1 :
ゴーストライター:
目を覚ましたときいつものグラウンドではないと秀喜は錯覚した。
もちろん、その場所ははいつもの東京ドームのグラウンドであったのだけれど、
何かがおかしかった。何かが違っている。
すぐに、秀喜はその原因に気づいた。ドームの屋根の気配で既に夜であることがわかった。
さっきまで昼ご飯を食べていたはずなのに・・・
秀喜は、辺りをそろそろと見回した。ジャイアンツの選手が、
先ほどまでの秀喜と同じように床に伏して眠っている。
そのなかには、清原、二死、宮田ピッチングコーチもいる。
俺はいったいどうしたんだろう? 秀喜がそう思ったとき、ベンチから3人の老人が現れた。
「どーもー長嶋です。セコムしてますか?」
「どうも実況の小川です。」
「てめーら起きろ!オーナーにあいさつせんか!」
ナベツネオーナーの怒声に皆やっと目がさめた。
みな、なにが起こったのかわからないという顔で焦点の定まらない目つきを
している。
なぜ監督・オーナー・小川アナが?これはいったい?
そして長嶋監督がスピーカーで叫んだ
そして長嶋監督の発言に皆完全に目をさまし戸惑った
「エヘヘ皆さん残念ながら今年は優勝絶望という事体になってとても残念です!
これは私の現役時代のように野性味のなくなったのが原因かと思われます。
よってプロレス界で行われたバトルロワイヤルを開催したいと思います。
つまり今日は、みなさんにちょっと、殺し合いをしてもらいます!
詳しいルールについては小川アナお願いします」
2 :
:01/08/27 21:18 ID:/D.TIjsc
とりあえずフォークを武器にするキャラを(瀬戸豊)
4 :
名無し:01/08/28 22:50 ID:ugS.glZE
小川アナが拡声器でルール説明をしようとしたとき
村田真一が叫んだ「監督ふざけるのもいいかげんにしてください!まったく
ボケてしまったのですか?」
5 :
:01/08/28 22:52 ID:7wfdvr4Q
ハァ?
6 :
:01/08/28 22:53 ID:7wfdvr4Q
そりゃないって
7 :
l:01/08/28 23:14 ID:ugS.glZE
>>4 心には皆思ってるが口にはださず殺し合いに皆賛成するでしょう
8 :
偽・ゴーストライター:01/08/29 00:00 ID:VPoQgMmA
「ん〜。村田くん。まだ信じられないみたいですね〜!原くん、あれを
持ってきてーちょーだい!」
長嶋監督がそういうと入口から大きな寝袋を抱えた原ヘッドが入ってきた。
「オープンザバック〜」と長嶋監督が言うと、原が寝袋を開けた。
「うわ〜!」 最前列にいた二岡が叫んだ。
その袋の中には血だらけの槙原がいた。
9 :
代打名無し:01/08/29 21:44 ID:cWlL6Y4M
おもしろいのであげ
10 :
代打名無し :01/08/29 21:54 ID:fYk.8H92
七原=松井?
三村=元木
桐山=清原
ヒロイン(名前忘れた)=上原
11 :
代打名無し:01/08/29 22:01 ID:u/gEy0FA
面白いが現実なら(w真っ先にシゲヲとナヴェツネを
やるだろ
12 :
:01/08/29 22:21 ID:9HsmyIO.
続けてくれ!おもしろいあげ
13 :
偽・ゴーストライター:01/08/29 22:46 ID:yYDR.H8o
槙原はユニフォームを着たまま変わり果てた姿になっていた。
体中に銃痕だろうか穴があいている。選手達はその姿を見てパニックになった。
「静かにして下さ〜い。エブリバディーシャラップですよ〜」と長嶋監督が言った。
しかし一向に選手達は大人しくならない。
「う〜ん。原ヘッドお願いします」と長嶋監督が言うと原ヘッドが拳銃を取り出し
ドームの屋根に向けて撃った。銃声に驚き、選手達は静かになった。
「そう。皆さん静かにして下さいね。それでは小川アナルールの説明をお願い
します。プリーズです〜」
14 :
偽・ゴーストライター:01/08/29 22:55 ID:yYDR.H8o
って言うか続けて良いのか?誰がいるのかも決まってないのに…。
ちなみに8=13だけど1は別人…。
15 :
:01/08/29 23:22 ID:R0704NwI
>>14 おもしろいので続けてほしいっす。
しかし1は戻ってこないのか?
16 :
偽・ゴーストライター:01/08/29 23:44 ID:bz9xPiuA
「それでは、ルールの解説始めます。皆さんはいま、読売ランドの中にいます。
皆さんには、この中で殺し合いをしてもらうわけです。最後の一人は次期巨人軍
監督になれます。以上です」
つづいて、ナベツネがいう。
「お前等、これは試練何や。愛の鞭や。ここにいる長嶋もこれを勝ち抜いて監督
なったんや。」
「そのとおりデース。王ちゃん、張ちゃん、金やん、みんなミーが頃しました。
みんなもミーみたいになりたかったら頑張って頃してね」
17 :
:01/08/29 23:45 ID:vUUScdSo
狂った監督の下でまともな選手はやっていけないし
まともな監督の下では狂った選手はつとまらないネ…
あの監督の下で忠誠を尽くしプレイする巨珍の選手全員
実は狂人の群なんだからネ…
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∩ ∩
トボトボ l U l
(三 )
$〜(|三 |)
∪ ∪
:::::::::::
::::::::
:::::
18 :
:01/08/29 23:46 ID:vUUScdSo
∩ ∩
l U l / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(#゚д゚) < あれはホームランなんだからネ!!
$〜⊂| 8 |⊃ \ホームランなんだからネェェェェェ!!!
∪ ∪ \___________
‖‖‖
∩ ∩
l U l
(#゚д゚)
☆ ⊂| 8 |⊃ ☆ ペコッペコッ
ミ ∪ ∪ 彡
/ ̄∩_∩ ̄ ̄ ̄ ∧ ̄\―┐ヽ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_ C/__(´ε`;)__ /_っ _λ\|__| < なんで僕の車を攻撃するブヒ・・・
,  ̄/  ̄/__ / ̄ ヽ ヽ_ ヽ \ \__________
/O〇〕――――――∠〇Oo)__∧・ | ∧ |
| ̄ ̄ ┌─┐  ̄ ̄_ /⌒ヽ ) | | ヽ|
|同 匸└─┘ ̄ ̄]  ̄同丿 |⌒| | _|)| )
|_____________ 二| ノ丿_――┘ 丿
人人 ノ ̄ ̄ ̄ ̄ 人人 ノ
19 :
偽・ゴーストライター:01/08/29 23:50 ID:JFm1hrFc
>16
あっ偽者の偽者だ(By.8&13)
20 :
テーマそんぐ:01/08/29 23:50 ID:mINIuC/g
21 :
テーマそんぐ :01/08/29 23:51 ID:mINIuC/g
22 :
:01/08/29 23:55 ID:43Rv99Dc
偽物でもいい
面白ければ
23 :
JKN:01/08/30 00:12 ID:fAyhmnKU
24 :
偽・ゴーストライター:01/08/30 10:53 ID:GzEji34M
「そんなばかな」
誰かが後ろで立ち上がり、うわずった声を発した。振り返るとそれは今期ドラフト1位の阿部だった。
「ぼ、ぼくはドラフト1位で、レギュラーキャッチャーの座は保証されているんだ。な、なんでこんな
不毛な争いに巻き込まれなきゃいけないんだ。」
長島監督はえ、へ、へと笑いながら答えた
「う〜ん阿部君ですか、君はミーが期待して使ってたのに開幕から多くのギャグを連発してくれました
。打つほうもあの打率では、いけませんね〜、非常に、君はミーの期待を裏切った、今年の巨人軍の惨
劇はあなたのおかげですよ。そんなあなたがレギュラ−を保証されてるとでも思っているんですか〜?」
長島にそう言われて安部はぺたんと座りこんだ。他の選手も長島の自分の低脳采配を全く無視したチーム
非難にもう何を言っても無駄だとさとった
25 :
偽・ゴーストライター:01/08/30 11:26 ID:GzEji34M
「それとあなたたち、もう入ってきてくださ〜い」
長島に促されて、ライフルを持った3人が入ってきた。よく見るとそれは桑田と
仁志と上原だった。
「桑田、おまえ、わしらを裏切ったんか」
清原が怒声を発したが桑田は平然として答えた。
「わるいなキヨ、俺も我が身がかわいくてな」
「プロなんだから人生設計を立てとくもんなんだからネ、常識なんだヨ」
「はいはいー、いつまでも感傷に浸っていないように。これからルール説明です
よ、ちゃんと聞くように〜、リッスントゥミーですね、いわゆるひとつの」
26 :
:01/08/30 11:50 ID:QsMAfNAU
漫画版しか知らない…
あれ面白いけど。やはり原作も読むべきなのか。
27 :
偽・ゴーストライター:01/08/30 12:54 ID:9zObiJqk
小川アナが説明を始めた。
「え、と、少し中断しましたが詳しいルールの説明です。皆さんはこれから
長島監督が決めた順で1分おきにここから出ていってもらいます。出たとこ
ろからゲームスタートです。出て行く時にこのバックをもらってください、
中には武器と少量の水と食料が入ってます。あと制限範囲が決まってますの
でそこから出ないでください、出ると爆発します。最後の一人になるまで戦
って24時間以内に誰も死なないと全員爆発します。まあこんなとこかな、後
は地図とルールブックを見て確認してください。」
「皆さん聞きましたねじゃあゲームスタートです。まずは江藤くん、頑張っ
てね、あと皆がここを出ていったらここらへんは立ち入り禁止になるから気
をつけてちょうだい、じゃあグッドラック」
28 :
:01/08/30 13:25 ID:IclM3Sxc
おもしろage
29 :
:01/08/30 13:27 ID:TqerG17Q
太郎は清原でいいね?
30 :
:01/08/30 13:38 ID:IclM3Sxc
スピーカーで停戦を試みる二人(スマソ名前忘れた)
条辺と三浦貴あたりか?
31 :
:01/08/30 16:32 ID:8lFefAtg
桐山はヨシノブがいいと思ふ
32 :
偽・ゴーストライター :01/08/30 18:58 ID:iyn11FLY
松井は考えていた、どうすればこのクソゲームをやめさせて巨人軍を元に戻せるか
「みんな本気で殺し合おうなんて考えてはいないはずだ、昨日まで同じ球団の選手
として優勝を争ってたんだ、なんとか集まることができれば・・・
やがて、松井の名前が告げられた
「ん〜、松井君、次はきみですよ。」
上原からバックをもらう。中の武器を使って急襲しようかと思ったがそれは無駄な
ことだとすぐにわかった。部屋の外にはコーチたちがライフルを持って立っていた。
考えて見れば当然のことだ。巨人の選手を上原たち3人で抑えることなんてできるわ
けがない。ともかく早く出よう。
スカイゲートからでてみると夜のよみうりランドが見えた、電気が消えていて不気味
な雰囲気が漂っている、そこには誰もいなかった、村田さんや河合さんらベテラン選
手まで消えていた事に松井は深い憤りを受けたがそれもすぐに打ち消された、何かが
横たわっている。近づいてみるとそれが大場だとわかった。後頭部に20センチほどの
銀色に光る棒がはえていた。
33 :
佐々成政:01/08/30 19:20 ID:wZ23S7jk
え、川相さん死んじゃったんですか?
河本、野村そのあたりはどうなるの?あと田畑は?
34 :
偽・ゴーストライター:01/08/30 19:36 ID:iyn11FLY
いったいなんなんだ、誰かがやったのか、それともこれは一種のサクラなのか、
――周りがやる気になっていると見せかけるための、
ともかく生きているかどうか少し様子を・・・
ヒュンと音を立てて松井の眼目を何かが掠めた、松井はぐっと口を引き締めると
とっさにその矢とって横へ飛びのいた。
「あれは江・・・」
振り向きざまに投げた、こんな動きができたのも野球をやっていたからだろう。
いつもは暴投の多いノーコンだったが矢は相手にあたった、相手は「うっ」と
うめくととそのまま落ちてきた。近づいてみる、やはり江藤さんだ、その手には
ボウガンがにぎられていた。松井は蒼然とした、戦いはもう始まっているのだ、
こんなとこにいたらまた襲われかねない、ともかく身を隠さなくては、松井は暗
いよみうりランドを走っていた
35 :
:01/08/30 20:06 ID:iyn11FLY
死者
槙原(17)大場(63)
生存
斎藤雅樹(11)河原純一(15)桑田真澄(18)上原浩治(19)入来祐作(20)
趙成ミン(21)西山一宇(26)岡島秀樹(28)チョンミン哲(30)高橋尚成(36)
木村龍治(41)メイ(42)工藤公康(47)柏田貴史(49)チョンミン台(51)
条辺剛(59)アルモンテ(61)
村田真一(9)阿部慎之助(10)村田善則(12)吉永幸一郎(23)
後藤孝志(00)元木大介(2)清原和博(5)川相昌弘(6)二岡智宏(7)
二死敏久(8)江藤智(33)マルティネス(48)
高橋由伸(24)清水隆行(35)松井秀喜(55)
+徳光和夫,デーブ大久保,テリー伊藤が友情出演。
残り35人
面白いのでこれからも頑張って下さい!
村田真一(背番号9)と村田善則(背番号12)は、二人で北の崖で落ち合った。
真一「良かった。無事だったのね善君」
善則「最後に真一に会いたかったわ」
真一「あなたと一緒なら何も怖くない」
善則「あたしもよ」
その時、近くで人の気配がした。
真一「いこっか、善君」
善則「あたしたち、永遠にいっしょよ」
二人は抱き合って崖下に飛び降りた。
暫し後、崖上にただずむ上原(背番号19)の歯茎は青白かった。
残り33人。
40 :
偽・ゴーストライター :01/08/30 22:50 ID:hQX0jvro
趙成ミン(21)、チョンミン哲(30)、チョンミン台(51)の3人はキムチショップ
に集まった。
成ミン「これからはウリナラの時代ニダ!」
ミン哲「チョッパリ皆頃し!」
ミン台「謝罪と賠償するニダ!」
そこに柏田貴史(49)が現れた。
成ミン「くらえキムチパンチ!」
ミン哲「焼肉みだれうち!」
ミン台「: @#$%$%!」
柏田は倒れた。
残り32人
41 :
:01/08/30 23:03 ID:P501NfrA
仁志、桑田、上原は裏切ってただろ
42 :
:01/08/30 23:37 ID:pZn8IE8.
これは誰が書いても良いのですか?
43 :
:01/08/30 23:40 ID:9N1GFO/o
>42
おもろいのでどんどこ書いてほしい。
みなさん頑張ってください。
44 :
偽・ゴーストライター:01/08/30 23:46 ID:P501NfrA
よみうりランドじゃ無理があるから設定を島にしてみたよ
元木は部屋で清原に教えられた場所へ向かっていた
――――元木は清原グループの1人で彼の忠実な下僕だった。彼は野球人として満
足な成績を残してはいなかったが、その毒のあるキャラクターで「曲者」といわれる
ことでチームをしきろうとしていた。
1996年そんなところで清原が現れた、彼はあっという間に巨人をしめてみせた、
元木は清原に会いその次元の違いを痛感した、そして清原に仕える道を選んだ、
彼は清原によく仕えたし清原もまた元木と親しくつきあっていた。
―――岬についた。清原はどこにいるだろうか、探してみる。見晴らしのよさそうな
岩に登ると海が見えた、暗闇の中にいくつかの島が見て取れた、前に一歩踏み出そう
とした時、突然後ろから声をかけられた。
「元木」
45 :
:01/08/30 23:49 ID:P501NfrA
>>42 基本は原作で書いてくれれば誰が書いてもいいです。
私も偽・偽ゴーストライターですから
46 :
:01/08/30 23:51 ID:F3jwyN2w
47 :
:01/08/30 23:58 ID:shGhAOPg
おもしろいage
48 :
偽・ゴーストライター :01/08/31 00:38 ID:S6ZPt0h2
反射的に銃をかまえた、がすぐにそれを下ろした。
茂みからは清原が姿をあらわした。
「番長、いたんですか」
元木は安堵の声を漏らした、しかし同時に清原の調子がおかしいことに気づいた
「どうしたんですか少し様子が変すよ」
清原はしばらく黙っていたがやがてしゃべり始めた
「なあ元木、俺は正直いってどうでもいいんや」
「ど、どうでもいいって・・・」
「・・・べつに巨人に抵抗せんでもええんやないか、俺は桑田に裏切られてそう
思ったわ、奴はPLの時からのつきあいや・・・まあ前にも1度裏切られた事が
あったがな、それでも親しくしとった、俺の一番のダチやった。そのあいつがま
た裏切ったんや、もちろん俺に相談せずに・・・」
「・・・もう巨人と争うのは」
話が終わらないうちに元木は銃の引き金に力をこめた、しかし、その時には清原
が弾を放ち終わっていた、ぱららっ、と小気味よい音がしたその瞬間、元木は絶
命していた。
「やめや、わしはこのゲームに乗る、勝って、また巨人に、桑田と残るんや」
流れたばかりの血の臭いと潮風がまじった、打ち寄せる波の音が、続いていた。
デーブ大久保、拾い食いして食あたりで臨終。
残り31人
50 :
:01/08/31 00:41 ID:S6ZPt0h2
だって
>>38で島になってるやん、それと
>>45で生意気なこといってスマソ
俺が決めることじゃないよね
テリー伊藤、公約を果たし切腹。
残り30人
52 :
:01/08/31 00:46 ID:VD5r0uV2
徳光和夫、乗っていた飛行機が落下。
残り29人
53 :
書かれそうにないので・・・:01/08/31 00:47 ID:rQ2K0r/s
入来祐作(20)は、かろうじて物陰に身を潜めた。
(畜生・・・狂ってやがる・・・)
否、あの男が狂っているなんて、分かり切ったことだったろう。あんな狂人を野放しにしておけるなんて、日本とはまったくなんて「平和な」国なのか。
入来は空いている左手でペンダントを握りしめた。
今は他球団へ移った最愛の兄・智と同じペンダントだ。
不安に苛まれた時、このペンダントを握ると、心が落ち着いた。
(兄貴・・・)
兄が他球団へ移っていて、幸いだった。
あの兄と殺し合うなんてことは、とても出来ない。それくらいなら自分の命を絶つ方がまだマシだ。
脳裏に、明るい兄の笑顔が浮かぶ。
帰りたい。
あの兄の所へ。
なんとしてでも。
人を殺したことなど、もちろんない。
増して、昨日まで共に闘ってきた「戦友」を・・・。
だが。
帰れるのならば。
兄の所へ戻れるのならば。
俺は人を殺せるかも知れない。
入来は静かに右手の武器を握りなおした。
54 :
:01/08/31 00:48 ID:i1rTfpmo
死者
槙原(17)大場(63)柏田(49)村田慎(9)村田善(12)デーブ大久保、元木(2)
生存
斎藤雅樹(11)河原純一(15)入来祐作(20)趙成ミン(21)西山一宇(26)
岡島秀樹(28)チョンミン哲(30)高橋尚成(36)木村龍治(41)メイ(42)
工藤公康(47)チョンミン台(51)条辺剛(59)アルモンテ(61)
阿部慎之助(10)吉永幸一郎(23)後藤孝志(00)元木大介(2)清原和博(5)
川相昌弘(6)二岡智宏(7)二死敏久(8)マルティネス(48)高橋由伸(24)
清水隆行(35)松井秀喜(55)+徳光和夫,テリー伊藤
残り28人
元木も芯だか。
退場
槙原(17)柏田(49)大場(63)村田真(9)村田善(12)元木(2)デーブ大久保,テリー伊藤
生存
斎藤雅樹(11)河原純一(15)桑田真澄(18)上原浩治(19)入来祐作(20)
趙成ミン(21)西山一宇(26)岡島秀樹(28)チョンミン哲(30)高橋尚成(36)
木村龍治(41)メイ(42)工藤公康(47)チョンミン台(51)
条辺剛(59)アルモンテ(61)
阿部慎之助(10)吉永幸一郎(23)
後藤孝志(00)清原和博(5)川相昌弘(6)二岡智宏(7)
二死敏久(8)江藤智(33)マルティネス(48)
高橋由伸(24)清水隆行(35)松井秀喜(55)+徳光和夫
残り29人
56 :
:01/08/31 00:50 ID:i1rTfpmo
死者
槙原(17)大場(63)柏田(49)村田慎(9)村田善(12)デーブ大久保、元木(2)
生存
斎藤雅樹(11)河原純一(15)入来祐作(20)趙成ミン(21)西山一宇(26)
岡島秀樹(28)チョンミン哲(30)高橋尚成(36)木村龍治(41)メイ(42)
工藤公康(47)チョンミン台(51)条辺剛(59)アルモンテ(61)
阿部慎之助(10)吉永幸一郎(23)後藤孝志(00)元木大介(2)清原和博(5)
川相昌弘(6)二岡智宏(7)二死敏久(8)マルティネス(48)高橋由伸(24)
清水隆行(35)松井秀喜(55)
残り26人
57 :
:01/08/31 00:52 ID:Yx40YEpU
主人公は松井なんだね?
58 :
:01/08/31 00:57 ID:CQIz7IBc
59 :
偽・ゴーストライター:01/08/31 02:26 ID:onAwPz0c
条辺は闇の中にうずくまっていた、さっきからもう2時間もこうしている。
「なんでこんな球団に入ったんだ、なんで俺が殺し合いなんかしなきゃいけないんだ」
条辺は部屋をでた後すぐに隠れる場所を探した、すぐに小屋を見つけた。小屋の中にいれ
ば入ってきた奴を不意打ちできる、少なくともここが禁止エリアになるまでは大丈夫だ。
それにこちらには拳銃がある、万が一ににも負けることはないだろう。
「くそ、俺は絶対死なんぞ、こんな馬鹿な死にかたってあるか、絶対生き残って見せる」
かしゃんとガラスの割れる音がした、さっと身構える。裏からだ。身を隠して敵の来襲に
備える。高橋だ、奴なら必ず殺るだろう、あいつの二重人格ったらもう、カメラの前だけ
いい子になりやがって
―――ぎしっ
床のきしむ音がした
「誰かいるのか」
(気づかれた、仕方ない、殺られるまえに殺るっ)
「まて!少しまってくれ、不毛な殺し合いはやめよう、ここで殺りあったら奴らの思う壺
だ、皆で協力すれば必ずなんとかなる!」
(ふん、またくだらない御託を、今すぐ引導渡してやるぜ)
条辺が立ちあがった、引き金を引き絞ろうとする
「条辺か、なあ、やめようぜ、せっかく同じ球団に入った仲間じゃないか、こんな偶然的
に会った仲間、ほんとに偶然同じチームに入ったんだ、これからも大切にしていこうぜ、
皆で協力すればきっと何とかできる。もう1度チームを信じてみようぜ、死んだらそれまで
だったとあきらめればいい」
(ぐ、これは、嘘、嘘に決まっている)
それでもこの言葉は条辺の心を僅かながら揺らした
「条辺、俺達ってなんのために生まれてきたんだ、仲間を裏切ってまで生きることになんの
価値があるんだ、孤独になって生きても空しいだけじゃないか、そうだろ」
気づくと高橋は涙を流していた。呼吸も乱れている。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
沈黙の時間がすぎる。やがて条辺はゆっくりと銃口を下げた。
「わかりました、高橋さんの言うとうりです。皆で協力して戦いましょう」
「ああよかった、わかってくれたか、じゃあ握手だ」
条辺も歩み寄る、堅い握手をした、刹那、ざくっという音を聞いた。真新しい包丁で採れた
てレモンを切ったようないい音だ、またざくっと音がした、のどが猛然と熱くなった、血が
吹き出る、その血で胸が熱くなったところで条辺は息絶えた。
高橋が手を離すと条辺は横ざまにどっと倒れた高橋は涙をぬぐうと鎌を振って血を払った。
―――いつもカメラを意識しているんだ、涙ぐらい流せないでどうする
高橋は条辺の手から拳銃を抜き取るとやがてその場から去った
60 :
代打名無し:01/08/31 02:44 ID:vFsaZrHk
>>59 キミ(・∀・)イイ!
でも夜中だしちょっと怖かったーよ。。
61 :
佐々成政:01/08/31 03:56 ID:7FJGumX2
川相さん、残してあげて。
62 :
1000円札さん:01/08/31 04:48 ID:tMh.RScM
由伸は相馬光子で、條辺が江藤恵か…
63 :
うあ。:01/08/31 05:28 ID:Ijiw..hE
入来と由伸のキャスティングが絶妙!
はー、バトロワ流行ってますねー。
自分、プロレス板の「新日バトロワ」スレの住人なんですが・・・巨人編も面白い!
野球の方がプロレスより登場人物多くて大変そうだけど…作家さん達、頑張って下さいね!
また見に来ます!
…しかし、どこのバトロワも出だしが同じなのが笑える(藁
元ネタ書いた人はエライですよね。
65 :
:01/08/31 11:42 ID:PCq188sA
書いてみたいけど、原作にそれ程詳しくないのでオリジナル化してしまう・・・。
やっぱりそれじゃダメですか?
66 :
:01/08/31 12:15 ID:k/cH.Kx6
>>65 いいと思うよ、キャラクター違うし、ただ松井とか
基本的なところは原作通りがいいと思ふ
67 :
脇役を使って:01/08/31 12:40 ID:QwaD/nUM
アルモンテ(61)は息を整えた。
彼にとって最大の使命を果たすときがきた。
__救世主として。
覚悟はいいですか、救世主ヒロミ・イワキ・アルモンテ?
頭の中、光の神ミズシマが訊いた。
その声は彼が咥えてた伝説の葉っぱ(神宮で拾ったただの雑草の、
しかしアルモンテは伝説の葉っぱだと信じているそれ)から届いているようだった。
「モチロンデス。」アルモンテは答えた。
「ワタシハアノアクマ清原ガ元木ヲコロスノヲミマシタ。アノオトココソガワタシノテキデス。」
清原の背中ががら空きだ。「今です。今こそいきなさい!」「ハイ!」
アルモンテは刃渡り15cmのナイフを両手で持ち、清原の方へ向かった。
しかし清原は振り返ることも無く腕だけを背後に伸ばして引き金を引いた。
救世主ヒロミ・イワキ・アルモンテの魂は光の国へ旅立った。
68 :
偽・ゴーストライター:01/08/31 13:06 ID:yxor6QCk
松井は山の中に入った。どこか隠れる所はないか、ともかく一刻も早く身を隠さなければ
―――山を登っていると道脇にくぼんだ場所があるのを見つけた、近づいてみる、どうや
ら人はいなさそうだ。支給されたナイフを構えながら松井は横穴らしきところに入ってい
った。物陰が見えた、松井は警戒レベルを最大にまで上げた、そして問い掛けてみる。
「誰だ」
反応はない ・・・少しおいて、松井はもう一度声をかけた
「誰かいるなら聞いてくれ、俺は戦うつもりはない、皆で集まってあの腐った長島
たちをぶっ潰そうと考えている、出てきてくれ、いっしょに戦うんだ」
・・・ややあって誰かが姿をあらわした、二岡だ。右手に何か武器が握られている。
「二岡か、戦う気がないなら俺の言うとおりにしてくれ、1・2・3で同時に武器
を落とすんだ、いいな」
二岡がうなずく。
「いくぞ、1・2・3」
自分のナイフと共に、二岡も武器を落とした。
「よかった、戦う気はないんだな。今からそっちによる」
二人が近づいた。よかった、これならもう大丈夫みたいだ。
「二岡、球団の思い通りに殺し合いなんかしたらだめだ。まずはできる限り多くの
仲間で集まって対策を練ろう、それとナイフ、心配ならおまえが持っていてもいい」
「い、いえ、松井さんが持っていてください、俺、松井さんを信用してますから」
「そうか、じゃあ俺が持っている。とりあえずはこの中に身を潜めていよう、禁止
エリアになるまでは大丈夫だ」
69 :
:01/08/31 13:16 ID:yxor6QCk
死者
槙原(17)大場(63)柏田(49)村田慎(9)村田善(12)元木(2)江藤(33)
条辺(59)アルモンテ(61)デーブ、徳光、テリー
生存
斎藤雅樹(11)河原純一(15)入来祐作(20)趙成ミン(21)西山一宇(26)
岡島秀樹(28)チョンミン哲(30)高橋尚成(36)木村龍治(41)メイ(42)
工藤公康(47)チョンミン台(51)
阿部慎之助(10)吉永幸一郎(23)後藤孝志(00)元木大介(2)清原和博(5)
川相昌弘(6)二岡智宏(7)二死敏久(8)マルティネス(48)高橋由伸(24)
清水隆行(35)松井秀喜(55)
残り24人
70 :
:01/08/31 13:19 ID:uh.qjCts
他球団ファンだが面白い!
特に長嶋と入来と由伸VSジョウベが良かった。
貴子は誰になるんだ?
71 :
:01/08/31 13:27 ID:ilbjXHTI
元木が死者と生存でかぶってるよー。
死者
槙原(17)大場(63)柏田(49)村田慎(9)村田善(12)デーブ大久保
元木(2)條辺剛(57)アルモンテ(61)
生存
斎藤雅樹(11)河原純一(15)入来祐作(20)趙成ミン(21)西山一宇(26)
岡島秀樹(28)チョンミン哲(30)高橋尚成(36)木村龍治(41)メイ(42)
工藤公康(47)チョンミン台(51)
阿部慎之助(10)吉永幸一郎(23)
川相昌弘(6)二岡智宏(7)二死敏久(8)マルティネス(48)清原和博(5)
高橋由伸(24)清水隆行(35)松井秀喜(55)後藤孝志(00)
残り23人
72 :
偽・ゴーストライター:01/08/31 14:05 ID:qLuZ06n.
「皆さんおはようございまーす。実況の小川です。
午前6時になりましたー。」
突然所々に設置してある拡声器から、小川の明るい声が響く。
松井はその口調に新たな怒りが込み上げるのを感じた。
「それじゃあこれまでに死んだ選手の名前を言いますから
聞いてくださいねえ。まずは33番江藤智くん。」
そこで松井の顔がこわばる。まさか自分が・・・?
いや、あの時江藤は気絶していただけだった。
他の誰かや、気絶したままあの場にいたせいで
仁志たちに殺されたのかもしれない。きっとそうだ。
俺じゃない。
俺は人殺しなんかじゃない。あの狂った長嶋達とは違うのだ・・・。
そんな事を考えている間にも続々と死んでいった者たちの名前が
読み上げられる。その多さに愕然とした。
たったの一日で、これだけの仲間が殺されてしまうなんて。
そしてその数と同じだけ仲間が殺人者となったのだ。
もうこれは止められない。
この最悪の椅子取りゲームは始まってしまった。
「なんでこんなことに・・・・」
二岡が呟いた。
本当に、なんでこんな事になってしまったのだろう。
なぜ俺達が殺し合いなどしなければいけないのだ。
73 :
オリジナルサイド・・・ごめんなさい:01/08/31 14:38 ID:PCq188sA
入来は拡声器から流れる脳天気な声を、茂みの中で聞いた。
目の前にいれば、そのツラに唾を吐き掛けてやりたいほど腹立たしい。
「・・・條辺も、やられたか・・・」
低く呟く。
まだ若かった。やっと20歳になったばかりの筈だ。
それが狂人どもの腐った頭が考え出したくだらないゲームで、命を落とした。
誰が、殺ったのだろうか。
入来は可能性の在りそうなメンバーを考え・・・やがて首を振った。
誰が誰を殺ったか、などと考えても仕方ない。
この状況下で、「人を殺してはいけません」などとまともに考えられる奴がどれほどいる
と言うのか。現に自分がそうなのだから。
読み上げられた名の一人一人の顔を思い出しそうになる。
だが、こんな感傷に浸ってはいられない。
次の放送で、俺の名前が流れるかも知れないのだ。
入来は首を振った。
死ぬものか。
殺されなどするものか。
俺は兄貴の所へ帰るんだ。
その思いが、ともすれば狂気へと陥りそうな入来の精神を繋ぎ止めていた。
74 :
深作欣二監督:01/08/31 14:46 ID:NFU1H3mY
松井が藤原竜也役か・・・(w
75 :
偽・ゴーストライター:01/08/31 15:28 ID:H2Ipqx3E
松井も二岡も既に疲れきっていた。
あれからろくに食事も睡眠もとっていない。
何よりこんな状況の中で精神状態はボロボロだった。
何故自分達が?そう嘆いてもこの現実はこうしてちゃんとあるのだ。
受け入れる他ならない。
「お腹減った・・・」
また二岡がぼそっとつぶやく。そう言われると自分もそんな感じがする。
こんな中でも食欲が消えない人間の身体を松井はなんだか不思議に思った。
「少し食べとくか」
支給されたバックの中を探る。パンを見つけ二人で半分にわける。
「うまい・・・」何時間ぶりかに2人に笑顔が戻ったその時、
がさがさっという音が松井の耳に入った。
幻聴じゃなかったのだろう、二岡の顔が強張っている。
また音がする。しかも近づいてくる・・?
「逃げるぞ」小声で松井が言った。
とりあえず荷物を乱暴につかみ立ち上がった。
しかし音はますます大きくなる。
がさっとひときわ大きな音がして茂みから西山が顔をだした。
その手にはかなりの大きさがあるナタが握られている。
やばい、と松井が思うのと同時だった。
西山がナタを振り上げまっすぐに突っ込んでくる。
咄嗟にその手首をつかみその凄まじい力に体勢を崩されながらも
松井は必死でさけんだ。
「待てっ、俺達は戦うつもりなんてない!!」
しかし松井はその目をみて何を言っても無駄だと悟った。
こいつの目は尋常じゃない。人殺しのソレだと。
後ろへどんどんと押されていく。がくっと松井の足が滑った。
後ろは急な傾斜になっていた。
2人はもつれたまま坂を転げ落ちた。
空の青と木々の緑が松井の視界をぐるぐるまわった。
数十メートル落ちた地点で体はとまった。
逃げださなければ・・・・・!!
松井は覆い被さっている西山の体を力いっぱいつきとばした。
ところがその身体はあまりにも簡単に離れ、松井は妙な感じを覚えた。
嫌な予感に包まれながらも恐る恐る振り返る。
そこには顔面にナタが食い込んだ西山の身体が転がっていた。
松井は強烈な吐き気がこみ上げるのを感じた・・・。
残り22人。
76 :
:01/08/31 15:40 ID:VFz1UYgc
面白い!成長しました、このスレ!
77 :
:01/08/31 15:44 ID:RUV0MY/c
そこには顔面にナタが食い込んだ西山の身体が転がっていた。
松井は強烈な吐き気がこみ上げるのを感じた・・・。
松井の顔見るだけで吐き気がするのは僕だけですか?
78 :
:01/08/31 15:45 ID:390krxUs
松井=川田が良かったけど(七原って役に立たんし)それにも増して面白い。
さていよいよ、川田の登場だ・・期待してます。
79 :
:01/08/31 15:47 ID:Y.Cxeupc
80 :
:01/08/31 15:50 ID:iDkaWuJA
死者
槙原(17)大場(63)柏田(49)村田慎(9)村田善(12)デーブ大久保
元木(2)條辺剛(57)アルモンテ(61)西山一宇(26)
生存
斎藤雅樹(11)河原純一(15)入来祐作(20)趙成ミン(21)
岡島秀樹(28)チョンミン哲(30)高橋尚成(36)木村龍治(41)メイ(42)
工藤公康(47)チョンミン台(51)
阿部慎之助(10)吉永幸一郎(23)
川相昌弘(6)二岡智宏(7)二死敏久(8)マルティネス(48)清原和博(5)
高橋由伸(24)清水隆行(35)松井秀喜(55)後藤孝志(00)
残り22人
81 :
:01/08/31 15:53 ID:EE1FbOa2
>>78 川田っぽいやつ、もう残ってないぞ。
清原も松井もアルモンテも他の役になったし。
82 :
:01/08/31 15:53 ID:iDkaWuJA
↑
そういえば桑田と上原入ってないね。
でも仁志はいるし・・
この3人どうしよう。
83 :
:01/08/31 15:54 ID:RUV0MY/c
野村とカワモトがいねーぞ
あと小田も入れてほしい
84 :
81:01/08/31 15:54 ID:EE1FbOa2
そういえば村田真もそれっぽいけどな。
85 :
勝手に書いた方の奴:01/08/31 15:57 ID:PCq188sA
オリジナル、止めた方がいいですか?やっぱり。
86 :
:01/08/31 16:00 ID:390krxUs
>>85 個人的には辞めたほうがいいと思う。
あと杉山追加して欲しい、使い勝手も良いし。
87 :
勝手に書いた方の奴 :01/08/31 16:04 ID:PCq188sA
では、53と73の入来は無しいうことで。>書いた本人
原作を壊さない程度なら問題無しって意味です。
89 :
:01/08/31 16:07 ID:mhC3xLu2
>>87 個人的に入来の話し好きです。
前の話とつながってれば別にオリジナルでもいいんじゃないですか?
しかし川田どうしようかな・・・・
90 :
86:01/08/31 16:07 ID:390krxUs
>>85 ごめんなさい、オリジナルの意味間違えてた。
これからもお願いします
91 :
:01/08/31 16:13 ID:nJRhXxP2
桐山・清原 七原・松井 相馬・高橋由 杉村・入来
江藤・条辺 赤松・大場 稲田・アルモンテ 沼井・元木 山本&小川・両村田
槙原・担任
こんなもんであってるかな。
92 :
:01/08/31 16:21 ID:mhC3xLu2
赤松=江藤じゃないかな?最初のほうで松井ねらってたし。
あとは典子=二岡 大木=西山 であってる?
93 :
:01/08/31 16:22 ID:zun1FFNo
赤松は江藤じゃないの?
94 :
94:01/08/31 16:23 ID:NFU1H3mY
赤松=江藤は賛成!顔も似てるし。
95 :
:01/08/31 16:26 ID:a75WxMS6
>>89 入来の話面白いです。なかったことは勿体無い!
96 :
91:01/08/31 16:31 ID:cNBgEAio
赤松=江藤、天堂=大場だね
97 :
オリジナルサイド・・・ごめんなさい :01/08/31 16:41 ID:PCq188sA
面白いと言っていただけて、とても嬉しいです。
ただ、もしこっち(入来側)で誰かが死亡すると、それもオリジナル内容になって
しまうんで、肝心の偽・ゴーストライターさんの本編に影響が出る可能性も大きいん
ですよね・・・。原作にそって書けるのが一番なわけなんですが・・・。
98 :
:01/08/31 16:41 ID:7mZllwt2
メイのストーリーが個人的には楽しみ
99 :
:01/08/31 16:48 ID:JWUrGdjQ
死者
槙原(17)大場(63)柏田(49)村田慎(9)村田善(12)
元木(2)條辺剛(57)アルモンテ(61)西山一宇(26)
生存
斎藤雅樹(11)河原純一(15)桑田真澄(18)上原浩治(19)入来祐作(20)
趙成ミン(21)河本育之(27)岡島秀樹(28)チョンミン哲(30)高橋尚成(36)
三浦貴(39)木村龍治(41)メイ(42)工藤公康(47)チョンミン台(51)野村空生(95)
阿部慎之助(10)吉永幸一郎(23)小田幸平(46)
川相昌弘(6)二岡智宏(7)二死敏久(8)マルティネス(48)清原和博(5)福井敬治(53)
高橋由伸(24)清水隆行(35)松井秀喜(55)後藤孝志(00)
残り29人
適当に追加してみました。本編考えるとちょっと人たらんので。
100 :
:01/08/31 16:49 ID:M84L/T06
入来=三村はいい感じ。
101 :
:01/08/31 16:51 ID:I4w0bBjs
二死タンのキャラクターを考えると、あれで出番お終いなのはもったいない。
102 :
代打名無し:01/08/31 17:41 ID:RRuYoXqs
川田って清原か村田っぽいな…とちょとオモタけど
清原はもう役決まってるんだネ。残念。
103 :
偽・ゴーストライタ―:01/08/31 17:54 ID:kdbgOzWw
しかし、松井はそれでその場から立ち去ることはできなかった。なぜなら―――
目前僅か15メートル先に拳銃を持った阿部が立っていた。その眼は血走っていて
その銃の動く気配に松井は身を伏せた。ぱん、という破裂音と同時に熱いものが
頭の上をかすめた。阿部が二発目を放とうとする、だめだ、かわせない。
「やめろ」
別のところから声がした阿部がびくっと顔を斜め後ろに向けた、松井もぼんやり
その視線を追い―――
―――川相さん?
いきなり阿部が河合に向けて撃った。川相はそれをかわし腰を落とすと膝立ちの
姿勢でショットガンを放った。阿部の右手が飛ぶ、ああこれでもうキャッチャー
もできないね、阿部はその場に膝をつくかと思ったが、しかしそうではなかった
とんだ右手のところにより、右手から拳銃を抜き取った。そして構える。
「やめろといってるんだ」
川相は再び声を発した、しかし阿部は止めなかった。川相が放つ、阿部は体をく
の字にして吹っ飛んだ。
松井は慌てて体を起こした、阿部の体は無残な姿に変わっていた。
104 :
2ch的に:01/08/31 18:05 ID:xH5U8KM.
主人公は二死たんがいいと思うのだが…
何があっても生き残りそう。
105 :
偽・ゴーストライタ― :01/08/31 18:05 ID:kdbgOzWw
松井が川相に寄ろうとする。
「まて」
川相が静止する。
「まず持っているものを捨てろ」
川相に言われて松井は自分がなたを握ったままだと気づいた。
いう通りなたを落とした。
「川相さん、俺たち戦う気はないんです、二岡もいっしょにいます」
「・・・そうか・・・おまえ達は戦う気はないんだな、よかった、
まともなやつがいてくれて」
「川相さん」
「俺もこのゲームには反対だ、おまえ達も二人でいるってことは
俺と同じ考えだろ、集まって何とかしよう」
106 :
偽・ゴーストライタ―:01/08/31 18:37 ID:kdbgOzWw
川相に会えたことで松井は安心した、また、川相さんがこのゲームに反対だと
言ってくれたのが嬉しかった。やがて、阿部と西山の道具を持って川相が帰っ
てきた。西山の道具を見ると、また殺した西山の顔が脳裏に浮かび上がってき
た。
「どうしたんだ松井、顔色が変だぞ」
「・・・西山さんは最初からやる気だったんです、なんでかなって」
「・・・松井、それは、みんな生き残りたいって思ってるからだ。それで西山
は球団の話に乗せられて、やる気になっていた・・・悲しいことだ。昨日まで
同じチーム同士だったのに、こんな事になるのは。しかし相手がやる気になっ
てたらこちらもやるしかない、松井、おまえ、これから躊躇なくそれがやれる
か」
松井は答えられなかった。
―――夜がいっそうふけていった
107 :
:01/08/31 19:36 ID:xrn3YyX6
川相が太郎か
108 :
偽・ゴーストライター:01/08/31 20:11 ID:dKK7zrTU
『みなさん聞いてください!!』
突然大きな声が響き渡った。小川ではない・・
「三浦の声だ」二岡が言う。
『戦うのはやめてください!皆さんここまで来てください!!』
3人は声の聞こえてくる方向へ歩き出した。
「あいつら・・・・」
前を歩いていた川相が言った。
松井も茂みから顔をだし川相の目線をたどる。
山頂だった。北の山の上。展望台のような建物がある。その中に影が2つたっている。
1人がハンドマイクのような物をもっている。多分あれが三浦だろう。
「もう1人は・・・」
言いかけた所で三浦とは別の声がした。
『お願いです。みんな戦いたくなんかないですよね?
俺達2人でいます。戦う気なんてありません!』
「・・・・岡島」
『だからここまで来てくださーい!!』
2人の必死の呼びかけが空にひびく。
あんな事をしてたら丸見えだ。殺されてしまう・・・
「なにやってんだ・・・・!!」
川相が悔しそうに叫んだ。松井も同じ気持ちだ。とにかく安全なところに隠れてほしかった。
その時、ぱらららららららというタイプライターのような音が遠く聞こえ
『うっ』という岡島のうめき声がそれに続いた。
一呼吸おいて『うわあああああ』という三浦らしい声。
展望台の2つの影がゆっくり崩れ落ちた。
展望台の中、清原は元木のものであったワルサーPPKを
外から見えないよう低い姿勢のまますっとおろすと三浦と岡島のデイパックを拾い上げた。
その光景を見た後、松井も二岡もしばらく動けなかった。
また、仲間が殺されてしまった。それもあんな無抵抗だった2人が。
しばらく辺りを見回した川相が「そっちへ戻ろう」と2人を促した。
「・・・これでわかっただろう。やる気になってる奴がいるんだ。」
「ひどいよ・・あんなのって・・・」二岡がかさかさした声でいう。
元の場所まで戻ると川相が荷物をまとめ始めた。
「どうするんですか?」
「見たろ?今の。誰だか知らないが容赦ないぞ。
おまけにマシンガンまでもってやがる。
念のためもうちょっと安全なとこへ移動しよう」
109 :
サブ・ストーリーで:01/08/31 20:25 ID:KCLZofGA
このゲームの優勝候補最右翼は清原くん。
だからアタシは最期まで清原君を追っていって、
最後の最後に清原くんを後ろから撃てばいいんじゃない?
そう考えた河本は最初の集合をすっぽかし逃げた後も
ずっと清原をこっそりと尾行していた。
彼が目の前で誰かを殺しても、アタシには止められないじゃない。
危ないわ、そんなの。優雅じゃないし。
ロッカーで暴れてるのも止められなかったしね。
今も、すぐ下の茂みの中にいる清原を見張りながら、
鏡を覗き込みうっとりと煙草をふかす。
…ああ、アタシってなんてきれいなのかしら。
移動をはじめた清原を追って河本も動き出した。
休憩所のトイレに入っていく清原を見て
口に手を当て笑いを噛み殺しす河本。
立ちション写真を週刊誌に撮られる心配もないだろうに、うふふ。
き・よ・は・ら・く・ん・は・あ・と
でも長いわね、立ち入り禁止エリアになっちゃうわ。
我慢できず覗いたトイレはなんと無人、
見回すとはるか遠くに清原の後姿が木々の間に見え隠れ。
え、え、だって、それって一体?
鳴り響く爆発音に振り返ることなく、清原は時計に目を落とした。
午後5時ジャストから、秒針が7秒を超えていくところだった。
突然響き渡った声に、入来はぎょっとして声の方向を見た。
北と思われる方角の山頂、展望台のような建物に二つの人影がある。
流石に入来のいる場所からは、それが誰であるかまでは判別できなかったが。
「この声は・・・」
一人は三浦。その後に続く声は岡島だ。
呼びかける声が響く。
「馬鹿野郎・・・!」
なんてコトをしているのか。
あれでは殺してくださいと言っているようなものだ。
不意に、やけに軽い連続音が聞こえた。
拡声器を通して、うめき声と悲鳴が聞こえる。
入来は唇を噛み、目を反らした、
これで少なくとも二人、死亡者が増えた。
実際はもっと増えているのだろう。
残っているのは何人か。誰が残っているのか。それは敵か、味方か。
展望台にいたであろう「もう一人」は、容赦ない敵に違いないだろうが。
ここに至るまで、入来は不思議なほど他のメンバーと遭遇していない。
出来うる限り、そのような場所を選んで移動してはいるが。
しかし、いずれ禁止エリアが増えてくる。
移動可能なエリアが狭まってくれば、当然遭遇率も増えるだろう。
その時は・・・。
入来はもう一度展望台を見た。
既に人影はない。
あの瞬間まで、仲間を信じた────信じようとした二人が、少しだけ
羨ましかった。
111 :
シゲオ:01/08/31 20:59 ID:nqgMNHGY
またシゲオだしてください。
シゲオおもしろすぎ。
112 :
おもろい:01/08/31 22:06 ID:JHHmChfk
またバトロワみたくなってきた。
113 :
偽・ゴーストライタ―:01/08/31 22:54 ID:aesbmIlw
もうキャラクターの駒が足りなくたってきた
114 :
:01/08/31 22:57 ID:XeWZ.oGg
>>113 (● `∀´●)
<´θ`>
(‘ ε ’)
(・ ε ・)
[…ε …]
こいつらを入れてみたら?
