( ^ω^)「『32歳 自宅で首を吊って自殺』」
('A`)「…ああ」
思い出しました。
そういえば、私は。
自殺、したのでした。
( ^ω^)「そして、選択を迫られる」
( ^ω^)「ここで生きてる人間の手助けをするか否か」
淡々と告げる彼の顔からは、やはり微笑み以外の表情を窺い知ることはできません。
( ^ω^)「もちろん、働いた分のメリットもある」
( ^ω^)「さっきノルマって話をしたと思うけど」
私は、先程の地図を思い出しました。
四角形の中に書き込まれた数字は、ノルマ。
( ^ω^)「10人助けたやつには、一つだけ特典が与えられる」
('A`)「どんな特典ですか?」
( ^ω^)「来世」
その言葉に、微かに自分の心臓が波打つのがわかりました。
( ^ω^)「記憶はなくなるけど、前世の未練は強く魂に刻み込まれる」
( ^ω^)「生まれ変われば、それを晴らすことができるかもしれない」
('A`)「……」
( ^ω^)「ただし、10人助けるのがいつになるかはわからない」
( ^ω^)「さっき見た通り、ここには星の数ほどのアトラクションがある」
( ^ω^)「そして、人が連れて行かれるアトラクションは僕の一存で決められる」
('A`)「断った場合は?」
( ^ω^)「そのまま消えるだけだ」
消える。そう、事も無げに彼は言いました。
( ^ω^)「強い未練を持った魂は、それなりに危険な存在だから」
( ^ω^)「魂も何もかも、僕が完全に消す」
( ^ω^)「転生する望みはないけど、人が抱える苦しみや辛さからは完全に開放される」
( ^ω^)「面接とは言ったけど…働くかどうかはあんた次第だお」
( ^ω^)「未練を晴らすために、ここで長い時を過ごすか」
( ^ω^)「苦しみから逃げるために、消え去るか」
( ^ω^)「どっちを選んでも誰も何も言わないお」
('A`)
( ^ω^)「さぁ」
( ^ω^)「どうするかお?」
('A`)
('A`)「…私は…」
死の間際に自分の思った『大きな未練』を思い出します。
('A`)「少し、話をしてもいいでしょうか」
( ^ω^)「構わないお。僕の仕事は話を聞くことだお」
一度深く礼をして、私は語り始めました。
('A`)「私には妻がいました。私には勿体無いほど、良く出来た妻でした」
そう、本当に素晴らしい妻でした。
代わりに私が死ねば良かったのだと、心から思えるほどに。
('A`)「家計を支えるためにやっていた、雑誌配達のアルバイト中に」
('A`)「車に轢かれたんです」
('A`)「即死だったと医者に言われました」
いつになっても、生まれ変わろうとも、忘れられないんじゃないだろうかという記憶。
顔に白い布をかけられた妻。何度も何度も頭を下げる運転手の青年。
('A`)「彼を責める気持ちも、もちろんありました。ただ、それ以上に自分が情けなかったんです」
もしも、あの日彼女を仕事に行かせなかったなら。
もしも、私が代わりに配達をしていたなら。
可能か不可能かを問わず、後悔はいくらでも浮かんできました。
そして。
('A`)「私は自殺しました。後追いといえば聞こえはいいかもしれませんが」
('A`)「実際は、彼女のいない世界から逃げたんです」
('A`)「彼女は唯一の心の支えでした。私は、彼女に甘えすぎていた」
('A`)「…私の未練は、『彼女を死なせてしまったこと』」
