絶対敵には、注意したほうがいい

このエントリーをはてなブックマークに追加
1ホワイトアルバムさん
25 :ホワイトアルバムさん :2008/01/30(水) 04:34:48 ID:???0

絶対敵というものの存在を、あなたはご存知か?
あなたが急ごうとすると、予定調和のようにあなたの前に現れ
あなたの行く道をふさいだり、あなたが静かな気持ちでいたいような時
わざとらしくすぐそばで、騒ぎたてるような存在のことを、そう呼ぶのだ
たとえばあなたが、空いているU字型のカウンターだけの店に入り
ホッと一息ついて席に座るとすると、絶対敵はすぐにそこに現れて、
あなたの真正面の位置に現れその席に座り、あなたとにらみ合う形になる
他の席も空いているのに、わざわざ絶対敵は必ずあなたの正面に座り
にらみ合う形をとる あなたは落ち着くことが出来ない
それが、絶対敵のもくろむところなのだ
絶対敵には、注意したほうがいい
2ホワイトアルバムさん:2008/02/10(日) 15:45:33 ID:???0
26 :ホワイトアルバムさん :2008/01/30(水) 20:55:05 ID:???0

絶対敵は、影からあなたの動向をうかがっている
あなたが右にいけば右へ、左にいけば左へと、
常にあなたの動静を、電波のようなものでキャッチしている
絶対敵に捕らわれたあなたは、もう絶対敵から逃がれることは出来ない
トイレの大を終えて、ボックスから出てきたあなたが
ひとつしかない洗面台で手を洗い鏡でも見ようかと、その洗面台に向かうと
どこからかサッと、必ず絶対敵は現れて、その洗面台はふさがれてしまう
あなたは手を洗うことも、鏡をのぞくことも出来ずに
ただただ絶対敵の背中を目の前にして、呆然と立ちつくすだけだ
もしもその時あなたが傘などを手にしていたら、
思い切りうしろから絶対敵の脳天を、その傘の柄で一撃してみるのもいいだろう
そうでもしなければ、一生あなたは洗面台を使うことが出来ない人となりうる
絶対敵には、注意したほうがいい
3ホワイトアルバムさん:2008/02/10(日) 15:47:19 ID:???0
27 :ホワイトアルバムさん :2008/01/31(木) 01:51:38 ID:???0

絶対敵は、千年前からの旧知の友人のような顔をして
突然、あなたの目の前に現れるかもしれない
そいつは頼みもしないのに、勝手に自己紹介をはじめたかと思うと
あれを飲みなさいだとか、これを食べなさいだとか気前よく
あなたに色々とおごりはじめるかもしれない
もみ手をしながら、決して笑わないその目で
車を買うなら安く買えるところを知ってますよだとか
これでも私は顔が広いんです、なんでも私に頼んでくださいよ
決して損はさせません、紹介できる人脈はピンからキリまで、そらもうたくさんいますよだとか
あなたの肩など抱きしめながら、耳元でそっと囁くかもしれない
あなたは馬鹿ではないのだから、こいつが人のひとりやふたりを
それとなくあやめていることに、なんとなく気づくはずだ
全身全霊をこめて、拒絶しよう そんなイカサマ野郎は
絶対敵には、注意したほうがいい
4ホワイトアルバムさん:2008/02/10(日) 15:48:54 ID:???0
28 :ホワイトアルバムさん :2008/02/01(金) 03:37:20 ID:???0

絶対敵は、音もせずに、あなたの背後にしのびよるだろう
急にあなたが目まいを覚えたり、頭痛を感じた時は要注意だ
あなたの思考は絶対敵にからめとられてしまって、もがくことも出来ない
冷たい水でも飲んで頭を冷やそうかと、あなたが給湯室に赴くと
あなた専用のグラスは当然のように、給湯室の床に砕かれ散らばったままだ
なんてことだとあなたは、急いでホウキとチリトリを探しに階段をかけ降りるが
そこで足がたたらを踏んだように腸捻転をおこしてしまって
階段の踊り場を素早くかけ昇ってきた部長と激突してしまう
そこにさっそうと現れた絶対敵にとって、もはやあなたはカゴの中の鳥だ
これは何かのサイコキシネスのトリックにちがいないと
歪んだ微笑で思考するあなたに、もはや勝ち目はない
部長と絶対敵は、よくできた美人局のコンビのように
あなたをいたぶり、膨大なる慰謝料を請求してくることだろう
絶対敵には、注意したほうがいい
5ホワイトアルバムさん:2008/02/10(日) 15:50:28 ID:???0
29 :ホワイトアルバムさん :2008/02/02(土) 03:38:29 ID:???0

絶対敵は、常にあなたの前に立ちふさがるだろう
横断歩道で立ち止まったあなたのナナメ45度うしろあたりから
あなたの横顔を凝視している絶対敵は、口笛など吹いて余裕の構えだ
あなたが一歩踏み出して、信号を渡った先の日本蕎麦屋に入ると
店内はお昼時の混みはじめた時分で「こちらの席へどうぞ」とあなたは誘導される
モチロン数秒置くこともなく「こちらへ相席お願いします」という女店員の声とともに
あなたの席の隣にピタリと密着するように、絶対敵は腰かける
あなたは壁際でもはや絶対敵が席を立つ以外にその場所から移動する術はなく
蕎麦屋の中で軟禁状態に置かれたのも同じことだ
絶対敵は割りばしを取る時や七味唐辛子を取る時や終わりの爪楊枝を取る時まで
常にあなたの顔面にフックを入れるような動作をまじえて脅しをかける
一度などは軽いジャブが、あなたの顎をかすめたほどだ
お昼時の日本蕎麦屋の混み合った店内の隅の隅で
なぜあなたはこのようなリンチを受けなければならないのかと考えて
嘔吐を催す そして突然少年時代は夢みたいに楽しかったのになぁと泣きたくなってくる
絶対敵には、注意したほうがいい
6ホワイトアルバムさん:2008/02/10(日) 15:52:07 ID:???0
34 :ホワイトアルバムさん :2008/02/03(日) 04:26:34 ID:???0

絶対敵は、あなたのどんな小さなミスをも見逃がさないだろう
いつの間にかあなたは、絶対敵の作りあげた法律の中で生きてゆくことになる
その国の王は絶対敵で、あなたはその国の畜生以下という存在だ
そんな馬鹿なとあなたは溜息をつき、会社の帰りに一軒の古本屋に立ち寄る
前から目をつけていた「実験心理学・サドとマゾの秘宝」という古書の背表紙を
じっと見つめるあなたの目はらんらんと輝き、今日こそ本当にその本を購入しようと決意するのだが
案の定、一秒早くどこからか伸びて来た手が、その本をわしずかみレジへと持っていってしまう
いつもの絶対敵の仕業なのだが、今日こそあなたは許してやるものかと決意する
「おいちょっと待て、その本は私が先に目をつけていたものだぞ、返してくれたまえ!」
「こうかい?」という返事とともに、あなたの額に「実験心理学・サドとマゾの秘宝」が叩きつけられる
「なんてことをするのだ、ひどいじゃないか・・・」苦痛であなたはうずくまるが絶対敵はこう言うだけだ
「ここは俺の王国で絶対君主が帝王の俺様なのだから、あなたの人権民主法案は一切通用しないね!」
あきらめのバラードの旋律が、哀愁を帯びて細かく震えるあなたの背筋をはいあがってゆく
その日からあなたは箸のあげおろしはモチロンのこと、息を吸う吐くまで、観察されることになる
絶対敵には、注意したほうがいい
7ホワイトアルバムさん:2008/02/10(日) 15:54:11 ID:???0
36 :ホワイトアルバムさん :2008/02/04(月) 03:32:52 ID:???0

絶対敵は、油まみれの作業着を着た旋盤工の老人の姿となって、あなたの前に現れるかもしれない
あなたはFX取引や日経先物、信用売り専門の株の売却などで生計をたてている、一流経済エコノミストだ
経済ニュースのコメンテーターとしてテレビにも出ているあなたの将来は明るいし前途洋々だろう
立場上職業に貴賎はない≠ネどとテレビでコメントしながら、当然両手を油まみれにして働いたことなど一度もない
働いてみるか? 豪華なソファーの上で馬鹿笑いしながら、ふんぞり返って一瞬怠惰にそう思った瞬間
アラジンの魔法のランプから飛び出た魔人のように、旋盤工の老人があなたの前に現れる
旋盤工の老人は強力鋭利な刃のついた、旋盤のネジを切るドリルをあなたのノド元につきつけるが早いか
「今、油まみれになって働いてみようかと一瞬考えましたね?願望成就させてあげましょうか?」とあなたにきく
「冗談、冗談だよ、ハハハ 私は明日の早朝の便でニューヨークにいかなきゃいけんのだよ、許してくれ、たのむ」
「地球は太陽系の中のけし粒のような小さな星のひとつで、この全宇宙にはそんな太陽系が無数数億兆も存在し
 ブラックホールの向こう側にもそんな非太陽系が無数数億兆存在する オマエが明日アメリカへ行くことなど
 この全宇宙的に見れば ノミかダニが絨毯の上でピョンとはねるもの、いやそれよりも小さな ほとんど無に等しいものだ」
老人はそう宣言するや鋭利なドリルであなたのノド元をえぐりはじめ、あなたが生きていくにはもう旋盤工になるしかない
あなたの豪華な部屋は一瞬にして錆びれた旋盤工場の内部へと変貌し、なぜかあなたはそこに安らぎをおぼえる
そう、その日からあなたは旋盤工の見習いの一員だ 二度とエコノミストに戻ることは出来ない
絶対敵には、注意したほうがいい
8ホワイトアルバムさん:2008/02/10(日) 15:56:16 ID:???0
38 :ホワイトアルバムさん :2008/02/05(火) 03:44:15 ID:???0

絶対敵は、空気中の細かな微粒子となって、あなたのまわりを浮遊しているかもしれない
その昔「空気人間」なんていう怪奇映画があったなと、あなたは回想する
「妖星ゴモラ」と確か二本立てで、町の小さな映画館で見たような記憶があるななどと合点して
しかしだ、その時代は町のあちこちに小さな映画館があって、確か三本立てだったような気もするけどとあなたは悩む
週末金曜夜の繁華街ですでに一杯機嫌のあなたは、近寄って来た片目のせむし男にこう囁かれる
「ダンナ、いい写真がありますぜ すっぽんぽんでからみ合ってるやつ、十枚三千円でどうでげす?」
おお、一度は見てみたかった昭和の白黒猥褻写真十枚入りセットか、時代は裏DVD真っ盛りの現在だが
それもレトロで結構このうえないことだなどと悦に入り、あなたはせむし男のあとについていく
路地裏で背広の内ポケットから謎の封筒を取り出したせむし男は、チラリと三分の一だけ白黒の写真を見せ
当然そこにはからみ合う太もも以下四本の生足の情景が鮮やかに、あなたはツバを飲みこみ素早く三千円を支払う
当然誰もが予想するようにそれは相撲力士がからみ合う下半身だけの悶々似非写真なワケだが
そんなことはどうでもいいではないか、と今夜のあなたは太っ腹で少々強気でもある
オレだって毎日絶対敵にやられてるワケじゃないんだ!などと吠えたりして そんな日もあっていい まあいいか
しかし、絶対敵には注意したほうがいい
9ホワイトアルバムさん:2008/02/10(日) 15:59:01 ID:???0
40 :ホワイトアルバムさん :2008/02/06(水) 03:26:44 ID:???0

絶対敵は、必ずあなたの対角線上に現れるだろう
あなたがひと息つきたくて喫茶店に入ると
しばらくするうちに必ずその凶的な顔は現れる
あなたは視線を気にすまい感じまいと努力するのだが
絶対敵の凶的視線は必ずあなたを捕らえて離さない
落ち着くために喫茶店に入ったのに、なぜ私はいつも落ち着けないのだろうかと
あなたは考える そして脳裏に白い点が浮かぶやそれがやがて渦状となり
阿羅耶識(あらやしき)の勝どきの声をきいたあなたは、スックと席を立つ
目指すは 絶対敵の凶的視線だ
あなたは右手に握りしめたコーヒースプーンで
いきなり絶対敵の目を突こうと瞬時に右手を素早く動かしたのだが
一歩絶対敵の動きの方が早く、それは無残にもかわされてしまう
「待てよ、話し合えば分かりあえることではないのか?」
絶対敵のその言葉が、あなたにはもうスワヒリ語にしか聞こえない
トンガ王国の原始的な祭りの太鼓の連打が、あなたの脳内を爆発させている
「何を話し合えばいいというんだ、あん?」
いつものあなたではないあなたの声が、霊媒師の憑依霊の声のようにその喫茶店内に響いた時
パトカーのご到着 あなたは殺人未遂の現行犯で連行されてしまう
絶対敵には、注意したほうがいい
10ホワイトアルバムさん:2008/02/10(日) 16:00:27 ID:???0
42 :ホワイトアルバムさん :2008/02/07(木) 03:16:59 ID:???0

絶対敵は、荒野にそびえる肖像かもしれない
そんなの意味が分からないよというあなたの目の前に今
荒野にそびえる肖像がスクリーンいっぱいに描き出されている
三本立てのロマンポルノの映画館に期待をもって入ったら
ちょうど目の前にそんなシーンが展開されていたのだ
映画館を間違えたのかなと思うあなたはすぐに
この映画が、荒野を題材にしたアマゾネス軍団のレズビアンポルノだったと気ずく
騎馬にまたがった筋骨隆々とした裸体のアマゾネス軍団が
スクリーンの中の荒野を、雄大無辺に横切ってゆく ドドドドドドドドーッ
禁断の官能の実を求めて映画館に入ったあなたは
ちょっとこの映画失敗だったかなと思う
その時あなたの隣に誰かが素早く座り
神技のような手の平で、スルリとあなたの股間にタッチしてきた
やはりというかなんというか、この映画館はオカマの巣窟だったのだ
と気ずいたあなたはもはややぶれかぶれの心境で
気持ち良く、感じてきてしまったのだから仕方ない
せめて相手の男が三島由紀夫ぐらい、いい男だったらいいのにとあなたは名前をきく
「ああ、気持ちいい・・・君、なんて名前なの?」
「三島由紀子よ」「ああ、やっぱりね」
絶対敵には、注意したほうがいい
11ホワイトアルバムさん:2008/02/10(日) 16:02:16 ID:???0
58 :ホワイトアルバムさん :2008/02/10(日) 03:38:47 ID:???0

