1 :
バスケ大好き名無しさん:
3 :
天才予想家・滝廉太郎 ◆f5HbbHReB6 :2012/11/20(火) 01:17:29.31 ID:E5oOSORa
【三年生】
五十嵐 駆 F 新潟・亀田西
土屋 真人 G 山形・上山南
野里 惇貴 SF 青森・弘前津軽
畠山 凌 SF 秋田・能代南
三浦 基 G 秋田・能代南
吉川 雄磨 G 秋田・秋田城南
【二年生】
安保 友貴 SG 東京・京北
小田桐匡志 SG 青森・弘前津軽
佐々木健登 F 秋田・美郷六郷
砥綿 啓伍 PG 福岡・筑紫野筑紫野
中島 強太 PF 埼玉・加須昭和
松本 大河 G 埼玉・所沢柳瀬
水木 隼 SF 秋田・能代南
湊 俊樹 SG 秋田・井川井川
三根 一求 PG 長崎・長崎小ヶ倉
【一年生】
荒木 直 C 東京・町田忠生
猪狩 渉 PG 福島・いわき中央台北
伊藤 諒哉 SF 東京・実践学園
長谷川 暢 G 埼玉・上尾大石
渡邉 竜也 SG 秋田・秋田飯島
【戦力】
PG 土屋3 砥綿2 三根2 猪狩1
SG 小田桐2長谷川1吉川3 渡邉1
SF 野里3 松本2 安保2 湊2
PF 佐々木2畠山3 伊藤1
C 中島2 荒木1
WC県予選決勝メンバー
4○ 土屋 真人 3
5○ 佐々木健登 2
6○ 松本 大河 2
7○ 野里 惇貴 3
8 長谷川 暢 1
9 畠山 凌 3
10― 中島 強太 2(不出場)
11 安保 友貴 2
12― 小田切匡志 2(不出場)
13○ 砥綿 啓伍 2
14 吉川 雄磨 3
15 荒木 直 1
16 三根 一求 2
17 渡邉 竜也 1
18 伊藤 諒哉 1
19 湊 俊樹 2
20 猪狩 渉 1
21 幸崎 竜馬 ?
WC県予選決勝メンバー
4○ 土屋 真人 3
5○ 佐々木健登 2
6○ 松本 大河 2
7○ 野里 惇貴 3
8 長谷川 暢 1
9 畠山 凌 3
10― 中島 強太 2(不出場)
11 安保 友貴 2
12― 小田桐匡志 2(不出場)
13○ 砥綿 啓伍 2
14 吉川 雄磨 3
15 荒木 直 1
16 三根 一求 2
17 渡邉 竜也 1
18 伊藤 諒哉 1
19 湊 俊樹 2
20 猪狩 渉 1
21 幸崎 竜馬 ?
男は懐から巾着袋を取りだし、中から白い塊を手に取った。
よく見ると、それが魚を模した飴細工だとわかった。
肩口から腰を、斜めに分断された子供の屍体の口を開けようとし始める。
だが硬直した顎のせいで、僅かにしか口が開かない。
男は片手で飴細工をすりつぶし、小さく開いた口にさらさらと破片を流し込んだ。
彼の視線は少女ではなく、何処か遠くをさまよっていた。
気味の悪い男だと思った。
庫裡を出ると、まだ回っていない道場がないか町をうろつくことにした。
路銀はいつも心許なく、かといって口入れをもらうのも嫌なので、道場破りはし続けていた。
一つの道場を見つけ中に入ったが、他流試合は断られた。
人喰い夜猿を打つために、自警団を組んでいるところで、道場の剣士たちが出払っているらしい。
(゚A゚* )「えらい、物騒なことになってますさかい、うちもてんやわんやですわ」
強い訛りを使う女は、訪れた道場の下女であった。
詫びということで茶を出してもらっているが、試合ができない以上早く帰りたい。
(゚A゚* )「あんた、知ってます? 幕府の方が愚連隊を遣わしてくるって」
(`・ω・´)「愚連隊?」
(゚A゚* )「夜猿です。夜猿を討つために、美府に精鋭を送り込んで来るらしいんです。
嫌ですわあ。この町で物騒なことしないで欲しいんです」
(`・ω・´)「どれだけ急いでも、あと二週間はかかります。
その間に夜猿が別の町に行ってしまうかもしれない」
(゚A゚* )「そうでっしゃろ」
(`・ω・´)「何か奴が、この町に居残る理由があれば、別なんでしょうが……」
(゚A゚* )「しかもですよ、送られてくるのは有子部超急隊(ありしべちょうきゅうたい)という部隊で、
徳川直参の剣豪たちを集めた部隊らしいです。数も、五十人程度いるとか」
有子部超急隊は、幕政が揺らぐときのみかり出される、超級剣客隊である。
徳川の直命でのみ動き、所属している剣士の情報や、全体の正確な人数は秘密にされている。
おそらく、先日の旗本殺害が効いているのだと目星をつけた。
五年もの間人斬りを許した幕府が、やっと重い腰を上げたのだ。
(`・ω・´)(奴らよりも先に、夜猿を討つべきなのか)
様々な思惑が頭を駆けるが、目的はただ一つ、五年前から変わらずにいるものだ。
人喰い夜猿、ブーンを自分の手で斬り殺す。
ただそれだけを目指して、闇にまで墜ちてきた。
(`・ω・´)「ご馳走になりました。のーちゃん殿も、夜道にはお気を付けて」
(゚A゚* )「あら、そんな、大したことしてませんけども」
下女の女は耳を赤くし、飲み干した湯飲みを持っていそいそと部屋から出て行った。
道場から出ると、ただ町をふらふらと歩いた。
あまり寝ておらず、足下が浮ついた。
日が落ちると、朝になるまで町をさまようことも多かった。
ブーンに出くわすことを期待して、わざと人通りのいない道を歩いたが、
今の今まで気配すら感じたことがない。
浪人の集団とすれ違った。
どうやら、浪人同士で手を組んで夜猿を討伐しようとしている者たちだった。
(`・ω・´)(お前らには一生かかっても無理だ)
だが、一人でいるよりは、出くわす可能性だけは高そうだ。
繋がりがあれば、情報の交換も行える。
シャキンのように地道に聞き回っているよりは、よほど賢いかもしれない。
だが誰かと手を組むとすれば、使えない木偶はまっぴらごめんだ。
むしろ、いるだけ邪魔だろうと思った。
「シャキンさん?」
不意に名前を呼ばれ、歩みを止めた。
振り返ると、見覚えのある小男がいた。
('∀`)「探しましたよお。覚えていらっしゃいますか?」
始めはわからなかったが、記憶の底を辿ると、長岡道場の者だと見当が付いた。
ツンのことで自分を探していたのかと思ったが、敵意は感じられなかった。
(`・ω・´)「ええ。長岡道場の」
('A`)「そうですそうです。良ければ、お茶などしませんか?」
(`・ω・´)「いえ、急いでおりますので」
さっさと旅籠に戻って昼寝でもした方が有意義そうに思えた。
男は慌ててシャキンの前に回り込むと、平身低頭で言った。
(;'A`)「ちょっとお待ちください。実は夜猿のことで、仲間を集めているんです。
もしも夜猿を倒して五百両得たいということでしたら、一枚噛んでやみませんか?」
ちょうどそのことを考えてはいたが、安易に受けていいものだろうか。
(`・ω・´)「あなたと私が組むと?」
('A`)「いえ、あたしの家に浪人がおりまして。その男が仲間を欲しいと言っているんです。
大勢はいらないようで。シャキンさんほどの方でしたら、奴も喜ぶと思うのですが」
(`・ω・´)「夜猿はただの辻斬りじゃない。その男は遣える者なのですか?」
('A`)「あたしは商人もやってるんで、目利きにだけは自信があります。
相当な遣い手だと思いますよ」
(`・ω・´)「へえ。そう」
シャキンが抜刀し、刃先を男ののど元に当てるまで、男は何も見えなかったようだ。
いつの間にか自分に向けられていた刀を見て、小さく悲鳴を上げた。
(`・ω・´)「私よりも強いと思いますか?」
どうせこうなるんだろうと思ってたよ
だから余計なことしなくて良いって言ったのに
>>1乙だけどやっぱりこいつ来るのか・・・・
あっちのスレ行け
腰が砕けた男は、その場に崩れ、がたがたと震えていた。
だが視線だけはシャキンから外さなかった。
(;'A`)「わ、わかりません。けど、強いですよ。あなたも相当お強い。
そこいらの剣士とは訳が違う。でも、その男も、ただの浪人ではない」
嘘を言っている風ではないし、騙そうとしているようにも見えない言い方だ。
目利きというのがどの程度か信用はできなかったが、会うだけ会っても良さそうだと思った。
(`・ω・´)「その男は何処に?」
(;'A`)「あたしの家にいます。あ、申し遅れました。あたしは薬屋のドクオといいます」
(`・ω・´)「ドクオさん。近い内に伺います」
('A`)「はい。お待ちしております。何卒、ごひいきに」
立ち上がり、深く頭を下げたドクオに背を向け、シャキンは歩き出す。
得体の知れない浪人たちがはびこり、その乱れた剣気に、にわかに町がざわめきだっていた。
五百両という懸賞金以上に、自分の名を売りたい者たちが多いようだ。
まずは自分で、強い者を探してみようと考えた。
見つからなければ、ドクオの言う浪人を当たってみればいい。
だが、誰と、何人と組もうが、最後にやつを斬り殺すのは自分の役目だと思った。
五年前から一時も忘れず、やつの殺意だけで生きてきた。
皆が兄を忘れ、記憶の隅に追いやる中、自分だけが兄を背負っていた。
今でも振り返れば兄がこちらに笑いかけてくる気がした。
背負っているのではない。縛られておるのじゃ。
シャキンに殺される直前に、荒巻が言った言葉だ。
心に響いた訳ではないが、兄の追懐と共に、どこからか響いてくるようになった。
呪詛のように、夜がやってくると、耳の奥で荒巻が囁くのだ。
夜猿ごと、全て絶ちきる。
生きるには、そうするしか無かった。
十四輪「愚連隊」
( ・∀・)「もうすぐ海だ」
松林に囲まれた道を抜けていくと、遠くに砂浜の盛り上がりが見えた。
早足で歩く癖が無くなっていたので、ここまで随分とかかってしまった。
小さな砂浜に、いくつか舟が座礁していた。
既に使われていないようで、手入れされておらず、藻が生えていた。
( ・∀・)「想像していたより、潮の臭いはしないだろう?」
海岸線を歩いて行く。
陽はまだ高く、ちりちりと耳の裏から肌を焦がしていった。
しばらく歩くと、岩礁がぽつぽつと見えた。
飛び移りながら沖の方を目指したが、上に乗れるほどの岩礁はすぐに途絶えた。
岩に当たる波が砕けて散り、袴を濡らしていく。
肌にじっとりと潮がつき始めた。
両手に抱えた壺をそっと隣に降ろし、岩の上に腰を下ろした。
尻が濡れたが、気にならなかった。
つーが死んだ。
五輪寺でつーの屍体を見つけた旅籠の女将が、モララーへ教えた。
確認した屍体は、確かにつーのものだった。
夜猿が町人を斬り殺したというのは、知っていた。
あのとき夜猿から逃げ回っていたのはモララーだ。
ただ、あのときつーが、あんなにも近くにいたことは、知らなかった。
知っていれば、走る道を変えていただろう。
いずれにしろ、モララーは夜猿から逃げ出し、逃げ出したことで、つーが死んだ。
一度拾った命を、また落とした。
( ・∀・)(全て失った)
士道も、友も、つーも、何もかもを失った。
ハインは否定してくれたが、今の自分は魂すらない木偶にしか感じなかった。
骨壺の蓋を取り、中の骨を手ですくう。
元々小さい体だったのに、もっと軽くなった。
手のひらの上で残っていた骨のかけらは、風が吹くと消えるように飛んでいった。
陽が高いにも関わらず、暑いとは感じず、光の眩しさもわからなかった。
最後につーとした会話は何だったか、思い出せないでいた。
思い出せるのは、屈託のない笑顔だけだった。
ハインも、つーも、記憶にある顔はいつも笑っているものばかりだ。
仏頂面の自分と居るときでさえ笑えるのだ。
あの二人に勝てるはずがない。
汚い仕事に手を染めたにも関わらず、ハインに気迫で負け、夜猿から逃げ出し、
つーを殺してしまって、まだおめおめと生きようとしている。
これを、木偶と言わずして何と呼ぶか。
木偶は悩まない。
ハインの笑い声が聞こえた気がした。
一つ、思い出した。
約束があった。
( ・∀・)(海、これも、そういえば約束だった)
こんなことになるなら、ハインと立ち会わずに、つーと海に行くべきだった。
そしてもう一つ、自分は約束していることがある。
もうあっちで良くね?
スレタイ気にして荒らされるスレにこだわってたらやってけねーよ
新スレ立ったか
良かった良かった
骨壺を掴み、振り上げた。
渾身の力を込めて、壺ごと海に放り投げる。
空中で骨の粉が飛び散り、風に舞って海に消えていった。
( ・∀・)「魚が好きだっただろう。生まれ変わるなら、魚になるといい」
好きといっても、刺身が好きというのなら、少し違うかとも思った。
岩礁から腰を上げたとき、下半身がすっかり海水で濡れていた。
手で絞ると、足下に海水がぼたぼたと落ちた。
一際大きい波が岩礁に乗り上げた。
突然の出来事であったが、割れる水の壁を冷静に眺めていた。
目はいいのだ。
刀を抜き、振り上げるまで、躊躇や迷いはなかった。
縦に割れた波は、モララーを避けるように岩礁を叩いた。
積み上げてきたものは無くなったが、かえって剣が軽くなったように感じる。
( ・∀・)「薬屋の、ドクオか」
波の音に掻き消されそうなほど、それは小さな呟きだった。
十五輪「海」 終わり
ドクオは店に入ってきた者に挨拶をしたが、その者は棚に並んだ薬には目も暮れず、
真っ直ぐに店の奥へ進んでいった。
(;'A`)「お客さん?」
男は構わず廊下を進んでいく。
ある部屋で立ち止まると、障子を勢いよく開けた。
部屋の中にいた男が、酒をあおりながら薄く笑った。
( ´_ゝ`)「よく来たな」
着流しをはだけさせ、大きくあぐらをかいて座っていた兄者は、
目線だけで座ることを促した。
( ・∀・)「昼間から、酒か。人斬りに品性が無いというのは同じだな」
( ´_ゝ`)「まあ、否定はせんよ」
モララーは、兄者の正面ではなく、横に置かれた座布団の一つに腰を下ろした。
兄者とは対照的に、座っているときでも姿勢は崩さなかった。
( ・∀・)「座布団がもう一つあるが、誰か来るのか?」
( ´_ゝ`)「さあ? そいつに訊いてくれ」
兄者が顎で指したのは、障子戸の前でもじもじしているドクオだ。
(;'A`)「今日来るかはわかりませんよ。でも声はおかけしたんで」
( ´_ゝ`)「だそうだ」
( ・∀・)「強いのか?」
('A`)「た、たぶん」
軽くドクオを睨むモララーから逃げるように、お茶を出しますとだけ言って
ドクオは部屋から駆けていった。
( ´_ゝ`)「来ないかと思ってた。お坊ちゃんには厳しい相手だからな。五百両が惜しくなったか?」
( ・∀・)「約束だ」
( ´_ゝ`)「何?」
( ・∀・)「約束があるんだ。俺が夜猿を斬ると言った。だから斬る」
( ´_ゝ`)「ふうん」
兄者はモララーの発する、数日前とは異なる剣気に気がついていた。
何が変わったのかはわからないが、一種の覚悟は感じた。
( ´_ゝ`)「夜猿と会ったことはあるか?」
( ・∀・)「ある。剣を構えることすらできず、肩を斬られたが」
( ´_ゝ`)「よく逃げられたな」
モララー逃げられたのは、飴細工のおかげだ。
つーが救ってくれたのだと思うと、いっそう剣気が漲った。
( ・∀・)「俺一人では勝てん。それは、理解できた」
( ´_ゝ`)「俺たちならどうだ?」
( ・∀・)「無理だろうな」
( ´_ゝ`)「俺もそう思う。俺も、夜猿とは一度会った。
あれは人ではない。人を捨てた者だ。まともな太刀では体を素通りするだろうさ」
( ・∀・)「勝てる当てはあるのか?」
( ´_ゝ`)「ドクオが連れてくるもう一人の男次第だな」
兄者が酒を勧めてきたが、モララーは断った。
ちょうどそのとき、廊下を走る音が聞こえ、ドクオが顔を出した。
(;'A`)「来てくれましたよ。例の人」
すぐには返事をせずに、兄者はまた酒をあおる。
( ´_ゝ`)「下らん奴だったら、お前ごと斬り捨てるからな」
(;'A`)「そ、そんなあ。勘弁して下さいよ旦那」
荒らしもういなくなったのか
飽きるの早いな
秋田最高
能代最高
ドクオは一度部屋から出て行き、例の男とを呼びに行った。
間もなく、廊下を歩く音が聞こえてきた。
兄者がとっくりを畳の上に置き、刀の柄に手をかける。
モララーは体の向きを変え、身を固くした。
部屋に届く剣気が、異様に冷たかった。
(`・ω・´)「失礼する」
入ってきた男を見て、意外に若い、と二人は思った。
確実に年下にもかかわらず、全ての動作が洗練されている風に感じた。
( ´_ゝ`)「座りなよ」
(`・ω・´)「ああ」
シャキンは一番近くの座布団に腰を下ろし、片膝を立てた形で座った。
身のこなしに一切の隙を感じなかった。
( ´_ゝ`)「兄者だ」
( ・∀・)「モララー」
(`・ω・´)「名は、シャキン」
部屋の外にいたドクオは、どうやら合格だったらしいと胸をなで下ろし、
いつもの商いへと戻っていった。
三人がそれぞれ向かい合って座ると、しばらく沈黙が続いた。
元々、相容れぬ性質を持った三人であった。
偶然同じ目的を持った彼らを、奇妙な縁が結んだだけだ。
( ´_ゝ`)「シャキンさんよお」
沈黙を破ったのは兄者だった。
( ´_ゝ`)「その若さで、今まで何人を斬ったんだい?
血の臭いを通り越して、獣かと思ったよ」
(`・ω・´)「お前には関係無いな」
( ´_ゝ`)「へえ。どうしてこう、みんな俺に冷たいのかね」
( ・∀・)「そんなことより、これで全員なのか?
三人集まったところで、どうにかなる相手とは思えん」
( ´_ゝ`)「ドクオ! 酒が切れたぞ!」
言葉を遮られたモララーが、兄者を睨み付けた。
大げさな動作で視線を払うと、口の端を持ち上げる独特な笑い方で兄者は笑った。
( ´_ゝ`)「策は一応、あるんだよ」
(`・ω・´)「策などいらん。奴の場所を突き止めさえすれば、俺が一人で奴を斬る」
( ´_ゝ`)「無理だな」
言った瞬間、おぞましい程の殺気がシャキンから放たれた。
いつでも抜刀できるようにモララーは柄を掴んだが、兄者は座ったまま涼しい顔をしていた。
( ´_ゝ`)「殺気も、剣気も、奴は呑み込む。あんたじゃ奴は斬れない。
俺たち三人が向かった所で、触ることすらできないだろう」
(`・ω・´)「他に仲間がいるのか?」
( ´_ゝ`)「仲間ではないが、人手はある」
どたどたと廊下を駆けてくるドクオの足音が聞こえた。
とっくりを乗せたお盆を持って、息を切らせて部屋に入ってきた。
(;'A`)「ちょっとは遠慮して下さいよお」
( ´_ゝ`)「いいから酒を渡せ」
お盆を奪い取ると、犬猫を払うみたいに帰れという仕草をする。
ぶつぶつと小言を愚痴りながら、ドクオが部屋から出て行った。
( ´_ゝ`)「有子部超急隊。これを奴にぶつける」
兄者のとっくりを傾ける手が止まらない。
他の二人は、ただ黙って腕を組んでいた。
十六輪「集結」 終わり
ハインの住んでいた長屋を訪ねた。
部屋が何処かは覚えている。
中に入り、彼が持ち出したはずの藩の証文を探した。
書かれているのは、幕府に隠している裏金の証拠だが、それ自体に興味は無かった。
ハインはこの証文に命をかけ、終わり方はどうあれ、散ってしまった。
死ぬには惜しい、惜しすぎる男だと思える。
|゚ノ ^∀^)「あなた、ハインさんのお友達?」
長屋を出たところで声をかけられた。
見覚えがあった、以前ハインの部屋が何処なのかを尋ねた、米を洗っていた女だ。
能代最高
秋田最高
( ・∀・)「ええ、まあ」
|゚ノ ^∀^)「ハインさん、亡くなってしまったわね」
妙齢の女で、身なりは貧しかったが、顔は美しかった。
|゚ノ ^∀^)「川の傍で屍体が見つかったらしいけど、どうも人喰い夜猿の仕業らしいわね」
( ・∀・)「え?」
|゚ノ ^∀^)「あら……屍体を見ていなかったのね。それに、先日も夜猿が町に来たらしいわ」
( ・∀・)「あ、ああ」
|゚ノ ^∀^)「あなたも、お気を付けて」
軽く礼をしてから、長屋から離れていった。
薬屋へ戻る途中、どういうことなのか、自分で考え始めた。
能代最高
秋田最高
商店通りを通ると、以前見かけた尺八を吹く飴売りがいた。
一瞬足を止めたが、もう用は無いと考え、通り過ぎた。
「こんなときに散歩かい」
ドクオの薬屋の前で声をかけられ、振り返る。
だらしなく胸元をあけた着流しの兄者が、いつものうすら笑いを浮かべていた。
( ・∀・)「いつから?」
( ´_ゝ`)「商店通りを歩いていたときだ。気がついていなかったのか」
( ・∀・)「考え事を……」
頭の隅に追いやっていた疑問が解け出し、新たな形となる感覚を確かに感じた。
同時に、ハインの屍体が何故川の近くから見つかったか、仮説を立てる。
( ・∀・)「つーは俺を、追ってきたんだ」
( ´_ゝ`)「あ?」
( ・∀・)「だからあのとき、近くにいたんだ……」
( ´_ゝ`)「大丈夫か? 寝ていないんじゃないだろうな」
( ・∀・)「いや、それはいいんだ。もう、いいんだ。
夜猿の居場所がわからないから困ってるって言ってたな」
( ´_ゝ`)「ああ。もしかして、見当がついたのか?」
( ・∀・)「とりあえず中に入ろう」
薬屋の中に入ると、頬杖をついて眠そうにしているドクオが見えた。
軽く挨拶を交わしてから、二人は奥の居間へと向かった。
居間にはシャキンが正座し、静かに瞑想をしていた。
二人が部屋に入ってくると、瞑想をやめて、足を崩した。
とっくりが散乱する部屋に、兄者たちが腰を下ろす。
( ´_ゝ`)「で、奴は何処にいる?」
( ・∀・)「宋佐久寺だ」
( ´_ゝ`)「本当か? 誰からの情報だ」
( ・∀・)「誰かに調べてもらった訳じゃない。あそこで俺の……浪人が一人、斬られた。
だが屍体はそのままにはされず、わざわざ近くの川に移動されたようだ」
( ´_ゝ`)「邪魔だから、片づけたってことか」
( ・∀・)「俺はそう思う」
( ´_ゝ`)「奴があの場所にこだわる理由があるってのか?」
( ・∀・)「それは……わからん」
シャキンは二人の会話を黙って聞いていた。
行動を共にすることになったが、助け合うつもりはなく、心の繋がりは無い。
( ・∀・)「ただ、景色がいい場所なんだ」
( ´_ゝ`)「はあ?」
( ・∀・)「高い場所にあるから、町を遠くまで見渡せる。
夕日や朝日なんかも、綺麗に見られるんじゃないのか」
(`・ω・´)「そこだ」
突然、会話に混ざったシャキンに、二人の視線が集まった。
何故、自分が喋ったのか、どうしてそこが夜猿の場所だと思ったのか、シャキン自身わからなかった。
ただ確信めいたものはあった
( ´_ゝ`)「それじゃあ、確かめてみるか。ドクオ!」
大声で名前を呼ばれると、すぐにドクオが駆けつけてきた。
いつから兄者がこの家に住んでいるのか知らないが、
突然呼びつけられるのはもう慣れてしまっているようだ。
('A`)「何です?」
( ´_ゝ`)「この町に幕府の密偵が既に到着しているはずだ。
夜猿が宋佐久寺にいるっていう噂を、さり気なく流せ」
(;'A`)「え?」
( ´_ゝ`)「さり気なくだ。ただの町人共は知らないが、その筋の人間は知っている。
そういう風に情報を流してくれ」
(;'A`)「いや、そんな、難しくありませんか?」
( ´_ゝ`)「俺は難しさを議論しているんじゃない。やれと言っている」
ドクオはいつもの渋い顔をしながら、部屋から出て行った。
臆病な男だが、頭は切れる。
彼ならやってくれそうな気がした。
( ´_ゝ`)「あとは数日待つ。俺の予測なら十人程度死ぬ。問題は有子部超急隊だ。
まだ町には到着していないようだが、いずれ奴らはやってくる」
(`・ω・´)「人頼みとは、情けない話だ」
( ´_ゝ`)「嫌なら降りてもいいぜ」
二人は軽くにらみ合ったが、最初のような緊迫感は無くなっていた。
元々、気の合う二人ではなかった。
このくらいのいざこざは毎日のように起こる。
( ´_ゝ`)「以前、飲み屋のいざこざで有子部の奴らを斬ったことがある」
初めて聞く話だった。
( ´_ゝ`)「強かったよ。二人まで斬れたが、それ以上は面倒だったから逃げたな。
向こうも俺も、酒に酔ってたしな」
( ・∀・)「では、五十人もいれば夜猿は斬られてしまうんじゃないか」
( ´_ゝ`)「無理だ。奴らでは、絶対に無理だ」
兄者はとっくりをひっくり返し、一滴だけ滴った酒を舌の上に落とした。
( ´_ゝ`)「どれだけ強くても、所詮は乳離れできていない、お坊ちゃんの剣だ」
(`・ω・´)「そうだ。奴を斬ることができるのは、闇に墜ちた者だけだ」
それから数日間、ドクオからの報告を待った。
ある日の夜、兄者から有子部超急隊が町に到着したという話を聞いた。
( ´_ゝ`)「幕府の奴らは、やはり夜猿を甘く見ている」
到着したのは、およそ七十人の部隊らしい。
シャキンが以前聞いた話より多かったが、兄者いわく、これでも全部隊の半数以下らしい。
ドクオの報告は、次の日になった。
川で夜猿に斬り殺された屍体が見つかり、数は全部で二十。
中に幕府の隠密らしき者が混ざっていたということだ。
これで有子部側には宋佐久寺に夜猿がいるという情報が送られる。
部隊の偵察隊が様子見に伺い、また屍体で見つかると兄者は予言した。
次の日の朝、さっそく兄者の予言が的中し、五人の屍体が見つかることとなる。
屍体は川ではなく、富家の敷地内に無造作に投げ捨てられていたようだ。
一連の情報操作、情報収集は、全てドクオ一人が行っている。
鮮やかな手際と言えた。
( ´_ゝ`)「ドクオ。よくやった。駄賃だ、取っておけ」
駄賃と言い、使い物にならなそうな割れ銭を手渡されると、
ドクオの目元がうっすらと潤んだ。
有子部超急隊が町に到着してから、四日が経った。
その日、ドクオから報告されたのは、討伐日時が決定したという話だった。
明日、正午、宋佐久寺を有子部超急隊の全隊員が囲み、
一気になだれ込むという計画となっているらしい。
明日、明日である。
モララーにとって、ついにやってきた、という感じよりも、
とうとう来てしまった、という感覚が強かった。
体の底に巣くう夜猿への恐怖を抑え込めぬまま、
前夜がやってきた。
十七輪「恐怖」 終わり
運営に水遁依頼してないのか
水遁依頼してアク禁してもらおうよ
その夜も酒を飲んでいた。
冷遇し過ぎたためか、人と会う約束があると言ってドクオが逃げ出してしまったために、
酒樽を居間に置いて飲み続けた。
既に夜は深く、静まりかえった町から夜の気配が流れ込んでくる。
一人で飲んでいてもつまらないので、モララーでも誘おうと、家の中を探した。
モララーはシャキンと一緒に、縁側に座っていた。
( ´_ゝ`)「何してんだ?」
二人は顔を見合わせないまま、無表情に月を見上げていた。
近寄りがたい感じではあったが、二人のちょうど真中に兄者も腰を下ろした。
しばらく無言のまま、三人は月を見上げた。
詩や俳句をたしなむような三人ではなかった。
( ・∀・)「実を言うと、俺は怖い」
始めに口を開いたのはモララーで、心なしか声に気力が無かった。
( ・∀・)「奴に出会ったとき、俺は絶望を感じた。
何年、何百年努力しても、足下にも及ばないような壁を感じた。
元々迷いがあったのだ。何の為に剣を振るうのか、わからなかった。
奴のように何の躊躇もなく人を斬れるのが、俺には理解できん」
(`・ω・´)「闇は闇だ。理解するものではない」
シャキンの話は、いつも曖昧さがあったが、その実的を射ているような気もした。
(`・ω・´)「真剣で立ち会うようになってから、闇というものが何なのか、ますますわからなくなった。
理解できるまで、人を斬ろうと思った。自分よりも強い者と立ち会えば、その片鱗が
浮かび上がるかもしれないと考えた」
今日のシャキンは、普段では考えられないほど饒舌だった。
(`・ω・´)「挑戦は誰からでも受けた。強い者には自分から向かった。
長年の間世話になった師匠でさえ、俺は斬った」
( ・∀・)「師を、斬っただと?」
(`・ω・´)「そうして俺は、墜ちていった。闇など理解せずとも、闇に墜ちればいいのだ。
でなければ、奴と同じ土俵には立てん」
シャキンを見るモララーの顔が微妙なものになった。
彼の並々ならぬ克己心は、闇に墜ちる覚悟の裏返しでもある。
どうしても、モララーには理解ができない部分だ。
( ´_ゝ`)「闇なんざ、夜になれば何処にでも転がってるがね」
とっくりが空になったので、庭の植木辺りに投げ捨てた。
割れる音が小さく聞こえただけで、夜の静寂はすぐに辺りを呑み込んだ。
( ´_ゝ`)「夜猿に弟を殺された」
隣にいたシャキンが、ぴくりと眉を動かした。
( ´_ゝ`)「だからまあ、これは仇討ちになるのかもしれん。
しかし人はいつか死ぬ。あれが弟の寿命だったというだけで、大して気にはしていない」
( ・∀・)「ではどうしてお前は夜猿を追う。命の危険まで犯して」
( ´_ゝ`)「運命さ」
静寂がさらに色濃くなった気がした。
音が、空気が重くなる感覚を覚える。
( ´_ゝ`)「弟は死に、俺は生き残った。双子の弟でな。顔はそっくりだ。よく間違えられる。
おそらくそのとき、俺も死んだ。だが生きている。
もしかすると、辻褄を合わせようとしているのかもしれん」
( ・∀・)「死ぬつもりなのか」
( ´_ゝ`)「冗談はよせ。そこのお侍さんと違って、勝てぬ戦はしない主義でね」
モララーは何となく、兄者が嘘をついている気がした。
だが追求する気は無かった。
運命という陳腐な言葉に、妙な共感も覚えた。
( ´_ゝ`)「あんたは何で夜猿を? まさか数百両ぽっちの金のためじゃないよな」
(`・ω・´)「朝日だ」
何処からか、鈴虫の鳴く声が聞こえる。
(`・ω・´)「俺がもう一度朝日を浴びるには、奴を斬らねばならんのだ」
それ以上シャキンは喋らなかった。
相変わらず兄者は薄笑いを浮かべ、モララーは満ちる直前の月を見上げている。
( ・∀・)「俺はわからないんだ」
モララーは、迷うな、というハインの言葉を再び思い出していた。
今は迷うことこそが自分なのではないかと考え出している。
( ・∀・)「確かに、約束をした。夜猿を討つと誓った。
でもどうして自分が、命を賭して約束を護ろうとしているのか、わからない」
(`・ω・´)「明日、答えが出る」
三人は結局、顔を見合わせないまま、ちりぢりに散っていった。
シャキンだけが、いつまでも夜空を見上げていた。
手の届かない何かを、睨み付けているようでもあった。
十八輪「前夜」 終わり
朝から小降りの雨が続き、道はぬかるんでいた。
宋佐久寺を取り囲む、およそ七十の侍たちの様子が、遠目からでもわかった。
町外れにある宋佐久寺の周りに、町人の姿は無かった。
旅装の者が時々、侍たちに訝しげな目線を送るくらいだ。
正面の階段から三十人、他の者たちは丘を登って宋佐久寺を取り囲むようだ。
( ´_ゝ`)「およそ一刻、程度だろうな」
兄者がぼそっと呟いた。
三人は木の陰に身を隠しながら、丘の上を伺っていた。
( ・∀・)「雨で気配が乱れているが、まだ対峙はしていないようだ」
最終話「最後に立つ者」
(`・ω・´)「正午ちょうどまで待つつもりか」
( ´_ゝ`)「奴さんが、そこまで辛抱強ければそうなるだろうな」
しとしとと降る雨に、三人は体を濡らしていた。
動いてはいないものの、体は芯から熱くなっているので、寒さは感じなかった。
間もなくすると、新緑にも関わらず、木の葉が降ってくるようになった。
雨の冷気を突き破り、肌をぴりぴりと焦がす熱を感じた。
( ´_ゝ`)「始まったな」
丘の上にあるので、境内の様子は見えない。
だが、雨の音に悲鳴と蛮声が混じるのがわかった。
街道は相変わらず緩慢な空気に包まれ、
旅人が急いでいる風でもなく町を目指して歩いて来る。
丘を少し上った所で、壮絶な死闘が行われていると考えると、
妙な気分になった。
三人はただひたすら待ち続けた。
シャキンは目を閉じたまま、木の幹に背を預け、じっと腕組みをしている。
モララーは、飴を舐めていた。
しきりに口の中で飴を転がし、小さくなるとかみ砕き、次の飴を口に入れた。
兄者は視線を宋佐久寺に向けたまま、耳を澄ましていた。
そうして、有子部超急隊が突入し、半刻の時間が経った頃であった。
寸分も体を動かさなかったシャキンが、腕組みを解いた。
同時に兄者が二人を振り返り、モララーは口の中を飴をかみ砕いた。
(`・ω・´)「終わった」
どういう決着なのか、三人にも予測がついていない。
とにかく、境内で始まった戦いが、何らかの形で決着が着いたのだけは察した。
三人は刀を引き抜き、境内への階段を上った。
途中まで上ったとき、三人の足が止まった。
雨の中で空気が震えているのを感じた。
体にべったりと纏わり付く滅びの気配、間違いなく夜猿は生きていた。
さらに上ると、境内から雨と血が混ざったものが流れているのを見つけた。
三人の心臓の鼓動が速まる。
心気をそぎ取り、生命力さえ奪おうとする滅びを、気迫で押し返した。
境内は、地獄と化していた。
おびただしい数の屍体は、全て両断されており、何体転がっているのかわからない。
おそらく、数人か、十数人くらいは逃げただろう。
だが屍体の数だけ見ると、百人以上いたような気さえする。
ああ、組み合わせに恵まれないね
また2回戦で終了かよ
流れ出た血はあまりにも多く、土の色が赤く染まっていた。
雨で多少は隠れているものの、血の臭いが強く鼻をついた。
ブーンは境内の中心にいた。
彼の周りだけ、屍体が転がっていなかった。
まるで屍体が意志を持って、ブーンから遠ざかろうとしているように見える。
刀を持ったまま、項垂れた姿勢であらぬ方向を向いている。
返り血が全身を染めているが、彼自身の血は流れていないように見えた。
屍体の上を踏みつけながら、ブーンの周りを取り囲んだ。
三方から、刀を向ける。
まだブーンは項垂れたままで、何処にも視線が向かっていない。
シャキンの、兄者の、モララーの、刀の切っ先がブーンに向いている。
三者三様の剣気がブーンを囲んだが、彼は何の反応も返さなかった。
まさか、死んでいるのか、と思わせる程に、動きを見せない。
だが斬りかかる隙など微塵も存在しなかった。
( 塔ヨ^)「斬れるのかお」
雨は強さを増していた。
ブーンが小さく呟いた言葉は、どういう訳か三人全員に届いていた。
(`・ω・´)「斬る」
シャキンが短く応える。
ブーンが、笑ったように見えた。
ブーンはとうとう動きを見せた。
腰を低くし、脇構で刀を構える。
荒巻一刀流で培った、超速の横薙ぎを放てる構えだった。
(`・ω・´)(この剣で、兄さんを、斬ったのだな)
シャキンは血が冷たくなっていくのを感じた。
人を斬るときは、いつもこうなる。
熱を失い、光を遮ることで、自分の体が別のものになっていくような感覚に陥る。
兄者は左手で構えた刀を前に突き出していた。
この刀は、弟者の形見であった。
使い始めた頃から不思議とよく手に馴染んだ。
やはり兄弟ということかと、苦笑した記憶がある。
モララーは、自身の心から恐怖と迷いが消えて行くのを感じた。
死の淵に立ってみて、わかったことがある。
自分は死から逃げていたのだと。
心の底から夜猿を恐怖していた。
だが心の奥、魂と呼ばれる場所で、死を恐れる自分自身に怯えていたのだ。
三人は感覚を研ぎ澄まし、全ての五感をブーンに向けていた。
雨音が耳の奥で吸収されていく。
血の臭いが消えた。
四人全員は、微動だにせず対峙していた。
動いた者から死んでいく。
斬り合いよりも先に、心を絶つ戦いが始まった。
死合とは往々にして、そういうものだ。
膠着が続いて、一刻(二時間)が経った。
雨は未だに、強く降り続いている。
徐々に、空気と体が混ざっているような感覚に陥った。
境内に満ちる空気と自分の存在の境界線が曖昧なものへ変わってゆく。
変わらないのは、ブーンの放つ闇だけだ。
闇と、水と、空気。
今存在するのは、それらだけだった。
さらに一刻が経ち、境内の空気に変化が訪れた。
雨が降り止み、雲が引いていく。
徐々に青空が空に混じっていった。
曖昧だった体の感覚が引き戻され、再び剣を持った人間へと変容する。
濁流の如き滅びの気配が放たれたのは、その直後だ。
空気が歪み、目の前を大口を開けた獣の幻影が通過する。
毛穴の穴が開き、ぷつぷつと汗の玉が浮かんだ。
地面が崩れる幻覚を感じたが、三人は足裏に気合いを入れ、
決して倒れることなく踏みとどまった。
膠着は何処までも続いた。
地獄の淵に足を踏み入れた状態で、滅びを受け続けた。
一生分の時間を何度も経験した気分になった。
対峙を始めてから、何百年も過ぎた気がした。
こうしてさらに、一刻が経つ。
常人であれば一瞬で気を失いそうになる滅びの空間、
懸命に耐え続けてきた三人の中で、限界を迎えた者がいた。
彼は青眼に構えた刀を振り上げ、大きくブーンへ踏み込んだ。
残りの二人が、死へと向かうモララーを止めることはしなかった。
モララー自身、そんなことは望んでいない。
ブーンが体の向きを変え、肩を沈める動作を見せた。
ふと、目の前に、笑いかけた者がいたように見えた。
モララーには見覚えの無い少年だった。
それでも何処か、懐かしい気分になった。
自身の腰を通過する斬撃を、確かにモララーは見た。
目は良かったが、できれば見たくないものでもあった。
視線がぐらりと宙を舞い、地面が迫ってくる。
何もかもが如実に見えた。
逃げ続けた先に、闇がいた。
闇の中で、光を得た。
光は屈託無く笑い、笑うと前髪がさらさらと揺れた。
痩せていて、抱くと骨が痛かった。
頭を撫でると、気持ちよさそうに目を閉じる。
どうして自分が闘うか、わかった気がした。
生きる意味を見つけたかったからだ。
横向きになった世界で、白い光を見た。
それがモララーの捉えた、最後の景色だった。
シャキンたちは、胴体を絶たれたモララーには目もくれず、
同じ構えのままブーンに集中している。
ブーンが構えを直し、また対峙が始まった。
空には夕陽が混じり、境内を濡らす血の色で世界が染まっていた。
やがて、夜がやってきた。
太陽が沈みきってから半刻が絶ち、空には星が光っている。
今日は満月だった。
斜め向こうの空から、青い光を放っている。
夜は明るい。
星の光、月の光、たき火などすれば、書物だって読める。
夜の闇など、温すぎるほど明るい。
ブーンの放つ闇は深淵の黒で染まっている。
光すら呑み込み、破壊する。
そこでは何も照らされず、ただ闇へと沈んでいく。
一刻、二刻、時が進む。
一秒を何時間にも感じる、気が狂いそうになる死闘の中でも、
時の流れは変わることがない。
命もまた、時の流れに浮かんでいく。
どこからか生まれ、どこかで死んでいく。
誰も逆らうことなどできない。
だからこそ、無頼なのだと考えた。
時に縛られた命、何を躊躇する必要がある。
そう考えて、今まで生きてきた。
死ぬ時は死ぬ、今の今までがそうでなかっただけ。
今が、死ぬ時であるというだけ。
兄者は声を上げて笑い出した。
悲鳴のような笑い方だった。
跳躍し、宙を舞った。
一足飛びで、人を飛び越える程の高さの跳躍になった。
空中で体を翻し、弟者の形見を振り下ろした。
斬った、と思ったのは、ブーンの残像であった。
肩口から切り込まれた刃が、左半身ごと弟者の刀を斬り捨てた。
それでも兄者は笑っていた。
体を二つに断裂されてなお、右手に持った刀を振ろうとした。
しかし兄者の最後の斬撃は、ブーンには届かず、虚空を彷徨い、地面に落下した。
俯せで崩れた兄者は、瞬きほどの時間、夢を見た。
地面の上で干からびる、みみずの屍体の夢だった。
兄者は最後にもう一度、笑った。
笑い声は、誰にも届かなかった。
空高く昇った月が、二人の男を映し出す。
シャキンは最初の構えから、不動のまま立っていた。
表情には感情が見られない。
闇だけがそこにあった。
ブーンもまた、闇を携えていた。
夜の闇よりも濃い二人分の滅びが、境内を包み込んだ。
二人は無表情のようであり、笑っているようでもあった。
狂気か、凶気か、それともやはり、形容することなどできないのか。
二人はただ、闇の中で対峙を続けた。
闘っている相手が誰なのか、お互いわからなくなっていた。
自分と対峙している気分だった。
ブーンの話をしよう。
誰も知らない、彼の中に巣くう闇の話だ。
ブーンの母親は、富家の主が雇っていた下女である。
ある日、その家の息子が下女を犯した。
まだ十二才だった下女を、毎晩のように犯し尽くした。
膣を、尻穴を、口内を、欲望のままに犯した。
四年後、下女は一人の子を孕んだ。
残虐非道の末に生まれた命、だが下女は子を産もうとした。
絶え間なく襲い来る闇の中で、大きくなる自分の腹だけを希望に感じた。
だが主は産むことを許さなかった。
息子の仕打ちが外に漏れる可能性を恐れたのだ。
毒を含んだ水を飲ませ、腹を殴り、子を堕ろさせようとした。
しかし下女の精神力のおかげか、過酷な環境にも耐え抜き、
下女は赤ん坊を産むことになる。
子は、ブーンと名付けられた。
いきなり洛南かよ。
富山第一も馬場がいるところだし。
右下ブロックえぐいな
ブーンを産んだのは、使われていない土蔵の中だった。
主は赤ん坊を土蔵の外には出さないという条件で、下女に世話を許した。
子を育てさせてくれないなら自害する、この脅しが効いた。
富家の息子は、下女に心の底から惚れていたからだ。
土蔵は高い場所に小さな天窓があるだけで、他に窓は無い。
さらにその天窓は、昼間の間は閉ざされている。
乳離れし、自分で飯が食べられるようになった頃から、
ブーンの食料は一日一回だけの、天窓から投げ込まれる一個の握り飯だけだ。
ブーンは文字通り、闇の中で生まれ、闇の中で育った。
塞がった天窓から漏れる、微かな陽の光だけで、昼と夜の概念を覚えた。
狭い土蔵の中で、話す相手はいない。
そもそも会話ができるほど、言葉を知らない。
空腹を我慢できないとき、虫やねずみを食う、ただそれだけを繰り返した。
暗闇の中で獲物を捕らえる術を、いつの間にか身につけていた。
夜が来る度に、下女は土蔵へやってきた。
天窓から握り飯を投げ込むと、決して開かない扉に顔を寄せて、呪いの言葉を呟く。
下女はブーンを産んでからも、毎晩、毎朝、犯され続けていた。
死んで欲しい。
下女は毎夜繰り返す。
みんな死んで欲しい。
死に尽くして欲しい。
死んで消えて欲しい。
死んでくれないかしら。
死にたい。
死ね。
支離滅裂で、意味もよくわからない。
ブーンにとって、それは夜の音に過ぎなかった。
夜というのは、そういうものだと思っていた。
八年もの間、ブーンは土蔵の暗闇で生きた。
糞尿にまみれた中で握り飯を食っても、病気にならない体を得ていた。
ある日、唐突に、土蔵の扉が開いた。
四畳程度にしかないはずの世界が、何万倍にも広がった。
全てが初めて見る景色だった。
空が、広かった。
星の明かりでさえ、眩しくて目が眩んだ。
自分と同じような姿をしている生き物が、月の光を受けて立っていた。
肩を斬られていて、着物を血に染めていた。
女は、みんな殺して、と言ってブーンに脇差しを与えた。
初めて触れる刀だったにも関わらず、どういう使い方をすればいいのか、何となくわかった。
女は懐刀で、ブーンの目前で腹を切った。
ぼたぼたと内蔵が溢れている中で、女は笑っていた。
倒れ伏した女の後ろから、やはり似たような生き物が駆けてくる。
ブーンは刀を構えていた。
気がつけば、辺りには屍体しか転がっていなかった。
自分の体も少し斬られていたが、あまり気にはならなかった。
屍体の肉を喰ってみた。
ねずみより、不味かった。
だだっ広い世界で、何処へ行けばいいかわからなかった。
脇差しを抱えて、当てもなく世界を彷徨った。
言葉を覚え、会話を覚え、まともな食事を覚えていった。
だが満たされない気持ちがいつも胸の奥で広がっていた。
人を斬る度に、心のつっかえが取れていくのを感じた。
手があり、足があり、布を纏っているのが人間である。
人間には、色々な性質のものがある。
ブーンは少しずつ学んでいく。
放浪の旅が始まってから一年が経とうとしていた。
その頃になると、人を見る目がまた変わっていた。
人は欲望の生き物だ。
ねずみや蛇のように、生きるためだけに生きようとはしない。
心の中で罵倒し合い、悪を隠したまま笑い合う。
闇に生まれ、闇に生きたブーンは、人の中にある闇を見通す力を持っていた。
この世は闇に包まれている。
土蔵の中と、何ら変わらない。
やがて荒巻に拾われ、剣の道に足を踏み入れた。
道場の中で、竹刀を振り合う。
何の面白みも感じなかった。
ただ、荒巻の中に、闇を感じなかった。
それが居心地がよく、人を殺さなくなった。
しかし十年以上が経った頃、耳の奥であの女が囁き始めた。
殺して欲しい。
殺して欲しい。
眠れない日が続いた。
また世界が闇に染まっていくのを感じた。
殺して欲しい。
死んで欲しい。
死んでよ。
死ぬ。
死。
糞尿よりも汚らわしい人の闇に包まれる。
天窓の隙間から漏れる僅かな光、それすらも存在しない。
何もかもが闇であれば、どうやって生きればいいのだ。
闇の中、死のうと思った、だが、死ねない、生きたかった。
光を。
光が。
光へ。
土蔵の中へ帰りたかった。
人の悪が、何よりも恐ろしかった。
闇の中で生きるには、闇へ同化するしか無かった。
陽の当たらない場所に籠もり、糞尿を喰らって生きた。
これからも、そうするしかないと思った。
どれほどの時間が経ったか。
空は、うっすらと青みがかっていた。
体の表面に砂とほこりが纏わり付いていた。
二人の刀だけが、鈍い光を放っていた。
対峙を続けた両者の間に、僅かな変化が訪れていた。
張り詰めたものが時々弛緩し、またぴんと張る。
押し寄せる波が砕け、また引いていくように。
いくつもの波が砕けは引いていった。
無数に散らばる空気の粒が、宙でぶつかり、弾け、混ざり合う。
ブーンとシャキンは、同時に踏み込んだ。
お互いが間合いの中に入り、至近距離で顔を見合わせた。
ブーンの割れた右目から覗く闇に、シャキンが自らの姿を見つけた。
ブーンは薙いだ。
シャキンは突く。
境内に群がる鴉たちが一斉に飛び立ち、濃紺の空を黒く染めた。
シャキンは、視界に血の色が広がるのを感じた。
膝が折れ、その場に崩れる。
ブーンの右目に、自分の刀が突き刺さっていた。
自分の方は、腹を斬られている。
だが致命傷ではない。
顔を拭うと、手に血が付いた。
ブーンを突いたときの返り血だった。
右目に刀が刺さったまま、しばらくの間ブーンは立っていた。
何か、言いたいようにも見えた。
間もなく、直立したままブーンは後ろに倒れた。
顔の部分から血が広がり、地面を円状に染めた。
腹に手を当て、止血を試みる。
しばらくすれば、血は止まりそうだった。
(`・ω・´)(兄さん……兄さん)
目を瞑れば見えていた兄の残影が、見えなくなっていた。
頭の中で囁いていた荒巻の気配も、既に感じない。
空を見上げると、既に夜の名残は消え去っていた。
片膝をついて、立ち上がる。
屍体の上をまたぎ、町がよく見える場所まで歩いた。
昨日と、何も変わらない、町の景色があった。
遠くの山から、眩しいほどの光も感じる。
朝日が、顔を出そうとしていた。
何年かぶりに、気持ちの昂ぶりを覚えた。
同時に、背中に熱が走るのを感じた。
体力も気力も、底をついている。
一握りの生命力で、後ろを振り返った。
胸の前で白い剣閃が光った。
直後に、血が噴き出したのもわかった。
今度、目の前を遮ったのは、血の赤ではなく、闇だった。
何処までも落ち続けられる、地獄へと続く闇に、身を投じた。
これが、本当の闇なのか。
最後に、何かを思い出そうとしたが、それすらも闇に消えていった。
ξ゚听)ξ「だから、無理だと言っただろう」
音もなく倒れたシャキンから、血溜まりが広がっていく。
人を殺したのは初めてだった。
(;'A`)「死んだんですか」
ツンの後ろから、体を震わせながらドクオが顔を覗かせた。
ξ゚听)ξ「ああ」
(;'A`)「一緒に夜猿を倒すっていう話じゃ、なかったんですか?」
ξ゚听)ξ「夜猿はここにいる」
まだ血に濡れた刀で、シャキンの屍体を指した。
ξ゚听)ξ「そして、闇に墜ちた」
これで満足か、と既に事切れたシャキンに、心の中で問いかける。
闇に墜ちたいと言ったのは、確かにシャキンだった。
ドクオは周りの屍体を見渡し、深々と息を吐き出した。
('A`)「それにしても、凄い。一体どういう戦いが起こったんでしょう」
ξ゚听)ξ「戦いなど起こってはおらんさ」
('A`)「はい?」
ξ゚听)ξ「ここにはただ、闇があった」
眩しさを感じ、目を細めた。
遠くの山々から、朝日が顔を覗かせ、境内を煌々と照らしていた。
ξ゚听)ξ「夜が……明ける」
小鳥の鳴き声が聞こえてきた。
風が吹き、新緑の匂いを運んでくる。
朝の気配が、境内に満ち始めた。
( ^ω^)悪の華を咲かせるようです ―終―
114 :
?:2012/11/24(土) 03:52:47.26 ID:???
キチガイ
わたしは不幸にも知つてゐる
時には嘘によるほかは語られぬ真実もあることを
―――――芥川龍之介
〜〜( ^ω^)は嘘をついていたようです〜〜
8月10日――
その日の某県は多くの地域で快晴となった。
夏休み真っ只中ということもあり、外出する人々が多く見受けられた。
元々お盆が近いので、最初から出かける計画をしていた家庭も多かったのだろう。
清々しく、平凡な夏の日だった。
午後3時頃、唐突に、そのニュースがテレビやラジオから一斉に伝えられた。
某県A市の留置所に入っていた犯罪者( ^ω^)内藤ホライゾン(39)が舌を噛んで死んだ、という報道である。
そして、それは暑さと解放感で蕩けていた人々の心の奥底に眠っていた、一つの嫌な事件の記憶を呼び戻した。
2005年4月に起こった、小里安一家殺人事件
某県A市でも有数の富豪であった小里安家の亭主<ヽ`∀´>ニダー(44)とその家族が、隣のB市に在住していた内藤ホライゾン(当時34)によって全員殺された。
死因は全て小里安家のガラスの灰皿によって殴られたことであり
事件の概要は、目撃者の執事によって語られた。
4月3日、ニダーは内藤ホライゾンを客人として招き入れた。
その約束はニダーの方からなされたものであり、執事も当然知っていた。内容は教えられなかったが
ニダーは「二人きりで話がしたい」と言い、執事を外に出してホライゾンと二人で何事かを話していた。
応接室の扉を閉める直前に見たホライゾンの表情はひどく思い詰めているようであったと執事は言った。
それから執事はニダーの息子が母親に連れられて帰宅するのを出迎えた。
翌日から一年生となる息子の思い出作りに、遊園地へ遊びに行っていたのだ。
息子が帰ってきたことを伝え、そしてお茶の替えを持っていこうと思い、執事はニダーとホライゾンが居る応接室へ向かった。
ニダーの息子と母親も父親に会おうと思い、執事に連れられて来ていた。
しかし扉の前で異変に気付いた。
激しく口論をしているような音、その後ゴツンという鈍い音が聞こえてきたという。
胸騒ぎを感じた執事はニダーの名前を叫びながら扉を開けた。
執事、そしてニダーの家族は同時に室内の光景を見ることになった。
床に倒れるニダーと、返り血で真っ赤になったガラスの灰皿、それを持って荒く呼吸をしている内藤ホライゾン。
最初に悲鳴を上げたのはニダーの妻で、それから息子が喚きながら部屋に飛び込んだ。
執事は何をすることもできず、ただただ気が動転していた。
父の名前を叫びながらニダーの息子が駆け込んだ。
執事は動転しながらホライゾンを見つめ、その手が灰皿を握り締めるのを見た。
「危ない」と執事が警告したときにはもうホライゾンの腕が、ニダーの息子に向かって振るわれていた。
先程と同じ鈍い音を響かせ、ニダーの息子は鮮血を噴出させて倒れた。
それを見てさらに妻の悲鳴が響き渡った。
ニダーの妻は長髪を振り乱して、錯乱していた。
執事は妻を逃がそうとしたが、どうしても動こうとしなかったらしい。
悲鳴を聞いて、警備員が廊下を駆けてきていたが、ホライゾンもすでに扉へ向かって来ていた。
そのぎらついた目ははっきりニダーの妻をとらえていた。
執事はその目を見て恐怖したという
ニダーを殺して立っていたときや息子の頭をかち割ったときとは、ホライゾンの目の輝きが違ったからだ。
本当に殺したかったのはこの妻なんだ――執事はそう直感したという。
執事は思わずニダーの妻の前に飛び出した。
せめて妻だけでも助けてやらなければ、その一心であったと証言している。
しかし内藤の猛烈な体当たりで跳ね飛ばされ、壁に激突。
意識が朦朧として動けなくなり、執事の視界が暗くなった。
目が覚めたとき、ホライゾンは警備員に取り押さえられていた。
そして床にはニダーの妻が、頭から血を流して倒れていた。
これが執事の証言による事件の大まかなあらすじである。
到着した警察によって連行される途中、内藤ホライゾンは微笑んでいた。
( ^ω^)
三人もの人間を殺したのに、笑っていた。
その異常な状況がA市から、某県全域、さらに全国にも知れ渡り
内藤ホライゾンに纏わる怪しげな噂が飛び交った。
『笑顔の殺人鬼』――そんな通り名も耳にすることがあった。
噂というものは事実を捻じ曲げて、変形を繰り返しながら語られていく。
その殺人鬼の話も、事実の何倍にも増長されていく。
殺人鬼は血で興奮する、死体を喰った、捕まったのは偽物で本物は他県にいる、などなど。
しかし三年も経てば話は風化され、人々の注目は薄れていく。
世間では他にも多くの事件が起こり、暗い話、馬鹿げた話が交錯して関心を動かし続けるからだ。
2010年ともなると、事件のことを覚えているものはほとんどいなくなっていた。
現地の人々が時々その跡地を「怖い場所」として話に出すくらい。
しかし8月10日の午後に突如舞い降りた報道で、あの事件の噂がまたしても立つことになった。
裁判にかけられている最中だった内藤ホライゾンが、何故突然自殺したのか。
どうして5年もの間ひっそりとしていたのか。
笑顔の殺人鬼はまたも大衆を賑わせるのに足る謎を秘めていたのだ。
8月10日、夜、某県C市――
内藤ホライゾンの死の報道はネットでも大きく取り上げられていた。
昔の事件を引っ張り出しては弄繰り回し、今回の死について様々な憶測が流れていく。
どれもこれも信憑性などない、人間の通俗的な好奇心を擽るためだけに生み出された小話だ。
('A`)「…………」
内藤のことを知っているものからすれば、あまりにも滑稽に見えただろう。
この噂話を創造して発信しているものの中に、内藤のことを知っているものなどほとんどいないのだから。
('A`)「……死んだんだ」
少し古びたアパートの一室、青年は薄目でパソコンの画面をじっと見て、呟いた。
内藤ホライゾンの死に関する情報を少しでも得ようと思っていた。
しかし両目に乾燥を感じたため、またこれ以上検索しても新しい情報は手に入らないだろうと思い至ったために、青年はパソコンの電源を落とした。
長身で細身な彼、鬱田ドクオはC市から都内の大学に通っていた。
やや利便性には欠けるが、経済的に優しかったので、ドクオはこのアパートを選んだ。
彼はほとんど母親のみによって育てられたのである。
彼の出身地はB市であり、他の市町村に行くことはこれまでほとんどなかった。
元来人づき合いが苦手なので、交友関係もかなり少ない。
それでも大学に入って今まで、一度もドロップアウトすることなく通学してきた。
『嘘なんだお』
水道でコップに水を注ぎ、ぼんやりとこれまでの人生を思い返していたドクオの耳に、懐かしい声が聞こえてきた。
もちろん実際に聞こえているのではない。心の奥底で思い出したのだ。
『笑顔なんて嘘なんだお。
人間が、他の人間と何の争いもすることなく過ごすための手段にすぎないんだお』
遠い日々の、ブーンの声。
世間では内藤ホライゾンと呼ばれているが、ドクオの思い出の中ではその人物はブーンと名乗った。
名前はもちろん、その思い出の中でのブーンの姿を知っているものは、いったいこの世にどれくらいいるのだろうか。
少なくとも先程見たような風説を流している人の中には、一人としていないだろう。
『僕はもうずっと後悔しているんだお。
嘘を続けて、これまで生きてきてしまったことに――』
一方で、果たして自分以上にブーンのことを知っているものがいるのだろうか、と自問する。
そしてその答えはすぐに頭に浮かんできた。
いる――そのことはちゃんとわかっている。
('A`)「笑顔、ねえ」
コップに注がれた水をじっと見つめて、一気に喉を通す。
体内に流れる冷たい気配が、夏の夜に体を包む茹だる様な感覚を切り裂いていく。
この感覚と絡めて何か哲学的なことを考えよう、とドクオは思考を巡らせたが、特に何も思いつかなかった。
今までの過去を思い出したから、そこに何らかの意味を見出したくなった。
そして現在の生活からも何かを見つけたい。
それを意味のあるものにしたい。
そのような心理は、中学生がカッコつけたいと思うのと似たようなものなのかもしれない。
自分にはっきりとした意味づけをしたいということなのだろう。
急に、ドクオは疲れを感じた。どっと降りかかってくるように。
ドクオは、既に敷いてある布団へ向かう。
着ているものはトランクスのみ、掛けるものも洗濯物から適当に取り出してきたタオルだけだ。
敷布団に横たわると、怪しい匂いが鼻を突いてくる。
たった一日手入れを忘れていただけで、布団は体に悪そうな匂いを放っていた。
今回は仕方ないので、ドクオは若干顔を顰めながらも目を閉じる。
まどろみ始めたところで、ドクオの携帯が鳴る。
暫くは無視しようと試みたが、着信音は耳を攻撃し続けた。
一度切れて、二度目のコールが鳴り響いたところで、ドクオは舌打ちをして身を起こす。
相手の名前を確認して、ボタンを押す
('A`)「……もしもーし」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
土屋野里以外がどれだけ伸びたかなあ
8月11日、朝、某県警本部――
(´・ω・`)「昨日の死体、内藤ホライゾンの死因はわかったのかい? 」
( ゚∋゚)「出血多量のショック死で間違いありません。
本来ならば看守が見張っているので自殺を防いでいるのに、面目ありません」
(´・ω・`)「内藤は品行方正だったらしいからね。監視が甘くなるのも無理は無い。
事件から五年も経っているし、むしろ自殺したことの方が不思議なくらいだからな」
そう、何故死んだのか――大柄で垂れ眉の男、ショボン警部は頭の中で自問した。
昨日の突然の内藤ホライゾンの死が気になっていた。
何故死んだのか、あまりにも唐突で、不可解だ。
内藤の死体も既に見た。
不思議なことに、舌を噛み切るという痛々しい最期の幕引きを行ったのにも関わらず、内藤の顔は安らかだった。
苦しみから解放された、そんな印象を受けた。
そしてそれも、ショボンの頭から離れない不可解な点であった。
(´・ω・`)「この事件、確かずいぶんと刑の執行について争ったんじゃなかったかい?」
( ゚∋゚)「ええ、内藤の家族、両親だけですが、息子はそんなことする人物じゃなかったと主張していましたし
一家惨殺と言っても、実際に殺されたのは夫と妻と子どもの三人、死刑かどうかはギリギリでした。
それを、ニダーの親戚の方々がこぞって死刑を促したんです。あそこには腕のいい弁護士もいましたしね」
( ゚∋゚)「結局は、内藤の家族が不幸にも事故で亡くなられて、裁判は加害者側の弁護の勢いを失ってしまい
ニダー側の主張が通って、死刑になったんですけどね」
(´・ω・`)「そういえば、鑑識くん
確か5年前の事件でも不可解なことが無かったかい? 」
( ゚∋゚)「ええ、まあ。
正体不明の血痕が検出された金属バットがありましたね」
その金属バットは、内藤が殺人を犯した現場、すなわちニダー家の応接間のテーブルの上に置かれていた。
厳重なケースの中に収められていたので、よほど大事に扱われていたものだろうと推測される。
しかしバット自体はどこにでも売っているような平凡なもので、これといった特徴は無かった。
本来ボールが当たるべき場所でルミノール反応があった以外は。
内藤の犯行は明らかだったので、そのバットは怪しい点こそあったものの、鑑識が保管庫に入れたままだった。
事件も5年も前のものなので、今そのことを覚えているのはその事件を調査していたショボンくらいだろう。
(´・ω・`)「そのバット、もう一度調べられないかな。
どうも気になっていたんだ。初めて見たときから」
( ゚∋゚)「しかし今回の内藤の自殺は全く事件性の無いものですし。
上が許してくれるかどうか」
困り顔の鑑識を見て、ショボンはわずかに唸る。
(´・ω・`)「……難しいかもしれないが、少しでいい。
情報化社会も以前より発展したんだ。前とは違った情報が得られるかもしれない」
鑑識が了解し、保管庫へ向かうのを見届けたショボンは、ゆっくりと窓の外に目をやった。
昨日の晴天は今日にも継続されていた。
強い夏の日差しが、ショボンの体をこれでもかというほど熱している。
もうじき半世紀を生きたことになるショボンの目に、その光はあまりにも強すぎた。
バットだけじゃない、ショボンは心の中で呟いた。
ショボンは昔のことを思い出していた。
まだ自分が市警だったころだ。
D市の市警だったのは、もう二十年も前の話だ。
ショボンもまだ警察になったばかりで、犯人逮捕に躍起になっていた。
ショボンは未だに覚えている。
25歳のとき、自分は内藤と会ったことがある。
他の誰にも、もちろん警察関係者にも言ったことがなかった。
そもそも、そのときの内藤は一般市民であったからだ。
それから15年経ち、内藤が犯罪者として検挙されたとき、ショボンはどれほど驚いたことか。
昔見かけた善良な青年を、ずっとあとになって自分の手で逮捕することになるなんて。
さらに五年経った現在、内藤が死んだ今でも、その疑問は頭に残っていた。
彼の犯罪はきっと裏がある。
きっとあの謎の笑顔にも意味があるはずだ。
それをずっと知りたかった。
しかし本人である内藤ホライゾンは死んでしまった。
もう真実を知ることは難しいのだろう。
せめて一度でも面会していれば、と今更悔やんでも、ショボンにはどうすることもできなかった。
8月11日、夜――
ショボンは帰路についていた。
昨日のブーンの死はまだ世間で噂になっている。
関連した質問の電話も何本か対処した。
内藤は思ったよりも広く、世間に影響を与えていた。
けど、それが一風変わった殺人鬼としてであるということに、ショボンは心の奥で苛立っていた。
疲れた目線を足元に向けながら、ショボンは路地を曲がった。
「ショボンさん、お疲れ様です! 」
あと数歩で家、というところで若い声が掛かる。
ショボンは聞きなれたその声に気付き、顔をしかめて見上げた。
_
( ゚∀゚)
(´・ω・`)「ジョルジュか、いいのかこんな夜中に」
ショボンの家の玄関に佇む、にやにやとした青年。
ショボンは数年前から彼のことを知っていた。
_
( ゚∀゚) 「うちは基本的に放任主義なんで
それに今は夏休みなんで、試みに一人暮らししてますから」
14:第一話 ◆GIfZM2iQHE:2012/03/04(日) 00:06:09 ID:AIC9HsFA0
(´・ω・`)「そんなこと言っても、君は未成年だろう?
