【必勝不敗】能代工業 十九冠目【V58】

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421バスケ大好き名無しさん
5分と立たないうちに規則的な寝息が聞こえ始め、クーとドクオは一度顔を見合わせて小さくため息をつく。


('A`)「明日も仕事なのに飯も食わずに寝やかって……。何考えてんだ、あいつは」

川 ゚ -゚)「……あいつ、昼はちゃんと食べたのだろうか」

('A`)「いくらなんでもそれは……」


ドクオは途中で口を噤み、ブーンの鞄に目をやる。
ボロボロで、傷や汚れが目立っているが、まだ鞄としての役目は果たしているようだ。


('A`)「あいつ、確か弁当持ってってるよな」

川 ゚ -゚)「ああ。デレちゃんの分と一緒に自分のも作っていたはずだ」

 
ドクオはブーンの鞄を開け、弁当袋らしき物を引っ張り出そうとした。
が、鞄から取り出す前に動きが止まる。

そのまま弁当袋を鞄に戻し、先ほどよりも大きなため息をついた。


('A`)「……弁当、重かったぜ」

川 ゚ -゚)「……今から起こして、無理にでも食べさせるべきだろうか」

('A`)「……いや、あいつ、相当疲れてたからな。ちょっとやそっとじゃ起きないだろう」


('A`)「……今は、休ませてやろう」

川 ゚ -゚)「……そうか」


再び部屋を訪れた静寂。
聞こえるのは時計の音と、二人分の寝息だけ。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


クラスメート達が次々と進学先を決めていく中、僕は1人色んな企業を東奔西走していた。
そして、町外れの小さな工場に勤めることができるようになった。
給料は安いが、それでも十分生活を賄えるだけの額はあった。

みんなには散々祝福された。
僕も辛く苦しい時期を乗り切ることができ、やっと肩の荷が降りた心地だった。

一方のみんなも、無事志望校に合格できたようだった。
ドクオは近所の、クーは隣の県の、彼女は県内だがここから少し距離のある大学に行くことになった。

みんなの合格を喜ぶ反面、バラバラになってしまうことを悲しむ気持ちもあった。
ドクオはいいが、クーと会う機会は激減するだろう。
そして、小さな頃からいつも一緒にいた彼女とも……。

離れるのは嫌だった。
つなぎ止めておきたかった。