絶対敵は、あなたのことを持ち上げて持ち上げて落とすだろう
あなたが持ち上げられて素直に喜んでいると
それは絶対敵の思う壺だ
あなたが馬鹿でないのなら
あなたは喜ぶふりをしながらも常に冷徹に胸のどこかで
いつでも絶対敵の目ん玉をくりぬくことや
金玉を思い切り蹴りあげることを考えて
その態勢をととのえていたほうがいい
絶対敵は、いつでも一座をまとめて主役となりきるだろう
そしてヘドが出るように上には媚を売り
下にはナチスの君主のように振舞うのだろうから
せめてあなただけでもそのグループの中で
その目を雲らされずに、絶対敵への殺意を
いつでも使用できるピカピカのナイフのように
研いで研いで研ぎすぎるくらいに研ぎまくっていてほしい
いつかあなたが絶対敵を殺して刑務所にでも入ったら
約束する、私は花束をもって面会にいくよ
たくさんの愛をこめてね
絶対敵には注意したほうがいい
12ホワイトアルバムさん:2008/02/11(月) 08:15:29 ID:???0
65 ホワイトアルバムさん sage New! 2008/02/11(月) 03:50:54 ID:???0

絶対敵の存在は、分かる人には分かりすぎるほどの存在である
分からない人はいつまでも、分からないままでいたほうが幸せだろう
知ったが最後、大きな絶対敵や小さな絶対敵が
天使の絶対敵や、悪魔の絶対敵が
四六時中、縦横無尽に、あなたのまわりを旋回しはじめることになる
今日は道化師の絶対敵が、明日には宣教師の絶対敵に
あさっては荒くれ男の絶対敵が、おとといには盗賊の絶対敵に
一年前には貴婦人の絶対敵が、十年前には霊媒師の絶対敵に
あなたは時空間を超越した、無数の絶対敵と対峙するハメになる
それを因果応報、転生輪廻と名ざすものいわく
「あなたはただメビウスの輪の上で踊っているだけなのよ」だとー
ふっ 馬鹿馬鹿しくなったあなたは、ならば本当に踊り狂ってみせようかと
大昔のディスコ、現在でならクラブとかいう
そのようなところへ踊りにいってみようかなどとは、笑止の千万
七色のミラーボールに照らされてはギュウギュウ詰めになって
目の前で踊り狂う数万の群衆、これ老若男女すべてがまさに
絶対敵、絶対敵、絶対敵、絶対敵、絶対敵!
あなたはほんの一瞬、人生の真実をそこに垣間見て呆然とする
ずいぶん泣かせる話だとは思わないか?
絶対敵には注意したほうがいい
13ホワイトアルバムさん:2008/02/12(火) 06:11:01 ID:???0
72 :ホワイトアルバムさん :2008/02/12(火) 03:40:53 ID:???0

絶対敵は、たそがれの酒場で飲んだくれてるあなたの横顔に、やさしく声をかけてくるかもしれない
その声は、あなたにとって耳元で囁く水晶の鈴の音のように、やさしく響くかもしれない
「だいぶ上機嫌のようですね、おとなりにお邪魔してもよろしいですか?」
あなたは薄目で絶対敵の人相をうかがうが、そう怖そうでもないと認めるや
「てやんでー、もうお邪魔してるっじゃねーかー、ったくよー」とゴネる
カウンターにふせって、今にも熱燗のトックリをひっくり返しそうにしてるあなたの背中を、絶対敵はやさしく撫でる
「まあまあまあまあ、何がそこまであなたを酔わすのですか?
 ひとつ私にお聞かせ願えませんかね? いやいや、私は決して怪しいものじゃありませんよ」
「てやんでー、十二っ分に怪しいじゃねーかよー、
 いったいどこのどいつなんだ、あんたはよー オレに説教でもたれるってかー」
「いやいやいやいや、私はですねー 出来れはあなたの悩みなどを解決してやれるかなー、などと思いまして」
「なにー、か、快傑ライオン丸ってかー、ケッ ふっざけんじゃーねーやー」
「快傑ライオン丸なんて懐かしいですねー、私はキカイダーのファンでしたよ、はっはっ」
「うっせーんだよ、オレはひっとりでー、飲みてーだけなんだよー ひっく」
と、ここまで書いて、私はどう落ちを着けようか、分からなくなってしまった
こんな日もあるだろう  これを駄作と取るか、逸品と取るかは、あなた次第だ
絶対敵には注意したほうがいい
14ホワイトアルバムさん:2008/02/13(水) 09:42:00 ID:???0
75 :ホワイトアルバムさん :2008/02/13(水) 03:59:35 ID:???0

絶対敵は、酔いつぶれたあなたと一杯飲み屋から出てくる
意識朦朧のあなたは絶対敵に肩など抱かれて おやっとしたら、もうタクシーの中だ
ろれつの回らない口調で行き先を訪ねるあなたに
絶対敵は、相変わらず「まあまあまあまあ」などと、とぼけている
やがてたどり着いたは、怪しげなマンションの何階か
気づいた時にあなたは、両手両足を縛られバスルームの中だ
便座と浴槽が併設された、残りの狭い空間に身をちぢこませたあなたは
やがて確かに私はこれからきっと食べられてしまうに違いないと悟る
根拠はないが、酔目朦朧の頭でも、それぐらいの予知能力は残されていたところへー
突然ドアが開き絶対敵の登場
「さよう、分別のあるあなたならもう御理解の底と思うが みそ味と塩味、どちらがご所望であろうかのう?」
ああ、俺はこれからきっとみそ味か塩味のスープに煮こまれて
こいつに食べられてしまうんだ、嫌だなぁこんな人生の最後は
まったくのトントンチキだ 俺の人生の最後の真実は、ラーメンのスープのダシになって終わることだったのか!
滂沱(ぼうだ)と流れ落ちる悔恨の涙が滝のようにしとどと流れ
あなたはバスルームの排水溝の暗部と一体化する
もう塩ラーメンのほうがいいだろう みそ味とどちらかにしか選択の余地がないのだとしたら
絶対敵には注意したほうがいい
15ホワイトアルバムさん:2008/02/14(木) 06:25:27 ID:???0
79 :ホワイトアルバムさん :2008/02/14(木) 03:27:28 ID:???0

絶対敵の幻影に、悩みつづけるあなたはやがて
精神科医、白髭博士のもとへ通院するようになる
鬱蒼と暗い樹齢何百年かの老大樹に囲まれた
古色蒼然とした森の茂みの奥の奥に、その医院はあった
「今日の便通はどうでしたか?」
「ええ、肛門から路面電車が発車するような感じでした」
「それでは肉体の門は、OK牧場ということですな」
「ところが交通整理が大変でしてね、私の中の婦人警官もてんやわんやですよ」
博士の問診は、いつもこのような絶対敵とは関係ない話題から始まるが
やがてそれは鋭く、核心に近ずく場合もあるし
その実、大いなるT字路を描いて、Uカーブを直進することもある
「それでは便所もどきが出て来て大変でしょ?」
「えっ、先生も便所もどきをご覧になったことがあるんですか?」
「昔、グレンミラーの戦闘の時に医療班として徴集されましてね
 南方の便所もどきをよく見かけたもんですよ」
「それは貴重な御体験だ、そのうちそれを映画化してみたらどうです? ぜひ見てみたい」
「いやいや、映画化権の権利関係の方は、マッカーサー元帥に一任してるもんでね
 あの頃、携帯電話があれば、すぐにでもクランクイン出来たのになァ、ワッハッハ」
「先生、それはもったいないことをしましたね」 「まあね」
絶対敵には注意したほうがいい
16ホワイトアルバムさん:2008/02/15(金) 04:42:27 ID:???0
82 :ホワイトアルバムさん :2008/02/15(金) 03:55:17 ID:???0

絶対敵についての、白髭博士とあなたの問診はつづく
「絶対敵が、あなたのドッペルゲンガーだという仮説はどう思うかね?」
「ドッペルゲンガーというのは、幽体離脱をした、もうひとりの私ということですか?」
「そうともいえるが、学術的に述べると、正あなた≠ニ反あなた≠ニいう存在の二極化を
 正宇宙≠ニ反宇宙≠ニ考えた場合、正地球≠ニ反地球≠ニいう存在も勿論そこに肯定出来るワケで
 つまりその、この地球の内部には地上の地球とまったく同じ人たちが二重構造として存在して
 棲息している、つまり正・反≠フパランスをとるために地底人として常に存在しているワケなのだが
 そのもうひとりの自分がある日、なんらかの歪みが生じてこの地球上に出て来てしまった
 そして、捜しつづけたもうひとりの自分を、常に監視して見守り続けるという、こんな仮説を立ててみたが
 どうだろうか?」
「先生、それでは常に私につきまとい、私の邪魔をする、その絶対敵という存在は
 地底人のもうひとりの私とでも、いうのですか?」
「いや、まあまだこれは仮説の段階なのだが、先ほど話題にでた便所もどきの件にしても
 そうでも考えてみない限り、どうも六角形四重方程式がそこにひっかかってくるんでね」
「寸止め呼吸法をもってしても、それはやはり困難な事なのですか、先生」
「寸止め呼吸法は明治元来からの呼吸法だからね、今やパールハーバーから以降のほうが重要だよ、君」
「はあ、未来永劫なる夫婦円満が、未来永劫難しいのと同じようなものなのですかね」
「まあそんなところだな」
絶対敵には、注意したほうがいい
17ホワイトアルバムさん:2008/02/16(土) 07:29:12 ID:???0
87 :ホワイトアルバムさん :2008/02/16(土) 04:00:30 ID:???0

絶対敵についての、白髭博士とあなたの問診はまだつづく
「はじめて絶対敵の存在を認識したのは、幾つぐらいのことなの?」
「はあ、最近といえば最近ともいえますけど、考えてみればこの人生というやつ 極論すれば、自分以外はすべて敵ともいえるわけでして・・・」
「そこじゃよ君、よくぞそこに気づいたものだ、朝の珈琲夜には冷めるというて
 おのれの対角線上に現れる者、これすべて敵だと認識する防衛本能というものが
 この世につかさどる動物という動物には、すべてインプットされておる
 かなりの有効倍率で、その敵対心は上昇したり下降したりするものだと思うけどね」
「ということは先生、その敵への憎しみというか嫌悪感を、青田買いして 燃焼滅却することは、出来ないものなのでしょうか?」
「ハハハ、何もあせることはあるまい 燃えるゴミを出せる日は月曜木曜の朝と
 ちゃんと決まっているのだからね君、市役所に電話でもしてごらんなさいよ」
「時空間を超越した市役所なんてものがあるなら、今すぐ電話してみたいもんですよ」
「ありますよ君、私の目の黒いうちはいつでも時空間を透徹できるというものです
 ためしに今からマッカーサー元帥にでも電話して、市役所が開いてるか、訊いてみましょうか?」
「いや先生、どうせなら、日本古来の九の一の女忍者にでも、メールしていただいた方がありがたいんですが」
「おやすいごよう、女忍者と絶対敵の決闘でもながめながら、電気ブランでもご賞味しますか
 そこまで冷やしちゃビールも美味くないお時間だ、で地底人のあなたは存在してるの?」
「それにはさっき先生、ナフタリンの十層倍のエネルギーが必要だって、おっしゃったじゃないですか!」
「ハハハ、あれはだね君、言葉の綾取りというものだよ!言葉でさえも磁力で発酵させたほうが長持ちするということを、知ってたかね君!」
絶対敵には、注意したほうがいい
18ホワイトアルバムさん:2008/02/17(日) 08:45:20 ID:???0
89 :ホワイトアルバムさん :2008/02/17(日) 04:07:03 ID:???0

絶対敵についての、白髭博士とあなたの問診は、もうしばらくつづく
「絶対敵が好んで現れる場所というものを、いくつか特定できるかね?」
「頻繁に遭遇する場所は、やはり飲食店関係方面が、多いと思いますね」
「それは銀座方面なのかね、もしくは札幌のすすき野方面とか?」
「なぜ先生はその二ヶ所にこだわるのです?」
「いや昔々お世話になった銀座のマダムが、最近すすき野に引っ越してね、シャンソンバーを開いたから
 遊びに来てねと、おととい通知が来たものでね、ハハ」
「それが私の絶対敵と何か、関係があるのですか?」
「いやいや、微分積分他人の関係と、つまりそれでは飲食店関係方面は、特例指定地区として、ほぼ壊滅状態というワケなのかね?」
「ええ、たとえば私が落ち着いてコーヒーでも飲みたい、もしくは楽しみにしていたチャーハンでも食べたいとかして
 その店に入るとしますよね すると必ず絶対敵の奴が現れて、私の対面上に着席するや、私と視線を合わすのです
 そうなるともう完全に私は、そのコーヒーを楽しく味わうことも、チャーハンをおいしく食べることも、出来なくなってしまうのです」
「それはかなりの重症だね、壊滅したインパール作戦を思い出したよ、あの時はもう食べるものもなくなって
 最後は人肉を喰らうしかなかっというのだからね、悲惨な戦場こそはカニバリズムの発祥の地の源だと、私は断言しよう
 ところで君、人肉はどう? 絶対敵にラーメンのダシにされかけたこともあるとかいっておったね、うほっ」
「あ、あの時のことを思い出すと、今でも体の震えが止まりません、ううっ」
「君泣くな、すまん、辛いことを思いださせてしまったようじゃ すすき野のサッポロラーメンがいけなかったのか
 今、熱さましに超電導ココアでも入れてしんぜよう もちろんマッカーサー印のじゃ、うほっ」
絶対敵には、注意したほうがいい
19ホワイトアルバムさん:2008/02/18(月) 05:49:01 ID:???0
91 :ホワイトアルバムさん :2008/02/18(月) 03:34:30 ID:???0