やはり気をつけてほしいものだね」
_
( ゚∀゚) 「ショボンさん相変わらずカタいですね〜。
そんなんだから奥さんに逃げられるんですよ」
(;´・ω・`)「別居しているだけだと言っただろ。
君、今日は何しにうちに来たんだ? 」
_
( ゚∀゚) 「ちょっと協力してもらいたいことがあるんですよ。
ささ、とりあえず家に入りましょう」
(;´・ω・`)「私の家なんだが……」
この青年、ジョルジュ君にはいろいろ話過ぎたようだ。
鍵を開けながら、ショボンはそう考える。
長く生きていても後悔は募るばっかりなのだ。
ショボンはそんなことも思った。
どことなく楽しげなジョルジュを引き連れて、ショボンは自分の家に入る。
妻が別居したのは3年前だ。
一人息子が中学へ上がるのと同時に、大喧嘩してそれっきり。
奇しくもその数日後に、ショボンはジョルジュに出会った。
2007年4月のことだった
ショボンのいる地域周辺で、ひったくり事件が多発したのである。
犯行はあらかじめヘルメットと手袋を装着して背後からバイクで走り一気に盗むもので、被害は増えるが捜査は難航した。
精神的に疲れていたショボンはなかなか捜査に身が入らず、いらいらを募らせていた。
_
( ゚∀゚) 「おじさん、手伝ってやろうか」
ジョルジュは突然現れて、ショボンに協力すると提案してきた。
当然ながらショボンは反対した。
マンガじゃあるまいし、まだ16歳の少年を捜査に参加させられるものか、と。
_
( ゚∀゚) 「それじゃヒント教えてあげるよ。
犯人が狙っているのは以前Eスポーツジムに通っていた中年女性ばかりで、全員家に犬を飼っている。
そして息子が一人だけいるよ」
あまりにも事細かにジョルジュが述べるものだから、ショボンも興味が湧いたようだ。
後日、ショボンは青年に言われた通りEスポーツジムを調べ、中年女性の何人かを調べた。
そして犬と息子の条件に合う人をリストアップし、刑事を張り込ませた。
するとあまりにも呆気なく、犯人逮捕に至ったのである。
Dスポーツジムで出会った女性と結婚したが喧嘩して別居になってしまい、腹いせに行っていたという。
犬も息子も犯人の妻が自分の家に持って行ってしまったらしい。
結局のところ、ショボンにとっては嫌な感じの事件だった。
それからショボンはジョルジュと出会い、いつの間にか様々なことを語る仲になっていった。
ジョルジュは時折ショボンの家に来ては、ショボンの捜査の助言をしてくれた。
その的確さに、ショボンは素直に感嘆していた。
ただ、初めのうちジョルジュは馴れ馴れしく話しかけてきていたので、敬語を使えとよく注意していたのだが。
新密度が増した頃に、ショボンはこっそりお礼としてずっと昔の事件調査の話をしてあげた。
昔あった大事件には、ジョルジュもよく興味を示してくれた。
ショボンはジョルジュに、自分の息子の姿を投影していたのだろう。
歳はジョルジュの方がやや上だが、大差は無い。
明るいジョルジュを世話してあげることに、ショボンは徐々に楽しみを覚えてきていた。
ジョルジュはなかなか富裕な家の子なのかもしれない。
ショボンは時々そう感じた。
身なりも整ってるし、家がそう近くは無いようなのに何の気なしにショボンに会いに来るからだ。
もちろんそれは事件があったときだけだが。
(´・ω・`)「最近は特に大きな事件は起きていなかったと思うが、何しに来たんだ? 」
_
( ゚∀゚) 「ええ、事件ではないんですが」
ジョルジュは「確かに」とでも言うかのように頷いた。
ショボンはジョルジュの話を静かに待つ。
( ゚∀゚) 「死んでしまった内藤ホライゾンについて話を聞きたいんです」
「内藤ホライゾン」という名前が、ショボンの頭の中で響く。
警察署内でも何度も頭の中で反芻していたその名前。
(;´・ω・`)「……どうしてあの男のことが気になるんだい? 」
ショボンは期待を込めてジョルジュに質問する。
自分でも何かがおかしいとは思っていたが、何故なのかはわからなかったからだ。
_
( ゚∀゚) 「明らかな矛盾というわけではないのですが。
内藤ホライゾンの死ぬ理由がわからないんです」
ショボンは頷く。「続けてくれ」という合図だ。
ジョルジュは訥々と説明し始める。
_
( ゚∀゚) 「内藤ホライゾンが事件を起こしたのは5年前のニダー一家殺人事件。
このときの犯行の動機もわかっていませんが、今は置いておきます。
内藤ホライゾンは長い間裁判に掛けられ、死刑はほぼ確定だった」
そうだ、ショボンは自分でもそのことは思い至っていた。
内藤ホライゾンは何をしなくても、そのうち死ぬはずだったのだ。
_
( ゚∀゚) 「内藤が死にたがっていたのであれば、何故五年間も生きていたのか。
またできる限り生きたかったのならば刑が執行されるまで大人しく待っていればよかったはずです」
(´・ω・`)「うむ、その不可解さは私も感じていた」
ショボンの感じている不可解さには20年前の記憶や死んだ後の笑顔も絡んでくるのだが
そこまではジョルジュも知らないだろうし、特に伝えることもないと思ってショボンは言うのを止めておく。
_
( ゚∀゚) 「さすがっすね〜、ショボンさん。
そこで俺からの提案なんですが……」
_
( ゚∀゚) 「調査しませんか? この事件」
一瞬、ショボンは呆気にとられていた。
(;´・ω・`)「……え!? 」
_
( ゚∀゚) 「いやあ、だって気になるじゃないですか。
こういうのは一度調査してみないと」
ジョルジュは事もなげに言う。
ショボンは残念そうに息を吐いた。
ジョルジュならば何か具体的な矛盾点を提示してくれる、そんな気がしたのだが、どうも上手くいかなかった。
(´・ω・`)「あのねえ、警察も暇じゃないんだよ
事件性の無い事柄に一々首を突っ込むわけにはいかないんだ」
( ゚∀゚) 「それじゃ、今度のショボンさんの休みのときに行きましょう。
それなら問題ないでしょう? 」
(;´・ω・`)「せっかくの休みを潰すというのかい? 」
_
( ゚∀゚) 「仕事が無理なら趣味で、ですよ」
ショボンは呆れた様子で、にこやかなジョルジュの顔を見る。
断りたいが、自分でも確かに気になっていたことではある。
内藤ホライゾンが何故死んだのか、何故死んだ後にあんなに安らかな表情だったのか。
ショボンは休みを取り戻すのを諦めて、ジョルジュに向き直った。
(´・ω・`)「いいだろう
内藤ホライゾンがどのような人物だったのか、ちょうど私も気になっていたところだ」
ジョルジュはあからさまに嬉しそうな表情をして「よっしゃあ」と叫んだ。
_
( ゚∀゚) 「ありがとうございます、ショボンさん!
それで、休みはいつになりますか? 」
ショボンはカレンダーを確認する。
遠ければいいのだが、とショボンは微かに願ったが、やはり思い通りにはならないようだ。
(´・ω・`)「明後日、金曜日が非番だね」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
8月12日(木)、午前10時頃――
鬱田ドクオは携帯を片手に地図を確認しながら、某県F市の街を歩いていた。
F市は県庁所在地であり、ここ数年で最も急速に成長した都市であった。
といっても、ドクオが今歩いている街路は都会の喧騒からだいぶ引き離されている。
かつては商店街であったところを改良してビル街にしようと試みたが、失敗したらしい。
全体的にコンクリートの鬱屈した雰囲気が漂っている、あまり足を踏み入れたくない通りだった。
今日は昨日までの晴天が崩れて曇り気味であることも影響しているかもしれない。
目的地はもう見えている。
周りの建物の間にすっぽりと収まった、うらぶれた細いビルの二階。
『モララー探偵事務所』――ガラスに貼ってある黄色い文字が見受けられた。
ドクオは二、三度地図の目的地と名前を確認する。
ここが目的地であるとわかり、携帯を閉じた。
しかし――あまりにボロい見た目に、ドクオは不安を覚える。
本当に大丈夫なのだろうか、という言葉が脳を過った。
妙に圧迫感のある薄暗い階段を上り、二階に辿り着く。
表で見たのと同じ文字が入口のドアにも貼ってある。
ドクオはドアをノックして、予約した者だという旨を伝え、返事が返ってきたのでノブを回した。
( ・∀・)「これはこれは、よくお越し下さいました」
入室してすぐに、ドクオに声が掛かった。
彼がこの探偵事務所を経営している男、モララーに違いない。
さっぱりとした男――それがドクオが最初にモララーに抱いたイメージである。
表も裏も無い、そんな直感がして、ドクオは少し緊張が解れた。
街の雰囲気や圧迫感のせいで、思った以上に肩が張っていたみたいだ。
モララーの机は窓を背にしており、もし今日が昨日までのような快晴ならば逆光で見えなかっただろう。
机の前には相向かいのソファ、その真中に透明なガラスのテーブルがある。
( ・∀・)「C市に在住の大学生であるドクオさんですね?
昨日予約された」
('A`)「ええ、そうです。
調べてもらいたいことがありまして……」
モララーはドクオを、扉側に設置してあるソファに座らせる。
それからコーヒーを取りだしてきて、テーブルの上に置き、ドクオの相向かいに座った。
( ・∀・)「まあコーヒーでも飲んで、詳しいことを聞かせてくださいな」
気さくに話しかけてくれるモララーに、ドクオはますます好意を抱いた。
一口コーヒーを飲んでから、説明をする。
('A`)「実は、先日亡くなったブーンについて調査していただきたいのです」
ドクオはあくまでも簡潔に、意味がはっきり伝わるように言った。
モララーはコーヒーを持ちながら動きを止める。
( ・∀・)「…………? 」
まるでドクオが理解しづらい発言をしたかのように、文字通り首を傾げるモララー。
ドクオは一瞬どうしてそんな目が向けられるのかわからず、それから一つ思い当たる。
「あっ」と小さく叫んで、ドクオは訂正した。
('A`)「先日亡くなった内藤ホライゾンについて調査していただきたいのです」
(;・∀・)「いやいやいや、チョイ待ち、まあそれもあるけどさ」
モララーは掌をドクオの前に出す。
彼が困惑していることはドクオにもわかった。
同時にドクオはがっかりする。
どうやら名前が一般に知られているものではなかったから、というわけではなかったようだ。
ドクオもまた少し首を傾げた。
(;・∀・)「死んだ人をどう調査するのさ? 」
('A`)「ああ、そういうことでお困りでしたか。 それは……」
答えを言おうとして、思考を巡らせるが、言葉が出てこない。
ややあって、ドクオは自分がその答えを知るわけがないことに気付いた。
('A`)「わかりませんよ。だからここにきたんです」
気まずい沈黙が流れる。
ドクオにとって、その嫌な感覚は小学生の時から訪れるものであったが、モララーにとってはたまったものではないだろう。
困っているモララーを見てそれを痛感する。
(;・∀・)「しかも君が言った、内藤ホライゾンって、あれだよね?
一昨日くらいに死んだ犯罪者。めっちゃニュース流れてた」
ドクオはまさにその通りというように肯定する。
モララーは暫く固まっていた 。
ドクオは昔から、自分が人との会話に向いていないことを知っていた。
今だって返事はしたものの、そこから自分で言葉を発する気にはなれない。
どれほど相手が言葉を見つけるのに困っていようと、相手からの言葉を待ってしまう。
このように、返答に困る相手の姿を見ることも多かった。けれど、それは決して気持ちのいいものではない。
できることならば会話は避けたい、コミュニケーションを避けていたい。
でも、今それは無理な願いだ。
どうしてもこの会話は続けなければならないのだ。
モララーに、ブーンの調査を依頼するということを必ず成功させなければ――
( ・∀・)「あのね、私は今まで調査って言われたらいろんなものがあったのよ」
ようやくモララーが口を開く。
( ・∀・)「家出した家族とか、不倫している夫とか、ストーカー見つけたり。
生身の人のドロドロしたところを見つけたりするのが多いんだよね」
('A`)「……あんまりやりたくない仕事ですね」
(;・∀・)「まあね、時々そう思うよ。そこまでストレートに言われるとちょっと辛いね。
君、ひょっとしてあまり人と話さないタイプ? 」
('A`)「ええ、まあ。友達いません」
( ・∀・) 「そっか…………」
('A`)「ええ…………」
再び訪れる沈黙。
もちろんドクオは望んでこの沈黙を戻したわけではない。
ドクオ自身焦ってはいた。
こんなにすぐモララーに断られてしまうわけにはいかない。
話を繋がなければならない、けどそれはドクオの最も苦手とすることだ。
嫌な空気を感じながら、ドクオはモララーの返答を待っていた。
幸いモララーは気を取り直して話を続けてくれた。
( ・∀・)「まあいいや。話を戻そう。
とにかく、依頼主ってのは自分のことを一番に考えていることが多い。
だから、死んだ人を調べたことはあまりないんだ。私もあまりしたくはない。
こんなこと言うのも悪いけど、あんまり実益がないような、そんな気がしちゃうんだよね」
モララーは申し訳なさそうに言う。
率直な感じ方がちゃんと伝わってくるモララーの話し方にはドクオも感心した。
( ・∀・)「だいたい、どうして死んでしまった人のことなんか調べようと思ったんだい? 」
もっともな質問だろう、ドクオはそう思った。
自分は傍から見れば笑顔の殺人鬼とは何の繋がりも無い一般市民なのだから。
ドクオはモララーの言葉に頷いて、頭の中を整理し始めた。
('A`)「昔、会ったことがあるんです。
その、内藤ホライゾンさんに」
モララーの眉がわずかに動くのを見て、ドクオは少し安心した。
興味を持ってくれそうだ――ドクオはそう感じて急いで言葉を繋げていく。
('A`)「僕はあの人と何度か出会って、思ったんです。
この人凄く良い人だなって。
あの人は僕に凄く優しくしてくれて、いろんなことを教えてくれたから。
どうしても、世間でいう殺人鬼のイメージと結びつかなくて」
ドクオは自分でもひどく感覚的な感想だと思ったが、モララーは特に批判することも無く聞いていた。
ドクオはつくづく安心して言葉を続ける。
('A`)「事件があったときは衝撃的でした。
あの人が犯罪をするなんて、とても信じられなくて。
それに名前まで違っていたし」
( ・∀・)「名前……ひょっとしてさっき言いかけた、ブーンって名前かい? 」
モララーが言葉を挟んでくる。
決して話の流れを切ったではない。ごくごく自然に割り込んできたのだ。
ドクオは落ち着いて返答する。
('A`)「はい。
僕が初めてあの人にあったときはそう名乗っていたんです」
モララーは少し考えている様子だった。
ひとまず一蹴されずにすんだ、ドクオはその安堵感を味わった。
( ・∀・)「じゃあその殺人をした内藤ホライゾンが、ブーンさんに良く似た別人だった、ということはないのかい? 」
('A`)「いえ、それはありません。
あの事件は僕がそのとき暮らしていた近くで起きたものですし、あの事件以来ブーンさんには会っていませんから」
( ・∀・)「B市の中で、君はブーンさんと結構近かいところで暮らしていたのかな 」
('A`)「はい」
('A`)「いきなり変な相談ですいません。
でも、僕は知りたいんです。
あんなに優しかったブーンさんがどうして犯罪を行ったのか、そしてどうして今になって死んだのか」
モララーはじっと考え込んでいた。
ドクオの説明はあまりにも簡潔で、感覚的で、不明瞭な点もあったが。
それでも内藤ホライゾン、もといブーンに対する気持ちを込めて言葉にした。
元々話すことが苦手なのである。説得じみた真似はできるわけがない。
ドクオは最初から気持ちで勝負するつもりだった。
ドクオはじっとモララーを見つめていた。
その目がだんだんと、面白いものを見たときの少年と同じような輝きを持ってくるのを、ドクオはしっかりと見ていた。
ふと、この人はどうして探偵になったのだろうという疑問がドクオに湧いてくる。
先程自分でもつい言ってしまったが、決して気持ちのいい仕事ではないはずだ。
それでもこの仕事を選んだということに、この瞳の輝きは関係しているのであろうか。
ドクオが色々と考えているうちに、モララーの方は意志が固まったらしい。
顔を上げて、モララーはドクオを向いた。
モララーは改まった口調になる。
( ・∀・)「だいたい、状況はわかりました。
本来ならこのような調査は行ったことが無いので、なんとも返答し辛かったのですが」
ドクオは無意識のうちに拳を握りしめて、モララーの答えを聞いていた。
それが緊張した時の彼の癖であった。
( ・∀・)「――私としても、とても興味深い事柄であります
あまり大した収穫は無いでしょうが、まずは5年前の犯行現場から調査していきましょう」
ドクオはモララーの言葉を聞き終わると、一気に呼気を吐きだした。
肩の力が抜けて、拳が解かれていく。
('A`)「ああ、よかった。
ありがとうございます、探偵さん」
本心から、ドクオは感謝の言葉を述べた。
調査はしてくれることが決定したので、ドクオは一安心する。
そして、これは出来たらでいいのだが、ドクオはもう一つの提案をする。
('A`)「モララーさん、あの……
できたらでいいんですが、聞いてほしいんです」
('A`)「僕も調査についていってよろしいでしょうか」
( ・∀・)「そうだねえ……」
モララーはドクオの顔を見つめて、何度か頷く。
まるで調べられているような気がして、ドクオは少しだけ緊張する。
それでもさっきよりはだいぶましだったが。
( ・∀・)「いいでしょう。
相手は死人ですし、ばれるとかそういうことは気にしなくていい。
それに……はっきりいって私の興味からくる暇つぶしみたいなものですから」
('A`)「暇つぶし……ですか。
なんかすいません。忙しいのに」
相手が少しでもマイナスイメージの言葉を出したら、つい謝ってしまう。
それもドクオの癖だった。
( ・∀・)「いやいや、謝らなくていいんだよ。
何もしていないだろう」
モララーはカラカラと明るく笑い飛ばす。
聞いてて気分が良くなるような、垢ぬけた笑い声だ。
ドクオもつられて、気がついたら口の端が微妙に上がっていた。
( ・∀・)「それに、ここはあんまり客が来ないからね。
私としても、この探偵事務所だけで生きているわけじゃないから」
ドクオは納得し、少しホッとする。
自分が迷惑でないとわかると人一倍嬉しかった。
一方で、別の疑問が湧いてくる。
('A`)「じゃあどうやって生活しているんです? 」
言いながら、ドクオは自分でも、今日は良く喋るなあと思う。
今までは誰かと一緒にいて、こんなに会話が続いたことはほとんどない。
まして自分から疑問を投げかけるなんて、母親にだって珍しいことだった。
モララーはそれほど話しやすく、気兼ねしない男だった。
( ・∀・)「ああ、普段なら適当にアルバイト見つけて稼いでるよ。
今はちょうど期限終わって、何もないけどね」
あっさりと、モララーは答える。
あまりに普通な態度で答えたので、ドクオは返答が遅れてしまった。
(;'A`)「え、それって……ちゃんとした仕事は? 」
( ・∀・)「ないよ」
今度はドクオが困惑する番だった。
(;'A`)「じゃあ……お金とか大丈夫なんですか? 」
( ・∀・)「できのいい兄弟がいるんだ。
大抵はそいつが何とかしてくれる」
その兄弟にとってはひどく迷惑な話だろう、とドクオは思った。
先ほどとは違う種類の汗が、次々と流れていく。
(;'A`)「あの、失礼ですが、おいくつですか? 」
( ・∀・)「今年で40かな」
その数字に、ドクオは呆気にとられた。
ドクオ年齢のダブルスコアよりさらに上である。
ドクオは、たとえ自分でなくても、返答しづらいに違いないと思った。
40歳になっても収入源は兄弟頼みだという、そのような生活が果たしていいものなのだろうか。
( ・∀・)「といっても、誕生日ははっきりとは知らないし。
兄弟も血が繋がっていないんだけどな」
('A`)「血が繋がっていない……ですか」
ドクオの言葉をきいて、モララーはにやっと笑う。
何故笑われているのかわからず、ドクオは目をぱちくりさせた。
( ・∀・)「いや、ごめんな。
お前みたいな反応はもうずっと昔から見てきてるんだ」
モララーは可笑しそうに笑う。
この時のドクオには、何故そんなに可笑しいのか完全に理解することはできなかった。
( ・∀・)「俺はな、記憶がないんだよ」
事も無げにモララーが打ち明かす。
いつの間にか、モララーの一人称が変わっていた。
ただの仕事上の関係から、ドクオ相手に打ち解けてきたということなのだろう。
ドクオはぽかんとした後に、その言葉の意味を理解する。
(;'A`)「記憶喪失……ですか? 」
( ・∀・)「おう、ガキのころの記憶がさっぱり無いんだ。
結構な歳になってからしか、思い出せないのさ」
('A`)「へえ……」
初めこそ驚いたが、ドクオはだんだんとモララーの発言に興味を抱いた。
記憶喪失など、聞いたことはあるが実際にそうなった人を見たことは無い。
元々人との接触はないが、ごく普通の人間でもそれは同じだろう。
( ・∀・)「俺は全然気にしてないがな。
むしろこうして一つは話題にできるから」
確かにモララーの口調からは記憶喪失であることを悲しむような感じは無い。
むしろ相手の反応を見て楽しんでいるようにさえ、ドクオには思えた。
それからも二人は話を続けた。
モララーはだいたい高校生のときに記憶を失って、拾われた。
モララーの兄弟というのは、彼を拾って育ててくれた家の人らしい。
年齢も恐らくモララーに近いのだそうだ。
モララーの名前は、拾われたときに着ていた服の裏に書かれていたもので、苗字まではわからない。
苗字が必要な時は拾ってくれた家の「分手」を使っているそうだ。
分手さんの家は山の中にあり、子どもを高校に行かせていなかった。
勉強はその家の主人が教えてくれて、モララーはそこの家の子どもと一緒に山の中で勉強したとか。
このように、会話は途切れることなく続けられた。
モララーの育った環境があまりにも普通とかけ離れていたので、ドクオは次々と質問をした。
まだ山の中での話しかしていないときであったが、モララーは強引に話を切る。
再びブーンのことに話が戻った時には、外で雨が降り出していた。
ブーンの調査は、明日、8月13日金曜日に早速行うことになった。
まず調べるのは事件現場から。
手掛かりなんてもう残されていないだろうが、犯行の状況を見ておくことは大事なことだ。
これがモララーの言い分だった。
探偵事務所を後にして、アパートに戻ったとき、ドクオは達成感を感じていた。
ブーンの調査をしてもらうことに成功したことを素直に喜んだ。
ドクオの頭の中にはモララーの飄々とした姿が映っていた。
ドクオにとって、とても好印象だった。
けれど――頭を振って、その姿を消す。
わかっている、これは指令なのだ。
ブーンの話をネタにして、モララーに接近すること。
それが8月10日の夜に、携帯で伝えられた指令だった。
('A`)「わかっているさ」
ドクオはそう呟く。
そして、同時に指令を伝えてきた人物の言葉が蘇る。
『今はまだ言えないが、そのうち説明する
その前にちゃんと接触するんだ。モララーと
ブーンのことに関する最重要人物なんだからな』
笑顔の殺人鬼、内藤ホライゾン、またの名をブーンというその男。
彼の死に関係して、四人の人物が行動を始めていた。
警部のショボンと、その付き添いの青年ジョルジュ。
指令を受けたドクオと、記憶喪失の探偵モララー。
彼ら四人の行動が
一人の男に纏わる、悲しい事実と、嘘を暴いていく。
そして事件は、これから始まるのである。
〜〜第二話へ続く〜〜
8月13日(金)、1時頃、A市――
探偵、モララーはスーツを着て、冴えない青年ドクオを連れてこの街に来ていた。
聞けば彼は19歳なのだという。
自分の半分以下であることに、若干驚いた。
自分の年齢といっても、それは一緒に暮らしていた分手マスという青年の年齢と合わせただけであり
実際の自分の年齢とは違っているのかもしれない。
そもそも記憶がないのだから、あまり気にしてもしょうがない、というのがモララーの持論だった。
A市内のバスに乗り、彼らが向かっているのは、かつて笑顔の殺人鬼内藤ホライゾンがニダー一家を殺害した場所である。
事前にA市の交番で聞いた話によると、ニダーの屋敷は取り壊されてどこかの金持ちがマンションを建設したという。
その人物は殺人事件があったことなど毛頭気にしていない人物なのだろう、モララーはそう考えると呆れてしまう。
たとえ自分が今暮らしている場所で、ほんの数年前に血だまりができていたとしても、何とも思わないのだろうか。
暮らしていける場所ならば、どこでもいいから綺麗なところの方がいい気がするのだが。
――でも山から離れたらどこも似たようなものか、そう思い至りモララーは苦笑いする。
('A`)「あの……モララーさん」
消え入るような声が聞こえてきたので、モララーはハッとする。
隣の席に座っていたドクオが話しかけていたのだ。
しかもそのおずおずとした様子からすると、どうやら長いこと声を掛け続けていたらしい。
('A`)「大丈夫ですか? さっきから一人でため息ついたり、笑ったり」
考え事をしながら表情を出していたのをドクオはしっかり見ていたらしい。
モララーは微かな恥を感じながら、それを掻き消して笑い飛ばした。
( ・∀・)「なあに、ちょっと考え事していただけさ
どうも昔から考えているといつの間にか表情が出てしまうんだよ」
('A`)「なるほど……なんだかモララーさんらしいですね」
ドクオの口が少しだけ緩んでいた。
モララーさんらしい、か――言われたモララーは頭を掻いた。
自分の性格はそんなにもわかりやすいものなのだろうか、昨日今日でわかってしまうほどに。
少しだけ考えたが、「わかりづらい」と言われるよりマシだと思い、モララーは満足する。
それにしても、この青年は変わりやすいな――モララーの思考の対象は自分からドクオに移る。
変わるといっても昨日探偵事務所に入ってきたときから、今とを比べてということだ。
正直事務所で話し始めたときにはあまり好感が持てなかった。
まるで人とコミュニケーションをとることを本能的に避けているように、モララーには思えたのだ。
ところが、今隣に座っている青年ははっきりと何かに向かっている。
事件のことだろうとモララーは推察する。
何があったのかは詳しく話してくれなかったが、この青年は内藤ホライゾン、ブーンのことを知りたいと強く願っている。
モララーはその姿勢が気に入っていた。
内藤ホライゾン、いや、ブーンと呼ぶことにしよう、とモララーは思った。
まだその謎については触れることはできない。
この、言うなれば5年後の現場検証で何かが見つかればいいのだが――
('A`)「モララーさん、もう着きましたよ? 」
ドクオが心配そうに声をモララーに掛けてきた。
モララーはまたしても考えに熱中してしまったので、ボリボリと頭を掻く。
昔からそうだ。少なくとも記憶があるうちから、モララーは考えすぎるとよく周りが見えなくなったのだ。
バスから下りて、そこで初めて外の景色に気付く。
F市と比べたら見劣りするが、某県北部の中枢的な役割を占める街だ。
モララー達が下りたのは駅からほんの数キロ離れただけの地点だが、それでも薄汚れたビルと街路が目立つ。
山育ちの影響か、ついついモララ―はそんなことばかり考えてしまうのであった。
当時の殺害現場、つまりニダーの屋敷は本当に跡形もなくなっていた。
情報を頼りに来ては見たものの、聳え立つのは高級マンションでしかない。
一度歩みが止まり、困ってしまったモララー達は、しかたなくマンションの周りを歩くことにした。
一応目は配らせておくのだが、やはりこれといったものは見当たらない。
やがて、歩き始めた地点が見えてこようとしていたときだった。
(*゚ー゚)
傘を畳んで持ち、マンションを見上げている女性がいた。
どことなく気品が醸し出されていて、育ちの良さそうな見た目。
年齢は20代後半か30代になりたてだろうとモララーは推測する。
('A`)「あの人、マンションに入らずにずっと見上げていますね」
ドクオが指摘して、モララーも頷いた。
どうも女性はマンションに入るために来たのではないらしい。
ただその場所を見に来ただけなのだろうか。
モララーが考えを広げているうちに、女性が二人の方を向く。
思えば男性二人にじっと見られているのだ。不愉快に感じたかもしれない。
モララーは咄嗟に頭を下げた。隣のドクオもそれに倣う。
女性はただ、にこっと微笑みかけてきた
( ・∀・)「あの、なんかすいません。こいつがじっと見ちゃって」
モララーはドクオの頭をくしゃくしゃにしながら言う。
(;'A`)「ええ!? いやまあ……うえぇ!?」
この青年は見た目からしてこういう状況が苦手なのだろうとモララーは思っていた。
あまりにも口が回らないドクオが惨めになってきたので、モララーは腕を下ろす。
( ・∀・)「いやあ、すまなかった。俺も見てたから気にしなくていいんだぞ」
(;'A`)「そういう問題でもない、と思いますけど」
(*゚ー゚)「ふふ」
女性が笑ったので、モララーもドクオもパッと表情を変えてそちらを向く。
それから、彼らは話し始めた。
自分たちが、ここで5年前に起こった殺人事件について調査していること。
特に内藤ホライゾンについて調べていることを。
出会いがしらに殺人事件の話をするのは奇妙だが、モララーは自然に話を繋げていった。
女性はひとしきり聞いた後、言葉を発する。
(*゚ー゚)「内藤ホライゾンさんのことはよく知っていますよ。
私の姉と関わりがありましたから」
その清楚な女性の名前はしぃと言った。
彼女もまた、3日前の内藤ホライゾンの急死について疑問に思っていた。
それでこの現場に来てみたが、何をするでもなく佇んでいるところでモララーたちに出会ったのだという。
(*゚ー゚)「もうちょっとしたら、このお花を道端に添えようと思っていたんですけどね」
そういって、しぃは手元の小さい花をモララーたちに見せる。
リボンの装飾がかわいらしいが、決して派手なわけではない。
( ・∀・)「献花、ですか」
(*゚ー゚)「ええ、そう。
もちろん、亡くなられたニダーさんと、その奥さんのためでもあるわ。
でも本当は、内藤ホライゾンさんのため」
( ・∀・)「そんなに思い入れがあるんですねえ」
(*゚ー゚)「いえいえ、私なんて面識がないので。
姉のためです。あの人、今は忙しいけど、きっとこれをあげたがってるだろうって思うんです。
だから私が、姉の代わりに」
(*゚ー゚)「あんまり仲良くないんですけどね。私と姉は。
価値観が違うというか、姉はすごく自由な人だから。
でも、根っこの方では同じなんじゃないかなあ」
言いながら、しぃはマンションを眼を細めて見上げる。
つられてモララーとドクオも見上げてしまった。やや自己主張の激しすぎるその相貌。
(*゚ー゚)「跡形もないって、まさにこのことですよね」
なんだか虚しそうに、しぃが呟いた。
(#・∀・)「全く、このバカでかいマンションなんか建てるから現場が無くなっちまうんだよ!
なあそうだろう、ドクオ」
(;'A`)「いやあ、でも殺人現場を5年間も残しておくのはまずいんじゃないかなあ」
(#・∀・)「いや、跡形もなくぶち壊すなんてひどい。
屋敷を屋敷としか見てないからそうなるんだ。
全く、こんなもん建てた奴をぶん殴ってやりたいよ俺は」
(*゚ー゚)「ふふ、じゃあぶん殴ってみます? 」
しぃがさらっと発した言葉に、男二人は「えっ」と言って固まってしまう。
面白そうに微笑みながら、しぃは話を続けた。
(*゚ー゚)「私のお父様なんです。このマンションを建てたのは」
(;・∀・)ヒソヒソ「い、今お父様って言ったぞ」
(;'A`)ヒソヒソ「驚くのはそこじゃないと思いますよ」
しぃの家系は古くから大量の土地を所有している富豪であり、しぃの父親は大型のマンションをいくつも経営しているそうだ。
しぃの父親は内藤ホライゾンに特別な思い入れがあって、彼が逮捕されたことも不審に思っていたらしい。
内藤の殺害が確定したことが受け入れられなかったしぃの父親は、腹いせにニダーの屋敷を買収、マンションを建設したという。
( ・∀・)「それで、その思い入れとは? 」
(*゚ー゚)「それはお父様本人に聞いてみてくださいな」
午後5時、A市郊外――
しぃが献花した後、二人はしぃに連れられた。
しぃの家には30分も掛からずに到着したのだが、そこには父親はいなかった。
父親自身は基本的に東京で暮らしているから、モララー達が到着してから使用人たちに呼んでもらったのだ。
しかしどうやらその父親は意外と遠くに出ていたらしく、ここまで時間が掛かっている。
その家の三階、高級ホテルのワンルームのような客室の窓から、モララーは曇り空を眺めていた。
普通ならそろそろ夕暮れ、紅色の陽光が人々を照らしている頃だ。
けれど今は光が届かないし、モララーの見る限りでは人もいない。
しぃの家の敷地内であるために部外者は中に入ることができないのだ。
この家の周りは鉄柵が囲っていて、入口以外から入ることは不可能。
その入口にも守衛が居るので、必ず家の人か使用人が付き添わなければ入ることはできない。
先程モララー達はしぃと一緒にいたので入ることができたのだ。
そういえばこの家はしぃの父親がしぃに人生経験をさせるために与えた家らしいが
果たして使用人つきの、しかも外界から隔離されたこの家でなされる経験はどういったものだろう、とモララーは考えてみた。
そして考えれば考えるほど、それは父親が与えたいと思った人生に過ぎないのだろうと思う。
別に非難しているわけではない。むしろ羨ましいくらいだった。
もう少し自分が若ければ、あまりの羨ましさに涙を流していたかもしれない、とモララーは思った。
(*'A`)「モララーさん」
ほんのわずかだが嬉しそうに、ドクオが呼びかけてきた。
この青年は長いこと感情をあまり表に出さない生活をしていたのだろうな。
そんなことを考えながら、モララーは振り向いた。
ドクオは二つあるベットのうちの一つで、布団にギュっと顔を押しつけていた。
どうも柔らかさを肌で感じているらしい。
思い切り肌をすりすりした後で、モララーの方を向く。
(*'A`)「僕、将来探偵になってみたいです。
こんな気持ちのいい布団で寝られるなんて」
(;・∀・)「……お前はそっちのベットだからな」
(*'A`)「うぃ」
ドクオは再びすりすりを開始する。
モララーは眉を顰めながら、頭をガリガリ擦った。
客室を用意してくれたのは意外だったが、特に断る理由も無いので二人は利用している。
特にモララーは、探偵事務所に用意してある敷布団がボロボロになってきていたのであまり使いたくなかった。
ふとドクオの敷布団は綺麗なのかと考えたが、綺麗と考えたくなかったので汚いと仮定しておく。
('A`)「モララーさん」
急に真面目な表情になって、ドクオが質問した。
( ・∀・)「ん? どうした」
('A`)「あの、つかぬことをお伺いするんですけど」
ドクオは少し言葉を迷っているようだった。
('A`)「どうしてこんなに真剣にブーンのこと調査してくれるんですか?」
(;・∀・)「……は?」
モララーには、ドクオの質問の真意がわからなかった。
だから疑問符をつけて送りかえしたのである。
でも、ドクオは首をかしげるばかりだ。
しかたないからモララーが言葉を紡いでいく。
(;・∀・)「なんでって、それがお前からの頼みだから、だろ」
('A`)「いやでも、全く知らない人なんですよ? 僕やブーンのことなんて。
それなのに、こんなとこまで来てくれて調査してくれて、いったいなんでかなって思って」
ドクオはごく普通に聴いているようだった。
それを普通と思えるのだから、やっぱりちょっと変わってるなとモララーは思った。
( ・∀・)「んー、仕事だからってのもあるけどさ」
モララーもまた言葉をいろいろと考えてみる。
なるべく自分の考えに近い言葉。
( ・∀・)「お前はさ、要はブーンのことが気になるから、調べている。
ブーンさんはホントは優しかったのに、どうして殺人なんかって」
ドクオは素直に頷いた。
( ・∀・)「そんなお前が依頼人。
だから、依頼された俺はお前を信じて、ブーンはいい人なんじゃないかっていう証拠を探す。
そしてどうしてあんなことやっちゃったのかっていう理由を見つけたい。
これが俺の頑張る理由ってとこかな」
ちょっと恥ずかしくもあったが、モララーの本心は実にこんなものであった。
('A`)「それだけですか?
たったそれだけで、あなたは僕のことやブーンのことを信じてくれるんですか」
(;・∀・)「な、なんだよいきなり。そうなんだからそうなんだよ。
こういう仕事はな、嘘をつかれることは多いけど、それでもな
依頼してきた人のことはひたすらに信じなきゃならないの。それが俺の立場なんだ」
ドクオはなんだか感心したような表情をした。
('A`)「やっぱりかっこいいですね、探偵って」
どうも気恥ずかしいので、モララーは、あーっと呻いた。
( ・∀・)「お前さんもいろいろ思うところがあるわけね」
('A`)「ええ、まあ……」
どうもすっきりしない返事が、ドクオから返ってくる。
やれやれ、とモララーは思ったが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
結局のところ自分も似たようなものかもしれない、なんてことを考えていたのだ。
自分にしたって、はっきりしないことは多い気がする。飄々としているのは、それをうやむやにしているからだ。
だから、ドクオを強く責める気にはならなかった。
( ・∀・)「とりあえずお前はさ、自信もて、なんて無責任なことは言わないでおいてやるから
なるべく自分の考えを大事にしろよな。それって大切なことだぜ」
(*'A`)「はい!」
布団に顔をうずめるドクオを見ているうちに、階下で物音がするのに気付いた。
もちろん人はいるのだが、一段と動きだしたようなので、モララーは父親が来たのだろうと思う。
やがて客室の扉が開いて、しぃが二人を呼び出した。
156 :
バスケ大好き名無しさん:2012/11/24(土) 23:55:17.07 ID:TDPPWzFY
あ。
一階、応接室――
モララーとドクオはしぃに連れられて、部屋の中に入った。
壁に飾られた賞状や、トロフィーがまず目につく。
応接室に置くということはそれだけ相手に見せびらかしたいという意図なのだろう。
( ´∀`)「よく来てくれましたモナ。
ありがとうだモナ、えっと……」
ふくよかな男が、腹の底から出るような声で語りかけて来た。
(*゚ー゚)「モララーさんとドクオさんですわ、お父様」
( ´∀`)「ああ、そうだったモナ、忘れていたモナ」
(*゚ー゚)「いやですわ、お父様。
まだ名前なんて紹介していませんことよ」
二人の笑い声が、客室中に響き渡った。
少し大袈裟かもしれないが、確かに家族としてのぬくもりが感じられる、そんな笑い方だ。
モララーとドクオは自分たちとかけ離れたその親子の様子をぼんやりと見ていた。
( ´∀`)「とりあえず座るモナ」
父親はしぃを外に出して、それから顔つきを真剣なものに変えた。
( ´∀`)「話はしぃから聞いているモナ。
どうして私が内藤ホライゾンのことを好んでいるかモナね? 」
しぃの父親の名前はモナーと言った。
モララーとドクオがフカフカのソファに座り、細長くて艶のあるテーブルを挟んで反対側にモナーが座っている。
( ´∀`)「まず話を始める前に、しぃの姉であるつーの話をしなければならないモナ」
つーはしぃとは歳の離れた姉であり、昔はよくしぃの面倒を見てくれた。
モナーや他の養育係にとっても、頼りになるいいお姉さんだったそうだ。
しかし1990年、つーは20歳になると同時に東京の家を飛び出した。
富裕なだけで何の刺激も無い毎日に嫌気がさしたらしい。
実際つーはその頃、大勢のガラの悪い友達とつるんでいたという。
( ´∀`)「実のところ私は完全につーを舐めていたモナ。
どうせすぐに帰ってくるのだろう、と高をくくっていたモナ。
ところが……」
つーは全く帰ってこなかった。
さすがにモナーも捜索をしなければならないと思い、警察に連絡した。
しかしいくら待っても進展がない。
だんだんとモナーは焦りを感じて来たという。
( ´∀`)「私はとても怖かったモナ。
そしてとても後悔したモナ。
つーにもしものことがあったらどうしようか、もし悪い奴らに捕まっていたらどうしようか
毎日毎日そんなことばかり考えていたモナ」
その年の12月、事態は大きく動いた。
某県D市のある市警が、モナーに連絡をくれたのだ。
失踪中のつーが、D市にて発見された、と――
モナーは急いでD市に駆け付けた。
D市は某県西部にある地方都市であり、モナーは初めてそこに赴いた。
モナー自身も、また他の関係者も、つーがまさかそんな場所にいるなんて思いもよらなかったらしい。
D市警察署の一室で、モナーはつーと再開した。
つーの傍らには、包帯を体の至る所に巻いた青年が座っていた。
彼らの手はしっかり結ばれていて、その関係はモナーにもわかった。
( ´∀`)「そのとき包帯を巻いていた彼こそ、内藤ホライゾンであったモナ」
モナーは話を聞くことにした。
内藤、もといブーンは痛々しい体で、上手く喋ることができなかったため、つーが全て話してくれた。
つーはD市にて水商売で働いていたそうだ。
生きていく分には収入も十分にあり、生活にも困らなかった。
もう家に戻らなくてもここで暮らしていけばいい。ここには、家には無かった刺激があるから、つーはそう思っていた。
しかし、あるときブーンと出会った。
大学生の友達が紹介してくれた人の中に、その人物はいた。
彼は真面目な人で、普通なら自分と関わらない人だ、とつーは思ったらしい。
友達の友達として、偶然が重なって知ることになった彼。
でも一度目は何事も無く過ぎてしまった。
それから、今度は客引きをしているところでブーンに会った。
ブーンは心底驚いたらしく、つーの手を引いて話をしようとした。
つーはそれを払いのけて仕事に戻った。
しかしブーンはことあるごとにつーに接触して、説得しようとしてきた。
こんな仕事はするべきじゃない、君はもっとやるべきことがあるはずだ、と。
つーは何度もブーンを追い返した。しかしブーンもしつこかった。
そんな日々が続いた。
ある日、つーは自分の店が危険なことに手を出していることに気付いた。
つーは逃げようとしたが、店はなかなか手放してくれない。
困り果てた彼女はブーンに相談してしまった。
すると、どういうわけか、ブーンは店側に直接赴いた。
そして頼み込んだ。つーをもう止めさせてほしい、もう彼女は嫌がっている。
もちろん店がそんなことを聞くわけがない。
ブーンは思いっきり殴られ続けた。
つーはそれまで避けていた警察に連絡した。
たとえこの連絡のせいで自分が家出途中の身であることがわかったとしても構わなかった。
ブーンが助かるならばそんなことは、どうでもよかったのだ。
( ´∀`)「つーはそう語ってくれたモナ。
内藤ホライゾンはつーを更生し、再び我が家に帰してくれたモナ」
( ´∀`)「私は彼に感謝しているモナ。
彼はしばらくすると行方不明になり、次に私が目にしたのは殺人犯としてテレビに映ったときだったモナ。
しかし、当然のことながら私は信じられなかったモナ。
彼が凶悪な、俗に言う『笑顔の殺人鬼』などになるとは、とても思えなかったモナ」
モララーはそこまで言うと、目を閉じる。
昔のことを思い出しているようだ。
きっとブーンのことなのだろう、モララーはそう思った。
そして、どこかで似た話を聞いたばかりだとも思った。
やがてすぐに思い至り、ドクオの顔を見る。
モナーの話はドクオの話に似ていた。
ブーンは良い人だ。とても殺人犯とは思えない。
話は違っても、伝えたい内容は同じであるようにモララーのは思えたのだ。
ドクオはまっすぐ、モナーを見つめている。
真剣だ、といってしまえばそれまでだが、どことなくそれだけでは言い表せない感じが出ている。
悲しみが彼の瞳の奥に湛えている、モララーは青年を見ていてそんな気がしたのだ。
ドクオは自分の気持ちを言葉に出そうとはしない。
でも、モナーをじっと見つめる彼は、何かを感じたのだろう。
それが何かは、彼が話す気になるまではわからないままであるものなのだろう。
そんな直感が、モララーの頭を過る。
( ´∀`)「私の気持ちは以上モナ。
あの男に秘密があったのならば、それはそれで仕方のないことモナ。
でも……もし彼の死が避けられるものであったならば、現状に後悔せざるをえないモナ」
モナーの言葉の後、静寂が訪れる。
こうなってはドクオは喋らないだろう、モララーが会話を続ける。
( ・∀・)「お気持ちはわかりました。
我々も、彼の死が受け入れられないでいる点では同じです。
私は関わりがないのですが、このドクオ君は昔内藤ホライゾンにお世話になったことがあるそうで」
言葉を聞き終わらないうちに、モナーは「ほおお」と言いながら、ドクオに注目する。
ドクオはただ頭を下げただけだった。
( ´∀`)「それは興味深いモナ。
思うに君が会った内藤ホライゾンは我々の前から姿を消した後モナ。
それはぜひお話を聞いてみたいモナ」
この人もやはり知りたがるのだ。モララーは職業上、ついそんなことを思ってしまった。
何人もそんな人間を相手にしてきたから、わかっていた。
謎があれば解きたがる、たとえそれが不愉快なものであろうとも。
それが人間なのであり、自分だって大差ないってことも。
(;'A`)「はあ、ですが僕の経験は本当に当たり障りのないもので。
あの人のことを良く知る上では、あまり役には立たないかと」
( ´∀`)「構わんモナ。
今は真面目になって会社にかかりっきりなつーに、聞かせてあげたいんだモナ。
彼女は――」
時計の鐘が鳴ったので、モナーは口を噤んだ。
6時の音である。
( ´∀`)「随分話しこんでしまったモナ。
食事の準備が整っているはずだモナ。
お二人とも、今夜は存分にうちの料理を楽しんでほしいモナ」
( ´∀`)「といっても私もこのうちの料理人の出すものを食べるのは初めてモナ。
こりゃあ楽しみモナ」
午後6時、一階、会食場――
会食場に入る前に警備員のチェックがあった。
モララーとドクオは危険なものを持ち込んでないことを調べられる。
(,,゚Д゚)「会食の際には左胸のポケットにこの紫色のハンカチを挟んでください」
('A`)「あの……僕スーツじゃないからポケットないんですけど」
(,,゚Д゚)「それじゃ別のポケットに入れてください」
('A`)「破けているんですが」
(,,゚Д゚)「…………」
('A`)「…………すいません」
(;・∀・)「と、とりあえず私が預かっておきますね! 」
警備員からハンカチを受け取ると、モララーはドクオを連れてさっさと入場する。
('A`)「すいません」
(;・∀・)「あやまんじゃねーっての」
会場は広かったが、今回使うテーブルは一つだけ。
入口から見て横長のものであり、奥に二つ、手前に二つの席がある。
席と席の間は五メートルほど離れていた。
さらに他人と向かい合うのではなく、席を線で結ぶとジグザグの形が出来上がるように配置されていた。
入口から見て、左奥にドクオ、左手前にモララー、右奥にしぃ、右手前にモナーが座る。
ドクオとしぃからは入口が見えて、モララーとモナーからは壁にあるレリーフが見えた。
藤の花のようである。すると、ハンカチの紫色はきっと藤色なのだろう。
( ´∀`)「みなさん、本日はよくお越しいただいたモナ」
たった二人の客人だが、モナーは丁寧に挨拶を述べる。
お金を使うときは使うが、細かい配慮もする几帳面な性格が窺えた。
(*゚ー゚)「私の家なんだけどな〜」
しぃの呟き声も、モナーには届いていないようだった。
( ´∀`)「それでは会食を始めるモナ」
モナーは振り向いて合図を出す。
警備員によって入口が開かれ、給仕が料理を運んできた。
( ・∀・)「その席じゃ、いろいろと面倒じゃないですか? 」
わざわざ入口の方を向くために立ちあがったモナーに向かって、モララーが質問する。
(*゚ー゚)「本来なら私が仕切るのよ。
席もここなら入口が見やすい。し
でもお父様がどうしても挨拶やりたいっていうから、やらせてあげたの」
( ´∀`)「ついついお客は丁寧に扱いたくなるんだモナ」
まずはスープが運ばれて、その後も少しずつ料理が運ばれてくる。
(*´∀`)「おいしいモナ!
こっちの料理人も良い仕事してるモナ! 」
喜んでいるモナーの姿を見て、モララーはふと客間で最後に見たモナーの様子を思い出す。
そして斜向かいにいるしぃに耳打ちした
( ・∀・)コソコソ「よかったですね、お父さんがここの料理を気に入ってくれて」
しぃは最初きょとんとしていたが、すぐに合点がついたようだ。
そして途端にクスクスと笑いだす。
(*゚ー゚)コソコソ「お父様、偉そうなこと言ってるけど味音痴なのよ
むしろ誉めることの方が好きなの」
( ´∀`)「何か言ったモナか? 」
モナーの首がモララーとしぃの間を行ったり来たりする。
(*゚ー゚)「楽しい会食だって話していたところよ」
( ´∀`)「そりゃあそうモナ。
おいしいんだから楽しいモナ。
どうモナ? ドクオ君もそう思うモナ? 」
(;'A`)「ぶっ、ごふ……はあ」
急に話しかけられて、ドクオは咽かえる。
どうやら料理をありったけ口に頬張ろうとしていたらしい。
(;・∀・)「おい、ドクオ。
もっと落ち着いて食べたらどうだ? 」
(;'A`)「いやあ、久々にまともな食事だったもので」
( ・∀・)「まだ子どもなんだなやっぱり」
(*´∀`)「いいじゃないかモナ!
子どもだろうとなんだろうと、たくさん食べればいいモナ」
そう言っているモナーも、味わう前にがっつりと頬張っていた。
有言実行という言葉がモララーの脳裏に浮かぶ。
(*゚ー゚)「子どもといっても、無邪気に食べ物を食べるくらいならいいんだけれどね」
しぃはため息交じりに呟いた。
( ・∀・)「何か困ったことでもあるんですか? 」
悩み事があることは明らかだ。
しぃは頷いて、話しだす。
(*゚ー゚)「ええ、どうもうちの敷地に爆竹を投げ込む子どもがいるみたいなのよ。
裏の杉林の方でね。おかげで夜は眠れなくなることも多くて」
( ´∀`)「そんな奴がいるモナか。
許せんモナ。ぶっ放すモナ」
(*;゚ー゚)「お父様、まだ射撃やってたの?
もう歳なんだからそろそろやめてほしいわ」
( ´∀`)「まだまだ現役モナ〜」
親子が愉快そうに話している脇で、モララーは考え込んでいた。
先程の言葉がまだ気にかかっていたからだ。
( ´∀`)「しぃ、お前もいつまでも独り身でいないで、そろそろ結婚するモナ。
そうしたらもっと楽しいし、おいしいものも食べられるモナ! 」
(*゚ー゚)「まったくもう、30歳を過ぎた頃からそればっかりじゃないの、お父様」
( ´∀`)「私はしぃに幸せになってもらいたいだけだモナ。
どうだい、ドクオ君? うちの娘に興味はないかい? 」
('A`)「え! いえ、その……三次はちょっと」
( ´∀`)「年齢なんて気にすることはないモナ!
そんなもの関係ないモナ。モナが若い頃なんか」
(;'A`)「いやあ、そういうわけじゃ」
(*゚ー゚)「お父様、さっきから言ってることが滅茶苦茶ですわ。
ひょっとしてもうお酒がまわったのかしら? 」
(*´∀`)「何だかいい気持ちモナ〜」
(*;゚ー゚)「弱いんだからちょっとでやめておけばいいのに」
(;'A`)「ていうかブー……内藤ホライゾンの話を聞きたいとか言ってませんでしたっけ」
(*´∀`)「おー、そうだったモナ。
あの男はホントに感謝してもしきれない男だモナ!」
(;'A`)「サケクセー」
(*´∀`)「ドクオくん、ああなるには飲むしかないモナ」
(;'A`)「どうしてそうなるんですか」
(*;゚ー゚)「ドクオくん、多分もう何を言っても無駄よ」
(;'A`)「は、早すぎませんかねぇ」
(*;゚ー゚)「早く、短い。それがお父様の酔い癖よ」
( ・∀・)「すいません、しぃさん
少し聞きたいことがあるのですが 」
低いモナーの笑い声が会食場に響き渡る中、モララーはしぃに呼びかけた。
しぃは「何でしょう」というふうに首を傾ける。
(;'A`)「エ、チョ、ボクダケジャタイショデキナイ」
(*´∀`)「モナーハハハハハ」「キャー」('A`;)
( ・∀・)「先程お話になった爆竹ですが。
鉄柵の外側から、子どもたちが投げ入れてきているのでしょうか? 」
しぃは何故その話が再び振られるのかわからなかった様子だが、すぐに首を縦に振って反応する。
(*゚ー゚)「ええ、私は見たことないのですが。
爆竹の燃えカスを敷地内で拾った警備員がそうおっしゃっていたのです」
( ・∀・)「敷地内……ですか。
それって危なくないんですかね? 火事にでもなったら大変ですし」
(*゚ー゚)「もちろん大変ですわ!
どこかの風紀の悪い人々がやっているのでしょうけど、もし杉が燃えたりしたらと思うと……」
しぃがさーっと青い顔になる。
どうやら本当に火事が起きた場合のことを想像しているらしい。
(*´∀`)「もし危害が加わるようなら、私が人を雇って滅ぼしてやるモナ。
だから安心するモナ」
(;・∀・)「いやあの、まだ誰かが投げ入れているとは――」
モララーの言葉が途切れた。
いや、その場の全ての人が一斉に動作を止めた。
突如として、真っ黒い闇が、彼ら全員を包み込んだからだ。
(*;゚ー゚)「きゃあああああ!!」
(;´∀`)「電気が消えたモナ! どうしたモナ? 」
(;・∀・)「外の天気が崩れていたので、雷でも落ちたのかもしれませんよ」
ざわめく暗闇の会食場の中、モララーは耳を澄ましてみる。
だがそこは家の内部にあるために外に通じる窓も扉も無く、外で雷が鳴っているのかどうかはわからない。
( ´∀`)「電気が消えただけモナ。
安心するモナ、しぃ」
(*゚ー゚)「はい。
でもあんまり急に電気が消えるもので驚きましたわ」
( ・∀・)「こういったことは使用人が直してくれるものなのですか? 」
( ´∀`)「そのはずモナ。
しばらく待ってみるモナ」
('A`)「…………モグモグ、イマガチャンス」
その場にいた全員は落ち着きを取り戻しつつあった。
しかしすぐに、その安寧は破られる。
一発の乾いた音が響き渡ると共に。
たった一発で、身体の奥深くまで震わせる音。
入口の方閃光が迸り、何かが崩れ落ちる音がする。
テーブルか椅子が破壊されたのだろうが、真っ暗なために目に映ることはない。
(*;゚ー゚)「きゃぁあああああああ!! 」
(;´∀`)「なんだモナ!? 」
(;・∀・)「銃声!? 」
(;'A`)「もぐぉ!!? 」
四人それぞれが声を出して、入口の方を向こうとする。
だが、モララーは見えないながらも目を動かす。
そして紫色の光の塊がいくつか動いているのが見えて――
( ・∀・)「伏せろ! 」
モララーが叫ぶと同時に、別の破裂音がする。
ガラスの割れる音。
それに乗じて再びしぃの甲高い叫び声。
(;´∀`)「どこモナ! 誰が狙われてるモナ!?」
見えてはいないが、3人とも伏せはしたようだ。
モララーはある推測から、そのことを確信していた。
確認し終えると、すぐに入口を向く。
やはり何も見えない。
暗闇と静寂の中、目を凝らす。
そして、見つけた。
紫の光だ――
その光は場所をあまり変えず、ふらふらと揺れ動いている。
モララーの予想では、その光の主は困っているはずだ。
何故なら聞こえるはずのない音が聞こえてきたのだから。
( ・∀・)「横が空いてるよ」
言うと共に、モララーは光を殴り飛ばした。
金属質の重いものが地面に落下する音がする。
それは入口の扉の間から突き出されていたようだ。
廊下も真っ暗だから、見えないことには変わりない。
扉の向こう側から舌打ちが聞こえる。
ほぼ同時に、モララーが扉の隙間に手を入れ、相手の服を掴む。
これはかなり運が良かった。相手の動揺が伝わってくる。
モララーは渾身の力で、相手の襟元をしっかり握って頭突きをかます。
力が抜けた相手。扉から手が離れる。
その瞬間、モララーは扉の隙間から部屋の中に相手を引きずりこんだ。
なおも逃げようとする相手を、モララーは力強く地面に押さえつける。
( ・∀・)「お前は思ってるんだろうな。
『どうしてさっき、ガラスの割れる音がしたんだ。
俺はちゃんと紫の光を射抜いたのに』って」
相手の右手を背中に張り付けて、動けなくさせる。
モララーはその体の上に膝立ちで乗って、話し始めた。
( ・∀・)「残念ながらあれは俺がもらったものじゃない。
俺の連れがもらったものを咄嗟にグラスに掛けておいたんだよ」
照明が復興して、光が部屋に満たされる。
モナーとしぃ、それにドクオはモララーに言われた通り伏せていた体を起こす。
そしてモララーが人を押さえつけているのを目にした。
(,,;゚Д゚)「……ぐっ」
モララーの下で、警備員の男が呻く。
もう逃げることはできない。
その動きから力は無くなっていった。
警備員はテーブルクロスを丸めたもので椅子に縛り付けられる。
モララーは素早い手際で、彼に逃げる隙を与えなかった。
(;´∀`)「モララー君。
いったい何が起こったのか説明してほしいモナ」
(*;゚ー゚)「そうだわ。
彼はうちの警備員のギコ君よ! それがどうして銃を持って」
( ・∀・)「へえ、ギコって言うんですか、この男。
銃のことは後で吐かせましょう。今はわかっていることだけ」
説明しようとしたところで、電気を復興させた使用人たちが駆けつけてくる。
縛り付けられているギコを見てざわつく入口付近。
( ・∀・)「しぃさん、使用人を一人使わせてもらっていいですか? 」
しぃが使用人を一人呼ぶと、モララーは合図と動作を教える。
それから使用人は会食場の照明のスイッチに向かった。
( ・∀・)「ま、簡単に言うと。
このギコ君がみなさんに配ってくれたハンカチ」
モララーは一枚を腰のポケットから取り出して、ひらひらさせる。
( ´∀`)「それは私の家系で食事を掛けるときのマナーだモナ。
この家の資産を築いた先代の愛した、藤の色のハンカチを胸ポケットに入れることは」
('A`)「それを、モララーさん。
どうして腰のポケットに入れてあるんです? 」
( ・∀・)「暗くなったときに、この仕組みに気付いて移したんだ。
つまり……」
モララーはパチンと指を鳴らす。
使用人は頷いてスイッチを切った。
電気は再び消える。
しばらくすると、紫色の光が浮かび上がった。
モララーが手に持っているハンカチが光っているのだ。
また指を鳴らし、光が戻ってくる。
( ・∀・)「このハンカチに紫色の蛍光塗料が塗られているんです。
明りを消したら光るようにね」
( ・∀・)「だから先程電気が消えたとき
銃声が聞こえて、そのまま振り返っていたら危なかったわけです。
僕たち四人……いえ、ドクオを除いた三人は急所に目印を付けていることになるんですから」
( ・∀・)「私は、多分モナーさんのものだと思いますが、暗闇の中でハンカチが光っているのを見たのです
だから自分のハンカチはしまって、ドクオからもらったハンカチを、位置を記憶していたグラスに被せた。
そしてモナーさんやしぃさんに対して伏せるように命じたのです。
もし犯人が私を狙っているのならばグラスが割れる。お二人を狙っているならば伏せられて見えなくなる」
( ・∀・)「結果、グラスが割れる音がしたので犯人が私を狙っていることがわかりました。
あのグラスは私の席のやや左側に置かれたものであるし
私の席はモナーさんから5メートル、しぃさんからは約2・5メートル離れています
もしお二人のどちらかを狙ったのであるならば、いささか的外れすぎる」
( ´∀`)「すっかり私が狙われているのかと思ったモナ」
( −∀−)「それは多分気が動転していたからですよ、モナーさん」
( ・∀・)「また、さっきからギコ君が『どうして俺の居場所がわかった』といった顔つきで睨んでくるので
そこら辺についてもざっと解説しましょう」
モララーは闇の中で弾き飛ばしたものを拾ってくる。
黒々として艶を持つ拳銃を見て、モララー以外の三人は青い顔をする。
モララーが合図を出して、三度目の消灯。
ほんのわずかな静けさ。そして、誰ともなく息をのむ。
銃口に紫色の光が浮かび上がる。
ハンカチに塗られていたのと同じ種類の蛍光塗料だ。
電気をつけさせて、モララーが口を開く。
( ・∀・)「いくら腕が良くても、どこから銃弾が出るのかくらいは把握しないとですからね。
この銃に蛍光塗料が塗られていれば、撃ち抜くべき光と合わせることもできます」
( ・∀・)「それから、これは推測なのですが。
最近聞こえる爆竹というのは、ギコ君が敷地内で撒いていたものではないかと思われます。
これだけの芸当をするにはそれなりの練習が必要ですが、私有の警備員が拳銃を表に出していたら大問題。
夜中にこっそりやるしかありません」
( ・∀・)「杉林の方ならきっと明りが少ないため、電気が消えたときの射撃の練習には適していたのでしょう。
ここは他の家からある程度隔離されているし、爆竹に乗じて撃てば多少はごまかせます。
とはいえ連発していたら他の使用人やしぃさんが怪しがるので、何日にもわけて練習したわけです」
( ・∀・)「しぃさん、一応なのですが爆竹のカスを拾ってくる警備員というのはギコさんじゃありませんでしたか?
