2001年後半型ビッグレッドマシン

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1代打名無し
1(二)木村
2(遊)東出
3(中)緒方
4(左)金本
5(一)ロペス
6(右)前田
7(三)ディアス
8(捕)西山
2  :2001/07/24(火) 17:40
ハァ メインでやれ





ーーーーーーーーーー終わり――――――――――――ーーーーー
3広島:2001/07/24(火) 17:41
仕切りや登場
4代打名無し:2001/07/24(火) 17:41
緒方って後半間に合うの?
5 :2001/07/24(火) 17:42
>>2
終わりの線ぐらいうまくひいてね(プッ
6犬豊:2001/07/24(火) 17:45
代打陣営
右)新井、町田
左)野村、浅井
7 :2001/07/24(火) 17:45
ケイン?
8 :2001/07/24(火) 17:47
ケイン?
9 :2001/07/24(火) 17:47
打撃考えれば、西山→瀬戸に。
10ケイン:2001/07/24(火) 17:48
赤い処刑マシーン
11 :2001/07/24(火) 17:51
打撃考えれば、キャッチャー 木村拓、セカンド ディアス、サード 新井に。
12 :2001/07/24(火) 17:52
確かに新井が使えないのは惜しい
13 :2001/07/24(火) 18:02
がいしゅつ。

●●セ・リーグ後半戦は広島に注目です●●
http://salad.2ch.net/test/read.cgi?bbs=base&key=995646621

メインスレ

○今年の広島はウヒョーだぞ○part83
http://salad.2ch.net/test/read.cgi?bbs=base&key=995806510


---------------------終了---------------------
14広島:2001/07/24(火) 18:04
仕切りや登場
15代打名無し:2001/07/24(火) 18:07
>>1>>3>>14
16代打名無し:2001/07/24(火) 18:10
そんで緒方は間に合うの?>1
17代打名無し:2001/07/26(木) 02:12
age
18アンダーテイカー:2001/07/26(木) 02:20
弟がお世話になってます
19 :2001/07/26(木) 02:29
>>18
ラストライドきぼ〜ん
20アンダーテイカー:2001/07/26(木) 02:38
>>19
チョークスラムで勘弁してくれ

http://kaba.2ch.net/test/read.cgi?bbs=wres&key=995571190&ls=50
21代打名無し:2001/07/26(木) 02:42
1 ロック
2 オースチン
3 ケイン
4 テイカー
5 HHH
6 リキシ
7 ベノワ
8 カート

監督 ビンス・マクマホン
22最終回  :2001/07/26(木) 22:59
「あ、父さん!!!」
輝裕が叫ぶ。兄弟たちが振り返るとそこに行方不明になっていた父浩二が木の陰からこちらを伺っていた。
と、気付かれた浩二は背を向けて走り出してしまった。
「あのやろう!!」
「逃げた!!!」
怒りに燃える兄弟たちの仲で真っ先に走り出したのは末っ子の輝裕だった。県大にも出たその足に、腹の出始めた浩二
が敵うはずもない。もう少しで追いつくその瞬間、輝裕の目の前に3人の男が立ちはだかった。
「!!」
「輝裕!頭下げろ!!」
それを見た博樹、竜士、貴哉の3人がグラウンドに落ちていたテニスボールを拾い上げ、浩二めがけて投げつけた。
昔これでよく捕獲していたのだ。しかし自信を持って投げられて球は立ちはだかった3人の手の中に収められてしまった。
「そんなバカな・・・」
呆然とする3人。浩二はまんまと逃げた・・・・かに思われた。が。
ゴツ!!
鈍い音に目を向けるとそこに父浩二が倒れているではないか。急いで走り寄ると2人はしっかり捕ったらしいのだが
1人ほど後ろに逸らしてしまったらしい。
「瀬戸!!!なにやってるんだ!!」
「すいません」
年上らしい男と若い男が瀬戸と呼ばれる男に気を取られている隙に5人は浩二を捕獲する。
「オイこら、今までなにやってたんだ!この糞親父!!!」
激興する長男と次男を押さえながら弟たちも浩二を取り囲む。
「そうだよ、なにやってたのさ」
「ふ・・・・良くぞここまで成長したの、お前たち。これで長年の夢がかなうわあ」
「は?」
と、そこへ先ほどの3人。さらには近所の町田や金本、先輩に当たる前田らもやってきた。
「な、なんなんだよこれは!?」
驚く5人に浩二は驚くべき真実を語りだした。
「実はわしは家を出てこれまで、全国を回り人材を育て、かき集めていたんじゃ。今日の日のためにのぉ」
「だから、なんのために!!」
「それは・・・・野球チームを作るためじゃ!!!!」
「「「「「ええ!!!!」」」」」
驚く5人をよそに話は続く。
「しかしチームの中心となるべきお前らがなかなか育ってくれん。じゃから佐々岡に預け、さまざまな試練を与えたんじゃ」
「じゃあみんなぐるだったのか!?」
博樹は周りにいるご近所の皆さんを見渡す。この話に驚いていないとゆうことはどうやら本当らしい。
「だがついにこの日がやってきた!!さあ、お前たち打倒巨人!!目指せ優勝じゃ!!!」
「なにーーーー!!!!???」


こうして5人の叫びもむなしく広島カープは誕生したのであった。
23代打名無し:2001/07/26(木) 23:04
不毛でナイス
24  :2001/07/26(木) 23:05
      
25代打名無し:2001/07/26(木) 23:06
いいけど下げとけって(w
26代打名無し@助清:2001/07/26(木) 23:11
めちゃ不毛だ(w ワラタよ。

でもこの5人兄弟の設定気に入ったよ。
少し舞台を変えて自分も書いてみよーかな。
2722:2001/07/26(木) 23:15
わはは
なんか急いで書いたから変なとこ多し。
粗いさん声発してないし(w
28 :2001/07/26(木) 23:15
>昔これでよく捕獲していたのだ。

・・・・何を?(W
29代打名無し:2001/07/26(木) 23:18
無理やりオチつけた感じも否めないが上手くまとまってたーね。<<22
自分に文章力があればこの設定で小説書いてみたいな。でも文章力ないからな
・・・>>26さんよろしく〜!(藁
30代打名無し:2001/07/26(木) 23:18
で、結局ハラ決めて浜辺で兄弟の誓いを立てたわけですな

実際のかぷもこれに近いものがあったとか聞いたような
31貼っとこ:2001/07/26(木) 23:27
3222です。後日談:2001/07/26(木) 23:52
「でさ、なんて名前にするの?」
「うーんそうだなぁ・・・やるからにはちゃんとした名前にしたいし・・・」

「母さんの名前は・・・?」
ボソッと普段無口な貴哉が言った。
「そうか!!いいかもしれんなぁ!!」
「でも・・・おふくろの名前・・・・・恋美だぞ?」
「う・・・・・」
さすがにそれはかっこが悪い。どうしたものかと悩んでいると末っ子が声を上げた。
「英語にすればいいよ!カープはどう?!」
「いいじゃん!それにしようぜ」
「じゃあチームカラーは母さんの好きだった赤だね」
「ヨシ。それにしよう。母さんも喜んでくれるろう」
すっかり盛り上がっている兄弟は側にいた父浩二に気付いていなかった。
たたずむ彼の手には一枚の紙が・・・・

『広島レインボー』

後日ゴミ箱の中でそれを発見した博樹は
「こんなのが監督かよ・・・・」
と先が不安になったのでした。


>>28
それはもちろん輝裕の子守りがいやで逃げ出していた貴浩ですよ(w
33代打名無し:2001/07/27(金) 00:22
( ̄粗 ̄)よりピーコのほうがボケ役だね(w
34(・ ε ・):2001/07/27(金) 00:49
>>32
まあ実のところボクが子守りしてたようなもんだったけどね
35代打名無し:2001/07/27(金) 04:36
何歳違うんだよ(w
これ、設定何歳ぐらいなのかな?東出が高校生な事しか分からん。
横山と粗いさんは年子っぽいけど(w
36代打名無し@助清:2001/07/27(金) 16:08
今夜はちと忙しいんで、うまく行けば深夜あたりアプしてみます。
設定はそのままで、時代を戦前してみたよー。
農家も泥臭さもピンとくるさね(w
粗いさんの出番も用意したよ。
37代打名無し:2001/07/27(金) 18:30
ビッグレッドマシンage
38代打名無し:2001/07/27(金) 20:40
ええねええね
39代打名無し:2001/07/27(金) 22:04
おお! 助清さま
愉しみにしておりますぞ
40代打名無し:2001/07/27(金) 22:45
>>34
今日は粗いのほうがえらかったぞ。(・ ε ・)は駄目駄目〜
41(・ ε ・):2001/07/28(土) 01:52
プップクプ―
42 :2001/07/28(土) 02:37
>>36
期待アゲ
43広島家の人々@助清:2001/07/28(土) 16:11
うすく東の空が赤く染まってきたような気がする。
突然、庭でせわしなくニワトリが朝の雄たけびをあげた。その声につられ、ハッと博樹は
目が覚めた。
「・・・しまった。もうこんな時間か。」
あわててよれよれの古びた白いシャツに野良仕事用の汚れたズボンをはくと、博樹は雨戸を
あけた。庭では弟の貴哉と輝裕がニワトリを追いかけながら、卵を探している。
「博樹兄さん、おはよう。見てよ、いつもまったく役立たずのコイツが今日は3つも卵を産んでくれたんだよ。」
輝裕が、うれしそうに卵を差し出す。博樹は不思議そうに卵を見つめた。めずらしいこともあるもんだ。餌が貧弱なせいか、広島家のニワトリは貧産が当たり前だと思っていた。
勝手口では使用人の佐々岡の爺がご飯を炊いてくれている。家財道具もほとんどない殺風景な
茶の間に、佐々岡の爺は整然と博樹たち兄弟の茶碗を並べ、ほとんど白米の入っていないキビ飯
を米びつに入れ、持ってきた。
博樹、貴哉、輝裕そして佐々岡の爺4人のわびしい朝食がはじまった。
これでも広島家は昔は、庄屋の広島家と呼ばれた多数の田畑を持つ裕福な旧家であった。そしてそれは兄弟たちの父浩二の時代までそれは続いていた。しかし空前の株の大暴落が突然、広島家を襲った。勝者と敗者がいる。堅実な暮らしを続けていたにも関わらず、広島家はいつしか隣町の成金高利貸、邪毘屋に次々に財産を奪われていった。それはサギに近い行為であったといってもよい。そして父の浩二は友人の鉄人祥雄と大陸の戦線へ出征を命じられた。長男の博樹は進学をあきらめ、家業の農家を継ぐほかなくなった。まだ下に4人の弟がいる。しかし事態はそれで済まされるものではなかった。借金が当たり前の生活になった広島家は、いつしか小作農一歩手前の位置までおちぶれていた。使用人を雇える余力などとうになかった。それどころか兄弟全員を食べさせる食料も底をついていた。
44広島家の人々2:2001/07/28(土) 16:13
次男の竜士は、ある小料理屋の下働きとして働きに出た。三男の貴浩は、村の寺の知憲住職が
えらく気に入り、「自分の弟子にしてやる」とそのまま山寺まで引っ張られていった。
「博樹兄さん」
ボーッと力なくキビ飯を見つめていた博樹はハッと顔をあげた。輝裕が柴を刈る背負い籠を持って立ち上がっている。
「そろそろボク、学校に行くよ。帰りに貴浩兄さんのところにも寄ってみる。」
「そうか、気につけていけよ。」
「さあさあ、博樹坊ちゃんも貴哉坊ちゃんも、こっちもこれから畑に行きましょう」
人の良い笑顔を向け、ひょいと佐々岡の爺は鍬とザルをかかえる。ギコチなく兄弟たちも籠や鎌を持った。

「ほら、そんな腰つかいじゃ、すぐに背中を傷めますよ!ここはこうやるんです。」
なるで鍬と一体になったように佐々岡の爺が器用な鍬さばきを見せる。博樹は首にかけた手ぬぐいで顔をぬぐって、少しでも佐々岡の爺のテクニックに似るように鍬を動かしてみる。
少し離れたところでは、貴哉が無心に草むしりをしていた。
「あっ・・・。」
山の上の畑から、青い海がよく見える。そして、ふもとの港から、一つの小さな漁船が沖に出て行った。貴哉はじーっとその漁船を見つめていた。
どのくらいの時間が経っただろう。ハッと我にかえり、畑の方を振り向いた貴哉は、博樹がずっと膝まづいた動こうとしない姿を見てびっくりした。
「どうしたの、博樹兄さん!」
博樹は、ギュッとエンドウ豆を握っていた。
「早く大きくなってくれよ・・・。」
博樹は種蒔きをしていたのだった。

つづく・・・スンマソン
45代打名無し:2001/07/28(土) 16:14
今日も夜が忙しいんで、あとは追々と・・・
46代打名無し:2001/07/28(土) 18:49
いい!!(w
凄い切なくなるなぁ・・・・
続きガンガレ―
47 :2001/07/28(土) 19:24
兄貴・・・粗い誘拐したんだ・・・。
禅寺とかは女色厳禁だから、結構そのテのことが行われていた(る?)らしい・・・。
粗い喰われてなければいいが(w
・・・それは兎も角続きかんがれ!
48代打名無し:2001/07/28(土) 20:24
喰われたかどうかは知らんが
ワザは確実にかけられてるであろう(W
49代打名無し:2001/07/28(土) 21:20
エンドウマメ
まじで大きくなってくれや
50代打名無し:2001/07/28(土) 23:45
>>49
そうゆう意味だったのか(w
51代打名無し@助清:2001/07/29(日) 22:53
最後あせって改行確認するのを忘れるわ、文章がおかしくなってしまうわ・・・スンマソン。
最初はオールスター休みにコソーリと「信濃坊サトシ」「いざ鳴尾浜」の続編をあぷしようかと
思いやしたが、ウヒョスレで5人兄弟ねたが盛り上がっとんのを見ているうち、自分も突然
ネタがむくむく湧き起こり、勢いで書いてしまいやした。

設定はウヒョスレ、そしてここの22さんのをそのまま生かせるように時代背景だけ変えて
話をすすめてみようと思うとりやすが、うーん・・・今まで書いたのとちと傾向が違うような。
ま、あのラストへ持っていくことは確実(つーかそこへいかないと話にならんっすね。)なんで、
後は中間部分をどれだけ盛り上げられるか。リクエスト等あったらどんどんいってくんさいな。
あくまで文字書きとして、要望された設定やエピソードを組み合わせてラストまで話を進めて
みたいと思うとりやす。

>>39
あっ、さま付けは勘弁してちょ(^^; 只気がむいたらちょこちょこネタ書いてるだけですけぇ・・・。

>>47
いわれてはじめて気づいた(汗。 でもその手のネタは一切なしだーよ(w

>>49-50
そういう意味です(w エンドウ豆にもこれから波乱万丈な物語が待ってる・・・と思います。
マジでどうなるんだろ遠藤は。
52代打名無し:2001/07/29(日) 22:54
あと、お願いがありまして。こうなったらかぷ選手全員登場させてしまえ(遠藤のように人間で
あるとは限らない)と思うとりますが、ウヒョスレでの話題、そして自分の構想の中でも以下の
選手の設定がまだまったく白紙状態になってます。

(背番号順に)嶋、ウ兵動、ノムケン、緒方、キムチ、澤崎、山内、鶴田、ハセガー、(’。’)
廣瀬、キムカズ、カンエイ、小畑、ヨチキ、松本、佐竹、お鏡、朝山、小山田、クララ、カーサ
ラド、ヤング、福地、山健、島崎、サトヤス、栗原、末永、玉山、林、ベチ、福良、田村(彰)
甲斐、サトヒロ、タムケイ、伊与田、鈴衛、井生、石橋、矢野、酒井、ブリトー

通りすがりの一通行人でも、動物でも植物でも構いません。とにかくこんな役に設定して欲し
い希望があったら、このスレにコソーリどんどん書き込んでくだせえ。それに合わせてストーリー
を考えてみます。続きを書いちゃってもらっても、とてもうれしいっす。

では、もう少し時間が経ったら、続き(今日は兄貴と粗い、アキヒロ辺りのストーリー)を・・・。
しかし、もう少し萌える試合をやって欲しいYO・・・。
5339:2001/07/29(日) 23:01
わかりました。じゃ様づけは遠慮します。

>しかし、もう少し萌える試合をやって欲しいYO・・・。
・・・全くだあ(泣
5422です:2001/07/29(日) 23:05
お疲れです〜戦前・・・(w侘しさ100倍って感じですね
もう私めのは気にせずやっちゃってください

設定・・・・むずかし〜ですね・・・自分的には現代版でならネタはあるんですけどね(w
暇あったらやっちゃうかもよ・・・
55 :2001/07/29(日) 23:06
>>54
やってくれ〜
いや、やってくだされ
56代打名無し@助:2001/07/29(日) 23:09
>>54
もうやってください〜。楽しみにしてます!
57代打名無し:2001/07/29(日) 23:17
べちは・・・やっぱ貴哉の友達になるのかなあ
58代打名無し:2001/07/29(日) 23:22
戦前・・・どんな感じだったのかね?
59代打名無し:2001/07/29(日) 23:30
>>58
プロジェクトXのかぷ特集のような世界。
60代打名無し:2001/07/29(日) 23:41
京極堂・・・は戦後か
61代打名無し:2001/07/29(日) 23:47
>>59
プロジェクトKは大笑いできるんだが
62代打名無し@助:2001/07/30(月) 00:06
京極堂全然OKだよ。戦前っていったのも成金ジャビやピーコのネタで
やりやすかったから理由で、戦後でも充分範囲。ただ今の暮らしぶりより
ちょっと昔(昭和30年代くらい)の感じで漠然とイメージしただけなもんで。
気楽に考えてください。
もし大変だったら現代物のイメージで考えてもらっても、大丈夫っすよ。
その辺で何とかしますだ。

プ、プロジェクト・・・。実はネタに使おうかと・・・(汗 一応ラストはほん
わかしんみり笑えるようなストーリーができてやす。
63代走名無し:2001/07/30(月) 03:56
ウ兵動はアキヒロのクラスメート、タムケイは級長、教師に山健・・・でないか?
本スレでアキヒロは犬飼いたいって逝ってたけど、犬は誰がいいだろ・・・。
とりあえず1話目で出てきたニワトリになまえつけてみるとか(w
64代打名無し:2001/07/30(月) 07:12
農民顔としては矢野、石橋、鈴衛あたり。
福地は佐川急便のマークのヤツ(飛脚?)かな

俺も誰もやらなかったら書こうかな、と思ったんだが
助清さんがんがっておくれ〜
65代打名無し:2001/07/31(火) 00:51
64さんのも見たいぞ!
66代打名無し:2001/07/31(火) 02:05
教師の山崎のかけ声で授業が終わった。(ウ)兵動は半ばうんざりした表情で、投げ
やりに教科書を袋につめこんでいった。隣の席では真剣に輝裕が授業の要点を教科
書に書き込んでいる。
「相変わらずお前も真面目だなぁ。やっぱ鬼大下に薦められたように高等学校に進学
するつもりか?」
肩ひじついて輝裕を見る兵動の方に、輝裕も振り向いた。
「そういう兵動も進学するだろう?」
「あ、俺はもういいんだ。もう才能ないのわかっちゃったしさ、鬼大下も全然俺のこと
なんか相手しないだろっ。」
「・・・・・・。」
「なーんかずっと周りから期待されてここまできたけど、もう疲れちゃったっていうか・・。
それより輝裕は聞いたか、級長の田村も高等学校進学あきらめたってさ。」
「田村まで・・・。」
「ここから進学するのはもうお前しかいないかもな。」
「・・・・・・。」
輝裕は教科書を片付け、背負い籠をしょった。
「わかんないよ。ボクだって・・・。」
「・・・あ、そうか・・・。」
つとめて冷静な表情をつとめながら、輝裕の表情はさえなかった。
(そりゃ出来たらボクだって進学したいけど・・・)

今日は出来るだけ続きを書きます。あ、64さんも一緒に書こうよ(w
67代打名無し@63:2001/07/31(火) 02:24
うひょー、自分の設定が使われとる!さんくす助清さん!
タムケイもウヒももう大下に諦められとるんか・・・自分でも諦めとるし。悲しいのう(w
つづきかんがれ〜!!
68広島家の人々4:2001/07/31(火) 02:51
「ほんにわざわざここまで・・・。住職さま、ありがたいお経をありがとうござました。
泉下の者も大層喜んでいると思います。あ、そこのお弟子さんもよく頑張ったわね。
これ、ご褒美よ。」
檀家の婦人が差し出した小袋に、お弟子といわれた図体ばかり大きい青年は、
パカッとうれしそうに笑顔で飛びつこうとした。そこへ
「イ、いてててて・・・!!」
「奥さん、こいつのことは別に気をつかわんでええですよ。」
ニッコリ青年の首をひじで締め上げながら、知憲住職が笑顔で答えた。
締め上げられた技に半分泣きそうな顔になりながら、青年は荷物をまとめる。
「じゃあ!」
アッケにとられ立ち尽くしたままの婦人に颯爽と片腕をあげ挨拶すると、知憲
住職は錫杖片手に帰りの方向へとスタスタ歩きはじめていった。
「まままま、まってくださいよー。!」
ひぃひぃいいながら、首にふろしき両手に重箱の包みを抱えた青年が付いて
いこうとする。
「は、ははははは。粗い!ちゃんとついてこい!」
知憲住職は豪快に笑いながら、今度は軽快に走りはじめていってしまった。
69広島家の人々5:2001/07/31(火) 03:49
静寂した山の中に突然ドタバタした音と笑い声が聞こえてくる。
(あっ、帰ってきた!)
輝裕は柴を拾う手を休めて、近くの大木の幹から石段をのぞいた。
下の段から勢いよく二段飛びで知憲住職が石段を駆け上がってくる。
そしてもっと下の段から息をぜえぜえさせて、泣きそうな顔で兄の貴浩が
階段を上っていく。
(相変わらずだなぁ。)
輝裕はプッと吹き出した。その声に気づき、ピタッと足を止め知憲住職が
振り向いた。
「おお、チビ、来ていたのか!」
70広島家の人々6:2001/07/31(火) 04:08
お寺の本堂の縁側に知憲住職と輝裕は座って、檀家からもらったドラ焼と
あんこ餅を食べていた。
「ねぇ・・・西山堂のあんこ、最近質が落ちてない?」
ちょっと不満そうに輝裕はドラ焼のあんこをみる。
「うむ・・西山堂もこのところいろいろあるらしいからのぅ・・・。」
「あんこがコシコシしている。」
「キレがなくなったな・・・。」
後ろの廊下では、法事の後始末に追われている貴浩が、自分の分は
残っているか何度も重箱を確認しながら飛び回っている。
「あそこの奥さんも大変じゃのう・・・。」
「西山堂の奥さんってとっても美人なんだってね。ボクも一度見てみたいな。」
また心配そうに貴浩が重箱をのぞく。これ以上食べるのもためらわれて、
輝裕は立ち上がった。
「なんだチビ、もう帰るのか?」
「うん。あんまり遅くなって博樹兄さんたちが心配してもいけないから。」
「そうか。じゃあこれを持っていけ。お前のところは兄二人と佐々岡の爺と、
うむチビ、お前ももう一個食べていけ。」
知憲住職は無造作に自分の着ている法衣の襟元から和紙を取り出すと、
重箱に入った残り4個のあんこ餅を包むと、輝裕が背負っている籠に突っ
込んだ。さすがに輝裕は断りきれなかった。知憲住職は手振りで早く帰る
ようにせかす。
「じゃあ貴浩兄さん、ボクそろそろ家に帰るから。」
「そ、そうか輝裕。家のみんなにもよろしく伝えておいてくれ。」
気もそぞろに貴浩は輝裕に手を振ると、下の重箱に目を向けた。
輝裕の姿がどんどん小さくなっていく。貴浩は何度も輝裕と下の重箱を
指差しながら、口をぱくぱくさせた。
知憲住職は腕を組んで縁側に座ったまま、相手にしない。
71広島家の人々7:2001/07/31(火) 04:55
「ただいま〜」
輝裕は元気よく玄関の戸を開けた。
近くの土間では、佐々岡の爺が博樹にワラ縄の結い方を教えている。
輝裕は籠を下ろすと、包みを取り出して二人の前に差し出した。
「はい、博樹兄さんの大好物の西山堂のあんこ餅だよ。」
「これ・・・どうしたんだ、輝裕。」
「金本寺の知憲住職が、兄さんたちにって。」
「そうか・・・。」
そこへ奥の部屋から貴哉がやってきた。
博樹と佐々岡の爺はあんこ餅を掴むと、包みごと貴哉に渡すよう輝裕に
うながした。いつも無表情な貴哉がうれしそうな笑顔にかわった。
大事そうに包みを持って、貴哉は庭に出て行く。
「お、おい、貴哉・・・?」
庭ではにわとりのロペが、クックックックッと鳴いている。
「ロペ。お前にもあんこをやるよ。」
貴哉は小さくあんこ餅をちぎると、ロペの元に投げた。そして貴哉は裏庭に
向かう。そこには小さな桶があった。貴哉は桶をのぞきこんだ。魚がいる。
「お前にもあんこをやるよ。これでお前も少しは太るかな?」
貴哉は魚の頬をつんつんと突付いた。河豚はぷくーっと顔をふくらました。
72広島家の人々8:2001/07/31(火) 04:56
草木の揺れる音にまじって、小さな部屋からシクシク泣く声が山寺に
ヒソーリと流れる。
「あ、あんこ餅・・・。」
西山堂のあんこ餅をのがした貴浩の声だった。いつまで泣いていたか。
やっとあきらめがついた貴浩はしょんぼりと小机の引き出しを開けた。
「あ、あ、あ、あ、あんこ餅ーーーーー!!!」
引き出しの中には和紙にくるまれた2個のあんこ餅が入っていた。

やっと消えてなくなった泣き声に安心して、知憲住職は自分の部屋で
重箱をあけた。中には山のようにドラ焼が・・・。
「チッ、チビがいうとおり西山堂のあんこ、質が落ちたな・・・。」
といいつつ、知憲住職は次から次へとぱくぱくドラ焼を食らい上げていった。
73Σなんかウヒョスレが凄いことに@助:2001/07/31(火) 05:25
ここで一旦キリがいいんで。次は横山で(もう少し出番先になるかな)
これで5人兄弟全員揃いますな・・・(汗

>>63
どうも、こんな感じで良かったっすか(^^;
>>57 >>64
ありがとう!設定つかわせてもらいます。

続きは・・・31日の夜から広島にいくけぇ、4日までパソコンの前にいられん
のです。うまくいけば4日あたりに続きを書けたらと思うとります。
22さんと64さんのも見たい!楽しみにしてます。

現在設定真っ白の選手(少し減ったよ)
背番号順に)嶋、ノムケン、キムチ、山内、鶴田、ハセガー、(’。’)、廣瀬、キムカズ
カンエイ、小畑、ヨチキ、松本、佐竹、お鏡、朝山、小山田、クララ、カーサ、ラド
ヤング、島崎、サトヤス、栗原、末永、玉山、林、福良、田村(彰)、甲斐、伊与田
井生、矢野、酒井、ブリトー
74 :2001/07/31(火) 05:43
助清さんお疲れさんです〜〜。いやあ。こんな時間まで起きてた甲斐があった。
今回は粗いさん編ですか。どら焼き独り占めの住職兄貴ひでえ(w
鶏のロペ爺と桶で飼われる河豚にワラタ。河豚、てっきりヨコの勤め先の食材かと思ってた。
しかしウチ、河豚が太ったら食う気なんじゃろうか(w
75代打名無し:2001/07/31(火) 06:01
ブリトー、キムチは横山の勤め先の食材で是非!>ブリだし、キムチだし。
料理屋の主人夫妻にハセガー・クララのバッテリーとか(もはやギャグ)。
お鏡は広島家の鏡でいいよ、もう(w
(’。’)はどうしよ・・・。以前こういう話が出たとき、クラスの美少女って設定になってたが。
とにかくすぐ泣く役きぼん。
アキヒロ犬拾ってくるとかそういう設定できないかな?嶋愛犬家だから犬=嶋で(w
あと、キャラたって無いのは皆アキヒロのクラスメートや先生とかにする・・・。
無理矢理くさいけど。
76他球団ファソ:2001/07/31(火) 09:25
真顔で読めんかった・・・(w
すげえおもしろかったっス!
これからもがんがってくださ〜い
7764:2001/07/31(火) 10:20
いやー楽しかったです
粗い・・・たかがあんこ餅でそこまで(w

わしは助清さんみたいにうまく書けるかわからんので。
ネタ思いついたら書きますが
広島に来るのは応援?だとしたらがんがって〜
7822:2001/07/31(火) 13:27
おもろー!!!!(w
ガンガレー
7975@設定追加:2001/07/31(火) 18:52
ハセガーの愛人ににキムピン・小畑。2軍捕手だし。
亭主の女癖(と女の趣味)が悪くて困ってるクララ・・・なんてどうよ。
80代打名無し:2001/07/31(火) 22:13
(’。’)はひとつ幸薄そうな役で。
建てチーム内でのポジションがいまひとつ不明なので
どうしたらいいのか・・・。
年は住職の一つ下なんだけどね。
81代打名無し:2001/07/31(火) 22:17
あ、今選手名鑑見たら、趣味・ゴルフ&水泳だってさ。>(’。’)

泳げるんだね・・・
82ぁあああああ@助:2001/07/31(火) 22:19
広島逝くのやんなったよ。勘弁してくれよー(涙
やっぱ行く直前にラジオなんかつけるんじゃなかったよ・・・(号泣

ま、そうはいっても今すぐもう逝かなきゃならんので、なるべく
試合前のマータリ気分だった気持ちを思い出しながらレスを・・・。

>>75
設定いろいろと考えてくれてありがとう(^^)
ブリトー、キムチ、嶋の犬使わせていただきます。
それとハセガーの小料理屋の若旦那ね。これも設定固めやした。
割といい役になったと思うよ。
クララ、キムピン、小畑。うーん、今回の話のノリだと選手の女役は
内容とずれてしまう危険性があるかもしれんのですよ。できたら
男役で何かいい案ありませんか?
でもクララはハセガーを助ける人みたいな位置に置こうとは思うてます。

そんじゃ続きは4日の日に。おらがあぼーんしてたら許してちょ・・・(涙
83代打名無し:2001/07/31(火) 22:21
>>81
>泳げるんだね・・・

なんかワラタ
イチローは泳げないらしいけど
84代打名無し:2001/07/31(火) 22:29
体操選手は泳ぎが下手とか聞いた
使う筋肉が違うんだろうかね
85代打名無し:2001/08/01(水) 03:03
>>83
清原とか西口も泳げないらしいね。
何でも体脂肪が少なすぎて水に浮かないとか。イチローもその口だろう。
建・・・確かにプールとかで泳げなくてもがいてそうなイメージが(w
86代打名無し:2001/08/01(水) 03:31
>>80
建、チーム内だと仲良いのはキムチ、河豚辺り・・・どっちも食材じゃねぇか(w
病弱で借金取りに責め立てられてる貧乏長屋の住人とかどうかなぁ。
ただ、お約束の孝行娘(息子)が欲しいとこだけどそれが思いつかん・・・。
87代打名無し:2001/08/01(水) 08:21
建、プールで泳ぐともなく浮かんでそうだ。

しかしC投手陣の中でひそかにもっとも丈夫な人間だと思うのに
この病弱系のイメージはなんなんだろう(w
地味な着物着て正座してそうな。
88代打名無し:2001/08/01(水) 10:02
小間物屋の若旦那(w 着物着て地味にやってそう
8975:2001/08/01(水) 18:33
それではクララ・キムピン・小畑は使用人で、クララが使用人のまとめ役とかはいかが?
・・・ヲタくさくなるわな、女役は(藁。その辺考えなくてスマソ・・・。
>>86 孝行息子甲斐たんは?育ちイイっぽいし・・・。ダメか(藁
90 :2001/08/01(水) 18:56
西山堂は従業員いないの?
薫子さんと二人で切り盛りしてるのかな
9164:2001/08/01(水) 22:22
今日よく見直してみたんだけど、戦前とか昭和30年代とかすっとばして
読んでて、自分の中で江戸時代くらいのイメージを作ってしまっていた(汗
ということで、自分が提案した福地→飛脚は時代にあわないから、
走って届けに来る郵便局員あたりに変更してください(w

ちょこっと番外編書いてたのに設定が江戸だから全部書き換え。鬱。
92(丶`_ゝ´) :2001/08/01(水) 22:41
さがりすぎじゃコラ
93 :2001/08/02(木) 19:38
助清さん・・・おいたわしや
94消えちまうよ:2001/08/03(金) 01:02
(丶`_ゝ´)
95(・ ε ・):2001/08/03(金) 19:18
ボクもあげよっと
96 :2001/08/04(土) 03:23
助清さんのお帰りまで保全上げ。
9764:2001/08/04(土) 13:24
助清さんは最近ウヒョスレに来られてた遠征人だろうか?
帰ってこられるだろうからあげておく。

番外編考える時間がない・・・途中まで書いたのに
98(・ ε ・):2001/08/04(土) 22:23
後半戦初勝利age
99広島家の人々9:2001/08/05(日) 00:58
カラっとさわやかな初夏の風が、校舎をかけめぐる。
「どうだ、久しぶりに。今日ぐらい時間があるんだろ?」
(ウ)兵動は、学校の備品棚からぼろぼろのグローブを輝裕に投げ渡した。
輝裕がパッと輝いた笑顔に変わる。二人はそのまま運動場に飛び出して
キャッチボールをはじめた。
「いいよなぁ、こうやってる時が一番何も考えなくていいよ・・・。」
「うん、そうだね。」
元気よく答えた輝裕だったが、屈託なく笑っているように見えた兵動に、一瞬
どこか翳りの色が浮かんだのを見逃すことはなかった。
「兵動・・・。」
ボールを持つ輝裕の手が下におりた。兵動は何の反応も返さない。
「おっ、お前たち、またやってるな。」
「山崎先生!どうっすか、山崎先生も一緒にやりませんか〜!」
眼鏡に指をかけなおして面白そうに二人を見る教師の山崎に、兵動は手を
振った。兵動の誘いにのって山崎もグローブを持ち、運動場に出る。
「おい田村!おまえもこっちに来いよ!」
廊下をたまたま通りがかった田村に、今度は声をかける。兵動の誘いに
田村はしばらくの間たちどまって見ていたが、そのうちコクリとうなづいた。
「よぉし田村、おまえが先生の球を受けてみろ!兵動、お前はバットを持って
こい!」
(はぐらかされた・・・。)
バットをとりに行く途中、思いっきりズッこけ地面と衝突した兵動の後姿を
何ともいえない気持ちで輝裕は見つめた。
どうも遅くなりまして・・・。今夜やっと広島から帰ってきました。
今日はかぷがみたいっすね(涙 おめでとー!おめでとー!
まぁ2、3日の試合でいいたいこともたくさんありますが、神宮の試合より
中日戦より鬱にならずに済んだということで。続きを書く気力は残っておりやした(^^;
ちょと今は遠征疲れでここまでなんすが、明日起きたらすぐ続きを書きやす。
(一応この出だし、横山登場とつながっておりやす・・・)

そんで設定の方っすね。まず(’。’)たんは、旅行中おらも考えて、賭博(サイコロで
半か丁か賭けるやつ)の、さらし巻いて片肌脱いでサイコロ扱う人、あれをやらせて
みようかと・・・。(くわしいことはわからんのでこれから調べます・・・。)孝行息子甲斐
はもうそのまま逝けます!設定つかわせてもらいます。(’。’)小間物屋の若旦那も
何とかなると思います。ありがとー。

>>85
はい、西山堂に従業員はいません(汗

>>64
江戸でもいいじゃないっすか。読みたいっすよ〜。楽しみにしています。
それとおらはウヒョスレ82(だっけ?もう忘れた)の大阪から青春18切符でいくよと書いた
もんだす。ウヒョスレ歴は去年の20あたりからだよ。

現在設定真っ白の選手(だいぶ減ったなぁ・・・)
背番号順に)山内、鶴田、ハセガー、廣瀬、カンエイ、ヨチキ、松本、佐竹、
お鏡、小山田、カーサ、ラド ヤング、島崎、サトヤス、栗原、末永、林、福良、
田村(彰)、伊与田 井生、矢野、酒井
101代打名無し@助:2001/08/05(日) 01:06
今日はかぷがみたいっすね(涙 おめでとー!おめでとー!