('A`)「この未練は…過去に戻りでもしない限り、晴らせません」
もちろん過去に戻ることはできません。
しかし振り返ることはできます。
('A`)「…走馬灯ってあるじゃないですか」
('A`)「自分の人生を…彼女と一緒に過ごした日々を、最初から最後まで見させられました」
('A`)「そして思ったんです」
('A`)「彼女のことを忘れたくない、って」
('A`)「消えてなくなるのは簡単かもしれません」
('A`)「でも、彼女の思い出まで全て消えてしまうのは…私は嫌です」
('A`)「だから私は、もう一度生まれたい」
('A`)「記憶がなくなっても、きっと彼女のことは忘れません」
('A`)「そして、この未練も忘れない」
('A`)「次にまた生まれることができたなら」
('A`)「今度はきっと、同じ思いをしないで済むように生きられると思うんです」
('A`)「…いや。生きてやろうと思うんです」
('A`)「それに…同じ後悔を、人に感じさせたくはないんです」
着ぐるみの彼は、何も言わずに私の話を聞いていました。
相変わらず微笑んでいる顔からは、何を考えているのか読み取ることができません。
やがて。
( ^ω^)「あんたの気持ちはわかった」
彼は履歴書を思いっきり破りました。
代わりに取り出したのは、一枚のネームプレート。
( ^ω^)「もうあんたは鬱田ドクオじゃない。ここのスタッフのドクオだ」
手渡された真っ白なそれに、「ドクオ」という文字が浮かび上がりました。
('A`)「はい」
( ^ω^)「年中無休のただ働きだけど、よろしく頼むお」
('A`)「…はい!」
着ぐるみの手袋越しの握手でしたが、彼の手はとても暖かく感じられました。
彼は、ブンダーランドの地図とボールペンを取り出しました。
( ^ω^)「空いてるところは…うん、ここでいいかお」
数字が書き込まれていない、真っ白な四角形に「10」と書き込みます。
ノルマは、10人。
( ^ω^)「んじゃ、次だけど」
( ^ω^)「何をやるか、それを決めてもらう必要があるお」
何をやるか。すなわち、どうやって自分が人を助けるか。
私には、一つの考えがありました。
('A`)「走馬灯はどうでしょうか」
私が最後に見た、あの走馬灯。
('A`)「悩んで立ち止まった時は、一度振り向く時間が必要だと思って」
…私は、それができなかったから。
('A`)「問題は技術的なことなんですけどね…」
人の記憶を覗いて、しかもそれを映像にするなんて技術は現代世界には存在していませんし。
( ^ω^)「それなら心配ないお。ここは夢の世界だお」
着ぐるみの彼が手袋のまま指を弾くと、一台の映写機が現れました。
古めかしいデザインにどこかノスタルジックを感じてしまうのは、私がおじさんになった証でしょうか。
('A`)「何でもありですね…」
( ^ω^)「ただし、動力源が必要だお」
自分の胸を叩きながら、彼は続けます。
( ^ω^)「あんたの気持ちが、こいつの動力源になるお」
( ^ω^)「生まれ変わりたい、人を助けたい…そういう気持ちを、なくしちゃいけないお」
私は大きく頷きました。
外壁は赤いレンガでできており、ドアの上には「Theater」と書かれた看板が掲げられています。
('A`)「…今日からここが、私の職場だ」
('A`)「よろしくお願いします」
礼をして、大きなドアを開きました。
