【必勝不敗】能代工業 十九冠目【V58】

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382バスケ大好き名無しさん
 
そんな子供達の中で一番デレと仲がいいのが渡辺だ。
両親が共働きで、彼女はいつも遅い時間まで幼稚園で待たされている。


从'ー'从「わたしおかあさん。デレちゃんはかわいいひとりむすめね」

ζ(゚ー゚*ζ「おとーさんは?」

从'ー'从「おとうさんは……」


川 ゚ -゚)「ふむ、では私がやろう」

ζ(゚ー゚*ζ「あ、クーせんせー」

从'ー'从「じゃあせんせーはいじわるなおしゅうとさんね」


川 ゚ -゚)「あぁ、嫁をいびる姑をばっちり演じて……ん?」

 
渡辺の家庭内の状況も、あまり思わしいものではなかった。
父親はジャーナリストで、国内の様々な場所を旅している。
しかしなかなか実入りが悪く、近所のスーパーで働く妻の収入にすら及ばないほどだった。


从'ー'从「さあ、ばんごはんができましたよ」

ζ(゚ー゚*ζ「わーい!」

川 ゚ -゚)「遅い。年寄りを餓死させる気か」

从;'ー'从「す、すいませんおかあさま……」


ζ(゚ー゚*ζ「いただきます!もぐもぐ、おいしいねー」

川 ゚ -゚)「辛い。なんだこの味噌汁は。こんな辛い味噌汁飲んでたら早死にしちまうよ。
あんたは私にとっとと死ねって言いたいのかい?え?」

从;'ー'从「もうしわけありません……おかあさま」


ζ(゚ー゚*ζ「クーせんせーすごーい。ひるどらのおしゅうとめさんそっくり」


川 ゚ -゚)(しまった。父親役をやるつもりがノリノリで姑役をやってしまった)

 
从 ゚∀从「悪い。遅くなっちまった」

从'ー'从「あ、ほんもののおかあさんだ〜」


川 ゚ -゚)「その言い方は誤解を生みかねないからやめなさい」


从 ゚∀从「ああクー先生。いつもお世話になってます。すいませんね、毎度迷惑をかけて……」
383バスケ大好き名無しさん:2013/01/08(火) 16:47:34.33 ID:???
川 ゚ー゚)「いえ、私もこの子といる時間が楽しいので一向に構いませんよ」

从 ゚∀从「そう言ってもらえると助かりますわ。……じゃあ帰ろうぜ」


从'ー'从「うん。デレちゃん、せんせー、またあしたー」

川 ゚ー゚)「ああ。さようなら」

ζ(゚ー゚*ζ「わたちゃんばいばーい」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 


いつも笑顔でいたら、いつの間にかいじめられなくなった。
それどころか、気がついたら人の輪の中心にいることが多くなった。

先生にも明るくていい子だと誉められるようになった。
友達も随分と増えた。
その代わりに彼女と一緒にいる時間が減ってしまったのが唯一の問題だった。

しかし、もっと一緒にいたいと彼女に言ったら彼女は顔を真っ赤にして怒るのだ。
その時の僕は彼女が本当に怒っているのだと思い込み、本気で落ち込んだものだ。


いつの間にか、僕は自然に笑顔でいることができるようになっていた。
少し父に近づけたような気がして嬉しかった。

彼女も、僕の笑った表情が一番気に入っていると言ってくれた。
友達も、僕の笑顔を見ていると癒されると言ってくれた。

笑顔には人を幸せにする不思議な力がある。
そう思った。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

時刻は6時を回り、幼稚園に残っているのはデレとクーだけになった。
いつもならブーンは6時には迎えに来ていたのだが、その日はなかなか姿を現さなかった。


川 ゚ -゚)「遅いな……ブーンのやつ」

ζ(゚ー゚*ζ「きっとおしごとがいそがしいんだよ」


川 ゚ -゚)「……大人だな、デレちゃんは」

ζ(゚、゚*ζ「……?あたしまだ5さいだよ?」

川 ゚ー゚)「ふふっ、そうだな」



デレは同年代の子に比べて少し大人だった。
5歳にしては気が利くし、物事を一歩引いて見ることもできる。
それでいて明るく積極的で、みんなの人気者だ。