Apple Computerの音楽ビジネス参入は「約束違反」 ――ビートルズのレコード会社Apple Corpsがこのように主張して起こした訴訟が間もなく審理に入る。 2006年03月29日 10時09分 更新
ロンドン(Associated Press)
音楽業界の伝説的な企業2社が3月29日、世界で最も有名なロゴかもしれない1個の果実をめぐり、ロンドンの法廷で相まみえる予定だ。 ビートルズのレコード会社でその音楽的な遺産と事業利益を守る英Apple Corpsは、米Apple ComputerがiTunes Music Store(iTMS)で音楽事業に参入したことで、 1991年の合意に違反したとして訴訟を起こした。
この訴訟はマーティン・マン判事が担当する。同判事は審理前手続きの際に、自分は(iTMSと一緒に使われる)iPodを持っていると話していた。 2社のAppleは、長きにわたる商標紛争を終結させた1991年の和解合意で、商標の「使用領域」に関する取り決めを交わし、互いの領分を侵さないと約束した。 Apple Computerは声明文の中で、「残念なことに、今ではこの合意に関する当社とApple Corpsの解釈が異なっている。裁判所にこの紛争の解決を求めなくてはならないだろう」と述べている。 Apple Corpsは1968年に設立され、ビートルズのポール・マッカートニーとリンゴ・スター、ジョン・レノンの妻、ジョージ・ハリソンの遺族が所有している。同社は1991年の和解合意を執行する強制命令と、 違反による金銭的損害の賠償を求めている。
Apple Computerのロゴはかじられたリンゴのイラストを使っており、Apple Corpsはかじられていない緑のグラニースミスアップルをロゴに使っている。 Apple Computerは、同社の本社がある米カリフォルニア州でこの訴訟の審理を行うよう求めていたが、マン判事は、2004年に申し立てられたこの請求を棄却し、ロンドンの王立裁判所で行うと命じた。 Apple Computerは1976年、2人の大学中退者――スティーブ・ジョブズ氏とスティーブ・ウォズニアック氏――がエイプリルフールの日に共同経営を申請して設立した。 両氏が目指したのはパーソナルコンピュータの製造と販売で、最初の製品は自作コンピュータキットだった。1984年にMacintoshが登場し、2001年10月に初代iPodが発売された。 iTMSは2003年4月に米国でスタートし、現在は欧州、オーストラリア、日本、カナダでも展開している。同サービスでは毎日約300万曲がダウンロードされている。 米国では1曲99セントで、英国では79ペンス(1.38ドル)で販売されている。同サービスでは、ビートルズの楽曲は購入できない。ダウンロード販売のライセンスを受けていないためだ。