絶対敵についての、白髭博士とあなたの問診は、いよいよ佳境にはいる
「絶対敵が君のドッペルゲンガーでもなく、もうひとりの地底人の君でもないのだとしたら
 秘密結社の人間としか考えられませんな 君、何か秘密結社を怒らせるようなことをしなかったかね?」
「どこの秘密結社がですか? まったく身に覚えがありませんが」
「まあ仮に君がだ、秘密結社のある重要な機密文書を無意識のうちに操作したとする、一度操作されたその機密文書は
 操作した人間のその時の無意識の波動ともう一度合わさなければ、開かせることが出来ない つまり君の無意識のチューナーが
 0から2000ヘルツの間だとする、君がその機密文書を操作した時の無意識の波動チューナーの目盛りが、その時1392を指していたとしよう
 すると結社から派遣された隠密の絶対敵という輩は、君の無意識の波動チューナーの目盛りが、もう一度その時の1392を指すように、色々と
 君に無言の脅しや圧力を、かけてくるわけじゃよ、尾行したり追いつめたりしてな いってる意味が分かるかな?」
「まったく分かりませんが」
「たわけじゃのう、 チンコと頭は生きてるうちに使えという箴言を知らんのか!
 この世には無数の秘密結社が存在する、しかもだ それは君の想像も及びがつかないほどの数だ ポツダム宣言の頃を境に、その数はぺらぼう
に増えたと私は見る 時空間を超えた秘密結社も存在することだろう おびただしい秘密結社の毀誉褒貶(きよほうへん)の歴史を想像すると、
 私は身震いがするよ まったくこんな時にこそ六角形四重方程式の武装理論で、充分太刀打ち出来ればなぁと、いつも思うんだが」
「先生、さっきの超電導ココアに悪いお酒でもたらしたんですか?」
「電気ブランを少々ね しかし、秘密結社をあなどってはいけないよ、君 うほっ」
「はあ」
絶対敵には、注意したほうがいい
20ホワイトアルバムさん:2008/02/19(火) 04:35:29 ID:???0
92 :ホワイトアルバムさん :2008/02/19(火) 03:55:28 ID:???0
絶対敵についての、白髭博士とあなたの問診は、いよいよ核心にせまる
「絶対敵という輩が、常に君のいくところへつきまとい、目の前に現れるという現象をだね
 仔細に分析してみるとだよ君 これはたぶん君の先祖の誰々の霊がその絶対敵という者に憑依してだね
 いつも君のことを心配して、見守ってくれているのかもしれんぞ、これはきっと たぶんそうに違いあるまい」
「先生には、それが見えるのですか?」
「うんにゃ、強烈な磁力を感じるのだ 電波といってもいいだろう いわゆる一般的には守護霊と呼ばれるものの存在が
 君の場合には絶対敵という存在となって、その役目をになっているのであろうよ」
「ではなぜ私のことを邪魔したり、威圧したり、攻撃したりするのですか?」
「いやそのそれはつまり、可愛さあまって憎さ百倍、親の心子知らず、獅子の親は子を谷底に突き落とす、痛みは喜びとかいう
 愛情表現の裏返しの行動ともとれるが、どうじゃろうか?」
「では私はこれから先も永遠に、その私の守護霊様だとかいう絶対敵に、イジメられつづけなければならないのですか?」
「うむ、愛ゆえの受難、茨の冠を額にいただいたイエス様の悟りの心境にそれはもっとも近いかもしれんな
 君はひょっとして将来ゴータマブッダとなりうる釈迦の青年時代シッダールタの生まれ変わりかもしれんよ
 苦難と受難のトゲだらけの試練の道を歩むように、約束された運命のレールの上を突き進むしかないのじゃよ
 その先には偉大なるゴルゴダの丘の上の十字架が待ち受けているであろう」
「では将来私は神という存在にもっとも近い存在になりうるのですね」
「モチロンだとも、それもこれも絶対敵の受難サマサマのおかげじゃよ」
「先生、今日私はここに来て本当に良かった! 絶対敵の意味が分かりかけて来たように思います!」
「まあ待ちなさい、賞味期限の切れた電気ブランを超伝導ココアにたらし過ぎたようじゃ、頭痛がイタい、今のワシの発言すべてNGじゃ うほっ」
絶対敵には、注意したほうがいい
21ホワイトアルバムさん:2008/02/20(水) 06:32:56 ID:???0
96 :ホワイトアルバムさん :2008/02/20(水) 03:24:56 ID:???0
絶対敵についての、白髭博士とあなたの問診は、終焉をむかえそうでもあるが、まだまだそれは序章のはじまりなのかもしれない
「話題を変えるがね君、姫子の指輪のお話という伝説を、ご存知かね?」
「いきなりなんなんですか、そのお話は」
「いやね終戦間近い頃のお話だがね、私の盟友であるマッカーサー元帥が実は赤坂の綺麗どころの芸者さんと昵懇となってしまってね
 つまり当時でいう2号さんという関係なのだが、その芸妓が元帥の子供を身ごもってしまってね 急遽堕胎手術が必要ということで、当時の
 若き日の私が帝国ホテルに呼ばれたワケじゃよ しかし時すでに遅くその時妊娠は6ヶ月にも達していてね 堕胎は無理だったのじや」
「はあ」
「その時生まれた混血の娘が姫子といってね マ元帥は何もしてあげられないが、将来この子が二十歳になった日にでも渡してくれと
 私に当時としては何百万円もする純金ゴールドの指輪を託してね 朝鮮戦争へいってしまわれたワケじゃよ この話はここからが肝心なんじゃが
 その指輪の裏にね、将来平和国憲法第九条がこの国で危うくなった日には、それに代替する平和国憲法マイナス第九条を実施しておくれと
 マ元帥みずからが草案なされたその文案が、細かく几帳面に英文字で刻まれておったのじゃ その第九条の存続が揺るいでいる今こそ
 その指輪が必要だというのに」
「その指輪は、どうなったのですか?」
「約束通り、姫子が二十歳になった1967年頃に私が姫子に渡しましたよ しかしその頃ハーフの姫子はミテモテでね ゴーゴーバーで踊り子の
 アルバイトなどしておってね、グループサウンズの若い男なんかと同棲なんかしておったから、とてもそんな事実を話せる状態ではなかった
 あげくベートルなんとかのジョンレモンの弟子になるとかいうそのグループサウンズの男と、アメリカへかけ落ちしてしまって消息不明のまま
 じゃ、指輪も一緒にじゃよ」
「それは困りましたね、今こそ憲法第九条が変更されようとしている重要な時期なのに」
「おっしゃるとおりじゃ、この話もいずれ絶対敵とからんでくると思われるから、次回に持ちこそう」「はあ」
絶対敵には、注意したほうがいい
22ホワイトアルバムさん:2008/02/21(木) 05:45:43 ID:???0
102 :ホワイトアルバムさん :2008/02/21(木) 03:43:26 ID:???0

絶対敵についての、白髭博士とあなたの問診は、作者の予想も大幅に裏切り、どこへいこうとしてるのか、まだつづく
「君、1945年の終戦の年にだね マッカーサー元帥は日本を好きなように変えることが出来たのだよ なにせこちらは無条件降伏なのだからね
 日本国民を完全奴隷化する政策だってとれたはずなのじゃ しかしマ元帥は将来をにらんだ中国&ソ連という共産圏国との対立の最前線基地
 として、わが日本国を再生有効利用する道を選んだ そしてマ元帥の草案の元戦争の永遠放棄、永遠不参加≠標榜する平和国憲法第九条
が 立案されたのじゃが、なんとその席に当時の地帝国首領キノピキが参加しておったとは、私もあとで聞かされて驚いたものじゃ しかしだよ
 この憲法第九条のおかげで、朝鮮戦争の時わが日本国民は米国の兵として徴兵されずにすんだのだからね、なんとも皮肉な話だよ君、逆に
 朝鮮戦争を境に特需景気で右肩あがりの経済成長がスタートしてからは、アジア唯一の経済先進国にまでなってしまったとはな うほっ」
「その地帝国首領キノピキとはなんなのですか?」
「おおよくぞ聞いてくれた、憲法第九条の本当の立案者はその地底人キノピキだったのじゃ キノピキこそが大平和の王、彼を首領とする地帝国
 ミノルバは 丁度わが日本国国土の地下全域を占める地底人の王国でな 私も一度隠密で招待されたことがあるのじゃが、本当に平和を愛する
温厚で篤実なる地底人たちの集まる幸せな国じゃった しかしあの1945年の広島長崎の二度の原爆投下の被害は地上のわが日本国民のみでなく
彼ら地底人ミノルバの人々にも甚大なる被害を与えてな、終戦後それを黙っていられなくなった地底人首領キノピキが、帝国ホテルのマ元帥に
 面会を求めに現れたのじゃ その時キノピキが手にしていた書類が憲法第九条の草案だったという そして突然執務室に現れたキノピキに
 マ元帥は驚きお主は何者だ?≠ニ叫んだという その時静かにキノピキはこう言ったそうじゃ 私はあなたの、絶対敵になりうるものです=v
「おお!」
絶対敵には、注意したほうがいい
23ホワイトアルバムさん:2008/02/22(金) 11:19:57 ID:???0
105 :ホワイトアルバムさん :2008/02/22(金) 04:44:53 ID:???0

絶対敵についての、白髭博士とあなたの問診は、しんしんと深い森の中へと入ってゆく
「マッカーサー元帥を前にして、地底人首領のキノピキは震える声でこう言ったそうじゃ元帥、あなたの国アメリカが落とした原始爆弾の
 おかげで、私たち地底人ミノルバの民も、今回多大なる犠牲をこうむりました 起きてしまったことは今更どうこういう気はありません
 しかし二度ともう日本国土を攻撃してほしくない 戦場にもしてほしくない 日本国土の地底には平和の民ミノルバ人が、すこやかに生活
 しているのですからね 日本という国をこれから元帥がどんな国にしようと考えておられるのか、まったく存知ませんが、これだけは約束
 してほしい 日本を永遠に戦争不参加、戦争を放棄する国にするとね くわしい条文は今私が手にしている書類の中に書かれています
 この約束がはたせないなら 私は元帥の絶対敵として、今この場で自爆いたします 元帥もろともね 十秒だけ待ちましょう∞待て、待ち
 たまえ よもや日本の地下深くに ミノルバなどという地底人の王国が存在するなど、夢にも思わなかった 原子爆弾の件はあやまる、
 戦後保障もしよう そして約束する今度設立する憲法の第九条に、あなたの文言をもりこむよ 日本を永遠の非戦闘平和国家にする 約束をする
24ホワイトアルバムさん:2008/02/22(金) 11:20:31 ID:???0
106 :ホワイトアルバムさん :2008/02/22(金) 04:45:27 ID:???0

だから自爆だけは勘弁してくれ、ワシは これから赤坂でデイトなのじゃよ、トホホ許しておくれ∞私たちミノルバ人は未来を予知することも
 出来るのです あなたはこれから会いにいく赤坂の芸者との間に一子をもうけることになるでしょう そして約束通り平和国憲法第九条も実現
 するでしょう しかし60年後過ぎあたりからその平和国憲法が改正の危機にみまわれるのです たったの60年ですよ その後のミノルバの民の
 保障はどうしてくれるのですか? 返答いかんでは今すぐ自爆しますよ∞自爆だけは勘弁してく、倉之助、ししかし、60年後のことを今どう
 こうすることも出来ないじゃろ?∞分かりました、赤坂の芸者のところまで地下王国の地下通路を通って、これから私が誘導してさしあげます
 その間に60年後のことを話し合いましょう しかし元帥、赤坂とはなぜAKASAKAと書いて、ローマ字読みで読むと、前から読んでも後ろから
 読んでも赤坂(AKASAKA)か、ご存知ですか?∞いや、ま、まったく存知ませぬが∞赤坂の地下深くこそが、わが地底王国ミノルバの首都
 だからなのです∞そ、そうだったのかー≠サしてマッカーサー元帥は、キノピキに誘導されるがままに地下王国の地下通路を、赤坂へと
 向かったそうじゃ うほっ」
絶対敵には、注意したほうがいい
25ホワイトアルバムさん:2008/02/23(土) 07:15:11 ID:???0
110 :ホワイトアルバムさん :2008/02/23(土) 03:53:30 ID:???0

絶対敵についての、白髭博士とあなたの問診は、やがて深海のもずくの中の中へと、深く沈潜してゆく
「赤坂へと向かう地下王国の地下通路を歩きながら、マッカーサー元帥と地底人首領キノピキが交わした約束は、以下の通りだというのじゃ
 @必ず平和国憲法第九条は実現させる Aこれから100年に渡り、日本国地下の地下王国ミノルバには、アメリカが戦後保障を確約する
 B問題の60年後、2005年以後に日本で憲法第九条の存続が危ぶまれた場合、平和の使者が平和の指輪をもって、神の子としてそこに出現する
 段取りをつけておく Cその魔法がかった平和の念力をこめた指輪の裏には、憲法マイナス第九条というものの詳細を文言として刻み
 その時の持ち主がそれを実現させることとする Dまずその指輪は、再来年1947年に生まれるであろうマ元帥の娘が二十歳になった時に、誰か
 が彼女に手渡すこと Eやがてその指輪は1968年頃に、世界的に有名なベートルズというポピュラー楽団のリーダーであるジョンレモンという
 男の手に渡るであろうこと F世界的に天才であるそのジョンレモンという男は、その指輪を入手するや、世界的な平和運動の旗手に変貌
 するであろうこと、そしてミノルバもとい日本国とただなる縁が生じるであろうこと Gやがてジョンレモンは日本人の妻をめとることになり
 日本に永住するであろうこと H丁度2005年頃には65才となって日本に永住しているジョンレモンは、日本の平和国憲法第九条の改正案に
 大激怒し、大平和キャンペーンをはるであろうこと Iそして、ジョンレモン彼こそがこの日本の2010年頃に、憲法マイナス大平和第九条を
 実現させるであろうこと その時ジョンレモン70才ー という筋書きがととのい、友好的にキノピキとマ元帥は赤坂の地上で別れたというのじゃ
 しかし問題の1980年の12月、世界的な平和の使者ジョンレモンは、40才で暗殺されてしまったではないか それも日本ではなくニューヨーク
 でだよ これも絶対敵のしわざだと思うんじゃが ううむ、と 話があまりに飛びすぎて君に理解できたかね?」
「つまり、それが姫子の指輪のお話というのですね?」「その通りじゃよ」
絶対敵には、注意したほうがいい
26ホワイトアルバムさん:2008/02/24(日) 10:47:50 ID:???0
111 :ホワイトアルバムさん :2008/02/24(日) 04:00:45 ID:???0