115 :
:01/08/31 22:59 ID:4pZ8RVyg
>113
二軍の奴とか?小田とか
116 :
:01/08/31 23:10 ID:IXwqvY4o
死者
槙原(17)大場(63)柏田(49)村田慎(9)村田善(12)
元木(2)條辺剛(57)アルモンテ(61)西山一宇(26)
阿部慎之助(10)岡島秀樹(28)三浦貴(39)
生存
斎藤雅樹(11)小野仁(13)河原純一(15)桑田真澄(18)上原浩治(19)入来祐作(20)
趙成ミン(21)田畑一也(22)平松一宏(25)河本育之(27)チョンミン哲(30)高橋尚成(36)
木村龍治(41)メイ(42)工藤公康(47)南真一郎(50)チョンミン台(51)野村空生(95)
吉永幸一郎(23)小田幸平(46)
川相昌弘(6)二岡智宏(7)二死敏久(8)マルティネス(48)清原和博(5)福井敬治(53)
高橋由伸(24)清水隆行(35)松井秀喜(55)後藤孝志(00)川中基嗣(0)
残り31人
勝手に何人か増やしてみました。
117 :
:01/08/31 23:12 ID:HnVU9Myc
これ見てバトロワ見たくなったよ
118 :
:01/08/31 23:19 ID:61f79HT.
119 :
:01/08/31 23:22 ID:AcsGQRmI
由伸=光子は合う気もするが、どーしても銭=典子がなぁ…
松井はOK!
120 :
:01/08/31 23:28 ID:qFDP.Xqk
>>117 俺も。ここの人達まじうまいね。
続き楽しみにしてます。
121 :
:01/08/31 23:54 ID:aesbmIlw
どうも残り選手のキャラが薄い、こんなので書けるのだろうか
122 :
:01/09/01 00:33 ID:DZYEGhcI
123 :
1000円札さん:01/09/01 00:39 ID:xlHjwmWA
>>116には、何で中途半端に二軍選手が入ってるんだろう。
例えば初めの方に死んだ大場とか。
まぁ全員いれるとやたら長くなるけど、せめて常時一軍に在籍してる選手だけとか、
そういう風に分けて欲しかった。
どうも換骨奪胎というのが出来ないらしい・・・・<自分。原作にないこと
ばかり湧いてきてしまう・・・。
125 :
代打名無し:01/09/01 01:26 ID:G1d6Qj96
原作買ってきちゃったYO
126 :
:01/09/01 02:12 ID:7sUDpKsY
>>49 わらた。
あと、川中と福井がぬけてますよ?
127 :
126:01/09/01 02:24 ID:7sUDpKsY
ごめん。痛かった…。
宮田さんとかは?
128 :
:01/09/01 02:52 ID:Pn5pXUGY
福井が欲しいYO!!光子にやられた旗上辺りで。
コーチ軍は軍人に入るの?
完全オリジナル。本筋では無視しちゃってください。
************************************
気配を感じる。
入来は息を詰めた。
外へ出てから初めて感じる人の気配だ。
右手の銃を握りしめる。
銃などこれまで撃ったことがないが、今は何より心強い。
(どこだ・・・)
敵意があるか無いか判らない。だが、この状況下ではお互いがお互いに敵意を抱か
ないで居られるはずがない。
「きいいえええええええええええええええええ!」
訳の分からない奇声と共に、人の形の影が飛びかかって来た。一瞬白い光が目に入
る。
「く!」
覚悟をしていたお陰だろう、入来は白い光が振り下ろされるよりも早く脇へ避ける
事が出来た。
「吉永さん!」
顔つきこそ凄まじいものに変わっていたが、それは確かに見慣れたチームメイトの
顔だった。
「死ぃぃいいいいねぇええ!」
吉永はいつもからは考えられない形相で、口汚く罵りながら刃物を振り回しながら
入来へ迫った。
余りのことに、入来はそのまま反射的に撃とうとして思いとどまった。こんな不安
定な体勢では、弾の無駄に過ぎない。
「吉永さん!止めろ、馬鹿な真似は!」
入来の声など耳に入っていないのだろう。
吉永は泣きながら喚き散らし、めったやたらに刃物を振り回す。
放って置いて逃げた方が良いかとも思うが、森の中の不安定な足場ではそれもまま
ならない。それに、こんな奇声を上げて追って来られては、こちらまで他の奴のいい
的になる。
「くそ!」
弾の無駄遣いは避けたいが、賭けてみるしかない。威嚇くらいにはなるだろう。
入来は不安定な姿勢のまま、拳銃を撃った。
案の定、と言うべきだろうか。
弾は狙った腕から全く逸れた。しかし、怪我の功名とでも言うべきか、それは吉永
の左耳を削いだ。
「ひいいいい!?」
撃たれる、などという経験があろう筈もない吉永は、いとも簡単に更なるパニック
へと陥った。
「うわ、うわ、うわあああああああ!俺の耳!俺の耳がぁ!!」
耳を押さえて喚く吉永の脚を、入来は大きく払った。
吉永の体が、無様に仰向けに倒れた。
地面へ体が叩きつけられる音以外に、なにか、酷く厭な鈍い音がする。
「!?」
吉永の口から、声ではなくごぼり、と籠もった音がして、血が盛り上がった。
その体に隠されて見えなかったが、吉永の背の中央には、鈍い角を持った大きな石
が深くめり込んでいた。
やってしまった。
とうとう人を殺してしまった。
それもチームメイトを。
違う。事故だ。俺は殺す気なんか無かった。正当防衛だ。
本当にそうか。殺意を持っていなかったのか。そうならば、何故撃った。
様々な言葉が入来の頭の中を駆け巡る。
己を正当化しようとする声。それを嘲笑う声。
だが、現実は目の前に転がる死体。
今にも叫びだしてしまいそうな自分を必死で宥めようと、ペンダントを握った。
熱くなった掌に、金属の感触が心地よい。
その冷たさが、入来に平静さを取り戻させていった。
「至近距離の武器だったのが、幸いだな・・・」
もし銃であればとっくに撃たれていたかも知れない。もっとも、素人がいきなり撃
ったところで、今のようにどの程度的に当たるものかは知らないが。
入来は用心しながら、屍へ近づいた。
無念そうに目を見開いたまま、吉永は息絶えている。
「許・・・」
許してくれ、そう言いかけて、入来は言葉を切った。
許される筈など、ない。何を今更、懺悔の言葉など吐けるものか。
入来はかがみ込み、吉永の手の武器を確認した。
刃渡り20センチほどのサバイバルナイフ。
武器は複数あった方が良い。銃が有利とは言っても、弾数に限りがある。場合によ
ってはこのナイフが役に立つだろう。それに武器として以外にも用途は大きい。
既に硬直の始まりかけている手からそれを引き剥がす。
冷たくなっていく指に触れたとき、入来はもう引き返せないと思った。
131 :
偽・ゴーストライター:01/09/01 12:08 ID:1.Ou8YGY
高橋尚成はもうほとんど地面に這いつくばっている状態で
必死に斜面を駆け下りていた。
普段はチーム一お調子者の彼の顔が恐怖に歪んでいる。
彼がつい先程まで隠れたいたのが北の山の頂上近く
――つまり三浦と岡島がハンドマイクで呼びかけを行った
その50メートルばかり下の茂みの中だった。
彼はそもそもお調子者に生まれついた身、争いごとは大嫌いだったし
おまけに支給された武器ときたら1本のフォーク、スパゲティを食べる時に
使うような何の変哲もない只のフォークだけだった。
だからあの時悩みに悩んで、呼びかけに応えでていこうとしたのだが
同時にタイプライターみたいな銃声がして2人は倒れてしまった。
その途端、彼は荷物をかき集め逃げ出していた。
あの誰かが次に狙うのは自分に違いない!
手の皮がずるずる剥けるのも気にせず靴底と手のひらを
地面に叩き付ける様な動きで彼は必死に逃げまわった。
ようやく山頂が遠く見える様になりほっと息をついた時
腕に何かが食い込んだ。
「ひいっ」と口から声がもれる。
「ばか!」と誰かが囁いて尚成の口を塞いだ。
彼は一気に混乱に陥りただ左手のフォークを振り回した。
男はそれを右手に握った拳銃で受け止め、言った。
「あぶねえじゃねえか、尚成」
この声は・・・・尚成はそっと顔をあげた。
「入来さん!入来さんじゃんか!」
132 :
偽・ゴーストライター:01/09/01 12:33 ID:1.Ou8YGY
「ばか!大きな声だすな!」
安心できる仲間を見つけて思わず大声をだしてしまった
尚成の口をもう一度塞ぎ、入来は
「こっちだ。静かについてこい」と言うと、茂みの間を進みだした。
尚成はまだぼんやりした頭で後を追う。
少し深い茂みに辿り着くと入来は足を止めた。
「座ろう」
尚成は入来と向かい合って腰を下ろすとまだフォークを握っていた事に
気付きそれを地面に置いたが、同時にすりむけた手がずきずきと痛んだ。
入来はそれに気付くとタオルと水で治療してくれた。
尚成は「ありがとうございます」といい
「ここに隠れていたんですね」と訊いた。
「ああ」入来が笑んで頷く。
「ここからお前が見えたんだよ。お前、無闇に動いたら逆に危なかったぜ」
「はい」尚成は自分が泣きそうになっている事に気付いた。
「さっきの――俺、岡島と三浦のすぐ近くにいたんです。
俺・・・・俺、あの2人助けられなかった。」
入来は危険を冒してまで自分を助けに来てくれたのに・・・
尚成は自分が情けなくて仕方なかった。
「ああ。俺も見た。あまり気にするな・・。俺だってあいつらの
呼びかけに応えてやれなかったんだから」
尚成は頷いた。
岡島と三浦が倒れるシーンが、また生々しく蘇ってきて
少し体が震えた。
133 :
:01/09/01 14:27 ID:cVGvh0rc
結局やや南西よりに百メートルほどだけ移動した
茂みの中に松井達は落ち着いた。
しかけの糸のセットをおえた川相がふうっと息をついて
松井と二岡の前に腰を下ろした。
「どうした?静かだな」
2人がなにも言わないでいると川相がそう尋ねた。
松井は顔を川相の方へ向けるとちょっと考え、口を開いた。
「あいつら、なんであんな事したんでしょう・・・」
「三浦と岡島か?」
松井は頷いた。少し言いよどんだがそれから言った。
「目に見えてたじゃないですか。少なくとも予想できた筈だ。
このゲームルールは――――」溜息がでた。
「殺し合いなんだ」
川相は顔を見据えて言った。
「あいつらは、自分のチームメイトを信じようとしたんだ。
きっと全員がまとまる事ができたら、みんな助かるかも知れないと。
そう思ったからだろう。それは褒めてやるべきだ。
・・・・俺達はできなかったんだから」
松井は息をつくと
「そうですね」と、一言だけいった。
マルティネスは時計が午前十時を指すのを待って隠れていた
民家の裏口からそっと顔をだした。
できれば動き回りたくなんかないのだ。
この大きな体がすっぽり隠れる場所などそうそうない。
外に出ることは自分には明らかに不利だ。
しかしこの民家のある場所は11時から禁止エリアになる。
コンピューターが相手ではまったはきかない。時間がくれば爆発する。
マルティネスは武器である自動拳銃をしっかり握りなおすと
家の壁沿いにそろそろと進んだ。
とにかく南の山に入ろう。そうすればしばらくは安全なはずだ。
辺りを見回し誰もいないことを確認するとマルティネスは駆け出した。
マルティネスはもう泣き出したい気分だった。
言葉もあまり通用しない日本では本当に信頼できる仲間をさがすのは困難だからだ。
唯一とても仲の良かった村田真一は一番最初の放送で名前が読み上げられてしまった。
同じ死ぬにしても1人は嫌だった。誰でもいいから側にいてほしい。
茂みの中を駆け回りマルティネスはそんな事を考えていた。
しばらくするとやっと山の緑が目に入った。もう大丈夫だ。
あそこならほとんど見つかる心配はなさそうだ。
ほっ、と一息ついた時だったふいに背後でがさがさという音がした。
マルティネスは心臓が口から飛び出そうになりながらも銃をしっかりと握った。
誰だ?もしかして自分を追ってきたのだろうか?不安ばかりが頭をよぎる。
その時「マルティネス?」自分を呼ぶ声がした。
――――メイだ。マルティネスは覚悟を決めて銃をかまえた。
「マッテクレ。ワタシハタタカウキナンテナイ!!」
メイはそういうと両手を上にあげてみせた。その手に武器はない。
「コワインダ。ダレモシンヨウデキルヤツガイナクテ・・・
オマエナラコノキモチワカッテクレルダロウ?」
メイは今にも泣き出しそうな顔をしている。自分と同じ。それはわかった。
メイも1人きりで不安だったのだ。
マルティネスはそっと銃をさげた。そして茂みから体をだす。
「ワルカッタ・・・」
そうメイに言うとメイは穏やかに笑う。
「シカタナイサ」
2人は歩みよりしっかりと抱き合った。
135 :
つづき:01/09/01 14:57 ID:OOl/XxAM
2人は山の中に入り適当な場所に落ち着くといろいろな事を話した。
誰かと笑いあえるという事はとても些細な事に思えるがそれは一番大事なことだと
マルティネスは思った。
ふとメイの目線が自分の右手に落ち、それでマルティネスは自分が銃を握ったままで
ある事にきがついた。
「アハハ。ワタシッタラ・・・・」
メイも笑い返した。
「イイブキジャナイカ。コレヲミテミロ」
そう言って手にしたものを見せた。それは使い物になるかどうかの
錆び付いた短刀だった。
しばらくしてマルティネスが食事でもとろうとバックを探った。
目的のものをみつけふと顔をあげた瞬間。マルティネスは我が目を疑った。
メイが自分に向けて銃をすっと構えていたのだ。
「・・・・メイ――?」
ぼうっとしてるマルティネスからメイのほうが後ろへ2、3歩さがった。
「ハヤクキエロ・・・サッサトドコカヘイケ!!」
「ドウシテ・・・・」
マルティネスは相変わらずぼうっとしながら訊いていた。
「ダレモシンジラレルカ!!サイゴノヒトリガキマラナキャミンナシヌンダ!
ゼッタイイツカウラギラレル二キマッテル!!」
マルティネスの中で何かがガラガラと崩れ落ちた。やっと仲間ができたと思ったのに。
また自分は1人になってしまうのだ。
マルティネスの目から涙がこぼれ落ちた。もう1人でいたくはない。
恐怖に怯えてたった一人で戦うのはもうたくさんだ。それならいっそ・・・
「ワカッタ・・・ナラココデコロシテクレ。イマスグウッテクレ・・・」
メイの顔色が変わる。
「サアハヤク・・・」
メイの手が異常な程震えている。引き金に指がかかる。
マルティネスはぎゅうっと目をつぶった。
――――しかしいつまでたってもくるであろう衝撃がない。痛みもまったくない。
おそるおそる目をあけると、メイが銃をおろそうとしていた。
目にいっぱいの涙を貯めて。
ああ――
ああ、わかってくれたのだろうか。ほんとに・・・?
「メイ・・・」
マルティネスが声をかけたのとほぼ同時だった。
かつっ!という小気味よい音が聞こえたのは。
そしてゆっくりとメイが倒れた。それきり一度も動かなかった。
そしてその後ろ、ゆっくりと笑顔が見えた。高橋由伸がそこにいた。
136 :
つづき:01/09/01 15:05 ID:OOl/XxAM
マルティネスには何が何だかわからなかった。
ただその整った顔に浮かべられた笑みに心の底からぞっとした。
「大丈夫?」
由伸がマルティネスに向かって手をさしだした。
マルティネスはふらふらとした思考回路のまま、見てしまった。
倒れたメイの後頭部にひどく鋭利なカマが深々と埋まっているのを。
由伸はそのままメイの手から銃を抜き取ると、にやっと笑った。
マルティネスはメイの抜け殻を見下ろしてただがくがくと震えていた。
由伸はそのまま頭に刺さっているカマに手をのばすと
それを抜き取ろうと両手で柄をにぎった。
「うわああああああああああ!」
声をあげマルティネスは由伸を突き飛ばしていた。
由伸が草の間にどん、と尻餅をつく。
「ナンデコロシタ!!ナンデダ!ナンデコロサナキャナラナカッタンダ!!」
「あんた殺されかけてたじゃないか。助けてやったんだろ」
由伸は不満そうに唇を歪めた。
「ウソダ!モウコロスキナンテナカッタ!!メイハワカッテクレタンダ!!
ナノ二ナンデコロシタ!!ヒドスギルジャナイカ!!オマエハアクマダ!!」
由伸は首を振って肩をすくめるとすっと銃口をマルティネスに向けた。
マルティネスの目が開かれる。
乾いたパンという音がしてマルティネスの額に穴があいた。
由伸はまだ銃口から煙をたてているコルトガバメントを下ろすと
もう一度肩をすくめた。
――マルティネスならしばらくは弾除けぐらいにはなると思ったのに。
そして、言った。
「そう、確かにわかってくれたんだろうね」
上半身を屈め、マルティネスの耳元に口を近づけた。
「あんたを殺すのをやめそうだったから、俺が殺したんだよ。」
137 :
:01/09/01 15:36 ID:DZYEGhcI
続きが気になるage
138 :
深作珍事監督:01/09/01 17:12 ID:V0pGLlR6
みてるぜ上げ
139 :
:01/09/01 17:16 ID:D8FWwX4U
名前:茜 :01/09/01 16:21 ID:9PsPTajs
べーしっ君とはまり道を毎号切り抜いてスクラップしてたらしい。
140 :
:01/09/01 17:20 ID:cgtEQZxM
由伸の光子はいいね。
141 :
偽・ゴーストライター:01/09/01 17:31 ID:o3YW4wB2
清水隆行は手にした小さな機械の液晶スクリーンの端に
ぽっと星型のマークが現れるのを見て目をみはった。
この東岸の集落が禁止エリアになる時間が近づいていて
急いで、でも慎重に家々の間を移動している間
ずっと注視していたそれにようやく変化が現れたのだ。
彼が支給されたその機械はサラリーマンが使う
携帯情報端末みたいなものだった。
説明書をひねくりまわしてそれが動き出して以来
これが初めての反応だ。
この機械が果たして武器かというとそうは言えないが、
しかし現在の状況では銃よりもずっと有効なものだろう。
もっとも自分が今、それを正しく使っているとはとうてい思えないけれど。
とにかく――清水はそこらで拾った棒をもう一度固く握り締めた。
この機械によれば目的のものは間違いなくこの中だ。
清水が大きく右へ回りこむと窓があった。割れている。
誰かがここに入ったのだ。
そして機械が説明書通りのものならば、その誰かは間違いなくここにいる。
ただ、ここが禁止エリアになる時間は近づいている。
生きている人間ならもうエリアの外にでているだろう。中にいるのは
死体である公算がおおきいのだけれど――確かめない訳にいかなかった。
清水はゆっくりとその家の中に足を踏み入れた。
音を立てないよう足を忍ばせて。
キッチンを覗きこむ。テーブルのむこうだった。白いスニーカーが見えた。
うつ伏せに倒れた人間がいる。その顔の下辺りを中心に池を作ってる血。
死んでいるのは間違いなかった。
足だけでは誰かはわからない。彼が探している二人はこんな靴をはいていただろうか・・・。
清水はそっと死体の側によると震える手をその肩にのばした。
ぐっと奥歯をかみ締め体を裏返す。それは喉をすっぱりと切られた條辺だった。
――違った・・・
清水はその死体の酷さに圧されたものの、ほっと安堵の息をついた。
しかし安堵したことを申し訳なく思って條辺をそっと引き起こすと
少し離れた所に仰向けに横たえた。
そしてそっと目を伏せさせると、棒とデイパックを取って踵をかえした。
急いで家をでなければならない。
午前11時が近づいていた。
142 :
:01/09/01 17:56 ID:aRdPmAXM
讀賣ファンってこんなものを書くようなアホぞろいだったのか。
讀賣を軽蔑してた俺はどうやら間違ってなかったようだ
オレは今はアンチ巨だけどここはかなり面白い。
ROMも大勢いることと思う。
>>142 は何というか…恐らくシャレの効かないひどくつまらない人間に違いない。
>>142 俺別に巨ファンじゃないよ。アンチでもないけど。
嫌だったらサゲでやるんで見逃してくれ。
>>143 そう言ってもらえるとありがたいっす。
書いたかいがあります。
145 :
:01/09/01 18:48 ID:YTvMa.nU
>>142 他ファソだが、ここマジで面白いよ!age進行求む!
君も他ファソならそういう無粋な書き込みはやめれ
続き気になる
146 :
四月演説:01/09/01 19:34 ID:XmZ1CrI6
独占と隠蔽に邁進する親愛なる読売信者の皆さん。
(野次と罵声で偉大なる読売巨人軍オーナーの言葉は二分間中断)
皆さん。(一分間中断)
わが巨人軍を脅やかさんとする恥知らずなメジャー主義の輩が
未だ球界に群れをなしています。
彼らは本来わが球団の一員となるはずだったスター選手を搾取し、騙し、
自らのメジャー主義の尖兵として洗脳し、
ほしいままに操っています。(聴衆一同「オマエモナー」)
そして、隙あらば球界のうちで最も知名度の高い我が球団の打線を批判し、
最高の防御率を誇る投手陣を滅ぼさんと、その狡猾さを剥き出しにし、
姦計をめぐらせているのであります。(聴衆のあちこちから「逝って良し」)
さて、゛六十八番プログラム"は、そうした情勢下にあるわが球団には、
ぜひとも必要なイベントであります。
確かに、財力で集めたスターの命が幾千幾万と散ってゆくことについては、
私自身も血涙をしぼらずにいられません。しかし、彼らの命がこの球界の盟主、
我ら巨人軍のファン離れを防ぐため役立つならば、彼らの失われた血は、肉は、
神の御世より今に伝えられましたる神風吹き荒れるわが本拠地に同化し、
未来永劫、逝き続けるとは言えないでしょうか。(コピぺ、荒しの渦。一分間中断)
ご存知の通りわが巨人軍には勝利の方程式がありません。
抑えはいずれも自作自演、
自責点のなすりつけと絶体絶命のピンチを提供する事への
強靭な意志に燃える若き志願者たちで構成され、
彼らは日夜最前線で二軍落ちに身をさらしているのです。
プログラムを、一種の、そしてわが軍唯一の勝利の方程式と考えていただきたい。
巨人離れを防ぐためには―――(後略)
147 :
短い話で:01/09/01 20:13 ID:kWPh.5AY
「監督、オーナーからお電話です」
原ヘッドが受話器を長嶋に差し出した。
「おお、ナベツネオーナーですか?ウェルカム、ウェルカム」
満面の笑みで受話器を受け取った長嶋は軽やかにしゃべりはじめた。
「ハロー!ハロー!田園調布の長嶋です、へっへっへっ」
しばらく他愛もない世間話に花を咲かせた後、
話題は自然とゲームへと移っていった。
「なるほど、オーナーは松井を買われたんですか?ほぅほぅ
私は清原を買いました。本命1点ですよ。
彼はそう、いわゆるファイティングファイターですからね。
ふふふ、へっへっへっ、ほほほ」
長嶋の高笑いが狭い監督室中にこだまする。
受話器を置いた後も、信者を魅了してやまないスマイルをうかべたまま
長嶋はパソコンのモニターに目をむけた。
画面には選手の生存を示す小さな点が、淡い光を放っていた。
148 :
代打名無し:01/09/02 00:41 ID:CEVpb/Vg
ageとく
149 :
(*゚ー゚) :01/09/02 08:34 ID:seI4KODg
このスレ意外に(・∀・)イイ!よね。他球団ファンだけどあげとく。
個人的にはデーヴとテリーと徳光の死に様がツボ。
150 :
後藤真希ちゃん:01/09/02 11:30 ID:VFqgDksM
>>142ってバトロワすら知らん奴でしょ。放置でいいんでないの
151 :
:01/09/02 11:33 ID:3nvxggb.
バトロワ見てないし読んでないからなぁ〜苦笑
話題に乗り遅れた(苦
152 :
:01/09/02 11:35 ID:Am8ERhn.
このスレ見てたら原作読みたくなってきたよ。買いに行こうかな。
153 :
:01/09/02 13:41 ID:b7k42fDg
買え
154 :
:01/09/02 13:49 ID:UbqW59vQ
バトロワの原作、借りることにした。
由伸の光子が(・∀・)イイ!
155 :
:01/09/02 16:35 ID:mlfdSw82
貴子役って誰がいいかなー?
156 :
その1:01/09/02 23:44 ID:ily98Kr6
木村龍治は、かすかな、がさっという音で身を起こした。
あらためて拳銃を握りなおし、あたりを窺う。
今度こそ――敵かもしれない。そう、敵なのだ。
チームメートが自分に襲いかかってくる。
出発してすぐに見た大場や江藤の死体が、生々しく頭に蘇った。
そしてあの時、自分が外に出た時、かすかな呼び声が聞こえた。
あれは誰だったのだろう。ファーム仲間の南や平松あたりか?
暗がりの中に何人かの影がうかがえた。
「木村さん、一緒に行きましょう。大丈夫ですよ」
けれどそれは、とても無理な相談だった。
こんな状況では、誰かが信じられるわけがない。
炎天下のジャイアンツ球場で共に汗を流した仲間でもだ。
木村は制止を振り切って別の方向に逃げ、今、ここにいる。
そして今度こそ敵なのか?今の音は?
拳銃を両手に握り締めたまましばらく待ったが、音は続かなかった。
木村はほっと息をつくと、茂みの中に倒れるように腰を落とした。
いびつに尖った葉が頬のあたりのかすめ、
慌てて葉の触れたところを何度も手のひらでこすった。
四角いとか皇太子に似てるとか言われるけど、顔は投手の命だろ!!
アップにたえられないくらい腫れるなんて、死んでもごめんだ。
そこまで考えて、ぞくっと冷たいものが木村の背筋を走った。
死ぬのか?俺は?死ぬのか?
そう意識しただけで、心臓がどきどき高鳴った。
死ぬのか?死ぬのか?死ぬのか?
その言葉が耳鳴りのように、頭の奥に何度も繰返し聞こえ始めた。
157 :
その2:01/09/02 23:46 ID:ily98Kr6
木村は半ば必死で、首にかけている真鍮製のロケットをつかみだした。
投球の邪魔になるくらい大きなロケットをぱちんと開くと
木村自慢の美人妻がにっこりと微笑んでいた。
それをじっと見ているうちに、心拍数も幾分落ち着き
徐々に元のペースに戻っていった。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
俺は誘われた時に一緒にいくべきだったのか?
そしたら、助かる方法もあったのか?そんなわけないよな。
去年は楽しかった。V旅行のハワイ。青い海。赤い夕日。
監督のアロハ〜。水着で遊ぶ君と僕。うらやましそうに見てる南。
「俺を助けてくれ。頼む―。俺は、気が狂いそうだ」
自分が声に出してそう言うのが耳に聞こえた途端、
木村は本当に自分が狂いそうになっているような気がして、ぞっとした。
いつのまにか涙がこぼれ落ちていた。
背後でざっという音がして、涙目のまま振り返った。
茂みの間から誰かが覗き込んでいる。
知らない間に、後ろに回られていたのだ!
それは野手の中では仲のよかった清水だったが
恐怖に駆られて、何も考えないまま銃の引き金を引いた。
ぱんという音が鳴り響く前に、清水の影は茂みの中へ消えていた。
木村はしばらくがたがた震えていたが、慌てて荷物を取り上げると
清水が去った方とは反対側へ走り出した。
走りながら混乱した頭で考えた。
清水は自分を殺そうとしていたのだ。間違いない。
そうでなかったら、どうして声もかけずに忍び寄る必要があるのか。
油断しちゃだめだ。容赦なく撃たなければ、自分がやられる!
ああ、こんなことはもうごめんだ。うちに帰りたい。
美人妻。ハワイ。赤い夕日。容赦なく。撃つ。撃つ!アロハ〜。
水着。撃つ。青い海。容赦なく。殺される!南。撃つ。容赦なく。
木村は狂いかけていた。
158 :
:01/09/03 00:07 ID:PGzh2r6o
ageじゃあああ!
159 :
:01/09/03 00:11 ID:I7dyNwDw
面白い!最後はやはりバトロワと同じか?違ったらもっと
面白いかも!
160 :
:01/09/03 00:12 ID:E1XIU5/Q
161 :
:01/09/03 00:18 ID:gz.AZNqk
まじ良スレに育ったね。作家さん達のおかげだ。
続き楽しみにしてます。
162 :
:01/09/03 00:38 ID:vxpGsofo
面白い。他球団ファンだけど楽しみに毎日覗きにきてるよ。
作家さん達がんがって!
163 :
:01/09/03 00:46 ID:cxvzNzq2
(゚д゚)ウマー
164 :
:01/09/03 00:58 ID:NPGvG.UM
165 :
番外〜モノローグ:01/09/03 11:41 ID:3m19bxCE
一旦ヒサノリを置いて、入来は周辺を探索した。
出来れば、より安全な場所を確保しておきたい。
ヒサノリはついて来たがったが、周囲にトラップを仕掛けて置いたそこを動かぬ
よう、よく言い含めた。
注意深く辺りを探る入来の目に入る物があった。
既に赤の剥げた、古ぼけた鳥居。
「神社か・・」
今更神頼みでもないが。
入来は鳥居をくぐった。
何の神を祀っているか判らないが、小さな神社だ。隠れ場所としては不向きだろう。
ふと、水の音がした。
音を頼りに社の裏手へ回ると、そこに小さな湧き水があった。
この島に人が居た頃には、きっと神泉とでもされていたものだろう。
入来は軽く手を洗い、水をすくって口へ含んだ。
ここへ来てから口にしたのは、支給された生ぬるい水ばかり。
透明な冷たさが喉に快い。
「生き返るぜ・・・」
ほうっと息をつき、水筒へ水を汲もうとする。
「・・・!」
透明な水面に映った己の顔に入来は愕然とした。
もともと髭の濃い顔は更に濃く髭に縁取られ、頬も前にも増して痩けていた。
ろくに睡眠も取っていないために、目の下には隈が出来ている。
だが、それは生理的な変化に過ぎない。
入来を驚愕させたのは、ほんの僅かな時間で己の顔つきそのものが変わって
しまっていたことだった。
それは追いつめられた男の顔だった。
追いつめられ、そして、自らの生命を守るために、同朋さえも手に掛けるだ
ろう男の顔。
これが、俺の顔なのか。
なんて惨めで、醜悪な顔なのか。
入来は心と体が崩れ落ちそうな感覚に、必死で耐えた。
「兄貴・・・。助けて・・・」
弱音を口にしたくなかった。
そんなことをすれば、一気に消耗してしまう気がしていた。
だが、その時初めて、入来は弱音を口にしていた。
166 :
原作好き:01/09/03 14:07 ID:b8w.EJRU
文学ヲタに叩かれるのを覚悟で言うと、
個人的にはスティーブンソンの『宝島』=バトロワ。
それぐらい読んでてワクワクする。
今後も職人さんたちの手腕に期待してますあげ。
167 :
原作好き好き:01/09/03 15:07 ID:dYnExWxY
俺も文学ヲタに叩かれるのを覚悟で言うと、
個人的にはスティーブン・キングの「死のロングウォーク」=バトロワ。
あと『戦国の長嶋巨人軍』志茂田景樹著
巨人軍が戦国時代にタイムスリップして武田信玄と戦うといううんこみたいな作品
それぐらい読んでてワクワクする。
今後も職人さんたちの手腕に期待してますあげ。
168 :
代打名無し:01/09/03 15:19 ID:JW.VBf1o
個人的には蠅の王=バトロワかな・・・文学ヲタの人叩かないで・・・。
このスレ面白いのでage
169 :
:01/09/03 23:06 ID:tq/fBeJk
ageます。
ライターさんがんがってください。
170 :
:01/09/03 23:22 ID:YHXpR7qE
age
171 :
:01/09/03 23:35 ID:QWoUcuaE
>>167 そんな作品が(笑)そっちこそ読んでみたいYO!
図書館にあるかなあ・・・
172 :
:01/09/03 23:45 ID:zDCQVRZ2
>>167 その本(「戦国〜」の方ね)、もう何年も探してるんだけど見つからない…
図書館も大型古本屋もこまめに探してるんだけど…
173 :
:01/09/04 00:00 ID:WurzK4eM
174 :
偽・ゴーストライタ―:01/09/04 00:52 ID:xXtQRBcw
「なあ松井」
川相が唐突に口を開いた
「なんですか」
「おまえ、ここから脱出するのに何か計画はあるのか」
・・・・・そう聞かれると自分は特に脱出する方法は考えていなかった。
「俺はひとつのプランを持っている」
「え?」
「ここから脱出する方法はある。ただしそれには条件がある」
「――どんな?」
「俺達が最後まで生き残っているということだ、つまり他のやつらがすべて死んだら、というわけだ」
「そ、それじゃ」
二岡が声を上げた
「他の人達は助からないってことですか」
「もちろん仲間が増えればそいつも助かる。ただこの状況じゃそれは難しいだろうな」
「じゃ、じゃあその方法をみんなに伝えたらいいじゃないですか、確実に助かるのならみんな集まって
くれますよ」
松井が勢い込んで言ったが、川相は首を振ってそれを否定した
「それは無理だ、このゲームじゃ隠れていたほうが生き残る確率が高い。だがこの首輪がついている限
りだれかを殺さないと生き残れない、だから現に人が死んでるだろう。少なくともやる気になっている
奴がいることだけは確かだ・・・・それと、この脱出法はここから生き残れるというだけで、その後ま
で確実に生き残れるというわけじゃない、巨人の追っ手もかかるだろうしな」
「・・・・・・」
「その脱出法だが、俺はおまえ達よりこのゲームに詳しい、俺はこのゲームの弱点を知っているんだ、
そこをつけばこのゲームから脱出できる。・・・・ただし今、おまえ達にそれを話すわけにいかない」
「なんで!俺達が信用できないんですか?」
「おまえ達が信用できないわけじゃない、ただおまえ達の口からこの話が漏れる可能性もある。」
「じゃ、じゃあいつになったら話してくれるんですか」
「俺達の仲間だけが残った時だ、この方法は誰かに邪魔されたらうまくいかないんだ」
「なんで川相さんはその、弱点をを知ってるんですか」
二岡が問い掛ける。
「知りたいか?」
・・・・・・・・
川相がしばらく間を置いて答えた。
「俺は第五回読売巨人軍プログラムの生き残りだからだ」
175 :
おおー:01/09/04 01:00 ID:CCYDlLlY
さらに面白くなって参りました!
みんな川相たんに注目ダヨ
176 :
おおおー:01/09/04 01:08 ID:IvQubil.
続きが気になるage
177 :
:01/09/04 01:20 ID:TXlhPYLY
川相タン…続きが楽しみ!
178 :
:01/09/04 01:37 ID:WurzK4eM
原作買っちゃたよ・・・。
一日で全部読んじゃった。面白かった。
内容自体は救いようないが、ラストの後味は悪くないのでヨカタ!
179 :
偽・ゴーストライタ―:01/09/04 01:47 ID:xXtQRBcw
「・・・おどろいたか」
「そ、そんな・・・」
「巨人軍は選手を斬るたびにこのゲームをやるんだ、俺も殺したよ、そのころのチームメイトをな」
「ひ、ひどすぎる。巨人がここまでひどいことを・・・」
「そういうなよ松井、おかげでおまえ達を助けてやれる」
「川相さん・・・」
松井は最初、川相の話が嘘なのではないかと少し疑っていた、が、今になるとそんなことを考えてい
た自分が恥ずかしくなった。
「そろそろ寝よう、二人見張りをつけて交代で眠ろう。まずは二岡から寝とけ、顔色が悪いぞ、少し
休んだほうがいい」
180 :
:01/09/04 01:53 ID:5EDj9IAg
おお!さらに続きが!
181 :
:01/09/04 01:55 ID:BwhbL3KM
川相タン・・・ハァハァ
しかし良スレになるとは・・・(w
182 :
:01/09/04 02:04 ID:IvQrP9nQ
川相カコイイ!
2chの長文はうざいけど(特にマジレス)、これは良いよ!!
ライターさん、最後までがんばれ!!
184 :
:01/09/04 12:42 ID:ZGYEC5dA
age
185 :
:01/09/04 18:19 ID:yEYTrVoo
「読売巨人軍バトルロワイヤル」
映画化しないかなあ・・
もししたらもののけ姫なんて話にならんだろうな・・
186 :
我儘スマソ:01/09/04 18:30 ID:hzOJR8rQ
何もしてないオレが言うのは無礼千万なのは分かってるんだけど、
入来編みたいに、も少し事実とか巨人ネタを入れてくれると嬉しいっす。
187 :
:01/09/04 21:28 ID:qBTXs52g
優良名スレなのでageます。
188 :
:01/09/04 23:52 ID:Kh2rTjpU
おれが知っている中でもこのスレは一番の名スレだ。
1他、職人さんたちは神か?
189 :
:01/09/05 01:28 ID:evN7S3xM
続き楽しみです〜
職人さんがんがって!
190 :
おー!:01/09/05 02:12 ID:IRGDTzX2
アンチでも楽しめるなんて凄い!!
191 :
俺もアンチだけど:01/09/05 02:21 ID:6Y61G6/E
このごろ、巨人系のスレ面白いの多いね
巨人選手交換日記スレも結構面白いが、ここは凄い!
192 :
その1:01/09/05 03:27 ID:t4D963mI
仁志敏久は、木の幹の陰からそっと頭を出した。
周囲は高木、低木が入り交じった雑木林だったが、
山の頂上に向けて、徐々に木の背は低くなっているようだった。
仁志は支給の武器のアイスピックを持ち直すと、
低い姿勢から一度、後方を振り返った。
結局、参加させられてしまった。長嶋の気が変わったのだ。
名前を呼ばれた選手達が次々と部屋を去って行く中、
唐突に仁志の名が呼ばれた。
「次は、――うーん、仁志でいきましょう。仁志です、はい。
二死たん出ないと楽しくないでしょ、え、どうでしょう、へっへ」
反射的にライフルの銃口をあげ、笑顔の長嶋にむけて構えたが
あっという間に取り押さえられ、床に叩きつけられた。
捕われた宇宙人のように両側から腕をつかまれて、
部屋の外に引きずり出されたのだ。
「忘れ物だ」足元にデイパックが投げつけられた。
ゲーム開始以来、仁志はずっと廃屋の隅に身をひそめていたが
意を決してそこを出た。
結局、隠れていても事態は好転しないと判断したのだ。
あのボケじじい死ね―と呪ってみてもどうなるものでもない。
誰か、少なくとも自分の信用できるチームメートを探し出して、
一緒に行動することが必要だった。
193 :
その2:01/09/05 03:29 ID:t4D963mI
しかし自分が信用できそうなチームメートが、
1度裏切った自分を信用してくれるとは思えない。
それでなくとも、仁志はチームでは浮いていた。
その1番バッターとは思えぬホームラン狙いの大振りや、
自己主張の域を越えたビッグマウスは、
チームメートからも嫌がられていたのだ。
とは言え、仁志は不動の1番セカンドであったし、
どれだけ3振しようとも、直接お小言をくらうこともなかった。
ファンのヤジも無視したし、テレビでの批判で気にしたのは
ファッションセンスを酷評されたことくらいだった。
要するに、仁志はとてもプライドが高かったし、
なんの長期的戦略もなく、同じ失敗を繰り返す采配に
しばられるのはごめんだと思っていた。
そのプライドの高い性格がわざわいしているのか、
それとも、本当は人見知りするたちなのか、
仁志にはチームにあまり親しい選手がいなかった。
同い年の選手同志は、仲が良かったりするものだが
元木とは、たまに合コンの誘いがある程度の仲だし、
意外と親しかった佐々木は、このゲームには参加していなかった。
結局、同期の清水だけってことか…
そう考えながら、仁志は低木の根元に腰をおろした。
194 :
:01/09/05 04:25 ID:m2ZaNwr2
>>191 >巨人選手交換日記スレ
そんなスレがあるの?(ワラ
URLキボーン
195 :
:01/09/05 04:49 ID:04qfZqLc
196 :
:01/09/05 09:05 ID:daBTso6o
とうとう二死タン参加!!
貫徹の自分には栄養ドリンクよりありがたいんだからネ!
職人様、頑張って下さい。
楽しみにしております。
197 :
:01/09/05 12:52 ID:Jg/Zc7wI
やっぱり二死たん=貴子ですか〜!
そうなってくれないかなーと密かに思ってたんで嬉しいです。
プライド高くて友達少ないといえば二死たんくらいなんだもん(w
198 :
:01/09/05 13:21 ID:2O9pwpWE
二死タンが貴子だなんて最高なんだからネ!
199 :
:01/09/05 13:34 ID:nFHa3/Bc
∩ ∩
l U l / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(#゚〜゚)< 二死タンははガッツな貴子なんだからネ!
$〜(| 8 |) \__________________
∪ ∪
200 :
:01/09/05 15:45 ID:Jg/Zc7wI
>>199 (ガッツな)貴公子と貴子をかけてるんだネ!(゚д゚)ウマー
201 :
:01/09/05 21:53 ID:o6aCNFxs
最後、二死タンは由伸に撃たれるんだね…
(それまでにボウガンで撃たれるんだった…←誰になるの?)
202 :
:01/09/05 23:07 ID:zXpW808k
>>201 原作知らずに読んでる読者もいるので、そいういう発言は極力
控えていただけませんか…。
203 :
代打名無し:01/09/05 23:52 ID:qR8S4J/A
201は逝ってよしなんだからネ!
それよりも続きが気になるのは常識なんだよ。
204 :
番外〜モノローグ :01/09/06 00:31 ID:3fSnVMFk
続きじゃなくてごめんなさい。
*********************************************
「善・・・死んじまったのか・・・」
工藤公康は、ぽつりと呟いた。
優勝請負人として巨人へ入団した昨年、工藤は村田善則とバッテリーを組んでいた。
まだ若い村田を一人前の捕手とするように、その育成を任されたのだった。
正直、何故俺がと思わなくもなかったが、自分に合う女房役を作り上げていくという
その仕事は、思っていた以上にやりがいがあり、楽しかった。
村田もまた、自分を「工藤さん、工藤さん」と肉親のように慕ってくれた。
それだけに、阿部を連れてこられたとき、そして、阿部と組むように言われたとき、
激しい怒りを感じた。自分が手塩にかけて育てている最中の村田をいきなり取り上げら
れ、正捕手争いに参加さえさせずにファームへ送られたと知ったとき、どれ程長嶋らを
罵倒したかったか。
そして、自身も故障でファームへ落ちたとき、彼が見たのは、キャッチャーミットを
馴れぬグラブへ持ち替えさせられて、1塁を守っている村田の姿だった。
はらわたが煮えくりかえる、とはこのことだろう。
善を、俺が育てた捕手をなんだと思っているのだ。
工藤は村田に言った。
待っていろ。俺が一軍に復帰したら、必ず、お前を呼び寄せる、と。
村田はにっこり笑って、待っています、そう答えた。
それなのに・・・。
工藤は村田の死を何故か自殺だ、と直感していた。
あのお人好しな村田にとって、仲間達と殺し合うなどと言う事実は耐え難かったのだ
ろう、と。
一人で死んだのだろうか。
誰かと一緒だったのだろうか。
────俺が一緒だったら。
一緒に死んでやっただろうか。
工藤は首を振った。
そんなことはしない。
俺が一緒だったら、死なせなどしなかった。
共に生き延びる道を選んだ。
それがバッテリーというものだ。
どんなことをしてでも生き延びて、再びグラウンドへ帰る。
マウンドから俺が投げ、それを善が受ける。
あの輝かしい時のように────。
だが、それも、今は只虚しい願いとなってしまったことを、工藤は感じていた。
205 :
:01/09/06 00:33 ID:88dpKKtI
おもしろいのはわかったからsageてやってくれ
206 :
:01/09/06 00:38 ID:AlVeDokU
ageでいいよ、これはみんなに見せたい名スレだよ!
>>204 糞工藤から工藤タンになってしまうとは…スゴイ
207 :
:01/09/06 00:39 ID:5Oa066WU
巨人の選手を好きになっていく・・・あああぁぁぁぁぁぁおもしれぇ
208 :
名無し :01/09/06 00:40 ID:otECyLZ.
>204
巨人ならではのオリジナリティが(・∀・)イイ!
209 :
:01/09/06 00:40 ID:N1LrXNPg
人を選ぶようなスレは常時上げでやると嫌われるよ。
ネタスレなんだから、感想等のレスでは下げるが吉。
210 :
:01/09/06 00:41 ID:88dpKKtI
でも書いてる奴はヘタクソだよね。
211 :
お望みどおり:01/09/06 00:42 ID:88dpKKtI
晒しage
212 :
:01/09/06 00:44 ID:TQxHm.j2
つまらん
213 :
:01/09/06 00:50 ID:N1LrXNPg
>>210-212
厨房の多い野球板では貴重な
ちゃんとしたネタスレなんだから煽るなよ・・
俺は期待してるよ、頑張れ。
214 :
:01/09/06 00:52 ID:WzlDOn8g
ここまでの名スレは初めてなんじゃない?
少なくとも俺はそう思うが。
215 :
:01/09/06 00:54 ID:AlVeDokU
工藤さえカコヨク見えるマジックスレだよ
期待してます
216 :
:01/09/06 01:00 ID:ocamriI2
>>206 こうゆうのが一番荒らしに活力与えるんだよな
217 :
:01/09/06 01:12 ID:C2NtBbww
好きな人は見に来るんだから
サゲ進行でもいいんじゃ・・・
このスレが荒らされて終了なんて事になったら
悲しすぎるし。
218 :
:01/09/06 01:42 ID:nXVpqqMk
とりあえず感想の類はsageという事にしましょう。
ネタでないのにageるとまたこうして非難されかねないので。
ageたい人はそれで構わないと思うんですが、煽りが来る可能性がある
という覚悟の上でということで。
一番避けたいのは、こうしてageとsageの論争になってそのまま終わってしまう
ということです。
なんか仕切り屋っぽいですが、このスレは本当に長続きして欲しいのです。
219 :
:01/09/06 02:09 ID:c1lFS7kk
>>218 同意っす
他の板等でも感想はsageってのは普通じゃないかな?
