りを賭けているとあっては
三須の方がよく見えるが、駒の働き具合が違い、松尾が優勢となっている。
 両取りを受けるなら△7五飛だが松尾には寄せの構図が出来上がっていた。

両取り逃げるべからずとも言うが△7七桂成が当然とはいえこの一手。とにかく
敵陣を薄くしておくのが寄せの第一歩となる。続く△7六歩も同じ意味で、6五の
銀と△4六角成のコンビネーションで先手玉に迫ろうという考え。

 三須もここでは非勢を悟っていたことだろう。△7六歩に▲同金直だが、その手
で▲7二角成と飛車を取るのは△7七歩成▲同金△4六角成で先手は収拾がつかなくなる。
 あれだけ堅く見えていた三須城があっという間に崩れていった。前譜では▲4六歩が悪か
ったとは言え、中盤はむしろ三須の方が良かった。現状はそんな遠い思いに遊んでいると
ころではなく、飛車をとっての▲6一飛はせめて一太刀、形を作ろうというもの。

 指了図で目障りな7六の銀を取りたいが、△6七銀の手があってはいかんともしがたい。
次の手で三須は潔く形作り手を指していった。
25新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:24 ID:64sSQS6Y
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐第33期 将棋・新人王戦
│▽香│    │    │▲飛│    │    │    │▽桂│▽香│2回戦第10局 第7譜
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤100手目◎2二玉まで
│    │    │▲馬│    │    │    │▽金│◎王│    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │    │▽歩│    │▽金│    │▽歩│▽歩│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤▽後手:松尾歩新人王
│    │▽歩│    │    │▽歩│    │▲歩│    │    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤持ち駒:金銀歩
│▽歩│    │▲歩│    │    │    │▽歩│▲銀│    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │▽銀│    │▲歩│▽馬│▽銀│    │▲歩│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲歩│▲歩│    │▲金│    │    │    │    │▲桂│▲先手:三須智弘三段
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │    │▲飛│    │    │    │    │    │持ち駒:桂桂歩歩歩歩
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲香│    │▲玉│    │    │    │    │    │▲香│
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
26新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:25 ID:64sSQS6Y
第8譜 棋士精神

△2二玉 ▲3三桂 △同 桂 ▲同歩成 △同金寄 ▲3四歩 △6八馬 ▲同 金 △6七桂 ▲同 金
△5九飛 ▲6九歩 △7八歩 ▲6八玉 △5八金 ▲7八玉 △6七銀成 ▲同 玉 △6九飛成
まで118手で後手の勝ち

 どんな将棋にも必ず終局は訪れる。それを見るのは毎局、あまり気持ちの良いものではない。
ましてや本局、三須は奨励会を去らなければならない状況での将棋。今日は一日、一生懸命
に指そうと思って臨んだはずだ。
 その将棋が今、負けという結果で終わろうとしている。もう専門棋士と公式戦で指す機会は無
いかもしれない。あったとしてもアマの立場。これまで奨励会3段リーグの七年はなんであったのか。
いや、自分にとって将棋はどんな存在だったのか…。
 観戦子の安っぽい浪花節的感傷はいろいろな思いを運んでくるが、三須本人は目の前の一局
を棋士精神で戦っていたのだろう。
 ▲3三桂は形作りに出たもの。桂を渡すと自玉に詰みがあるのは百も承知。負けても一手違いに
指すのが努めと言っている。
 松尾の方も序盤はどこかやりにくそうに見えていたが、中盤以降、相手がどんな状況にあろうと精
一杯に指すのは礼儀。いや、それ以上に棋士として当り前のこと。勝負に私情は無いと指し継いで
きて、最後は最短の寄せでしっかりと即詰みに討ち取っていった。
 投了図からは、▲7七玉△6八竜▲7六玉△8五金までの簡単な4手詰み。「序中盤はこちらが悪く
、三須さんの右桂が3七に跳ねられていたら勝負は分かりませんでした」
 松雄の言葉通り、投了図の1七桂がどこか三須の姿と重なって見えていたがそれは観戦子の錯覚
だったかもしれない。
27新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:25 ID:64sSQS6Y
┌──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┬──┐第33期 将棋・新人王戦
│▽香│    │    │▲飛│    │    │    │    │▽香│2回戦第10局 第8譜
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤118手目◎6九飛成まで
│    │    │▲馬│    │    │    │▽金│▽王│    │(投了図)
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │    │▽歩│    │    │▽金│▽歩│▽歩│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤▽後手:松尾歩新人王
│    │▽歩│    │    │▽歩│    │▲歩│    │    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤持ち駒:金銀桂歩歩
│▽歩│    │▲歩│    │    │    │▽歩│▲銀│    │
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │    │    │▲歩│    │▽銀│    │▲歩│
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲歩│▲歩│    │▲玉│    │    │    │    │▲桂│▲先手:三須智弘三段
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│    │    │    │    │▽金│    │    │    │    │持ち駒:角銀桂桂桂歩歩歩
├──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┼──┤
│▲香│    │    │◎竜│    │    │    │    │▲香│
└──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┴──┘
28新人王戦 三須三段vs松尾五段:02/06/12 00:27 ID:64sSQS6Y
第33期 将棋・新人王戦 2回戦第10局

先手:三須智弘三段
後手:松尾  歩五段(新人王)

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲5六歩 △5四歩 ▲4八銀 △4二銀 ▲5八金右 △3二金
▲7八金 △5二金 ▲6九玉 △3三銀 ▲7七銀 △3一角
▲3六歩 △4四歩 ▲7九角 △4三金右 ▲6七金右 △4一玉
▲6八角 △7四歩 ▲7九玉 △9四歩 ▲3七銀 △7三銀
▲4六銀 △9五歩 ▲2六歩 △6四銀 ▲2五歩 △5三角
▲3五歩 △4五歩 ▲3四歩 △同 銀 ▲3七銀 △3五歩
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △3一玉
▲1六歩 △9三桂 ▲2六銀 △4四金 ▲1七桂 △8五桂
▲8六銀 △7五歩 ▲同 歩 △4三金引 ▲7四歩 △7二飛
▲2五銀 △7四飛 ▲7六歩 △7二飛 ▲3四銀 △同 金
▲2五銀 △3三金引 ▲4六歩 △同 歩 ▲3四歩 △4三金寄
▲4六角 △4五銀 ▲5七角 △7五歩 ▲4六歩 △3六銀
▲6五歩 △同 銀 ▲7五角 △同 角 ▲同 歩 △3七角
▲6八飛 △7七歩 ▲同 桂 △同桂成 ▲同 銀 △8五桂
▲8三角 △7七桂成 ▲同金直 △7六歩 ▲同金直 △同 銀
▲7二角成 △4六角成 ▲6一飛 △2二玉 ▲3三桂 △同 桂
▲同歩成 △同金寄 ▲3四歩 △6八馬 ▲同 金 △6七桂
▲同 金 △5九飛 ▲6九歩 △7八歩 ▲6八玉 △5八金
▲7八玉 △6七銀成 ▲同 玉 △6九飛成
まで118手で後手の勝ち