絶対敵についての、白髭博士とあなたの問診は、巨大な空虚をくぐりぬけようとしている
「白髭博士、今までのお話を筋道立てて整理してみますと、マッカーサー元帥と赤坂芸者の間にできた娘の姫子が二十歳になった時、先生が
 マ元帥の忠告どおり平和の魔法の指輪を姫子に手渡した その後姫子はグループサウンズの男とアメリカに駆け落ちをして行方不明になって
 しまう やがて指輪はめぐりめぐってジョンレモンの手に渡り、ジョンレモンは平和の旗手へと変貌した しかし1980年12月にジョンレモンは
 絶対敵に暗殺されてしまう その時点でマ元帥とキノピキの描いた未来予想図は途切れてしまった はたして今その指輪はどこで誰が手にして
 いるのか? 憲法第九条がまさに改正されようとしている現在、マッカーサー元帥とキノピキの約束した予言通りに、はたして本当にその指輪を
 手にした平和の旗手の神の子が、この日本に現れてくれるのか? こういうことですね」
「まったくそのとおりじゃよ、ジョンレモンの未亡人でもあるサノヨーコに国際電話をして聞いてもみたが、もってない見当たらなくなって
 しまった いつなくなったのか記憶もない、というばかりなのじゃ そこで君がさっき私のところへ訪ねてきたとき、おおこの人物こそが指輪の
 現在の持ち主で2010年の神の子かと、私は早合点してしまったほどじゃトホホ 私ももう今年で94才でのう 予知能力も錆びついてきたようだ
 しかし君が絶対敵の相談の件で訪ねてくるとはのう 94年も生きてると、その時代その時代のさまざまな絶対敵を目にして来たものだよ
 ジョンレモンを暗殺した絶対敵も、真犯人は今投獄されてるあいつじゃないはずなのじゃ ジョンFケネディを暗殺したのが、捕まった
 オズワルドでないようにな 私には分かる、おっそろしい秘密結社がそこにからんでることがな その結社は何をしてでも日本の平和国憲法
 第九条を、変えてしまいたいのじゃろう ああまったく恐ろしいことじゃ」
 「時代時代の絶対敵と、時空間を超越した絶対敵とが、存在するのですね?」「まさしくそのとおりなのじゃ、詳しく分析してみよう」
絶対敵には、注意したほうがいい
27ホワイトアルバムさん:2008/02/25(月) 07:00:42 ID:???0
113 :ホワイトアルバムさん :2008/02/25(月) 02:56:34 ID:???0
絶対敵は、突然背後からあなたに襲いかかってくるだろう
あなたは休憩時間に休憩室で、今日は自販機のあれを飲もうと
楽しみにしながら、休憩室に入る
そこにはイヤな同僚が待ちかまえていて、あなたにこう言う
「オレ持参のコーヒーメーカーに丁度一人前 残ってるから これ飲んでいいよ」
あなたはそんなの飲みたくないなと思いながらも
こいつと気まずくなるのも、なんだしなと思いながら
顔には笑顔を浮かべて「じゃあ、いただこうかな」などと言う
そいつは調子にのって、つづけてあなたにこう言うのだ
「飲み終わったらコーヒーメーカー洗っといてくれるかな?」
いただくと言った立場上、あなたは「あ、いいよ」としか言えなくなる
なんでテメーのコーヒーメーカー俺に洗わせるんだよと、心で思いながらも
そのつてで、いつかそいつはあなたに自分の靴をも磨かせようとするだろう
そんな日が必ず来るのだ あなたの取った初期行動が間違っていたから
そいつが「オレ持参のコーヒーメーカーに丁度一人前 残ってるから これ飲んでいいよ」
といった瞬間 何も言わずに速攻でそいつのアゴ元を蹴りあげるのだ
「いらねえんだよ、この野郎!」ぐらいのことを叫びながら
そして倒れたそいつの上半身に馬乗りになり
問答無用の目つぶしを入れるのもいいし、前歯を拳で粉砕するのもいいだろう
そのぐらいしておかないと、いつかそいつはあなたの絶対敵となる
このことは、肝に銘じておくべきだろう
絶対敵には、注意したほうがいい
28ホワイトアルバムさん:2008/02/27(水) 02:28:40 ID:???0
絶対敵は、あなたが油断する隙を、必ず突いて来るだろう
よくある話に一万借りて、すぐにその一万円を返す  十万借りて、すぐにその十万円を返す
今度は五十万借りて、すぐにその五十万円を返す  よし、今度は百万円貸しくれよ 
今までちゃんと返したんだから、今度もちゃんと返すから
さあ早く貸してくれ とかなんとかいわれて 
断ることも出来ずに貸してしまう そこの弱いあなた 
蛇ににらまれたカエルのように、そんなあなたがまずするべきことは
スポーツ用具店にいって 金属バットを買うことだ
迷うことは全然ない 平然と買うのだ 鼻歌など歌いながら 
何も書店にいって「平気で嘘をつく人たち」や、「サイコバス読本」
その手の「演技性人格障害者達とうまく交際する方法」などという本を買い求めて
研究してみようなどとは、もっての他だ
約束のお金準備できましたから、どこそこへ来てください えへへとかなんとか
連絡を入れたら、早目にその場所へいって待機してたらいい
金属バットで千本ノックの空振りスウィングの練習など、してみるのもいいだろう
やがてあなたのことを金ズルとなめきった、絶対敵がそこに現れるはずだ
無言でいい 「やあ」とかいって近ずいて、叩いて、叩いて、叩きのめすだけだ
どうせ絶対敵の頭頂部などは、サッカーボールほども頑丈ではないだろう
やがてあなたの足元で身動きしなくなった絶対敵をみとめるや
あなたは自首をして、減刑を願うべきだ
裁判官も同情してくれるだろう
絶対敵には、注意したほうがいい
29ホワイトアルバムさん:2008/02/27(水) 08:16:49 ID:???0
116 :ホワイトアルバムさん :2008/02/27(水) 04:45:01 ID:???0
絶対敵は、ある日突然あなたに電話をかけてくるだろう
昔そんなに親しかったわけでもないのに、電話をかけてくるのだ
あなたは錯覚する はて、私たちはそんなに親しかったのかしら?と
しかし電話の向こうの絶対敵は、旧知のマブダチのように
懐かしいわ一度お会いしたいわいいお知らせがあるのよ絶対損はさせないわだとか
ベラベラペラペラとイッキにまくしたてて、結局弱いあなたは会う羽目になるのだ
あなたの家にやってきた、絶対敵のいびつに歪んだその微笑を見るがいい
サイコホラーのマエストロ達が、その最高の技巧と人智を結集して創作したとしても
そこまでおぞましい微笑みなどは、絶対に作りえないであろう
そして言うのだ この生命保険に入りなさいよ、この羽毛布団はいかがかしら?
息子さんの英会話学習セット3年分120万円でどうかしら?
高い塾に通うよりもお得なのよ、最高級の掛け軸とお壺のセットはいかが?
ネズミこうではないけれど、入会したら資金が倍々に増えるこのシステム、入会してみない?
置いとくだけで幸せが訪れる水晶の玉なんていかが?500万円よ
たまにはあなたのダンナと私のを、交換してみない?そんな会があるのよ エトセトラエトセトラ・・・
この世のありとあらゆるいかがわしいセールストークを、あなたは聞かされるハメになる
あなたがその絶対敵に対して、とるべき態度はもうお分かりだろう
そう、さりげなく押入れを開けて金属バットを手にするのだ
それからはもう叩いて、叩いて、叩きつぶして、絶対敵の頭蓋を陥没させるのだ
そしていつものように自首すればいい
この世のゴミがひとり消えただけだ
絶対敵には、注意したほうがいい
30ホワイトアルバムさん:2008/02/28(木) 11:12:48 ID:???0
118 :ホワイトアルバムさん :2008/02/28(木) 04:08:22 ID:???0
絶対敵は、夕焼け空を眺めながら吹く、口笛に似てるかもしれない
あなたは誠実で温厚、真面目でどちらかといえば気弱な性格の人なのだが
やがて金属バットを片手に、街中を徘徊する人となるだろう
どこへいってもしつこい絶対敵の奴が現れるのだから
あなたは自身の安寧を死守するために
それは必要経費でおりる、備品のようなものとなるのだ
ある日あなたが気持ちよく金属バットを振り回しながら歩いていると
警官が声をかけてくる
「もしもし、街中でそんなものを振り回していたら、危険ですよ」
あなたは答える「銃刀法所持違反にでも抵触するのですか?」
「いやいや、どう見ても銃刀法には見えないけどね、
 街中でバットを振り回しながら歩くなんて、危険なことですから
 止めてください お願いします」
あなたはお願いされて、少しは気持ちよくなるのだが、一抹の不満も覚えるのだ
「では絶対敵の攻撃から、私はどうやって身を守ればいいのですか?」
警官は有史以来の人類の発展と進歩の調和≠フ痕跡を
あなたの表情や心因の中にうかがおうとするのだが
やがてそのフレーズは、1970年に大阪で開かれた
万国博覧会のコピーフレーズだったことに気ずき、赤面してしまう
そう、その隙をついてあなたは
バットを振り回す凶暴なネオンデルタール原始人と化して
逃げきればいいのだ やがて道は開けるだろう
絶対敵には、注意したほうがいい
31ホワイトアルバムさん:2008/02/29(金) 14:35:19 ID:???0
絶対敵は、しとどに濡れた女陰の奥の、酸味にあふれた香りなのかもしれない
その香りこそは、誰もがこの世に生まれ出てくる時に
嗅いできたであろう、かぐわしい郷愁の源(みなもと)、ビタミンだ
少年の頃のあなたは、駄菓子屋のニッキのお菓子の匂いを嗅ぐと
なぜか心の奥がもやもやとして、つーんと甘酸っぱくなったものだ
それが初恋のあの娘の下半身の、パンティの奥の奥の匂いだったら
どんなにいいだろうかなどと、夢想したりして
そうだ、初恋のあの娘は今どこで
どんな暮らしをしているのだろうと、あなたは考える
会いにいって驚かせてみようかなどとチラリと思ったりして
少年の頃のあなたにも、モチロン性欲は存在していて
初恋のあの娘とお医者さんごっこ≠ェしたいものだと
ずいぶん寝る前に神様に願ったものだ 
考えてみればあの頃からオレにはずっと
神様はいなかったなと、あなたは自嘲する
モチロン少年の頃のあなたにも、絶対敵は存在していて
下駄箱の中の靴を隠されたり、筆記用具を盗まれたりしたものだけど
そんなことより今重要なのは
やはり少年の頃から自分と神様の間には、何の縁もなかったということなのだ
これはケッコウ考えてみるべき発見ではないか?
絶対敵には、注意したほうがいい
32ホワイトアルバムさん:2008/03/01(土) 15:02:04 ID:???0
絶対敵とは、あなたの心の中の螺旋階段を上下する、からっ風なのかもしれない
あなたはいつものように、金属バットを片手に珈琲店に入る
店内はかぐわしいコーヒーサイフォンの香りで、いっぱいだ
右手で金属バットのグリップを握りしめながら
左手でゆっくりとコーヒーカップを口元へ運ぶ
このひとときこそがあなたにとって、一日のうちの唯一の憩いの場だ
そのワケは金属バットを手にするようになってから
珈琲店でも滅多に絶対敵の標的にさらされなくなったからだし
見かけた時は、常に叩き殺して来たからだし
一抹の寂しさも感じるが、それは当然の帰結といえるだろう
しかし今日は最近のそんないつもの調子と少しちがう、変だ
あなたの対角線上の席に、あなたに良く似た男が
こちらを睨みつけながら、やはり金属バットを片手に、コーヒーを飲んでいる
あなたは立ち上がり、彼に近ずき声をかける
「ボクによく似ている君はいったい誰なんだ?」
「孤独男だよ」「孤独男っていうのかい?」
「そうだよ、あなたに良く似ているオイラは絶対敵なんかじゃない、孤独男だよ」
教理問答のようなそんな会話のあとで
あなたはこいつと、はたして友達になれるかなと考えてみる
無理ならば、金属バット同士で、対決することになるなと考えながら
いよいよ孤独男の登場で絶対敵のお話も
新展開を迎えることになるのか? 
絶対敵には、注意したほうがいい
33ホワイトアルバムさん:2008/03/02(日) 14:51:43 ID:m0vzTGHk0
絶対敵とは、永遠にふりつづける、精神の流れ星なのかもしれない
孤独男はニコリともしないでこう言う
「あなたが私と友達になりたいと希望するなら、なってあげないこともないですよ」
あなたは一瞬たじろぐが、言い返す 「友達の定義とは、何なんだ?」
「さてね、信頼し合って共存共栄、助け助け合う仲間達とでも申しますか」
「君は本気でそんな関係が成り立つとでも、信用してるのかい?」
「はは、世間ではそういう常識で友情というものが、成り立っているのではありませんか?
 しかし、私の名前は 孤独男
 そんな友情の精神など、二千年も前の昔に、捨てて来たままですよ」
「ではなぜ私となら友達になってもいいだなどと
 軽々しく出まかせをクチにするのだね」
「人間、誰でも慰みが必要だとは思いませんか?」
「ふっ 私が君の慰みなのか、君が私の慰みなのか
 そこのところを実にハッキリとさせてもらいたいものだね」
「はは、そう来ましたか ところであなたが手にしている実存主義的金属バットは
 Aメーカーのものですか、Bメーカーのものですか、そこをまずうかがいたい」
「そんなことを聞いて、どうするのだね」
「いや、金属バットといっても、メーカーごとに微妙な硬度の違いがあるモノでしてね」
「なるほど、私の虚無的金属バットが、マイナーメーカー台湾製の
 Zという会社のものだったとしたら、友達になってくれるとでもいうのかね?」
「はは、そんな今すぐここで、確約は出来ませんよ」
絶対敵には、注意したほうがいい
34ホワイトアルバムさん:2008/03/02(日) 15:00:59 ID:???0
>>1-33

