【bayfm78】ビートルズから始まる。2【小林克也】
・ポールは、NYからやってきたコピーライター、フランシーヌ・シュワルツと関係を持った
そして、そのフランシーヌに、ビートルズの会社であるアップルの広報室の仕事を与えた
これは、ポールが自分の権限で女を囲ったのと同じである
そして、その彼女を囲うため、チェルシーのフラットからもっと便利なキャベンディッシュ・アベニューに一軒家を借りてあげた
ポールは、フランシーヌに母性を感じていた
そして、婚約中の女優ジェーン・アッシャーが公演ツアーで留守の間は、フランシーヌに自分の身の回りの世話をしてもらっていたのである
こうして、ポールの生活の場面にまで足を踏み入れることになったフランシーヌは、ポールから婚約者ジェーンに関する色んな本音や不満も聞かされていた
「ジェーンはね、物事の優先順位を最初から混同していて、自分のキャリアにがんじがらめになっているんだよ
そのせいで、彼女が僕に与えられるものは何か ── まったくわかっていないんだ
本当の愛って言うのは、全身全霊を捧げることなのに、彼女には理解できないんだね」
フランシーヌは、黙ってポールの言うことを目を見ながら聞いてあげた
そして、全部聞き終えると、こう答えた「ポール、わたしはあなたにすべてを与えられる、あなたに全部捧げてもいいの」
そして、ポールがフランシーヌの家を訪れる回数は、日増しに多くなっていったのである
フランシーヌはポールに対し、実に甲斐甲斐しく尽くした
彼女の得意料理は、炒めた豆をのせたトーストであったが、ポールはこの味が気に入った
久しぶりに味わう、おふくろの味だったのである
そして、ポールがろくにしつけもしていない、ペットたちの排泄物の後始末
これも、フランシーヌは嫌な顔一つせずにやってくれた
ドラッグの売人のあしらい方だって、すぐに上手になったし、とにかくポールに対して、彼の望むことは何でもしてあげた
まさに母親のような存在であった
しかし、フランシーヌは、ポールとのメイクラブに関しては、満足していなかった
彼女曰く「ポールはうまくも下手でもなかったわ、ただ、気持ちが全く伝わってこなかった
ポールにとってのセックスは、きっと欲望を満たすためのものにすぎなかったのよ」
〜 The Beatles / I've Got a Feeling
〜 The Beatles / You Like Me To Much
(小林)君は僕を好き過ぎる ── 面白いですよね