あまりに下がってたらあげるのは当然だけど
完結きぼんぬ
220 :
偽・偽:01/09/06 10:43 ID:/VOMI65A
銃声が響いた。一つ、続いて二つ、三つ。
「銃撃戦だな」川相がぼそっと言った。「元気な連中だ」
思わず唇を噛み締める松井の心を見透かしたように川相が言った。
「止めに行こうなんて思ってないだろうな、松井」
松井はごくっと唾を飲み込み、「いや……」とだけ答えた。そうだった。
今は熱を出した二岡を診療所へ運ぶのが最優先だ。
そのとき、松井の背中で二岡が「松井、さん……」と呼んだ 。
実際言葉にされたのはそこまでだったが、二岡の言わんとするところはわかった。
誰か、このゲームに乗る気のない誰かが今にも殺されようとしていたら?
可能性としては、撃ち合うどちらもがそうであるかもしれない。
「俺が見てくる」松井は二岡に言い、
銃を手にしてから川相に「二岡を頼みます」と言った。
「あっ、おいこら――」
川相が言うのが聞こえたが、もう松井は走り出していた。
身を潜めつつもある程度距離を詰めると、
撃ち合う二人が誰なのか松井の目にも確認できた。木村と、後藤だ。
木村は皇太子に似た顔をひっさげて登板しては炎上している。
一方の後藤は出場できなくても巨人、などと言っていつもベンチを温めていたが、
――とにかく、二人とも栄光の讀賣巨人軍ナインなのだ。
松井は空へ向けて一発撃ち、間髪入れず叫んだ。
「やめろ!」
木村と後藤がぎくっと動きを止め、同じタイミングで松井の方を向いた。
「よせ! やめろ! 俺は二岡と一緒にいるんだ! 俺を信用しろ!」
二人の顔を見ながら松井は続けた。陳腐なセリフだと思いつつも、
ほかに言い方も見つからない。
木村はふらりと物陰から立った、そして後藤は松井から視線を外し、
相対していた木村の方を見――そのがらあきの上半身へ向け、引き金を絞った。
それから後藤はちらっと松井の方を見やり――身を翻して茂みの中へ消えていった。
「――くそ!」
松井は喉の奥から呻き、迷ったあと、物陰を出て木村に駆け寄った。
上半身を広がる朱に浸して、木村は倒れていた。アンダーの襟から鎖が垂れ、
その先で金色のロケットが、血の池の中の小島のように見えた。
木村自慢の美人妻がにこやかに笑っていた。
ああ――なんてこった――木村はもう――美人妻としっぽりやることも、
美人妻を自慢することもできないのだ。
しかも――自分がもう少し上手いやり方をしていたら、 この選手は死なずに済んだんじゃないのか?
松井は、川相に腕を引っ張られるまで動くことができなかった。
221 :
:01/09/06 12:18 ID:slBIbwts
感想レスでごめんなさい。
工藤かっこよすぎです!村田善ファソとして感動いたしました。
職人様、がんばってください
現在345なので保守あげ
>>222 どこまでがded逝きなのかな?初歩的質問でごめん
>>223 今は500以上もスレがありますが、一斉に圧縮されると300程度に減らされます。
(経験では)
書き込みがされてればdat逝きにはならないという話もありますが、ここ野球板
ではこの常識は通用しないでしょう。
なので、職人さんの書き込みが無いまま300以下になったらageで良いかと…。
225 :
代打名無し:01/09/07 10:01 ID:WnapCNtY
ageとこうか
226 :
:01/09/07 11:35 ID:PTE7kUaQ
227 :
:01/09/07 16:00 ID:hLr5jo1w
あと何人??
228 :
:01/09/07 16:23 ID:/reXmg9Q
駆動編イイ! おもしろあげ
229 :
:01/09/07 19:06 ID:2nkECLWg
>227
死者
槙原(17)大場(63)柏田(49)村田慎(9)村田善(12)
元木(2)條辺剛(57)アルモンテ(61)西山一宇(26)
阿部慎之助(10)岡島秀樹(28)三浦貴(39)河本育之(27)
メイ(42)マルティネス(48)木村龍治(41)
生存
斎藤雅樹(11)小野仁(13)河原純一(15)桑田真澄(18)上原浩治(19)入来祐作(20)
趙成ミン(21)田畑一也(22)平松一宏(25)チョンミン哲(30)高橋尚成(36)
工藤公康(47)南真一郎(50)チョンミン台(51)野村空生(95)
吉永幸一郎(23)小田幸平(46)
川相昌弘(6)二岡智宏(7)二死敏久(8)清原和博(5)福井敬治(53)
高橋由伸(24)清水隆行(35)松井秀喜(55)後藤孝志(00)川中基嗣(0)
残り27人
230 :
:01/09/07 20:00 ID:wOlqnoy2
吉永死ななかったっけ?
231 :
:01/09/07 20:07 ID:tutHSV0g
キャラが薄すぎの
小野仁(13)河原純一(15)
趙成ミン(21)田畑一也(22)平松一宏(25)チョンミン哲(30)
南真一郎(50)チョンミン台(51)野村空生(95)
吉永幸一郎(23)小田幸平(46)
福井敬治(53)
川中基嗣(0)
このあたりから殺してくれ
232 :
:01/09/07 20:13 ID:eP5y9t0w
233 :
その1:01/09/07 21:41 ID:1PxZuEUw
突然、ドサッという音がした。すぐ近くだ。
仁志は、アイスピックを握り直し、音のした方向に身構えた。
木の枝に引っ掛けていたはずのデイパックが、そこには転がっていた。
それだけだった。荷物が落ちただけだったのだ。
「ちっ、ふざけんなよ!!」
たかがそんな事に動揺した自分に、激しい怒りを感じ、
仁志はデイパックを蹴りつけた。
俺は、俺は、死ぬのが怖いわけじゃない。ただ――
―そうだ、ただ、こんな糞みたいなゲームが嫌なだけなんだ。
アイスピックを両手で握り締めながら、自分に言い聞かす。
ふと、少し怖い嫁と、自分とそっくりな顔をした娘の事が、頭に浮かぶ。
子供の頃の思い出までも、アレコレと脳裏をよぎる。
人は、一人で生まれてきて、一人で死んでゆくものだよな…
そこまで考えて、そんなセンチメンタルを振り払うかのように
仁志は、ぶんぶんと頭を振った。
とにかく、今は誰かを探すことだった。
清水を探し当てることができたら、もちろん言うこと無しだが、
それはいくらなんでも、甘い考えのように思える。
今、現在も、清水が生きているとはかぎらないのだ。
銃声に驚き慌てて逃げる→足がもつれて何もない所で転ぶ→
転がってるうちに崖から落ちる→落ちた所は禁止エリア!→
首輪が爆発→首ふっとぶ→終了 ―してるかもしれない。
入団してから今までの付き合いの中で、
仁志は、清水が実は天然であることを確信していた。
寡黙そうな外見で「俺、知らない人とは話せないんです」と言う割には、
知っている選手はもちろん、打撃投手や広報ら裏方さんたちとも
いつもベラベラ喋っているし、言葉が通じないメイあたりとも、
手旗信号か?と思うほど大きな身振り手振りで会話し、爆笑させていた。
234 :
その2:01/09/07 21:44 ID:1PxZuEUw
個性と個性が、奇人と奇人が、変人と変人がぶつかり合うチームの中で、
清水は普通だった。ごく普通の近所の兄ちゃんタイプだ。
もしチームがカキ氷、例えばミルク金時だとすると、
清水は金時でなく、白玉でもなく、ミルクでもなかった。
むろん、美しくカッティングされたフルーツでもない。
その下に高く盛られた白い氷だった。
チーム内でも、ニュートラルな位置でバランスをとることが多い。
それ故に、気性の激しい仁志でも、気楽に付き合えたのだ。
―でも、唯一監督の長嶋とだけは合わないんだよな。清水らしいけど。
アイスピックをくるくる回しながら、仁志は考えていた。
子供の頃からずっと、周りの人間と衝突を繰り返してきた。
自分が納得できない事に従うのは、どうしても我慢できなかった。
それが、親兄弟でもだ。去る者は去ればいい。面倒なだけだ。
そんな調子の仁志を、煙たがり避ける選手も多かったが、
野球しか知らない馬鹿の相手はこっちがごめんだと、
それを意に介す様子もなかった。
俺が清水だったら、俺の相手なんかしないけどな。仁志は苦笑した。
怒っている時はほっといてくれるし、プライベートまで立ち入ってこない。
つかず離れずの微妙な距離感は、仁志にとっては心地よかった。
干されているが、あからさまに腐るわけでもなく、
逆に自虐ギャグの持ちネタが増えていく、そんな清水の妙な明るさが、
仁志には、じれったくも、少しうらやましくもあった。
やっぱり、清水を探すか―。そう決心して、重い腰をあげた。
自分が蹴り飛ばし、2メートル程先まで転がした荷物を取りに、
仁志は足早に歩き出した。のっぺりした、ゆで卵のようなモノが見える。
それは、永遠の未完の大器、小野仁の顔だった。
235 :
:01/09/07 21:47 ID:eO4kyE1c
久々のライターさんご降臨…
素晴らしいです。
236 :
:01/09/07 22:04 ID:tutHSV0g
>234
いい感じ
237 :
:01/09/07 23:29 ID:xHEgkrcI
>234
二死タンがイイ!!
職人さん頑張ってください。
238 :
:01/09/07 23:54 ID:hLr5jo1w
仁志と清水いいですね・・・
いい感じです。
239 :
:01/09/07 23:59 ID:KS62d4Bc
あ〜、最後の「小野仁の顔」が気になる〜!生きてんの?死んでんの?
次回が非常に楽しみです!
240 :
_:01/09/08 00:49 ID:5ocAcdTA
仁志までイイ奴に思えるなんて。
頑張って下さい!
241 :
:01/09/08 01:35 ID:sh8rpy8s
のっぺりした、ゆで卵って・・・(゚д゚)コワー
走っていた、俺は走っていた
何処へ行くでもなく逃げ道のない道を
俺はただひたすらに走っていた
走っていると安心するのだ
あの長かった2軍生活を思い出すんだ
毎年大物選手が続々と入ってくる
そんなジャイアンツに在籍して7年間
ようやく一軍のベンチに座る事が出来たんだ
嬉しかった・・・たとえそれが守備固めや代打でも
あの清原さんや松井さんと肩を並べているだけでも
嬉しかったんだ、田舎の両親もきっと喜んでくれてたに違いない
それがなんだ、いったい俺たちが何をしたって言うんだ?
俺は走った、ただただ走った
答えなんか見つからない、見つかるはずもない
見つかるわけがない、分けがわからない
いくら走っても、いくら考えてもわからない
ワカルワケガナイ・・・
俺の中で何かが壊れた音がした
俺は自然と右手に握り締めていた
銃口を頭に向けた
引き金を引いた
終わった
何もかもが終わった
痛みすら感じなかった
243 :
:01/09/08 09:58 ID:zWbaXo82
福井…(涙)
244 :
:01/09/08 12:50 ID:nKMCK9R2
age
245 :
:01/09/08 13:37 ID:X3Gga/Uw
なんとなく福井の逝き様はかわいそうだ
246 :
:01/09/08 14:07 ID:fSO.NAgA
福井の、なんかせつない。
247 :
:01/09/08 14:08 ID:UOSZ6y0w
皇太子木村と二軍からの叩き上げブサイク福井に、合掌。
248 :
厨房:01/09/08 14:15 ID:dLxfvzDk
面白か
249 :
:01/09/08 14:16 ID:SwTmmr8g
福井は余りにもせつない感動大作だ
250 :
ボツ一号:01/09/08 22:00 ID:SKXIdIKc
もし清原が別の配役だったら。
自分がこうなったのはいつからだったろう?こんな時だというのに、
何故か清原はふと考えた。
あれはー 大恩ある森監督が巨人の監督になると言う話が巨人上層部の都合で
責任を全部森監督に押しつけて流れた時から?
自分が去った後、こいつこそはパリーグを背負ってたつと見込んでいたイチローが、
巨人しか見ようとしない現状を見切り大リーグに渡った時から?
あるいはー 稀にみる絶好調だというのに全く信用されず、
バントを指示されたときから?
それともー どうにかスランプから脱出しようとして心身とも最悪の状態にあった時、
あの馬鹿に「勝利要因が増えたな」と言われた時から?
いやそもそもー あのとき、自分でなく桑田の名前が読み上げられた時から?
巨人が清原から少しずつー そして沢山の物を奪っていった。しかし、そんなことはもうー。
だからー。今度こそ俺は、奪う方に回ってやる。
251 :
:01/09/08 22:26 ID:AvTisEiA
252 :
:01/09/09 00:21 ID:u/Khx/A.
nabetuneha?
253 :
c:01/09/09 00:23 ID:vnGDJoqk
続き書いて〜
254 :
代打名無し:01/09/09 01:00 ID:li0vk0q6
>>250さん
(・∀・)イイ!!ボツにしないで〜
255 :
ボツ2号 その1:01/09/09 02:10 ID:3NC9ylzM
由伸が別の配役だったら
いつから自分はこうなってしまったのか…顔立ちにも恵まれ、一流大学に
進学し、野球の才能も備わった由伸はこの球団に来るまではその恵まれた
天性のものを嫌みにならない程度に自覚するくらいであった。
だがここへ来て変わってしまった。天才だ、天才だともてはやす周りの声に
必死に答えようと頑張ってきたつもりだった。父親の多額の借金の為に
読売に入団した時から期待に応えるしかない、そうでなきゃ大事な家族も
潰れてしまうのだと、なんとしても生き残らねばならない、そう決意していた
親の期待にもしっかり応え、周りの期待にも応えてきた。いつのまにか期待に
応えられない自分など何の存在価値も無いように感じるようになってしまった
のは巨人に来てからだろう。実際の由伸は非常に気の弱いところのある、
自信のない男であった。お前の意志にそぐわない球団に売るくらいなら
破産してもいい、そう言った父親を気遣い巨人入りしたものの、自分が
スタメンなど張れるわけもない…だからスタメン入りできそうな球団に入り
たかったのも事実だった。だから今までぬるま湯の中で育っていたボンボンで
ある自分が生き残るには己を変えるしかなかった。周りが天才だと期待する
なら天才になるしかない…変わるしかなかったのだ。
256 :
ボツ2号 その2:01/09/09 02:15 ID:3NC9ylzM
由伸はふいに可愛い姪っ子を思い出す。子供が大好きな由伸に
とっては可愛くて仕方のない姪っ子を。こうなってしまった自分の
中でも変わらずにいたのが純粋なるもの…子供を愛するという心
だった。巨人に来て良いことだってあった。より多くの子供たちに
見てもらい、声援を送ってもらえる。どんなに沢山の女性ファンの
声援よりも一人の子供の声援の方がずっと嬉しかった。だがここで
みじめな死に方などしたら…もう可愛い子供たちの声援を聞くこと
もない。ただのこの狂気のゲームの犠牲者として忘れ去られるだけ
だろう、そう思うと身震いがした。この球団でやっていく唯一の
美しき目的…子供たちが自分のプレイに喜び、応援してくれ、
少しでも楽しませることができれば…こうなってしまった自分
でもそれができるならばと、読売という名の闇に落ち行く自分を
奮い立たせていたのだから。
こんなところで死んでたまるか…
もう世間知らずのボンボンではない。大事な家族を、あの可愛い
姪を守るためにも子供達に夢を与え続けるためにも球団の期待
…生き残るという期待を裏切ってはいけない。期待に応えられない
自分に存在価値などない、それは入団した時からの思い枷なのだ。
この狂った世界に絶望することさえ許されない…許されないのなら
ば殺るしかないのだ。大事な仲間の血で汚れた身体で家族の元に
帰り、何事もなかったかのように子供達に夢を与え続ける…
変わりきってしまった今の俺ならそれができるはずだ…
そうだろう?由伸は己に言い聞かせながら涙を流す。
涙が乾ききった時には自分はさらに戻れない程に変わり
きっているであろう。
…それが球団の望みという名の期待なのだから
由伸…なんかじんわりキタよ
ボツなんて勿体無い
このよしのぶイイ!
ここの作者さんたちはすごいね。
259 :
:01/09/09 03:23 ID:ulGdkU8Y
すごー。まじで感動した。キヨのも由伸のも。
職人さんかっちょいい!!
260 :
:01/09/09 04:25 ID:..N4M6cM
しかしなんか元ネタとは違う方向にいっとるな・・・
261 :
:01/09/09 08:13 ID:k00aVuzI
>>255,256
すごい…結構はまってるよこの由伸…
257の言うとおり没は勿体無い!
ここが面白いスレだから、あえて苦言を言う。
ロム専門にも職人にも自分のイメージがあって、自分のイメージする由伸を表現したい気持ちはわかる。
実際すごくいい話だとは思うけど、いったん配役が決まってるのに別の設定にしたら、収集がつかなくなるぞ。
このスレの話が完結してからなら、別バージョンも面白いと思うが。
263 :
高野 忍:01/09/09 15:24 ID:FVO9e6Do
高野忍は悩んでいた。
本当に殺さなければ殺されるのだろうか。
だからといって、俺に人が殺せるのか。
……絶対に無理だ、とは思われなかった。
だからって、だからと言って、共にやってきたチームメイトを殺すというのか?
バカバカしい。
この「ゲーム」とやらだって、きっと何かの冗談に違いない。
あの槙原さんだって何かうまいこと作り出したイミテーションに違いないさ。
ハハハ……。
笑い飛ばそうとしたが、カラカラに渇いた喉には痰が絡みついて、うまく声が出ない。
高野は忌々しげに痰を吐き出す。
……冗談と言っても、これは紛れもなく本物だ。
高野は右手に握られたコルトガバメントを握りしめてみた。
試しに撃ってみたが、間違いない。
こんなものがデイパックに入っていたのだ。他のやつらにも同程度の武器が行き渡っているだろう。
ということは、だ。
この「ゲーム」が冗談だろうが、……そうであって欲しいが、とにかく迂闊に歩きまわるのは危険だ。
とにかく、下手をすると、しなくてもかもしれないが……、命に関わる。
高野はとりあえずは身を隠して体を休めておくことにした。
しかし、右手のコルトガバメントの鈍い輝きには、何かしら自分を惹き付けるものがあるような気もした。
264 :
高野 忍 :01/09/09 15:25 ID:FVO9e6Do
そして夜が明けた。
高野は一睡もできなかったが、昨日の出来事は悪夢だと思いたかった。
しかし、その淡い希望を拡声器によって大きくされた声が引き裂く。
小川は嬉々として死んで行った仲間の名前を読み上げているようだった。
江藤の名前があった。
高野はその名前を聞いても、なんの感慨もわかない事に自分でも少し驚いた。
しかし、それはもっともなことだ。彼とは何の付き合いもなかった。
1軍と2軍の間の壁はそれほどまでに厚いのだ。
2軍で生え抜きの俺がいくら頑張っても、1軍の座はサラリと他所者が奪っていってしまう。
良くある事だ。
だが納得はいかない。
そう思ううちに、どこかに「良い気味だ」という感情が生まれた。
高野は自分でも動揺した。
俺は、この殺し合いを肯定するのか……?
條辺の名も読み上げられた。
あの分厚い壁を打ち破って1軍に昇格し、そして見事に活躍してのけた。
あの白痴監督の起用のせいで不調になっても、不平一つ漏らさずに黙々と投げたあの男までが。
なぜ死ななければならないのだ。
良く考えてみろ。
巨人にとっては久々の生え抜き選手ではないか。
そんな貴重な選手を、殺すわけがないじゃないか。
やはり冗談だ。
隠れてばかりいたら確認のしようがない。
誰かに落ち合って真相を聞こう。
そうだ、それがいい。
高野は面白くもないのに自分の顔が妙な笑いを浮かべていることに気がついたが、どうしようもなかった。
265 :
高野 忍:01/09/09 15:25 ID:FVO9e6Do
もう2時間も経つだろうか。
闇雲に歩きまわってみたものの、誰も見つからない。
引きつった笑みを浮かべながら、高野は歩きまわる。
不安だ。
誰か冗談だと言ってくれよ。
何度も大声を上げたくもなったが、流石にそれを思いとどまる理性はまだ残っていた。
そこへまた、拡声器から声が聞こえてきた。
三浦、か?
『戦うのはやめてください!皆さんここまで来てください!!』
あたりをぐるりと見まわす。
山頂の建物の中に人影があった。あれが三浦だろうか。
『お願いです。みんな戦いたくなんかないですよね?
俺達2人でいます。戦う気なんてありません!』
今度は岡島の声だ。
高野はフラフラと山頂に向かって歩き出した。
誰かと接触したかった。
しかし。
ばら、ばらららら。
三浦が倒れた。
岡島もだ。
「は、ははははは……」
何でおかしくもないのに笑いが漏れるのだろう。
冗談ではなかった。
目の前で二人は殺された。
二人は無防備だった。
その二人を躊躇なく殺す男が居る。
間違いない。
殺さなければ、殺される!
「はっはっはっはっは!」
今度は意識して笑った。
上等じゃないか。
どうせ生え抜きの俺が2軍でどんなに頑張ったって、1軍の空席はどこかから来た野球エリートさんが埋めてしまうのだ。
マスコミが俺に注目するのもオフシーズンだけだ。「巨人は生え抜きもしっかり育てているんですよ」というプロパガンダとして。
冗談じゃない。
俺はそんな宣伝のためにプロ野球の世界に足を踏み入れたんじゃないんだ。
むしろ、実力で勝負できるこちらの方が割が良いんじゃないか?
右手に握られたコルトガバメントの鈍い輝きが頼もしかった。
見て居ろ、エリートども。
本当の雑草魂は何なのか教えてやる。
266 :
:01/09/09 21:53 ID:SEkEvkFc
高野〜!すごいとこから持ってきたね。
でもイイ!!
267 :
:01/09/09 22:59 ID:V9.TzZNc
高野カコイイ(・∀・)!
268 :
:01/09/10 04:07 ID:dVXwAybs
高野に感動と
あと保守age
269 :
:01/09/10 14:27 ID:Y4.WNUs2
メンテ
270 :
:01/09/10 14:50 ID:BLFV3r/k
遅レスだけど清原と由伸の別バージョンも面白かった!けど
本編に沿って進まないと収集つかなくなっちゃうかもしれんから
完結したら別バージョンで他の選手もやってほしいな
って言うか、無理に完結させるよりも色々なパターンの物語を作ったほうが
書き手にとっては楽なのかも。ライターさんには気楽に書いてもらいたいし。
272 :
:01/09/10 15:37 ID:nkzmbYHc
>>271 同意。別バージョンでも一回完結にすれば問題ないと思う。色々なパターンも
見ていて楽しい
273 :
上原 1:01/09/10 15:52 ID:ZSY9Yxdo
上原はふいに震えだした
俺はみんなを裏切ってしまった…そう考えても無駄だと分かりつつ頭を抱えた
俺が悪いわけじゃないんだ
大学野球で名を馳せるまでまったく日陰の身であった自分、同い年の由伸が
すごい逸材だと騒がれる中、浪人中だった自分はどれだけ惨めな思いでその
記事を眺めていたことか…その天才と奇しくも同じ球団に入り、その天才で
さえ成し遂げる事ができなかった新人としての最高記録を生み出した自分が
有頂天になるのは無理もなかった。入団当初の雑草魂などとっくに消え失せて
いたのだって気がついていた。だが自分が悪いわけではない
俺が悪いんじゃない…
いつもこうして逃げていた。20勝達成できた事に調子付いて自己流の調整に
失敗したのも無能なコーチに頼れないからだったと、人身事故だって巨人の
選手でなければあんなに騒がれる事だってなかったのにと常に自分は悪く
ない、そう責任転換する事が今まで日陰の身であった者の精一杯の
自己防衛なのだとも気がついていた。
「…これは夢なのかなぁ…」
ふいに上原は声を漏らす。…自分は本当はこんな場所には居ないはずでは
なのかと。本当の自分はあのまま体育大を卒業し、どこかの体育教師
にでもなり野球部の顧問などをしつつ昔を懐かしむ…そうなる筈だった
のにとこの数年、考えもしなかった事を思うようになったのもやはり
裏切った自分に罪悪感でもあるのだろうか
274 :
上原 2:01/09/10 15:54 ID:qewMkhJY
「馬鹿馬鹿しい」
今まで散々苦い思いをしたのだ。ほんの少しのスランプで苦しむ
由伸や、巨人に苦しめられたとはいえ、西武では常にヒーローで
あった清原の苦悩などとは訳が違うのだ。そんな贅沢な苦悩と一緒
なんかではなかった大好きな野球の道にさえ進めないと諦めたあの
時の苦悩はそんなものではない。散々苦しんだ自分はほんの少しだ
け栄光という名に酔いしれた程度で早速このような地獄のゲームに
参加しなくてはならないのか、裏切るのが当たり前だと唇を歪め
る。
「あいつらはもう十分だろ?」
すでに死んだ江藤だって、元木だって、おそらく何処かで生きてい
る由伸や清原、松井だってもう十分に栄光を味わった者ばかりだ。
「まだだ…俺はまだ足りない…」
新人の頃の1年間だけではあまりに足りなすぎる…
「…俺が悪いんじゃない…」
雑草魂という言葉をタテマエでしか使わなくなったのと同じよう
に、俺は悪くない…不思議な呪文のように上原はそう繰り返す。
「…あいつらが馬鹿なだけなんだ。ちょっとでも俺のように苦い思
いしてりゃこうして賢く立ち回る事ができたのになぁ。」
上原はせせら笑う。こうしてエリート共をあざ笑うことでまた
自分は悪くないのだと正当化しながら。
上原の体の震えはすでに止まっていた
275 :
:01/09/10 15:57 ID:73nbfjjc
上原がかわいそうになってきた…裏切った理由もわかる気がする。
276 :
高野 忍:01/09/10 16:45 ID:Y4.WNUs2
さらにさまようこと2、3時間。
高野は不安そうに彷徨する大柄な影を見た。
吉永だ。
突然他所からやってきてのうのうと一軍の座に座った男だ。
恨むべき相手だ。
見てもみろ。
俺は毎日ジャイアンツ球場で戦い、真っ黒に焼けている。
だがどうだ、吉永は。真っ白ではないか。およそスポーツ選手に似つかわしくない風体だ。
白豚だ。養豚場のな。
スポーツ選手である俺が養豚場の豚の下風についているというのはどう考えてもおかしい。
苦労知らずのエリート豚は屠殺させてもらおう。
吉永はサバイバルナイフを片手に、おっかなびっくり歩いている。
こちらには気付いていないようだ。
このまま不意を討てば殺すのは容易いだろう。
だが。
「吉永さん」
俺はあえて声をかけた。
何も知らないまま楽になってもらっては困る。
あの様子では銃も持っていないだろうしな。
吉永はビクリと肩を震わせると、後ずさりながら振り向いた。
「た、高野……?」
277 :
高野 忍:01/09/10 16:45 ID:Y4.WNUs2
吉永の顔には不安が貼りついていたが、恐怖の色はまだなかった。
俺のコルトガバメントのトリガーに指はかかっていたが、それ自体は背中の後ろに隠してある。
俺は残った左手を差し出し友好を装いながら、出来るだけ柔和な声で話しかけた。
「現在の球界を代表するようなキャッチャーの吉永さんが、こんな万年二軍選手の俺の名前を覚えていてくださるなんて……光栄です」
「何を言うんだ、チームメイトだろう?」
警戒の色こそまだ残ってはいるものの、吉永は少し安心したらしい。バカな豚だ。何がチームメイトだろう、だ。
生え抜きの道を塞ぐだけの豚を俺はチームメイトに持った覚えなどない。
「いやいや……吉永さんはとても俺なんかの手の届かないところにいらっしゃるじゃないですか……というか、これから本当に手の届かないところにいらっしゃるんだけどな」
俺が見せつけた銃口に、元々白い吉永の顔は白いを通り越して青くなった。
おいおい、青豚かよ。聞いたことがねえな。
「ま、待て。高野。こんな殺し合いなんて無意味じゃないか。早まるな。馬鹿なことはやめるんだ」
俺は笑顔を見せてやった。
吉永も引きつった笑顔を返す。
「吉永さんのご出身の地方では、そんな物騒なものを右手に持ったまま人に頼みごとをするんですか?」
銃口は吉永に向けたままだ。
吉永の顔がさらに引きつる。
「す、すまん!」
吉永はあわててサバイバルナイフを投げ捨てた。
「さあ、お前もその銃をこちらに向けるのはやめてくれ」
俺は大きく息を吸いこみ、わざと間を取った。
吉永が何かを取り繕うかのように笑顔を見せる。
「なぜ?」
吉永の顔に絶望の色が浮かんだ。
俺は笑みと銃口を吉永に向けたままゆっくりと吉永に近づいていく。
俺が一歩進むごとに吉永が一歩後ずさるのが滑稽だ。
ざっ、ざっ
「あのねえ吉永さん、意味はあるんですよ」
ざっ、ざっ
「は、ははは……冗談はよせよ」
ざっ、ざっ
そう言う本人だって冗談でないことはわかっているだろうに。
ざっ、ざっ
「あなたや清原さん、江藤さんのように突然他所から入ってきたエリートさんが一軍の席を取ってしまったら、俺ら生え抜きはどうしたらいいんでしょうねえ?」
ざっ、ざっ
「どっ、どうしたら……って、そりゃあ、そ、それ以上の成績を残すしか……」
ざっ、ざっ
「大金を積まれてきた才能、実績共に抜群の選手に敵うかよ! 大体俺らには成績を残すためのチャンスだって与えられない! それを知らないとでも言うのかッ!」
ざっ、ざ……
吉永の背が崖に当たった。行き止まりだ。
「だから、生え抜きの俺らがチャンスを貰えるように、あんたらエリートを排除する。十分に意味のある事ですよ……ッ!」
吉永が横へ逃げ出そうとしたのですかさず俺は撃った。
弾は吉永の右ふくらはぎに当たったようだ。
吉永は下品な悲鳴を上げると、倒れこみ転げまわっている。
「あっはっは! あんた最高だよ。エリートなのに豚だもん。珍しいよ」
吉永は俺の声に我にかえり赤ん坊が這うように逃げ出そうとした。
いや、そんなことで逃げられると思うのなら正気ではないか。
「本当ならあんたを剥製にして『エリート豚』ってどこかの博物館に晒してやりたいところだが無理そうだな。残念」
相変わらず吉永はヒィヒィ言いながら逃げようとしている。無理だって。
「ま、恨むなとは言わん。俺だって恨んでたし。じゃ、サヨナラだ」
こんなに銃のトリガーというものが軽く引けるものだったとは、俺は知らなかった。
278 :
:01/09/10 16:50 ID:2DqZIEz.
ぞくぞくするな〜
高野カコイイ!!
279 :
クイナ:01/09/10 17:06 ID:p/IP6KUI
さっき選手の顔を確認するため選手名監を買ってきたアル。
高野の顔をみてショックだったアル、
ここでの高野のキャラクターはカコイイアルが実際の顔は相当ブサイクだったアル。
高野の顔に勝手にカコイイイメージ持ってた人、すまないアル。
280 :
高野 忍:01/09/10 17:19 ID:Y4.WNUs2
281 :
:01/09/10 17:23 ID:9YSSQS/E
>>280 …知ってます…鬱だ。けどここの高野はカッコイイ!
>>273-274の上原も…本当ここって嫌な奴でも良く見えるよ
282 :
映画化:01/09/10 17:40 ID:NfDPvNkI
したらかなり美化してやってほしい。
松井→ガクト 上原→竹ノ内 二岡→滝沢
無理か・・・
283 :
:01/09/10 17:47 ID:5OfpV1WI
>>282 それ言ったら実写で対応できんのって由伸と平松くらいだよ…
284 :
高野 忍:01/09/10 17:57 ID:Y4.WNUs2
戦争映画などには死体を見て吐くような兵士がつきものだが、所詮作りものか。と高野は思う。
むしろ昂揚している自分を感じた。
やや深い茂みを掻き分けながら進む。
FA、移籍、逆指名。
俺らのチャンスを奪うにっくきエリートども、何処に居る。
一人残らず屠ってやる。
茂みがだんだんと深くなってきた。
普通に進んでいては骨が折れる。
吉永から奪ったサバイバルナイフで長めの枝をへし折ると、それで茂みを掻き分けながら進むことにした。
のが、幸いした。
目の隅にキラリと光るものが目に入ったのだ。
「これは、ワイアトラップか?」
木と木の幹の間に茂みに隠れるようにして細いワイアが張られていた。
これに足を引っ掛けなどしたら近くにしかけられた爆弾が爆発するなりするのだろう。
危ないところだった。
まあしかし解除する義理はない。ここに再び近づかなければ良い話なだけだ。
ワイアに触れないように注意深くそれをまたぐ。
しかし、トラップを仕掛けるとなるればだ。
この先には何者かが隠れていると見て良い筈だ。
誰だ?
トラップを仕掛けるほど陰険な奴、トラップを仕掛けられるだけの頭がある奴……。
高橋、由伸、だな。
それほど明確な根拠があるわけではないが、高野は直感した。
あの二重人格陰険エリートめ。あいつも生っ白い顔しやがって。
しかし、あの高橋が相手となれば警戒しなければならないだろう。
どんな手を使って来るか、わかったものじゃない。
……警戒しておくに越したことはないな。
高野は出来るだけ姿勢を低く保って進むことにした。
285 :
:01/09/10 18:30 ID:BLJ1w9pY
名ストーリーテラー高野カコ(・∀・)イイ!!
286 :
:01/09/10 19:18 ID:D0zI3jWM
高野(・∀・)イイ!
ここでは関係ないけど、個人的には出番さえあれば
そこそこいける選手だと思いますが・・・
287 :
☆:01/09/10 19:19 ID:YSmDNUHY
めっちゃおもろい!つづきが気になる〜
高野編の続きじゃなくてスマソ。
松井達はあれから誰に会う事もなく無傷で診療所まで辿り着く事ができた。
診療所からは海が見えた。その穏やかな海面に船が浮かんでいる。
あれが見張りの船だろうか。だが3隻が並んでいた。
小川が言うには東西南北に1隻ずつとの事だったのに。
もしかして何かあったのだろうか?
「川相さん・・船が3隻いる」
「ああ。一番小さいのが見張りの船だ。でかいのがゲームが終わった後に
コーチやらが乗って帰る船。間が優勝者が乗る船だ。
同じだな。形まで一緒だ。前回と・・・」
川相はそう呟くとちょっと待ってろ、と言い残し診療所の方へ向かった。
ショットガンを構え慎重に周囲を調べる。玄関のドアを石で割りしばらく待った。
何も反応がない事を確認すると、割れ目から手を突っ込み鍵を開け中へ入っていった。
5分たっぷり経ってから、川相が玄関から松井に手招きをした。
中に入ると待合室のようなものがあり、その奥が診療室になっていた。
川相が「こっちだ」と松井を促した。
中に入ると消毒液の匂いがした。
小さな診療所だったがそれなりに薬はそろっているようだ。
松井は2つあるうちの片方のベッドに二岡をおろした。
まだ苦しそうな呼吸が続いている。
意識もかなり朦朧としている様だった。
側にあった毛布をかけてやると松井は川相に訊いた。
「薬はあるんですか?」
「ちょっと待て」
川相は言うと棚を引っ掻き回し、その中から紙箱をひとつとりだした。
蓋をあけ説明書を読むと、納得したのか中から小さなビンやらを取り出す。
そのビンの中には白い粉のようなものが入っていた。
「粉薬ですか?」松井が訊くと
「いや、注射薬だ」と川相は答えた。松井はそれにちょっと驚いた。
「できるんですか?そんな事が?」
川相はデイパックの中から水ボトルをだし、それで丁寧に手を洗うと
小さな注射器に針をセットしながら言った。
「心配するな。やった事はある」
用意をしおえると二岡の腕に注射針を突き刺した。
薬液を押し込むとすぐに針を抜いた。
脱脂綿をあてがうと松井に「押さえてろ」と言い
川相は空の注射器を持って部屋の外へと向かった。
なんで自分と同じ職業の人間がこんな経験があるのだろう。
やった事があるというのは、前回のプログラムでの事なのだろうか――
川相の後ろ姿を見つめながら松井はぼんやりと思った。
二岡が寝息を立て始めた事を確認すると松井は部屋をでた。
待合室の奥がここにいた医者達の住居になっている様だった。
その台所に川相はいた。
「何してるんですか?」
「食い物を探してる。米と味噌はあったけどほとんど何もないな。
野菜は腐ってるし」
「でも米を炊くぐらいはできそうだ。裏に井戸も見つけたしな」
川相はコンロの上にデイパックから取り出した炭をおくと
ライターで火をつけ、その上に米の入った鍋をおいた。
「なんでも手際がいいですね。川相さんは」
松井は言いながら別の場面を思い浮かべていた。
ついさっきの木村が死んだ場面。
――自分の代わりに川相が止めに入っていたら
あんな酷い結末にはならなかったのだろう。
「木村のことを気にしてるのか?」
見透かした様に川相が言った。
「気にするな。お前は最善をつくしたよ。状況が悪かっただけだ」
川相の声は優しかったが、松井は自分を責めずにはいられなかった。
「そんな事より、俺のほうこそ済まなかったな」
うつむいたままの松井に川相が声をかける。
「何が・・ですか?」
「二岡の事だ。俺の判断が甘かった。もっと早くに処置するべきだったな」
「いえ・・・」松井は首を振った。
「いいんです。俺1人じゃ何もできなかったから。」
そう。もし川相がいなければ自分はただ二岡が衰弱していくのを見てる
だけしかできなかっただろう。松井は川相の存在を本当にありがたいと思った。
同時にここへ向けて出発する際、危険だからと反対した川相を
契約は解除だ、などとなじった自分がひどく恥ずかしく感じられた。
おそらく川相は昼間に移動することの危険性と
二岡の症状を慎重に秤にかけて、ぎりぎりの決断を
しようとしていたのに違いないのに。
「本当にすみませんでした・・・。1人で行動してくれなんて言って・・」
松井は頭を下げた。
「いや、いいんだ。お前の判断は正しかったよ。
だからもうその話はなしにしよう」
川相は笑いながら首を振った。
――松井は今度は感謝の意を込めて、もう一度頭を下げた。
290 :
:01/09/10 20:53 ID:3UyVqGgY
ふむ、それじゃ話に影響ないところで。
〜プロローグ〜
それは、闇の中から、響いてくる声。
・・・・おのれヤクルト
・・・・おのれ若松監督
・・・・おのれ不甲斐ない我が選手どもよ
このナベツネは忘れぬぞ・・・・どれほどの怒りが、憎しみが、この身を苛み続けようとも。
繰り返し、繰り返し・・・・ 巨人が再びV9を達成するその日まで・・・・
この屈辱にまみれた日の事を・・・・ 忘れぬぞ選手どもめ・・・・
その呪詛は、いつまでも、いつまでも続いていた。
時に、西暦2001年10月。巨人が連覇を逃したその日のことであった・・・・
291 :
:01/09/10 21:39 ID:qZFCv5Tc
みんな(・∀・)カコイイ!
292 :
:01/09/10 22:16 ID:JkrTbkCM
やっぱり川相がカコイイ!
293 :
:01/09/10 23:14 ID:2rlPRxwI
はやく続きが読みたいYO!
294 :
長文スマソ その1:01/09/11 02:17 ID:qpjySM9U
なんだ…このゲームは…
長年この球団に在籍していたが、こんな恐ろしい世界があった
のかと斉藤雅樹は岩陰に身を隠しつつ口唇を噛みしめる。
そういえば数年前、いきなり選手達が減ったような気もしたが
あれはコレのせいであったのかと今更ながらに絶句する。
「…これも罰なんだろうな…」
200勝にこだわり、高額の年俸を貰いつつ球団の足を引っ張って
いる自分への罰なのだろうと斉藤は思う。だが確かに200勝は
成し遂げたいと思うが、それよりも何よりもやはり一年でも長く
現役でいたいと望んでいた方が大きかった。斉藤は根っからの
投手であったのだ。同時にあまりに優しすぎる性格であったため
罪悪感と現役への執着にずっと板挟み状態であった。
「…辞めるべきだったんだろう…」
それは辞めていればこんなゲームに参加せずにすんだという理由
でつぶやいたわけではない、自分が辞めていればこの高額年俸で
何人か良い投手を集め、もしかしたら優勝できたかもしれなかっ
た…そう思ったゆえにつぶやいた言葉だった。本当に戦う者と
しては斉藤は優しすぎた。去年の何百日ぶりの勝利を桑田に
潰された時だって決して腹を立てたりはしなかった。お互いさま
なんだから…本心からそう納得していた。そんな心の持ち主な
せいか斉藤ほど他球団選手にも、ファンにも好かれる選手はそう
いないであろう。常に謙虚であった真のエースそのものだった。
そんな時であった。背後から物音がし体をのけ反らせる。
295 :
長文スマソ その2:01/09/11 02:19 ID:qpjySM9U
「誰だ!」
「…斉藤さん…ですか…」
「…平松…」
背後から現れたのは平松であった。その稀に見る男前な容貌は
表情無く斉藤を見据えていた。
「…敵意はないみたいですね…」
平松はぼそりと答える。斉藤が仲間を殺せる気性の持ち主でない
ことくらいは分かりきっていた。元エースの大ベテランだという
のに二軍では新米と一緒に平気でトンボかけもするし、その
偉大な実績を鼻にかけるところなどまったくなかった。三本柱
の頃を知らない者は本当にエースだったのかと思うであろう
ほどに。
「…当たり前だ…仲間に敵意など持つ筈ない。」
「……」
平松は無言のまま後ろにあった手のナイフを握る。
(この人相手なら…)
間違いなく勝てるであろう。だがどうしても躊躇してしまう。
二軍で落ち込む自分達投手に優しく声をかけてくれたこの
元エースを殺める事などできるはずがないと。だが、同時に
別の怒りも涌いてきた。
(アンタはいいよ…気楽なもんだ…)
結果を残せなくてもエースだったということで多額の年俸の
まま残留できるのだから。その点自分はいつ首を切られるか
といつも怯えていたというのに。
(生き残れば…この人を殺せば…)
再び自分にチャンスが回ってくるだろうか…平松は再びナイフ
を握る手に力を込めた。
296 :
長文スマソ その3:01/09/11 02:20 ID:qpjySM9U
「…!」
だが平松の体は硬直する。目の前の斉藤は確かに自分に微笑ん
だからだ。あきらかに敵意剥きだしの自分に
「…できない…俺は…」
斉藤を殺せるわけない、と平松はナイフを地面に投げつけた。
「斉藤さん…一緒に行動しましょう。俺、そんなに力無いです
けど…斉藤さんを守るくらいの力なら…」
「…平松」
斉藤は首を振ると、地面に落ちたナイフを拾う
「…お前を犠牲にするわけにはいかない…」
「…!斉藤さん!」
平松が驚愕の声を上げると同時に斉藤は拾ったナイフで己の
腹を深々と突き刺していた。
「な…んで…なんで!」
「……俺なんかよりも…一人でも多く…若い奴が…生き残る
べき…だ…」
平松の腕に抱えられた斉藤は息も切れ切れにつぶやく。
「そんな…しっかりしてください!…どうしてこんな…」
「仲間を…殺さなければ…生き残れないなら…犬死にでも
…巨人の選手として…俺は…死…」
ガクリ、と斉藤の首は下がる。
「斉藤…さん?」
急激に冷えてきた斉藤の体を揺すりながら平松はブルブルと
震えると、どうにもならない悲しい悲鳴を上げる
297 :
長文スマソ その4:01/09/11 02:20 ID:qpjySM9U
「うわああああっ!」
平松は斉藤の亡骸にすがりつくように泣きだす。
「どうして…どうして…」
彼のような人物が死なねばならないのか…ここには
善も悪もない…平松にはもう絶望しかなかった
「…一度だけでも…あなたのように…」
輝くエースになってみたかった。平松はその言葉を飲み
込むと斉藤からナイフを抜き、躊躇う事なく己の心臓に
突き刺した。こんな世界で生き残る希望などすっかり
消え去ってしまっていた。
「俺も…巨人の選手として…最後を…」
続きを発する事なく平松は斉藤の亡骸の傍らにドサリと
崩れ落ちた。…暫しの静寂の後に足音が近づいてきた
「…やっぱりこうなると思った。」
桑田であった。桑田は斉藤の亡骸をじっと見下ろす。
「…斉藤さん、あなたは優しすぎたんですよ。もっと
非情ならとっくに200勝出来てたでしょうね。」
桑田はそっと斉藤と平松の亡骸に毛布をかぶせた。
「…けど俺は違う…絶対に200勝してみせる…
そのためならどんな裏切りでもしますよ」
298 :
:01/09/11 02:32 ID:QxqquEVA
斉藤……あんたいい奴だ……。
原作ファンだけどこのスレも大好きだよ!
ダーティー桑田の活躍も期待。感想sage。
299 :
:01/09/11 02:38 ID:gdLdYRkc
ヤヴァイYO!マジ泣ける!…斉藤…いい人!
斉藤って実際にいい人そうだからよけい泣ける…
桑田のダーティーぶりもイイ!最後に毛布かけちゃうとこなんかカッコイイ!
300 :
:01/09/11 03:27 ID:9sGF.nYY
ハァハァ・・・巨人ファンになりそう・・・
301 :
:01/09/11 03:38 ID:JHA1GTqM
キャラの使い方が適格だな・・・
平松ってのも(・∀・)イイ!
302 :
高野 忍編:01/09/11 04:28 ID:o6vF/9FQ
黒い帽子だ。子供達の憧れ。そして大人の憧れでもあるジャイアンツの象徴。
それが少しだけ茂みの上に出ているのが見えた。
迂闊だな……。
高野はコルトガバメントを構え、その帽子に狙いをつけた。
トリガーを引こうとして……。
待て。
あの高橋にしては、あれは迂闊過ぎやしないか。
罠、ということも十分に考えられる。危険だ。
とりあえず回りこんで様子を見ることにした。
相手に気取られないように、音を立てないように、慎重に……。
時間が長く感じられる。
ようやく帽子の側面へと回りこんだ。
帽子の横顔が見える。
高橋だ。
ただし、由伸ではない。
尚成だ。
どちらにせよ、逆指名のエリート野郎だ。
苦労を知らない温室ドーム育ちだ。
俺の敵だ。
殺してやる。
良く見れば、高橋はフォークを持って震えている。
フォーク?