つまんね
35ホワイトアルバムさん:2008/03/02(日) 15:55:54 ID:???0
終了記念カキコ
36ホワイトアルバムさん:2008/03/02(日) 19:00:52 ID:???0
あsd
37ホワイトアルバムさん:2008/03/03(月) 05:26:31 ID:???0
絶対敵は、森羅万象の回廊をくぐりぬけて、やがてあなたの前に立ちふさがるだろう
あなたは孤独男に幻惑されながらも、たじろがずに聞く
「君の口調は随分と立て板に水のように滑らかだけど
 ひょっとしてセールスマンの経験でも、あるのかな?」
「あるも何も私はこう見えて、何でも売って来たといってもいいでしょうよ
 貞操、逡巡、老獪、欺瞞、懐柔、艶福、憎悪、嫉妬、矜持、そして闘争心なんかを
 よく売買して来たもんです 孤独男の専売特許としてはよく孤高なんてものを
 求められるんですが、それは稀少品でしてね そんな方達には、よく老醜や寂寥
 断絶や不義理なんてものを売りつけたもんですよ、はは
 そんなかでも誇り高い芸術家のふりが出来るジュースの素≠ネんてのはよく売れたもんです
 ベストセラーのひとつといってもいいでしょう」
「うむ、そこには共時性とか同性愛の入り込む余地は
 まったくといって、ないといいきってもいいのかな?」
「ずいぶん回りくどい言い方がお好きな方だな
 エントロピーの有言実行性をちゃんとプログラミングした上で 
 発言してくださいよ あなたの魂の乖離率が、
 私の脳漿(のうしょう)を舐めきってるとしかいいようがない」
「気を悪くさせたとしたら申し訳ない
 なにぶん君の第一印象が、私のロボトミーかと、錯覚したほどでね」
「この金属バットのせいですか? それはたまらないな
 カメレオン症候群的な絶対敵に悩まされているあなたと、
 うまく同化出来ればいいとは思いますけどね
 ま、お近ずきに暗中模索のアメリカンコーヒーでも、奢りましょうか」
「かたじけない」
絶対敵には、注意したほうがいい 
38ホワイトアルバムさん:2008/03/04(火) 03:15:57 ID:???0
絶対敵は、レトロなサイフォン珈琲店に小さな音で流れる、微量なクラシック音楽なのかもしれない
あなたは孤独男の隣の席に座り、暗中模索のアメリカンコーヒーをひとくちすする 
「いただきます」
対面に座らなかったのは、対面という位置関係が
そのセオリーどおりに無意味な敵意や殺意を喚起させるからだし
その敵意や殺意が、よもや現実に顕現転化した時に
そもそもその原因の初期攻撃衝動が対面座席のせいだったとは
まったくもって最高高等裁判所検事総長でさえも、理解出来かねる事柄だからだ
「で、孤独男さんの最近の景気はどうなんですか? ごほっ」
あなたは珈琲を奢ってもらった手前、おもねるようにそう聞いてみる
「まあね、誇り高い芸術家のふりが出来るジュースの素∴ネ来
 これといったベストセラーは何も出していないけれどもね
 今度万札を欲しがる女子高生の技巧能力は超絶か?≠ネんて本でも書いて
 ベストセラー作家の仲間入りにでも、挑戦しようと思ってね」
「それではいよいよ印税生活にお入りになると?」
「バカ言っちゃいけないよ君、孤独男の本職はあくまでも
 この金属バットでおのれの孤独を死守すること
 これに尽きるのだよ 間違っても今むこうの席に運ばれた
 厚焼きバタートーストの上のほかほかのバターのように
 とろけちゃ駄目さ、何もかも そうなんだよ君」
「おっしゃるとおりです、耳に痛い限りで」
絶対敵には、注意したほうがいい
39ホワイトアルバムさん:2008/03/04(火) 17:54:50 ID:???0
>34
おれはいいと思うけど
40ホワイトアルバムさん:2008/03/04(火) 18:10:16 ID:???O
だな。確かにつまらん
41ホワイトアルバムさん:2008/03/05(水) 03:56:50 ID:???0
絶対敵とは、孤島から孤島へとさすらう、渡り鳥なのかもしれない
あなたによく似た孤独男は、孤独の本質について語り始める
「人間の存在のそもそもが孤独なのであって
 その根源でもある核の孤独≠死守するためにだね
 私が今日までどれほどの心血をそそいできたのか
 あなたに理解できますか?」
「それはまあ、相当ハイパーなものだと想像つきますが」
「ハイパーなんて、笑わせるんじゃないよ君
 孤独にも色々とあってだね
 上質なる孤独、美味なる孤独、芳醇なる孤独、貴賓ある孤独
 贅沢なる孤独、崇高なる孤独、熟成した孤独、典雅なる孤独
 聖霊なる孤独、純金たる孤独  
 このぐらいの域に達して初めて
 孤独の素晴らしさ≠語れるものなのですよ
 そこいらへんのオシメをつけた兄ちゃん嬢ちゃん達が
 私ひとりでさみしいわ、孤独は嫌よ辛いのよなんていってるうちは
 まだまだなのです 孤独とは千年寝かせたウィスキーのように
 倉庫の奥にじっくりと寝かせて、大切に育てるものなのです」
「そこまでいくともう、プロの孤独屋さんという感じですね」
「当たり前ですよ、孤独にも厳しい国家検定試験をもうけて
 ランク別に国家認定の等級制度をつけてほしいぐらいだ
 孤独大臣なる大臣ポストを、新たに制定するのもいいかもしれない」
「モチロン初代孤独大臣には、孤独男さんがなられるおつもりで」
「ふふっ 政界進出はまだ時期尚早だと思うがね」
絶対敵には、注意したほうがいい
42ホワイトアルバムさん:2008/03/06(木) 03:36:37 ID:???0
絶対敵とは、泥まみれの三叉路にたたずんでいる、見捨てられた仏石なのかもしれない
あなたはどんどん孤独男の饒舌に飲みこまれてゆく
「孤独の中に潜んでいる大いなる自由というものをだね
 君、たとえば幸福なるヒマワリの種だと仮定してみましょうか
 それをこうクチにして、カチリと噛んでみる
 するとですよ、こう法悦のエクトプラズムみたいなものが
 背中のほうからモクモクーッと、こう盛り上がってきてですね
 やがてそれが何になると思います?」
「孤独のホイップクリームですか?」
「ご名答、君は見かけによらず、なかなかのキレ者だ
 それをこう背中の方からひと匙すくって
 珈琲カップの中に入れてみる」
「ウィンナーコーヒーになるというワケですね」
「よろしいよろしい、ウィンナーコーヒーはまたの名を
 ウィナーコーヒーともいってね、勝利者の珈琲とでも訳すのかな
 そこでは孤独の中に潜む大いなる自由というものこそが
 やがて明日の大いなる勝利者を創造するという 
 暗黙の掟がちゃんと、神の摂理のように存在しているのだよ、コホン」
「なかなか一流のセオリーにのっとった、教訓めいたお話ですね」
「そうだよ、北風さんがオーバーコートを脱がせずに
 あたたか太陽さんに負けた、あのお話があるね
 その線に相通ずるものが深い孤独≠ノはあると思うんだが
 なかなか理解してくれる人はいないね」
「そこで、その金属バットのご登場と?」
「なるべく使用は控えているんだがね」
絶対敵には、注意したほうがいい
43特定疾患カタログ:2008/03/06(木) 13:11:44 ID:RrX8xaKi0
スレ主にぜひとも質問したいことがある
寿命3年のネズミだと考えて、赤ん坊をペットにすることをどう思う?
44ホワイトアルバムさん:2008/03/06(木) 13:49:31 ID:o7zNk0YWO
ムカつく
45ホワイトアルバムさん:2008/03/07(金) 05:00:58 ID:???0
絶対敵とは、理不尽な四次元渋滞にまきれこまれた、不条理の四輪駆動車なのかもしれない
あなたは実存主義的なサイフォン珈琲店のメニューをちらりと見て
突然シナモントーストが食べたくなる
シナモンパウダーの香りの思い出が、どうしようもない郷愁を、呼びおこすのだ
「孤独男さん、追加オーダーをしてもよろしいでしょうか?」
「どうぞどうぞ、私に遠慮することなどございません」
「すいません!」
あなたが大きな声でウェイトレスを呼ぶと
そこに厭世虚無主義的なウェイトレスが千鳥足でやって来て
あなたの前に説明不要な仁王立ちで身がまえる
「シナモントーストを追加で一人前お願いします」
「それはツアラトゥストラ風味で、よろしいのしょうか?」
いきなりのストレートパンチだ
「それともパスカル風味やベーコン風味、他にはスウェデンボルグ風味
 なんてのもありますけど」
「おお、当然ツアラトゥストラはニーチェ味なのだろうし
 ベーコン風味というのは、哲学者ベーコン博士の思想にのっとったものなのであろう
 後発のたぶん霊界にも関与しているであろう
 スウェデンボルグ風味というのも、なかなか捨てがたいな」
 悩むあなたに、孤独男がやんわりと忠告する
「いつの間にかに忘却の彼方に消滅してしまったマルクスレーニン主義なんてのも
 今や懐メロみたいなものですからな
 私としてはスウェデンボルグ風味のシナモントーストをお薦めするよ」
「では、虚無主義的ウェイトレス様
 私めに、スウェデンボルグ風味のシナモントーストを、よろしく頼む」
「かしこまりました、しばしお待くださいませ メルシー」
絶対敵には、注意したほうがいい
46ホワイトアルバムさん:2008/03/08(土) 02:55:43 ID:???0
絶対敵とは、いよかんとぽんかんとデコポンを前にして、オレンジが欲しくなる懊悩かもしれない
まもなくしてテーブルに届けられたスウェデンポルグ風シナモントーストの上には
孤独のホイップクリームがてんこ盛りに盛られ
その上には豊潤なハチミツが、しとどにたらされていた
「ちょっと拝借」
といって、孤独男は人差し指でそのホイップクリームをひとすくいすると
「うむ、これはなかなかに上出来なエクトプラズム的ホイップクリームではあるが
 なぜあのウェイトレスはあなたに、ユング風味やフロイト風味のシナモントーストを
 薦めなかったのであろうか?」と、詰問する
「やれやれ、孤独男さんもそこに気づかれましたか
 しかしあの絶望虚無主義的ウェイトレスにそこまで高望みするのも
 あれかと思いますけど、間違ってショウペンハウエル風味や
 武者小路実篤風味なんてのを薦められても、こちらが困りますしね」
「いやいや、そこがまだまだ君の浅はかなところでもあるのだよ
 チェ・ゲバラ風味や毛沢東風味が来たところで
 何も恐れることはないぞ、ましてや三島由紀夫風味の
 シナモントーストなど、大いに味わってみたいところだけどな、私は」
「その着眼点は意外ですね 
 私はまたトロッキー風味や、カストロ風味のシナモントーストでも来たら
 それこそ東西冷戦構造の世界情勢が、ふたたびこの世界に再構築されて
 上質でもないレアクリームチーズケーキなんかを薦められるんじゃないのかと
 それだけが心配で」
「うむ、その可能性は充分にありうるな」
絶対敵には、注意したほうがいい
47ホワイトアルバムさん:2008/03/09(日) 04:45:54 ID:???0
絶対敵とは、無意識下の海底の水底から、時折海面に顔を出す、魚の顔面なのかもしれない
孤独男はダブルの背広の内ポケットからおもむろにハンケチを取りだすと
人差し指にこびりついたホイップクリームをぬぐい取る
「ところで君が絶対敵という絶対的な敵に、常に悩まされつづけているというのはだね
 これはもう君の因果応報 転生輪廻、天からの宿命みたいなものだと
 そう理解してもいいのかな?」
「おおマザーファッカー孤独男さん、それでは私にはもう
 なんの希望も救いもないよと言われてるのと、同じことじゃないのでしょうか?」
「いや、それはちょっと違うと思いますよ
 一寸の虫にも五分の魂、起きて半畳寝て一畳、
 十五十六十七と、私の人生暗かったという歌にもあるとおり
 曙光の望みはまだそうカンタンに捨てないほうが
 よろしいのじゃないのでしょうか?」
「しかし今の孤独男さんの言い方では
 これから私が何度この世に生まれ変わろうとも
 その度に、永遠のソウルメイトに遭遇するように
 必ず絶対敵とは遭遇し続けるということですよね」
「うむ、君にはやはり前世療法がイチバン必要なのかもしれないが
 エドガーケーシー先生も今のところは、御多忙だろうしなァ
 そうだ、一時的にでも孤独男健康ヘルス保険組合≠ノ加入してみるのは
 いかがかね? ヘルコースとヘヴンコースが、あるのだけど」
「それは地獄コースと、天国コースという意味ですか?」
「モチロン」
絶対敵には、注意したほうがいい
48ホワイトアルバムさん:2008/03/10(月) 04:13:41 ID:???0
絶対敵とは、さよならだけが人生なのに、そのさよならすらも出来ない、ひ弱な心なのかもしれない
あなたはサイフォンの香りただよう珈琲店の片隅で
孤独男に薦められた、前世療法の地獄コースと天国コース
そのどちらをはたして選択するべきか、悶々と悩みはじめる
「時間はいくらでもあるんだから、ゆっくり考えてくださいよ」
孤独男は、傍観者のポーズで、もはや余裕の構えだ
その時、背後の席から突拍子もない声がー
「ちょっとあんたたち、何さっきからバカみたいなこと語り合ってんのよ!
 イヤでも耳に入って来て、こっちはオチオチ珈琲も飲んでられないわ!
 地獄でも天国でもどっちでもいいじゃないのさ!
 遅かれ早かれ、人間はみんなそこにいっちまうんだよ!」
驚いてあなたが振り向くと、そこには水商売お姐系、一見三十前後風妙齢美女が
両眉をつりあげてこちらを睨んでる
恐れをなしたのか、すかさずフォローに入る孤独男
「まあまあまあまあお嬢さん、気分を害されたとしたら御免なさい
 でもこちらの方にとっては本当にこれ、深刻な問題でしてね
 その、ぜ、絶対敵という魔物を払拭するために、もう必死なんですわ」
「ちょっと私も同席させていただいて、いいかしら?」 
女はそういうや、グルッと店内を迂回して、あなたと孤独男の対面の席に腰かける
「あ、対面の席はい、いけない、思いもよらない敵意や殺意が、か、喚起されて・・・」
あなたがあわててそう言うと
「何バカなこといってんのよ!
 そのワケ分かんない、絶対敵とかなんたらいうの、
 私にももっと詳しく話して聞かせてみなさいよ!」
そこでふたたび孤独男のフォロー 「と、ところで、お嬢さんのお名前は?」
「ユミコよ!」
絶対敵には、注意したほうがいい
49ホワイトアルバムさん:2008/03/11(火) 04:07:43 ID:???0
絶対敵とは、クーリングオフできたはずのセーターを、クリーニングに出してしまった、後悔なのかもしれない
あなたと孤独男は突然のユミコの出現に
少しばかりの春の訪れを感じるが
はたして本当にそれが春なのか
暗黒の春なのか、情念の春なのか
まったくもって見当もつかない、ややこしい一方通行の迷い道を
さらにずぶずぶとねじくれながら、進んでいるような気分になる
「ところであんたたち、高尚なエラそうなことばっかり語り合ってたけどさ!
 オンナのほうはどうなのよ、オンナのほうは!
 オンナは知ってんのアンタタチ!
 オンナも知らないで、エラっそうなことばっかり、語り合ってんじゃないわよ!」
「はあ」 
ユミコのあまりの剣幕に、あなたはそう溜息つくしかないが
孤独男は勇猛果敢に、こう訊いてみる
「ではユミコさん、女とは一体なんなのですか?」
「ズバリ言うわよ!
 三十させごろ、四十しごろ、五十ゴザぬけ、六十無限快感
 オンナは死ぬまで、灰になるまでオンナ!
 オンナってことなのよ!」
「あ、あの、五十ゴザぬけって、どういう意味なんですか?」
「バカじゃないの、アンタ!
 ゴザがぬけて、底なしって意味に決まってんでしょ!」
「はあ」
やはりあなたと孤独男には、暗黒の春だったのか
絶対敵には、注意したほうがいい
50ホワイトアルバムさん:2008/03/12(水) 04:02:24 ID:???0
絶対敵とは、街中のクリーニング屋の看板が全部、クンニリングスに見えてしまう悲しみなのかもしれない
突然現れた謎の三十女、ユミコの饒舌はつづく
「ホントに男ったらバカばっかり!
 オンナのここに突っ込むことしか考えてないんだからね!
 いくらクチでは宇宙だの輪廻だの前世だの、高尚なこと喋ってても
 心ん中ではみんな、それしか考えてないんだから!
 アンタたちだって、そーなんでしょ!
 白状しなさい!」
「はあ」
溜息ばかりのあなたの隣で、孤独男がきり返す
「しかしユミコさん
 男がみんなそうなのは、神様が男をそうお作りになったからで
 考えてみれば、男も可哀想なもんなんですよ」
「何、へ理屈いってんのよ!
 アナタだって一日の半分以上はやることしか考えてないんでしょ!
 いやいや私は真面目な男なんですよなんて、気取った顔しちゃってさ!
 どんなにアナタが政治や宗教や宇宙を語ったって
 私には欲望満開のヤリチン男にしか、見えないわ!」
「それはひどいユミコさん
 こうなったら私は尊厳侮辱罪で告訴も辞さない覚悟だ
 それは本能というものですよ
 男が本能をもちつづけているからこそ、人類は続いているのじゃないですか?」
「黙れ、変態男!  
 そんな男たちも全員オンナの穴から生まれて来てんのよ!
 オンナがいなけりゃ、男はこの世に存在してないんだからね!」
「はあ」
「しかし、その逆もいえるワケで」
「うるせー、この欲求不満のヤリチン男!」
絶対敵には、注意したほうがいい
51ホワイトアルバムさん:2008/03/13(木) 04:52:45 ID:???0
絶対敵とは、一線を越えるべき男女が、今まさに一線を越えようとする時の、しとどな悶絶なのかもしれない
あなたは、ユミコと孤独男の壮絶なバトルを脇で見ていて
比較的、冷静沈着な精神で、二人のやり取りを分析してみようと思う
そして、なるべくしっかりしとした大人の口調で
ユミコにこう語りかかけてみるのだ
「あのユミコさん、落ち着いてください
 私おふたりのお話をうかがって、こう思うんです
 神は女性を三十させごろ、四十しごろ、五十ござぬけ、以下無限大、灰になるまでと
 お造りになられた
 一方、神は男というものを、常にいつでもサカリのついた、オス犬状態になられるように
 お造りになられた
 ここに大きな神の意志というか、壮大なビジョンが
 見え隠れするような気がするのですが
 いかがでしょうか?」
突然、静かな口調で訥々とそう述べはじめたあなたの口調に
一瞬ユミコはそれまでの躁状態から脱け出す
ここぞとばかりに孤独男も、援護射撃を開始する
「や、君はなかなか鋭いところに目をつけてきたね
 そう、神の偉大なる意志
 性欲が大いにあってこその転生輪廻であり、子孫繁栄、因果応報
 生々流転、万物永劫、人類が続いてゆく源(みなもと)なのだからね
