こども・世界の偉人伝風にビートルズの歴史を語る５

身長が12cmになってしまいました

常滑全裸マラソンの出場チラシが飛んで来ました。

モチ、12cmのポールは3人を誘うことにしました

ジョン「常滑？焼き物で有名だよな？」
リンゴ「なんでこんな冬に」
ジョージ「せめてニップレスだけでも…」

だって優勝商品は↓

「全裸ってヤバイ気持ちいいぞ！なんかホルモンが分泌されて男前になるってカンジ！
　オレもやっぱ動物なんだーって実感できるぞ」
力説する12cmのポールを手のひらにのせて話を聞いていたリンゴは、すぐノセられてしまいました
ジョンも二つ返事でOKしました
問題は恥ずかしがり屋のはなたれジョージぼうやです
「どうしたらジョージが全裸で走るかな・・・」

催眠術にかける、パティにも裸で走ってもらう、はたまたジョージは置いていくという案も出ました
リンゴがいいことを言いました
「ジョージだけ仮面をかぶって走ればいいや！そうすりゃ恥ずかしくないよ」

大会当日は日本人にはとても寒かったのですが、イギリスの冬をいくつも越してきた4人からすればへでもなかったのです
4人？そう、ジョージもクマのパディントンのお面をかぶって走っています
12cmのポールは踏まれるといけないのでリンゴが肩にのせて走りました
4人は、フリチンで走ることはLSDよりおもしろいということを身をもって知ったのでした

「先頭集団はビートルズです」実況の村上さんが言いました

4人は、一度コースを間違えて遠回りしたにもかかわらず他をよせつけないほど速かったのです
もちろんそれは“フリチン効果”のおかげです
4人はずっと一緒のペースでわーわーしゃべりながら走っていましたが、
最後の最後でゴールテープに気付いたジョージがスパートをかけ、あっさり優勝してしまいました

スタッフにゴールテープを張り直すひまも与えず次に飛び込んできたのは、
ウィーンと口を曲げて必死に走るリンゴ（と肩にのったポール）でした
しばらくしてやる気なさそうにジョンがテープを切りました

「さあまもなく表彰式とインタビューです」村上さんが言いました

ところがスタッフの「彼はお面をつけていたから全裸とは言えない」という一言でジョージは失格となってしまったのです
ジョージとリンゴは「そういうことは先に言えよ！もう走っちゃったじゃないか」と抗議しました
ジョージの失格は確定してしまいました

優勝がリンゴ（＆ポール）、2位がジョン、3位はまだゴールしていません
メダルがリンゴとジョンの首にかけられます
ジョージは昼食のオートミールを吐いています

「常滑の皆さん、応援ありがとう！
　とってもいい大会でした」リンゴはそう言ってニッコリしました

「みんなも着込んでないで、裸になれば？
　とっても気持ちよくなれるよ」まだちょっとラリッているジョンもガニマタで言いました

表彰台の上のリンゴとポールに全裸のラケル・ウェルチが感動的に歩み寄ります
優勝賞品は、ラケルかジェイミー・シュナイドのキスでした
リンゴは言いました
「ラケル、ポールにキスしてあげて・・・もとの大きさに戻れるかもしれない」

ラケルはそのかぎりなくエロい唇で、ポールの小さなペニスにかぎりなく官能的なキスをしました
ポールは自分のオチンチンだけでなく、体もどんどん大きくなっていくのを感じました
観衆がどよめく中ポールが目を開けると、もうすっかり目の高さがいつも通りです
なんだか体が縮む前より背が高くなってしまったような気もしましたが、
ポールはラケルにお礼のキスをすると、リンゴ、ジョンとともにジョージの介抱に向かったのでした

ある時ジョンはひとりのガキのくびねっこをつかんでスタジオにひきずってきました

「おい、こいつの十二指腸見ろよ皆！」

3人はわらわらと集まってきました
少年は首に食い込むジョンのごつい手をはずそうとジタバタしています

「そういや昔、オレの隣のベッドに入院してた子が十二指腸の不始末だったな」
リンゴが遠い目をしました
「で、その子どうするつもりなの？」
ポールがジョンに尋ねました
「この田舎モンのクソジジイ！いい加減手をはなしてよ！
　血が止まっちゃうよぉ！」
唐突に少年がキーキー叫びました