ギコが捨てたゴミを他の人が拾ったとも考えられますが」
(,,゚Д゚)「他の奴は関わってねえよ」
( ・∀・)「ほう、お前が爆竹を使ってたということは否定しないんだな」
(,,#゚Д゚)「んだと、ゴルァ!!」
ギコは体を必死に揺さぶるが、テーブルクロスは破けそうもない。
モララーが余程きつく結んだようである。
(*;゚ー゚)「た、確かに爆竹のカスは毎回ギコさんが持ってくるものでした。
夜回りをするのはギコさんの役目でしたので……それで」
( ・∀・)「ありがとうございます。
まー、どっちにしても発砲した時点で犯罪は確定。
ここにいる全員がその音を聞いているわけだし、この銃と弾丸を調べればすぐにわかることだ。
ここに来て逃げるのは無理ってもんだぜ、ギコ」
反抗的な目つきでモララーを睨みつけ、ギコは唇を噛んでいた。
しかし言い返すことはできず、悔しそうに口を開く。
(,,゚Д゚)「……俺がやったよ」
頭を垂れて、ギコが犯行を認める。
(*;゚ー゚)「そんな……どうして? 」
(;´∀`)「君は確か元々は東京の私の屋敷で働いていた警備員だモナ。
優秀さと誠実さを買ってここの警備を任せたというのに、どうしてこんなことを」
(,,゚Д゚)「頼まれたんだよ」
ギコはモナーやしぃとは顔を合わさずに言う。
まるで二人に責められることが耐えられないかのように。
( ・∀・)「へえ、そいつは気になるねえ」
モララーは言いながら、ギコに詰め寄る。
( ・∀・)「俺がここに来た理由は、かつて内藤ホライゾンが殺人を行ったニダー邸跡地でしぃさんに会ったからだ。
かなり偶然性の高い出来事であったのにも関わらず、お前の行った犯行は計画的。
まるで事前に俺がここで会食をするということがわかっていたかのように。
なあんか出来すぎじゃあねえか? 」
( ・∀・)「とりあえず俺がしぃさんに会ってからここに来るまでは、しぃさんやモナーの性格を知っておけばある程度予測できる。
問題は俺がどうやってニダー邸跡地に行ったかだが――」
ここでモララーはちらっとドクオを一瞥する。
ドクオは顔を硬直させて竦み上がった。
自分が疑われているということを悟ったからだろう。
モララーにブーンのことを調べるように言ったのは自分なのだから。
( ・∀・)「――今は置いておくとしよう。
さて、ギコ君。君は誰に言われたのかな?
ここに来るであろうこの俺を暗殺するようにけしかけたのは」
ギコはモララーをじっと見つめている。
モララーもまた同様に、ギコから目を反らさなかった。
相手の心が自分の言葉に答えることから逃げようとするのを妨げるように。
モララーの目線はギコをとらえて離さない。
(,,゚Д゚)「言うしかないようだな」
ギコは観念して、その名を口に出す。
(,,゚Д゚)「ブーンの息子だ。
それしか聞いてねえよ」
少しの間、誰も口を開かなかった。
その名を知っている者も、知らなかった者も同様に。
(;´∀`)「……ブーン? 」
(*;゚ー゚)「誰……ですか? 」
( ・∀・)「…………」
モララーはもう一度ドクオを見た。
真っ青な顔をしていた彼は、モララーの視線に気づく。
そして首を縦に振る。
( ・∀・)「内藤ホライゾン。
あいつのもう一つの名前、それがブーンです」
その言葉にモナーやしぃ、そしてギコまでもが息をのむ。
(,,゚Д゚)「へぇ、そいつは驚いた。
俺は気付かないうちに大犯罪の肩入れをしていたのかもしれねえな」
客間――
ブーンの息子――ギコは確かにそういった。
ブーンも年齢的に見て息子が居てもおかしくはない。
その息子が何らかの行動を起こしているとしても、それは確かにありうること。
しかし、何故自分が狙われているのかはわからない。
自分は彼の起こした事件と関わった覚えはない。少なくとも記憶がある限りでは。
某県内で起きた事件ではあったが、ただそれだけ。接点など無い。
それならば、記憶が失われてしまう前に何らかの関わりがあったということなのだろうか。
死んでしまった後も、息子に意志を受け継がせて自分を殺させるほどの恨みを伴う関わりが。
果たして未成年のうちにそのような関係が生じることなどありうるのだろうか。
今はまだわかりようがない。
わかるところで考えていくべきだ――モララーは思考を切り替える。
ブーンの息子とは誰なのか。
そしてそいつはどうやって自分をしぃと会わせたのか。
自分があらかじめブーンについて調査するように仕向けていたら。
そしてもししぃさんがブーンのことを思い出してニダー邸跡地に行くことがわかる立場だったならば。
後者の疑問は解決できる。
ブーンについて興味を抱いている自分が、ブーンの過去を少し知っているしぃと関わることは明白であり
しぃの性格からして自分はこの屋敷に引き入れられるであろうと予測できるからだ。
それができるのは誰か。
そんなの一人しかいない。モララーにはもうわかっていた。
('A`)
ドクオは今、ベッドの上に座っている。
ちゃんと夕方自分が枕に抱きついていた方のベッドだ。
彼が自分をここに誘き寄せたか、あるいはそう命令されたかだ。モララーは推測する。
見縊っているのかもしれないが、モララーはドクオの意志のみで自分がここに連れてこられたとは考えられなかった。
指示があったような気がした。そうするように命令されていたと思った。
完全な主観なのだが。
( ・∀・)「ドクオ。
そろそろ話してくれねえか? 」
返事は無い。
( ・∀・)「もう白を切るのは難しいぞ。
これからもうすぐ警察が来る。
ブーンの息子とやらが見つかるのも時間の問題だろうし。
俺がここへ来る理由となったお前もきっと疑われてしまうぞ」
やはり返事は無い。
ドクオはどうしてもモララーと話そうとはしなかった。
モララーがもう一度ドクオに話しかけようとする、その時だった。
気の抜けた音楽が、客間に鳴り響く。
ドクオはびくっとして、自分の荷物を確認し、携帯を取り出した。
音源はそれのようである。
ドクオは携帯のボタンを押して、通話を開始した。
('A`)「もしもーし……え? あ、はい」
(;'A`)「え、ええ!!? 」
裏返りそうな素っ頓狂な声を出すドクオ。
焦りに満ち足りた響き。
(;'A`)「何で……どうして!? 」
ドクオは首を激しく左右に振り、髪の毛を掻きむしる。
何か信じがたいことでもあったのだろうか。
モララーはドクオの挙動を真剣な面持ちで見つめていた。
(;'A`)「わかった……」
震える手で、ドクオはボタンを押す。
通話が終了する。
(;・∀・)「おい、いったい何があった?
随分と取り乱していたようだが」
恐る恐る、モララーは声を掛けた。
ドクオは落ち着きを取り戻し、目を閉じる。
('A`)「モララーさん、はっきり答えましょう。
僕はブーンの息子を知っているかもしれない。
かもしれないというのは、そのように名乗ったときを見たことがないからです。
でも、あなたが思っているように、僕にあなたをここに連れてくるように命じた人間はいます」
ドクオはモララーを向く。
スラスラ話しているのは、さっきから頭の中で文章を考えていたからなのだろう。
('A`)「でもその目的は知らない。
だからあなたが殺されそうになるなんて思いもしなかった。
それだけはわかってもらいたい。僕はただ命令されていただけです」
( ・∀・)「目的がわからないって。
お前、そんな奴をどうして信じることができたんだよ」
モララーは思ったことを率直に言う。
よくわからない人間の言うことを素直に聞き入れるなんて、そんなの馬鹿げているから。
('A`)「目的はわからない、けどそいつは知っている。
僕の数少ない親友の一人です。
だけど……」
ドクオはそこで言葉を切る。
目はまた焦点を失い、拳がつくられる。
腕が震えるほど強く、ドクオは拳を握り締めていた。
('A`)「何が起きたのか聞かなきゃならない」
ドクオは深呼吸をする。
震えがだんだんと小さくなっていく。
それが悲しみだったのか、怒りだったのか、もうわからない。
('A`)「僕はあいつのところにいかなければならないみたいです。
会って、話をしてくる。そして目的を知らなくてはならない」
('A`)「モララーさん、どうかあなたはここに残って調査を続けてください。
もしモララーさんにあいつの目的を教えることができたら、僕はあなたに連絡します」
( ・∀・)「……止めても聞かなそうだな」
もうドクオが行く気であるということは見た目からわかっていた。
先程の電話は、その決心をさせてしまうほど、予想外の出来事であったみたいだ。
( ・∀・)「ドクオ……一つ言っておくぞ」
小さなバッグを抱えて、客間を出ていこうとするドクオに、モララーが声を掛ける。
ドクオは振り向かず、動きを止めた。
でもそれが聞く姿勢であることは、モララーにはわかっていた。
彼はブーンの息子に会おうとしている。
いや、なんとしても会って、その行動の目的を聞き出そうとしている。
どんな目にあっても――モララーはその気持ちを汲み取る。
絶対に、その姿勢には見覚えがあった。
ずっと昔に心についた古傷が、疼いた。
だからモララーはドクオに対して言う。
( ・∀・)「絶対、無茶はするなよ」
ドクオがどのような反応を示したかはわからない。
一度だけ鼻をすする音が聞こえた気もする。
だけどそれが何だったのか判別する前に、彼は部屋を出ていってしまった。
親友という者に、会いに行ったらしい。
そしてモララーと何らかの関わりがある人物に。
モララーは閉じた扉を見つめていた。
先程まで、そこには冴えない青年が立っていた。
もしかしたらその青白い顔は、だれかに命令されていたがためのものであったのかもしれない。
ふと、そんなことが脳裏に浮かんだ。
サイレンの音が聞こえてくる。
警察がやってくる。
そして、自分がすることは分かっていた。
ブーンの息子に関係がありそうな人物が一人だけいる。
彼女に会いに行くことだ。
〜〜第三話へ続く〜〜
8月13日(金)、午後3時、B市――
ショボンは休日だというのに薄地のスーツ姿でB駅にいた。
私服を着たのはもう随分前で、クローゼットの中に入れて放置した結果虫食いだらけになってしまった。
だから仕方なくこの姿なわけである。
_
( ゚∀゚) 「ショボンさん、いつもこんな堅苦しい姿なんですか? 」
声を掛けて来た若者に、ショボンはゆっくり目を向ける。
彼の名前はジョルジュ。
ショボンは彼と一緒に内藤ホライゾンの過去について調査するためにここB市へ来たわけである。
事件当時、内藤ホライゾンは B市のあるアパートで一人暮らしをしていた。
ニダー邸は今となっては無くなっているはずなので、得られることはほとんどないだろう。
そう考えたショボンはB市で生活していた頃の内藤ホライゾンについて調査することにしたのである。
(´・ω・`)「これしか服がないんだ。
いつも仕事が多いから着なれている、問題は無いはずだ」
_
( ゚∀゚) 「あんまりやりたくない職業ですね」
(´・ω・`)「君も働くようになったら似た感覚を持つかもしれない。
さ、トイレを済ませたなら、行こうじゃないか。
かつて内藤ホライゾンが暮らしていたというアパートに」
二人は小さくて簡素な造りのB駅を後にする。
ショボンとジョルジュはB駅からタクシーにのってアパートの場所を言う。
その住所は警察に保管されていた書類からショボンが書き留めて来たものであった。
タクシーはB駅を離れていく。
上り坂を上っていくとすぐに、高い建物が無くなる。
駅の周りだけにやや大きい建物が集中していたのだ。
B市の学校がいくつか見えて、下校する小学校の子供たちのはしゃいでいる声が聞こえる。
元気なものだ、などと年寄りじみたことをショボンは心の中で呟いた。
帰路だというのにまるで疲れていない。自分とは正反対だ。
_
( ゚∀゚) 「子どもって元気が有り余ってるんですねえ」
ちょうどショボンが考えていたことをジョルジュは口に出した。
お前も俺からすれば子どもだがな――ショボンはふとそんなことを思う。
ショボンは口の端をやや上げながら、街並みに目を向ける。
大きな通りに入ると、街も賑やかになり、飾り付けが見られる。
タクシーの運転手と話してみると、この通りを真っすぐ行けばB市の中心街に向かうという。
近々B市北部の河原で花火大会があるらしく、街路脇の飾りはそのためのものだとか。
やがて目的地のアパートに辿り着く。
大通りから曲がって、やや住宅街の中に入った先にある、赤い屋根の二階建てのアパートだ。
特に古びたわけでもなく、一般的にありふれた形のアパートであろう。
少なくとも犯罪者がいたとは思えない。いるアパートなんてのも想像しづらいが。
およそ暗い事件からは縁のないように思えた。
タクシーを降りて、二人はアパートの階段を上っていく。
内藤ホライゾンが住んでいた部屋番号も警察にしっかり保管されていた。
空の彼方で雷鳴が聞こえた。
まだ降ってはいないが、そのうち大雨になるのだろうか。
空のどんよりとした雲はただゆっくりと蠢くのみであった。
目的地の部屋のドアを軽く叩く。
奥の方で物音が聞こえてくる。
中の住人がゆっくりドアに向かって来ているのだろう。
そして、扉が開いた。
lw´‐ _‐ノv
出て来た少女は、ショボンの顔とジョルジュの顔を見る。
年齢差が著しいこの二人を、少女はどのように見たのだろうか。
その視線は再びショボンに戻ってくる。特に何も言うことはなかった。
ショボンは警察手帳を見せる。
少女が手帳に目線を移し、若干見開いた。
(´・ω・`)「県警のショボンといいます。
今日は非番ですし、物騒なことがあったわけでもありません。
ただ少し調査していることがあるのです」
_
( ゚∀゚) 「いいのか? そんなものほいほい見せちゃって」
(´・ω・`)「別に隠すことでもない。事実なのだから。
それに、何もない普通の人間が他人の事情を詮索するというのは変なものだよ」
かといって仕事以外で警察がそれをしてもいいということはないと、ショボンにはわかっていた。
でもこれで少女は精神的に、我々に対してより多くのことを話してくれるかもしれない。
聞こえは悪いが、ただ質問をするだけだ。それほど悪いことでもないだろう。
lw´‐ _‐ノv「何でしょう」
小さい声で少女が言う。
(´・ω・`)「ここで5年前に生活していた内藤ホライゾンについて調査しているのです」
lw´‐ _‐ノv「……この前死んじゃった? 」
ショボンは頷く。
少女の口が閉じる。表情にはあまり出さないが、考えているようだ。
lw´‐ _‐ノv「中に入ってください」
少女は室内にショボンとジョルジュは招き入れる。
二人はそのまま中へ入って行った。
フローリングの床の上で、差し出された座布団に座る。
押入れのどこからか卓袱台を取り出して、二人の男の前に置く。
それから黙々と台所へ行き、コーヒーを持って来て、それから少女は二人の男に向かい合う。
少女は自分の名前をシュールと名乗った。
B市から県南部の大学に通っているという。
このアパートを借りたのは今年の春から。
大学進学にあたって一人暮らしをしたいと親に頼みこんで叶ったらしい。
何故B駅から離れたこのアパートかとショボンがきくと、「好きな人が近くに住んでいるから」と事も無げにシュールが答える。
_
( ゚∀゚) 「随分と普通に答えるんですね」
lw´‐ _‐ノv「恥ずかしがるなんてのは私らしくない」
(´・ω・`)「それで、君は内藤ホライゾンと関係があるのかい?
どうも内藤ホライゾンと接点が合ったようには思えないんだが。
訳があって僕たち二人を中に入れたんだろう? 」
lw´‐ _‐ノv「私はあまり関係がないかもしれない。
でも……関係がある人を知っている」
_
( ゚∀゚) 「だから呼んだわけか。
それで、そいつは一体誰だ? 」
lw´‐ _‐ノv「さっき少し言った
……私の好きな人」
ショボンがその人の名前を尋ねると、シュールは少し考えてから口を開く。
lw´‐ _‐ノv「その人は内藤ホライゾンという名前は出さなかった。
彼はあのテレビに出ていた殺人犯のことを『ブーン』と呼んでいた」
シュールは話をする。
その人と出会ったのは中学一年生のとき。
B市内の三つの小学校を卒業した生徒たちがその中学校で混じり合ったために、初めて出会う人も多かった。
シュールとその人もまた、別々の小学校からその中学校に上り、出会ったのである。
しかしシュールも初めからその人と仲が良かったわけではない。
それどころか、無口なシュールは女子の間でも浮いた存在で、あまり好意的に接してもらうことがなかった。
彼女がクラスの中で、学年の中で孤立すれば孤立するほど、彼女に対するいじめが頻繁に行われた。
シュールは最初のうち我慢していた。
小学校のときの知り合いと話をすることでなんとか孤立を免れていた。
けれど、その子どもたちもだんだんとシュールを避けるようになった。
気がつけば学校のほとんどの女子が彼女を避ける風潮になっていた。
友達はいない。話してくれる人もいない。
シュールは学校に行きたくなくなった。
親に反抗をして、学校に行くことを拒んだ。そういう自我が目覚めていた。
自分を傷つけ、縛り付けるルールを呪っていながら、自らを暗い部屋の中に閉じ込めた。
他人との接触をゼロにしたシュールの心の中では、いつでも学校でのいじめのことが浮かんでいた。
何度も何度も、いくつものいじめの記憶が蘇ってきた。
まだ人が話してくれたときを懐かしんで涙を流し、今の生活を見て再び涙する。
いつしか生きることが嫌になった。
彼女の家はB市の大型マンションの一室だった。
マンションの15階。
そして彼女の部屋には窓があった。顔を出して見下ろせば遥か下に駐車場が見える。
人も車も、玩具のように見えた。
ある日唐突に、飛び降りようと思った。
もう生きてはいられないと心の中で結論を下し、ゆっくり窓に歩み寄った。
星が綺麗な10月の夜だった。
部屋のドアが激しく叩かれる音がする。
誰だろうかとシュールは思い、誰でも良いとシュールは思った。
どうせ自分はもうすぐ逝くのだから、気にすることはないと決めた。
しかし音は煩く響き渡り、やがて何かが崩れる激しい音が聞こえた。
既に窓に手を掛けていたシュールも、思わず振り返った。
そこにその人がいた。シュールはそのとき彼の顔も知らなかったのだが
ドアを破壊してここに入ってきたのだろう。
ふっとドアの方に目をやると、何人かの大人が見えた。
そして大きな棒を持っている人がいて、その男がドアを破壊したのだと直感した。
その男は今にして思えば内藤ホライゾンだったとシュールは言う。
内藤を見たのはそのときが初めてだったらしい。
その人が自分に近づいてくるのがわかって、シュールは思わず叫んだ、「来ないで」と――
しかしその人はなおも前進してくる。まるで言葉が聞こえなかったかのように。
そこでシュールは片足を窓の外に出した。
冷たい風が足を撫でる。
その人がようやく動きを止めた。
その人の顔は青ざめていたという。
後に元々青白いとわかったが、そのときの彼は明らかに怯えていた。
ここまで来たのはいいが、何をしたらいいのかわからない、そんな表情であったそうだ。
その人がやっとのことで、「どうして死のうとするんだ」と質問してきた。
必死で考えだしたにしてはあまりにも月並みで、無意味な質問だったので、シュールは鼻で笑った。
そして今まで受けて来たいじめの苦しみを語り出した。
思い出の隅から隅まで探し出して、思い出せる限りの苦しみを吐露する。
その全てを吐きだして、シュールは言う。
「これ以上の苦しみを味わうのはもう耐えられない、だから死ぬ」と言い放った。
その人も、扉の奥の大人たちも黙っていた。
少しでも動けばシュールは部屋の中にある足で床を蹴り、落ちてしまうかもしれないから。
暫くして、その人が息を吐く。
集中しているようであり、真っすぐシュールを見て、言った。
「それじゃ、俺が死んでないのはおかしい」と。
その人はまず自分が母子家庭であったことから話を初めて、中学校や小学校どころか幼稚園時代から受けていたいじめについて語り出した。
肉体的な苦痛が伴う残虐的な恥辱の数々がその人の口から伝えられてくる。
不自然なほど無感情に語られるそれらの事柄は、逆にその人の凄惨な人生を物語っていた。
年齢が増すにつれて、いじめもエスカレートする。肉体的にも精神的にも。
その人はそれをただ母親に申し訳ないからという理由でのみ耐えていた。
我慢して、学校に通い、平気な顔をしていじめを受けていた。
シュールはその人を哀れに思った。
そして自分があまりにもわがままであることに気がついた。
周りが要求していることを撥ね退けて、無理やりにでも我を通し、都合が悪くなったら逃げに徹する自分を愚かに思った。
いつの間にかシュールはその人に抱えられて部屋の中央に引っ張られていた。
足はもう外に出ていない。もう窓から落ちる心配もない。
そのとき、もうシュールには落ちる気力も無くなっていた。
こうしてシュールはその人と知り合った。
再び学校に通うようになって、その人が同じ学校であることを知った。
二人は一緒に通うようになり、一緒に話すようになり、一緒に帰るようになった。
シュールにとって初めての友達であった。
その人はよくブーンについて話していた。
シュールが飛び降りようとしたとき、ドアを破壊した男がその人物だと教えてくれた。
その人と同じアパートで暮らしているらしかった。
その人は、自分がブーンさんにたくさんのことを教わったという。
シュールが自殺することを見越して、助けに行かせたのもブーンだったと明かした。
ちなみに壊したドアの弁償をしたのもブーンだったとか。
だけど、すぐに事件が起こった。
シュールが助けられた翌年、ブーンがあの事件を起こした。
何故か内藤ホライゾンという名で、ニダー一家殺人事件が報道されていた。
内藤ホライゾンというのが本名であるらしい。
しかしそれ以上に、その人が親しげに話していた人が事件を起こしたことに対するショックが大きかった。
シュールはその人に会って、その苦しそうな顔を見た。
どうしていいかわからずに困っている、そんな表情であり、前に見た表情とは似ていたが、全然違った。
本人でもわからないことが多すぎるということはよくわかった。
シュールは混乱しているその人の傍にいつもいた。
その人の心が壊れないように、いつも話しかけるようになった。
前の自分のように逃げてしまわないように、ずっと接するようになった。
いつの日かその人と一緒にいるだけで胸が温かくなったけど、それが恋だと気づいたときにはもう、その人は傍にいなかった。
既にその人は大学に通うために別の市に行ってしまっていたから。
その人が進学した後、シュールは彼のアパートに入居した。
ブーンのいた部屋に入居できたのは偶然であった。住みたがる人もあまりいなかったのだろう。
前の入居者が出ていって間もなかったらしく、シュールはすんなりその部屋に住めた。
シュールは独りになってしまうその人の母親の身を案じて、よく遊びに行くらしい。
そして、その母親は自分が昔ブーンと関わりがあったことを教えてくれた。
lw´‐ _‐ノv「だから、もしブーンのことを聞きたければその人の母のところに行くといい。
私が知っていることで、世間と違うのはブーンという名前くらいだから」
シュールはそう言って、話疲れたかのように首を動かす。
これほど長いこと話したことはあまり無い様子だ。
_
( ゚∀゚) 「それじゃ、その人の母親って人の部屋番号を教えてくれませんか? 」
lw´‐ _‐ノv「この部屋のちょうど上で住んでいる。
だけど今はパートに出てるから夜の7時まで帰ってこない」
ショボンがその人のパート先を聞き出して、シュールが答える。
_
( ゚∀゚) 「行ってみた方がいいかもしれませんよ。
帰るのを待ってたら日が暮れてしまいそうだし」
もう日はだいぶ傾いていたが、確かに遅くなりすぎるのも億劫だとショボンは思った。
何より、本来なら今日は休日であり、明日からはごく普通にまた出勤しなければならないのだから。
午後5時半、B市、アパート――
二人はシュールに頭を下げて、部屋を後にする。
ショボンはこれから会いに行く女性――ツンという人の部屋を一瞥する。
今は鍵がかけられている。中にはだれもいないはずだ。
_
( ゚∀゚) 「内藤ホライゾンに関する収穫は、少しだけでしたね」
ジョルジュがさらっと口にする。
ショボンは何か言おうと思ったが、ジョルジュの言葉は正しかったので口を噤む。
(´・ω・`)「しかたないさ。
彼女があの部屋にいるのは正しく偶然なんだから。
むしろ彼女がほんのわずかでも内藤ホライゾンに接点があったことに感謝するべきだよ」
二人はそのアパートの階段をゆっくり下りていく。
ツンのパート先はあるいて十分ほど先のスーパーであり、シュールがそこまでの道筋を教えてくれた。
歩いていくのは大変かと思い、ショボンは内心ひやっとしたが、ツンも毎朝歩きで勤めに行くというので安心する。
さすがに女性の主婦が毎日こなしている分の運動くらいなら、明日の仕事には響かないだろうと思ったからだ。
_
( ゚∀゚) 「ショボンさん、一つ聞きたいんですけど……」
ジョルジュが歩きながら、ショボンに話しかける。
ショボンは顔を向けずに「んー? 」と唸って返事した。
_
( ゚∀゚) 「これから内藤ホライゾンのこと、何て呼びます?
なんかブーンという名前の方が、本当の名前って感じがしますけど」
内藤ホライゾン――これは一般に知れ渡った名前である。
あの笑顔の殺人鬼の戸籍を調べた結果出された名前であり、ブーンという名前が調査上にでたことはない。
20年前に出会ったときも、ブーンという名前は聞かなかった。
(´・ω・`)「内藤ホライゾンでいい。
事件を犯した犯人の名前がそうであり、僕らが調査しているのはこの殺人犯なのだからね」
_
( ゚∀゚) 「犯罪者としては内藤ホライゾンってことですか? 」
(´・ω・`)「そういうことになるな。
あまりきつくは言わないが、僕らが犯罪者の過去を追っているという自覚は持っていたほうがいいだろう」
事件を犯したのは内藤ホライゾン――ショボンはそう割り切った。
では、事件以前にD市で会ったのはブーンなのだろうか。
シュールが言っていたような人物は、そして自分が覚えている二十年前の人物は、ブーンなのだろうか。
それほどまでに簡単に、一人の人間に対して二つの名前を与えていいものなのだろうか。
人間の悪い部分はこの名前、良い部分はこの名前。
そんなふうに割り切っていいのだろうか――ショボンは考えた。
そして、自分はそれではいけない、という結論に達する。
警察として、そしてこのことを調査している人間として。
内藤ホライゾンという人間が内藤ホライゾンとして何を思い、何を犯したのか。
そこに至るまでに何があったのかを知らなければならない。
内藤ホライゾンの犯した本当の罪について調べるのが自分のするべきことなのだ。
ショボンはそう感じた。
ショボンの脳裏には、死んだときの内藤ホライゾンの顔が浮かんでいた。
あの安らかな表情が浮かんでいた。
何故あのような表情ができたのか。
それを知りたいというのも調査動機の一つである。
それを頭の中で、ショボンは再び確認した。
_
( ゚∀゚) 「つきましたね」
ジョルジュの声で、ハッと我に返るショボン。
入口の上に、白い下地に赤い文字で名前が書かれたスーパーだ。
シュールによれば、ここにツンが勤めているという。
二人は中に入った。
軽快な音楽が耳から入り、ガンガンに効いた冷房の風が体に降りかかる。
その涼しさを感じて、外が真夏であったことを思い知らされる。
ショボンは店員に話しかけて、ツンという女性がいるか聞く。
警察手帳を見せるまでもなく、店員は店の裏に案内してくれた。
普通なら入らない、壁の大きな扉を潜る。
店の明るい雰囲気から一転して、仕事場の空気を感じる。
店員が控室に導いてくれた。
扉の窓から、中の様子が見える。
ξ゚听)ξ
女性の顔が見えた。
胸のプレートに名前が書かれている。
間違いなく探していたツンという女性だった。
ショボンは扉を開けようとしたが、止まる。
中の様子がおかしいと察したからだ。
_
( ゚∀゚) 「? どうしたんですか。
中入りましょうよ、ショボンさん」
(´・ω・`)「いや、少し待ってくれ」
ショボンはジョルジュを制止して、中を確認する。
ほんのわずかに扉を開けて、中の音が聞こえてきた。
ξ゚听)ξ「次、今週の月曜から今日の午前までの売上は? 」
苛立ったツンの声。
('、`;川「は、はい! 報告します、リーダー」
気弱そうな女性が、何枚かの紙を片手に持って立ち上がる。
そして数字を並べていったが、どうもツンの顔つきがよくならない。むしろ悪くなっていく。
どうやらツンが期待していた数字からかなりはずれていたらしい。
ξ#゚听)ξ「先週よりさらに落ちてるじゃないの!
そんな数字を報告していいと思ってるのか、ああ!? 」
('、`;川「はひぃ、すいません! 」
*(;‘‘)*「リーダー、それはひどいです!
リーダーが報告しろって言ったからξ#゜凵K)ξ「あんたは黙ってな、新人! 」
ξ#゚听)ξ「先週も先々週も同じ話を聞いたわ。
いい加減反省ってものが見えてきてもいい頃じゃないかしら? 」
ξ#゚听)ξ「だいたいあんたらは接客からしてまだまだなのよ。
どうしてお客様が重くて困ってるカゴを持つこともできないの? それに――」
それからも長々と、ツンの説教はつづいていく。
そこにいるパート労働者たちの顔から、次々と涙がこぼれていった。
_
(;゚∀゚)
(;´・ω・`)
_
(;゚∀゚) 「なあ、パートのリーダーってパートなのか? 」
(;´・ω・`)「知らないよ。パート歴が長いから威張ってるのかもしれないね」
_
(;゚∀゚) 「やっぱり年上は敬わなくちゃなんだな」
(;´・ω・`)「そうだね。それは大事なことだ」
_
(;゚∀゚) 「……ところで、当然交渉はショボンさんだよな? 」
(;´・ω・`)「何を言い出すんだ?
私みたいなしょぼくれた男より、君の方が好意的に話を聞いてくれる。
故に君こそふさわしい」
_
(;゚∀゚) 「いや、あんたの方が歳が近いだろ。
俺なんか離れすぎてて話が合わねーよ」
(;´・ω・`)「どうして年齢がわかるんだ?
適当なこと言って逃げようとするんじゃない。
それと、敬語が崩れてきてるぞ。お前にそれを教えるまでどれほどかかったと思ってるんだ」
_
(;゚∀゚) 「と、とにかくショボンさん、行ってくれよ。
年上は敬うべきなんだろ? 」
(;´・ω・`)「だからこそ君なんだろ? 年上をむざむざ死ににいかせるのかい君は」
ξ#゚听)ξ「あと一時間ちょい、まだまだ諦めないわよー!!! 」
*(;‘‘)*「おおーーーーー! 」('、`;川
_
(;゚∀゚) 「戦場かよ」
(;´・ω・`)「これは終わるのを待つ方が良いみたいだね」
二人は結局、ツンのパート時間が終わる夜7時まで店の中で待っていた。
外は曇っていながらも、色が濃くなり、暗くなっていく。
時間的にはシュールの家で待っていても大差なかったことになる。
明日はきついだろうな――ショボンは空を眺めながらぼんやり考えていた。
_
( ゚∀゚) 「そろそろ7時ですし、外で待ちましょう」
ジョルジュに言われて、ショボンはスーパーから外に出る。
空には何もない。分厚い雲が横たわっているだけだ。
しかし、もし星などが見えたとしても、スーパーの光などで掻き消されてしまうだろう。
どこか山奥に行かないと、その光は届かないのだ。
やがて、ツンがスーパーから出てくる。
キビキビとした足取りは、やや触れがたいものであったが、それでもショボンは話しかけた。
なるべく速めに内藤ホライゾンの名前を出して、ツンに事情を説明する。
ξ゚听)ξ「内藤ホライゾン……ですか」
ショボンの説明の後、ツンはそう呟いた。
(´・ω・`)「そうです。
彼について、何か知っていることがあるならば、ぜひ教えてもらいたいのです。
さきほどあなたのアパートに行き、シュールさんから話は聞きました」
ξ゚听)ξ「シュールちゃん……そう。
話を聞いて、私が内藤ホライゾンと関係があると思ったわけですか」
ショボンは正直に頷いた。相違はないし、嘘をつく必要はない。
ツンはしばらく立ち止まり、目を虚ろにして何事かを考えて、それから首を横に振る。
ξ゚听)ξ「残念だけど、私もまたそれほど力になれるとは思えません。
確かに小学校、中学校と私は内藤と同じ地域で暮らしていましたが、それだけです。
特別に仲が良かったわけではありませんので、あなたたちが望んでいるような詳しい話ができるとは思えません」
ショボンとジョルジュは顔を見合わせる。
やっと掴んだ内藤ホライゾンの過去についての手掛かり、たとえどれほど小さなものでもそのことに変わりはない。
ショボンはジョルジュを見つめて、彼の考えは自分の考えと大差ないのだろうと思った。
(´・ω・`)「聞かせてください。
どれほど他愛のないお話であろうと、内藤の過去を知る手がかりであることに変わりはありませんから」
ショボンとジョルジュは、ツンと共に夜の街路を歩きだす。
昼間のどんよりとした雲のせいで、夜だというのに熱気がまだ残っている。
今夜は蒸し暑い夜となるのだろう。
(´・ω・`)「あなたの息子さんは、内藤ホライゾンと知り合いだった。
シュールさんはそう言っていたのですが、それはいったいどういう関係でした? 」
ξ゚听)ξ「近所だったから、というのが最適でしょうね。
同じアパートに住んでいたから、ゴミ出しや駐輪場で見かけることがあって
あの子もそのように知り合いになったのでしょう」
(´・ω・`)「しかし、どうもシュールさんの話を参考にすると、息子さんは相当内藤に親しく接していたように感じられるのですが
どうしてでしょうか? 」
ξ゚听)ξ「たまたま馬があったのでは……そうとしか私には言いようがありませんね」
ショボンは口を閉じる。どうもツンの息子を中心としたこの話題からでは話が広がらないようだ。
(´・ω・`)「同郷の人間が自分の息子と仲がいいことについて、あなたはどう感じましたか? 」
ξ゚听)ξ「特別にはありません。
さっきも申しあげたように私は内藤と仲が良かったわけではありませんでしたから」
(´・ω・`)「良い、悪いとも感じなかった? 」
ξ゚听)ξ「それほど限定するのなら……良いのではないでしょうか。
息子は友達が多いほうでは無かったようですし」
(´・ω・`)「それでは、少年時代の内藤の話で、覚えていることはないでしょうか? 」
ξ゚听)ξ「ええ、小学校から元気な人でしたね。とにかくいっぱい遊んでいて
特に仲のいい少年がいまして、その子とはいっつも一緒でした」
ツンの言葉が楽しげな雰囲気を内包していることに、ショボンは気付いた。
話しているうちに昔のことを思い出して、その懐かしさを感じたのだろうか。
(´・ω・`)「その仲の良かった友達とは? 」
ショボンの何気ない質問で、ツンの顔に翳りが生じる。
ξ゚听)ξ「ごめんなさい、名前まで思い出せないの」
これが翳りの正体なのだろうか――ショボンの頭に疑念が浮かぶ。
しかし確かめたくても、どうにも取っ掛かりが見つからないので、話を続ける。
(´・ω・`)「どうぞ、内藤の話を続けてください」
ξ゚听)ξ「ええ、わかりました。
内藤は高校生のときに急に転校してしまったのです。
それからの行方はわかりませんでした。ここに引っ越してくるまで」
(´・ω・`)「転校の理由はわからなかった? 」
ξ゚听)ξ「はい、同じ学校の誰にもわからなかったので、ちょっとした話題になりましたね」
ショボンは「ふむ……」と呟き、思考を巡らせた。
(´・ω・`)「何年も前に同じ学校に通っていて、急に謎の転校をした男が同じアパートに引っ越していた。
そして自分の息子と知り合いになった。それどころか親しげにしていた。
それでも……特に何も感じなかった、ずいぶんと淡泊な気がしますが」
ξ゚听)ξ「それはまあ、少しくらいなら私も驚きました。
けれどそれだけです。他人の事情をわざわざ詮索することもありませんし」
(´・ω・`)「他人……ですか」
ξ゚听)ξ「そうです。
同じ学校に行っていただけで、それほど親しくなければ他人と呼んで差し支えないでしょう? 」
ツンはそう言い放つ。
ショボンは再び口を噤んで、そのまま歩き続けた。
なんだか冷たい言い方をする、やたらとそんな印象が残ってしまう。
しかし、いささか強く残りすぎではないだろうか、そうショボンは思った。
アパートに到着する。
ほとんど全ての部屋に明かりが灯っているようだ。
入居者は十分にいるのだろう。
ショボンとジョルジュは部屋の前まで、ツンと一緒に歩いてきた。
扉の前でツンは二人に軽く頭を下げる。
ξ゚听)ξ「それではこれで。
あまりお力添えができなくて、申し訳ございませんでした」
(´・ω・`)「いえいえ、大丈夫です。
元々趣味のような調査ですので、あまり気になさらないでください」
ショボンもまた頭を下げる。しかし、横に立つジョルジュは動かない。
ツンは会ってから一言もしゃべらず、頭も下げないジョルジュを一瞥して、それから部屋に入ろうとする。
_
( ゚∀゚) 「ツンさん」
何の前触れもなく、ジョルジュが言葉を投げかける。
ツンは動きを止めて、ゆっくりとジョルジュを見つめた。
_
( ゚∀゚) 「ブーンさんに息子がいたということはありませんでしたか? 」
ツンはふっとため息をつく。
それを引き起こした原因が呆れなのか、安堵なのかは判別しかねた。
ξ゚听)ξ「悪いけど、私は本当にブーンのことはよく知らないの。
息子がいたかもしれないし、いなかったのかもしれない。結局知らないのよ」
ツンはそう言って、部屋の中に入ってしまう。
扉を閉めて、鍵が掛かる音がする。
ショボンは顔を上げて、ジョルジュの方を向き、その顔に笑みが満ちているのを確認する。
何かいいものを発見した子どものような表情だ。
_
( ゚∀゚) 「今の聞いたか、ショボンさん
『ブーン』だってよ」
ショボンにはその発言の意図がわかっていた。
もしジョルジュがその質問をしなかったら、もう少し後に自分からその名前を出す気でいたからだ。
(´・ω・`)「ああ、確かにツンはその名前を口にした。
俺が一度として会話の中で口に出すことのなかった、その名前を」
_
( ゚∀゚) 「しかも俺の質問に何の疑問も抱くことなく、だ」
ショボンもその言葉に頷いた。
シュールの話によると、ツンの息子は内藤ホライゾンのことをブーンという名前で呼んでいた。
しかもシュールが、5年前に内藤の殺人事件が報道されるまで『内藤ホライゾン』という名前を知らなかったことを踏まえると
その息子もまた『内藤ホライゾン』という名前を知らなかった、あるいは『ブーン』という名前の方を好んで用いていたということになる。
しかしどうしてそのような状況が生まれるというのか。
母親であるツンは小学校、中学校において内藤ホライゾンと同じところに通っていた。本人もそこは認めている。
そしてツンは内藤と親しくなかったというが、引っ越してきた際に驚いたとなると、その名前はちゃんと憶えていたということになる。
20年以上前の内藤の姿と、引っ越してきた当時の内藤ホライゾンの見た目は当然違っているはずであり
にもかかわらずその引っ越してきた人物を内藤と判別することができたならば『内藤ホライゾン』という名前がキーとなったと考えると自然であるのだ。
『内藤ホライゾン』という名前をツンは知っていた。
ところが、息子は少なくともシュールに対してその名前を用いていないのである。
ツンは『内藤ホライゾン』という名前を教えなかったのだろうか。息子が親しく接している男の名前を、当の息子に教えなかったのか。
仮に何らかの理由で内藤ホライゾンが『ブーン』という名前を息子に対して用いていたのだとして、そのことに何の疑問も抱かなかったのか。
それどころか、今さっきジョルジュがわざわざ『ブーン』という名前を用いて質問をした際にツンが『ブーン』という名前を用いて答えたことを考えると
ツンもまた『ブーン』という呼び名を内藤に対して用いることに何の疑問も抱いていないということである。
(´・ω・`)「つまり、ツンの頭の中では『内藤ホライゾン=ブーン』という等式が成り立っていたと考えられる。
そのことを確かめたかったんだろ? 」
_
( ゚∀゚) 「ああ、証拠なんてものはないけど。
それまでの会話で一度も出てきていなかった名前を突然話題の人物に当てられたのにも関わらず
普通に答えたってのは、かなり怪しいと思いますよ」
(´・ω・`)「すると、かなり強いイメージの連結だと考えられるね。
思うに『ブーン』というのは、子どもの頃のあだ名と考えるのが一番適当なんじゃないかと思うんだ。
小さい頃に付けられたあだ名というのはその人物の特徴を正直に捉えた、印象深いものが多いからね。
ただ名前をもじったものではないところからすると、なおさらその傾向が強いあだ名だろうと思うよ」
_
( ゚∀゚) 「しかし、そう考えると先程のツンの言葉は如何わしいものになりますね。
あだ名で呼び合うということはそれなりの親しい関係があったと考えられます。
まあ大小あるとは思いますが、突然転校して偶然であったのに何も感じない、というほどのものとはとても思えません」
(´・ω・`)「推測の域を出ないにしろ、あの発言は鵜呑みにするには信憑性が足りていないだろう。
試しに内藤の立場を考えてみようか。まだ事件など起こしていない内藤ホライゾンの立場を」
_
( ゚∀゚) 「内藤ホライゾンがブーンという偽名を使う理由はわかりませんね。まだ何もしていないのだから本名を隠す必要は見られない。
ブーンというあだ名を用いてツンと接触した、あるいはツンがブーンという名で内藤を示した、と考えるとすんなりいく。
息子がブーンという名前を用いたのも、母親がその名前を主に内藤を指し示すのに用いていたから。
やはり内藤とツンの間には交友関係があったと考えるほうが良さそうですね」
(´・ω・`)「まだ調べる事柄はありそうだな。
ただ、方針はだいぶ立てやすくなった」
内藤ホライゾンの過去を恐らくツンは知っているのだろう。
しかし今は話してくれない。何故かはわからないが、交流が無かったように発言していた。
関係がわかるとまずいというのか、それとも隠さなきゃならない理由があるのか。
_
( ゚∀゚) 「もし発言が嘘なら、咄嗟に考えたんでしょうね。
こっちが息子と接触してしまえばすぐに綻びが見えてしまいそうだし」
いや、息子と接触しなければならないからこその発言なのだろう、とショボンは思った。
自分たちが息子と接触する前にツンが息子に連絡すれば、ショボンたちの調査が息子に及ぶことを防げる。
息子が内藤ホライゾンと関係を持ち、母親が内藤の過去を隠そうとしているのならば、なおさらだ。
方針が立てやすいとは言ったが――ツンに真実を話してもらうことが一番手っ取り早い、だがどうも難しいことのようである。
ならば内藤の出身地を調べるのがいいのだろう、とショボンは思った。
そこでツンと内藤の関係が明らかになるならば、なおさら好都合だ。もうツンは言い逃れできなくなる。
いくら過去を隠そうとしても、嘘という壁は事実で突き破れる、ショボンは確信する。
しかし、その途端にツンの言葉が浮かんできた。
『他人のことをわざわざ詮索することもありませんし』
詮索、か。ショボンは自分がそれをしているのだと思い、嫌な気分になる。
そのとき、ツンが非難めいた口調だったことも相まって、罪悪感が湧いてくるのを感じた。
けれど、首を横に振る。
隣でジョルジュが不審そうな顔をしているけど、気にしなかった。
こんな気持ちは、この仕事をしている間になんども味わってきたことなのだ。
詮索の先に真実があるならば、自分はその行動をためらうわけにはいかない、そう言い聞かせる。
121:第三話 ◆GIfZM2iQHE:2012/03/05(月) 21:33:01 ID:EDx2gOlY0
二人はアパートを出て、何十メートルか歩いた。
アパートは角に隠れて、もう見ることはできない。
大通りが目の前に見えてきたところで、ショボンの携帯電話が鳴る。
珍しいなと思いつつ、ショボンはジョルジュに断って電話に出た。
( ゚∋゚)「こんばんは、ショボン警部」
聞き慣れた声、鑑識のクックルだ。
(´・ω・`)「何か用か? 私は今日非番なんだが」
といっても仕事と同様に動き回ってはいたが、ショボンはそのことは言わないでおく。
( ゚∋゚)「やだなあ、忘れちゃったんですか?
仕事と関係なしに調べ物をさせたじゃないですか
ニダー一家殺人事件の現場にあった金属バットのことですよ」
その言葉で、ショボンは思い出す。
昨日のことだ。内藤ホライゾンのことが少しでもわかるかもしれないという思いつきで、その命令をしたのである。
今思えば事件でもないのに調べてくれたクックルには感謝すべきだろう。
(´・ω・`)「ああ、思い出した。調べてくれたようだね。ありがとう。
それで、何かわかったことでもあったのかい? 」
( ゚∋゚)「ええ、警察の所有している過去の血痕のデータファイルを調べた結果
金属バットから検出された血痕と照合する人物が一人浮かび上がったんです」
やや間があいた。データを再確認しているのだろう。
( ゚∋゚)「現在F市に在住している分手モララーであることがわかりました」
クックルの言葉は確かにショボンの耳に届いた。
けど、それを判別するのには時間が掛かった。
(;´・ω・`)「申し訳ないが、もう一度言ってくれないか? 」
( ゚∋゚)「分手モララーですよ!
1994年12月に我々の調査に介入してきたあの探偵の」
(;´・ω・`)「勝手に犯人に接触しようとして全てダメにしたあの大馬鹿か!?
まだ生きていたのか、あの血気ならすぐに変な事件に突っ込んで死ぬと思ってたが
その名前がどうして今こんなときに出てくるんだ? 」
( ゚∋゚)「そりゃあ、あの金属バットでぶん殴られたってことじゃないですかねえ。
相当昔の話になるとは思いますが」
そういえば――ショボンは思い出した――奴は記憶喪失だったはずだ。
まさか奴は金属バットで殴られて記憶が飛んだ? しかしそれをニダーが持っているとは――ショボンの思考が巡っていく。
( ゚∋゚)「とにかくあの男も、笑顔の殺人鬼と何らかの関係があった。
そう考えて間違いなさそうですね」
内藤ホライゾンの過去に、あの記憶喪失の探偵が関係している。
まるで考えもしなかったことだとショボンは思った。第一モララーの名前などここ数年すっかり忘れていた。
その名前とともに、嫌な事件の記憶もまた心の隅に蘇ってきた。
(;´・ω・`)「連絡ありがとう、クックル。
現在の奴の住所はわかるか? 」
クックルが言った住所をメモに書き留めて、礼を言ってから、ショボンは携帯を切る。
直後、疲れがどっと押し寄せてきて、大量の溜息が吐きだされた。
_
( ゚∀゚) 「大丈夫ですか、ショボンさん?
急に老けたようですよ」
(´・ω・`)「まあ、いるものなんだよ
私にも、苦手な奴の一人くらいは」
_
( ゚∀゚) 「顔色まで悪いですね……今日はゆっくり眠って――」
ジョルジュの声が、掻き消される。
それは彼が声を発するのを中断したせいでもあるし、不意に大きな音が聞こえて来たせいでもあった。
まるで何かが弾けたような音が。
(;´・ω・`)「な……!? 」
ショボンは急いで、元来た道を走っていく。
音は確かにアパートのあった方角から聞こえてきた。
暗い中、あの建物の辺りだけが明るく光っているのが見える。
ジョルジュも走ってきているのだろうが、あまり気にしてはいなかった。
ショボンはとにかく急いで角を曲がり、その光景を目にする。
――理解できなかった。
何故あのアパートが、燃え盛る炎に包まれているのか。
呼吸を荒げて立ち竦むショボンには、全く理解できなかった。
思考回路が停止して、ショボンはただ呆然とその光の渦を見つめる。
赤色の邪悪なエネルギー体は何度も何度も曇天を喰らおうと空へ伸びては地に堕ちる。
直下のアパートが部分的に爆ぜている。
悲鳴が、それだけで済ませてしまうにはあまりにも心を抉る力を持つ叫び声が聞こえてくる。
住人の声だ。あまりにも遠くから聞こえているようにショボンには感じた。
ショボンは思わず駆け出した。
ツンやシュールは中にいるはずだ。このままでは炎に飲み込まれて――
誰かがショボンの片腕を鷲掴みする。
_
( ゚∀゚) 「ショボンさん! 落ち着いて!
もう無理ですよ、近寄ったら危険です! 」
必死で叫ぶ若者の声。
それもまたショボンにとっては遠く感じられた。
振り払おうとするが、力ではだいぶ衰えが始まっているようだ。
どうしても動くことができない。
若者を振り払うことが、どうしてもできない。
どこからかサイレンが聞こえてきた。
誰か近隣の住民が消防車を呼んだのだ。
そして、水の滴りを感じた。
雨だ――火が消える。
安心が湧いてくる。
けれど、目は前をじっと見つめていた。
消防隊員が引っ張り始めても、ショボンの目はアパートを見つめていた。
目の前で、手掛かりが消えようとしていた。
内藤ホライゾン、彼の死に近づいたからなのか?
そんなことがあるのだろうか?
偶発的な事故なのかもしれない。
しかし、事実はそう、やっと見つけた彼の過去への手掛かりが消えていく。
どうしてなのか、わからない。
ただ、大きな圧力を、ショボンはひしひしと感じていたのだった。
〜〜第四話へ続く〜〜
8月14日(土)、10時 B市総合病院――
昨晩、某アパートの一室から火の手が上がった。
火災があったアパートの住人は全員、生きてはいたものの怪我を負っていた。
幸い軽傷で済んだ大家は、火災当時の状況を語るためにB市警察署に赴いている。
ショボンは火災現場にあまりにも近くにいたため、呼吸器を痛めたらしい。
しかしそれは消防隊員が診てもらうように促したもので、ショボンはたいしたことないと思っていた。
昨晩、現場にいた重軽傷者を運ぶために駆け付けた救急車にショボンも乗って、簡単な治療は既に受けていた。
健全だったジョルジュは昨晩消灯時間ぎりぎりまでショボンのそばにいた。
ショボンも少し話しづらいという程度だったので、いくらか応対はしていた。
調査はまだ続けよう、そう二人は約束し、ジョルジュは帰って行った。
一晩の入院で済んだことは、幸運なことなのかもしれない。
もちろん体調の面でも運の良いことではあったのだが、それ以上の利点も見つけていた。
一つは仕事を公に休むことができるということ。
見舞いに来るという同僚からの連絡があったが、「明日にはもう帰るから」といってショボンは全て断っておいた。
これでまた一日、例の『趣味』に没頭できるというわけだ。
もう一つはシュールやツンの様子を確認できるということ。
まだはっきりとした連絡は受けていないが、死者はでていなかったはずだ。
どちらも生きている。軽傷ならなおいいのだが、果たして思い通りに行くものだろうか。
退院の手続きを終えて、一度ショボンは外に出てみる。
昨日の大雨が嘘のような、すかっとした晴れ空だった。
蝉の声が耳を突いてくる。何気ない木々のどこかに彼らは潜んで、その翅を必死に擦らせているのだろう。
院内に戻り、ショボンは入院患者の部屋について係員に聞いてみる。
良く見たらさっきショボンの手続きをしたばかりの女性であり、いくらか不思議そうな顔をしていた。
火災被害者は全員この病院に搬送されていた。
もしシュールやツンが入院しているならば、ここで必ず会えるはずだ。
面会できるのは軽傷者だけということらしい。
ショボンは、面会可能な人物のリストの中にシュールとツンがいるかどうか確かめるように言う。
奥の部屋に入った係員の女性は、数分後に戻ってきて、シュールの面会についてはOKとする。
つまりツンは重傷なのだ。
若干落胆したショボンだが、とにかくシュールの部屋に向かうことにした。
シュールの病室は、彼女の他に五人の病人が収容されている六人部屋だ。
それぞれの部屋はカーテンを引くことで任意に空間を遮断することができた。
シュールは扉に近いベットだったのですぐに見つけることができた。
ショボンは彼女と目があって、頭を下げる。
彼女もまたショボンのことがわかったらしく、それに応えてくれた。
(´・ω・`)「なんとも大変なことになってしまったようだ。
君もこれから大変だろう」
シュールは何も答えず、その代わりに傍からスケッチブックを取り出す。
サラサラとペンを動かして、ショボンの前に提示する。
lw´‐ _‐ノv [私は今、喉をやられているので喋ることがつらい。
筆談になることをご了承してほしい]
あのか細い声で喉をやられたならば、さぞ声が出しづらいことだろう、とショボンは危惧した。
(´・ω・`)「了解した。
すぐに回復できることを祈るよ」
シュールは微笑む。
嬉しいことを表しているのだろう。
(´・ω・`)「事件発生当時のこと、わかるかい? 」
頷いてから、シュールは文字を書き始める。
lw´‐ _‐ノv[火がついたのは7時30分頃。
私は部屋の中にいたので、外の様子はわからなかった。
ツンさんはすでに帰って来ていたはず。ちょっとだけ聞き耳を立てていたから]
ショボンは頷いた。
自分がジョルジュと一緒になって、部屋に入るまで近くにいたのだから。
lw´‐ _‐ノv[あなたたちの会話も聞こえた]
ささっと書いて、シュールが付け加える。
ショボンは返す言葉に詰まり、唸り声を出した。
(´・ω・`)「なにか、気に障ることがあったなら謝るよ」
すると、今度はシュールは首を横に振る。
嫌に思ったわけではないようだ。
返事を書いて、またそれをショボンに見せる。
lw´‐ _‐ノv[別に怒ってはいない
それに、ツンさんの発言もおかしかった。
ツンさんは内藤のことをブーンと呼んでいたし、あの人も内藤という名前を知らなかった]
やはり、ツンの発言は嘘だった。
息子も、内藤ホライゾンに対して『ブーン』という名前を用いていたのだ。
(´・ω・`)「それはあだ名と考えてよさそうかい?
それと、内藤はツンさんとは親しかった? 」
シュールは少し考えてから、文字を書きだす。
今度は何度か筆を止めている。なかなか断定しづらいようだ。
lw´‐ _‐ノv[あだ名だとは思うけど、それほど深い事情は知らない。
内藤もツンも会うことは避けていた。
理由は教えてくれなかった。昔は仲良かったらしいけど、今は避けていると言ってた。
あの人も理由を知らないようだった]
避けていた――その言葉は意外だったが、昔仲が良かったのならば『ブーン』という名前に順応できたことは納得がいく。
仲が良かったが、何かあって避け始めた。
それは転校していたから、関係が一度断たれたものだったから、ということだろうか。
息子も知らない――これもまた嫌な知らせだった。
しかしまだ望みが絶たれたわけじゃない。
(´・ω・`)「ありがとう。
このようなしつこい調査に協力させてしまって、すまないね」
すると、シュールはまたしても首を横に振る。
今度は勢いに乗って、次々と言葉を書き並べていった。
微笑みを浮かべながら、シュールはその文字をショボンの前に突き出す。
lw´‐ _‐ノv[私も内藤ホライゾンの過去が知りたい。
調査が終わったら知らせに来てほしい]
その文字がショボンの目に映ったとき、声には出さなかったが内心はっとした。
それがシュールの切実な願いだということははっきりと伝わった。
彼女もまた知りたいのだ。あの謎の死の真相を。
(´・ω・`)「……わかった。
約束しよう。きっと知らせることになろう」
その言葉を言い終えると、シュールが一段と笑顔になった。
表情にそれほど変化があったわけではないが、嬉しそうな感じが伝わってくる。
この子が軽傷で済んでよかった――ふとショボンはそう思った。
(´・ω・`)「ところで、そのスケッチブックは誰かのアイデアかい? 」
何となく気になったので、ショボンは質問する。
シュールはまた少し考えて、ペンを動かしていった。
lw´‐ _‐ノv[朝早くに友達が来た。
会話できないとわかると、すぐにこれを持って来てくれた]
(´・ω・`)「なるほど、良い友達だね。機転も利く。
どんな子だい? 」
少し首を傾げながら、シュールは文字を書く。
lw´‐ _‐ノv[あんまり他人に言うなと言われた。
だから答えたくない]
ショボンはその文字を見て、少しだけ動きを止める。
(´・ω・`)「彼がどこへ行ったのかもわからないのかい? 」
眉を顰めるシュール。
さっとペンが進んでいく。
lw´‐ _‐ノv[家に帰ったのかもしれない。
私もそろそろ、ゆっくり休みたい]
文字を認識して、ショボンは何度か頷く
(´・ω・`)「男の子なんだね」
lw;‐ _‐ノv「……!! …………!!? 」
明らかに動揺の色を見せたシュール。
( ´・ω・`)「その反応を見ると『あの人』で間違いないのかな?