良く見てみたが、紛れもなくごく普通のフォークだ。
あれが高橋に与えられた武器なのだろうか。
こいつは滑稽だ。
何もかも与えられたエリートが、最後にはフォークしか与えられないとは。
303 :
高野 忍編:01/09/11 04:29 ID:o6vF/9FQ
恐怖に震える高橋の背後に回るのは容易なことだった。
普通、人間は不安にとらわれたら逆に歩きまわりそうなものだが……。
何故こいつはここに留まっているのだろうか。
まあ、これから死ぬ男のことなどどうでも良い。
「よう、尚成」
肩を叩いてやった。
高橋は、滑稽なほどビクリと体を震わせた。
ゆっくりとこちらを振り向く。
「高野さ……」
その顔面に、コルトガバメントを突き付けてやった。
「うっ、わあああああっ!」
高橋は錯乱してデタラメにフォークを振りまわす。
予想された行動だ。こんなもの、一歩後ろに下がればなんでもない。
「おいおい尚成、お前の持ち球はフォークじゃなくて、スクリューだ、ろッ!」
銃把で高橋の左手を強打する。フォークはあっけなく高橋の手から落ちた。
「ひッ……いっ、入来さぁぁぁぁん!」
「騒ぐなッ!」
逃げようとした高橋の足元に発砲してやる。
ひぃ、と声を上げて高橋は倒れこんだ。
当ててしまったかと思ったが、どうやら腰が抜けてしまっただけのようだ。
「たたたたた、た、助けてくださいっ……」
命乞いをしている。
逆指名ですんなりと栄光の巨人軍に入団し、シード権のように一軍の座を獲得した野球エリートが無様に命乞いをしている。
なかなか愉快だ。
気が変わった。
もう少し長くこの優越感を感じてやろうと思った。
俺はコルトガバメントを下ろしてやる。
高橋にやや安堵の色が戻った。
「いいだろう」
高橋の顔がパッとかがやく。
「本当ですかっ!」
「ただし!」
出来るだけ力を込めて言ってやった。
高橋の顔が再び青ざめる。信号みたいな奴だ。
「お前は巨人一のひょうきん者だ。そうだな?」
「え、い、いや……」
少しでも妙な受け答えをしたら撃たれると思っているのだろうか、慎重な応答だ。
まあ、それは正しいのだが。
わざと一呼吸置いてやる。不安と恐怖の入り混じった高橋の顔に、恐怖の色が濃くなる。
「そうでなくとも、少なくともそういう売り出し方をしていた筈だ」
「……はい」
高橋は一瞬躊躇してから、そう答えた。俺もわざと仰々しく頷いて応答してやる。
「で、だ。これから芸をして見せろ。それが俺に認められるものだったら、助けてやらないこともない。わかったな?」
高橋が断れようはずもない。
「はい……」
高橋は頷くと、何やら動作に入った。
「ああ、念の為に言っておくが、少しでも妙な真似をした時点でゲーム・オーバーだ。あと俺は貴様の汚いケツも見たくはないのでその辺注意しておくことだな」
あらかじめ奴の持ちネタを封じてやった。高橋は狼狽するだろうか。まあ生死の掛かった場面でケツ出しでお茶を濁そうなどとは普通は考えないだろうけどな……。
「わっ、わかりました……とっておきのネタを披露しますから、少し時間を頂けませんか?」
なんと高橋は土下座して頼んできた。
こりゃ愉快だ。
「いいだろう」
そう答えて、俺は手ごろな岩に腰を下ろした。
304 :
高野 忍編:01/09/11 04:30 ID:o6vF/9FQ
入来さんはまだか……!
そこに落ちているフォークを拾えたところで、銃を携えた高野に勝ち目はない。
言われるまま芸をしたところでおそらく殺されるだろう。自分の芸がそんなに面白くないということは自分でもわかっている。それに、どうせどんな芸をしても俺は殺されるのだろう。高野のあの目は猫が半死の獲物をいたぶる時の目とそっくりだ。
銃を高野から奪う? 無理な話だ。
要するに俺が助かるには銃を持った入来さんが帰ってくる、それしかないわけだ。
入来さんは止めたが、やはりなんとしてでもついて行くべきだった……!
今は考えるふりをして時間を稼いでいるが、それもいつまでもつか。
現にもう高野は待ち兼ねたようにそわそわしだしている。
入来さん、早く来てくれッ!
305 :
:01/09/11 05:02 ID:9yHg0ZhI
続くのかよっ!(w
306 :
川中編:01/09/11 05:16 ID:C0bwOqUE
鬱蒼と生い茂る草木の中、川中は武器の折りたたみナイフを握り締めてうずくまっていた。
割合端正に整ったマスクは、恐怖と、困惑と、‥悲しみに滲んでいた。
彼は見てしまったのだった。
自分と同期の高橋由伸が‥メイとマルティネスに銃弾を放って命を奪った瞬間を。
メイを目の前で殺され、涙を浮かべて憤るマルティネスの命をも‥由伸がいとも簡単に撃ち取ってしまったその瞬間を。
「由伸‥お前はこのゲームに乗っちまったっていうのか…?」
由伸と川中は4年前の1998年、共にユニフォームに袖を通した。
由伸が一位、川中が二位指名だった。
一年目から大爆発して一軍定着した由伸に対し、川中は二軍と一軍との往復であったため、話をする機会は少なかった。
それでも、2歳年上な自分はたまに会った時やオフなどにはよく由伸の相談に乗ってやった。そして由伸も、正直に自分をさらけ出してくれた。
ある時、由伸は自分に「本当はヤクルトに行きたかった」と言ってきたことがあった。父親の借金の関係で巨人に入らざるを得なかった由伸の事情を自分に告げたのだ。人気球団であり誰もが羨む巨人に入団して大活躍して国民的スターになった由伸が、どこか切なそうな表情で。
「なら、巨人で活躍出来る限り活躍して、いつか自分の力でヤクルトに入ればいい」…川中はそう答えた。
…その由伸が、殺しをしている。それも、平然とした顔で。
メイとマルティネスが殺される瞬間、川中の心から一気に何かが崩れ落ちていた。
ガサガサ…
草木を分け進んで歩いてくる足音に、川中ははっと我に帰った。
段々近づいてくるその足音を、川中は不思議と由伸と思った。
「由伸か?」
「その声は‥川中さんスか?」
川中は立ち上がった。そこに立っていたのは紛れも無く高橋由伸であった。
「由伸‥」
川中は由伸の瞳を見つめた。
「由伸、もう終わりにしよう。…これ以上殺しを重ねちゃいけない」
由伸は黙っている。
川中は持っていた折りたたみナイフを由伸の方へ投げた。
「由伸‥。俺はお前の味方だ。一緒にこのゲームから抜け出そう。もし俺が信用できないなら、そのナイフで俺を殺せ」
由伸は自分の足元に落ちた折りたたみナイフを拾った。
そして、静かに刃を鞘に戻した。
「由伸!‥わかってくれたん…」
川中は最後までセリフを言い切ることが出来なかった。
川中は眉間に5センチほどの風穴を開け、その場に静かに倒れた。
由伸が右手に持っていた銃の先端から煙が僅かに立ち上がっていた。
307 :
川中編著者:01/09/11 05:19 ID:C0bwOqUE
1、2に分ければよかったスマソ
308 :
:01/09/11 05:56 ID:nwwqiwDM
出勤前にいい物読ませてもらいました。
勤務中に良い物読ませてもらいました。
310 :
偽:01/09/11 10:37 ID:bDRe.xgc
後藤は低い姿勢で、笹藪を掻き分け掻き分け進んでいた。
まもなくこのあたりは禁止エリアになる。離れなくてはならない。
今も右手に、木村を射殺した銃をしっかりと握っていた。
あのとき、仕掛けてきたのは木村のほうだった。
警告や威嚇を挟まず、いきなり撃ってきた。狙い過たずだったのか、
或いは頭なり心臓なりを逸れたのかはわからないが、
とにかく銃弾は後藤の左肩へ命中した。
それまで木村の存在さえ知覚していなかった後藤は、
苦痛と衝撃から立ち直る余裕もなく、支給の武器を初めて抜いて応戦したのだ。
恐怖心に駆られたに過ぎなかったが、
なにしろ実際に相手を殺すつもりで銃を手にしたという事実が後藤の中のなにかを
決定的に変えていった。
――殺らなければ殺られる。
まったく同じだ、一軍とかポジションとかスタメンを争うことと。
かかっているものが生命であるのまで。
選手生命という比喩でなく、ナマの生命そのものであるというだけ。
ならば、やるまで。
それでも松井が木村との間に割って入ったときにはわずかに迷った。
だが木村が――無防備な姿をさらした瞬間に、後藤の指は反射的に引き金を引いていた。
――殺らなければ殺られる!
木村の頭部が、スイカかなにかのように赤い飛沫をあげて爆ぜた。
弾丸は、木村をそうすると同時に、後藤自身の躊躇や迷いにも止めを刺したのだった。
311 :
:01/09/11 10:53 ID:pG55PTjw
久しぶりに見ることができたけどいきなり話が多くなっててイイ!
高野と川中が対照的でこれもイイ!高野カコイイ!
…けど一番泣けたのは斉藤雅…せつなすぎます
感想なんでsage
312 :
:01/09/11 11:59 ID:UohpANp.
>311
個人的には斎藤の人格が嫌いだから黒いキャラにしてほしかったけどね。
高野は非常にいい。
313 :
:01/09/11 12:52 ID:pH.mdyno
>>312 へえ、斉藤嫌いな人っているんだなぁ…あ、反論してるわけじゃないです
人それぞれだしね。俺は反対にこんな良い奴すぎる役は斉藤くらいしか
できんと思ったんで。斉藤と平松ってのがいいな
314 :
:01/09/11 12:56 ID:I/lvw30s
>310
今度は後藤編ですか!
続きが楽しみっす。
315 :
:01/09/11 13:10 ID:JHA1GTqM
脇役選手が動き出してきて(・∀・)イイ!
ライターのみなさんご苦労さんです。
高野編を受けまして、入来編
**********************************************
入来が己を取り戻すまで、それ程の時間はかからなかった。
(戻らなくては・・・ヒサが待っている・・・)
周囲にトラップを張っているとはいえ、ろくな武器も持たず一人待たされている
高橋の事を考えれば、感傷に浸るわけに行かない。
あの男も、結婚して間もない。自分が兄の元へ帰りたいと思うように、高橋も妻
の元へ帰りたいだろう。
早く戻ってやらなくては・・・。
入来は足早に、しかし、慎重に神社を出、高橋の待つ場所へ向かった。
(・・・?)
極限にまで研ぎ澄まされた入来の神経が、人の気配を感じとった。それも、複数
だ。
高橋以外に誰か居るのか?
仲間であると思いたかった。しかし、そう信じてしまうには入来も追いつめられ
ており、又、肌に感じる空気が、そうではないと本能に告げる。
敵。
その言葉に、心臓がどくん、と跳ねた。
全身が熱くなる。
入来は冷静さを保とうと、ペンダントを握りしめた。
「お前はすぐカッと頭に血が上るのが悪い癖だ」
かつて、兄にそうして指摘されたことがある。
「マウンドの上で冷静さを失えば、そこでお終いだ。追い込まれた時ほど冷静に
なれ」
もっとも、俺もお前のことは言えないけどな------そう兄は付け加えて笑った。
入来は静かに深く息を吸い、吐いた。
体が熱い。
だが、頭はひどく冷たく冴えていた。
まずは高橋の安否を確かめなくては。
そして、自分が迂闊な行動をとれば、自分の生命ばかりではなく、高橋の生命ま
で失われてしまう。
同じだ。マウンドの上と。
賭けられたものが、勝利か、生命かの違いはあるけれども。
入来は音もなく茂みの中を移動した。
317 :
高野 忍編:01/09/11 14:09 ID:o6vF/9FQ
「おい、まだか?」
その俺の声に高橋は面白いほど身体を震わす。
……感づかれたか!? そう思ったが、高野の顔にはまだ余裕がある。
まだいけるはずだ……。
まだかと尋ねたいのはこちらだってそうだ。
「あ、はは……俺の一世一代の芸ですからね、そ、それなりに良いものにしたいんですよ。お待たせしてしまってすみません」
卑屈に頼む高橋に俺は軽い恍惚を覚える。
「なるほどな。それがお前の芸人魂というやつか」
そう言って、にぃ、と笑ってやる。
お前の生殺与奪は俺が握っているんだぞ。
くそっ、ニタニタして馬鹿にしやがって……俺とお前に何の差があるというんだ。
銃があるかないかだけじゃないか。その銃にすがってこんな真似を……。
何て下卑た奴なんだろう。
しかし、この場面で銃があるかないかは絶対的な差であったし、
高野がその下卑た真似をしてくれたおかげで自分が生き延びられる望みが生まれたのも事実。
その点ではこいつに感謝しなくちゃならないな……。
しかし、入来さんはまだなのか……。
いくらなんでも時間が掛かり過ぎだ。
どうせ死にたくないからという時間稼ぎだろうが、無駄なことを。
時間を稼いだ所で何になる。
助けが来るのか。
馬鹿な奴だ。
その馬鹿さ加減をこのまま観察してやろうか。
……待て。
俺が始めにこいつに銃口を突きつけた時、こいつは何と言った?
『入来さん』
確かにそう言った筈だ。
ははあ、なるほど。
入来がそばに居るのか。
入来が帰って来るまで俺を騙しとおせると踏んだのか。
舐められたものだな。
俺は再び銃口を高橋へと向けた。
318 :
高野 忍編:01/09/11 14:09 ID:o6vF/9FQ
再び、銃口が自分へと向けられた。
「尚成、お前の最後の最期の芸、面白かったぞ。そうやって時間を稼ぎ、入来に俺を撃たせる。良く考えたよ。だが、入来は少しばかり遅すぎたな。恨むなら入来を恨め」
駄目だったか……。
尚成は観念した。
逃げ出したところで、飛び道具相手に逃げられるものではないだろう。
高野は入来を恨めと言ったが、毛頭そんな気は起きない。
むしろ死ぬ前に信頼出来る人に会えたことは嬉しかった。
感謝しこそはすれ、恨みなどするものか。
この目の前の下衆野郎にはそんなことはわからないだろうが。
「ああ、そうだ。よくわかったな」
もう死は逃れられないものと覚悟は出来ていたから、そう言い返してやった。
ただ、心残りなのは今も俺の帰りを待っているであろう妻だ。
子供の一人でも、残してやれればな……。
そう思うが、もうどうしようもない。
「だがな! 俺は断言する! お前のような奴は、決してこの島から生きては出られないだろうさ!」
非情に徹するならともかく、殺しを楽しむような奴はどこかでヘマを踏むに違いない。
これには自信があった。
「言いたいことは、それだけか?」
高野が残忍な笑みを浮かべた。
俺は、最期の言葉をつむぎ出そうとしたが、声がうまく出なかった。
唾を飲みこむ。
その音がやけに大きく聞こえた。
「……ああ」
「良い覚悟だ!」
俺が最後に聞いた音は、高野のその愉悦に満ちた声だった。
319 :
:01/09/11 14:18 ID:WBswtJBY
灯台のシーンってもうやった?あそこが映画では白眉なんだが
320 :
:01/09/11 14:25 ID:xfHjuRN.
本編も別編も面白い!高野と由伸の悪っぷりもイイ。
川中や斉藤雅、平松の善人ぶりもイイ。入来もイイし!
ホント、上手く選手表現してますみなさん
(高野と由伸が悪人と言ってるわけじゃないですよ)
321 :
:01/09/11 14:26 ID:i3l0nTfI
>319
まだじゃないか?
あれ結構あとのほうだった気がする。
>318
ヒサノリ死んじまったんですか?!
322 :
:01/09/11 15:10 ID:GNkUwhIg
>273
おそろしく今さらだが、
歯茎は関西言葉のほうが、らしいかも。似非関西弁でもいいから。
323 :
二岡編:01/09/11 15:16 ID:Ul0FVdI6
二岡が目を覚ますともう辺りは薄暗くなっていた。
周りに人影は見えなかったが、奥の部屋から人の話し声
がしていた。松井と川相だろう。
まだ体は幾分だるさを感じていたが、もう熱は下がった様だった。
診療所の少し染みのついた白い天井を眺めながら、
二岡は今までのことを思い出していた。
思えば、巨人に入ってからの自分は心の底から
楽しいとか幸せだとか感じた事があっただろうか。
誘いが来た時は、ただ単純に嬉しくて舞い上がっていた。
これだけの金があれば、父親が亡くなってから1人で
自分を育ててくれた母に楽をさせてやれると、そう思いもした。
非難があるのも覚悟の上だった。それだけの事をしたのだから当たり前だ。
だけどプレーで返せばいい。自分がひたすら野球に打ち込めば
そのうち分かってくれるんじゃないかとはじめはそんな風に思っていた。
それでも――不調に陥ってからは、いい気味だと嘲う者や
成績などかまわず、騒ぎ立てるだけのファン。
打てなくても使い続けられる事でなんとなく溝ができたチームメイト。
周りにはそんなのしか残らなかった。
いい思いをしなかった訳じゃない。
華やかな舞台で戦い、活躍すれば大きな歓声を浴びる事ができる。
巨人の選手としてもてはやされる事だってあった。
しかし、自分が欲しかったのはそんなものだったのだろうか。
色んなものを裏切ってまで巨人へ入った自分は、一体何を手にしたかったのだろう。
それはただ形だけの地位や栄誉でも、そしてこんなみじめに
ベンチを暖める事でもなかった筈だ。それなのに――
そんな事ばかり考えて毎日野球を続けていた。
昔の様にただ野球を楽しむ事はもうできなかった。
毎日が辛くて重苦しかった。
もう何もかもを投げ捨てて逃げてしまいたいと何度も思った。
だから急にこのゲームに放り込まれた時は
これが最大の罰なのだと思うと同時に
良い機会ではないのかとも思った。
死んでしまえば全てを終わらせる事ができる。
もう何も苦しむ事はなくなるのだ。
しかし、こめかみにあてた拳銃の引き金を引く事はできなかった。
死ぬ勇気もない。そんな自分がどうしようもなくみじめで情けなかった。
そんな矢先の事だった、松井と川相に会ったのは。
二人は何故だかこんな自分をすんなりと信用してくれた。
世間じゃ裏切り者なんて言われている自分を、だ。
しかも熱をだした自分をこうして診療所まで運んでくれた。
こんな病人を背負って出歩く事は、どれだけ危険かなんて考えるまでもない。
第一、自分がどうかなった所で二人は痛くも痒くもないはずなのに。
朦朧とする意識の中でも、二人がどれだけ必死になって
自分をここへ連れてきてくれたかはっきりと覚えている。
あの二人の姿に二岡は救われた気がした。
もう自分から死のうとするのはよそう。
――もし命を捨てるなら、それはあの2人の為に。
薄暗い部屋の中で二岡はそう決意した。
死者
槙原(17)大場(63)柏田(49)村田慎(9)村田善(12)
元木(2)條辺剛(57)アルモンテ(61)西山一宇(26)
阿部慎之助(10)岡島秀樹(28)三浦貴(39)河本育之(27)
メイ(42)マルティネス(48)木村龍治(41)福井敬治(53)
斎藤雅樹(11)平松一宏(25)吉永幸一郎(23)川中基嗣(0)
高橋尚成(36)
生存
小野仁(13)河原純一(15)桑田真澄(18)上原浩治(19)入来祐作(20)
趙成ミン(21)田畑一也(22)チョンミン哲(30)
工藤公康(47)南真一郎(50)チョンミン台(51)野村空生(95)
小田幸平(46)
川相昌弘(6)二岡智宏(7)二死敏久(8)清原和博(5)
高橋由伸(24)清水隆行(35)松井秀喜(55)後藤孝志(00)
残り21人
「監督、少しは仕事して下さいよ」
パソコンを操る手を止め、桑田は長嶋に声をかけた。
本来は責任者である長嶋がまとめるべきレポートを、彼がやらされているのだ。
おまけに、いつもの気まぐれで仁志を参加者にしたせいで上原と桑田の仕事量は相当な物に増えていた。
「ん〜、いわゆるジョブが終わりましたか〜 ちょっとスローですね〜」
あんたのせいだよ、と内心毒づきながら、桑田はレポートを差し出した。
第六回読売巨人軍プログラム進行状況 3:19現在
死者
槙原(17)・・・・・・・・・我々が銃殺
大場(63)・・・・・・・・・江藤が弓で
柏田(49)・・・・・・・・・韓国トリオに。死因不明(焼き肉を喉に詰まらせて窒息死?)
村田慎(9)・・・・・・・・村田善と心中(飛び降り))
村田善(12)・・・・・・・村田慎と心中
元木(2)・・・・・・・・・・清原が射殺
條辺剛(57)・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
アルモンテ(61)・・・清原によって殉教を遂げる
西山一宇(26)・・・・・松井が斬殺(鉈) ただし半分事故
阿部慎之助(10)・・・川相が射殺
岡島秀樹(28)・・・・・射殺。清原?
三浦貴(39)・・・・・・・同上
河本育之(27)・・・・・清原追跡中禁止エリア進入により爆死
メイ(42)・・・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
マルティネス(48)・高橋(由)が銃殺
木村龍治(41)・・・・・後藤が射殺
福井敬治(53)・・・・・自殺(銃)
吉永幸一郎(23)・・・高野が銃殺
斎藤雅樹(11)・・・・・自殺(ナイフ)
平松一宏(25)・・・・・同上。ある意味斉藤と心中。
川中基嗣(0)・・・・・・高橋(由)が銃殺
「・・・・ってなとこですか、後、高橋尚成が高野に殺されそうです」
桑田は、報告しながら妙な気分だった。
・・・・殺されそう、か。正直、自分がこれほど冷静にチームメイトの死を見つめられるとは思わなかった。
勿論、裏切る決断をした以上、チームメイトの死は了承済みのことだった。
しかし・・ 可笑しいじゃないか、こんなに死んでるのに何も感じやしない。
いつものように監督の無能に内心毒づきながら、淡々と仕事をこなしている俺がいる。
もっとも、この仕事が終わった時は共に働いてきた仲間はほぼ全滅しているわけだが・・
そして来年、俺は新しい仲間とまた淡々と仕事をこなしていくのだろう・・
そこまで考えて、桑田はふと窓を見た。満月が、眩しいくらいに外を照らしている。
ああ、あの光の下でみんなは殺しあいをしているのだー
そう考えてみたが、やはり特別な感情は起きなかった。
ただ・・・・ 外の静寂が、何故だか妙に身に染みた。
327 :
:01/09/11 16:41 ID:CGERnPVk
>>325-326
おもしろー!本部の内情まで…こうしてみると清原と由伸がやっぱ
多く殺してるんだなぁ
328 :
便乗して勝手に書いてみる:01/09/11 17:14 ID:o6vF/9FQ
「じゃあ、私はこれをオーナーの所に持っていきますからね〜、ユーたちはいわゆる見張りとかよろしくなんですね〜」
長嶋は実質、上原と桑田がまとめたレポートを携えると、執務室を出て行った。
上原と桑田の目が合ったが、どちらにも何かを言う気が起こらなかった。
そのまま視線を逸らし、見張りのための準備を始める。
上原の荷物はなかなかまとまらなかった。気が進まないな、そう思っているせいかもしれない。
上原がそうしているうちに桑田は執務室のドアを開いた。
「じゃ、先行ってるからな」
「……はい」
執務室の分厚い木製のドアが閉じられる。
一人残された上原は、何とはなしに赤絨毯の敷き詰められた執務室を見まわす。
とは言っても、机が四台に、椅子が四脚と必要最小限の物しかない部屋だ。
もっとも、その一つは持ち主仁志がプログラムに参加させられ、無用のものとなってはいたが。
長嶋の机の上に長嶋自身の手でプリントアウトされたレポートの予備がある。
上原は何とはなしにそのレポートをめくってみた。
プログラム参加者一覧。
清原、生存
高橋由、生存
川相、生存
二岡、入来、仁志……。
なんだ、これは。
桑田、生存
上原、生存
なぜ、俺らの名前があるんだ。
見間違いではなかった。いくら目を凝らしてもはっきりとそう印字されている。
俺がまとめた時にはこんなこと書かなかったぞ……。
ということは、長嶋が追記したのか……?
バンッ!
「桑田さんッ!」
慌てて分厚いドアを開けて叫んだが、桑田の姿はもう見えなかった。
329 :
:01/09/11 17:27 ID:wBf5JQRw
330 :
サイド・ストーリー:01/09/11 18:11 ID:38vKWkJg
「誰に賭けた…?」
「はっ?」
ふいの言葉に驚いた顔で小川アナ(NTV)は傍らのナベツネオーナーを見る。
「誰に賭けたかと聞いとるんだ!」
明らかに苛立った声でナベツネは問い返す。
はっと我に返り、自分でもやりすぎかとも思える精一杯の作り笑顔で小川アナは答える。
「あ、はい…。私は元木に賭けさせていただきました」
「そうか…いくらだ?」
小馬鹿にしたような口調でナベツネは続ける。
「いくら負けた・・・?」
「…はい、5万円です…負けてしまいました(笑)」
しばしの沈黙の後、小川アナは答えた。
しかし商売柄か、苦々しげな口調の中にも、その声には独特の「艶」があった。
「それじゃ、ちゃんと負け分は読売営業所の方に払っておけよ」
ああそう、となんの興味も無さそうにナベツネはぽつり、と言い放った。
この守銭奴めが…言葉にはしないが、そう呟く小川アナ(NTV)の心の中は、
ツヤなしの漆黒の色で覆われていた。
その日、小川光明(NTV)は朝から気分が悪かった。
休館日、ということになっている東京ドームのVIP席には、二人の男がいた。
表向きは休館日だが、バックスクリーンとライトは煌々と灯っている。
二人の男はバックスクリーンの巨大モニターを見ていた。
映画のスクリーン程の大きさのモニターにはプログラム会場である島のマップと
参加者達のレート、そしてl駒である選手達の生存を示すランプがぼんやりと灯っている。
そのランプを見上げ、小川アナは激しく怒っていた。
ちくしょう、元木のバカが!初日でやられてるんじゃないよ!
楽しみがもう無くなったじゃねーか!それにオーナー番かよ!
まったく!「俺が解説するから、お前実況」だと!?ふざけんな!
怒るのは無理もないことだった。
このプログラムの一番の働き者、影の功労者は彼、小川アナ(NTV)だった。
定時のアナウンス、ナベツネオーナーの相手、プログラムの参加者(賭)向けの実況…
一日ほとんど休み無く働き、疲労困憊していた。
今からちょうど30分前まではプログラムの参加者、つまり駒の賭けをしている
お客達相手に「倍率ドン!」と言っていたところだ。
よくよく考えると、プログラム開始の3時間前から一睡もしていなかった。
そこへきて初日の元木、だ。
こんな過酷な状況の中では、ギャンブルぐらいしか楽しみは無い。
それが始まって一時間もしない内に、楽しみが無くなってしまった。
バカ野郎元木、なににやってんだ!5万返せ!
クソ、ナベツネのヒヒ爺が!
全部あいつの一人勝ちじゃねーか!
テレビでは決して見せられない口汚い言葉で、死んでいった元木を罵る。無論、心の中で。
死んだ者に対して罵ったところで5万円が帰ってくるはずも無いが、そう叫ばざるを得なかった。
何よりも、小川アナが最も怒りを感じていたのは、今横に座っている男、ナベツネだった。
ナベツネの横顔をじっと見る。
このプログラムが、この老人のただの気まぐれから始まったこと、
このプログラムが、この老人の懐が温まるようにできていること、
それに対してこのプログラムが、自分に対して何の利益も与えてはくれないこと、
自分がこんなにも働いているのに、こんなに頑張ってるのに、住宅ローン返しているのに、
目の前の男は何もせず、ただ座っているだけで莫大な利益を上げているなんて…。
オーナーと呼ばれるこの男があまり自分と年が離れていないのも小川アナの癪に障った。
報われぬ苦労と、その元凶に愛想を振り撒く自分に苛立ち、作り笑顔がぎくしゃくする。
くそ!くそ!くそ!
心の底から涌き出る呪いの言葉を吐きながら、小川アナは笑顔で睨んでいた。
その日、朝から小川光明(NTV)は気分が悪かった。
そのとき不意にオーナーの口が開いた。
「おい、小川。誰に賭けた…?」
333 :
リンク張ってみた:01/09/11 18:18 ID:CtDA678I
第六回読売巨人軍プログラム進行状況 3:19現在
死者
槙原(17)・・・・・・・・・我々が銃殺
>>8 >>13 大場(63)・・・・・・・・・江藤が弓で
>>32 柏田(49)・・・・・・・・・韓国トリオに。死因不明(焼き肉を喉に詰まらせて窒息死?)
>>40 村田慎(9)・・・・・・・・村田善と心中(飛び降り))
>>38 村田善(12)・・・・・・・村田慎と心中
>>38 元木(2)・・・・・・・・・・清原が射殺
>>48 條辺剛(57)・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
>>59 アルモンテ(61)・・・清原によって殉教を遂げる
>>67 西山一宇(26)・・・・・松井が斬殺(鉈) ただし半分事故
>>75 阿部慎之助(10)・・・川相が射殺
>>103 岡島秀樹(28)・・・・・射殺。清原?
>>108 三浦貴(39)・・・・・・・同上
>>108 河本育之(27)・・・・・清原追跡中禁止エリア進入により爆死
>>109 メイ(42)・・・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
>>135 マルティネス(48)・高橋(由)が銃殺
>>136 木村龍治(41)・・・・・後藤が射殺
>>220 福井敬治(53)・・・・・自殺(銃)
>>242 吉永幸一郎(23)・・・高野が銃殺
>>277 斎藤雅樹(11)・・・・・自殺(ナイフ)
>>296 平松一宏(25)・・・・・同上。ある意味斉藤と心中。
>>297 川中基嗣(0)・・・・・・高橋(由)が銃殺
>>306
小川アナのエピソードは無かったみたいなので…。
思わず書いてしまいました。
スレ汚しですいません。
キャラが違う、話に合わない、つまらない等ございましたら
この回の話は無視してください。
職人さん、毎回楽しませてもらってます。
335 :
:01/09/11 18:24 ID:nEPPNZkA
336 :
:01/09/11 18:37 ID:UohpANp.
>333は神
337 :
:01/09/11 20:28 ID:KHUli7zY
338 :
:01/09/11 20:51 ID:RiTkeho.
あれ?江藤は死んでないの?生存のとこにも名前ないけど。
339 :
:01/09/11 21:04 ID:f79H30pY
340 :
:01/09/11 21:10 ID:3Qs5aAcA
>333
凄い!ありがとうございます!
ふん、俗物が。
笑顔で取り繕う小川アナをナベツネは露骨に嘲笑していた。
隠すこともない。どうせこの小物はワシにへつらうしか道はないのだ。
内心どうであろうと関係ない。それが力という物の本質だ。
勿論、敢えて小川をいびる必要もなかった。
しかし、必死に不快感を隠そうとする小川の姿を見るのは愉快だった。
これで多少は鬱憤が晴れるという物だ。
だが・・・・やはり、こんな小物では足るまいよ。もっと、もっとだ。
ワシの意に背いた選手達が必死にもがいて、もがいて、もがき抜いて、そしてそれが徒労に終わった時・・
その絶望と恨みこそが、ワシを最高の愉悦に導いてくれる。
もがけ、もがけ、選手ども。せいぜい派手に散るが良い。
あまりに壮絶な笑みを浮かべるナベツネに、小川は先程届いた
長嶋からのレポートを渡せず凍り付いていた。
342 :
平塚:01/09/12 00:04 ID:7iZppw5A
そんなことより本物の殺し合いがはじまるぞ
343 :
:01/09/12 00:08 ID:BQbPwgpQ
>>342 確かに。でも感想レスにしてね。
>>341 ナベツネほどこう憎ったらしい役が似合う奴もそういないね。スゴー
江藤は
>>55 で生存になってるが、
>>69 >>72 で死亡になってる。
松井にボウガン撃った時点では生存していたんだろうけど、死亡したシーンは書かれてないね。
あと、村田(9)は“慎”ではなく“真”なのでw
345 :
:01/09/12 13:25 ID:5lU8saWQ
メンテ上げ
346 :
:01/09/12 16:58 ID:l7veTCVU
age
あのー 入来 VS 高野 が気になるんですけど
348 :
新人:01/09/12 18:46 ID:vmlDRUhM
「もう9年になるのか……」
松井は入団してからの日々を思い出していた。
−−あの運命のドラフトでシゲヲが満面の笑みを浮かべた瞬間、俺は巨人の星になることを義務付けられた。
最初は少し戸惑ったが、俺は決心した。やってやる。この運命は俺にこそふさわしい。
そして松井はだれもが認める巨人の4番になった。マスコミにもファンにも丁寧に応対する球界の紳士。
ヒーローインタビューでは人一倍カン高い声を出し、趣味はAV観賞と答える親しみやすい男。
誕生日に取材陣からケーキを用意されるアスリートが他にいるだろうか?
しかし時代は変わる。いまや子供達の憧れは巨人の4番ではなく、イチローであり中田なのだ。
弱小チームから実力だけでのし上がり、海を渡って世界を舞台に戦う男。いつもクールなカリスマ・アスリート。
いくら松井がV2や三冠王を宣言してみせても、人々の関心はそこにはない。
−−俺は主役を演じているつもりだったけど、実際はただのピエロだったってことなのかな……
「…川相さん…」
「ん?なんだ松井、変な顔して」
松井は川相を正面から見据えて言った。
「僕らは、もう、時代遅れなんでしょうか」
349 :
:01/09/12 23:11 ID:qn/aGit.
あげます
350 :
:01/09/12 23:21 ID:fsCH0/4M
「巨人だけじゃなくて、オールスターキャストで読みたい!」
とか勝手に思ってたんだけど、
スター選手や2軍の選手、いろいろいるからこそ話に深みが出るのかもね。
それぞれの選手の心情とか背景とか詳しく書いてあるのも(・∀・)イイ!!
感動しまくり。ナベツネにはチョトワラタ。
351 :
:01/09/12 23:23 ID:VNOzm5sY
入来vs高野は、ヒサをどうするかがポイントかも・・・
352 :
:01/09/13 01:23 ID:wcos3Mps
入来VS高野も見たいけど他選手サイトの話ももっと見たいですね
みんな良い話ばっかですごい
左前方、10メートルほど離れた茂みに、人の頭が飛び出していた。
仁志はびくっとして足を止める。耳がでかい。小野だ。小野仁だ。
小野は、ロウ人形のような蒼白な顔で、こちらを見つめている。
まずいな。小野とは同じチームだということ以外、何の接点もない。
何年もチームの同僚ではあったが、会話した記憶が全くなかった。
そんな2人が、こんな状況で、穏便に話し合えるわけがない。
ああ、ちくしょう、なんで小野なんだよ!!
小野は瞬きもせず、ずっとこちらを見つめ続けていた。
身動きひとつしない。突然、発砲してくる様子もなかった。
もしかして――死んでいるのか?
仁志は思いきって一歩足を踏み出した。
「来るな!来るな!!来るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
小野の大絶叫に慌てて身を伏せ、仁志はあたりを窺う。
大声出すなよ、このバカ!!近くに他の誰かがいたら危ないだろ。
生きてんなら、動けよ。さっさと逃げろよ。このボケナスが!!
茂みから身を乗り出した小野は、半狂乱で何か叫んでいる。
その右手には、ボウガンらしきものが握られていた。
やばいな… あいつは気が小さいが、身体能力は抜群に高い。
シーズンオフの、ランニング王座決定戦のエースだ。
身長も、公称171cmの仁志より15cm以上高いし、
あの錯乱状態では、冷静に話をするのも無理だ。
とにかく、早々にこいつの前から姿を消す方が得策だろう。
「大声出すなよ。ばかだな」仁志は慎重に口を開いた。
しかし、その一言で小野はますます逆上したようだった。
「あんたは、いつもそうだ。いつも、いつも俺の事を鼻で笑って。
あ、あの時もだ。あの時も俺はストライクが入らなくて…
そんな俺をあんたは――あんた、馬鹿にして笑ってただろぉぉぉ」
――こいつ、何言ってやがる。ちっ、話にならない。
「ハァ?あの時?あの時って何時だよ。わからねぇな。
お前、上がってきても、いつもストライク入らないからな」
仁志が言い終わる前に、小野はボウガンの引き金に指をかけた。
意味不明の絶叫と共に放たれた矢は、仁志のすぐ手前の茂みに突き刺さり
葉をがさがさと揺らした。
354 :
更にサイド(ツマラナカッタラスマソ):01/09/13 04:16 ID:Clvnre9E
トゥルルル・・・ トゥルルル・・・ トゥルルル・・・
都内某ホテルの一室―
部屋には男が一人。片手にグラスを持ち物憂げな表情で受話器を見やる。
鳴りつづける電話に出るか出ないか迷っている様子である。
「誰からだろう・・・誰にも居場所を教えてないのに・・・」
男は今このホテルにいることを誰にも話してはいなかった。
理由は二つ。
一つは妻から逃れるため。
二つ目の理由は自分の今やっていることが非合法賭博だから。
不審な思いを抱きつつ電話に出る。
カチャ―
「はい・・・」
「・・・俺だ・・・」
一瞬の間の後,相手が誰だか判り安堵を覚える。
「お前か。何の用だ?」
相手は不思議そうに聞き返す。
「用件?決まってるじゃないか。例のゲームだよ。誰に賭けたのか聞きたいんだ」
それを聞いた男から最初に感じた安堵は消え,代りに怒りがこみ込上げて来た。
「フンッ,後輩が殺し合いをしているのに呑気なものだな。辞めてしまえばそれまでか?」
「君も賭けてるんだろう?なら,俺を批判する資格はないよな?」
・・・確かにその通りだ。私に彼を批判する資格は無い。
「ああ,賭けている。少々良心の呵責に苛まれてはいるがね」
半ば自嘲気味に返答する。当然だ。男は本来このゲームに参加するつもりは無かった。
心底唾棄しているゲームに参加したのは,考えただけで反吐がでる彼の妻と離婚する
ための資金を得る為であった。
355 :
更にサイド(ツマラナカッタラスマソ):01/09/13 04:17 ID:Clvnre9E
「良心だって?奥さんと別れたいだけだろう?それとも産まれて来る
お孫さんに美田を残したいのか?」
こみ上げてくる怒りをグッとこらえ努めて冷静に返答する。
「ご想像にお任せするよ。君の方こそ若い奥さんを持つといろいろ目を光らせなければ
ならないから大変だろう?」
男は返答の中に精一杯の皮肉を込めた。が,相手はあっさり聞き流す。
「で,誰に賭けたんだ?勝利数現役一位の名監督のご判断を仰ぎたくてねぇ」
・・・心にも無いことを
と思いつつ相手との会話を早く終えるべく短く答える。
「松井だよ。」
「へえっ,面白い奴に目をつけたな。正直意外だよ。君のことだからてっきり前回優勝の
川相に賭けたと思っていたが・・・。まあいい。結果はすぐにわかる」
「君の方は清原だろう?かつての秘蔵っ子が殺し合いをするのはさぞ愉快だろうよ」
男はこの不毛な会話を早く終わらせたかった。が,彼の意に反し相手はさも愉快そうに話を続ける。
「ああ。今回のゲームのために彼の性格を捻じ曲げておいたんだからね。
そのために秋山や工藤をダイエーにくれてやったりもしたさ」
平然と答える相手に寒気すら感じながら男は話の腰を折った。
「話しは終わりだ。君の予想が当たっていることをねがうよ。森横浜ベイスターズ監督殿」
「お前さんも1日も早く奥さんと離婚できると良いな。じゃあな」
―ガチャ
そう言って電話は切れた。
男はソファーに身をゆだね,目を閉じた。
彼は心の中で巨人軍の選手たちに黙祷を捧げていた。
男の名は野村克也。球界の全ての暗部を知る者の一人である。
356 :
:01/09/13 05:02 ID:DxDADShM
凄い面白かった!!他球団の監督までもが!!
357 :
新米:01/09/13 05:42 ID:zvhtXH2Y
吉永は今、どこにいるんだろう?
工藤公康は考える。
先ほど放送でも吉永の名前は呼ばれなかった。
本当はプログラム開始直後に身を潜め、工藤と吉永の出順まではだいぶ間があったが、
吉永を待つつもりだった。
とりあえず彼と合流してから考えればいい。
そのときは本当に殺し合いが始めるかどうかは半信半疑だった。
しかし外に出てすぐ、大場の死体を発見した工藤は、吉永のことを忘れ駆け出していた。
工藤は最初にこの森の中に隠れてから1度も移動していない。
この場所は息を殺していれば誰かに見つかる心配も無いように思えたからだ。
吉永はダイエー時代にバッテリーを組んだ仲である。吉永なら信用できる。
彼も同じことを思っているはずだ。
・・・・でも、他の選手は信用ならない。
唯一信用できる村田善はもう死んでしまった。
多球団から移籍し、即レギュラーの座を奪い取った俺らが恨まれないわけがない・・・。
とりあえず吉永と合流してからだ。
そう思い、工藤は移動を開始した。
358 :
2:01/09/13 05:44 ID:zvhtXH2Y
「少し休むか・・・」
2時間近く周りに気をつけながら山道を歩き続けたこともあり、疲労しきっていた。
手ごろな茂みに身を潜め、体を休めながらながら工藤は考えた。
このプログラムは本当に行われているのか?
まだ誰にも遭遇していないし、死体も槙原と大場のものしか見ていない。
あの死体は偽物ではなかったのだろうか?
俺は騙されているんじゃないだろうか?
いや、考えてもしかたがない。
とりあえず、吉永をさがそう。
そう思い、支給のバックから拳銃を持ち出し移動を開始しようとした、その瞬間。
工藤の鼻先に、何か、生臭い異臭が届いた。
匂いの元を追い、後ろを振り返った工藤ははっと息を呑んだ。
隠れたとときは気が付かなかったが、後ろの大木の陰に、誰かの足が見えた。
立っていない、横たわっている。
恐々と、木の後ろにまわる。
そこで工藤が目にしたのは、眉間から血を流し、あお向けに倒れている吉永の死体だった。
359 :
3:01/09/13 05:46 ID:zvhtXH2Y
小田幸平は叫び声を聞いた。
「さっきの吉永さんの死体の方からだ・・・行ってみよう・・・」
暫くして吉永の死体の場所にたどり着いたが誰もいない。
「おかしいな・・・」
「おい!」
ビクッ、小田が肩を上げた。振り返った先には手に拳銃を持った工藤が立っていた。
小田の背筋に寒いものが走った。が、
「小田か・・・・」
ほっとした表情で工藤が息をついた。
良かった・・・工藤さんは戦う気がないんだ!
小田もまた、ほっと息をつく。
「そうだったか・・・」
工藤がおだやかな声で言った。
「はい、僕が吉永さんを見つけた時にはもう・・・」
「本当か?」
「はい」
「そうか・・・・」
小田にとって工藤は尊敬に値する人物である。いつか一軍でバッテリーを組みたいと思っていた。
彼とこうして話しているだけで、彼は幸せであった。
工藤は吉永を殺した人物を聞いてきたが、小田もついさっき吉永を発見したばかりである。
「じゃあお前は吉永を殺した奴については、何も知ってることはないのか?」
そんな工藤の質問に、小田は小声で「ええ」と答えた。
工藤が大きく溜息をつき、ゆっくりと口を開く。
「そうか・・・・。じゃ、死ね」
360 :
:01/09/13 07:43 ID:YAHJCjc.
旗上忠勝きぼん
361 :
:01/09/13 10:18 ID:k8ol.QQA
やっと工藤編の続編が…やっぱりイイ!工藤編!
362 :
南1:01/09/13 10:41 ID:Fn4MHvIY
南は息を殺すように茂みに身を隠していた。
「斉藤さん…平松…」
目の前で自殺してしまった二人を思い、自然と南は涙する。木村、柏田と南に
とっては特に大事な中継ぎ投手仲間の死亡を読み上げる小川の声を聞くたびに
絶望する中、平松の名が読み上げられない事だけが希望でもあった。
とにかく平松を探そう…
南にとっての唯一の希望であった。否の打ち所のない程の美男子であるが、
真面目で面白みにかける平松と、あきらかにおちゃらけた顔と中身である
南は不思議と馬が合い、移籍早々あっという間に仲良くなれた。巨人に来て
不安一杯であった自分と中々結果の出せない平松は去年、見事に開花し、
最高の年を迎えた今年は二人とも力を出し切れずに二軍生活となってしまったが、まさかこんな地獄に落ちようなど夢にも思わなかった。
「なんでだよ…」
苦しい二軍生活をお互い支え合ってきたというのに、平松は自ら命を断って
しまった。南の目の前で
「…俺を置いて……」
獣道を進む南の前にやっと見つけた平松は斉藤と一緒であった。
人格者である斉藤と一緒なら安心だと南は二人に近づこうとした。
だが、いきなり斉藤は平松の落したナイフで自害したのだ。
あまりの事に呆然と立ち尽くしたままであった南の前、今度は平松が斉藤の
亡骸にすがりつくなり止める間もなく後を追ってしまったのだった。
「……」
一番の仲間だと思っていた平松に先立たれ今の南はもう放心状態であった。
363 :
南2:01/09/13 10:43 ID:VeH8vuM6
「俺が生きてる必要もないのかもなぁ…」
近鉄で必要無いと読売に売られ、そこそこ活躍したが今年は二軍で
くすぶったままの自分。條辺や三浦のような将来ある若者という程
若くもなく、斉藤のように十分な実績を残した人格者でもなく、
平松のように絶世の美男子なわけでもない。そんな面々が亡き今、
自分が生きているのは不思議な気がしてならない。かといって
平松のように自害するのだけは嫌であった。これは自分を置いて
早々に楽になってしまった親友への意地であった。かといって
生きる意味さえ感じなくなってしまった南は文字通りもうどうに
でもなれと茂みから堂々と出る。そして狙ってくれといわんばかり
に何の警戒も無しに道を歩いていく。そんな時であった、右横の茂
みがガサガサと揺れる音がした。おそらく誰か居るのだろうが、
南が立ち止まって暫しの時間が経った時…茂みは大きく揺れ動き、
ガサリと大きな音がした瞬間に人影が現れた。
「か、河原さん…」
「う、動くな!動いたら撃つ!」
河原はすっかり衰弱しきってしまい、ただでさえ細い河原の体は
一回り細くなってしまった気がした。決して気は強くない河原に
とってこの状況はもう限界であったのだろう。南は敵意が無い事を
示すように一歩前に出る。
「うわああっ!来るなっ!」
発狂するように河原は叫ぶ。が、南はカバンの中にあった果物
ナイフを河原の足元に投げ捨てる。
「拳銃は弾丸が無くなったらお終いですからね。これも持って
いった方がいいですよ。」
「…南…?」
河原はポカンと南を見遣る。
「俺は誰も殺す気はないですよ。…それじゃ…頑張って下さい。」
背を向けて歩き出そうとした南の腕を河原は掴んだ。
364 :
南3:01/09/13 10:46 ID:zaii.gro
「ま、待ってくれ!俺を一人にしないでくれっ!」
縋る思いで河原は叫ぶ。敵意が無いと言われたとはいえ、いつ
心変わりするかわからなかったが、もう一人で怯えるのも限界で
あった。南は少し驚くように河原を見る。
「…俺と一緒に行くというんですか?」
「ああ、ああ!頼むよ!俺はもうおかしくなりそうだ!」
「河原さん…」
南の中でみるみると無気力感が消えていく。つい最近まで自分が
生きている意味などないと思っていたのが嘘のようであった。
こうして恐怖心からとはいえ縋ってくる者が自分にもいる…
それで十分であった。
「…わかりました…一緒に行きましょう。」
南は地面に捨てたナイフを拾うと、カバンにしまいこむ。
「南…ありがとう…」
やっと少しは落ち着きを取り戻したのか、河原はゆっくりと
声を出す。
「すまなかった…すっかり動揺して…何回も仲間が殺される
場面を見るとさすがに…」
「…え…何回も…?」
「ああ…一回目は清原さんだった…あんなに懐いていた元木さんを
平気で…その次は由伸だ…アイツ、なんの躊躇いもなくいっぺんに
二人も…マルティネスとメイを…」
「……」
南はゾクリと身を震わす。そんなに何回も酷い場面を目撃して
しまっては河原が混乱するのも無理無いと。私生活でもかなり
ツイてなかった彼らしかった。
「清原さんと由伸には気をつけろ…好意的な素振りで平気で仲間を
殺すからな…」
「はい…」
いや、むしろ河原はツイていたのかもしれないと南は思う。これで
清原と由伸には近づいてはいけないという事を知ったのだから。
「…それじゃ暫くはここで休もう…交代で仮眠を取る事に
しよう。」
「はい…」
河原の言葉に南はゆっくりと頷いた。
365 :
:01/09/13 10:57 ID:8r1ldO9Y
相変わらず(・∀・)イイ!
