【bayfm78】ビートルズから始まる。2【小林克也】
・ポールがリーダーシップをとり、自由と創造性を象徴するビートルズの会社アップルが設立された
業界中は大騒ぎとなり、オフィスはヒッピーに囲まれた
多くの若者が自分の夢を買ってもらおうとビートルズへの謁見を試みた
ある者はドアマンの目を盗んでエレベーターでオフィスに駆け込み
ある者はカリフォルニアからやってきてオフィスに居候を決め込んだ
またある者は全裸でオフィス内を闊歩し、女性器の絵を書いていた
自宅録音されたデモテープや明らかにデタラメ映画の脚本などが、連日大量にオフィスに送られてきた
しかし実情は、最初のPR広告とは全く違っていた
それらの作品はほとんど開封されることもなく、オフィスの倉庫におし込められていたのである
もちろん、聞かれることも読まれることもない
ポールが語っていた"西側の共産主義"というのは崩壊していた
というよりアップルという会社はポールの独裁的な官僚主義の上に成り立っていたという方が当たっていたのかもしれない
デザイナーグループのザ・フールは、名探偵シャーロック・ホームズの物語で知られるベーカー・ストリートにオープン
させた店"アップルブティック"で20万ポンドの損失を出していた
ギリシャからやってきたジョンに良く似た男、通称マジック・アレックスは、アップル社の資金10万ポンドを費やして
ありとあらゆる研究を重ねたが、特許と認められた者はただの一件もなかった
しかし、こういった馬鹿馬鹿しい狂乱状態も結局ビートルズそのものが作り出したわけである
ロックのスーパーアイドルとして登場し、イギリスアメリカヨーロッパ、日本やアジアでも大人気となったビートルズは
今やヒッピーやフラワームーブメントの象徴として若者文化の頂点に君臨していたのである
〜 The Beatles / Savoy Truffle
〜 The Beatles / Ticket to Ride