いやあ、鎌をかけたつもりなんだけど、うまくいくもんだね。
そういえばさっきからどうして『あの人』なんて書き方をするのかも気になっていたんだけど」
その言葉の終わる前に、シュールはショボン目掛けて思い切り枕を投げつけた。
(;´・ω・`)「いや、ちょっと! 悪かったよ、ごめんよ」
ショボンは口早に謝罪を述べたが、真っ赤な頬をしたシュールは敵意をこめた眼差しでショボンを見つめる。
続いてコップが投げつけられて、ショボンは枕で防ぐ。
当たることも、割れることも防いだわけだ、などと無駄に上手いことが頭に浮かぶ。
ミセ*゚ー゚)リ「何を患者さんにしているのですか!? 」
看護師が飛んでくる。
(;´・ω・`)「いやあ、少しいろいろありましてその、事情はちゃんと」
しどろもどろになったショボンの声は、すぐに途切れる。
シュールがスケッチブックをバンバン叩いたからだ。
看護師の目はそちらに注がれる。
lw#‐ _‐ノv[変 態]
看護師の息をのむ音が聞こえてくる。
やたらと大きな音だった。
ショボンはなおも冷静に対処しようと試みた。
(;´・ω・`)「いやいや、ねえ君、何その文字。
どう考えても書いてるような時間なかったよね今。
使いまわしたよね、それ。ねえ」
腕を鷲掴みにされるショボン。
ぎっちりと握り締めるその腕は、看護師のものだった。
ミセ*゚ー゚)リ「ちょっとこちらへ、奥で話を」
(;´・ω・`)「いやだなあ、私は何も……痛いんですけど」
べーっと舌を出すシュールを睨みつけながら、ショボンは奥へ連れ去られていった。
解放されたとき、時計の針は11時を過ぎていた。
(;´・ω・`)「恥ずかしがるのはガラじゃないって言ってたじゃないか。
まったくもって、年下というのは怖いね」
ぶつぶつとぼやきながら、ショボンは病院を後にする。
たとえこの病院に『あの人』が来ていたとしても、もう残ってはいないだろう。
わざわざシュールに「誰にも言うな」などと伝えたほどだ。
ショボンとは限らないが、誰かに捕まって事情を話すことが嫌だったに違いない。
さて、これからどうしよう――ショボンは気持ちを切り替えることにした。
今シュールのところに行っても騒がれるだけだ。
ツンともやはり面会は出来ないだろう。
すると、もうこの病院に用はない。
ならば移動しよう。どこへ? 一応考えはある。
内藤ホライゾンの育った場所、かつてのG村であり、現在のD市だ。
しかし、その前に気になることがあった。
モララーのことである。
思いがけず、今回もあの男が関わっていると判明した。
それにおそらくは奴の失われた記憶が関わってくる。
このことを踏まえると、どうしても気になることが一つあった。
ショボンは行く先を決めた。
まもなく南天に上ろうとしている太陽の下に出て、B駅へ向かっていく。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
8月14日(土)、1時 東京――
モララーは都会というものが好きではなかった。
山の中で育ったことを考えると、自然が少ない都会を嫌うのは当然のことなのかもしれない。
しかしモララーの抱く嫌悪感は、単純に「緑が少ないから」というエコロジカルな理由で生じるものではなかった。
表向きの清潔感、整理整頓された秩序の裏に潜む、暗くてドロドロとした不定形の負のイメージ――ここまで修飾してようやく伝えたいことの片鱗が見えてくる。
ただの暗いもの、残酷で非情なものは山の中にだってある。生命の危機や死の感覚はむしろ都会より強く感じられた。
無論、モララーが嫌うのはそこではない。問題は『裏に潜む』ということだ。
山の中にある負のイメージはむき出しのものである。ちょっと道を逸れれば野生の動物の肉片や骨くらいすぐに見つかる。
しかし都会のそれは隠れている。そして人前では誰もが何事も起きていないふりをしている。
暗い事件をひた隠しにし、そこから人と人との間に疑惑と猜疑心が生まれ、さらに新たな負が生まれてくる。
たまらなく嫌だった。
育った山を離れて、すぐに探偵として働き始めた。
そしたらいろんなことが見えてきた。人間の嫌な部分をたくさん見てくることになった。
嫌な思い出ができることだってもちろんあった。
そしてその中の一つ一つが、自分を今でも突き動かしていることを、モララーは感じていた。
大嫌いな感覚が、自分を動かしている。なんだか矛盾しているようで、正しいことなのだ。
とにかく都会は嫌、それなのに今、モララーはこの国で一番の大都会に来ていた。
昨日の夜のことである。
A市にあるしぃの家、モナーが貸していた家で起きた発砲事件が全ての引き金だった。
一緒にその場にいたドクオという青年は、昨日の晩にどこからか連絡を受け取っていなくなってしまった。
夜中に来た警察への応対は全てモララーが済ませておいた。
ドクオがその場にいないことは警察も疑問を抱いた様子であったが、事件は明らかに警備員のギコによるものだったのでドクオへの追及はなかった。
モララーはほっとしながら、またドクオに会ったときは何を言ってやろうかとも考えた。
きっといくつか言うことを聞かせることができそうだ。
それから、モララーはモナーにつーの居場所を聞いた。
『ブーンの息子』というフレーズが頭に残っていたからだ。
それはギコが、自分に暗殺の依頼をした人物として揚げた男の名前だった。
ブーンという名前を初めて聞いたのは、ドクオが内藤ホライゾンの調査を依頼してきた時だ。
ドクオは内藤ホライゾンのことをブーンと呼び、慌てて言い直した。
それから、ドクオは自分にとっての呼び方はブーンであるといい、自分が内藤ホライゾンと親しかったことを話してくれた。
ブーンとは内藤ホライゾンのこと。
つまりギコに依頼した人物とは『内藤ホライゾンの息子』ということになる。
実際にそのような人物がいるかどうかは知らない。何らかの比喩かもしれない。
ただ、モララーは依頼人であるドクオの意思を尊重し、内藤のことをブーンと呼ぶことに決めていた。
勘でしかないが、そうした方がいい予感がしたのだ。
とりあえずの調査方針として、モララーはブーンと関わりがあったという、つーを訪ねることにしたのである。
( ・∀・)「でけえな……」
目の前のビルを見上げながら、モララーは思わず呟く。
モナーのグループの一つである会社だった。
中に入って、受付嬢と話をする。
既にアポイントメントは取ってある。モナーが手をまわしてくれたおかげだ。
紹介されるのは、社長室へいく道筋だ。
つーは家に帰って来た後に、モナーの手によって出世を約束されたという。
どことなくモララーの嫌いな負のイメージがつきまとうが、気にしているとキリがないのでモララーは無視した。
そして時が流れて、一つの会社の社長にまで上り詰めたというわけだ。
その話は今朝モナーに聞いたものであり、モナーはあくまでも「つーには最初から才能があったモナ」と言い張った。
( ´∀`)「家出したときも、大学はもう出た後だったモナ。
私は娘を嫁に出す気は無かったし、独り暮らしをさせる気もなかったから、捜索したんだモナ」
モナーの考え方が良いのか悪いのかまで判別する気はない。
ただ、なんとなくモララーにはつーが家出した気持ちがわかった気がした。
エレベーターで最上階まで上り、到着の音が鳴る。
扉が開いて、赤い敷物の上を歩く。
社長室はすぐに見つかった。
モララーはプレートを確認してから、扉をノックする。
入室の許可を示す声が中から聞こえてくる。
ドアノブを回して、「失礼します」といいながらモララーは中へと入って行った。
(*゚∀゚)
地上から遥かに高い快晴の空を覗かせる大きな窓を背にして、つーは立ち、モララーを見つめていた。
その体が壁際によったので、逆光から逃れて姿がよりはっきりとモララーの目に映る。
育ちの良さそうな品のある女性だった。その品格はしぃにも共通していたものだという考えが咄嗟に頭を過る。
(*゚∀゚) 「昨日の夜は大変だったと聞いているよ。
うちの警備員が発砲事件を起こしたそうだね」
( ・∀・)「ええ、もう伝わっているんですね。モナーさんから? 」
(*゚∀゚) 「そうだよ。お父様はそういったことはすぐに連絡をよこすのさ」
つーは顔を綻ばせる。
モララーはその様子をじっと見ていた。
しぃと比べれば多少粗い言葉遣いだが、口調の奥にある気持ちは温かなもののように感じられた。
(*゚∀゚) 「なんだか不思議そうな顔をしているね」
( ・∀・)「ああ、いえ。すいません
いろいろと昔の話を聞いていたものですから」
(*゚∀゚) 「……お父様から? 」
モララーがコクリと頷くと、つーは若干固まり、それから一気に乾いた笑い声を発した。
外の天気と同じように、カラッと晴れ渡る様な気持のいい笑い方だ。
(*゜∀゜)「確かに、あたしは若い頃は家出だの水商売だのいろいろ遊んだねえ。
でも、そんなのいちいち気にすることはないじゃないか。誰だってそんな経験の一つや二つ、あるもんさ。
あんたもあるんじゃないかい? 」
( ・∀・)「……どうですかね」
自分の境遇を考えてみた。未成年を前にして記憶喪失、それからはずっと山暮らし。
ある意味ではかなり長期間にわたる家出と言えるかもしれない。しかも戻る見込みなどないのだ。
( ・∀・)「あるかもしれません。
言い方によりますけど」
(*゚∀゚) 「ふふ、そういうもんさ。
さてと、そろそろ本題に入ろうか。用があってきたんだろ? 」
つーとモララーは木製のテーブルを挟んで相向かいに座る。来客との会談用に使うものだろう。
(*゚∀゚) 「時間は30分ほどしか取れないよ。そのことはちゃんと考慮してほしいね」
それからモララーは、ブーンについての話を始めた。
もちろん、つーに対しては「内藤ホライゾン」という名前を用いたが。
「内藤ホライゾン」の名前を聞いた瞬間、つーの形の良い眉がピクっと動いた。
若い頃お世話になった彼が死んだのはほんの少し前、やはり気にはなっていたのだろう。
思えばこの調査をするように依頼してきたのはドクオだったはずだが、今ここに彼はいない。
それにもかかわらずモララーが調査を続けているのは奇妙なことなのかもしれない。
いつの間にか自分から、あの殺人鬼の過去を暴きたくなっていたのだ。
モララーはモナーから話を聞いたことをつーに伝える。
( ・∀・)「あなたは内藤ホライゾンと関わりがあった
そのことに間違いは無いはずだ。そうだろう」
つーは遠い過去に思いを馳せるように、窓の外に視線を移した。
ブーンと出会ったときのこと、起きたことを思い出しているのだろうか。
まるで違う感情だが、彼女もまたブーンに魅せられていたのだ――モララーの脳裏にそんなフレーズが思い浮かぶ。
モナーの言葉伝いで聞いただけだが、今のつーの表情を見て、モララーはそのことを確信していた。
つーはブーンに惹かれていたのだ。
(*゚∀゚) 「話に相違は無いね。あたしは内藤ホライゾンと出会った
23、24くらいだったかな。とにかくあたしはまだまだガキだったよ
あいつは本当に、面倒くさい奴だった」
( ・∀・)「内藤ホライゾンに出会った後、あるお店の客引きをしている最中に、あなたは再び彼に会った」
(*゚∀゚) 「そう、そしてあいつはあたしを捕まえて言ってきた。
『君はこんなことをするべきじゃない。どうかやめてくれ』ってね。
おかしいだろ? 家出したガキ相手に真面目にそんな話をふっかけてくるなんて」
( ・∀・)「それからも何度も内藤は、あなたを家に帰らせようとした」
(*゚∀゚) 「あたしのアパートの住所まで、どうやって知ったんだかわからないけどわかっていたよ、あいつは。
そしてあの事件だ。内藤ホライゾンはお店を経営するヤクザの組員に目を付けられた。
何度も謝って、何度も殴られて、それでもあいつはあたしをやめさせようとしていた」
つーの目が細くなる。まるで大切な人を見守るような、温かい目。
言葉が途切れた。どちらも話しだそうとは思っていないようだった。
長い沈黙の後、モララーが口を開く。
( ・∀・)「結果的にあなたはその店をやめたのですね。
そして、それから内藤には会いましたか? 」
(*゚∀゚) 「……お父様はそこまでしか話していないようだね」
正直に「はい」と答えるモララーの声を聞いて、つーは笑った。
(*゚∀゚) 「会うも何も、あたしは内藤ホライゾンと一緒に暮らすことにしたんだよ」
(*゚∀゚) 「あたしには一人の子どもが、腹の中にいたんだ。
相手がどこぞの誰ともわからない。きっとあのお店で働いていたときに、調子こいて孕まされたんだ。
お店を訴えようにも、気がついた時にはもうそこは潰れていたよ。どうやら裏の組が結構危険なことをしていたらしくてね。
あたしはよく知らないけど、警察が大挙して組を潰したらしい」
(*゚∀゚) 「ま、あそこがどうなろうとあたしには関係ない。訴えることが出来なくなっただけさ。
それからは悩んだよ。誰ともわからない子どもを育てるのかってね。
けれど中絶もしたくなかった。家出して散々家族に迷惑掛けて、反省してるのに、自分から迷惑を被ろうとしていたんだ」
(*゚∀゚) 「それだけじゃない。内藤ホライゾンもまたあたしに、その子を育ててほしいと言ってきた。
それからいつものように綺麗事を並べていったんだ。何度も何度も。
だけど……なんでだろうね、今度はちゃんと効いてしまったんだ。綺麗事が、あたしの心に」
(*゚∀゚) 「あるいは、そのときもうあたしの気持ちは内藤ホライゾンに傾いていたのかもしれないね。
どうしたんだい、探偵さん? さっきからいやに静かじゃないか」
急に言葉を掛けられたので、モララーはハッとしてつーに顔を向ける。
意味をなさない言葉の欠片をいくつか出して、額に流れる汗を拭った。
(;・∀・)「すいません。まさか内藤ホライゾンに妻がいただなんて。
聞いたことも無かったものですから」
そこではなかった――気になっていたのは。でも今は打ち明けない。
つーはまた乾いた笑い声を響かせる。
(*゚∀゚) 「妻じゃないよ、同棲さ。
結局最後まで結婚することは無かったんだ」
落ち着きを取り戻しつつあったモララーは、その言葉に首を傾げた。
( ・∀・)「同棲をしていた……いったいどれくらいの期間です? 」
(*゚∀゚) 「子どもが産まれて、4年ほど経つまでだよ。
どうにも内藤は結婚することを拒んでいたんだ。断固としてね。
それでも子どもには悪い影響があるかもしれないと考えて、あたしたちは子どもが小学生に上がる頃に結婚する予定ではいたよ」
(*゚∀゚) 「でも、あいつは消えちまった。
1995年の話さ。あいつはあたしらを置いてどっかに逃げてしまった。
連絡を取ろうと思えばできたんだろうけどね、あいつの置き手紙にそれを拒む記述があったから、手をつけないでおいたよ」
つーの発した言葉はしっかりとモララーに届いた。
今から15年前の話、突然のブーンの失踪。
それから10年経って、ブーンは殺人鬼となってテレビに映り、それから5年後には死んだ。
( ・∀・)「理由は言ってないのですか。
何故いなくなってしまったのか」
(*゚∀゚) 「言ってないよ。ふっと消えちまったんだ。
それからあたしはモナーの家に帰り、そこから就職を勧められて、今に至るわけさ」
口早につーは自分の状況を述べる。
もちろんモララーの耳には届いていた。
約束の時間が迫ろうとしていた。
つーが話してくれたのはここまでであり、それ以上知っていることは無いようである。
( ・∀・)「そろそろ帰ることにします。
話していただき、ありがとうございました」
(*゚∀゚) 「あたしの話が何かの役に立てるなら、それで十分だよ。
今では人の為になりたい気持ちでいっぱいなんだ。
昔荒れていたことに対する反動ってやつかもしれないね」
モララーは立ちあがって、出口へ向かっていく。
つーも立って、モララーを見送ろうとし始めていた。
だが、モララーは突然踵を返す。
あまりにも唐突だったために、つーは動きを止めた。
( ・∀・)「一つ聞き忘れていました。
その産んだ息子の名前、聞かせてもらえないですか? 」
つーの目がじっと自分を捉えていることに、モララーは気付いていた。
いったい何を見つめているのか、それはわからないが、良い気持ちでは無い。
(*゚∀゚) 「ジョルジュっていう名前だよ」
外に出ると、温かい南風が頬を擦っていくのをモララーは感じた。
湿り気のある空気に一際圧迫感を感じる。ビルの中の冷房が強かったせいでもあるのだろうが。
長岡商事――ビルに掲げられている看板をモララーは何ともなしに見上げていた。
それは長岡グループ会長、長岡モナー氏の有する一会社の名前であり、社長の名前は長岡つーという。
今しがたモララーが会話してきた人物である。
長岡ジョルジュという男――それが、先のつーとの会話で挙げられた名前である。
血は繋がっていないものの、ブーンとつーによって息子同然に育てられた人物。
『ブーンの息子』というフレーズははっきりと憶えていた。
ギコを雇い、事件を起こさせた人物だ。
会ってみる価値はあるだろうとモララーは思っていた。
そして、収穫はそれだけではない。
つーはもう一つ、ヒントを与えてくれた。恐らくは無意識に。
『あいつはあたしらを置いてどっかに逃げてしまった』
( ・∀・)「逃げる、か……」
それがただの比喩だとは、モララーにはとても思えなかった。
ブーンは何者かに追われていたのか。
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205 :
バスケ大好き名無しさん:2012/11/25(日) 17:52:59.67 ID:swoXXM7+
男は懐から巾着袋を取りだし、中から白い塊を手に取った。
よく見ると、それが魚を模した飴細工だとわかった。
肩口から腰を、斜めに分断された子供の屍体の口を開けようとし始める。
だが硬直した顎のせいで、僅かにしか口が開かない。
男は片手で飴細工をすりつぶし、小さく開いた口にさらさらと破片を流し込んだ。
彼の視線は少女ではなく、何処か遠くをさまよっていた。
気味の悪い男だと思った。
庫裡を出ると、まだ回っていない道場がないか町をうろつくことにした。
路銀はいつも心許なく、かといって口入れをもらうのも嫌なので、道場破りはし続けていた。
8月13日(土)、午後3時、C市――
ドクオは河原で一人佇んでいた。
この川はD市の水源から県北部の県境を迂回している川であり、ドクオがいる岸の向こう岸は他県である。
流れが荒く、渡るのには不向きなために、もしあちらの県に行きたければ鉄橋を越えなければならない。
そしてその鉄橋の下で、なるべく斜陽を避けて日陰の部分で、ドクオはじっと川を眺めていた。
鴨が何匹か泳いでいる。数年前には下流の方でアザラシが見つかったらしいが
ドクオが見つめる場所は起伏が激しいので魚類であろうとも進みにくいのであろう。
鮭のことについて――急にドクオの頭の中に浮かんだ命題だ。
鮭の川上りの話を小学生の時に聞いた。
ぼんやりと思い出してみた。
あの魚は産卵の時期になると、一斉に川を遡上してくる。
たとえその道がどんなに荒れていようと、汚かろうと、罠が仕掛けられていようと。
鮭は構うことなく川の上流を目指していく。産卵場所を探し、子孫を残すというそれだけの理由で。
ようやく適当な場所を見つけることができた鮭は、卵を産み、そして果てる。
もはや命を残す必要はない。子孫繁栄という目的は達成することができたのだ。
鮭はただそのためだけに、その時まで生きていたのだ。
昔、ドクオはそれをとても悲しいことだと思った。死というのはそれほどまでに彼にとって恐ろしいものだった。
だけど今、彼はそうは思わない。
目的がある。鮭として生きて、鮭として死んでいくその生涯をドクオは、遥か遠くにある理想のように感じていた。
ドクオは産まれたときから父親がいなかった。
母親に聞いてみる気にはなれなかった。母はその質問を極端に避けている、そんな気がしたのだ。
そしてその結果彼に訪れたのは、どうしても埋まることのない心の穴だった。
普通の人が当然有しているものがないということ、それは抗いようも無い喪失感をもたらしていた。
そしてその感覚が、普通の人から自分を遠ざけているのだとドクオは感じていた。
どうしても人と上手く接することができない。理由のない劣等感、同じ場所に立っていないという思い込み。
そこには、母を悲しませたくないという気持ちも作用していた。
経験がなければ力はつかない。
コミュニケーションの不足は、他者との会話、接触を避けることに繋がった。
いつしかドクオは孤立するようになった。中学生を前にして、独りとはどういうものかを悟っていた。
そして誰とも触れ合わないうちに、自分という存在が不安定になっていった。
本来ならば他者との関わりの中で確立していく自分の立場を得ることができなかった。
無目的。
つまり自分は鮭にも劣るのか、そんなふうに考えることもあった。
だけど、そのたびにそこに誤りがあることにもすぐに気付いた。
たった一人、心を開いている人物がいたということを。
それがブーンさんである。
ブーンさんはドクオが小学生に上がる直前に、ドクオの近所のアパートに引っ越してきた。
初めて見たのは、少し遠くの街のデパートにランドセルを買いに行った日の帰りのことである。
母は車を持っていなかったので、二人は歩いてそのデパートから帰って来ていた。
ブーンさんはアパートの前でぼーっとしていて、ドクオと母の方に目をやるとあからさまに驚いた。
ドクオは不審者じゃないかと思って母の腕を強く握りしめたことを覚えている。
その母親の腕はやけに震えていたことも、未だに覚えていた。
その日、ドクオの母親がこっそり出かけた。ドクオを寝かしつけた後である。
もっともドクオは寝付けなくて、その母の行動に気付いていたのだが。
ドクオはトイレに行くために起きようとした時、母が帰ってきたことがわかった。
話しかけようとする前に、母が泣く音を聞いた。
母はブーンさんの家に赴いたのだ、子ども心ながらにそう感じた。
きっと、この二人の間には何かがあった。それが母の涙に現れている。
その声にならない嗚咽を聞いて、ドクオは何もできないまま、隠れて自室へと戻っていった。
それから母がよくブーンさんの家に連れて行ってくれた、
初日だけ、ブーンさんは警戒していた様子だったが、その日母と外出して、帰って来たときにはもう蟠りが無くなったようであった。
ドクオは学校では孤独を感じながら、度々ブーンさんと会えることを楽しみにしていた。
ブーンさんはいつも笑顔で、明るくて、遊び相手になってくれた。
呼び方はそもそもブーンだったし、ドクオは内藤ホライゾンという名前すら知らなかったんだけれども。
ドクオは一緒にいるときにとても気持ちが晴れやかになった。苦しいことは全て忘れられた。
ブーンさんはドクオにとってかけがえのない存在になっていった。
中学生になってからもそれは相変わらずであり、むしろ一緒に街を歩いたりもするようになった。
一緒に市の街を散策して、いろいろなものを見つけて、笑い合った。
ブーンさんの笑顔はドクオの意識に鮮明に残っていた。
そのブーンさんが、あるマンションに目を付けたのは、2004年10月のことだった。
「あの子……」そうブーンさんが呟いたので、ドクオも意識を向けた。
マンションの入り口に一人の少女が見えた。
同じクラスだったので、ドクオはその名前を知っていた。シュールであった。
ドクオはブーンさんに、シュールがいじめられっ子であり、クラスでも浮いていること、不登校気味であることを説明した。
ブーンさんはしばらく考えたあと、言葉を発した。
「あの子、もうすぐ死ぬかもしれないお」
それから気がついたらドクオはシュールの部屋にいた。
ブーンさんに言われるがまま、主体性の欠片もなしに行動していた結果である。
きっと自分の顔は恐怖で歪んでいたに違いないとドクオは今でも思っている。
その日からシュールとも仲良くなった。
もう孤独は感じなくなった。感情表現は苦手だが、内心では心が晴れ晴れしていた。
シュールとはよくブーンさんの話をした。というかそれしか話題が無かったのだ。
ブーンさんと一緒に街を散策したこと、一緒に遊んだこと。
小さい頃から今まで、自分がどれほどブーンさんに感謝しているか、彼は必死にシュールに伝えた。
自分はブーンさんの為に生きたいと思っていた。
それだけが自分の目的だ――不安定な思春期の精神状態で、ドクオはそう信じることで平静を保っていた。
だけど、ブーンさんの表情が変わり始めていた。
笑顔がだんだんと失われていった。
ブーンさんに元気が無くなっていったのをドクオは薄々感じていた。
依然として笑顔ではいるが、心から笑っているわけではないとわかった。
長いことその笑顔に支えられていたから、なおさら。
でも質問することはできなかった。そんな勇気は持ち合わせていなかった。
だから遠まわしに聞いた。
どうしていつも笑顔でいるのか、と。
ブーンさんが一層笑顔になったのをよく覚えていた。
心で全く笑っていなかったのをよく覚えていた。
「嘘なんだお。
笑顔なんて嘘なんだお。
人間が、他の人間と何の争いもすることなく過ごすための手段にすぎないんだお」
「僕はもうずっと後悔しているんだお。
嘘を続けて、これまで生きてきてしまったことに――」
「僕はずっと昔とても大変なことをしてしまったんだお。
そのことでずっと嘘をついているんだお。誰に対しても。
君のお母さん、ツンに対しても、真実を話したことは無いんだお」
「僕は必ずなんらかの形で償いをしなければならないんだお。
罪に対して罰を受けるのは当たり前のことなんだお。
これまでずっと、笑顔で乗り切っていけると考えていた自分がバカだったんだお」
ドクオはその言葉を思い出すと、今でも寒気がした。
あれはドクオの知っているブーンさんじゃなかった。
でも、もしブーンさんの言っている言葉が本当だとしたら、その恐ろしい言葉を発したブーンさんこそが真実なのだ。
それから数日後、ブーンさんはニダー一家を惨殺した。
ドクオは確信していた。殺したのはあの恐ろしいブーンさんである、と。
だからどうしてあのブーンさんが殺人を犯したのか、とても気になっていた。
ずっと偽りの笑顔を続けていたブーンさんが、どうしてあの事件を引き起こしたのか。
ひょっとしたらニダーは何らかの秘密を握っていたのではないか。
ブーンさんの知られたくない過去を――
斜陽が顔に当たったので、ドクオはハッとする。
かなり時間が経っていたようだ。
もう空が紅い。晴れ渡ったいい空だ。
背後で足音が聞こえたので、ドクオは振り返る。
誰が来たのかは大方察しがついた。
('A`)「遅かったな」
挨拶も何もなしにドクオは言う。
つっけどんな言い方だが、特に問題はない。
_
( ゚∀゚)「お前が早すぎんだよ」
('A`)「お前に言われて、俺はずっと行動してきた。
8月10日にお前が携帯で連絡をよこしてきてからな、ジョルジュ」
_
( ゚∀゚)「ああ、その通りだ。間違いは無い。
俺は10日にお前に電話した。モララーという私立探偵に、内藤ホライゾンについての調査依頼をしろってな」
_
( ゚∀゚)「『内藤ホライゾンの知り合いなんですが、内藤の死が気になるので調べてほしいんです』
要旨はこれだ。あとは上手くA市の跡地へいけば、お前はしぃに出会い、金持ちの女の家に連れて行ってもらえるだろう。
あの時のその女が12日に跡地へ向かうという連絡は、俺の仲間の警備員が知らせておいてくれたからわかったことだ。
その男とこまめに連絡して、しぃの行動時間もおおよそ操れた」
('A`)「警備員……あの発砲したギコって奴か? 」
_
( ゚∀゚)「そうだ。ああ、どうして知り合ったのかまでは聞かないでくれ。
なかなか面倒なことと結びついているんでな。言うわけにはいかない」
('A`)「俺の興味はその男じゃない。
何故発砲したか、それだけだ。
狙いはモララーさんだったんだろ? 」
_
( ゚∀゚)「その通り。
お前の行動のおかげでモララーはあの家に行った。そして発砲されたというわけだ」
('A`)「気に食わない言い方だな」
_
( ゚∀゚)「これから人を殺す、協力しろと言われて気分を良くする人はそういないだろうからな」
('A`)「あの警備員が『ブーンの息子』と言ったから良かったものの
そうでなかったら俺も気が狂いそうだった」
_
( ゚∀゚)「あれか、そのセリフは言わせたんだよ。
お前に事件の裏に俺が居ることを知らせるためにな」
('A`)「殺すつもりが無かったのか? 」
_
( ゚∀゚)「むしろあの程度では死なない男だと思ったよ。
あのモララーって野郎はな」
('A`)「捨て駒か」
_
( ゚∀゚)「ギコのことか? 安心しろ。
どうせどっかの組に見捨てられたところを拾ってやっただけ。
元々表の世界では生きていられなかったような人間だよ」
('A`)「まるでヤクザの親分にでもなったかのようだな」
_
( ゚∀゚)「カッコつけただけだ。俺はそんな凶悪な背景持っちゃいねえよ」
('A`)「……んで、そろそろ教えてくれないか?
モララーってのは何者で、どうしてお前は奴を狙っているんだ」
∀゚)「その前に少し昔話をしようじゃないか」
ジョルジュは一歩、ドクオに近づいた。
('A`)「そんなに長い歴史をお前と共有したつもりはないが」
_
( ゚∀゚)「出会ったときは意外と古いだろ。
5年前だ。ブーンさんがニダー一家を惨殺した年の6月、俺とお前は会った」
('A`)「……お前はブーンという呼び名を知っていた。
俺がブーンさんのいたアパートの前でそう呟くのをお前は耳にした。
だから俺に話しかけた。俺は『ブーンの息子』だ、なんて言ってな」
_
( ゚∀゚)「そう、それが最初の出会いだ。
俺は昔ブーンさんに育てられた子だってことを、お前に伝えた。
そしたらお前は俺と交流を持ちたいと言ってきたな」
('A`)「ただのメアド交換だ。よくあることだろ」
_
( ゚∀゚)「とてもそういう顔つきには見えないがな。今も昔も」
('A`)「…………まあな」
('A`)「でもお前は全く連絡をよこさなかった。
俺が大学生になった後も、さっぱりだった。
ようやく来たのが10日。あのブーンが死んだ日だ」
_
( ゚∀゚)「それまでいろいろ調査していたんだよ。
モララーの存在を確信したのはその期間だった」
('A`)「不思議な言い方だな。ようやく本題に入るってわけか」
_
( ゚∀゚)「その通りだ。実はな、モララーは――」
突風が二人に吹き付けてきた。
夏の温まった空気は突如として空間を駆け巡ることがある。
轟音を鳴らしながら。
ドクオは身を竦ませた。
だけど、ジョルジュの言葉はしっかりと届いていた。
だからこそ目を見開いた。
符号が繋がったからだ。
そのとき初めて、ドクオはブーンさんの言葉の真意を理解した。
ブーンのついていた嘘について。
そこから生じた大きな過ちについて。
(;'A`)「……おい、お前」
ドクオは思わず声を出して呼びかける。
(;'A`)「何をするんだ。これから」
_
( ゚∀゚)「D市へ向かう。
お前もだぞ、ドクオ」
ジョルジュは口の端を大きく釣り上げる。
企みがあるに違いない。そういう顔つきだった。
_
( ゚∀゚)「俺がずっと一緒に行動していたおっさんは、今日を逃したらだいぶ長いこと暇がないらしい。
だから絶対に今日動く。そしてモララーもきっと来る。俺にはわかるんだ」
何か絶対の自信があるのだろう、ジョルジュの力強く頷いていた。
_
( ゚∀゚)「そんでもって奴を、モララーを殺す」
それが当たり前のことであるかのように、ジョルジュは決意を表明した。
意味はもうドクオにはわかっている。この殺人の理由は、とても空しいものだということも。
でも自分からは何も言いだせなかった。
そのような資格があるなんて思いもよらなかったから。
自分にはブーンさんのことはよくわからない。
前にどこかで思ったが、自分以上にブーンさんのことをわかっているのは、きっとこのジョルジュだけだ。
ブーンさんの息子として育てられた彼に尽くすのは、ブーンさんに尽くしたいと思った男のすることではないのか。
それこそまさに自分の生きる目的ではなかったのか。
また一歩、ジョルジュはドクオに近づく。
手が届く距離となり、ジョルジュは腰のポケットから物体を取り出した。
黒く、光沢のあるそれは、新品に違いない。
昨日の晩、ドクオはそれを初めて見た。危機的状況の中で。
_
( ゚∀゚)「お前が持っているべきだ。
モララーはお前に対して、油断しているはずだからな。初対面の俺よりも」
ドクオの手に握られたのは、拳銃だった。
持つのは初めてであり、そして今、今晩それを用いることを命令されているのだ。
_
( ゚∀゚)「至近距離なら猿でもはずさねえし、ゴリラだろうと死ぬだろうな」
楽しそうに言い放つジョルジュからは、毒々しい悪意が伝わってきた。
ドクオはとても顔を上げて、その様子を見ることはできなかった。
正直に言って、殺したくは無かった。
モララーに抱いていた好意は本当のものであったから。
様々な光景が交錯していった。
母親であるツンが泣いている姿、シュールが自分の話をじっと聞いている姿。
初めて出会ったときのジョルジュ、悲しい思いを裏に秘めたブーン。
そして、昨日一緒に行動していたモララー。
殺さなくてはならない。
そういう指令だ。
これは指令なのだ。
病院のベッドで再開したシュール。
重傷を負っているのでツンとは面会できないと伝えて来た看護師。
そして、昨日の晩のモララー。
『無茶するなよ』
その言葉が、心の奥に傷をつけていた。
自分の身を案じてくれている人を殺さなくてはならない。
まるで何かが狂ってしまったように、ドクオは感じていた。
午後4時、B市総合病院――
ドクオはツンの容態を確かめるために、再びここへ来た。
受付に話をして、ツンのことを質問する。
大して期待はしていなかった。
まだ前回来たときからあまり時間が経っていない。
気落ちして入口から出て来たドクオに、ジョルジュが缶コーヒーを与えた。
_
( ゚∀゚)「面会は? 」
ジョルジュは話しかけてみる。
ドクオは小さく、首を横に振った。
_
( ゚∀゚)「そっか……
ま、アパート火災の中生きていただけでも幸せってものだろ
こわいよなあ、突然の事故だなんて」
今度は小さく頷くドクオ。
缶コーヒーを開けて、ちびちびと飲み始める。
('A`)「もういいさ。気は済んだよ」
思ってもいないことを口にする。
本当は確かめたかった。
子どもの頃は怖くて言えなかった、あの涙のわけを。
ブーンさんの正体がわかった今なら、聞く資格があるように感じた。
でも、まだ回復していない。まだ話をすることはできない。
つまりまだその時期じゃないんだ。ドクオはそう考える。
この計画を無事成功することができてから聞こう――ドクオはそう誓った。
缶コーヒーをゴミ箱に入れる。
まだ奥の方に残っていたが、気にしなくなっていた。
いや、それだけじゃない。
いろんな物事に対して、意識が及ばなくなっていった。
今はただ、殺人のことしか頭に残されてはいないような気がする。
それしか考えてはいけないような、そんな気分がドクオを取り囲んでいた。
ジョルジュが車を用意していたことにも、さほど驚かなかった。
車で向かえば、1時間ほどでD市には到着する。
それまでずっと、ドクオは頭の中でイメージを働かせていた。
モララーの頭を撃ち抜く瞬間を。
8月14日
この日、ドクオは拳銃を握り締めながら、犯行現場となるであろう場所へと向かっていた。
同じ日、この事件に関わる別の人間はまた違う方法でD市へ向かうことになる。
彼らは日中それぞれの意志で行動していた。
ブーンの過去の過ち。
それが生み出すものとは、なんなのか。
そしてどのような結果をもたらすのか。
まだ誰にもわからない。
〜〜第五話へ続く〜〜
8月14日(土)、午後2時頃――
旧G村は現在D市の内部にあり、山脈の中腹に位置する村落であった。
現在はG地区と呼ばれているその村落とD市街地との間にはロープウェイが繋がれており、そこを使う人は大勢いる。
もちろん道路も繋がってはいるが、いつも薄暗い山の森の中を通ることを好まない人も多く、交通量は多くない。
しかしショボンはそのどちらも使わず、山の裾で車を降りて川沿いを歩くことでG村へと向かっていた。
いや、正確には市街地とG村の間にある民家を訪ねようとしていたのだ。
山の中でひっそりと佇んでいるその建物、ほとんど自給自足の生活を営んでいる一家が暮らしていた。
そしてそこは、モララーの暮らしていた場所でもあった。
川沿いに大掛かりな装置を発見して、ショボンは立ち止まる。
川で泳いでいる魚を捕獲するために用いるものに違いない。
この時期に獲れる魚のことはよくわからないが、それでも一つ気付くことがある。
この近くに人間がいるということだ。
ショボンはその装置の傍で待っていた。
太陽の光が川面に反射されて映るキラキラとした輝き。岩にぶつかって上がる水しぶき。
川の音が聞こえてくる。歩いている途中には気にもしなかった音だが、耳を澄ましていると疲れが取れていくようだ。
自分が疲れていることを今更思い出していた。
昨日は一日調査をして、その晩には事故に巻き込まれたのだ。
そして一応入院だってした。たった半日の入院だが、間違ってはいない。
火事――そういえばあれは何だったのだろうか、ショボンはふと考える。
何故起きた事故なのかは聞いていなかった。むしろまだ特定するには早すぎる。
今頃は消防隊員がアパートの燃えた残骸を調べて、その出火元を考えているところだろう。
あの火事で失われたものと言えば、それはアパートだ。ツンとシュールの住む場所。
それもまた大きな損失だが、他にもある。
ツンさんが証言できなくなったということだ。
二階に住んでいるツンが重傷で、一階に住んでいるシュールは軽傷だった。
ここから導かれる一番簡単な推測は、出火元が二階だったというものである。
しかもなるべくツンさんに近いところで起きたのだろう。あの火災の直後に大雨が降りだしたため、火は予想以上に速く消えたから。
ひょっとしたらツンの部屋で起きたのかもしれない、そう考えてショボンに別の思考が展開する。
それは違和感ではなく、あえて言うなら奇妙な整合感である。
些かタイミングが良すぎるのではないか。
ツンが嘘をついているとわかり、もう一度問い詰めれば大丈夫だと思っていた矢先にあの事故である。
亡くなったわけではないが、証言を得ることが引き延ばされてしまった。自分もそう軽々と行動できるわけではないのに。
もしあの事故が事件だとしたら、それこそが犯人の狙いということになる。
しかしそこに至るためには一つ、重要事項が必要であることもショボンは同時に気付いていた。
考えることに疲れたので、ショボンは空を見上げた。
快晴はこの地域にも広まっている。吹き抜ける山からの風が心地よい。
( <●><●>)「誰でしょう? 」
突然声を掛けられたので、ショボンはその方向を見る。
ギョロっとした目が印象的な、ややがっしりとした体躯の男がじっとショボンを見つめていた。
その目がさらに驚きで見開かれる。
(;<●><●>)「あ、あなた……ひょっとしてショボン刑事ですか? 」
(´・ω・`)「その通りだが、君は? 」
ショボン刑事というのは懐かしい呼ばれ方だ。
自分が警部に上がってからはもっぱら『ショボン警部』と呼ばれるようになっていた。
よってこの男は昔のショボンの知り合いということになるのだが、ショボンには咄嗟にわからなかった。
だが、その黒々とした瞳を見ているうちに記憶が蘇ってくる。
(;´・ω・`)「分手マス君か。モララーと一緒にいたあの」
かなり昔の記憶だった。
まだショボンは30代であり、世間はまだ20世紀だった。
モララーに初めて出会ったとき、彼は分手マスと一緒に探偵事務所を開いていたのである。
( <●><●>)「今、モララーはいませんよ。
もう何年も帰ってきてません」
(´・ω・`)「わかっている。彼はまだF市で探偵事務所を開いているようだよ」
( <●><●>)「らしいですね。それしかやっていけないということはわかってますが、不安です。
未だに生活に必要なお金は全て私頼みなのですから」
それから分手マスは話を始めた。
彼はモララーと離れて自分で事業を興し、成功を収めたのだという。
当時はまだ情報化社会の開拓時代であり、チャンスはいくつも転がっていたのだ。
モララーとは随分長いこと連絡を取っていないらしい。
お金だけはきっちり払うように要求して、それ以外の話を振ろうとするとすぐに逃げてしまう。
それなのによくお金を与え続けていられるね、とショボンが質問すると、分手マスは苦笑いする。
( <●><●>)「これでも数年間同じ場所でくらしていたのです。
彼が十分につらい思いをしているのはわかってます」
ショボンも頷いて、それからはまた話を聞く側に徹した。
現在、分手マスは実家に帰省している最中であった。
数年ぶりの帰郷で、昔のことが懐かしく、こうして父親が仕掛けた装置を見て回っていたのだという。
ショボンは分手マスに実家へ案内してほしいと頼んだ。
どうしても言って、聞きたいことがあるから。
分手マスは承諾して、ショボンを連れて森の中へ入っていった。
いくらか歩くと、森の中で光が差し込む開けた場所が見えてくる。
かなり広い空間であり、外の世界とは森によって隔てられた別の世界であるように感じられた。
広場の中央には二階建てのログハウスがあり、そこがモララーの父親であるビロードの家であることはすぐにわかった。
( <●><●>)「では、私はこれで」
(´・ω・`)「どこかへいくのかい? 」
( <●><●>)「山の方でキノコを採る仕事が残っているのです」
分手マスはそういって、ショボンに背を向ける。
ショボンの記憶とはかなり変わっていたその背中を見つめて、ショボンは言う。
(´・ω・`)「随分とたくましくなったじゃないか」
足を止める分手マス。
言葉は確かに届いていたはずだ。
彼は振り返って、ショボンと向き合った。
( <●><●>)「その言葉、いつかモララーにも言ってやりたいです。
彼が未だに過去に捉われていることはわかってますから」
そう言い残して、彼は森の奥へと行ってしまった。
ショボンは踵を返して、ログハウスに向かった。
傍にいくつか畑があることに気付き、その自給自足の生活の一端が垣間見える。
分手マスがいなければ、ビロードは自分一人で川魚を捕え、キノコを採集していたのだろう。
そう考えて、数年間連絡を寄越さないモララーに苛立ちを感じた。
ドアをノックして、返事を待つ。
「はいっていいんです」
窪みに手を掛けて、開く。
鍵すら無い、簡素なドアだった。
( ><)「…………? 」
白髪の男がショボンを見て、頭の上にはてなを浮かべる。
( ><)「誰なんですか?
わからないんです」
ショボンは面識がなかったことを思い出し、ビロードに頭を下げる。
(´・ω・`)「申し遅れました。私は県警の警部であるショボンです。
お宅のモララーさんと分手マスさんとは何度かお会いしたことはあるのですが」
警察手帳を出す必要もなく、ビロードは信用してくれたようだ。
( ><)「ほえ、それじゃあ15年ほど前にあの二人が事件に巻き込まれたときですか? 」
ショボンが肯定すると、ビロードは小刻みに首を上下させる。
( ><)「わかったんです。
どうぞ、中に入ってほしいんです」
ビロードに勧められて、ショボンは足を踏み入れる。
リビングに連れていかれて、木製の横長の椅子に腰かけた。
落ち着いた雰囲気のする家だ。ほとんど全てのものが木でできていることも影響しているのかもしれない。
視覚から、質素で温かい感覚が伝わってくる。夏の暑さとは違う、精神的な温かさ。
開けられた窓から入ってくる風が、気持ちよく肌に当たる。
自分も老後はこんな家で暮らすのも悪くない、ショボンは心の隅でそんなことを考えていた。
自給自足、晴耕雨読――その言葉の意味は昔から知ってはいたが、今では真意まで伝わってくる。
何にも煩わされない生活は、ショボンにはとても魅力的なものだった。
晴耕雨読という言葉が思い浮かんだので、ショボンはどこかに本棚でもあるかなと思った。
ビロードがコーヒーを注いで持って来てから、そのことを質問する。
( ><)「本棚ですか。
二階の部屋はほとんどが本で埋まっていますよ」
二階に赴くと、予想以上に大量にあったので、ショボンは素直に感嘆を漏らした。
( ><)「妻も私も読書好きだったんです。
たくさん買って、二人で読んで……息子たちもたくさん読ませました」
息子たち――その言葉に意識が集中する。
(´・ω・`)「分手マスとモララーですか」
( ><)「そうなんです。
彼らは昔から本を読み、山で遊んで暮らしていました」
ショボンはあまりにもはっきり言うビロードを見つめた。
コーヒーを一口運んで、口を湿らせる。
(´・ω・`)「失礼なのはわかっているのですが、モララーさんは拾い子ですよね? 」
ビロードは静かに目を閉じる。
本人は何を思ったのかわからないが、ショボンにとっては嫌な沈黙だった。
あまり長くは続いてほしくない。自分の発言が気に障ったのなら申し訳ないからだ。
(;´・ω・`)「あの……やはり気に障ったでしょうか」
( ><)「え、あ、いえいえ」
ビロードは首を横に振る。
( ><)「少し思い出していただけなんです。
モララーのことを」
ビロードの視線がテーブルの上の、額に入った写真に向けられる。
ショボンもつられてそれに目を向けた
(*‘ω‘ *)( ><)
ビロードと、頬の赤い女性が手をつないでいる写真。
きっとどこか正式な写真屋で、記念として撮ってもらったものなのだろう。
二人はまだ若い。20代半ばと見受けられた。
( ><)「今からもう40年以上前の写真なんです。
映っているのは私と妻なんです」
ビロードの目が愛おしそうになるのがショボンにはわかった。
よほど愛していた女性なのだろう。二人が恋仲であることはなんとなく理解できた。
( ><)「妻はマスを産んで、すぐに亡くなったんです。
交通事故で、即死だったんです。
治療する術もありませんでした」
静かに、心に直接語りかけるように、ビロードは話し始めた。
ショボンは黙って、耳を傾ける。
( ><)「マスを残された私は、現実から逃げだしたくなりました。
それでこのログハウスを建てて、自分の手で生活を営むことにしたんです。
人と触れ合いたくなかったんです。今思えばものすごく情けないことなんです」
( ><)「義務教育は受けさせました。マスは中学校卒業まで親戚の家に預けたんです。
だけど高校に上がる前に、突然私のところにやってきて一緒に暮らしたいと言ってきました。
彼はまた別の理由で、高校生活から逃れたかったのです」
(´・ω・`)「別の理由……といいますと? 」
ショボンが口を挟むと、ビロードの顔に苦笑いが浮かぶ。
その笑い方は、先程マスが顔に浮かべた苦笑いとあまりにも似通っていた。
( ><)「頭が良すぎたんです。
親がこんなことを言うのは少し気が引けるのですが、彼には高校課程の授業は必要ありませんでした。
残りの大切な知識はこの家の本で全て習得したのです」
( ><)「彼は私の生活を全面的にサポートしてくれました。
畑の耕し方や、魚を捕まえる方法、野生の草花の情報まで教えてくれました。
生きるのに必要な知識を得て、それを用いて私を助けてくれた……それはいくら感謝してもしきれないことなんです」
( ><)「といっても、マスはあまり行動する人ではなかったんです。
彼に言われたことを私が実践する、そのようにしてここでの生活はなりたっていたんです」
ビロードの言葉を聞いて、ショボンは納得する。
ショボンの記憶にある分手マスはひょろっとした痩躯の青年だった。
だからこそ、がっしりとした体型になっていたのを見たときに、誰だかわかるまで時間が掛かったのだ。
(´・ω・`)「優秀なお子さんで」
( ><)「ええ、しかしその頃私は危惧もしていました。
たまに街へ工具などを買いに行くときに、彼は絶対外へ出ていかないんです。
これでは私がもし死んでしまったときに困るのではないか、そんな不安が常に私の胸の奥にありました」
( ><)「けど、彼は変わりました」
ビロードの顔つきが変わる。嬉しそうに目元が緩んだ。
そして視線がショボンの方に向けられたので、ショボンは彼が言わんとしていることを察した。
(´・ω・`)「モララー……ですか」
( ><)「そうなんです。
1987年の冬に、モララーが川を流れてくるのをワカッテマスと私が発見し、この家に連れてきました。
モララーは頭にひどい怪我がありましたが、応急処置をして麓の街の病院に連れていきました」
ビロードは思い出しているらしい。言葉を少しずつ紡ぎだしていく。
ショボンはいよいよ本腰を入れて話を聞きていた。
(´・ω・`)「川の上流から流れて来たとなると……旧G村ではないですか?
あの村の端でも川は流れていますし、それより上流から流れて来たのなら村の誰かに見つかるはずです」
( ><)「私もそのことはわかっていました。
だからモララーの意識が戻ったら、元の家に帰す気ではいたんです。
病室で、彼の意識が回復するまでは保護者として見守っていよう。それから後は預けよう、本当の親の元へ」
(´・ω・`)「しかし戻らなかった……彼は記憶喪失だ。少なくとも私の会った頃の彼は」
ビロードも「その通り」というように首を動かす
( ><)「私は仕方なくモララーを引き取りました。
施設に預けることもできたのですが、私はそういったところに子どもを渡すことに抵抗を感じたんです。
それに、マスのことがありました。彼にはもっと人と触れ合ってほしいと、私は思ったんです」
( ><)「モララーは、元からそうなのかは知りませんが、とても行動的で、山が大好きな青年でした。
そしてマスに誘われて、本もたくさん読み、知識も得ていたようです。今思うと、彼の言動は機知に富んでいた。
何事にも考えを膨らませることができたように見受けられたんです。マスと一緒にいて、モララーにはそういう能力が身についたんです」
( ><)「マスもまた、近い年代の友達ができて嬉しかったようなんです。初めこそ避けてはいましたが、モララーが積極的だったんです。
コミュニケーションが苦手なマスの気持ちを理解して、いくつもの話を振り、討論もしていたんです。
マスは変わりました。モララーのおかげなんです。一番の親友ができた、いや、双子の兄弟が出来たようなものだったんです」
(´・ω・`)「あなたにとってモララ―は息子同然というわけですか」
ショボンの言葉に、ビロードは力強く頷いた。
( ><)「彼らは……私にはもったいないくらいに優秀な子どもだったんです。
そして二人とも、私のことを父親として扱ってくれた。こんな山奥にひっそり暮らしている世捨て人を」
誇らしそうな表情が、ビロードの目に浮かんだ。
優しい柔らかな顔だった。
ショボンはモララーの身の上を考えていた。
あの生意気な探偵の過去をこのような形で知るとは思いもよらなかった。
(´・ω・`)「水を差すようで悪いのですが、しかし気になるので質問させてください。
モララーの両親はどうして彼を探さないのでしょう?
何年もほったらかしにしておくなんて、いったいどういう親だったのでしょうか」
すると、ビロードは今度は力なくその言葉を否定する。
表情は途端に翳りが見えた。
( ><)「会いました」
すぐには意味がわからなかった。
ショボンは思わずその意味を聞きなおした。
( ><)「会ったんです。モララーの両親に。
彼の所持品から、名前だけはわかっていたのですからね。G村に目星をつけて、すぐ見つかりました。
彼を拾ってから10日後のことです」
( ><)「さて、会ったのに何故私が育てていたのか。
どうして未だにモララーに連絡を取ろうとしないのか。
わかるでしょう? 」
ビロードの問いかけに答えることを躊躇うショボン。
答えはたった一つしか考えられなかった。
(;´・ω・`)「モララーを、捨てたのですか」
質問されたのでなければ、とてもじゃないけど聞けなかっただろう。
いくら他人のことを詮索する職業に就いていると自嘲しても、他人の傷を抉るような言葉は掛けたくないものである。
ビロードは肯定する。
( ><)「聞こえよく言えば、私に養子をくれたということになるんです。
モララーは私の養子なんです。だから息子なんです。
彼は私の息子であり、分手マスの兄弟なんです」
段々と、ビロードの語気が強くなっていった。
本人がそれに気付いているのかはわからない。おそらく癖なのだろう。
( ><)「驚いたことにモララーの年齢がマスと同じであり、1970年生まれだったんです。
彼らはやはり双子と呼んでも差し支えなかったのかもしれません」
ビロードはそう言って、コーヒーを飲みほした。
かなり長いこと喋っていたために喉が渇いたのだろう。
(´・ω・`)「モララーの出身はG村であることは間違いないんですね」
ショボンは自分から話を始めた。
( ><)「そうなんです
彼の両親もG村の出身、現在のG地区です。
もっとも両親ともに既に離婚して他県にいます。モララーを養子に出したのも離婚しやすくするためだったんです」
ショボンは小さく唸り、思考していた。
頭に浮かんでいたのは内藤ホライゾンのことである。
金属バッドと、それに付着していたモララーの血痕。
それがニダー殺害現場にあった。
ショボンは、ニダーがそれを見せたから内藤は殺人を犯したのではないかと思っていた。
(´・ω・`)「モララーをG地区へ連れていきます」
否定の言葉はなかった。
ビロードは口を開かず、ショボンを見つめていた。
( ><)「何をするつもりなんです? 」
ようやく開いて出てきた問いかけ。
ショボンは間をおいてから、答えを出す。
(´・ω・`)「彼の記憶を蘇らせます。きっと上手くいく気がするので」
(´・ω・`)「この事件にはモララーの記憶が必要であるように私には思われるのです。どうしても、昔の記憶が。
彼の少年時代に起きた出来事が大きく絡んでいる、そんな気がしてならないのです」
ショボンはコーヒーを一気に飲み込んで、口の動きを滑らかにした。
(´・ω・`)「言うのが遅れましたが、私は先日亡くなった内藤ホライゾンという男について調査しているのです」
ビロードは訝しげに眉を寄せる。
( ><)「それは……確か数年前に小里安一家を殺害した人の名前だったはずなんです
その人が亡くなって……それでどうしてモララーが関わっているんですか? 」
(´・ω・`)「モララーはもっと小さいときから内藤ホライゾンと関わっている、そんな気がするんです。
実は内藤ホライゾンの故郷もまた、G村なのです。
このことを知らせ、G村へ行けば、モララーは忘れてしまった過去について何か思い出すかもしれない」
ビロードの動きが止まる。彼もまた思考を巡らせているようだ。
( ><)「つらいことを思い出してしまうかもしれないんです。
でも、モララーは過去を知らないことで、今まで散々つらい思いをしてきた。
だからこれは、いいことだと思うんです」
途切れ途切れに、ビロードはショボンの意見を受けた。
ショボンはビロードに深々と頭を下げる。
ログハウスを後にして、ショボンは一度麓の街まで下りた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
8月14日(土)、午後3時、某県のとある駅のホーム――
突然携帯電話に着信があったとき、モララーはドキリとした。
だいたい電話があるときはどこの誰が掛けて来たのかわかる。
しかしこの電話は唐突だった。故に不安だった。
恐る恐る携帯を開く。知らない番号だ。
とにかく出てみた。
( ・∀・)「もしもし? 」
どうも電波が悪いらしく、相手の言葉は上手く聞こえない。
モララーも受信しやすいところを探すために歩きまわった。
もともと遅い昼食というか、間食をとるために寄った駅である。
急いでいるわけではないから余裕があった。
( ・∀・)「もしもし? もしもーーし」
思えば間違い電話かもしれないのだから、切っても差し支えなかったはずだ。
でもその発想が無かった。
(´・ω・`)「私だとさっきから言っているんだが」
ようやく言葉をキャッチしたとき、モララーは発想の枯渇を心底後悔した。
(;・∀・)「そ、その人生諦めきったムード漂う声の主はショボンか? 」
(´・ω・`)「ようやく返してきた返事がそれか。昔から相変わらず失礼な奴だ」
(;・∀・)「お前も相変わらずな暗さだな。つーかどうして俺の携帯の番号知ってんだよ」
(´・ω・`)「ビロードから聞いた。いろいろと話があったからな」
( ・∀・)「は? なんでうちの実家行ったの? 」
(´・ω・`)「その日本語はおかしい」
( ・∀・)「うるせえな、質問に答えろ」
(´・ω・`)「おかしいものはおかしいんだ。
うちというのは家のことだ。そして実家というのも家のことだ。
故にお前は今『家の家行ったの』と聞いたことになる。これは間違っている。馬から落ちて落馬したとか、溺れて死んで溺死したとかそのくらい」
(#・∀・)「だー、もうしつこいな。正しさなんて気にするなよ。
お前はそんな生き方して楽しいのか? 40代のおっさんの言語能力を虐げて楽しいのか」
(´・ω・`)「むしろ40代なのになぜお前はそんなに活き活きしているんだ。妬ましい。もっと絶望しろ」
(#・∀・)「絶望なんかしねえよ。絶対お前みたいになるものか」
(´・ω・`)「そのセリフは15年前にも聞いた。よかったな、全然私に似ることがなくて」
( ・∀・)「全くだ。
話戻すぞ。どうして俺の家に来たんだ」
(´・ω・`)「お前の故郷について質問してた」
( ・∀・)「ああ、G村のことか」
(´・ω・`)「…………」
(;´・ω・`)「え!!? どうして知ってるの? 」
( ・∀・)「あほか。そのくらい予想つくわ。
もう随分大人びてから川流れてたんでな」
(´・ω・`)「つまんねーやつ。
感動を返せ」
( ・∀・)「どんな話したんだよ、あのじじい」
(´・ω・`)「これが現実、か……」
( ・∀・)「ぼやぼや呟いてるなよ。
話終わってないぞ。なんで俺の実家で俺の故郷の話なんか聞くんだ」
(´・ω・`)「ふむ、その前に話しておかなければならないことがあるな。
内藤ホライゾンという男を知ってるか? 」
( ・∀・)「…………知ってる」
(´・ω・`)「それは良かった。実は私はそいつの調査を」
(;・∀・)「お、おいちょっと待て待て」
( ・∀・)「まさか『内藤ホライゾンの死に疑問を感じて調査している』だなんていうんじゃないだろうな」
(´・ω・`)「……その通りなわけだが」
( ・∀・)「はあ? 」
(;´・ω・`)「なんだいきなり。人の話の腰を折ってまで聞いて何不満そうな声出してるんだ」
( ・∀・)「何なの? 故人の調査するのが流行りなの、今? 」
(´・ω・`)「落ち着きを取り戻してくれ。私の調査は興味本位なものだ。
決して流行りではない」
225 :
バスケ大好き名無しさん:2012/11/25(日) 23:29:21.99 ID:swoXXM7+
(#・∀・)「絶望なんかしねえよ。絶対お前みたいになるものか」
(´・ω・`)「そのセリフは15年前にも聞いた。よかったな、全然私に似ることがなくて」
( ・∀・)「全くだ。
話戻すぞ。どうして俺の家に来たんだ」
(´・ω・`)「お前の故郷について質問してた」
( ・∀・)「ああ、G村のことか」
(´・ω・`)「…………」
(;´・ω・`)「え!!? どうして知ってるの? 」
( ・∀・)「あほか。そのくらい予想つくわ。
もう随分大人びてから川流れてたんでな」
(´・ω・`)「つまんねーやつ。
感動を返せ」
( ・∀・)「どんな話したんだよ、あのじじい」
(´・ω・`)「これが現実、か……」
( ・∀・)「ぼやぼや呟いてるなよ。
話終わってないぞ。なんで俺の実家で俺の故郷の話なんか聞くんだ」
(´・ω・`)「ふむ、その前に話しておかなければならないことがあるな。
内藤ホライゾンという男を知ってるか? 」
( ・∀・)「…………知ってる」
(´・ω・`)「それは良かった。実は私はそいつの調査を」
(;・∀・)「お、おいちょっと待て待て」
( ・∀・)「まさか『内藤ホライゾンの死に疑問を感じて調査している』だなんていうんじゃないだろうな」
(´・ω・`)「……その通りなわけだが」
( ・∀・)「はあ? 」
(;´・ω・`)「なんだいきなり。人の話の腰を折ってまで聞いて何不満そうな声出してるんだ」
( ・∀・)「何なの? 故人の調査するのが流行りなの、今? 」
(´・ω・`)「落ち着きを取り戻してくれ。私の調査は興味本位なものだ。
決して流行りではない」
あーひま
227 :
バスケ大好き名無しさん:2012/11/27(火) 20:56:00.01 ID:gxg7jdBJ
バスケの話をしようぜ。
まじでチラ裏
そうだね、洛南といい勝負してほしね
ガンバレ
( ・∀・)「ああ、そう。悪いな。
何せ俺もそう言われて調査していたところなんだ」
(´・ω・`)「なんと! それじゃあ私と同じじゃないか」
( ・∀・)「嫌な巡り合わせだな」
(´・ω・`)「さて、『言われて』ということは調査依頼でもあったのか? 」
( ・∀・)「ああ、冴えない面した大学生から相談を受けたんだよ。ドクオっていう青年だった」
(´・ω・`)「ドk――え? 」
(;´・ω・`)「えぇええぇえええぇぇえええ!!! 」
(;・∀・)「おっさんがバカでかい声出そうとするんじゃねえよ、うるせえな。
んで、そっちはなんで調査したんだ」
(;´・ω・`)「あ、ああそうだな。悪かった。年甲斐も無く。
私は内藤ホライゾンの事件のときの笑顔と、死んだときの安らかな表情が気にかかっていた。
それと、ある青年の助言で殺人の動機にも興味が湧いたんだ。その青年はジョルジュといってな」
( ・∀・)「ジョr――え? 」
(;・∀・)「なあぁにぃいいいいいいい!!? 」
(´・ω・`)「うるさいな、年甲斐を考えろバカ野郎」
それから二人はお互いに知っていることを話し合い、情報を交換した。
モララーは周りから怪しげな視線を受けながらも、それを無視して話に没頭していた。
午後5時、D市の山の麓――
指定された駐車場で、モララーはショボンを探していた。
ようやく見つけたとき、ショボンは不機嫌そうな顔つきだった。
(´・ω・`)「話したことは本当なんだろうな? 」
( ・∀・)「そっちこそ」
モララーは車に乗り込んだ
( ・∀・)「G村か……」
モララーは誰に向けたわけでもなくそう呟いた。
(´・ω・`)「そういえばお前、G村に行ったことはないのか? 」
( ・∀・)「行って何になるんだ。
気付いた時にはもう20過ぎてたんだ。誰も待ってねえよ」
(´・ω・`)「それもそうだが、少しぐらい気になるものじゃないのか」
モララーは言葉を発しなかった。
ショボンも黙っていた。
傾きつつある夕日を浴びて、男二人が乗った車は未だ動く気配を見せなかった。
( ・∀・)「怖かったんだ。ずっとな」
長い沈黙の後、とうとうモララーが口を開いた。
(´・ω・`)「G村が、か? 」
( ・∀・)「そうだ」
モララーは本心から言っていた。
昔から、川の上流に行くことを極端に恐れていた。
自分が見てはいけないなにかがある、ずっとそんな気持ちがしていた。
( ・∀・)「でもな、今は大丈夫だ」
(´・ω・`)「ほう、それはまたどうしてだ? 」
その言葉を聞いて、モララーはあっけらかんとした声を出して笑う。
( ・∀・)「この歳になって、怖いとかそんなこと言ってられねえよ
行こうぜ、G村。そして記憶を取り戻そうじゃないか」
本当は怖かった。
今でも相変わらず、モララーはG村、現在のG地区へ行くことを拒みたかった。
あの村落は訪れたくない。自分はあの村を恐れているし、あの村は自分を拒んでいる。ずっとそんな気がしていた。
でも、もうショボンから話は聞いた。バッドのこと、自分とブーンとの繋がりの可能性。
ショボンが提示したその話を電話越しに耳にしたときは、正直疑いの気持ちしか抱けなかった。
だけど、希望はあった。記憶が戻ればわかるかもしれない。
自分が襲われた理由。もちろん不明の部分は多分にあるのだが。
それから二人は、ドクオとジョルジュの話も交換し合った。
あの二人の青年について、二人ともブーンと重要な関わりを持つ人物であるのだ。
ブーンと共に暮らしながら、失踪されたジョルジュ。
そしてブーンと親しく接していたドクオ。
ブーンの息子のことも考えた。
二人のうちのどちらかが、この名前を冠していたに違いない、モララーとショボンはそう結論付けていた。
山を登っている最中に、モララーの携帯電話が鳴る。
またも予想してない連絡。モララーの不安は募った。
ショボンと目線を交わして、それから電話に出る。
掛けて来たのは、ドクオだった。
('A`)「モララーさん、ですか」
弱々しい声が聞こえてくる。
ドクオの声に違いなかった。
( ・∀・)「おお、ドクオか
どうしたんだ、何かあったのか」
('A`)「実はお話したいことがありまして、G地区に来てほしいのです」
( ・∀・)「へえ、わかった。じゃあ今から行くよ」
('A`)「ありがとうございます。
お願いします」
それだけだった。たったこれだけの会話で、電話は切れてしまった。
あまりにも簡潔で、あまりにもひどい――モララーは思わず大声で笑ってしまった。
(´・ω・`)「どうした、急に笑い出して
本当に感情豊かな中年だなお前は」
ハンドルを捌きながら、ショボンが非難する。
モララーは腹を抱えながら、運転席のシートに手を掛けた。
( ・∀・)「だってさ、何も前触れなしに『G地区に来てくれ』って言うんだぜ?
