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オールスター直前の打撃練習で・・・
バットを振るたび、歓声が大きくなっていく。打球の行方を追っていた大リーグのスーパースターたちの顔色も変わっていく。球宴を翌日に控え、ポカポカ陽気の下でイチローが仰天の打撃練習を披露した。1本、2本、3本…。30スイングでサク越えは6連発を含む12本に達した。
「やっぱり、本塁打競争に出た方がよかったんじゃないの」
同僚のキャメロンはニヤリ笑うだけだったが、ボンズやソーサら居並ぶ他の大リーガーたちは、イチローが披露した本塁打ショーに目を丸くした。出場しなかった本塁打競争を前に、まさに独り舞台。打撃練習でさえ主役になってしまった。