彼に渡されたのは、走馬灯を映し出す映写機一台だけ。
ここをシアターとして機能させるのは私の役目です。
('A`)「さぁ、整備をしないと」
映写機を映写室に置き、私は場内の整備を始めました。
そして、月日は流れて。
今日も、私の仕事が始まります。
場内に、男性の声が響きました。
「ここは何なんだ…?」
戸惑う男性の声に答えるように、私は明かりのスイッチを点けます。
そして、歓迎の挨拶を。
('A`)「いらっしゃいませ、お客様」
どうか、お客様がご自分の人生に希望を見出せますよう。
('A`)ブンダーランドのよ
( ^ω^)ブンダーランドのようです 第6話 从 ゚∀从
( ^ω^)「ちゃーっす」
从 ゚∀从「ああ?」
( ^ω^)「返事は」
从 ゚∀从「…おっす」
( ^ω^)「良し」
从 ゚∀从
从 ゚∀从「何が良しなんだ」
从 ゚∀从「そーかい…」
从 ゚∀从
从∀゚ 从
( ^ω^)「どうかしたかお?」
从 ゚∀从
从 ゚∀从「どこなんだよ、ここ」
从 ゚∀从「?」
( ^ω^)「いいねぇその反応」
( ^ω^)「やっぱ異世界に迷い込んだらそういう反応しないと」
从 ゚∀从「…すまん、話が読めないんだが」
( ^ω^) コホン
( ^ω^)「ブンダーランドへようこそ」
从 ゚∀从
从 ゚∀从「ますます読めねぇ」
从 ゚∀从「バカにしてるよな」
( ^ω^)「すまん」
从 ゚∀从
( ^ω^)「さて、そんじゃ軽くここの説明をさせてもらうお」
( ^ω^)「さっきも言った通りここはブンダーランド」
( ^ω^)「夢の遊園地、だお」
( ^ω^)「ある意味そうだおね」
( ^ω^)「ただ、これは紛れもなく現実だお」
( ^ω^)「なんなら頬でも抓ってみるかお?」
从 ゚∀从「…止めとく。夢にしちゃ地面とかの感触がリアルすぎる」
( ^ω^)「案外論理的だおね」
从 ゚∀从「ご期待に添えず申し訳ありませんね、と」
从 ゚∀从「あー、ある」
( ^ω^)
( ^ω^)「人の話は最後まで聞けよ」
从 ゚∀从「お前それ、着ぐるみだよな?」
( ^ω^)「そうだけど?」
从 ゚∀从「にしちゃよく動くな。声も通るし」
( ^ω^)「またどーでもいいことに食いつくおね…」
从 ゚∀从「早速さっきの発言と矛盾してんじゃねーか」
( ^ω^)っ「細けぇこたぁいいんだお!」
从 ゚∀从「…はぁ」
从 ゚∀从「そうする。いちいち突っ込んでたら日が暮れそうだ」
( ^ω^)「やっと理解してもらえたかお。そんじゃ、アトラクションに案内するお」
从 ゚∀从「え?案内って…俺に選択権ねーの?」
( ^ω^)「実はここ、遊園地は遊園地なんだけど」
( ^ω^)「乗るアトラクションはこっちが選ぶっていう決まりになってるんだお」
从 ゚∀从「へぇー…ま、いいや。好きにしてくれ」
从 ゚∀从「遊園地で喜ぶ年でもねーしな」
( ^ω^)「いつぞやの兄貴に聞かせてやりたい台詞だお…」
从 ゚∀从「はいよ」
スタスタスタスタ
从 ゚∀从「しっかしまぁ…随分広い遊園地だな」
( ^ω^)「それだけが取り柄なんだお」
从 ゚∀从「しかも随分レトロな雰囲気だし」
( ^ω^)「この方が落ち着かないかお?」
从 ゚∀从「確かに、キラキラしてるよりは俺好みかな」
从 ゚∀从「何をだよ」
( ^ω^)「悩み」
从 ゚∀从「お前はカウンセラーか何かか」
( ^ω^)「割かし近い存在だおね」