D市に少しでも行ったことがなきゃわからないのに、地区名なんてよお。
しかも俺のことについては何も質問しないんだ。今どこにいるのか、とかそんなことすらなし。
これじゃ何時頃に到着するのかすらわからねえよ」
大口開けて笑いを溢れさせているモララーの腰の上で、再び携帯電話が鳴る。
( ・∀・)「もしもし? 」
(;'A`)「あ、あのすいません。モララーさん。
いったいどれくらいしたら到着しますか」
モララーの顔から笑いは消えた。
( ・∀・)「……2時間くらいだ」
咄嗟にその制限をだす。
現在時刻は5時30分を周ろうとしていた
('A`)「あ、じゃあそのくらいになったらまた電話します」
そういって、ドクオは通信を切った。
モララーはその携帯電話をじっと見つめていた。
( ・∀・)「誰かいるな」
(´・ω・`)「ドクオ君と一緒にってことかい? 」
( ・∀・)「ああ」
(´・ω・`)「何だか信頼が無いんだな」
( ・∀・)「信頼しているからこそだよ
間違いない。あいつは誰かに言わされている」
断言するモララー。
カーブに注意しながら、ショボンは口を開いた。
(´・ω・`)「じゃあ、考えがまとまっただろ」
( ・∀・)「もちろんだ。
ブーンの息子、そうだろうな」
モララーにはもう、ドクオを疑う気持ちは微塵も残っていなかった。
( ・∀・)「ジョルジュだ。奴がブーンの息子だ」
(´・ω・`)「……一旦考えを整理しようか」
運転しつつ、ショボンが切り出した。
(´・ω・`)「もし彼がブーン、内藤の息子だとする。
ならば、私のところにきたのは最初から計画のうちだったということか?」
( ・∀・)「多分な。お前のことだ、事件の話でもしたことはあるんじゃないか?」
(´・ω・`)「ああ、したよ。警察内部のことまで喋るわけにはいかないから、事件の概要をだけどね。
当然、お前が関わる事件の話もした。これが、あいつの狙いだったんだな」
( ・∀・)「そう、ジョルジュの狙いは俺。
さっき教えたように、俺はしぃの屋敷で命を狙われている。
狙った者は『ブーンの息子』が首謀者だといったから、まずジョルジュが仕組んだものとみていいだろう」
(´・ω・`)「だが、それなら私の方で起きた火災はなんなんだ?
私はあのときジョルジュと一緒に行動していたし、それに火災は私たちがアパートから離れた直後に発生した。
なかなか危険じゃないか。最初からジョルジュが仕組んだものだとしても、気になるな」
(´・ω・`)「それから、昨日お前を殺すつもりだったということは
ジョルジュは元々お前に会わなくてもいいと考えていたということだ。
それなのにどうして今日は呼びだした? 突然何かいいたいことでもできたというのか?」
( ・∀・)「……なんだろうな」
モララーは実際その場で考えた。二つの謎について。
ショボンの方で起きた火災。そして、自分が呼び出される理由。
( ・∀・)「まず火災について、もしかしたらだがな」
モララーは自説を展開する。
( ・∀・)「火災の規模はそこまで大きくなかったと聞いている。死者はいなかったみたいだしな。
とはいえ、偶然起きた事故として処理するのはちょっと怪しい。
まるでお前とジョルジュが去るのを見計らってから発生したような気がするからな」
( ・∀・)「そこで、だ。誰かがお前らを見張っていた。
そしてアパートから出て来たあとに、出火した。これでどうだ。
出火原因なんかはそろそろ検出されているんじゃないか? あとで問い合わせてみてくれよ」
(´・ω・`)「私たちを殺すつもりではなかった、と?」
( ・∀・)「そうなる。アパートの住人とか、そのあたりに狙いの人物がいたんじゃないか?」
(´・ω・`)「そういえば……
あの火災、一階の住人は軽傷、二階の住人は重傷の割合が高かったぞ」
( ・∀・)「じゃあ、二階の誰かが狙われてたんじゃねえか? どうよ」
(´・ω・`)「ツンだ」
モララーはバックミラー越しに、ショボンの閃いた顔を見た。
(´・ω・`)「鬱田ツン。鬱田ドクオの母親は二階に住んでいた。
私も朝考えていたんだけどね、ブーンに関わりのある彼女が狙われていた可能性はあるんじゃないか?」
(;・∀・)「で、でもよお」
モララーは頭を掻く。
(;・∀・)「じゃあなにか、ドクオは自分の母親を殺そうとした奴と協力しているのか?
いくらあいつがしゃきっとしてない奴だからって、そこまで薄情とは思えないが」
二人の唸り声が車内に広がる。
この疑問点は、不可解だった。果たしてドクオは何を考えてジョルジュと協力しているのか。
ややあって、ショボンは口を開く。
(´・ω・`)「ジョルジュにとっても予想外だとしたら?」
( ・∀・)「ん、さっきの俺の仮説を前提として
お前らを見張っていた誰かが勝手にやったということか?」
(´・ω・`)「あるいは……見張っていることすらジョルジュが知らなかった」
ショボンの一言が、モララーの考えに刺激を与えた。
( ・∀・)「……ジョルジュの裏にも誰かがいる?
ジョルジュ以外にも動いていた人間がいる?
そう仮定すれば、なるほど」
( ・∀・)「その動いている人物と昨日か今日出会って、ジョルジュが俺と会うことに決めたとも考えられるな」
モララーの放った言葉で、車内は沈黙する。
お互いに自分に考えを整理しているのだろう。
( ・∀・)「なあ、お前。この考えを提示したのには、それなりの理由があるんじゃないか?」
ふとモララーは思いついて、発言する。
ここまで続いてくると、この話を裏づける何かがほしいと考えたのだ。
(´・ω・`)「前々からちょっと気になっていたことがあるんだ。
ジョルジュの資金源はどこからきているのか」
なるほど、とモララーは頷いた。
確かに、自分を襲った警備員も、アパートでの火災も、普通の人間が行える代物じゃない。
資金源がある、裏で大きな力を持った人物が動いている、そう考えると自然なのではないか。
そして同時に、モララーの脳内にはその人物像が思い浮かんでいた。
( ・∀・)「なあ、ショボンさんよ」
(´・ω・`)「なんだいきなり改まって『さん』づけなど。不吉だな」
( ・∀・)「俺をG村に送ってから、動ける?」
(;´・ω・`)「……ほれみろ」
( ・∀・)「頼む! 電話番号だけでも教えるから!」
(;´・ω・`)「いや、明日は普通に出勤なんだけど……動きたくないんだけど」
( ・∀・)「……ま、どうせジョルジュからきくことになるだろうし、落ち着こうか」
ショボンがほっとしているのがよくわかった。
( ・∀・)「ただちょっと、俺の方にも警戒が必要なことを留保していてくれよ」
(´・ω・`)「裏にいる人物が危ないからか?」
( ・∀・)「そだなー。なんかきな臭いからなー。
ジョルジュがどうしても俺を殺すっていうのなら、その裏の人物と協力して
必ず俺をしとめる方法でも編み出してそうだしな。
単純に物量で襲ってくるかもしれない。そうなったら逃げきれるかどうかわからん」
(´・ω・`)「お前それ、私が警察官だからって、言ってきてるんじゃないだろうな。
機動隊とか用意してくれよー、的な」
( ・∀・)「え、無理なの?」
(´・ω・`)「できるか、ボケ」
(;・∀・)「……俺やばくね? おい誰だよ裏になんかいるとか言い出した奴」
(´・ω・`)「私だが、会うと言っちゃったのはお前だしな。
呼び出されたのに素直に従っちゃうんだもんなー、かっこつけて」
(;・∀・)「なあ、ちょっと、俺に策があるんだよ。耳貸してくれよ」
車は徐々に徐々に、G地区へと接近していった。
G地区――
モララーとショボンは河原に立っていた。
車は堤防の上に停めてある。都会なら車上荒らしの危険があるが、この山間の村なら多少注意を怠っても大丈夫だろう。
ショボンの考えが甘すぎるのではないかとモララーは思ったが、本人が大丈夫と言っているので気にしないことにした。
(´・ω・`)「気分はどうだ?」
(;・∀・)「よくねぇ、よ……」
モララーの気分は悪くなっていた。
村の中に入ったときから、言いようのない吐き気を感じ、手や額から冷や汗が流れ始めていた。
静かな音を立てて流れる川を眺めながら、何度もハンカチで汗を拭い、意識を保とうとする。
約束よりだいぶ早い時間から、彼らはここで歩いていた。
もし記憶が戻らなかったらしかたないからブーンの息子とやらから聞く、そのつもりだった。
およそ20年前、モララーはこの川を流れて、下流の森で隠遁生活を送っていたビロードに拾われ、一命を取り留めた。
モララーの記憶は病院で意識を回復させたときから始まっており、それ以前のものは深い闇の中に沈んでいる。
だけど、その闇の底からいくつもの泡が出てきていた。
(;・∀・)「なんなんだろうなぁ、この気持ち。
この川、なんか縁起でもない気持ちにさせるんだよなあ」
この川を知っている――モララーはそう確信した。
脳内にイメージが浮かぶ。
それは、実際に体験したことのある景色なのだろう。
昔から、そんな気分はしていた。
こうして至近距離で川沿いで眺めているとそれがよくわかる。
頭の中のイメージが固まっていく。
思い出せる。
自分が流れていたことを思い出せる。
夜だ。都会では決して見ることができないほどの幾つもの星が天上を覆っている。
深い深い夜に自分はこの川を流れていた。
鉄の味を口の中で感じながら。
記憶が闇の底から現れようとしている。
20年間眠っていた忌々しい過去が、失われていた欠片が手に入ろうとしている。
目眩がして、モララーはよろける。
ショボンが慌ててその体を手でつかみ、支えた。
(;´・ω・`)「お、おいモララー」
危惧の言葉が聞こえた気がした。
恐らくショボンが掛けたものだとはわかったが、モララーは反応することができなかった。
意識は現実から離れていった。
気持ちが悪かった。
自分に何年も無かったものが、自分を苛み続けていたものが手に入るというのに。
長い間、心のどこかではその復活を願っていたというのに、今はどうすることもできない恐れを感じていた。
世界が暗転する。
夏と、冬が、頭の中で何度も訪れる。
自分はまだ幼い。
モララーも、ツンも、ブーンも幼い。
何故その名前を知っているのか、だんだんとわかってくる。
懐かしいものだ。たとえ失われていたものであったとしても、昔の記憶はかくも甘美で、感慨深い。
彼らは幼馴染だった。
そしてとうとう、その日の記憶が蘇る。
全てがわかる。
濁流のように、時系列を無視した混沌が脳の中に流れ込み、整理が追いつかない。
様々な感情が交錯し、何が正しくて何が嘘なのかもわからない。何故自分は怖がっているのかも。
( ・∀・)ξ゚听)ξ( ^ω^)从'ー'从 <ヽ`∀´>
人々の顔が頭の中で浮かび、その意味が後からついてくる。
(;・∀・)「わかった」
気息奄奄の状態で、ようやく絞り出したか細い声でモララーは呟いた。
自分が膝立ちになっていることに気付く。気がつかないうちに体が動いたのか、ショボンがそうさせたのか。
(´・ω・`)「大丈夫なのか? ひどい汗だ。
それにかなり疲労しているみたいだが」
ショボンがモララーの顔を覗き込んだ。
(;・∀・)「記憶ってのは、疲れるものみたいだ。
とりあえず、ショボン。俺らの予想と結構近かったぜ」
体を支えるショボンの腕を軽く払いのけて、川を見つめる。
遠い昔、自分はあの川を流れていた。
目を離すことができなかった。
自分の憶えていることが、取り戻した記憶があまりにも衝撃的なものであったから。
(;・∀・)「俺はブーンに殺された」
ようやくモララーは自分の思い出したことをはっきりと認識できた。
ネタ切れかな
239 :
???:2012/11/30(金) 12:43:58.44 ID:???
作者の大先生は、精神的な治療のため入院いたしました。
電話が鳴る。ドクオからだ。
気がつけばもう約束の時間だった。
モララーの身を案じてショボンが携帯電話を取ろうとするが、モララーはそれを制する。
( ・∀・)「さすがにそこまでバカじゃねえよ」
携帯のボタンを押して、通話を開始する。
('A`)「モララーさんですか? 」
肯定するモララー。
('A`)「もうG地区にいますね?
今すぐ、廃校になったG高校の校庭の、ケヤキの木の下に来てください」
了解し、モララーは携帯電話をポケットにしまう。
( ・∀・)「お呼び出しだ。
G高校の校庭だってよ」
ショボンの方は向かずに、そう伝えた。
( ・∀・)「……いくのは俺一人でいい」
(´・ω・`)「もう行くのかい?
まだわかっていなかっただろ。君が狙われている理由」
モララーは肩を竦めて苦笑いしながら、ショボンの方を振り向く。
( ・∀・)「さあな、でもこんな面倒なことをするくらいだ
何か面白い理由でもあるのかもしれねえな」
ショボンはがっかりしたように溜息をついた。
(´・ω・`)「記憶を取り戻しても、その理由はわからなかったんだね」
( ・∀・)「そういうこと」
軽々と返答するモララー。ショボンはその飄々とした姿をじっと見つめた。
(´・ω・`)「もし犯人がその理由を話してくれたなら、教えてくれよ。
私も気になっているんだ。だから」
( ・∀・)「わかってる。だから死なないし、死なせない」
言葉を中断させられたショボンは「やれやれ」とぼやいて堤防の上に向かった。
自分の車に乗って、待っているということなのだろう。モララーはその後ろ姿を見て思った。
G高校が自分の母校であったことも思い出していた。
そのことも少しは感慨があった。ついさっきまですっかり忘れていたというのに。
( ・∀・)「行くか」
記憶を頼りに、モララーは河原を歩いていく。
そこはG高校までの近道でもあったから。
歩きながらモララーは自分の過去をもう一度思い返してみた。
取り戻す前にあれほど怖がっていたものだ。思っていた通り、気持ちのいいものではない。
それでもここに犯人の鍵はあるはずだ。
せめて予習でもしておくことが礼儀だろうとモララーは思っていた。
G高校に到着したのは、夜の7時45分だった
〜〜第六話へ続く〜〜
G高校――
ケヤキの木は、この高校のシンボルだった。
モララーは今となって思い出せる。この廃校に自分は通っていた。
高校2年生のときまで。
夏の夜、風は少しだけ熱気を帯びている。
とはいえ都会のそれと比べたら、幾分か冷ややかだ。
心地よい冷気が辺りに微かに感じられる。
ケヤキの前に、青年はいた。
モララーは校庭の端からその人影を見つけていた。
月が煌々と照らしているので、確認するのは容易い。
('A`)「……」
青白い顔は元々だったが、月の光のせいでいつもより一層際立っている。
とはいえ、まだ今日で会うのは三回目なんだけどね――モララーはそんなことを思った。
そのたった数日間で、モララーはドクオの人物像をある程度特定していた。
人づきあいが苦手で、ちょっと配慮が足らなくて、どことなく自信が無くて
そして、ブーンのことが気になって仕方がない、そんな人物だ。
ブーンの息子と何らかの関わりがあったのだろう。
だから、ブーンの息子と協力して何かを行っている。
そうまでして、何を成し遂げたいというのか、それをこれから聞くのである。
('A`)「遅かったですね」
( ・∀・)「細けえよ。
30分以内はギリセーフだ」
モララーは徐々に歩んで、ドクオに接近する。
ドクオは引かなかった。
なおも顔は暗いが、足は動かず、じっとモララーを見据えている。
( ・∀・)「話ってのは、なんだ?」
わかりきっていはいたものの、モララーは一応きいた。
このほうがドクオも喋りやすいのだ。
('A`)「ブーンさんのことについて、です」
( ・∀・)「なんか、最初に会った時みたいだな」
その言葉で、ドクオの頬がやや緩むのをモララーは見た。
だがすぐにドクオの顔は無表情に近い暗いものに戻ってしまう。
('A`)「モララーさん、ブーンさんのことを知っていたんですね」
( ・∀・)「ああ、知っていたというか、さっき思い出したんだ。
今はきっと、いろいろと答えられることが増えていると思うぜ」
「へー、じゃあ教えてもらおうか」
突然聞こえて来た声に、モララーは首をかしげ、ドクオはびくっと反応する。
ケヤキの裏から、人影がもう一人分。
_
( ゚∀゚)「ブーンはどうして、自殺しなければならなかったのか」
( ・∀・)「おでましかい、ブーンの息子さん」
_
( ゚∀゚)「よくご存じで」
( ・∀・)「は、殺そうとしてて何言ってんだか」
_
( ゚∀゚)「知らない人に殺されるってこともありうるんじゃないですかねえ?
こんな世の中だしね。大切な人は死んで、どうでもいい人は生きていく」
( ・∀・)「ずいぶんふわふわしたことを言うね、君」
_
( ゚∀゚)「そっちこそ飄々として、いけすかないな。
さっさと話してもらおうか」
( ・∀・)「ブーンの過去、か。いいだろう」
モララーはひとつ咳をして、喉を整える。
さっき思い出したばかりの過去を口で説明するというのも、ちょっとばかり不思議な話だ。
その体験は自分のものだけど、長年連れ添ったわけじゃない。
それでも大事な、記憶。モララーはなるべく正確に伝えるつもりだった。
( ・∀・)「もうずっと昔の話さ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1970年 G村――
モララーは産まれた。
内藤ホライゾン、鬱田ツンは近所に住んでおり
親同士の付き合いから、三人は仲の良い友達としての付き合いへと発展していった。
内藤の『ブーン』というあだ名は、彼の口癖から来たものだった。
乗り物、特に飛行機が好きだった内藤は、事あるごとに手を広げてその真似をしたのだ。
ツンとモララーは面白がって彼に『ブーン』という愛称を与えた。
ブーンは野球も好きで、モララーとツンも一緒によくテレビや球場で観戦していた。
ブーン自身も草野球チームに参加し、格別うまいわけではなかったが、目いっぱい練習をしていた。
その姿を応援するのも、モララーとツンの日常の一つだった。
小学校、中学校と進学していく最中も、三人は交友関係を続けていた。
徐々に性別の違いを認識してきてはいたものの、昔からの付き合いであるので、さして気にすることもなかった。
三人の関係は性別関係ないものだったのである。
いつでも笑っているブーン。
いつでもどこか飄々としているモララー。
そのどちらに対してもいさめる言葉を掛けることが出来たツン。
この三人の組み合わせは、ぴったりだったのだろう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ・∀・)「でも、高校生になったころからかな。
ちょっとばかし状況が変わっちまった」
( ・∀・)「俺の家がゴタゴタしだしてな。細かく説明するのは辛いとこだが。
俺の親父がずっと昔に借りを作っちまった奴がいてな。
そいつがよく俺の家に押しかけて来るようになったんだ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それがニダーだった。
ニダーはモララーの弱みを握っていた。
そのことをネタに、モララーの家の財産を絞り取ろうとしていたのだ。
モララーの父親は率直に言って優しすぎた。
借りをつくったのは事実であり
ニダーのことを完全に嫌がることができなかったのである。
モララーの母親はいらだちを増していった。
何度も何度も、モララーの父親に取り入り、ニダーを突き離すように懇願した。
だけども、モララーの父親はできなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ・∀・)「詳しいことは俺も知らねえんだけどな。
まだ俺は子どもだったし、そういうことはあんまりききたくなかった。
どのみち俺はすぐ会えなくなっちまったし、いいんだ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
モララーはだんだんと家の暗い雰囲気を感じて、学校でもあまり明るくふるまえなくなっていった。
ブーンやツンもそのことに気付いて、モララーの話をきこうとした。
だけど、二人まで暗くなってほしくないと思い、モララーはその話をしなかった。
毎日、なんとか理由をつくってごまかしていたのであった。
1987年――
モララーたちは高校二年生となった。
この頃になると、ブーンは野球部の活動が忙しくて、あまりモララーと接することはなくなった。
当時は携帯電話も無かったし、特別に連絡することもなかったから、なんとなく疎遠になっていった。
それでも、ブーンがモララーのことを心配していたのは、モララーも知っていた。
そしてそれはツンも同じことであった。
ツンも同じように、モララーのことを心配してくれている。
モララーはそれを感じて、言えないにしても、そのことが嬉しかった。
ある日の夜のことである。
いつものように、ニダーがモララーの家に押しかけた。
母親も父親もいる時間であった。
モララーの母親はいつも以上に苛立ち、ニダーを追い出すべく罵詈雑言を並べた。
モララーはその様子を廊下から隠れて見ていた。怒る母親の姿をあまり見たくなかったのである。
<ヽ`∀´>「ホルホル、そんな強気な態度が示せるのも今のうちニダ」
その日はニダーもどこか苛立っていたのだろうか。
怒っている母親をからかいたかったのであろうか。
とにかくニダーは、いつもとは違う行動に出た。
ニダーが見せたのは一枚の写真だった。
从'ー'从
遠くからなんとか見えたその少女は、モララーの運命を変えることになる。
一旦青ざめて、父親と母親は激しい言葉を交わし合うことになる。
その怒声の中で、モララーはなんとか状況を把握した。
どうやら写真の少女はモララーの父親の隠し子であるらしい。
いうなれば、モララーの姉のような存在なのだろう。
どうしてそんな存在がいるのか、詳しい事情はモララーにはわからなかったが
それがニダーの握っている父親の弱みであることは明らかだった。
翌日、モララーの母親は家を出ていった。
唐突だったが、昨晩の様子から、モララーは母親の家出を察した。
母親は、隠し子の存在を知らなかったのだ。父親もどうしてもそれを言うことが出来なかった。
それが昨日になってばれて、母親の怒りの矛先は父親へと向けられたのだ。
父親とモララーの家庭は、どん底だった。
父親は日に日に荒れていき、モララーに暴力をふるうようになった。
身体こそ大人に近づいていたモララーだが、反抗することはできなかった。
その態度の豹変っぷりに、ショックのあまり動けなかったのである。
モララーは暗い顔を学校で必死に隠した。
あからさまに暗い様子なんて、示したくない。
もしそんなことがばれたら、自分は今までどおりの生活が送れないかもしれない。
このG村で、ツンやブーンと一緒に過ごす日々が壊れてしまうかもしれない。
ブーンと疎遠になったことは、よかったのかもしれない。
ブーンにはその辛い様子が伝わらなかったのだから。
だけど、ツンは違った。
ξ゚听)ξ「ねえ」
ある日の下校中に、ツンとばったり出くわした。
うっかり暗い顔をしていたモララーは、慌てて笑顔を取り繕った。
(;・∀・)「な、なんだよツン。
お前の家、こっちじゃないだろ」
ξ゚听)ξ「あんたに会いに来たのよ。
あんた、最近今にも死にそうな顔してたから」
ツンはモララーの様子に前から気付いていた。
そしてずっと心配していた。
モララーの身に何かあったのではないか、だとしたら自分ができることはないのか。
そんな想いから、モララーに話しかけたのだという。
G村の中央を流れる川沿いで、二人は話しあった。
ツンのかけてくれる言葉が、モララーには優しく、温かかった。
暗くふさがれたモララーの心は、徐々に開かれていった。
モララーはそのぬくもりをずっと欲していたと気づいた。
自ら拒絶していたそれは、唐突に奪われた母親のぬくもりと似ていた。
自分の元から突然いなくなってしまったぬくもり。自分を支えてくれるもの。
それが、ツンからもたらされた。
その事実に気付いた時、モララーは欲してしまったのである。
(; ∀ )「ツン……」
ひとしきり自分の話を終えたモララーは、夕暮れのせいか火照りを感じながら、ツンに顔を向けた。
(; ∀ )「俺と……俺と付き合ってくれないか?
俺には誰かが必要なんだ。ツンみたいに、俺のことを支えてくれる誰かが」
ツンはすぐには答えなかった。
モララーは気まずい沈黙を感じていた。
あまりにもいきなりだ、モララー自身もそう感じていた。
やっぱり撤回しようか、なんてことを考えた頃、ツンが口を開いた。
ξ゚听)ξ「あんたやブーンとは友達のつもりだったんだけどなあ」
妙に鈍い衝撃が、モララーの頭に訪れた。
必死で応える言葉を探すモララーだが、その言葉を見つける前に、ツンが口を開く。
ξ゚听)ξ「ま、どうしてもというなら何度かデートしてあげてもいいわよ。
その思いっきりヘタレな性格も見直してあげてもいいかもね」
その日の夜は浮足立っていたのをモララーは今でもよく思い出せる。
思えば思春期真っただ中で、彼女がほしいと心のどこかで思っていたのかもしれない。
モララー自身、ツンのことは確かに友達と思っていた。ちょっと前まではそうだった。
でも言ってしまった。そしてデートの約束までこぎつけた。
心のどこかでそんな欲求があったのだろうか、考えれば考えるほど、そうだったように思えてくる。
自分はツンのことが好きだ。
それは錯覚かもしれないけど、それでもそのときのモララーの頭はツンのことでいっぱいになっていた。
今まで普通に友達でいたのが不思議なくらいである。
その日は、父親から飛ばされる罵声も耳から耳へと抜けていった。
そうして夜は更けていったのである。
その数日後のことである。
( ・∀・)「あ」
( ^ω^)「お」
モララーが普段より遅くまで学校にいたからだろうか。
野球部の部活が早めに終わったのだろうか。
モララーは帰り道でブーンと遭遇した。
あれ?w
キチガイもう終わりかよキチガイwww
>>247 頑張れよキチガイwwwお前の生きがいなんだろwww
250 :
???:2012/12/01(土) 12:32:43.09 ID:???
はい、退院されてきたキチガイさん、そろそろ出番です。 あんなに書き込んでいるのに全員にスルーされる小説もどきの続きをどうぞー!
低脳キチガイ今日は全然レスがねーじゃんwww
久しぶりに、二人は話すこととなった。
しかし、一旦疎遠になっていたため、会話は長くは続かない。
ブーンも野球部での成績が振るわないらしく、どこか辛そうな顔をしていた。
だからモララーはあまり長いこと野球の話をするわけにもいかなかった。
夕暮れが二人を照らしている。
季節は夏で、蝉の声が喧しかった。
( ・∀・)「なあ、ブーン」
ふと、モララーは思いついた。
ブーンにまだ言っていなかったことを。
蝉の声がその気持ちに拍車をかけたようだ。
( ^ω^)「ん? なんだお」
ブーンはそばを流れる川の方を見ていて、モララーからはその表情は見えなかった。
( ・∀・)「俺さあ、ツンと付き合うことになるかもしれねえんだ」
不思議な間があった。少なくとも、モララーはそう感じた。
でもそれを深く考える前に、ブーンはモララーの方を向いた。
大きな笑みを浮かべて。
( ^ω^)「それはおめでとうだお。お幸せにだお」
モララーはブーンの言葉と笑みを真に受けた。
ブーンも祝福してくれている、その考えが頭の中で浮かび、嬉しかった。
ただそれだけしか感じないほどに、モララーはのぼせていたのであった。
夏休みに入った。
ブーンは相変わらず野球部で忙しい。
今までのように、三人で遊ぶということは、もう随分前から無くなっていた。
モララーはツンと会うようになった。
高校生になってからはあまり遊ばなくなったが、感覚としては中学までのそれに近かった。
遊びが延長したようなもの。恋人同士じゃなくてもできるもの。
だいたい、モララーは言いだしたものの、恋人というのをよくわかっていなかった。
遊び以上のことをする勇気もなかったし、必要性も感じなかった。
ただなんとなく、ツンと一緒にいるとほっとした。家にいても気が滅入るだけだったからだ。
だからモララーはツンと会いたかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ・∀・)「まー、あれだな。今だから言えるけど
こんなの全然付き合ってるって感覚じゃねえよ。
浮足立っていたんだろうな。家が辛かったってのもあるし、恥ずかしい話だ」
( ・∀・)「そして夏休みが過ぎ、秋が来て、年が変わるかなって頃
俺はそのことに気づいてしまったんだ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
きっかけはツンの一言だった。
ξ゚听)ξ「あのさ……あたしたちって付き合ってるのかな?」
その言葉がモララーには突き刺さった。
今まで何の気なしに信じていたことなのに、急に信じられなくなった。
ツンは実際モララーにとても優しくしてくれた。
性格上、優しさ一辺倒ではなかったのだが
つきはなしては、後から温かく接してくれる、そんな態度がモララーの心の栄養となっていた。
でも、ツンの一言から、疑問が生じた。
どうして俺たちは恋人なのだろう。
別に恋人じゃなくても、俺たちはこの関係を保てたのではないか。
ツンの優しさを感じることは可能なのではないか。
冬休みに入る頃のことである。
モララーはまた川辺で、ツンと会っていた。
( ・∀・)「半年間、ありがとな」
それが別れの、いや、元の関係に戻ろうという意思表示だった。
ξ゚听)ξ「結局そこまでヘタレは治らなかったけどねー」
(;・∀・)「はは、どうだかな。
こののらりくらりとした性格はこの先ずっとついてまわってくるかもしんねえなあ」
ξ゚听)ξ「治す気ゼロか。どうしようもないわね。
とにかく、新年になったらブーンもさすがに暇が出来るでしょ。
そのときちゃんと言いなさいよ。自分の家のこと。ブーンも心配していたんだから」
モララーは笑ったが、ここ最近さっぱりブーンと会っていなかったので、うまく打ち明けられるか不安だった。
実際会っていないから伝えられなかったという面もあった。
モララーのことをブーンが心配していたということが確かなのは、はもう半年以上前のことなのだから。
ところが、その日の夜のことである。
モララーは家に帰ってきて、異変に気付いた。
母親がいた。
半年間家を出たままだった母親が、父親と口論していた。
モララーはそっと、廊下からその様子を見た。
どうやら、母親は離婚を切り出したらしい。
父親もそれには同意だったようだ。
ただ一つ、迷っていたことがあった。
モララーの親権はどちらが持つかということだ。
両者ともに、モララーの親権を争っていた。
そして、モララーにとって残念なことに、二人はモララーの親権を欲していたのではない。
どちらかといえば、モララーを互いに押し付け合っていた。
母親にしてみれば、自分がいるにもかかわらず他の女と交流していた男性の子どもなんて、欲しくはない。
父親にしてみれば、モララーを抜きにして新しい生活を営みたい。
両者の言い分はこんな感じで、モララーはどちらにとってもいらない子どもであるようだった。
( ・∀・)「……」
モララーは二人の怒声を聴きながら、自室へと向かった。
話の流れからして、自分はどこか遠縁の家に送られるらしい。
モララーの頭の中には、ツンの別れ際の言葉だけ、残っていた。
ξ;゚听)ξ「嘘……」
修了式の日、モララーは帰り道でツンに打ち明けた。
自分が近々、遠縁の家に行くことを。
きっと年が明ける頃、自分はもうG村にいないことを。
( ・∀・)「両親の方が、な。もうダメみたいだ。
俺は遠くにいた方が、都合がいいみたいなんだ」
冬の寒い風を感じながら、二人は歩いていた。
ξ;゚听)ξ「だってそんな、急に。
ブーンにだってまだ言ってないのに」
( ・∀・)「そのへんはまあ、なんとか言っておいてくれ。
もともとあんまり話さなくなっていたんだし、言いづらいんだよな」
ξ゚听)ξ「……このヘタレ」
( ・∀・)「知ってるさ」
二人はなおも歩き続ける。
いつもの川沿いが見えてくる。
( ・∀・)「川沿い、行くか?」
ξ゚听)ξ「寒いでしょ」
( ・∀・)「だよなあ」
モララーにしてみたら、家の方向は違うのに、この方角に歩いてくるツンは不思議だった。
ξ )ξ「あのさ」
ツンが、そっと発言する。
ξ )ξ「あたし、もっとあんたに優しくすべきだったかな」
(;・∀・)「は?」
そんな言葉が出てくるなんて思いもよらなかったから、驚いた。
ツンの方を向くが、髪でどんな表情をしているのかよくわからない。
ξ )ξ「じゃあさ、もっと早くあんたに話しかけてあげたらいいとか、そう思わない?」
(;・∀・)「いや、いやいや、どうしたんだよ急に」
わけがわからず、モララーはツンの前に立つ。
そして、気付いてしまった。
ツンが泣いていることに。
(;・∀・)「な……なんで……」
ツンはくるりと後ろを振り返る。今まで歩いてきた道のりを。
ξ )ξ「あたしはね、あんたとブーンが元のように仲良くなってくれたらいいなって思ってたのよ」
ξ )ξ「あんたとブーンが疎遠になったのは気付いていた。
そしてその原因は、ブーンが忙しいのもあったけど、あんたが暗くなったのもあった。
だからあたしは半年前のあの日、あんたを元気づけようと帰り道で声をかけた」
ξ )ξ「でも、あんたは『付き合おう』なんて言ってきた。
あたしは……あんたを元気づけるためなら、って考えた。
だから、デートみたいなことをしてみた。
付き合ってるのかな、なんて言っておきながら、そのことに疑問を感じていたのは、あたしだったの」
ξ )ξ「今までどおりの友達同士の付き合いでもあんたが明るくなってくれるって、この前気付いてちょっと嬉しかった。
でも、結局あんたは行っちゃう。だったら、あたしのやったことって無駄だったのかなって。
だったらもっと早く、あんたに気付いて、声かけてあげてれば良かったなって、そう思ったの」
ツンの告白が、モララーの動きを止めた。
ツンの行動の裏にそんな感情が合ったことを、モララーは知らなかった。
もちろんそれを咎める気は無い。疑問が生じたのは自分も同じことだったから。
気まずい沈黙が流れる。
(;・∀・)「でも、さ。いつか会えるかも知れないじゃねえか。
ずっと友達でいれば、そのうち連絡とかとれるんじゃねえの? だったらそのときさ」
ξ# )ξ「あたしは、今あんたとブーンを仲良くさせてあげられなかった自分に腹を立ててるの!」
ツンの怒声がピリピリと乾燥した空気に響く。
それから、ツンは走り出した。
モララーの家とは反対の方向に。
モララーはどうしても、その背中を追いかけることができなかった。
自分にその資格があるとは思えなかった。
夜が訪れて、モララーは自分の家の前を見た。
誰かがいた。
月明かりは弱かったが、街灯によってその姿はだんだんはっきりと見えて来た。
从'ー'从
モララーよりいくらか年上な少女は、見覚えがあった。
写真のあの少女だ。
普通は驚くのだろうが、モララーは何故か冷静に状況を把握していた。
( ・∀・)「あんたは……」
モララーはじりじりと、少女に寄る。
( ・∀・)「なんであんたが俺の家に来てるんだ?」
从'ー'从「一応、私の父親の家らしいからね。
もっとも、今は留守のようだけど」
モララーは今父親が不在なことを知っていた。
そのため、鍵をしっかりともっていた。
( ・∀・)「親父は仕事だよ。
で、あんたの用は何だ」
从'ー'从「……同じようだね」
モララーには、彼女の発言の真意がわからなかった。
从'ー'从「あなたも、私と同じ。
家が面倒だと、お互い辛いね」
何故だか、モララーはいらついた。
自分のことを見透かされているような感覚が辛かったのかもしれない。
( ・∀・)「うるさいな。
用が無いなら帰ってくれよ。
俺は別の腹から出て来た姉なんてのに興味は無いんだ」
そう吐き捨てたが、少女は動こうとしない。
モララーはさらに少女に詰め寄った、そのときだった。
少女はモララーに歩み寄り、ひょいと飛んで、モララーの額にキスをした。
(;・∀・)「なぁ!?」
モララーは驚いて飛び退く。
(;・∀・)「なにすんだよ!」
从'ー'从「ふふ、一度だけ、お姉さんみたいなことしてみたかったの。
ごめんね、迷惑かけて。じゃあね〜」
最初から不思議な雰囲気を醸し出していた少女は、結局そのまま走り去ってしまった。
その後ろ姿を見ながら、モララーは考えた。
彼女は、自分が同じと言っていた。
彼女もまた、どこかにぬくもりを求めたのではないか。
そのせめてもの表現が、自分を弟のように扱うという行為に表れたのではないか。
とはいえ、そのような温もりを他人に与える余裕は、モララーには無かった。
だから、頭を振るい、鍵を取り出して自宅に入ろうとした。
がしっと、腕を掴まれた。
モララーはびくっとして、掴まれた腕を見て、掴んだ人物を見る。
( ・∀・)「ブーン……?」
何故ここに、という疑問が最初に浮かんだ。
しかし、ブーンの表情を見て、その疑問は消えて、次の疑問が強烈に浮かび上がった。
ブーンの顔つきから、ひどい違和感がしたからである。
強張ったその顔は、モララーの知っているあの顔にとてもそぐわなかった。
こんな表情を彼がするところを初めて目にしたのである。
モララーの知っているブーンは、いつも笑顔だった。
笑顔を絶やすことはない、温和で、優しい少年。
今目の前にいる少年は、笑ってこそいるものの、どこか今までと違う。
そう、まるで無理やりにでも笑っているかのような、そんな印象をモララーは受けた。
( ω )「モララー。
ここでなにしていたお?」
ブーンの問に、どう答えていいのか、モララーは躊躇した。
いったい何のことだろう。
先程の少女と話していたことを言っているのだろうか。
だとしたら――モララーは説明しようとして、思いとどまる。
少女のことは、モララーもよく知らない。
モララーの父親の隠し子であるということだけ。
そしてそのことを説明すれば、自分が暗くなり、ブーンと疎遠になった理由も離さなければならない。
まだ、打ち明けたくはなかった。
簡単に説明できることではない。ましてブーンには、もっとちゃんと、後で説明してあげたい。
そんな想いがモララーにはあったのだ。
だから、首を横に振った。
( ・∀・)「ごめんな。今は説明できないんだ。
後でちゃんと説明するから、な?」
それから、モララーは自分の家の玄関を振り向いた。
一旦家に入るだけ、ただそれだけだった。
直後、頭に強い衝撃を受けて、モララーの意識は飛んでしまった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ・∀・)「ここからはもう、覚えてねえよ。
気付いたら俺は川の上に浮かんで夜空を見上げていた。
あのとき殴ってきたのはブーンだってことだけは、なんとなくわかるんだけどな」
モララーは長い昔話を終えた。
ドクオもジョルジュも黙っている。
いったい二人はどんな言葉を返してくるのか、モララーはそれをじっと待っていた。
_
( ゚∀゚)「俺は、ブーンさんからも昔話を聴いているんだ」
ジョルジュが言う。
_
( ゚∀゚)「あんたの話を補完できるだけ、知っているぞ。モララー。
あんたはどうやら、どうして自分が殴られたのかわかっていないみたいだからな」
モララーは肩をすくめた。
( ・∀・)「ブーンの息子を称すお前さんには悪いが、その通りだ。
ブーンが何を感じていたのか、俺にはわからねえ。疎遠になり過ぎていた。
説明してくれるとありがたいね。俺としても」
ジョルジュは舌打ちをした。
_
( ゚∀゚)「ブーンさんの気持ちをわかってあげようとしなかった、あんたの責任さ」
それから、ジョルジュの話が始まった。
( ゚∀゚)「ブーンさんは小さい頃からお前と、ツンと友達だった。
ブーンさんにとってもその関係は大切で、大事にしたかったんだ。
性別を超えた友達としての関係をな」
_
( ゚∀゚)「お前が何かを抱え込んでいることにはブーンさんも気付いていた。
それでも話せなかったのは、部活が忙しかったからってのが一番にある。
でもな、ある日のことだ」
_
( ゚∀゚)「ブーンさんはある日突然、お前から、お前がツンと付き合っていることを聴かされた。
そのとき、ブーンさんは一瞬頭が真っ白になったらしい。
それでもすぐに正気になって、お前を祝福する言葉をかけた。お前の話通りにな」
_
( ゚∀゚)「だけどそれから、ブーンさんは不思議な感覚にとらわれるようになった」
ジョルジュはそこで一息つく。
頭の中で、文章を確かめているかのような仕草だ。
この話はジョルジュがブーンから聞いたものなのだろう。
その話を正確に伝えようとしているのだろう。
_
( ゚∀゚)「繰り返すことになるが、ブーンさんはお前たちとの交友関係を続けたかった。
そして、お前とツンが付き合うなら、その関係をちゃんと祝福してやろうという気になった。
そうするのが本当の友達だろうとブーンさんは思っていて、実行しようとしていた。
だけどな……どうしてか、ブーンさんの頭の中にツンのことが思い浮かぶようになってしまったんだ」
(;・∀・)「……」
モララーは少しだけ、察してしまった。
ジョルジュの言い出す言葉を。
その様子に気づいているのかはわからなかったが、ジョルジュは話を続ける。
_
( ゚∀゚)「ブーンさんは、今までツンを女性として見る気は全くなかった。
だけど、お前とツンが付き合うことを知ってから、無性にそのことが気になるようになってしまった。
そこには、関係が継続しにくいとか、どことなくおいてかれた気分とか、いろいろ混ざっていたのかもしれない。
ブーンさんはずっとそんな自分を責めていた。責めていて、それでもお前を羨ましく思うのをやめられなかった」
_
( ゚∀゚)「わかるか、モララー。
ブーンさんはお前の行動のせいで、ツンのことを好きになってしまったんだ」
モララーは何も答えなかった。
ただじっと、ジョルジュの言葉を促した。
ジョルジュとしても、まだ話が終わっていなかったのだろう。言葉が続く。
_
( ゚∀゚)「それでもブーンさんは耐えた。
お前がツンと付き合っているのをちゃんと応援する気持ちもあったんだ。
だからちょっとずつ距離を作っていった。元々部活が忙しいのもあったからな、作りやすかったらしい」
_
( ゚∀゚)「だけど……ある日」
( ゚∀゚)「ブーンさんは下校中に見たんだ。
モララーと一緒に帰っていったツンが、泣きながら道を走って戻ってくるのを」
(;・∀・)「あぁ……」
それは、先程の話の中の最後の日のことなのだろう。
モララーはそれに気付いた。
_
( ゚∀゚)「ブーンさんは、お前とツンとの間に何かあったんじゃないかと思った。
それで、ツンを呼びとめた。もうすれちがっていて、結構距離があったけど、止まってくれたらしい。
そして聞いたんだ。『モララーと何かあったのか』って」
_
( ゚∀゚)「ツンは泣きながら、怒っているようだった。
ただ一言、『もう別れたから知らない』とだけ、言ったらしい。
そして、ツンが行ってしまったあと、ブーンさんはお前のことを追いかけた」
_
( ゚∀゚)「そのときのブーンさんの感情は、いろんなものが混じり合っていたらしい。
お前とツンとの関係が壊れたことは知った。そこからいろんなものを感じたんだ」
_
( ゚∀゚)「まず今までどおりの関係が続けられないかもしれないことを嘆いた。
ただお前らが別れるだけならまだしも、ツンの様子を見て内藤は、二人の喧嘩別れを予想した。
もしそうなら、もとの交友関係が戻るのは絶望的だ。ブーンさんは板挟みの状況で、苦しい思いをしなきゃになるかもしれない。
そんなことになるのがたまらなく嫌だった」
_
( ゚∀゚)「それから、ツンを泣かせたお前が許せなかった。
その頃にはブーンはかなりツンのことが気になっていて、ツンのことが好きであることも自覚していた。
だから、理由はどうであれ、お前のことが許せなかった」
_
( ゚∀゚)「いろいろな負の感情が入り混じっていて、ブーンさんはとても気持ちが悪かったらしい。
今まで我慢していたこと、言ってはならない、考えてはならないと自制していた想いが噴き出した。
せっかく、自分はお前らの関係を守ろうとしていたのに、お前らはそうやって平気で壊すのか、って」
_
( ゚∀゚)「それでもまだブーンさんはお前のことを信じていたのかもしれない。
少なくとも、このときはお前と話をしようと考えていた。
いろんなことを話してくれれば、それが間に合っていれば、ブーンさんの行動は防げたかもしれない」
_
( ゚∀゚)「だけど家の前で、お前が女の子と会っているのを目撃してしまった。
額にキスをする瞬間もな、しっかり見てしまった。
そのときに、ブーンさんの中の何かが崩壊してしまった」
(;・∀・)「それは……それは俺が悪いんじゃない」
モララーは思わず口にした。
父親の隠し子が突然そのような行動に出たことは、自分に非があるわけじゃない。
_
( ゚∀゚)「……わかってるさ」
そのジョルジュの言葉は、モララーにとって意外だった。
ジョルジュはそのことを自覚している。自覚して、なおもこの話をしているというのか。
(;・∀・)「だったら、なんで」
_
( ゚∀゚)「話を続けさせてもらおうか」
ジョルジュの強い口調。
モララーは口を閉じざるをえなかった。
( ゚∀゚)「ブーンさんは、部活帰りだから持っていた金属バットで、お前を殴った。
お前は倒れこみ、動かなくなった。
まさか死んだのではないか、一気に冷静になったブーンさんはお前のことを心配した。
だけど、声を掛けられ、びくついて、声の方を見た」
_
( ゚∀゚)「出会ってしまったんだ。ニダーに」
(; ∀ )「!!」
モララーの頭の中で、物事が整理される。
完成図が頭に浮かび、この事件のシナリオが急速に、モララーに理解される。
その時になって初めて、モララーはジョルジュたちの狙いに気付いた。
それがとても虚しいものであることも。
_
( ゚∀゚)「後は、お前の話の中で出て来たニダーの所業と同じさ。
ニダーはブーンさんの弱みを握った。そしてブーンさんの家にまで押し掛けた。
奴は、ブーンさんの家から搾取をするようになったんだ」
_
( ゚∀゚)「ブーンさんの家は逃げるように引っ越した。
ブーンさんも転校した。そして新しい場所で暮らすようになった。
最初に行ったのがC市の市街地、その後がB市。そこにいるドクオがいた街さ」
(; ∀ )「ブーンは、逃げたのか。
ずっとずっと、ニダーの搾取から逃げ続けたというのか」
C市に逃げたときに、つーと出会ったのだろう。
きっとつーを助けたのは、自ら身を売って搾取されるつーのことを悲しんだからだ。
モララーはそう感じた。自分は搾取を強制されているのに、わざわざ自分から搾取されにいくつーが見ていられなかった。
(; ∀ )「君がつーさんの息子であることは、知っているよ」
_
( ゚∀゚)「ほう、じゃあ理解しているんだろうな。
俺はC市でブーンさんに救われたつーの息子。そして数年だけだが、ブーンさんと同棲していた。
俺は、ブーンさんから愛情を受けて育った。つーもそれを嬉しがっていた」
_
( ゚∀゚)「だけど、ある日、ニダーがブーンさんを見つけてしまった。
ブーンさんは俺らに言ったよ。『君らに迷惑をかけるわけにはいかない』
俺はよくわかってなかったんだけどな。つーはずっと泣いていた。
そんなつーを尻目に、ブーンさんは行ってしまった。どこへいくか、告げもせずに」
_
( ゚∀゚)「俺達親子は、ブーンさんを探した。ブーンさんの言葉に反しちまうけど、でも探したかったんだ。
そして、県内ニュースとして、B市の少女の自殺を食い止めた少年の話が揚げられていた。
その少年こそが、そこにいるドクオだ」
(;'A`)「!!」
突如名前を出され、ドクオは驚く。
(;・∀・)「ショボンから聞いていたが……
人は思いもよらねえな。全くよ」
( ゚∀゚)「俺達はドクオの家族に接触を試みた。
ま、俺だけがドクオと接触したんだがな。ドクオはブーンさんのことを良く知っていた。
だけど、どうやらブーンさんはもう事件を起こしてしまっていた」
(;'A`)「ああ……」
ドクオが口を開く。
(;'A`)「ブーンさんは、ただ『見つかった』とだけ言っていた。
今思えばあれはニダーに見つかったっていう意味だったんだ」
_
( ゚∀゚)「そう、そして今度は逃げなかった。
2005年のあの日、ブーンさんはニダーに呼び出された。
ショボンから聞いてるぜ? 謎の金属バットがあるってな」
(;・∀・)「はっ、そんなこと、上にばれたらショボンの首も危うくなりそうだな」
_
( ゚∀゚)「おっさんはちょろかったぜ? きっと妻子に逃げられたのが寂しかったんだろうな」
モララーは自嘲気味にほほ笑んだ。もっとも強がりながらの笑みだったが。
_
( ゚∀゚)「ブーンはあの日、あのときの金属バットを見せられて、さらにゆすられたんだろう。
そして隙をついて一家を殺した。ニダーと、その妻を。二度と自分についてこないようにするために」
ジョルジュは話を終えた。モララーの様子をうかがっているようだ。
モララーから何も言うことがないとわかると、ドクオを向く。
_
( ゚∀゚)「ドクオ、構えろ」
やはりびくつきながら、ドクオは腕に持ったそれをモララーに向ける。
まごうことなき拳銃が握られていた。
(;・∀・)「普通の人はそんなもの持ち歩かねえんだぜ?」
モララーは銃を傍目に、ジョルジュに言う。
ジョルジュはただにやにやと笑っているだけだった。
(;・∀・)「そんで、俺をどういうわけで殺すんだ?
ブーンをあの殺人に駆り立てた原因はニダー、つまりは、俺の家とニダーの関係だ。
ニダーはもういない。だから残っている俺を、お前が殺すってことなのか?」
_
( ゚∀゚)「その通りだよ。
俺はブーンの息子も同然。そして、ブーンが為せなかったことを俺はする」
(;・∀・)「へ、ばっかじゃねえのか。
ブーンは俺を殺そうと思ったんじゃない。かっとなっちまっただけだ。
そんなものを掘り下げて俺の命を奪うなんて、ブーンの気持ちを考えてないのはお前の方じゃねえのかよ」
_
( ゚∀゚)「……お前を殺すことに意味があるんじゃないさ。
ブーンさんをあそこまで追い込んでしまった状況が、俺には憎いんだ。
ブーンさんはよぉ、つーと出会ったときも、ドクオと出会ったときも、ずっと笑顔だったらしいぜ。
俺も微かに覚えているんだ。ブーンはずっとずっと、にこにこしていて、笑顔そのものだった」
_
( ゚∀゚)「だけど、はるか昔に、その笑顔を取り繕わなければならない事態が生まれ、それが最悪の結末を迎えた。
それからブーンさんは笑顔の裏にいろんな感情を隠して、生きて、そして死んでしまった。
笑顔の裏にたくさんの嘘を隠しながら生きていく、そんな生き方をせざるを得なかったブーンさん。
それが人間の生き方か? あそこまで優しい人間が、どうしてそんな仕打ちを受けなきゃならないんだ」
_
( ゚∀゚)「俺の記憶の中に、ブーンの言葉がある。俺は小さな子どもだったけど、その言葉だけは覚えている」
『嘘なんだお』
『笑顔なんて嘘なんだお。
人間が、他の人間と何の争いもすることなく過ごすための手段にすぎないんだお』
『僕はもうずっと後悔しているんだお。
嘘を続けて、これまで生きてきてしまったことに――』
_
( ゚∀゚)「ブーンさんは、嘘をつく前のブーンさんは、きっと願っていたはずさ。
嘘をつく人生なんて嫌だ。できれば潔白でいたい。
俺は、そんなブーンさんの存在を信じる。そしてその存在をありえなくさせたお前を、殺す」
ジョルジュは断言した。
まっすぐにモララーを見つめる。
その口はにやりと、不気味に持ち上がっている。狂信的な信者のような顔。
(;・∀・)「狂ってるぜ、お前」
モララーはぼそりと言う。
(;・∀・)「お前のやってることはただの独りよがりだ。
お前は自分勝手なブーンの人物像を拵えて、それに従って自分の欲望を正当化しているだけだ。
ただ単に悲しいだけなんだろ、ブーンがいなくなって。どうしてそれで終われない。諦められないんだ」
ジョルジュは目を閉じ、それから、言葉を発する。
_
( ゚∀゚)「ブーンさんのことが、大好きだったから。それだけだ」
正気でない眼が、モララーに向けられた。
_
( ゚∀゚)「ドクオ! もういいぞ」
ジョルジュの呼びかけ。
モララーを始末しろという命令。
学校の森が、風にあおられたのか、急にざわめく。
おどろおどろしい雰囲気をモララーは感じた。
自分の鼓動が速くなっていることも、はっきりと。
(;'A`)「くぅ……」
ドクオはモララーに銃を構えながら、呻く。
明らかに迷っている。
(;・∀・)「なあ、ドクオ」
モララーは呼びかけてみる。
ドクオの顔がさらにひきつった。
_
( ゚∀゚)「おっと、ドクオと交渉でもするつもりか?
やめておいたほうがいいぜ。こいつだってそれなりにブーンさんに感謝している。
暗い引きこもりがちな少年だったこいつを変えてくれたのが、ブーンさんだったからな」
(;・∀・)「シュールを助けた、あの事件か」
森のざわめきが一層激しくなった気がする。
山が近いせいか、強い風が吹いてくるようになった。
木々の揺れ、擦れる音が大きくなっていく。
_
( ゚∀゚)「そう、こいつは中学生のときにブーンさんの助けを借りてシュールを救った。
だけどそのうちにブーンさんはいなくなった。悲しみも相当だったはずだ。
俺はちゃんとこの耳できいた。そして、俺のこの考えに協力してくれるとも言ったんだ」
モララーは確かめるようにドクオを見つめる。
ドクオはただおどおどと、その視線を避けるだけ。
(;・∀・)「ドクオ、きこえているんだろ」
再び声をかけるが、返事はない。
ただひたすらに困っている、そんな印象だ。
(;・∀・)「よお、お前はどうしたいんだ?」
_
( ゚∀゚)「何を無駄なことをやっているんだ。
さっきもいったようにドクオは協力者。お前の敵だぜモララー」
ジョルジュが煽るが、モララーは諦めきれなかった。
森の木々のざわめきが嫌に耳に残る。
まるでどこか遠くで誰かが叫んでいるような気がした。
(;・∀・)「ドクオ、いい加減自分に素直になれ。
ジョルジュのいいなりになって、ホントにいいのかお前。
お前にはお前なりの考えがあるんじゃないのか?」
_
( ゚∀゚)「そいつに考えなんてあるもんかよ。
こいつは言われなきゃ動かないタイプの人間だ。俺に対しても、ブーンに対しても。
だから俺がこうしてこいつに――」
(♯ ∀ )「俺はドクオに質問しているんだ!!」
モララーの怒鳴り声が響いた。
ドクオは肩を震わせ、ジョルジュはバツが悪そうに口を紡ぐ。
( ∀ )「なあ……ドクオ」
(;'A`)「ぼ、僕は……」
ドクオは依然として眼を泳がせている。
どうしてもまとまらない答えを抱え込んでいるように。
(;'A`)「僕は、確かにブーンさんにも感謝している」
その言葉を聴いて、ジョルジュは満足そうな笑みを浮かべ、モララーを一瞥した。
モララーはその視線に眼もくれずにドクオを見据える。
(;'A`)「でも……
僕は、モララーさんもとてもいい人だと思う」
('A`)「僕は、いつも喋ることが苦手で、それがコンプレックスというか、人と接することが苦手で。
ブーンさんはそこに気付いて、優しく接してくれた。僕を強くしてくれた。
そこは感謝していて、ブーンさんのことが大好きで、だから殺人のときにすごく悲しかった」
ドクオはそこで一呼吸置く。
森のざわめきは未だに大きくなる一方だ。
('A`)「そして……モララーさんは、ちゃんとブーンさんのことを調査してくれたんだ。
ブーンさんのことはこの国の人はみんな知っている。もう死んじゃったってことも。
そしてそんな人間の調査をしてほしいなんて奴を信じてくれる人はそうそういないと思う。
だけどモララーさんは僕を信じて調査してくれた。ブーンさんのことを。それはすごいありがたいことで」
('A`)「たった一日しか一緒に行動しなかったけど、モララーさんが誠実に調査していることはよくわかった。
少なくともその時点では見ず知らずだったのに、こんなに頑張ってくれる人がいるのかって、思った。
そして、僕のことも心配してくれた」
('A`)「俺は、俺はだから……」
ドクオは一人称が変わっていることに気付いていない様子だった。
('A`)「この人を殺したくない」
それがドクオの正直な感想のようである。
湿っぽい風が抜けていく。
ドクオの青白い顔は、口を閉じて、頑なな態度を示していた。
_
( ゚∀゚)「正気か、ドクオ」
ジョルジュの言葉。
それに乗ずるように、揺れる木々。吹き荒れる強風。
ドクオは答える代わりに、銃を下した。
_
( ゚∀゚)「てめえ……」
ジョルジュはそう言うと、ドクオに接近していく。
モララーは嫌な予感を感じ、とっさに口を出した。
( ・∀・)「そういえば、ジョルジュよぉ」
ジョルジュは歩みを止めて、モララーに向き直る。
( ・∀・)「ひょっとしてお前、アパートのこと、ちゃんとしたことをドクオに伝えていないんじゃないか?」
それは単なる閃きだった。
もしあの事件のことをドクオが知らないならば、こんな態度に出るはずがないのではないか。
母親を傷つけたあの火災、その原因を知っていれば、ジョルジュに従うこともなかったのではないか。
ジョルジュの顔に明らかな動揺が浮かぶ。
_
(;゚∀゚)「な、なんのことを言ってんだ。あれはただの事故だぜ?」
予想は的中したらしい。
モララーはジョルジュを睨みつける。
( ・∀・)「警察を舐めるんじゃないぜ。明日になったら、きっともうすべてがわかっているはずだ。
あの火災は誰かがしくんだものだってことくらいな。
だいたい、お前とショボンがいなくなった直後に起こる、そしてそれでけがを負ったツンが、ブーンと関わりを持っている。
この状況から、その火災がただの偶然だったなんて、不思議じゃねえか」
('A`)「……事故じゃ、ない?」
ドクオの眼に、違った色の生気が出てくる。
あまり快くない色合いだった。
( ・∀・)「なあジョルジュ、よくよく考えてみたらよ。
ブーンが俺を殺そうとした原因は、ツンにあるとも言えるんじゃないか?
俺とツンが喧嘩別れしたと考えたなら、両方に責任があるともとれる。
実際ツンがはっきり言わないことが、ブーンの行動につながったんだからな」
(;゚∀゚)「し、知らない!