「実は次のシングルに、この憎たらしい小僧の声を使おうかと思って・・・
　公園でみつくろってきたよ」
ジョンは3人に言いました
ずっとだまっていたジョージが口を開きました

「君、『おっぱいおっぱい』って出来る限りの大声で叫んでごらん？」
「おいまさか本気で」いいかけたポールに目で合図すると、やれやれといった風にポールはため息を付きました。

「ジョン、おなかへったよ・・・その子供食べちゃおうよ」
ジョージは3日前に、ポールの芯ホルダーを暖炉に放り込んで爆発させ、
ビートルズ飼育係のブライアンに一週間食事抜きの罰を言い渡されてしまったところでした
ポールはジョージに人差し指をつきつけました
「オマエはオレのお気に入りの芯ホルをダメにしちゃっただろうが
　あれはもう手にはいらないんだぞ！　廃盤なんだ
　すこしは反省しろ！いつまでもみんなの弟みたいに、何をしても許されると思ってあまえんじゃねえ」
ジョージはガクッとヒザをついて泣きじゃくりました
「もうしないよ！もうしないからゆるして！あんな事になるとは思わなかったんだよ！
　もう3キロ体重がへっちゃったよ　死にたくないよ　ゆるして！・・・ゆるして・・・」

ポールはジョージがゆるせませんでした
なにも芯ホルダーのことに固執しているのではありません
長年にわたってジョージに対するもやもやした感情をため込んできたポールです
このときとばかりにジョージをにらみつけます
ジョンはオールドイングリッシュシープドッグのマーサ用の檻に少年を入れようとがんばっています
少年は、閉じこめられてなるもんかとふんばっています
リンゴは肩を落として、そっと言いました
「ジョージ、泣くと余計おなかがすくもんだよ　泣くときは泣くのがホントはいいんだけど、
　今オマエは今何も食べられないから、な？・・・こういうときは寝るのが一番だ」
ジョージは泣くのをやめようとしましたがシャックリがとまりません

そのうちジョージはフッとねむってしまいました
リンゴは、みんなが寝静まったあとでジョージに食べ物を持って行き、ガキンチョをはなしてやろうと心に決めたのでした

午前1時・・・
寝てしまわないようにずっと昆布をかんでいたリンゴは、そっと起き上がりました
サイドテーブルの上に置いておいたコーンブレッドを持って、抜き足差し足、歩いていきました

「ジョージ・・・ジョージ」
リンゴは片手でジョージのベッドを触りました
もぬけのカラです
リンゴは首をかしげました
ふとふりかえると、バスルームのドアから明かりがもれています
（トイレか・・・）
リンゴはジョージのベッドに座って待つことにしました

（ジョージおそいな・・・）
リンゴはまた抜き足差し足バスルームのほうへ向かいました
そのときガシャンと音がして、リンゴは前に放り出されました
ツイてないことに、ガキンチョの檻につまづいてしまったのです
少年はチビらんばかりに驚いて、暴れ出しました
「しずかに！しずかにして！今外に出してあげるから・・・」
少年のことをすっかり忘れていたリンゴも、少年に負けず劣らず驚きましたが、必死でなだめました

と、突然明かりがつき、リンゴは腰をぬかしてしまいました

ジョージのベッドからコーンブレッドを発見したジョンは、全部まとめて食べてしまいました
あまりの口の大きさに、リンゴもガキンチョも一瞬見とれてしまったほどでした

一週間食事抜きの刑を受刑中であるジョージにおいしいコーンブレッドを提供しようとした上、
ガキを逃がそうとしている現場をおさえられたリンゴは、ガキと一緒に檻に入れられてしまいました

ガキは名前を“オーファン”といいました

リンゴは目をさますとすぐ、檻から脱出する方法を考え始めました
いくらマーサ用の檻でも、リンゴとオーファンが入るにはせますぎます
横になって寝ることもできません

リンゴはいいことを思いつきました
午後からのレコーディングのときに、二人とも檻からいったん出してもらえることになっています
レコーディングの時にすきをみてスタッフのだれかに助けを求める手紙をわたそう！