勝ったが抜けてた(鬱
102 :2001/08/05(日) 01:29
助清さんお帰りなさい。お疲れさんでした。
(’。’)丁半博打のコロ師ですか?大丈夫なのかそこの賭場(w
意外な取り合わせですが楽しみにしてます。
10364:2001/08/05(日) 01:46
助清さんお帰りなさい〜。やっぱおもろいっす。
わしの書きかけはどうしたもんやら・・・。
設定をかえるのさえ忙しくてしてないけど、>>100のお言葉を
うけて、そのままいってみます。
いつあぷするかは神のみぞ知る、ですが。
104代打名無し:2001/08/05(日) 23:40
 他球団ファソだけど、このスレ萌え。
 助清さんも64さんも頑張ってください。
 楽しみにしてます。
105広島家の人々10:2001/08/06(月) 04:09
「ああ・・・、これは・・・・・・。」
佐々岡の爺は、畑のエンドウの苗のもとに駆け寄って、茎や葉の状態を確かめた。
「雨らしい雨も降らなかったからか・・・。」
博樹もショックを隠しきれず、とっさに近くに置いてあった水桶を手に取り、今にも
へたりそうに弱りきったエンドウに水をやろうとした。
「ダメです、博樹坊ちゃん!」
サッと佐々岡の爺は、柄杓を持った博樹の手の甲をしたたかに打った。水を含んだ
柄杓はそのまま地面に落ちた。
「こんな炎天下の時間に水をやると、蒸気と暑さでエンドウが完全に死んでしまいます!」
「あっ・・・。」
「こういう時は・・・博樹坊ちゃん、そこのザルを持ってきてください。」
佐々岡の爺は、にわとりのロペの糞が入ったザルを指差した。博樹が手渡すと、佐々岡の
爺は鍬で慎重にエンドウの周りの土をけずり、糞を入れ、もう一度土を盛り返した。
「これで後は・・・」
エンドウがしがみつくことも出来なかった竹の支柱に、やさしく佐々岡の爺は茎を巻きつか
せてあげた。そして柴と藁で簡単な日よけを作ってやる。
「夕方、またあらためて水にやりにここに来ましょう。」
「爺・・・。」
博樹は頭の下がる思いでうつむき、エンドウの苗を見つめた。
106広島家の人々11:2001/08/06(月) 04:10
しかし今年は異常気象である。まだ本格的な夏を迎える前に、既に気候は真夏の様相を
呈している。そして、このところまったく雨の降ったためしがない。
博樹は丘の畑の下を流れる小川を見た。水量が例年に比べ半分以下に落ちている。
今はまだ米の収穫は見込める。だがこのまま雨が降らなかったら・・・。
ふもとの小さな畑を耕している小作農たちは、既にその危惧を覚悟していた。かろうじて川
の流れを保っている小川を前に力なく座り込んでいる。いたたまれない気持ちで博樹は、声
をかけた。本来ならムラの本家であり、庄屋である広島家がみなを守る立場であった。しかし
今ではその広島家が小作農一歩手前であり、自分たちの生活を保つのに精一杯の状態だっ
た。それも今年の今年の取れ高次第では広島家もどうなるかわからない。
「いいんですよ・・・。」
小作農のひとりサトヒロが、いたわるように博樹に返事をかえした。
「わしらはこの盆までだともう覚悟してますけぇ。」
「・・・・・・。」
「これで雨が降ったとしても、蛇の生殺し・・・いつかはこんな運命になることはわかっておった
けぇのう。」
別の小作農サトヤスがあきらめたように言葉をかえす。
「しかし博樹坊ちゃん、夏の祭りはいつも通り盛大にやりましょうや。」
また別の小作農島崎の言葉に、とんでもないと博樹は身体を震わせてブルブル首を振った。
「いんにゃ、これもワシらの村の意地ですわ。邪毘屋にワシらの最後の意地を見せつけてやる
んですわ。」
「だから広島さんのところだけは、邪毘屋には屈さないで欲しい・・・ワシらの村を守るためにも・・・。」
「皆さんがた・・・。」
博樹は返事を返すことができなかった。気遣うように声をかけた佐々岡の爺に、無言で小作農たちを
それぞれの家まで送るように腕にすがって頼むと、誰もいなくなった小川のふちに座り込んだ。
水面にうつる博樹の顔は涙で濡れていた。自分の力の不甲斐なさが許せなかった。
一度借金の味を覚えてしまった農家の崩壊は、あっという間にやってくる。最初はなんとか返せるものだ
と思った債務は1年も経たぬうちに膨大にふくれ上がる。そしてその年の収穫次第で家や田畑を売り
渡す小作農に落ちぶれ、新たな借金を背負わされる。そして借金が当たり前になった生活で食べるもの
も、日々必要なものも手に入れられず、自分たちの娘を売らなければならなくなる。そして最後それでも
立ち行かなくなったとき、一家離散の運命をたどるようになる。ムラ単位で仕組まれた場合、それはムラ
崩壊を意味する。そして金はすべて高利貸に入っていくのだ。
107広島家の人々12:2001/08/06(月) 04:11
その頃、貴哉は浜辺で潮干狩りをしていた。
「・・・・・・このくらいで大丈夫かな。」
山のように貝が入ったブリキのばけつを見て、満足そうに貴哉は立ち上がった。そこへ
プォッ、プォー
浜辺から少し離れた港に、小さな船が帰港してきた。
「あっ!」
貴哉はバケツの取っ手を握ると、港に向かって駆け出していった。
港では、漁師の町田と浅井が船から取れたての魚を次から次へと降ろしていた。黙って貴哉はバケツを
持ったまま、その光景を見ていた。
「おお!もうしばらくしたらお前ん家のところへ行くからな。」
町田が貴哉の姿に気づいて声をかける。貴哉はコクンとうなずいた。
108広島家の人々13:2001/08/06(月) 04:12
「ああ、やっと帰ってきた帰ってきた。探していたんですよ、はい、これ広島さん家に郵便。」
小脇にバックを下げた配達員の福地から、貴哉は一枚のハガキを受け取った。
「竜士兄さんからだ!」
貴哉は家に向かって走って戸を開けた。
「・・・・・・。」
「誰もいないなぁ。」
後ろからヒョイと浅井が家の中をのぞき込む。
「ええよ、どっちにしろ早く仕込みをした方がいいから、あがらせてもらうよ。いいだろう貴哉?」
人のよさそうな笑顔で町田が貴哉に尋ねる。うんと貴哉は返事をした。
「じゃあ俺も手伝うか。」
袖をまくりあげて、浅井も台所へ向かおうとするところを貴哉の手が浅井の上着のすそをしっかりと握っていた。
「な、なんだ?」
貴哉は浅井の上着のすそを握ったまま、裏庭まで浅井を引っ張っていく。裏庭の桶には河豚がいた。
「・・・・・・これ、もう食べれるかな。」
浅井は河豚の尻尾をつまみあげた。河豚はイヤそうにビチッビチッと左右に身体を揺らす。
「んー、まだ痩せてるなぁ。もう少し太らせないと食べるところがないぞ。」
「・・・そうなんだ。」
貴哉はひどくがっかりした表情でうなだれた。浅井はつまみあげた河豚と貴哉を見比べた。
「そうだな。こいつを食べたいなら貴哉にこれをやるよ。」
浅井は親指ほどの小瓶をポケットから取り出した。
「これは漁師仲間からもらった濠州産の秘蔵のえさだ。一口でも食わせたらこいつなんかブクブク太るぞ」
「ホントに!」
貴哉は目を輝かせた。河豚は不気味な小瓶を目の前に突き出され、またイヤそうにビチビチ身体を左右に
揺らした。
109“承”に入ってきたかな:2001/08/06(月) 04:28
今のうちに謝っておくっす。いつものネタに比べて今回のはシリアスと
ギャグが5:5の割合です。ギャグになりきらん部分もあるかと思いやすが
なんとかサラリと読めるよう努力してみます(汗
しかし、いまさらながら最初の神さんの5人の設定うまいと思う!!
まじ、ストーリー作りやすいですよ。

横山の登場はまだ時間かかるか・・・。
110 :2001/08/06(月) 06:03
こいつのIP晒してもいいだろ?犯罪行為だぜ?
このスレからついに逮捕者が出るな。
111 :2001/08/06(月) 19:50
(’。’)「・・・ボクの出番は?」
112しまったあああ:2001/08/06(月) 19:51
さげるよ
113 :2001/08/06(月) 23:13
キャスティングが(・∀・)イイ!!
114代打名無し:2001/08/07(火) 00:15
じゃあ河豚が見事太った暁には喰われちまうのか?
貴哉は何故河豚に執着するのか・・・
115 :2001/08/07(火) 00:25
河豚はコアラを抱っこできない身体になってしまわれた・・・。
116広島家の人々14:2001/08/07(火) 01:33
日が西に傾き、山の向こうへ消えようとしている。
景色が赤く染まり、ささやかな風に揺られながら、輝裕は背負い籠をしょって、いつもの金本寺からの帰り道
を歩いていた。
金本寺では一月後にせまった夏祭りに向けて、また知憲住職がよからぬことを考えて、貴浩と共にその
準備に追われていた。
「チビ、祭りの日はお前も手伝え!」
一体何をしでかすのやら。子供のように夢中になって準備に狂奔する知憲住職に、輝裕は苦笑するほか
なかった。
(夏祭りか・・・。)
夏祭りからお盆にかけて、遠くへ丁稚奉公に出かけていた者たちも「やぶ入り」といい、束の間故郷に帰るこ
とができる。
「今年こそ・・・今年こそ竜士兄さんに会えるかな・・・。」

丘の上では、博樹が何度も小川から水を汲んでは、畑の作物に水をやっていた。佐々岡の爺の手当てが良
かったか、しなだれていたエンドウも少し力を取り戻しているように見える。博樹は丁寧に柄杓で汲んだ水を
エンドウの根元に注いでやった。

輝裕の耳に、もの悲しいクラリネットと太鼓の音色が聞こえてきた。輝裕は顔を上げた。
「あ・・・!」
通りの向こうから、色とりどりの風船をもった陽気な外人のピエロが、クラリネットを吹く団員らと共に
おどけながらやってくる。
「サーカスだ!」
ピエロは、ほがらかに大仰な手振りで通りの子供たちに風船とチラシを渡していく。
ピエロは輝裕の元にやってきた。
「坊や、あなたにも風船をアゲマース。」
坊やと呼ばれたことには、ちとムッときたが輝裕はピエロに薦められるまま、ひとつの風船を受け取った。
風船は普通のタイプと違い、細長かった。そして風船に描かれたエディの文字とピエロの顔マーク。
「エディ・・・エディっていうの?」
ピエロはニッコリ笑顔でうなずくと、そのまま団員と共に通りの先へと去っていく。
夢物語でも見るように、輝裕は赤い風船を握ったまま一行を見送っていった。
117スマソ、今日はここまで:2001/08/07(火) 01:39
横山登場まで書きたかったけど・・・スマソ。

>>111
まだ結構先の予定なんす・・・。でも、少し早めに一度登場させてみました。
明日か明後日あたり初登場の予定れす。

>>114
74さんの予想がいいとこついてますで、それで河豚の運命を想像して
みてくんさい(^^;
118代打名無し:2001/08/07(火) 02:12
今年こそって・・・・(w
そんなに会ってないのか?!輝裕そしてピエロになってるエディー(w
オモロイ
119 :2001/08/07(火) 08:02
こいつのIP晒してもいいだろ?犯罪行為だぜ?
このスレからついに逮捕者が出るな。
120代打名無し:2001/08/07(火) 21:35
(’。’)ヤター
121代打名無し:2001/08/07(火) 21:40
>>120
はいはい、嬉しいのは分かるけど下げまチョウね〜
122広島家の人々15:2001/08/08(水) 00:56
「あれあれ、2人ともこっちに帰ってきてたんですか。」
ムラの小作農たちをそれぞれ家に送った佐々岡の爺は、広島家の台所で夕食まで作ってくれている
町田と浅井の姿を見て、目を丸くした。
「やあ、勝手にあがらせてもらってるよ。」
「爺、町田さんと浅井さんがこんなにも魚を持ってきてくれたよ。」
貴哉がうれしそうに、綺麗に下ごしらえされた魚の樽を指差して佐々岡の爺に報告する。佐々岡の爺も
穏やかな笑みを浮かべて一礼すると、裏の納戸から白米の袋を持ってきた。
「お、すまんな。毎度毎度・・・」
「いえいえ、おたがいさまですから・・・。」
貧乏な農家は、こうして物々交換で何とか日々のやり繰りをする。
「そういえば、長男とチビはどこ行ったんだ。まだ帰ってきてないのか。」
「輝裕坊ちゃんはそろそろ学校からお戻りになる頃かと思いますが、博樹坊ちゃんは・・・。」
言いかけて佐々岡の爺の言葉が止まった。小川のそばでの小作農たちとの会話。あのときの博樹の
落ち込みようはただごとではなかった。家のことが心配で小作農たちを送った後、そのまま家に戻った
が、やはり一度畑に戻るべきだったか。
ガラッ
そのとき、水桶を持った博樹が玄関の戸を開けた。佐々岡の爺の心配に反して、思ったより晴れやかな
顔をしている。
「博樹兄さん、竜士兄さんからハガキが届いていたよ!」
貴哉がめずらしく元気よく博樹に竜士からのハガキを手渡す。ハガキの内容を見た博樹はニッコリ笑った。
そのとき胸元のシャツから茶色い封筒がチラッと顔をのぞかせた。そして何十枚もの札の束。
「いつもいろいろありがとうございます。作ってもらいながらなんですが、今日は一緒にこちらで食べて
いってください。」
町田たちに軽く会釈して、博樹は奥の部屋へ入っていく。あわてて佐々岡の爺も後を追いかけていった。
123広島家の人々16:2001/08/08(水) 01:01
「ふふ、この風船どうしよ。」
エディの顔が描かれた赤い風船を見上げながら、輝裕はウキウキとした気分で家にたどり着いた。
このまま玄関の戸を開けてみんなに見せるだけなのは面白くない。もっとみんなが驚くようなことは出来な
いか。輝裕は庭を見回した。にわとりのロペの小屋の上に広島家を見下ろすように大きな桜の木がある。
そうだ、その枝にこの赤い風船を巻きつけよう。
輝裕は裏庭にまわり、桜の木に登るためのハシゴを探した。
「輝裕・・・・・・」
輝裕は身体をピタッととめた。壁をはさんだ奥の部屋から博樹と佐々岡の爺の話す声がする。輝裕はその
まま壁に耳をつけた。
「・・・・・・だな、よそでは輝裕と同じくらいの娘が借金のために売られていく。ここで無理をしてはいけないこ
とはわかっている。」
「だったら、なぜ今そのお金を・・・。」
「俺のささやかな夢なんだ。兄弟4人俺も含めて誰も進学することができなかった。でも輝裕には可能性が
ある。せめてあいつだけでも俺は進学させてやりたいんだ。今日、正式に大下先生から進学の話があった。
学費のことを気にせず、あいつには勉強に専念して欲しい。だから・・・。」
佐々岡の爺は、博樹がどこかムキになっていないか気になった。
「大丈夫だ。竜士ももうすぐここに戻ってくるというし、何とか5分5分で夏の盆は乗り越えれる。」
博樹は笑顔で佐々岡の爺を安心させようとした。
輝裕の手が震えた。壁に身体を預けたまま一歩も動くことができなかった。風船が輝裕の手から離れていく。
まったくかまうこともなく、風船はそのまま空中に高く飛んでいった。

今日は横山登場まで書き上げますだ。でも書いててドキドキもんです。予想よりシリアスの部分が多くて・・・
カラッとしたギャグを希望したひと、ほんとうにスマソ・・・。
124 :2001/08/08(水) 01:18
おおー、なんだか続きがドキドキしますな。
横竜は次ですか。
楽しみっす。
125広島家の人々17:2001/08/08(水) 02:17
うだるような暑さが続く。勉強にも身が入らず、輝裕はイラ立ち半分投げつけるように教科書を閉じた。
隣の席の(ウ)兵動はいない。いや、輝裕を含め数人の生徒しか教室には誰も残っていなかった。
気持ちを切り替えようと輝裕は木枠の窓に向かい、手すりに手をかけた。
暑さのためか、炎天下にさらされた運動場が揺らいで見える。そしてその先の木立の茂みには・・・
「!」
輝裕は窓を飛び越え、木立に向かって走っていった。
「兵動!」
いつも通り白いシャツに学生ズボン姿の兵動が、あぐらをかいてそこに座っていた。しかし、いつもと様子
が違う。輝裕は兵動が片手に握っている酒瓶をすかさず取り上げた。
「ああ、こんな芋焼酎なんか・・・。」
「ぁあ?」
しかし、すっかりできあがっている兵動は、輝裕の非難の声も意に介さず、上に向かって笑っている。
輝裕も酒瓶を持ったまま黙って兵動の様子を見ていた。
「輝裕、これから見世物小屋に遊びに行かないか?」
「見世物小屋?」
「そ、見世物小屋。今この街にやってきてるんだ。」
輝裕の脳裏に、あのピエロと踊子たちの姿が蘇った。兵動は笑いをこらえるように輝裕の顔を見上げる。
輝裕はうなずいた。
「よぉーし、決まった!」
兵動は陽気に大声を上げると、スクっと立ち上がりそのまま輝裕の手首を強くつかんだ。
「えっ?」
そして輝裕に戸惑う間も与えず、そのまま駆け出していった。
126広島家の人々18:2001/08/08(水) 03:51
どこまで走っていっただろうか。いつまでたっても目的の見世物小屋に辿り着かない。それどころか
見たこともない賑やかな街中へと連れられていく。
「兵動・・・!」
不安になって輝裕は兵動に声をかけた。
「んん?」
しかし我関せず、兵動はぐいぐいと輝裕の手を引っ張り、走っていく。
だんだん日が西に翳っていく。そして周りが赤い提灯と脂粉の匂いにつつまれた光景へと変わっていく。
「ちょちょちょちょっと、兵動ー!」
輝裕はあわてて兵動から腕をもぎとろうとした。しかしガッチリとつかんだ兵動の手はビクともしない。
もう一度輝裕は兵動の手から逃れようと抵抗をこころみようとした。そのとき横を向いた視線の先に、
遊郭の建物のわきに寄りかかり煙草を吸っている田村の姿が映った。
「兵動!な、なんであんなところに田村がー!」
「さあ、あそこでなじみの女でも待ってんじゃねーの?」
「はぁ?」
輝裕の頭の中が混乱してきた。兵動は意に介さず先へ引っ張っていく。引きずられるように走っていた
輝裕の視界に赤い提灯と格子の先でしなだれた姿の女郎が入っていく。大きくはだけられた赤い衿に
白い首筋、胸元、そして白い足首からチラッとのぞかせる朱色の湯文字の裾。無理に白く化粧をほどこ
した顔はまだあどけなく・・・
ズキーンと輝裕の胸の奥がなった。博樹の言葉がよみがえる。
(よそでは輝裕と同じくらいの娘が借金のために売られていく・・・・・)
輝裕の力が抜けた。
「そうだよ・・・。」
うわごとのように輝裕はつぶやいた。
「もしかしたら、ボクが女だったら、ほんとうはあんな風になっていたかもしれないんだ・・・。」
ボーッと格子を見つめながら、輝裕は兵動の勢いにおされるまま流されていった。
「さあ、ついたぁ!」
ふと、兵動が立ち止まった。輝裕は建物を見上げた。兵動はぜいぜい息を吐いて呼吸を整えている。
テント小屋のような建物に横文字で書かれた看板が立てかけられている。輝裕は右からその文字を
読んでいった。
「す・と・り・つ・ぷ・・・」
その時だった。
「ちくしょー!」
大きな声と共に、白いシルクハットに白い背広をきた青年がステッキを投げ捨て、大仰に拳を地面に
叩きくやしがる光景が目に入った。
「サギだ!サギだ!ここが、ここが出てなくて何がストリップだぁ!」
何度も両手で胸を大きく表現し、また地団駄踏んでくやしがる青年を見て、輝裕は目を大きくした。
「竜士兄さん!」

「うっ・・・。」
大酒のあげく長時間走りつづけた兵動は、いきなりやってきたむかつきに通りの脇の溝でつっぷ
し吐いていた。

それではおやすみ・・・(汗
127 :2001/08/08(水) 04:00
助清さんお疲れさまです。
・・って横山、突っ込みどころ満載ですな。何となく予想はしてたけど。
とりあえず白いスーツにシルクハットなんて何処で手に入れたんだよ、と突っ込んでおく(w
128 :2001/08/08(水) 07:55
こいつのIP晒してもいいだろ?犯罪行為だぜ?
このスレからついに逮捕者が出るな。
129  :2001/08/08(水) 09:19
よ、横山・・・・兵動までヤサグレちゃって・・・
130 :2001/08/08(水) 13:17
助清さん楽しませていただきました(w
ラストのウ兵には泣かされました・・・

横竜の高級なんだか安っぽいんだか分からない服装に萌え。
やはりこの世界でもオパーイ星人(w
131 :2001/08/08(水) 23:04
サルベージ
132  :2001/08/08(水) 23:07
さげさげ
13364:2001/08/09(木) 00:16
久しぶりに来たら話がすすんでておもろい!
助清さんがんがっておくれ〜。
自分のはまた書き始めたんだけど、先日ある程度構想を書いた紙を
捨ててしまって一から書いています(鬱
つるたん復帰記念で出演予定(w
134どうでもいいけど:2001/08/09(木) 21:34
>「サギだ!サギだ!ここが、ここが出てなくて何がストリップだぁ!」

チチ出さなかったので怒ったのか、全然出っ張ってなかったから怒ったのか
どっちなんだ横山…
135河内・・・@助:2001/08/09(木) 21:48
まだすぐに続きは書けんやが、スレが400過ぎたんで
一度あげときやす。(なんか400過ぎると圧縮対象にされてしまうそうで・・・)

>>134
どっちとも好きなように受け取ってくんさい(^^;

>>64
設定大変でしょ(^^; 細かく設定作らんと後で苦労するんで・・・(鬱
自分もストーリーの種まきに取りこぼしがないか、ハラハラドキドキです。
つるたん!!いいなぁ設定作れたんだ。
136代打名無し:2001/08/09(木) 21:50
sage入れたまんまだった(鬱
137広島家の人々19:2001/08/10(金) 01:41
博樹はもう一度、壁の振り子時計を見た。時刻はとっくに夜9時を過ぎている。
「今まで、こんなこと一度もなかったのに一体・・・。」
佐々岡の爺もオロオロと何度も家の中と外を行ったり来たりしている。
背負い籠と勉強道具を持った貴哉が、走って家に戻ってきた。
「どうだった!」
博樹が立ち上がった。貴哉は首を横に振った。
「・・・金本寺にも今日は立ち寄っていないって貴浩兄さんが。それにこの背負い籠と教科書・・・
学校に置きっぱなしになっていた・・・。」
「・・・どうします?あと1時間ほど待ってまだ輝裕坊ちゃんが帰ってこなかったら、警察に・・・。」
博樹はゴム草履をはいた。そして玄関の戸を開け、外にでる。佐々岡の爺と貴哉も後に続く。
「・・・。博樹兄さん、やっぱり警察に行ってこようか。」
暗闇の夜道に何の反応もない。博樹は腕組みをした。貴哉は目をこらして夜道の先を見通そうと
とした。
「あっ・・・。」
小さな明かりとともに、調子のはずれた鼻歌が3人の耳に入ってくる。
「竜士兄さん!」「竜士!」「竜士坊ちゃん!」
ステッキを肩にかけ、ほろ酔い気分でやってきた竜士だった。そして後ろからシルクハットを深くかぶり
ちょこちょこ後をついていく輝裕の姿が。
138広島家の人々20:2001/08/10(金) 01:42
「!」
「お、ぉおおおーー!」
気色ばった3人に、竜士はおおげさに驚いてみせた。後ろの輝裕は顔を赤くしてうつむく。
「な、なに、偶然輝裕と帰り道で出会って一緒にいろんなところに出かけていったんだよ。」
貴哉が無言で、背負い籠と教科書を前に掲げる。
「あ・・・・・・。」
竜士の言い訳がとまった。
「ま、まあ、いいじゃないの。俺がこうしてちゃんと連れて帰ってきたんだからよ。」
ぽんぽん力強くシルクハットの輝裕の頭を叩き、竜士は何とかごまかそうとする。
3人もこれ以上追及することをやめた。
「竜士兄さん、お土産は?」
「お、お土産?あ、それは・・・あ、あとでな。」
貴哉の言葉もかわし、竜士は何事もなかったように家の中に入っていく。
シルクハットをかぶったままうつむいていた輝裕が、そぉっと帽子をとった。
他の家族はみな既に家の中に入っている。輝裕は大きく深呼吸をした。そして気持ちを落着かせてから
ゆっくりと自分も家の中に入っていった。
139広島家の人々21:2001/08/10(金) 01:43
夕食ならぬ夜食は、不意に帰ってきた竜士の存在で無理矢理4人分から5人分へ量がわけられた。
「ふぁー、腹が減ったな・・・。」
まだ朝も明けきらぬ頃、竜士はガサゴソ布団から抜けだし、おざなりの自分のカバンへ這っていった。
「土産・・・土産・・・。ちっ、困ったなぁ・・・。」
土産の代わりになりそうなものが何もない。竜士は台所を見回した。
「そいじゃあ、せめて朝食でも作って・・・。」
竜士は靴を履いて、土間の台所に降りた。久しぶりの我が家でどこに何の材料があるのかまったく見当が
つかない。竜士はあたりをきょろきょろ見回した。
ぽちゃーん
裏庭から小さな水音がした。
「なんだ?」
竜士は土間から裏庭へ行く戸を開けた。裏庭には桶があった。竜士は桶を覗き込んだ。
ニヤーッと竜士は笑った。

ぷぅ〜んとおいしい匂いに誘われて、兄弟たちは目が覚めた。いつの間にか土間のすぐ隣の茶の間に、
整然と朝食が並べられている。土間にいる竜士はニッコリ笑顔で兄弟たちを迎えた。
「これ、お前が作ったのか・・・?」
博樹の質問に、竜士は自慢気に大きくうなずく。ちゃぶ台の上には朝食に似つかわしくない刺身までのせて
あった。
「さすが竜士坊ちゃん。」
昨夜とはうってかわって豪華な朝食に、兄弟たちは喜んで食卓を囲んだ。刺身は不思議な味がした。
「これ、なんていう魚なの、竜士兄さん。」
初めて食べる味に、首をかしげながら輝裕が尋ねた。
「ぁあ、これは・・・」
そのとき突然貴哉が立ち上がった。あわてて土間に駆け下り、見覚えある桶を発見すると、次に桶を持ったまま
裏庭に走っていく。裏庭には桶は・・・河豚はいなかった。
「ぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ。」
一時、ぷくぅと頬をふくらました後だった。貴哉の絶叫が悲しく広島家の家屋を揺らした。
140代打名無し:2001/08/10(金) 01:46
つ、ついに|`_ゝ´|の河豚に対する執着の理由が明らかに!?
14164:2001/08/10(金) 02:13
ああああ竜士てめぇ!河豚をかえせ!
この時間にきてみたらあぷされててうれしかったっす。
助清さんがんがっとる…自分のはあまりすすんでません(鬱

今日の試合の結果で貴哉が2軍におちるっぽいですが、
この話にはシンクロしないですよね?
142代打名無し@助:2001/08/10(金) 02:21
なかなか(’。’)登場まで話が進まない。テンポ遅いかも・・・(鬱
んでも、やっと横山登場まで辿り着きました。これで河内と河豚のエピソード(実はあんまり大したことないんだよ(^^; )
をちょっと書いた後、前半決起集会につながるネタ、そして8連敗(涙 ネタへと続いていきます。

問題は借金です・・・。借金問題で兄弟の心がだんだんバラバラになってしまう。ここでまた一挙に登場人物が
増えます。だいたい兄弟1人につき関わりの深い人物が2、3人登場して話が続いていくと。ストーリーの鍵は
粗いさんが握ってるのかな・・・?それとも横山かな。まだこの辺は迷ってます。(でも多分粗いさんにすると思ふ)

あっ、それと広島から帰ってずっと実家にいたもんでネット接続環境最悪で(涙 ウヒョスレも実況板もほとんど参加
できなったんすが、今日夜には東京に戻りやす♪これでかぷの資料も揃うし、もっと楽に書けそうっす。
さて次は11日のハマ戦か・・・。

>>64
あっ、どうしよ・・・。シンクロするかもしれないし、関係ないかもしれない。ストーリーの随分先を明かすと、
河内は家出する予定だけど・・・。(別に河豚ショックじゃないよ(^^; )
143(・ ε ・):2001/08/10(金) 05:14
前田さん出る?助清さ〜ん
144 :2001/08/10(金) 08:08
河豚が食われてしまった・・・・・・。
145 :2001/08/10(金) 11:02
 
 (’。’) ワクワク
146(・ ε ・) :2001/08/10(金) 12:19
僕が一人でビックレッドマシーンだよね。
お兄ちゃん。
147(‘ ε ’) :2001/08/10(金) 17:49
俺がストーンコールドだモナ
148(丶`_ゝ´) :2001/08/11(土) 09:14
ロック様だ
149 :2001/08/11(土) 22:45
萎え萎え
150あぼーん@助:2001/08/11(土) 23:57
ごめん、立ち直るまで少し時間ちょーだい・・・
151 :2001/08/12(日) 00:41
ムリもない・・・
普通負けるか? 8点差だよ?
152代打名無し:2001/08/12(日) 12:27
(’。’)期待age
153代打名無し:2001/08/12(日) 13:08
(丶`_ゝ´) 「建さん、sageてどうするんですか?
154 :2001/08/12(日) 13:10
まだカタワに期待するやつがいるのか。粘着だな
155 :2001/08/13(月) 00:32
156代打名無し:2001/08/13(月) 02:16
(’。’)スケサーン
157代打名無し:2001/08/13(月) 16:36
(’。’)「カク...なんでもないです...
158話題の古いFOX契約者:2001/08/13(月) 20:56
赤い処刑マシーン、冷石の奥さんのストーカーやっていたね。
15964:2001/08/13(月) 23:30
なかなか書けないage
160遅くなってスマソ@助:2001/08/14(火) 02:12
たまった過去ログを整理してたら・・・。今から書きますけ。

>(’。’)
ゴメソ待たせて。今夜中になんとかあぷするよ。でもまだ(’。’) たん
の出番まで逝かないんだよ(鬱

>>143(・ ε ・)
出るよ、隠れた広島家の用心棒で(w ちゃんと(・ ε ・) との
エピソードも用意しといたから。

過去ログはhttp://da1567.hoops.ne.jp/やす。ウヒョスレ煽りも更新
しやした。
161広島家の人々22:2001/08/14(火) 03:22
岩場から一本の釣り糸が垂れている。竿を持ったまだ少年っぽさの残る青年は
真剣なまなざしで海を見つめていた。貴哉だった。隣には例の桶が置いてある。
あの河豚は・・・あの河豚は・・・。
海を見つめながら、貴哉ははじめて河豚と出会った日を回想した。

竜士兄さんと貴浩兄さんがいなくなって、畑で精を出す佐々岡の爺や博樹兄さん
の他に食料を調達するのはボクの役目だった。

ギコチない手付きで貴哉は釣り糸を垂らし、食料の魚を得ようと努力した。
町田や浅井も釣りの極意を教えてくれた。だが・・・

ひっかかるのは、いつもあの河豚だった・・・。

道行く人はみな鼻で笑った。こんなん釣ってどうするんや。毒をもった河豚は、
とても食料品としては使えない。いつも割と器用で、要領よく物を手に入れられる
貴哉にとって、次から次へとまるで貴哉をバカにするかのように何匹釣れる河豚は
憎しみ以外の対象ではなかった。でも・・・

ある時、町田さんと浅井さんに教わったんだ。河豚も太った大きいのなら食べられ
るんだって・・・。
162広島家の人々23:2001/08/14(火) 03:23
貴哉は喜んだ。よし、それなら自分が河豚を育てて食料にしてやろう。貴哉は今
釣ったばかりの桶の中の河豚を、はじめていとおしそうに見つめた。なのに・・・

竜士兄さんのバカやろう・・・。ボクの夢をボクの楽しみを・・・!!

河豚を口にするときは自分が一人前になった証だと、貴哉はしみじみ味わって
食べるつもりだった。はじめて口にするその瞬間だけを貴哉は夢見てた。しかし・・・

不覚だった・・・。あの河豚だと気づいたのは食べ終えた後だった・・・(涙

味も覚えていない。まだまだ自分は未熟なのだ。そう通告されたような気がした。
釣り糸がクイクイッと動いた。貴哉はサッと竿をあげた。
ピチャッと河豚が岩場に打ち上げられた。
「・・・・・・・・・。」
貴哉はだまって河豚をじーっと見つめた。隣の桶を取り寄せる。釣り針から河豚を
放し、桶の中に入れる。
「・・・・・・・・・。」
スクッと貴哉は立ち上がった。そして無言で無表情のまま、大事そうに桶を抱えて
帰りの家路にと向かっていった。


続きはまた明日・・・
163 :2001/08/14(火) 11:01
ここも赤いね…
164代打名無し:2001/08/14(火) 11:50
アオリも助さんだったんですね。
いつもお世話になってます。
165今日もある:2001/08/14(火) 13:35
レッドドワーフ号の再放送見た?
166代打名無し:2001/08/14(火) 23:16
(’。’) ・・・・・・・・・ クスン
167代打名無し:2001/08/15(水) 01:25
そいやブルゴーニュで魚の雨が・・・つーのは聞いたことある
168(‘ ε ’):2001/08/15(水) 14:29
(‘ ε ’)
169代打名無し:2001/08/15(水) 21:36
勝ったー
17064:2001/08/16(木) 00:36
やっとできそうだけど、助清さんの見ると(広島家含め過去の作品)
改めてすごい。あぷしていいのか迷うよ。
保全揚げ。
171代打名無し:2001/08/16(木) 00:39
>64さんぜひ!!(w
172代打@助:2001/08/16(木) 00:51
読みたいー!是非是非お願いしまーす!!

あぅ、おらのほうは遅れてスマソ。今夜あげられるかな・・・(鬱
(’。’)たんは二役で24から登場。あとはキムタク、嶋が初登場っす!
17364:2001/08/16(木) 01:26
キムタクファソとしては、待ってました!どんな役だろう…。
作品のほうはあとちょっと待ってください。完成次第あぷします…(怖
17464:2001/08/16(木) 02:52
こんな真夜中に駄作あぷ…広島家の人々番外編〜鶴田の恩返し

1
まだ夜も明けきらぬうちに、金本寺の見習い・貴浩は目を覚ました。知憲住職が目を覚ます
前に(しかし住職を起こすのも貴浩の仕事だ)寺の掃除が待っている。百数十年の歴史のあ
るこの寺は、十分な敷地の中にあるしっかりとした造りのもので、このあたりでは一際目を引
くものであった。だがそれ故に掃除には相当な労力と時間を要するのだ。別に毎日掃除なん
てしなくてもいいじゃん、と貴浩は思うのだが、果たしてそれを住職の前で口にすることができ
るだろうか?言ったところで貴浩は仏を祀ってあるはずのこの寺から地獄を見ることになるだ
ろう、ということくらいの予想はついていた。ただでさえ住職は容赦がない。「手加減などしお
ったら修行にならんわガッハッハ」と住職が輝裕に話していたのも陰で聞いていた。
「ハァ〜…掃除すっか」
溜息混じりに呟き、とりあえず貴浩は外の厠に向かった。モタモタしていたら日はすぐ昇る。
ふと、貴浩は厠の傍に何かが無造作に置いてあるのに気付いた。何気なく近づいてみると…
それは「何か」などという言葉では表現できない、紛れのない1人の人間なのであった。
知憲住職はいつもより随分早く起こされたことに相当不満ではあったが、貴浩にあたっている
暇はなかった。ブツブツ言いながらもテキパキと倒れていた男の介抱に急いだ。男の体には
あちこちに傷があり、ただことではないようではあったが、それは住職たちの知るところでは
ない。
男が目を覚ましたのはその日の、夕日が沈もうかとしている頃であった。住職は貴浩に粥を
作らせつつ、男に二、三声をかけた。男は鶴田といい、長年住み慣れた名古屋から西へ向か
っていたが、食べるものも歩く力も尽きてしまったらしい。
「このように見ず知らずの者にここまでしていただき、本当に申し訳ない。一晩寝たらまた出
発いたします」
「何を言う?お主のその傷ではまた同じことのくり返しだ。何をするにも体調を整えなされ。
ここにはいつまでいようと一向に構わぬぞ」
「…あの〜」
ふと後ろから貴浩が声をかける。粥のいい匂いとともに。住職は鶴田にその粥を食べ安静に
する様言いつけると、貴浩を引っ張り部屋の外へ出て行った。
「住職、粥持っていったときほかに聞きたいことがあったんですけどイテテ」
貴浩の一言で住職は足を止め、貴浩を放す。「何じゃ言うてみい」
「あの人の寝てる布団は僕のなんですけど、今日の僕の布団は…」
「そんなもんいらんだろ?いつもヘソ出して寝ておるくせに。それともあの怪我人から布団を
奪いとるか?仏につかえておきながらお前というやつは…」
といいながら、住職は腕を回す。
ああ、ここに仏がいるのなら、住職、貴方の暴力は真っ先に裁かれるべきです。
なんて言えるわけもなく、貴浩はただただ首を振り「寝れるなら床の上でも十分です〜」と
涙ながらに叫ぶしかないのであった。
鶴田がこの寺で世話になってから1ヶ月あまりが過ぎた。手厚い看護のおかげで、体の傷も
大分癒え、暇な時は寺の中を歩き回るようになった。住職はこの辺では信頼厚い人らしく、よ
く出かけている。弟子の貴浩は住職についていくことも多かったが、それ以外にも朝早くから
夜遅くまでいろんな仕事をこなしている。そして何より住職と貴浩のかけあいは非常に楽しか
った。一見すればイビリともとれそうな厳しい言葉や、あるいは実力行使も見られたが、見え
ないところで住職が貴浩に気を遣っているのも鶴田は何度か目撃していた。
布団を離れ、鶴田は廊下へと出た。寺から見下ろす集落は田畑がまじり小川も流れ、遠くには
海も見える。夕暮れ時に上がる煙は風呂を炊いているのか、夕食の準備をしているのか、とも
かくそんなのどかな情景がだんだん鶴田のお気に入りになっていた。
廊下を歩いていくと、大きな仏像がおいてあるお堂にたどりつく。ここでの精神集中が鶴田の
日課になっていた。この寺の仏像は面白い顔をしている。異国風のつくりをしたその顔には、
もみあげのあたりから生えた髭が顎をかいしてつながり、一本の線のようになっている。さらに
口の両脇からも一本ずつ、腹話術の人形の口の割れ目のような感じで髭が生えている。いつ
見ても吹き出してしまいそうになる顔であった。
お堂に入ろうとして、仏像の前で何かが動く気配を鶴田は感じた。薄暗くてよく見えなかったが、
よく見ると仏像の前に小柄で色黒な少年がちょこんと座っていた。
「ふうん、じゃあ貴浩兄ちゃんも人の役にたったんだね」
輝裕はちょっとホッとした。お気に入りの仏像に祈っている時に後ろに見知らぬ男が立っていた
のにはびっくりしたが、悲しげな表情の割に気さくでいい人らしい。むしろ「役に立たない」と住
職がいつも嘆いている自分の兄のお陰でこの人が元気になったと知り、ちょっと胸が熱くなった。
「博樹兄ちゃんに話したらきっと喜ぶよ。いつも心配してるんだ、すごく心配性だし」
「ああ、君のとこは兄弟が多いらしいな。何かお礼がしたいんだが…」
「いいよそんなの!ケガは治さないと後が大変だよ!うちの貴浩兄ちゃん、体が強いのしかとり
えがないから、もっとこきつかってあげてよ!」
と鶴田を突き飛ばした輝裕の袖は肩のところがほつれていて、広島家の経済状況が手にとって
わかるようだった。
「アイタタタタ…見かけによらず力があるなあ、坊や」
その時、山寺へつながる階段から豪快な笑い声と叫び声が聞こえてきた。
「あ、貴浩兄ちゃん帰ってきた!」
真っ暗な闇の中にポッと灯りがともっているのがわかる。鶴田がその近くまで来て障子を開ける
と、中にいたガタイのいい―知憲住職は西山堂のオハギをほおばっていたところであった。
あまりに急なことに住職はオハギを喉につまらせたが、何とかもちこたえ(一人だったらあぶない
ところだったであろう)ドラ焼やら団子やらが入った箱をしまうと鶴田と向き合う。
「そろそろ私も怪我が癒え、ここを離れねばなりません。しかしこのまま離れるのは非常に心苦しい。
お礼の品の一つでも作ろうと思っているのですが、私が部屋にいる間は決して中を覗かないでほし
いのです」
「……」
知憲住職は無言のまま、頭を下げ懇願する鶴田の姿を眺めた。そして、鶴田が来た時からずっと
頭の片隅にあった疑問を投げかけた。
「前々から気になっていたことだが、お主のような温厚な人間の体になぜそのようなたくさんの傷が
あるのか、私にはわからない。何があって、ここまできたんだ?」
鶴田は顔を下げたまま動かない。
「名古屋から来た、と言っていたがそれと何か関係でもあるのか?」
住職は問い詰めるが、鶴田は両手をつき頭を下げた姿勢のまま動こうとはしなかった。
「…まあ、ええことよ。人には誰にも喋りたくないこともあろう。だが、まだ体が完全な状態になった
わけではない。無理はするなよ。ほら、コレ持ってけ」
そう言って住職はドラ焼を三つ四つ、鶴田の手元に差し出したのだった。驚いた鶴田の表情を見て、
少し照れたのか住職はそっぽを向くと一言呟いた。
「いや、西山堂の餡は最近質が落ちて食えたもんではなくてな、貴浩にやるのも癪だし…」
最近貴浩は寝不足だ。寝ていても布団がなくてどうにも熟睡できていない、というのもあったが、
何より頭の中で「カッタン、キッコン」と何かが響いているような気がするのだ。経験したことのない
その音に、さすがの貴浩もちょっと疲れを隠せないでいた。
「最近元気がありませんね」
夕食の準備をしていた貴浩に鶴田が声をかけた。ほぼ傷も癒えた鶴田に、貴浩はよく雑用を
手伝ってもらっていて軽い冗談も言い合えるような間柄になっていた。
「なんだか最近『カッタン、キッコン』って感じの音が頭の中に響いてるんですよ。あまりよく寝て
ないし、なんなんでしょうね?」
すると鶴田の顔が一瞬ひきつったように見えたが、すぐ笑顔を見せると、
「それはきっと脳みそが頭の中で転がってるんですよ。そうですね、玉葱くらいの大きさかな」
と軽口をたたいてきた。
貴浩はすぐに笑い返したが、鶴田が一瞬見せたあのひきつった表情が不思議と心にひっかかって
いた。
その夜、貴浩は足の痛みで目を覚ました。どうせ今日の夕食の時、知憲住職に追いかけられた
せいだろう。たいした事はないだろうし、寝直すか。寝ぼけ気味の頭でそう思い直し寝返りをうっ
た時、耳に入ってきたのは最近貴浩を悩ませていた変な音だった。あの音は自分の気のせいで
はなかった!貴浩はその音の正体を調べるべくそっと起き上がった。
音のする方向へ歩いていく。この寺のどこかで鳴っているのは間違いなさそうだ。そして貴浩が
たどり着いた先は、鶴田の使用している部屋であった。夜中にもかかわらず、障子戸の隙間から
は一筋の明かりが漏れている。鶴田に声をかけようと障子戸に目をやった貴浩は息を飲んだ。
そこにうつされた影は、人間のそれではなかった。いや、人間の形はしていたものの、その手は、
まるで鳥のように、翼の形をしていたのである。
見てはいけないのかもしれない、そうは思いつつも、貴浩は隙間から中を覗いた。そこには機(はた)
を織る鶴田の姿があった。しかし鶴田の手は、赤みを帯びたバフ色の羽そのものだったのである。
「うわあああああああああああああああああ」
我を忘れて貴浩は叫んだ。
大きな叫び声で知憲住職が向かった先には、腰を抜かした貴浩と、いつにも増して悲しみを帯びた
表情でこちらを見る鶴田―しかし、肩からは手ではなく羽が生えていた―がいた。
「私はご覧の通り、人間ではありません。名古屋で食べられそうになったところを、命からがら逃げて
来たのです。ここに来るまでも、私の新の姿を見た人間は石を投げたり、包丁を持って追いかけ
たり、私にとって人間は憎悪対象以外の何物でもありませんでした。姿を変え、ここでやっかいに
なるうちに自分の立場を忘れあなた方の親切に甘えてきました。しかし、この姿を見られてしまっ
ては、ここにいることはできません。…どうか、どうか幸せにお過ごし下さいませ」
そう鶴田が言い終わると同時に、その姿がかわっていき、赤いトサカと眼、黒い胴体、そして羽は
バフ色をした1匹の鶏になると、羽をはばたかせ鶏らしくなく闇の彼方へと飛んでいってしまった。
ただただ鶴田の変化を見つめるしかなかった住職は、彼が飛び去った後で力なく一言だけ呟いた。
「あの姿かたち、あれは名古屋コーチン…」
「輝裕、これ、鶴田さんから」
久しぶりに遊びに来た輝裕に貴浩は一枚の羽織りを差し出した。それは鶴田は去った部屋にあった
もので、サイズからして住職や貴浩では着れそうにないものであった。輝裕の服のほつれを見た
鶴田が輝裕に作ったものであるのかどうかは、もう定かではない。
「すごいや!こんな綺麗な服見たことないよ!鶴田さんにお礼言わなきゃ」
「鶴田さんなら怪我も治ったし出て行ったよ。きっとそのうちどこかで会えるよ」
貴浩にはそう言うのが精いっぱいであった。本当のことを話したところでどうにもならない。
「そうなの?鶴田さん、すごくいい人だったのにね」
「そうだな。俺の布団を占領していたことを除いては、な」
貴浩の一言に、輝裕はそんな小さいこと気にするなよ、とでも言いたげな感じで鼻で笑った。


しかし、貴浩は鈍感だ。鶴田が去った後、その布団の中には羽毛が敷き詰められ、格段にフカフカ
になっていることをいまだに気付いていないのだから…。
18364:2001/08/16(木) 03:04
オチも激弱、ストーリーも謎だらけの文章でしたが読んでいただけると
うれしいかもしれないっす。恥ずかしいけど。
仏像の描写が難しかったんすわ。結局これが誰かわかるんだろうか…。
あと、鶴田の復帰祝いには程遠いです。名古屋コーチンだとは(鬱
最初は1001組から逃げてきたヤ○ザの構成員という設定だったんですが
いつの間にやらこういうことになってしまいました。まあ、ええことよ。

また機会があれば書きたいです。意外と面白かったかも(出来具合は別で)。
184代打名無し:2001/08/16(木) 08:49
バ、爆笑・・・・腹いてぇ・・・
185名無しさん:2001/08/16(木) 08:54
うっわーすっごい面白いです!
>ああ、ここに仏がいるのなら、住職、貴方の暴力は真っ先に裁かれるべきです。
これ最高。
そして仏像はあの人か?と考えてみる。
186代打名無し:2001/08/16(木) 09:18
ageます
187186:2001/08/16(木) 09:18
まちがえた
188代打名無し:2001/08/16(木) 09:51
>>186
(ヽ`_ゝ´)「これ書いたの(’。’)さんかな・・・
189代打名無し:2001/08/16(木) 10:07
http://www.nagoya-cochin.org/hinsyu/tori.jpg
鶴タンの正体・・・(W
190代打名無し:2001/08/16(木) 11:25
|Å’)ノ 「……

|彡サッ
191代打名無し:2001/08/16(木) 21:46
鶴たんおめでとう〜♥
192代打名無し@助:2001/08/16(木) 23:12
あはははははは、大爆笑!
名古屋コーチン鶴田と仏像シュルたんも(・∀・)イイ!!
(仏像はシュルたんでいいんすよね(^^; そういえばシュルたんに
そっくりの不動明王像見たことありやす(藁 )
64さん、また何か書いてくんさい。ホント最高っす!