 神聖なる創造主か与えてくだったこの大性欲というものを
 我々がバカにしたり、蔑視したりするのは
 神への謀反だと思うな
 我々は、男女ともどもに与えられたこの大性欲というものを
 もっと大切に扱うべきだと思う、尊重しなくっちゃね」 
そこでユミコが、ポツリとひとりごと
「なんで人類は続いていかなきゃいけないのよ?」
絶対敵には、注意したほうがいい
52ホワイトアルバムさん:2008/03/14(金) 04:54:10 ID:???0
絶対敵とは、心の繊細なセンサーに、どうしようもない悲しみが、反応することなのかもしれない
躁状態から脱したユミコの発言のひとことが
あなたと孤独男の胸中に、小さな波紋を投げかける
神はなぜ、人間男女に大性欲を与えてまで
この人類というやつを、長々と続けさせるのか?
いつか人類に終わりがあるとするなら、それはいつで、その後はどうなるのか?
孤独男が答弁する
「昔、晩年のトルストイの著作の中に、おっとトルストイとは戦争と平和≠ナ有名な
 ロシアの文豪なのだが、こんなのがありましたな
 人類にもしも最終目標というものがあって、人類がその最終目標をクリアした時
 人類が自然消滅するというのならば、極論すれば人類の最終目標それ自体こそが
 人類消滅というものに直結することとなり、さらに極論すれば
 人類の最終目標とは、その過剰に与えられた男女の性欲というものを各人おのおのが抑制して
 現時点から人類全員が性行為そのものをストップすれば
 それこそ人類は消滅することとなり、そこで人類の最終目標は達成したことに
 なるのではないのかというもの
 晩年のトルストイは厳格な宗教者へと変貌して、猛烈な禁欲思想に走り
 禁欲小説の傑作クロイツェルソナタ≠ネんてのも
 発表してますな、コホン」
「なかなか学がありますね、孤独男さん
 しかしどんなに偉大な聖職者も、卑劣な極悪人も
 それぞれの両親の性行為から誕生しているワケでして
 その偉大なる宗教者で文豪でもあるトルストイという人も
 両親の肉欲行為から誕生したなんてのは
 大いなるパラドックスで、笑える話ですね」
「うむ、トルストイ自身も6人ぐらい、子供をつくってるしね」
「何そのトルストイっての、ずいぶんのヤリチンじゃないのさ」
絶対敵には、注意したほうがいい
53ホワイトアルバムさん:2008/03/15(土) 04:36:27 ID:???0
絶対敵とは、年とともに一日一日と微笑の回数が減っていく、自分の心を写す鏡なのかもしれない
「でもイエスキリストって人には、父親が存在しないんでしょ?
 キリストさんだけは、両親の汚れたセックスから生まれて来たんじゃないって
 昔誰かに聞かされたことがあるわ
 母親マリアさんの想像妊娠が、一人歩きして、この世に生まれてきたのだとか、かんとかね」
冷静さを取り戻したそのユミコの発言に、孤独男が答える
「ま、セックスそのものを汚れた行為と決めつけるのは、
 そもそも語弊があると思いますけど
 キリストさんに父親がいないというのは事実らしいというか
 おかしな話ですね」
そこにあなたが突っ込む
「しかしなんで私達はこんな会話を真剣にしているのでしょうか?」
ユミコがシガレットをくわえて、カチリとそれに火をつける
プハーッと、紫煙をあなたの顔面に吹きつける
「おっとこれはひどい、ゴホンゴホン、何をなさるんですか、ユミコさん」
「バカいってんじゃないわよ
 やっと私もクールダウンしてきたっていうのに
 そもそも神様が人間男女になんでこんなに強力な性欲なんてものを植えつけて
 人類を延々と続けさせているのか?っていう
 謎と疑問について、今語り合っているんでしょうが!」
「す、すみません」
そこでみたびの孤独男のフォロー
「ところでユミコさんの御職業はなんなのですか?」
「AV女優よ」
「は?」
「今は主に、裏の方専門ってかんじよね、プハーッ」
「そ、それでは性行為のプロ中のプロというワケですね
 いやいやこれはこれは、もっともっと深く遠大に
 人類と神とセックスについて、語り合おうじゃあーりませんか、ワハハ」
絶対敵には、注意したほうがいい
54ホワイトアルバムさん:2008/03/16(日) 04:23:36 ID:???0
絶対敵とは、北風吹きぬける日本海の断崖絶壁にたたずむ、孤高の狼の化身なのかもしれない
「ところであんたたち、どうしてそろいもそろって
 金属バットなんかもちながら、コーヒー飲んでるのよ」
孤独男が、答弁に立つ
「いやユミコさん、これには話せば長い事情があるワケでして、
 私の名前は孤独男、つまりそのセルフアイディンティティでもある
 おのれの崇高なる孤独を、常に外敵から死守するために
 この金属バットを携行している次第であります」
「こちらの方は?」
「こちらの方もこれまた奇特な方でして、
 常に自分の前に現れつづける幻の宿敵、絶対敵を叩きのめすために
 24時間肌身離さず金属バットを携行しているようなのであります
 そうだったよな、君?」
「ええ」
「その絶対敵というのを、今まで何人くらいこのバットで叩きのめしてきたの?」
「な、何人と聞かれても・・・」
 日常生活であまり女性と接することのないあなたは
 思わずそこで赤面してしまう
「まああなた、おとなしそうな雰囲気なのに
 なかなかバイオレンスなお方なのね、ウフッ」
「そうなのですよユミコさん、話は前にさかのぼりますが
 この方と絶対敵との戦い、それは誠に熾烈を極めるものでしてね
 その原因を究明するためには
 ぜひ前世療法を試してみるしかないなと話し合っていたところに
 あなたが現れたのです」
「さっき天国コースと地獄コースとか言っていた、あのことね」
「そうです」
絶対敵には、注意したほうがいい
55ホワイトアルバムさん:2008/03/17(月) 03:54:53 ID:???0
絶対敵とは、普通言われる魔が射した≠ニいう言葉の、その魔≠サのものなのかもしれない
「こちらの方と絶対敵との因縁を、この方の前世の前世までさかのぼって
 調べようというのが前世療法の根幹なのだけども
 その前に、人類と神とセックスについて
 もう少し深く語り合ってみましょうか」
 孤独男は今や、朝まで生テレビの名司会者のようだ
「望むところだわ、前世療法の天国コースと地獄コースというのにも
 凄く興味が引かれるんだけど
 それはもう少しあとでもいいわね、プハーッ」
「当事者の君はどうだい?」
「ええ、別にかまいませんけど」
 と、その時、突然あなたは不可解な頭痛に襲われる
 そしてあなたの脳内スクリーンには、ひとつの画像がおぼろに浮かぶのだ
 そこはまさしく森閑とした森の中にたたずむ、あの白髭先生の医院の中で
 そこではあなたと白髭先生が、相変わらず真剣に対峙している
「時代時代の絶対敵と、時空間を超越した絶対敵とが、存在するのですね?」
「まさしくそのとおりなのじゃ、詳しく分析してみよう」
 そう、ブツ切り状態で途切れたままのあのシーンが、そこでは続行していたのだ
 なんてことだ、とあなたは思う
 この珈琲館で孤独男とユミコと、三者会談を行っているのが本当の自分なのか
 それとも白髭先生と、姫子の指輪の伝説≠ノついて語り合っていたのが本当の自分なのか
 どちらの自分がホンモノで、どちらがドッペルゲンガーなのか
 それとも多次元の中では、無数の自分が存在するとでもいうのか?
 暗澹とした思いで、あなたは暗中模索のアメリカンコーヒーをひとクチすする
「うひっ」
「おや、どうしたんだい絶対敵君、気分でも悪くなったのかい?」
「顔色が急に青くなったわよ」
「いや、な、何でもないです、平気です
 じ、人類と神様と、セックスについて、か、語り合いましょう」
絶対敵には、注意したほうがいい
56ホワイトアルバムさん:2008/03/18(火) 04:50:51 ID:???0
絶対敵とは、どうしようもない人生のむなしさに気ずいた時、ふと心に流れるエレジーなのかもしれない
「では、なぜ人類は続いていかなければならないかという疑問を
 とことん突きとめてみましょうか」
「そうよね、男女に与えられた強力な性欲というものも
 結局は次の世代を残したいという、おさえがたい動物本能から
 来てると思うもの」
 そこであなたも意見をはさむ
「人間はたんにDNAの乗り物にすぎないのであって
 そのDNAの核となるものが永遠に生きのびるために
 つまり次の世代のDNAに何かしらのバトンを引き渡すために
 人間はDNAにコントロールされて、セックスしているだけだという
 意見もあるのですけど、これはどう思いますか?」
「それもひとつの真実だと思うけど
 小さなミクロ的な見方でもあると思う
 もっと大きなマクロ的な視野に立って
 まず神はこの宇宙という舞台装置をお創りになって
 その中の銀河系のまたその中のちっぽけな恒星という
 この地球という細かな舞台装置までお創りになって
 そこに我々人類を配置した、プロデュースしたといってもいいだろう
 その意図はなんなんだ?
 そのプログラムにのっとって、人間は性交し繁殖し
 今日まで続いているワケなのだからね」
「そこに転生輪廻の約束事なんかがからみあってるっていうんだから
 本当にもう、ややこしいわよね プハー」
絶対敵には、注意したほうがいい
57ホワイトアルバムさん:2008/03/19(水) 04:38:42 ID:???0
絶対敵とは、開拓者の気分で道なき道を歩いていたら、そのまま道を踏み外してしまった、求道者なのかもしれない
「輪廻、運命、因果応報、子は親を選んで生まれてくるとも、いいますな
 宿命 子供がその両親と家を、本当に選んで生まれてくるというのが事実だとしたらです
 その両親である男女がまず出会い、好き合って、セックスに至るまでも
 すべてがはじめから何者かにコントロールされて、決まっていたこととなりますよね」
「いわゆるそれを、赤い糸の縁とかいうんじゃないの?」
「そうするとですね
 すべての人間がこの現実世界という、神がセッティングしてくれた舞台装置の上で
 ただ単に将棋の駒のように、上から動かされているということにもなりますね
 自分の意志決定や、偶発的に見える出会いや別れ
 事故なんてのも含めて、すべては神のスケジュールどおりに
 運んでいるとも考えられます
 かたや、先ほど絶対敵君がおっしゃられたように
 人間は内側からDNAの思うままにコントロールされ
 動かされている、DNAの乗り物、自家用車にすぎないという意見もある
 男女の激しい大性欲、これらもすべて彼らに運用管理されているといえるでしょう
 上からの大いなる神からの外的要因と
 内面からの微小なDNA指示による内的要因とが
 複雑に相からみ合って、人間の愛欲獣欲変態恋愛模様を
 形作っているといえますが、どうでしょう?」
そこで今や孤独男から絶対敵君と呼ばれているあなたが、意見する
「なるほど、人間は外からも中からもガチガチにコントロールされているのですね
 しかしイギリスの作家でモームという先生が、こうもおっしゃってます
 神様なんていない、運命なんてない、すべては偶然のバラバラ 
 生も無意味で、死も無意味、我々の存在に意味なんてない
 すべては偶然のイタズラだとも」
「ま、そういう見方もあるね」
絶対敵には、注意したほうがいい
58ホワイトアルバムさん:2008/03/20(木) 03:44:56 ID:???0
絶対敵とは、こだわることにこだわり過ぎて、ある日俺は何にこだわっていたんだろうと気ずく、ジレンマなのかもしれない
「まあ、ニーチェやサルトルのように、より透徹したニヒリズムで
 神はもう死んだとか、この世界は無秩序運動の連続だなんて意見も
 そのモーム先生の、この世界はバラバラで、ただの混沌にすぎないという思想と
 似たようなものだと思いますけど
 しかし地球の回転運動とか重力磁力運動等の完璧な精密さを考えると
 すべては無意味、ただの偶然だというのも
 何か、違うような気がしますよね
 誰かがコントロールしているからこそ、一年に一回
 確実に地球は太陽のまわりを回っているワケでして
 それが偶然のイタズラだとは、とても思えませんよ」
「そうね、地球の回転が逆に回ったり、急に回転が速くなったり遅くなったり
 自由気ままに止まっちゃったりしないのは
 そこに初期設定のプログラムが、ちゃんとあるからだと私も思うわ
 重力なんてものがこれまたバラバラだったりしたら
 海の海水なんかも、全部宇宙に飛びちっちゃうだろうしね
 困ったもんだわよね プハー」
「ではモーム先生のご意見はひとまず置いとくとしまして
 孤独男さんが標榜されてる前世療法というネーミングからして
 孤独男さんは、人間の生まれ変わり、転生輪廻、前世そのまたの前世なんてのも
 確実に信じておられるのですか?」
「モチロン」
「ちょっと待って、人類がなぜ続くのよって問題は
 結局、この人間世界の転生輪廻ってやつは
 いったい、いつまでグルグル続くのよってことと、同じじゃないの?」
「ユミコさん、いいとこ突きましたね」
絶対敵には、注意したほうがいい
59ホワイトアルバムさん:2008/03/21(金) 04:16:23 ID:???0
絶対敵とは、1999年に来るはずだったノストラダムスの大予言が、2009年に来ることなのかもしれない
「人類がいつまで続くのかという問題は
 結局、今ユミコさんがおっしゃったように
 いつまで人類の転生輪廻が続くのかという問題と
 イコールになるワケでして
 その根を深くたぐってゆきますと
 ここでその転生輪廻というシステムを、ちょっと仔細に分析してみる必要があると思いますね コホン」
「根本は、原因があって結果があるというのと同じことなんでしょ
 昔、丹波哲郎さんの本で読んだことがあるわ プハー」
「そう、原因があって結果がある
 私たちが今ここにこうして存在しているのも
 何かの原因があって、結果としてここに存在しているワケです
 どんな家に生まれるか、どんな両親の元に生まれるか、
 どんな兄弟の間に生まれるか、どのような美醜をもって生まれるか
 どんな知能をもって生まれるか、どんな才能をもって生まれるか
 どんな性癖をもって生まれるか、どんな健康状態で生まれるか
 これらすべてに原因があって、結果があるということです」
「そのことを因果応報、因果律ともいうわね
 個人個人のすべての前世の行いが、どこかの巨大なコンピューターに記録されていて
 その膨大な因果律の計算の元に
 次に生まれる国、場所、男か女かなんてのが、
 はじき出されていると思うわ
 そう考えるとなかなかロマンチックでもあり、恐いともいえるわね」
 そこであなたも答弁に立つ
「転生輪廻というものには因果律という側面ともうひとつ
 修行という側面があると、昔なにかの本で読んだ記憶があります
 つまり、自分の魂を鍛えるために
 わざわざみずから困難な環境を希望志願して、そこに生まれてくる霊もあるということ
 なかなか凡俗な霊には、真似の出来ないことです」
 絶対敵には、注意したほうがいい
60ホワイトアルバムさん:2008/03/22(土) 05:33:25 ID:???0
絶対敵とは、たそがれはてた夜空に輝く、さみしげな一番星なのかもしれない
「そうだね、転生輪廻のもうひとつの側面には
 今、絶対敵君が言われたように、修行という側面も多いにあると思う
 霊的レベルがハイな人たち、たとえばABCD上位4クラスぐらいの
 高位な霊魂の人たちは、おのれの霊位をより強く高めようとするために
 進んで困難な環境を志願して、生まれてくるともいわれてるしね
 こんなに貧しい悲惨な家庭環境から、よくぞこれほどの大天才や
 成功者が出て来ものだと、みんなが驚く例がたまにあるけど
 そんなのは皆、高位な霊魂者の生まれ変わりと見ていいね
 反対にEFGHIJと霊的クラスがだんだん下位に属する人たちは
 因果律や因果応報にのっとって、惰性で輪廻のコンピューターに
 はじきだされた結果の場所に、生まれて来てると思う
 それよりもっと下の、KLMぐらいの下位のランクの霊になってくると
 逆に今度はお金持ちの家や、裕福な家庭に生まれてくる例が多いんだよね
 まあ、低級な霊魂の者ほど、楽な場所に生まれるということかな
 よく金持ち社長の2代目が、バカ殿様みたいな例はよくあることでしょ
 ここが輪廻の修行の面白いところ
 上位の霊になればなるほど、困難な家庭環境から生まれて来るってところがね」
「でも私にひとつ疑問、
 なんのために、その高位な霊の人のたちは
 上へいこう、上へいこうと修行してるワケ?
 学歴社会の受験生みたいなもんじゃないの
 今風にいえば、下位な霊の人たちのほうが
 楽できて、いいんじゃないの? 
 ニートしてて自宅警備員でもしてればさー プハー」
「そうですよね、なんで人間は霊魂になってまで
 輪廻の車輪の中で、競争しなくちゃいけないんだろう?」
 絶対敵には、注意したほうがいい
61ホワイトアルバムさん:2008/03/23(日) 05:37:50 ID:???0
絶対敵とは、平行四辺形の迷宮に足元をすくいとられた、一抹の錯覚なのかもしれない
「まあ霊魂に上位下位のランクがあって
 それを高級霊と下級霊と呼んでいるワケですが
 転生輪廻の大きな波のうねりの中では
 皆さん肉体という一時的な衣(ころも)の中に閉じ込められていて
 誰が高級霊か下級霊かなんて分からない仕組みになっている
 本当に神様はよく考えてプログラミングされたと思う
 そうでなければ修行にはなりませんからね
 そこでユミコさんが今おっしゃった
 なぜみんな上を目指していかなければいけないのかという問題ですが
 これは語るとすれば、もっと根が深いところに
 ゆきあたりますので
 その前にもう少し整理してみましょう」
「じゃあ霊魂にとって、この肉体という乗り物は
 牢獄みたいなものと考えていいのかしらね?
 輪廻輪廻の修行のくり返しの中で
 自分を高めていくわけなんでしょ
 そのたびに乗り換えていく車、乗り捨てていく車
 一度乗ったら死ぬまで降りられない
 肉体という名の牢獄の車 なんちゃって」
「そう考えると、地球は刑務所みたいなもんだともいえますよね
 いや、一度入ったら卒業するまでは出られない
 学校とでも、いい直したほうがいいのかな
 全員が生徒で、死という卒業の日までが勉強、試練の連続」
 毎度のごとく、孤独男、ユミコ、あなたの順番で
 語り合っているのであった
 絶対敵には、注意したほうがいい
62ホワイトアルバムさん:2008/03/24(月) 04:04:04 ID:???0
絶対敵とは、理不尽な隣人にいきなり泥棒扱いされて、青天霹靂、悶絶することなのかもしれない
