【必勝不敗】能代工業 十九冠目【V58】

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376バスケ大好き名無しさん
( ^ω^)だから、Give you smileのようです

―――ギャァ―――オンギャア―――


自室に響く新しい命の声。
明るく―――強く灯った命の灯火。

喧騒に包まれた部屋の中、その音だけが耳についた。


「ほら、ツン。元気な女の子だお」


生まれたばかりの我が子をタオルで優しく包み、彼女の目の前まで持ってくる。
彼女は小さく微笑み、その白く細い指で子供の頬を撫でた。
そして、その微笑みを僕に向け、何かを呟く。


「……ん…………て………」


背後で助産師さんと医者が何やら大声で叫んでいて、彼女の声は僕に届かなかった。


だから僕は、彼女に―――――………

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

ζ(゚ー゚*ζ「ごちそーさまでした!」


( ^ω^)「おっ。全部食べたお。偉いお」


ζ(^ー^*ζ「えへへ……」


幸せな家庭のとある1コマ。
エプロン姿の男が笑いながら小さな女の子の頭を撫でる。

女の子は水色の園服に身を包んでいて、胸につけたひまわりをかたどった名札には『ないとうでれ』と書いてあった。


町の外れにある小さなアパート。
そこでブーンこと内藤ホライゾンと、その娘であるデレが暮らしている。
ブーンは地元の工場で働いていて、収入は多くないにしろ、2人が暮らして行くには十分な程は稼いでいた。
近所でも評判の仲良し父娘で、いつも笑顔が絶えない家族だと周りから言われている。
ただ……


( ^ω^)「じゃ、ごはん食べ終わったらお母さんにあいさつだお」


ζ(゚ー゚*ζ「うん」

 
377バスケ大好き名無しさん:2013/01/08(火) 16:44:59.62 ID:???
デレの母親、つまりはブーンの妻……内藤ツンは、デレを産んだ際に亡くなってしまった。
笑顔で満たされた家庭ではあったが、あるべき物を失ってしまった家庭でもあるのだ。

家庭を満たす笑顔は、その寂しさを紛らわせる物のような、そんな感じがした。


ζ(゚ー゚*ζ「おかあさん、いってきます」


小さな手のひらを合わせ、デレは写真の中の母へ挨拶をすませる。
その表情に寂しさを思わせる色はどこにも見られなかった。

入れ替わりに写真の前に立つブーンは、やはり柔らかい笑顔で―――


「行ってくるお、ツン」


―――窓の外で、雀が二羽戯れていた。
―――朝日が差して、写真とその隣に置かれた一輪の花を照らす。

しばし、時が流れた。
やがてデレが居間に戻ってくる。
その目に映ったのは、亡き母の写真の前で寂しそうに立ち尽くす父の姿だった。

 

ζ(゚、゚*ζ「……おとー……さん?」


( ^ω^)「ああ、ごめんお。もう行く時間だおね」


娘の声を聞いて、ブーンは慌てて振り返った。
……これ以上無いくらいの明るい笑顔で。

その顔を見て、少し心配そうな面持ちだったデレも笑顔に戻り、そそくさとブーンの手を取って玄関へと引っ張っていく。

ブーンは困ったような、そんな笑顔でデレの後をついて行った。
玄関で靴を履き、外へ出る。
扉を閉める前に、ブーンはもう一度だけ「行ってくるお」と呟いた。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

初めて会ったとき、僕らは正反対の存在だった。
弱虫ですぐ泣く僕と、気が強くて男勝りな彼女。

幼稚園でいじめられてる僕を助けてくれたのは、いつも彼女だった。
僕がお礼を言うと、彼女は決まって


「いつまでないてるの!おとこのこなんだからいいかげんなきやみなさい!」
378バスケ大好き名無しさん:2013/01/08(火) 16:45:29.92 ID:???
そう僕を叱りつけた。
でも、一度泣いてしまったらなかなか泣きやめないものだ。

だから僕は泣かないように、普段からいつも笑顔でいるように心がけた。
そうしたら、余計にいじめられた。

いじめられてるのに笑ってるから、さらにいじめられた。

でも彼女は


「なかなかったじゃない、えらいえらい」


そう僕を誉めてくれた。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


2人の家から徒歩10分。
そこにデレの幼稚園があった。

門の前には優しい笑みをたたえた女性が立っていて、それを園児や保護者にいかんなく振りまいていた。


川 ゚ -゚)「おはようごz……なんだブーンか」


( ^ω^)「ちゃんと挨拶しろお」

川 ゚ -゚)「お前もな」


ζ(゚ー゚*ζ「クーせんせー。おはよーございます」

川 ゚ー゚)「おはよう、デレちゃん。デレちゃんはちゃんと挨拶できて偉いな」


( ^ω^)「おはようございます、クー先生」

川 ゚ -゚)「なんだ突然。気色の悪い奴だな」

( ^ω^)「おい」

 
彼女、素直クールはブーンとは中学時代からの付き合いで、ツンの友人だった女性だ。
現在はデレの通う幼稚園の教員をしている。


( ^ω^)「じゃあデレ。とーちゃんは仕事に行くからクー先生の言うことをちゃんと聞いて、いい子でいるんだお」


ζ(゚ー゚*ζ「わかった!いってらっしゃい!おとーさん」


( ^ω^)「じゃあクー、頼んだお」

川 ゚ -゚)「うむ。任せておけ」