やっと起きたオーファンも、賛成しました
「いいじゃん！でもスタッフが近くにいるとは限らないから、
　手紙を渡すんじゃなくて紙の伝書バトにしよう」
「紙の伝書バト？！」リンゴは聞き返しました
「うん、紙にメッセージ書いて、それをトリみたいな形に折るの
　それをうまくスイーッと飛ばすと、だれかに拾ってもらえるってわけ」
なんのことはない、日本でいう紙飛行機のことです

レコーディング開始まで約3時間・・・
まず二人は紙を調達することにしました

オーファンは、床に落ちているガムの包み紙をめざとくゆびさしました
「リンゴ、あれとって」
檻から包み紙は軽く3ｍは離れています
「よーしオーファン、お前は檻を揺らして、あの紙のほうへ転がしてくれ
　オレは檻が回転したとき音がしないように、檻と床の間に手を挟むから！」
オーファンは急に男らしい顔になってコクンとうなずきました

言うは易しです
二人の入った檻は意外と重く、なかなか動いてくれません
オーファンは汗だくになって体をメトロノームのようにふっています

とうとう檻がひょいっと動きました
が、ガム包み紙とは反対の方向に転がってしまいました
ガシャンと音がして二人は思いっきり頭を打ちました
檻は2回転して止まりました
リンゴは、ジョンやポールに気付かれやしないかと肝を冷やしましたが、だれも来ませんでした
「ごめん！リンゴ、大丈夫？」
オーファンはリンゴの目をのぞき込むようにしてたずねました

オーファンはあいかわらず檻を転がすのに苦労していましたが、リンゴは「がんばれ、がんばれ」と励ますだけでした
オーファンの幼い手を、檻と床の間に挟ませることはできないからです

だんだんコツが分かってきたオーファンは、思い切ってえいっと檻を揺らしました
ぐらっと檻が動きました
リンゴは目をつぶって耐えました
ドシーン！と思ったより大きな音がして檻が転がりました
格子の間から差し出されたリンゴの両手がクッションになって、多少はミュートできたようです
「リンゴ！手、大丈夫？抜ける？」オーファンが心配そうにささやきました
リンゴは顔をしかめました
「オーファン、動かないで・・・動くとすごくいたい・・・ウウッ」
リンゴのこめかみに汗がつたいます
リンゴは息をとめて、檻の下からズバッと両手を引き抜きました
指が抜けたかと思うほどのいたみでしたが、リンゴは声をたてませんでした

この後2回、オーファンは檻を転がし、リンゴは両手を檻の下敷きにしました
そして、クタクタになったオーファンが包み紙をやっとつかみました

「やった！リンゴ！とった！」
オーファンが振り向くと、リンゴは丸くなってカクカクとふるえていました
「だっ・・・大丈夫？」
オーファンがみると、リンゴの両手には格子のあとが何本も赤黒く付いていました
リンゴは涙目で言いました
「オーファン、早く、見つからないうちにそいつにＳＯＳを書くんだ！」
そう言うとリンゴは失神しました

失神したリンゴはそのまま泡になってしまいました

「えっ！？でもぼく、字書けないよ・・・
　リンゴ、リンゴー！」
実はリンゴも、字を知らないのです
オーファンはリンゴを揺すりましたが、リンゴは蒼い顔をして、目を開けませんでした
オーファンはキッと右の人差し指をかんで、血で絵を描きました
檻の中に2人の棒人間が閉じこめられている絵でした

待ちに待ったレコーディングの時間です
ジョージはいつもにもましてやつれていました
リンゴとオーファンは逃げられないようにチェーンでつながれて参加しました

オーファンは、ドラムセットがスタジオの隅にあって、
ジョンとポールからは死角になっていることに目をつけ、紙の伝書バトをリンゴにたくしました
これは正解でした
オーファンはジョンのとなりで、イスの上に立たされていました
ジョンのマイクの高さに合わせるためです

リンゴは、ジョンとポールが見ていないのを確認してから、オーファンに教わったとおり、
仰角30度にむけて押し出すようにハトを飛ばしました
ハトはジョージマーティンの手の甲にストンととまりました