「人間が肉体という乗り物に乗って
 幾世もこの地球上で生まれ変わりをくり返す霊魂だとしたならば
 他の動物はどうなのか、という問題が出て来ますよね
 この世に生きとし生ける、動植物がすべて
 哺乳類から昆虫、鳥、魚、微小な細菌に至るそのすべてまでが
 はたしてそれらはそれらで、輪廻をくり返しているのか
 それとも人間は延々と人間としてだけで
 生まれ変わる権利を、もっているのかという問題がね」
「昔読んだ仏教のなんたらとかいう本の中では
 悪業ばかりつんで死んだ人間は
 次にゴキブリとかゲジゲジになって
 生まれて来るって書いてあったわよ プハー」
「そう、東洋的宗教の教えの中では
 そういうものが多々あるのですが
 西洋的宗教の教典の中には
 人間は人間としてだけ、生まれ変わるという考えが
 多勢を占めているのです、不思議なことです」
「孤独男さんは、どちらを支持されているのです?」
「うん、私としてはインド的思想も踏まえて考えまするに
 最下等レベルの霊魂の持ち主は
 やはり他の生命体に生まれてくる可能性も
 あると思います」
「犬とか猫とかに生まれ変わるぐらいならまだいいけど 
 ワケのわからない細菌なんかに生まれてくるなんてのは
 ちょっと勘弁してだわよね」
「人間1人の腸の中だけでも、100から120種類ぐらいの細菌が
 100兆匹も棲息してるっていいますからね
 その数は人間の細胞の数、60兆個よりも多いっていうんですから」
 絶対敵には、注意したほうがいい
63ホワイトアルバムさん:2008/03/25(火) 05:49:49 ID:???0
絶対敵とは、のど元まで出かかった言い訳を、思わず飲み込んだ時の、ちょっとした動揺なのかもしれない
「いいですか
 下級霊も下の方になると、いよいよ他の生命体に生まれるしかないようになり
 もう二度と、人間として生まれて来ることのない霊魂も
 多々存在すると、私は信じます
 そのような人たちは、永遠にゲジゲジとゴキブリの生涯をくり返すのみというか
 それこそホンモノの地獄世界と呼ぶべきでしょう
 輪廻世界の下の下、最末端はそのように、細菌の世界にまで及んでいると思います」
「うひゃ そうするとさ
 私のお腹の中にも100兆匹の細菌が住んでるってことよね
 その細菌の全部が全部
 悲しい輪廻の果てに、私のお腹を選んで生まれて来たってこと?」
「そうです
 生まれては死んで、生まれては死んで
 ユミコさんのお腹の中も、私のお腹の中も
 それぞれが、ひとつの大きな小宇宙を抱えこんでるようなものなんです」
「でも孤独男さん
 ゲジゲジやゴキブリが地獄そのものだと、決めつけるのはどうかと思うな
 ゲジゲジにはゲジゲジの、ゴキブリにはゴキブリの
 名もない細菌には細菌の、彼らにもやっぱし、幸せみたいなものってあるんじゃないでしょうか?
 やはり人間と同じように恋をしたり、冒険をしたり
 彼らは彼らなりに、それぞれの喜怒哀楽が存在するように思いますけど」
「うん、絶対敵君のその着眼点は鋭いと思うよ 
 生命体それぞれ、姿形は様々に千変万化しようとも
 輪廻の長い旅において、常にその生涯は起伏にとんでると思う
 ゲジゲジやゴキブリ、ウジ虫にでさえやっぱし彼らなりの悲しみがあり
 喜びがあると思う」
 絶対敵には、注意したほうがいい
64ホワイトアルバムさん:2008/03/26(水) 05:22:15 ID:???0
絶対敵とは、平成ももう20年になるというのに、ひたすら昭和世界に生きている、永遠の老兵なのかもしれない
「輪廻も最上級のABCクラスともなれば
 それはもう天界の光の世界に通じているといってもいいですが
 最末端のXYZクラスともなると
 今述べたように他の下級生命体に生まれ変わって
 二度と人間に生まれ変われない霊魂もある
 ここまでは、分かりましたね?」
「人間のお腹の中が細菌の大宇宙だっていうなら
 ホンモノの宇宙の方も
 それに似たようなもんじゃないかしら?
 この地球がある銀河系には
 太陽みたいな恒星が200億個以上あるって
 何かで読んだ記憶があるわよ
 オマケにそんな銀河系がこの宇宙には
 数億個も存在してるっていうじゃないのさ プハー」 
「まったく同感です ユミコさん
 このホンモノの宇宙自体が
 誰かのお腹の中の幻にすぎないのかもしれませんしね」
「うん、ここまでをちょっと整理してみよう
 人間の男女及び
 この世に存在する生き物たちすべてにそなわっている
 強力な大性欲というものは
 結局この輪廻システムをスムーズに維持していくうえで
 大いに必要不可欠なものといえるだろう
 すべての動物の大目標は
 それこそ優秀な子孫を後世に残すことらしいからね」
 絶対敵には、注意したほうがいい
65ホワイトアルバムさん:2008/03/27(木) 04:25:58 ID:???0
絶対敵とは、縦横無尽な理不尽に、敢然と立ち向かう、勇気なのかもしれない
「ここで少し、キミの宿敵でもある絶対敵について
 輪廻をからめて、解説してみましょうか?」
「輪廻をからめての解説なんて、出来るのですか?」
「出来ますとも」
 孤独男は、得意満面にそう言いきった
「ちょうどいいじゃない、私もそれ、聞いてみたいわ」
 ユミコも興味深々と、身を乗り出す
「現在、この地球上で人間として生まれて活動している人達全員が
 一度は人間以外の生命体として、この世に生まれたことがあるものと
 想像してみてください
 大昔に一度、熊の一生を経験なされた方は
 やはり今でも、どこか熊的性格をもっているものです
 大昔に一度、ネズミの生涯を体験された方は
 やはり同じく、現在でもどこかネズミ的性格を、隠し持っているものです
 そのようなことをふまえて
 前世のどこかでカエルの生涯を体験した、どなたかが
 やはり前世のどこかでヘビの一生をまっとうした、どなたかと
 偶然、この街角ですれちがっとしますよね
 すると前世カエルさんは、猛烈な敵意と恐怖を
 前世ヘビさんに、感ずるものなのです
 逆に前世ヘビさんも、前世カエルさんに対して、猛烈な残虐性が惹起されるものなのです
 この関係が、その人にとっての、対絶対敵の関係だと
 私は信じますが、いかがでしょう?」
「つまり、前世のどこかで天敵同士だった者同士が
 偶然この世で相対峙すると、絶対敵の関係になりうるということなのですね?」
「その通りです」
 絶対敵には、注意したほうがいい
66ホワイトアルバムさん:2008/03/28(金) 05:49:15 ID:???0
絶対敵とは、小康状態の分岐点にただよう、濃酸カリウムに近い発酵素なのかもしれない
絶対敵が、前世のどこかで天敵同士だったものたちの
宿命だと知ったあなたは今
もうひとつの次元で白髭博士と対話した
「時代時代の絶対敵と、時空間を超越した絶対敵が存在するのですね?」
という質問が、正に本質をついた正しいものだったのだなと、認識する
「まあ、キミの前世がどこかでマングースだとしたら
 前世のどこかでアライグマの人と出会ったりした時
 キミに猛烈な闘争心が芽生えることは、間違いないね
 まあマングースとアライグマが天敵かどうかというのは
 このさい、あやふやな記憶で言ってるだけなんだけどね
 ワッハッハ」 
「孤独男さん、ぼんやりとした霧が目の前で
 なんかスッキリしたような気分になって来ましたよ」
「そうかい、そういってもらえると、こっちも嬉しいけどね」
「ふっ 絶対敵の基本的な謎解明は
 その説で一段落したとみえるわね プハー
 男女の大性欲は輪廻システムの潤滑油として
 必要不可欠という意見も、その通りだと思うわ
 しかし、人間及びこの世の動物たちは
 なんで何度も生まれては死んでをくり返し
 上を目指さなきゃいけないのかという疑問は
 まだ解けていないわよね
 上というのは高級霊とか、さらにその上の超高級霊とか
 そういうものたちのことよ
 それによくいわれる背後霊とか守護霊とかいう問題も
 そこに絡んでくると思うけど
 そのへんについても、孤独男さんの意見をお伺いしたいわ」
 絶対敵には、注意したほうがいい
67ホワイトアルバムさん:2008/03/29(土) 05:20:51 ID:???0
絶対敵とは、安全装置のはずれた放射性物質を、空気中に拡散させたあとの、後悔なのかもしれない
「まあ、私が今日まで読んできた様々な本の膨大な知識を
 分かりやすく統合して、ここに要約してみせますとですね
 つまりこの地球を含む太陽系、その太陽系を含む銀河系というものは
 そもそもこの霊的宇宙的目線で見た場合
 まだまだ幼稚園か小学校のような、低レベルのものらしいですね
 この広い宇宙の、どこか他の銀河系には中学校が存在していて
 そのまた別な銀河系には高校があり、大学がある
 そしてそれ以上の銀河系には、大学院まである
 霊的クラスが上がっていきますと
 この銀河系を卒業して、もうひとつ上の銀河系に
 生まれ変わるようなシステムなのですね
 はたしてその最上級の位置というかレベルというものが
 この大宇宙銀河系集団の中で
 神にもっとも近い位置となるのか
 それでは何故、すべての霊魂が聖霊となって
 その神にもっとも近い位置を、目指さなければいけないのか
 そこのところは、暗澹とした霧の世界の先を見るようで
 どの書物にも、なかなか確かな答えは出ていませんね」 
「私が昔読んだ丹波哲郎さんの本にも
 そんなことが、書かれていたわよねー
 仏様になるまでには12段階ぐらいの霊的レベルがあって
 人が一生を終えると、その一生を査問にかけられて
 昇級か現状維持か降格か
 審判が下されるんですってさ プハー」
「まるで、国家公務員昇級試験みたいなものですね」
 絶対敵には、注意したほうがいい
68ホワイトアルバムさん:2008/03/30(日) 05:12:36 ID:???0
絶対敵とは、深夜のお花見会場で一人、アイポッドで夜桜お七≠聴きながら、舞を踊ることなのかもしれない
「孤独男さんは
 守護霊とか背後霊の存在を、どう思っているのですか?」
「そうだね、まあ霊界という存在と、この大宇宙銀河系連合転生輪廻システムを
 誰かが完璧に構築したものだとすれば、それはもう否も応もなく
 肯定するしかないと思いますね」
「肯定するってことは、信じてるってことなの?」
「モチロンです
 守護霊とか背後霊とかいう存在はまあ
 気楽に考えて、自分の家庭教師みたいなものだと思ったほうが
 よろしいと思います 
 守り神でもあり、導師でもある」
「では孤独男さんが、日頃いくらその崇高なる孤独を死守せしめしと
 孤軍奮闘、金属バットで孤高なるその孤独を維持しつづけたとしても
 実質、真なる孤独とはいえなくなるのじゃないのですか?」
「さよう、孤独男たるこの私にさえも
 常にうしろに背後霊と守護霊は、ついて回っているというのが現実だ
 最高な孤独なる至福の瞬間というものは
 その孤独の黄金の時間の中で、自分の守護霊様とか背後霊様と
 会話を交わす瞬間に訪れるといっても
 過言ではないだろう」
「えっ 孤独男さんは、自分の守護霊とか背後霊と
 対話することが出来るっていうの?」
「まあ 最愛なる孤独の千年境地において
 心を完全に無≠フ状態にしておいてだよ、完全開放の域に達すれば
 自然とその時心のセンサーに
 守護霊様や背後霊様の声が、聞きとれるようになるものなのです」
「ふーん 心のセンサーにね プハー」
 絶対敵には、注意したほうがいい
69ホワイトアルバムさん:2008/03/31(月) 06:19:20 ID:???0
絶対敵とは、江戸時代に棲息していた甲賀忍者の末裔が、平成時代をとことん生きぬいてゆくことなのかもしれない
あなたと孤独男とユミコの対話は
はたしていつまで続いてゆくものなのだろうか
作者である私でさえも、もうワケが分からなくなりつつあるのであるが
なんとか一日一編と思いつつ書き進んでいるのが実状だ
そしてふと考える
毎日これを読んでくれている奇特な読者は
はたして存在しているのだろうか?と
しかしいい
私自身がこれを書き進めながら
なぜ人類は続いていかなければいけないのかという命題を
転生輪廻の解説をも含めて
とことん検証してみたかったのだ
その転生輪廻システムを円滑に回転させるために
我々人類男女に与えられた、この強力な性欲という行為の悲しみと儚いオルガスムス
ふっ 悲しみなんて笑わせてくれるねと
吹きそうになった、そこのアナタ
男というものはすべて、射精後1分間ぐらいは常に絶望的むなしさと
悟りの境地に達しているように思われるのは私だけか
さっきまでのあの張り裂けそうな性欲はいったいなんだったんだろうという
あきれた悔悟とともに
3分後にはふたたび獰猛強欲な性欲魔人に回帰するとしても
女性は男性の少なくとも七倍、否その二百倍ぐらいの快感を感じているといわれるが
女性はいっさいそれをクチにしないね、文章にもしない
女性ってズルいね、永遠に男性には分かることの出来ない快楽境をひとり占めして
しかしまあいい
結局はそのすべてが、転生輪廻システムを円滑に進めるための潤滑油にしかすぎないのだから
今夜は素敵な恋の歌でも聴きたい気分だ
絶対敵には、注意したほうがいい
70ホワイトアルバムさん:2008/04/01(火) 04:59:29 ID:???0
絶対敵とは、今さらながらシンドラーのリストの名前の中に、自分の名前が入っているのではと、危惧することかもしれない
作者である私は、ある決意をした
私もあなたと孤独男とユミコの対話に
参加してみようと思うのだ
虎子を得るには虎穴に入れと、いうではないか ハハ
私は私鉄の電車に数分間揺られF駅で下車すると
あなたと孤独男とユミコがダベっているであろう
サイフォン珈琲店を目指して、商店街を歩いた
そして思わずスポーツ用具店の前で足を止め
私も一本金属バットを買っておこうと決めた
いきなり作者の私が現れるや
驚愕した孤独男とあなたが
いっせいに金属バットで殴りかかって来るであろう可能性も
なきにしもあらずと思ったからだ
スポーツ用具店の主人に私は訊く
「なるべく硬めの金属バットを一本いただけないでしょうか?」
「金属バットとはそもそも硬いものなのですけどね」
「灼熱の熔鉱炉にぶちこんでも溶けないような
 そんな金属バットが欲しいのです」
「灼熱怪獣ザンボラーですか?」
「なんなのですか、それは?」
「いえ、ウラン怪獣とでも申しますかね、ハハ」
ずいぶん変わったスポーツ用具店の主人だなと思いながらも
私はご所望どおりの金属バットを手にすることが出来た
やれやれ、これで安心だなと思う
しばらく歩くと、サイフォン珈琲店の看板が見えてきた
絶対敵には、注意したほうがいい
71ホワイトアルバムさん:2008/04/02(水) 05:07:26 ID:???0
絶対敵とは、風説のるるうんぬんよりも、風説そのものに封殺されてしまう、おののきなのかもしれない
「ふーん、アンタが私たちを創作した、作者様ご自身ってワケなのね」
私が自己紹介をすませると
開口一番、ユミコがそうのたもうた
サイフォン珈琲店の中はほどよい混雑具合であり
私はあなたと孤独男を前にして、ユミコの隣の位置へ
腰かける格好となる
「で、なんで今頃、作者ご自身様のご登場と相なったワケ? プハー」
ユミコがタバコの煙をもろに私に吹きかける
「作者であるアナタご自身が、金属バットを持ってのご登場とは、これいかに?
 私と絶対敵君のふたりを敵にまわして、勝負でもするおつもりなのですか?」
こちらは孤独男の挑発的な答弁だ
「いや、あの、その、つまり」
私はしどろもどろになってしまう
丁度そこへ絶望虚無主義的ウェイトレスがお冷やとオシボリを持って現れ
「ご注文は、いかがなさいますか?」
「ああ、こちらの方々とご一緒でいいです」
「では暗中模索のアメリカンコーヒーと、スウェデンボルグ風シナモントーストで
 よろしいのですね?」
「ああ、シナモントーストだけはマルクスレーニン風味でお願いしたい」
「すみませんがお客様、現在そちらは切らしておりまして
 それに一番近いものですと、スターリン風味しかご用意出来ませんけど」
「ああ、それなら仕方ない 粛清スパイスは薄目でお願いします」
「かしこまりました」
私はイッキにお冷やを煽る グイッ
「で、なんで作者のアンタは私たちに転生輪廻システムのことや
 人類の永続性なんてものを、語らせてるのよ! ハッキリさせてよねっ」
バンッ!  ユミコが思い切りテープルを叩く
絶対敵には、注意したほうがいい
72ホワイトアルバムさん:2008/04/03(木) 05:22:14 ID:???0
絶対敵とは、なぜ2008年の現在に、グループサウンズがリバイバルブームしないのか、真剣に考えることかもしれない
「まあ皆さん、落ち着いてください
 作者である私が、そもそも絶対敵というコンセプトを思いついたのは
 実体験から来ているものなんですね
 どの場所へいっても、必ず約束されたように
 私は私を邪魔する存在と出くわしてしまう
 対角線上というのは隠喩でもあり現実でもあるワケです
 考えすぎだといわれればそれまでですが
 私はそこに何か原因があるのではと考えた
 これは物事すべて原因があってこその結果だという
 セオリーにのっとった上での思考なんですけど
 するとどうしてもその原因は今生だけでなく
 前世の原因にまで遡らなければいけないような気がしました
 前世が存在するならそのまた来世も存在するはず
 それらのすべてを含めた根源の元、転生輪廻システムは
 なぜ稼動しているのか、いつまでそれは続くのか
 イコールいったい人類はいつまで続いていかねばならないのかという思考まで
 私は突きとめていきたくなったのでした  はあはあ」
「それで私たち3人をこの珈琲店にセッティングして
 あれこれややこしいことを議論させたってことなの?」
「ええ、そういうことですけど」
「なぜアナタは私の名前を孤独男と定義したのですか?」
「いやそのつまり、この世に生きとし生ける動物たちのすべてが
 その肉体という牢獄に閉じこめられている孤独なた、魂にすぎないのであって
 それは人も当然、誰もが素は孤独の裸ん坊なのです
 裸ん坊のひとりぼっちでこの世に生まれ出て来て
 ひとりぼっちで眠るようにこの世を去るものだと思う
 その真の象徴として、孤独男というキャラクターを設定したのです
 気に入りませんか、孤独男さん」
「なかなか気に入ってますけどね ワッハッハ」
 絶対敵には、注意したほうがいい
73ホワイトアルバムさん:2008/04/04(金) 10:44:43 ID:???0


