【bayfm78】ビートルズから始まる。3【小林克也】
・落ちこぼれの吹きだまりとして有名だった、クォリーマン・ハイスクールの仲間を集めて、ジョンが結成したバンド
クォリーメンにポールが加わった。しかし、ポールの仲間で、ジョンの三歳年下であるジョージは、まだ子供扱い。
バンドに入れてもらえなかった。女の子とのつき合い方も分かっていない14歳の少年は、ただ兄貴たちのバンド演奏を
追っかけ、不良っぽくて格好良く見えたジョンの後をちょろちょろくっついて廻るしかなかった。ジョンは既にこの頃
後に出来ちゃった結婚をするシンシアと恋人同士であったが、まだ子供だったジョージは、そのことが良くわからず
ジョンとシンシアが行くところなら、どこでも着いて行った。自分が邪魔であることすら、分からなかったのである。
これに困り果てたジョンは、ある日ジョージを振り切ろうと、わざとホラー映画が上映されている映画館に入った。
案の定、ジョージは恐れをなして、家に帰ってしまった。こんな幼いジョージだったが、ギターに関しての情熱だけは
誰にも負けなかった。そしてついに、ジョンは折れた。次のライブに間に合わせるために、メンバーの補充が必要だった
のである。親分であることを誇示したかのように、ジョンはバンド仲間を集めて、オーディションを行うことにした。
場所は、リヴァプールの街を走るバスの二階席。ジョージは難しいインストルメンタルを完璧に弾いてみせた。ジョン
も、これには感心した。しかし、親分としての体裁は保ったまま、「よーし、ジョージ。これでお前も、俺たちクォリーメン
のメンバーだ。だけど、もっともっと練習してウマくなれよ。ちょっとでもさぼると、クビだからな。」ジョージは
天にも昇る嬉しさだった。こうしてジョージは、次第に大人として認められるようになった。1959年にクォリーメン
が解散し、シルバー・ビートルズ、そしてビートルズへと発展して行く中、ジョージはギタリストとして頑張り続けた。
リヴァプールやイギリス国内にとどまらず、ビートルズはドーバー海峡を渡って、ドイツのハンブルグへも長期のツアー
に出かけた。連日連夜8回以上のステージで、演奏力も客のあしらい方も、ずいぶん鍛えられた。
しかし、ジョージがどんなに頑張っても、常にそれを上回るのが、ポールの才能だった。
〜 The Beatles / Long Tall Sally
〜 Geoge Harrison / Dark Horse