みんな凄いなぁ、原作の雰囲気を残しつつ、
オリジナリティもあるし・・・
366 :
ぐ:01/09/13 11:19 ID:/dGgbGyo
今、配役がどうなってるのかちょっと混乱。
誰が何役になってるの?整理しようよ。
367 :
:01/09/13 12:42 ID:j8NTOGd.
みんな(・∀・)イイ!
最近このスレ最初に読む癖ついちゃったんだからネ!
>>366 激しく同意なんだからネ!
368 :
:01/09/13 12:48 ID:z/SveMvw
ちゃんと配役付いてる選手もいれば、役の無い選手も居るみたい。
役がある選手は役に沿って話し進められるけど無い選手は完璧
オリジナルっぽい。でもそれでもいいと思う。無理に原作に忠実すぎても
話しが広がらないしね。原作にきちんと完璧に沿って進めて欲しいと
いう人とそうでもなくオリジナリティもあっていいと言う人も色々居る
みたいだけどそれはライターさん達にまかせよう。ロムる方は楽しませて
もらってるしね、それぞれのライターさんが書いた文でいいと思ったものに
感想書けばいいとも思うし
369 :
:01/09/13 12:55 ID:BBty4blc
>368
個人的には、オリジナルは味付け程度がいいな。
もちろんそっちも楽しんで読ませてもらってんだけど、
基本的には原作に沿いつつ巨人ネタを盛り込んだ話のほうが、
制約のある中での職人さんたちの手腕ってのに萌えるから。
370 :
:01/09/13 13:10 ID:ElTcBtxg
まあライターさんがいなきゃ困ってしまうからね。
あんまり話しが飛びすぎなきゃ原作に沿ってもオリジナリティが多くても
面白ければどっちでも。しかしみんな本当に上手いよなあ…
吉永が2回死んでる気が(w
372 :
:01/09/13 14:00 ID:3lI7r1C6
あれは本編では無視って書いてあったから……<1回目の吉永死亡
何が気になるって318の続き。むぅ、尚成の生死が気になるよ・・・・
ってなわけで、勝手にこういうケースを予想してみました。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------
入来さんから託されたこのマウンドで、絶対に無様な投球は出来ない。
バッターボックスでは、ペタジーニが鋭い目で俺を見つめている。さすがに凄まじい迫力だ。
だが・・ それがどうしたというのだ。俺は、俺の一番の球をミットめがけて投げる、ただそれだけだ。
渾身の力を込めたストレートは見事にグラブに吸い込まれ・・・・ この瞬間、巨人のリーグ優勝が決定した。
阿部が駆け寄ってくる。松井が、清原が、元木が、高橋が、そして、ベンチから入来さんが。
「尚成・・・・やったな、なぁおい、尚成よぉ!」
そうだ、自分はやったのだ。入来さんにこたえる事が出来たのだ。
これほど嬉しく、これほど誇らしいことが他にあるか。
「・・・・尚成・・・・ 尚成・・・・」
なんですか入来さん、そんなに呼ばなくても聞こえていますってば そう言おうとして。
尚成はゆっくりと目を開けた。
「・・・・尚成」
入来が、尚成の顔をのぞき込んでいた。
その顔を見て、尚成は全てを思い出した。そうだ、自分は高野に撃たれのだ。生きていた。
あの時、銃声と共に胸のあたりに激しい熱さを感じ、次の瞬間視界が暗転したのだが・・・・ すると・・・・
「入来さん、あの・・・・高野は」
問いかけたその声は、自分でも笑えるくらい弱々しかった。
「・・・・大丈夫だ。俺が倒した」
その答えを聞いて、尚成は安心した。
入来の沈痛な表情が、弱々しい自分の声が、全く感覚のない手足が、
そして何より熱いのか痛いのか全くはっきりしない胸がすぐ近くの自分の運命を示していても。
そうか、さすがは入来さんだ。
息を大きく吸い込んで、尚成は考えた。そうだ、これだけは言っておかねば。
「今まで本当に、お世話になりました」
「・・・・・・・・」
入来は黙って首を振る事しか出来なかった。馬鹿、俺がお前に何をしてやれたと言うんだ。結局間に合わなかったこの俺が。
「俺、楽しい夢を見ていました。 ・・・・優勝してました。 俺がいて、入来さんがいて、それから・・・・」
「尚成・・・・ それは夢だよ・・・・ それは夢だ・・・・」
入来は叫びたくなる衝動を抑え、それだけ言うのが精一杯だった。
尚成、お前は優しすぎる。俺はお前に責められても、恨まれても当然なのに。
「入来さん、絶対に・・・・・・・・」
その声はいっそう弱々しく、最後まで聞き取れなかったが、入来はその唇の動きを読んだ。
生き残って下さい。 尚成は確かにそう言い、そして− 微笑んだ。
「わかった。だから・・・・ だからお前もー」
そこまで言ったところで。入来に握られていた手から尚成の手が力無く落ち・・・・ そして、二度と上がることはなかった。
それが、返事だった。
1.赤松義生=江藤智
2.飯島敬太
3.大木立道=西山一宇
4.織田敏憲
5.川田章吾=川相昌弘
6.桐山和雄=清原和博
7.国信慶時
8.倉元洋二=メイ
9.黒長博
10.笹川竜平
11.杉村弘樹=清水隆行
12.瀬戸豊=高橋尚成
13.滝口優一郎
14.月岡彰=河本育之
15.七原秋也=松井秀喜
16.新井田和志=小野仁
17.沼井充=元木大介
18.旗上忠勝
19.三村信史=入来祐作
20.元渕恭一=阿部慎之助
21.山本和彦=村田真一
376 :
:01/09/13 15:52 ID:299NumnE
1.稲田瑞穂=アルモンテ
2.内海幸枝
3.江藤恵=條辺剛
4.小川さくら=村田善則
5.金井泉
6.北野雪子=岡島秀樹
7.日下友美子=三浦貴
8.琴弾加代子
9.榊祐子
10.清水比呂乃=後藤孝志
11.相馬光子=高橋由伸
12.谷沢はるか
13.千草貴子=仁志敏久
14.天堂真弓=大場豊千
15.中川典子=二岡智宏
16.中川有香
17.野田聡美
18.藤吉文世
19.松井千里
20.南佳織=木村龍治
21.矢作好美=マルティネス
>>359の続き
「えっ?」
聞き返すと同時に、バンッと小さな音がした。
腹のあたりに焼けるような痛みが走る。
「な・・・・」
「死ねよ」
バンッ。
小田は、工藤が自分に向けた銃口が火を噴くの見た。
それと同時に、左耳のあたりが燃えるように熱くなる。
「な・・・・」
「くそ・・・。なかなか難しいな。」
・・・耳が熱い?
震える手で左の側頭部に手をやる。
そこにはあるべきものがなく、代わりにずるりと熱いものが手に触った。
無いもの。無いもの、それは、自分の左耳。
このような展開を予想していたのだろうか?小田はとっさに行動をすることが出来た。
工藤の三弾目、今度はしっかりと頭を狙っていた、それを横っ飛びに避ける。
あわせて腹にまた痛みが走った。
腹?そうか、最初のあれも銃撃だったんだ!
クソ!騙しやがった!舌打ちをする。
撃たれた驚きや痛みから、小田はしっかりと自我を取り戻していた。
憧れを抱いていた工藤に騙されたことにより、小田はショックより強い怒りを抱いていた。
クソ!殺してやる!
武器!対抗する武器!
チッ!包丁はバックの中だ。
「ふっ」
工藤がまた銃口をこちらに向けたので身を伏せるが、今度は撃ってこない。
なぜだ?
・・・・そうか、マシンガンとかじゃないから、何発も一度に装弾できないんだ。
それに、どうやら工藤は拳銃の扱いが上手くないらしい。
当然だ、奴は初めて銃を使ったんだからな。
勝てる。うまくやれば勝てる。
そのためにも、武器だ!距離だ、距離を置こう。
小田は駆け出した。
バンッ
また銃声がしたが、今度は当たらなかったようだ。
どこにも新たな痛みが出ない。(腹、耳は当然痛いのだが)
バックから包丁を取り出す。追いかけてきた工藤が目を見張った。
鎌を構え、工藤と相対する。
拳銃と包丁。
工藤は自分の優位を見て取ったのだろう、ニヤリと笑った。あざけるような笑い顔。
「なぜ俺を殺そうとしたんですか?」
声を出したら、撃たれた腹が痛み、小田は思わず顔をしかめた。そんな小田に対し、工藤は言った。
「吉永は人を殺せるほど気が強くない。優しいからな。死体からみても無抵抗のまま殺されたに違いない。
俺は吉永を殺した奴を絶対に許さん!その人物が分からないんじゃお前は必要ないんだよ。
もっともお前が吉永を殺した可能性もあるしな。まあ全員殺せばいいことだ・・・。」
工藤の言葉は、少なからず小田を打ちのめしたが、小田はとっさに言い返していた。
「それじゃやつらの思う壺ですよ!一緒にみんなでこの島から脱出する方法を考えたほうが!」
しかし工藤は冷静に続ける。
「みんなで脱出?ふざけるな!吉永を殺した奴と一緒にのうのうと脱出できるか!」
バンッ、バンッ
続けて二発。一発ははずれ、二発目が、早苗の左の太ももに紅い血を噴かせた。
何?
さっきは弾丸をけちったクセにやけに撃ってくるじゃないか。
・・・・そうか、追ってくる間に詰めなおしたんだ。
ダメだ。
こんな包丁で銃に敵うわけがない。逃げるか?
どうする、こんなとき、村田真さんならどうする?
あはは・・・村田さんならどうする?か。これじゃ試合の時と同じだな。
だから俺のリードは個性が無いとか言われるんだよ。
小田はこんな状況でもそんなことを考えていた。
・・・戦う。
村田さんなら、こんな卑怯な奴に背を向けたりしない!
戦う!そして、勝つ!
「ああああっ!」
包丁を振り上げ、工藤めがけて振り下ろした。
ザシュッ
手ごたえがあった。
工藤の左の腕に紅い筋が一本走ったかと思うと、血が滲み出した。
「くっ」
あきらかにあせった様子の工藤の顔。
勝てる。
次で決める!と、包丁を振り上げた瞬間、ふっと小田の脳裏に吉永の顔が浮かんだ。
あれ、なんで、吉永さんの顔が?
って、んなこと考えている場合じゃない。
この間、一秒足らず。
しかし、この一秒が二人の明暗を別ける。バンッ、工藤の持つ拳銃が火を噴いた。
続けて二発、三発、四発・・・。
そのそれぞれが、小田の身体に飲み込まれていく。
そして、小田はうつ伏せに倒れこんだ。
遠のく。意識が遠のいていく。
消え行く意識の中で、小田は吉永のことを考えていた。
ああ、俺は吉永さんが羨ましかったんだ・・・。
工藤にここまで信用された吉永が羨ましかった。
そして吉永をここまで思っていた工藤が羨ましかった。
最後の意識、その中で小田は、俺もここまで信用できる相手が欲しかったな・・・と考えていた。
380 :
:01/09/13 20:00 ID:j8NTOGd.
(・∀・)イイ!
でも、
>>378名前が直ってない箇所が1箇所有り。
381 :
うーん。:01/09/13 23:58 ID:6iopozJQ
琴弾が誰になるのか、すげぇ楽しみ。
そういう俺はドラファンだったりする・・・。
382 :
:01/09/14 01:30 ID:td1Q/dzk
貴子さんが仁志だよねぇ…清水(杉村)が探す、琴弾は誰だろう…
朝10時といえば、夜遅くまで仕事があるプロ野球の選手や首脳陣に
とって早朝とも言える時刻である。
しかし、かつては巨人軍の名捕手であり現在は敵軍の将である森祇晶の
邸宅は今、来客を迎えていた。
巨人軍のヘッドコーチ・原辰徳。
にも関わらず突如巨人を襲った事態について、彼は事前にまったく
何も知らされていなかった。
原が森邸を訪れたのは巨人軍の歴史を良く知るこの男から事情の
一部でも知ることが出来ないかと思ってのことである。
「今回のプログラムは異常過ぎます!」
挨拶もそこそこに原は本題を切り出した。彼が今自由にできる時間は
そう多くはない。ヘッドコーチとして長嶋監督のもと、プログラムに
関する報告をする義務があるのだ。
「プログラムは一軍に入れるかどうかの選手を淘汰するために
行われるもののはずです。そもそもあれだけの選手が殺し合っては
チームの戦力が激減してしまいます」
そう、プロ入り前からのスター選手で巨人軍入団後すぐに主砲を
任された原は前回のプログラムの参加を免除されていた。
いや、あれを免除と称するのは間違いかもしれない。
原がプログラムの存在を知ったのは遥か後のことだったのだから。
「プログラムの目的はそういうものなのかな?」
森は何も気にしていない風にあのいつもの柔和な笑みを浮かべたままであった。
「それがわからなくなったから聞きに来たのです」
対して原はせわしなく視線を動かしていた。
これまでは何も知らされなかった焦りの方が勝っていた。しかし、こんな
事態になってもいつもと変わらぬ大先輩を次第にひどく恐ろしいものと
感じるようになっていた。もともと現役時代からプレッシャーに弱いと
評された彼だった。自然と擦れたような小声になっていた。
「あれは第四回か。ひどく首脳陣から不興を買った選手がいてな、
その選手を謀殺するためだけに仕組まれたこともあったな。
もちろんそれに巻き込まれたり、各人の思惑がいろいろ絡んだ結果
死んでいった者もいたけどな。何と言ったかなぁ、ああ、湯口という
若いピッチャーが死んですぐにあのプログラムは終わったんだった」
384 :
上の続き:01/09/14 05:00 ID:g1A9hZUs
「そ、そんなことが」
「もちろん、君が言ったような目的で行われたこともある。
前回は間違いなくそうだったし、むかし俺が参加させられたときも……」
青ざめた顔をしている原に森は一拍置いて、それから言い含めるように告げた。
「つまり、目的なんて決まっているわけではないんだよ」
「でも主力が殺し合いをする意味がわかりません」
その通りだ。これまでのプログラムでチームの主力が参加させられた
ことはほとんどなかった。中には長嶋のように嬉々として参加した者も
いたが、少なくともこれまでスター選手に犠牲者が出たことはなかった。
だからこそ、このプログラムの存在はこれまで秘匿され続けてきたのだ。
「渡辺さんは頭の良い方だ。我々にはわからないような深い意図があるんだろうよ」
あなたはその意図に気付いているんじゃないのですか。
そう訊こうとした原だったが、しかしそのとき、懐の携帯電話が震えた。
「失礼……」
それは長嶋監督からの電話だった。もう呼び出されたのだ。
これで目の前にいる恐ろしい人物と話をしなくていいと思うと
少しほっとした。自分でわざわざ訪れた相手なのに。だが同時に
あの現場に向かうことを思うと気が滅入るのだ。どこへ行っても地獄だ。
プログラムの開始を告げる長嶋監督の笑顔が思い出された。
そして目の前の森の笑顔。
いつ自分はこの狂った世界に踏み込んでしまったのだろう。
原は「もう、戻らないといけません」と森に告げた。
椅子から立ち上がるのに苦労した。頭からの命令が足に伝わらない、そんな感じだ。
「気をつけなさい」
ぎこちなく扉のノブに手を触れた原の背中に森が声を掛けた。
「君も巻き込まれる可能性がないとは言えない」
振り返って見た森に張り付いた笑顔がより恐ろしいものに感じられた。
385 :
:01/09/14 09:35 ID:PIbKuPzs
森・野村監督の話渋いね。ダークだ。
386 :
:01/09/14 11:43 ID:8R9rioVA
387 :
どうでもいい話でごめん:01/09/14 15:23 ID:dKfXjbbo
「んー原ヘッド、ずいぶん遅かったですねー。何かサムシングでもあったんですか?」
「い、いえ、道が混んでいたものですから…」
原は動揺をさとられまいとすぐ自分のデスクに向かった。
「おやおや相変わらずまじめですねー、そんなことだから絶好球を見逃すんですよ。うふふ」
「いやあ全く…」原はいつものように軽く受け流す。
「そんなことより、ほら、メロンがあるんですよ、メロン。いわゆるひとつの夕張ですよ、えへへへ。
桑田や上原が来る前にいただきましょう。好球必打ですよー、わかりますか?」
わからねえよ、クソが!と思いながら原はナイフでメロンを切り分けてゆく。
「いやあ今日も選手たちのスピード&チャージが見られると思うと胸毛がさわさわしてきますねー
これがほんとのストーブリーグですよ、えへへ、原ヘッド、ジョークですよジョーク」
原の心に急激に怒りがこみあげてくる。これが国民的英雄といわれる男なのか!
選手たちのためにも、ここで俺がやるべきじゃないのか?
原はメロンにむしゃぶりつく長嶋のうしろに一歩踏み出す。
よし、やろう!そう思った瞬間、原の右手は何者かによってがっちり押さえ込まれていた。
原がハッとして振り向くと、そこには迷彩服に身を包んだクロマティがいるではないか。
「んー原ヘッド、いつまでたってもチャンスに弱いですねー。私はちゃんとセコムしてるんですよ。
クロウ、ちょっとお仕置きしてあげなさい。殺しちゃだめですよ、うふふふ…」
−−ああ、松井、川相、俺は結局頼りにならないままみたいだ・・・すまない・・・
原はすぐに意識を失った。
388 :
_:01/09/14 16:50 ID:ogVL.E7Y
389 :
その1:01/09/14 20:21 ID:jZ4/jwNs
小野はボウガンを構えながら、小走りで仁志に近づいた。
「なめるなよ。俺は今、おまえを殺すこともできるんだからな!」
ちょっと間をおき、それから、幾分自慢げですらある口調で続ける。
「俺はもう、江藤さんを殺したんだぜ」
仁志は少しどきっとしたが、眉を持ち上げ、「へぇ」と言った。
それが本当だとしても、あの小野の様子からみて、怯え切って
偶然出くわした江藤さんを殺してしまったというのが正直なところだろう。
「試合だと思う事にしたんだ、俺は、これを」小野はさらに続けた。
「――だから、俺は、遠慮しない」
仁志はかすかに笑みをたたえて、小野の顔を見据えていた。
「試合ね」小野の言葉を繰り返し、にやっと唇を歪める。
「試合だとしたら、お前は早々に炎上退場だな。
あ、1軍じゃなくてファームの試合ってことか?」
こんなやり取りを、一種痛快だ、と思ったのは、
仁志の持って生まれた性というものだっただろうか。
もはや、どうなろうが俺の知ったこっちゃない。
小野の目が冷たく光った。「死にたいのかよっ」
仁志は手元にある茂みから小枝をへし折り、小野の顔めがけて投げつけた。
小野が顔を覆ってそれを防ぐ間に、くるっと体を回転させ、
アイスピックだけを握ったまま、だっと駆け出していた。
右脚に衝撃が走り、仁志は前のめりに倒れこんだ。
体をぐっとひねって、土の上に座り込む。痛い。脚が痛い。
右脚太腿の後ろ側に、銀色の矢が突き刺さっていた。
筋トレで鍛えた自慢の筋肉に傷をつけやがった、あの野郎!
小野が追いついてきた。仁志が座り込んでいるのを見て取って
ボウガンを地面に落とすと、代わりにベルトにさげていたヌンチャクを抜く。
もともと小野に支給された武器は、何の変哲もない三味線糸だったが、
江藤を倒した後、彼が回収した大場のデイパックにこれが入っていたのだ。
そのヌンチャクを右手に構え、小野は息をはずませた。
「おまえが悪いんだ。俺を怒らせるからだ」
390 :
その2:01/09/14 20:22 ID:jZ4/jwNs
「わかったから、ちょっと待てよ」
仁志はそう言い、背中側に右手を回し、歯を食いしばって矢を引き抜いた。
肉が裂ける感覚が伝わり、どっと血が吹き出すのを感じる。
矢を放り出すと、小野をにらみつけながら立ち上がった。
それでもまだ、小野の表情には余裕があった。
体格的に有利な上に、怪我はしてるし、負ける事はないと思っているのだ。
「試合って言ったな。いいぞ、それなら、相手になってやる。
もちろん、お前には絶対負けないからな。当然なんだよ」
小野はヌンチャクを構え、仁志もアイスピックを握り締めた。
2人の間に、ぎりっと緊張が張り詰めた。
のみの心臓とは思えぬ力強さで、小野はヌンチャクを斜め上から振り下ろした。
仁志は、それを左腕で受けた。鍛えた二の腕にじんじんと痺れが走る。
その痺れを感じながらも、右手のアイスピックを振り上げる。
小野は飛び退きそれをよけ、またヌンチャクを振り回してきた。
それをなんとかよけた仁志は、すかさず、その小野の左手首に向けて
アイスピックをふるう。軽い手ごたえがあった。
小野はかすかにうめき後ろに退がったが、たいしたダメージではないようだ。
仁志の左腕は痛みはあったが、左手首の開運ブレスがちぎれただけで、
骨は折れていない。しかし、右脚の傷からは、どくどくと出血していた。
多分、そう長くはもちこたえられないだろう。
小野が再び、ヌンチャクを振り回してきた。あえて、仁志は前に出る。
肩にヌンチャクが当たったが、大した衝撃ではなかった。
仁志は小野の胸元に飛び込み、アイスピックを振り上げた。
小野は驚愕の表情で、思い切り仁志を突き飛ばす。
傷ついた右脚からバランスをくずし、仰向けに倒れた仁志の顔めがけて
小野はヌンチャクを振り下ろした。なんとか、アイスピックでそれを受ける。
が、きいんという高い金属音とともに、アイスピックは跳ね飛んだ。
小野は3球3振を取ったかのように微笑みながら、
すでに使い慣れたヌンチャクを思い切り振り回した。
左側頭部に衝撃がきて、仁志の体がぐらっと傾いた。
391 :
その3:01/09/14 20:24 ID:jZ4/jwNs
倒れながらも仁志は脚を伸ばし、小野の左膝を蹴りつけ、背中に飛びついた。
体重がかかった勢いで、前のめりに倒れこんだ小野に馬乗りになり、
髪の毛をつかんで、その頭をぐいと引き上げた。
小野は仁志の意図を理解したのか、反射的に目をつむる。
無意味だった。仁志の右手中指と親指は、しっかりと閉じられた小野の
まぶたを割って、小野の眼窩にもぐりこんでいた。
「ひぎいいいいいいいいいいい」 小野が絶叫した。
体をめちゃくちゃに動かし、仁志を払い落とそうとした。
しかし、仁志はしっかり小野に組みついて離れず、さらに指を押し込んだ。
「あああああああ」小野は声をあげ、めちゃくちゃに手を振り回す。
仁志はさっと小野から離れ、アイスピックを探し、それを拾い上げた。
右脚をひきずりながら、喚き暴れている小野に歩み寄ると、
まずは股間を、続いてそののどを踏みつけた。ぐっと体重をかける。
「た、たすけ…」かすかな隙間風のような声が聞こえた。
ああ?そんなわけないだろ、何言ってんだ。仁志は思った。
自分の唇が笑いの形に歪んでいるのがわかる。
俺は怒っているんじゃないよ、楽しんでいるんだ。間違いない。
だからなんだっていうんだ?坊主じゃないんだから、別にいいだろ?
仁志は小野の口の中に、両手で保持したアイスピックを突き立てた。
アイスピックを強く押すと、あまり抵抗なく、ずぶずぶとのどに沈んだ。
小野の体が、胸からつま先まで、びくびくと激しく痙攣する。
やがて、それは止まった。腕が落ちた。
勝った。あっけない気もした。仁志はぜいぜいと息を吐き、しりもちをついた。
右脚の痛みが急に跳ね上がる。長くかかってたら、勝てなかっただろう。
とにかく――勝った。何にせよ、とにかく。
「仁志さん」
唐突に背後から声がかかり、仁志は座った姿勢のまま振り返った。
騒ぎの中にわざわざ来る奴が、味方であるはずないよな。
同時に手を伸ばして小野の口からアイスピックを抜き取り、構えた。
高橋由伸が、仁志を見下ろしていた。
うおお、ついに本編のあのシーンが!
でも、どっかのヴァカがネタ晴らししやがったので、
是非とも本編とは違う方向に行っちゃってほしいんだからネ!
393 :
:01/09/14 20:55 ID:07jxX2r.
394 :
:01/09/14 22:14 ID:5tPBGln2
>>392 基本は同じにして欲しいな。話(二人の結末)変えたら収集つかないし
この二人は役があるんだから役通りに進んで欲しい
395 :
:01/09/14 22:18 ID:Vk1u1ur2
>当然なんだよ
さりげなく二死タン節が入ってる!ちょっと嬉しかった。
「・・・・時代遅れ?」
川相は松井の言葉を繰り返し、ははぁ、とうなずいてから続けた。
「松井、お前相当参ってるな?気持ちは分かるが、悩むのは後にしようぜ」
そうだ、それは全く正しいのだ。今はあれこれ悩んでいる時じゃない。それは分かっている。分かっているがしかしー
沈黙が部屋を包む。それを破ったのは、川相だった。
「まぁ、そうは言ってもこうしてると色々考えてしまうよな。けどな松井」
川相は、松井の目を正面から見据え語りかけた。その川相の目を見ながらああ、親父の目に似ているな、と松井は何故かそう思った。
「お前が野球を続けているのは何の為だったんだ?金か?名誉か?お前はそういう物とはまた別の物が欲しくてやってたんじゃないのか?
そういう物に時代遅れもクソも関係有るのか?」
そう。野球が好きだ。野球がしたいー まさにそのために松井は今までの人生を歩んできたような物だったのだ。
こんな事になるとは予想もできなかったが。しかし、こんな事があっても俺はー
「・・・・そうでした。俺は、ただ、野球がしたいんです」
その言葉を聞くと、川相は静かに頷き、続けた。
「だったら、生き延びるんだ。まぁ、もう日本でプレーする事は出来なくなるだろうが・・・・野球は日本だけじゃない。
きっとお前にふさわしい場所が見つかるさ。幸か不幸か、お前さんは身軽だから身動きが取りやすいしな」
その皮肉に苦笑しながら、松井はさっきまでのモヤモヤが消えていくのを感じ、川相に深く感謝した。
実際、これで何回救われたのだろう。この人がそばにいてくれれば何処であろうとどれ程心強い事かー
「川相さんは何処へ行きたいんです?やっぱりアメリカですか?意外に韓国とか」
しかし、川相は苦笑すると実に意外なことを言った。
「いや、俺はお前達とは行かない。俺は巨人に残るよ」
397 :
G党首:01/09/15 00:25 ID:NAlDFxUw
>>397 川相の言っていたこの“プログラムの本当の目的”はまだか!(w
しかし、渋いなぁ、最高、川相。
趙成ミンは始めから、このプログラムに乗っていたわけではなかった。
チョンミン哲、チョンミン台と合流した直後、韓国トリオは突然柏田に銃で襲われた。
抵抗をやめようとしない柏田を、チョンミン哲、チョンミン台が羽交い絞めにし、趙成ミンが首をしめる。
たったそれだけで柏田の命を奪い取ることが出来た。
・・・簡単なことじゃないか。
あっけなく命を落とした柏田を前に、趙成ミンはつぶやいた。
柏田の死体を前に、取り返しのつかないことをした、と思いもした。
しかし。
殺らなくては、殺られる。
このプログラムでは自分の生死、そして巨人のエースの座がかかっているのだ。
逆に、チョンミン哲、チョンミン台は激しい自己嫌悪に陥っている。
・・・このエリート野郎が!!
韓国で名声を得ただけあり、ファームでの態度もやたら大きく、練習もしない。
趙成ミンは表面には出さなかったが、そんな2人のことをあまり好きではなかった。
それが今はどうだろう。闘争心のカケラもなく、ビクビクしている。顔も青白い。
3人が集まっただけあって武器、道具は豊富だ。
趙成ミンは思う。
これを使えばオレは勝てる。
このゲームに勝ち残ることが出来る。
これに比べてこいつらは・・・。もう使えねえな・・・。
「こんばんわー。実況の小川です。そろそろ禁止エリアが増えるから注意してくださいねー。」
見張りをしていたチョンミン哲の肩があがる。
夕刻6時。
追加された禁止エリアに趙成ミン達が潜んでいる小屋は無かった。
どうやら、しばらくはここから動かなくてもいいらしい。
「じゃあこれまでに死んだ選手を言いまーす。・・・・0番川中くん、46番小田くん以上でーす。じゃあみんながんばってくださいねー。」
チョンミン台が不安を訴えかけるような視線で趙成ミンを見る。
趙成ミンは密かに笑う。
安心しろ。
そのうち、オレが楽にさせてやるよ。
チョンミン台は青ざめた顔をしている。見張りのチョンミン哲もきっと同じような顔をしているだろう。
そんな2人の顔を想像しながら、趙成ミンはやはり密かな笑みを浮かべていた。
明日の朝になれば、お前らもこの放送で呼ばれる運命なんだぜ?
チョンミン哲とチョンミン台の見張り交代の時間だ。
チョンミン台が外のチョンミン哲に交代を告げに行く。
そのチョンミン台の背中に向かって、趙成ミンは右腕を伸ばした。
左手を右腕のひじの辺りに添え、右手の人差し指を前に伸ばし親指を上に立てる。
・・・・右腕を銃に見立てたポーズだ。
趙成ミンは指先を一度上にあげ、
「バンッ」
小さな声でチョンミン台の背中に向け見えない銃の引き金を引いた。
400 :
:01/09/15 03:54 ID:Zkwx7WSQ
うおー!仁志と由伸はどーなるのー!?
原作知らないけど、面白いっす!
それだけに、あのネタばれは痛かったけど、
忘れて楽しませてもらいます!
下がってるので、age
401 :
:01/09/15 04:18 ID:rDLGIbgI
原作知っててもおもしろいyo!!
韓国三人組も、続きが楽しみ!!
402 :
:01/09/15 07:58 ID:cEGiJgsw
落ちすぎなのでいったんage
403 :
名無し:01/09/15 12:30 ID:dOPZ50VQ
もう一回age
404 :
もうイヤなら言ってね:01/09/15 15:33 ID:Enw.2yWM
ここはサンフランシスコ郊外、何やら怪し気な男が三人たたずんでいる。
「そろそろ俺たちの出番だろう」
「そうなのだ」
「そうだっちゃ」
そう、彼らはかつて巨人で活躍したコト−、サンチェ、ガリクソンである。
「何で行く?」
「飛行機がイイ!」
「ダメダメ、高すぎるブ−」
「じゃあ船で行っちゃってもいいかな?」
「いいトモロー!」
「いいタモリ!」
・・・彼らが日本に着いたのは60日後のことである・・・(完)
第六回読売巨人軍プログラム進行状況 4:00現在
死者
槙原(17)・・・・・・・・・我々が銃殺
大場(63)・・・・・・・・・江藤が弓で
柏田(49)・・・・・・・・・韓国トリオ(趙成ミン)が絞殺
村田慎(9)・・・・・・・・村田善と心中(飛び降り)
村田善(12)・・・・・・・村田慎と心中
元木(2)・・・・・・・・・・清原が射殺
條辺剛(57)・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
アルモンテ(61)・・・清原が射殺
西山一宇(26)・・・・・松井が斬殺(鉈) ただし半分事故
阿部慎之助(10)・・・川相が射殺
岡島秀樹(28)・・・・・清原が射殺
三浦貴(39)・・・・・・・同上
河本育之(27)・・・・・清原追跡中禁止エリア進入により爆死
メイ(42)・・・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
マルティネス(48)・高橋(由)が銃殺
木村龍治(41)・・・・・後藤が射殺
福井敬治(53)・・・・・自殺(銃)
吉永幸一郎(23)・・・高野が射殺
斎藤雅樹(11)・・・・・自殺(ナイフ)
平松一宏(25)・・・・・同上。ある意味斉藤と心中。
川中基嗣(0)・・・・・・高橋(由)が射殺
小田幸平(46)・・・・・工藤が射殺
小野仁(13)・・・・・・・仁志が刺殺(アイスピック)
406 :
:01/09/15 21:59 ID:JO0akypo
生存者と最終状況(&:協力)
河原純一(15)&南真一郎(50)
>>362-364
桑田真澄(18)&上原浩治(19)
>>325-328
入来祐作(20)&高橋尚成(36) VS 高野忍(66)
>>316-318
趙成ミン(21)&チョンミン哲(30)&チョンミン台(51)
>>398-399
工藤公康(47)
>>377-379
川相昌弘(6)&二岡智宏(7)&松井秀喜(55)
>>396 二死敏久(8) VS 高橋由伸(24)
>>391 清原和博(5)
>>109 後藤孝志(00)
>>310 田畑一也(22)
野村空生(95)
清水隆行(35)
残り21人
407 :
:01/09/15 23:05 ID:5cdPqejY
>>405-406
いつもまとめてくれてありがとうage
408 :
:01/09/15 23:05 ID:/GJ09/WA
409 :
:01/09/16 05:06 ID:nBGBcoE2
保守
筆が進まん……
410 :
:01/09/16 08:53 ID:Nd8cZEi.
>>382 琴弾は川中あたりがよかったと思うけど、もう死んでる。
411 :
坂持金発:01/09/16 16:01 ID:kvWeQ64M
はいはーい。
それでは確認かくにーん。机の中から紙と鉛筆を出しなさーい。
それでその紙に、「私たちはカープを応援する」と三回書きなさーい。
412 :
:01/09/16 19:53 ID:X3jUp2Ak
>411
結構シリアス路線でまとまってたスレに、一服の清涼剤をありがとう(w
いや、マジで不覚にもワロタ
413 :
モノローグ〜進藤実 その1:01/09/16 20:52 ID:isCc8cYk
ふう、と進藤実(背番号64)は息を付いた。
この馬鹿げたゲームが始まってから、2度目の夜だ。
鬱蒼としたこの場所に身を潜めてから、随分経つ。
取り敢えずまだ暫くは禁止区域にならないのを確かめ、
もう一度大きく息を吐いた。
確かめるように、何度か右手を動かしてみる。
先刻までは脈打つ度に酷い痛みがあったが、今は感じない。
それは良くなったことの現れなのか、それとも悪くなったほうなのか、
わからない。
よりによって、右腕を。
もしかすると、リハビリに時間がかかるかもしれない。
投げられるようになるまで、どれくらいの時間が掛かるんだろうか。
そう思って、すぐに首を振った。
元の世界に戻るには、ここを抜け出さなければならない。
それも、仲間を倒して。
自分が「最後の1人」にならなければ、マウンドに戻ることは出来ない。
そんなことは、とても出来そうにない。
渡された武器はあったが、とても使う気にはなれなかった。
誰かを傷つけたいとは、思えなかった。
もう、戻れないのか。
仕事場の同僚に祝われてプロ入りしたのは、
ほんの少し前のことなのに。
今の自分は何て遠いところにいるのか。
そしてもう、元の世界には戻れないとは。
414 :
モノローグ〜進藤実 その2:01/09/16 20:54 ID:isCc8cYk
ごろんと、投げ出すように身体を横たえた。
ああ、星が見える。
何でこんな時でも星は見えるのだろう。綺麗だと思うのだろう。
夜空に、今まで出会った人々の顔が浮かぶ。
その中には、双子の兄の顔も見える。
ああ、兄はどうしてるだろうか。
自分がこんなところにいると知ったら、何と言うだろうか。
‥‥いなくなったら、どれだけ悲しむだろうか‥。
ぞくりと寒気が背中から這い上がってきた。
デイパックに入れてあるジャンパーを取り出そうとして、
右手が全く動かないことに気づいた。
つい先刻までは多少不自由ながらも動いていたのに。
痛みもない。動きもしない。
恐る恐る、左手で右腕の袖を捲り上げた。
ぐっしょりと塗れた袖は重く、冷たい。
何時間か前、誰かが放ったボウガンが刺さった痕から、
まだ出血しているのか。
矢を抜いてすぐに止血の処置はしたつもりだったが、
止血の為に巻いたタオルも血でべったりとしている。
応急手当くらい、きちんと習っておけば良かったな‥‥。
そう思って、何だかその言葉の響きが呑気に聞こえて、
少しおかしかった。
ああ、俺はもう投げられないのか。
確かに去年は一度も一軍のマウンドに上がることはなかった。
「戦犯」どころか、捨てゴマの一つにもなれていない。
こんな自分は、真っ先に抹殺されてもおかしくはなかった。
415 :
モノローグ〜進藤実 その3:01/09/16 20:55 ID:isCc8cYk
それでも、野球を諦めたくはなかった。
不意にボウガンで討たれた時も、反射的に逃げた。
死への恐怖と、野球が出来なくなる恐怖から。
野球を、プロで野球をしているからこそ、
こんな馬鹿げたゲームに参加させられ、
命まで賭けさせられている。
もしも普通に大学を卒業して、普通にサラリーマンとして働いていたら、
こんな場所にはいなかったろう。
きっと今頃は小さな部屋でビールでも飲みながら、
ナイター中継でも見てたんだろうな‥‥。
だけど。
それでも、この期に及んでまだ、野球を捨てたいとは思えなかった。
例え野球をしていなければ、こんな目に遭うこともなく、
平穏な生活を得ることが出来ると言われても、自分は野球を選ぶだろう。
きっと自分以外にはわからないだろう。
他人が聞けば、何て愚かなと思うだろう。
愚かな奴よと、笑いたければ、笑えばいい。
どんなに笑われても、きっと自分は同じ道を歩く。
何度選択することになっても、自分は野球を選ぶ。
野球がなければ、それはもう、「自分」ではないのだから。
ああ、寒い。
その寒さは、決して外気のせいだけではなかった。
鏡で見れば、顔色は紙のように白く、唇は既に紫色になっていることが
わかったろう。
寒いなあ。何でこんなに寒いんだろ。
社会人時代に過ごした、仙台の街を思い出した。
雪が降り、寒かったあの街。思えばあの頃が一番楽しかったような気がする。
‥‥ごめん、兄ちゃん‥。
自分はここで死ぬよ。もう会えないよ。
おかしいかな。もうそんなに怖くないんだ。
こんな場所で思いもしない形で死ぬけど、一人の野球人として死んでいくのなら、それでもいいかと思う。
そう、野球に殉じるんだ。
誰かを殺めるよりも、その方が自分らしい気もした。
それが投手としての致命的な弱さなのかもしれないけど‥‥。
でも、いいよ、それでも‥。
だって‥‥。
進藤の元にゆっくりと、静かに、優しく死が訪れた。
416 :
:01/09/16 21:31 ID:9aQnqhSI
>413-415
なんか不覚にも泣きそうになったよ…
417 :
:01/09/16 21:58 ID:aEkevVc2
>416
ってゆーか号泣(w
テレビからミニモニ聞こえてた中でも泣けたYO!
418 :
どくしゃ:01/09/16 22:13 ID:5Ujq35Nk
>>416 いちばん静かな亡骸だ・・・・・(´。`)うっぅっ
第六回読売巨人軍プログラム進行状況 4:00現在
死者
槙原(17)・・・・・・・・・我々が射殺
>>8 >>13 大場(63)・・・・・・・・・江藤が弓で
>>32 村田慎(9)・・・・・・・・村田善と心中(飛び降り)
>>38 村田善(12)・・・・・・・村田慎と心中
>>38 柏田(49)・・・・・・・・・韓国トリオ(趙成ミン)が絞殺
>>40 元木(2)・・・・・・・・・・清原が射殺
>>48 條辺剛(57)・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
>>59 アルモンテ(61)・・・清原によって殉教を遂げる
>>67 西山一宇(26)・・・・・松井が斬殺(鉈) ただし半分事故
>>75 阿部慎之助(10)・・・川相が射殺
>>103 岡島秀樹(28)・・・・・射殺。清原
>>108 三浦貴(39)・・・・・・・同上
>>108 河本育之(27)・・・・・清原追跡中禁止エリア進入により爆死
>>109 メイ(42)・・・・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
>>135 マルティネス(48)・・高橋(由)が射殺
>>136 木村龍治(41)・・・・・後藤が射殺
>>220 福井敬治(53)・・・・・自殺(銃)
>>242 吉永幸一郎(23)・・・高野が射殺
>>277 斎藤雅樹(11)・・・・・自殺(ナイフ)
>>296 平松一宏(25)・・・・・同上。ある意味斉藤と心中。
>>297 川中基嗣(0)・・・・・・高橋(由)が射殺
>>306 小田幸平(46)・・・・・工藤が射殺
>>379 江藤智(33)・・・・・・・小野が。死因不明
>>389 小野仁(13)・・・・・・・仁志が刺殺(アイスピック)
>>391
420 :
:01/09/16 22:57 ID:U0mQHK5U
槙原(17)・・・・・・・・・我々が射殺
>>8 >>13 ↑そろそろこの「我々が射殺」っての、名前書いた方がいいかも。
桑田と二死タンと歯茎だっけ。
徳光和夫は、焦れていた。日本テレビにその衝撃的なニュース・・・・すなわち
「ハワイにてジャイアンツ選手らが宿泊しているホテルがテロリストに襲撃された模様」
という第一報が入って既に数時間が経過している。その間、続報は全く入らず、その代わりに厳重な箝口令が敷かれた。
そうなると、通常と変わらぬ番組編成で行かねばならない。
徳光は重い足を引きずりつつザ・サンデーの打ち合わせに向かったのだった。
「・・・・というわけで、今週はこういう趣向で行きたいと・・・・ ちょっと徳光さん、聞いてます?」
「ああ、聞いてるよ」
勿論、徳光は江川の言うことなど聞いていなかった。代わりに徳光は怒っていた。
何考えてるんだ!物騒なのは分かってたんだからアメリカは何を置いても長嶋監督と巨人軍の選手を警護すべきだったんじゃないか!
そんな徳光の様子を見て、江川は嘆息し、
「しょうがないなぁ・・・・ 悪いけど馬場ちゃん、休憩にしよう。30分後にまたココで」
「え?じゃぁ失礼します〜」
これ以上徳光の不機嫌な顔を見ていたくなかったのか、速攻で退散した馬場を見送って江川は椅子に座り直し、そしてしばし思いに耽った。
そうか。決行したのか・・・・全く、御苦労なことだ。しかし、わざわざクロウまで呼ぶとは・・・・何か特別な意味があるのか?
何かあるような気もするがあの監督のことだ、ただの思いつきかもしれない
(ん〜、いわゆる一つの同窓会ですね〜なんていかにも言いそうじゃないか?)
そこまで考えて、江川は視線を感じふと顔を上げた。徳光が、凄い形相で江川を睨んでいた。
「・・・・どうしたんです徳光さん」
「何で江川さんはそんなに落ち着いていられるんです!あの長嶋監督が、栄光ある巨人軍が危ないんですよ!
何でこの国家的危機に政府は何もしないんですか!」
・・・・・・・・・・・・本当にこの人は・・・・・・・・・・・・ 全く、ここまでくると呆れるより先に笑ってしまう。
ちらと時計を見る。時間はまだ、十分にありそうだった。
「しょうがないですよ、ここからでは何も出来ることはないんですし、取り乱したって事件は解決しませんから」
「冷たい、冷たいよ。僕は江川さんがそんな冷たい人だとは思わなかったなぁ」
・・・・八つ当たりか。最高だよ徳光さん、実に滑稽だ。けど少々耳障りだな。そんなんだから貴方はさ。
「まぁ落ち着きなさい徳光さん、長嶋監督は何人死のうと生き残りますよ」
「何そんな無責任な事・・・・を」
詰め寄ろうとして徳光は気がついた。
相変わらず落ち着いた表情の江川のその目が、ぞっとするほど冷ややかな物になっていることに。
「まぁ、選手はほとんど全滅でしょうけどね。惜しいことですが・・・・」
「何を・・・・江川さんあなた一体何を・・・・」
喘ぐようにして呟く徳光に、笑みさえ浮かべて江川は答える。
「そんなことは徳光さん、あなたが知る必要は無いんですよ。ま、敢えて言うならね」
そこで言葉を切って江川は徳光に顔を寄せ、続けた。
「巨人にはね、一部の人間しか知らない深い深い、闇が有るんですよ」
その言葉は、小声であったにもかかわらず雷鳴のように徳光の耳に鳴り響いた。
闇?この事件がその闇だっていうのか?そんな馬鹿な、そんな・・・・
「そ、そんな馬鹿な事が、あるわけ、だって巨、巨人が。そんな」
「支離滅裂だなぁ。まぁいいや。そんな事があるわけないってのはどういうことですか?巨人が何人もの選手を殺すような馬鹿な事は決して行わない、そう言うことですか?」
徳光は震えながらがくがくと頷いた。恐ろしかった。目の前の江川の目が。その柔和な表情が。そして何よりー その言葉の続きが。
「・・・・残念でしたね、徳光さん」
事実だ。その言葉に徳光はそう確信した。理屈抜きでそう信じさせるだけの力があった。
しかし。それが事実だということはしかしー
「信じない!信じないっ!信じてたまるかッ!絶対に信じッ!?」
思わず叫び立ち上がった徳光はしかし、胸に激痛を覚えずるずると崩れ落ちた。そう言えば前回倒れたときに医者に余り興奮するような事は避けるよう言われていた。
「おや、どうしました徳光さん」
どうしたのか見れば分かるだろうに江川が声をかける。心配しているようなその台詞とは裏腹にその目はさっき以上に冷ややかで、口調はどこか楽しそうだ。
「ほ・・・・発作が・・・・た・・・・助け・・・・」
ちょっと徳光を見つめていた江川は、その助けに答えるかのように懐から携帯電話を取り出し、よどみなく番号を押すと、話し始めた。
「もしもし馬場ちゃん?江川だけど。徳光さんがさぁ・・・・
禁煙破っちゃったから、戻ってくるときに煙草調達してくれってさ。いつものやつ頼むよ」
それだけを言って、切った。そしてにこやかに言った。
「騙されませんよ徳光さん、発作なんて嘘なんでしょう?」
「え・・・・江川ーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」
徳光は反射的に絶叫した。いや、絶叫したつもりだった。しかし、実際は弱々しい喘ぎが口から漏れただけだった。
十数分後。江川は救急隊員に搬送されていく徳光を見送っていた。
(勿論、江川が通報したのだ。もっともその時は痙攣も、ついでに意識も殆ど無くなっていたが)
窓から救急車が日本テレビ社屋から離れたのを確認すると、江川は呟いた。
さよなら徳光さん。
新生巨人軍のイメチェンには、あなたはいわゆる一つのハザードだったんだそうですよ・・・・
クロいな、、、江川。
あの蝶ネクタイで淡々とやってたかと思うと、おそろしいな(w)
424 :
:01/09/17 00:16 ID:k6SYYIaM
今日の試合も、バトロワな視点でみてもーた(w
425 :
:01/09/17 08:33 ID:DUDGHadE
本編もサイドも、どっちもイイ!