さて、おらの方もやっと続きを・・・。スマソ、風邪引いたみたいで
あれから風邪薬飲んだら1日爆睡してしもた(鬱
あと64さんのを読んで、やっぱ輝裕は「〜兄さん」より「〜兄ちゃん」
の方が、輝裕らしいなぁって再確認しやした。これから自分も「〜兄ちゃん」
に変更しやす。そろそろ輝裕の性格も小悪魔的要素加えていきたいしのぅ・・・(藁
193広島家の人々24:2001/08/16(木) 23:14
ぼぉーーーーー
浜辺から少し離れた小さな駅、鯉城駅から蒸気機関車が、黒煙とともに村中に響く
汽笛を上げ、ゆっくりとホームから遠ざかっていった。
温和な表情を鯉城駅のたった一人の駅員木村は、蒸気機関車を見送ると、ホッと
ジェスチャーで一息ついて、古ぼけた木造の駅舎に戻っていった。
これで今日走る汽車はすべて駅を通過した。木村は墨で大きく時刻が書かれた
1mほどの木札を改札口の壁から外し、西日で少し黄色くくすんだカーテンを閉めた。
鯉城駅には1日3本しか汽車が走らない。そのため、時刻表は次の発車時間が書か
れた木札を壁にかけるだけで、まったく用をなしていた。木村は木札を丁寧に古布で
拭くと、元あった場所に横づけする。
「さて、これで今日の仕事も終わりか・・・。」
ふぁーっとあくびをしながら両手をあげて、木村は改札口の扉を閉めようとした。

くぅんくぅんくぅん・・・

「ん?」
どこから子犬の鳴き声がする。木村は改札口を抜けてホームに出た。いない。子犬
の姿はない。だが間違いなくホームの近くから子犬の鳴き声はする。
「まさか・・・!」
木村は線路に飛び降りた。いた。線路の近くに子犬はいた。瀕死の母犬と一緒に・・・。
「大丈夫か?お前、さっきの汽車にひかれなかったか・・・?」
木村は捨て犬らしき親子に駆け寄った。母犬は最後の力をふりしぼって子犬に
寄り添おうとしていた。そして子犬は悲しそうな鳴き声で母犬の身体をなめていた。
19464@ますますキムタクファソ:2001/08/16(木) 23:45
みなさんありがとうございます。ここにあぷしたときは不安だったけど、
笑っていただきうれしいっす。
またきっとあぷすると思いますが、助清さんの見習としてあたたか〜く
みてやってください。

>>189
名古屋コーチンはそのページを参考にしたんでビックリしました(w

>>190
仏像じゃ不満だったかな…(仏像モデルはシュルたんであってます^^;)
195広島家の人々25:2001/08/17(金) 00:48
「おいー、そろそろ教えてくれたっていいじゃないかっ。」
スタスタ一人柴刈りに精を出す輝裕に、こそこそと落ち着かない動作で貴浩が
駆け込む。今日はめずらしく兄の貴浩が一緒に柴刈りを手伝ってくれる。
だが、あまりあてになりそうもない。
「・・・・・・何が?」
冷めた目で、輝裕は背負い籠に柴を入れる貴浩に振り向いた。
「何がって・・・あ、あれだよ、あれ!俺は聞いたぞぉ、お前が竜士兄ちゃんに
連れられて、あ、あれだな・・・あ、朝帰りしたとかなんとか・・・っ」
あたふたしながら、何とか輝裕から詳細を聞き出そうとする貴浩を、輝裕は
まじまじと見つめた。
「・・・・・・フッ」
「ぁあああ!ぁあああ!ぁあああ!な、なんだその態度はぁーー!!」
軽く鼻で笑った輝裕の肩を、くやしさのあまり貴浩は何度も乱暴にゆすぶった。
そこへ・・・
「・・・アタッ!」
石段から飛んできた薪が、見事貴浩の頭に命中した。
「・・・うるさい!」
錫杖に風呂敷包みをかけた知憲住職だった。
「ほら、もう行くぞ!お前らの家に。」
大きな瘤を作り頭を抱えている貴浩に、知憲住職は風呂敷を投げつけた。
「・・・・・・。」
輝裕と貴浩は無言で風呂敷を見つめた。
「・・・住職、まさかまたこれ西山堂の・・・。」
「また行ってきたの、薫子さんのところに・・・。好きだねぇ・・・。ッ、イタタタタタ!」
「つべこべいわず、さっさと行くぞ!」
風呂敷を見ながらこそこそ話をする二人の頬を、知憲住職は思いきりつねった。
強大な住職の力には逆らえなかった。二人は半分泣きべそをかきながら、荷物を
持って住職の後をついていった。
196代打名無し:2001/08/17(金) 01:15
シュルたんの仏像。(似てなかったらスマソ)
http://homepage1.nifty.com/yitani/photo/kuni01.jpg
197こんな感じかのう:2001/08/17(金) 02:18
(; ̄粗 ̄ > > > > > > >⊂(ヽ`_ゝ´)⊃< < < < < < <・ ε ・;)
198代打名無し:2001/08/17(金) 02:19
輪郭と目の辺りがほーふつとさせる・・・かな>(‘Å’)ノ@仏像
199広島家の人々26:2001/08/17(金) 03:33
「あれ?拓也さん、今日はまたどうして?」
村中に郵便を届けた帰り道、いつもなら既に人影のない駅に木村の姿を見つけ、
思わず配達員の福地は、木村に声をかけた。
「ん・・・。」
木村は駅の入り口にしゃがんだまま、生返事を返すのみだ。ひょいと福地は、
木村がしゃがみこんだ先を覗いた。
「あ・・・。」
「すまないが福地、町へ行って牛乳を買ってきてくれないか?」
「あ、いいっすよ!」
あわてて福地は町の駄菓子屋に向かって走っていった。
毛布に包まれた捨て犬の親子を、やさしく撫でてやる。その暖かさに安心したか
母犬はゆっくりと息をひきとっていった。
「拓也さ〜〜ん、牛乳ですーー!」
韋駄天の速さで、福地が牛乳瓶を持って戻ってきた。そして適当な入れ物に牛乳を
移して、捨て犬の親子にあげようと自分もしゃがんだ。
「・・・・・・。」
子犬はまだ母犬にすがって、くんくん悲しく鳴いていた。
200200:2001/08/17(金) 03:36
       ,,。。,   
       ミ゚O゚ミ
       ミ ミ
       ミ ミ
     ∧,,∧ ミ  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ミ ゚Д゚彡ミ <   200!
     ミ  ミ ミ   \______
    ミ ミ ミ ミ
    ミ ミ  ミ
    ミ ミ  ミ
    ミ ミ,  ミ
    ミ ミ   ミ
    ミ ミ  ミ
    ミ,l,l,ミ  ミ
 \  ミ    ミ
   \ミ  ,,ミ
     ミ ミ''ミ ミ
     ∪ ∪    
201広島家の人々27:2001/08/17(金) 04:01
福地は買ってきた牛乳の1本を木村に差し出した。そして自分の分の牛乳を開け、
駅の外壁に寄りかかった。
「あの犬の親子。もともとはどっかで飼われていたんでしょうねぇ・・・。」
木村も牛乳瓶のふたを取って、壁によりかかった。
「そうかもな・・・。母犬に首輪の跡が残っていたし・・・。」
「でも、なぜこんな駅で・・・。まさか汽車にひかれかけたとか?」
「とも思ったんだが、どうも違うんだ。あの傷は・・・。」
「まあ、子犬が助かっただけでも良かったですよ。でも・・・。」
「・・・ここで飼うわけにもいかないし、俺も借家住まいで連れて帰るわけにも
いかないし・・・。」
「・・・そうですね。」
そこへ、錫杖の音とともにガヤガヤ騒がしい掛け合い漫才の声が、二人の耳に
入ってきた。
「ありゃ、知憲住職。こんな遅い時間まで法事ですか?」
知憲住職の後ろに控えていた輝裕が、目ざとく木村たちのそばでペロペロ牛乳を
なめている子犬を見つけた。
「あっ、子犬だ!」


中途半端なところでスマソ。また時間がとれた時、続きを・・・(アセ
202 :2001/08/17(金) 15:53
(・ ε ・)あっ、子犬だ!
203  :2001/08/17(金) 16:00
>>202
あっ、チビだ!
204 :2001/08/17(金) 18:09
(・ ε ・)「シツレイシチャウ
205  :2001/08/17(金) 19:59
今日もノーヒットの予感>(・ ε ・)
206代打名無し:2001/08/18(土) 00:16
>>205
預言者ハケーン
207代打名無し:2001/08/18(土) 10:37
age
208代打名無し:2001/08/18(土) 21:51
助さん・・・今日も激しく鬱なんだろうな
209代打名無し:2001/08/18(土) 22:05
こんなときにこそ・・・やってください。お願いします
210 :2001/08/18(土) 23:39
保全age
211代打名無し@助:2001/08/19(日) 00:44
スンマソン・・・用事でずっと留守して、今帰ってきたとこなんで
今日の試合の様子がわからんのです・・・。
で、でもさ・・・ななな、なんかヤバそうだね・・・。
ビデオセットして出かけたんやけど、見ない方が良さそうだね(鬱
もっぽどひどいアボーンでもやってのけたんかな、横竜が。
それともいつもの貧打・拙攻・エラーの嵐?

ま、いいや・・・。何も考えず今の気持ちのまま続き書くよ。
でも、その前にウヒョスレチェックだけでも。
212広島家の人々28:2001/08/19(日) 02:16
「ほぉ、捨て犬の世話とは、随分甲斐甲斐しいことを・・・。」
知憲住職は驚いたように牛乳を飲む木村に目を向け、子犬と戯れる輝裕に
視線を移そうとしてとめた。貴浩も、その存在に気づいて毛布にくるまれた
ある物に駆け寄る。
「・・・親子だったんですよ。その捨て犬。」
木村がふうっと溜息をついて説明した。
貴浩は毛布を広げた。子犬を抱いた輝裕も、隣に並ぶ。
「・・・泣いてるよ、この母犬。」
すでに死んでしまったはずの母犬の目から涙がもりあがっていた。
子犬は母犬の姿を見て、また悲しそうに輝裕の腕の中で鳴く。
「木村さんに助けられてホッとした涙なんだろうか。それとも・・・」
「無念の涙であったかもしれぬな。うむ、成仏できるよう拙僧が祈ってしんぜよう。」
ちらっと母犬の傷を見た知憲住職は、何もいわずそのまま両手を合わせた。
213広島家の人々29:2001/08/19(日) 02:20
母犬は駅のそばの空き地に埋められた。子犬はすっかり輝裕になついて、
気持ちよさそうに輝裕の腕の中で横になっている。
「お前、この犬どうするんだよ。」
すっかり自分の物にしたような輝裕の態度に、貴浩は心配そうに声をかける。
「どうするんだよって?」
「このまま家まで連れ帰るつもりか。」
「・・・・・・できたら、家で飼いたいな・・・。」
「・・・っ!お前バカか?家は兄弟全員が食にありつけないほど貧乏ーな家なんだぞ。
どこに子犬を飼う余裕なんてある!」
「貴浩兄ちゃんに比べたら、ずっと役に立つよ!」
輝裕はムッとした。
「ねぇ、木村さん。この子犬、ボクがもらっちゃダメかな?」
「いや俺のほうでもどうしようかと思っていたから、輝裕くんが飼いたいっていうなら
大賛成だよ。」
ショックで突っ伏している貴浩を無視して、輝裕はうれしそうに子犬を抱き上げた。
「うーん、名前はなんてつけよう。そうだ!シマ、シマがいいや!」


うう・・・今夜はこれ以上書ける環境下じゃない(鬱 19日は時間が取れるので
そこでなるべく話を進ませてみやす。ウヒョスレ見たよ。横山・・・ひどそうだね(泣
ビデオみるのやめときやす・・・(涙
214代打名無し:2001/08/19(日) 03:15
あ、粗いさん…酷過ぎる(w
215代打名無し:2001/08/19(日) 03:19
しま・・・・そう来ましたか(w
そしてアキヒロ子悪魔ぜんか〜い(w
216代打名無し:2001/08/19(日) 10:22
(・ ε ・)シマ!そんなとこにウンコしちゃだめだYO!!
217代打名無し:2001/08/19(日) 12:51
アキヒロ!そんなとこでエラーしちゃだめだYO!!
218広島家の人々30:2001/08/19(日) 19:04
舞台は変わる。晴れやかな青空の下、目の前のむごい結果に、手をついてひざま
づいたまま、言葉もなくしている青年がいた。博樹だった。
あれほどの手当ての甲斐もなく、エンドウ豆が枯れていた。黄色い干からび始めた
葉や茎を汚く地面に這いつくばせ、死んでいた。エンドウの茎には、茎の直径の
半分ほどの切り傷があった。この暑さである。毎日手入れを行いながら、あっという
間の出来事だった。
「どうしよう・・・。」
空白の博樹の頭の中に、急速に現実が蘇ってきた。盆を乗りきる金がない。
初夏に取れるエンドウ豆の収穫金で何とか乗り切ろうとした、そのアテが消えてし
まったのである。農家の場合、税金ほか商店等支払い関係のものをお盆前後に行う。
物々交換で何とか日々を乗り越える貧しい農家も、この時だけは現金が必要となる。
この時期に金が用意できなければ、あるものをすべて売り渡し、それでも間に合わな
い場合、あとは一家崩壊までたどる借金地獄のはじまりである。
219広島家の人々31:2001/08/19(日) 19:04
広島家はもう、売れる物はみなほとんど売っ払ってしまった。あの残るは家屋と
わずかな農地だけである。しかもそれを売るということは、小作農に転じるということ、
買い上げる相手は当然あの隣町の高利貸邪毘屋である。それは邪毘屋の奴隷に
なることと同じだった。
地面の土を握り締める博樹の指が震え、つぶれるほどギュッと力がこめられた。
それだけは博樹として広島家として許せなかった。許されなかった。
「何とかしなくては・・・。」
佐々岡の爺の手はわずらわせたくない。最近やたらと佐々岡の爺は心配そうに
博樹の顔を見る。博樹はそんな佐々岡の爺の顔を見るのがつらかった。
これ以上気苦労をかけさせたくない。何とか早く自分の手で解決したい。
「そうだ!」
まだ、もう一人いた。もう一人金を持っている奴がいた!
あわてて博樹は手にとるものをとりあえず、全速力で我が家に向かって駆け出して
いった。峠の向こうまでお使いにいった佐々岡の爺は、まだ家に帰れる時間では
ない。話の段取りをつけるチャンスは今しかない。

さて、実況板へ逝くべ!今日も負けてる・・・
220代打名無し:2001/08/19(日) 22:06
[・ ε ・]エンドウ・・・・
221代打名無し:2001/08/19(日) 22:10
ここへ来ると敗戦の鬱が癒されます。
222代打名無し:2001/08/19(日) 22:21
[; ε ;]枯れちゃったのか・・・・
223(・ ε ・):2001/08/19(日) 23:48
高校時代・・・あのときを思い出せ!!俺
224広島家の人々32:2001/08/20(月) 00:57
きゃんきゃんきゃん
子犬の鳴き声が外から聞こえてきた。某所から帰ってきたばかりで、夕食をどうしよう
か物色していた竜士は、何が起こったのかといぶかしげに玄関の戸を開けた。
「竜士兄ちゃん、ただいま!」
子犬のシマを頭上にあげて、輝裕がニッコリ笑っている。その後ろには威風堂々とした
態度で錫杖を肩にかけている知憲住職と、しょぽくれて下を向いている貴浩の姿が。
「どっひゃ〜〜〜〜〜〜〜!」
目を丸くして竜士は驚いた。
「何じゃあ竜士、その恰好は?」
呆れたように知憲住職が眉をひそめる。少々いかれた白いシャツと赤いサスペンダー
をつけた白いズボン姿の竜士は、汗をかきかき笑ってごまかした。
貴浩はまだうなだれたままだ。しばらくの間茶々をいれた住職との会話を交わした
竜士は、気になって貴浩のほうに振り向いた。藍色の作務衣の恰好の貴浩は、
ぼーとつっ立ったまま反応しない。
225広島家の人々33:2001/08/20(月) 00:57
「貴浩?」
竜士は声をかけた。貴浩は反応しない。竜士は両手を広げて貴浩に伸ばした。
それにも貴浩はまったく反応しない。
「貴浩?」
両手を伸ばしたまま、もう一度竜士は声をかけた。貴浩は反応しない。
「た〜か〜ひ〜ろ?」
一瞬、竜士の目がいたずらっ子のように輝いた。名前を呼びながら、竜士の両手は
容赦なく貴浩の両頬に炸裂した。
「イテェェェェェェェ!」
ただでさえ赤い貴浩の頬が、なおさら赤く腫れた。竜士はニンマリと笑った。
「よぉ、元気だったか?貴浩。」
竜士に腫れた頬をはさまれたまま、貴浩はじわーっと涙がこぼれた。
「竜士兄ちゃん!」
そのままドでかい図体で竜士に抱きつく。よしよしと竜士は貴浩の背中をポンポン
と叩いた。
二人の光景を見て、シマがうれしそうに輝裕の腕の中で暴れだす。
「竜士兄ちゃん、シマも一緒にやりたいって!」
輝裕はポーンとシマを竜士に投げた。
「ん?」
あわてて竜士はシマを受け止めた。シマはご機嫌で竜士の白いシャツに
足をばたつかせて、じゃれる。見る間に竜士の白いシャツは犬の足跡だらけに
模様が変わっていく。
「シマ、そんなことをしちゃダメだよ!」
竜士の顔色が変わった。
「てめぇ・・・こ、こ、こ、この糞犬がぁーーーーー!」
シマは身の危険を感じて、地面に飛び降りた。竜士は容赦なくシマを追いかけ
まわした。
226広島家の人々34:2001/08/20(月) 01:01
その光景を少し離れた場所からコソーリ見ていた人物がいる。河豚の桶を持った
貴哉である。貴哉は庭先でじゃれあう面々・・・とくに竜士に見つからないよう、
タイミングを計って、早足で裏庭にまわった。
そして、もう一人全速力でこの場に加わった人物がいた。
「竜士ーーーーーーーーーーー!!」
鍬を持って駆け込んだ博樹だった。切羽詰った博樹の声に振り向く間もなく、
竜士は鍬を放り出した博樹に襟元をつかまれ、家の中に引きづられていった。

「なんじゃ、あれは・・・。」
知憲住職がポツリと呟いた。

アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ(・∀・) もういいよ・・・(鬱
開き直ったさ。ケッ、続き書けるだけ書くよ・・・(涙
227[・ ε ・;]:2001/08/20(月) 11:25
>>226
うわー!気を確かにー!!
228(・ ε ・|||):2001/08/20(月) 15:45
>>226
た、大変だぁ〜僕のせいかしらん・・・
229代打名無し:2001/08/20(月) 20:37
台風age
230226で思い出した:2001/08/20(月) 20:54
よこりゅに連れてってもらったお店の台所で河内はかくれんぼに興じていたそうな
231代打名無し:2001/08/20(月) 23:19
(’。’)スケサーン ダイジョブ?
232代打名無し@ス:2001/08/21(火) 00:54
>>(’。’)
スマソ・・・。休みあけの仕事で今日は身体が疲れとるようで
ちと体力が・・・。明日午前中続きはあぷしますだ。

>>230
それは知らなんだ(^^; ウチもまだまだ子供なんやのぅ・・・(藁

>>227-228
昨日はさんざ虎ファソの友人と電話でなぐさめあったさ。これで
へこんじゃまだまだ甘いっていわれてしまったさ。ウヒョ・・・
あの試合で、週末18切符で甲子園に逝くことさんざ迷ったけど
覚悟決めたさ。25、26日逝ってきます。台風痛過までパワため
こんで萌える試合を、爆発することきぼーん。

64さんの「鶴田の恩返し」を明日過去ログにあぷしやす。
233代打名無し:2001/08/21(火) 01:05
>>232
おっ甲子園に来られるのですか。
行きますよー!
もうこうなったら3連戦全部行ったるつもりです。
見れる試合をして欲しいな・・・(泣き
23464:2001/08/21(火) 19:38
助清さん、ありがとうございます〜
あぷ楽しみにしてます。

偶然というか何というか、甲子園、自分も行きますよ(w
日曜日だけですけどみなさんがんがりましょう!
>>233さん、西京極も行くの?がんがれ〜
235広島家の人々35:2001/08/21(火) 22:42
貴哉は、何とか竜士に見つからず河豚を飼える場所はないか、狭い裏庭を
あちこち探していた。そこへ
「うわぁぁ!」
ドサッと床に倒れる音と竜士の悲鳴が、貴哉の耳にするどく入り込んできた。
竜士の声にビクッと反応して、貴哉は反射的に河豚を立てかけられたトタン板の
裏に隠すと、音の発生した奥の部屋を壁のすきま穴から覗き込んだ。
バタンと後手で勢いよく引き戸を閉め、入り口に立ちふさがる博樹の姿が映る。
博樹はいつになく思いつめた表情で竜士を見下ろしていた。目が完全にすわって
いる。竜士も博樹の異様な雰囲気に身の危険を感じ、その場から逃げ出そうと
倒れたまま四つんばいになり、右へ左へ部屋中かけずりまわる。だが、機敏な
動きの博樹に退路をふさがれ、最後には部屋の四隅の一角に追いつめられて
いった。
「うわわわわわわわわわ・・・。」
竜士は、壁に手をあてて必死にその場でずり上がった。
236広島家の人々36:2001/08/21(火) 22:43
「竜士・・・。」
見据えるように竜士を見る博樹の口から、低い声が洩れた。
「博、博樹兄ちゃん、どどど、どうしたんだよ・・・!」
おびえた竜士の声が震える。
「金、金だよ、竜士・・・。」
低く威圧するように博樹が言葉をたたみかける。
「お前が小料理屋に下働きにいった2年半の金はどうしたんだぁー!」
博樹の右の拳が、竜士の左頬のすぐ隣の壁に直撃した。
「ひ、博樹兄さん・・・そんなことをすれば家がぁ・・・!!」
すきま穴の向こうで、声にならない悲鳴を貴哉はあげた。と同時に素直なボロ家
は、拳の威力で貴哉の鼻めがけ、壁の一部が反り返った。
「・・・!!!」
必死で貴哉は鼻と口をおさえて無言に徹した。
237広島家の人々37:2001/08/21(火) 22:45
「か、金・・・?」
温厚な博樹のいつにない迫力に恐れをなし、竜士はあわててガサコソのポケット
から巾着袋を博樹に差し出した。博樹はサッと奪い取ると、くるっと後ろを振り向
いて、中身を確かめる。
チャリ、チャリ〜ン
小銭ばかりが床に落ちていく。そしてもうしわけ程度に一枚、二枚のお札が・・・。
「はは、ははははははは・・・。」
一発ぶたれることも覚悟で、竜士は空笑いで済まそうとした。巾着袋をさかさまに
したまま、博樹はまったく身動き一つとろうとしない。一瞬時間が止まった。
パタッ
突然、床を揺らすほど大きな音をたてて、博樹が両膝をついた。
「はは、ははははははは・・・。」
竜士は何とか笑いで済まそうと、必死に頭をかいて博樹に謝ろうとした。
だが、博樹はそのままピクリとも動かない。なにやら様子がおかしいことに竜士は
気が付いた。おそるおそる博樹の前にしのび足で寄っていく。
博樹は真っ白になっていた。まだ巾着袋をさかさにしたまま、放心していた。
「ひ、博樹兄ちゃん!」

過去ログあぷできやした。今日はも少し続きかきやす。
238代打名無し:2001/08/21(火) 22:50
黒田・・・が、頑張れ・・・
23964:2001/08/21(火) 23:02
助清さん、本当にありがとうございました〜。
名古屋コーチンに大爆笑してしまった…。

貴哉、鼻血ブーの予感…。
240代打名無し:2001/08/22(水) 00:54
[・ ε ・]怖えぇぇぇぇ(W

それはそうと鶴たん無事かな
まかり間違って横山に見つかった日にゃあ・・・

(・ ε ・)「わあ、この御馳走どうしたの?
24164:2001/08/22(水) 22:39
サルベージ

>>240
そのネタイイ!喰われるのはキツイが。
鶴田続編でも書けたらいいかも。このままいなくなるもの可哀想だ
242代打名無し:2001/08/23(木) 12:01
|_ゝ´;|∬ガタガタ
           [#・ ε ・]   \(  ;)ノ
                     ↑
                     竜士
243 :2001/08/23(木) 12:09
>>242
|_ゝ´;|∬ガタガタ
           [#゚ ε ゚ ]   \(  ;)ノ ?
                     ↑
                     竜士
244 :2001/08/23(木) 23:54
保全age
245広島家の人々38:2001/08/24(金) 00:05
竜士は必死に両手でペタリと座ったままの博樹の肩を揺すった。
博樹が正気に戻った。竜士を見上げる博樹の目から無言でポロリと涙がこぼれる。
「博樹・・・兄ちゃん・・・。」
竜士の表情が真面目なものに変わった。
「一体・・・一体何があったってんだよ、博樹兄ちゃん!」
博樹から問いただそうと、もう一度竜士は博樹の肩を揺すった。その時竜士の視界に
床に散らばった小銭がうつった。
「金・・・。金がやばいのか?」
声をおさえて、竜士は尋ねた。博樹は弱々しくうなだれて、コクリと頷いた。
「・・・もう・・・もう、家には盆を乗り切る金もないんだ、竜士・・・。」
「・・・・・・。」
竜士は愕然とした。博樹が自分に打ち明けるからには、広島家の財政は、
相当危機的状況まで事態が進んでいると見てよい。
「チッ・・・、もっと早くこのことがわかったら、俺だって・・・。」
246広島家の人々39:2001/08/24(金) 00:06
竜士は後悔した。そして何か方法がないか、もう一度部屋を見回す。
「・・・やったるか。」
ポツリと呟くと、竜士は床に落ちていた、たった二枚のお札を拾った。
「あ・・・。」
大切なお札だけでも何とか手にしようと、博樹が立ち上がり手をのばす。
「おっと!」
竜士はお札を頭上にあげ、博樹の手をかわした。
「大丈夫だよ、博樹兄ちゃん。俺がこの有り金使って、何とか倍にして
金を作ってくらぁ。お盆、盆までに金を用意できたらいいんだろ。」
不安そうに博樹は、竜士の顔を見つめる。
「心配すんなよ。それより博樹兄ちゃんこそ、長男だからってあんま溜め込むなよ。
俺や佐々岡の爺、他の弟たちにも相談して、三人寄れば文殊の知恵っていうだろ?」
よくそんなことわざを竜士が知っていたなというツッコミをいう余裕は、博樹には
なかった。まだ半分放心状態で、黙って博樹は竜士を見送った。
247広島家の人々40:2001/08/24(金) 00:43
貴哉は黙って最後までその場にいた。
「・・・・・・。」
トタン板の裏に隠した河豚の桶を取り出した。何も知らず、のんきに河豚は桶の中を
泳いでいる。
「・・・お前はいいなぁ、気楽で・・・。」
貴哉はうつむいた。

自分の元に帰ってきたシマをもう一度抱き上げた輝裕も、不安そうに竜士が連れ込
まれた家を見つめていた。

お前が小料理屋に下働きにいった2年半の金はどうしたんだぁー!

博樹の怒りの声は、確実に輝裕の耳にも入ってきた。輝裕は、博樹が自分の進学の
ために無理にお金を工面した、あの会話を思い出した。
「・・・・・・。」
「博樹兄さんがあんなに怒った声、はじめて聞いたな・・・。」
貴浩も心配そうに家の方に視線を向けた。
「おい、みんな何シケた顔してんだよ。」
ケロッとした表情で玄関の戸を開け、竜士が戻ってきた。
「竜士兄ちゃん・・・。」
シマがまた、竜士にじゃれようと輝裕の腕の中で暴れる。無意識に腕を緩めた輝裕
の元からシマは飛び出す。
「お!」
今度は竜士はニッコリ笑って、シマの遊び相手になっていた。
248代打名無し@ス:2001/08/24(金) 00:48
仕事の残業が続いてなかなかじっくり腰を落ち着けて書く時間が取れのうて、
続きを書くのも遅れがち。ホンマすまんこったなす・・・。
いつの間にか連載数字も「いざ鳴尾浜」40まで到達し、まだ登場人物増やすための
種まきにあぷあぷしてるというのが、いやはやなんとも・・・。多分、確実に100以上は逝きます・・・。
長丁場になりやすが気長に楽しんでもらえたら、ホンマにもうえろう感謝感激です。
黒田も復活したことだし、安心してこれからの展開、不幸のドツボに入れられるぞヨカタ、ヨカタ(^^;
今日のノーヒットノーラン寸前実現不可能もネタで使いやしょう!

んで、今のところ、ここまでで登場した選手の数は27人。
未だ設定真っ白の選手は以下の通りです。(残り17人)
背番号順に)廣瀬、ヨチキ、松本、佐竹、小山田、カーサ、ラド ヤング、栗原、
末永、林、福良、 田村(彰)、伊与田 井生、矢野、酒井

まだ大物が残ってますだ(^^; こんな役をやらせたい等、希望があったらどんどん
いってけれ。リクエスト優先で話を考えてみます。
64さんも見習いだなんて同じ、同じっすよ(^^; お互いネタ書きとしてがんがりやしょ!

あとウヒョスレで97さんが始められたリレー小説形式の「広島家の人々」
こちらも過去ログにあぷしたいと思うておるんですが。
(あのHPは、助清のというよりウヒョスレのネタスレ倉庫として作ったようなもんですで。)
もし、都合が悪い等何かありましたら、このスレか過去ログ>>160のMAILまでお知らせ
してもらえやすか・・・。
もしよければ、2週間後をメドに過去ログにあぷする予定どす。

そんじゃ、25、26日甲子園逝きの準備で、明日は仕事の休みが取れたんで、今日は
起きれる限り(3:00ぐらいまで逝けるか)続き書くの挑戦してみます。
今のシーンが終わると次回は松原センセ初登場ござんす。そんで新登場人物続々の
夏祭りのシーンへと。お楽しみに・・・。
249代打名無し:2001/08/24(金) 01:03
お疲れさんです!!
なんだかどんどんシリアスに・・・(w

末永は前田の子分にでも(w>広島家の用心棒でしたっけ?

ウヒョスレのリレーに自分も参加してましたけど、いいんじゃないっすかね?
あぷしても。自分ももう一度みたいっすね(w
続き期待してま〜す
250代打名無し@ス:2001/08/24(金) 01:08
>>249
前田の子分は朝山を予定してますが、末永もいれときますか(^^ゞ
251代打名無し:2001/08/24(金) 01:22
おお、カーサが残っているなんて!
我らのアイドルが(w

できれば傘以外でお願いしたいです。
人外は嫌だ・・・。
25264:2001/08/24(金) 01:30
おつかれさまです。結構キャラきまってないんすね。
矢野はちょっとしたのを思いついたんですけど、どうしようもないくらい
矢野ファソに申し訳ないので(といいつつ自分も矢野には期待してるけど)
また番外編としていただいてよろしいでしょうか?
つるたんのその後も書きたい。結構話がふくらむと楽しいかも。

もうすぐ(’。’)出てきますか?楽しみにしてます。
253代打名無し@ス:2001/08/24(金) 01:37
>>251
人外パスっすね(w 了解しました。で五人兄弟の誰と一番
話をからませてみますか?カーサだと横山か粗いあたりでしょか?
251さんの希望いってくんさい(^^)

>>252
どうぞどうぞ遠慮なく番外編書いてください。キャラ設定もしてください♪
(’。’)は夏祭りで初登場っす。その前に何やら伏線で母犬で既に登場してやす。
キャラが完全に決まってないのは、まだペナントレースの途中だから(^^;
これからの試合の展開次第で、後半部分は微妙に変わるかもしれんし・・・。
254251:2001/08/24(金) 01:58
横山の誕生日に鍋おごったのって(6月なのに!)
カーサと小山田でしたっけ?
激しくうろ覚えなので間違っているかも。

あと粗いさんのインタビュー中
「ガラス越にニヤニヤ見ている森笠選手(しかも数回に渡って)」
という怪しいのもありましたね(w

その上国学院久我山高出身で河内の先輩。
何ておいしいカーサ。
素敵なカーサ。
255広島家の人々41:2001/08/24(金) 02:47
佐々岡の爺が家に帰ったときは、既に日も暮れ、月が頭上からやさしく広島家を照ら
していた。
兄弟たちは、知憲住職が持ってきた西山堂の和菓子を夕食代わりに縁側で食べていた。
「博樹は、まだ部屋から出てこぬのか。ふむ・・・まだまだあやつも未熟やのう・・・。」
知憲住職が憤然と呟くように苦言をいう。少々辛気くさい雰囲気に、佐々岡の爺は
不安そうに、その輪に加わっていった。
「おお、やっと帰ってきたわ!」
知憲住職は佐々岡の爺の姿を見つけると、サッと佐々岡の爺の腕を掴むと、家から少し
離れた場所まで引っ張っていった。
「一体何が・・・?」
「・・・どうもな、金らしいんだよ。」
「金・・・。」
「くわしいことはわからぬが、金が足らなそうで博樹が竜士を連れこんで家で一悶着が
あったぞ。」
「・・・・・・。」
「・・・そこまで広島家はあぶなかったのか・・・。」
「・・・・・・。・・・そうなのかもしれませんね。」
「・・・で、どうする。佐々岡としては・・・。」
「・・・いざというときは・・・。」
「だな。ワシで力になれることがあったら何でもいうてくれ。できる限りのことは
するつもりじゃ。」
佐々岡の爺はニッコリと微笑んで、知憲住職に頭を下げた。
256広島家の人々42:2001/08/24(金) 03:18
「ところでのぅ、あれは買ってきてくれたか。」
「はいはい、まったくとんでもない生臭坊主が・・・。」
「ケッ、言うてろ!そうそう、これじゃこれじゃ!」
笑顔で佐々岡の爺が差し出したドブロクをうれしそうに受け取ると、
住職はクルっと振り返って、兄弟たちに見せつけた。
「ヨッ、待ってました!」
竜士が歓声があげる。貴浩も両手をあげて喜び、住職のもとに駆け込んだ。
「この役立たずがぁ!ちったあ場を盛り上げる為に芸の一つでもやろうって気が
まわらんかぁーーー!」
貴浩に遠慮なく住職の延髄切りがくらわされた。

酒の勢いもあったのであろう。兄弟たちの宴会はやっと一応の盛り上がりを
見せるようになった。
西山堂の黒ゴマ団子を持って、輝裕は奥の部屋へいった。まだ一人、
博樹だけが、その場所にいた。
「博樹兄さん・・・。」
輝裕の呼びかけにびっくりして、博樹が振り返る。輝裕はニコッと笑った。
「一緒に外で西山堂の黒ゴマ団子食べようよ!」
257広島家の人々43:2001/08/24(金) 03:39
やっと庭に出てきた博樹に、知憲住職はドブロクの入ったかわらけの盃と
一本の線香花火を渡した。
「・・・一度、童心に戻ってやってみるのはどうか。一本の線香花火からでも
得られるものは山のようにある。」
ワァーと面白そうに覗き込んできた竜士にも、住職は線香花火を渡した。
「ボクにもー!」
「ほれ、チビにも。」
縁側でちびちび隠れてドブロクを飲んでいた貴哉にも、突き出すように住職は
線香花火を渡した。
「なんじゃのぅ、貴哉。さっきから聞こうと思っていたが、なんじゃその鼻は?」
あわてて貴哉は鼻を隠した。
「な、なんなんなんなんでもないっすよー♪」
貴哉はかなり酔っていた。
貴浩は盃を持ったまま、少し兄弟たちの場から離れ、シマに追いかけられて
あたふた逃げ回っている鶏のロペを見ていた。
「鶴田さん・・・。」
酒が幻影を呼び出すのか。ふと貴浩の頭の中に、なつかしいヒトの面影が
蘇っていた。
258代打名無し@ス:2001/08/24(金) 03:44
あと、もう少しでキリのいいとこなんに、眠い・・・。
続きは時間がとれた時に・・・。

そんじゃ、おやすみなさいー
259名無し:2001/08/24(金) 08:00
ウヒョー、すごく進んでる。お疲れさまです。
東洋・末永は是非前田の子分にと思っていたので
設定嬉しいです。(実は末永ファソだったりする‥‥)
しかし、(・ ε ・)イイ子じゃのぅ。
260代打名無し:2001/08/24(金) 09:26
シマの犬、ハマってますな。
最初設定したとき、こりゃあかんやろ〜とか思ってたのだが(w
助清さんマンセー!
26164:2001/08/24(金) 23:43
たまにサルベージするのが仕事になってます。

ウヒョー!鶴田を思い出してる貴浩萌え萌え
なんかうれしいっす。助清さんありがとう!
26264:2001/08/24(金) 23:43
サルベージになってなかったよ
263代打名無し:2001/08/25(土) 00:02
サウダージってどういう忌み?
264  :2001/08/25(土) 03:58
>>263
郷愁だったっけ。
265代打名無し:2001/08/25(土) 03:59
シマたん・・・。
266(・ ε ・):2001/08/25(土) 04:02
シマはかわいいなあ。
267代打名無し:2001/08/25(土) 06:01
ここ何つーかキモい
801ヲタ女と同じ腐臭がする
268 :2001/08/25(土) 06:44
しまじろう
269代打名無し:2001/08/25(土) 21:46
助さんよかったね
しかし市民球場で勝ち試合見せたかったのう・・・
270黒田ヲタ:2001/08/26(日) 03:20
博樹負けないでくれ
271 :2001/08/26(日) 03:27
(二)町田
(捕)木村拓
(遊)野村
こんなのも面白い。
272長谷川ヲタ:2001/08/26(日) 03:30
昌幸はやく出てきてくれ(w
やっぱりガムか葉っぱか何か噛みながらの登場
になるんですかね?
273黒田ヲタ:2001/08/26(日) 04:08
>>272
葉っぱじゃデルモンテだよ
274代打名無し:2001/08/27(月) 01:31
続きが楽しみだよ。助さんがんがれ〜
275代打名無し:01/08/27 11:55 ID:D9ATJFUU
(’。’)イヤーン IDガデチャウ!
27664:01/08/27 17:36 ID:XsLanPR.
IDテストついでにあげ
甲子園では勝ち試合観られてよかったですね>助清さん
昨日の試合しか行かなかった俺・・・鬱すぎる
277ただいまっす@ス:01/08/28 11:31 ID:AJwogghU
仕事の都合もあって、大阪からそのまま自宅に帰るわけにもいかず、結局家に
着いたのが午後10時過ぎ。そんで野球板を開けてみれば、2ちゃん閉鎖か、
いつ野球板が閉鎖されるかの大騒ぎじゃないっすか。IDまで強制表示になっとる。
ひぇーー。
まずは事情を把握しなくてはと、昨夜はずっと閉鎖関連のスレを読んで、やっと
今置かれている状態がわかってきました。万が一、野球板が閉鎖されてしまった
時、ウヒョスレはじめとする広島関連のスレをどうするか、おらの方でもウヒョスレ
煽りのページに移動情報や、あと過去ログもみんな見れなくなってしまうらしいので、
今のうちウヒョスレ以外の広島関連スレネタスレの保存倉庫を作っておこうかと
思ってます。このスレと趣旨が違うんで、続きはウヒョスレに書きやすが、ウヒョスレ
住人が難民にならないためにも、避難経路はたくさん作っておいた方が安全かも
しれんすね。マカーのひとはかちゅーしゃ使えんし。実況板、避難所の管理人さん
のところはJBBSだし・・・。
278代打名無し@ス:01/08/28 11:33 ID:AJwogghU
それとシマ、はまっていましたか(^^; ヨカタ・・・。野球板のキャラと今年の活躍を
考えて設定考えてるけど、小心者でこれでいいのか、いつもドキドキしてやす・・・。

>>270
[・ ε ・]はこれから不幸のドン底に落ちていくよ。まーだ8月1日が待っているし・・・。
でも「広島家の人々」のラストは[・ ε ・]の台詞で終わりやす。苦労の後に栄光あり。
シーズン終了まで存分にスーパー黒田を堪能したいものよのぅ・・・。

>>272
スンマソン。まだまだ登場は先っす。後半の主要人物なんで、出てきたらインパクトある
と思いやすが・・・。一言いってカコイイ役だと思うよ。長谷川ヲタさんに気に入ってもらえ
たらええなぁ。意外なところで初登場っす。

甲子園逝ってる最中に細かいキャラ設定の固めができたのが、横松親分。お鏡、
甲斐あわせて癒し系キャラになってきやした。5人兄弟と絡みながら、この3人で
一エピソードできてやす。廣瀬は意図的にまだ設定を真っ白に。シーズン終了までに
何かやらかしてくれそうな気がするんでのぅ。いい意味で期待してるんすよ。
あと、今のうちに謝っておこう。山内の設定・・・。

では、これから続き書きやす・・・!
279広島家の人々44:01/08/28 17:17 ID:9WpKaIV6
線香花火に火が灯された。ぼーとロウソクのように炎があがった線香花火は、
そのうち華々しく火花を四方に散らし、見るものの目を楽しませた。
しゃがんで自分の線香花火を見つめる博樹の隣で、竜士も自分の線香花火を
見ていた。
「博樹兄ちゃん、この線香花火、随分とよく火花が散るな。」
竜士はとまどって線香花火を見つめる。
「ふふふ・・・、竜士、それはワシと貴浩二人で作ったお手製の線香花火じゃ!」
貴哉、輝裕年下二人の花火を見守っていた知憲住職が、竜士たちの方に振り向いて
ニンマリと笑った。
「ゲッ!」
貴浩は相変わらずほろ酔い気分で、シマとロペの追いかけっこを見ている。
やっと火花がおさまると、今度は線香花火は赤い火の玉となって大きくなっていく。
博樹の線香花火も竜士の線香花火も、それはそれは大きくなっていった。
無言で二人は線香花火を見つめていた。まだ赤い火の玉は大きくなっていく。
と思った瞬間、二人の線香花火は一緒にボタッと地面に落ち、つぶれていった。
「・・・・・・。」
二人は無言で、線香花火を見つめていた。

