( ^ω^)ブンダーランドのようです 第1話 (´・ω・`)
( ^ω^)「ブンダーランドへようこそ」
(´・ω・`)
(´・ω・`)「え?」
( ^ω^)「ゆっくりしていってね」
(´・ω・`)「まずここについて詳しく教えてほしいんだけど」
( ^ω^)
( ^ω^)「めんどくせぇ」
(´・ω・`)「勝手に連れてきておいてそれはどうかと思うよ」
( ^ω^)「はぁ…わかったお」
(*^ω^)「ここは夢の世界ブンダーランド☆」
(*^ω^)「日頃の疲れをしっかり癒していって欲しいんだお☆」
(´・ω・`)
( ^ω^)「なんとか言えや」
(´・ω・`)「うん…なんていうか…斜め上だったから…」
( ^ω^)「けっ」
( ^ω^)「社会の歯車と化したおっさんには、テーマパークのマスコットの気持ちなんてわからんのだお」
(´・ω・`)「社会の歯車…ね…」
( ^ω^)「ま、そんなことはどーでもいいんだお」
( ^ω^)「さっきも言ったけど、ここは夢の国」
( ^ω^)「しっかり疲れを癒して社会を回してくれよおっさん」
(´・ω・`)「言い方もっと考えてくれよ」
(´・ω・`)「まぁ…そういうことなら、羽を伸ばさせてもらおうかな」
( ^ω^)「そうするがいいお」
(´・ω・`)「で。パンフレット的なものはあるのかい?」
( ^ω^)「ないお」
(´・ω・`)
( ^ω^)「ここにあるアトラクションはたった一つだけだお」
(´・ω・`)「それテーマパークとして機能してるのかい?」
( ^ω^)「部外者に気にされるほど苦しい経営はしてないお」
(´・ω・`)「まぁなんでもいいや…案内してくれよ」
( ^ω^)「おっけーだお」
(´・ω・`)「…随分色んなアトラクションがあるように見えるけど」
(´・ω・`)「これは乗れないのかい?」
( ^ω^)「ダメだお」
( ^ω^)「これはあんたのためのアトラクションじゃないんだお」
( ^ω^)「あんたが乗れるものは、一つしかないんだお」
(´・ω・`)「面倒なシステムなんだね」
(´・ω・`)
( ^ω^)
(´・ω・`)「遠いんだね」
( ^ω^)「そうだおね」
(´・ω・`)
( ^ω^)
(´・ω・`)「なぁ」
( ^ω^)「黙っているのが辛いのかお?」
(´・ω・`)「…少しね」
( ^ω^)「なら、話したいように話せばいいと思うお」
(´・ω・`)
(´・ω・`)「少し、聞いてくれ」
(´・ω・`)「君の言う通り、僕は社会の歯車だ」
(´・ω・`)「上司に媚を売って、部下には馬鹿にされて」
(´・ω・`)「それでも毎日、書類と向き合って」
(´・ω・`)「実のない会議をして、家でも仕事をして」
(´・ω・`)「疲れたらそのまま寝て、起きればまた会社」
(´・ω・`)「そしてまた媚を売って馬鹿にされて」
(´・ω・`)「毎日毎日、その繰り返しだ」
( ^ω^)「それで?」
(´・ω・`)「すごくつまらないんだ」
(´・ω・`)「昔見ていた夢は輝きを失って」
(´・ω・`)「今に希望も見い出せなくて」
(´・ω・`)「未来は真っ暗に閉ざされてる」
(´・ω・`)「僕はどうすればいい?」
(´・ω・`)「どうすれば、この歯車から抜けられるんだ?」
(´・ω・`)「僕は、僕は」
( ^ω^)「着いたお」
(´・ω・`)「え」
( ^ω^)「着いたって言ってんだお」
(´・ω・`)「アトラクションなんかどうでもいいんだ」
(´・ω・`)「僕の話を聞いてくれ」
( ^ω^)「僕はしがないマスコットだお」
