( ^ω^)「ここに来るまでの間、色々な建物があったのは見たおね?」
('A`)「はい。遊園地のように見えましたけど」
( ^ω^)「うん、それは正解だお。ここはまさしく遊園地」
( ^ω^)「ここは夢の世界に作られた遊園地なんだお」
('A`)「……」
突然ですが、私は非科学的な物を余り信じない性質です。
ですので、彼の言葉も信じることはできませんでした。
( ^ω^)「あんたが信じようが信じまいが、これは事実だお」
('A`)「…わかりました」
私の返事に、彼は満足そうに頷いて話を続けました。
( ^ω^)「遊園地って言っても、ただの遊園地ではないお」
( ^ω^)「ここの目的は来た人間を遊ばせることじゃなく」
( ^ω^)「来た人間の悩みとかトラウマとか、そういうのを解消することなんだお」
( ^ω^)「それは従業員の裁量に任せることになってるお。例えば」
履歴書が入っていたのとは逆のポケットから、少々古ぼけた紙が取り出されました。
手招きされるままに立ち上がり、机の上に広げられたそれを覗き込みます。
そこにはいくつもの四角形が書き込まれており、その中には丸囲みされた数字が入っていました。
( ^ω^)「これ、ここの地図の一部ね。四角形はアトラクション」
('A`)「この数字は?」
最初はアトラクションの解説でもあるかと思いましたが、紙にそれらしきものは書いてありません。
よく見れば書かれている数字はどこもばらばらで、同じ数字が書かれているところもあります。
さらによく見れば、数字は10までしかないようでした。
( ^ω^)「ノルマだお」
ノルマとは、と聞き返すよりも早く、彼のもこもこした手が一つの四角形を指差しました。
( ^ω^)「ここはミラーハウスになってるお」
('A`)「全面鏡張りのあれですか」
( ^ω^)「そうだお」
( ^ω^)「『じぶんのふりみて わがふりなおせ』」
('A`)「…人の振り見て、じゃないんですか?」
( ^ω^)「ミラーハウスだけに、ってことらしいお」
彼はそう言って肩をすくめ、再び別の四角形を指差しました。
ここの数字は「1」となっています。
( ^ω^)「ここはお化け屋敷なんだけど」
( ^ω^)「本人のトラウマを見せて、それを倒すことで克服させるっていう荒療治をやってるお」
('A`)「それはまた…」
( ^ω^)「まぁ他も大体荒療治なんだけど」
その後もいくつかのアトラクションについて話を聞かせてもらいます。
( ^ω^)「仕事内容についてはこんなところだおね」
慣れた手付きで地図が畳まれます。
('A`)「ええ…理解はできました」
('A`)「でも、仕事内容についてだけです」
彼は何も言いません。
私はぶつけました。今、一番の疑問点を。
('A`)「何故私なんですか?」
自分で言うのもなんですが、私は何の取り柄もない男です。
その私が何故、自分で望んだわけでもないのにこのような場所の従業員面接を受けているのでしょうか。
( ^ω^)「何故、ねぇ」
彼は再び履歴書を取り出しました。
( ^ω^)「そういえば、ここの採用条件を言ってなかったおね」
履歴書の下の方を眺めながら、彼は言いました。
( ^ω^)「まず、大きな未練を抱えた人間であること」
('A`)「……」
( ^ω^)「そしてもう一つ」
( ^ω^)「死んでいる人間であること」
履歴書の表側がこちらに向けられました。
その一番下の欄に書かれている文字を、彼は読み上げます。