426 :
うんこ:01/09/17 08:40 ID:S8aXS2Nc
巨人OB高村はその日何物かに襲われ不覚にも意識を失った。
ふと気が付くとそこは深い闇の中だった俺はどこにいるのだろう。
周囲を見渡すと横には織田や門奈がいる高村はまだ意識を回復していない二人を見つめていた
すると二人は徐々に意識を取り戻したのか気が付いたようだった。
「気が付いたか」高村は意識を取り戻した二人に語りかけた
すると突然電気がつき長嶋の声がスピーカーから流れてきた
「すぐにその扉を開けて集合です」
まわりを見渡すと無機質な室内にただ一つだけ扉があった
とにかく高村達はそこへ向かう事にした
すると他の部屋にいたのか既に数十名もの知った顔があった
緒方さんに井上さん大久保さんや一茂さん福王さん宮本さんの顔まであるじゃないか
みんな一応に何が起こってるのかわからないらしい
そこへ宮田 クロマティー 武上を従えミスターがやってきた
「皆さん気が付きましたか皆さんは力が無いと言う理由の元巨人軍を辞めてもらった
人ですそこでチャンスを与えようと思います
今この島では現役の選手でゲームをしてもらってますそこで皆さんにも
ゲームに参加
してもらおうと思います。
ルールは簡単殺し合いです。
あなた達の誰かが最後の一人まで生き残った時あなた達には現役復帰の道が開かれるでしょう」
427 :
うんこ:01/09/17 08:47 ID:S8aXS2Nc
高村は何が始まったのかわけがわからなかった
それ以上に訳がわからなかったのは一茂だろう
一茂はこの状況がわからないのか錯乱してミスターに詰め寄った
「親父どう言う事だよ!!なんで俺がこんな糞ゲームに参加しなきゃなんねぇんだよ」
一茂がミスターに掴みかかろうとした瞬間ミスターの手元が光った
428 :
うんこ:01/09/17 08:54 ID:S8aXS2Nc
光ったのはナイフだった
そのナイフは綺麗な軌道をえがき一茂の眉間に刺さった一茂は静かに
「なんで…。」最後まで言いきれないうちに事切れた。
「はーい皆さんいいですか私は本気ですよ。
例え一茂だろうと特別扱いはしません今から武器を配るので一人づつ外へ言ってください
外では既にゲームは始まってます充分気をつけてください」
こうして新たな参加者を補充しゲームは何事も無い様に続くのであった
429 :
うんこ:01/09/17 08:56 ID:S8aXS2Nc
誰にも断りも無く
すんませんが人が足りない様なので補充しときました。
いらなければ無視して下さい
駄文ですが全くの素人の為勘弁して下さい
430 :
:01/09/17 08:58 ID:DUDGHadE
一茂、哀れなり・・・
深夜。
ガルベスはある命令を受けて、ヤクルト選手宿舎へ潜入していた。
その一室に、元巨人軍選手・入来智がいる。
彼の拉致がガルベスに課せられた目的だった。
「ん〜兄弟対決、面白いでしょぉ〜」
という、長嶋の一言が発端だった。
(趣味の悪い男だ・・・)
そう思いつつも、ガルベスは逆らえなかった。
本来なら入来は自分のアパートにいるはずなのだが、どうしたわけか今は宿舎に滞在している。
(アパートの方が楽だったんだがな・・・)
と思いつつ、宿舎の侵入はさほど苦もなく進んだ。
音もなく暗い廊下を進んでいく。
目当ての部屋まではもうすぐだ。
と・・・・。
かたん、と行く手の方で音がした。
ガルベスは慌てて、廊下の曲がり角へとその体を隠した。
次の瞬間。
ガルベスの太い首へ、細長い腕がからみついた。
(な・・・・!)
二本の腕は、実に速やかに的確にその目的を果たした。
足下へ崩れ落ちたガルベスを、稲葉の双眸が冷ややかに見下ろしていた。
「やっぱり来とったんやなぁ」
その場にそぐわないようなのんびりした声がした。
「古田さん」
物音がした方向から現れたのは、一般選手の中で唯一球界の闇に精通した男、古田だった。
432 :
:01/09/17 12:44 ID:cggoVY5Q
>431
ガルベスて、入来兄弟とはごっつう仲良かったんだけど…。
433 :
:01/09/17 12:48 ID:PK6TFiwo
済みません、情報収集不足で・・・。
他に出ていない人間を思いつきませんでした。
人質取られてしょうがなくって・・・・だめですか?
434 :
:01/09/17 14:23 ID:eHg52aao
他チームは入れると話が収集つかなくなるような・・・
田畑一也、野村空生、清水隆行あたりは使えないのかな?
松井は苛立っていた。
――川相さんは肝心なところをなかなか話してくれない。俺はまだ信頼されてないのか?
ちくしょう4番として精一杯やってきたのに、仲間との距離は縮まらないままだ…。
松井は手にしたお守りをグッと握りしめた。
それは常に松井を可愛がってくれた故・青田昇が松井に残した形見の品である。
――かつてじゃじゃ馬と呼ばれ、戦争にも志願して行った青田さんなら、
こんな時どうするんだろう・・・あれ?なんだこれは・・・手紙?
なんとお守りの中に松井に宛てた手紙が入っていたのだ。
「松井、この手紙を読んでいるということは、あのプログラムが始まったんだな。
お前はやさしい男だから、きっと戸惑っていることだろう。
このプログラムはもともと、正力オーナーとGHQが始めたものなんだが、
今はそこにユダヤ資本が絡んでいるから、あまり知りすぎない方がいい。
今のお前に必要なのはそんな知識じゃなく、生き残るための方法だろ?
ワシからの忠告はただ一つ。
ためらうな、躊躇なく殺せ!」
松井は呆然とその場に立ち尽くすことしかできなかった。
436 :
どくしゃ:01/09/17 15:29 ID:k6SYYIaM
なんだか、話がワールドワイドになってきたな(W)
続きが楽しみだ!!
「入来さんを宿舎へ移して置いて正解でしたね」
稲葉が言った。
「全くやな。うちの選手にまで手出しされたらたまらんわ」
やれやれと言いたげな表情で、古田はガルベスを見下ろした。
古田はその立場は一般選手であるが、球界随一と言われるその頭脳と広範な情報網で
事実上、ヤクルト首脳陣以上の実力者であった。それ故、球界の闇には精通しており、
今回の「プログラム」についてもかなり立ち入った情報を入手していた。
そして、元巨人軍選手であり入来祐作の兄でもある、入来智の身に危険が迫ると判断した
古田は、言い方は悪いが彼を上手く騙して--------こういうとき、智の単純な性質は幸い
だった--------、宿舎へその身柄を移したのだった。
「で、やっちゃったわけ?」
古田が言った。
「いえ、気絶させただけです。始末しろと言うのなら・・・」
「そこまでせんでもええて。お前、結構物騒やなぁ」
稲葉は幽かに笑った。
彼はいわば古田の腹心であり、その手足となって動くことが多かった。それ故、今回
の件についても古田から「プログラム」の存在についてある程度聞かされていた。
無論すぐに信じられることではなく、あまりに荒唐無稽に思えた。しかし、その荒唐無
稽さが、却ってある種の真実味を持っていた。
「このまま返したところで、失敗を理由に連中に始末されるだけでしょう」
「せやから、どっかに拘束しとこか」
「後続が来るかも知れません」
「そうやな。お前には悪いけど、しばらく智のことは頼むで」
「はい」
「俺の方はナベツネたちへ手を回すわ。あのおっさんはこれ(そう言って、
古田はこめかみの辺りで指をくるくる回した)やが、頭はええ。己の利にも
聡い。お得な取引には応じるやろ」
「大丈夫でしょうか」
「・・・智が狙われてんのは、どっちかと言えばあのボケおっさんの方の悪
趣味のせいやろ。「プログラム」の本来の目的とは関係が薄い。目の前に
もっと美味しいエサぶら下げたれば、そっちに飛びつくわ」
「・・・」
「ほなら、人寄越すわ。お前は智んとこ離れんでな」
古田はそう言って踵を返した。
「古田さん」
稲葉が声をかけた。
「・・・なんや?」
「「プログラム」とはいったいなんですか?目的はいったい・・・」
「・・・」
振り向いた古田の表情は、稲葉からはよく伺えない。
青白い非常灯の光が眼鏡に反射して、その奥の目の色をも見せなかった。
「稲葉」
古田が静かに言った。
「俺も確証はない。ただ、推論は出来る。そしてそれがほぼ真実に近いという
自信はある。だからこそ言えん」
「・・・」
「人間、知らないで済むなら知らないままでええ事もある・・・。俺も出来れば
知らんで済ませたかったわ」
「古田さん--------」
古田は再び背を向け、今度こそ振り向かずに去った。
その背を見送った稲葉は、合い鍵でそっと入来智の部屋のドアを開いた。
穏やかな寝息が聞こえている。
弟との連絡が付かなくなってからろくに睡眠もとれずにいた彼だが、ど
うやら夕食に入った「ささやかな思いやり」はよく効いているようだ。
稲葉はドアを閉め、鍵をかけた。
入来智という男は、気性は荒いが、天真爛漫--------天然ボケとも言うが
--------な男だ。シーズン後半不調に陥った稲葉は、しばしば彼の明るさに
泥沼へ陥りそうな精神状態から救われた。自らのエラーで智の10勝目を消す
きっかけを作ってしまったときも、彼は責めるどころか、落ち込む稲葉に「踏
ん張れなくてごめん」と謝りさえした。
そんな男を巻き込もうとした「プログラム」とはいったいなんなのだろう。
稲葉はドアへ背を預け、何かを見いだそうとするかのように闇を見つめた。
その双眸は周囲を包む闇よりもなお昏かった。
439 :
読者:01/09/17 17:39 ID:k6SYYIaM
そうそう、悪人面とは程遠いひとが一番クロイ。
しかし、じらすのう、、
上原は暫く悩んだ後やはり桑田の後を追う決心をした。
参加者の欄に自分達の名前がある事を早く報告しなければ・・・
きっと自分達は仕事が一段落ついた今、すぐにでも仁志のように
外に放り出されるだろう。
何故気が付かなかったんだろう。
最初からその気だったのだ、あいつらは。
誰一人助ける気などなくてただアシスタントが
必要だっただけだ。
早く逃げ出さないと・・・今ならば可能な筈だ。
一応武器もあるんだし、何より自分達にはあの忌々しい首輪が付けられてない。
あれさえなければ逃げる事はできるはずだ、絶対。
あんな馬鹿げたゲームに参加させられてなるものか。
俺は絶対にごめんだ。だから――仲間を裏切ったんだ。
どんなに罵られ様とあんな話、断る方が馬鹿だろう。
だって、死んだら終わりなんだ。そこで。
俺は絶対に生き抜いてみせる。
上原は薄暗い廊下を駆けていった。
桑田は外に出てすぐの芝生の上に座っていた。
あまりにも簡単に見つかって上原は力が抜ける程だった。
「桑田さん」
声を掛けると、桑田はゆっくりと顔だけをこちらに向けた。
「どうした?」
「生存者リストに俺らの名前があるんです。長嶋が追加したみたいで・・・
早く逃げましょう。じゃないと・・」
「そうか」
上原の言葉を区切る様に桑田はそれだけ言った。特に驚いた様子もなかった。
反対に上原が慌てるほど。
「そうか、って・・俺達まであのしょうもないゲームに参加させられるんですよ?!
今ならまだ間に合います。あの変な首輪をつけられる前なら・・
早くここから逃げましょうよ!」
「うん。でもな、上原・・・・もう遅いみたいや」
桑田が先程から見ていた方向に視線を戻した。その先――
暗くて気が付かなかった。三人くらいの人影。
あれは宮田さんと杉山さん?それに篠塚さんまで。
それぞれ構えたライフルの銃口がこちらを向いていた。
「なっ・・・」
その瞬間後ろの扉が勢いよく開いた。
でできたのは長嶋と小川アナ、何故か怪我をおってる原ヘッド。そしてクロマティ。
「お待たせしました2人共〜ようやく出番ですよ〜
もう残りがかなり少ないですから〜つまらないかもしれないですけど
まあ頑張ってちょーだい」
長嶋がそう笑顔で言い終わったと同時に上原も桑田も
いつの間にか近づいていたコーチ陣に羽交い絞めにされ
無理やりあの首輪をつけられた。
持っていた武器は取り上げられ
デイパックと共に二人は柵の外へ放り出された。
「2分後には首輪が禁止エリアに反応する様になりますからね。
地図をみてちゃんと確認して下さい。もちろんここもエリアに入ってますから
早く立ち去らないと危ないですよ。ではお気をつけて」
小川アナがそう言うと一同は部屋の中へ戻っていった。
「ちくしょう!!あの野郎っ!!」
いきなり全てを取り上げられ参加者とさせられてしまったのだ。
しかも働くだけ働かされて。
上原は思い切り地面を殴りつけた。
そんな事をしたって、ただ自分の拳が傷付くだけで
状況は何一つ変わりはしないのだが。
「上原」
「早く行った方がいいぞ。爆死したいのか?」
そんな上原を気にとめる様子もなく
桑田はそうぽつりと呟くと暗闇に向かって歩き出した。
「ちょっと待ってくださいよ!」
上原は慌ててその後を追った。
――なんでこの人はこんなに冷静なんだ?さっきから
「桑田さんはいいんですか?!このゲームに参加するっていうんですか?
それが嫌だから俺達チームメイトを裏切ったんでしょう?!」
一気に捲くし立てる上原にも桑田は相変わらず表情を変えなかった。そして
「そりゃあね。わざわざ危険な方を選ぶ馬鹿もいないだろう?
でもここでごたごた言ったって仕方ないよ。
・・・・俺は別にプログラムに参加させられようが、させられまいが
――――生き残れさえすればそれでいいんだ」
そう言った。その目はぞっとするほど冷たかった。
いや、冷たいというよりも何の感情も持たない目。
上原は背筋に嫌な汗がつたうのがわかった。
「わかったらついてくるな。最初に殺すのはお前になるぞ」
桑田はそう続けたが、言われる前に上原の足は止まっていた。
一緒にいたら確実に・・・・いや、今この瞬間殺されたって
おかしくないのだ。
ただ桑田の武器がデイパックに入ったままだから(もっとも
それが何かもわからないが)無事なだけであって――
桑田はそんな上原の様子を見るとふっと笑い、言った。
「元気でな。また会おう」
そして今度こそ暗闇の中へ姿を消した。
443 :
偽作者:01/09/17 20:09 ID:5YfIWJi.
あっ、しまった!桑田編書いてたのに先越された(w
でも少しは重なる部分あるかな…
444 :
440:01/09/17 20:22 ID:8V4s4BZo
>443
うわ!
いや桑田編書き始めた奴じゃないのに
勝手に続きかいちゃいました。
ぜひ443さんのアプして下さい。
これは読み流してくれればいいっす。
まじですんません・・
445 :
443:01/09/17 20:50 ID:v.cZeCRM
>440
あ、勘違いさせてスマソ。こっちも勝手に桑田編をモノローグで書いてただけだから。
桑田編を最初に書いた者ではないんで。
446 :
高野VS入来&高橋尚:01/09/17 22:18 ID:qmeYxd2U
話し声が聞こえる。
ヒサと……誰だ?
その口調からはただならないものが感じられる。
このまま繁みから顔を出せば向こうに感づかれる恐れがあったが、そんな事をいっていられる状況でもなさそうだった。
それでもできる限りの注意を払って、声のする方を窺う。
そこでは、高橋が高野に銃を突き付けられていた。
軽挙妄動はいけない、そう頭ではわかってはいたが。
熱くなるなと常日頃から自分に言い聞かせてはいたが。
実際にこの光景を見せつけられては。
「ヒサっ!」
無意識のうちに飛び出し、そう叫んでいた。
俺は初めて銃のトリガーというものを引いた。
「ヒサっ!」
「動くなッ!」
こんな事を言ったところで無駄だ。
だから、俺は叫ぶと同時にトリガーを引く。
銃声が聞こえた。
2発目のトリガーを引きながら周囲に目を走らせ、入来を視界に捉える。
まだ遠い。あんなところから、当たるものか。
そう思った瞬間、右腕に熱い何かを感じた。
「ちっ!」
手許が狂うのがわかる。
447 :
高野VS入来&高橋尚:01/09/17 22:19 ID:qmeYxd2U
「ヒサっ!」
俺は確かにそう聞いた。
入来さん、来てくれたのか!
そう頭で理解するよりも早く、反射的に俺は右へと大きく飛んだ。
銃声が三つ聞こえる。
高野の「動くなッ!」という声、そして放たれた銃弾が俺の左をかすめてゆくのがわかった。
次の瞬間、起きた事は三者が三者とも予想し得なかったものだった。
高野の狂った手許から放たれた銃弾は、避けた筈の高橋の首に命中したのだ。
いや、命中と呼ぶのはおこがましい。
高橋の首をかすったと言う方が正しい。
しかし。
鋭い風が、首のすぐそばを吹き抜けていった。
そう感じた。
目の隅に赤いものが映る。
何だ、これは。
俺は受け身を取れずに地面に叩きつけられた。
448 :
高野:01/09/17 22:20 ID:qmeYxd2U
高橋の首から赤いものが吹き出す。
ははっ、これが本当にケガの功名と言うやつだな?
入来の銃撃で手許が狂ったが、そのおかげで高橋は頚動脈をやったに違いない。
だが、俺の腕にも弾がかすっている。
深手ではないが、引き裂かれたユニフォームの隙間からはそれなりの出血があった。
相手にも銃がある以上、この腕では不利だ。
ここは一旦退くしかないか。
「ヒサっ!」
入来がそう叫んで朱を撒き散らす高橋に駆け寄ってくる。
逃げるなら、今のうちか……?
入来の注意はもはやこちらには向いていない。
撃つなら今のうち、でもある。
しかし、だ。
この距離、この腕で精密射撃をこなせる自信はない。
しくじったら殺られるのはこっちだ。
「ちっ」
小さく舌打ちをすると、高野は繁みへと体を躍らせた。
449 :
入来&高橋尚:01/09/17 22:20 ID:qmeYxd2U
入来が無我夢中でに撃った弾は高野の腕をかすり、傷を与えていたが、
入来はそれどころではない。
入来の目は高橋の首から噴き出した鮮血に釘付けにされていたからだ。
「ヒサっ!」
入来は下草に足を取られながらも全速力で倒れ伏した高橋に駆け寄った。
慌てて抱き起こしたが、既におびただしい量の血が流れ出ていた。
「くそっ……頚動脈か!」
その時、ガサリという音が入来の周囲ヘの注意を回復させた。
しまった! 高野が居たんじゃないか!
入来は同時に死も覚悟したが、その目に写ったのは繁みに身を翻そうとしている高野の姿だった。
「待……っ!」
反射的に待てと叫ぼうとして入来は口篭もった。
高野をこの場に留めてどうするのだ。
ヒサが助かるのか。
死人が増えるだけじゃないか。
それよりも、ヒサの手当てをしなくては……。
しかし入来は自分の卑怯をも自覚していた。
銃をもった、明らかな敵と対峙するのは……怖いのだ。
こうして、自分を信じてくれた仲間が、そいつに撃たれたにもかかわらず……。
キューン!
銃声が高野が消えた方向から聞こえた。
続けて罵声。
「高橋を殺したのはお前だからな……入来!」
そして気配が遠ざかっていく。とりあえずはこれ以上争うつもりはないようだった。
450 :
入来&高橋尚:01/09/17 22:21 ID:qmeYxd2U
「入来さん……高野は逃げたんですか……?」
はっと視線を下げると、ヒサが苦しい息の下、こちらを見上げていた。
「ああ……ヒサ、もう大丈夫だ。今手当てをしてやるからな」
そう言って入来はデイバッグからタオルを取り出そうとしたが、高橋は遮った。
「いいですよ、入来さん、俺、助からないんでしょう?」
そう言ったヒサの笑みは、弱々しかった。
「そんなことはない! あきらめるな!」
「いや、血が抜けて冷静になれてるんですよ。わかります。今ならすごく良いピッチングができるんじゃないでしょうかね?」
撃たれたのはお前なのに……お前は軽口を叩いて俺を励まそうというのか……。
ヒサの像がゆがんで見えた。
「な、泣くのははまだ早いですよ……入来さん、俺はまだ生きてるんですよ?」
俺は納まらないヒサの軽口に苦笑すると、涙を拭った。
「そうだな、すまなかった」
「入来さんが謝ることないですよ、入来さんは約束通り俺を助けに来てくれたじゃないですか」
「しかしっ……」
俺は結局間に合わなかった、と言おうとしたが、それはヒサに遮られた。
「入来さん、約束は結果はともかく、守ろうとしたか、それが大事だと思いますよ……」「ヒサ……」
高橋の顔色は、蒼白を通り越して、死の色を濃くしつつあった。
「や、かっこいいですけど、この、セリフは、ワイフの受け売りなんですよ、はは……」
451 :
入来&高橋尚:01/09/17 22:22 ID:qmeYxd2U
そうだ、ヒサは新婚なのだ。妻一人残して逝くのはどんなに無念だろうか。
「ヒサ、お前のかみさんの面倒は俺が見てやるからな!」
それがヒサを助ける事が出来なかった俺ができるせめてもの罪滅ぼしだ。
「しかし、散々お世話になった、入来さんに、これ以上迷惑を、かけるわけには……」
ヒサの息がどんどん苦しげになっていくのがわかる。俺はきっぱりと首を振った。
「いや、俺は最後にお前の世話をやり損ねたんだ。それぐらい任せてもらえないと気が済まない。今度の約束は結果もしっかり出す。任せてもらえないか?」
ヒサは満足げに白い笑顔を見せた。
「……では、心苦しいですが、お願いします。俺は、こんなに、いい、先輩を持てて、幸せだ、なあ……」
何を言うのだ。どこがいい先輩だ。俺がさっさと戻ってきていればお前は死なずに済んだんだ。
俺が考えなしに飛び出さなかったら、お前は助かったかもしれないのに。
「ヒサ、俺は、俺はな……」
しかし、俺が話しかけた、俺の話を聞いているはずのヒサは、もう返事をすることはなかった。
「ヒサ……っ!」
これで、俺は、死ねなくなった。
ヒサと、約束したからだ。
452 :
:01/09/17 22:30 ID:ZrpUDTRY
尚成…合掌
なんか悲しくなってきました。
原作知らないんですが、入来たん、尚成の仇取ってね…
453 :
奈々氏:01/09/17 23:26 ID:ZXqNWPw2
ヒサ・・・泣いたYO
454 :
またしてもサイド 〜内薗直樹〜1:01/09/17 23:53 ID:wMuZUT3Y
日が落ちて、辺りはすっかり冷え込んできた。
はあ、と口元に当てた手に息を吹きかける。
それからゆっくりと、内薗直樹(背番号45番)は周りの様子を見回した。
風は凪いでおり、葉の揺れる音も、何かの気配もしない。
このゲームに参加して以来、五感がやけに敏感になっている。
気を抜いたら自分が殺られるのだから、当然のことと言えばそれまでだ。
普段は聞こえないような小さな音も、感じられないような微かな気配も、
はっきりと感じられる。
そう、それはもう、動物が持っている本能に近い。
ふ、と口角だけを上げて笑う。
そうだ。動物だ。
人間が太古に忘れてしまった、動物の姿なのだ。
強いモノと弱いモノがいて、弱いモノは容赦なく淘汰される。
そして強いモノはそれを糧に更に強くなって行く。
それが、当たり前なのだ。
そんな当然のことを忘れた、人間がおかしいんだ。
口元から、くぐもった笑い声が零れる。
研ぎ澄まされた神経は始終周りを警戒している。
そうしなければ、淘汰されるのは自分だ。
返り血を浴びるのも、掌が血糊でべたつくのも、すぐに慣れた。
自分の眼前に倒れた死体が、自分でなければいいのだ。
そして、生き残ってやる。
最後まで、勝ち抜いてやる。
455 :
またしてもサイド 〜内薗直樹〜1:01/09/17 23:54 ID:wMuZUT3Y
負けることは絶対に許されない、この勝負。
それでも、負けはしない。
ここまで手に掛けた選手の顔を思い出そうとすると、生前の姿ではなく、
自分が倒した時の、怨嗟にまみれた顔が浮かぶ。
だからどうだと言うのだ。
お前たちは弱いから負けたんだ。負けた者は、生き残れない。
それが当たり前のことだ。
…俺が悪いんじゃない。
生き残れないくらいに弱い、お前たちが悪いんだ。
ぎり、と歯を食いしばった。
その時。
がさり、と背後の草むらで音がした。
振り返ると同時に手にした小銃をそちらへ突きつける。
そして、そこに立っている人物を見て、目を見張った。
そこにいたのは、半日前にこの手で撃ち殺した永池恭男(背番号32)だったので。
「う、うああああ!」
思わず叫び声を上げながら、無闇に引き金を引いた。何度も。
致命的にも、弾が尽きるまで。
かちり、と弾が尽きた音で、我に返った。
眼前には、もう誰もいない。
そう、最初からそこには誰もいなかった。ただの幻覚だった。
456 :
またしてもサイド 〜内薗直樹〜3:01/09/17 23:55 ID:wMuZUT3Y
何故?
もしかして、怖いのか?俺は。
まさか、そんな。
選ばれるのは、俺なのに。生き残るのは、俺なのに。
どうして怖がる必要がある。それではまるで、弱者のようではないか。
決して負けるわけがない。負けない。負けない。負けるわけがない。負けてなるものか。俺は…俺は…。
壊れたテープレコーダのように、内薗の意識は同じところで止まっている。
生と死。自らの命を賭せられたこのゲームの中で、鋭敏な神経が徐々に限界を超え、振り切れようとしていたことに、内薗本人は気づいていなかった。
幻覚の永池を撃ったその場所で立ちすくみ、堂々巡りの思考を繰り返している内薗を止めたのは、一発の銃弾だった。
それは正確に、内薗の頭部を撃ち抜いた。
糸が切れた操り人形のように、ばったりと倒れる内薗を見て、清原和博(背番号5)は、再び暗闇の中に消えて行った。
…負けない…負けない…負けない…負けない…。
内薗が呟くことは、二度となかった。
457 :
しまった!:01/09/17 23:57 ID:wMuZUT3Y
455は内薗の「2」です。
しかも456改行してなくって読みにくい…。
すまぬ。
458 :
クイナ:01/09/18 00:11 ID:90teC3S6
>>455 名前永池もん多じゃ無いアルか?
(平仮名のもんの部分の漢字はにんべんに門アル)
459 :
:01/09/18 00:16 ID:XEqrG5bI
永池って今年元の名前に戻したんじゃなかったっけ?
460 :
D:01/09/18 00:36 ID:6brBfTjY
このスレ、完結しても倉庫行きにするのは惜しいッ!
ぜひともまとめてどっかHPとしてUPしていただきたい……。
そういう俺は中日ファン。
461 :
:01/09/18 02:51 ID:5i4UEKxU
「このスレッド大きすぎます」って表示される前に保存しておきたいね。
パート2逝くなら早めに移行した方がよさそうだな。
462 :
んとね。:01/09/18 06:31 ID:h.QY8s1Y
463 :
クイナ:01/09/18 07:11 ID:iEgW.ZQw
心騒ぐしかし実体のない夢から、ようやく入来智は目を覚ました。
起きて少しの間、自分が何処にいるのか把握できなかったが、すぐにそこがヤクルト選手
宿舎であることに気がつく。数日前、シーズン後の調整を理由に、古田に言われて自分のア
パートから移ったのだ。
智は枕元の携帯電話をとり、メール・留守録・着信履歴全てをチェックした。弟からの連
絡があったらすぐ起きられるように枕元に置いていたのだが、昨夜は思いの外深く眠り込ん
でしまった。
チェックの結果、彼が待ち望むものはそこにはなかった。智は落胆の溜息をついた。
「祐作、どうしちゃったんだろ・・・」
弟の祐作とこれほど連絡が付かないなんて事は、初めてだった。
いつも、チームメイト達が失笑するほど電話をかけてくる弟なのに。
こちらから連絡つけようとすれば、いつもすぐ付いたのに。
もう30に近い、別々に暮らしている弟と、数日連絡が付かないくらいでこうまで心配
になる方がおかしいのだろうが。
智は何か、言いようのない不安を感じていた。胸の奥がざわざわと熱く騒ぎ、そのくせ、
冷たく重い物が鳩尾辺りで固まっている。
あいつは俺なんかよりもずっとしっかりした男だ。大丈夫。きっともうすぐ連絡が来る
さ・・・。
そういくら自分に言い聞かせても、不安は薄らいでくれない。それどころか、叫びだし
てしまいたいくらいだ。
自分を落ち着かせようと胸へ手をやると、指先にペンダントが触れた。
いい年した兄弟がお揃いのペンダントをつけるなんて、とよくからかわれたものだが。
今はこれだけが、自分と弟を繋いでくれているような気がした。
465 :
:01/09/18 12:30 ID:cOh0fsd2
「球界の黒い闇」がなんなのか、川相の知っていることがなんなのか
めちゃ気になる・・・
466 :
カミサマ:01/09/18 13:21 ID:g5.4ONKk
川相タン、じらすじらす、、、
しかもプログラムの内容を知ってい人は
何人か出てきているのになぁ(´。`)
きっと最後の最後なんだろうな>真相
467 :
:01/09/18 19:29 ID:6agbeQV6
メンテね。
468 :
乱入:01/09/18 20:23 ID:KinJlhc.
469 :
:01/09/18 20:24 ID:6agbeQV6
>>468 自分で書きなさい。
私はこっちで手一杯。
470 :
番外編:01/09/18 21:23 ID:XeHjfTks
そのころ「千と千尋の神隠し」の大ヒットに沸くスタジオジブリでは、
読売ジャイアンツの選手松井秀喜と元選手モスビーをモデルにした
お正月映画「ゴジラvsモスラ」の制作に取りかかっていた。・・・(完)
471 :
:01/09/18 23:47 ID:nPb79nGU
>468
作ってくれ、かよ!
このスレの1を見ろ!
「・・・・ボス!?」
演技ではない、動揺したその声を最後に、聞こえてくるのはノイズばかりになった。
発見されたか。意外に見つからなかったな。男はそう考えると装着していたヘッドホンをゆっくりと外し、サイドテーブルに置いた。
これで向こうはどう出るだろう?状況から考えて、自分が仕掛けた物と分かるまではそう時間は掛かるまい。
しかし、それが分かっても直接はこちらに手は出せまい。そうなるように慎重に動いてきたのだから。
と、なると次に向こうが打つ手は・・・・
思考は電話の音で中断された。自分がここにいることは極一部の人間しか知らないはずであったが、しかし男は驚かなかった。
なるほど、そうきたのか。男は内心頷くと、ゆっくり受話器を取った。少し間をおいて、言葉を発する。
「・・・・もしもし」
「・・・・随分と小賢しい真似をしてくれるじゃないですか」
相手の声は、明らかに苛立っていた。冷静にならねば見える物も見えないだろうに・・・・
内心で嘲笑しながら、苛立ちを煽るべく、とぼけて続ける。
「ああ・・・・宮田さんですか。何の用ですか、こんな時間に」
473 :
番外編2:01/09/19 00:28 ID:y2Z29yuI
「何の用・・・・? 何をぬけぬけと!ウチの原に盗聴マイクを仕掛けて、何を企んでいるんです!」
そう、男・・・・ すなわち森監督は原を送り出す際、盗聴マイクを仕掛けたのだ。
思いがけない話に動揺している原の隙をついて、それを滑り込ませるのは造作もないことだった。
もっとも、得られた情報は大して目新しい物は無かったのだが。
「はぁ、そんな事があったのですか。お互い気を付けないといけませんな」
宮田の性格からして、ここらが我慢の限界だろう。森には、相手の歯ぎしりが聞こえるような気がした。はたして。
「まだ言うのか!いいか、これ以上なめた真似をすると掛け金は没収するぞ!」
思わず受話器を落としてしまいそうな大声が響いた。もっとも、それすらも予想済みだったのだが。
掛け金没収・・・・それがそちらの切り札か?もしそう思っているのならとんだお笑いだ。
無論、そっちの方が都合が良いのだが、な。
「え?それは困る。私は大きく張っているんだ。それは勘弁してくれ、な?」
さも狼狽したような声を出す。それに気を良くしたのかー
「だったら。今後はおとなしくしているんだ。いいな?」
勝ち誇った響きで宮田はそう言い残し、電話は切られた。
474 :
番外編3:01/09/19 00:29 ID:y2Z29yuI
これで向こうはどう思うだろうか。盗聴マイクは潰してこっちに釘も刺した。
どうせ漏れた情報は大したこともないし何も影響はない・・・・か?
確かに目新しい情報は入ってこなかったがいくつかの情報は確認できた。それはあの推論をますます強固にさせー。
そこで森の思考は中断した。誰かがドアをノックしている。森は少しの間ドアを見つめると慎重に近づき、ドア越しにどなたですか、と聞いた。
「失礼しました、部屋を間違えたようです」
男の声 ー声からして年配だー が響き、そして足音が遠ざかっていった。
森はそれを聞き分けて一息つき、ゆっくりと部屋の奥に戻っていった。
誰が見たろうか。今のやりとりの間に森がドアの隙間からそっと封筒を差し出したことを。
誰が気づいただろうか。それを受け取り、去っていったその男こそあの堤オーナーであったことを。
475 :
、:01/09/19 01:04 ID:isE1KoRM
堤!役者が揃ってきたネ!!
476 :
高野 忍:01/09/19 02:46 ID:4a3AGP8E
「待……っ!」
やけに歯切れの悪い声が背後から聞こえた。
こちらから向こうが見えない以上、向こうからもこちらは視認できないだろう。
すぐに撃たれるという恐れはないが、この腕では追われると厄介だ。
俺は入来のいるあたりへ向けて一発牽制する。
「高橋を殺したのはお前だからな……入来!」
そうだ、お前が俺に命中させなければ俺の弾もまた高橋には命中しなかった。
お前が守ろうとした高橋は、お前に殺されたんだ。
せいぜい、苦しめ。
そうでなくてはこの腕、到底釣り合わない。
477 :
UUU:01/09/19 05:14 ID:oMptaDQk
その時島へ宮内率いるオリ軍団がすうきの旅客機をハイジャックし向かっていた
宮内は常日頃なべ常たちとは仲が悪く対立関係にあった。
そして行動に移ったその島へ全てもの旅客機に核を搭載させ突っ込んだ
そして全ては終わった
478 :
エピローグ:01/09/19 05:21 ID:oMptaDQk
パパなんで日本では大リーグみたいなスポーツは無いの…。
それわね昔日本でも野球という名前で盛んなスポーツだったんだが
長嶋やなべ常という人がいて…。
ふ〜んそなんだ
それでなくなったんだまぁいいや今日はイチローの引退試合だね
早く見に行こうよ
父親は何を思ったのか日本でも野球が盛んだった頃を思い出してか
ため息をつくと我が子を追いかけていった。
fin
巨人軍バトルロワイヤル
479 :
うううう:01/09/19 05:23 ID:oMptaDQk
fin
「朝早くに申し訳ありませんな、渡邊さん、長嶋さん」
来客室のソファにゆったりと座りながら、古田敦也は言った。
「かまわんよ。老人は朝が早い」
渡邊は古田の向かいに座っていた。
その隣で長嶋が、薄ら笑いを浮かべながらも戦々恐々として座っている。この男の
「古田アレルギー」は有名だ。
正直渡邊も、この古田という男は苦手であった。
かつて「欲しい欲しい病」の長嶋の要請で彼の獲得へ乗り出したことがあったが、
巨人軍得意の外堀を埋めていく作戦は、全てに先手先手を打たれて失敗した。「球界
一の頭脳」は、必ずしも野球に限ったものではないらしい。
「ま、お二人とも早いところ「ゲーム」へ戻られたいようですから、手短にいきま
しょうか」
さらりと言った古田の言葉に、ぎくりっと長嶋の体が強張る。
馬鹿者が。
渡邊は腹の中で毒づいた。
己が絶対的優位になければ肝の座らぬ小物め。それだからいくら戦力を付けてやっ
ても優勝なぞ出来んのだ。
「手っ取り早く言えば、うちの選手に手ぇ出さんといて欲しいんですわ。元おたくの
選手言うても、今じゃすっかりうちの水に馴染んでいることですし」
入来兄のことか。あの、役立たずのくせに巨人軍を出た途端活躍し始めたあの男。
そう言えば、長嶋が「兄弟対決でも〜」などと言っていたが・・・。
長嶋は小刻みに手を振るわせていた。口元には余裕を見せようとでも言うのか、相
変わらず薄ら笑いを浮かべているが、それもひどく白痴的だ。
そうだ、昨晩ガルベスを脅迫し、入来兄を拉致させに向かわせたが・・それっきりだ。
連絡はおろか消息も掴めない。
「なんのことかね?今回のうちの補強戦略には・・・」
空とぼけようとする長嶋を、古田は片手を挙げて制した。それだけの動作だが、異様
な威圧感がある。普段の「古田敦也」からは到底伺えぬものだ。
「まあ、厭だ言われても困りますんで。あまり良い返事を頂けなければ・・・」
古田の口元が薄く笑んだ。
「それはそうと、お二人が所持しておいでの株は実に面白い動きをしますなぁ。あ、いや、
名義はお二人のものじゃ無いのでしたね、失敬失敬」
渡邊の目がすっと細められた。
いかに読売グループが強大と言えど、無尽蔵に金が湧き出ているわけではない。
ワンマン渡邊と言えど巨額の金をぽんと動かせるものではない。増して、今回の
ような非合法な事には。
それらの資金源の一つが株だ。無論この不況時には多大なリスクが伴い、なかなか利
を上げられるものではない。
まともなことをやっていれば、だが。
「このご時世に株で儲けられると言うのも不思議ですねぇ。千里眼でもお持ちで?」
古田の唇は相変わらず笑みを形作っている。
だが、目は笑っていない。眼鏡の奥の小さい目は、怜悧な光を宿して目の前の2
人の老人を見据えている。
耐えきれなくなったのは長嶋だった。
「しょ、証拠があるとでも言うんですかね?ええ」
渡邊は嘆息した。
この男が告発するだのと言う単純な真似をするものか。
この一見サラリーマンめいた風貌の男も又、黒い霧を身の内に孕む者だ。
「証拠?なんのことですかな?」
古田はしれっとした表情で言った。
「ふざけているんですか、君は」
「私は株の話をしただけですわ。ただ、お二人にあやかりましょうとか思い
ましてねぇ。私もちょっとした「からくり」を作ってみたんですわ。まあ、
まだ動かしてませんけどね」
古田の笑みが深くなる。
「ここでのご返答次第で動くかどうか。動いたときは、2時間後くらいの市場
が面白いでしょうなぁ」
481 :
:01/09/19 11:25 ID:RfbtLSGE
え!!終わってんの!?Σ(―□―;)
ヤベェ フルタ カクホウ ガ タノシイ・・・
バトロワキョジングン ナノニ・・・
482 :
:01/09/19 11:48 ID:xUbhETKs
>481
楽しんでるところ申し訳ないが、
古田ってこんなじじむさい話し方すんの?
483 :
:01/09/19 11:49 ID:4a3AGP8E
するする
484 :
:01/09/19 11:50 ID:Epymy1VA
>>481 かなり話が広がってるのでまぁいいんじゃないスか(笑)<古田編
ただ巨人関係者を絡めるのは忘れない方がいいかと。
楽しませてもらってます。頑張ってください。
>>481 うわぁ、古田いいキャラクターだなぁ。
長島カントクが震えてるよ、、、w 続き楽しみにしてます。
このプログラムが始まる前夜、長嶋はとあるビルの地下室にいた。
「監督、連れて来ました」「うむ」
連れて来られたのは両手両足を縛られた川上哲治、
かつて打撃の神様と呼ばれ、引退後も球界のドンとして君臨した男である。
「川上さん、すみませんね夜遅く」「な、長嶋?一体どういうつもりだ!」
「おやおや、まさかあのことを忘れたわけじゃないでしょう」
巨人が3位に終わった1980年秋、川上の提言によって長嶋監督が解任され、
代わって藤田監督が就任したのはあまりに有名な話である。
「私はあの屈辱を片時も忘れたことは無いんですよ。もう別所さんも千葉さんもいない今、
あなたを守る人はどこにもいないんだ」
「おい何を言う、おまえまさか」「そのまさかですよ」
長嶋は一本の赤いバットを取り出した。
「それはワシがおまえにやった赤バットじゃないか」
「そう、これであんたを殴り殺す日をずっと待ってたんだ!」
勢い良く振り下ろされたバットが川上のこめかみにめり込む。「ぐはっ」「げほっ」
「今までさんざんでかいツラしやがって、ほら、なんか言ってみろよ」
「長嶋・・・ワシはいつかこんな日が来るってわかってたよ」
「ふん、この期に及んでまだいばるつもりか。内心びっくりしてるんだろ?」
「ワシが沢村さんをやった時からもう決まってたんだよ」
「な、何?沢村さんは戦死したはずだぞ!」
「本当はそうじゃない。ワシと水原さんとスタルヒンで殺した。
今思えばあれが全ての始まりだったんだ。おまえもそのサイクルの中にいるのさ。
殺すなら殺せよ。ただ、これだけはよく覚えておけよ」
川上は、目をカッと見開いて言った。「おまえもいつか殺されるってことをな!」
「うあああ」長嶋が狂ったようにバットを振り下ろす。
殴り続けながら、長嶋は何ごとかしきりに呟き続けている。
「YはYahweh(ヤハウェ)、GはGautama(ゴータマ)
Yはyell(叫び)、 Gはgenocide(虐殺)
Yはyoke(くびき)、 Gはgrief(悲しみ)
Yはyield(産出)、 Gはguilt(罪)
Yはyellow(黄色人種)、Gはgovernance(支配)
Yはyes(肯定)、 Gはgeneration(生成)」
川上はもうピクリとも動かない。
「監督、もういいでしょう」「ハッ?あ、ああ、そうだな・・・」
長嶋はペッとつばを吐くと屋外へと出た。
「ああ、月だ、きれいな満月ですよ。明日はいい天気だ。
いよいよ明日からプログラムの始まりだ」
YGをめぐる深い闇・・・
この黒よりも暗い闇の中に、それぞれの人生が飲み込まれていく。
488 :
:01/09/19 16:18 ID:cFND6Pbk
なんかえらいことになってまいりました・・・古田に沢村・川上とは。
本編もサイドストーリーもすげえ面白いです。今後にさらに期待しる!
489 :
:01/09/19 16:23 ID:o1PDCN6I
河原さんが登場してきて嬉しいです、
進藤さんのモノローグもヨカタYO
河原&南の続きをきぼん。
そういえば、元奥さんの源氏名って
ミナミっていうんだったっけ???
490 :
補完1:01/09/19 17:14 ID:Bv9BPTQE
江藤智(33)は、全身に感じる痛みで目を覚ました。痛みに顔をしかめて上体を起こす。
これは夢だと思いたかったが……転落した時に打ち付けたその痛みと、
そして何より目の前に転がる大場(63)の死体が容赦のない現実を見せつけていた。……自分が殺したのだ。
恨みは無かった。襲われたわけでもなかった。ただ、周りの人間全てが怖かった。
…最初に狙われるのは自分だ、江藤はそう感じていた。
自分のエラーのせいで、今年は一体何点失ったのだろう。そのせいで落とした試合がどれだけあったろう。
結果優勝を逃し、こんなゲームをやらされたのだとしたら…
だから、自分に復讐しようと考える選手がいてもおかしくない。いや、必ずいる。
だったら、やられる前にやるしかないんじゃないか?そう考えて、江藤は他の選手が出てくるところを不意打ちする事にした。そして、二人目の松井に返り討ちにされてー
…どのくらい気絶していたのだろう?いや、そんなことはどうでもいい。
とにかく次に選手が出てくる前に隠れないと…
江藤の思考はそれが最後だった。後頭部に衝撃を受け、江藤は立ち上がろうとして片膝をついた姿勢のまま前のめりに倒れた。
江藤の後頭部には、大場の物と同じ矢が突き刺さっていたのだが、勿論江藤がそれを見ることは出来なかった。
491 :
補完2:01/09/19 17:17 ID:Bv9BPTQE
小野仁(13)は、最早江藤が動かないのを見ると引きつった笑みを浮かべた。
あんたが悪いんだ。あんたが大場を殺したんだろう、普段はおとなしそうな顔をしやがって。
俺のことも殺すつもりだったんだろう。だからあんたが悪いんだ。
内心でひとしきり江藤を罵ると(結局それは言い訳に過ぎなかったのだが)小野は立ち去ろうとした。
が、数歩進んだところで立ち止まり、引き返してくると
「死人には必要ないよな。無駄にしちゃいけないよな」
そう呟くと江藤の物だったバッグを回収し、今度こそ闇に消えていった。
絶対に俺は生き残ってやる。そう呟きながら。
「ああ、それとその「からくり」は自動実行機能もありますんで」
つまり、ここで古田をどうこうしたところで、何にもならないというわけか。
つくづくと厭な男だ。
「わかった」
渡邊は言った。辞めさせた選手一人を「プログラム」へ組み込もうと執着して
余計な損失を被っても仕方がない。
「おたくの選手へは手を出さない。それでいいだろう。もし手出ししたと判断し
たら、いつでも「からくり」を動かすがいい」
隣で長嶋が不満げな唸り声をもらす。この男のことだ、入来兄弟対決などとや
らせて悦に入りたかったのだろうが。
「ありがとうございます」
古田はニッコリと微笑んだ。普通に見れば十分人好きのする笑顔だろうが、今の
長嶋には憎々しいことこの上ない。
「礼と言うてはなんですが、別の「からくり」を動かさせてもらいますわ」
「ほう」
「ま、ささやかなもんですがね。後で市場確認しといたってください。ちょ
っとは喜んで貰えますやろ」
「・・・君は野球選手よりももっと別なものになれたんじゃないかな」
もっとも、そのお陰で助かったという人間が多いだろうがな・・・渡邊は
胸の内で一人ごちた。
「・・・話はおわりですね。私は失礼させていただきますよ」
長嶋がいらただしげに立ち上がる。金のこともさることながら、自分の考えて
いたちょっとしたゲーム企画を潰されたことが腹立たしい。自分の配下を出て
から活躍した男と、黙々と従いながらもら自分へ冷ややかな眼差しを向け続けた
男とを苦悩させてやれたものを。
「『ゲーム』へ戻られますか」
ドアへ向かう長嶋へ古田が言った。長嶋は無視して出ていこうとした。
「ゲームと言えば、ボーナスゲームなんてのがありますねぇ」
いきなりなにを言い出すのか、この男は・・・。
「他より目立つ敵が出てきて、そいつを打ち落とすと大量得点が入る。ところが
それに気を取られててうっかり雑魚にやられるなんてことがあったり」
長嶋はドアノブへかけた手を、少しの間止めた。
成る程・・・・ボーナスゲーム、か。
仏頂面だった長嶋の貌に薄ら笑いが浮かぶ。
面白いことを言ってくれる。
廊下へ出た長嶋は、にやにやと笑いを浮かべながら足早に歩き始めた。
己がちらつかせられたエサに飛びついたに過ぎぬとも気がつかず。
愚かな男だ。
渡邊は冷たく長嶋を見送った。
自分が手玉に取られているとも知らず、嬉々として行きおった。
まあ、いい。実際に事に当たらせるのは、あの程度が丁度良い。下手に高い
知性の持ち主では却って邪魔になる。
「では、私もここで失礼しますわ。あ、見送りは結構ですんで」
古田が立ち上がり、一礼するとドアへ向かった。
「一つわからんことがあるんだがな、古田君」
渡邊が声をかけた。
「なんですかな?」
「入来智は今季こそ活躍できたが、年齢などを考えれば来期の保証は無い選手
だ。その程度の選手のために君が尽力するのがわからん」
古田が少し笑った。
「まあ、こう見えても私もなかなかロマンチストで」
「似合わんな」
「庭師としては、自分の咲かせた花を他人に散らされるのは我慢出来ませんわ」
「遅咲きの小さな花など、そう長くは咲けんだろう」
「その時は、自分の手で散らさせてもらいます」
それでは、と古田がドアを閉めて出ていったとき、渡邊は我知らず太く息を吐
いていた。
493 :
:01/09/19 19:31 ID:fC7Epliw
松井は、いつもの東京ドームにいた。
「ジャイアンツ、バッティング時間終了です。」
いつもの練習風景。いつものスタンド。そしていつものチームメイト。
ああ、今までのは悪夢だったのだ。悪い夢を見ていた。俺としたことが・・。
練習を終えベンチに松井は戻った。ベンチの付近にいた二岡に話しかけた。
「ようッ、二岡」
ごとっ、という音とともに、二岡の首が地に落ちた。
ベンチを見ると、みなの様子がおかしかった。
條辺剛ののどがすぱっと裂けて、スイカの切り口みたいになっていた。
ダレル・メイの頭にカマが刺さっていた。
村田義則の頭が熟しすぎた果実のようにはぜ割れていた。
マルティネスの頭が半分無くなっていた。
西山一宇の顔にナタが刺さり、その顔の左右がピーナッツを割ったときのように上下にずれていた。
小野仁の目の玉がつぶれ、白い液体が血とともにあふれ出ていた。
河本育之の頭が木っ端微塵に消え去っていた。
要するにみんな――――死んでいた。
「うわああああああああああ!!!!!」
「どうしたんだ、松井?」
川相は聞いた。
「・・・・・・・悪い夢を見ました・・・・・・。」
494 :
クイナ:01/09/19 19:41 ID:KQURHKqE
イイアル!!