18 :...φ(・ω・`c⌒っ:2008/03/02(日) 13:17:01 ID:5cJXdYux
絶対敵というものの存在を、あなたはご存知か?
あなたが絵を投下すると、予定調和のようにあなたの前に現れ
あなたの絵をスルーしたり、あなたがレスを欲するような時
わざとらしくすぐ下で、雑談を始めるような存在のことを、そう呼ぶのだ
たとえばあなたが、人も疎らなスレを見つけ
ここなら安心と絵を晒すと、絶対敵はすぐそこに現れて、
あなたの真下に神絵を投下し、あなたとにらみ合う形になる
他のスレはいくらでもあるのに、わざわざ絶対敵は必ずあなたのいるスレに現れ
にらみ合う形をとる あなたはレスをもらうことが出来ない
それが、絶対敵のもくろむところなのだ
絶対敵には、注意したほうがいい


19 :...φ(・ω・`c⌒っ:2008/03/02(日) 13:56:42 ID:wj5DCxDu
そんなにすごい敵なら注意しててもしょうがないじゃん


74ホワイトアルバムさん:2008/04/05(土) 04:58:25 ID:???0
絶対敵とは、過ぎ去っていく一秒一秒が、瞬時に過去になっていくという、恐怖なのかもしれない
あなたは問う
「作者であるあなたご自身がこの珈琲店に出現することによって
 すでにこのドラマはもう、破綻してますよね?」
「破綻しているといえば破綻しているともいえるし
 そもそもここにドラマなどというものが存在していたのかという
 鋭い疑問を、地中二千メートルぐらい深く掘って疑ってみた場合
 むしろここからが強烈な本番かもしれないという
 一陣のエナジーさえ感じられるかもね はは」
私は余裕で応じたが、孤独男が切り返す
「まあ作者がここに出現して現実化していることは
 まぎれもない事実なのだからして 
 これはもう全く無視するわけにもいくまいね
 一瞬一瞬が過去という名前の扉をノックして
 はるかうしろへと飛びすさっていくこの時空間において
 もう作者自身がここに登場して来たというリアルでさえもが
 大昔の出来事のようだと感じることは
 一筋縄ではいかない多重構造のレトリックだと私は信じるよ」
「もうあんたたち、能書きはいいからさー
 さっさと議論の続きをしちゃいましょーよー プハー」
私の出現でイチバン冷静なのはユミコのようだ
「いったい私たちはどこまで話をしていたのだっけ?」
生真面目なあなたが皆に問う
「孤独男さんが真なる孤独の最高の無≠フ境地に達して
 心のセンサーに静かに耳を傾ければですね
 背後霊や守護霊の声を聴くことが出来るってとこまでだったんじゃないの? プハー」
「うむ、そうだったね」
孤独男が満面の笑みを浮かべてユミコを見つめた
絶対敵には、注意したほうがいい
75ホワイトアルバムさん:2008/04/06(日) 05:15:01 ID:???0
絶対敵とは、霧の中の彷徨を、永遠に巡回する蝉(せみ)しぐれなのかもしれない
孤独男は語る
「しかし背後霊や守護霊といったら
 それこそ今世間を騒がせているスピリチュアルな方面に
 話が大きくそれちまうのも、なんだかシャクにさわるじゃあーりませんかぁ、と」
「では人間には各自、守り神のような霊がついている
 それだけを信じていればOKで?」
 これはあなたの言葉だ
「まあ作者の私に守護霊と背後霊をもちだした要因を語れといわれれば
 つまり誰もが霊的レベルを上げるその輪廻の途上にて
 一度は守護霊や背後霊の経験をつまねばならぬのだということを
 語りたかったがためだったのだ、と
 それだけは言っておきましょう こほん」
「ということは、作者さんも孤独男さんも絶対敵さんも
 昔は誰かの守護霊だったり背後霊だった
 経験があるってことなのね プハー」
「でも突然の不慮な事故や事件にまきこまれて
 理不尽に生涯を閉じてしまわれた方々たちの
 守り神というか守護霊は
 なんで御主人を最後まで守らなかったんだろう?」
 あなたが素朴な疑問をのべる
「アタシも新聞とかテレビなんかで、悲惨な事件を見聞きするたんびに
 いつもそう思うわ」
 はたしてそこに確実なるピンポイントな答えがあるのだろうかと、私は黙考する
 しかし、意識の底の集合無意識のはざまから
 孤独男がこうのべる
「宇宙的視野に立って大転生輪廻システムを語るってことは、全くキリがありませんね」
 では、何を語ればよいというのか?
 絶対敵には、注意したほうがいい 
76ホワイトアルバムさん
絶対敵とは、1991年あたりにはじけたバブル経済が、2008年の今、今だにはじけたまんまのことかもしれない
孤独男「人間男女に植えつけられた強力な大性欲というものが
    結局、転生輪廻システムをスムーズに押し進めていく潤滑油となっていることは
    これ、まぎれもない事実という観点から、私たちの議論はスタートしましたね
    では何故人類は転生輪廻システムにのっとって進んでいかなければならないのか
    その先には何があるのか、人類はどこまで続いていかなければいけないのか?
    それは永遠なのか、永遠なんてものがはたして存在するものなのか?
    幼稚園から大学院までのランクづけされた銀河系を生まれ変わりながら
    各魂は、なぜ霊的レベルをアップさせてまで、最終到達地点の神の領域にまで近ずかねばならぬのか
    作者さんの意見をおうかがいしたいですな」
 作者「狼狽、交配、ぱぴぷぺぽ・・・
    まあマクロの視点から見れば、この大宇宙には、はたして果てはあるのか
    果てがあるのだとしたら、その向こうにはいったい何があるのか、そのまた向こうには?
    ミクロ的視点から見れば、海水のひとしずくの中にも、数億匹の微生物が存在するという
    海水のひとしずくでさえもが、その中の極小な微生物にとっては、大宇宙のようなものだ
    するとこの人間が転生輪廻をくり返している太陽系及び銀河系でさえも
    そのような海水の中のひとしずくのようなものなのかもしれないという意見もある
    この大大宇宙の中では私たちの存在など、大腸菌以下かも・・・」
ユミコ「そんなことは分かりきってることじゃない
    そんなんじゃ、どこまで話してもこんな話、堂々巡りよねー プハー」
あなた「まあ皆さん、もっと落ち着いて考えてみませんか
    どこかに思考の突破口は、みつかるかもしれませんよ」
絶対敵には、注意したほうがいい