( ^ω^)「僕は悩みを聞くのが仕事みたいなもんだから」
从 ゚∀从「ただの着ぐるみじゃねぇってわけか」
( ^ω^)「まぁね。んで、聞かせてもらえないかお?あんたの悩みを」
从 ゚∀从「そんな大層なもんじゃねぇんだけどな」
( ^ω^)「でもあるにはある、と」
从 ゚∀从「…あぁ」
从 ゚∀从「俺な、両親がいねぇんだ」
( ^ω^)「良心?」
从 ゚∀从「悪かったな、見た目不良で」
( ^ω^)「俺ってのもどうかと思うお」
从 ゚∀从「こっちのが舐められなくていいんだよ」
从 ゚∀从「…親父もお袋も俺が小さい頃に死んじまってな」
从 ゚∀从「もう顔も覚えてねぇ。会いたいなんて女々しいこと言うつもりもねぇ」
从 ゚∀从「けどな、こないだ母の日だったろ?それでちょっと知りたくなった」
从 ゚∀从「俺の母さんはどんな人だったんだろう、ってな」
( ^ω^)「親父は?」
从 ゚∀从「そっちは父の日にな」
( ^ω^)「親父…あと一ヶ月の辛抱だお…」
从 ゚∀从「どうしたもんかと思ってるんだよ」
( ^ω^)「ふーん…」
从 ゚∀从「んだよ」
( ^ω^)「嘘吐いてるわけではなさそうだおね」
从 ゚∀从「嘘吐いてどーすんだ」
( ^ω^)「嘘吐いても隠したい悩みを抱えてる人間もいるんだお」
从 ゚∀从「そんなもんか」
从 ゚∀从「あ?何ぶつぶつ言ってんだ?」
( ^ω^)「いや…何か他に悩みない?」
从 ゚∀从「ねぇよ」
( ^ω^)「あ、そう…うーん…」
从 ゚∀从「(暇だなぁ…ん)」
从 ゚∀从「なぁ、ここって何のアトラクションなんだ?随分ちっちぇ建物だけど」
( ^ω^)「ん?ああ、ここは…いや、待てよ」
( ^ω^)「…ここならいい、かな」
( ^ω^)「じつはここがもくてきちだったんだおー」
( ^ω^)「ほんとだおーめんどくなったからてきとうにきめてるわけではないおー」
从 ゚∀从「お前…嘘吐くの絶望的に下手だな…」
( ^ω^)「世間では正直者で通ってるお」
ガチャ
( ^ω^)「さ、どうぞ。いってらっしゃい」
从 ゚∀从「…ったく、わかったよ。行けばいいんだろ」
バタン
从 ゚∀从「人いんのかここ」
パッ
从 ゚∀从「ん」
J( 'ー`)し「あら」
从 ゚∀从「ども」
J( 'ー`)し
从 ゚∀从「?」
J( 'ー`)し「…ううん、何でもないの。ごめんね」
从 ゚∀从「はぁ、そっすか」
J( 'ー`)し「ここは何か、かしら?」
从 ゚∀从「ええ、まぁ」
J( 'ー`)し「ここはね、『主婦の戦場』よ」
从 ゚∀从「…微妙に説明になってないような」
J( 'ー`)し「私は管理人のカーチャンっていうの。あなたは?」
从 ゚∀从「あ、俺はハインです。ハインリッヒ」
J( 'ー`)し「うん。よろしくね」
J( 'ー`)し「着いてきてくれたらわかるわ」
スタスタスタスタ
从 ゚∀从「あ、ちょっと…」
J( 'ー`)し「じゃーん」
从 ゚∀从「キッチン…?」
J( 'ー`)し「そう。『主婦の戦場』」
从 ゚∀从「納得っす」
从 ゚∀从「でも、何やるんですか?遊園地ですよね、ここ」
从 ゚∀从「…もしかして」
J( 'ー`)し「お料理よ」
从;゚∀从「うぇぇ…俺、料理って苦手なんすけど…しかも遊園地でやることじゃないんじゃ…」
J( 'ー`)し「いいのいいの。結構楽しいわよ?」
从;゚∀从「いやでも…」
J( 'ー`)し「ね?」
