将棋界を全部ドラマにすると・・・

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216藤井君と僕の関係2
戦型は大山校長の中飛車だった。
二人の対局はやはり名局だと実感した日だった。
お互い一歩も譲らず、盤の上で駆け引きをしている。
食い入るように見ていたのも束の間、5時限目のチャイムがなった。
終盤に差し掛かっていたが、最後まで見るのは諦めるしかなかった。
急いで教室に戻る途中、藤井君が僕に話しかけてきた。
「あんな対局見たの初めてだよ、少し感動しちゃった」
僕は「うん」と力強くうなずいた。
実験器具を運ぶのを任されていたのに6分も遅刻してしまって、怒られてしまった。
しかし僕たちはあの対局の印象が強くて、そんなことはすぐ忘れてしまった。
藤井君は大山校長の振り飛車に憧れたらしい、次の日から中飛車を指すようになった。
それからだ、僕たちが仲良くなったのは。いつも二人で振り飛車について語った。
今では藤井君の自宅、通称『竜王御殿』にいつもお邪魔している。

それだけ。