ドクオは一度部屋から出て行き、例の男とを呼びに行った。
間もなく、廊下を歩く音が聞こえてきた。
兄者がとっくりを畳の上に置き、刀の柄に手をかける。
モララーは体の向きを変え、身を固くした。
部屋に届く剣気が、異様に冷たかった。
(`・ω・´)「失礼する」
入ってきた男を見て、意外に若い、と二人は思った。
確実に年下にもかかわらず、全ての動作が洗練されている風に感じた。
( ´_ゝ`)「座りなよ」
(`・ω・´)「ああ」
シャキンは一番近くの座布団に腰を下ろし、片膝を立てた形で座った。
身のこなしに一切の隙を感じなかった。
( ´_ゝ`)「兄者だ」
( ・∀・)「モララー」
(`・ω・´)「名は、シャキン」
部屋の外にいたドクオは、どうやら合格だったらしいと胸をなで下ろし、
いつもの商いへと戻っていった。
三人がそれぞれ向かい合って座ると、しばらく沈黙が続いた。
元々、相容れぬ性質を持った三人であった。
偶然同じ目的を持った彼らを、奇妙な縁が結んだだけだ。
( ´_ゝ`)「シャキンさんよお」
沈黙を破ったのは兄者だった。
( ´_ゝ`)「その若さで、今まで何人を斬ったんだい?
血の臭いを通り越して、獣かと思ったよ」
(`・ω・´)「お前には関係無いな」
( ´_ゝ`)「へえ。どうしてこう、みんな俺に冷たいのかね」
( ・∀・)「そんなことより、これで全員なのか?
三人集まったところで、どうにかなる相手とは思えん」
( ´_ゝ`)「ドクオ! 酒が切れたぞ!」
言葉を遮られたモララーが、兄者を睨み付けた。
大げさな動作で視線を払うと、口の端を持ち上げる独特な笑い方で兄者は笑った。
( ´_ゝ`)「策は一応、あるんだよ」
(`・ω・´)「策などいらん。奴の場所を突き止めさえすれば、俺が一人で奴を斬る」
( ´_ゝ`)「無理だな」
言った瞬間、おぞましい程の殺気がシャキンから放たれた。
いつでも抜刀できるようにモララーは柄を掴んだが、兄者は座ったまま涼しい顔をしていた。
( ´_ゝ`)「殺気も、剣気も、奴は呑み込む。あんたじゃ奴は斬れない。
俺たち三人が向かった所で、触ることすらできないだろう」
(`・ω・´)「他に仲間がいるのか?」
( ´_ゝ`)「仲間ではないが、人手はある」
どたどたと廊下を駆けてくるドクオの足音が聞こえた。
とっくりを乗せたお盆を持って、息を切らせて部屋に入ってきた。
(;'A`)「ちょっとは遠慮して下さいよお」
( ´_ゝ`)「いいから酒を渡せ」
お盆を奪い取ると、犬猫を払うみたいに帰れという仕草をする。
ぶつぶつと小言を愚痴りながら、ドクオが部屋から出て行った。
( ´_ゝ`)「有子部超急隊。これを奴にぶつける」
兄者のとっくりを傾ける手が止まらない。
他の二人は、ただ黙って腕を組んでいた。
十六輪「集結」 終わり
ハインの住んでいた長屋を訪ねた。
部屋が何処かは覚えている。
中に入り、彼が持ち出したはずの藩の証文を探した。
書かれているのは、幕府に隠している裏金の証拠だが、それ自体に興味は無かった。
ハインはこの証文に命をかけ、終わり方はどうあれ、散ってしまった。
死ぬには惜しい、惜しすぎる男だと思える。
|゚ノ ^∀^)「あなた、ハインさんのお友達?」
長屋を出たところで声をかけられた。
見覚えがあった、以前ハインの部屋が何処なのかを尋ねた、米を洗っていた女だ。