まだこの時は、広島家の不幸は始まったばかりだった。
28064:01/08/28 21:28 ID:q3y2EcWo
サヨナラウヒョー!!お疲れ様>助清さん
山内気になるYO!
281黒田ヲタ:01/08/28 21:39 ID:o.KqdPF6
博樹せつない…
282広島家の人々44(改訂版):01/08/28 22:56 ID:9WpKaIV6
線香花火に火が灯された。ぼーとロウソクのように炎があがった線香花火は、
そのうち華々しく火花を四方に散らし、見るものの目を楽しませた。
しゃがんで自分の線香花火を見つめる博樹の隣で、竜士も自分の線香花火を
見ていた。
「博樹兄ちゃん、この線香花火、随分とよく火花が散るな。」
竜士はとまどって線香花火を見つめる。
「ふふふ・・・、竜士、それはワシと貴浩二人で作ったお手製の線香花火じゃ!」
貴哉、輝裕年下二人の花火を見守っていた知憲住職が、竜士たちの方に振り向いて
ニンマリと笑った。
「ゲッ!」
貴浩は相変わらずほろ酔い気分で、シマとロペの追いかけっこを見ている。
やっと火花がおさまると、今度は線香花火は赤い火の玉となって大きくなっていく。
博樹の線香花火も竜士の線香花火も、それはそれは大きくなっていった。
無言で二人は線香花火を見つめていた。まだ赤い火の玉は大きくなっていく。
と思った瞬間、
ボタッ
二人の線香花火は一緒に地面につぶれた。
「・・・・・・。」
二人は無言で、線香花火を見つめていた。


だが、この時はまだ広島家の不幸は始まったばかりだった・・・。
283広島家の人々45:01/08/28 22:59 ID:9WpKaIV6
鯉城駅に、ボロボロの兵服を来た見知らぬ男が降りてきた。首からは白い布で
くるんだ白木の箱を下げている。駅員の木村は、ギョッと男の姿を見た。
男は機嫌悪そうに木村を見返す。かける言葉も見つからず、木村はそのまま
男の後ろ姿を見送った。

ほとんど人気のいない教室に、輝裕はポツンと一人座って、次の授業の
予習にとりかかろうとしていた。
隣の席の兵動は、あの時以来一度も学校に来ない。それは田村も同じで、
今、学校に残っている生徒は輝裕も含め4人しかいなかった。
ため息をついて、輝裕は兵動の席を見た。
「一緒に夏祭りに行こうと誘いたかったのに・・・。」
頭の中を最近、何度も博樹の言葉が蘇る。広島家の金のこと。自分の進学の
こと。本当にこのまま自分は何も考えず、進学のことを考えていいのか・・・。
兄弟たちには相談できなかった。佐々岡の爺にも知憲住職にも・・・。
学校でも自分を強く推薦する大下教頭、担任の山崎。どちらも自分から相談
を持ちかけられる雰囲気ではなかった。
いざとなったら自分の悩みを話す相手がいない。あと頼れるとしたら、同じ立
場の兵動だけだった。だが・・・。

今日はまだ続きを書きやす!
284広島家の人々46:01/08/28 23:26 ID:9WpKaIV6
きゃんきゃんきゃん
聞き覚えのある子犬の鳴き声が運動場から聞こえてくる。
「シマ?」
輝裕はあわてて運動場に走っていった。
「こらこら、ダメだよ。校舎の中まで入ってきちゃ!」
山崎がシマの前に立ちふさがって、なだめようとする。それでもシマは必死に
鳴いて主を呼んでいた。
山崎はシマの首輪につけられたメモの紙切れを見つけた。
「シマーー!」
校舎の玄関から駆け出した輝裕が、シマと山崎の元に駆け寄った。
山崎は無言で紙切れを輝裕に渡す。輝裕はいぶかしげに首をかしげてメモ
を受け取った。
「・・・今日は早く家に帰りなさい。」
メモを読む輝裕の顔色が変わった。

息せき切ってシマと一緒に学校を飛び出す輝裕と入れ違いに、兵動が校門
をくぐり抜けた。半分泣きそうな顔でわき目もふらず駆け去っていく輝裕を、
兵動は驚いた表情で見送った。
285代打名無し:01/08/28 23:42 ID:JmQGBB5I
うわ―なんすか!!?気になります!!早く読みたいっす
286代打名無し:01/08/29 00:16 ID:IpXcaLgM
>>283
兵服の男誰だろ?
>>284
シマは意外に使えるやつだったんだ
続きが楽しみです
287広島家の人々47:01/08/29 00:41 ID:l7vzXdPY
ガラッと勢いよく、輝裕は家の玄関の戸を開けた。
台所にあたる土間に駆け込むと、左側にある茶の間に振り向く。
ちゃぶ台の上には白い布に包まれた白木の箱と周りに兄弟たちと佐々岡の爺、
輝裕と同じく金本寺から急いで帰ってきた貴浩がいた。そしてボロボロの兵服を
来た男の姿が・・・。
「これで全員揃ったな・・・。」
つとめて落ち着いた声で博樹は呟くと、白い布に手をかけ、白木の箱を開けた。
兄弟たち、佐々岡の爺もあわてて中を覗き込んだ。男が沈痛そうにうつむく。
「・・・・・・。」
中に遺骨は入っていなかった。代わりに入っていた物は、黄色いレンズがは
めこまれた眼鏡だった。
「・・・すみません!浩二を助けられんで。あっという間の出来事だった・・・。
ワシらの部隊は集中攻撃で爆撃をくらって、気がついた時は爆風の中で
浩二の姿は消えていた。せめて浩二の骨の一つでも思って、できる限り
探したんじゃが・・・・・・見つかったのは・・・、その眼鏡だけじゃった・・・」
そこまで言うと、松原と名乗る男は、拳を目にあて男泣きに泣いた。
「父さん・・・、父さん・・・」
年下の貴哉や輝裕は、うつむいてシクシク泣き出した。竜士と貴浩は絶句して、
呆然と白木の箱を見つめていた。佐々岡の爺は、そっと涙をハンカチでぬぐう。
今にも、浩二の「まあ、ええことよ・・・」の口癖が蘇ってくるようだった。急に
白木の箱を持ってこられても、兄弟たちには未だピンと浩二の死が信じられ
なかった。
288広島家の人々48:01/08/29 00:42 ID:l7vzXdPY
その間も博樹はじっと、浩二がピーコと愛称をつけた黄色い眼鏡を見据えていた。
「松原さん・・・。本当にどうもありがとうございました。」
そして家長らしく丁寧に両手をつくと、松原に礼をのべた。松原は首を振り、自分
で出来ることなら浩二の代わりに何でもやると申し出た。博樹は丁重に礼をのべた。
「・・・でも、おこがましいかもしれませんが、父の遺骨が見つかるまで俺は父が
生きていると信じます。父は帰ってくると信じます。」
ハッと弟たちは博樹の顔を見た。松原も力強くうなづいた。

ピーコは茶の間の小さな仏壇に飾られた。そして父・浩二の写真。遺影ではない。
いつか広島家に帰ってくることを信じて、兄弟たちは部屋に飾った。
しかし、これで広島家の家長の座は長男の博樹が引き継ぐこととなった。
目の前の重圧に押しつぶされそうになりながら、何とか自分の力で広島家を守ろう
と決意を新たにした。

「・・・で、いいのか。葬式はあげなくて?」
それでも身内の形ばかりのことはした方が良いのではと準備をする知憲住職を、
貴浩は止めた。
「父は生きている・・・と、俺たち兄弟信じています。だから葬式は・・・葬式はいり
ません!」
少し涙ぐみながらもキッパリといいきった貴浩を、めずらしく住職は暖かく
ポンポンと頭を叩いてやった。
「じゃあ、ムラのみんなにも知らせず、来週このまま祭りは続行ということで
いいのだな。」
貴浩は、うれしそうにコクンと頷いた。
289代打名無し:01/08/29 00:56 ID:k44MyY6g
浩二、死んじゃったのかー? どこかで生きてておくれよ
サングラスがピーコ…、笑える
290代打名無し:01/08/29 00:58 ID:SAL3F9/M
ピーコ・・・(爆笑。
29164:01/08/29 01:01 ID:8bszp3Bw
なんだかすごく悲しくなったよ…でもいい話だ。
自分が今書いてる番外編がどうでもよくなってきた(鬱
ヤパーリ住職は貴浩のよい理解者だ。感動した!

そしてピーコメガネだけは笑ってしもうた。
292代打名無し:01/08/29 01:02 ID:k44MyY6g
>>291
番外編も楽しみにしてるよ
293代打名無し:01/08/29 01:13 ID:SAL3F9/M
>>291
64さんのお話も読みたいです。鶴田の恩返し面白かったですよ。
294代打名無し:01/08/29 01:17 ID:oT7m79k6
ぐはぁ・・・「ピーコ」・・・・
戦時中なのになんてハイカラ(氏)な名前・・・(w
295広島家の人々49:01/08/29 02:30 ID:l7vzXdPY
この頃、少年たちにもっとも流行していた物語に、江戸川乱歩の少年探偵団がある。
名探偵明智小五郎の弟子である小林少年が、怪盗二十面相を相手に知略を駆使
して対決する物語で、当時の少年たちはみな、小林少年はじめ少年探偵団になり
きって遊んでいたといっても過言ではない。
だが広島家のあるココ緋鯉村では、備前亭泰山と名乗る謎の作家が書いた少年
探偵団のパロディ版、チンピラ探偵団の方が絶大な人気を博していた。主人公も
小林少年ならぬ小林青年が巻き起こすスリル満点波乱万丈の活劇で、読者は小林
青年の不思議な魅力に、首をかしげながらも次第にトリコになってしまうのだった。
備前亭泰山の作品としては、もう一つ「UFO仮面」がある。これは顔を覆面で被っ
たUFO仮面と名乗る正義の男が、特異なポーズでなみいる敵を気合でバッタバッタと
倒すヒーロー物である。これも緋鯉村では熱狂的な人気があった。

軽快な笛の音が、小さな神社の境内から流れてくる。参道の周りに軒を連ねる
夜店の間をムラの人々が、束の間のハレの場を祝い、にこやかに通り過ぎていく。
ムラの人々にとって、年に一度の出会いと別れの場だった。
ひゅーーーーー
小林青年の必殺技の武器であるコインをまねた空き瓶の王冠が、参道から少し
離れた木立の一本の木の幹に突き刺さった。
ひゅ〜♪
いかにもチンピラという恰好をした少年が、満足そうに口笛を鳴らした。
「まずまずかな・・・。」
チンピラ仲間から、親分と呼ばれている横松だった。

今日はここまで。次回からこれでもかとたくさん登場する人物が増えまっせ(^^;
64さん、そ、そんな・・・。番外編楽しみにしてるんよ・・・。書いてくださいましー(切実
296代打名無し:01/08/29 02:36 ID:DW8xz0qI
うひょー不幸まっしぐら!?
297代打名無し:01/08/29 02:45 ID:5dJSqmWQ
>>295
小林青年の自作自演劇場・・・ユッフォ仮面・・・上手い!
298代打名無し:01/08/29 23:34 ID:JeWW8WPI
不幸のずんどこに・・・
299代打名無し:01/08/30 02:51 ID:GkeVTvao
>>298
わはは。ずんどこずんどこ
300代打名無し:01/08/30 19:02 ID:81qYa/co
さっきかぷ娘で鶴たん見た
球場の出口でがきんちょにつかまっとった。
サインしながら笑ってたよ。
301代打名無し:01/08/31 01:00 ID:9yRnSe6Q
保全あげ
302  :01/08/31 01:01 ID:9yRnSe6Q
そして下げ
303代打名無し:01/08/31 22:20 ID:WvXMYh3k
保守age
304代打名無し:01/08/31 22:34 ID:i05s5kB2
そして下げ
305|`_ゝ´|:01/09/01 21:53 ID:gJ4ch.76
勝ったよ!
306広島家の人々50:01/09/02 02:06 ID:mEaJK6hY
その時、子分の一人長崎があわてふためいて横松のもとに駆けこんできた。
横松は不思議そうに長崎の方に振りむく。
「なんだってんだよ。」
「・・・ゼェゼェ、大親分が・・・竜士の親分が帰ってきたんですよ・・・。」
「えっ!」
横松はあわてて手元の王冠を袋にしまうと、竜士のいる場所へ駆け出そうとした。
「ちょ・・・ま、まだ場所を、教えていない・・・。」
「だったら早く教えろ!」
横松は、長崎の襟元をつかんでガンをつける。長崎は悲鳴をあげながら、必死に
震える指先で竜士の居場所を指さす。場所を確認すると、横松はそのまま長崎を
突き飛ばして、竜士のもとへ一直線に駆け出していった。
「よぉ!」
向かいの参道の脇で竜士は横松を迎えた。広島家の帰ってきたときの、あの白い
スーツに白いシルクハットにステッキを持ち、参道の脇の大きな杉の木に腕組みで
寄りかかっていた。横松は久しぶりに会う主に、大喜びで平伏して挨拶した。

「またつまらぬ物をもらってしまった・・・。」
同じムラの祭りの別の夜店通りでは、貴哉が両手いっぱいに夜店のくじで当てた
景品を抱え、困惑しながらトボトボとあてもない流浪を続けていた。

もう少し先まで書きます
307広島家の人々51:01/09/02 03:17 ID:mEaJK6hY
「どうせなら、お金になるものが手に入ればいいのに・・・。」
貴哉は両腕の中にある品々を見て、ため息をついた。日頃から貴哉は兄弟の中で、
一番くじ運にめぐまれているといわれている。が、肝心なときはまったく役にたたず、
こういうどうでもいい時だけ、異様にその力を発揮していた。
「博樹兄さん・・・今日のボクたちのお小遣いだって相当無理したはずなのに・・・。」
今日のお祭りのために、博樹はちゃんと貴哉と輝裕にもお小遣いを渡してくれた。
貴哉と輝裕は困ったように顔を見合わせた。この場合、どうすればいいのだろうか。
広島家の財政が崩壊一歩手前であることを、決して博樹は貴哉にも輝裕にも話そう
としてくれない。それが兄として家長としてのプライドなのか、神経がピーンと張り
詰めた状態で正気を保っているような博樹の前で、「今、うちにはお金がないんで
しょう?」などと、とてもじゃないが言えた状態ではなかった。
ならば貴哉なりに、自分も広島家のために役にたちたいといろいろ考えてみたが、
結果は山のようにふくれあがってしまったゴミのような景品のように、どこかずれた
形で貴哉にかえってくるのだった。
308広島家の人々52:01/09/02 03:18 ID:mEaJK6hY
「ねぇ、お父さん。あそこにあるプラモデルが欲しい。」
貴哉の横をとても仲の良さそうな親子が通り過ぎていった。子供は、思ったより
年が長けているのか、背丈はいっぱしの大人に近い大柄な子であったが、まだ
世俗にすれていない無邪気な性格そのままで、父親に甘えていた。
「うーん、このプラモデルはちょっと高いなぁ。甲斐、もう少し安いおもちゃじゃダメか?」
いかにもやさしそうな顔立ちの父親が困ったように、しかしどこかうれしそうに息子の
甲斐をなだめる。
「ううん、絶対あのプラモデルが欲しい!」
甲斐も、父親に甘えて引き下がらない。父親は自分の財布の中身をのぞいた。
ジワーッと父親の目元があやしくなる。甲斐はあわてて前言撤回をした。
「いいよお父さん。ごめんなさい、ボクが我儘いっちゃって・・・!」
その様子を、横からずっと景品を握り締めたまま貴哉は見ていた。
「父さん・・・か・・・・・・。」
「お父さん、プラモデルじゃなくて、この犬のぬいぐるみでいいよ。」
「甲斐・・・。」
「お父さん、本当に気にしないでよ。」
「甲斐・・・すまない。」
ニッコリ笑って父親を安心させようとする息子の甲斐に、目じりを熱くして父親は
頭を下げた。
309広島家の人々53:01/09/02 03:19 ID:mEaJK6hY
露天商から甲斐は犬のぬいぐるみを受け取った。
「お父さん、今度はいつ家に帰ってこれるの?早くもう一度お父さんと一緒に暮らせる
ようになりたいな。」
「そ、そうだな・・・。」
甲斐はうれしそうに犬のぬいぐるみを抱きしめる。
「ああ、犬のケンが家に帰ってきたみたいだ。ケン、どこにいっちゃったんだろう・・・。
お腹に子供もいたのに・・・。探しても探しても見つからなかった・・・。」
「そ、そうだな・・・。」
父親はどこか沈痛そうな表情で、黙って息子の頭をやさしく撫でてあげた。

「・・・父さん・・・・・・。」
うわごとのように貴哉の口から言葉が洩れる。2人の姿がどんどん離れていく。
「・・・父さん・・・・・。」
貴哉は両手に抱えた景品の山の上にうつむいた。思わず涙がこぼれそうになってくる。
!!!
突然、真横から誰かに突き飛ばされた。四方に飛んだ景品と一緒に、貴哉の身体も
地面に転ぶ。
「す、すみません。大丈夫でしたか?」
スーツ姿の品の良い男性が、貴哉に手を伸ばす。その手を掴み、起き上がろうとした
貴哉は、男性を見て、思わず軽い感嘆の声をあげた。
310おひさです・・・:01/09/02 03:45 ID:mEaJK6hY
今のところが書いていて一番難しい部分かもしれん・・・。ちゃんと文章になっとるでしょか(^^;
こわいなぁ・・・。おまたせやっと(’。’)人間バージョン初登場です。あと夏祭りもシーンも
書いて気がつきやした。これの主人公は|`_ゝ´|だった。ここでベチも初登場です。

それと設定真っ白の選手は残り9人となりやした!
背番号順に)松本、佐竹、小山田、ラド ヤング、
林、福良、伊与田 、酒井

カーサはかーなり悩みました。めちゃくちゃファンが多そうだし・・・(^^; 下手な設定たてる訳に
もいかんでしょ。で、破天荒な絵師・・・こんな設定たててみました。でも、カーサにはもう一つ
の顔があって、こっちの顔で河内や横山の前に現れます。ハセガーより早めに登場するよ。
あと廣瀬・・・。登録抹消っすか・・・(涙。くやしいぃー。しゃあないんでこれから今年の廣瀬に
似合いそうな役柄考えてみやす。

26日の甲子園でピロサワに、六甲おろし唄うなら巨人戦で唄ってくれとおらはいい、虎ファソの
友人は兄貴に、ホームラン打つなら巨人戦で打ってくれといい、お互いに26日はやめてくれと
負のエネルギーをだしまくったら引き分けに終わってしまったという・・・それがどちらの願いも
巨人戦で実現できてしまいやした(^^; ヨカタヨカタ。次は4、5日のヤク戦。ここの五人兄弟も
だいぶ復調してきたようで(それがこれを書いていて一番心配の種だった)安心して、続きを
書けます。すっかりあきらめていたAクラス、なんとかすべりこめたらいいっすね♪
311代打名無し:01/09/02 04:40 ID:E.8SMu4Y
(’。’)「おかあさんいぬだったんだね・・・
312お疲れです:01/09/02 05:00 ID:Vyx79RUc
貴哉が抱えている景品は一体何なんだ。気になる・・・。
甲斐たん無邪気ながらも父親思いのいい子ですな。父親は誰なんじゃろ。
ついに(’。’)登場ですか?続き楽しみにしとります。
313age:01/09/03 00:06 ID:AZnRryZU
age
314 :01/09/03 11:11 ID:nzrEOS3c
祝age
315 :01/09/04 00:53 ID:Sb7SdjrI
保全
316広島家の人々54:01/09/04 01:48 ID:Xv1UlMZA
目の前に自分とよく似た顔立ちの人物がいる。相手の男性も貴哉の顔を見たとき、
「あっ」と小さな声をあげ、しばらくの間身体の動きがとまった。
起き上がった土だらけの貴哉の身体と服をポンポンと叩いて汚れを落とすと、男性は、
周辺にちらばった景品を拾い集め、貴哉に渡す。その間、貴哉はどうすればいいのか
わからず、ただボーッと男性の動きを見ていた。
男性はニッコリと笑うと、その場から去っていく。
「あ、あの・・・。」
貴哉の口からやっと小さな声がでた。だが、その声は相手には聞こえなかった。
男性の姿は、あっという間に参道の雑踏の中に消えていった。
「・・・・・・。」
「おーい、ウチー!」
「!」
遠くからなつかしいあだ名で自分を呼ぶひとがいる。貴哉は、声のする方へ振り向いた。
「こっちだよこっち!ウチ、わかんねぇか?」
「ベチ!」
尋常小学校で一緒だった友人のベチだった。しかし、問題はその場所だった。
小学校を卒業したのち、貧乏のあまり一家離散の憂き目にあい、ベチも行方しれずとなっ
ていたのは知っていたが、まさかテキ屋の兄ちゃんになっていたとは・・・。
317広島家の人々55:01/09/04 02:51 ID:Xv1UlMZA
しかも、ちゃっかり弟分までできていた。

「これで全員揃ったな。」
竜士は、横松以下子分たちを見回して満足そうに笑った。
小料理屋に奉公に出る前は、竜士はこのムラの界隈ではかなりワルとして名が通っていた。
一時期は、父の浩二や兄の博樹も手がつけられないほどの暴れん坊ぶりだった。
小料理屋に働きに出てからはその道を洗っていたが、いざとなればこうして集まる子分たち
がいる。竜士は得もいえぬ気分だった。
「竜士の親分、久しぶりにどこぞのシマでも襲うつもりですかい。」
「ふふん、まぁな・・・。」
竜士の跡目をついで親分と呼ばれている横松の言葉に、竜士はご機嫌でゆっくりとうなづき、
ふところから2枚のお札を取り出した。
「久しぶりに邪毘屋の賭場へ殴りこんで、これを10倍にも20倍にもしてやるのよ!
お前たちもついて来い!当然分け前はお前たちにもやるからな!」
横松や長崎、栗原ら子分たちは両手をあげて喜んだ。
「さっすが、俺たちの“小林青年”は違うぜ!」
「・・・ん、なんだ?小林青年っつうのは・・・。」
うっかり口をすべらせた横松は、慌てて両手で口をおさえた。
「い、いや・・・な、なんでもないっす。」
ムラにやってくる紙芝居で、すっかり横松は備前亭泰山の「チンピラ探偵団」のファンに
なっていた。そして自分たちはチンピラ探偵団になりきり、竜士を小林青年に見立てていた。
318代打名無し@ス:01/09/04 02:59 ID:Xv1UlMZA
やっぱ今のところが一番難しか(涙 だらだらした展開になってしまったらスマソ。

>>312
甲斐たんの父親が(’。’)っす。>>86さん>>88さんからの設定を頂きやした。
(’。’)たんは結構キーポイントキャラっすよ。

やっと賭場のシーンも近づいてきたし、(’。’)たんこれから出番が増えます。
319 :01/09/04 03:56 ID:Ln6eIvDE
312です。甲斐たんの父親が(’。’)たんだったんですね。勘違いしてた。
良く読めばすぐ解りますね、スマソ。
プラモデルねだられて涙ぐむ父…自分が子供だったら放って置けない(w
しかし甲斐たん犬に父親の名前付けたのか・・・。
320  :01/09/04 14:11 ID:74WEG4l2
横山が不思議青年小林化・・・(w
納得しつつも泣けます・・・。
321広島家の人々55(改訂版):01/09/05 01:33 ID:GznmCrs.
「よし!これで全員揃ったな。」
竜士は、横松以下子分たちを見回して満足そうに笑った。一時期は、父の浩二や兄の博樹も
手がつけられないほど暴れん坊だった竜士である。小料理屋へ奉公に出る前は、当然このムラ
の界隈では相当なワルとして名が通り、かなりきわどい悪事にも手を染めていた。
小料理屋に働きに出てからはその道を洗っていたが、しかしいざとなればこうして集まる
子分たちがいる。竜士は得もいわれぬ気分だった。
「竜士の親分、久しぶりにどこぞのシマでも襲うつもりですかい。」
「ふふん、まぁな・・・。」
竜士の跡目をついで親分と呼ばれている横松の言葉に、竜士はご機嫌でゆっくりとうなづき、
ふところから2枚のお札を取り出した。
「久しぶりに邪毘屋の賭場へ殴りこんで、これを10倍にも20倍にもしてやるのよ!
お前たちもついて来い!当然分け前はお前たちにもやるからな!」
横松や長崎、栗原ら子分たちは両手をあげて喜んだ。
「さっすが、俺たちの“小林青年”は違うぜ!」
「そうだな!」
「・・・ん、なんだ?その“小林青年”ってのは・・・。」
うっかり口をすべらせた横松は、慌てて両手で口をおさえた。
「い、いや・・・な、なんでもないっす。」
ムラにやってくる紙芝居で、すっかり横松は備前亭泰山の「チンピラ探偵団」のファンになっていた。
そしていつしか自分たちはチンピラ探偵団だとなりきって、竜士を“小林青年”に見立てて
いたのだ。
322広島家の人々56:01/09/05 01:34 ID:GznmCrs.
貴哉は、おそるおそるベチの夜店に近づいた。店は、後ろの棚に並んだ景品をボールや輪などを
投げて手に入れるゲーム方式のものだった。だがベチの店が他の夜店と違うところは、その棚に
飾られている景品である。思わず貴哉は息を呑んだ。
「・・・金になるものばかりだ・・・・・・。」
フフンとベチは笑って、弟分の少年をうながして貴哉にボールを渡す。
「別にボールじゃなくて、投げ輪やそこの空気銃を使ってもいいんだぜ。」
健太とうながされた弟分の少年は、投げ輪と空気銃を貴哉に手渡そうとする。
その時、ベチの顔色が変わった。
「健太!」
事情をすぐに察した健太が、空気銃をベチに投げ渡す。ベチは空気銃をつかむと、そのまま
参道を堂々と歩く小太りの男に向かって銃を発射した。
参道の周りの客から悲鳴があがる。小太りの男は、空気銃の威力と一緒に発せられた白い粉に
まみれ、バタンと地面に倒れた。
323広島家の人々57:01/09/05 01:35 ID:GznmCrs.
「どうもどうも、祭りにそぐわない人間がこの場にまぎれ込んでいましてね。どうぞあまり気にせず
みなさま祭りを楽しんでください〜!」
ベチと弟分の健太はニコニコ笑って、事が大きくならないよう場をとりなす。周りの人々もそれほど
興味をもたず、あっという間に参道は元の穏やかな喧騒の世界に戻っていった。
ベチと健太は、空気銃で倒した男をずるずる自分の夜店まで引きずると、ゴザと紐で男をくるくる
巻いてしまう。
「・・・そこまでしなくても。」
あっという間の出来事に、貴哉はとまどいながらベチに声をかけた。ベチの目が冷たく貴哉に
注がれる。
「この男の顔を見ても、それが言えるか?」
貴哉は言葉をなくした。ゴザで巻かれた男は昔、広島家の使用人だった江藤だった。
「もうこのムラとは関係ないからな。それよりこの男は、お前ん家を裏切って邪毘屋についた人間だ。
そいつがノコノコこのムラの祭りにやって来るってことは・・・。」
「・・・・・・。」
「いよいよ邪毘屋が動き出したってことだな・・・。」
324 :01/09/05 01:43 ID:aUFkL.Hw
わー江豚まで登場!!(w
どこまで出るんスか?!
325 :01/09/05 02:03 ID:aUFkL.Hw
江豚登場と言う事は・・・
アキヒロが危ない!!(w
326広島家の人々58:01/09/05 02:31 ID:GznmCrs.
輝裕は、神社の本殿の周りを手もちぶさたで行ったりきたりしながら、たまに本殿の中を
コッソリとのぞいていた。
本殿の中では、兄の博樹とサトヒロらムラの小作農たちが会合をおこなっている。いや、
会合ではなく最後の別れの盃をかわしているといっていい。この祭りが終われば、
お盆までの間に小作農たちはこの土地を離れ、一家離散の運命を辿る。さしづめ今日の
祭りは最後の打ち上げ花火というべきものだった。
「・・・そして、みんないなくなる・・・・・。」
父・浩二のことが落ち着き、もう一度学校に通うようになった時、輝裕は兵動の正式な退学を
担任の山崎から聞いた。理由は教えてもらえなかった。ただ家庭の事情ではないと・・・。
輝裕は、兵動と一緒にいた最後の頃、口ぐせのように言っていた言葉を思い出していた。

なーんかずっと周りから期待されてここまできたけどさ、もう疲れちゃったっつーか・・・。
327広島家の人々59:01/09/05 02:32 ID:GznmCrs.
目の前に突きつけられた現実が信じられなくて、輝裕は半ば呆然と自分の教室に戻っていった。
既に夕日が校舎を照りつける時間に、教室には誰もいない。輝裕は無人の教室にのろのろと
足をひきずり、久しぶりに自分の席に座った。
「・・・教科書を片付けて、早く家に帰ろう。」
だが、何か自分の机がおかしい。机の中に何か大量に物が入って、感触がごわごわ揺れる。
輝裕は木製の開閉式の机を開けた。
「あ・・・・・・。」
しばらく輝裕は言葉をなくした。中にはギッシリと人気の「小林青年とチンピラ探偵団」シリーズの
単行本が入っている。そして一番の上の本にはメモ紙が置いてあり、そこには兵動の机を指さす
矢印が書いてあった。輝裕は兵動の机を開けた。そこには「UFO仮面」シリーズの単行本があった。
そして「がんばれよ!」と書かれた兵動のメッセージが・・・。
輝裕の手が震えた。兵動の机のフタを握りしめたまま、夕焼けで彩られる無人の教室で、輝裕は
声を殺して泣いた。
328今日こそ生黒田!@ス:01/09/05 02:38 ID:GznmCrs.
話の都合上、どうしても今の時点でのアキヒロは性格がいい・・。
後半で一気に小悪魔性格爆発しやすが。
この手の作品を書くのは初挑戦で、だんだんキツくなってまいりやした(^^;
ギャグのほうが気楽やね。でも最後まで責任もって書きやす。
今、何人登場したんだろ。もう数えていない・・・(汗

>>325
あ、その心配はないよ(^^;

そんでは続きはまた5日の夜に・・・
329(; ε ;) :01/09/05 02:42 ID:Vxzl1rms
>327
かんどゥ的・・・
330 :01/09/05 03:08 ID:WmWPKMRQ
おおう!!ゥはもうこれでいなくなってしまうんですか?

感動の中にコソーリ笑いあり(w
江豚はスナイパーだから心配やったけど、安心っすね(なにがだ
33164:01/09/05 11:13 ID:Lcwp4kcU
助清さん、皆様、久方ぶりです。
なんかうっかり書き込んだ一言で誤解を招いてしまったようで(鬱
あれ以来風邪をひいたらしくおとなしくしておったのですが、ちょっと
よくなって市民球場に逝ったら、どしゃぶり…
風邪再発で点滴をうつほどのさわぎになってしまい、やっとここに来れるような
状態にまで回復しました。逃亡していたわけではないんで
んで、矢野の番外編を書いてたんですが、別の話のほうが盛り上がってきちゃって
2つをかけもってます。時間がかかりそうです。
その「別の話」でラドとヤングを使いたいんですが、もっていっていいでしょか>助さん

にしても、江豚が出てくるとは思わなかった(w
332代打名無し:01/09/06 01:46 ID:.2dD4EOE
助さんいつもありがとう。
しかし2時3時まで起きてて大丈夫かなとちょと心配。
お体に気を付けてくだされ〜
333代打名無し@age作業:01/09/06 01:52 ID:kiDdvpYU
スンマソン・・・。今日の夜書くつもりだった続きの部分、
現在試合の余韻に浸って、ネタのほうに頭がまわりませぬ。
6日なんとかなったら書きますで、今日の夜はスンマソン・・・なしです。
っと、これだけでは悪いから、夏祭り以後の話の予定と近々登場
予定の選手をば・・・。前田、緒方、玉木・・・そこに謎をひめた
(’。’)たんの存在。こんなところでしょか。

ゥはですね。これで一応出番は終了です。でもまだ再登場できる
余地は残ってるんで、場合によっちゃラスト近くでまた登場する
かもしれません。


>>331
いいっすよ。あまり気にしないで軽く受け取ってくんさい(^^
ラドとヤングもどうぞどうぞ。他の人物の設定も64さんの
やりたいように自由に設定してください。

そんじゃまた明日・・・。
334パロ野球:01/09/06 01:59 ID:E3YTiBKA
広島スレのヲタ臭さの元凶はここですか? 
335代打名無し@ス:01/09/07 03:08
今日も試合の余韻でネタに頭がまわらなひ・・・。
移動日の7日にあらためて・・・m(_ _)m

過去ログ倉庫と共に、こっちの過去ログも一部更新しました。
リレー版「広島家の人々」はもうちっと待ってくんさい。
ただいま製作中です・・・
336代打名無し:01/09/07 22:52 ID:W8BtLPlI
少年探偵団でサーチかけたら釣れたあるサイトからのこぴぺ

-------------------------

9. 話のオチは、『遠藤粒子』と言われる謎の発明でした。・・・・・・・なんだかなぁ。

-------------------------

なんだかなぁ。(W
33764:01/09/08 00:04 ID:t2wKvugo
>>336
遠藤粒子…なんだかなぁとしか言葉が出ない(w

>>333=助清さん
自分のはあくまで番外編ということで、本編を壊さない程度に
書いていきますよ〜。なので設定が決まってない選手を使用
させてもらえればうれしい限りです。
というわけで、酒井も使いたいんですが…(w
そんでも、あと6人も設定決まってないのか。小山田とか味のある
設定がつくれそうなんだけど、今書いてるのではどうも使いどころがないよ〜
33864:01/09/08 00:52 ID:t2wKvugo
寝付けない、書きかけの番外編も進まないので、時間つぶしを…。
>>328の「何人登場したんだろ」の一言が自分も気になったので、ちょっとまとめてみました(w
()内は初登場回(広島家の人々20で誰だかわかったら(20)という感じ)です。
背番号順。まだ登場してない選手の背番号はとばしてます。
00:子犬のシマ(29)
0:鯉城駅駅員木村(24)
2:輝裕(1)
3:父浩二の友人、鉄人祥雄(1)
4:兵動(3)
5:漁師の町田(12)
6:漁師の浅井(12)
8:父・浩二(1)
10:知憲住職(2)
11:チンピラの親分・横松(49)
12:河豚(7)
15:黒田(1)
16:備前亭泰山(49)、UFO仮面(49)
17:名古屋コーチン鶴田(番外)
18:佐々岡の爺(1)
33964:01/09/08 00:57 ID:t2wKvugo
上の15は博樹に訂正してくだされ。間違えた…。

21:エンドウ豆(2)
22:母犬ケン(24)、甲斐の父(52)
23:竜士(2)
24:貴哉(1)
25:貴浩(2)
29:小林青年(49)
32:西山堂(6)
33:鶏のロペ(7)
44:郵便配達員福地(13)
45:金本寺の仏像(番外)
46:教師の山崎(3)
47:小作農島崎(11)
48:小作農サトヤス(11)
49:ピエロのエディ(14)
34064:01/09/08 01:04 ID:t2wKvugo
50:横松の子分・栗原(55)
52:ベチの弟分・健太(56)
54:テキ屋の兄ちゃん・ベチ(54)
57:甲斐(52)
58:横松の子分・長崎(50)
59:小作農サトヒロ(11)
60:級長の田村(3)
その他
鬼大下(大下教頭)(3)
松原(47)
元広島家使用人・江藤(57)

ということで41人登場みたいです。
浩二の愛用の「ピーコ」を入れるかどうか迷ったよ(w
それでは、おやすみ…
341代打名無し:01/09/08 22:14 ID:Ug3d6fzU
助さんもしかして今宵も余韻に浸っておられるのでしょうか(W
342代打名無し@ス:01/09/09 01:28 ID:BoG80tbQ
>>341
いえ、余韻に浸りたいところっすが、そろそろ続きを書かんといかんなと・・・。

ちょと今すぐというわけにもいかんのですが、昨日過去ログ倉庫を作りながら
広島家の人々の舞台モデルのページも作っておりやした。それが一部出来上がった
んで、あぷしときます。
 http://da1567.hoops.ne.jp/butai.htm
64さん、番外編を作るときに参考にでもしてください(^^)
(登場人物リストもありがとう。となると、正体がわかってない人物、
まだ名前を出さないだけでその場にいる人物含めて、今44人登場ですか。)

>>336
遠藤粒子・・・。それの本のタイトルは「電人M」らしいっすよ。で、犯人は
木村助手だそうです(w
(これ書くために今、手元に「少年探偵団読本」つう本がありやして・・・(^^; )

では、今日はがんがってちょことだけでも話をすすめやす・・・。
343代打名無し:01/09/09 01:30 ID:BoG80tbQ
しもた!一度あげておくつもりが・・・(鬱
344(・ ε ・):01/09/09 01:55 ID:rt2p3rg2
僕も頑張ったから、ガンガレー
345広島家の人々60:01/09/09 03:13 ID:BoG80tbQ
一体、自分は何故進学したいと思っているんだろう。もっと勉強をしたいから?
エリートになって暮らしをラクにしたいから?それとも・・・。
今まで疑問にも思わなかったことだった。実力があるなら、できるだけ上にのぼりたい。
それだけを思って勉強してきた。でも、なんだか違うような気がする。
輝裕は、村長の顔で本殿の中を立ち回る博樹の姿を、外からじっと見た。

本当は・・・本当は高等学校に行きたかったのは博樹兄ちゃんなんだよね・・・。

一度は高等学校に進学しながら、父・浩二の突然の出征でやむなく中退して家業の農家を
継がなければならなかった博樹。だからこそ自分の進学に期待して無理をする博樹。
自分が逆の立場だったらどうなんだろう。やっぱり同じことをするのだろうか。じゃあ、今の
自分の立場は・・・?
ますます気持ちが重くなり、輝裕は自分で自分がわからなくなっていった。
346広島家の人々61:01/09/09 03:14 ID:BoG80tbQ
「おーい輝裕!ここにいたのかよ!」
キョロキョロ見回して輝裕を探していた貴浩が、あわてて駆け込んでくる。
「住職がカンカンになって怒ってるぞ!チビはどこ行ったぁって・・・。」
「ゲッ!」
「一緒に早く戻ろう。」
「う、うん・・・。」
ちらっともう一度視線を向けた輝裕と同じ場所へ貴浩も目をやった。貴浩の動きが止まる。
「・・・博樹兄さん、いっぱいいっぱいって感じだな・・・。」
「・・・うん。」
「・・・俺はバカで使えないかもしんないけど、何とか俺たち兄弟でできることがないかな。」
「うん・・・。」
弟二人の視線に気づかず、博樹は小作農たちとの歓談に追われていた。
347広島家の人々62:01/09/09 03:49 ID:BoG80tbQ
「ゴルァ、チビ!あれほど祭りの日は手伝えといっていたのを、お前という奴はぁー!」
「ひぃぃ!!」
逃げる間もなく、輝裕は知憲住職に頬をつねられた。半泣きで住職に謝りながら、輝裕は
なぜか心が落ち着いてくるのを感じた。

やっと小作農たちとの折り合いも一区切りついて、博樹は溜息をついて本殿の縁側に
腰を下ろした。
豪華であった。今年の夏祭りの何もかもが華々しかった。自分を含めムラの皆の意地の
結果だった。この夏祭りが終わり、盆を迎える頃には、サトヒロら小作農らは皆、ちりぢり
ばらばらに離散していくことになる。あきらめを通り過ぎて、皆の表情には開き直りがあった。
だが博樹の、広島家の立場はまた別である。境内を参道をあざやかに飾り立てられている
ぼんぼりの灯りを無表情で博樹は見つめていた。
さて、これからどうしようか・・・。
広島家の立場を重んじ、博樹は当然夏祭りの寄付金もムラ一番に支払った。これで
貯金は完全につきた。まだ盆に支払う代金の準備は出来てない。どこから金を調達
すればいいのか。竜士ばかりに頼るわけにはいかない。自分も何とか金を得る方法を
見つけなければ・・・。
348代打名無し@ス:01/09/09 03:55 ID:BoG80tbQ
うげっ、時間が時間なんでもう寝るっす。リアルでは6連勝で沸きたっているとき
8連敗ネタを書く自分。違和感ありありだよ・・・。うれしいけど(w
349341:01/09/09 07:23 ID:3qnlqcRM
お、新作ウプありがとうです〜。
いつか現実とストーリーとの違和感がなくなるといいですね。
もちろんいい方に。

舞台となったとこ、のどかだなあ。
350広島家の人々63:01/09/09 23:13 ID:7RulDM5Q
「邪毘屋か・・・。」結局、金を借りるほか方法がない。佐々岡の爺に話せば、爺は自分の身を
犠牲にする。あと、もう一つは・・・。博樹の脳裏に輝裕の姿が浮かんだ。振り切るように博樹は
激しく首を振った。
「ほぉ、あんたが広島さんとこの・・・。こりゃぁまたえらい派手な祭りにしたんだのぉ。」
ハッと博樹は頭を上げた。本殿の庭に、ここらでは見かけない何やら一癖ありそうな男が、
博樹を見て笑っていた。