从 ゚∀从「…わかりました」
从 ゚∀从「いきなりそう言われても…」
J( 'ー`)し「ハインちゃんの好きな物でいいのよ」
从 ゚∀从「…じゃあ、肉じゃがとか」
J( 'ー`)し「あら、意外と素朴なのね」
从 ゚∀从「肉じゃがはお袋の味ってよく言うじゃないですか」
从 ゚∀从「けど俺、手作りの肉じゃがって食ったことなくて」
J( 'ー`)し「…そうね。じゃあ、作ってみましょうか」
从 ゚∀从「どこにあるんすか?冷蔵庫とか、見当たりませんけど」
J( 'ー`)し「あっち。スーパーになってるの」
从;゚∀从「調達からやるんすね…」
J( 'ー`)し「食材を選ぶところからがお料理なのよ」
从 ゚∀从「はぁ…そういうもんですか」
J( 'ー`)し「さ、行きましょう」
J( 'ー`)し「肉じゃがの材料、わかる?」
从 ゚∀从「えっと…まず、じゃがいもと肉ですよね」
J( 'ー`)し「まぁ肉じゃがだからねぇ」
从 ゚∀从「あとはニンジンとか?」
J( 'ー`)し「それと、うちで入れてたのは玉ねぎやしらたきってところかしら」
从 ゚∀从「なるほど」
J( 'ー`)し「そうそう、調味料は向こうに置いてあるからね」
从 ゚∀从「わかりました」
从 ゚∀从「…一口にじゃがいもっつっても、色々あるんすね」
从 ゚∀从「あ、男爵いもは聞いたことあるな」
J( 'ー`)し「メークインのほうが煮崩れしにくくていいかもしれないわよ」
从 ゚∀从「へー。中身も違うんすか」
J( 'ー`)し「人間と同じよ」
从 ゚∀从「深い…のかな」
J( 'ー`)し「ごめんね、かご持たせちゃって」
从 ゚∀从「いえ、大丈夫っす」
J( 'ー`)し「あ、そうだ。お米も買っていきましょ」
从 ゚∀从「何でです?」
J( 'ー`)し「お米が欲しくなるからよ」
从 ゚∀从「…わかるような、わからないような」
J( 'ー`)し「さ、お会計お会計」
从 ゚∀从
从 ゚∀从「バイト?」
( ^ω^)「うるせぇ、早くしろお」
( ^ω^)「本来僕は中のことには不干渉だってのに…ブツブツ」
J( 'ー`)し「うふふ、ごめんなさいね。せっかくだから気分出したくて」
( ^ω^)「合計で2000円になりまーす二千円札からお預かりしまーすこちらレシートになりまーす」
从 ゚∀从「まだ金出してねぇけど」
( ^ω^)「いいよもう…ここ自体イレギュラーだし…」
ウィーン
J( 'ー`)し「さぁ、これからが本番よ」
从 ゚∀从「オッス!」
J( 'ー`)し「さぁ、まずは材料を切りましょう」
从 ゚∀从「包丁か…小学校の家庭科以来だ」
J( 'ー`)し「指切らないように気をつけてね」
从 ゚∀从
J( 'ー`)し
从 ゚∀从「いや、今のはじゃがいも切った音で…」
J( 'ー`)し「ばんそうこう貼りましょうか」
从 ゚∀从
从 ゚∀从「ごめんなさい」
从;゚∀从「う…確かに…」
J( 'ー`)し「芽、取れる?」
从 ゚∀从「多分…」
J( 'ー`)し「包丁のお尻のところで…そう、えぐる感じで」
グリッ
从 ゚∀从「えぐるように」
グリッ
从 ゚∀从「こんな感じっすか」
J( 'ー`)し「うん、上手ね」
从 ゚∀从「…へへ」
从 ゚∀从「オッス!」
ザクッ
从 ゚∀从
J( 'ー`)し
J( 'ー`)し「はい、ばんそうこう」
J( 'ー`)し「今ピーラー出すからちょっと待ってね」
从 ゚∀从