あれは俺がやったことじゃないんだ」
( ・∀・)「ほーぉ、どうやらお前の裏にいる誰かさんの仕業なんだな。
どうやらショボンと一緒に考えたのであってるみたいだな。
俺を殺そうとしたのはお前、そして俺からブーンの過去をきこうとしたのはそいつ。
お前は俺を殺そうとして失敗して、その後そいつから助言を得て俺の過去を探る方向にシフトした」
_
(;゚∀゚)「なんのことだかわからんといって――」
ジョルジュの言葉は途切れる。
構えられた拳銃。
その腕は、ドクオのものだった。
('A`)「お前は、あの火災は事故だと言った。あのとき、電話口で」
_
(;゜∀゜)「ああ、事故かもしれないと言った。
そもそも俺は何も知らないから、あいつが勝手にやったことだから、俺は関係が」
('A`)「その誰かのことを、俺は知らない。
お前はその存在を俺に隠していたんだな。俺のことを有効に利用するために。
もし母さんを殺害しようとしている人物がいるなんて知れたら、俺が協力しなくなるかもしれないから」
ジョルジュは返答に詰まる。
ドクオの言った言葉は、的を射ていたようだ。
ドクオは何も知らされていなかった。ジョルジュに利用されていただけ。
('A`)「俺はようやく決心がついたよ」
ドクオはジョルジュをしっかりと見据える。
銃口も揺るがない。
さきほど、モララーに向かっていたときとは違い、明らかにジョルジュを狙っている。
('A`)「俺だって、ブーンさんのことは大好きだ。
ブーンさんのおかげで、今の俺があるんだから」
('A`)「俺は、ブーンさんが生きていたとして、もしモララーさんに出会っても
こんなことは絶対にしないと思う。
あの人なら、モララーさんと出会っても、すぐに笑顔になって再会を喜ぶさ」
('A`)「あの人はそういう人だった」
森のざわめきはこれまで以上に激しい。
叫び声、うめき声、まるでどこからかそんな声が聞こえてきているかのようだ。
風は相変わらず強い。吹きすさぶ校庭、男が三人、睨みあっている。
('A`)「いつの頃だったか、母さんがこっそり泣いていたことがあるんだ」
ドクオは唐突に語りだした。
('A`)「母さんはどこへいったのか教えてくれなかったけど
俺はなんとなく、母さんはブーンさんのところへ行っていたんだと感じた。
そこで何を言われたかは知らない。でもそれから、母さんは表ではブーンさんを避けるようになった」
('A`)「だけど家の中ではちょっと違った。
もちろん直截的ではなかったけど、俺に対してよくブーンさんのことを質問してきたんだ。
何度も何度も。ブーンさんとホントはちゃんと話したいけど、話せないときであるかのように」
('A`)「きっと母さんはブーンさんに口止めされたのかもしれない。
もうあんまり会わない方がいい、とかそんなことを。
母さんは芯が強いからちゃんとそれを守っていた。一方で心ではちゃんと繋がっていた」
('A`)「俺はそんな母さんの様子を見て、思ったんだ。
こんな友達関係が、いつか自分も作れたらいいなって。
そしてこうも思う。モララーさんもきっとこの友達関係がつくれたのだろう、
だけど、スレ違ってしまったから、できなかった。本当は一番悲しいのはモララーさんなんだって」
('A`)「だから俺は、モララーさんとブーンさんの関係を壊したくない。
そして母さんをも殺そうとしたお前を許すわけにはいかない」
ドクオは口を結び、拳銃を握る。
ホレホレ
どうした
早くしろ
(;゚∀゚)「へ、言っておくけどな。
俺がこんなひょろい奴一人でお前をしとめようとしていたなんて考えるなよ、モララー」
ジョルジュは今なおにやりと口の端を引き上げる。
_
(;゚∀゚)「この校舎の周りの森のなかにはなあ
俺の味方してくれる奴らがたくさんいるんだよ。
まあ全員あいつの繋がりなんだけどな。とにかく、お前らがこんなところで俺を始末したところで
お前らはその怪しげな奴らにつかまって、やられちまうんだぜ」
ジョルジュは叫ぶように言い放ち、モララーを指差した。
モララーは眉を顰め、ジョルジュを見つめる。
口を開いて、思っていることを言ってやろうとしたときだった。
森が叫んだ。
いや、叫び声がはっきりと聞こえてきた。
幻聴でも何でもない。
確かな人間の声である。
その声は一つじゃない。
何人もの声が、そこかしこから聞こえてくる。
誰かが誰かに襲われている、そんな声だ。
( ・∀・)「お前こそ
俺が一人で来るなんて思っていたんじゃないだろうな」
_
(;゚∀゚)「は!?」
モララーはそのジョルジュの驚きようを見て、思わず吹き出してしまった。
よほど予想外だったのだろう、ジョルジュの眼は同様をあらわにしている。
( ・∀・)「てめえがバカにしたおっさんは、確かにバカみたいに暗い奴だが
やることはちゃんとやってくれる良い奴なんだぜ」
_
(;゚∀゚)「おい、おいおいおい
まさか機動隊でも呼んだなんでふざけたこと言うんじゃないだろうな?」
喧しいほどの叫びが三人を包んでいく。
( ・∀・)「んなわけあるか。もっと現実的な話だ。
ちょっとこの前な、お前さんのおばさんの家に厄介になったとき
いろいろと懇意にさせてもらってな、モナーさんの連絡先ももらっておいたんだ」
( ・∀・)「で、きっとお前は俺を殺すためにいろいろ策を練ってくるだろうと思ったから
俺としてもなんとか殺されないように仲間を呼ばなきゃだなって思った。
だから、モナーさんに連絡したんだ」
( ・∀・)「モナーさんは射撃が趣味だという話をたまたま耳にしていてな。
しかもあれだけの見栄っ張りだ。きっと優秀な射撃の選手たちとも交流があったに違いない。
射撃の選手ってのは、自衛隊とか、警察官とか、その筋の人たちがなることが結構ある。
だから、その気になればモナーさんのコネで強力な助っ人を呼べると踏んだ。かなりの賭けだが、うまくいったようだ」
( ・∀・)「ほら、子どもを叱るのは親の役目ってよく言うだろ。
それにあやかったっつーわけだ」
_
(;゚∀゚)「……あれ、親じゃないんだけど」
( ・∀・)「親族なら似たようなもんだろ」
_
(;゚∀゚)「い、いつだ! いつあんなの呼んだんだ」
( ・∀・)「お前らと会う少し前。
ショボンが、機動隊なんてだせないよーなんて言うもんだから、モナーさんの連絡先を教えたんだ」
強い強い風が吹く。
その風から、嫌な雰囲気を感じたのだろう。
ジョルジュは上を見上げ、きょろきょろする。
_
(;゚∀゚)「な……な、な……」
黒いシルエットがはっきり眼に浮かんだようだ。
モララーにとっては、これもまた予想外だったのだが。
いつの間にか接近していたのは、ヘリだった。
(´・ω・`) 到着したヘリから、下りてくる男。
( ・∀・)「うわ、空飛ぶおっさんだ」
(´・ω・`)「くたばれ40代」
( ・∀・)「いつヘリなんて持ったんですか? つかなんでヘリで来たんすか。憧れですか」
(´・ω・`)「ふふ、羨ましいだろ。貸してくれたんだ」
( ・∀・)「……ガチかよ」
モララーとショボンのやりとりが交わされる。
その軽妙な言葉の応酬に、ジョルジュもドクオも面食らったようだ。
( ・∀・)「や、悪いねお二人さん。
特にジョルジュ君は、せっかく張った俺包囲網を崩壊させちゃってもうしわけないね」
(; ∀ )「……ざっけんな」
ジョルジュは声を震わせる。
拳をわなわなさせて、モララーを睨みつける。
_
( #゚∀゚)「ふざけんなよこのやろぉ!!」
ジョルジュの叫び。そしてモララーへと歩んで、拳を振り上げる。
だが、その拳にするどく、黒い物体がぶつかる。
投げたのは、ドクオ。
('A`)「観念しろ。ジョルジュ。
もうお前の望みは終わりだ。次に何か、モララーさんにしようもんなら、俺が黙っちゃいない」
_
( #゚∀゚)「この……腰ぬけの癖にッ」
('A`)「……なんで俺、お前なんかを信じちゃったんだろうな」
ドクオが、自分に呟くように言う。
('A`)「もう終わりなんだよ。ジョルジュ。
始まるべきでもなかったんだ。こんな虚しい弔いなんて」
_
(; ∀ )「わかってるよ」
ジョルジュは、少しずつ力が抜けていったようだった。
しぼんでいく声。
モララーもショボンも、その様子を見守っていた。
_
(; ∀ )「わかってんだよ。そんなこと。
でもよ、やり場のないこの想いを、いったいどうしたらいいって言うんだよ。
俺は……俺は……」
ジョルジュは一度、大きく息を吐いた。
それから、思いっきり歯を噛みしめる。
吐きだしたい気持ちがいっぱいあるのだろう。
恐らく小さい頃から抱え込んだ、とても大きい感情が。
その感情をこめて、ジョルジュは再び、モララーを睨みつけていた。
モララーはまっすぐに、それを睨みかえす。
( ・∀・)「ジョルジュ、頭を冷やしてこい。
お前はまだまだやり直せるんだ。まだ若いしな」
モララーは冷静に言った。
それでもジョルジュは、食い下がらない。
_
( ゚∀゚)「俺の考えは、さっき言った通りだぜ。
変える気なんてない。ブーンに嘘をつく一生を負わせたのはお前だ。
だから俺は、お前を許す気なんてない」
( ∀ )「おい、よく聴けよ、クソガキ」
モララーはずいっとジョルジュの前に立つ。
ジョルジュは一瞬たじろいたが、それでも眼はモララーを睨んだままだ。
_
( ゚∀゚)「なんだよ、説教でも垂れるつもりかよ」
吐き捨てるように言い放つジョルジュ。
モララーは動じない。
やや沈黙があった。
ジョルジュは少しだけ、身を引いた。
モララーは俯き、それからジョルジュの顔を見る。
( ∀ )「俺の考えも変わらねえよ。
てめえはただの独りよがりだ。独善的なだけのあほだ。
そして、そんな考えに縛り付けられて一生を棒に振るのを辛くも逃れられただけの野郎だよ」
( ∀ )「人の気持ちってもんがなあ
そんなに簡単に他人によって代弁することが、できてたまるかってんだ。バカ野郎。
代弁出来ねえ言葉を必死こいて紡ぐために、俺は探偵やってんだ」
眼が潤むのを、モララーは感じた。
アホか、俺は。何泣いてんだ――情けねえな――
そう心に釘を刺し、目を閉じる。歯をかみしめながら。
( ∀ )「連れてけショボン。もう言うことはねえよ、そんな奴」
(´・ω・`)「手錠はないが、大人しくついてきてくれるかな」
ショボンの言葉がジョルジュに届いているはずだが、ジョルジュはあまり反応しない。
ジョルジュが不審そうな顔を向けてきているようだ。
どうやら眼がうるんでいるのを見られたのかもしれない。
それは恥ずかしいが、まあ仕方のないことだ。
自分の心はまだとらわれているのだろう。
モララーは自嘲気味に、自分に言い聞かせた。
(´・ω・`)「おい、のってくか?」
ショボンがモララーに声をかける。
( ∀ )「いいよ、電車くらいあるだろ」
(´・ω・`)「……そうか」
その後、ショボンはドクオを誘った。
ドクオはショボンの乗ってきたヘリに同乗することに決めたようだ。
ジョルジュと、ドクオを先に乗せて、ショボンが少しだけモララーに近づく。
(´・ω・`)「余計なお世話だったら、聞き流してくれ。
お前も、逃れられるといいな」
余計なお世話だよ、おっさん。
283:第六話 ◆GIfZM2iQHE:2012/03/09(金) 00:54:13 ID:VYI7AA360
長岡ジョルジュは逮捕された。
この事件は、終わりを迎える。
あと少し、残されたものを回収すれば。
だけど、このときモララーは気付いていなかった。
自分の心に抱いている違和感が何なのか。
そしてそれは、たとえ気付いていたとしても、どうにもならないことだったのである。
〜〜第七話へ続く〜〜
東京 23時を過ぎたあたり――
(*゚∀゚)「夜中に連絡してくるなんてね」
会社の就業時間はもう終わっており、つーは自宅にいた。
連絡があったのは、21時頃だ。
ジョルジュが逮捕されたことについてとあれば、夜中であろうとも、会わなければならないだろう。
(´・ω・`)「もうわかっているのでしょう?」
つーの自宅の玄関に、ショボンは立っていた。
ジョルジュとドクオを警察署に届け、自らはつーに連絡をした。
息子のジョルジュが逮捕されたことについて、お話をするために。
そして、ショボンはもう確信していた。
(´・ω・`)「あなたが、ジョルジュに加担していた。そうなのでしょう?」
(*゚∀゚)「否定する気にもなれないね。
どうせすぐにばれちゃうさ。あたしがやっていたことは。
だから認めるよ。あたしはジョルジュの犯行に加担した」
つーはやれやれと、肩を竦める。
(*゚∀゚)「もっとも、最初にブーンの恨みを晴らすなんて考えたのはあいつだけどね。
あたしの知らないところで、ツンの息子と出会い、勝手にことを進めていた。
あたしがジョルジュのやろうとしていることをはっきりと知ったのは、つい昨日のことだよ」
(´・ω・`)「モララー殺害の為に警備員を使わせるまで、知らなかったのですか」
(*゚∀゚)「どうやら、勝手にあたしの名前を使って、そっちの世界の人たちと連絡を交わしていたみたいだよ。
あたしはあいつがモララーを殺そうとするなんてことはまったく知らなかったね」
(´・ω・`)「ずいぶん自由に育てていたんですね」
(*゚∀゚)「うちは放任主義だからね。
息子を縛り付ける気なんてさらさらない」
ショボンは「なるほど」と、顔を俯かせる。
そのまま話を進めることにした。
(´・ω・`)「ツンの住んでいるアパートが爆破されていたことはもう調査でわかりました。
さて、教えていただけますか。
我々が立ち退いた後で、あそこを爆破した理由を」
(*゚∀゚)「そうだね。長話をするとしようか」
つーは一息ついて、目を細める。
笑顔というには、あまりにも遠くを見過ぎた眼。
ショボンのずっと後ろを見ているかのような表情だった。
(*゚∀゚)「放任主義とは言ったが、あいつがブーンのために何かしようとしていることは知っていた。
あいつは勝手にあたしの友人と連絡を取って作戦を立てていたんだ。
その気になれば、あたしには簡単にあいつのやろうとしていることがわかったよ」
(*゚∀゚)「あいつがアパートに赴くことは知っていた。
なんでそこに行ったのかはその時は知らなかったがね。
あたしはそれを利用させてもらった」
(*゚∀゚)「あんたたちはどう思ったか知らないが、あの爆発は、本来誰も傷つけるつもりはなかった。
あたしは、警告のつもりだったんだよ。
ツンへのつもりもあったが、本当はジョルジュへの警告だったんだ。あいつに見える形で爆破させたかった。
それが思った以上に威力が大きくなってしまった。細かいところは専門家にまかせっきりだったから、こんなことになったのかもね」
(´・ω・`)「ジョルジュへの……ですか」
(*゚∀゚)「そう、あいつが誰かを殺そうとしているのはわかっていた。
だから殺す前に、何かしら示してやりたかったんだ。
それであいつにどんな変化が生じるかを見たかった」
(*゚∀゚)「その日の夜。
あたしはあいつから話を正式にきいた。
あいつがモララーの命を狙っていることを」
(*゚∀゚)「あのアパートに行った理由は、ツンのことを調べたかったそうだよ。
ツンの息子とは連絡が取れて、取り入ることができたが、ツンの話はまだ聞いていない。
だから少しでもブーンの話をして、昔のことをどう思っているのか探りたかったらしい」
(*゚∀゚)「ブーンの話をあたしから聞いていたから、ツンにもブーンの行動の非があることは知っていたんだ。
だけどあんまり話を聞けなかったから、保留って言ってたね。今は話せないし、なんて言ってた。
それから、今はモララーを殺すことに専念する、なんて言い出したんだよ」
(*゚∀゚)「そこであたしはジョルジュに少しだけ待ったを掛けた。
モララーの話もきいてみたらどうだ。あいつにもツンと同じことをするべきじゃないかってね。
あいつは渋々あたしの考えを飲んだ。それで今日、モララーを呼び出して何かやったのだろう」
(´・ω・`)「……失礼ですが
何故あなたはジョルジュの犯行を止めなかったのですか。
それだけ多くの話をしたというからには、時間はあったのでしょう」
(´・ω・`)「それなのにどうして、ジョルジュの犯行を止めもせず、あろうことか援助したのですか」
(*゚∀゚)「親らしくない、ってあんたは思っているんだろうね」
(´・ω・`)「……平たく言えば」
(*゚∀゚)「あんたは、子持ちかい?」
(´・ω・`)「今は、離れて暮らしています」
(*゚∀゚)「そうかい。悪いことを聞いたね」
一息つく、つー。
また遠い目をしている。
それは愛おしそうな顔だ。ショボンにはようやくわかった。
親の顔だ――ショボンはそんな感想を抱く。自分にはできなかった顔。
(*゚∀゚)「……あたしは、子どもを束縛するのが嫌いなんだ。
だからジョルジュがやりたいって思っていることを通してあげたくなった。
実際モララーのことを憎く思っていた面もあった。そこしか怒りのやり場が無かったから。
心のどこかで、ジョルジュを応援してしまっていた、ただのとてつもない親ばかさ」
つーはショボンに近づいた。
ほほ笑んでいる、今度のその顔は、もう何もかも諦めた顔。
(*゚∀゚)「さあ刑事さん、もうあたしを逮捕してくれよ。
あたしももうおかしかったんだ。あたしも、ジョルジュも、感情がおかしなことになっちまった」
(´・ω・`)「私はもう警部ですよ。
それに、今日は休みです。交番まで行きましょう」
そう言って、ショボンはつーを連れ出した。
もう夜中、雲は出ているが、星がちらほら見える。
その淡い光の下、ショボンは車を操り、つーは助手席に座って、交番へと向かっていた。
(´・ω・`)「結局あなたは、足を洗わなかったのですね」
(*゚∀゚)「洗いきれなかった。正直に言うとそうなるね。
ま、立場が違うよ。前はやられる側、今はやれる側だ。
金があるがどうかで、人間はどっち側にでもなれるもんなのさ」
(´・ω・`)「内藤ホライゾンは、あなたに足を洗ってほしかった。違いますか」
(*゚∀゚)「そのはずさ。でもね。
そのためには、あたしの脚はあまりにも汚れていて、ブーンと共にいた期間はあまりにも短かったんだ。
元々お父様とはそりが合わなかったしね」
(* ∀ )「それでも、あんな事件をブーンが起こさなかったら
もうちょいマシな人生を送れたのかもしれないねえ」
ホレホレ
早くしろ
ホレホレ
278 :
バスケ大好き名無しさん:2012/12/02(日) 01:12:53.14 ID:KJ4pO9xa
(*゚∀゚)「親らしくない、ってあんたは思っているんだろうね」
(´・ω・`)「……平たく言えば」
(*゚∀゚)「あんたは、子持ちかい?」
(´・ω・`)「今は、離れて暮らしています」
(*゚∀゚)「そうかい。悪いことを聞いたね」
一息つく、つー。
また遠い目をしている。
それは愛おしそうな顔だ。ショボンにはようやくわかった。
親の顔だ――ショボンはそんな感想を抱く。自分にはできなかった顔。
(*゚∀゚)「……あたしは、子どもを束縛するのが嫌いなんだ。
だからジョルジュがやりたいって思っていることを通してあげたくなった。
実際モララーのことを憎く思っていた面もあった。そこしか怒りのやり場が無かったから。
心のどこかで、ジョルジュを応援してしまっていた、ただのとてつもない親ばかさ」
つーはショボンに近づいた。
ほほ笑んでいる、今度のその顔は、もう何もかも諦めた顔。
(*゚∀゚)「さあ刑事さん、もうあたしを逮捕してくれよ。
あたしももうおかしかったんだ。あたしも、ジョルジュも、感情がおかしなことになっちまった」
(´・ω・`)「私はもう警部ですよ。
それに、今日は休みです。交番まで行きましょう」
そう言って、ショボンはつーを連れ出した。
もう夜中、雲は出ているが、星がちらほら見える。
その淡い光の下、ショボンは車を操り、つーは助手席に座って、交番へと向かっていた。
(´・ω・`)「結局あなたは、足を洗わなかったのですね」
(*゚∀゚)「洗いきれなかった。正直に言うとそうなるね。
ま、立場が違うよ。前はやられる側、今はやれる側だ。
金があるがどうかで、人間はどっち側にでもなれるもんなのさ」
(´・ω・`)「内藤ホライゾンは、あなたに足を洗ってほしかった。違いますか」
(*゚∀゚)「そのはずさ。でもね。
そのためには、あたしの脚はあまりにも汚れていて、ブーンと共にいた期間はあまりにも短かったんだ。
元々お父様とはそりが合わなかったしね」
(* ∀ )「それでも、あんな事件をブーンが起こさなかったら
もうちょいマシな人生を送れたのかもしれないねえ」
279 :
バスケ大好き名無しさん:2012/12/02(日) 01:14:16.65 ID:KJ4pO9xa
(*゚∀゚)「親らしくない、ってあんたは思っているんだろうね」
(´・ω・`)「……平たく言えば」
(*゚∀゚)「あんたは、子持ちかい?」
(´・ω・`)「今は、離れて暮らしています」
(*゚∀゚)「そうかい。悪いことを聞いたね」
一息つく、つー。
また遠い目をしている。
それは愛おしそうな顔だ。ショボンにはようやくわかった。
親の顔だ――ショボンはそんな感想を抱く。自分にはできなかった顔。
(*゚∀゚)「……あたしは、子どもを束縛するのが嫌いなんだ。
だからジョルジュがやりたいって思っていることを通してあげたくなった。
実際モララーのことを憎く思っていた面もあった。そこしか怒りのやり場が無かったから。
心のどこかで、ジョルジュを応援してしまっていた、ただのとてつもない親ばかさ」
つーはショボンに近づいた。
ほほ笑んでいる、今度のその顔は、もう何もかも諦めた顔。
(*゚∀゚)「さあ刑事さん、もうあたしを逮捕してくれよ。
あたしももうおかしかったんだ。あたしも、ジョルジュも、感情がおかしなことになっちまった」
(´・ω・`)「私はもう警部ですよ。
それに、今日は休みです。交番まで行きましょう」
そう言って、ショボンはつーを連れ出した。
もう夜中、雲は出ているが、星がちらほら見える。
その淡い光の下、ショボンは車を操り、つーは助手席に座って、交番へと向かっていた。
(´・ω・`)「結局あなたは、足を洗わなかったのですね」
(*゚∀゚)「洗いきれなかった。正直に言うとそうなるね。
ま、立場が違うよ。前はやられる側、今はやれる側だ。
金があるがどうかで、人間はどっち側にでもなれるもんなのさ」
(´・ω・`)「内藤ホライゾンは、あなたに足を洗ってほしかった。違いますか」
(*゚∀゚)「そのはずさ。でもね。
そのためには、あたしの脚はあまりにも汚れていて、ブーンと共にいた期間はあまりにも短かったんだ。
元々お父様とはそりが合わなかったしね」
(* ∀ )「それでも、あんな事件をブーンが起こさなかったら
もうちょいマシな人生を送れたのかもしれないねえ」
280 :
バスケ大好き名無しさん:2012/12/02(日) 01:16:58.80 ID:KJ4pO9xa
バスケの話をしようや。
>>276 キチガイ頑張れよwww
もう息切れかよwww
はやくしろ朝鮮人
(´・ω・`)「早すぎますよ。諦めるのが。
あなたがたはまだ誰も殺していない。第二の人生が始まる余地は十分にある。
人が人を想うのを止めることはできませんよ。誰にだってね」
フロントガラスの向こう側に、交番の明かりが見える。
もうすぐ到着する。
(* ∀ )「……ブーンが自殺する前に、いや、死刑が決まる前に。
あたしとジョルジュはね、ブーンと面会したんだ」
ショボンの言葉が聞こえたのか、どうか、わからないが、つーは話しだした。
(* ∀ )「あいつは、『そろそろする』と言っていた。
見張りの警備員に感づかれないように、そんな言い方をしたんだ。でもあたしにはわかった。
ブーンはもうすぐ死ぬつもりなんだって」
(* ∀ )「あたしには、あいつを止めることが出来なかった。
あいつは死にたいと思っていた。もし、それを止める言葉をかけていたら、あいつは救われたのかい。
嘘をつくことに絶望したあいつを、どうやったら止められたんだい」
(* ∀ )「あたしらは、嘘をつかなきゃいけないんだよ、生きていくためには。
あいつは純粋すぎて、あたしらにも、その純粋さがうつっちまったのさ。迷惑な話だ」
交番の前に到着した。ショボンはドアを開けて、外に出る。
下りて来たつー。ショボンはその耳に声をかけようとして、やめた。
もうつーは心の中が整理できているようだ。この人には休息が必要なのだ。
ショボンはゆっくり、つーとともに交番へと歩んでいった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
8月21日(土)――――
この一週間の間、世間は揺れた。
長岡商社社長、長岡つーが逮捕されたからだ。
長岡グループというこの国でも指折りの資産家一族から、逮捕者が出現したこと。
それは世間にも大きな影響力を有していた。
長岡グループの評判は低下していった。
一週間とはいえ、その勢いは大きかった。
長岡モナー会長は各方面で頭を下げることとなった。
ただ、肝心の事件の詳細については、あまり広まらなかった。
というのも、つーは、自分が火災を引き起こしたことしか伝えなかったのだ。
その理由についても、気の迷いでやったとだけしか、言うことはなかった。
恐らく彼女は、ブーンについて言及されるのを嫌がったのだ。
もし火災の詳細を伝えようとすれば、どうしてもブーンのことも離さなければならない。
世間の人々がようやく関心を反らしてくれたあの忌まわしい事件に、再び触れなければならない。
つーはそれが嫌だったのだろう。だから、黙秘した。
そして、彼女の裏で、ジョルジュは逮捕されていたが、こちらの情報は最初から小さい扱いだった。
ジョルジュ自身は直接モララー殺害に手を下していたわけではない。
責めるにしても、銃器を所持していたことくらいだったのだろう。
何より、ジョルジュの更生に一番の重きを置いた末の判断ではないだろうか。
(;´∀`)「思い当たる節がないわけではないモナ。
私は少し、彼女を縛り付け過ぎていたのかもしれないモナ。
この件で、私としてももっと彼女と親身に接したいモナ」
テレビの中で、モナーが謝罪の言葉に織り交ぜて、こう発言していた。
彼も根が悪いわけではないのだろう。
ただ懐が大きいから、少しだけ気が大きくなり過ぎていたのではないか。
そんなふうに、モララーは考えていた。
( ・∀・)「……もうお昼回っているのか」
探偵事務所の中で、ぼやく。
朝起きて、開業し、それからぼーっとテレビを見る。
顧客は今のところ無し。数日もすれば約束くらいはあるものの、基本的に暇な日々だった。
あの事件の後、モララーはとくに変わることがなかった。
何度か県警に赴いて、事件の後処理をしたり、たまにドクオから電話が掛かってきて、ツンの無事を聴かされたり。
そういえば、ツンの火傷はだいぶ処置が完了したらしい。
幸い顔などには目立つ傷は残らずに住むそうだ。
すででに爆発の目的はショボンから聞いていた。
だからこの程度で済んだのだろう。
あとでツンにも会わなきゃなー、モララーはぼんやり考える。
どうせドクオが、一緒に行きましょうとか言ってくるはずだ。そのときでいいや。
ブーンの墓参りとかもしたい。
せっかく記憶が戻ったのに、それはもうブーンがいなくなった後だった。
こんな言葉にすると、どこかの切ない物語のようだが、モララーにとっては妙に合わない。
感動するには年をとり過ぎたのか。
モララーはあまりブーンのいないことを悲しむ気になれなかった。
殺されかけた相手だから、というのもあるのかもしれないが。
ちょっと薄情じゃないか、モララーはそんな言葉を自分に浴びせてみたりする。
ふと、自分の携帯が鳴っていることに気付く。
表示された名前を見て、モララーはにやっとする。
考えていたそいつが、かけてきたのだから。
( ・∀・)「もしもーし」
('A`)「もしもし、モララーさん?」
( ・∀・)「ふふ、やっぱりなー」
けたけた笑うモララーを、ドクオは不審がっているようだ。
(;'A`)「ど、どうしました?」
( ・∀・)「いやあ、的中すると気持ちいいもんなんだよ」
はあ、といった声が電話越しに聞こえてくる。
( ・∀・)「んで、要件はなんだ?」
そうそう、とドクオが言う。
('A`)「実は、B市で花火大会があるんです。
僕とシュールは行くのですが、モララーさんも来たいかなと思いまして」
(;・∀・)「……お前ら付き合ってんだよな?」
('A`)「ええ、一応」
(;・∀・)「いいの? 40歳のおっさんがそんなのに混ざっちゃっていいの?」
('A`)「ああ……まあ変ですね」
(;・∀・)「…………」
('A`)「じゃあ一緒に母さんの病室いきませんか?
僕らはそのあと花火大会の方に行くんで、モララーさんは母さんといれば、知り合いみたいだし」
( ・∀・)「あ、それはいいかもな!」
('A`)「じゃあ今日の夕方5時くらいに、B駅にきてください。
僕、迎えに行きますんで」
17時 B駅前――
モララーは久しぶりにB市に降り立った。
どことなく、街から浮足立ったムードを感じた。
花火大会の影響なのだろう、それらしい飾りをいくつも見かける。
暗いことが続いたモララーにとって、それは心地よかった。
('A`)「モララーさーん」
( ・∀・)「おー、ドクオー。
実際に会うのは久しぶりだなー」
待ち合わせに選んだ銅像の前で、二人は出くわした。
('A`)「そうですね。なんだかもう懐かしい感じです」
( ・∀・)「そんな懐かしむほどか。
忘れてるかもしれないが、俺、お前に殺されかけてるんだからな」
(;'A`)「いやはや、あんまり思い出したくないですね。
あのときはもう頭の中真っ白で、気付いたら……ああなってました」
( ・∀・)「とにかく、ありがとよ。
俺の言葉ちゃんと届いてたみたいでよかった」
('A`)「あ……はい!」
( ・∀・)「シュールって子もくるんだよな」
('A`)「ええ、元々僕らの約束ですし」
( ・∀・)「ほんと、なんで俺呼んだんだか。
なんだかんだで俺は会ったことないんだよなー」
('A`)「モララーさんなら大丈夫ですよ。
ブーンさんの友達ですし、きっと打ち解けます」
( ・∀・)「お前にそんなこと言われるとはね。
じゃ、来る前に馴れ初めでも教えてもらおうか」
(;'A`)「え、えぇぇえぅひゃぅぇ?」
( ・∀・)「いいじゃないか暇なんだから」
(;'A`)「いやいやいや、大したことないですよホント。
あの時も頭真っ白だったんです。ブーンさんが気になってたから僕も注目してて
いつの間にか助けちゃって、いつの間にか付き合ってました」
(;・∀・)「それもまたすげえ話だな」
('A`)「でしょう? 僕頭真っ白になってるといろいろできるんです」
( ・∀・)「ほめてねえよ」
lw´‐ _‐ノv「あ」
小さな声が聞こえて、モララーとドクオは振り向く。
銅像に歩んでくるその少女。体は小さいが、ドクオと同じくらいの年頃のようだ。
すると、この子がシュールなのだろう。
lw´‐ _‐ノv「やあ、変態」
('A`)「やあ、シュール」
何事もないようにかわされる会話。
モララーは反応に困ってしまう。
(;・∀・)「え、何お前そういう風に呼ばれてるの?」
('A`)「ええ。
なんか、いきなり部屋に飛び込まれたとき、とっさに変態だと思ったらしく
以降僕に対して真っ先にそのイメージが浮かんでしまうようなんです。
まあ、挨拶のときだけですよ、言ってくるのは」
少女は大きく頷いている。ドクオの話は本当のようだ。
いろいろな付き合いがあるものだと、ある意味感心するモララー。
( ・∀・)「シュールさん、かな?」
lw´‐ _‐ノv「はい」
( ・∀・)「はじめまして、モララーです。
ブーンの友達だったといえば、大丈夫かな」
lw´‐ _‐ノv「ちょっとだけ、ドクオから聞いてるから」
lw´‐ _‐ノv「私にとっても、ブーンさんは大切な人だった。
私が人と接することが出来るようになったのは、あの人のおかげでもあるのだから」
そっか、とモララーは頷く。
思えばブーンはそこかしこで人を救っている。
きっと彼は元来そんな性格で、このシュールもまた、その性格に助けられたのだ。
( ・∀・)「あいつのことを大切に思ってくれてありがとう。
世間ではいろいろ言われているけど、あいつは、ほら、ちょっとだけ不器用なだけだから」
lw´‐ _‐ノv「うん。そんな気がする」
('A`)「さて、それじゃ最初に母さんの病室行きましょうか」
ドクオもシュールがいるところでは張り切るようだ。
自ら話を切り出す姿を、モララーは初めて見た気がした。
シュールはあの事件のあと、ショボンから事件の粗筋を聞いたらしい。
このことはショボンから聞いたので詳しくは分からないが、彼女もまたブーンのことが好きだったのだろう。
自分とドクオを引き合わせてくれたブーンのことを。
横で年若いカップルが話しているのもなかなか無い機会だが
モララーは横やりを入れることもせず、ツンのことを考えていた。
思えば自分らもはるか昔に付き合っていた仲だ。自分が弱り過ぎていたせいだったとはいえ
やはり会うのは恥ずかしい気もする。さすがに会えないこともないが。
病院はそこまで駅から遠くなく、すぐに辿り着いた。
ツンの病室まで、ドクオたちにいざなわれて、向かって行く。
モララーの頭は中途半端で、言葉を準備するのは諦めた。
何せ今まで失っていた記憶。それも決してよくない記憶の中で会っていただけ。
言葉がすらすら思い浮かぶものではない。
病室のドアが開けられる。
一番窓際のベッド。
ξ゚听)ξ
一目見ただけでわかった。
ツンがベッドに横たわっていた。
歳はとっているものの、特徴的な髪と顔立ちから、わかる。
不思議な感覚だった。頭の中のツンは高校生で止まっている。それが成長したら、こうなるのか。
ドクオとシュールはもう何度かこの部屋に来ているのだろう。
二人はツンに挨拶をして、ツンもまた、挨拶を返す。
それから、ドクオは振りかえり、モララーを示す。
普段なら絶対そんなことしないのに、こんなときだけ、厄介な奴だ。
('A`)「ほら、母さん。わかる?
モララーさんだよ。母さんの昔の友達の」
ツンが眼を見開いて、マジマジと自分を見つめているのがわかる。
ξ゚听)ξ「…………あ」
ξ゚听)ξ「あぁ、あぁぁあぁぁ」
声が波のように揺れる。
それとともに、ツンは大きく首を縦に振る。
まるで大きく納得しているように。
ξ゚听)ξ「このヘタレ!」
(;・∀・)「なっ、この……!!」
いきなりの罵倒に、モララーは返事に窮した。
ξ゚听)ξ「昔からそう呼んでたでしょ」
こともなげにツンが言い放つ。
lw´‐ _‐ノv「ウワー」「ヘンナヨビナ」('A`)
( ・∀・)「おいまてや変態とそのツレ」
lw´‐ _‐ノv「キャー」「コワー」('A`)
ξ゚听)ξ「ほら、ドクオたちはもういったらいいわ。
こいつはあたしと話がしたいんだろうし」
('A`)「あ、ちょっと待って母さん」
ドクオはモララーに向き直る。
('A`)「モララーさん、今更ながら、今回は本当にありがとうございました」
( ・∀・)「おー、どした。急に改まって」
('A`)「いやあ、ほら、事件の後ってバタバタしてて、時間が無くて
ちゃんと謝ったことなかったなと思ったから。
今のうちにいっておこうと思ったんです」
( ・∀・)「お前シュールちゃんの前だと強気だからな」
(;'A`)「そ、そうなんですかね。はは」
('A`)「とにかく、僕は僕なりにいろいろな決心がつきました。
ブーンさんも、昔のことをいろいろ知ってしまったけど
僕としては十分だし、それでブーンさんを嫌いになることはありません。
やはり僕にとっては大切な人で、感謝してもしきれない人であることには変わりありませんから」
('A`)それじゃ、そろそろ僕らは行きますので」
ドクオとシュールは、頭を下げ、病室を後にする。
残されたのは、ツンと、モララーだけ。
( ・∀・)「…………」
ξ゚听)ξ「……記憶、無かったんだってね」
( ・∀・)「ああ、つい最近戻ったばっかりだ」
ξ゚听)ξ「まったく、どうして忘れてくれてんだか。
あたしら付き合っていたのにさ」
(;・∀・)「その件は、ホントごめんな。
でも、あの付き合いは俺が弱り過ぎてたからで」
ξ゚听)ξ「うわ、変わってない」
(;・∀・)「な、なにが?」
ξ゚听)ξ「ヘタレが」
(;・∀・)「…………」
ξ゚听)ξ「まあうちのドクオも似たようなものだけどねー」
(;・∀・)「あ、あそこまで変じゃねえよ!」
ξ゚听)ξ「あら、うちの子どもにけち付ける気?」
(;・∀・)「……お前も変わんねえな」
ξ゚ー゚)ξ「ふふ、ありがと」
( ・∀・)「息子、いるんだな」
ξ゚听)ξ「なーによ、今更。
随分とかわいがってくれたみたいじゃない」
( ・∀・)「いやー、知ってる奴が子どももつってのは、変な気分だよ」
ξ゚听)ξ「知ってる奴が失踪したり、殺人起こしたりしている気分もすごいわよ?」
( ・∀・)「はは、そうだろうな。
……ドクオ、誰の子なんだ?」
ξ゚听)ξ「あれー、気になるの?」
( ・∀・)「そりゃあ……ちょっとは」
ξ゚听)ξ「本気じゃなかったのに?」
(;・∀・)「……友達として、だよ」
ξ゚ー゚)ξ「ふふ」
(;・∀・)「んだよ、笑うなよ」
ξ゚ー゚)ξ「いやね、友達なんて、久しぶりに言われたからよ。
大人になると、妙に言いづらいのよね、『友達』って」
( ・∀・)「……そういえばそうだなあ」
ξ゚ー゚)ξ「うん」
ξ゚ー゚)ξ「ちなみにドクオは普通の子です」
( ・∀・)「普通?」
ξ゚ー゚)ξ「そうそう、何の変哲もない、普通の子」
( ・∀・)「んー、なんというか、その……若くね?」
ξ゚听)ξ「何が?」
( ・∀・)「お前の産んだ歳」
ξ゚听)ξ「あー、うん。まあね。
産んじゃって、逃げられちゃったから」
ξ゚听)ξ「普通のシングルマザーの子」
( ・∀・)「そりゃあ大変だったろうに」
ξ゚ー゚)ξ「そうね。でも親が助けてくれてる。うちの親も普通よりちょっと若いからまだまだ元気なのよ。
だからあたしは長年パートを掛け持ちすることで生きることが出来てるの。ドクオも大学に送れたし
あとはドクオが就職してくれれば安泰」
( ・∀・)「しかし、どこんちも大変なんだなあ」
ξ゚ー゚)ξ「あたしらの場合は特にね」
ξ゚听)ξ「あたしもね、あんたたちがいなくなってから、荒れたんだよ」
( ・∀・)「…………」
ξ゚听)ξ「いきなり友達が二人消えた。
もう知ってるかな? あんたがいなくなったあと、すぐにブーンは転校しちゃったから。
あたしは凄く寂しくなっちゃった。寂しくなると、人はおかしくなるものよ」
ξ゚听)ξ「で、大学入ったらいろいろ暴れちゃった。
気がついたらお腹に子どもがいて、相手はおろしてほしかったみたいだけど、あたしは拒んだ。
お腹の中には確かに人がいたんだから。
どんな境遇だろうと、生きていくべきなんだから、人ってのは」
( ・∀・)「……それが、ドクオ」
ξ゚ー゚)ξ「そうよ。
あたしの自慢の子。
泣かせたら承知しないわよ?」
( ・∀・)「それ結構難しいぞ?」
ξ゚ー゚)ξ「あたしもそう思う」
( ・∀・)「それから数年たって、お前はブーンに再会したわけか」
ξ゚听)ξ「そう」
( ・∀・)「ショボンに話したのは嘘なんだろ?」
ξ゚听)ξ「あの警察官のこと?」
( ・∀・)「ああ」
ξ゜凵K)ξ「もちろん。
というか、いきなりブーンのこと聞かれて、いらっとしちゃった。
あたしだって、あのニュース聞いて、いろいろ考えていたのにさ。
思い出したくない気持ちがあった。だから知らない振りをした」
( ・∀・)「あのなあ、あんまりそういうのよくないんだぜ?」
ξ゚听)ξ「じゃあ、あんたは怒る?」
( ・∀・)「いや、いいよ。ショボンだし。
俺あいつ嫌いだし」
ξ゚ー゚)ξ「なによ、それ」
ξ゚听)ξ「それに……言わなかったのはそれだけが理由じゃないわよ」
( ・∀・)「ブーンが逃げてたから?」
ξ゚听)ξ「惜しい」
ξ゚听)ξ「最初にブーンに会ったのは、ドクオと一緒にいるときだった。
それから、あたしは一人で、ブーンの住んでいる部屋に赴いた。
そこで、聞いちゃったんだ。いろいろと」
( ・∀・)「……ひょっとして、俺が殴られたことも?」
ξ゚ー゚)ξ「……ふふ」
(;・∀・)「言ってくれよー」
ξ゚ー゚)ξ「そもそもあんたが生きているかは知らないし」
ξ゚听)ξ「で、ブーンは言っていたの。
自分のことは言わないでほしい。自分が逃げるためでもあるけど
それ以上に、自分はもう内藤ホライゾンの名前を捨てたいから。
辛いことを思い出したくないからって」
( ・∀・)「……向き合えなかったんだな。そのときは」
ξ゚听)ξ「ブーンが、自分の過去にってこと?」
( ・∀・)「そう。向き合えなかったから、逃げていた。
向き合ったから、立ち向かった。それがあの事件」
ξ゚听)ξ「嫌な話。
ひとりよがりよ。そんなの」
( ・∀・)「それで満足しちゃう人もいるってことさ」
ξ゚听)ξ「ブーンは、そうだったのかな」
( ・∀・)「多分」
ξ゚听)ξ「……もっと話してあげればよかったのかな」
( ・∀・)「お前が?」
( ・∀・)「一旦家に行ったんだろ?」
ξ゚听)ξ「そう、それで、さっき言った通り。
もっとあたしの意見をちゃんと言ってあげればよかったのかなって」
( ・∀・)「それでも言わなかった」
ξ゚听)ξ「思いだしたくないなんて言われたらね」
( ・∀・)「それで泣いた、と」
ξ゚听)ξ「うん……ん?」
ξ゚听)ξ「なんで知ってるの?」
( ・∀・)「何を?」
ξ゚听)ξ「泣いたってこと」
( ・∀・)「ああ
ドクオが見てたらしいぞ」
ξ゚听)ξ「……やろぉ」
(;・∀・)「おいおい、いいじゃねえかそれくらい」
ξ゚听)ξ「別にドクオに怒っているわけじゃないの。
あんまり子どもには見られたくないものなのよ」
( ・∀・)「そうなのか?」
ξ゚听)ξ「そういうものなのよ。
あんたも子どもができたらわかるわ」
( ・∀・)「…………」
ξ゚听)ξ「ん? どうかした?」
( ・∀・)「いや、何でもねえよ」
ξ゚听)ξ「……モララー」
( ・∀・)「おう、何だ」
ξ゚听)ξ「今度、さ。ブーンの墓参りしよ?」
( ・∀・)「……ああ」
ξ゚听)ξ「そして、仲直りしなさいね」
(;・∀・)「……死んでるのに?」
ξ#゚听)ξ「当たり前でしょ!」
(;・∀・)「まぁ、だよなあ。
殴られるくらいだものなあ」
ξ゚听)ξ「それが回りまわって、ここまで来ちゃった」
( ・∀・)「うん。謝ろう」
ξ゚听)ξ「あたしも」
( ・∀・)「……俺、恨まれてるかな」
ξ゚听)ξ「なんとも言えない気持ちでしょうね」
( ・∀・)「なんだよ、それ」
ξ゚听)ξ「ただ単に、元に戻りたかっただけなのよ」
( ・∀・)「元に?」
ξ゚听)ξ「そう、友達に」
( ・∀・)「ああ……」
ξ゚听)ξ「…………」
( ・∀・)「…………」
( ∀ )「ごめん」
ξ゚听)ξ「あたしに言ってどうするの」
( ∀ )「ホントにな」
ξ゚听)ξ「あたしも、同じ」
( ∀ )「…………」
ξ゚听)ξ「元に、戻りたかっただけ。
友達として再会したかった」
( ∀ )「…………あぁ」
ξ゚听)ξ「せっかく、ブーンにも会っていたのに。
あたしは、素直にブーンの言うことを聞いちゃった」
( ∀ )「…………」
ξ゚听)ξ「本当は」
ξ )ξ「本当はどうするべきだったのかな。
あたしはブーンの言うとおりに、ブーンの存在を知らない者として過ごさなきゃだったのかな。
そのときは、それが一番ブーンのためだと思っていたけど、でも」
( ∀ )「…………」
ξ )ξ「…………」
( ∀ )「…………」
ξ )ξ「…………モララー」
( ∀ )「…………」
ξ )ξ「……きこえてんでしょ」
( ∀ )「あぁ」
ξ )ξ「ったく」
ξ )ξ「帰ってくるの、遅過ぎなんだよ。このヘタレ」
モララーが、何か言おうとしたときだ。
テレビのニュースが、異様な雰囲気に包まれたのは。
速報が入ったらしい。
モララーも、ツンも、一旦はテレビに注目する。
何故か、ブーンの顔があらわれていた。
(;・∀・)「なっ!?」
ξ;゚听)ξ「何よ……これ」
ニュースキャスターの声はひどく冷静に感じられた。
そのことが、モララーに強烈な違和感を覚えさせる。
何故、世間が再びブーンに注目する事態が生じてしまったのか。
固唾を飲んで見守る二人の前で、説明がなされた。
つーが、ブーンの過去を自供したようだ。
ブーンの殺人には、ニダーの行動が関係している。
つーはそのことを暴露し、自らがブーンと関わりを持つことを伝えた。
これだけにとどめていたのはあまり多くの人々を巻き込む気にはならなかったからなのだろう。
ツンやドクオ、シュール、モララーにまで説明が及んでしまうかもしれない。
だけどつーはそこまでは話を拡大したくなかったようだ。
(;・∀・)「……きっと、ニダーだけは許せなかったんだ。
そしてせめてその部分だけ、ブーンの行動の理由を言いたかった。
そこだけでいいから、立ち向かいたかったんだ」
モララーはつーの心情を推察した。
つーは、耐えられなかったのだろう。
世の中の大勢の人々が、ブーンをただの悪人として記憶してしまうことが。
ξ゚听)ξ「…………」
(;・∀・)「あ、いや……」
ξ゚听)ξ「……この人は、満足できない人だった。
そういうことね」
(;・∀・)「ああ」
( ・∀・)「あ」
ニダーとその妻の写真が公開される。
もちろん、ツンもモララーも、それを見たことがあった。
だから、今更驚くことはなかったのかもしれない。
でも、モララーは気付いてしまった。
ニダーの妻の顔。
その顔に見覚えがあることに。
何故今まで疑問に思わなかったのだろう。
ブーンがあんなにも残酷な殺人事件を起こしたことに。
記憶を取り戻し、ジョルジュの話を聞いた時
ブーンがニダーを恨む理由はわかった。
だけど、よくよく考えればそれだけだ。
ニダーを殺したブーンに、それ以上、何も想いは無かったはず。
ならば、何故
ブーンはニダーの妻をも殺したのか。
从'ー'从
もはや何度もなされたであろう事件の説明。
小里安ニダーが、そしてその妻である小里安ワタナベが殺されたこと。
この国の多くの人々がすでに聞き飽きていたそのフレーズは
今更、モララーの頭脳に衝撃を与えることとなった。
そしてそれと同時に、様々な思考が駆け巡り
頭の中で、ブーンの心の動きが急速に理解された。
( ∀ )「そういう、ことだったのか」
眼が潤んでいく。
自分の感情はまだ枯れていなかった。
それはただ、腑に落ちない点によって、止められていただけだったのだ。
どうしてブーンはニダーとワタナベを殺さなければならなかったのか、という、一点の疑問。
目の前の画像が、その理由を示していた。
( ∀ )「これが……あいつの原因だったのか」
ξ゚听)ξ「……モララー?」
( ∀ )「ツン、この女なんだ」
モララーは、テレビに映るニダーの妻を指し示す。
( ∀ )「ブーンが、俺の家の前で観たのは」
ξ;゚听)ξ「!!……じゃあ」
( ∀ )「この女が、あのとき俺の家の前にいなければ
いや、ニダーの妻になんかなっていなければ」
ブーンは、ニダーを殺した。
そしてそのあと、妻をも殺している。
ブーンは見てしまったのだ。
ニダーの妻の姿を、自分の記憶にあるあの少女の姿を。
なぜこの少女がニダーの妻になったのかはモララーにはわからない。
だけど、それでもモララーは、歯噛みした。
∀ )「あの事件の時、ブーンはきっと、ニダーを突発的に殺してしまった。
そしてその直後に、この女を見てしまったんだ」
( ∀ )「自分の記憶の中で、ブーンもまた思ったんだろう。
この女のせいで自分はニダーから逃げなければならない身となった。
自分が、あの時、俺を殴らなければ……自分は何もなかった」
( ∀ )「きっと冷静になれば押さえられたんだろう。
でも状況が状況だから、ブーンは、この女を殺してしまった」
( ∀ )「ばかだなぁ、ニダーだけに抑えておけば、せめて死刑にはならなかったのに」
ξ;゚听)ξ「……でも、元からブーンは死のうとしていたんでしょ?」
( ∀ )「それは、そうだが……」
考えが、止まらなかった。
今まで無視してきた後悔の念が、怒涛のごとく押し寄せてきていた。
モララーは寸でのところで嗚咽を堪えた。
ブーンは、よく自分を嘘つきだと言っていたらしい。
ドクオたちが言っていた。
それは、元々はモララーを殺してしまったことについてだったのだろう。
いや、ひょっとしたら高校生の時に
自分のツンに対する感情をひた隠しにしていたことについてだったのかもしれない。
あるいは、つーやドクオ達に、自分を尊敬させてしまったことについて言っていたとも思われる。
とにかくブーンは嘘をつくことに疲れて、この世界に生きていく気力を失ってしまった。
だけど、モララーは気付いてしまった。
もし、自分が家の事情を話していたら、どうなっていた?
ブーンもツンもきっと味方になってくれただろう。
自分がブーンに殺される過去は無かった。
ブーンが死ぬことは無かった。
本当の嘘つきは、自分だったのではないか。
強く、強く、歯噛みした。
あまりにも悔しく、悲しい。
ツンが自分を心配して声を掛けてくれている。
でも、自分はなかなかそれに応じていられない。
まともな顔で返事するには、時間が掛かる。
止めどない、混濁した感情が押し寄せ、口から荒い吐息となって漏れる。
久しぶりに思いだしたこの感覚。
記憶があるからこそ実感できる、その暗い想い。
( ∀ )「ブーン。本当に……本当に、すまなかった」
ひねり出した言葉は、かすれていた。
今はどうしても、それしか言えなかった。
『友達』という感情が希薄になった、この歳になって初めて
モララーはその言葉の重みを知った。
心の中で、何度も何度も懺悔する。
口に出すことでは決して言い尽くせない想いの数々を、親友に捧げる。
優しく朗らかで、いつも笑顔で、どこまでも他人思いで、大好きだった親友へ。
B市の花火大会は盛況のようだ。
病室の窓からでも、それは綺麗に見えたことだろう。
モララーは霞んだ眼で、それを見た。
弾ける花火は、空に手向けられた花束のようだ。
花火は燃え尽きる。
空に届くことは無い。
想いにしても、懺悔にしても、それは同じ。
届くことなど無い。
それでも、向かわせずにはいられない。
いつまでも、いつまでも、忘れないで送りつづける。
それが自分のすべきことだ。
亡きブーンへ向けて、自分ができることなのだ。
301 :
バスケ大好き名無しさん:2012/12/02(日) 22:11:01.06 ID:KJ4pO9xa
そろそろ新人戦、がんばれ能代、
東北大会で会おう。
堪え切れなくなったモララーの慟哭は、ツンにだけ届いていた。
体を屈ませ、ツンの横でしゃがみ込むモララーを、ツンは潤んだ瞳で見つめていた。
いつまでも。
これは、とある探偵の心に秘めた物語。
〜〜( ^ω^)は嘘をついていたようです おわり〜〜
後日談
9月25日(土) 14時 B市――
死刑囚の遺体は、昔こそひどい扱いを受けていたが、今では普通の遺体と同じように、遺族に渡される。
しかし大抵の遺族は、死刑囚の遺体なんぞもらいたくないといって受取を断ってしまう。
引取手のいない遺体は、刑務所が使用している墓地に埋葬される。
内藤ホライゾンは死刑を執行されたわけではない。
しかし、彼は獄中で死んだ。この場合も、上記の死刑囚のときと同じ扱いである。
すなわち最初に内藤ホライゾンの遺族に遺体が渡されるのであるが、内藤にはすでに遺族がいない。
ジョルジュとつーも、正式に結婚していたわけではないので、遺族とは言えない。
したがって、内藤ホライゾンは、彼の死後から一週間と経たないうちに、
B市のとある霊園の一角に埋葬されたのである。
世間ではジョルジュとつーが逮捕された。
やがてつーが、自らの知る内藤ホライゾンの過去を語り、あの殺人の本当の動機を語った。
ニダーと内藤の関係を知ることになった世間では、内藤の行動の当否が時々議論された。
内藤は悪なのか、正義なのか。
事件の側面だけを知ったのでは、決してたどり着けない結論なのに、議論は起こる。
いや、たとえ事件の全容を知っていたとしても、結論など出せない問題なのだ。
('A`)「……」
鬱田ドクオは内藤ホライゾンの墓を見つけたようだ。
おそらく、このあたりで刑務所に所有されている墓を調べたのだろう。
よほどの物好きでなければ寄りつかないであろう、死刑囚の墓である。
ドクオはじっと手を合わせて、お墓の前で立っている。
何を思っているのだろうか、顔はつらそうでもなく、楽しそうでもなく、ただ眼を閉じているばかりである。
その思考の中で様々な想いが浮かび、せめぎ合っているのだろう。特定することが出来ないくらいに。
(´・ω・`)「ドクオ君、かな」
ショボンが声を掛けると、ドクオは思った以上に驚いた。
あまりにも反応が素早く、小動物的なので、ショボンはつい面白くなってしまう。
(´・ω・`)「そんなに驚かなくてもいいじゃないか。
私の名前はショボンだ。一度会っただろう」
('A`)「あ……あぁ、そういえば」
ドクオの様子から察するに、思いだしたようだ。
一週間以上前の、あの日のことを。
ジョルジュによって、モララーが呼び出され、ドクオが銃を構えたあの日。
ショボンはヘリから降り立ち、ジョルジュを捕えた。
その後、ドクオはショボンに連れられて、県警察署へ赴いたのである。
('A`)「あの日は、その、あんまりショボンさんのこと憶えていない、です」
たどたどしいのは、失礼が無いように言葉を選んでいるのだろう。
普通、憶えていないと言われていい気になる人はいない。
それに、ドクオから見ればショボンは随分と年輩だ。恐らく自然と、身構えてしまっているのだろう。
(´・ω・`)「憶えていなくとも構わないさ、ドクオ君。
あんな状況で、そんなに話すわけにもいかないだろう」
ショボンが顔の筋肉を緩め、温和な表情を示すと、ドクオもつられて、幾分か表情を和らげた。
素直な青年だな、ショボンはふと思う。
そして、自分の身の周りにこのようなタイプの若者がいないことが思いだされ、溜息となって押し出された。
ドクオにとっては、何故ショボンが溜息をついたのかわからなかっただろう。
(´・ω・`)「ああ、いや。別に君が悪いのではない」
やや怯えている様子のドクオに対して、ショボンがなだめるように言う。
(´・ω・`)「私の周りの若者は、碌な奴がいないのだよ。それを嘆いたまでさ」
('A`)「はぁ……」
(´・ω・`)「ところで、わざわざ墓参りに来てくれたのだね。ありがとう」
('A`)「お彼岸ですし、ね。もっと早くに来たかったんですけど、なかなか動け無くて」
無理もない、とショボンは心の中で応えた。
内藤ホライゾンが自殺して、その反動であのような事件が起きた。
ジョルジュによるモララー殺害未遂。それに対するつーの幇助。
二人は共に罰を受けることを粛々と受け入れた。抗う気は無かったのだ。
ただ、内藤ホライゾンのことが世間に知られれば、それでよかったのである。
そのような動揺が生じている中、ドクオは一人で衝撃を受け止めていたのだろう。
疲労したことだろう。世間の内藤に対する話を聞くことが。
世間は賛否両論に分かれてはいたが、どちらも真実とは遠い。
真実はごく少数の者だけが知っている。
その者たちは、余程心が強くない限り、世間の声から耳をふさぐだけで精いっぱいなのだ。
(´・ω・`)「内藤に、言うことはあるのかい?」
ショボンはドクオに問いかける。
ドクオは思案した。言いたいことそのものはたくさんあるのだろう。
ただ、それを一つの言葉にするのは難しい、そんな様子である。
('A`)「一つだけ、気になっていることがあるんです」
ようやく思いついたドクオが、内藤のお墓を振り返る。
('A`)「どうしてブーンさんは、逮捕されてから5年後に自殺したのでしょう。
なんで、そんなときになって死んでしまったのかなって」
(´・ω・`)「……つーは知ってるよね」
('A`)「昔、ブーンさんと暮らしていたという人ですか」
頷くショボン。
(´・ω・`)「彼女は、逮捕されて1週間してから真実を明かした。
内藤についての過去を、ニダーとの確執を、明らかにした。
いったいどうしてその時間差は生じたと思う?」
ドクオは怪訝そうな顔をする。
自分は内藤のことを質問したのに、どうしてつーのことを聞くのか、といった顔つきだ。
それでもショボンはじっとドクオを見つめた。
やがて、ドクオは目線を上の方でゆらゆらさせながら、答えを紡いでいく。
('A`)「んー……なんでしょうね。つーさんは、その……
内藤のことをずっと考えて、考えているうちに時間が経っちゃって
やっと言えたときが、あのときだった、んじゃあないですかね」
(´・ω・`)「うむ、私もそう思う」
傍からすれば、要領を得ない答えだったことだろう。
だけど、ショボンにはその内容がよくわかっていた。
(´・ω・`)「一人で考えるのは、時間が掛かるものだ。
その悩みが大きければ大きいほど、時間はより掛かっていく」
(´・ω・`)「内藤が何故5年後に死んだのか、もはや知るすべは無い。彼は死んでしまった。
だけど推測することはできる。彼は悩んでいた。
どうやったら自分は、罪を償うことが出来るのか」
('A`)「モララーさんを殺しかけたことですか?」
(´・ω・`)「それも含むが、それだけではない。
ツンに何も告げずにG村を出ていかなければならなくなったこと、
ジョルジュやつーを置いてD市を離れなければならなくなったこと
君や、再会したツンにもう会うことが出来なかったことだ」
(´・ω・`)「彼にニダーが憑いたのは、モララーを殺しかけたせいだ。しかし、その原因は自分の行動。
故に彼は誰も恨むことが出来ず、自分自身を恨んでいた。
彼は、刑務所内では品行方正だったそうだよ。きっと必死で罪を償いたかったんだろう」
ショボンは一息つく。
彼もまた内藤の墓を眺めた。その墓石は簡素なものだ。
そのうちボロボロになってしまうのだろうか。誰にも相手されない者の墓というものは。
(´・ω・`)「彼は自殺する直前に面会したそうだ。
そのことを伝え忘れた刑務所官は後でちょっとドヤしといたけどね」
(´・ω・`)「それは、つーだった」
え、という声がドクオから漏れる。
恐らく無意識に漏れた声なのだろう。
見ると、呆然としているドクオの顔があった。
(´・ω・`)「彼女を見た内藤は何を思ったのだろうな。
彼女を見て、その数日後に内藤は自殺したわけだが……」
(;'A`)「つーさんは、ブーンに何と言ったのですか?」
(´・ω・`)「まず、つーの話をしなければならない」
ドクオの質問を断ち切って、ショボンは話をする。
(´・ω・`)「彼女と出会った時、内藤は死にたがっていたのだろう。
モララーを殺してしまった罪、それを感じた内藤は、だからこそつーを助けた。
罪を贖う為だ。そういうことをする人はたまにいる。
自らの犯した罪を晴らすため、自らを苦しめ、ときには死んででも、だれか他人に尽くそうとする人だ」
(;'A`)「……つーさんを救ったのは、そのためなのですか?」
(´・ω・`)「私は知らないよ。さっきも言ったように、知るすべは無い。
それに、人の気持ちは一義的なものではない。
ひょっとしたら、単純につーのことが好きだったから助けた、そんな気持ちも強かったことだろう。
ただし、言っておくが、内藤が死にたがっていたのは逮捕された後につーから聞いた事実だよ」
(´・ω・`)「だからこそ、つーは面会の時に、内藤が『そろそろする』と言っただけで死ぬとわかったんだ。
前々から死を仄めかすような発言をする者相手でなければ、そのような発想は思いつかない。
つーは死にたがっていた頃の内藤と同じような顔をする内藤を見たのだろう。
罪を自覚する内藤の顔を」
(´・ω・`)「その一方で、内藤はつーを見ていた。
だからこそ彼は気付いてしまった。思いだしてしまったんだ。自分の犯した罪に。
そして、目の前で再会を喜び、泣いているつーに対して、途端に申し訳ない感情が浮かんだ」
(´・ω・`)「彼はもはや死ぬしかなかった。死刑は確定だった。
それにもかかわらず、再びつーと会ってしまった。
内藤にはもはや、彼女の涙を止めることはできない。彼女と共に暮らすことは敵わぬ身となってしまった。
そう、それが新たに生まれた内藤の罪だ。彼はもう、未来を見ることはできなかった」
(´・ω・`)「と、ここまで私の妄想だ。結構考えたから真に迫っているとは思うが」
(;'A`)「つまり、つーさんとの面会が引き金になったのですか……」
(´・ω・`)「内藤が自殺した件については、そうなるな。
ただ、彼が死なずともジョルジュはあの犯行をするつもりだったようだから、結果は変わらないだろう。
内藤が死んでも、死ななくても、今回の事件は発生したはずさ」
そうだけど、とでも言いたそうにドクオは俯く。
会いたいのに、会えない。このありふれたフレーズが、かくも重くのしかかってくるとは思ってなかったに違いない。
ショボンは、俯くドクオを見て、ちょっとやりすぎたかなと後悔した。
(;´・ω・`)「ああいや、さっき言ったようにこれ全部妄想だし。
そんな悲しまないで良いよ、人生いろいろあってさ。いろんなこと考える人がいるんだよ」
「ショボン警部」
突然掛けられる声。
ショボンは咄嗟に振りむいた。聞き慣れた声だ。
(゚、゚トソン「用事は終わりましたか。
そろそろ職務に戻らないと、上が煩いですよ」
(´・ω・`)「あー、長居し過ぎたね。
伝えてくれてありがとう、都村刑事」
('A`)「刑事、さん?」
落ち着きを取り戻したドクオが、女性を見つめて言う。
(゚、゚トソン「初めまして、都村トソンです」
赤みがかった髪をシンプルに束ねた女性が警察手帳をドクオに示す。
歳はまだ若い。ドクオより少し上といったくらいだ。
(´・ω・`)「私の部下だよ。私のわがままをよく理解してくれている。
まだ就いて間もないというのに立派なものだ」
(゚、゚トソン「いえいえ、ようやく扱いに馴れて来たところですよ。
それでいつ仕事に戻られるんですか?」
(´・ω・`)「ああ、一応線香だけは供えさせてくれ。
すっかりここで話こんでしまったから、まだ何もしてやれていないんだ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ショボンが墓に近づき、入れ替わってドクオが離れていく。
ドクオはトソンに近づく形となった。
(゚、゚トソン「ショボン警部から、いろいろと話は聞いていますよ」
トソンからそう話しかけられて、ドクオは内心ほっとする。
やはり自分から話しかけるのは苦手なのである。
(゚、゚トソン「内藤さんのこと、ちゃんと憶えておいてあげてくださいね。
死刑囚のお墓にお参りする人がいること自体、珍しいことなのですから」
('A`)「はあ、僕の中ではその、ブーンさんはブーンさんですから」
その発言を聞いて、トソンはくすっと笑った。
(゚、゚トソン「お優しいんですね。
今日はお一人で?」
('A`)「ああ、いえ。実は」
言いかけて、ドクオは思いだす。
つい、うっかり、忘れていたことを。
慌てて墓を振り返ったときには、もう遅かった。
(#´・ω・`)「墓前で何をしとるんだ貴様わああああぁぁぁあああああああああ!!!」
(;・∀・)「だあああああ、ちょ、火ぃ向けんなおいいいいいい!!!」
墓の前で、二人の中年が乱舞している。
その光景はまさしく異様で、ドクオもトソンも呆然とその姿を見るしかなかった。
(;'A`)「あー、あれと一緒に来ました、はい」
ようやくドクオは、さっきの問の答えを絞り出す。
トソンは何とも言えない表情を浮かべている。
(゚、゚;トソン「お互い、碌な中年が周りにいないようですね」
(;'A`)「ああ、ショボンさんもやっぱりあんな感じの人なんですね?」
(゚、゚トソン「あ、わかります?」
('A`)「ええ。モララーさんと仲いいから、そんな感じなのかなって。
こっちのもだいぶアグレッシブなので。もう40なのに、なんなんですかね」
(゚、゚トソン「ですよねー」
暫く時間が経った。
(´・ω・`)「それで、墓の裏でこそこそしていたわけは?」
( ・∀・)「お前と会いたくなかった」
(´・ω・`)「墓の前に突然飛び出してきたわけは?」
( ・∀・)「脅かしたら面白いかなと思った」
(´・ω・`)「…………貴様、友達の墓をなんだと思ってるんだ」
( ・∀・)「へへー、墓は墓さ。そこに私はいませんっていうじゃんか」
(#´・ω・`)「……ッ」スッ
(;・∀・)「ちょちょちょ、悪かったって。脅かしてごめんて」
(´・ω・`)「そこじゃないわ」
(゚、゚トソン「警部ー、いつ帰るんですか?」
(´・ω・`)「ああ、もう仕方ない。
線香は撒いてしまったし、また後で供えるか。
おい、モララー。ちゃんとかたしておけよな」
やりとりをした後に、ショボン警部とトソンは帰っていく。
後に残されたのはドクオと、モララー。
( ・∀・)「だからよぉ、あいつは絶対怖がってたんだって。
それが恥ずかしいからって隠しちゃって、あいつったらもー」
ぼやきながらも、屈みこむモララー。
撒かれてしまった線香を、ショボンに言われたとおりにちゃんと片付けるようだ。
その様子を見て、ドクオはやや笑顔になる。
( ・∀・)「ん、どーした、ドクオ」
('A`)「え、ああ、僕も手伝いますよ」
我ながらうまくごまかせたと思いながら、ドクオもまた屈みこむ。
ついでに墓石の前の草をむしりとり、簡単な掃除を行った。
('A`)「ショボン警部って、モララーさんとどういう関係なんです?」
思い浮かんだ疑問をドクオは口にした。
モララーは苦笑いをする。呆れているような、恥ずかしがっているような、そんな表情だ。
( ・∀・)「俺、昔あいつに逮捕されたことあんだわ。そんだけ」
あまりにもさらっと言ってしまうモララーに対し、ドクオは面食らう。
もっともこの人と話していると、そんなことはしょっちゅうなのだが。
(;'A`)「ええ!? な、何かしたんですか」
( ・∀・)「いやいや、冤罪だよ冤罪。
結局は参考人って扱いされたんだけど、俺も相当取り乱していたからなー。
ちょっと迷惑かけたわけだ。ま、そんだけさ」
愉快そうな口調だが、モララーの顔つきはどこか寂しそうだった。その翳りが何を意味しているのかはわからない。
( ・∀・)「さて、この線香まだ使えるよな。
俺ももってきたんだ。一緒に火をつけようか」
モララーはそういって、懐からライターを取り出した。
タバコは吸わないモララーだが、今日は自分でも線香を供えるために、用意してきたのである。
集めた線香に火をともし、モララーはそれを墓の前においた。
細々とした煙が僅かに見えて、すぐに空気にまみれてしまう。
手を合わせ、目をつぶる。
目の前の探偵のその仕草を、ドクオは何の気なしに眺めていた。
さっき自分も行った動作。故人の墓を前にして人がする礼。
ドクオはさっき、ブーンさんにいろいろなことを言おうとした。
自分が今でも元気なこと、ブーンさんの過去を知ってしまったこと。
母親のこと、シュールのこと、事件のこと。
最終的にまとまらず、困り果てた挙句に
ドクオはありったけの感謝の念を込めてブーンさんに送っていたのである。
自分が抱いている感情は、つまるところそれなのであるから。
ブーンさんに様々な葛藤があったことはもう聞いている。
そして、嘘をつくことに疲れてしまい、命を断ったこと。
だけど、ドクオにとってその笑顔は真実だった。
ドクオを支えてくれた笑顔は確かに存在したのだ。
それで十分だ、ドクオはそう想い、ブーンさんの冥福を祈っていたのだ。
さぼってんじゃねーぞ
早くしろ
もういいだろ
高校野球板で揉めたからってバスケ板を荒らさなくてもさ。岩手の奴は秋田を叩き、秋田の奴は岩手を叩くって見ててツラくなってきたよ。
秋田叩き=岩手人じゃないよ(笑)
荒らしを放置出来ない低能ども
(*゚ー゚)「あら、お二人さん……」
声に気付いて、モララーとドクオは振り返る。
久しぶりに見る上品そうな笑顔。
( ・∀・)「しぃさんですか。お久しぶりです。
どうしてここに?」
(*゚ー゚)「内藤さんのお墓に、お花を添えようとね」
そう言って、しぃは手に提げた数輪の花を掲げ、モララーとドクオに示す。
白くて大き目な花弁のある、かわいらしい花だ。
(*゚ー゚)「玉簾という花よ。彼岸花の仲間なの。
内藤さんには、この花の方が似合っていると思ったのよ」
そういうと、しぃはブーンさんの墓前に向かい、花を添えた。
( ・∀・)「もう内藤とつーさんのことは知っているんですね」
(*゚ー゚)「ええ、事件のこともすっかりききました。
つーにも近々面会に行こうと思っています」
そう言って、しぃは墓前で手を合わせる。
(*゚ー゚)「私は思います。
内藤さんは本当につーのことが好きだったんだって。
だからつーを更生させようとした。そのことは事実だって」
そういって、しぃはお墓に一礼した。
(*゚ー゚)「いつか父親もこの墓に来たいと言っていました。
当分仕事に追われているようですけど」
一度落ちた信用を取り戻すのは、長い時間のかかることである。
長岡グループはつーの犯行によって信用を落とし、モナー会長はその埋め合わせに日々活動していた。
('A`)「もうずいぶん経つのに」
(*゚ー゚)「ふふ、人に信じてもらうのって大変なことなのよ」
しぃは恐らくモナー社長のことを考えていったのだろう。
だけど、ドクオの頭にはブーンさんのことがあった。
世間の関心は確実にブーンさんから離れている。
一度想起したとはいえ、やはり過去の人、記憶にいつまでもとどめておくことはできない。
そのことは咎めるべきではない。だけど、モナーはまだ忙しいままだ。
そのギャップがどうにももどかしかった。どうしようもないことなのだけど。
(*゚ー゚)「そういえば、今更になってしまうけど、あなたたちにもご迷惑をおかけしました」
そういって、しぃはドクオとモララーに頭を下げた。
唐突な謝罪に、二人は面食らってしまう。
(;・∀・)「いえいえ、もうずっと前のことですし」
(*゚ー゚)「あら、でもお詫びでもしようかと思ったのに」
( ・∀・)「あ、そういうことなら遠慮なく」
(;'A`)「ちょ」
( ・∀・)「……って感じの眼をドクオがしています」
(;'A`)「ふえぇ!?」
(*゚ー゚)「うふふ、相変わらずね」
品の良い笑い声が、爽やかな風と、金木犀の香りをまとって流れた。
金木犀は霊園の端に並び立っているものだ。
秋のこの頃になると突然咲き、その香りを人々へ運んでいく。
(*゚ー゚)「いい金木犀の香り……」
ドクオがちょうど考えていたその花の名前を、しぃが口にする。
(*゚ー゚)「それじゃあ私はこれで。
お二人は、まだここにいらっしゃるの?」
( ・∀・)「ええ、ちょっと。人を呼んであるので。
ちょっと長々と待っていますけどねえ」
日は少しずつ傾いていく。
二人はお昼過ぎからここにいて、お墓の掃除をしていた。
だけど、時刻は既に3時に迫ろうとしている。
(*゚ー゚)「わかりましたわ。
お礼の際にはまた連絡します」
そういって、しぃは頭を下げ、帰っていった。
3時を回って、ようやく待っていた人たちが来る。
( ・∀・)「奴ら、堂々と遅れやがった……」
('A`)「あ、お花とかいろいろ買っていたみたいですよ。
何か持っているのが見える」
遠くから、こちらへ向かってくる様子を確認する男二人。
lw´‐ _‐ノv 「やあ、変態」
('A`)「やあ、シュール」
( ・∀・)「……馴れねえなあ」
ξ゚听)ξ「お墓の掃除、終わった?」
( ・∀・)「ああ、大丈夫だ。
てかずいぶん遅かったなー」
こうして姿を見るのはひと月ぶりだった。
シュールとツン。
二人とも、モララーとドクオの墓参りに付き合ってくれることになっていた。
('A`)「揃いましたねー」
誰に対してでもなく、ドクオは言う。
ブーンさんのお墓の前に、その親友と、お世話になった二人が来ている。
ブーンさんのいないところで、僕らはブーンさんについてのことで、繋がっている。
そんなことを心の中でドクオは思った。
さきほどショボンは言っていた。
内藤は死ぬつもりでいたと。つーとの面会が引き金になったと。
もう会うことができない身だから、その申し訳なさから死を選んだと。
でも会えなくなってもこうして繋がっているじゃないか。
実際に会わなくても、僕らはブーンさんのことを語り合える。
それが最も良いことなんじゃないか。
ドクオは、今度ははっきりと、ブーンさんに対してそう言っていた。
その感情が、ドクオの眼を滲ませる。
( ・∀・)「どうしたドクオ、急に俯いて」
モララーの言葉に気付いて、ドクオは急いで顔を上げる。
(;'A`)「な、なんでもありません!
