将棋界を全部ドラマにすると・・・

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215藤井君と僕の関係
藤井君とは小学5年生からの付き合いだった。
それ以来ずっと同じクラスだ。
でも、中学1年生になるまであまり話したりすることは無かった。
それは藤井君が中学生になるまで居飛車党で通してきたからだった。
僕はそのころ居飛車党に対して強くライバル意識を持っていて、
なんとなく気が合わないような気がしていたのだ。
今は僕も時々居飛車も指すようになって、それも薄れてきたが。
彼を振り飛車党にしたのは些細なきっかけだった。
昼休みに僕と藤井君と二人で理科の先生の頼まれていた実験器具を運んでいた。
その途中、校長室の扉が開いていたので僕は出来心で覗いてみた。
藤井君も気になったのか一緒に僕の後ろから覗き込んできた。
なんと、校長室では大山校長先生と枡田教頭先生が将棋を指していた。
2人はもっぱら強いとの噂で一度対局を伺いたいと思っていた。
よく見えないのだろう。藤井君が僕の背中を強く押してくる。
と、やはりバランスをくずり前へつんのめる。
校長先生たちはすこし驚きの表情で僕たちを見ていた。
そして、
「君たち見ていくかい?」
と言ってくれた。
僕たちは顔を見合わせ、うれしそうに「はい」と言った。