「邪毘屋が動き出している・・・。」
失神している江藤を見下ろす貴哉の口から、やっと呟くように言葉が洩れた。
その直後だった。ベチは突然ムキになって行動を起こす貴哉をあっけに取られて見つめた。
「ウチ・・・。これをどうするんってんだよ。」
「・・・どっかで高く買ってくれるところはないか。これでダメだったらこれで!いや、俺の
持ってるものなんでも・・・!」
「・・・・・・。」
ふうーっとベチは息をついた。そして貴哉がやみくもに夜店の台の上に置いた景品を一つ
一つ取り上げていった。
「・・・どれもガラクタ品だ。」
ガクッと貴哉は肩を落とす。ベチはちらっと貴哉を見たが、また残りの品物の鑑定にあたる。
健太が不安そうに貴哉を見た。貴哉はずっとうつむいたまま、顔をあげようとしない。
「・・・俺、なにやってんだろ・・・。こんな場合じゃないのに・・・。」
351広島家の人々64:01/09/09 23:14 ID:7RulDM5Q
ベチはもう一度振り向いた。
「お前がそこまで責任をもつこともないんじゃないか。」
「でも俺に比べて、ベチはもう・・・。」
黙ってベチは貴哉を見ていたが、しばらくして一枚の紙を取り出すと、携帯用の筆で
すらすらと何かを書き出すと、貴哉に差し出した。貴哉は驚いて顔をあげる。
「一ヶ所だけ買い取ってくれる店が、ないこともないんだ。まあ、どうなるかわからない
が交渉するだけしてみるよ。これは俺と健太がこれから商売しにいくところ。まだ何か
売りたい物があったら、ここにくればいい。」
貴哉は、目を見開いてジーッとベチと見た。ベチはまたクルっと振り向いて、品物の
鑑定を続ける。
「おいっ、ウチ!これは金になるぞ!!」
突然、素っ頓狂な声をベチがあげた。貴哉はあわててベチのもとに駆け寄った。
「ほらっ、この牛革の札入れ財布。こんなんどこで手に入れたんだよ!」
あっ・・・。貴哉は小さく声をあげた。これはさっき参道でぶつかったあの人の・・・。
貴哉は反射的にベチから牛革の財布を奪って、中を開いた。そこには刺繍で持ち主
の名前が記されている。
「広池・・・広池さんっていうのか・・・。」
「ウチ、これは相当な額で売れるぞ!」
「ベチ。これは・・・これは売らないよ。」
「えっ?」
貴哉は牛革の財布をギュッと握り締めた。
352 :01/09/09 23:19 ID:55ozDfqk
353代打名無し@ス:01/09/09 23:21 ID:7RulDM5Q
7連勝マンセーーー!! 場違いな8連敗直前ネタで苦しいよ萎えーー(^^;
今日で夏祭りシーン決着つけやす(汗
半月前まで弱い弱いと毎日嘆いてはずなのになぁ・・・。

>>349
>舞台となったとこ、のどかだなあ。
由宇も同じくらいのどかだよ(w

>>337
書き忘れ。酒井もどうぞ使ってください。小山田たん、彼はもっと後半まで
寝かしとこうかと・・・。今のかぷの展開の時用のひとも残した方が良さそうだし(w
354 :01/09/09 23:34 ID:5ZV6fk.6
お疲れ様でーす
広池・・・彼だったんですね(w
ああ、どうなる広島家・・・・輝裕は進学するのか?うーん気になる
355代打名無し:01/09/09 23:40 ID:wR9FS35U
おつかれさまです。
今日はまたお早いんですね(W

由宇・・・いってみたいよ〜
356広島家の人々65:01/09/10 02:47 ID:RQ.x9xsE
同じように、本殿の縁側で一枚の紙を握り締めている人物がいる。博樹であった。

「で、竜士の親分。賭場への殴り込みはいつごろ?」
「うーん・・・。この祭りが終わった明日あたりにでも、早速殴り込むとするか。」
ステッキで肩を叩きながら、竜士がうなづく。横松ら子分たちはうひょー!と歓声
をあげる。

その時、ドでかい音と共に天上に大きな打ち上げ花火があがった。
博樹、竜士、貴哉そして祭りに集まった人々は、はじかれたように空を見上げる。
「ハハハハハハハハハ・・・」
豪快な笑い声が神社の裏の小高い丘から聞こえてきた。錫杖を片手に仁王立ちで
立っている知憲住職だった。その後ろでは貴浩と輝裕が二発目の花火の玉を筒の
中に入れようとしている。
「住職!この日照りの時に、花火は無茶すぎる!!」
博樹はあわてて知憲住職を止めようと駆け出した。
「否!これは雨乞いの儀式であるぞ!」
すかさず知憲住職は錫杖で指差し、博樹の動きを制止した。
貴浩と輝裕の手で、二発目の花火が打ち上げられた。
「雨乞いの儀式・・・。そんな馬鹿な・・・。」
信じられないというように、博樹は唖然と首を振りながら住職たちを見上げる。
三発目の花火が盛大にあがった。
「ワシは予言する!次の花火が上がったとき、ムラに大粒の雨が降るであろう・・・!」
357広島家の人々66:01/09/10 02:49 ID:RQ.x9xsE
「・・・無茶苦茶だ・・・。」
竜士はアッケに取られて呟いた。参道にいる観客もにわかに信じられないという
ように胡散臭い目で様子を見守る。だが、住職の発言の直後、にわかに空気が生暖
かく湿ったものへと変わった。貴浩と輝裕は四発目の花火の玉を入れた。
花火は豪華に頭上に上がった。と同時に大粒の雨が叩きつけるように地面に落ちて
いった。
観衆からどよめきともいえる大歓声があがった。知憲住職は仁王立ちのまま、前よりも
一層豪快に笑い続けている。夜店にいたベチは腹を抱えて笑った。竜士も苦笑して、
住職のいる丘の上を見上げる。
「・・・あの住職がいる限り、ムラもそうそう邪毘屋にやられないでしょうなぁ・・・。」
一連のドタバタに思わず失笑した小作農の一人サトヒロが、博樹に話しかける。
博樹は雨に濡れるのもかまわず、なんともいえない気持ちで丘の上を見上げていた。

「ったく、調子いいよな住職も・・・。野良猫の天気予報で今頃雨が降りそうだと
わかったら、いきなり雨乞いの儀式だと・・・。」
「シッ、また住職に聞こえたら、頬をつねられちゃうよ・・・。」
貴浩と輝裕は花火の筒の後ろでコソコソ愚痴をこぼしていた。
358代打名無し@ス:01/09/10 03:01 ID:RQ.x9xsE
これで夏祭りのシーンはキリがついた。次回からいよいよ横山と(’。’)
の賭博シーンっす。黒田のほうもいよいよ事情が怪しくなってきやす。
(・ ε ・)の進学はどうなるか。ハセガーまだ出番とうぶんないよ・・・(鬱

そんじゃおやすみ・・・。
359代打名無し:01/09/10 07:28 ID:P.uV3H.U
賭場と(’。’)・・・全然似合わない(W
360 :01/09/10 23:57 ID:wlRj6qAE
(丶`_ゝ´)「否!」
生で聞きたい‥‥‥。カコイイだろな。
36164:01/09/11 00:56 ID:uDW49.bs
たまにはageときます。
いや、夏祭りの最後の部分、最高っす!
(丶`_ゝ´) のおかげで、番外編のエンディングも筋ができたし(w

ちなみに自分は鯉城駅のイメージとしては、天福球場の近くの
油津駅のイメージがあったっす。
今年初めてキャンプ見にいったけど、2度と電車でいくまいと思った(w
そして油津駅に降り立った瞬間、田舎の駅っていうイメージを抱いたよ。
キャンプにはまた行きたいけど。なんか異空間って感じだったし>天福球場
362広島家の人々67:01/09/11 02:14 ID:rjPC9p8.
雨は三日三晩降り続いた。
「ったく、極端なんだよなぁ・・・。」
貴浩はぶつぶつ文句をいいながら、氷の入った水枕を知憲住職に差し出す。
入れ替わりに住職のパンチが貴浩にくり出された。貴浩は難なく住職の拳をかわす。
「ほらぁ、病人はもう少しおとなしくしていなくちゃ・・・。」
声にならない声で、うるさいと住職は毒づいた。
あの"雨乞いの儀式"で、知憲住職はハシャギ過ぎて風邪を引いた。
夏祭りから数日が経ちながら未だ熱が下がらず、床に伏せったままである。
「そろそろ食料もヤバイな・・・。」
厨をちらっと覗いた貴浩は、外を見上げた。
激しく降り続けていた雨も、やっと小ぶりにおさまってきている。
「住職。俺、ちょっと買出しに行ってきます!」
大きな黒い布製のこうもり傘をさすと、貴浩は駆け足で寺の階段を下りていった。
363広島家の人々68:01/09/11 02:15 ID:rjPC9p8.
ムラの様子は、急激な豪雨の襲来でガラリと一変していた。川は荒れ、田や畑の水路は
あふれんばかりの大量の水が激しく流れている。
「うちの田んぼや畑は大丈夫かなぁ。」
時間に余裕があるなら、住職の許しを得て実家の田んぼの手入れの手伝いをしようか。
貴浩はぼんやりと水路を見つめ、考えた。
遠くから汽車の汽笛が聞こえてくる。この雨で不通だった線路がやっと復旧したらしい。
貴浩は海の近くにある鯉城駅を見下ろした。貴浩と同じ形のこうもり傘を差した男性が、
駅に入ろうとする。
「えっ・・・?」
貴浩は目を疑った。この大変なときにのこのこ駅に来るはずがない人物がそこにいる。
考えるより先に足が出た。
「博樹兄さん!」
貴浩は大声で叫んで、駅に向かって走った。
博樹は夏祭りで見たあの時よりもっと思いつめた表情で、こうもり傘を下ろし、駅の構内
に入っていく。
汽笛を鳴らして、汽車は鯉城駅のホームにすべり込む。
貴浩が駅の近くまで駆け込んだ時は、汽車は黒煙をあげて貴浩の進む方向とは逆へ
走り去っていった。
「おや、貴浩くん。」
駅員の木村が、驚いて貴浩を迎える。
駅の構内で息をゼェゼェ荒く吐きながら、貴浩は呟いた。
「・・・一体・・・何考えてんだよ、博樹兄さん・・・。」
364代打名無し@ス:01/09/11 02:56 ID:rjPC9p8.
ダメだ、もう寝る時間だ・・・。
ちょうど今、('。')の壺振りシーンを書いてる最中だが
まだあぷするほど量がたまってないんで、また明日・・・。
明日、前田が登場っす。

>>359
似合うかどうか明日判断してけれ(w

>>360
住職は書いてて楽しいYO(^^;

>>361
日南線ものどかっすよね。青島までしか乗ったことないけど
おらも一度で懲りた。地元のひと曰く、まだ路線バスのほうが
いいそうな・・・。
365 :01/09/11 02:58 ID:rjPC9p8.
(’。’)が文字化けした・・・
366 :01/09/11 09:37 ID:Yjo1OlMA
( ̄粗 ̄)の看病‥‥。
ヨケー調子悪くなりそう(w
お、遂に( `仝´ )の登場ですか!
す‥‥末永たん‥‥出るかな?ドキドキ
367 :01/09/11 15:51 ID:GuFk6Qj6
(・ ε ・)「やたーどきどき・・・」
368代打名無し:01/09/11 21:12 ID:tTCQJJrs
あのー皆さんどんなふうに日南(だっけ?)の駅に懲りたんですか?
369広島家の人々69:01/09/12 00:03 ID:tTwgMPv2
目カゴの壺の中に、二つのサイコロが入れられる。竜士はキッと睨んで壺の中身の行方
を見守る。サイコロを操る壺振りは、流れるように器用に壺を操ると、腹にサラシを巻いだ
片肌脱ぎの着物姿で威勢良く壺を畳の上に置いた。
「さあ、半か丁!どっちを賭けますか!」
やけに丁寧な口調で、壺振りは周りの客を見回す。賭場の場内はシーンと静まり返った。
「お、おい、今のはどっちだった?」
「俺は・・・は、半かな・・・。」
「お、俺は・・・。」
しどろもどろに竜士の後ろで、横松たち子分はサイコロの目を予想する。竜士は、一歩も
動かず、畳に両手をついて壺を睨み、そのままゆっくりと壺振りの男と見上げる。端正な
顔立ちの男はビクッと身体を震わせ、壺を揺らした。
370広島家の人々70:01/09/12 00:04 ID:tTwgMPv2
「おい新入り、さっさと丁か半か賭けねぇか!」
ちらっと壺振りを覗き見た隣の男が、竜士に悪態をついた。竜士はキョトンとして尋ねる。
「俺から、賭けるんすか?」
「ったりめーだろ!新入りから賭け金を置く。常識なんだからネ!」
男の言葉の後を受けて、周りの賭場の客から次々に竜士に罵声が浴びせられる。
カッとなって子分の長崎が立ち上がろうとするが、竜士が目で制止し、両側から覆い
被さるように横松と井生が、長崎の身体の動きを封じこめる。
竜士はゆっくりとまた畳の上の壺に目をやり、周りの客を見回し、壺振りの男を見上げた。
男はまだ身体をぶるぶる震わせている。竜士をニコッと笑った。
「そんなに身体を震わせて大丈夫ですかい?俺が賭けた途端、コロッと賽の目が・・・」
「てめぇ、喧嘩売りにここへ来たんかぁー!!」
壺振りの男が涙ぐみそうになった傍らで、賭場の客たちが次々に竜士に襲い掛かってきた。
今度は竜士はじめチンピラ子分たちは、応戦体勢で身を構える。その時であった。
「がちゃがちゃがちゃがちゃとうるさいんじゃあ、わりゃあ・・・」
短刀をドンと床に叩きつけて、中央に座を占める中盆の男から、ドスのきいた声が響いた。
37164:01/09/12 00:05 ID:YzjIquTw
結構下にあるからageとく
番外編ってこの前みたいにまとめてあぷした方がいいかな?
本編の邪魔にならないようにこの前はそうしたんだけど、
まとめると読むの面倒になるかモナーと思って。
なんか今日はそれどころじゃないけど…

>>368
駅じゃなくて「日南線」に懲りた(w 駅はいたって普通の田舎の駅だったよ
単線なのはある程度想像ついたけど1両しか車両なかったし(自分の乗ったのは)
(途中巨人のキャンプ地の最寄駅もあってそこまでは乗客でいっぱいだった)
宮崎と日南って隣り合ってるからそんなに時間かからんと思ったら
1時間半くらいかかるし、電車自体1時間に1本もこなかった…
電車から見た海が綺麗だったのはよかったけど、そのくらいかな。愚痴でスマソ
37264:01/09/12 00:06 ID:YzjIquTw
う…邪魔してスマソ>助清さん
373代打名無し@ス:01/09/12 00:17 ID:tTwgMPv2
>>371
あっ、ダイジョブ大丈夫。明日の仕事が早いから、今日は早めに
あぷして寝ようと思ってたんで・・・(^^;

それと気になるんすよテロ事件・・・。せっかくの8連勝、黒田の二桁勝利
だったんだけどね。規模が違いすぎる。何事もなく事件がおさまるといいけど・・・。
おそろしすぎますわ(鬱

続きは明日また落ち着いてから書きやす。朝山、末永ここでもう登場させちまい
やしょう(^^; まだ裏、裏どんでんがえしのストーリーの序の部分です。

>>371(追加)
まとめなくても大丈夫だと思うよ。

>>368
うん、日南線の本数の少なさと時間がかかり過ぎるのに懲りた・・・が正しいっす。
宮崎からレンタカー借りる方がずっと時間のロスがないよ。ここも道が渋滞したら
お手上げなんすけどね・・・。
374(・ ε ・):01/09/12 00:21 ID:bv5PdzUw
こ、こわー・・・兄ちゃん大丈夫?
375 :01/09/12 07:52 ID:4kwg8RhM
常識なんだからネ!
に‥‥ニ死たん?!(w
376  :01/09/12 08:53 ID:vZMBtiK.
>371 そんなことでめげてちゃあ、俺の故郷ではやってけないよ(藁
日南ではないが、単線・一両編成・ダイヤも一時間に一本・・・。
電車が通ってるだけで有難いです、まじで・・・。
377 :01/09/12 23:08 ID:rJyv9yQM
ごめん、電車なんてないよ(wうちの実家
378(・ ε ・):01/09/13 02:09 ID:/sESPKAY
今日は助さんこないかなぁ・・・負けっちゃったし
379広島家の人々71:01/09/13 02:39 ID:NqyRRfJo
その場がまた音もなくシーンと静まりかえった。
「お前ものぅ、そういちいちビクビクしてりゃあ、壺振りは失格じゃ。」
「は、はい・・・。」
壺振りの男は目に涙をためながら、小さな声で謝った。
「おぬしものぅ、新入りがナマイキにも賭け事前からゴチャゴチャ抜かすな!気に入らんのなら
さっさとこの場から出くさりゃええわ。」
竜士はキッと中盆の男を睨みつけた。すかさず男の後ろに控えていた二人の舎弟が、スキの
ない構えで男をかばう。中盆の男は一切構わず言葉を続ける。
「じゃが、この賭場もちと大人げないんじゃなかろうかのぅ。由緒ある賭場を自認するなら、
新入りが少々ごたくをぬかそうが相手にすることもなかろうが。なぁ、壺振りの建さん・・・。」
また賭場の雰囲気が殺気だつ。建さんと呼ばれた壺振りの男は、はい・・・と小さく返事をして
俯く。畳の周りを囲む面々を見回して、中盆の男はニヤリと笑った。
「誰も賭けねぇのか?なんだったらワシから賭けようか・・・。」
男は札束をふところから取り出した。勝負師のキツい眼光で、男は壺を睨みつける。
「丁!」
男は、今手にもった札束をすべて丁座の畳の上に置いた。無言で男は竜士に次に
賭けるよううながす。
「じゃあ俺も丁!」
竜士は虎の子の一枚のお札を丁座の畳の上に置いた。
380広島家の人々72:01/09/13 02:40 ID:NqyRRfJo
「ケッ、しけてる上に気の小せぇ奴。」
隣の男は、はき捨てるように悪態をついて、半座の畳の上に賭け金を置いた。
次々に賭場の客が賭け金を置く。その間、壺振りの建は必死に震える身体を抑え、
壺を押さえつけていた。賭け金がすべて畳の上に揃った。
「よろしいですか?」
建は少し枯れた声で周りを見回しうながすと、壺を開けた。
「四六の丁!」
「やったぁーーー!」
竜士は飛び上がって喜んだ。
「これでこれで充分です。俺はこれで帰ります!」
サッと笑顔で配当金をふところにしまい込むと、竜士はそのまま横松ら子分たちと一緒に
賭場をずらかった。
「ケッ、やってらんねぇ。今日はしまいだしまいだ!」
壺を持ったまま、ボーッと畳の上から動かない建を無視して、他の客もどんどん賭場から
引き払っていった。
入り口では、ずっとその様子を見ていた何者かが、たまらんというようにクククッと笑っていた。
381代打名無し@ス:01/09/13 03:16 ID:NqyRRfJo
も少し続きを書こうと思ったが、またまた時間が・・・。
続きは明日。明日は玉木が初登場の予定だず。

>>378
負けたね、(’。’)で。まあ、ええことよ。なんか気持ちが落ち着いた(^^;
明日からまたがんがりやしょう!
382 :01/09/13 10:58 ID:Pr.QqujM
保全アゲ
38364:01/09/13 23:28 ID:CTAN4dRc
建さんなかなかいいですね!っていうか、すぐ想像できる(w
玉木の役柄が気になります。昨日今日と調子よくないけど。

自分のはキリのいい所まで書けてるんですが、そこから
どうもっていくかでちょっと悩んでます。そこが書けたら
人知れずコソーリあぷの予定です。
384(・ ε ・):01/09/13 23:54 ID:2tTfQFFs
助さーんまた負けちゃったよ〜
385あがらんのかな?@ス:01/09/14 02:16 ID:Ibnbduf2
過去ログ倉庫の更新をしてたんで、今日はこっちを書く時間がとれるかな・・・。
間に合ったら、続きあぷしやす。間に合わなかったらゴメソ。

>>384
今のところ玉木は黒田がらみっすよ。割といい役どころじゃあないかと・・・。
それと建たんっすね。ま、悲劇のひとを突っ走ってくださいと黒田同様に・・・。
これが続きの展開のヒントかな。粗いがからんできやした。そろそろ・・・

>>384
また負けたね(^^; でもこんなもんすよと割とおらは冷静っす。まあ、ええことよ。
これが明日も負けたら逆上するかもしれんけどよ。ああ、身体にBクラス体質が
身に着いてきたんやろか。昔のかぷはAクラス当たり前だったんやけどのぅ・・・。
386代打名無し@ス:01/09/14 02:19 ID:Ibnbduf2
最初のは>>383 もうボケの始まりかの・・・(鬱
387 :01/09/14 03:35 ID:z13YYNLQ
広島ファンの80%はチョンで出来ています
388アンチ野球:01/09/14 03:36 ID:lYDxDzsw
くだらない野球は今すぐ放送を打ち切れそしてさっさと潰れろ!!!
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くだらない野球は今すぐ放送を打ち切れそしてさっさと潰れろ!!!
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くだらない野球は今すぐ放送を打ち切れそしてさっさと潰れろ
389番外編その1@64:01/09/14 04:18 ID:PMToGm2M
鯉城駅にいつものようにその日最後の汽車が到着する。あまり(というか滅多に)
人の乗降のないこの駅に、2人の外人が両手いっぱいの荷物をかかえて降りてきた。
汽車はホームを離れ、それを見送った駅員・木村に2人の外人のうち、背の低い方が
話しかけてきた。
「エクスキューズミー、コノ辺ニ 泊マル所ハ アリマスカ?」
木村は外来語がわからないのであまりこの外人たちと関わりたくなかったのだが、
向こうのほうから日本語で喋りかけられた事もあって、幾分安心してこたえた。
「泊まる所、ないんだからネ。このへん、田舎。常識なんだよ」
安心したとはいえ、どうしても変な言葉遣いになってしまうのが、また木村らしかった。
「ンー…ソレナラ、コノ駅ニ 泊メテホシイ」
「駅?ダメダメ」
木村がこたえると、背の低い外人はおもむろに握りしめた両手を木村の前に突き出した。
木村は突然のことに驚く。外人はニヤリと笑って指を鳴らすように動かすと、両手から
色とりどりの紙で作った花がボロボロと出てくるではないか。あっけにとられる木村に、
外人は両手を広げて何もないことを示すと笑みを浮かべたまま、また喋りだした。
「僕タチ マジック…『テジナ』デ アチコチマワッテマース。ミンナニ 『テジナ』ミセタイ。
ダカラ 泊マル所 サガシテマス」
「うーん、僕だって泊まる所探してあげたいけど…」
と言いかけたとき、遠くからガヤガヤとにぎやかな声が響いてきた。
「木村ー!いるかぁ?」
と、一際大きな声で姿を見せたのは、やはり知憲住職であった。
後ろには、これもいつもの通り貴浩と輝裕がいた。
390番外編その2:01/09/14 04:20 ID:PMToGm2M
「む、これは何処ぞの客人か?」
2人の外人に気付いた住職が木村に問いかける。その後ろで、外人をほとんど
見たことのない貴浩と輝裕がものめずらしそうな目で2人を見ていた。
「貴浩兄ちゃん、あっちの人、顔が茄子みたいだね」
と輝裕が背の高い外人を見て指をさして笑う。
「お前そんなこと言うなよ、失礼だろ」
と言いつつ、貴浩も笑いをこらえきれないといった様子だ。
「どうも手品なるものを見せにここに来たみたいだが、泊まる所を探してるらしくて…」
「ほほう、手品か。これはまた酔狂。しかしまた面白くもあるな。
しかし今の村の状態ではなかなか見知らぬ異人を泊めてくれる所などあるまい…」
「こっちの人、顔にバネ入ってそうだよね」
「だからお前失礼だってば…ウププ」
「ゴルァ!!お前ら、ちょっとは静かにしてろ」
すかさず住職の拳骨が貴浩と輝裕の頭に炸裂する。あまりの痛さに2人は
頭をかかえて声さえ出せなくなった。
「…仕方ない。泊めるだけならうちの納屋でもなんとかなろう。それでよいか、
木村よ」
「それは助かります。自分にはどうすることもできないですから…」
「お主らは、それでよいのか?」
「雨ガ シノゲレバイイ。助カリマス。ナンマイダ、ナンマイダ」
背の低い外人はどこで覚えてきたのか、手を合わせ住職を拝みだす。
「さすればついて来たまえ。貴浩、客人の荷物をもってやれ。ほら、小僧、
早うお前も帰れ」
そうして住職は皆を引き連れスタスタと帰っていった。

誰もいなくなったホームに残された人工の花を拾いながら、木村は呟いた。
「すごいな、『手品』っつーやつは!」
39164:01/09/14 04:22 ID:PMToGm2M
「フーッ、トリアエズ 泊マルトコロガデキタ。後ハドウヤッテ 仕事ヲスマセテ
逃ゲルカ…」
背の低い外人は住職にあたえられた納屋に落ち着くと、なにやらブツブツと
呟き考え事をしている。
「ナア、ティム…」
それを遮るようにもう一人の背の高い男が話しかける。
「モウコウイウコトハ ヤメナイカ?オ前ノチカラナラ クニデモヤッテイケルダロウ?」
「何ヲ言ウンダ、エリック?アイツラハ 俺ノチカラヲ ワカッテクレナカッタ。
イツモ 下働キ…アンナ所ニハ 帰リタクナイ」
「ダカラトイッテ…」
「オマエハ帰リタイノカ?アチコチト場所ヲ移シテ 自分ノチカラヲ試シタノニ
認メテモラエナカッタ アノクニニ?コノクニナラ ドンナ事ヲシテモマダミンナヲ
騙セル」
エリックと呼ばれた外人は何も言えなかった。自分は帰りたいのか?帰っても
故郷で活躍できる保証はどこにもない。むしろ、可能性は低いだろう。この国に
来る前もそうだった。好きで足を踏み入れたこの世界だったが、ここは実力の
世界だった。前評判がどんなに高くとも、実力がともなわなくてはどうにもならない。
自分の可能性を試すために広い故郷を動き回った。北の町、南の村。山の中、
海岸沿い。そんな中、エリックはティムに出会ったのだった。そして、ティムの言葉に
乗ってこの日本に来たのだが…。
「トリアエズ、今日ハ寝ルゾ。コレカラノコトハ 明日考エル」
ティムの言葉でハッと我に返った。ティムはマイペースな男だった。いや、マイペース
という言葉ですめばどれだけいいだろう。ようするに、わがままだった。自分が一番、
まさにお山の大将だった。背を向けて横になったティムの気に障らぬよう、エリックは
荷物の中から一際大きなつつみを出して巻いてあった布を取る。そうして出てきた
小動物用の檻を覗きこみ、
「今日ハ ゴハンナインダ。ゴメンヨ、オヤスミ」
とだけ言うとそのまま横になってしまった。
392番外編4:01/09/14 04:25 ID:PMToGm2M
輝裕はいつものように学校からの帰り道を一人でトボトボと歩いていた。竜士兄ちゃんが
帰ってきたことはうれしかった。だけど夏が近づいてくるにつれて、そして自分の進学の
話がだんだん現実味を帯びていくにつれて博樹兄ちゃんが笑っているところを見ることが
めっきり減ってしまった。そして何より、学校に行っても登校してくる生徒しかだんだん
減ってきていること、更にはその中に唯一心を開けると言ってもいい友人の兵動も含まれて
いたことも、全てが輝裕にとってとても心苦しく、寂しかった。
「何か楽しいことおこらないかな…」
頭上に広がる青空を見上げながら、輝裕は一言呟いた。太陽は西に傾きかけていたが、
夕暮れを迎えるにはまだ時間があった。兵動や級長の田村がいた頃には授業が終わっ
てもくだらない話に花を咲かせたり、運動場でキャッチボールをしたりで日が暮れるまで
学校にいたというのに…。
その時、遠くからふと人々のざわめきが聞こえた。視線を前に戻すと、数十メートル先の
空き地で子供や手を休めた小作農たちが人垣をなしている。輝裕は不思議に思って、
その人垣に向かって走り出した。
輝裕は足が速かった。短い距離だったら兄弟の中では1番だったし(ただしスタミナが必要な
長い距離になると貴哉の足もなかなかのもので、輝裕は競争こそしなかったものの貴哉に
負けるまいとひそかにライバル意識を燃やしていたのであった)、学校の中でもたぶん1番速かった。
村で1番の俊足と評判の郵便配達員・福地にも下手したら勝てるかもしれない、そのくらい足が速かった。
その俊足を飛ばして輝裕はあっという間に空き地に到着すると、小さい体を生かして人垣の中に
もぐりこんだ。そこにはちょっとくたびれた感じのタキシードを着た2人の外人がいた。輝裕はすぐに、
それが昨日駅で見た2人の外人だとわかった。そして彼らは、輝裕が今まで目にしたことのない不思議な
芸を次々と披露していたのだった。
393番外編その5:01/09/14 04:27 ID:PMToGm2M
「本当にすごいんだろうな?」
「本当にすごいんだって、竜士兄ちゃんも見ればわかるよ」
輝裕は空き地から家に戻った後も外人たちの不思議な芸が忘れられなかった。
つまらない日々の生活の中で久しぶりに味わう楽しさだったのかもしれない。
その楽しさを自分だけのものにしておくのが嫌で、夕食時にめずらしく自分から
話をふっていた。普段はどちらかといえば無表情な輝裕が喋りまくっているのに、
博樹も貴哉も佐々岡の爺もただただあっけにとられていた。ただ、輝裕が実は
どこか抜けている面白いやつだと見抜いていたこの男だけは違った。
「そんなに面白いもんなら、明日俺も連れて行ってくれ」
こうして、その発言の主・竜士と輝裕は空き地に向かって歩いていたのだった。
「あっ、あそこだよ!」
目的地には既にちょっとした人だかりができていた。2人はその中にもぐりこむ。
「オウ、新シイオ客サンイラッシャーイ!ソコノ兄チャンニ プレゼントデース」
そういって輪の中心にいた外人が竜士に向かって右手を差し出す。竜士はただ
キョトンとするだけだ。外人は右手に黄色い布をかぶせ「ワン、ツー、スリー」と
呟き布を勢いよくひっぱると、そこには一輪のカーネーションがしっかりと握られて
いたのである。まわりからは感嘆の声。竜士はただカーネーションを受け取る
しかなかった。
「私ハヤング、アッチガラドネ。『ヤング&ラド』ト言イマス。ヨロシク」
そういってヤングはバネの入ったような顔を更に縮ませ、笑顔で竜士と握手した。
「モットモット、スゴイ手品スルヨ〜。ラド、箱ヲ持ッテキテクダサーイ」

夕暮れがきて、ヤング&ラドの手品ショーは幕を下ろす。カーネーションを
握りしめた竜士と輝裕はほとんど放心状態で家路に着いていた。
「輝裕…すごいな、手品は!」
「兄ちゃん…すごいよ、手品は!」
394番外編その6:01/09/14 04:30 ID:PMToGm2M
それから数日、輝裕は学校の帰りにヤング&ラドの手品ショーを見るようになった。
たまに人垣の中で竜士と会い、2人で見ることもあった。そういう時は必ずどういう
理屈でああいうことができるのか、帰り道に2人で考えるのであった。
それは、人ごみの中に輝裕もいたある日のこと。
「む、なんだあの人だかりは?」
「ああ、きっとうちに泊まってる2人じゃないですか?さっき行った檀家の奥さんが
言ってたじゃないですか、最近見慣れない外人がやってる手品ショーとやらが
評判だって」
人だかりを遠くに見ながら喋っているのは、仕事を終え寺へ戻ろうとする
知憲住職と貴浩だった。
「ふむ。まあ村人に癒しと潤いを与えてやっていると思えば、彼らのやってることは
私らのやっていることと似ているかもな」
「癒しと潤い…僕はもらってないですよ…」
「うるさい!この口か?この口がそのようなことを申すのか!?」
そう言って住職は容赦なく貴浩の頬をつねり、そのまま引っ張っていく。
「アガガガガガ」
抵抗できず貴浩はそのまま引っ張られ、やがて空き地の横を通過していく。
人ごみの切れ目から空き地では何やら箱を使った手品が行われているのが見えた。
そして偶然にも貴浩の視界に夢中になっている輝裕が映る。あの馬鹿!博樹兄ちゃんが
あんなに苦労してるんだから、お前も早く家に帰って何か手伝えよ!
そして貴浩は人ごみで手品が見えなくなる瞬間、自分の目を疑いたくなるようなものを
見たような気がした。

まさか、あれは…。
39564:01/09/14 04:35 ID:PMToGm2M
>>391の名前を変え忘れてしまった…さすがにこの時間は頭が
まわってないようです。許してつかぁさい。
筆が止まる時は本当に何も書けないんだけど、書ける時は
アホみたいに進む。おかげでこんな時間(w。
これから普通に出社して夜市民球場でスクワットし通す体力が
あるのか?怖いな。チャンステーマあったら倒れるな(w

近日中に続きあぷします。ラドとヤングの台詞読みにくくてスマソ
396 :01/09/14 05:03 ID:z13YYNLQ
>>389-395
何?このキモイ妄想オタの書き込みは?
つまらん、死ね。
397 :01/09/14 07:41 ID:DL/rKM7A
ウヒョー!64さん面白いっすよ。
ナスのような顔で、爆笑!
「すごいな、手品は!」にもワラタよ。

応援がんがってきてくださいねー。
天気はあまりよろしくないみたいですけど。
398(・ ε ・):01/09/14 23:49 ID:dRQVobNI
助さーん!!勝ったよぉ〜やたー!!
399代打名無し@ス:01/09/15 02:30 ID:PDtebeOc
スンマソン、二夜連続続きが書けないかもしれやせん・・・。
そのかわり、「広島家の人々」の過去ログに一つページが追加されやした。
こんで許してつかあさい・・・。(更新ともいうか。)

>>64
>まさか、あれは…。
鶴田さん・・・とか(^^; まさかね。大爆笑しやした!
キムタクの二死たん語と西山の・・・(w
ちょうどストーリーは、松原のピーコ戦死報告直前あたりっすネ。
続き楽しみにしてやす♪市民球場大丈夫でしたか?
風邪だけは気をつけてくださいヽ( ´ー`)ノ

>>398
格さーん!ジャナクテ・・・勝ったネ。これからまた連勝してくれんと♪
続きは、も少し待ってけれ・・・
400(・ ε ・):01/09/15 08:05 ID:8KxzylJQ
下がりすぎ。
401(・ ε ・):01/09/15 22:52 ID:qbCXuSaw
oh no-!!負けたよー
402広島家の人々73:01/09/16 01:45 ID:WoLhuiM6
「楽勝♪楽勝♪」
思ったよりたくさんの金を手にできた竜士は、早速小銭に換金して街道筋の土手で
子分たちに金を分け与えた。それでも竜士の手元に4枚のお札が残る。
これも中盆にいた男がポイッと自分の分の配当金を少し投げ与えたからだ。
「・・・どっかで見たことがある顔だったんだよなぁ。」
お札を大切にふところにしまいながら、竜士は首をかしげた。
「竜士の親分、親分!」
子分の井生が、あわててコソコソと後ろから竜士の肩を叩く。
「あ・・・。」
中盆のあの男がお伴の二人に助けられ、左足をかばいながらこっちにやってくる。
竜士は言葉をなくした。男は笑っていたが、照れ隠しに無愛想に竜士に声を投げつける。
「二度とこげん場所ば来るんじゃねえ。遊びもほどほどにせんよ!」
竜士の身体は震えていた。男はこれ以上何もいわず、竜士の前を通り過ぎ、去っていく。
403広島家の人々74:01/09/16 01:46 ID:WoLhuiM6
竜士は振り返った。
「前田さん・・・前田さん!いつムラに帰ってきたんですか!!」
前田は答えなかった。お伴の朝山だけ、クルっと振り向いて礼儀正しく一礼する。
「前田さん・・・?」
「竜士の親分、前田さんって・・・?」
子分たちの疑問に、しばらくの間竜士は返事を返さなかった。
竜士の目は感動で輝いていた。
「昔・・・ムラで・・・広島家で活躍した伝説の用心棒さ!」

力なく壺振りの建は、賭場の後片付けをする。
「いきなり新入りに“いかさま”をやる訳がないだろーが、のぅ建さん。
甘い甘い・・・。」
入り口の扉でからかい口調で笑い続ける男に、建は悲痛そうに唇を
かみ締めた。
404広島家の人々75:01/09/16 02:36 ID:WoLhuiM6
洋装の御者を従えた馬車が、我が物顔にスピードを上げて大通りの中央を通りすぎていく。
博樹はしばらく足をとめて、ぼんやりと馬車の行方を見送ると、また目的地に向かって
足取りも重く歩きはじめた。
もう遠い昔の出来事だと思っていた光景が目の前にある。
最新の服装に身をかため、悠然と歩く上流層の人々。その中を威勢良い声を張り上げて
物を売り歩く商人たち。小綺麗な服を来た子供たちは、屈託ない笑顔で遊びまわり、
白いシャツの学生服姿の若者たちは、自分たちの夢を語らうことに夢中になっている。
そう、少し前までは当たり前に享受していた世界・・・。
「あかんわ、これで客が200人来いへんかったら、ウチは完全にしまいや〜!」
黄色と黒の丁稚奉公の恰好の青年が、息せききってビラを配りまくる。橋の欄干の
上では苦学生と思える青年が、バイオリンを片手にクラシックの曲を披露し、観衆を
集めている。
キー〜〜
突然、バイオリンの調子がはずれた。客のブーイングにバリオリン弾きの青年は、
あわててペコペコ謝った。
博樹は、ちらっとその風景を覗いて、大通りの裏の小路へと入っていった。
くすんだ茶色のレンガ作りの建物に、品の良い看板が重い木造の入り口のドアの
上にかかっている。
博樹は目を細めて一刻その看板を見つめると、ドアのノブに手をかけた。
405広島家の人々76:01/09/16 03:41 ID:WoLhuiM6
カランカランと鐘の音とともに、店内の蓄音機から流れるタンゴの曲が心地よく
博樹の耳をくすぐる。
「いらっしゃい!」
新たな香ばしいコーヒーの匂いを作り出しているマスターの玉木は、入り口の人物に
目を大きく丸くした。博樹ははにかむように笑った。

「・・・もうどのくらい前になりますかね。こうして博樹さんがいらして・・・」
博樹の好みにあったブレンドのコーヒーを渡して、マスターの玉木は思い出話に
花を咲かせる。コーヒーの湯気に身をゆだねながら、博樹はフッと笑った。
「ところでご実家に戻られてから、最近は?」
玉木の質問にしばらく黙っていた博樹は、ニッコリ笑って逆に玉木に問い直した。
「マスターのところは?」
「わたしのところ?ああ、ダメ・・・ダメですよ。最近はどこも不景気でね、ここも客
がめっきり減りました・・・。」
突然、蓄音機の針があらぬ方向へズレた。ギーギーおかしなタンゴの音色を奏でる
蓄音機に、玉木は顔をしかめ、蓄音機のある机に歩いていった。
「この蓄音機も、もう寿命ですかね。こう何度も針がトンでは使い物にならない・・・。」
大切にレコードを磨いていた玉木は、ふと手を止めた。
「このままどんどんジリ貧になっていくんでしょうかね。だんだんと世の中の波に
流されて・・・」
カウンターに座っていた博樹は何の返事も返さず、振り返って玉木の後ろ姿を
見つめていた。そこへ
「いやぁいやぁ、お待たせしまして!」
せっかちな鐘の音とともに一人の男が、玉木の店にひょうひょうと入ってきた。
406広島家の人々77:01/09/16 04:26 ID:WoLhuiM6
「『たすけて!たすけてUFO仮面!』 ヨシキ君は、悲鳴をあげて、にげました。
でも、怪物は、ギリギリと、歯車の音をさせながら、どこまでもヨシキ君の後を
追いかけていきます。ヨシキ君は、怪物の謎を、知ってしまいました。怪物は・・・」

実家の畑と田んぼが気になった貴浩は、買い込んだ食糧を知憲住職に渡すと、
すぐさまもう一度寺の階段を駆け下りて、丘の上の田畑に向かった。
佐々岡の爺がいればなんとかなるかもしれないが、それでもこの増水に佐々岡
の爺と貴哉だけでは、少々人手が心もとない。
田んぼのあぜ道には、意外な人物と貴哉が腰かけていた。貴哉は熱心に隣の
少年が読み聞かせる物語を聞き入っていた。思わず貴浩は大声をあげた。
「輝裕!お前、学校はどうしたんだよ!」
輝裕は読む手を休めて、貴浩のほうに振り向いた。
「別に・・・。ウチの田んぼと畑が気になったから・・・。」
「っていいながら、お前は本を・・・!」
と田んぼに目を向けた貴浩の言葉が途切れた。つたないながら、ちゃんと大雨
の対処は済ませてある。
「これ、佐々岡の爺がやったのか?」
「ううん。佐々岡の爺は朝から出かけているよ。」
そっけなく輝裕はいうと、貴哉のために「UFO仮面」の続きを読み始めた。
「・・・ヨシキ君はいいました。『早く、小林青年にこのことを伝えないと!』・・・」
貴哉は胸をワクワクさせて、輝裕の読むお話に夢中になっていた。
407代打名無し@ス:01/09/16 04:43 ID:WoLhuiM6
今日は日曜日ですで、遅れた分がんがって進ませてみやした。
それと、ここ2、3日ほどの傾向で、夜中に上に上がったスレは
ログ圧縮で深夜200〜400くらいに下がってしまいやすね。ビクーリしやした。

やっと最終回につながるエピソードも少し入れられ、全体の半分は過ぎた
んでないかと・・・。思ったより長い話に浮気もしたくなったこの頃っすが。
浮気といえば『オペラ座の怪人』聞きながらコレを書いていたら、キムビン
主役のパロディ版を思いついてしもうて・・・外野手編も作れるだろうけど、
かぷの現実にリアルで笑えるとしたらキムピンのほうだろな。

「広島…」の少々ウェットな話に苦しくなったとき、反動でやっちまうかも
しれません(^^; 瀬戸・西山ファソ許してけれ。無性にどうしようもないギャグが
書きたくなった。
408代打名無し:01/09/16 05:29 ID:g4V2ilPA
よ、よちき・・・(W
409代打名無し:01/09/16 05:48 ID:oje5fhIc
( ̄木 ̄)の「オペラ座の怪人」見たいよ〜(W
今広島でやってんだよね
410(; ε ;):01/09/16 20:54 ID:gTlazmhY
ごめんなさい・・・・やってしまいました・・・えーん
411( ̄木 ̄):01/09/17 00:12 ID:YfiPeQVQ
>>410
しょうがないよ。ボクを先発でつかわなかったんだから。
412(`)ε(´):01/09/17 00:14 ID:jQBicbtA
>>411
カンケーないだろこら!!点とられてないんだからな
413代打名無し@ス:01/09/17 00:50 ID:PiOK6aYs
昨日のスキップ矢野たんのほうが萌えたね。今日は・・・鶴たんぐらい。
それと中里(・∀・)イイ!!