ただなんというか、ブーンさんにこの光景見せてあげたかったなって思って」
ξ゚听)ξ「ずいぶんと優しいこと言うじゃないの、ドクオ」
ツンがそう言い放つ。
こみ上げる恥ずかしさを必死で隠しながら、ドクオは苦笑いした。
ツンもドクオにほほ笑む。
ξ゚ー゚)ξ「だったら、代わりにあんたが憶えておいてあげなさいよ」
なるほどなぁ、とドクオは思い、頷いた。
ツンはそれから、モララーの方を向く。
ξ゚听)ξ「お花選ぶのに手間取って遅れちゃった。お線香はあるんでしょうね」
( ・∀・)「遅れたこと詫びるわけじゃないのかよ。
お線香ならあるよ、ほら」
モララーが線香を差し出して、ツンはよし、と頷く。
ξ゚听)ξ「あら、誰かもう置いていったのね。
綺麗な花……」
墓前に供えられた玉簾を見て、ツンが言う。
( ・∀・)「ああ、つーの妹さんがな」
ξ゚听)ξ「なるほどねえ」
それから、ツンは自らの花を手提げ袋から取り出した。
白い小さな花弁がいくつも重なり、まるで球体のようにも見える花が三本。
ξ゚听)ξ「百日草。最近じゃあんまり花屋さんで売ってないのよね」
三本のそれを、ツンは愛おしそうに優しく墓に供えた。
ξ゚ー゚)ξ「あたしと、あんたと、ブーンの分」
自慢げに、ツンがモララーに言ってのける。
lw´‐ _‐ノv「あ、私も」
そういって、シュールも花を取り出す。
小さな紫色の、落ち着いた雰囲気を醸し出す花が二本。
lw´‐ _‐ノv「吾亦紅。これは私と、ドクオの分」
それから静かに、シュールはその花を墓前に供える。
墓の前で手を合わせるツンと、その横に立ち、手を合わせるシュール。
三種類、六本の花が墓前を彩る。
さきほどまで寂しかったお墓が、今では賑やかそうに見えた。
しばしの時間ののち、二人は満足そうに顔を上げる。
再びそよ風が流れ、金木犀が想起される。
秋が深まろうとしているのだ。
心地よい空気が漂う中、モララーが切り出した。
( ・∀・)「さて、お墓参りはこれでいいだろ。
いくぞー、ドクオ」
ξ゚听)ξ「あんた、ホントに手伝えるの?」
ツンがドクオに尋ねる。
('A`)「んー、やってみたいから、やるだけのことはやろうかなと」
ドクオは何とか言葉をつなげていく。
ξ゚听)ξ「まあね、ちょっと変わったバイトと思えばいいけどね」
どことなく不安そうな顔をするツンを見るのが、ドクオには妙に新鮮だった。
母親であるツンはいつもドクオには強気な態度を示している。
そういう性格なのだとドクオは理解していたし
だからこそ、こんなにも心配そうな顔をするツンが新鮮だったのだ。
lw´‐ _‐ノv「私はなんだかんだで上手くいきそうだと思う」
シュールはさらりと言ってのける。
lw´‐ _‐ノv「やるときはちゃんとやる人だからね」
( ・∀・)「やらないときはとことんダメだけどなー」
照れそうになったドクオの顔が、モララーの一言で妙に引き攣る。
(;'A`)「も、モララーさん。僕大丈夫ですかね?」
( ・∀・)「最低限のカバーはするよ。
そりゃあ、勝手に変なことになっちゃ困るものな」
その言葉を聞いて、少しだけドクオの気持ちが落ち着く。
('A`)「と、とりあえずやるだけのことはやってみます」
( ・∀・)「うん、それがいいよ」
しかしなあ、と、モララーは顔をほころばせる。
( ・∀・)「まさかお前が探偵の助手になりたいなんて言ってくるなんてな」
その言葉を耳にして、ドクオはやや顔が赤くなる。
('A`)「ちょっと興味が湧いて、それでです」
( ・∀・)「あんまりいい仕事じゃないし
お前もそう思うって言ってなかったか?」
('A`)「そりゃあ……いいましたけど」
ドクオにはそれ以上言葉が続けられなかった。
本当に、ただ何となくでしかない。それでいいのかは知らない。
でもやってみたいという気持ちが確かに湧いていた。
だから、モララーに頼んでみたのである。
自分を助手にしてくれと。
モララーは渋々ながらも、バイトの一環としてOKをだした。
この秋から、ドクオはモララーの助手になったのである。
ξ゚听)ξ「ドクオのこと頼むわよ。
変なことに巻き込んだら訴えてやるから」
(;・∀・)「物騒なこと言うなあ」
ξ゚听)ξ「当然」
lw´‐ _‐ノv「それで、これからドクオはモララーさんのとこに行くわけね」
('A`)「ああ、探偵事務所を紹介されるみたい」
そうして、四人は霊園から離れていく。
ξ゚听)ξノシ「それじゃあねー」
lw´‐ _‐ノvノシ「頑張れよー」
駐車場で二人の女性は車に乗っていく。
男はそれを手を振りながら見送るだけ。
('A`)「…………」
( ・∀・)「…………乗せてけよ」
('A`)「あの、車は?」
( ・∀・)「そんなの無い。
ほら、走るぞ!」
あまりにも急のことで、ドクオは反応が鈍った。
モララーは突然道路へと走り出してしまったのだ。
慌ててモララーを追おうとするが、ドクオの体力が無いのも事実。
山育ちのモララーの足腰は、40歳であろうともドクオとは比べ物にならない。
ドクオがへとへとになりながらも、二人の間は離れていった。
街の中でもすいすいと走ってしまうモララーをドクオは感心しながら見ていた。
とはいえ走りながらで、直視できるわけではない。
それでも彼が、人々を軽々と避けながら進んでいくのがよくわかる。
(;'A`)「な……なんでこんなことに……」
よろけて、ドクオは傍の塀にもたれかかる。
荒いでしまった息を整えるためだ。
モララーとの差はもう500m近い。
きっとあのまま駅まで行くというのだろう。
ドクオもお金は持っていたから、モララーと離れていても帰ることはできた。
しかしF市まで今から赴いて、探偵事務所へ向かうのも疲れる話だ。
早くも諦めてしまおうかという気持ちが起こっている自分がいて、ドクオは情けなくなる。
('A`)「……?」
モララーの遠ざかる後ろ姿を見ていたときだ。
一人の人影が、路地裏から出てくるのに気付いた。
いたことには全く気付かなかった。
それでもその人は確実にモララーの方を見ている。
モララーを追っている――そんなフレーズがドクオにはすぐ思い浮かぶ。
ずいぶんと物騒な発想が浮かぶようになってしまったと、ドクオは思った。
と、その人は顔をドクオの方に向ける。
正確には、ドクオのいる方角へと体を向けたのだ。
走っていってしまったモララーとは、反対の方角へ。
少女はドクオに気付いたのかどうかはわからない。
しかしすぐに道に出てきて、今度はドクオの方に歩いてきた。
ノパ听)
明るい赤みがかった髪の奥に、はっきりと少女の顔があった。
まだ10代のようだ。ずいぶんと幼い。
そしてどうも、ドクオは自分にとって苦手なタイプの人のように感じた。
元々女性と接するのは苦手ではあるのだが。
ドクオは身を強張らせた。
が、少女は特にドクオに関心を示さずに、そのまま通り過ぎてしまう。
呆然としながら、ドクオはその後ろ姿をちらっと見た。
自分の思いすごしだろうか。
彼女がモララーを追っているなんていうのは。
しかしどうもそれだけではないように、ドクオには感じられてしかたがなかった。
('A`)「誰なのかな……」
ぽつりとつぶやく。
もう少女は歩いて行ってしまった。
その言葉は誰にも届いていない。
やがて、息が整っていることに気づき、ドクオは伸びをした。
そろそろ駅に向かわないといけない。日が暮れてしまう。
そう思い立ち、ドクオは駅へと進んでいった。
ほどほどに走りながら。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
16時半 F市 モララー探偵事務所――
( ・∀・)「……こねえなあ」
事務所の椅子に座り、背もたれにだらっと寄りかけながら、モララーはドクオの帰りを待っていた。
広い窓から差し込むオレンジ色の陽光。日が傾くのもだいぶ早くなってきた。
残暑はそろそろ終わりをつげ、秋が半ばにさしかかろうとしている、そんな時期であった。
さきほどA市で思いっきりドクオを突き放してしまったのは、多少申し訳ないとモララーも思ってはいた。
走り出したのに特に理由は無い。強いて言うならもうブーンの墓の前でだらだらと感傷に浸りたくなかったということだけだ。
先程、モララーはブーンの墓の前ではっきりと告げた。
これからブーンのことは絶対に忘れない。自分が追い込んでしまったことをちゃんと憶えておく。
その上で、いつまでも友達でいよう、そうはっきり念じたのだ。
想いと言うのがどこまで届くかわからない。届かないかもしれない。
それでも想わないわけにはいかない、そんなことをひと月以上前にも考えていたことを、モララーはふと思い出す。
ブーンの墓の前で、ようやく形にした気分だった。
懺悔の気持ちは、今になって始まったのである。
そして、だからこそ、これ以上ブーンの件に囚われるわけにはいかない。
自分は自戒の念を抱きながら、前に進まなければならない。
そうでないとブーンも浮かばれないだろうから。
突如、事務所の電話が鳴る。
仕事の依頼だろうか。タイミングがいいな、なんてモララーは想いつつ受話器を取った。
( ・∀・)「はい、モララー探偵事務所です」
「モララーですね」
その言葉には聞き覚えがある。
懐かしい気持ちが湧くとともに、若干肩を落とす。
彼が事件の依頼をするなど考えられないからだ。
気を取り直して、モララーは返事をする。
( ・∀・)「久しぶりだなあ、マス」
( <●><●>) 「憶えていてくれて何よりです」
( ・∀・)「そりゃあ、一緒に一時期暮らしていた奴を忘れるかよ」
( <●><●>) 「普通ならそうですが、君はどうも飄々としていますからねえ。
ひょっこりまた記憶を失ってしまったりしてるんじゃないかと思ったんです」
(;・∀・)「不幸すぎるわ」
言いながら、どこか安心しているモララー。
このやりとりはもう、ずいぶんと懐かしいものだった。
( ・∀・)「しかしお前から電話なんてなあ。
いつも俺から電話していたのに」
( <●><●>)「しかも碌に話をしないままで、お金の催促ばっかりだったんです。
君がそのままニートでありつづけるというなら、困ったものなんです」
( ・∀・)「探偵やってるじゃん。いいじゃないかそれでー」
( <●><●>)「…………あの」
( ・∀・)「あ、そういえば、どうして電話なんかかけてきたんだ?
まさかお前ほど頭の切れる奴が、俺に事件の相談なんてしてくるわけわるまい。
今や大企業の重鎮にまで上り詰めている、分手マスさんが」
( <●><●>)「ずいぶん棘のある言い方ですね」
( ・∀・)「いやいや、ずいぶん遠いところまでいっちゃったんだなって、思っただけだよ」
( <●><●>)「……事件のことをきいたんですよ」
( ・∀・)「電話の理由?」
( <●><●>)「ええ」
( ・∀・)「ふーん、お優しいことで」
( <●><●>)「ちょっと前に、ショボン警部に会いました」
(;・∀・)「えっ」
( <●><●>)「1か月ほど前、君が命を狙われた日ですよ」
( ・∀・)「あー、ショボンがうちの実家に寄ったときか」
( <●><●>)「そうなんです。
僕はたまたま休暇を取って、父の手伝いをしていたんです」
( ・∀・)「言ってくれればよかったのに、ショボンの奴め」
( <●><●>)「今更ですが、生きてておめでとうなんです」
(;・∀・)「お、おう。なんだいきなり」
( <●><●>)「命を狙われた人に何も言わないのも失礼かなと思ったんです。
ま、君がなかなか死なない男だということはよくわかっているんですけどね」
(;・∀・)「言ってくれるねえ」
( <●><●>)「話を戻すんです。
とにかくショボン警部と会い、君の話をしました」
( ・∀・)「……何かあったっけな」
( <●><●>)「探偵をやっていることは、父から聞いていました。
ショボン警部と会って、まだやっていることがはっきりとわかりました」
( ・∀・)「なんだよ、知っていたんだろ?」
( <●><●>)「さっきも言ったように、君はお金の催促でしか僕と連絡を取りませんでした。
だから君が今現在どうやって生きているのかまでははっきりとは知らなかったんです」
( ・∀・)「なーるほどねえ」
( <●><●>)「…………で」
( ・∀・)「ん?」
( <●><●>)「君はいつまで探偵をやっているつもりなんです?」
( ・∀・)「…………」
( <●><●>)「…………」
( ・∀・)「まだだ」
( <●><●>)「何が、まだなんです?」
( ・∀・)「まだ俺は知らない。だから、まだする」
( <●><●>)「モララー、あなたという人は……
まだ信じているというんですか」
( ・∀・)「おうよ。
それに今回の事件で、俺は昔の親友のことを知ってしまった。
あんな話を知っちまったからよ、俺は改めて思ったんだ。
これからはいろんなものを、ちゃんと信じてやろうってな」
( <●><●>)「簡単に言いますね」
( ・∀・)「言わなきゃ前に進めねえからな。
とりあえず言って、行動してりゃなんとかなるって」
( <●><●>)「進めるというんですか、君が」
( ・∀・)「おいおい、今日はやけに攻撃的じゃないの」
( <●><●>)「君はもっと現実的になるべきなんです。
僕の眼には、君はいつまでたっても、過去にとらわれて生きているように見えてしかたないんです」
( ・∀・)「なんでそんなことわかるんだよ?」
( <●><●>)「一緒に暮らしていたからですよ」
( ・∀・)「お前こそ簡単に言うな」
( <●><●>)「ふふ、確かにそうですね」
それから、お互い暫く黙っていた。
モララーはそれほど怒ってもいない。むしろこの微妙なやりとりを楽しんでいた。
分手マスの考えていることはよくわかる。自分はもう40歳。そろそろ真面目に定職についてほしいということなのだろう。
( <●><●>)「とりあえず気が済むまで、お金は出しておいてやるんです」
( ・∀・)「あ、おお。ありがとよ」
( <●><●>)「いえいえ、元より説得など上手くいくはずないと思っていました」
( ・∀・)「さすが」
( <●><●>)「どうもなんです。
たまには父に、ビロードに顔でも見せてあげるんです。
心配そうでしたから」
( ・∀・)「あの顔はいつでも何かしら心配していそうだがな」
( <●><●>)「それを言っちゃかわいそうなんです」
( ・∀・)「とにかく、わかったよ。今度挨拶でも行くわ。
仕事も一段落ついたしな」
( <●><●>)「それじゃ、さよならなんです」
( ・∀・)「おう。ありがとさん」
受話器を下す。
窓の外は赤々としている。
ずいぶんと話しこんでしまっていたようだ。
( ・∀・)「てかドクオまだこねえのかよ」
静かな事務所の中で、ぽつりと呟く。
返事はもちろんない。
一人でいるのがこんなにしんみりしたものだったかな、なんてことをちょっと考えてしまう。
過去にとらわれている――思いついたのはこのフレーズだ。
先程の電話の中で、分手マスがモララーに対して言った言葉。
何を指しているのかはよくわかっている。
それはこの事務所が、モララーだけのもので無かった頃の話。
この事務所はそもそも『分手探偵事務所』だった。
モララーとマスが創始したのである。
しかし、マスがこの事務所を離れる際に、名称を変えた。
モララーだけの探偵事務所という意味で、『モララー探偵事務所』に。
モララーは椅子に深々と座る。
妙に疲れた気分だ。
きっとあんな話を分手マスとしたからだ、モララーはそう決めつける。
わかってるさ――
モララーは心の中で応えた。
マスは本当に、よくモララーのことをわかっていたのだ。
自分が過去にとらわれていることはわかってる。
モララー自身そう感じていた。
わかっているけど、やめるわけにいかない。
ブーンのことを知るずっと前の話。
あの雪の降りつもる冬の夜の日。
真っ白い冬化粧が、轟音とともに火炎に包まれたあの日。
モララーは忘れるはずが無かった。
「信じてくれるだろ」
記憶の隅に寝かしつけておいた言葉が、今日はよく蘇る。
「お前がそういう奴だってことを、あたしはよく知ってるんだ。
だからあたしは安心できるのさ」
( ∀ )「信じてるさ、ハイン」
返事はもちろん、無い。
何度も何度も、独りの時に口にした名前。
突然ドアがノックされる。
「モララーさん! ちょっと、開けてください!」
この慌ただしい感じ、モララーはほっとする。
ひどいセンチメンタルな気分に陥りそうな自分を、まるでこの声が救ってくれたみたいだ。
そう思って、我ながらアホみたいなことを思いついたなと、モララーは自嘲した。
「ねえちょっと、聞こえてますか!」
はいはい、と言いながら、モララーはドアノブに手を掛ける。
( ・∀・)「はいよ! どうしたドk――」
名前が途切れてしまう。
目の前の光景があまりにも不可思議だったからだ。
∩___∩
| ノ ヽ
/ ● ● |
| ( _●_) ミ
彡、 |∪| 、`\
/ __ ヽノ /´> )
(___) / (_/
| /
| /\ \
| / ) )
∪ ( \
\_)
( ・∀・)「…………」
(;'A`)「あ、モララーさん! 手伝ってくださいよ。
この事務所に届けものだって、下の大家さんに言われて持って来たんですから」
( ・∀・)「……なにこれ?」
(;'A`)「クマの置物ですね」
全長1mほどの巨大なクマの剥製だった。
ドクオとモララーで、何とかしてそれを事務所に引き入れる。
(;'A`)「ひぃ、ひぃ。
何なんでしょうねえ、これは」
( ・∀・)「いやー、わからんなー。
誰から送られてきたって、大家さん言ってた?」
('A`)「聞いておきましたよ。
『杉浦ロマネスク』って宛名が書いてあったそうです」
( ・∀・)「……誰だっけそれ」
(;'A`)「え、知らない人からのなんですかこれ」
( ・∀・)「んー、どこかで聞いたことあるような、どこだったっけ」
(;'A`)「あ、危なくないんですかねえ」
( ・∀・)「どうだろうなあ。
でも宛名が書いてあったんならすぐ調べられるだろ」
( ・∀・)「よし、とりあえず事務所に飾っておこう。
縁起いいかも! 全く知らんけど」
それからしばらく、モララー探偵事務所には謎のクマの剥製が飾られることとなる。
最初こそ警戒はしていたものの、特に変化はない。
送られてきた名前はわかったが、住所はわからなかった。
というのも、そこに書かれていた住所はとある学校のものだったからだ。
その学校にも問い合わせてみたが、やはりクマの置物に心当たりなど無いらしい。
イタズラなのだろうか。
疑った時期もあったが、何も起きないとあれば、そうそう興味は続かない。
それよりも、モララーの関心は、ドクオをどうにかして探偵の助手へと育てることにあった。
こうして、月日が過ぎていく。
だけどモララー達は気付いていなかった。
すでに次の事件への扉は開かれており
生臭い人間の欲望と怨恨がうねり始めていたことに。
〜〜( ^ω^)は嘘をついていたようです 後日談 おわり 〜〜
あれ
もう終わり
その程度かよ
長文カキコに飽きて逃げたか
地味子ハミングのようです川д川*(‘‘)*('、`*川
放課後の教室、喧噪が収まった頃、彼女たちは動き出す。
第一話「女子会」
('、`*川 女子会はじめまーす
川д川 え
*(‘‘)* 女子会ですか!
('、`*川 さあはじめようぜ!
川;д川 でも、でも、何もすることないんだけど…
('、`*川 あれー!? もしかして貞子、女子力足りない?
*(‘‘)* でたー! でました! 女子の最重要パラメータ女子力ですよ!
川д川 女子力って…私知らないんだけど
('、`*川 私も知らない
*(‘‘)* 私も
川д川 えーおまえら…
('、`*川 とにかくさ、各地の女子高生たちはそこかしこで女子会ってのやってんの!
ネットで見たのさ。私らも女子会やって女子力つけよう
川д川 だから女子力がわかんないんだけど…
*(‘‘)* そこはあれですよ! スイーツとか、オサレな服とかですよ!
川;д川 …? うん…まあそれはいいんだけど。何を話すの?
('、`*川 それは…ほら、彼氏の話とか
シ…ン………
*(‘‘)* 川д川 ('、`*川
*(‘‘)* キュートさんに新しい彼氏が出来たのを噂で聞きました!
('、`*川 私らの話じゃないじゃん
川д川 私たちに彼氏とかいないんだけど…
('、`*川 じゃあ、脳内彼氏でも可!
川;д川 えー? それって女子力高いの?
*(‘‘)* おーっとさだちゃん早速女子力を使いこなしてますね!
川д川 女子会ってさ、キュートさんとか、デレデレさんとか、クーさんとか
そういう人がやるようなもんだと思うんだけど…
('、`*川 最初から女子力高いやつがやっても意味ないって!
川;д川 ハードルたけぇな…
('、`*川 じゃあ、おしゃれな喫茶店の話とかしようよ。誰か知らない?
シーン………
川д川 *(‘‘)* ('、`*川
*(‘‘)* 商店街にメイド喫茶がオープンしました!
('、`*川 オタクっぽいからエーヌジー!
*(‘‘)* わー! ペニサスちゃん手厳しいですぞ!
川д川 ねえ、そろそろ帰りたいんだけど…
('、`*川 ちょっと待って。女子会に必要なもの思い出した
川д川 何それ
('、`*川 お菓子
*(‘‘)* お菓子は女子のファッションアイテムだかんね!
('、`*川 みんなでそれぞれ持ち寄って、またこの教室に集合ね
川;д川 えー。私あんまりお金ないんだけど…
('、`*川 だめだぞ貞子! 女子はね、スイーツにお金を惜しんではいけないんだぜ!
*(‘‘)* 女子の基本なんだゾ!
川д川 帰りにDVD借りようと思ってたんだけど…チッ
二十分後
('、`*川 じゃあそれぞれのスイーツを出してみて
('、`*川 :ウェハース
川д川 :黒飴
*(‘‘)* :焼き肉三太郎
('、`;川 これのどこが…スイーツじゃあああい!
川д川 そんなこといわれても…スイーツとかわかんないんだけど
*(;‘‘)* あーペニサスちゃんこれ森羅万象チョコのウェハースじゃん!
カードが欲しかっただけでしょー!
('、`*川 ばれたか
川д川 せっかく買ったし、食べたいんだけど
('、`*川 じゃあ食べながらおしゃれについて議論しよう
*(‘‘)* 女子会キター!
('、`*川ボリボリ
川〜川
*(‘‘)* ンマーイ! やっぱ焼き肉三太郎を超える駄菓子はないっす!
('、`*川 最近さあ、ユニクロでババシャツ買ってさあ
川д川 たぶんそれヒートテックなんだけど
('、`*川 ああ、それそれ。めっちゃ暖かいんよ。今も着てるけど
川д川 へー
*(‘‘)* 科学の進歩を感じますね!
('、`*川 私にも黒飴ちょうだい
川д川 いいよ
*(‘‘)* 私の三太郎もあげますよー!
('〜`*川
川д川ボリボリ
*(‘‘)* ところで何のカードが当たったの?
('、`*川 えっとねえ…
<('、`<;川 ちがああああう!
*(‘‘)* ペニサスちゃんが発狂した!
('、`;川 森羅万象チョコのおまけなんかどうでもいいわ! てかダブったから捨てたわ!
*(;‘‘)* もったいない! そういうのは筆箱の裏に貼ればいいのに!
('、`*川ゼェ…ゼェ…
('、`*川 もっとこう、華やかな話がしたいんだよ!
川д川 たとえば?
('、`*川 たとえば…
('、`*川。0( ζ(゚ー゚*ζ ねえねえー、キューちゃんの推しメンは?
('、`*川 つけ麺の話とか
川;д川 ……?
*(‘‘)* 華やかとはいったい何だったのか
川д川 五時からのアニメ見たいから帰りたいんだけど
*(‘‘)* 銀魂ですね! 私も見てますよ!
('、`;川 あ、ちょっと待ってよ! 別に見逃してもいいじゃん!
私HDで録画してるからあとでみしたげるよー!?
終わり
('、`*川 女子力あがったかな?
川д川。0(ウェハースの食べ残しが口についてる間は無理そうなんだけど…
('、`*川 はーいチョコレート
川д川 はい、私も
*(‘‘)* わーいダブルチョコで幸せも二倍ですー!
('、`*川 ていうかさ…
第二話「ホワイトデー」
('、`*川 もう友チョコやめようぜ…
*(;‘‘)* えー!? それは絶交宣言ですか!
('、`*川 違うって。ただむなしいだけ
川〜川 別に友チョコとかムグムグふつーだと思うけどムグムグ
('、`*川 だってさ、先月にチョコ渡しあったじゃん?
んで今月も同じことすんじゃん? 生産性ないなーって
*(‘‘)* そんなことないですよ! チョコの数だけ幸せがあるのです〜
川д川 確かに男子にチョコを渡すのは夢だと思うけど…
もしホワイトデーにお返しなかったら死にたくなるよ
*(‘‘)* 下手するともらってすらくれない可能性が!
('、`*川 そこなのよねー
川д川 あー、わかった
('、`*川 何よ
川д川 男子にチョコ渡せなかったからいじけてるんだ
('、`*川 はー? そんなんじゃないし
川д川 だって…変に機嫌が悪いと思うんだけど
*(‘‘)* 誰ですか意中の男子は!? ジョルジュくん!? モララーくん!?
ま、まさか最近人気急上昇中のワカッテマスくん!?
('、`*川 てかさ、この中で男子にチョコ渡せたことあるやついんの?
川д川 *(‘‘)* ('、`*川
川д川 愚問だね
*(‘‘)* そんな勇気があったら今頃はウォーリアーですよ!
川;д川 それもよくわかんないんだけど…
('、`*川 このままじゃだめよ!
川д川 何で?
*(‘‘)* どして?
('、`*川 男子と何の関わりもなく…ていうか会話すらなく高校生活が終わってしまうわ!
川;д川 別に…それで困らないと思うけど
('、`*川 だめったらだめ! 今からでも遅くない! 誰かにチョコ渡してくる!
*(‘‘)* ホワイトデーなのにチョコ送りつけるですか!?
('、`*川 変かな?
*(‘‘)* まるでお返し目当ての押し売りだよ…
川д川 だいたい誰に渡すのよ
('、`*川 また話を蒸し返すー! 別に特定の好きな人とかいないからね
*(‘‘)* フォックス先輩はどうですか!?
('、`*川 何でフォックスさん?
*(‘‘)* 最近吹奏楽部に入ってトランペットの上達ぶりがすさまじいようです
女子からの人気も急上昇中の流行ブランドですよ!
('、`*川 あんたの噂ってどっから拾ってきてんの
川д川 あと、渡すなら一人でやって欲しいんだけど…
('、`;川 え!? そこは一蓮托生だよ! やだよー私一人で男子に話しかけるの!
絶対どもっちゃうもん!
川д川 私も赤面症がひどくなるから無理なんだけど…
*(‘‘)* ヘリカルは何しゃべっていいかわかんなくなる
*(‘‘)* 川д川 ('、`*川
緊急会議 「男子に話しかけるには?」
('、`*川 緊張するからだめなんだよ
川д川 知ってるんだけど…わかってても無理なものは無理
('、`*川 最後に男子と話したのはいつ?
*(‘‘)* えっとねー! 私はたぶん中学校の卒業式のとき!
「写真とってくれない?」って言われました!
('、`*川 それ会話に入れていいのか
川д川 私の場合は……私も中学校のときだ
体育祭のとき「余ったから補欠でいい?」って訊かれた
('、`*川 それも会話かどうか怪しいんだけど。ていうか悲惨なんだけど
*(‘‘)* ペニサスちゃんはいつ頃?
('、`*川 私は先週かな
川;д川 え!? 何をしゃべったの…?
「チッ。トロくせえな」
('、`*川 …って廊下でぶつかったときに
川д川 それ会話じゃないんだけど
*(‘‘)* トップクラスで切ないんだけど
('、`*川 思い出したら悔しくて鼻水出てきた…
*(‘‘)* ほら、ちーんってしなさい! ちーんって!
('□`*川チーン
川〜川 ムグムグチョコ全部食べちゃうよ?
終わり
('、`*川 芸能人で付き合うとしたら誰がいい? 私は誰でもいい
*(‘‘)* 志だけは高くってヘリカルいっつも言ってたでしょ!
川д川 見てないの?
('、`*川 もっかい言って
川д川 怪盗天使サミュエルだよ
('、`*川 名前だけ知ってる
*(‘‘)* さだちゃんはアニメ好きなのね!
第三話「リア充」
川д川 別に好きって訳じゃないけど…
('、`*川 あんまり見ないの?
川д川 今期はまあ…四つ、五つ? くらいだけど
('、`*川 結構見てるじゃん
川д川 見てないし
('、`*川 なぜそんなにかたくな…
*(‘‘)* 私も見てますよ! プリキュアとハンターハンターと銀魂と…
('、`*川 おー割と見てんだね
*(‘‘)* アニメ博士と呼んでください!
川д川 博士だったらサミュエル見てよ
('、`*川 こだわるなー自分!
川д川 あれ見てないとか損してるよ
*(‘‘)* 最近のプリキュアはすごいんですよ! 変身シーンがかっくいいんです!
('、`*川 アニメ好きなんでしょ
川д川 別に…
*(‘‘)* 好きですよー!
('、`*川 なんで否定すんのよ
川д川 だってオタクっぽいじゃん
('、`*川
*(‘‘)*
川д川 …………今「ぽいじゃなくてオタクじゃん」って思ったでしょ
('、`;川 え!? ち、チガウヨ! 全然ソンナコト思わなかったヨ!
*(‘‘)* さだちゃんはオタク嫌いですか?
川д川 嫌い。きもいじゃん
*(‘‘)* きもくないですよ! ジャパンエコノミーはオタクさんで回っているのです
川д川 オタクって悪い印象しか受けないと思うんだけど…
('、`*川 まーぶっちゃけそうよね。暗いっていうかインドアっていうか
でも割り切ると楽しいもんだぜ?
川д川 ペニサスはオタク?
('、`*川 オタクじゃね。私もアニメ見るし。漫画読むし。ラノベ読むし。ゲームするし
川д川 ふーん
('、`*川 オタクはいいぞ〜。ジャンプ力が高い
川д川 は?
*(‘‘)* さだちゃんってばたまに怖い
('、`*川 そういやさ、リア充ってどんな話してんだろ
川д川 そりゃあ……なんだろ
*(‘‘)* 何だろう?
('、`*川 私らはアニメとかゲームとかで会話できるじゃん
でもリア充はあんまり知らない訳でしょ。普段何話してんだろね
川д川 さあ…………勉強の話とか?
*(‘‘)* 真面目リア充ですな!
('、`*川 それがわかれば私らもリア中の仲間入りじゃね
川;д川 そんな簡単な問題じゃないと思うんだけど……
('、`*川 そういえばヘリカルってさ
*(‘‘)* なんざましょ?
o
>>339 あれ
昼は連投じゃなく単発かよ
やる気ねーな
いつもの連投はどうした
342 :
???:2012/12/04(火) 21:32:17.06 ID:???
ハイ! そろそろキチガイの出番です! どうぞー!
↓↓↓↓↓
悲しすぎる…
世の中にこんなに寂しいひとがいたんだ。
>>339 さっさとしろよ
いちいち命令しねーと動けねーのかよお前は
使えねー奴だな
>>344 ということは、あなたが首謀者ですね^^
>>345 引っ込みつかなくなってんじゃね〜か
引き際逃して引くに引けなくて火傷してんだろうな
>>339 ほらキチガイ頑張れ頑張れ中途半端に終わらすな頑張れキチガイ
キチガイの勢いが無くなったなw
ほら頑張れ頑張れwww
富山は強いの?
>>349 馬場が凄いけどそれ以外は普通かなあ。
楽に勝てる相手ではない。
何より毎年恒例の怪我人が今年も何人かいるみたいだし
スレに平穏が訪れた
馬場ってどんな人
WCで洛南に負けたら、今年は全国大会で2勝ってことになるのか
('、`*川 元々はキュートさんとかデレデレさんのグループにいたでしょ
どういう話してたの?
*(‘‘)* たぶん先生の愚痴とか芸能人の話だったかと。正直あんまり覚えとらんとです!
川д川 なんかつまんなそう……
*(‘‘)* ヘリカル的にはもっとアニメの話がしたかった
('、`*川 てか何でそのグループ抜けたの? あそこにいればリア充まっしぐらだったのに
川;д川 もしかして…いじめ……
*(‘‘)* 違います! キュートさんもデレデレさんもクーさんもツンさんもみんないい人でした!
川д川 じゃあ…
*(‘‘)* ある日ヘリカルは気がついてしまったのです。私が話し始めると微妙な空気になることに
それが気になってきて、私の方から距離をとるようになって…
('、`*川 そしてここに落ち着いた訳か
*(‘‘)* でもペニサスちゃんもさだちゃんも楽しいから好き!
今のポジションがヘリカルのベスポジなのです
川д川 とはいってもリア充には憧れるけどね
('、`*川 私のベスポジはここじゃねえな
*(;‘‘)* おぉっと何だか裏切られた気分!
('、`*川 リア充ってどうやってリア充になったんだろ
川д川 天性の才能じゃないかと思う
*(‘‘)* 洒落乙な服着て美容院に行けばあるいは…
川д川 私セルフなんだけど……だめ?
('、`*川 だからそんなぼっさいんだ
川д川 うっせえ
*(‘‘)* けんかはだめ!
川д川 あんたはどこで切ってんのさ
('、`*川 イオンの散髪屋
川д川 あの1000円の?
('、`*川 そう
*(‘‘)* ねえ、女の子なんだから美容院行かない…?
('、`*川 なんか行ったら笑われそうで
川д川 わかる。「お、おまえが美容院…?」って思われそう
*(;‘‘)* それは被害妄想が過ぎるよぅ二人とも
川д川 ヘリカルはどこ?
*(‘‘)* ○○ってとこ
('、`*川 知らんなあ。どこのイオン?
*(‘‘)* 駅前ですよ! 小学生のときから行ってる。いわゆる行きつけです
川д川('、`*川ゴニョゴニョ
*(;‘‘)* 目の前でひそひそ話は感じが悪いですぞ!
('、`*川 髪にお金かけるのなんかもったいなくない?
*(‘‘)* そうかな…
川д川 一回で4000〜8000円くらい取られるんでしょ
それならブルーレイ買った方がお得だと思うんだけど
*(‘‘)* 女の子はメンテしないと錆びちゃうんです
('、`*川 元からポンコツなときはどうすんの?
川ー川 部品取り替えれば?
('、`*川 外科手術!?
*(‘‘)* オシャレは楽しいですよー。気分もるんるん
新しい下着をはいた新年の朝って感じ
川д川 新年の朝って別に楽しくないんだけど
('、`*川 今年も何事もなく終わるんだろうなーって予感しかしない
*(‘‘)* 二人はポジティブになることを覚えた方がいいざんすよ
終わり
川д川 リア充って何食べてんの?
*(‘‘)* ふつうです
359 :
バスケ大好き名無しさん:2012/12/09(日) 22:15:03.33 ID:hXD/4O+N
もう、やめてくれ。
自分で立てたスレでどうぞ 暇つぶしは
361 :
バスケ大好き名無しさん:2012/12/11(火) 20:43:21.56 ID:/j0nNK/G
多分、能代で一年から卒業まで、
モップ係りだった、
下手くそ野郎に違いない。
野里はかなり力付けてきてるから二年に期待
ζ(゚ー゚*ζ あ、いたいた。ちーちゃーん!
*(‘‘)* デレデレさん、どうしました?
ζ(゚ー゚*ζ あのさ、今度あたしら茶道部入ろうって話しててさ
ちーちゃんも一緒に入らない?
*(‘‘)* 茶道部とはまた女子力が高そうな響きですね!
でも私は五時からのアニメを見ないと死んでしまう体質なので
第四話「あだ名」
ζ(^ー^*ζ ふふふ。じゃあ気が向いたらでいいよ。またね
*(‘‘)ノシ またよろです!
川д川('、`*川
*(‘‘)* なぜ息を殺しているのですか
川д川 話しかけられたらいやだなって思っただけ
*(;‘‘)* えーどうして! デレデレさんはとってもいい子ですよ
('、`*川 どういう返しすれば正解なのかわかんないし
*(‘‘)* そんな難しく考える必要ないのに…
川д川 ちーちゃんって呼ばれてたね
('、`*川 うん。沢近だから?
*(‘‘)* イエス!
('、`*川 影おくりしそうなあだ名だな
*(;‘‘)* なんでヘリカル殺そうとするん?
川д川 いいなあ、ちーちゃんとか
('、`*川 ね。私もそんな感じで呼ばれてみたい
*(‘‘)* ペニサスちゃんもさだちゃんも、いいあだ名ではないですか!
('、`*川 そうやって呼んでくれんのあんただけだし
川д川 他にあだ名ってあんの?
*(‘‘)* 他だと…ちびっ子とか呼ばれたり。でも大体ちーちゃんに落ち着きます
('、`*川 私だとぺーちゃんか
川д川 カメラ持たないとね
('、`*川 だーこはあだ名とかあんの?
川д川 さだちゃん
('、`*川 それ呼んでんの一人だけだから
川д川 あとはまあ普通に…小学校のときとかはゾンビって呼ばれてたけど
*(;‘‘)* それは…なかなか心ないあだ名です
川д川 小学生はアトピーとかよくわかんなかったろうからね
('、`*川 別に言うほど酷くない気がするけど
川д川 おでこ見てみる?
('、`*川 やめとく
('ー`*川 その点私はもっちりもち肌すべすべだからな! これがあたいの武器よ!
川ー川 もち肌っていうかもちそのものだと思うけど。全体的に鏡もちだし
('、`*川 ぶっ殺すぞ
*(;‘‘)* けんかやめ!
川д川 そういうあんたのあだ名はなんなのさ
('、`*川 私は特にそういうのなかったし
川д川 4WDとか呼ばれてなかったの?
('、`*川 意味はわからんがぶっ殺すぞ
*(;‘‘)* もぉーすぐけんかするー
('、`*川 そういえば小学校のとき、一部の男子から高田延彦って呼ばれてたか
川д川 反応が取りづらいんだけど
('、`*川 腰の安定性から由来しているらしい
*(‘‘)* ペニサスちゃんのお尻セクシーだよね
('、`*川 それってフォロー? 嫌味?
*(;‘‘)* 素直に受け取ってほしいです!
川д川 私もさっちゃんとか呼ばれたいな
('、`*川 それだったら田中みな実って呼ばれたい
*(‘‘)* 由来がわからんとです
川д川 高望みし過ぎじゃない? どっちかっていうとやな…
('、`*川 先に言っておくけど蹴り殺すぞ
*(‘‘)* やっぱり名前プラスちゃんが女子のあだ名の王道ですよ!
('、`*川 でも私はヘリカルをちーちゃんとは呼べないな
*(‘‘)* 似合わないですか?
('、`*川 何となく、他人にちゃん付けできない感じでさ
川д川 それあるわ。私もちゃん付けに抵抗ある
*(‘‘)* 一度自分の中で定着させてしまえば何てことないですよ
川д川 それでもねえ。今までが友達は呼び捨て。そうでないとさん付けっていうのがハマってたから
('、`*川 いきなりちゃん付けはねえ…
川д川 女子力高いよね
*(‘‘)* 最近女子力って何なのかわかんなくなりました
('、`*川 さだちゃん
川д川 ペニサスちゃん
('Д`*川 うわぁ〜〜気色悪ぃ
川д川 こっちのセリフなんだけど
('、`*川 ちゃんに変わる新しい呼び方ってないんかね。〜っちとか
*(‘‘)* 正直古い呼び方だと思うんだけども
('、`*川 貞子だったら、貞子っち
('、`*川 何かにょろっちがさらに変な方向に進化したみたいになったわ
川д川 むかつくんだけど
*(‘‘)* 最近二人とも殺伐とし過ぎ! モアスマイルオーケー!?
('、`*川 ぺーやん。ぺー太郎。ぺー子。ぺっちゃん。ペロペロ。ペニー
*(‘‘)* なんか卑猥です
川д川 さだやん。さだぼー。さだっちょ。さだーん。さだ…セガさだーん!
*(‘‘)* 色んな意味でいま二つです
('、`*川 もぉーあだ名とか最初に考えたやつ死ねばいいのに!
川д川 こういうので格差がついてると思う
*(;‘‘)* あぁ、二人がまたネガティブの渦に巻かれてゆく
*(‘‘)* そういえばフォックス先輩にも新しいあだ名がついたようです
('、`*川 なんて?
*(‘‘)* 最近家庭菜園にハマっているらしく、ついたあだ名がカール
川д川 しょうもな…あ、ヘリカルがじゃないよ。そのあだ名がだよ
*(;‘‘)* うぅーうぅー言わなきゃよかった
81:名も無きAAのようです:2012/03/10(土) 08:56:26 [ ZafBVdME0 ]
('、`*川 やっぱりあだ名とか当分はいいわ
川д川 無くても困らないし
*(‘‘)* それをいっちゃあおしめぇよ!
第四話「あだ名」終わり
('、`*川 大学に入ったらあだ名もらおっと。例えばアヤパンにちなんで、ペニ…
*(‘‘)* 言わせねーよ!?
('、`*川 給食って偉大よね。お母さんが作る弁当の何十倍もバリエーションあるわ
川д川 自分で作れば?
('、`*川 あんた自分で作ってんの?
川д川 お母さんだけど……
第五話「趣味」
*(‘‘)* 私は自分で作ってますよ。慣れると楽しいです!
('、`*川 どれどれ。うおっ、極彩色!
川д川 ……に散れ!
*(;‘‘)* どこの殺人メガネですか!
川д川 色がたくさんあると…食べる気なくさない?
*(‘‘)* そうですかね…でもコンセプトは見て楽しむお弁当なんです!
私の動物シリーズは中々のバリエーションですよ
('、`*川 手が込んでるねー
*(‘‘)* 料理はヘリカルの数少ない趣味なのです
川д川 ふーん…私そういうのないわ
*(‘‘)* そういうの?
川д川 女の子っぽい趣味…
('、`*川 私も。習い事もまったくしてなかったしな。ピアノぐらいやっときゃよかった
*(‘‘)* 今からでもできますよ!
('、`*川 えーめんどい
川д川 時間がもったいないよね…ただでさえゲーム積んでるのに
*(;‘‘)* 趣味が欲しいっていう流れではないんですか?
('、`*川 なんか短時間で手軽にできて趣味っていえる感じのやつない?
*(‘‘)* 裁縫とかどうです?
川д川 不器用だから無理
*(‘‘)* じゃあ、占いとか!
('、`*川 それアリだな
川д川 本とか買えばできそうね
('、`*川 だーこがやると黒魔術っぽくなりそうだけど
川д川 むかつくんだけど
*(;‘‘)* 女の子なら恋占いとか、あと恋のおまじないなんか知っておくと便利ですね!
川;д川 恋のおまじない……?
('、`*川 そんなんやってさ、「他人の恋より自分の方心配しろよ…」とか言われたらどうすんの?
*(‘‘)* 泣くしかないです…
('、`*川 そういえば貞子って、小説とか書いてなかった?
川д川 書いてるよ
('、`*川 立派な趣味じゃん
*(‘‘)* いいですね! 恋愛小説だったらなおさら女子力アップですよ!
川д川 そうかな…
('、`*川 ちなみにどんなん書いてんの?
川д川 基本はBL。でもリクあったときだけノーマルカプで書いてる
('、`*川 あぁ…
*(‘‘)* あぁ…
('、`*川 絵! 絵も描けるよね
*(‘‘)* それは素敵です! アナログですか? デジタルですか?
川д川 アナログで下書きして、取り込んでからソフトで描いてるよ
('、`*川 おーそれいいよ。あれだろ。2ちゃんねるで絵師とかしてんでしょ
川д川 基本はBL。どっちかっていうとふたばにいる
('、`*川 あぁ…
*(‘‘)* あぁ…
川д川 ………今「気持ちわりぃ女だな。早く死んでくれ」って思ったでしょ
('、`;川 流石にそこまではおもわねえよ!
*(;‘‘)* さだちゃんは大切なお友達です!
川д川 じゃあ次までに新しい趣味つくっとくわ…
('、`*川 お、落ち込まないでね
*(‘‘)* 今度絵を見せて下さい!
第五話「趣味」終わり
('、`*川。0(よくよく考えれば、私も乙女ゲームやりまくってるわ…
*(‘‘)* 私はぼーっとしてます
川д川 私も大体そんな感じ
('、`*川 えー! でももったいなくない?
*(‘‘)* そう思うのであればちゃんと授業を聞けばいいと思うのですが
川д川 同感
第六話「授業中のアレコレ」
('、`*川 集中力が続かないのよー
川д川 たかが40分程度で…
('、`*川 冬は暖房でぽかぽかして眠くなるでしょ。夏は陽気でぽかぽかして眠くなるでしょ
秋は昼寝の秋だから眠くなるでしょ。春なんか眠いに決まってんだから当然寝るじゃん
('、`*川 いつ起きてりゃいいのよ!
*(;‘‘)* 寝なさんな!
川д川 眠いときはコンパスで手のひらを刺すと眠気が吹っ飛ぶよ…
('、`*川 やらねえぞ
*(‘‘)* ノートに字を書くだけでも大分違いますよ。眠いときこそ書き取りです
('、`*川 えぇー? めんどぉーい
*(‘‘)* ペニサスちゃん……駄目な子……!
川д川 そういえば私も、授業がだるいときはよく考え事はするけど…
('、`*川 考え事?
川д川 眠るよりは生産的だと思う
*(‘‘)* 何を考えているのですか?
川д川 例えば、漫画の世界に自分がいるっていう設定の妄想ハガレンだったら私は国家錬金術師で、世界中を旅してる的な
*(‘‘)* それは楽しそうな空想ですね!
('、`*川 どっちかっていうと錬金術が失敗してだーこになったっていう方が無理の無い設定じゃない?
川д川 むかつくんだけどマジで
*(‘‘)* 想像といえば、私もときどきプリキュアの一員になったような設定とか
もしも念能力が使えたら、とか考えることあります!
('、`*川 念能力は私も考えたことある!
川ヮ川 私も…楽しいよね
('、`*川 ヘリカルは絶対強化系だよね。単純だから
*(‘‘)* 否定はしねえ!
('、`*川 だーこはあれだ。具現化系
川д川 ならあんたは放出系だね
('、`*川 放出系ってどんな性格だっけ?
*(;‘‘)* 可憐で可愛らしいだったかな?
('ー`*川 わかってんじゃーん貞子ー!
川ー川 でしょー
('、`*川 放出系か…うーん、放出系
川д川 なに考えてんのさ
('、`*川 もし私が放出系だったらどんな能力にしようかなって
*(‘‘)* 楽しそうですね! なら私は強化系…きょ、強化系? 能力??
('、`*川 やば、そろそろ5限はじまんじゃん
川д川 ほんとだ。じゃあまた放課後
*(‘‘)* シーユー!
ドラゴンクエスト 〜 そして放課後へ 〜
*(‘‘)* 今日はどこか寄って帰りますか!?
川д川 じゃあ…電気屋
*(‘‘)* 女子力が低いですぞ!
川д川 気に入ったの…? 女子力…
('、`*川 ねえ、それよりさ。すごい能力考えたんだけど、聞きたい?
川д川 は?
('、`*川 能力だよ! 私は放出系だろ?
川д川 あぁ…その話か
*(‘‘)* しまった! なんにも考えてなかったです!
川д川 で能力ってなにさ
('、`*川 コーラを手のひらから出せる能力! どうよこれ? 画期的過ぎてひく?
*(;‘‘)* あー…
川;д川 つまんな過ぎてひくんだけど…
('、`;川 えー!? 古典と日本史の時間を犠牲にしてずっと考えてたのに!
*(‘‘)* 古典と日本史は犠牲となったのだ…
川д川 どの辺りが画期的なのよ…
('、`*川 いつでもコーラが飲めるってだけの能力じゃないのよ?大量のコーラを生成して世界中に売りつけることができるの!
*(;‘‘)* 野暮なこと訊きますケド、オーラの総量は足りるのですか?
('、`*川 そこは制約と誓約の力を借りるの。今後一切飲み物はコーラのみっていうね
川;д川 意外と辛い能力ね…
('、`*川 覚悟を決めないといけないのさ。コーラ道ってやつはね
川д川 発がん性物質入ってんのに…
('、`;川 うそぉ!? マジ!?
川д川 マジ
('Д`;川 イヤァァ! 私一週間に八回はコーラ飲んでる!
川ー川 そろそろどっかに病巣ができてきてるんじゃ…
('、`;川 不安にさせるようなこと言わないで!
('、`*川 余計なこと考えるんじゃなかった…
*(‘‘)* やっぱり授業はちゃんと聞くべきだということですね
川д川 ペニサスの場合、成績的にも聞いておいた方がいいと思う
('、`*川 だって眠いんだもん…
川д川 夜更かししてんじゃないの?
('、`*川 じゃあ撮りだめしたアニメはいつ消化するの!
*(‘‘)* ご飯を食べたあとにしましょう
('、`*川 そうする…今日から夜更かししない! 自慢のお肌に傷がつくからね
川д川 もちそのもの…
('、`*川 もち肌だっつーの!
次の日
('、`*川 寝てないのに先生に注意された…
*(;‘‘)*
川;д川
('、`*川 ちゃんと目開けろって怒られた…いらない注目浴びた…死にたい…
*(;‘‘)*。0(普段から閉じてるように見えるとは言えない…
第六話「授業中のアレコレ」終わり
('、`*川 まぶたの上と額に目を書いておけば、起きてると思われるかな
川д川 今度は邪王炎殺黒龍波撃つなって怒られるよ
('、`*川 やっぱレディコミとか見るとムラムラしてくるじゃん
川д川 ん? んー…んん
('、`*川 そういうときに限って親とかがふらっと部屋入ってくんだよね
*(‘‘)* ほぁー…
('、`*川 困るよねー
>>372 キチガイ頑張れよwww
もう息切れかよwww
はやくしろ朝鮮人
374 :
バスケ大好き名無しさん:2012/12/15(土) 19:29:40.12 ID:WBqwn+XV
この野郎は、
絶対モップ係りだったに違いない、
ドリブルも出来なかった、
可哀そうなヤツ。
間違いない
能代は強すぎて嫉妬する奴多いな
第七話「女子高性」
('、`*川 そういうとき二人はどうするの?
*(‘‘)* そういうって?
('、`*川 隠さないでよー。してる最中とかにさ
川д川 してる…?
('、`*川 もしかして布団被ってやるステルス派!?
あれは防御力高いけど機動力が損なわれるのよねー
川д川 なんの話してんの?
('ー`*川 えーちょっとやーめーてーよー! みなまで言わせる気?
*(;‘‘)* はぁ…まあきわどいアニメ見てるときにお母さんが入ってきたらへこみますね
('、`*川 アニメとかはまー、よくあるでしょ
川д川 深夜アニメの宿命…
('、`*川 でも行為中ってのが一番やばいじゃん?
*(‘‘)* はぁ…
('、`*川 ちょっとなにぃー? 今日二人ともノリ悪いじゃん。レディースディ?
川д川 だからなんの話かよくわかんないんだって
('、`*川 だから…アレの話よ
*(‘‘)* アレとは?
('、`*川 アレっていやあその…え、マジでわかってないの?
川д川*(‘‘)* ('、`*川
('ー`*川 えぇーぜーったい嘘でしょ! わかるっしょここまできたら!
川д川 なんなのそのノリ…
('、`*川 だから…思春期によくあるさ
川д川 思春期……?
*(‘‘)* 反抗期?
('、`*川 ちがうって! えーっと、マから始まってンで終わるアレ
川д川。0(マガジン…
*(‘‘)*。0(まいんちゃん…
('ー`*川 ん?
川д川 わかんない。教えて
*(‘‘)* NHKに関係が?
('、`*川 ない
*(‘‘)* なら私もわかりません。一体なんのことです?
('、`*川 いや…だから、マスターベーションっつーか…まあ自慰の話なんだけど
川□川
*(‘Д‘)*
川;д川;‘‘)* ))) ('、`;川 え!?
('、`;川 ちょっと、なんでどん引きなの!?
川;д川 そりゃあ…ひくわ!
*(;‘‘)* 進んでますねペニサスちゃん…
('、`:川 えー!? いやいやいや! してるでしょみんな! え、してないの?
川;д川 えぇー…
*(;‘‘)* えぇー…と…
('、`:川 ええぇぇちょっと待ってよ! こっちが焦るんだけどそんなの!
川;д川 ど、どうやってすんの?
('、`:川 え!? いや、特別なことはしてないわよ!? フォーマルな形式でやってるけど…
*(;‘‘)*
('、`:川 ちょっとヘリカル!? その汚物を見るような目はやめなさい!
*(;‘‘)* 違います! ただびっくりしてて…
川;д川 うん。噂には聞いてたけど、してるやついるんだね…
('、`:川 私だってしてないやついて驚いてるよ!
川;д川 やっぱ、指とか使って…?
('、`:川 ま…まあ…そういう……え、ちょっと恥ずかしくなってきた…言わなきゃよかった…
*(;‘‘)* 落ち込まないでください! 年頃の娘にとっては普通ですよ
('、`:川 でもあんたらしてないんでしょ!?
川;д川 してないけど…
*(;‘‘)* なにか悪いことのような気がして…
('、`:川 びっくりしたわぁマジで。少なくともマジョリティではあると思ってたから…
川д川 ………どういうときしたくなるの?
('、`:川 え!?
川д川 だから……どういうあれで、ムラムラとか……
('、`:川 やめてよー! そんな興味津々でくんの! 自分で開拓して!
*(‘‘)* お子ちゃまヘリカルには厳しい道です
151:名も無きAAのようです:2012/03/14(水) 19:56:39 ID:eYcijwUk0
('、`*川 てかさ、アニメとか漫画とかで、ちょっとエッチなシーンあるじゃん
そういうのでムラムラとか…しないわけ?
川д川 たとえば?
('、`*川 イケメンキャラがさ、戦いで傷ついて上半身裸で地面に倒れたときとか…
あと風邪で寝込んでる女の子に、ご飯食べさせてあげるシーンとか…
そういうの
川;д川
*(;‘‘)* はぁ…
('Д`:川 だからなんなのよそれ! その反応! フツーじゃん別にさ!
川д川 申し訳無いけど…
*(‘‘)* 下ネタはNG
('、`:川 いやいやいや下ネタじゃないでしょ! ごく一般的な感覚の話!