495 :
:01/09/19 20:05 ID:oTO9TpDg
なんかおれ、今日は妙に高橋(尚)に肩入れして試合見てるんだが。
496 :
.:01/09/19 20:20 ID:x3a1a8HI
なんつーか、ここ、すごい優良スレなのにほかのどこよりも関係者禁な気がするヨ!
497 :
:01/09/19 21:24 ID:PGCvqOu.
498 :
:01/09/19 21:39 ID:VUTOfp6E
しかし、ここに一体職人は何人いるんだろ?
実は意外なほど人数少なかったりするのかなぁ・・・・
499 :
今更だが:01/09/19 23:22 ID:bR807Pno
福井の最期が好きだ。
500 :
:01/09/20 01:07 ID:UhhrkwVQ
500GET記念age
501 :
あのう:01/09/20 05:38 ID:moMhvfPg
あ
502 :
あのう」:01/09/20 05:43 ID:moMhvfPg
本編は479で終わりでしょうか?
ある意味オリジナルより意外で少し気に入ってるんですが
今の古田編とかは銀英伝で言う外伝みたいなものなのでしょうか?
最後は核で全てが終わったの!!
しかも宮内(少し笑タ)
503 :
ウヒョー:01/09/20 05:50 ID://0sgv2U
>>492 古田かっこいい・・・つか怖ええよぉーーー
でも話し方とかソクーリで(・∀・)イイ!!ね
>>492 松井編は夢でホッとした(w
504 :
:01/09/20 08:49 ID:SsB4bIck
終わらせないでくれ〜
505 :
後藤編1:01/09/20 10:34 ID:w2zojDGo
後藤は薄闇の中に身を潜めていた。
木村とやりあって以来、誰とも出会っておらず、無論殺してもいない。
二十四時間にわたってひとりの死人も出なければゲームオーバー、
全員の首輪が仲良くドカン、というルールだが、そんなに焦って殺して回る必要はない。
放送ごとの死者の増え具合は意外なほどで、
そこから推すにこのゲームに乗った奴はおそらくひとりふたりではないはずだ。
時間切れという事態はまずあるまい、慎重を期すに如くはない。ことに手負いの自分は。
そう踏んで後藤は、しばしどこかに隠れていることにした。それがこの場所だ。
農家風の家の傍らにある、見てくれとしては波板の箱。口は二面に開いている。
どうやら農機具置場らしく、トラクターやら鋤鍬の類やらが雑然と並んでいた。
まともな建物ではかえっていざというときに対応しにくいと見てのことだった。
立て篭もるならいざ知らず、静粛に開閉する窓や扉は侵入者の察知を遅らせようし、
きちんと掛かる鍵は逃げ道を塞ぎかねない。
その点ここならいくらかは外も見えれば音も通る。もちろん定時放送も聴ける。
ビニールトタンの壁はなんとなれば蹴破れるし手近な鍬でも使えばさらに容易に壊せる。
しばらくは、それこそ生き残りが片手の指で足りるくらいになるまではここで凌げよう。
だが――思いの外早く、後藤はそこを出ることになった。
ひどく暑く、喉が渇いて仕方がない。さほどの時を待たず、支給の水は空になった。
暑いのでなく熱いのだ、とやがて気付いた。つまり、自分が熱を出しているのだと。
発熱の原因は、木村に負わされた傷に違いなかった。
ただでさえそのために左手はろくに使えない、後藤は木村を恨みかけたが、
むしろ逆で然るべきだろう、なにしろ――木村を殺したのは誰だ?
そんなことより、水の調達手段を考えるべきだろう。
後藤は先刻、雨水を集めるタンクらしきものが母屋の裏手にあったのを見ていた。
あれを開けるなり壊すなりすれば、空ボトルを満たして余る水が手に入るに違いない。
だが、外へ出るのは危険が伴うとわかっていた。なるべくなら避けたい。
それで後藤はしばらくは辛抱したが、どうにも耐えられなくなって腰を上げた。
506 :
後藤編2:01/09/20 10:36 ID:w2zojDGo
外へ踏み出した瞬間に、視界の端で人影がびくっと足を止めるのが見えた。
もっともはたから見れば後藤自身もおおかた同じような反応をしていたのに違いないが。
ともかく――ほんの5メートルそこそこの距離に立っているそれが、
野村空生であることはすぐにわかった。
さらに野村がその手に、ちょうどバットほどの、
いわば手頃なサイズの棒切れを下げていることも。
逃げるかと思いきや、野村は棒切れを振り上げて躍りかかってきた。
あるいはやけっぱちかもしれない、こちらの手にある銃が見えないはずもないのだから。
ピッチャー相手だ、ストレートで真っ向勝負してやるとも。
後藤は銃を持ち上げ、両手で構えた。続けて三度、引き金を引く。
野村のユニホームの腹が弾け、その身体が反転してうつぶせに倒れる。
左肩だけで掛けられていたデイパックが主を離れ、1メートルほど先にぼさっと落ちた。
同時に中身がこぼれて散らばる。
後藤の目はその中に混じった水のボトルへ吸い寄せられた。
引き剥がすのには少々努力と時間を要した。
幸いその間に野村が起き上がることも、他の誰かが襲ってくることもなかった。
後藤は改めて二呼吸ほど銃を構えたまま野村の様子を窺い、なんの動きも見せないことを
――つまり仕留めたことを確認し、さらに周囲を見回してから野村の荷に近付いた。
屈み込んで、水ボトルのキャップを右手でひねる。
そのとき唐突に、まったく唐突に、後藤は後頭部に衝撃を感じた。
一瞬視界が暗くなる。立ち直る間もなく背後から、今度は喉へ圧迫が加わった。
まったく容赦のない力で絞め上げられて、呼吸ができない。
文字通り死に物狂いで右手の銃を野村の胴に押しつけ――そこでやっと、
銃なぞとうに手から離していたことに気付いた。
その事実は、後藤の気力を著しく削いだ。もちろん諦めたわけではないが、
結局のところ、残った全てを費やしてさえ後藤にできたことは、
自らの首にかかった腕を掴んで爪を食い込ませるところまでで――
それを振りほどくことはついにかなわなかった。
507 :
えー:01/09/20 14:37 ID:sdZ4wAi6
後藤も逝ってしまったのね。もう少し代打成功率上げてからにしてほしかった。
野村はいらないよね
508 :
:01/09/20 15:52 ID:ovUC4xrg
データ量が大きいから、早めにpart2に移行したほうがいいのかな?
509 :
:01/09/20 16:23 ID:M07bGwQs
そらなまが織田か(w
510 :
:01/09/20 16:27 ID:6hlwFqUQ
松井の悪夢で思ったんだけど二岡って死んだの?
511 :
:01/09/20 16:29 ID:wKuyk5ic
このスレageるのはヤバイって…。
基本的にsageで進行すべし。
>510
原作にもあるシーンだよ、主人公(=七原、ここでは松井)が
クラスメート全員しぼ〜んの夢をみる。でも夢だった。あーよかった、っていう。
だからここも銭は死んでないだろ
513 :
:01/09/20 16:43 ID:dZMzSn2Y
メンテ以外はsageの方がいいですか?(やっぱり関係者禁
・・・矢追サイト以上に・・・)
「由伸か・・・お前は生き残ってると思ってたよ」
仁志はアイスピックを握り直して高橋と向かい合った。
「仁志さん、相変わらずガッツあふれる動きですね。チビのくせに。」
「お前のイヤミったらしいのも相変わらずだね」
「いい加減コツコツねばるプレーも身に付けたらどうですか、チビなんだから」
「眉毛の手入れはしなくていいのか?男前が台なしだよ」
高橋は銃を仁志の眉間に向けて構える。「よいこそっくりの悪い子だな、死ぬか?」
仁志がとっさに脇の草むらに飛び込むと同時に高橋の銃が火を吹いた。
「ぐっ」仁志の左足に激痛が走る。――また足か・・くそっ
「おい逃げてんじゃねーよ。そうやって俺たちの後ろに隠れてホームラン打ってたんだろ?」
―ふん、ここはひとまず逃げた方がいいね。武器が違いすぎなんだよ。
仁志は森の中に入っていく。高橋はゆっくりその後を追う。
「なあいつものビッグマウス見せてくれよ。巨人を変えたいんじゃなかったのか?
速急には強いらしいから俺のタマをアイスピックで打ち返せばいいじゃん」
―なんだあいつ、あの調子だと相当殺してるな。キティだよ。
しつこいから勝負するしかないか・・俺に四球狙いなんて似合わないからね。
気付かれないように回りこむ。仁志を見失った高橋の顔色が変わった。
「なんだよチビにも得なことがあるんだな。」言葉の裏に動揺が見て取れる。
「盗塁は失敗するくせにこんな時だけ抜け目ない動きしやがる」
仁志はタイミングを伺いながらなぜか昔のことを思い出す。
―負けず嫌いでくだらない意地ばかり張って来たけど、結局俺の人生何だったんだろう。
周りに適当に合わせるなんてできなかったし、出た結果は全て自分で引き受けて来た。
後悔しないために全力で生きてきたんだ、俺は誇りに思ってるよ。
後に残った家族にも俺のことを誇りに思って欲しいけど・・今だよ!
仁志は高橋の背後から飛びかかった。
515 :
:01/09/20 17:54 ID:anmkFxIc
>>514 ごめん、かぶったけどUPさせて下さい。
本当にすみません。
516 :
その1:01/09/20 17:55 ID:anmkFxIc
仁志は少し戸惑いながら、高橋由伸を見上げていた。
由伸は――やる気なのか?由伸が――
天才と称されるほどの野球センス、王子様系のルックス、慶応大学出身などなど
他人から見れば妬ましいほど、すべてに恵まれているのに。
確かに、二重人格で性格に裏表があるとか、何を考えてるのかわからないとか、
クールを装っているとか、陰口をたたかれたりはしていた。
まぁ、俺も結構いろいろ言ったかもしれない。本人の前ではっきりと。
練習の途中、清水や二岡と談笑してたかと思うと、急に由伸だけ真顔になって
遠くを見てるような事が時々あった。見えない何かを睨み付けるように。
それでも「由伸はそんな顔と、三振してくるくる回った後の顔が1番かっこいいよな」と
清水にからかわれ、真っ赤になって否定している由伸は妙に可愛らしくて、
本質は、親や年の離れた兄達にかわいがられて育った末っ子、なんだと思っていた。
――あんな時の由伸の目には、何が見えていたんだろう?
「大丈夫ですか?」
由伸は訊いた。ひどくやさしい声だった。
その声で仁志は、現実に引き戻された。もうあの頃には戻れないのだ、誰も。
今、目の前にいる由伸の右手にあるのは、バットではなく大型の自動拳銃だ。
銃を仁志に向けることはしなかったが、安心すべきではない。
仁志は手近な木の幹につかまって、何とか立ち上がった。右脚が重い。
「まあね」と短く答えた。
由伸は小野の死体をまじまじと見つめ、それから仁志が手にしている
アイスピックを見た。そして心から感心したような口調で言った。
「そんなもんだけで、やっつけたんですか?すごいな、尊敬しちゃうな」
目はきらきらと輝き、うきうきしているような感じすらあった。
仁志はまた「まあね」と答えた。大量の失血のせいか脚ががくがくする。
「前から思ってたんです。仁志さんは俺と違って、周りの意見に
流されたりしない。いいなぁって」 微笑みながら由伸は言った。
517 :
その2:01/09/20 17:56 ID:anmkFxIc
仁志は由伸の意図が読めないまま、その顔を見つめていた。
由伸は食事のメニューがなかなか決められずに、「じゃぁ、俺も同じのを」
ってことが多かったけど、そんな意味で言ってる訳じゃないよな・・・
野球に関しては、プライドが高く頑固なところもあるし。
なんだろう、気持ちとか、生き方とか――そんなことか?
逆指名会見の時の表情からして、巨人入りは本意ではなかったのだろう。
由伸にとって今の自分は、激流に流されたすえにできた偽りの自分なのか?
俺には、わからない。由伸の心の中までは。――心の闇までは。
脚がふらつき、慌てて木の幹をつかみ直す。
俺は、もしや、この見知らぬ由伸を恐れているのか?
「俺、ちょっと羨ましかったんですよ」由伸は続けていた。
「おいおい言い過ぎって思う事も多かったけど、俺もあれくらい遠慮なく
ずばずばと、言いたい事を言ってやりたいって思ってたんです」
仁志は黙って聞いていた。何かおかしかった。
すぐに気付いた、なんで、由伸は、過去形で、喋っているのか?
「だから」由伸の目がいたずらっぽく笑う。以下は現在形に戻った。
「仁志さんみたいなタイプ、俺、結構好きなんですよ。
あ、変な意味じゃないですよ。ホントに。だからとても――」
仁志は目を見開いた。ばっと体を翻すと、走り出していた。
右脚はやや引きずっていたが、ホームスチールを狙うかのような猛ダッシュで
木立の中のゆるいくだり勾配を駆け抜けていた。
「だからとても――」
由伸はコルト・ガバメントをすいと持ち上げ、3度続けて、引き金を絞った。
すでに20メートルばかり向こうまで離れ、なおもぐんぐん遠ざかっていたが、
仁志の背中の8の字のあたりには3つ穴が開き、ヘッドスライディングするように
体が前のめりに飛んだ。うつぶせのまま、ずるずると下り斜面を滑っていく。
由伸は銃を下ろし、言った。
「とても残念です」
518 :
514:01/09/20 18:09 ID:uIOZHmHA
>>515 いやあこちらこそ申し訳ない。
そちらが本線ということで514は無かったことにしましょう。
519 :
:01/09/20 20:24 ID:RK32ImG2
514のほうが二死タンらしくて好き
520 :
☆:01/09/20 21:16 ID:6hlwFqUQ
516の方が原作にあってる感じ
521 :
:01/09/20 21:24 ID:KJgeUQyc
516(原作寄り)だとこの後清水が活躍してくれそうなので嬉しい
522 :
:01/09/20 22:04 ID:nHXD.ji.
どちらも面白い!!
職人さん達にはこんな風に被ってても
UPして欲しいんだからネ!
二度美味しいんだヨ!
523 :
515:01/09/20 22:36 ID:WW3M9MGI
>>518 書くより読んでる方が楽しくなって、これで終わりにしようと思い書いた話だったので
無理にそのままアップしてしまいました。
そんな個人的感情で、話をだぶらせてしまった事を激しく後悔…
本当に申し訳ありませんでした。
524 :
:01/09/20 22:44 ID:wxEqJ8cM
>>523 そんなことを仰っては、オリジナルサイドばっかり書いているワタシは・・・。
多少のパラレルがあってもよいのでは?
525 :
:01/09/21 00:28 ID:EDpeNFxI
514も516も、二死タンスレにコピペされてたアレよりはずっといいんだからネ!
イヤマジデ、トンシスルカトオモタヨ
526 :
:01/09/21 01:17 ID:S8kEtVIM
>>525 あのコピペが続きだったら怖いんだからネ!
527 :
:01/09/21 05:47 ID:wdEZye/6
保全age
高津は愛車の運転席で、来る途中で買ってきたサンドイッチと缶コーヒーを頬張り
ながら古田を待っていた。
朝早く古田に
「高津〜、運転手頼むわ」
と言われて、朝食も取らずに出たことをぶーぶー言ったら、途中でコンビニに寄ら
せてくれたのだった。
最後のひとかけをコーヒーで流し込んだ所で、古田が戻ってきた。
「待たせたな、ほな帰ろか」
助手席に古田が乗り込むのを待って、高津は車を走らせ始めた。
「で?上手く話は付いたんですか?」
高津が聞いた。
「一応な」
「なら、兄やんは無事って事ですか」
少々嬉しそうに高津が言う。彼は「プログラム」の存在までは教えられていない
が、
彼言うところの「ボケかけじーさんども」のせいで、入来智が危険にさらされつつあ
るとは聞かされていた。
普通ならば「なんだそりゃ」と言いたいところだが、相手があの老人どもでは納得
出来たし、シーズン後の調整を名目とした合宿に入ってから、稲葉が常に入来の傍ら
についている。その様子が、尋常ではない事態を高津にも伺わせた。
「ひとまずの安全はな」
そう言いながら、古田は携帯電話を取り出し、ボタンを押した。
「古田やけど。うん、例の件な、案Bの方で動いてや。・・・うん、そう。よろし
く」
短い電話を切り、シートへ深く身を沈めると、高津が声をかけた。
「ねぇ、古田さん」
「なんや」
「なにも、甘い汁吸わせてやるまでしなくても、いいんじゃないすか?」
古田がちょっと笑った。
「まあ、むずがる子供にはあめをしゃぶらせといたら黙るやろ?」
「そんなもんですかねぇ」
「これでちょっとの間は黙ってるわな。別のエサも与えといたし」
しかし、「プログラム」の完全終了宣言が出るまでは、気を抜くつもり
はなかった。
老人に時折見られる粘着質な憎悪。それをあの2人はヤクルトへ向けて
いる。
特に入来は昨年まで巨人に在籍していた。巨人に捨てられた彼が、巨人
に対して勝利を飾った日、ヤクルトは初めて「首位」へ躍り出た。その後
の入れ替わりがあったとはいえ、さぞやあの老人どもには腸の煮える出来
事であり、入来の無邪気とも言える笑顔も、憎たらしくてたまらなかった
だろう。逆恨みと言うも愚かだが、ヤクルトへの歪んだ憎悪が入来へ投影
され、本来関係もない「プログラム」へ巻き込もうとした。
させるものか。
古田は目を細くした。
うちのチームへ、メンバー達へ、手出しなどはさせない。貴様らの薄汚
い指一本でも触れさせなどはしない。俺の咲かせた花を、貴様らになど散
らされてなるか。
古田はこれまで、闇の部分へ積極的に触れようなどと言う愚を犯すこと
はしなかった。降りかかる火の粉を払いこそすれど。
だが、「プログラム」が動きだし、それが自分のチームのメンバーを巻
き込もうというのならば別だ。
ひとまずは、連中の資金源の一つへ揺さぶりをかけて、その後で飴を与え
てやった。渡邊は狂人に近いが愚かではない。入来一人を巻き込むために、
大損覚悟するようなことはない。
もう一人のどうしようもない男には、もっと美味そうなエサを蒔いてやった。
今頃、古田の与えたアイデアを元に色々とろくでもないプランを立てて悦に入
って居るところだ。
だが、もう少し保険はかけた方が良いだろう。エサをしゃぶり尽くす前に
別のエサも与えてやらなくてはなるまい。
既に古田の頭脳は次の、そのまた次の布石を考え出していた。
「あ、そうだ」
高津が言った。
「さっき稲葉から電話がありましたよ」
「なんて?」
「取りあえず「後続」は来てないそうです。兄やんも起きて来たけど、まあ
なんも気がついてないらしいし」
「そやろなぁ」
「取りあえず、朝飯をちゃんと食わせて、調整メニューへ入らせたそうです。・・・
ただ・・・」
「なんや?」
「やっぱり、いつもみたいな元気はないって言ってましたね」
「・・・・そうか」
弟と連絡が付かない不安からだろう。入来のいつものとても34歳とは思えない
天真爛漫な明るさはなりを潜めてしまっていた。
古田は窓の外へ目をやった。
「・・・そればかりは、俺でもどんもならん・・・」
その呟きは、どこか寂しげに高津には聞こえた。
パロディで493の続きをやってみる
松井「うわぁぁぁぁあすっげぇ怖ぇええ!」
二岡「お、落ち着いて下さい松井さん!深呼吸、深呼吸ッスよ!」
松井「そ、そうだな二岡。深呼吸、深呼吸っと・・・・
・・・・
ハァハァ・・・・
落ちついてきたよ・・・・
ハァハァ・・・・ハァハァ・・・・ハァハァ・・・・
(;´Д`)ハァハァ (;´Д`)ハァハァ (;´Д`)ハァハァ
(*´Д`*)ハァハァ (*´Д`*)ハァハァ (*´Д`*)ハァハァ」
二岡「うわぁぁああ全然駄目だぁ!た、助けて川相さん〜」
531 :
:01/09/21 10:53 ID:HJhopiy2
>528
ごめんな、あんたみたいに文才もないから、ほんとならたいそうな口叩ける器ではないんやけど、
そろそろ「ヤクルトスワローズバトルロワイアル」かなんかで続き書いてほしいわ。
ちょっと、古田の露骨な頭のよさとかっこよさが鼻についてきてな。
ヤクルトファンなん?
532 :
:01/09/21 11:09 ID:zMB3PL9k
でも番外編なんだし。良いのでは?
俺は古田編も興味しんしん。
533 :
:01/09/21 11:26 ID:ABjwNLW2
>>581 ごめんなさい・・・.
元巨人の入来の兄やん絡みで、頭脳戦も書いてみたかったから
・・・。(あんま頭良くないのにやることではないね)
二岡「あっ川相さん、大変です、松井さんが・・って えええええええ!!?
な、何で全裸なんですかぁ!!しかもビンビンだああああ!!」
川相「二岡、怖がらなくてもいいんだハァハァ、ほら、深呼吸してハァハァハァハァ、四つん這いに…」
二岡「な、なんてことだ、伝統ある巨人軍にこんな伝統が…ハッ?なんだこいつら…」
シンジ「逃げちゃダメだ」
いのき「元気がいちばん、元気があればなんでもできる。二岡、出て来ーい!!」
土井党首「ダメなものはダメ」
二死「二岡、人類は今世紀中に火星に行けるヨ!」
松井「筋肉、ピンチだ〜」
落合「何と言われようとオレ流さ」
ハンセル「ナンデヤネン」
二岡「ダメだこりゃ」
535 :
:01/09/21 12:35 ID:cuyyYNOg
俺も古田編好きだなあ
「そうか、悪夢か。こんな状況だ、無理もないな……
だが松井よ、悪夢ってのは精神のバランスを取ろうとして作り出される物らしい。
つまりお前の精神はまだまともに働いてるって事で」
「川相さん、あの……二岡は」
川相の話を遮って松井は聞いた。あれは夢だ、そう分かってはいたがやはり聞かずに入られなかった。
「ん、さっき見たときは良く眠っていた。もう大丈夫だろう。
そういえばそろそろ起きてるかもしれんな。ちょっと見てくる」
そう言うと川相は部屋から出ていこうとしてドアの所で立ち止まり、
…夢は夢だ、余り引きずるなよ。と言い残して出ていった。
それを見送ると、松井は身を起こした。
ああ、夢で良かった……とは素直に喜べなかった。現実はあの夢と大差ないのだ。
既に多くの選手達が命を落としている。今こうしている間にも誰かが無惨に死んでいるかもしれない。
そしていずれは自分達も……
「いかん、引きずられているな」
嫌な考えを振り払うように、松井は呟いた。川相さんの言うとおり、あれは夢に過ぎないのだ。
自分は生きている。二岡も生きている。川相さんも生きている。
……取り敢えずは、それで十分じゃないか?
気合いを入れるかのように自分の頬を数回叩くと、松井は仲間達の元へと歩き出した。
その歩みは、力強い物だった。
537 :
:01/09/21 18:00 ID:1hjDWUmo
川相カッコイイ!!
さりげないとこがまたイイ!!
538 :
:01/09/21 20:02 ID:8rZ8ZQGs
536で眠ってる二岡が、530や534のような夢をみてるのかもな(w
桑田は後藤と野村の戦いをぼんやり眺めていた。
――おお、大逆転だ、おもろいなあ。しっかし野村は落武者にしかみえへん。気持ちわる。
目の前で仲間が殺し合いをしているというのに、桑田の心は少しも動かない。そのことに
満足すべきなのか、そのことを哀しむべきなのか、桑田自身にもわからないのだ。
――なんかアホらしなあ。アホばっかりや。まったく、この世の中アホみたいなもんやで。
意味もなく呟くのは、彼のクセだった。思っても見ないことを呟いては、一人で苦笑する。
それをからかわれたりもしたが、別に気にならない。誰かとつながることをあきらめて
しまっているような桑田なのだった。そんな自分が、彼には不思議だった。
――甲子園で優勝して、巨人でエース言われて、それが何やねん。全然おもろないわ。
借金王だの連勝ストッパーだのさんざ馬鹿にされて、挙げ句の果てにこれや。
勝手にやってろや、ほんま。どうでもええわ。俺が気になるのは・・・
清原。そう、彼が今思うのは清原のことだった。そして二人を引き裂いたあのドラフトの
こと。大学進学を表明していた自分のこと。巨人に入りたいと公言していた清原のこと。
清原を指名すると言いながら自分を指名した巨人のこと。「初志貫徹」だとうそぶいて
巨人入りした自分のこと。日本シリーズで清原が流した涙のこと。
――俺はプロになってから泣いたことなんてあったかなあ・・・
キヨ、お前はあの時どんな気持ちだったんだ?そして今何を考えてるんだ?
ふふ・・俺にはお前の気持ちどころか自分の気持ちもわからないんだけどな・・・
桑田は思いを振り切るように立ち上がった。そしてまた苦笑する。
それは清原を探してみようと思いはじめている自分自身への戸惑いでもあった。
540 :
:01/09/21 21:53 ID:D081C1b2
>>530 巨人日記スレじゃん(w
書いたのオレだし
あー筆がすすまねえ・・・
541 :
:01/09/21 22:26 ID:Pa2uhO3M
診察室に入ると二岡はもう既に目を覚ましていて
川相と何やら話していた。
幾分まだぼんやりとした所はあるものの
もうすっかり良くなっているようだ。
松井は心の中ほっと息をついた。
やはり夢は夢なのだ。良かった。本当に、良かった。
「どうだ?気分は」
松井はベッド脇の椅子に腰を下ろしながら尋ねた。
「もう大丈夫です。すみませんでした。
迷惑、かけて――」
二岡は起き上がると二人に頭をさげた。
「何言ってんだ。お前が悪いわけじゃない、そんなの。
それより飯食えるか?ご飯あるぞ」
「ご飯?」
川相の言葉に二岡が驚いた様子で目を丸くした。
「ああ。ちょっと待ってろ。今持ってきてやるから。」
川相はそう言うと部屋を出てキッチンへ戻った。
「松井さん」
「なんだ?」
二岡が少し気まづそうに松井へ向き直った。
「あの、本当にすみませんでした。それとありがとうございました」
そう言って再び頭を下げた。
「いいって。川相さんも言ってただろ?
お前が悪い訳じゃないよ。気にするな」
松井は笑って言った。
「それより飯食ったらもうちょっと休んだ方がいい。
ここ、11時までに出なきゃならなくなった」
「それって・・・」
「ああ。ここも禁止エリアに入る」
それは午後6時の放送で告げられた情報だった。
島の南西の岸沿いと南の山も同時にそうなる。
これで島の南西側にはほとんど近づけなくなった。
「お待たせ」
少しして、川相が盆を持って部屋に入ってきた。
二岡がおかゆを食べている間、
二人は川相が淹れてきたお茶を飲んだ。
お茶はほんのり甘く、懐かしい匂いがした。
「何だか――」
「むやみに平和ですよね。こうやっていると。」
松井がそう呟くと川相は
「後でコーヒーもいれるよ」と笑った。
殺人ゲームの真っ只中、3人にしばらくの休息が訪れていた。
「お母さん、それでも僕は野球がしたい。
だから僕がお母さんを養えるようになるまで待って」
母から父との離婚話を切り出され、彼がそう答えたのは、彼が12歳の時だった。
心のどこかで、覚悟はしていたのかもしれない。何しろ父は定職に就かず
そして子育てに関わることもなく(彼の父親は子育てなど決してしなかった。
「野球をする子」、しかもどうやら自分にはない才能を持って生まれたらしい
「上手にボールを放る子」を育てることにやっきになっていた)
九州からたった一人で嫁いできた母を一人置き去りにしていたのだから。
その時から、彼にとっての「野球」は「好きだから」やるものではなく
母と、そして自分と姉と弟を、父無しでも生きていけるようにするための
「稼ぐ」為の手段になった。
12歳のうちに、彼は将来進むべき道を既に決めていた。
必ず甲子園に行くことのできる高校へ。体の小さいことに不安があるから
すぐにプロへは行かずに大学で体を作る。それから――――
それから、プロ最強の、そして最も裕福なチーム・巨人へ。
こうすれば母も姉も弟も、そして何より自分があの父親から逃げられる。
それも、一匹の魚を兄弟3人で分け合ったり、一着しかない学生服が
汗で塩が吹いてしまう、などという貧しさからも逃げられるのだ。
しかしそれと引き換えに、
彼は本来ならば誰もが通過する「少年期」というものを永遠に失った。
母は、こうは言ってくれなかった。
「お前が一人前になるまではお母さんが守ってあげるから」。
母はもはや、夫ではなく息子に自分のすべてを依存していた。つまりそれは
家族の運命すべてを、12歳の少年が背負うということを意味していた。
思えば、彼―――桑田真澄という男は
そのまま年をとってしまったのかもしれなかった。
野球を「生きる」手段にしたことで、「好き」という感情はもちろん、
あらゆる心の動きを止めた。ただ一つの例外を除いて。
それが、高校時代の清原だった。
清原は、入学当初は鼻にもかけなかった細っこく弱々しい球拾いが
あっという間に自分に追いつき、追い越していったことが
かなり屈辱になったらしく(1年生の時、清原は池田高校の水野が恐ろしくて
前日から腹を下して当日も安打の1つもでなかったというのに、
その水野から桑田は攻撃の口火となる本塁打を放ち、挙げ句完封までしてみせたのだ)、
同じチームにいながら、そしてポジションも違うというのに、
常に「お前にだけは負けへん」と口癖のように言っていた。
桑田にはそれが煩わしくてならなかったが、煩わしいと思う自分を
さらに煩わしく、厭わしく思えていた。
その厭わしさが、ただ野球が「好き」で、その「好き」な野球で
誰にも負けたくないと渇望し続けている清原に対する羨望であることに、
事ここに及んでも、桑田は気づいていなかった。
誰にも負けられないという使命。負けたくないという渇望。
互いにどれほど求めようと手に入れられぬものを
それぞれが握っていることに、清原も桑田も気づいていなかった。
そしてさらに皮肉なことに。
――――どうでもいい。
知らず、補完関係にあった彼らは、同じ結論に達していたのだった。
544 :
ペンマンシップ:01/09/22 01:45 ID:yq.Uq786
原作知らなくて文章書けなくて悔しいage
545 :
_:01/09/22 02:22 ID:iG8l3wLk
マジで保存したほうがいいんじゃない?
546 :
:01/09/22 09:35 ID:aaJgMFN2
桑田・・・(ナミダ
547 :
:01/09/22 14:08 ID:YAnv7IsM
>>545 完全オリジナルでも結構受け入れられてると思いますよ。
取り敢えずやってみてはどうでしょう?
かくいう自分も原作は立ち読みで済ませたのでかなりうろ覚えで書いてたりします。
536とか江藤のやつとか。
548 :
高野 忍:01/09/22 17:39 ID:Zs5ygF.2
夜が明けた。
繁みの中、木にもたれて座り込む高野がいた。
その右腕にきつく巻かれたタオルは赤く染まっていたが、もう出血はないようだった。
高野は血染めのタオルを見ながらひとりごちる。
ケガの手当ての仕方など、実際にプレーする俺が知る必要もないと思っていたが、こうして役に立つとはな。
痛みは……無いとは言えない。
しかし、こいつは何とかまともに使いこなせるだろう。
今、俺の仲間と呼べるのはお前だけか……。
高野は、右手の中に収まったコルトガバメントをじっと見つめた。
皮肉なものだ。
野球は9人でするものじゃなかったのか?
それが、仲間が銃一つ?
こいつと、俺で、野球ができるのか?
高野は自嘲する。だが、その顔はすぐに険しいものとなった。
違うな。
最初に自分の才能だけで野球ができると思った奴らは誰だ?
野球のために、じゃない。金の為に、チームワークなどそっちのけで他の者を押しのけたのはどこの誰だ?
どうせ一人しか生き残れないのならば。
そいつらが死ぬべきじゃないのか?
少なくとも、俺よりは死ぬべきだ。
ゆらり、と立ちあがると、高野は再び人影を求めて歩き始めた。
549 :
:01/09/23 01:48 ID:PXaGIKNM
今日の桑田のピッチングと542、543に涙したので保守age
550 :
:01/09/23 03:49 ID:kpHf5u2o
>>38によると上原は内海?
灯台のメンバーには、まだ全然出てきてないルーキー投手陣たち
なんかを使うってのはいかがでしょうか、作家さん方。
他力でほんと申し訳ないですが楽しみにしてますage
551 :
:01/09/23 04:27 ID:7bmKA1Dc
上原はちょとオリジナル化してますね。
灯台シーンはまさにルーキー達使おうと思ってました。
ちょうど6人いるし(w
ただあそこのシーン俺が書くとも限らんので
どうなるかはわからんですが。
552 :
二死タン絶命編1(517の続き書いてみた):01/09/23 05:49 ID:2LmN6RW6
背中から三発の弾丸を撃ち込まれた後三十分以上経っていたにもかかわらず、
またその傷及び小野仁にボウガンを撃ち込まれた脚の傷から大量に失血して
いたにもかかわらず、仁志敏久はまだ生きていた。
仁志は半ばまどろみ、夢を見ていた。家族が―――妻の静子が愛娘の愛梨を
抱いて、泣きながら「さようなら」と言っていた。愛梨は、自分によく似た
黒目がちの瞳をこちらにむけ、じっと不思議そうに血まみれの父親を見つめ
ていた。そしてその二人の隣、飼い犬の“リッキー・ヘンダーソン”
(尊敬するメジャーリーガーの名前を犬につけてしまうあたり、仁志である)
がうなだれ、しっぽを振っていた。
場面が変わる。
東京ドームのロッカーにいるのだけれど、着ているユニフォームが微妙に違う。
ああ、これは一昨年か去年のだ。
目の前で、清水隆行が泣いていた。清水は、この日の試合でも相手チームが
左投手先発だったために、またも長嶋の意向でスタベンにさせられたらしかった。
「お前なあ、いい年したヤローが泣くんじゃねえよ、情けない。強くなれよ、
いいかげん、うんざりなんだからネ」
「はい……」
清水は目を拭いながら、それでもついてきた。
やがて、今の清水(今も去年も大して違わないが)の顔が浮かんだ。泣いていた。
「仁志さん。死ぬな」
何なんだヨ、男らしくないなー。泣くんじゃないよ、図体ばかりでかくて
(そりゃ俺に比べりゃ大概の奴はでかいが)、ちっとも進歩してないじゃないか。
神のいたずらというやつなのか、仁志はもう一度だけ覚醒し、ぼんやり目を開けた。
午後の穏やかな光の中で、清水隆行が、自分を見下ろしている。最初に思ったのは、
清水が泣いていないということだった。疑問はそのあとでやってきた。
「どうして……お前、ここにいるんだよ?」
自分の唇から漏れる声が、錆びついたドアを無理やりこじあけるような感じ
だった。それで、ああ、もう長くは生きていられない、と確信した。
「ええ、ちょっと」
仁志の頭だけをそっと支えながら、清水は言った。いつの間にかうつ伏せに
倒れていた自分を、清水は近くの茂みまで運んでくれたらしい。
「誰にやられたんですか?」
清水が訊ねた。そうだ、それは重要な情報だった。
「由伸だ。奴には気をつけろ」
と仁志は答えた。小野仁のことはもう、どうでもよかった。
553 :
二死タン絶命編2(517の続き) :01/09/23 05:51 ID:2LmN6RW6
「すみません」
なんで清水が謝るのかわからず、仁志はじっと清水の顔を見つめた。
「まさか、仁志さんもプログラムに参加するとは思わなかったから、
仁志さんが出てきたと思った時には、もう――仁志さん、全速力で
走ってったから――見失ってしまったんです。仁志さんの消えた方へ
走って呼んだんですが――」
仁志は、ああ、と思った。確かに、何かかすかに声が聞こえた気はしたのだ。
でも、突然監視役から参加者に立場を逆転させられて混乱していて、そら耳
かとも思ったし――そら耳でなかったらなおのこと裏切り者の自分を誰かが
仕留めようとしているのだと思って――全速力で走り続けた。
ああ。
清水は、自分を追いかけてくれたのだ、自分が思っていたとおりに、危険を
冒して――さっき清水は「ちょっと」とだけ言ったけれど、自分のことをずっと
探していてくれたのかもしれない。
そう思うと、仁志はらしくもなく泣きそうになった。
仁志は、もうあまり自分が言葉を喋れないのがわかっていたし、
何を喋るべきか選ぼうといくつか考えたのだけれど、妙な疑問が頭にわいて、
それを訊いてしまった。
「お前さ、俺、一番に向いてると思う?」
清水は少し眉を動かしたが、静かに「いいえ」と答えた。
「二番の俺の前で考えなしにぶんぶん振り回して、三振するわバント失敗するわ
ポップフライだわ併殺食らうわ。こっちは乏しいチャンスに喰らいついて
ランナー返して打点稼ぎたいのに、迷惑この上ないです」
「言うね、お前も」
仁志はアヒルのように口を曲げて苦笑した。奇妙にとても冷たく、そして、
なぜかとても熱く感じられる体の中に、じわっと毒が膨れ上がるような感じがした。
「ちょっと肩貸せ。すぐ……終わるから」
苦笑しつつ、相変わらず横柄な口調に、清水は唇を引き結ぶと、何も言わず
肩を抱き寄せた。仁志の首がぐったり後ろに倒れそうになったが、それも
清水が支えてくれた。
まだひとこと言えそうだった。
「生き残れ、清水」
もうひとこと、言わせろよ。神様。いるのなら。
仁志は清水の細い目を覗き込んで、にっと笑った。
「お前、いい一番になるよ」
「仁志さんこそ」と清水が言った。「世界で一番の、一番バッターです」
仁志はふっと笑み、ありがとう、と言いたかったのだけれど、
もうのどから十分な息が出なかった。ただ、清水の目をずっと
見つめていた。感謝していた。少なくとも、俺は独りぼっちで
死ぬわけじゃない。最後に一緒にいてくれる誰かが、清水でよかった。
ほんとによかった。
その姿勢のまま、仁志敏久は、約二分後に死んだ。目は最後まで
開いたままだった。清水隆行は、生命を失ってぐったりと全身を
重力に委ねている仁志の小さな体を抱き寄せたまま、しばらく、泣いた。
省略されまくりだ…スマソ
元が杉村と貴子(男女)のやり取りなんで、アレンジするの難しかったよ…
貴子の名モノローグも変えなきゃならんかったし
オタ臭くないだろうか?>各位
555 :
555:01/09/23 08:45 ID:0iHUh53A
>>554オタ臭く無いよ。
俺は二死タンの最後に感動したよ
556 :
名無し:01/09/23 14:12 ID:OpJKNZes
>>554 お疲れ様です。感動しました。
よくアレンジされていると思います。
557 :
539:01/09/23 15:08 ID:wrUk/HgQ
俺今まで原作読まないで書いてたんだけど、思ってる以上に原作に基づいてるんですね…
もう書くのやめときます。
age
559 :
:01/09/23 19:24 ID:b2kDMmRs
ど〜でもいいんだが、バトルロワイヤルじゃなくてバトルロワイアル
560 :
:01/09/23 22:18 ID:K9Yw2oHY
561 :
:01/09/23 22:49 ID:6eT9wvdA
オリジナルも原作のアレンジも、どっちもあっていいと思う!
原作だけだったら、こんなに続かなかったんじゃない?
だからどっちでも、書きたい!と思った人が書くのでいいと思うYO!
562 :
:01/09/23 23:42 ID:SrRBD9Js
564 :
:01/09/24 00:08 ID:FS45D.5M
>>539=557
あの…539を受けて542と543を書いたのも、
調子にのって552と553書いたのも、自分なんですが。
539さんがいなければ桑田の別編も、んで516・517さんがいなければ
二死タン絶命編も書いてませんよ。
そんなこと言わないで、また書いてください。お願いします。
565 :
:01/09/24 07:34 ID:zv6P9tfA
保守+高野対清水もおもしろいかもage
566 :
:01/09/24 08:27 ID:Hk0nrD9s
初めて二死タンを好きになれた気がする。まじで。
567 :
:01/09/24 12:54 ID:Hu3/2uXs
ハゲ!
かつて清原が少年だった頃、巨人は魔法だった。
Oがいて、Nがいる巨人。V9の巨人。その巨人に、清原は恋をした。
大好きな野球を、大好きな巨人で。4番、ファーストで。大観衆の声援を受けて。
そして少年は青年になった。甲子園の怪物。甘いマスク。ほとばしるスター性。
彼は自分の輝かしい未来を疑うことができない。俺は誰にも負けない。しかし・・・
清原は西武に入団する。初安打はホームラン。ルーキーから4番を打ち、いきなりの日本一。
そうだ、俺は誰にも負けない。見ればわかるだろ?わかったんだろ?
それから8度のリーグ制覇、6度の日本一に貢献し、彼はパ・リーグの顔となった。
金も名誉も手に入れた。スポーツカーを乗り回し、派手に遊ぶ、夢のような日々。
それでも初恋の記憶は消えない。魔法は解けない。清原は少年のままだ。
叫び出したいような衝動。泣き出したいような切なさ。97年、彼は移籍した。
驚いたのは周りの方だった。まだ思い続けていたのか?もう吹っ切れたんじゃなかったのか?
やっと結ばれた運命の恋人。清原は満たされるはずだった。
だが夢が叶った後の世界で、魔法は効かない。彼はもう少年ではいられない。
押し寄せる現実。課される要求の高さに、いつしか自信も揺らぎはじめる。
なぜこんなことになったんだろう。俺は存在しないものに恋してしまったのだろうか?
このプログラムの開始を告げられた時、清原は言いようのない安らぎを感じた。
巨人の選手を殺したい。巨人を殺したい。
それは少年の頃の自らの夢を、自らの初恋を、殺してしまいたいという衝動にほかならなかった。
569 :
:01/09/24 23:08 ID:1ICkbvF2
ちょっと位置が心配なので age
570 :
上原 浩治編:01/09/25 03:47 ID:khDCgyXQ
くそっ、人を利用するだけ利用しやがって……用が済んだらポイ、かよッ……!