从 ゚∀从「お願いします」
从 ゚∀从「いや…するする剥かれながら言われても…」
J( 'ー`)し「練習すればすぐにできるようになるわよ」
从 ゚∀从「精進します」
J( 'ー`)し「よし。皮は剥けたから、適当な大きさに切ってみて」
从 ゚∀从「…よーし」
ザクッ
从 ゚∀从「ばんそうこうください」
从;゚∀从「ナイフならもう少し上手く使えるんすけど…すいません…」
J( 'ー`)し「気にしないで。はい、貼れたわ」
从 ゚∀从「…ばんそうこう程度でこんなこと言うのもなんすけど」
从 ゚∀从「なんか、お母さんみたいっすよね。カーチャンさんって」
J( 'ー`)し「…そう。ありがとうね」
从 ゚∀从「?はい」
J( 'ー`)し「さ、もう少し頑張ってみましょう。今度は私も手伝うから」
从 ゚∀从「オッス!」
ザクッ
从 ゚∀从「ばんそうこうを…」
J( 'ー`)し「玉ねぎは目にしみるから気をつけてね」
ザクッ
从 ;∀从「目がキツいっす…」
J( 'ー`)し「はい、ばんそうこう」
J( 'ー`)し「牛肉は3cmぐらいの長さに」
ザクッ
从 ゚∀从
从 ゚∀从「これで十本目か…」
J( 'ー`)し「経験の問題よ」
从 ゚∀从「いやでも…」
J( 'ー`)し「大丈夫。私だって、昔は下手だったもの」
从 ゚∀从「そうなんすか?」
J( 'ー`)し「ええ。あなたを見てると、昔の私を思い出すわ」
J( 'ー`)し「私も昔はお母さんに教わったものよ」
从 ゚∀从「俺も教わってみたかったなぁ」
J( 'ー`)し「…ハインちゃんのお母さんもそうしたかったと思うわ」
从 ゚∀从「そうなんすかね」
从 ゚∀从「(…って、俺親の話したっけ?)」
J( 'ー`)し「きっとそうよ。私もそうだったから」
从 ゚∀从「…カーチャンさんって、子供いるんですか?」
J( 'ー`)し「今はもう、会うこともできないから…」
从 ゚∀从「…すいません」
J( 'ー`)し「ううん、いいの。気にしないで」
J( 'ー`)し「さ、お料理を続けましょう」
从 ゚∀从「はい」
J( 'ー`)し「もう包丁は使わないで済むから安心してね」
从 ゚∀从「ははは…良かった…」
J( 'ー`)し「最初は材料を炒めるの」
从 ゚∀从
从 ゚∀从「知ってましたよ、ええ」
J( 'ー`)し「あらあらうふふ」
从 ゚∀从「笑わないでくださいよ…」
J( 'ー`)し「ごめんなさいね、楽しくなっちゃって」
从 ゚∀从「だし汁…これか」
J( 'ー`)し「煮立ったら火を少し弱める」
从 ゚∀从「IHって便利っすね」
J( 'ー`)し「灰汁もちゃんと取ってね」
从 ゚∀从「はい…じる…?」
J( 'ー`)し「『あく』よ。表面に浮かんでるそれ」
从 ゚∀从「そういやおたまで一生懸命すくってたな…これ」
从 ゚∀从「よっと」
J( 'ー`)し「調味料も加えて…よし」
J( 'ー`)し「あとは煮汁が少なくなるまで煮込めば完成よ」
从 ゚∀从「ふぅ…こりゃ喧嘩のがよっぽど楽だな…」
J( 'ー`)し「いっぱい怪我もしちゃったしね」
从 ゚∀从「名誉の負傷ってことで」
从 ゚∀从「今まで結構漠然と飯食ってたけど」
J( 'ー`)し「ふふ、そうね」
J( 'ー`)し「でもね、大変な分嬉しいこともあるのよ」
从 ゚∀从「嬉しいことっすか」
J( 'ー`)し「そう。…あ。肉じゃが、煮えたみたい」
从 ゚∀从「おお…美味そう」