*(;‘‘)* あのぉ…行為は気持ちいいのですか?
('、`*川 そりゃあ、気持ちいいよ
川;д川 ぷしゃーって…なんの?
('、`:川 そりゃ漫画だけだろ。なんか筋肉が緩んで、お腹の奥がこう…ズンってなる感じ
*(;‘‘)* ズン!
川;д川 ZUN!
('、`:川 効果音繰り返すな!
川д川 そっかぁ、ペニサスって結構スケベなんだ…
('、`:川 ひぎゃあぁ! スケベってめっちゃ卑猥な感じじゃん!
せめてエロいとかにしてよ! エロいもいやだけどさ!
*(;‘‘)* ずんっ…
('、`:川 もういや…言ったのすっげえ後悔してきた
*(‘‘)* 大変お勉強になりました
川д川 今度録音してきてよ
('、`:川 うっさい! あんたたちもいつかするんだからね! 覚悟しておきなさいよ!
川д川 なにによ
終わり
('、`*川 あと格ゲーで倒れたときに追い打ち攻撃されたときの反応とかムラムラするよね
*(;‘‘)* レベル高いです…
今日は課外授業で 近くの森林公園に写生にきています
*(‘‘)* なにを描きましたか?
('、`*川 持ってきたお弁当。ハンバーグの色の質感を出すのにこだわった一品よ!
川д川 vita描いた。力作だわぁ
*(;‘‘)* 環境が生きてない! ガイアもお怒りですよ!
第八話「環境利用闘法のあの人」
('、`*川 そういうヘリカルは?
*(‘‘)* 私はそこの公衆トイレを描きました!
自然の中に建てられた不自然。人間が自然に及ぼす影響とは?がテーマです
川;д川 妙に壮大だね…
('、`*川 私絵心ないからさー、美術とかめんどいだけなんだよね
川д川 なんで取ったし
('、`*川 音楽よりゃマシだからよ
川;д川 わかる…音楽ってリア充のたまり場だもん
('、`*川 なー! なんかあのキャピキャピした感じが鬱陶しくてしかたない
*(‘‘)* 音楽そのものは楽しいのに…
川д川 …てかさ、最近あんたデブキャラ推しすぎじゃない?
('、`:川 はいぃ!? 何それ! 大体デブじゃねーし!
川д川 森林公園にまできといてハンバーグの色作りにこだわるとかもう…あからさますぎて…
('、`*川 私は描きたいもん描いただけだっての!
大体あんただってなんでvitaなのよ! いつ買ったのよ!
川д川 先週…もうすぐリトバス出るからね。押さえておかないと
('、`*川 マジ? 私も買おっと
*(‘‘)* ぽかぽか空で気持ちいいですぅ〜
川д川 こういうとこデートでいきたいな……ボソ
('ー`*川 んん!? なんてった!?
川д川 聞こえてただろ…チッ
*(‘‘)* いいですねー! 彼氏さんの膝に頭とか乗せちゃったりして…キャーキャー!
('、`*川 今時ピクニックとかナンセンスっしょ。時代はクラブよクラブ
*(;‘‘)* 一昔前の高校生ヤンキーの発想ですよ
('、`*川 ヘリカルはデートするとしたらどこ行くの?
*(;‘‘)* え!? 考えたこともなかったので…
*(‘‘)* あ…映画館とか遊園地とか水族館とか…テーマパーク的なとこがいいです!
川д川 ヘリカルらしい
('、`*川 ヘリカルらしい
*(‘‘)* お二人はどういうところに?
川д川。0(図書館…公園…橋の下…ネットカフェ…
('、`*川。0(ゲーセン………あとは………ホテル?
*(‘‘)* ショッピングとかですか?
('、`:川 そう! それ! そういうアレだよねー。なんかそういうので、アレだもんねー
川д川 ねー。アレがアレでね…
*(;‘‘)* リーマンみたいですよ二人とも
< そろそろ帰るぞー! 集合しろー!
('、`*川 終わりか。結局弁当しか描いてないけどいっか
川д川 お尻汚れちゃった…手洗いで何とかなるかな
*(‘‘)* あたいも汚されちゃった! 大人しくクリーニングしませう
終わり
*(‘‘)*。0(男の子とデートしてみたいです…
もうすぐ期末テストです
('、`*川。0(全教科再試というあの悪夢は二度と繰り返さないわ…
本屋に来ています
('、`*川。0(数学のビッグペニス大谷先生はある問題集から問題を抜粋しているという噂…
なんとかその問題集を見つけ出すのよ!
( ・∀・)。0(……ん?
第九話「フィレンクト鈍感過ぎワロタ」
( ・∀・)。0(伊藤さんだ
('、`*川。0(やつの思考を自分にトレースするのよ。大谷先生が手に取るだろう本は…
( ・∀・)。0(ずいぶんと真剣な顔だな
('、`*川。0(エロ本? まさか、エロ本から数学の問題を錬金している!?
( ・∀・) 伊藤さん
('、`*川。0(いやいや、どんな変態やねん…
( ・∀・) 伊藤さん?
('、`*川 え?
( ・∀・) ('、`*川
('、`:川 え? な……え? え?
( ・∀・) あ−、悪い。なんか邪魔しちゃったっぽいな
('、`:川 あやややっ! 邪魔では……
( ・∀・) 参考書かなにか買いに?
('、`:川 そう……そういうアレでして…
( ・∀・) もしかして、伊藤さんも受験勉強始めたクチ?
('、`:川 え!?
('、`:川。0(うわーーーーーーーーーー! わーーーーーーーー!
学校以外で初めて男子と会話してる! わーーーーーーーーー!
( ・∀・) 俺さ、先週から色々と準備始めたんだ
('、`:川 あぁ……うん…
( ・∀・) 具体的な大学とかは考えてないけど、技術持ってた方が将来性あると思って理系を考えてんだ
だったら学校の運営費考えて、国立がいいだろ。そしたらセンター五教科必要になる
センターって基本の問題しか出ないじゃん。だから今の内に参考書手に入れてさ、
授業中の内容と照らし合わせて、重要な部分を覚えて…
( ;・∀・) てまあ、これは俺の考えじゃなくて、姉ちゃんが言ってたことなんだけど
( ・∀・) 伊藤さんは?
('、`:川 え!?
('、`*川。(ビッグペニス大谷先生が使ってる問題集を探しに…
('Д`:川。(レベルひけぇーーーー! 人間的なレベルがひけぇーーーー!
('、`:川。0(てかモララーくんお姉ちゃんいたんだ! 他の人って知ってるのかな…
もしかして私とモララーくんだけの秘密!?
( ・∀・) 伊藤さん?
('、`:川 あ……そう! 私も……あの、受験とかで……受験の勉強で…
( ・∀・) マジ! うちのクラスで受験考えてるの、てっきり俺だけかと思ってた
('ー`:川 で…でへへ…
( ・∀・) 探してた参考書、ここにはないみたいだから俺は帰るわ
('、`*川 うん…
( ・∀・) 伊藤さんも勉強がんばってな
('、`:川 あ……はい! がんわりまふ!
( ・∀・) じゃーね!
('、`*川 てなことがあった
川д川 あっそ
('ー`*川 あれー? もしかしてリア充街道を走り出した私にジェラシーなの?
川д川 そんなんでリア充なわけないじゃん
('、`*川 わかってないぜ貞子よぉ。私がモララーくんと付き合うとするだろ?
川;д川 なんだその贅沢な仮定!?
勢いね〜なぁw
∧_∧
(・∀・ )
((⊂ と)
グリグリ(⌒ /
∧(_)ゝ ノノノ
⊂( `Д´))つ_)
↑
>>384
モップ係りだった、
下手くそ野郎か
388 :
バスケ大好き名無しさん:2012/12/18(火) 22:37:59.81 ID:vdHzrb/9
凄い勢いで、モップ掛けしてるな。
能代への嫉妬がでてるな
荒木が191になってるのはなんで?
しかしサイズあるやついないなあ
夏と身長が違う選手多いよな
尽誠の山川なんか178→166だし
('、`*川 すると友達の友達がどんどん増えるじゃん?
リア充グループの一員になってコミュ力ついて、オシャレになって、クラブ↑とか行ってぇー
川д川 はいはい…
('、`:川 ていうかあんた信じてないだろ! マジで本屋でモララーくんと話したんだって!
川;д川 別に信じるけどさ…嘘だとしたら微妙過ぎる嘘だしさ
('ー`*川 むほほほほっ。思い出すだけでよだれが垂れそうだわ。間近でみるイケメンは格別ね
川д川 あぁそう……
('ー`*川 夢のような時間だった……モララーくんってちんこでかいのかな
川;д川 おい!
*(‘‘)* すみません! 遅くなりましたー!
早く教室に帰りたかったのですが、途中でフェニックス今井先生につかまってしまって…
('ー`*川 ねぇねぇねぇ聞いて聞いて聞いて!
*(‘‘)* なんですのん?
川д川 下らん話だよ。聞き流していいよ
('ー`*川 昨日さぁー、モララーくんとぉー、デート的な? ことしちゃった的な?
*(;‘‘)* え!?
川д川 デートじゃねえし
('、`*川 校外で喋ったらほぼデートだろうが
川д川 デートの基準低すぎ。手を繋いだらデートだし
*(‘‘)* 話が見えないのですケド…
('ー`*川 本屋でさ! 参考書探してたの! そしたらさ、モララーくんの方から声かけてきたのよ!
*(‘‘)* あー…なるほど
('ー`*川 え、てか、やべ! もしかして私に惚れちゃったか!?
うわーそこ気づいちゃったか! 私の美肌はアジア圏で随一っていうからなー!
川д川 はよ先話せや
('ー`*川 でさ! モララーくんてば受験勉強始めたらしいの!
伊藤さんも頑張って…だってさ! くーーー! 嫉妬した!?
*(‘‘)* モララーくんえらいですねえ
('ー`*川 もしかして私に気があるのかな!?
*(;‘‘)* いやぁ〜〜あのぅ…
('ー`*川 ん!?
*(‘‘)* モララーくんは確か、クーさんと付き合っているはずなのですが…
('、`*川
川ヮ川
*(;‘‘)* いやあ、まあちょっと前に聞いた話なんで、今はどうかわからないけど…
川ヮ川 いつから〜?
*(‘‘)* 確か今年の初めくらいかな
川ヮ川 じゃあまだ付き合ってるよね〜
('、`*川
*(;‘‘)* ペニサスちゃん、大丈夫ですか?
('、`*川 なに、それ、サイテーじゃんモララーのやつ!
*(‘‘)* え?
川д川 え。怖いこの人
('、`#川 私の気持ち弄んだんじゃん! 信じられん!
ウゼェわぁ〜〜! これだからリア充ってひねくれてる!
*(;‘‘)* モララーくんはむしろ素直なタイプかと…
('Д`*川 ああぁぁぁ思い出したら腹が立ってきた!
('、`*川 もういい! 恋は大学入ってからにする!
*(;‘‘)* そんなに気を張らなくてもよござんすよ
('、`*川 理系の国立目指して頑張る!
川д川 結局引きずってんじゃん
終わり
('、`*川 まずはビッグペニス大谷先生の追試に向けて頑張る!
('、`*川 もうすぐ春休みねえ
*(‘‘)* 今日のテレビ番組なんだったかなー
川д川 笑う犬の冒険って昔の番組知ってる?
('、`*川 ……よし、恋バナしよーぜ
第十話「ウチらの切ない恋バナ」
川д川 南原の演技力が群を抜いて下手でさぁー
('、`:川 あれ!? 聞こえてなかったかな!?
*(‘‘)* ペニサスちゃん。残念ながら恋バナのネタが絶望的なのですよ
川д川 てか唐突過ぎだと思うんだけど…
('、`*川 昨日思ったのよ。なんで私らに彼氏とか、好きな人とかできないのかなって
答えが出たわ! 全ては恋バナをしないからよ!
川д川 でさぁ、原田のコントがけっこう面白くて。トークじゃなくてコント寄りなんだねあの人
*(‘‘)* 原田って原田泰造?
('、`:川 ネプチューンはどうでもいいから聞いてってば!
川;д川 わかったから……でなにさ
('、`*川 私らもいい歳した乙女じゃん? だから恋愛観とかもあるでしょ
そういうので意見交換することによって、自己のアイデンティティの形成にも役立って…
川д川 誰の受け売りよ
('、`*川 江原さんよ
*(;‘‘)* え!? あのスピリチュアルクソ野郎こと江原啓之さんですか!?
('、`*川 ううん。私のメル友のストライダー江原さん
*(‘‘)* 誰ですのんそれ
川д川 恋愛観とか……恋愛したことないんだからある訳ないじゃん
('、`*川 えぇーマジ!? 好みのタイプとかそういうのもないの?
川д川 好み…
*(‘‘)* タイプですかぁー
川д川。0(サミュエル…に出てくる探偵役のグランテッド…
*(‘‘)*。0(どうしよう…思いつくのがアニメキャラばかりです…
('ー`*川 まさかアニメとか漫画のキャラで考えてんじゃないでしょーね
川;д川 え!? 違う……ます
*(;‘‘)* うぅー図星です…
川;д川 ばか! あんたが認めたら私もそうしなきゃいけないじゃん!
*(;‘‘)* すいません…
('、`*川 私は次元がタイプだけどね
川д川 むかつくんだけど
('、`*川 じゃあ具体的な例とかは抜きにして、彼氏に求めることとか考えようよ!
川д川 彼氏ねえ…
*(‘‘)* わぁーほんとに恋バナしてるみたいです!
('、`*川 昨日恋バナの例をネットで調べ尽くしたからね。準備は万端よ
*(‘‘)* ちなみにペニサスちゃんは男の子になにを求めるのですか?
('、`*川 私はねえ…私は……なんだろう
川д川 準備万端じゃねえのかよ
('、`*川 項目が多すぎて挙げづらいだけです!
まああれでしょ、顔でしょ? んで会計とか払ってくれて…あ、ダサイのはNGね
ギターとか弾けるのもポイント高いかな。あとはほら、会話? 話が面白い方がいいよね
*(‘‘)* ほぇー…
川д川 それ本当に好み?
('、`*川 なんで?
川д川 ただの「イケメン男子」の例挙げてるだけだと思う…
('、`*川 えーそうかなー!
*(‘‘)* 言われてみれば、ペニサスちゃんの性格が反映されてない気がします
('、`*川 じゃあだーこは?
川д川 好みとか特にないけど…
('、`*川 あるっしょ。一つや二つくらい
川д川 私は……
('、`*川 顔はやっぱいい方がいいっしょ?
川д川 そりゃいいに越したことはないけどさ…
*(‘‘)* 性格的な部分はどうです?
川д川 あー…お喋りは嫌いかも
*(‘‘)* さだちゃんっぽい!
川д川 べらべらと自分のこと話すやつはちょっと…引くっていうか…うざい
落ち着いてる人がいいと思う
('、`*川 なるほどねえ。そういう感じか。芸能人で例えると高倉健とかかね
川;д川 そりゃ極端だろ…
('、`*川 ちーちゃんは?
*(‘‘)* ヘリカル的にも、お喋りよりはクールな方が好きかもです
('、`:川 え! 意外…
*(‘‘)* あ…クールっていっても、冷たい感じのする人はいやです!
私の話をちゃんと聞いてくれて、それから、よく笑う人がいいです!
('、`*川 芸能人でいうとザキヤマみたいな?
*(;‘‘)* ザキヤマさんはおそらくお喋りな方では?
川д川 はー…こういうのってさ、なんか空しくならない?
('、`*川 なんでー?
川д川 生産性ないっていうか…
('、`*川 そんなことないって! こういうので自分の好みを確認しておけば
いざってときに役に立つ…かもよ
川д川 そうなのかねえ…
*(‘‘)* ちなみにフォックス先輩はかなり変わった好みをもっているようです!
('、`*川 久々に名前聞いたわ。あの人のタイプってどんなの?
*(‘‘)* なんでも、両手でハンバーガーを持って口いっぱいに頬張るような女の子がいいとか!
川д川 CMにはいそうね…
('、`*川 前から気になってたけど、フォックス先輩の情報はどっから仕入れてんのよ
*(‘‘)* 機密情報です!
川д川 そろそろ帰ろうよ…
('、`*川 帰りにラーメン屋寄らない?
*(‘‘)* ペニサスちゃん、だんだんリーマン力が上がってますぞ
終わり
*(‘‘)* 彼氏さんができたら、お姫様だっこしてもらうんです!
('、`*川 ヘリカルなら肩車もイケそうよ
*(;‘‘)*。0(オサレな喫茶店にきたのはいいけど…落ち着かないです
*(‘‘)*。0(こんなことじゃいけません! ここはさっき買ったiyaniyanを読んで玄人アピしていかなきゃ!
社会科見学のつもりで 一人喫茶店を決行
ミセ*゚−゚)リ んー?
(゚、゚トソン 話聞いてんの?
ミセ*゚ー゚)リ なんかさー、あっこに知ってるやついない?
第十一話「ギャル」
(゚、゚トソン どこ?
ミセ*゚−゚)リ 向こう
(゚、゚トソン いない…あいた。沢近じゃん
ミセ*゚ー゚)リ 沢近? デレにゃんのグループにいたよね
(゚、゚トソン 最近ツルんでないじゃん
ミセ*゚ー゚)リ マジ? はぶられた?
(゚、゚トソン 知らんけど
*(‘‘)*。0(流石リア充御用達の雑誌iyaniyanです。いやらしい特集がたくさん…あ、この服カワイー
ミセ*゚ー゚)リ おーい
*(‘‘)* ?
*(;‘‘)ヾ
(゚、゚トソン やっほー
*(;‘‘)*。0(あちらはクラスのワルっぽい女子、ミセリさんとトソンさん!
ミセ*゚ー゚)リ うぃーっす
(゚、゚トソン こっちおいで
*(;‘‘)*。0(やってしまいました! ヘリカルごときが来てはいけない神聖な店…
土足で足を踏み込んでしまった私に制裁が!
*(;‘‘)* はい…なんでせう
ミセ*゚ー゚)リ すわんなよ
(゚、゚トソン なに読んでんの?
*(;‘‘)* iyaniyanを…
ミセ*゚ー゚)リ えーそんなん読んでんだー意外
(゚、゚トソン いっつもここくんの?
ミセ*゚ー゚)リ てかウチら知ってる?
(゚、゚トソン 沢近だよね。えーっとフルなんだっけ
*(;‘‘)* あの…何から答えてよいのやら
ミセ*^ー^)リ 緊張すんなよ!www
*(;‘‘)* すみません…あ、私はヘリカル沢近です。どうもです…
(゚、゚トソン ふーん…
ミセ*゚ー゚)リ ニヤニヤ
*(;‘‘)*。0(あぅ…お二人は一体なにを期待しているんでしょう
ミセ*゚ー゚)リ デレにゃんとか一緒じゃないの?
*(‘‘)* え?
(゚、゚トソン 最近一緒にいないじゃん。ケンカした?
*(;‘‘)* いえそんな! ケンカとかじゃないです
ミセ*゚ー゚)リ シカトくらった?
*(;‘‘)* シカト!?
(゚、゚トソン てかデレデレって性格わるそーじゃん
ミセ*゚ー゚)リ わかるーwww
*(;‘‘)* え……あの…
(゚、゚トソン ぶりっこしてんじゃねーっつーの
ミセ*゚ー゚)リ てか大して可愛くねーし
(゚、゚トソン 実はデブじゃねえ? くびれなさそーだし
*(;‘‘)* そんなことないです!
ミセ*゚ー゚)リ え? なに?
*(;‘‘)* デレデレさんはとってもいい子なんですよ!
(゚、゚トソン だまされてんだよ。はぶられたんでしょ?
*(;‘‘)* え!?
(゚、゚トソン 絶対ヘリカルの陰口とか言ってるよ
ミセ*゚ー゚)リ あーそういうタイプだよねーwwww
*(;‘‘)* ち、違います!
ミセ*゚−゚)リ はー? ムカつくんなら言っちゃえよ
(゚、゚トソン ヘリカルも言いたいことあるっしょ
*(;‘‘)* デレデレさんは優しい人です! 私がお弁当忘れた日はおかずくれたり、
勉強を教えてもらったり、それから…それから私と一緒にお買い物にも行きました!
(゚、゚トソン あぁ…
*(;‘‘)* 私がつまんないこと言っても笑ってくれたし…私が学校休んだらメールくれたし…
だんだん私が喋らなくなったときに真っ先に心配してぐれだんでず…
ミセ;゚ー゚)リ いや…まー単なるウチらのイメージだしさ
*( ; ;)* 私がグループ抜けても…デレデレさんはまえと全然変わらずに話がげでぐれまず!
デレデレざんだけじゃないでず! みんな優しい人でじだ!
私の大切な友達を悪く言わないでぐだざい!!!
*( ; ;)* あ…ぐぇ…! ヒッグ…! うぎ…!
(゚、゚;トソン ちょっと泣くなって! 悪かったって!
*( ; ;)* ヒッグ…! ぐ…ッ…うぇ…!
ミセ;゚ー゚)リ ごめんねー? ね? 泣かないで?
< どうしましたか?
ミセ*゚−゚)リ あー何でもない! 大丈夫!
(゚、゚;トソン すいませーん、お会計
< はぁ…
カランカラン…
< ありがとうございましたー
400 :
バスケ大好き名無しさん:2012/12/19(水) 21:34:05.39 ID:3PqqdCNT
モップどうした、
がんばれ。
*( ; ;)* ……
ミセ;^ー^)リ 落ち着いた?
(゚、゚トソン ジュース買ったけど飲む?
*( ; ;)* みるくせーき?…飲みます
(゚、゚トソン あったかいよ
*( ; ;)*ズズズズズ…
(゚、゚トソン。0(しばらくあの店いけねーな…
*(‘‘)* 落ち着きました…ご迷惑をおかけして何とお詫びしたらよいやら…
ミセ*゚ー゚)リ ヘリカルってさ、超おもしれーやつだね
*(;‘‘)* え! 私ほどつまらない人間もいませんよ
ミセ*゚ー゚)リ いやマジで
(゚、゚トソン ねー、また遊ぼうよ
*(‘‘)* いいのですか!?
ミセ*゚ー゚)リ 私もー!wwwバンゴウ教えてよ
(゚、゚トソン 私も
*(;‘‘)* ちょ、ちょっとお待ち下さい!ゴソゴソ…
ヘリカルの交友関係が広まった
終わり
(゚、゚トソン その(携帯)ストラップどこで買ったの?
*(;‘‘)* え! これはプリ(キュアの映画に行ったとき買った…)…ティーな店で買いました
ミセ*゚ー゚)リ ヘリカルおもしれーwww
ミセ*゚ー゚)リ じゃあねへりぴー!
(゚、゚トソン また明日ねー
*(‘‘)ノシ またよろです!
('、`*川 今の誰?
川;д川 ヘリカルがとうとうヤンキーに…
*(;‘‘)* なにか誤解を受けているようで
>>401 おまえNBAスレも荒らし始めたんだな
有名人になれてよかったな
五十嵐が入ってないのはなぜだ
第十二話「一人のとき」
*(‘‘)* というわけで、ミセリさんとトソンさんとは最近よく話すんです
でもあの二人の会話はリア充過ぎてついていけないです
川д川 ふーん
('、`*川 へーそりゃよかったね
*(;‘‘)* 何ですのんそのどーでもよさそうなフンイキ!
川д川 別にどうでもいいとかじゃないけど…
('、`*川 ちーちゃんがリア充街道を進もうとしてるって思うと
川д川 はらわた煮えくりかえって…
('、`*川 ねー
*(;‘‘)* 別にお二人のことを遠ざけようとか、そういうつもりはないんですよ!
川゚д川 ドウカシラネー ('、`*川
*(;‘‘)* ヘリカルを信じてください〜
('、`*川 てか一人で喫茶店とか行くんだ。おっしゃれー
*(‘‘)* それはその、、暇だったので、社会見学のつもりでで、です
川д川 デートだったりして…ポツ
('、`:川 ええええええ!? 男!? マジマジマジマジ!?
キキキキキッ、キスとかぁ! キスとかした!?
*(;‘‘)* ギャーーーー! 落ち着いて下さいペニサスちゃん!
川ヮ川 キスだけじゃないかもよ〜?
((((゚、゚*川 まままままさかセ…! セック…ッ…いやあああああ!!
*(;‘‘)* さだちゃんも煽らないで下さい!
五分後
*(‘‘)* ―――というわけで、ただの一人遊びなのです
('、`:川 そう…ならいいや
川д川 大体、ヘリカルが恋愛しようが自由だと思うけど…
('、`:川 だだっ、だってぇー! びっくりするじゃん!?
男に興味ない感じなのにぃー!? ちゃっかり手繋いだり…き、キスとかさぁ!?
したりしてたらさぁ!
('、`*川 落ち込むじゃん…
*(;‘‘)* 当分は絶対あり得ないので安心して下さい
('、`*川 そうかー一人で喫茶店か。レベル高いな
川д川 ね。私は無理
('、`*川 私も
*(‘‘)* お二人は一人で暇なときなにをしているのですか?
('、`*川。0(2ちゃんねる…ニコニコ動画…録画した番組…漫画…映画…
('、`*川 大体ネットやってるわ。今はこたつとミカンスタイルが主流かな
*(‘‘)* いいですねぇ〜冬の風物詩ですね。さだちゃんは?
川;д川 え?
('、`*川 え?
*(‘‘)* へ?
川д川 私もまあ…同じような感じだと思うけど
('、`*川 うそだー! 絶対うそだー!
川д川 いきなり大声出さないで欲しいんだけど…
('、`*川 今なんか間があった! 白状しなさい!
さてはマから始まって…
川;д川 あんたじゃないんだからしてませんけど!
*(‘‘)* 小説とか絵とかを描いたり、アーティスティックな趣味を持ってますよね!
川д川 まあ…
('、`*川 もしかしてだーこ…
川д川 なんだよ
('、`*川 自分のホームページとか…持っちゃってる系?
川;ヮ川 え?
('ー`*川 持ってるー! これ持ってるよ!
「あなたは1903人目の時の迷い子…」とかトップにあるようなタイプだろ!
川;д川 違うし! そんなんじゃないし!
('ー`*川 うわーサイト自体は否定しないってことはそういうことじゃん!
川;д川 い、いいじゃん別に! サイト運営してたらなんか悪いの!?
*(‘‘)* あのう、どういうサイトなのか教えてくれます? できればURLなんかも…
川;д川 別に普通のサイトだけど…面白くもないし
('ヮ`*川 うわーめっちゃ気になる! 何系!?
川;д川 絶対あんたには教えない
('ー`*川 いいじゃーん! 私が中学生のときにトップだけ作っていつまでも工事中になってる
小説サイト教えてあげるからさー! 等価交換!
川;д川 全然等価じゃないもん! 教えないって!
*(;‘‘)*('、`*川 たぶんエロサイトだよ…ボソ
川;д川 聞こえてる聞こえてる! エロくないもん!
('、`*川 じゃあいいじゃん
川д川 だめ!
('、`*川 頑固ねえ
*(;‘‘)* は! 今日は私が夕食を作る当番でした。早く帰らないと!
川д川 お母さんは?
('、`*川 ちーちゃんのママってキャリアウーマンだもんね。忙しそう
川д川 じゃあ私も帰ろーっと
('、`*川 私もー。あと今日の夜スカイプやるからそんときサイト教えてよ
川д川 絶対やだ
その夜
< ゴソゴソ…
从 ゚∀从。0(よし、今日中に写真撮ってアップしないと…
< ご飯よー
从;゚∀从 待って! すぐ行く!
从 ゚∀从。0(3脚はいつもの位置で…照明はオッケーかな。よし!
从*゚ー从 パシャッ
从 ゚∀从 ……うん、よく撮れてる。あとはアップするだけ…
< 貞子ー? ご飯冷めちゃうわよー
从;゚∀从 待ってってば!
ワシャワシャワシャ
つ゚∀と
川д川 ふぅ……視界が広いと落ち着かない
ネットアイドルで絶賛活躍中の貞子
ハインリッヒの憂鬱
あなたは103960人目の迷い人です。
从*゚ー从 < ゆっくりしていってね!
川д川。0(こんなサイト、ペニサスにばれた日には死ねる…
終わり
('、`*川 うわ、このネットアイドル私と年一緒じゃん。掲示板荒らしたろ
< ペニサス! ご飯だから部屋から出てこい!
('、`*川 わぁーったわよすぐ行く!
昨日のことです
('、`*川 パジャマパーティーやりまーす
川;д川 え?
*(‘‘)* キター! 乙女の楽園パジャパーですね!
第十三話「お泊まり」
('、`*川 誰の家でやるのか。それが問題だ―――
川;д川 わ、私の家は絶対だめ!
('、`*川 えぇー?
川;д川 だめだめだめ! 部屋散らかってるから!
('、`*川 いいじゃん別に。エロ本とかある訳じゃないし。え、まさか…
川;д川 あんたじゃないんだから!
('、`:川 シツレイねー!? 私の家にエロ本があるわけないじゃん!
川;д川 ありそうではあるじゃん!
('、`:川 ちゃんと否定しておくけどないわ!
*(‘‘)* ペニサスちゃんちはどうですか?
('、`*川 んー、私は別にいいけどさー
川д川 だめなの?
('、`*川 いやー、三人が寝泊まりするかと思うと、スペース的にねー
川д川 きたなそうだもんね
('、`*川 はっきり言うよね自分
川д川 ……何となくちーちゃんちは綺麗そう
('、`*川 うん
*(;‘‘)* 私の家ですか!?
('、`*川 家事とかマメそうだよね
*(;‘‘)* とんでもないです! お部屋もハゲ散らかってますよ!
モップ発動
410 :
バスケ大好き名無しさん:2012/12/20(木) 21:49:52.31 ID:2EtkAwVW
あっ、そこモップお願いね。
能代は嫉妬されるなぁ
そろそろでしょ
五十嵐が入ってないのはなぜだ
川д川 ハゲてはないと思うけど…
('、`*川 みたいなぁ…
川д川 みたい…
*(;‘‘)* お、お母さんの了承さえあれば…
あっさり了承が得られたので 金曜日にお泊まりに
*(‘‘)* このマンションの二階です
('、`*川 へー! 結構いいとこじゃんこれ!?
川д川 高そう…
*(‘‘)* どうなんでしょう。一軒家に比べれば全然狭いですよ
('、`*川 お母さんなんて言ってた?
*(‘‘)* お友達なんていつでも連れてらっしゃい!と
('、`*川 優しいねぇ。うちのオカンだったらちょっとだけ渋い顔するわ
川;д川 もうあんたんち行きづらいんだけど
*(‘‘)* お母さん。ただいま戻りました
('、`*川 お邪魔しまーす
川д川 お邪魔します…
< あらー待ってたでー!
('、`*川 あ、初めまして。ペニサス伊藤っていいます
川д川 貞子です…
< こんな狭いとこに来てくれてありがとな〜
*(‘‘)* お母さん、玄関で話すのもなんだから、私の部屋に…
< せやな! お夕飯作ったら呼ぶからゆっくりしていってやー
('q `*川 助かります〜
in ヘリカルの部屋
*(‘‘)* 狭いですが
('、`*川 うわ超キレーじゃーん!
川д川 プリキュアのBD完備してるとは……恐れ入った
*(‘‘)* それほどでものうざんす
('、`*川 モビールとかおっしゃれ〜
川д川 意外とシックな部屋……ショッキングピンク想像してた
*(‘‘)* モノクロが好きなのですよ
('ー`*川 あーピアノ発見! 弾いて弾いて!
*(‘‘)* 最近はとんと練習していないので…
川д゚川。0(なんかいい匂い…
('、`*川 いいなぁ〜高級マンション
ヘリカルんちがブリーチだったら私んちとかいぬまるだしっじゃん
川д川 よくわからん
*(;‘‘)* でも大変なんですよ? 夜中は物音たてられないし、見られたくない洗濯物を
ちょっと工夫して干したり、定期的に変な人が引っ越してくるし…
川д川 物音は辛いね……配信とかし辛いし
*(‘‘)* 配信?
川;ヮ川 お、落ち着くなぁーこの部屋
('、`*川 ふふん。落ち着くのはまだ早いわ。夜はこれからなのよ
*(;‘‘)* あのぅ、お母さんに怒られるようなことはしないで下さいね?
怖い人なのですよ
('、`*川 大丈夫。やばいかな?と思ったらベランダから逃げるから
*(;‘‘)* なんも解決してへん!?
続く
川д川 まさか次話にまたぐ話だったとは…
('、`*川 斬新っしょ?
('q `*川 ごちそうさまでした〜
川д川 美味しかったぁ
< ええ食いっぷりやったでー! 足りひんやったら夜中にまたなんか作ったるからな
*(;‘‘)* カロリーの高いものはやめてね
第十四話「ソープ」
('、`*川 今日のテレビつまんなーい
川д川 意外と金曜って退屈ね
*(‘‘)* お菓子食べます?
('、`*川 もちっと後でいい。てか、忘れてる?
川д川 なにが?
('、`*川 お、ふ、ろ
*(;‘‘)*川;д川 ('、`*川 え?
('、`:川 え!? いや入らせてくれるよね!?
*(;‘‘)*。0(わぁ〜今夜は入らずに済むかと思ってました!
川;д川。0(そうだったぁ〜ペニサスの性格を考えると一緒に入ろうとか言ってくるに違いない…
('、`*川 どうせなら一緒に…
*(‘‘)* だめ! 川д川
('、`:川 えぇ〜〜? ちーちゃんとだーこの裸みたいのにー
川;д川 断る。マジで
('、`*川 みたいみたいみたい!
*(;‘‘)* いくらペニサスちゃんの頼みでも、それだけは…
('、`*川 どうせ修学旅行で見られるんだから、私に先に見せてよ!
川;д川 絶対やだ
('д`*川 えぇー
川;д川 えぇーじゃない
結局一人ずつ入ることに
*(‘‘)* 一番風呂はペニサスちゃんにあげます
シャンプーとトリートメントはご自由にどうぞ
('、`*川 サンキュー
('、`*川 キュッキュ
('、`*川 シャワー
('、`*川。0(何時間も風呂に入ってたら十キロくらい減らないかな…
('д`*川 ハァ〜〜〜〜
('、`*川 上がったよー
*(;‘‘)* 早くない!? まだ十五分も経ってませんよ!
('、`*川 テレビの続きが気になって
川;д川 さっきディスってたくせに…
*(‘‘)* 次はさだちゃんどぞー
川д川 はいはい…
川д川 キュッキュ
川д川 シャワー
川д川。0(うわ、やっぱ背中酷いな…
川д川 シャワー
川д川 チャポン…
川*д川 うぅー
川*ヮ川 はぁ…
川д川。0(温泉に入ったら治らないかな…
川д川 上がったよー
*(‘‘)* さだちゃん、ドライヤーしないとボサボサになりますよ
川д川 めんどい…
*(‘‘)* ではヘリカル行ってまいります!
('、`*川 いってらー
川д川 マダガスカル近藤ってまだ芸人やってたんだー
('、`*川 さて…
川д川 トイレ?
('ー`*川 覗きに
川;д川 はぁー? ヘリカル怒るよ
('、`*川 だって友達なのに裸も見せてくんないんだよ?
ここは親交を深めるためにすっぱを確認しておくべきじゃん
川д川 屁理屈にもほどがあると思うんだけど
('、`*川 ソロ〜リ
川д川。0(といいつつ来てしまった…
< 〜♪
('、`*川 よし、シャワー中だ
川;д川 静かに
('、`*川 ドキドキ
川д川。0(まさかヘリカルもアトピーを…?
('、`*川 あっ
川д川 え
*(‘‘)* 〜♪
川;д川 ('、`:川
*(‘‘)* ただいま戻りました!
('、`*川 あ、ああ…おかえり
川д川 マダガスカル近藤あいかわらずつまんないなあ
('、`*川 ねー
*(‘‘)* お二人とも、なにかテンションが下がってますが…
('、`*川 いや、まあ、別に…
川д川 ねえ……
('、`*川。0(ヘリカルの体…
川д川。0(想像以上に小学生体型だった…
終わり
('、`*川 次回パジャマパーティ本番
('、`*川 何するー
川д川 ゲーム
*(‘‘)* でもゲーム器持ってないんですよ
('、`*川 トランプ
川д川 ウノ
*(‘‘)* どちらもなくて…
第十五話「お泊まり完結編」
('、`*川 じゃあそろそろ寝る? まだ早いけど
川д川 ネット
*(‘‘)* 家族共有なのでリビングにしかパソコンがないんです
川д川 あー…寝よう
('、`*川 寝よう!
*(‘‘)* ではお布団敷きますよ!
('、`*川 大の字で寝ないの?
川д川 ヘリカルが真ん中?
*(‘‘)* えー! いいんですか!?
川;д川 おっと…予想外の反応
*(‘‘)* ヘリカル的には大の字は憧れる就寝体制なのです
兄弟がいないので大の字ができなくて
('ー`*川 今日は私のことをお姉ちゃんだと思っていいのよ?
*(‘‘)* ペニ姉!
川д川 ぺーねえ…
('、`*川 それだと林家みたいじゃん
川д川 なんでもいいよ。とりあえず寝よう
ゴソゴソゴソ
< てかヘリカル、高校生にもなってプリキュア仕様のパジャマはどうなん
< かわいくないです?
< 似合ってはいると思うけど……
< 似合い過ぎっしょ!
< えーサイズ的にもちょうどいいんですよ
*(‘‘)* わぁー大の字です! 暖かいです!
川д川 ペニサスの隣あったかそうでいいなー
('、`*川 どういう意味よ
川д川 特に意味はないけど……
*(‘‘)* さだちゃんの顔がこんなに間近に…ドキドキ
川д川 あんま見ないで…顔自信ないから
('、`*川 てか貞子の顔まともに見たことないわ。髪めくってみ
川д川 やだ
('、`*川 もしかして額にもう一つ目があるとか?
川д川 気功砲うつよ
('、`*川 みしてー
川д川 うっさい
*(‘‘)* あったかいですー
('、`*川 モミモミ
*(;‘‘)* うお!?
('、`*川 ちっぱい
川д川 私も触る
川д川 ワシャワシャ
('、`*川 モミュモミュ
*(;‘‘)* んんー! セクハラですよ二人とも!
('、`*川 なんか落ち着く
川д川 確かに
*(;‘‘)* 私よりもペニサスちゃんの方が触りごたえありますって!
('、`*川 じゃあ触ってみる?
*(;‘‘)* い、いいんですか…?
('、`*川 ええよ別に
川д川 じゃあ触る。ボニュボニュ
('、`;川 いたたたっ…ちょっとーもうちょい丁寧に触りなよ
川д川 あーこれいい…あー……羨ましい
*(;‘‘)* 私も…いい?
ずいぶん準備に時間がかかるんだな
('、`*川 だから触ってみって
*(;‘‘)* ソォ〜
川д川 ボミュボミュ
*(;‘‘)* ムニョンムニョン
('、`*川 あ〜…あ…
*(;‘‘)* い、痛かったですか!?
('、`*川 んーん
川;д川 あんた感じてる?
('、`*川 私レベルの女子高生がこんな雑なさわり方で感じる訳ないっしょ?
*(;‘‘)* ミュミョンミュミョン…
('、`*川 んん〜…あぁー
川;д川 ヘリカルストップ!
('、`*川 もっとぉ〜
川;д川 変態!
*(‘‘)* 私の知ってる大の字と違う…
('、`*川 次貞子ね
川д川 だめ
('、`*川 だめじゃない
川;д川 だめだって
('、`*川 私もヘリカルも触られたんだよ? 貞子だけずるい
川;д川 あんたがやりだしたんだし、あんたが言い出したんじゃん
('、`*川 でもだーぱい触りたい。ヘリカルもそう思うっしょ
川;д川 だから…
*(‘‘)* さ、触ってもいいならちょっと…
川;д川 ちーちゃん!?
*(;‘‘)* だめですよね! ねー!
('、`*川 チッ…
川;д川 ときどき気持ち悪いねあんた…
('、`*川 こういうスキンシップから友情が深まるのに!
川д川 何が悲しくて女同士で乳くりあわなきゃいけないの…
('、`*川 男がやってくんないから仕方なくね
川д川 余計むかつく
*(;‘‘)* そろそろ寝ましょう!
('、`*川 そうするかー
川д川 おやすみ……
……
……………
< ……う……んっ!?
川;д川 ペニサス!?
('、`*川 ぐぅ〜
川;д川 わざとらしーんだよ!
*(;‘‘)* どうしましたか!?
('、`*川 むにゃむにゃ…どうしたのぉ?
川;д川 リアルでむにゃむにゃって言うやつ初めて見たんだけど!
('ー`*川 ふふふ。初揉みゲットー
川;д川 最低! 変態!
*(;‘‘)* わ、私も…
川;д川 触ったら絶交だかんね!
*(;‘‘)* ごめんなさい!
('、`*川 もぉー、大人しく寝たら?
川;д川 こいつ…
*(;‘‘)* おやすみなさーい!
ゴソゴソゴソ
…………
< ……ペニサスちゃん
< んー?
< どういう感じでした?
< おわん型だね
< お、おわん……ゴクリ
川;д川 おいこら!
(-、-*川 ぐーすーぴー
*(;--)* すやすや…
川;д川 口で言ってんじゃん!
('、`*川 減るもんじゃないし、いちいち気にするなって
川;д川 減るの!
*(;‘‘)* わーん頭上でけんかせんといて!
川;д川 ちーちゃんだって変に興味もたないでよ!
*(;‘‘)* ごめんなさい!
(-、-*川 ……スー………
川;д川 このタイミングでガチ寝すんなよ!
*(;‘‘)* おやすみなさ〜い
川;д川 くっ…おやすみ
< スー……
< ヘリカル、変なとこ触ってない?
< え? 当たってました?
< 手の甲が…
< あぅ、すみません…
< ばかっ、そっちは逆に……
< じゃ、じゃあここは?
< ああ、そこはいい
< では今度こそおやすみなさい……
………
………
………………………
…………………………………………
< ………………?
< ……………………………!?
パチッ
|
川;д川つ
*(;--)* むがっ? 明るい…
川゚д川 ペニサス!?
(-Д-*川 グゴー…もう食べられない…
川;д川 漫画みたいな寝言言うな!
*(;‘‘)* え? え? どうしました?
川;д川 サイテー! 信じらんない!
*(;‘‘)* 一体なにが…
('、`*川 何よーゆっくり寝かせてよ
川;д川 こっちのセリフだよ!
*(‘‘)* どうされたんですか?
川;д川 布団出して! 私別で寝るから!
*(;‘‘)* えぇー大の字は…
('、`;川 ごめんごめん! もうしないから!
川;д川 もういい! 知らない!
('ー`;川 絶対もうやらないって! ね!
川;д川 ぐっ…………ど変態女!
('、`*川 否定はしない
川;д川 開き直るな!
*(;‘‘)* あのー…布団出します?
('、`;川 だめー?
川;д川 ………次やったらぶん殴るからね
('、`*川 それはそれで…
川;д川 おい!
('、`;川 ジョーダン! ジョーダンだよ! 寝よう! おやすみ!
*(;‘‘)* お、おやすみなさい…
川;д川 …………おやすみ
ゴソゴソ ゴソ
…………
…………
………………………………
。0(だーこ、意外と毛深いんだな……
次の日
川д川。0(結局二時間しか寝てない……
*(‘‘)* ペニサスちゃん、朝ですよー
(-、-*川 んんー…ワシャワシャ…フワフワ…ゴワゴワ…
*(‘‘)* なぜ寝言が効果音ばかりなのでしょうか
川д川 語彙力がないからだよ
終わり
('、`*川 私のはいつでも触っていいんだからね。お姉ちゃんだと思って
*(‘‘)* 世の姉妹はそういうことしてるんでしょうかね?
(´・ω・`) なんか変だなと思ったら大の字じゃなくて川の字だったよ。トホホ
('、`*川 お前が俺の法律さ…とか
川д川 いや、うざい
('、`*川 えーかっこよくね!?
*(‘‘)* 真顔で言われたら反応に困りそうです
第十六話「シミュレーション」
('、`*川 私的にはグッっとくるのにー!?
*(‘‘)* そういえば来週…
('、`*川 じゃあ、お前の人生ごと抱きしめてやるぜ…とかは?
川;д川 キモいんだけど
('、`;川 うっそー!? じゃあどんなのがいいワケ?
川д川 そんなん別に…ねえ
*(‘‘)* あのぅ…
('、`*川 ヘリカルはどんなこと言われたら嬉しい?
*(;‘‘)* 私ですか!? えーと、えーと…
川д川 別にそんなのないよねー
*(‘‘)* 黙ってついてこい!的な
川;д川 あんの〜?
('、`*川 アリ! それいい!
*(‘‘)* やっぱりリードしてくれる人がいいですね
('、`*川 だよね! あと包容力があって話が面白くて顔が小池徹平に似てたら文句ないわ
川;д川 ビミョーに古いし贅沢だしなんかもう…
*(‘‘)* あとあれです! セリフじゃないけど二人でソファーに座って、頭を預けてみたいです!
('、`*川 わかるー! それわかるマジで!
*(‘‘)* あとあれ…アーケードで自転車が後ろから迫ってきたときそっと服を引っ張られたい!
('、`*川 絶好調じゃんどうしたのちーちゃん!?
川д川 そうだよ…なんかペニサスがやってる妄想みたいだよ
*(‘‘)* でも憧れませんか?
川;д川 えぇー?
('、`*川 だーこはまだまだ子供だね
川;д川 そういうの、精神年齢かんけいなくない?
('ー`*川 あ〜なんかもう……抱かれたい
*(;‘‘)* それはちょっと趣旨から外れてる
川д川 あー…それで、なに?
*(‘‘)* え?
川д川 さっき言いかけてたやつ
*(‘‘)* あ…あーそうなんです! なんとですね、来週このクラスに…
('ー`*川 ねえねえ! つきあい始めたらなんて呼ばれたい!? 私は何でもいい!
*(;‘‘)* さ、さあ…
川;д川 一人でテンション上げないでくれる?
('、`*川 ちーちゃんはちーちゃんとか呼ばれたくないの?
*(‘‘)* 素っ気なく呼び捨てで呼ばれるのもなんだかオツなものかと
('、`*川 そういうもんかねー
川д川 何だっていいと思うけど…さん付けでも
('、`;川 え!? それはないわー
川;д川 何でもいいっつったろ
('、`*川 それでヘリカルが言いかけたやつってなに?
*(‘‘)* は、はい! 実は来週このクラスに転校生が来るんです!
川;д川 マジ…?
*(‘‘)* はい!
('、`*川 あー私もなんか聞いた。でもこのクラスなの?
*(‘‘)* はい確かです! 保健室のデーモン石倉先生から聞きました!
('、`*川 あの知ってることなら何でも知ってるって噂のデーモン石倉先生か…
川д川 かなり信頼性の高い情報だね……
*(‘‘)* 楽しみですね!
('、`*川 えーそうかな…
*(;‘‘)* 微妙?
川д川 たぶん私らには関係ないし…
('、`*川 例えイケメンが入ってきても交友はないし、根暗なやつだとしたらそれはそれでいやだし
川д川 いいことないよねー
('、`*川 ねー
*(‘‘)* 楽しい人ならいいですね!
('、`*川 なんでもいいけど、私の平穏な生活を乱さないやつがいいな
川д川 声が大きくなかったらなんでもいい…
*(;‘‘)* あーもぅ! もっとテンション上げて下さい!
終わり
< 来週の月曜から学校よ。友達できるといいわね〜
从;'ー'从 いじめられないかな〜? 友達できるかな〜?
ざわ ざわ
ζ(゚ー゚*ζ どこから来たの?
从;'ー'从 九州から〜
o川*゚ー゚)o あだ名とかないの? 私はキューちゃんって呼ばれてるけど
ξ゚听)ξ 自分をちゃん付けってないわー
o川*゚−゚)o うーるさーい
第十七話「転校生」
从;'ー'从。0(注目されてる〜恥ずかしい〜
从;'ー'从 あの〜ちょっと図書室に行くので〜
( ・∀・) なら俺が案内するよ
ミセ*゚ー゚)リ あれー? クーちゃん差し置いて浮気モードじゃん
(゚、゚トソン サイテー
( ;・∀・) ならおまえらがやれよ
ミセ*゚ー゚)リ めんどくさーいwwケラケラ
从;'ー'从 ひ、一人で大丈夫だから〜
( ・∀・) いいって。気にすんな
広島まで見に行くか真剣に迷ってるんだけど、今年のチームはどうなの?
富山第一には勝てるのかな
どうせ洛南に負けちゃうんだろうけど、見れる試合にはなるのかな…
从'ー'从。0(わ〜優しい人ばっかりでよかった〜
( ・∀・) 俺さ、モララー
从'ー'从 渡辺だよ〜え〜と、モリモリくんは部活入ってる〜?
( ・∀・) モララー。サッカー部。渡辺さんは部活入るの?
从'ー'从 考え中〜
( ・∀・) 図書室はこっち
从'ー'从 〜〜?
( ・∀・) どうしたの?
【多目的ルーム】
从'ー'从 話し声が聞こえる〜
( ;・∀・)。0(まさか校内でイチャついてるやつがいるんじゃねーだろうな
あー、誰かがいるみたいだな
< ヒソヒソ…
从'ー'从 〜?
< やっぱ転校生シメとかないと…
从;'ー'从 !?
( ・∀・) どうした?
从;'ー'从 え…何でもない…
( ・∀・) 早く行こうぜ(ラブシーンだったら気まずい)
从'ー'从 うん〜……
< ヒソヒソ…駄目ですってば!
< 何でよー
('、`*川 ここはやっぱり、転校生の緊張をほぐすために、思い切ってケンカするのよ
川;д川 ガチで意味不明だから…
*(;‘‘)* 可哀想なことやめてあげてください!
('、`*川 違うってば! やっぱり転校してきたばっかで不安じゃん?
自分の全てをさらけ出せるような相手がいないわけじゃん?
川;д川 で、なんでケンカなのよ
('、`*川 拳を混じり合わせたやつ同士が本物の友情を結べるのよ!
かの有名な鈴蘭男子高校ではね…
川;д川 思いっきり漫画の影響じゃねーか!
('ー`*川 だって格好いいんだも〜ん春道くんが〜
*(;‘‘)* とりあえず、転校生の子には優しくしましょうね
川д川 てかたぶん私らと関わりないし…
*(‘‘)* だ、だって同じクラスですよ。何かしらありますよ
('、`*川 よくよく考えれば無さそうだわ…
川д川 ね
('、`*川 やつはあちら側の人間…私らとは相容れない存在なの
*(;‘‘)* あちら側って何ですのん
川д川 光と…
('、`*川 闇よ
*(;‘‘)* そんなファンタジックな属性がついてたんですか!
('、`*川 まあちーちゃんは光属性に近いけどさ
川д川 ペニサスは闇とエロ属性かな
('、`*川 だーこはアンデッド
川д川 むかつくんだけど
*(‘‘)* 仲良くしましょうよ〜可愛い子ですよ
川д川 無理無理…あと一ヶ月もしたら私ら見下されてるから
('、`*川 デレちゃーん、あの隅っこにいるやつら誰なのー?
あーあいつら? ただのオブジェだと思ってていいよ
的なこと言われるに違いないわ
川д川 あー想像できるわ
*(;‘‘)* 卑屈すぎやで自分ら!
広島まで見に行くか真剣に迷ってるんだけど、今年のチームはどうなの?
富山第一には勝てるのかな
どうせ洛南に負けちゃうんだろうけど、見れる試合にはなるのかな…
放課後
从'ー'从。0(こんなに注目された日は初めてだったな〜
从'ー'从 〜?
川д川
*(‘‘)* ヒソヒソ ('、`*川
川д川 だから…………なんだけど
*(‘‘)* うへーグロシーンは苦手です
从'ー'从。0(あの子たちとは喋ってないな〜話しかけようかな〜?
从;'ー'从。0(急に話しかけたら変かな〜?
从'ー';从。0(でも名前聞いておきたいな〜
('、`*川 でも今期一番面白かったんだよ!
从;'ー'从 はっ…!
从;'ー'从。0(あの声は昼休憩のときの…
('、`*川 絶対観なきゃ損だって!
*(‘‘)* おろ?
川д川 サミュエル観てない人がアニメ語らないで欲しいんだけど
从;'ー'从 ソワソワ
*(‘‘)* 転校生の人が仲間になりたそうな目でこちらを…
('、`*川 んなアホな
私が転校生だったら放課後にクラスでアニメ談義してる連中はシカトするわよ
川д川 でもこっち見てる…
('、`;川 えー何よー。初対面とか緊張するから勘弁して欲しいんだけど
*(;‘‘)* 向こうはもっと緊張しますよ!
('、`*川 じゃあヘリカルからお願い
*(;‘‘)* えー! 私もこういうの苦手なんですけど!
川д川 ちーちゃんが駄目なら私ら全滅なんだけど
('、`*川 ゴー! ヘリカルゴー!
*(;‘‘)* 何なんですかもぅー
*(;‘‘)* あのぅ…
从;'ー'从 あ、はい
*(;‘‘)*。0(うーん、女子力が高そうな人です
从'ー'从。0(ちっちゃい…可愛い〜
*(‘‘)* 私はヘリカルと言います! このクラスに在籍してます! よろしくです!
从;'ー'从 よ…よろしく〜渡辺だよ〜
*(‘‘)* 渡辺さん、えーと、渡辺さんは…どちらからお越しに!?
从;'ー'从 ん〜? 昔住んでた場所? 福岡だよ〜
*(‘‘)* 博多ですか?
从'ー'从 福岡市だけど、博多じゃないよ〜
*(‘‘)* 私も小学校のとき転校してきたんです。大阪から
从'ー'从 でも標準語だね〜
*(‘‘)* せやけどなべちゃんもやでー!
从*'ー'从 その呼ばれ方好きやね〜
*(‘‘)* じゃあこれからはこう呼んでもいい?
从'ー'从 気に入っとうので好きに呼んでええよ〜
*(‘‘)* わーいありがとです!
*(‘‘)* では一時帰還します!
从;'ー'从 〜?
*(‘‘)* ただいま戻りました。なべちゃんいい子みたいです
('、`*川 見てたけどなにあれ、もう友達感覚じゃ〜ん
川д川 私はああいうの無理だわ…
*(‘‘)* さあ次はお二人の番ですよ!
('、`;川 えぇー?
川;д川 私らは…ねえ?
('、`*川 よくない?別に
川д川 いずれ話すだろうから…
*(;‘‘)* ウェイクアップ ガールズ!
从;'ー'从 あの〜
川;д川 シーン… ('、`;川
*(;‘‘)* あ…なべちゃん、こちらはペニサスちゃんとさだちゃんです
从;'ー'从 渡辺だよ〜初めまして
('、`;川 あ…うん。ペニサスだよ。ども…
川д川 貞子…
从;'ー'从。0(やっぱり私のこと嫌いなのかな〜?
('、`;川。0(もっと気の利いたこと言わないと…ヤッホー! 私ペニサスだお!
(これから一緒に学園生活エンジョイしよーね!テヘッ とかどうかな? 私きめー
川;д川。0(アニメもゲームもしなさそうな感じじゃん…なに話せってんだよ
*(;‘‘)* スマイル! テイキットイージー!
从'ー'从 私…やっぱりうざいかな〜?
('、`;川 え?
从'ー'从 今日はね〜転校生だから色々注目されたけど〜
でも〜別に調子に乗ったりとか〜してるつもりじゃないの〜
从;'ー'从 むかつかせてたんなら、ごめんね〜……
('、`;川 ? ?? ? ?
川;д川 え…いや……?
从'ー'从 よかったら、仲良くして下さい〜
('、`;川 いや! その! こちらこそ…どうも
川;д川 はぁ…
从'ー'从 ヘリカルちゃん、私今日は帰るね〜
*(‘‘)* またよろです!
从'ー'从 ペニサスちゃんと貞子ちゃん、また明日〜
('、`*川 ばいばーい…
川д川 また…
川д川*(‘‘)*('、`*川
('、`;川 え?
*(;‘‘)* なべちゃんに何かしました?
川;д川 なんか落ち込んでたけど?
('、`;川 知らない知らない! 何にもしてないって!
川;д川 さっき明らかにあんたに向かって言ってたじゃん
('、`;川 何にもしてないって! マジで! あんないい子に私が何かすると思うわけ!?
*(;‘‘)*
川;д川
('、`;川 しそうって思ってんじゃねえよ!
('、`*川 あー、なんかもう最悪…たぶん私のせいだけど最悪だー
印象悪かっただろうなー
川д川 これでもう仲良くなる選択肢は消えたね…
*(;‘‘)* だ、大丈夫ですよ! 今からいくらでも取り返せます!
('、`*川 何だかわからんがごめんよ渡辺さ〜ん…あんたはいい子だよ〜
*(‘‘)* にしても、一体何があったんでしょうか
終わり
从'ー'从。0(名前覚えないと〜。ヘラクレスちゃんと、ペガサスちゃんと、うどん子ちゃん…だっけ〜?
ごっつ今更キャラ紹介
( ^ω^) ブーンだお! 好きなものは漫画だお!
( ^ω^)
( ^ω^) 映画も好きだお! 一番好きな映画はスクールオブロックだお!
( ^ω^)
( ^ω^) 今まで一度も出なかったのに一番手でごめんお!
第十八話「裏設定も充実のモブラインナップ」
( ・∀・) モララー。サッカー部でー、一応レギュラー
( ・∀・) 俺頭悪いから、今から受験勉強始めてる
( ・∀・) えーと、クーと付き合ってる
( ・∀・) 将来的にどうなるかわからないけど、大事にしたいと思ってるよ
( ・∀・) 趣味は…サッカーかな。バスケも好き。でも野球は自由に走れないから嫌いかな。観るのは好き
( ・∀・) ジョルジュと仲がいいよ。これくらいかな
川д川 貞子。趣味は…まあ、たまにアニメとか観るくらいだけど…
川д川 ゲームもするかな。映画とかはたまに観る…かな
川д川
川д川 えーと…部活は特に入ってないけど…
川д川 お姉ちゃんとお兄ちゃんがいる。お姉ちゃんは働いてる。お兄ちゃんは大学生
川д川 それくらいだけど………足りない?
ミセ*゚ー゚)リ ミセリ。趣味は買い物。この前パーマかけたんだけど可愛くない?
ミセ*゚ー゚)リ 今ハマってんのはASASかなー
ミセ*゚ー゚)リ ってかmisonoに似てるって言われんだけど似てなくね?
ミセ*゚ー゚)リ 今付き合ってんのは大学生。でもモララーも気になるかなー
ミセ*゚ー゚)リ 浮気じゃねーし! 好きになるのは自由じゃん?
ミセ*゚ー゚)リ つーかこの学校制服ださくね?
( ゚∀゚) ジョルジュ長岡。まだ本編に出てねえけど…
_
( ゚∀゚) 部活は野球部に入ってたけどもうやめた。だるかったから
_
( ゚∀゚) 勉強はあんまり得意じゃねえかな…
_
( ゚∀゚) 趣味は野球。サッカーはしねえけどウイイレは好きだな
_
( ゚∀゚) 左胸に墨入ってる。銭湯にいけねえから不便
_
( ゚∀゚) 好きな音楽は……特にない。あんまり聴かねえ。音楽ならフォックスさんが詳しいはず
ξ゚听)ξ ツンデレ。ツンって呼ばれる
ξ゚听)ξ 趣味は…ピアノ。昔は嫌いだったけど、習い事やめてから好きになったかな
ξ;゚听)ξ ブーン? 何で今その名前出てくんのよ。は? 別に怒ってねーし
ξ゚听)ξ ヘリカルとよく遊んでたけど…よくわかんない子。別に嫌いではないけど
ξ゚听)ξ えっと…
ξ゚听)ξ 部活は茶道部。デレとクーと一緒
ζ(゚ー゚*ζ デレデレです。茶道部に入ってて、趣味は…映画かな
ζ(゚ー゚*ζ 男の子がちょっと苦手。怖いっていうか…男嫌いではないけど
ζ(゚ー゚*ζ えっとー…それくらい?
*(‘‘)* ヘリカル沢近と申します! 趣味はアニメと漫画とお散歩と…お昼寝!
*(‘‘)* 一人っ子です! のびのび生きてます
*(‘‘)* うむむ…あ、ペニサスちゃんとさだちゃんとよく遊びます!
*(‘‘)* あの二人と一緒にいると落ち着くのです
*(‘‘)* 最近はよくトソンさんが遊びに誘ってくれるので、二人でお買い物したりしてます!
*(‘‘)* あがり症なので、みんなの前で喋ったりが出来ない子です
从'ー'从 渡辺〜最近転校してきたの〜
从'ー'从 えっとね〜?
从'ー'从 部活はまだ入ってないよ〜
从'ー'从 ダラダラちゃんが茶道部に誘ってくれたけど…
从'ー'从 お茶は嫌い〜
从'ー'从 んとね〜ん〜? うん〜終わり〜
(゚、゚トソン トソン。部活入ってない。趣味は音楽
(゚、゚トソン 年上が好き。同じ学校のやつとかはガキ臭いからいや
(゚、゚トソン ライブはよくいく。激しいのが好き。エモいのとか
(゚、゚トソン そんだけ
o川*゚ー゚)o キュートでーす。趣味は料理かな?
o川*゚ー゚)o 私さー、なんか軽いやつだと思われてるけど、全然そういうのじゃないのー
o川*゚ー゚)o 一途っていうか? てかまだピュアだから勘違いされたくないっていうかー
o川*゚ー゚)o 付き合ってる人はいるよ。一年くらいになるかなー?
o川*゚ー゚)o よく遊ぶのはデレちゃん。あの子彼氏つくんないけど、男にキョーミ無いのかなー?
川 ゚ -゚) 素直クー。数学が好き。大学は理系に行く
川 ゚ -゚) 料理とかは出来ない。買い物もあまりしない
川 ゚ -゚) 祖母が華道をやってて、私も少し習ってる
川 ゚ -゚) モララーと付き合ってるけど、私よりサッカーに興味あるみたい
川 ゚ -゚) 長続きはしないと思う
('、`*川 ちぃーっす、ペニサス伊藤どぇーす
('、`*川 趣味はインターネットとアニメどぇーす
('、`*川 最近ヤンキー漫画にはまってバイクが欲しくなってきましたー
('、`*川
('、`*川
('、`*川 あと人見知りで初対面がごっつ苦手。苦手なのは可愛い女の子。もっと苦手なのがイケメンかな
終わり