>>409
そうでした、今広島でやっていた。だったら17日の午前中に書いちゃうか。
タイムリーなネタかもしれん、「市民球場ほくろの怪人」
登場人物はキムカズ、瀬戸、西山それとハセガーで。
(元ネタ知っとるひとは、これで見当つくやろな・・・(^^; )

今夜はこれで寝やす。「広島…」の続きは「ほくろ」と一緒に。
この内容であげるのはしのびないで、コソーリsageのまま。

64さん、お元気っすかー!
414代打名無し:01/09/17 01:06 ID:wcQIq4kg
おお! やってくださいますか。
なんか笑えそうですね。
41564:01/09/17 02:23 ID:mS4odAY.
ウ、元気というか何というか…疲れているのには間違いないんですが。
雨に降られたり日差しが照りつけたり応援する側には辛いゲームだった。
しかも広島家の兄弟のうち下3人に激しく萎えまくりだったし…。

>>397さんサンクス。茄子は本当はバナナにしたかったんですけどね、
昭和初期ってバナナあったんか?とどうでもいいのに悩んで(親の時代
〜少し昔?には高級品だったらしいですが)当り障りのない所で、茄子を。

>>399=413=助清さん
今のところノーコメントということで(w>鶴田ん
今日(もう昨日だねえ)のピッチングには萌えまくったよ
だから、(・ ε ・)のバント失敗には激しく萎えた
ほくろ座の怪人楽しみにしてます(オペラ座見たことないし)
416(; ε ;):01/09/17 02:33 ID:bm42j9JI
何で僕だけ責めるかなぁ・・・
他の人がゲッツー・三振やってもヤジなんかほとんど出さないくせに
417[・ ε ・]:01/09/17 14:54 ID:qTk44xIE
今は苦しめ悩め
苦労の先に栄光がある!
418(‘ ε ’):01/09/17 19:01 ID:0lTMd4wY
今は苦しめ悩め
苦労の先に栄光がある!
419(; ε ;):01/09/17 19:45 ID:K2JbpaQ2
兄ちゃんに言われても説得力無いよう・・・
42064:01/09/17 20:43 ID:Rm2ZrLPI
早い時間に来たら、なんやおもろいことになってるな
>>416
いや、君以外の時も愚痴ったよ
でも昨日はノーヒット・エラー・バント失敗だったからね
>>418(最悪)のマネでもやってるのかと思ったよ(w

>>417
カコイイ!明日もがんがれ
421(・ ε ・):01/09/17 21:13 ID:UrFyN1GA
>>420
ヒット打ったのに・・・ちゃんと見てよ・・・
15日はノーヒットだけど16日は打ったよう〜しくしく
42264:01/09/17 21:20 ID:Rm2ZrLPI
>>421
確認してきた…打ってたね。スマソ
でもバントシパーイゲッツーで帳消しだよ!
ウヒョスレ見てるけどケガだけはちゃんと治してくれよ
423昨日の元気丸見て:01/09/17 22:42 ID:5sZXpklE
( ̄粗 ̄)「ところで(・ ε ・)は誰からお小遣いもらってるの?
424(・ ε ・):01/09/17 23:29 ID:.2QlCxfg
そりゃもちろん( `仝´ ) さんだよ
425代打名無し@ス:01/09/18 02:20 ID:aLK10s/g
ああ、用事ができてドタバタしていたら、結局こんな時間になってしもた・・・(泣
スンマソン、約束やぶりまくりじゃ。も少し待ってくんさい。

>>416-419
あはははははは(爆 ウケタ! 兄弟スレにもコピペしようっと(w
426(・ ε ・):01/09/18 03:22 ID:UBBe8PoA
貼り付けたのは貴方でしたか(w
427代打名無し:01/09/18 23:08 ID:sPtTK1nQ
やっぱり博樹は苦労人
428(; ε ;):01/09/19 00:45 ID:Hi46pUW6
兄ちゃんを助けたかったよ ごめん・・
429ベッチレラ1:01/09/19 02:34 ID:IVwtkigk
「ケッ、なんで俺がこんなことしなくちゃならないんだ!」
深い深い森の奥で、ベッチレラという一人の小間使いが、今日も山のように積まれた洗濯物と
奮闘しながら家事におわれていました。
今日はお城の仮面舞踏会。親の違う姉妹(?)たちはみな、めいめい美しいドレスを身につけ、
これからはじまる夢のような世界に心をはずませています。
ベッチレラも、たまに洗濯の手を休めて羨望のまなざしで姉妹たちを見てました。
しかし姉妹たちは冷たくベッチレラをあしらいます。

チビリーナ「お前も仮面舞踏会へ行くっていうの?そのボロ服で(w」
モリカーサ「ナマイキぃ!お前はそこで洗濯しているのが一番性にあってよ」
オヤマーラ「さあベッチレラなんてほっといて、早くお城に行きましょう」
ヤノーラ「久しぶりの都会だぁ♥」
サカリー「お城には王子さまがいて・・・」
アラーラ「気に入った子がいたら舞踏会で求婚するそうよ〜♥」
イオラ「一緒に連れていってもらえるだけ感激です」

マダム・ヒロイケ「私のかわいい娘たちにそんな運命が訪れたらどんなにうれしいでしょう」

ほほほほほっ・・・。マダム・ヒロイケと姉妹たちは、勝ち誇ったようにベッチレラに一瞥すると
悠々とお城に向かいました。
「勝手に言ってろ!!」
ベッチレラは洗濯物の入ったたらいを思いっきり蹴飛ばしました。あっという間に洗濯物は
泥だらけになります。
「・・・・・・。」
悪態をつきながら、泣く泣くベッチレラを洗濯板相手に洗濯の続きをしました。
430ベッチレラ2:01/09/19 02:34 ID:IVwtkigk
森の中を、一人の魔法使いがトボトボとお城に向かって歩いていました。
「・・・仮面舞踏会だというのに、結局仮装する服を用意できなかった。」
魔法使いウッチーは自分の着ている、頭からすっぽり被った黒い衣装を見回しました。
「・・・これでも仮装になるかな。」
だいたいどうして自分はここにいるんだろう。すべては老獪な黒魔術使いに、タバコ1箱
で売られてしまったことから運命が狂ってしまいました。それからは毎日のように魔法使い
になるための特訓を受けてますが、素質はあるといわれながら、なかなか上達せず、
いつまで経っても未熟な見習い魔法使いから進歩しません。
「・・・でも、この道を進むしかないもんね。」
ハァとあきらめの溜息をつくウッチーに、後ろからものすごい勢いである物体がぶつかりました。
「ブッ・・・!!」
とっさのことに、ウッチーは顔面から地面に転びました。相手の気の強そうなボロ服の子も
衝撃で後ろにひっくりかえっています。
「一体なんなんだ・・・。」
よろよろとよろめきながら立ち上がったウッチーは後ろを振り返りました。相手のボロ服の
子は怒りもあらわにウッチーにくってかかります。
「邪魔しないでよ、この唐変木!これからお城に行こうって矢先に思いやられるわ!」
ウッチーは目が点になりました。どうみても相手の着ている衣装は仮面舞踏会に行くもの
ではなかったからです。
「きみの名は?」
「あたしの名はベッチレラ。なんだかとっても昔、あそこに行ったことがあるような気がする。
あたしはどうしてもあのお城に行きたいの!」
431ベッチレラ3:01/09/19 02:35 ID:IVwtkigk
不審げなウッチーの態度にベッチレラはひどく反発して力説しました。
「でもその服じゃ不審者と間違えられてお城の中に入れてもらえないよ。」
「クッ・・・!」
はげしく拳を叩いてベッチレラはくやしがります。そんなベッチレラが少し可哀想になった
ウッチーは一枚のカードを取り出しました。
「・・・うまくいくかわからないけど・・・。」
ウッチーは緒方のプロ野球カードに呪文をとなえました。ベッチレラのボロ服が瞬く間に
ふさふさした美しいドレスに変わります。ベッチレラは信じられないというように、自分の着て
いるドレスを見ました。だが、それ以上に魔法使いのウッチーが腰をぬかして驚いていました。
「・・・きょ、今日はうまく行った!」
調子に乗ってウッチーは、ベッチレラがお城に行くための装い一式を次々にカードと呪文で
生み出していきました。ベッチレラの表情が輝くばかりとなります。
「あっ、ボクの魔法は長続きしないからね。長くても鐘が6ツ鳴る前にここに戻らないと、
魔法が溶けてしまうよ。じゃあ最後に馬車を・・・。」
しかし、ウッチーの言葉をベッチレラは最後まで聞いてはいませんでした。ウッチーがもみぢ
饅頭を取り出したときは、すでにベッチレラは猪突猛進でお城に向かって走り去っていた後
でした。
「ははははははは・・・!次は王子さま王子さま王子さま!これでお姉さまたちを見返して
ラストは・・・!!あははははははははは!!」

「・・・大丈夫かな。」
一人取り残されたウッチーは、ボーッとベッチレラの後ろ姿を見送っていました。
「・・・せめてボクができることは、あの子のために祈ってあげること。」
ウッチーは一つの呪文をとなえました。
「・・・・・・エロイムエッサイム、エロイムエッサイム・・・」

(きっとつづかない)
432代打名無し@ス:01/09/19 02:40 ID:IVwtkigk
昨日のようなどうしよーもない疲れる試合に出会うと、反動でアホなネタ
が思い浮かぶ(鬱。 元の拙攻貧打に逆戻りか・・・。

ちと私事で、しばらくの間ここにこれそーもないんで、これはすぐにあげ
られないネタの代わりに。
ケリがついたら復帰しやすで。なるべく早めに用事を済ませます。
ハマ戦も絶対行きたいしのぅ・・・。
433 :01/09/19 08:01 ID:oelZgFyk
おお、新作!と思ったら、こちらも
助さん作でしたか。
てっきり、ウチが王子かなと思いきや
魔法使い。タバコ一箱で売られた魔法使い(w
んでもって、姉妹多すぎ、でもワラタ
井生たん謙虚ね。頑張れベッチレラ!これ読んでて
YEAR BOO2001のベチのページの
「シンデレラボーイ」の肩書き(?)を思い出した。
434   :01/09/19 14:46 ID:oelZgFyk
保全age
435 :01/09/20 00:42 ID:3/zHz/lI
あげっと
436 :01/09/20 11:56 ID:EI6dE..Y
age
437   :01/09/20 23:04 ID:3/zHz/lI
あげー
438代打名無し@ス:01/09/20 23:11 ID:F6AuHe9o
チラッとウヒョスレのぞいてみたらば、また横山で負けたんすか(鬱
こんな程度の奴じゃないはずだけどね・・・。悲しすぎる。
くわしい試合の様子は知らないから、まだおらはショック少ないけど
後半最初のチュニチ戦みたいなもんだったんかな。

長男除いて悲惨だ・・・(;´Д`)
>>427
黒田もいっそのこと苦労田と改名したらどうだと、あの試合で思ったり(泣

スンマソン。まだ続き書く時間が取れないんすが、一度あげときやす。
>>433
「シンデレラボーイ」の肩書き(?)を思い出した。

あ・・・そういえば(^^; これ思いついたのは神宮の河内の行動から。
それと98年組すごいなと思ってね。広池見たいな、そろそろ・・・。
439:01/09/20 23:12 ID:F6AuHe9o
ありゃ、書いてるうちに一度あがっていた(^^;
44064:01/09/21 01:42 ID:WMGEUMtY
今日中継を見ていて、東出にケチつける大下の解説を聞いて
ふと考えたネタをあぷさせていただきやす。。。
原作に忠実に書いてるんでおもしろくないかもしれない…スマソ
まだ途中なんで一夜でちょっとずつ書き込みます(w
本当はヤングの方をあげたいんだけど、キリがよくないので逃げ。
(ネタづまりをおこしております)

>助清さん
今月号のアスリートp38に助さんがホームページに書いていたような
岡上と(・ ε ・)の写真が載っているんですが、こんな感じだったんでしょか?
((・ ε ・)がヤクルツの守備を見ていて岡上困惑…というやつ)
暇があったら是非見てくだされ
441走れ輝裕:01/09/21 01:47 ID:WMGEUMtY
輝裕は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の鬼軍曹大下を除かねばならぬと決意した。
輝裕には首脳陣の考えはわからぬ。輝裕は、ただの野球選手である。ゴロを取り、
ヒットを打って暮らして来た。けれどもエラーに対しては、人一倍に敏感であった。
きょう未明輝裕は広島を出発し、野を越え山越え、遠く離れた日南の街にやって来た。
輝裕には父も、母も無い。女房も無い。最悪な兄と二人暮しだ。この兄は、
西宮の或る浪費家の娘を、近々、花嫁として迎える事になっていた。
輝裕は、それゆえ、花嫁の衣装やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる日南まで
やって来たのだ。先ず、その品々を買い集め、それから商店街をぶらぶら歩いた。
輝裕には竹馬の友があった。貴浩である。今はこの日南の街で休みになると必ず
パチンコをしている。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。
久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。
歩いていくうちに輝裕は、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。もう既に
日も落ちて、まちの暗いのは当たりまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかり
では無く、市全体が、やけに寂しい。のんきな輝裕も、だんだん不安になって来た。
路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、半年まえにこの街に来たときは、
夜でも皆がバットを振って、かけ声でまちは賑やかであった筈だが、と質問した。
若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いてしゃくれ顎の老爺(ろうや)に逢い、
こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。輝裕は両手で老爺の
からだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる声で、わずか答えた。
「鬼軍曹ハ、人ヲ殺シマス」
「なぜ殺すのだ」
「練習ガナットラン、トイウノデスガ、誰モソンナ、手ヲ抜イテハオリマセヌ」
「たくさんの人を殺したのか」
「ハイ、ハジメハ俊足ノ福地ヲ。ソレカラ、元新人王ノ山内ヲ。
ソレカラ、期待ノ2年目、ウ兵動ヲ。ソレカラ、前田2世朝山ヲ。
ソレカラ、眼鏡捕手タムケイヲ。ソレカラ、ベテラン野村謙二郎ヲ」
「おどろいた。鬼軍曹は乱心か」
「イイエ、乱心デハゴザイマセヌ。若造ヲ、信ズル事ガ出来ヌ、トイウノデス。
コノゴロハ、他のコーチ陣ノ心ヲモ、オ疑イニナリ、少シデモ走リ込ミヲ行ッテイナイ者ニハ、
罰金10万ズツ差シ出スコトヲ命ジテ居リマス。御命令ヲ拒メバ日南カラ送リカエサレテ、
殺サレマス。キョウハ、六人殺サレマシタ」
442走れ輝裕2:01/09/21 01:51 ID:WMGEUMtY
聞いて、輝裕は激怒した。「呆れた鬼軍曹だ、生かして置けぬ」
輝裕は、単純な男であった。買い物を、背負ったままで、のそのそ天福球場に
はいって行った。たちまち彼は、黄色と青い服を身にまとったアルバイターに
捕捉された。輝裕は、鬼軍曹の前に引き出された。
「このバットで何をするつもりであったか、言え!」鬼軍曹大下は静かに、
けれども威厳を以(もっ)て問いつめた。その鬼軍曹の顔は蒼白で、
眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。
「選手を鬼軍曹の手から救うのだ」と輝裕は悪びれずに答えた。
「おまえがか?」鬼軍曹は、憫笑した。
「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの苦労がわからぬ」
「言うな!」と輝裕はいきり立って反駁した。
「人の野球センスを疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。
 鬼軍曹は、選手の信頼さえ疑って居られる」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。
 選手の信頼は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。
 信じては、ならぬ」鬼軍曹は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。
「わしだって、平和を望んでいるのだが」
「なんの為の平和だ。自分の地位を守る為か」今度は輝裕が嘲笑した。
「罪の無い選手を殺して、何が平和だ」
「だまれ、下賎の者」鬼軍曹は、さっと顔を挙げて報いた。
「口では、どんな清らかな事でも言える。
 わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。
 おまえだって、いまに、捻挫を悪化させて三軍行きを命ぜられてから、
 泣いて一軍残留を乞いたって聞かぬぞ」
「ああ、鬼軍曹は悧巧(りこう)だ。自惚れているがよい。
 私は、ちゃんと三軍でケガを治す覚悟でいるのに。
 一軍残留など望んでいない。ただ、―――」
と言いかけて、輝裕は足もとに視線を落し瞬時にためらい、
「ただ、私に情をかけたいつもりなら、一軍から外す前に十日間の日限を与えて下さい。
 たった一人の兄に、女房を持たせてやりたいのです。十日のうちに、
 私は安芸で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰ってきます」
443走れ輝裕3:01/09/21 01:54 ID:WMGEUMtY
「ばかな」と鬼軍曹は、しわがれた声で低く笑った。
「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか」
「そうです。帰って来るのです」輝裕は必死で言い張った。
「私は約束を守ります。私を十日間だけ許して下さい。
 兄が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないのならば、
 よろしい、この日南に貴浩という守備の下手な男がおります。
 私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。
 私が逃げてしまって、十日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、
 あの友人に千本ノックを行ってください。たのむ。そうして下さい」
それを聞いて王は、残虐な気持ちで、そっとほくそえんだ。生意気なことを
言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、
放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、十日目にノック攻めに処してやるのだ。
世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。
「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがいい。十日目には日没までに帰って来い。
 おくれたら、その身代りに、千本ノックをしてやるぞ。ちょっとおくれて来るがいい。
 おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ」
「なに、何をおっしゃる」
「はは。一軍残留が大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ」
輝裕は口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなった。
竹馬の友、貴浩は、深夜、日南簡易保険保養センターにある鬼軍曹の部屋に
召された。鬼軍曹大下の目の前で、佳き友と佳き友は2ヶ月ぶりで相逢うた。
輝裕は、友に一切の事情を語った。貴浩は無言で首肯(うなず)き、輝裕をひしと
抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。貴浩は、縄打たれた。
輝裕は、すぐに出発した。早春、満点の星である。
444走れ輝裕3(改訂版):01/09/21 01:56 ID:WMGEUMtY
443は原作をそのままにしてある所があったので、訂正します。すんまそ…。

「ばかな」と鬼軍曹は、しわがれた声で低く笑った。
「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか」
「そうです。帰って来るのです」輝裕は必死で言い張った。
「私は約束を守ります。私を十日間だけ許して下さい。
 兄が、私の帰りを待っているのだ。そんなに私を信じられないのならば、
 よろしい、この日南に貴浩という守備の下手な男がおります。
 私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。
 私が逃げてしまって、十日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、
 あの友人に千本ノックを行ってください。たのむ。そうして下さい」
それを聞いて鬼軍曹は、残虐な気持ちで、そっとほくそえんだ。生意気なことを
言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、
放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、十日目にノック攻めに処してやるのだ。
世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。
「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがいい。十日目には日没までに帰って来い。
 おくれたら、その身代りに、千本ノックをしてやるぞ。ちょっとおくれて来るがいい。
 おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ」
「なに、何をおっしゃる」
「はは。一軍残留が大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ」
輝裕は口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなった。
竹馬の友、貴浩は、深夜、日南簡易保険保養センターにある鬼軍曹の部屋に
召された。鬼軍曹大下の目の前で、佳き友と佳き友は2ヶ月ぶりで相逢うた。
輝裕は、友に一切の事情を語った。貴浩は無言で首肯(うなず)き、輝裕をひしと
抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。貴浩は、縄打たれた。
輝裕は、すぐに出発した。早春、満点の星である。
445(・ ε ・):01/09/21 02:16 ID:9fqfGQN.
最初なんだか分からなかったけど、「走れメロス」なんですな(w

お鏡、「負けては無いと・・・(言いにくそうに)」がワラタ(w
エエライバルになってくれ
446走れ輝裕4:01/09/21 02:27 ID:WMGEUMtY
輝裕はその夜から、一睡もせず急ぎに急いで、安芸に到着したのは、四日目の
午前、陽は既に高く昇って、村人たちはグラウンドに出てダッシュをはじめていた。
輝裕の最悪の兄も、きょうは臭太のかわりにセカンドの番をしていた。よろめいて
蟹を袋から落とす弟の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく弟に
質問を浴びせた。
「なんでも無い」輝裕は無理に笑おうと努めた。
「日南に用事を残してきた。またすぐ日南に行かなければいけない。
 明日、兄ちゃんの結婚式を挙げる。早いほうがいいだろ?」
兄は頬をあからめた。
「うれしいの?嫁の綺麗な衣装も買ってきたよ。さあ、これから行って、
 虎の人たちに知らせてきなよ。結婚式は、明日だと」
輝裕は、また、よろよろと歩き出し、兄の宿舎に戻って神々の祭壇を飾り、祝宴の
席を整え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。
目が覚めたのは夜だった。輝裕は起きてすぐ、花嫁のいるホテルを訪れた。
そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。浪費家の花嫁は
驚き、それはいけない、あんたの兄(つまりはこの娘の旦那になるのだが)は最悪で
将来の稼ぎもあやしいからネイルサロンでもオープンしようと思っているのに、未だ
その準備さえ出来ていない、最下位マジックが点灯しそうな時期まで待って頂戴、
そしたら試合に出ることも多くなるかもしれないから、私もちょっとは目立つじゃない、
と答えた。輝裕は、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。
浪費家の花嫁も頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、
やっと、どうにか花嫁をなだめ、すかして、説き伏せた。
結婚式は真昼に行われた。新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、
ぽつりぽつり雨が振り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。祝宴に列席していた
虎の人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引きたて、狭い宿舎の
中で、むんむん蒸し暑いのもこらえ、陽気に六甲颪を歌い、手を拍った。輝裕も、満面に
喜色を湛え、しばらくは、鬼軍曹とのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は、夜に入って
いよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。
輝裕は、一生このままここにいたい、と思った。この佳い人たちと生涯勝負していきたいと
願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。輝裕は、
わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。5日後の日没までには、まだ十分の時が在る。
自分は4日かけてここに来た。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。
その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの宿舎に愚図愚図とどまっていたかった。

>>445
早速元ネタがバレてしもうた(w
岡上のその台詞はヤパーリ笑いを誘いますな。
447(; ε ;):01/09/21 02:35 ID:9fqfGQN.
あ、ごめんちゃい まだ続いてたのねぇ〜
岡上の本音
「東出と二遊間を組みたい」
『もちろんショートは俺』
448走れ輝裕5:01/09/21 02:54 ID:WMGEUMtY
輝裕ほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。
今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花婿に近寄り、
「兄ちゃんおめでとう。僕は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。
目が覚めたら、すぐに日南に出かける。大切な用事があるんだ。僕がいなくても、
もう兄ちゃんには優しい女房がいるんだから、決して寂しい事は無い。ここにいる
貴方の弟の、一番きらいなものは、2アウトからのエラーと、それから、チャンスでの
併殺打だ。兄ちゃんも、それは、知っているね。実況のアナウンサーや解説に、
『最悪〜最悪イマオカ〜』と叫ばせてはならないよ。兄ちゃんに言いたいのは、
それだけだよ。貴方の弟は、たぶんカープのショートに名を連ねることになる男
なのだから、兄ちゃんも虎のドラフト1位の誇りを持っていてね」
花婿でもある兄は、夢見心地で「モナ」と首肯いた。輝裕は、それから花嫁の肩を叩いて、
「仕度の無いのはお互いさまだよ。僕の家にも、宝といっては、ここにいる兄ちゃんと
この世界に入った時から使っている一つのグラブだけだ。他には、何も無い。
全部あげよう。もう一つ、この輝裕のお姉さんになったことを誇りに思ってください」
花嫁は「そんなのよりお金がほしいの」とでも言いたげな目つきで、見つめていた。
輝裕は「やっぱヤな女」と思いながらも愛想笑いで虎の人たちにも会釈して、
宴席から立ち去り、宿舎のロビーのソファで、死んだように深く眠った。
眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。輝裕は跳ね起き、南無三、寝過したか、
いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには
十分間に合う。十日目には是非とも、あの鬼軍曹に、人の信実の存するところを
見せてやろう。そうして笑って天福球場のグラウンドに立ってやる。輝裕は、悠々と
身支度を始めた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身支度は出来た。
さて、輝裕は、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。

>>447
気にしないでくれ〜、ユクーリあぷしてるんで
岡上、「二遊間組みたい」発言にはそんな思いがこめられてたのかよ(w
449走れ輝裕6:01/09/21 04:18 ID:WMGEUMtY
私は、あと4日で一軍から落とされる。落とされる為に走るのだ。身代りの友を救う
為に走るのだ。鬼軍曹の奸佞邪智(かんねいじゃち)を打ち破る為に走るのだ。
走らなければならぬ。そうして、私は落とされる。若くてもケガだけは治しておけ。
後で癖になるぞ。さらば、安芸。兄ちゃん。もしかしたらウエスタンの試合で逢える
かもしれないけど、やっぱり1軍の試合で逢いたいね。若い輝裕は、つらかった。
幾度か、立ちどまりそうになった。えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。
橋を渡り、野を横切り、森をくぐりぬけ、大分に着いた頃には、雨も止み、そろそろ
疲労の色も濃くなってきた。輝裕は額の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、
もはや安芸への未練は無い。兄たちはきっと佳い夫婦になるだろう。私には、いま、
なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐに天福球場に行き着けば、それでよいのだ。
そんなに急ぐ必要もない。ゆっくり歩こう、と持ち前の呑気さを取り返し、密かに
お気に入りの自分の応援歌をいい声で歌いだした。ぶらぶら歩いてしばらく行き、
宮崎との県境に到達した頃、振って湧いた災難、輝裕の足は、はたと、とまった。
見よ、前方の川を。ここ最近の豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流とうとうと下流に
集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる濁流が、木端微塵に橋桁を
跳ね飛ばしていた。彼は茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声を
限りに呼びたててみたが、繁舟は残らず浪に浚(さら)われて影なく、漁師の姿も
見えない。流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。輝裕は川岸に
うずくまり、男泣きに泣きながら天に手を上げて哀願した。
「ああ、鎮めたまえ、荒れ狂う流れを!時は刻々に過ぎて行きます。
 残りもあと2日足らずです。それまでに天福球場に行き着くことが出来なかったら、
 あの佳い友達が、私のために千本ノックを受けるのです」
濁流は、輝裕の叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、
捲き、煽り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。今は輝裕も覚悟した。泳ぎ切る
より他に無い。このくらい冬の日本海だと考えるのだ!若狭湾で鍛えた泳力が
今こそものをいうのだ。ああ、神々も照覧あれ!濁流にも負けぬ友情と誠の偉大な
力を、いまこそ発揮して見せる。輝裕は、ざんぶと流れに飛び込み、市民球場で
ふいにイレギュラーして自分に襲い掛かるボールのようにのたうち荒れ狂う浪を
相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる
流れを、なんのこれしきと掻きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の
姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐憫を垂れてくれた。押し流されつつも、見事、
対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。輝裕は馬のように
大きな胴震いを一つして、すぐにまた先を急いだ。一刻といえども、むだには出来ない。
陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、
ほっとした時、突然、目の前に3人の男が現れた。

もうこんな時間かよ…。400だったので一旦age
450走れ輝裕7:01/09/21 05:05 ID:WMGEUMtY
「待て」
「何をするのだ。私は早く天福球場まで行かなければならぬ。放せ」
「どっこい放さぬ」
「ちょっと松藤さん」
「なんだ?」
「どっこいはTSSの神田さんの決め台詞ですよ。
 さすがにパクリはいかんのと違いますか?」
「うるさい渡辺!お前先輩にクチ出してる暇あったらベンチリポートの
 練習でもしておけ!下手糞!」
「酷いなぁ…今年コーチになっていなくなったからいいものの、大下さんが
 解説の時、先輩ったら大下さんの言葉を真似るだけだったじゃないっすか」
3人のうち、一番若い男と眼鏡をかけたいかにも気の小さそうな男が小競り合いを始めた。
もう一人はマターリした笑顔で輝裕を見つめている。
「あの、もしかして、広島のテレビ局の関係者ですか?」
小競り合いをしていた2人はビクッとして輝裕を見つめる。
「どうしてわかった?」
「どうしても何も、解説とかベンチリポートとか言ってたら…」
「バレたなら仕方ない。これから色々世話になるが、
 今回ばかりはここで足止めをくってもらおう」
「なんで…さては、鬼軍曹の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな」
「一応そうなんだけどさ、君に2軍や3軍にいかれたら困るわけよ。
 君、二岡のかわりといえども一応今年のドラ1なんだし、
 カープDON!のインタビューとりにいったら安芸にいったって大下さんに言われるしさ…
 ん、東出君聞いてる?」
輝裕の様子がおかしいことに若い男が気付いた。輝裕は小刻みに震えていた。
そして顔をあげると近くにあった木の枝をその俊敏な動きで取り、すぐさま
若い男と眼鏡の男に襲い掛かった。
「二岡のかわりっていうなあああああああああ」
そう、輝裕には入団当初からこの一言がつきまとっていた。正直、もう聞きたくない。
うんざりしていた。いつしか「二岡」という言葉に過剰反応を示すようになっていた。
輝裕はあっという間に二人を枝で殴り倒す。
451走れ輝裕8:01/09/21 05:10 ID:WMGEUMtY
「ほー。これだけの運動神経があれば、早いうちから1軍で活躍しそうですね」
ふと輝裕は我に返った。マターリ笑顔のその男は輝裕に近づき、1枚の名刺を取り出した。
「どうも、広島ホームテレビでアナウンサーをやっております井村と申します。
 この度はうちの松藤と渡辺が迷惑をかけてしまって…」
といって井村と名乗る男はチラリと倒れている男たちを見やる。
「いや、ね。東出君がドラ1ということでうちでやってる『カープDON!』という番組の
 インタビューを撮りにいったんですが、大下さんに君の足止めをするように言われましてね。
 あの人はうちの専属解説者だったから」
はっはっは、と笑って汗を拭く。どうやら悪い人間ではなさそうだ。
「ま、私はそのようなことをする気は全く無いので、早くおいきなさい」
そう言って「しっしっ」と輝裕を追いやる手振りを見せる。
「あなたは…」
「いやね、私もあんな愚痴っぽい解説の相手をするより、ニュースを読んでいたほうが
 よっぽど気が楽ですから」
輝裕は笑顔で手を振る井村に一礼するとさっさと走って峠を下った。
一気に峠を駆け下りたが、先程の戦闘で足の捻挫を悪化させてしまったらしい、
痛みと熱が自分の足を襲い、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩
あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上がることが出来ぬのだ。
天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。

今日中に終わらせたかったんですが、もうだめです。続きは明日…。
452 :01/09/21 07:32 ID:hkmK2jpY
>助さん よくよく考えると姉妹&母は98年ですね。気付かなかった(^^;
酒井たん・矢野たんが出てたし、98年組はなんだか豊作のヨカーン。
広池も、井生もがんがってほしいですね。

>64さん 新作ラッシュで嬉しいです。なんだかんだと大下さんは
(・ ε ・)好きみたいな気がしますが。
粗いさんには、100本ノック受けさせたい!(w
(・ ε ・)が間に合っても、( ̄粗 ̄)1000本ノック受けろ!(w
453代打名無し@ス:01/09/21 08:35 ID:cBeAD5OU
>「二岡のかわりっていうなあああああああああ」

ワラタよ(w
454(‘ ε ’) :01/09/21 12:31 ID:eCGk6vS6
梨恵タンと一緒に夫婦で友情出演モナ。うれしいモナ
続き楽しみにしてるモナ>走れ輝裕
455 :01/09/21 14:56 ID:VNcV08RM
どっちかってゆうともはや二岡よりお鏡やらの方が
気になるんじゃあ?(w>(・ ε ・)
456走れ輝裕9:01/09/21 19:25 ID:yNSd/8kY
ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、アナウンサーを二人も撃ち倒し韋駄天、ここまで
突破して来た輝裕よ。真の勇者、輝裕よ。今、ここで、動けなくなるとは情けない。
愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがてノックを受けなければならぬ。
あの守備下手な貴浩のこと、どうせろくすっぽボールを取れずに
「気合が足りん」と言われ日南から送り返され殺されるのがオチだ。
それではまさしく鬼軍曹の思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎えて、
もはや芋虫などにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。
身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな
不貞腐れた根性が、心の隅に巣食った。私は、これほど努力したのだ。
動けなくなるまで走ってきたのだ。貴浩だってあれだけ守備がだめなんだから、
少しくらいノックを受けたほうがいいのかもしれない。
―――けれども私は、この大事な時に精も根も尽きたのだ。私は、よくよく不幸な男だ。
私は、きっと笑われる。私の兄も、笑われる。私は友を欺いた。中途で倒れるのは、
はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った
運命なのかもしれない。貴浩よ、許してくれ。君は、いつでも私を信じた。
…いつでもは言いすぎか。たぶん、くらいにしておこう。
私も君を、からかいはしたけど欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。
いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。いまだって、
君は私を無心に待っているだろう。そりゃそうだ、鬼軍曹の千本ノックだなんて、
自分だってご免被りたい。ああ、待っているだろう。ありがとう、貴浩。よくも私を信じてくれた。
それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。
貴浩、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、みじんも無かった。信じてくれ!
私は急ぎに急いでここまで来たのだ。濁流を突破した。アナウンサーの囲みからも、
するりと抜けて一気に峠を駆け降りて来たのだ。私だから、出来たのだよ。
457走れ輝裕10:01/09/21 19:29 ID:yNSd/8kY
ああ、この上、私に望み給うな。放って置いてくれ。どうでも、いいのだ。私は負けたのだ。
だらしが無い。笑ってくれ。鬼軍曹は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、
貴浩に千本ノックをさせて、私を一軍に残留させると約束した。私は鬼軍曹の卑劣を憎んだ。
けれども、今になってみると、私は鬼軍曹の言うままになっている。私は、おくれて行くだろう。
鬼軍曹は、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を一軍に残すだろう。そうなったら、
私は死ぬよりつらい。私は、永遠に裏切者だ。地上で最も、不名誉の人種だ。貴浩よ、
私も一緒に千本ノックを受けるぞ。君と一緒にノックを受けさせてくれ。君だけは私を信じてくれるに
違いない。いや、それも私の、ひとりよがりか?ああ、もういっそ、期待の身代りドラフト1位として
エリートの道を歩んでやろうか。市民球場には私のポジションがある。ファンもいる。貴浩は、
まさか私をショートの座から追いやるようなことはしないだろう。あいつをショートに置いてみろ、
投手はストレスで胃潰瘍を起こし次々と戦線離脱、虎と変わって最下位転落もまぬがれない。
投手の絶対数が不足して、私さえ投手をやらされるかもしれない。正義だの、信実だの、愛だの、
考えてみれば、くだらない。ライバルを蹴散らして自分が活躍する。それがプロ野球界の
定法ではなかったか。ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者だ。どうとも、
勝手にするがよい。やんぬる哉。
―――四肢を投げ出して、一晩、眠り込んでしまった。

ふと耳に、潺々(せんせん)、水の流れる音が聞こえた。そっと頭をもたげ、息を呑んで
耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。よろよろ起き上がって、見ると、
岩の裂目からこんこんと、何か小さく囁きながら清水が湧き出ているのである。
その泉に吸い込まれるように輝裕は身をかがめた。水を両手で掬って、一くち飲んだ。
ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。
輝裕はその清水でしばらく熱を帯びた足を冷やした。
458走れ輝裕11:01/09/21 19:32 ID:yNSd/8kY
どれくらいたっただろう。歩ける。行こう。足を含め肉体の疲労回復と共に、
わずかながら希望が生れた。義務遂行の希望である。わが活躍を捨てて、
名誉を守る希望である。斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃える
ばかりに輝いている。日没までには、まだ間がある。私を、待っている人が
あるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、
信じられている。私の高卒ルーキー開幕一軍登録という名誉なぞは、
問題でない。ウエスタンでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。
私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ!輝裕。
私は信頼されている。私は信頼されている。先刻の、あの悪魔の囁きは、
あれは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。五臓が疲れているときは、ふいと
あんな悪い夢を見るものだ。輝裕、おまえの恥ではない。やはり、おまえは
真の勇者だ。再び立って走れるようになったんではないか。ありがたい!
私は、正義の士として3軍に行くことが出来るぞ。ああ、陽が沈む。ずんずん
沈む。待ってくれ…私は生れた時から正直な男であった。正直な男のままに
して大野に送り返させてください。
路行く人を押しのけ、跳ねとばし、輝裕は黒い風のように走った。宮崎市営球場で
収録中の「ザ・サンデー」の、徳光と江川のまっただ中を駆け抜け、徳光と江川を
仰天させ、元木を蹴とばし、上原を投げたボールを飛び越え、少しずつ沈んでいく
太陽の、十倍も早く走った。一団の巨人ファンとすれちがった瞬間、不吉な会話を
小耳にはさんだ。
「日南では、カープの選手が、胃から汗を流しているよ」
ああ、その選手、貴浩を含めその選手のために私は、いまこんなに走っているのだ。
その選手たちを死なせてはならない。急げ、輝裕。おくれてはならぬ。愛と誠の力を、
いまこそ知らせてやるがよい。呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。
見える。はるか向うに小さく、油津駅が見える。
油津駅にかかる手書きの「がんばれ、カープ!」の横断幕は、夕陽を受けて
きらきら光っている。
459走れ輝裕12:01/09/21 19:35 ID:yNSd/8kY
「あの…そこの新人さん」やもすると聞き過ごしてしまうようなか弱い声が、
風と共に聞こえた。
「誰ですか?」輝裕は走りながら尋ねた。
「数年前子持ちルーキーとして話題を集めた高橋建です。
 泣き虫ノーコンサウスポーなんだけど…」
その年の割に若く見える選手も、輝裕の後について走りながら小声で囁いた。
「もう、駄目だと思うよ…無駄だと思うんだ…走るのは、やめようよ…
 もう、新井君を助けることは出来ないよ」
「いや、まだ陽は沈まぬ」
「ちょうど今、鬼軍曹が籠に入ったボールを運ぶところだよ…
 ああ、東出君は遅かった…せっかくの大型新人をダメにするなんて、
 いくら期待のドラ1でも、うらんじゃうんだからネ…グスン…
 ただでさえ僕が投げるとみんな打ってくれないのに。
 ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」
「いや、まだ陽は沈まぬ」
輝裕は胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。
走るより他は無い。
「もうやめようよ、走るのはやめよう…いまは自分の1軍残留の方が大切だよ。
 ただでさえ穴ばかりの内野陣なんだから、もう僕ら投手陣も
 君ら新人に期待するしかないんだ…。
 一つ言うなら、新井君は東出君を信じていたよ…天福球場のバッターボックスに
 引き出されても、平気でいたよ。大下コーチが、さんざん新井君をからかっても、
 東出は来ます、とだけ答えて、強い信念をもちつづけている様子だったよ」
「それだから、走るのだ。信じられているから、走るのだ。間に合う、間に合わぬは
 問題ではないのだ。貴浩の守備位置も問題ではないのだ。私は、なんだか、
 もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついてきてください!建さん!」
「ああ、東出君も前田さんみたいに変わった所があるんだね…
 じゃあ、うんと走ったほうがいいよ。
 ひょっとしたら、間に合わないもんじゃないし、天福球場すぐそこだし。
 頑張ってね…」
言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、輝裕は走った。輝裕の頭は、
からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。
陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、
輝裕は疾風の如く天福球場に入った。間に合った。
460走れ輝裕13:01/09/21 19:37 ID:yNSd/8kY
「待て。ノックを始めてはならぬ。東出輝裕が帰って来た。
 約束のとおり、いま、帰って来た」
と大声で市民球場の選手・首脳陣・キャンプを見に来ている野球解説者に
むかって叫んだつもりであったが、喉がつぶれてしわがれた声が幽かに
出たばかり、球場にいる人々はひとりとして彼の到着に気がつかない。
すでにバットを持った鬼軍曹はバッターボックスに立ち、グラブをはめた貴浩は、
徐々にサードベースに向かっていく。輝裕はそれを目撃して最後の勇、1,2日前
濁流を泳いだように用具を片付けるアルバイターを掻きわけ、掻きわけ、
「私だ、鬼軍曹!1軍から落とされるのは、私だ。
 貴浩を人質にした私は、ここにいる!」
とかすれた声で精一杯に叫びながら、ついにグラウンドに足を踏み入れ、
サードに向かう友の両足に、かじりついた。選手たちは、どよめいた。
あっぱれ、ノック免除だ、と口々にわめいた。貴浩のグラブは、外されたのである。
「貴浩」輝裕は眼に涙を浮べて言った。
「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。
 君が若し私を殴ってくれなかったら、私は君と共にプレーする資格さえないのだ。殴れ」
貴浩は、すべてを察した様子で首肯き、球場一ぱいに鳴り響くほど音高く輝裕の右頬を殴った。
殴ってから優しく微笑み、
「輝裕、俺を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。
 俺はこの十日間、たった一度だけ、ちらと輝裕を疑った。
 生れて、はじめて君を疑った。君が俺を殴ってくれなければ、
 俺は君と三遊間を守れない」
輝裕は腕に唸りをつけて貴浩の頬を殴った。
「ありがとう、友よ」
二人同時に言い、ひしと握手を交わし、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
461走れ輝裕13(改訂版):01/09/21 19:39 ID:yNSd/8kY
市民球場でキャンプやるはずないよ…鬱鬱鬱