上原は自分を騙した長嶋を、宮田を、原を、そして、自らの安全のために安易に仲間を裏切った自分を呪った。
「日本のメジャー」などと言って巨人を安易に逆指名した自らを呪った。
あれだけの組織だ。何か裏が、闇の部分があるに違いない。
そう思ってアンテナを張りつづけてはいた。
そうしていち早く「プログラム」の存在を察知し、アシスタントの役割と安全を手に入れた、つもりだったが。
巨人の「闇」を手玉に取ったと浮かれていたが、実際に手玉に取られていたのは……
「俺だった」
上原は思わず口にする。
あれだけの組織だ。その闇は巨大で、俺のような若造の手で何とかなるものではなかったのだ。
少し考えれば判る筈だったのに。
甘かった……。
結局、俺は無意味に仲間を裏切ることになってしまった。
もう、誰も俺を信用してくれまい。
桑田さんも俺とは行動してくれなかった。
「一人、か……」
チームメイトを裏切った報いだろう。
空を仰ぎ見る。日はまさに暮れようとしていた。
「一人か……」
もう一度つぶやいてから、上原は気がついた。
何を俺は弱気になっているんだ。
俺はずっと一人でやってきたんじゃないか。
そうさ、これからだって、やれるさ。
上原は自分を鼓舞しようと右手のデリンジャーを握り締めた。
相手が意識していれば筋肉で止められてしまうようなひ弱な銃だ。
しかし、だ。
掌に収まるようなこの小ささは、間違いなく一つの優位性。
要は使い方。
他の巨人のドラ1とは違って、ずっと日の当たるところを歩いてこられなかった自分にはむしろ相応しい武器だと思えた。
上原はもう一度デリンジャーを握り締める。
「大丈夫、俺はやれるさ」
上原は自分にそう言い聞かせた。
571 :
いいっすね:01/09/25 04:59 ID:tDrluFZU
なんか最近バトロワもののスレ増えてますね。
この板の中にもできてるし、あと、確認したのでは蹴球代表海外版にもできてた。
…あんま盛り上がってないみたいだけど。
ここはすげー面白いです。
毎日チェック欠かせなくなってます。
作家の皆さん頑張ってください。
徳光が倒れてから後、江川は自宅に戻っていた。ひとり部屋にこもりノートパソコンと面と向かう。
病院へ運ばれた徳光の容体について少し前にスタッフから連絡があった。
なんと奇跡的に意識は取り戻して命に別状はなかったがひどく何かにショックを受けているとの事だった。
さらには「これは違うんだ」とか「嘘だ、嘘だ・・・・・」とかうわの空の表情で呟いているらしい。
「やっぱりな」、、、江川は予想してたかのように呟いた。
巨人の闇の部分である「プログラム」を知ってしまった以上、巨人信者である徳光がショックを受けないはずはない。
しかも徳光がそれを認めようとしない所へ元巨人で事情を知っている自分が更に追い討ちをかけるような事を言ったのだから・・・・・。
「しかし死んだんじゃないかと思っていたのだが・・・・・、徳光さん、あなたはいろんな意味で大した人間だよ」
そんな事を考えながら江川の指はノートパソコンのキーボードを器用に叩く。そしてあるHPにたどり着く。
そこには「松井生存、清原生存・・・・・・・・・・元木死亡」と表示してある。
そう、讀賣球団が極秘で立てた「プログラム」のギャンブルHPだったのだ。
無論、このHPはギャンブルの参加者以外見る事はできない(事になっている)。
江川は清原に30万ほど賭けていた。わざわざドームに行かなくともこのHPから金を賭ける事も出来る。
選手の命を賭けの対象にするのに江川はさほどの抵抗を感じなかった。
なぜならこの「プログラム」から巨人が逃れる事は出来ないのを知っていたからだ。
もう「プログラム」を誰も止められない、、、これは巨人の運命なんだ。江川はあっさり割り切っていた。
これに賭けが絡めば競馬好きの江川が飛び付かないはずはない。
いろいろHPを確認していると何時の間にか更新されコンテンツが追加されている。
そこをクリックすると今やっている賭けとは別に新たな賭けをこれから行うとの事だった。
“上原と桑田でどっちが長く生き残るか(つまり先に死んだ方が負け)”
「渡邊さん、またひと儲けするつもりだな」。江川は少し苦笑はしたがまた新たな楽しみが増えるのは歓迎だ。
2つに1つだからオッズは当然かなり低くはなる。しかし逆に当てやすいのも確かだ。
大枚を張って当てればソコソコの利益も上がる。
「結局、桑田と上原も参加させられるのか」。またも苦笑しながら江川はどちらに金を賭けるか思案を始めた。
「徳光さん、悪いがこれが巨人の真実なんだよ」と考えながら・・・。
渡邊は東京ドームのVIP席でオーロラヴィジョンに映し出される選手達の安否に見入っていた。
脇にはいつものように小川、隣の席には氏家が座って渡邊と何やら話し込んでいた。
下のバックネット裏の席には賭けの参加者がオーロラヴィジョンを見ながら選手達の生死に一喜一憂している。
VIP室のドアをノックする音がした。どうやら長嶋が来たらしい。
「おう、長嶋監督。例の指揮の方、ご苦労さん」。渡邊が声をかける。
「いやあ、オーナー。お楽しみのところ、突然訪問して申し訳ない」
と長嶋は用件を切り出した。それは桑田と上原を「プログラム」に参加される事にした、というものだった。
「結局参加させるのか」。渡邊は少し苦笑しながら言った。
「う〜ん、いわゆるひとつの桑田と上原はV逸のA級戦犯ですからねぇ〜」
渡邊は内心、「本当はA級戦犯だからではなくプログラムを愉しみたいからだろう」と思ったが、
それは長嶋だけでなく渡邊自身、そして賭けの参加者だってこの言い知れぬ爽快感は同じ事だ、とも思った。
そこへ氏家が一言入れてきた。「ところでオーナー、桑田に上原は賭けの対象になってなかったのでは?」
桑田、上原、仁志の3人は最初から参加してはいなかったので讀賣側が賭けの対象にしていなかったのだった。
氏家はさらに続ける。「ここでどうでしょう。ここら辺でもうひとつ・・・・・」
渡邊は氏家が何を言わんとしてるのかをすぐに察知した。「つまり、新たな賭けをしようって訳か。それはいいな」
長嶋が「面白い。氏家社長、ナイスアイデアです」と乗り気になる。
「既に外れた連中は手持ち無沙汰だろうし、敗者復活戦といくか。まだ外していない連中はさらに金を増やせるチャンスだな。
これから準備が出来るかどうか確認する。出来るようなら早急に支度させる」
渡邊はこれを承諾した。
長嶋がワクワクしながら言った。「桑田と上原でどちらが長く生き延びられるか、ってのはどうでしょう?」
渡邊は「いいだろう、賭けの内容はそれで決定だ」と不敵な笑みを浮かべる。
氏家が続いた。「これでまた我々の利益が増えそうですな、オーナー」
讀賣の事務局では早速出来るかどうか検討していた。そして1日以内に準備できるとの解答を出した。
桑田、上原を参加させるのは賭けの受付開始の次の日という事も決まった。
これが2人が参加させられるまでの経緯である。勿論2人ともそんな事を知らず利用されていたのだった。
小川は席を外しトイレで独り小躍りしていた。
この「プログラム」でこき使われるは唯一の楽しみだった賭けの方も元木がさっさと死んでしまうはで
踏んだり蹴ったり。傲慢な渡邊に対する憎しみのみが募っていた。
それは働かされる分だけの臨時手当ウン十万円は出るが、この條辺もビックリのこき使われ方は
とても十万やそこらの働きではない。選手達の方が大変なんだってのは慰めにもならなかった。
新たな賭けが始まるとまた忙しくはなるだろうがそれでも楽しみは出来る。
「少なくともさっきの負け分は取り返してやる」。小川は闘志満万だった。
小川は再びVIP室に戻ると渡邊が桑田、上原を捕まえる時には長嶋に一緒について行ってくれ、と命じられた。
そして小川は内心、「自分たちが利用されただけだと知った時、桑田と上原はどんな顔をするんだろうか」
また楽しみが1つ増えた気がしていた。
575 :
574:01/09/25 16:34 ID:K50ag4qk
>小川は再びVIP室に戻ると渡邊が桑田、上原を捕まえる時には長嶋に一緒について行ってくれ、と命じられた。
<訂正>
小川は再びVIP室に戻ると渡邊に桑田、上原を捕まえる時には長嶋に一緒について行ってくれ、と命じられた。
駄文しか書けない上に間違いまで・・・・・。逝ってきます。
576 :
:01/09/25 17:02 ID:Zq/OVOMs
駄文なんてとんでもないっすよ!!
すげーおもしろい。
本編もサイドも本当に楽しみでしょうがないです。
577 :
まとめ人:01/09/25 17:12 ID:Mprf6pWM
えーと、実は過去ログをまとめてるんだけど、他にもそういう人いる?
自分、英語できないんで、英語のフリースペース借りられないんだよね。。。
検索除けはもちろんするけど、どっかいい日本のフリースペースないだろうか。
でも、まとめ読みするとすごいよ、ここの話。圧巻。
578 :
::01/09/25 19:33 ID:gYbMW6Bg
age
579 :
まあ:01/09/25 20:12 ID:khDCgyXQ
580 :
:01/09/25 20:17 ID:khDCgyXQ
あ、まだダメっぽい。スマソ。
581 :
よし:01/09/25 20:29 ID:khDCgyXQ
動いた動いた。
582 :
:01/09/25 22:40 ID:U0QBvk.E
ところで生存者、死亡者はどうなったのかな?
仁志は由伸ではなく小野に殺されたということでいいのかな?
583 :
:01/09/25 23:01 ID:khDCgyXQ
あ、そのゲームだけど、スタート地点はランダムだけど割と狭い地域に限定されるから、
余りうろつきまわらない方が他の選手と会えると思う。
584 :
まとめ:01/09/25 23:23 ID:xwiF7ZW2
第六回読売巨人軍プログラム進行状況 18:00現在
死者
槙原(17)・・・・・・・・・我々が銃殺
>>8 >>13 大場(63)・・・・・・・・・江藤が弓で
>>32 江藤智(33)・・・・・・・小野がボウガンにて射殺。
>>490 柏田(49)・・・・・・・・・韓国トリオに。死因不明(焼き肉を喉に詰まらせて窒息死?)
>>40 村田慎(9)・・・・・・・・村田善と心中(飛び降り))
>>38 村田善(12)・・・・・・・村田慎と心中
>>38 元木(2)・・・・・・・・・・清原が射殺
>>48 條辺剛(57)・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
>>59 アルモンテ(61)・・・清原によって殉教を遂げる
>>67 西山一宇(26)・・・・・松井が斬殺(鉈) ただし半分事故
>>75 阿部慎之助(10)・・・川相が射殺
>>103 岡島秀樹(28)・・・・・射殺。清原?
>>108 三浦貴(39)・・・・・・・同上
>>108 河本育之(27)・・・・・清原追跡中禁止エリア進入により爆死
>>109 メイ(42)・・・・・・・・・高橋(由)が斬殺(鎌)
>>135 マルティネス(48)・高橋(由)が銃殺
>>136 木村龍治(41)・・・・・後藤が射殺
>>220 福井敬治(53)・・・・・自殺(銃)
>>242 吉永幸一郎(23)・・・高野が銃殺
>>277 斎藤雅樹(11)・・・・・自殺(ナイフ)
>>296 平松一宏(25)・・・・・同上。ある意味斉藤と心中。
>>297 川中基嗣(0)・・・・・・高橋(由)が銃殺
>>306 小田幸平(46)・・・・・工藤が銃殺。
>>377-379
小野仁(13)・・・・・・・仁志がアイスピックで刺殺。
>>389-391
進藤実(64)・・・・・・・ボウガンの傷からの失血死。小野?
>>413-415
高橋尚成(36)・・・・・高野が銃殺。
>>446-451
永池恭男(32)・・・・・内薗が銃殺。
>>455 内薗直樹(45)・・・・・清原が射殺。
>>456 後藤孝志(00)・・・・・野村が絞殺。
>>505-506
仁志敏久(8)・・・・・・高橋由が銃殺。
>>516-517
>>552-553
585 :
:01/09/25 23:29 ID:xwiF7ZW2
586 :
:01/09/26 01:29 ID:rKyMepFY
からあげ
587 :
:01/09/26 09:35 ID:4Lv9f3lg
あげ
588 :
:01/09/26 12:43 ID:.t5x1406
age
暑い。じりじりと照りつける日射しに、清水は帽子を目深にかぶり直す。
セミの声に混じって、誰かの声が聞こえる。グラウンドの方からだ。あれは・・野球?・・
小学生かな、みんな真っ黒になって・・今どき珍しいな・・・清水はそちらの方にゆっくり歩き出す。
「おーい、隆行、おまえも入れよ!」背の低い子が呼んでいる。えっ?・・ああ、あれは仁志さんだ・・
そうするとあれが河原と上原、あれが川相さんで・・・なんだ、みんないるぞ、みんな一緒なんだ。
清水は笑ってかけ出す。どんなに暑い日だって、いつだって、野球をやってたんだ・・だから今日も。
グラブもつけずに空いていたレフトに入る。雑草だらけの外野。後ろはすぐ道路だ。
マウンドで江川のモノマネをする尚成。ホームスチールをしてブーイングを浴びる仁志。飛ばしすぎるので
左打ちを命じられる松井。こっそり隠し球を試みる元木。なぜか清原に泣かされている二岡。脇からヤジを
とばす村田真一。自分だけ水筒を持ってきている江藤。ますます強まる夏の日射し。
清水はこの光景を直視することができない。まぶしすぎるからか?それとも、溢れ出る涙のせいだろうか?
その裏の攻撃、清水が打席に立つ。マウンドには一人だけ大人びた桑田。走り去るトラックの音が響く。
ああ、野球だ、なんて楽しいんだろう。くだらない作戦なんてない。俺に代打を出すやつもいない。
桑田が投げた渾身のストレート。清水はそれを高々と打ち上げる。青空に舞い上がった白球が落ちてくる
までの短すぎる時間、清水はそれを永遠のように感じた。
気がつくともう真っ赤に染まった夕暮れ、いつのまにか清水はグラウンドにひとりぼっちだ。
ああ、みんなどうしたんだろう。もう帰っちゃったのかな?どんどん暗くなっていく・・・
さみしいよ、俺を置いていかないでくれよ、俺もみんなと一緒に・・・いつまでも一緒に・・・
清水は目を覚ました。――夢か・・いつのまに眠ってしまったんだろう。危ない危ない。移動しなきゃ。
こんな夢を見てるようじゃダメだな、もっとしっかりするんだ。もっとしっかりしないと・・・
しかし清水は、ふるえる自分の体を抱きしめたまま、しばらくそこを動くことができなかった。
590 :
:01/09/26 15:28 ID:ITUrPojs
しageしage
楽しく読ませて頂いておりまする
591 :
あげ:01/09/26 15:43 ID:Bqwyq3vc
清水は、背後に人の気配を感じた。
後ろの茂みに、誰かいる・・・・。
清水は長い木の棒を拾い、茂みにむけ突いた。
「うっ」
清水は茂みをかき分け、そこにいた奴を確認した。
高橋由伸、だった。
ふいに、由伸が顔の前に両手を上げて後ろヘ退がった。
「殺さないでください!お、お願いです!!」
と、叫んだ。
「話しかけようとしただけなんです!俺、誰かを殺そうとなんか思っていません!
お願いです!助けてください!!」
清水はただ黙って、その由伸を見下ろしていた。
その沈黙を、清水に当座敵意がないと読み取ったのか、由伸はゆっくり、顔の前に上げた手をあごの下まで下ろした。
おびえた小動物の目で、清水を見た。その目に、涙が光っていた。
「信じて――――くれるんですか?」と言った。
涙でくしゃくしゃの顔に光明がさし、かすかな笑みが目元に浮かんだ。
「あの―――あの俺――――」
「清水さんなら、信じられると思って――だから――俺、怖かったんです、ずっと―――ひとりで―――
こんなことになって、恐ろしくて――――」
清水は黙って、由伸が取り落とした銃を拾い上げた。撃鉄がおきているのを見てそれを片手で戻し、由伸のところまで歩くと、
銃把を先にして差し出した。
「あ――ありがとうございます―――」
由伸がおずおずと手を差し出した。
ピタッと止まった。
清水が手の中で銃をくるっと回転させ、その手に握ったので。その銃口が、ぴたりと由伸の額に向けられていたので。
「な―――何。なにすんですか、清水さん―――」
清水の顔が驚愕と恐怖にゆがんだ―――少なくともゆがんで見えた。全く、見事としか言いようがなかった。
いくら由伸についてもろもろのうわさを聞いていても、高橋の笑顔を見てしまえば、たいていの者は、信じないわけにはいかないだろう。
ただ、今の清水には、特別な事情が会った。
「もういいんだ、由伸」
清水は言った。
592 :
かなり:01/09/26 17:07 ID:iwg/Rq52
それぞれが長くなってきたのでここらでいっちょまとめたものを
某サイトに貼り付けてみようかと思うんだけど、それぞれの作者さん
いかがでしょう!?勝手に貼っちゃっても良いんでしょうか??
593 :
.:01/09/26 17:43 ID:oidbV9EE
>592
是非やらかして欲しいです。
嫌な方がおられたらアレですけど……
特にいなかったら問題ないのでは? 少なくとも私の書いた部分に関しては快諾いたしますですよ。
594 :
413:01/09/26 17:47 ID:gt0Cf6uE
>>592 自分が書いたとこはおっけーっすよん。
むしろよろしくです!楽しみ。わくわく。
595 :
:01/09/26 17:50 ID:I0SnbOv.
596 :
577:01/09/26 19:35 ID:btqFHUeQ
>>592 お願いします…。地道に順番も考えてまとめて、
あとはうぷするだけの状態だったんですが、
中日版のまとめページと同じところを借りようとすると
登録するだけでエラーが出て
ダメダメなんです(泣
一気読み用ファイルだけでもお送りしたいところですが(ここまでの努力が無駄になるのがツライ)、
2chだと危険が多すぎますよね、メールのやりとりは…
597 :
579:01/09/26 19:52 ID:rKyMepFY
俺が借りたところ使う?
598 :
592:01/09/26 20:39 ID:CmXy1WDg
とりあえずジオで借りました。UPするまでお待ちください…
>>596 一気読み用ファイル送っていただけたら嬉しいけど…。
メールのやり取りはちと怖いっすね。
599 :
579:01/09/26 21:12 ID:rKyMepFY
>>598 できればうちのゲームもリンクしてくれませんか?
600 :
:01/09/26 22:21 ID:PmwSSSRg
北川があらわれた。
北川はスイングをした
オリックスの大久保は、死んでしまった
ついでに、おおぎも死んでしまった
北川のレベルが、5から6にあがった
近鉄は優勝した
601 :
592:01/09/26 22:27 ID:k8MC3HXE
>>599 OKですよ!
明日くらいには公開できるようにします。
602 :
577:01/09/26 22:58 ID:McS1Tb4A
603 :
577:01/09/26 23:03 ID:McS1Tb4A
スマソ、もひとつ事後承諾。
誤字は勝手に修正しました。(例)村田慎→村田真、斉藤(雅樹のほう)→斎藤
604 :
592:01/09/26 23:24 ID:7FtahmWE
>>577 一気読み持ち帰らせてもらいます。助かりました!!
605 :
:01/09/26 23:36 ID:FU67cOHA
お疲れ様です
何気に色が黒とオレンジ(w
606 :
:01/09/27 00:00 ID:C2jNZ7Ks
最近すぐ沈むので 保守age
607 :
いちファン。:01/09/27 00:05 ID:UwQDao9.
>>602 すごい読みやすくなってる!
順序も(・∀・)イイ!! 感じ。 ありがとうございました。
608 :
:01/09/27 00:22 ID:TTkzOGX6
>>602 お疲れ様です!
すごい見やすいです。ありがとうございます
609 :
:01/09/27 00:40 ID:9nIHP6Ro
>>602 これだけの量まとめるのも大変だろうに
順序とかまで凄い!
本当にお疲れ様です。
610 :
:01/09/27 01:09 ID:seQ0h8BQ
>>602 お疲れ様です。凄く読み易かったです。
有り難うございました
>>591 清水がかっこよすぎてガマソできない!つーか(・∀・)イイ!!
612 :
高野 忍:01/09/27 02:56 ID:1sC9GZIA
夜明けから歩きまわっているが、誰の姿も見つけることができない。
そうするうちに、拡声器から耳障りな音が聞こえてくる。
「皆さんおはようございまーす。実況の小川です。午前6時になりましたー」
明るい小川の声が俺の神経を逆撫でしながら新たな死者の名前を読み上げていく。
だが、今更誰の名前を聞いても何の感慨も沸かない。
ただ、高橋の名前が呼ばれた時は、入来がどんな顔をしているか、見物してやりたいという衝動に駆られはした。
しかし今度こそ入来は俺に容赦しないだろう。
向こうも銃を持ち、なおかつ必死でかかってくるからには。
……ただでは済むまい。
当面は相手にしない方が良さそうだ。
「……仁志敏久くん」
仁志? あいつは俺らを裏切って身の安全を図ったんじゃないのか?
「なお、仁志くん、上原くん、桑田くんは、長嶋監督の意向により途中参加となりました、みなさん、よろしく。仁志くんはもう死んでしまったみたいですが」
はん、間抜けな奴らめ。どうせ立ち回り損ねたのだろう。
「せめて俺が行くまで生きていて欲しかったな……」
あの大口叩きの仁志はこの手で撃ち殺してやりたかったが、とっとと死んでもらわれてはこちらも手の出しようがない。うまいこと逃げたもんだ。
それはそうとして、小川の声はやはり腹が立つ。
「それではみなさん、頑張っ……ガガッ」
一発拡声器にぶち込んでやった。
何が頑張れだ。他人事だと思いやがって。
本来なら小川本人に一発見舞ってやりたいところだ。
それに誰も見つかりゃしないし、忌々しい。
いい加減嫌になって、傍の木の下にどかりと座り込む。
すると、正面の丘の上が見えるようになった。
いや、丘の上の人影が確認できるようになった、が正しいか。
「そんなところにいやがったのか……」
俺の足は自然とそちらへ向かっていった。
613 :
:01/09/27 12:37 ID:ke.e0f0U
あげ
昼なお暗い森の中だった。
入来は下生えの中を進んでいた。
慎重に、しかし、素早く。
もし、その様を誰かが見たら、野生の獣を思っただろう。
マウンドの上で、彼の闘志にぎらつく瞳は相手チームをひるませすらした。
今、入来の瞳にはそれ以上の光があった。
見る者を灼き尽くすような、しかし、暗い炎の輝きが。
入来のポケットには奇妙な布包みがあった。
ユニフォームの一部で包まれた、一房の髪の毛。
尚成の髪の毛だ。
入来は死んだ尚成の髪を一房自分の歯で噛み切り、尚成のユニフォームの一部
で包んで所持した。
それが形見だった。
入来はなんとしてでも生きて帰り、この形見を尚成の妻へ渡さなくてはならな
かった。
尚成の亡骸には、せめてとの思いから葉の茂る木の枝をいくつも被せ隠した。
出来ることなら埋葬してやりたかったが、とてもその余裕はなかった。
涙はもう流れなかった。涙は相応しい供物ではない。ただ、露に濡れた小さな
野の花を置いて、入来はその場を離れた。
口に出すことのない誓いを胸の奥に秘めて。
俺は、死ねない。
兄の元へ帰るのだから。
俺は、死ねない。
尚成の仇を討つのだから。
俺は、死ねない。
尚成と約束したのだから。
俺は、死なない。
615 :
:01/09/27 19:32 ID:ZO8P91d6
とりあえず保守揚げ
616 :
::01/09/27 21:56 ID:V4RD.DF.
>>602 お疲れさまです!これだけの量をまとめるのは大変だったことでしょう!
ご苦労様です。
一気読みが出揃うのが楽しみです。途中抜けてるのは、時間軸のせいですよね?
はやく最後まで読みたいyo!
617 :
保存屋:01/09/27 22:41 ID:wdk9c9TY
618 :
南・河原 1:01/09/27 22:58 ID:.hBHVTHw
「…なあ、もうどうにもらならないのかな…」
非常食をポツポツと食しながら河原は言う。
「みんな…ついこの間まで一緒に戦ってきた仲間なのに…」
「…河原さん…」
南はそっと首を振る。
「…あんなに自分を慕っていた元木さんを殺したキヨさん、いっぺんに二人も
殺した由伸…あの二人だって最初からこうだったわけじゃない…でももうどう
にもならないでしょう…」
南はまだ感傷に浸る河原と比べ、かなり冷静になっていた。だが、河原はふい
に小さく笑う
「…由伸もさ、最初からああだったわけじゃない。……あの頃の俺さ、結構天
狗で意地悪だったから由伸に聞いたんだよ、お前、ヤクルトに行きたかったん
じゃなかったのって。…そしたらさ、ある日親父の取引先の人から親父さんの
借金はすべて無くなった、これで君は自由だと言われたって…これからどう
やって膨大な借金を返そうかという程の借金をチャラにできる球団は一つしか
ない、こうなったらその球団を好きになって、その球団の為に一生懸命働くし
かない…そう言われたよ…」
「…そんなことが…」
「変わるしかなかったんだろうな、由伸も…正直、平気で仲間を殺せるほどま
で変わるとは思わなかったけど…それも入団時に、この球団を好きになると決
めた時から覚悟していたことだったのかな…どんな手を使っても生き延びると
いうのは…」
「……」
やるせない気持ちが南を襲うが、それでも情になど流されてはいけないのだ。
「キヨさんだってさ、涙の記者会見からやっと巨人に、雪辱の意味も込めて入
団したのにこの仕打ちだ…何回も何回も裏切られたんだ…ああなるのも無理は
ないんだ…」
「河原さん…」
この河原の考えは危険だと南は首を振る。同情などしてはお終いなのだ、変わ
り果ててしまった元仲間になどに情をかけてはこっちが殺られるのだから。そ
の変わり果てた二人の殺害現場を見たというのに早速同情し始めているのは危
険だと河原を見遣る。
「…由伸やキヨさんだけではない、もう仲間を仲間とも思わない奴は同時に俺
達の敵なんです。…これはどうしようもないんですよ…そいつらに殺される
か、こっちが殺すか…それしかない。」
「…殺す…のか?俺達が…人を殺すのか…?」
今更になって河原は自ら殺めなければならないという現実に怯える
「…生きたいなら。…正直…俺はあなたと会うまではもうどうなってもいいや
と思ってたんですよ。親友だった平松が目の前で斎藤さんの後を追って自殺し
たのを見た時から…置いてかれた、裏切られたと…こんな俺なんてどうなって
もいい、そう思ってた。けど死に怯える河原さんを見て…そう思うのはやめた
んです。」
「…なんでだ?」
「…怯えるということは生きたいという事でしょう?俺は一度死んでもいいと
思った人間ですからね、なら生きたいと思う人の手助けをするのも悪くない、
そう思った。…それだけですよ。」
「…南…」
そっと河原は南の名を呼ぶと、真っすぐに見据えた
「…ありがとう。…二人で協力しあえばいつかはこんなゲームも…」
そう言いかけた時であった。ガサリ、と大きな音が響いた瞬間、いきなり人影
が飛び出した。
ずっとロムしてましたけど、相変わらずのこの素晴らしさ!!
ライターさんお疲れ様です。人影誰かな〜。すげー、気になる!!
620 :
南・河原 2:01/09/27 23:06 ID:.hBHVTHw
「…!田畑!」
「…ろしてやる!殺してやる!」
どうみてもマトモでない田畑は、普段の落ち着いた雰囲気などすっ
かり消え失せ、ただ血走った目で包丁を振り回し、突進してきた。
南は河原の前に立つと、急いで果物ナイフを取りだした。
「田畑さん!落ち着いて!俺はアンタを殺したりはしない!」
近鉄時代からの先輩であった田畑を殺せるわけがないと南は声を張
り上げるが、田畑は南の太ももめがけて勢い良く包丁を突き刺す。
南はたまらず声無く痛みにうずくまった。
「お前だ…次はお前だっ!」
田畑は南を刺したばかりの包丁を河原に振りかざす。
「河原さんっ!」
咄嗟の事だった。唖然としたまま立ち尽くす河原の姿を見た瞬間、
南は痛みさえ感じることなく無我夢中で田畑に突進した。
「あ……」
田畑はゆっくりと前に崩れていった。背中には果物ナイフが深々と
突き刺さっていた。南はペタンとしりもちを付いた。咄嗟のこととはいえ先輩であった田畑を殺してしまったのだ。
「そ…んな…俺…俺が田畑さんを…」
南は、まるで夢を見ているかのように震えたままつぶやくヨロヨロと河原は田畑の屍を越えて南に歩み寄る。
「河原さん…俺…俺は…田畑さんを…」
「…自分を責めるな…あんまり役に立たなかったけどな…」
「え…?」
突然の言葉に南が驚愕のまま上を見上げた時であった…大きな銃声音が響くと同時に南は何が起こったかも分からないままドサリと地面に崩れ落ちた。そのこめかみには弾丸が貫通した跡が一筋、残っていた。
「…たった一人しか殺せないで負傷かよ…思った以上に使えない奴
だったな…」
河原はつぶやくといつの間にか手に持っていた拳銃をしまい込む。
「…まあ、…何も分からないまま死ねただろ?」
先ほどまで感傷に浸り、怯えていた河原の顔はどこにもない。ある
のはただ冷たい、無機質な表情だけであった。
「甘かったんだよ、お前は…怯えている奴が敵じゃないなんて誰が
決めた?」
最初から仕組んでいたことであった。この状況に怯えるフリをし、
人の良さそうな奴を引き寄せ、なるべくたくさん仲間を殺しても
らってから、十分役にたってから隙を突いて殺してやろうと企んで
いたのだった。
「…負傷した奴は足手まといだからな…もう少し役にたってから殺
そうとしたのに…とんだ計算違いだな…」
由伸の話で感傷に浸る演技も無駄だったと河原はため息をついた。
「…俺は何も無い人間なんだ…」
ふいに河原は顔をゆがめる。愛していた元妻を思い出して。風俗嬢
だと分かっていて結婚した妻。だが自分が読売の選手だったばかり
に過去は明るみになり、結局引き離される羽目になってしまった。
もう今の自分には何も残ってはいないのだ。家族も、そしてあのス
キャンダルというレッテルのせいでプライドさえも砕かれてしまっ
たのだ。
「変わってしまった由伸にはそれでも家族がある、清原さんにはプ
ライドがある…けどな、もう俺には何もないんだよ…何も無い奴が
一番強いということもあるんだよ…」
もう誰に言っているのか分からない言葉を河原は出し切ると、南の
遺体を一瞥する
「…生きたいと思う者の手助けをしたい…か…願いは叶ったな。」
河原は顔を元の無機質なものに戻すと、背を向けた。帰りたい場所
も、守るものもない自分。ただ望みは生きる事のみ…この下劣な悪
行さえも何も感じなくなってしまった心
「…もう…俺には何もないんだから…」
河原はもう一度そうつぶやくと、今度こそ南の遺体に振り返ること
なく去っていくのであった
621 :
618 620:01/09/27 23:09 ID:.hBHVTHw
すみません…完全にオリジナルになってしまいました…
どうしても配役が当てはまらないので…うーん…
南を書きたかったのといい人スレの由伸の入団時のエピソードを
見てちょっと書きたくなってしまい…ごめんなさい
622 :
爾志:01/09/27 23:12 ID:FW7K1xAU
そこに斧が南をだきしめながら。。。
623 :
auti:01/09/27 23:31 ID:3WB8WFRg
そんなことないっす。全然いい!!キャラに当てはまってるし、
情景がすぐ目に浮かんでくるし、オリジナルもそうでなくても
常にわくわくさせてくれるのはあなたがたライターさんのおかげです!
がんばってください!!
624 :
579:01/09/27 23:44 ID:1sC9GZIA
>保存屋氏
さんきゅーです。おつかれさまです。
保存屋氏、おつかれさん。一章ごとにわけるのは大変だったと思う。
右肩がシゲヲに「逝け」と命じられた斎藤や桑田のようにパリパリになってないか、心配だ。
自分のソースも無茶苦茶汚かったし(スマソ
しかし、原作と同じく、シーンごとにぽん、ぽんと変わってるのがすごい。
職人さんたち、本当にありがとうございます。
>>616 途中抜かしたのは、「もしも別設定だったら…」の清原と高橋(由)、
二死タンv.s.高橋(由)の別バージョン、OB連も強制参加させられた部分…と、
何故か宮内が出てきて核で終了(w、のところ。
別設定、別バージョンは、こんな話もあったということで別ファイル作ることもできると
思ったんだけど、OB連(含一茂)強制参加は判断が難しかった。この後を受けた
話が出てこなかったんで…。そこらへん、どうだろうか>職人さんたち。
本当は青田の「松井への遺言」も微妙なところだったんだが。ユ○ヤ資本云々が背後にあるなら、
古田の正体はフリー○イソンな気がする(w
あくまで個人的に面白いのはと断っておくと、
無理矢理人数合わせに人数投下するより、
>>620の田畑のようにさりげなく
「こいつも参加してた」というのがわかるのも面白いかと思うんだが。
626 :
:01/09/28 00:42 ID:6e8mRsTU
ゲームの方では仁志たんにニオカがひきころされました。
ニオカアイテム配って良い人だったのに……
627 :
:01/09/28 00:51 ID:0dLSxy0Q
>>625 別バージョンも入れてもいいと思う。面白いのもあったし
(個人的には清原と高橋由の別設定は面白かった)
628 :
:01/09/28 02:29 ID:Kt2wwl22
朝6時の放送に二岡は耳をじっと傾けていた。
そしてほっと胸を撫で下ろした。
最後に桑田と上原と仁志がこのゲームの参加者となった事、
そして仁志が既に死んだという情報も流れたがそんな事は
今はどうでもいい気がした。
とにかく――松井さんはちゃんと生きてる。
昨晩の事。
午後十時すぎになって、そろそろ移動を開始しようとした所で川相が異変に気付いた。
外に誰かいる。
3人は急いで逃げ出そうとしたのだが、
その誰かは移動する方へ何故か先回りしてしまう。
裏口からでようとすれば裏口へ、玄関から出ようとすれば玄関へ。
どうしようもなくなって川相も松井も銃を構え沈黙していた所に声がした。
「清水だ」そして続いた。「戦う気はない。返事してくれ。3人とも一体誰なんだ?」
松井も二岡もほっと安堵の息を漏らした。清水なら大丈夫だ。
「松井です、二岡も川相さんもいっしょです」
そう言うと玄関のドアを開け、清水を迎え入れた。
川相は念のためボディチェックをしたが
本当に清水に戦う気がないのだとわかると
「悪かったな」と言って笑った。
松井は清水に一緒に行動しようと持ちかけたのだが清水は黙って首を振った。
「俺、堀田にどうしても会わなきゃならない用があるんだ。だから一緒にはいれない」
用。動き回ったらそれだけ死に近づくこの状況で
一体何の用だと言うのだろう。
とにかく松井は言った。
「そんな事言ったって清水さんろくに武器も持ってないのに・・・
第一どうやって探す気ですか?」
それを聞いて清水はポケットから機械のような物を取り出した。
「俺の武器はこれなんだ。この機械はこいつに反応するらしい」
そう言って自分の首を指した。
そこには松井にも二岡にも川相にも付けられている銀色の首輪が光っていた。
「ごく近いとこまでいけばスクリーンに表示がでる。
それが誰であるかまではわからないんだけど」
そこで松井はようやく解った。
清水が自分達が3人だと分かったのも、そして移動するのに合わせて
先回りできたのもこの機械のおかげなのだと。
そして清水がここに来たのも自分達が誰なのか確認する為だけなのだという事もわかった。
清水は「じゃあ――」と言って踵を返しかけたのだが
「そうだ」といってそれを止めた。
「由伸には気をつけろ。あいつはやる気になってる。少なくともそれだけは確かだ」
「由伸にあったのか?」川相が尋ねた。
「いえ、直接会ったわけじゃあ・・ただ仁志さんが死ぬ間際に、そう言って。
あの人は由伸にやられたんです」
629 :
:01/09/28 02:31 ID:Kt2wwl22
「由伸が仁志さんを――?」
松井は心底驚きの声をあげた。
仁志が参加していたことにももちろん驚いたが
何より由伸がこのゲームにのってしまったという事が信じられなかった。
色んな噂があるにしろ自分の知っている高橋由伸という男は
少なくとも人を、仲間を殺すような奴ではなかったはずだ。
それなのに――
自分が思っていた以上に敵は多いのだという事を松井はこの時初めて知った。
川相が必要以上に清水を警戒していたのも今なら分かるような気がした。
もうゲーム以前の事なんて信じててはいけないのだ。
それはとても悲しい事だけれど、その甘さは文字通り命取りになるのだから。
黙ってしまった松井と二岡をちらっと見て
清水はもう一度「じゃあ」と言って出て行こうとしたのだが
その背中に川相が声を掛けた。
「清水」
清水が顔を向けると川相はポケットから何か小さな物を取り出した。
その本体をひねるとちいちいと鳥の鳴き声がした。
随分鮮やかで大きな、そして楽しげな音のさえずりだった。
いわゆるバードコールという奴なのだろうか?
何故川相がそんな物を持ってるのか不思議に思ったがそれはこの際別にして。
「堀田に会えても会えなくても」川相が言った。
「俺達に会いたくなったら2つ焚き火をしろ。
その煙をみたらこれを15分ごとに――そうだな、15秒ずつ鳴らす。
それを頼りに俺達の所まで来い。」
清水は「わかりました。ありがとうございます」と頷いた。
630 :
:01/09/28 02:33 ID:Kt2wwl22
清水を見送ってすぐ後に診療所をでた松井達は
とりあえず元いた場所に戻る事にした。
その途中、急に空から何かが降ってきた。
竜巻でも起こってない限り空き缶が飛んでくるわけなどない。
松井がもう本能というのだろうか。それだけでその物体をキャッチし
思いっきり遠くへ投げ飛ばした。
すると、かっという白い光が夜空を満たし
続いてとんでもない轟音が響いた。
すぐに体を起こすとまた缶が飛んでくるのが見えた。
もう一度やらなければ――そう思ったが間に合う筈がなかった。
松井はすぐに身を屈めたのだが
爆発音がする事はなく代わりにばんっという銃声がひびいた。
見るとすぐ横にいる川相がクレー射撃よろしくその缶――手榴弾を撃ち落としていた。
「松井!下がれ!」
川相が左手を大きく動かし同時にショットガンを右手一本で撃った。
ぱららららららららら、という別の銃声が聞こえた。
松井は訳がわからないまま二岡をつれて畑をくぎるあぜの陰に伏せた。
すぐに川相が銃を撃ちながら横へ滑り込んできた。
そしてまたぱらららららという銃声が聞こえ目の前の土が吹き飛んだ。
松井も銃を抜き出し川相がポイントしている方へ闇雲に引き金を引いた。
そして、見た。30メートル程むこう民家のブロック塀の切れ目に
清原和博の頭が引っ込むのを――
そして思い出した。この銃声。
もちろんマシンガンを持ってるのが1人だけとは限らない。
だがそれでも、今目の前にいる清原は何の予告もなしに自分達を殺そうとしたのだ。
それも手榴弾で。
岡島と三浦を殺したのは清原だったのだと松井は確信した。
二人の死に様が蘇り、怒りが噴き上がった。
「なんだ!なんなんだ、あいつは!」
「叫んでないでとにかく撃て!」
川相が松井にスミスアンドウエスンを渡した。
松井は両手に銃を持ってそのブロック塀に向かって次々に撃った。
川相もまたショットガンを撃ちこんだ。
ブロック塀の向こうから手がすっとのびた。
手はマシンガンを握っていてそれが再び吠え
松井も川相も頭を引っ込めた。
間髪いれず清原は身を起こすと
銃を撃ちつづけながらすぐにトラクターの陰に走りこんだ。
――距離が詰まっていた。
「川相さん」2発続けて撃ってから、松井は呼びかけた。
「何だ?」
川相がショットガンに弾を詰め替えながら答えた。
「元いた場所ですよね?」
松井は早口で続けた。また清原の腕が伸びてぱらららと火花が吹いた。
「二岡を連れて先に行ってて下さい。俺が清原をあそこに足止めします」
川相がちらっと松井を見た。それだけだった。了解したのだ。
「元の場所だ、松井!待ってるからな!」
それだけ短く言うと川相はショットガンを松井に押し付け
伏せたまま後ろへ下がった。
松井は息を吸い込みショットガンを3発立て続けに撃った。
それを合図に川相と二岡はもと来た方へ走り出した。
631 :
:01/09/28 02:36 ID:Kt2wwl22
清原がすっとトラクターの陰から上半身をだした。
松井はまた立て続けにショットガンを放った。
それで弾が尽きた事がわかり
松井はスミスアンドウエスンに持ち替えて更に撃った。
撃ち続ける事が重要だった。
やがてスミスアンドウエスンも弾が尽き、
今度はシグ・ザウエルに持ち替えた。
しかしそれもすぐに弾が尽きた。
予備マガジンはない、弾を詰め替えるしか手はなかった。
その一瞬に清原がマシンガンをぶっ放しながら先程と同じ様に走ってきた。
松井は身を翻して走り出した。
山の中に入ってしまえば清原もそう容易に追って来れない筈だ。
松井は東へ足を向けた。川相と二岡は元の場所まで西へ向かうはずだ。
清原を少しでも二人から引き離したかった。
ダッシュ力だけが勝負だ。短い時間の内に可能な限り清原から離れなければならない。
マシンガンというのは近距離なら絶対に当たる銃器なのだ。
松井は走った。
そう早いと言える足ではないけれども
少なくとも清原よりは早いはずだ。
とにかく夢中で走っていた。
あと5メートルで木立の陰に入れると思った瞬間、
背後でぱらららという音が鳴った。
そして松井の左脇腹に思い切り殴られた様な衝撃が走った。
松井はバランスを崩しかけたが走るのはやめなかった。
ゆるい傾斜面を上る方向へ向かう。
また、ぱらららという音がして今度は左腕が意思とは関係なく
跳ね上がった。肘のすぐ上に弾が当たったのだ。
それでも松井は走りつづけた。
また音がしてすぐ側の木がぱんとはじけた。
もう自分に当たったのかもわからなかったが
ただ追ってきてるんだなという事だけはわかった。
それでいい、これで少なくとも川相と二岡には時間ができる。
木立の間、茂みの間を抜け松井は走り続けた。
誰か闇に息を潜めている別の人間に狙われるかもしれない
などという事はもはやどうでも良かった。
もうどれだけ走ったか分からなかった。
どっちへ向かってるのかもよく分からなかった。
ぱらららという音が時々聞こえるような気も聞こえないような気もした。
とにかくまだ安心できない。遠くへ。遠くへ行かなくてはならない。
その時ふいに松井の足元が滑った。
いつの間にか丘のような所を走っていてその斜面が急に切れ落ちていたのだ。
西山と格闘した時のように松井は急な斜面を転がり落ちた。
体がその底でどん、と跳ねた。
そして、松井は立ち上がろうとし――
立ち上がれない事がわかった。
出血のせいで意識が混濁してるのか?いや――頭を打った?
そんな馬鹿な。これぐらいの傷で立てないなんて訳が・・・・
俺は戻らなくちゃならない。川相さんと二岡の所へ、戻らなくちゃならないんだから――
約束したんだ。3人で助かるって、だから、だから――
体が起き上がりかけた姿勢から、ぐらりと前へ傾いた。
松井は意識を失っていた。
632 :
:01/09/28 02:39 ID:Kt2wwl22
松井のおかげで二人は元の場所にすんなりと辿り着く事ができた。
しかし1時間たっても2時間たっても松井は現れなかった。
遅すぎる。いくらなんでもこんなに時間がかかる訳がない。
怪我をしたのだろうか、道に迷ったのだろうか?
それとも――
また嫌なイメージが頭に浮かび二岡はそれを打ち消すかの様に
頭を振った。
大丈夫、絶対大丈夫。松井さんがそんな、死ぬ、なんて
そんな訳ないじゃないか。
絶対戻ってくる。そのうち何でもなかった様な顔して
帰ってくる。
そう自分に言い聞かせた。
そして結局そのまま夜が明け朝の放送が入った。
その中に松井の名前が入っていなかったので(もちろん清原もだが)
二岡も川相も一瞬だけ緊張を解いた。
しかしここに松井が戻らない以上、安心はできない。
二人はじっとその時を待ったのだが
昼過ぎになっても松井が戻る事はなかった。
633 :
628:01/09/28 02:41 ID:Kt2wwl22
一気にアプしたらどえらい長さになってしまいました。
読みにくくてすんません・・・
634 :
1愛読者:01/09/28 03:11 ID:mJenMK.Y
うわ、松井vs清原だ!
なんか読んでてドキドキしてしまった・・・
原作読んでないので続きが気になってしょうがないです。
635 :
:01/09/28 04:04 ID:jYoaDd0Y
職人さま
いつも楽しく拝見させて頂いてます。
577さん保存屋さん
お疲れ様です。
いったん上げます。
636 :
:01/09/28 04:04 ID:kZerPfX2
ドキがムネムネ
保守あげ
637 :
:01/09/28 09:15 ID:i1vxSsvc
河原がイイ!(・∀・)クールな鉄仮面だ。
ライター&保存屋さん応援age
638 :
:01/09/28 09:32 ID:0yMLNWCw
河原凄い・・・・!
フリー○ーソン・古田っていいな・・・胡乱で・・・(笑)
639 :
・:01/09/28 10:37 ID:tcAYvOOo
保存屋さんには迷惑かけるけど、時間軸的にちょっと戻った清水VS野村、
書いてもいいですか?
・・・そこ書きたさにそれ以前にあるべき場面を書いてきたので諦めきれません(w
640 :
:01/09/28 11:15 ID:JbJlpPcA
是非書いてほしい・・・
>>639 原作だと杉村v.s.光子→杉村v.s.織田、のところだっけ。
ヨシノブたんのトラウマ? が楽しみなので是非!
…と言いたいところなんだが、ちょっとここに集う諸氏兄に相談が。
保存屋氏や、自分が作った保存庫の一気読みページを見たらわかると思うが、
このスレ、鯖に相当な負荷がかかってる。
通常のスレだと750−800あたりが大体引越しの目安だが、
前にもちらっと誰かが書いてたと思うけど、あまり長文書き込みが増えると
「このスレ大きすぎます」と表示されて、今までのログが表示されなくなる。
で、職人さんたちのおかげで物語も佳境に入ったことだし、
ここらで引越しして新スレ立てたほうがいいと思う。
とはいえ639の話も楽しみなので(w、書き込みは今夜いっぱいとかにして、
日付変更線またいだら引越しとか。
仕切りまくりなことばっか書いて申し訳ないが。
言い出しっぺの責任で、新スレは自分が立ててもOKっす。
642 :
:01/09/28 15:29 ID:jYoaDd0Y
>641
イイヒトダ…(T人T)
643 :
:01/09/28 15:31 ID:98Ig6x9.
>>628-632
ついにあの場面が! お疲れでした!
>>641 ちゃんと引っ越し先貼っとけば、今からたてても問題ないのでは?
タイトルも普通に第2章だのPART2だのにしとけば分かり易いし。
644 :
AA:01/09/28 15:34 ID:Z07bIZEI
AGE
清水は銃を構えたまま、少し背筋を伸ばした。
「俺は仁志さんにあった、仁志さんが死ぬ直前に」
「あ―――」
高橋の顔の整った、目を震わせて清水を見た。仁志に止めを刺さなかったことを後悔しているのだとしても、
そんな色は微塵も表れなかった。ただ、おびえた表情。理解と保護を求める表情。
「ち―――ちがうんです。あれは事故だったんです。そうです、俺、ずっと一人でいたわけじゃないんです。
ただ―――仁志さんに会った時―――仁志さんだったんですよ、俺を―――俺を殺そうとしたんです。
そのピストルだって本当は仁志さんの―――だから―――だから俺――」
清水はさっき戻した銃の撃鉄をさっと起こした。高橋の目がすっと細まった。
「俺は仁志さんとドラフトのころからの付き合いだ。俺の知っている仁志さんは進んで人を殺すような人じゃないし、
狂ってむやみに誰にでも銃をぶっ放すような人でもない。たとえこのくそゲームの最中だろうと。」
高橋はしばらく呆然としていたが、やがてかすかに笑った。
「即死だと思ってましたよ、仁志さんは」
清水は何も言わず、銃口を高橋に向けていた。
それから高橋は清水を見上げた。
「どうですか、俺と組みませんか。俺と組んでくれたら、いうことは何でも聞きますよ。」
清水は銃を構えた姿勢のまま、動かなかった。
「だめっか」
「自分の親友を殺した奴とは組めませんよね」
清水はしばらく黙っていたが、
「・・・なんでおまえはそんな喜々としていられるんだ?これから死ぬかもしれないんだぞ?」
「・・・清水さん、あなたに人を撃つ度胸がないからですよ。」
「・・・・・・・・・。」
「俺はですね、小さいころ親父に暴力をされてたんですよ。ほぼ毎日でしたね。なんかあったらすぐ俺に突っかかるんです。
まあ、そんなくそ親父だったんですが、おかげで鍛えられましたよ。」
清水は黙っていた
「そいでドラフトの日、俺は巨人を逆指名した。親父の借金を返せるとかいって契約金のいい巨人にはいったんですが、
そんなのは嘘ですよ。何であんな親父の借金を返さなきゃなんないんですか。金がほしかったんですよ。」
高橋はつづけた
「入団発表を終えて、家に帰ったんです。そしたら、『何でヤクルトにはいんねえんだ!!バカヤロウ!!』とか、
あのヤクオタの親父に言われましたね。もうそこで終わりですよ。俺には何もなくなったんです。」
清水はヤクオタが薬のことかヤクルトのことか迷っていたが、そんなことはどうでもよかった。
「だから―――だから俺――こんなふうに―――」
高橋の右手が背中に回っていることにようやくきづいたが、そのときにはもう、清水の右肩にナイフが深々と突き刺さっていた。
清水ののどからうめき声が洩れ、銃こそはなさなかったものの、痛みで後ろによろけた。
「平気で人を傷つけられるんですよ」
高橋はすでに、木々の間をすり抜け、―――すぐに闇に消えた。
もちろん、―――もちろん、高橋の話は、こっちの意表をつくための嘘だったに違いない。しかし、清水はどうしてもそうは思えなかった。
高橋は真実を語っていたのだ。
しかし、なぜあそこまで冷酷になれるのだろう。
「・・・・・仁志さん、ごめんなさい・・・・・」
清水は、しばらく動けなかった。
646 :
:01/09/28 16:26 ID:MZwPC8.o
ageすぎですよ。
647 :
:01/09/28 17:32 ID:zpfstCqY
確保
648 :
:01/09/28 18:31 ID:zpfstCqY
確保
649 :
:01/09/28 23:51 ID:PGyZKUVk
保守あげ