( ^ω^)「これであなたも来世行き…なのかお?」
( ・∀・)「ああ」
それにしても随分上手く語尾を使いこなしている。
適応力は十分らしい。
( ^ω^)「…嫌ならいいんだけど」
( ・∀・)「ん?」
( ^ω^)「あなたの未練は、何だったんだお?」
( ・∀・)「……」
二人の女の顔が思い浮かんだ。
( ・∀・)「娘が生まれてすぐ、俺は病気で死んじまってな」
( ・∀・)「嫁と娘のことを思うと、死んでも死に切れなかった」
( ^ω^)「それでここへ来た、と」
( ・∀・)「そういうこと…まぁでも俺は恵まれてるほうだよ」
二度と会うことはできないと思っていた二人と、再会できたのだから。
( ^ω^)「来世って、どこから行くんですお?」
( ・∀・)「この遊園地の入り口。客も係員も、帰るときはそこからと決まってる」
二人で入り口へと歩いていく。
今まで自分が着ていた着ぐるみと一緒に歩くのは中々奇妙な気分だった。
( ・∀・)「……」
( ^ω^)「名残惜しいんですかお?」
( ・∀・)「…まぁな」
俺の歩みが遅くなったのを見逃さなかったらしい。
早速教えを実践しているようだ。
( ・∀・)「元から居た人も少しは残ってるけど…大体はそうかな」
( ^ω^)「…挨拶とかは」
( ・∀・)「必要ない」
言い切った。
そもそも向こうが知っているのは俺の隣にいるマスコットなわけで、俺が会いに行っても誰かわからないだろう。
そう伝えると、着ぐるみは俯いてしまった。
やがて、入り口が見えてくる。
( ^ω^)「…あの。少しだけ、ここで待っててもらえませんかお?」
( ・∀・)「…?構わないけど」
( ^ω^)「すぐに済みますお」
着ぐるみはおぼつかない足取りで、どこかへと駈けていった。
一体何をするつもりなのだろうか。
それから、体感時間で五分ほど後。
彼女の企みがわかった。
俺の任期では一度も使わなかったスピーカーが唸りを上げていた。
『…繰り返しますお。従業員の皆さんは、至急入り口のところに集まってくださいお…』
徐々に顔見知りの係員たちが集まってくる。
その中の一人が話し掛けてきた。
('A`)「…もしかして、着ぐるみの…?」
( ・∀・)「……」
他の係員たちも、俺の方を見ていた。
どうやら皆、俺が誰なのかわかっているらしい。
( ・∀・)「…良くわかったな」
('A`)「…やっぱりそうですか」
('A`)「何となくです」
やがて、彼女は戻ってきた。
あいかわらず足元はおぼつかない。
(;^ω^)「はぁ、はぁ…皆集まりましたかお?」
( ・∀・)「ああ…大体いるんじゃないか」
(;^ω^)「良かった…」
( ・∀・)「必要ないと言ったんだけどね…」
( ^ω^)「…でも、皆お礼ぐらい言いたいと思ってるはずですお」
その言葉に、その場にいた全員が頷いていた。
…本当にお節介な女だ。
| ^o^ |「じき しはいにんは わたしだとおもっていました」
| ^o^ |「それは ありえません」
( ∵)「私たちがここにいるのもあなたのおかげですから」
(#゚;;-゚)「感謝してる」
( ・∀・)「俺は仕事を全うしただけだ」
('A`)「それでも、です」
( ・∀・)「…そうか」
知らないうちに色々感謝されていたようだ。
( ・∀・)「どうもくすぐったいな…」
( ・∀・)「お前…」
J( 'ー`)し「人の厚意は素直に受け取っておくものよ」
( ・∀・)「…ああ。そうする」
短いやり取り。それで十分だった。
集まった皆に背を向けて、出口を見据える。
( ^ω^)「あの!」
新支配人の声が聞こえた。
( ^ω^)「来世もしっかり生きてくださいお!」
( ・∀・)「言われなくてもそのつもりだ」
次は未練なんて残さない。
死ぬ時は笑って死んでやる。
俺は、ブンダーランドを後にした。
('A`)「そうですね」
ノパ听)「ところで、あんたが新しい支配人なのか?」
( ^ω^)「そうだお。よろしく頼むお」
| ^o^ |「つぎは ぜひわたしを」
| ^o^ |「とりあえず だまりなさい」
( ∵)「さて、持ち場に戻りましょうか」
(#゚;;-゚)「ん」
J( 'ー`)し「お客さんが来てもいけないしね」
( ^ω^)「前のあの人、凄かったんだおね」
( ^ω^)「私…じゃなくて、僕も頑張らなきゃいけないお!」
( ^ω^)「よし!やる気出てきたお!」
「……」
( ^ω^)「あ…」
( ^ω^)「えっと最初に言うのは…うん、そうだお」
( ^ω^)コホン
( ^ω^)「ブンダーランドへようこそ!」
「ん。どうしたんだ、坊主」
「…お母さんがいなくなっちゃって…」
「ああ、迷子か…どうしたもんかな」
「どうかしたんですか?」
「あ、この子が迷子になったらしくて」
「そうなんですか…おじさんはショボンっていうんだ。君は?」
「…モララー」
「あたしはハイン。よろしくな、坊主」
「それじゃ、一緒にお母さん探そうか」
「…うん!」
( ^ω^)ブンダーランドのようです 閉園