「待て。ノックを始めてはならぬ。東出輝裕が帰って来た。
 約束のとおり、いま、帰って来た」
と大声で天福球場の選手・首脳陣・キャンプを見に来ている野球解説者に
むかって叫んだつもりであったが、喉がつぶれてしわがれた声が幽かに
出たばかり、球場にいる人々はひとりとして彼の到着に気がつかない。
すでにバットを持った鬼軍曹はバッターボックスに立ち、グラブをはめた貴浩は、
徐々にサードベースに向かっていく。輝裕はそれを目撃して最後の勇、1,2日前
濁流を泳いだように用具を片付けるアルバイターを掻きわけ、掻きわけ、
「私だ、鬼軍曹!1軍から落とされるのは、私だ。
 貴浩を人質にした私は、ここにいる!」
とかすれた声で精一杯に叫びながら、ついにグラウンドに足を踏み入れ、
サードに向かう友の両足に、かじりついた。選手たちは、どよめいた。
あっぱれ、ノック免除だ、と口々にわめいた。貴浩のグラブは、外されたのである。
「貴浩」輝裕は眼に涙を浮べて言った。
「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。
 君が若し私を殴ってくれなかったら、私は君と共にプレーする資格さえないのだ。殴れ」
貴浩は、すべてを察した様子で首肯き、球場一ぱいに鳴り響くほど音高く輝裕の右頬を殴った。
殴ってから優しく微笑み、
「輝裕、俺を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。
 俺はこの十日間、たった一度だけ、ちらと輝裕を疑った。
 生れて、はじめて君を疑った。君が俺を殴ってくれなければ、
 俺は君と三遊間を守れない」
輝裕は腕に唸りをつけて貴浩の頬を殴った。
「ありがとう、友よ」
二人同時に言い、ひしと握手を交わし、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。
462走れ輝裕14:01/09/21 19:41 ID:yNSd/8kY
選手や首脳陣、解説者の中からも、戯欷(きよき)の声が聞えた。
鬼軍曹大下は、バッターボックスから二人の様を、まじまじと見つめていたが、
やがて静かに二人に近づき、いつもの薀蓄たれるような不機嫌そうな顔で、こう言った。
「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったんじゃ。
 信実とは、決して空虚な妄想ではなかったんじゃのう。
 仕方ない、選手を広島に送り返すのは、やめじゃ。
 そして明日の練習は急ではあるが休みにしてやる。
 わしらもいい加減休みたいんじゃ。のう、達川よ」
選手の輪から不安げに見つめていた達川監督(普通監督はコーチより偉いはずだが、
鬼軍曹には頭が上がらなかった)は首肯く。どっと選手の間に、歓声が起こった。
「万歳、鬼軍曹万歳」
一人の優しそうなおじさんが、テープを輝裕に捧げた。輝裕は、まごついた。
佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「輝裕、君の足は、はれてるじゃないか。早くその足をテーピングするがいい。
 福永トレーナーは、選手のケガを、そのままにしておくのが、たまらなく口惜しいのだ」
輝裕は、予想以上にはれている自分の足に始めて気付いて、卒倒してしまった。
張り詰めていた糸がプツンときれてしまったようで、それから数日眠りこけてしまったのであった。

十日間走りつづけた輝裕は真っ黒に日焼けし、もう白く戻ることはない。
この時の輝裕は、ファンの間で「チビ黒」と揶揄されることになるのを未だ知らずにいたのであった。(終
46364:01/09/21 19:48 ID:yNSd/8kY
途中で改訂版を2度もはさむマヌケをやってしまいましたが、
なんとか終了。元ネタは深夜出たけど「走れメロス」です。

>>455
とりあえず設定を99年春季キャンプにしてあるので、二岡を
使ってみました。あの時のことは「胃から汗が出る」や「休日なし」
くらいしか覚えてなくて、当時のことではない事実も混ざってるけど(w
(シャクレ顎の老爺はこの時はダイエーに飛ばされてたはずだし、
建が投げると点を取ってもらえなかったのはペナント入ってのことだった…懐)
46464:01/09/21 20:06 ID:yNSd/8kY
見直したら間違いがある(鬱
ヤパーリ深夜に頭を使うのは間違いだ…
4の2行目、「村人たち」は元ネタそのままなので、「虎の人たち」がいいっす。
11 ×上原を投げた→○上原の投げた
465代打名無し:01/09/22 12:13 ID:SpbIYrTI
>>464
ワロタYO!
466代打名無し:01/09/22 21:52 ID:4QSijo.c
保全age
467番外編その7:01/09/23 02:54 ID:NTrf45KQ
番外編1〜6は>>389-394

「アナタ、ソコデ何ヤッテマスカ?」
突然後ろから声をかけられ、貴浩は驚いて振り返った。そこには、ヤングと
呼ばれている背の低い方の外人がいた。手には毎日の興行で親しくなった
小作農からもらったのであろうか、少しばかりの野菜が握られていた。
「いや…ちょっとうちの弟が手品のタネが知りたいなぁ、なんて言ってるから…」
貴浩はしどろもどろな返事を返す。ヤングはちょっとムッとした顔をして、
「ノー。ソレヲ教エルト僕ラノビジネス…仕事ガ成リ立タタナクナル。
 泊メテモラッテル事ヘノ感謝ハ忘レテイナイガ、ソレダケハ出来ナイネ」
「ん…わかったよ、こちらこそごめんよ。
 じゃあ今度君らの手品を見せてもらってもいいかい?」
「ソレハ全然大丈夫ネ。毎日同ジ場所デヤッテル。来ルトイイヨ」
そう言うと、ヤングは納屋の中へ入っていった。納屋ではラドが疲れたのか、
うつらうつらしている。
「ヘイ、起キロ、エリック」
その一言でヤングに気づいたラドはすぐ顔を上げる。
「気ヲツケロ、ココノ坊主ノ弟子ノ様子ガ怪シイ。何カ勘付カレタノカモシレナイ…
 早々ニ仕事シテ逃ゲタ方ガ良サソウダ」
ラドの表情が曇る。ヤングはそれに気づいたのか、冷たく言い放つ。
「不満ガアッタライツデモ別レテヤルゼ、コンナ『手品』程度デ
 食ッテイケル自信ガアルナラナ」
「スマナイ…」
「マァイイ。シカシ、シケタ村ダナ。盗ミニ入レソウナ家ナンカホトンドナイ。
 コンナ山寺ガ一番マシダナンテナ」
やってられない、と言わんばかりの表情のヤングをよそに、ラドはまた荷物の
一つである檻を見ていた。所詮自分も檻の中のヤツと一緒だ。ティムに捕われ、
ここらへんに転がっている道具などともと同じ、ティムに使われるしかない
ちっぽけな存在なんだ。
檻の中の「ヤツ」の眼には、いささか寂しさが帯びている、そんな気がラドはしていた。
468番外編その8:01/09/23 02:57 ID:NTrf45KQ
布団にもぐって貴浩は考えていた。もしかしたら自分の思い過ごしなのかもしれない、と。
勘違いが多いのは生まれもっての性分だった。よく自分の思いとは違った具合に
起こる現実を目の当たりにして、クルクル空回りしていることが多かった。
それでも、気になることは最後までつきつめたい。それで間違っていたら仕方ない。
でも、もし自分の得たい答えと同じものが返ってくるんだったら、そのためには
どんな努力をしても構わない。
実は知憲住職が貴浩を気に入っていた理由の一つにはこういう部分があった。
住職がまだこの道に入って間もない頃はその非力さ故に様々な中傷を受けた。
そもそも知憲住職の場合、貴浩のようにほぼ気まぐれともいえる理由でこの道に
入れられたわけではなく、その道の人に力を見込まれて勧められて入ってきた
のである。それが、入ってきて思った以上に実力がなかったことでまわりの目は
期待から失望にかわっていったのである。まだ若かった知憲住職にはそれが
辛くてたまらなかった。周囲を見返したい。力をつけたい。自分の得たいものが
得られるのならば、どんなことをしても構わない。努力なら惜しまない。
そうしてやや年月はかかったものの、住職は今の地位を築き上げたのである。
そんな住職が同じような気構えをもつ貴浩を気に入るのは無理もないのかも
しれない。若かりし頃の自分と貴浩とを重ね合わせて楽しんでいるだけなのかも
しれないが――。
そんなことは貴浩は知る由もないが、とりあえず貴浩は考えていた。自分の持つ
ありったけの知恵を振り絞って。しかし、なかなかいい案は思い浮かばない。
そして一睡もしないまま、東の空から日が昇ってきたのであった。
469番外編その9:01/09/23 02:59 ID:NTrf45KQ
「貴浩ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
突然響いてきた怒声で境内にいたすずめたちは一斉に飛び立った。声の主は
勿論知憲住職である。
「あの野郎どこ行った…」
午前中はいたはずの貴浩が午後になって姿が見えなくなっている。置き手紙も
何もなく、ただ忽然と姿が消えた。逃げたのか?…いや、そんなはずはないだろう。
ああ見えて、家族に迷惑をかけるなんてことを決してしない男だ。
「ちっ、昼寝をした隙にいなくなるとはいい度胸だ…」
独り言を呟きながら、知憲住職は不敵な笑みを浮かべた。勿論、貴浩が帰った
時にどのような仕置きをするか、それを考えてつい自然にこぼれた笑みであったのだが。

その頃、空き地に向かう道の真ん中を麦藁帽子に手ぬぐいで顔を隠した一人の
ゴツい男が歩いていた。
「……兄ちゃん?」
ふいに後ろから声をかけられ慌てて後ろを振り向く。
「やっぱり。なんて格好してんのさ?帽子なんかかぶってもここいらでこんなに
 無駄にデカい図体、貴浩兄ちゃんくらいのもんだよ」
「悪かったな、無駄にデカくて」
「ほら、そうやってすぐムキになる。そんなんだから住職にいじめられるんだよ。
 …って、兄ちゃん、こんな所にいていいの?住職は?」
「あーーー、もう!そんなに矢継ぎ早に質問すんな!
 なんだっていいだろ、お前には関係ないよ!」
焦りの表情を浮かべる貴浩を見て輝裕はニヤリと笑う。
「…ふうん、その調子じゃ寺から勝手に抜け出してきたんだね」
「うっ…」
「どこ行くのさ?」
「お前が毎日アブラ売ってるところに一度くらい行こうと思ってな」
「あっそう。じゃあ住職に言いつけようっと。
 貴浩兄ちゃんは仕事さぼって手品なんかを見にきてましたー、って」
「…いいよ、どうせいなくなったことだけで痛い目にあうのはわかってんだからさ」
「いやに素直だね、めずらしい」
「それを覚悟でここに来てるんだからな。
 ま、本当に誰にも言えない理由があるわけよ」
珍しく真面目な表情を浮かべる貴浩を、輝裕は不思議な感じで見つめる。
「さ、お前は今日も手品見に行こうとしてたんだろ?俺も連れてけよ」
470番外編その10:01/09/23 03:01 ID:NTrf45KQ
手品が行われている空き地はいつものように作業の合い間に来る小作農や
夢中になっている子供たちで人垣ができていた。
「俺は後ろで見るからお前は輪の中に入れ。背も低いんだし」
そう言って貴浩は輝裕を前のほうに追いやると、自分は人に隠れるように
一番後ろに陣取る。
そして、2人の外人が、いつものこと、といった感じで手品を始めるのだった。
淡々と進むそれを皆当たり前のように驚き見ている。貴浩は不思議でしょうが
なかった。手品ではなく、その皆の反応が、だ。なんだか画一化されているようで
気持ち悪くもあった。人とはちょっと違った感性を持った貴浩らしい反応だった。
「サア、オ待チカネ。コノ箱ニハ何モ入ッテナイネー」
いつの間にか手品は佳境へと進んでいる。これだ、これを見るためだけに自分は
ここに来たのだ。貴浩は自分の胸が高鳴るのを感じていた。
「ソシテ、ワン・ツー・スリー!」
箱を開けると、人々からわぁっ、と歓声が沸き起こる。

そして貴浩は…笑っていた。なぜか笑みがこぼれてくるのだった。理由はわからない。
滑稽だったからか、自分の思っていたことが間違いじゃなかったという思いからか、
安心感からか―――。それら全てが入り混じったような複雑な、とても複雑な感情を
かかえて、貴浩は笑っていた。
471番外編その11:01/09/23 03:03 ID:NTrf45KQ
「………」
「………」
本堂の真ん中で、知憲住職と貴浩は無言で向かい合って座っていた。住職は
あぐらをかき腕を組み、口を真一文字にむすんでいる。一方の貴浩は両手を
正座した膝の上におき下を向いて黙っている。
「どうしても理由は言えぬと申すか」
沈黙を破ってポツリと住職が口を開く。貴浩はしばらくして神妙な面持ちで顔を
あげた。
「どうしても、ってわけじゃないんです」
「ではどうして申せぬのだ?」
「話そうと思えば話してます。だけど…まだ今は話すことじゃないと自分では思ってるんです。
 だからもうちょっと時間を下さい。あともう少し…」
「………」
貴浩の目は真剣だ。いつもバカばかりやっているが、珍しく真剣である。
「寝る」
もっと問いつめられるかと思った貴浩は突然の一言に耳を疑った。しかし、
住職は立ち上がるとスタスタと自分の部屋へと戻っていった。
「…なんだよ」
一人取り残された貴浩は予想していなかった展開にしばらく座り込んでいた。
仏の前の2本の蝋燭のみが明々と燃える。しかし、それでも今日は堂の様子が
よくわかった。無数の星が輝く夜空に浮かび上がる満月。そのあかりが薄明るく
全てを照らしていた。

どのくらい座っていたのだろうか。蝋燭の灯が、消えた。それを見届けた貴浩は
ゆっくりと腰を上げ、本堂を立ち去った。
472番外編その12:01/09/23 03:07 ID:NTrf45KQ
その時、彼は眠っていた。日々の疲れを癒すため、眠っていた。
突然、体が振動を感じた。すぐ目を覚ます。自分のいるその場所が揺れているのが
すぐわかった。しかし、彼は驚かなかった。ああ、いつもの気まぐれでも出たのかな。
そう、いつもの。しかし、鳥の鳴く声が聞こえない…まだ夜は明けてないわけか。
珍しいな。また知らない土地に行くのか?その割には「仕事」とやらを終えていない
ような気がするが。だいたい自分は今どこにいるんだろう。別に知らなくてもいい
ことだが。養われてる身で言うのもなんだけど、一人のほうが気ままでいいんだよな…。
彼は、あまり物事には驚かないほうだった。起こった事に感情を動かすことは、
若い頃はしょっちゅうであったが、年を重ね、現実の酸いも甘いも見てきた今と
なってはそういうことが馬鹿馬鹿しくも感じられた。自分の置かれた状況で
それなりに生きていくのが楽だった。
―――もっとも自分はそういうことを言える立場のモノではないのだが。
しばらくその振動は続いたが、それも長い時間ではなかった。目の前の闇は
まだ明けない。
休憩でもしてるのか。体力ないな。これも、自分の言えることではないか。
そうだ、ここにいるのだって自分の怪我のせいだった。「あの日」から自分は
三日三晩飛び続けた。それは初めての経験だった。十分な休養で自分の
体がいつも以上に快調だったせいもあったが、今思えばもういい年になった
自分に、そんなことをする体力はないのであった。それなりに休息をはさむ
ことは必要だったのに、自分の体があまりにも動くからつい頑張りすぎて…
わき腹を痛めてしまったのであった。そうして自分は飛ぶことが出来なくなった。
これは致命的であった。しばらくすると、腹が減ってきた。しかし歩くことすら
ままならない。
数日我慢してようやく歩けるようになった時、近くからいい匂いがしてきた。
食べ物!普段は冷静に物事考えるのに、この時ばかりは迂闊であった。
匂いのする方向へ向かって、そうして…捕まったのであった。
怪我が完治してなかったあの時だったら、捕まったほうがよかったのかも
しれなかった。何分食べるものにはそれ程苦労しなかったし、大人しいという
理由だけで意外と大切に扱われた。本当に狙っていたものは、自分みたいな
ヤツじゃなくてもっと小型のヤツだったらしいけど…。
そんなどうでもいい事を考えていると、突然目の前が動き、闇が明けた。
薄ボンヤリした明かりの中、彼はふと懐かしい思いにかられた。
そこにはだだっ広い床の間と、異人風の仏像、以前見たような…。
ふと檻が開けられがっしりした手に体をつかまれる。その人を見て、彼…
名古屋コーチン鶴田は息を飲んだ。そこには、あの貴浩がいた。
鶴田は、鶏の姿でありながら鳥肌がたつのを感じずに入られなかった。
47364:01/09/23 03:12 ID:NTrf45KQ
前回の駄作がスレッドストッパーになってしまったみたいで後悔してます。
またそういうことにならなければいいんだが…。
「巨人軍バトロワ」でもサイドストーリーに興味が行く自分としては
ついサイド的なエピソードのほうに熱がこもってしまう。
もっと本筋をしっかりたてるべきなのは百も承知なんすけど。
ネタづまりと仕事でしばらく出てきませんのでお目汚しもしばらく致しません(w
474代打名無し@ス:01/09/23 03:23 ID:6NNOZKxk
出た出たー!名古屋コーチン鶴田〜(w 待ってました!
偶然ここ開いた時と、64さんがあぷするタイミングがあったよ。

>前回の駄作がスレッドストッパーになってしまったみたいで後悔してます。
それはあまり気にすることはないと思うよ。ウヒョスレ自体レスがそれほど
のびてないし、野球板を訪れるひとが今少ないかも。
だらだらと話を続けてしまってる、おらのほうがいけないんよ(;´Д`)
1回にもう少し長めにあぷして、早く完結まで持ってかないとね。

まだ私事の用事で今日もハマ戦もいけず、続きもかけず・゚・(ノД`)・゚・。
24日はなんとかハマスタいきたいな。
475 :01/09/23 19:58 ID:AyeGJZi6
このスレ好きだから保全age
476代打名無し:01/09/23 23:26 ID:7uX3tsLY
高畠華宵の作品一通り見て J. C. Leyendecker というイラストレーター思い出した。
同時代の画家で写実的でなかなかのハンサムさんであまり女性関係がハデじゃない等々…と共通点が多かったせいかもしれない。
477(; ε ;):01/09/24 08:59 ID:E084hfx6
危ないんで一回age
ボクはsage
478 :01/09/24 20:58 ID:HqBGpAIk
保全age
479 :01/09/24 23:48 ID:HqBGpAIk
もう一度保全ageっと
480代打名無し:01/09/25 02:30 ID:jIdja7Xs
なんとなくあげてみる
481 :01/09/25 03:29 ID:3neeIbQs
age
482(’。’):01/09/25 21:03 ID:bZI4bS.E
・・・ここで泣いていいかい? グスン..
483代打名無し:01/09/25 21:54 ID:CoUAUToQ
>>482
点取った直後に逆転されんなヴォケ
484   :01/09/25 23:45 ID:avn.dFBs
age
485 :01/09/26 14:26 ID:L72HtpsE
hage衣笠
486   :01/09/26 18:26 ID:8e.HAfqU
age
487   :01/09/26 21:46 ID:8e.HAfqU
早めに保全age
488   :01/09/26 22:54 ID:8e.HAfqU
あげっと
489ジャニーズは犯罪者の集まり :01/09/26 22:55 ID:MRuzW./k
ジャニーズは犯罪者の集まり
ヤンキー予備軍 田舎のヤンキーあがり
レイプ犯に 中出し中絶 自転車泥棒 番組中に人を平気で殴るし
横暴な態度をとり人を見下したような人たち 人のネタを平気でパクって偉そうだ
病院で携帯使ってメンバーに報告 病院で携帯使うってマナーも守れない糞
立ちション、中出し、ワキガ、暴行、風俗好き、乱交パーティー、
不倫、泥棒、ドラッグ、ノーパンしゃぶしゃぶ、傘を振り回しファン数人に怪我させる
殺人未遂、大麻取締法違反、証拠隠滅、公務執行妨害、道路交通法違、
深夜番組の「キチガイ」発言「オマンコー」発言、14歳少女へのセクハラ行為、
ラジオで15歳少女に「お母さんに好きな体位を聞いて」発言
仲居がさんまにむかって「あんたそれガイキチだよ!」
NHKで「ちびくろさんぼ」を連発発言、自らの口で謝罪無し
人に色鉛筆を投げつける、外観誘致罪の予備、軽犯罪法、胎児殺人示唆、特許法違反、婚前中だし、不道徳、
公然猥褻、韓国間諜罪、裸体陳列罪、ホテルの非常階段にウンコ&おしっこ、レイプ魔集団




ついでに事務所による事実の握りつぶし、金で解決!
マスゴミは見て見ぬ振り 犯罪者を日本から叩き出せ 
490   :01/09/27 00:22 ID:d/aP85lU
シツコク保全
491   :01/09/27 01:47 ID:d/aP85lU
あげー
492代打名無し@ス:01/09/27 02:03 ID:ESou24eQ
そろそろ続き書かんとまずいよな。やっと私事も一息ついたんで、
これから「広島家の人々」の続き書きやす・・・。

>>440
アスリート見たよ。うーん記憶違いかな?おらが見たのは二人の位置が逆なんだよ。
それにしても(・ ε ・)が笑っている。お鏡たんはどっかビクビクしている(w
思わずプッと吹き出してしもた(爆

>>476
J. C. Leyendeckerも雰囲気似てるっすね。
華宵がハンサムかどうかは、これ見て判断してくらさい。
華宵30歳の写真・・・結局これしか見つからなかったよ。
http://da1567.hoops.ne.jp/kasiou.htm
493広島家の人々78:01/09/27 04:05 ID:ESou24eQ
前回>>406貴浩はズボンの裾を引き上げて、それでも気になった部分の補修と草取りのため、
田んぼの中に入っていった。輝裕と貴哉は、そんな貴浩に一切目もくれず物語の
世界に入りこんでいる。
俺の考えすぎだったか?いつもと変わらぬ、いやそれよりもっと淡々としている
二人の態度にムッと来て、しばらくすると貴浩は二人に向かって叩きつけるように
草を投げ捨てた。
「なに?邪魔するために貴浩兄ちゃんはここに来たの?」
輝裕も負けずに不機嫌な表情で貴浩を見返した。
「お前ら、この大事な時期に田んぼや畑をほっといて、博樹兄さんがどこに行ったか
知らないのか!」
しばらくの間、輝裕は睨みつけていたが、その後プイッと横を向いて「知らないよ!」
とうそぶいた。貴哉は心配そうに何度も貴浩と輝裕を見る。
「貴浩兄さん、これは・・・」
「貴哉兄ィは何もいわなくていいよ!」
輝裕の激しい声で、貴哉の言葉はさえぎられた。
「で、貴浩兄ちゃんはボクに何をいわせたいの。どうすれば納得するっていうの。」
低く冷たく恫喝するような輝裕の言葉に、貴浩は言葉をなくした。
「貴哉兄ィはどれが気に入った?」
さっきとはうってかわった温和な声で、輝裕はあぜ道に積まれた本の山に目をやる。
貴哉は、貴浩を気づかいながら一冊の本を取り出そうとする。
「俺、手伝うよ。貴哉一人じゃ大変だろう?何とか住職を説得してここに来るから。」
貴哉はびっくりして貴浩の方に振り返る。貴浩はコクンと頷く。
「・・・ありがとう、貴浩兄さん。」
輝裕も無言で頷いた。
「ボクはこれがいいな。」
陽気な声で貴哉は「UFO仮面」の内の一冊を取り出した。
「ボクはこれかな・・・。」
輝裕も「チンピラ探偵団」シリーズの一冊を取り出した。そして残りの本を二人で
リアカーに載せていく。
「・・・兵動、キミのことは忘れないよ。」
輝裕はリアカーに載せられた数十冊の本に、親友への感謝と別れの言葉を告げ、
貴哉の引くリアカーを後ろから押していった。
「・・・・・・。」
貴浩は田んぼに足をつっ込んだまま、無言で二人の後ろ姿を見送っていた。
「・・・やっば、馬鹿だな俺・・・。」
年下二人も二人なりに広島家のことをとても気遣っていたのだ。

続きはまた時間が取れたときに・・・(鬱
494   :01/09/27 21:04 ID:d/aP85lU
あげ
495スレとあんま関係ないけどさ。:01/09/27 23:37 ID:aBdkv9Wg
ロッテ(の三人)の選手・・・すごすぎる
あの手のネタでかぷが出てきたらやだなと思ったが(W
496代打名無し:01/09/28 03:07 ID:PcxN8R52
>>495
スンマソン、27日は試合を見に行って余韻で書けそーにありません。
続きは金曜の夜に。

>>945
ロッテの選手???何だろう・・・?
497ERROR:2重カキコですか??:01/09/28 08:31 ID:nKlGdCl2
倉庫行き阻止!!
498   :01/09/28 16:42 ID:ZlAIKzrk
ほぜーん
499   :01/09/28 17:29 ID:ZlAIKzrk
まだほぜん
500 :01/09/28 19:36 ID:nKlGdCl2
まだ早いけれどあげ
501番外編その13@64:01/09/29 03:49 ID:WwCYfmPU
番外編1〜6は>>389-394、7〜12は>>467-472

貴浩は鶴田を目の前に放す。自分と向き合うようにして。鶴田はどうすれば
よいのか考えすぎて逆に頭が真っ白になっていた。とりあえずその場を
動くことが出来ずにいた。
「…鶴田さん…」
貴浩が開く口の動きがスローモーションのように見えた。
「…ですよね?」
この場合、自分ははい、そうです、と人間の姿をさらしだすべきか?それとも
この姿を貫き通すべきか?脳裏には金本寺で過ごした楽しかった日々が
よみがえる。けれども名乗り出ようという踏ん切りはつかない。自分は不意に
訪れた居候でしかないのだ。そんな自分が住職と貴浩の生活に再度踏み入る
のは気が引けた。
「僕の布団に入ってた羽根、そっくりで…僕はここいらでこんな色した羽根を
 見たことがないから」
独り言を呟いてるのか、ここにいる「鶏」が鶴田だと確信して話しかけているのか
よくはわからなかったが、貴浩はゆっくりとではあったが言葉を並べた。
「最初見たときはまさかと思ったけど、でも、本当にそうだったら僕はうれしかったんです」
貴浩の一言に鶴田の心が揺らぐ。
「あの時僕が余計なことしなかったんなら鶴田さんはずっとここにいれたんでしょう?
 だから…ずっと会いたかった、あの時のことを謝りたかった」
ただの居候にここまで思ってくれているのか?あの時急な別れを選択した
のは自分なのに、なぜ自分が謝られるのだろう。
「この前家に帰ってみんなで騒いだんです。住職もいたな…そしてお酒
 なんか飲んで。僕の家、鶏がいるんですよ、そこらへんにいるのと
 変わらない普通の鶏。なんかそいつ見てたら鶴田さんのこと思い出し
 ちゃって。ダメなんすよね、どうしても気になってしまう。竜士兄ちゃんも
 帰ってきてたのにな、あの時は」
鶴田は動きもせずずっと突っ立っている。貴浩の言葉を聞きながら、何も
出来ずにいる。
502番外編その14:01/09/29 03:53 ID:WwCYfmPU
「思えば出会いも別れもあっという間だったな。でも、あっという間でも僕には
 本当に楽しい時間だった。あ、住職との生活が嫌っていうわけじゃなくて、
 住職はああ見えて気遣ってくれてるんです。たぶん」
貴浩は相変らず喋りつづける。相変らず独り言なのか語りかけてるのか
判断つけ難い。
「あれから僕も住職も鶴田さんの話はしませんでした。なんでだかよくは
 分からないけど。だからあの時のことはもしかしたら夢なんじゃなかったかな、
 とも思ったし。だけど、ある日布団から羽根が出てきて…ビックリして
 中見たら羽根がたくさん…あれだけです。あの時のことが夢じゃないと
 僕に教えてくれたのは」
しばらくは気付いてもらえなかったのか、と鶴田はちょっとだけ残念だった。
しかし、あんな分かりにくいお礼を残す自分も自分だったのだろう。
「…だから、お前を見た時は鶴田さんが帰ってきたんだと、すごくうれしかったんだよ」
ちょっとだけ貴浩の口調が変わったことに鶴田はすぐ気がつく。
「でも違うのか。なんか不思議な顔してるもんな、お前。
 ごめんな、飼い主に黙って連れてきちゃったりして」
貴浩はゴロリと仰向けに倒れた。どうも話を続けても何も反応しない
目の前の鶏は、鶴田ではなくただの鶏だと思い直しでもしたらしい。
鶴田はそんな貴浩を見つめていた。
「あー……鶴田さん、今ごろ元気してんのかなぁ」
仰向けになったまま貴浩は一言、そう言った。
貴浩は目を閉じる。目を閉じても月の光を感じることが出来た。今夜の
月明かりはそのくらいの明るさがあった。しばらくしてその明かりが
すうっと翳った。雲でもかかったのだろうか。満月に雲もまた風流なり。
でも風流ってどんなもんだかさっぱりわかんないな。月見に団子なら
願ってもない。ああ、西山堂の団子が食べたい。そういえば鶴田さん、
西山堂の団子食べたっけ?まああそこに入り浸ってる住職がいくらか
食べさせてるかもしれないなぁ…。
「私は元気にしてましたけど、貴方も元気そうで何よりですよ、貴浩君」
そうそう、鶴田さんこういう声してたんだよな…。
と考えて、貴浩の思考回路はストップした。耳を疑い、おそるおそる目を
開ける。
明かりが翳ったのは雲のせいではなかった。月は空の真ん中で相変らず
光を放っている。それを遮った影が貴浩の顔にかかっていただけだった。
貴浩は思わず体を起こしその影の先を見やった。さっきまで鶏がいたその
場所には穏やかな笑みを浮べて自分の求めていた人物が座っていた。
「住職や弟さんは元気ですか?」
ひどく懐かしい鶴田の声と姿が、そこにはたしかにあった。
503番外編その15:01/09/29 03:56 ID:WwCYfmPU
住職は自分を起こしに来た貴浩の顔を見てギョッとした。目が真っ赤に
充血し、はれていた。
「なんだ、その目は?お前、不細工がますます不細工に見えるぞ」
「いいっす。不細工でも何とでも言って下さい」
貴浩が変にニヤけながら言い返すので、住職はいささか気味が悪くなった。
「どうした、悪いモンでも食ったのか?」
「え?僕が盗み食いできるような食べ物の余裕がどこにあるんですか?」
「じゃあ、頭でも打ったか?」
「そんなことよりっ!!来て下さいよ、本堂まで!!」
貴浩に引きずられて住職は本堂まで連れて行かれる。抵抗できないことは
ないのだが、きっとそれなりの理由があるんだろう。そのまま本堂まで
引きずられていく。別段本堂に変わった様子はない。キョロキョロしていると
後ろから貴浩に手ぬぐいで目隠しをされる。
「ゴルァ貴浩、朝っぱらから何をふざけとるんじゃあ!」
「アーヒャヒャヒャヒャ」
貴浩は相変らず浮かれた笑い声をたてる。
「お前こんなことをして、どうなるかわかっとんのかぁ!どこ行った!?」
貴浩を追いかけようと手ぬぐいを外して住職は驚いた。貴浩がいると思った
その場所に見覚えのあるやせ型の男が立っている。貴浩もその後ろに
隠れてはいたのだが。
「住職、まさか忘れてはいないですよね?」
貴浩が男の後ろから意地悪っぽく問いかける。
「お久しぶりです。突然の再来をお許しください」
男も苦笑しつつ住職に一礼する。
「許すも何も大歓迎だ!今までどこにおったのじゃ、鶴田殿!
 さあ、こちらへ来なされ。貴浩!鶴田殿の分の朝食も頼むぞ」
突然の再会に住職は喜び、鶴田を別室へ迎えようとする。その時だった。
「あ…朝食の準備してねえや…」
「何だと!何をやっとるんじゃお前は!!」
住職の豪快なかかと落としが貴浩に炸裂、一睡もせず鶴田との再会に
号泣していつもの体力など消耗し尽くしていた貴浩は一瞬のうちに
気を失ったのであった。
504番外編その16:01/09/29 03:58 ID:WwCYfmPU
「ノーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
貴浩が気を失ったその時、納屋からは悲鳴のような叫び声が聞こえた。
「ニワトリガイナイ!ドコヘ行ッタンダ!!」
朝の餌を与えようとして檻(檻だけは貴浩が元の場所へ戻していたので
あった)を覗き込んだラドの叫び声であった。彼が大切にしていた鶏が
檻の中から忽然と姿を消していたのであった。その声で起きたヤングは
最初何が起こったのか全く理解できなかったが、ようやく何があったか
飲み込めると一言いった。
「オ前ノ管理ガ悪イカラコウイウ事ニナルンダ。全ク足ヲ引ッ張ッテクレルヨ」
「何ダト?オ前ノ道具ダッタロウ、アイツハ。ナノニ俺ニ飼育ハマカセッキリ、
 少シハオ前モ手伝ッテクレリャ、コウイウ事ニハナラナカッタサ。オ前ハ
 イツモソウダ。大キナ口ヲ叩クダケジャナイカ。自分ハイイトコバッカ
 取ッテイキヤガッテ」
「ナンダ?朝カラ威勢ガイイナ。オ前ノ心ノ拠リ所ガイナクナッタノハ
 ワカッタカラ、ソウ怒ルナヨ」
ヤングは少しばかりの嘲笑を浮かべる。それがますますラドの気に障った。
「ハ、俺様ニハ関係ガ無イッテカ?アイツ一匹イナクテモ問題ハナイッテカ?
 アア、勝手ニヤッテリャイイ。俺ハアイツヲ探シニ行クカラナ」
そう言い残すと、ラドはものすごい勢いで納屋を出て行く。それを見届けて
ヤングはいまいましく唾を吐いた。
505番外編その17:01/09/29 04:01 ID:WwCYfmPU
「盗人?あの外人どもがか?」
いつもより若干遅い住職の朝食。作ったのは鶴田だった。貴浩は2人の
横で寝かされていた。貴浩と鶴田の夜中の一件を聞いて、住職はちょっと
やりすぎたかのう、と反省していた。その話の後で話題はあの手品の外人の
事へと移っていたのだ。
「確かに手品師ではあるんです。しかし、宿をとった所では必ず金目の
 ものを盗んでいきます。そうでもしないと手品だけでは生活できませんから。
 盗んだら最後、あっという間に姿をくらませます」
「ということは、この村で狙われていたのは、ここか」
「そういうことになりますね」
広島菜に箸を進めつつ、住職は怒りの感情を抑えるのに必死であった。
貧しい小作農が住民の大半を占めるこの村で、標的が自分の寺になったこと、
そしてそのことをこうやって事前に知ることが出来たことは非常に幸運なことで
あった。だが、自分たちの厚意を仇で返されそうになっていたことに憤慨していた。
住職は、そういう道理から外れたことが全く持って嫌いな人間であった。
「たぶん彼らはここをもうすぐ去るはずです。もうこの村に長居する理由は
 ありませんからね。そういう事も言っていましたし。その時彼らは行為に
 及ぶでしょう」
「そうか…ならその前に何らかの手を打たねばならぬな」
「あのー、僕に考えがあるんですけど」
驚いて2人が声のした方向を向く。貴浩はいつの間にか気が付いていた
らしい。寝たまま2人のほうを見ていた。
「でも、鶴田さんに負担がかかるかもしれない」
「負担?なんの?」
「鶴田さんって、鶏になったり人間に戻ったりする時、やっぱり、こう…
 余計に力とか使うんですか?」
「それはないよ。余り好き好んで姿を変える事はないけどね」
それを聞いて貴浩はニヤッと笑った。
「どうするつもりだ、お前は?」
住職がいぶかしげに問う。
「手品には、手品で勝負でしょ」
50664:01/09/29 04:10 ID:WwCYfmPU
やっと週末が来た…。1週間仕事に追われてココどころかウヒョスレにも
行けなかった。やっとゆっくりできる(w
ネタづまりは今回のあぷ分の部分で起こってました。13,14はどう
読んでも納得がいかない。かといって、書き直す技量もない。
東出のコメントではないけど下手糞なんです。スマソとしか言えません。
それにしても、番外編のくせに長々と続けてしまってる。次回あぷあたりで
完結させて矢野の番外編にうつりたいと思うところ。
矢野の番外編を後回しにしてしまったことで、矢野1軍の報を聞いたとき
旬を逃がした、と思ったもんですが(w、顎と若人退団だそうで何とか
時節にマッチしたネタになった、と喜んでおります(w
507 :01/09/29 04:18 ID:yZhn0l9w
508 :01/09/29 08:24 ID:iLOMyFqY
(・ ε ・)「みんな分かってるとは思うけど>>507はウィルスだからクリックしちゃダメだよ
509 :01/09/29 09:08 ID:3dnVZjzQ
おおぅ、番外編!
鶴たん!おもろいです!
確かに、ラド&ヤングコンビってある意味旬(w
ラドはもう帰国しちゃったんですっけ?
しかし、1週間ウヒョスレ行かなかったら
過去ログ辿るのも大変すよね。こないだ1日家を空けただけで
大事だった(w

>>508 さんきゅ(w このスレで珍しいね。今日はがんがれよ、チビ!
510(‘ ε ’) :01/09/29 11:28 ID:I1szT00A
ストーンコールド
511 :01/09/29 11:51 ID:3dnVZjzQ
>>506
「広島菜」にワロタヨ(w
芸が細かいなー
512(・ ε ・):01/09/29 11:54 ID:HA5g1LV2
なんだか貴浩兄ちゃん大活躍のヨカーん
本にしたい・・・(w

そして今日は頑張る―ゥ
513代打名無し:01/09/29 13:02 ID:nmgN7IYs
>>512
何!? ウが出るのか(W
514( ̄粗 ̄;)(・ ε ・;):01/09/29 15:40 ID:A4mzvJwQ
なんだか落ちそうな勢いなので上げちゃうよゥ
515( ̄粗 ̄;)(・ ε ・;):01/09/29 15:41 ID:A4mzvJwQ
しまった、上がってナカタ・・・
516 :01/09/29 21:36 ID:rW78ZQzw
あげ
517ビッグレッドマシン :01/09/29 21:44 ID:GXaZm8/Q
って、しんしなてぃーのチームでなかったっけ?
518代打名無し:01/09/30 00:11 ID:8X1PFntM
保守あげっと
519広島家の人々79:01/09/30 03:16 ID:qkui/ejc
前回>>493

雨水を多く含んだ道は、貴哉と輝裕の押すリアカーの車輪を、意地悪く自らのもとに
食い込ませていく。
貴哉は心配そうに後ろを振り向いた。輝裕が少しばてて息があがっている。
「大丈夫・・・?」
輝裕は顔もあげず、リアカーに両手をついたまま何度も頷いた。それでも貴哉は
気になってリアカーを止めて下ろした。兵動から贈られた本が、その動きで勢いよく
崩れる。荒い息を吐きながら、やっと顔をあげた輝裕はジーッと兵動の本を見つめた。
「やっぱりこれを売るのはやめようよ。だってこれは本当に大切な本なんじゃ・・・」
貴哉の言葉をさえぎるように輝裕は激しく首を横に振った。
「いいんだ。大切だから、大切だからさ・・・。」
「・・・・・・。」
「売れたお金は、貴哉兄ィと半分コにしようよ。」
「でも・・・。」
もう一度、輝裕は首を横に振った。
「この本はいつか・・いつかね、ボクがお金を稼げるようになったら真っ先に買い戻す。
だから・・・今はいいんだ。」
言葉を選びながら、輝裕の表情がだんだんと吹っ切れたものへと変わっていく。
「・・・うん。」
貴哉もコクリと頷いた。
「さあ早くしないと日が暮れちゃうよ。急いでこれを質屋まで運ぼう!」
輝裕の方から、今度はハッパをかける。貴哉もニッコリと笑ってリアカーの手を伸ばした。


今日はもう少し先まで書きます!
520広島家の人々80:01/09/30 04:28 ID:qkui/ejc
本は思った以上に高く売れた。さすがムラで人気のある備前亭泰山の本である。また
この時代はまだ本は貴重品でなかなか個人で持てるものが少なかったことも希少価値
に拍車をかけた。
輝裕は巾着袋いっぱいの小銭を、貴哉と二つに分けた。貴哉は、そのお金を自分の
巾着袋に入れようとポケットに手を伸ばした。
「・・・・!」
「貴哉兄ィ、どうしたの?」
「ごめん・・・ちょっと寄りたいところがあるんだ。」
「えっ?」
輝裕の返事も待たず、貴哉は帰る方向とはまったく違う場所へリアカーを引いて走って
いった。
「貴哉兄ちゃん!」
あわてて輝裕も後を追いかけていった。
そこは玄関の上に赤いランプがついていた。一心不乱に走り続けていた貴哉は、
その目印を見つけると急停止でリアカーを止め、建物の中に入っていった。
「・・・駐在所。」
何とか後をついてきた輝裕は、その建物を見て驚いた。貴哉はポケットから皮製の
取り出し、誰か人がいないか建物の中をキョロキョロ見回している。
ざわついた人影を察したか、奥の部屋から一人の刑事が兄弟二人の前に現れた。
貴哉も輝裕も一瞬ビクッと身体を固くする。だが覚悟を決めて、貴哉は震える声で
持っていた財布を刑事・緒方の前に差し出した。
「あの・・・これ、落し物で・・・。」

うう、時間が・・・(涙
521(・ ε ・):01/09/30 06:55 ID:7JfgZhM.
オー!緒方登場!!(w
ちょっと怖そうな駐在さんだなぁ・・・
522 :01/09/30 06:55 ID:7JfgZhM.
しまった・・・あげてしまった・・・
523 :01/09/30 13:45 ID:qXAZ1eGA
age
524 :01/09/30 20:49 ID:8X1PFntM
ほしゅage-
525 :01/09/30 20:59 ID:HZl2te6o
(’。’)「今日投げる予定だったの・・・
526 :01/09/30 22:30 ID:8X1PFntM
保守っと
527なんとなくあてはめてみた:01/09/30 22:54 ID:pyo4ZWrM
動物のお医者さんで