( ^ω^)「僕の仕事は、あんたの愚痴を聞くことじゃない」
( ^ω^)「あんたをここに案内することだお」
(´・ω・`)「…そんな」
(´・ω・`)「癒してくれるんじゃなかったのか?僕の悩みを解消してくれるんじゃなかったのか?」
( ^ω^)「なら、一つ聞くけど」
( ^ω^)「あんたはそこを抜け出す努力はしたのかお?」
( ^ω^)「自分の中に鬱憤を溜め込んで、大人ぶって」
( ^ω^)「それを続けた結果が、今なんじゃないのかお?」
(´・ω・`)「…しょうがないじゃないか」
( ^ω^)「本当にしょうがないのかお?」
( ^ω^)「あんたはさっき言ったお。『昔見ていた夢は輝きを失った』と」
( ^ω^)「本当に夢は輝きを失ったのかお?」
( ^ω^)「どんな宝石でも、ほっとけば黒ずむんだお」
( ^ω^)「あんたは宝石を磨く努力をしなかったんじゃないのかお?」
(´・ω・`)「…僕は」
( ^ω^)「おっと」
( ^ω^)「これ以上あんたをここに入れないでいると、僕の存在意義が失われてしまうお」
ガチャッ
( ^ω^)「いってらっしゃい」
(´・ω・`)「……」
バタン
(´・ω・`)
(´・ω・`)「…真っ暗だ」
(´・ω・`)「ここは何なんだ…?」
パッ
('A`)「いらっしゃいませ、お客様」
(´・ω・`)「君は?」
('A`)「ドクオと申します。ここ、『走馬灯シアター』の管理を任されております」
(´・ω・`)「走馬灯…」
('A`)「こちらでは、お客様の半生を走馬灯という形で上映させて頂いております」
('A`)「ご自分の人生を見つめなおすのに打ってつけかと」
(´・ω・`)「…今更、何を見ろって言うんだ」
('A`)「上映開始のお時間となりました」
('A`)「携帯電話の電源はお切りください。フラッシュ撮影等もお止めください」
ブー
('A`)「では、どうぞ」
『(´・ω・`)』
(´・ω・`)「…僕だ」
『(´・ω・`)「ぼくのゆめ」』
(´・ω・`)
『(´・ω・`)「ぼくのゆめは、やきゅうせんしゅになることです」』
『(´・ω・`)「しょうらいはながしまやおうのようなだいせんしゅになりたいです」』
『(´・ω・`)「ほーむらんをいっぱいうって、みんなによろこんでもらいたいです」』
(´・ω・`)「ああ。僕は野球選手になりたかった」
(´・ω・`)「誰でも思う、平凡で…そして、ほとんどの人は叶えられない夢だ」
『(;´・ω・`)』
(´・ω・`)「野球部に入って、練習もいっぱいしたよな」
(´・ω・`)「球拾いばっかりだったけど」
『(*´・ω・`)』
(´・ω・`)「はは…練習試合でたまたま打っただけなのに、あんなに喜んでる」
『(#´∀`)』
(´・ω・`)「…あの先輩は、練習のときは怖かったな」
『(;・∀・)』
(´・ω・`)「同級生の…彼も、僕と同じように働いているんだろうか」
(´・ω・`)「…次は中学か」
『(,,゚Д゚)』
(´・ω・`)
『(,,゚Д゚)「よっし!またホームランだぜ!」』
(´・ω・`)「…この頃、かな…夢が輝きを失ったのは」
(´・ω・`)「何をやっても敵わない相手が出てきたんだ」
(´・ω・`)「嫌っていうほど思い知らされた」
(´・ω・`)「自分と彼とは、生きてる次元が違うって」
(´・ω・`)「…そして、彼も」
『(,,゚Д゚)「…おっす…久しぶりだな」』
『(,,゚Д゚)「レギュラー?…入ってねーよ」』
『(,,゚Д゚)「補欠すらダメだった」』
