●bj league☆新潟アルビレックス Part 8●
水島新司氏のマンガ「あぶさん」の主人公、福岡ダイエーホークスの景浦安武が、
ソフトバンクへのホークス譲渡後も現役を続行する事になった。1973年に26歳でプロ入りした景浦も、
来月17日で57歳になる。(ちなみに、彼の長男でオリックス・バファローズの景浦景虎も同じ誕生日である。
もともと景浦の誕生日の設定は、同じ年の有藤通世元ロッテ監督にちなんだものである事はあまり知られていない)
毎年、景浦の場合は引退がしばしば話題になり(景浦の引退は同時に「あぶさん」の連載終了を意味する事になる)、
今年も度々それを匂わせる場面があった。しかし、合併や新球団誕生というパ・リーグの現状を考えると
簡単に引退させる訳にも行かず、水島氏は球団売却後の来季も現役を続行させる事を決意した。
水島氏は「このドラマは避けては通れない。景浦は他球団に行く気もない。おそらく身売りしても、
ホークスの名は残してもらえるだろう。ソフトバンクには素直に『ありがとう』と言いたい。一抹の寂しさはあるが、
これからも応援できる」と今回のホークス売却と景浦現役続行についての胸の内を語ったこの30年の連載中、
景浦にとってもいろいろな事が起こった。プロ入りした時は代打要員だった景浦も今や三冠王を2度も獲得し、
ホークスの不動の四番である。私生活でも行きつけの居酒屋「大虎」の看板娘のサチ子(旧姓桂木)と結婚し、
2人の子供を設ける。長男景虎は大阪近鉄バファローズの主戦投手となり、
来季からは新球団オリックス・バファローズで投げる事となった。長女夏子は大阪を活動拠点とする
アイドルとしてがんばっている。30年を経るとともに、球界も身辺も変化を遂げた当然、30年の間には水島氏が
連載終了を考えた事もあった。最初は、「ドカベン」のメンバーが明訓高校を卒業すると同時に「あぶさん」
の連載を終了させるものであった。その時の最終回の構想は景浦とサチ子の結婚式で門出を祝うというもので、
水島氏は実際に2人のパネルを並べ、お世話になった実在の関係者を呼んで式を行う事を計画していたという。
景浦のその後は、「ドカベン」で描き、山田太郎や岩鬼正美を南海に入団させて、景浦とともにプレー、
景浦の息子も物語の中で甲子園を目指す設定を考えていた。(ちなみに、水島氏は山田や岩鬼が
セ・リーグでプレーするなら地元の大洋ホエールズに入団させるつもりだった)ところが、
「ドカベン」の連載中に山田に似た浪商の香川伸行が甲子園で大活躍し、南海に入団したために軌道修正を余儀なくされ、
「あぶさん」は連載終了を免れた2度目は、南海ホークスが福岡ダイエーホークスとなった時だった。
水島氏は「ホークスが福岡に移るし、景浦も40歳。南海ホークスの終焉を最後の花道としよう」と考えていた。
ところが、福岡のプロ野球ファンから「『あぶさん』はどうなるのか?」、「福岡でも続けてほしい」という声が殺到したため、
連載続行となった経緯がある。水島氏がはっきりと連載終了の考えを公にしたのはこの2回だったが、
やはり景浦が57歳で現役という事を考えれば、幾度となく連載終了を考えた事は否めないだろう。
それを乗り越えてここまで来たのは、まさに不滅の金字塔と言うしかないこの他にも、
野村克也氏が南海監督を解任された時も景浦の処遇に関してひと悶着があった。