そもそも、現在の「国家はそれぞれの主権を尊重し、内政干渉は控える」という発想が生まれたのは、
凄惨な30年戦争を終結させたウェストファリア条約でした。
ウェストファリア条約は、現在に連なる「国際法」の始まりであると同時に、
「条約締結国は相互の領土を尊重し内政への干渉を控えることを約する」
とした点で、極めて意味がありました。30年戦争の戦禍があまりにも凄まじく、
ドイツの民衆の3分の2が命を失うという凄まじい状況を経て、欧州各国は、
「もう、互いに内政干渉をするのはやめよう。結果が悲惨になるから」
という結論に至ったわけです。
結果的に、ウェストファリア条約が生まれ、現在に連なる「主権」「内政干渉を控える」といった国際秩序が誕生しました。
ところが、現在のユーロ圏を見ると、明らかにドイツ(及びフランス)が財政破綻目前国の財政主権を奪おうとしています。
それだけならばまだしも、なぜか「EU加盟国」全体で財政規律を強化するというお題目で、均衡財政主義を憲法化しようとしているわけです。