『(,,゚Д゚)「なんていうか…次元が違うよ、上手いやつは」』
(´・ω・`)「…決定的、だったな」
(´・ω・`)「彼は、本当に上手かったのに…高校じゃ全然歯が立たなかったらしい」
(´・ω・`)「自分が勝てない彼が更に勝てない相手」
(´・ω・`)「見えない壁だったけど…果てしなく高い壁だった」
(´・ω・`)「僕は…すっかり、諦めてしまったっけ」
(´・ω・`)「…磨くのを、やめてしまった」
(´・ω・`)「僕の夢は宝石なんかじゃなく」
(´・ω・`)「どこにでも転がってるような、石ころだと気付かされたから」
『(,,゚Д゚)「よ。甲子園出場決定したぜ」』
『(,,゚Д゚)「ま、俺は出ないんだけどな」』
(´・ω・`)「…不思議だったな」
(´・ω・`)「どうして、彼は笑っていられたんだろう」
(´・ω・`)「自分だってベンチに座っていたかったはずなのに」
『(,,゚Д゚)「お前も応援してくれよな」』
(´・ω・`)「…僕は結局、彼の高校の試合を見なかった」
(´・ω・`)「後で新聞で見たら…二回戦敗退だった」
(´・ω・`)「世界の広さをまた思い知った」
(´・ω・`)「…はは。後は早送りか。ありがたいね」
('A`)「お客様がそう望んでいるようでしたので」
(´・ω・`)「ありがとう」
ピロロロロロ…
('A`)「…お客様。お電話がなっております」
(´・ω・`)「…そんな。ちゃんと電源切ったのに…すいません」
('A`)「どうぞ、出てください」
(´・ω・`)「え」
('A`)「あなたはその電話に、出なければなりません」
(´・ω・`)「……」
('A`)「さぁ」
ピッ
(´・ω・`)「もしもし」
『おっ、つながった。ショボン…だよな?』
(´・ω・`)「そう、ですけど…どなたですか?」
『俺だよ。ギコ』
(´・ω・`)「よく僕の携帯がわかったね」
『なかなか大変だったぜ』
(´・ω・`)「…まだ、野球やってるのかい?」
『ああ』
(´・ω・`)「…君はすごいね」
『そうか?好きだからやってるだけだけどな』
(´・ω・`)
(´・ω・`)「好きだから、か」
(´・ω・`)「そうだね。僕も、好きだったよ」
『なんだ?今は嫌いになっちまったのか?』
(´・ω・`)「さぁ…どうなんだろうね」
(´・ω・`)「長いことやってないから、覚えてないんだ」
『なら、思い出させてやる』
(´・ω・`)「……」
『今度の日曜日に草野球の大会がある』
『単刀直入に言うぜ。お前に出てもらいたい』
(´・ω・`)
『どうだ?』
(´・ω・`)「…いいのかい?僕で」
『お前が出ちゃいけない理由でもあるのか?』
(´・ω・`)
(´・ω・`)「ないね」
『だろ?』
『んじゃ、今度の日曜の朝八時に…そうだな…』
(´・ω・`)「中学の前はどう?」
『お、いいな。んじゃ、そこで集まって現地に行くってことで』
(´・ω・`)「ああ、わかった。肩を慣らしておくよ」
『おう。やるからには、しっかり働いてもらうぜ』
(´・ω・`)「お手柔らかに頼むよ」
『そんじゃ、またな』
(´・ω・`)「ああ」
ピッ
(´・ω・`)
('A`)「いかがでしたか?」
(´・ω・`)
(´・ω・`)「思い出したよ」
('A`)「そうですか。良かったですね」
(´・ω・`)「はい」
('A`)「…上映は以上となります。後ろの扉からご退場ください」
(´・ω・`)「わかったよ」
ガチャッ
('A`)「お客様」
(´・ω・`)「ん?」
('A`)「お客様がこちらに二度とお越しにならないよう、祈っております」
(´・ω・`)