ハムテル・・・(・ ε ・)
二階堂・・・・( ̄粗 ̄)
菱沼さん・・・(‘ ε ’)
漆原教授・・・松原先生
菅原教授・・・ペイ
おばあさん・・ピーコ
チョビ・・・・スライリー
ヒヨちゃん・・(ヽ`_ゝ´)
528 :01/09/30 23:25 ID:ZffadLvQ
>>527
ミケ(だっけ?あの猫)は前田かな
自分のテリトリーを荒らされたくないところとか
529広島家の人々81:01/10/01 00:36 ID:hkwrBP7E
不意に目の前に出されたそれに、最初、緒方は大きく目を丸くしたが、職業柄すぐに
平素な表情に戻ると、差し出された財布を隅から隅まで調べはじめた。
事情がわからぬ輝裕は、不安そうに後ろから貴哉の袖をつかんで様子を見ている。
貴哉も、いかにも刑事といった緒方の独特の威圧感に身体の震えがとまらなかった。
そのうち緒方は電話に手をのばし、ある人物と会話を始める。電話はほんの2、3分で終わった。
「えらいな、キミたちは!」
受話器を置いてはじめて緒方は二人に笑顔を向けた。
「ここに名前と電話番号が書いてあったから、持ち主とはすぐに連絡がついたよ。割と近所の人
なんだろうな。本署の所轄では聞いたことのない名前の人だが、今すぐこちらに向かうといって
いた。」
「広池さんが・・・?」
「ん、キミは落とした持ち主を知っているのか?」
間髪おかず返事をかえした貴哉に、緒方は眉をひそめた。
「い、いえ・・・あ、ああああ、あの・・・財布に名前が刺繍してあったから、そ、それで・・・。」
「おう、そうだったな。疑って悪かった。」
すぐに緒方は元の笑顔に戻ると、後ろの棚の引き戸を開けた。
「最近、スリや金がらみの事件が異様に増えてなぁ、肝心の事件の捜査に手が廻らなくて
人手不足の状態なんだ。キミたちのような子が増えたら、俺も随分ラクになるんだがな。」
貴哉と輝裕の前に大きなドラ焼が出された。
「広池さんが是非キミたちにお礼をいいたいそうだ。ここに広池さんが着くまで、これでも食べて
いたらいい。あっ、お茶は今、用意するからな。」
別にいいです。と断ろうとした貴哉の腹の音がなった。続いて輝裕の腹の音も。目の前のドラ焼に
負けた。二人は顔を赤らめて席に座った。緒方はプッと吹き出しながら、二人にお茶を差し出した。
その時だった。
「う・・・うう・・・・・・。」
なにやら駐在所の奥から、若い男のうめき声が聞こえる。
「チッ」
さきほど打って変わった渋い表情で緒方は舌打ちすると、ガタンと乱暴に立ち上がって奥の部屋に
入っていった。
530広島家の人々82:01/10/01 01:53 ID:JeDJspQo
二人の前にドラ焼が残された。
「貴哉兄ィ、せっかくだから食べようよ。」
さっきからずっと身動きせずドラ焼を見つめている貴哉を輝裕はうながした。
「・・・・・・うん。」
貴哉の返事をうけて、早速輝裕はドラ焼をパクついた。輝裕の顔色が変わる。
「・・・どうしたの?」
輝裕の様子にいぶかしげに首をかしげ、貴哉もドラ焼を口に入れる。ドラ焼を口に入れたまま、ピタッと貴哉の動きが止まった。
この味・・・この感触・・・。
「西山堂のドラ焼・・・。」
しかも口に入れた途端、なにやらカビのような異臭が漂う。まさかすでに賞味期限が切れている
んじゃ・・・
「おぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
二人は湯のみ茶碗を片手に駐在所の入り口に飛び出すと、あわててドラ焼を吐き出した。そして何度もお茶で口をすすぐ。
「ひぃぃぃぃぃ!」
駐在所の奥の部屋から、例の若い男の悲鳴があがる。貴哉と輝裕は顔を見合わせた。
そして今度は全速力で駐在所に戻り、奥の部屋に通じる扉に耳をつけた。
ビシィと革のしなる音がした。そしてニブく肉にあたるような音。また起こる若い男の悲鳴。
「・・・・・・。」
貴哉と輝裕の顔が青ざめていった。
「・・・・・・な、なんかヤバくない?」
「や、やっぱ逃げようかな・・・。」
二人同時にうなずいたのが合図だった。取るものもとりあえず、二人はそそくさと外に置いてある
リアカーに向かって駆け出した.
「連絡を受けた広池ですが・・・。」
入り口に突然、障害物が現れた。二人は勢いよくぶつかってひっくり返った。
「あ、広池さん!」
目の前の人物に、思わず貴哉は大きな声をあげた。
「キミは・・・。」
広池も心底驚いたように、倒れた貴哉を見つめた。
531代打名無し@ス:01/10/01 02:13 ID:JeDJspQo
パソがふりーず起こした時に、改行が消えたのか(鬱
82読みづらくてスマソ・・・。

番外編との兼ね合いで、64さんにはメールで話の続きを少ーし教えたんで
悲鳴をあげる若い男、64さんは誰か見当ついたかと思いやす(^^;
ウヒョでかーなり人気のある人です。今のうちに謝っておこう(汗

今日はもう少し頑張ってみやす。あぷできなかったらゴメソ。
ああ、もっとスピードアップしたい(鬱

>>527
ヒヨちゃん・・(ヽ`_ゝ´)

あははははは(爆 ピターリ♪
532番外編その18:01/10/01 05:02 ID:h19Ac4uI
1〜6は>>389-394、7〜12は>>467-472、13〜17は>>501-505

「貴方ガタニ神ノ御加護ガアランコトヲ」
その夜の金本寺の夕食の場にはヤングとラドが呼ばれた。住職と貴浩も
いた。せっかくなんだから、と貴浩が2人を招待したのであった。もっとも、
朝の喧嘩のせいでヤングとラドはお互い目もあわせようとしていなかったが。
しばし沈黙が続いた後、おもむろに住職が口を開く。
「で、ここに盗みに入るのはいつ頃ですかな?」
ヤングとラドの箸が止まる。
「ナンノコトダ?」
「ある所から伺いましてね。盗みを働いて逃げる手品団がいると」
「ハ。言イガカリモホドホドニシテクレナイカ?」
「言いがかりなんかでこんな事言いませんよ。
 なんなら証拠でもご用意しましょうか?」
「ソウシテホシイモンダネ」
「あ、その前に、一つ勝負をお願いできますかね?」
「ナンダ?」
「私も物好きでね、手品なんかもやったりするんですよ。
 …で、貴方がたに勝てる自信もあってねえ」
「ホウ、ナカナカノ自信デスナ」
「もし貴方がたの出来ない手品を披露することが出来たら、
 貴方がたにはこの村からお引き取り願いたい」
「デ、モシ私タチ程度ノ手品シカ出来ナカッタラドウスルンダ?」
「その時はここにある有り金全部くれてやりましょう」
「フ、ハハハ、イイダロウ、イイ度胸ダ。勝負ニノッテヤロウジャナイカ。
 イイナ、エリック」
「オ前ガイイトイウナラ文句ハ言ワナイ」
ラドは一日中鶏を探し回った。仕事中の小作農たちにも聞いてみたが、
その行方を知るものは誰一人としていなかった。疲労と寂寥感がラドを
襲っていた。勝負など、どうでもよかった。
「貴浩、連れてきてくれ」
住職の言葉と同時に貴浩は席を立ち、物陰から何かを抱きかかえてきた。
それを見てラドは驚いた。
533番外編その19:01/10/01 05:06 ID:h19Ac4uI
「ヘイ!ソレハ俺タチノ鶏ダ!!」
「そう、貴方たちと一緒にいましたね」
貴浩は自分と住職の間に鶏を置いた。
「わしらもこれで手品をしようと思いましてな。ま、よく見てなさい。
 二度と見られませんよ」
そう言うと住職はたてかけていた錫杖を取り、鶏に向けると「喝!!」と叫んだ。
するとどうだろう、鶏はその輪郭が崩れていき、だんだんと伸びていき、やがて
一人の人間となったのである。住職と貴浩は鶴田が飛び出したあの夜に変化の
様子を見ていたので平然とそれを見つめていた。ラドとヤングは信じられない
その光景に目を丸くし言葉も出ないようだ。
鶏から変化したその男は静かに笑みを浮かべると放心状態の2人に一歩近づいた。
「大丈夫ですか?」
そう言いつつヤングに手を差し伸べようとする。
「ヒッ…来ルナ!!」
ヤングは顔をゆがめ全身を震わせ、座り込んだまま後ずさりする。どうやら
腰を抜かしてしまったらしい。横にいるラドの口は開いたままふさがらない。
「なんじゃ、これ程の事で斯様に驚かれるのか?これはわしらが勝ったと見ていいのだな?」
「ソッ、ソレハ…」
「ほう、何か言う事でもあると申すか。ならば、次はお主を鶏に変えてしんぜようか?」
そう言って住職は錫杖をヤングのほうへ向けた。
「ヒイイイイイッ、ソレダケハゴ勘弁ヲ!!」
ヤングは震えながら必死に土下座をし住職に許しを乞う。
「ならば何も言わず立ち去るがよい!盗みなどと道理にかなわぬこと、
 二度と行うでないぞ」
声にならない声で返事をし、慌ててヤングは部屋を立ち去った。
それを追おうとラドが駆け出そうとする。
「エリックさん」
不意に声をかけられ、ラドは振り返る。声をかけたのは鶴田であった。
「今まで世話をしていただき、ありがとうございました。…私が言うのも何ですが、
 彼に気を遣わず自分の力で頑張れるのではないですか?少なくとも、私はそう思いますよ」
その言葉にラドは一瞬戸惑ったような表情を浮かべたが、口元に笑みをたたえると、
「THANK YOU」
とだけ言って、部屋を出て行った。
それ以来、緋鯉村で彼らの手品ショーを見ることはなくなった。
534番外編その20:01/10/01 05:57 ID:h19Ac4uI
2人が消えた後、3人はほくそ笑みながら再度夕食をとっていた。
「ウヒヒ、やはりわしの最後の脅しにビビっとったのう、あやつは。
 鶏に変えられるわけがないというのに」
「相変らず住職はハッタリをかますのがうまいなぁ」
「何を!貴浩、そんな事を言うのはこのクチか!?」
「フガガガ…ふままないへふはさいよ〜(つままないでくださいよ〜)」
「わっ、汚いなぁ貴浩君。食べ物を粗末にしちゃいけないよ」
「ほんなぁ〜ふふははんあへ〜(そんなぁ〜鶴田さんまで〜)」
2人にいじめられて貴浩は半べそをかく。この計画を立てたのはほかでもない、
自分であるのにまたもおいしい所は全て住職にもっていかれてしまったのだった。
「ところで…」
ふと鶴田が話しかけたので、住職の力が緩んだ。その隙に貴浩は頬をつねって
いた指から逃げる。
「あの2人がいなくなった事で、私はまた宿無しの身になってしまいました。
 私が出て行けば問題は無いことなんですが…」
少し言葉を続けるのをためらって、しかし、鶴田は話し続けた。
「私はこの村に残りたいと思っています。
 『あの時』だって本当は出て行くつもりはなかったんですが、
 やはりあまり無理をしてとどまるのは迷惑ではないかと思ったのです。
 しかし、ここにまたこうやっているのも何かの縁。
 住職にまたも頼るのは心苦しいのですが、何かこの村に残る方法はないでしょうか?」
「ふむ…」と一言呟き住職は考える。
「僕からもお願いします、住職!だって、だって…」
半べそのまま貴浩も住職の下に行き姿勢を正す。
「鶴田さんがいなくなったとき、寂しかったじゃないですか。
 あの時鶴田さんの話題を避けてたのって、思い出すと寂しかったからでしょう?
 そうでしょう?」
「貴浩」
顔色一つ変えずに住職は貴浩のほうを向く。そして…
「その気持ちはわかったから、お前も何か案を考えんか、馬鹿者!」
やっぱり貴浩の右頬に住職の手がのびた。さっきより一層強くその右頬はつねられる。
535番外編その21:01/10/01 06:00 ID:h19Ac4uI
「いふぁい、ひゅうひょふ…(痛い、住職…)」
いつものことである頬の痛さに我慢しながら、貴浩は苦笑する鶴田の顔を見ていた。
初めて会った時からどこかしら懐かしいという印象を貴浩は鶴田に抱いていたように
思っていた。なんとなくそのヒョウヒョウとして雰囲気のする人間に会っているような
気がするのだ。
「もうそろそろ放してあげてもよろしいんじゃあ」
見かねた鶴田が住職に言う。住職は面白くなさそうな顔をして、
「ほら、お前も考えないとこんなに優しい御人が村から消えるのだぞ」
と言って貴浩を放したが、何かを思いついたのか自分の言葉をくり返す。
「村から消える……そうか、あそこがあったか…」
「何かあるんですか、住職?」
「お前は、…そうか、覚えてないかもしれんな。
 いささか昔のことだが、佐々岡の爺の親友で真琴翁と呼ばれてた男がいたのだが、
 貴浩、記憶にはないか?」
「真琴翁……あっ」
貴浩は完全にではないが、その人物のことを思い出していた。小さい時には
佐々岡爺のもとへやってきてよく遊んでもらった覚えがある(もっともその頃は
「爺」とか「翁」とか呼ばれる年齢ではなかったはずだが)。そして、責任感の
強い佐々岡の爺とは違い、何かあってもそうなったら仕方ないという感じで
実にヒョウヒョウをしていたその人となりに貴浩は子供心ながら感動した覚えが
あった。「これが大人なんだな」と。そこまできて、やっと貴浩は鶴田に見出していた
その懐かしさの原点が真琴翁であったのではないかと思えた。2人とも何食わぬ顔で
自分のよき話し相手になっていたりしてくれた所がよく似ていた。
「でも、真琴翁はいなくなったんじゃ?」
「佐々岡の爺から聞いておったか。その通り、急にいなくなってな」
貴浩は詳しいことはよく知らなかったが、突然真琴翁は姿を消した。当時佐々岡の爺が
心配してか痩せてしまった姿を覚えていた。痩せたことで体がよく動くようになった、
仕事もよくはかどると後日笑ってはいたが。その頃の貴哉や輝裕はまだ小さかったので
きっと覚えてはいないだろう。そのかわり、博樹兄さんや竜士兄ちゃんは自分以上に
かわいがってもらっていたので、きっと多少はショックを受けたに違いなかった。
536番外編その22:01/10/01 06:03 ID:h19Ac4uI
「真琴翁が何で生計をたてておったか、お主は聞いておるか?」
貴浩はその質問に、知らないとばかりに首を横に振る。
「村に唯一源泉があって、やつはそれを利用して銭湯を経営しておったんじゃ。
 まあ、このあたりの家々がうるおっていた頃は多少の金もとっておったが、
 だんだんとその翳りが見え始めた頃はそれもやめてしまって、この辺のもんは皆感謝しておった。
 ただで風呂に入れる、と。ところが、真琴翁が急にいなくなってしまったことで、
 後を継ぐものも居なくなってのう。今じゃそのまんまじゃ」
貴浩も鶴田も住職の話に聞き入っている。
「そこでだ!鶴田、お主それを継ぐ気はないか?」
「私が、ですか?銭湯などやったこともないですよ?」
「そんなもんどうにかなるわい。あやつだって、庭先ほってたら湯が湧き出て、
 それじゃあとゆうて始めただけのことよ。まあ、問題は今も湯が出とるかどうか、なんだがのう…」
「いいじゃないっすか!鶴田さん、やりましょうよ!で、勿論行ったりしますよね、住職?」
「わしはな。お前は留守番じゃ」
「そんなぁ〜」
「その前に鶴田殿はまだやるとも言っておらんだろうが、先走りすぎじゃ」
軽い平手打ちが貴浩に見舞われる。今日はいつにもまして貴浩は攻撃を受けている。
2人を追い出した計画をたてたのは貴浩なのに…。
「私がその真琴翁のように出来るかはわかりませんが…」
鶴田の一言に住職と貴浩が振り向く。
「やってみましょうか、それ」
笑って言ったその一言に貴浩は「やったー」と子供のように歓声をあげた。
住職も納得したような顔をして、ちょっと考えて言った。
「佐々岡の爺に話でも聞きたいところだが貴浩の所も今例の件でゴタゴタしてるし、
 3人で明日にでも行ってみるか、そこに」
537番外編その23:01/10/01 06:06 ID:h19Ac4uI
駅員の木村が今日2つ目の汽車を待っている、そのホームに意外な人物が現れた。
木村は驚いて、ちょっと勇気をもって話しかけた。
「手品は終わったんですか?」
「…ハイ、故郷ヘ帰ッテモウ一度修行シヨウカト思ッテマス」
来た時の大荷物とは違って鞄一つ持ったその背の高い外人―ラドは答えた。
「もう一人は?」
「最後マデ喧嘩シテ別レマシタ。ドコヘ行ッタカハ私モ知リマセン」
「そうかい。まあ仲間は大事だ。時が来たら仲直りもできるさ」
「…ソウデスネ」
そこへ2人の会話を遮るかのように汽笛を上げて汽車が入ってきた。木村は
少し離れて一通りの仕事を行ったが、ラドが汽車に乗り来む瞬間、
「体に気をつけて頑張れよ」
と声をかけた。ラドは微笑んで手を振った。そうして、汽車は鯉城駅のホームから離れていった。

その頃、住職・貴浩・鶴田の3人は真琴翁が住んでいた銭湯兼住居に来ていた。
主のいない建物は廃墟のようになっているかと思っていたが、誰かが入って
手入れでもしているのだろうか、掃除も行き届きとても綺麗にしていた。
問題の銭湯のほうも湯はコンコンと湧き出て全く問題なかった。
「すげー…入っちゃダメかな?」
「お前はおかしいと思わんのか?誰もいないのにこんなに綺麗なんだぞ?」
確かに不思議だった。村の住人の誰かが以前の恩を感じて手入れでもしているのか?
「誰かいるんですか?」
突然後ろからした声に3人はギクリとして後ろを振り返った。そこには…
「爺!どうしてこんな所に?」
そこにいたのは佐々岡の爺であった。手にはバケツとブラシがしっかりと握られている。
「貴浩坊ちゃんこそどうしてここに?住職も。そちらは…?」
佐々岡の爺は見慣れない男に戸惑う。よく考えてみると、鶴田を知っているのは
住職と貴浩、そして輝裕しかいなかった。
「これは大恩のある鶴田という男でのう。この村に住みたいというんだが、人に預けるわけにもいかぬ。
 そこでここの事を思い出したわけだ。広島家の仕事のほかにここまで手を回していたのか?」
「そりゃ無二の親友がいた場所ですから。いつフラリと帰ってくるかわからんでしょう、あの男は」
「そうか…それはちょっと言いづらいな…」
住職の心を見透かしたように佐々岡は笑って、そして言った。
「しかし私もこれからより一層博樹坊ちゃんの手助けをしないといけないですからねえ。
 真琴が帰ってくるまでここを守ってくれる人がいるといいんですが」
538番外編その24:01/10/01 06:10 ID:h19Ac4uI
「それじゃあ」
貴浩がニヤッと笑って鶴田の腕をつかむ。
「是非鶴田さんに任せてください!本当に信頼できる人なんです!!
 ねっ、住職」
「珍しく貴浩が真実を語っておるぞ、佐々岡よ」
笑いながらの住職の発言に貴浩はぷうっと頬をふくらます。それを見て
鶴田や佐々岡も笑った。
「その貴浩坊ちゃんの言葉を信じましょう。鶴田さんとやら、よろしくお願いします」
「こちらこそお願いいたします」
佐々岡と鶴田は固く握手を交わした。貴浩は大喜びである。
「ヨッシャー!住職、ついでだから汗を流して帰りましょう!!」
「うむ、それは良い案だ。いいかな、佐々岡?」
「勿論構いません。ついでにここの管理方法も教えないといけませんし」

十数分後、貴浩と住職はマターリと湯船につかっていた。鶴田は佐々岡に建物の中を
色々案内されていた。
「住職〜、ボクもう帰りたくないっすよ」
「うむ、至福の一時じゃのう。ここが復活すれば住人も皆喜ぼう」
2人は本当に気持ちよくなっていた。その時…コポッ、と変な音がした。
「ん?」
貴浩は音のした方を向く。そこは湯の噴出口だった。またコポッと変な音を立てる。
そのうちその音がだんだんと短い周期でなるようになると、突然―――。
ゴボゴボゴボゴボッ
―――と大きな音を立て貴浩めがけてものすごい勢いで湯が噴き出した。
「ウヒョーーーーーーーーーーッ」
貴浩の叫び声で住職は振り返り、佐々岡と鶴田も浴場にやってきた。貴浩が頭から勢いよく
水滴をたらしているのを見て佐々岡は何が起こったかすぐに察しがついたらしい。溜息をついた。
「また軽い爆発を起こしましたか、お湯が…」
「また?」
「まだこれだけで済むのならいいことです。
 真琴が管理していた頃は年一回湯が大爆発を起こしていたんです。
 なぜか、年一回」
「危ないじゃないか!」
「いや、それ目当てで来るお客様もいらっしゃったんですよ、貴浩坊ちゃま。
 もっとも、いつ起こるかは当の本人にもわからなかったみたいですけど」
「なんて銭湯だ。ははは、しかし気に入ったぞ、佐々岡よ」
住職の笑い声が浴場に心地良く響いた。湯は何事もなかったかのように
たんたんと湧き出ている。
「本当に私なんかがここを管理できるんでしょうか、佐々岡さん?」
「大丈夫でしょう、真琴がいなくなってから大爆発もおこってないし、
 貴方次第ですよ」
佐々岡は笑って鶴田に言葉を返した。
539番外編その25:01/10/01 06:14 ID:h19Ac4uI
数日が立った。緋鯉村では祭りが行われ、村の雰囲気も華やかだ。
そんな様子を神社の藪の中からジロリと見る一人の男がいる。
「サーテ、今日ガ稼ギドコロカナ」
そう、その男はあの騒動で行方をくらませたはずのヤングであった。彼は人に
見つからないようにしながらも、まだこの村にとどまっていたのである。祭りの話は
手品ショーを開いている時に村の小作農から聞いていた。皆心うかれ金を持ち歩く
その日こそ盗みを働くのにはもってこいだ、とヤングはこの日を待っていたのであった。
祭りが始まったばかりの頃は動かなかった。スリが見つかった場合にはまわりの人間に
押さえ込まれかねない。祭りもほぼ終わりに近づいた頃こそ酔っ払いなんかも出てくる
だろうし、人も減ってもってこいだ、と考えた上での行動である。
「ソロソロイイカナ」
屋台もそろそろ売り物を残さぬよう動きを見せている。カモを見つけるなら今だ。ヤングは
藪から出ようとする。その時であった。すぐ近くでドーン!というどでかい音がした。
ヤングは驚いて座り込む。空に大輪の花が浮かび上がる。花火だ。
「チクショウ、驚カセヤガッテ」
心落ち着かせて、ヤングは再び立ち上がろうとする。その時だった。
「ワシは予言する!次の花火が上がったとき、ムラに大粒の雨が降るであろう!!」
聞いたことのある声が神社から大きく高らかに響いてきた。藪からこっそり見てみると、
そこにはあの知憲住職がある。そして次の花火が上がった。
「アノなまくら坊主メ…鶏ノ次ハ雨ヲ降ラセルダト?マタマタ…」
とヤングが言い終わるか言い終わらないかのうちに自分の鼻に何かが落ちる。
指で触ってみると、水滴…?
ヤングは驚いて上を見上げる。まるで今まで降っていなかったのが嘘のように
大粒の雨が大量に降ってきた。住職は雨の中豪快に笑っている。ヤングは
驚いて藪の中から住職を見つめる。住職の顔がヤングのほうを向いた時、
ふと目があったような気がして慌ててヤングは頭を抱えて小刻みに震えつつ
藪の中で丸くなった。
「アレハ、悪魔(デモン)ダ…呪ワレル…俺ハ呪ワレル!!」
正気を失ったヤングは着のみ着のまま藪から見つからないように脱出すると
そのまま駆け出し、そして二度と緋鯉村に足を踏み入れることはなかったという。
住職の力は意外なところでも効力を発揮したようで、結局緋鯉村で彼らの被害に
あったものは誰もいなかったのであった。

めでたし、めでたし?
54064:01/10/01 06:23 ID:h19Ac4uI
19まであぷした後で自分の方の通し番号の間違いに気付いて、
修正ついでに全部あぷしてしまいました。長々と申し訳ない。
終わり方もあまりにあっけなかった気がしますが、この辺で
止めておくのがキリのいい所でしょう。もう少し早く終わるかと
思ったけど、ウヒョであぷなんかやってたら時間がかかってもうた(w
>>509
いない間に近鉄祭り?があったみたいで、過去ログがスレ1つくらい
読めなくなってた(w ラドは気がついたら帰国してるし、時間の流れは速すぎる
>>512
兄ちゃんあんまり活躍してなくてゴメンな(w
>>531=助清さん
たぶんアレかなぁ、という目星しかつかないっす
貴浩並の脳味噌しかもってない自分に幻滅しとります
541(・ ε ・):01/10/01 07:07 ID:W2PX/wnw
だー二人とも面白すぎっす!!
542   :01/10/01 16:08 ID:XMNYDfOQ
big red machine
543(ヽ`_ゝ´):01/10/01 21:43 ID:4s.FdluU
坊主がケコーンしちゃ悪いか?
544 :01/10/01 22:19 ID:2P56RLSU
>>543
誰がそんなこと言ったよ?(w
おめでとうな
545広島家の人々83:01/10/02 03:31 ID:YvWUbvc.
前回>>530

「やあ、お待ちしていたんですよ。」
奥の部屋の様子を微塵もかんじさせず、緒方がさわやかな笑顔で広池の前に現れた。
貴哉と輝裕は、あわてて残りの食べかけのドラ焼を自分の懐に隠す。
「どうです?中身の方も大丈夫ですか?」
緒方から渡された財布を丁寧に確かめて、広池はニッコリと笑った。
「はい。本当にどうもありがとうございました。」
「いや、礼を言うならその子らの方にいってくれ。」
緒方に視線を向けられた二人は、ビクッと身体を固くする。だが何もしらない広池は穏やかな
笑みで鷹揚にうなずくと、貴哉の方に身体の向きを変えた。
「夏祭りの時に会ったことがあるよね。あの時にこれを拾ってくれたんだね。ありがとう。」
ゴクッと大きく貴哉は息を呑んだ。貴哉の後ろでマジマジと広池の顔を見た輝裕も、
あっ・・・と小さな声を洩らした。
(貴哉兄ィにそっくりだ・・・!)
「これ、少ない額だけどお礼に・・・。」
広池は一枚のお札を財布の中から取り出し、貴哉に渡した。貴哉と輝裕の身体が真っ白になる。
「こ、こここここここここここんな大金!!!!」
さきに大声をあげたのは輝裕だった。だが相変わらず穏やかな笑みで広池は首を横に振り、
固まったままの貴哉の手に、お札をしっかり握らせる。
それからどれだけの時間が過ぎたのか、貴哉はわからなかった。気がつけば自分はリアカーに
手をつけ、広池に別れの挨拶をかわしていた。
「そうだ、大切なことを聞き忘れていた。キミの名は?」
広池の問いに、貴哉は流れるように答えた。
「広島…広島貴哉です。」
隣の輝裕に視線を向けた広池に、輝裕は「弟の輝裕です。」と小さな声で返事をする。
既にまわりは真っ赤な夕日に包まれていた。広池は大きく二人に手を振ると、笑顔で二人の元から
遠く去っていった。貴哉は瞬きもせず、広池の姿が小さく見えなくなるまで見送っていた。
「・・・広池さんって一体何をやっている人なんだろう・・・。」
「・・・・・・。」
「貴哉兄ィとよく似ていたね・・・。」
「・・・・・・うん。」
ぐぅ・・・とまた輝裕の腹が大きく鳴った。続いて貴哉の腹の音も。二人は懐から食べかけの
カビの生えた西山堂のドラ焼を取り出した。そして視界から小さくなった駐在所を見る。
クスクスクスクスクス・・・
どちらともなく二人の間から笑い声が起こった。
「これでお菓子か何かでも買って食べよう!」
「えっ、そんな大事なお金で・・・」
といいかけて輝裕は言葉をとめ、コクンと頷いた。貴哉も頷く。
既に乾いた土の道を二人は軽快に駆け出していった。
546代打名無し@ス:01/10/02 03:55 ID:YvWUbvc.
書けども書けども終わらぬストーリーよ。
一体いつになったら完結まで話が進むのか・・・。

書き始めて2ヶ月が過ぎた。しかしまだ物語は半分ちょっとのところ。
まさかこうなるとは思いませんでした・・・。主人公5人ってこんなに
手間がかかるんだなぁ・・・(;´Д`)
でも乗りかかった舟、最後までちゃんと書くけどね。

次回は博樹と(’。’)たんが初めて出会いやす。思いがけない借金の担保に
博樹はどうでるか、(’。’)とどういうつながりがあるのか、その辺考えて
読んでみてくんさい(^^; 罠は博樹ばかりでなく竜士にも降りかかってきます。

しっかし今頃になって|`_ゝ´|と(・ ε ・) の兄弟が逆だってことに苦しんだYO・・・
台詞まわしがなかなか二人らしくなってくんねえの・・・(泣

>>543
おめでとう〜! でもペッチレラの続編、(丶`_ゝ´)を王子にするつもりだったが
どうしようか・・・(^^; 気にせず書いちゃおうか・・・。

>>540
おおあたりです(w

>>541
ありがとう。

五人兄弟の中で唯一横山の顔文字がないから、
昨日実況板で( ̄∀ ̄)←作ってみた。似てるかどうかは自信なし(鬱
乱造は批判されるのわかってるけど、横山の顔文字は欲しい・・・。
あると便利。いい顔文字はないもんだろうか・・・(涙
547(・ ε ・):01/10/02 04:27 ID:VoGfmFn6
たいへんだよねぇ・・・こんなにしゅじんこうがいると(w
ふふ・・・
548 :01/10/02 18:18 ID:BUfLKrL.
保守保守
549   :01/10/02 23:55 ID:BUfLKrL.
 
550カーサ誕生日記念「不思議の国のカーサ」:01/10/03 03:48 ID:L.mGzwZ6
久しぶりに1軍に上がってきたカーサはなかなかスタメンでは使ってもらえないものの、
試合の終盤でよく守備固めとして出場していました。なかなか打つことは出来ないけど、
守るのも楽しいのでカーサはあまり守備固めを嫌だなとか思うことはありませんでした。
ただしボールが飛んでこないと見せ場は作れないので面白くありません。
そんな時はよく隣を守っていたキムタク兄さんに声をかけて暇を潰していたのでした。
ある日、東京ドームで試合がありました。マウンドでは巷で自作自演系投手と評判の
小林幹英が相変らず自作自演をくりひろげようとしていました。外野手にとって
自作自演程面白くないものはありません。ヒットを打たれるのは自作自演とは
あまり言えないし、エラーをするほど自分の守備は拙くないとカーサは思っていたからです。
この日も勝手に幹英さんはランナーをためていって2死までいったもののピンチです。
打席にはマルティネスがたっていました。こんな時外野手は要注意です。当たれば
ボールが飛んできますから。
幹英さんが投げました。マルティネスがバットを振ります。ボールはバットにあたり、
ライトを守っていたカーサのほうに飛んできました。飛距離十分。フェンスとの距離を
見ながらカーサはバックしていきます。もしかしたら取れるかもしれない。フェンスに
ぶつかりそうだけどイチかバチかだ。カーサは去年もこの東京ドームで大飛球を
後ろ向きで取るというファインプレイをやっていたので、不思議とボールがとれそうだ、
と思ったのです。
フェンスギリギリまでくるとタイミングを計って勢いよくジャンプしました。のばした左手の
グラブにボールが吸い込まれます。やった!と思った瞬間でした。開くはずのない
フェンスが突然パカッと開いたのです。
フェンスにぶつかるはずのカーサの体はその穴に吸い込まれました。あまりに突然のことに
カーサは声をあげることもなく、ただただまっさかさまに落ちていくのでした。
551「不思議の国のカーサ」2:01/10/03 03:50 ID:L.mGzwZ6
ふと気がつくとカーサは芝生の上に寝ていました。ゆっくり起き上がるとそこには
見慣れた光景があります。
「あれ?市民球場…?」
そう、カーサは市民球場の外野に寝転がっていたのでした。うららかな雰囲気が
漂っていましたが、人一人いません。グラブを見やると、しっかりとボールを
持っていることに気がつきました。
「そういえば、俺は東京ドームで試合してたんじゃなかったっけ?」
その時でした。後ろから「ああ遅れちゃう、大変だ!」という叫び声がします。
ビックリして振り返ると、ライトスタンドの一番後ろから見慣れたユニフォーム姿の
男が慌ててこちらに向かって走ってきます。
「ああ、遅れちゃう、遅れちゃう。自作自演祭りに遅れちゃうよ!」
男はベルトのあたりから出ている懐中時計を見やって、慌ててフェンスに
よじのぼります。しかしバランスを崩してグラウンドに落ちてしまいました。
それでもムクッと起き上がると土をはらって走り出します。
「幹英さん!」
男の顔を見てカーサは思わず声を上げました。そうです、急ぐ男の正体はさっきまで
マウンドにいたはずの小林幹英です。
「なんだい、僕は急いでるんだよ。早くしないと自作自演祭りに間に合わない」
一言言い残すと、幹英は再び走り出します。自作自演祭りって何なんだ?
カーサは不思議に思いましたが、とりあえず幹英の後を追うことにしてみました。
552「不思議の国のカーサ」3:01/10/03 03:52 ID:L.mGzwZ6
幹英を追っていくとリーガロイヤルホテルの一室にたどりつきました。幹英が慌てて
入っていきます。勢いよく扉をしめられました。カーサはドアの前に立つとそっとドアに
耳をつけてみました。中からは少人数っぽいけど、楽しそうな声が聞こえてきます。
カーサはドアを開けて中に入ってみました。
中にはいろんなユニフォームを着た男たちがいました。カーサが知ってる人たちばかりです。
幹英さん、ドラゴンズのギャラード、ダイエーのペドラザ、そしてカープの先輩でもある
佐々岡さんもいます。
「なんだい、このメンツは?」
カーサは不思議に思いましたが、部屋にあった看板を見て納得しました。
“第2483回 自作自演投手祭り〜ノーヒットで2死満塁〜”
「なんて祭りだ」
カーサは唖然とその看板を見ていました。その時です。
「あれ、なんで森笠が来てるんだよ?」
ビックリして振り返ると、そこにはチームメイトの新井と東出がいました。
彼らの前には見たこともないようなご馳走が並べられ、2人はそれをほおばって
います。そしてそこには「来賓席」と書かれてあります。
「お前らこそなんでこんな所にいるんだ?来賓ってなんだよ?」
「何言ってるんだい?僕らが彼ら自作自演投手にとって必要不可欠なのは
 誰もが知ってることじゃないか!日頃からエラーしてやってるんだから
 このようなもてなしを受けるのは当然なんだからネ!常識なんだよ!!」
東出が無意味なほど強く言い返してきます。そういえば、新井や東出のほかにも
ヤクルトの岩村や巨人の江藤がご馳走をバクバクと食べています。
「だいたい、なんで森笠君はこんな所にいるモナ?エラーの出来ない選手が
 ここにいるはずないモナ」
蟹を食べる手を休めて、阪神の今岡が質問してきます。それを聞いて談笑していた
投手たちが一斉にカーサのほうを見ます。
「本当だ、呼んでないヤツがいる」
「自作自演に不必要な選手は、野球界にも必要ないぞ」
「誰か!あいつをとっ捕まえてやれー!!!」
その声にその場にいた選手全員がカーサに向かって駆け出してきました。
慌ててカーサは逃げ出します。
553「不思議の国のカーサ」4:01/10/03 03:55 ID:L.mGzwZ6
カーサは捕まらないよう一生懸命走りました。なんで俺が逃げなくちゃならないんだ!
エラーしないのは当たりまえだろ!!
走って走って、どのくらい走ったでしょうか、追っ手が来ないのが確認できると
カーサは足を止めました。よく見ると目の前にナゴヤドームがそびえたっています。
「なんでナゴヤドームが?」
そう思いつつもカーサはナゴヤドームに入っていきました。そこには中日の野手が
集合しています。集合しているというか、なぜかグラウンドで正座させられているのです。
とても変な光景です。カーサはズカズカとグラウンドに入っていく気にもなれず、
3塁側のベンチの影からヒソーリとその様子を眺めています。その時です。
「オラァ!!てめぇらのおかげで勝ち星がのびないんだよ!!」
「なんで投手がチャンスメイクしなくちゃいけないんですか!!」
「ΛιОЁйX~仝!?」
突然聞こえてきた罵声の飛んできた方向を見るとバットを持った山本昌、
川上、野口がグラウンドへとやってくるではありませんか。その顔は怒りに
満ち満ちており、野手陣は震え上がっています。
「今から俺たちがお前らに鉄拳制裁を加える。星野がいなくなって楽できると
 思ったら大間違いだぞゴルァ」
いつもと様子の違う昌にカーサはただただビックリするばかりです。
「山崎ぃ!チャンスで三振ばかりしてるんじゃねぇぞ!!」
バシーン!!「ヒイッ」
「関川ぁ!そんなにPOPばっかり打ち上げてんじゃねぇ!!」
バシーン!!「ヒイッ」
とても恐ろしい光景にカーサはとりあえずここを出ようと振り返ると、いつの間にか
後ろにヒソーリと人が立っているではありませんか。
「わあっ」
「驚きました?」
後ろにいた男は何事もなかったかのように聞いてきます。
「あんた誰だよ!?」
「僕…覚えてもらってないんですね。そうですか…」
そう放す男は阪神のユニフォームを着ています。
「あんた阪神の選手かい?」
「そうですね、「元」と言ったほうがいいかもしれません。新しい仕事場を探しに
 ここに来たんですけど、中日って怖いですね。もっとヒソーリできる職場がいいなぁ…」
男は独り言のように呟くと、ヒソーリ去っていきました。
12番って誰だろう?これだから後ろに名前のないビジターユニフォームは困るんだ!
とカーサは心の中で思いつつナゴヤドームを後にしました。
554「不思議の国のカーサ」5:01/10/03 03:57 ID:L.mGzwZ6
ナゴヤドームを出たカーサはトボトボと歩いて行きます。人はおらずどこを
歩いているのかさえもわかりません。歩いていると、遠くから照明の光が
見えてきました。あれは、と思ってカーサが小走りにかけていくと、そこは
横浜スタジアムでした。
横浜スタジアムに入ると、そこは見慣れたグラウンドではありません。一様に
木が茂っています。その木は花をつけていました。花は白く、なぜか全体に
「権藤」とプリントがしてあります。
「変な花」
カーサはその花を一つとってみます。バラのような形をした花でしたが、
作り物ではないようです。その花に見入っていると、ガサガサと音がします。
誰かがいるようです。カーサはその音に向かって歩き出しました。歩いて歩いて
その林を抜けようかというところで2人の男がせわしなく働いています。彼らは
ペンキで花々を真っ青に塗りつぶしていました。
「おい!何やってるんだ!!」
カーサが聞くと2人ともこちらを向きました。よく見るとそれはタネタネと
おかずのりではありませんか。
「この花を全部塗らないと、監督が怒るタネ」「そうでちゅ」
しかしあまりに急いでいるのか彼らの塗り方はめちゃくちゃです。
あたり一面にペンキが飛び散っています。カーサは手伝ってやることに
しました。3人での仕事は思ったよりはかどります。そんなに時間を
かけずに全部塗り終わりました。
「助かったタネ…」
555「不思議の国のカーサ」6:01/10/03 03:59 ID:L.mGzwZ6
その時突然ファンファーレが鳴り響きました。
「森監督がおこしになられる!!一同敬礼!!」
その言葉にタネタネとおかずのりは敬礼します。向こうからゆったりと森監督が
歩いてきました。3人の下へくると花を見て話しかけます。
「ほう…全部塗れたかい?」
「はいタネ!」
「それはよかった、やっと私の理想の姿になってきたな、ココも」
と言ってグラウンドにおいてあったカーサのグラブに目がとまりました。そこには
さっき取ってきた花が…。
「なんだ!まだ塗ってない花があるじゃないか!!何をやっとるんだ君たちは!!」
タネタネとおかずのりもそれに気付きます。カーサは慌てて花を隠しましたが、
気付かれた後でそれが何の役に立ちましょう。
「キーッ!君たちはまだそんなに権藤色を残したいのかね?私はあんなもの、
 すぐに消し去りたいのに!!お前らは罰しなければならないな。くそ」
森監督は怒ってパチンと指を鳴らしました。一人の男がやってきます。赤い
ユニフォームを着ているので、どうもカーサにとってまた見覚えのある男のようです。
またバットを持っています。近づいてくるその姿を確認してカーサはそれが誰だか
ようやくわかりました。
「松原さん、なんでここにいるんですか?」
しかし松原はその問いに答えようとせずチラリとカーサを見て言いました。
「今日も気が出てないな」
「へ?」
「お前は雑草エイトの中で最も気が出とらん。オーラが感じられん。
 素振り1000回追加じゃ!!」
よくわかりませんでしたが、カーサは差し出されたバットを持って素振りを始めました。
でも、いつもと何か違います。素振りをはじめてすぐ目が回ってきました。
カーサは強引に続けようとしますが体が言う事を聞かず、倒れこんでしまいました。
気を失う瞬間、カーサは松原の声を聞いたような気がしました。
「気が感じられないな、やっぱり」
556「不思議の国のカーサ」7:01/10/03 04:02 ID:L.mGzwZ6
「気が感じられん、担架だ担架!!」
気を失った時に聞いたような声でカーサは目を覚まします。真っ先に目に飛び込んで
きたのはほかでもない、松原の心配そうな顔です。
「気がついた!!」
キムタク兄さんが声を上げます。よく見るとほとんどの選手が集まってきているではありませんか。
「あれ?」
カーサは何が起こったかよくわかりません。
「お前フェンスに激突したんだよ、さっき。それでもボールを放さないところがすごかったけど」
金本兄貴が笑いながら説明してくれました。どうやら、さっきまでのことは全部夢だったようです。
左手を見るとボールをしっかりとグラブで握っていました。しかし、それだけではありません。
それに気付いた選手も皆一様に注目しました。
「なんだそれ?」
キムタク兄さんが聞きます。
「さあ…きっと上の巨人ファンが投げ込んできたんでしょう」
そう言うとカーサはボールと一緒に握っていたあの花をそうっとポケットに隠したのでした。

あれは夢か幻か。それは名プレーヤーになった今でもカーサにとって謎のままなのです。
55764:01/10/03 04:06 ID:L.mGzwZ6
いくら記念とは言え変な話を書いてしまった。
一応フィクションなのでカーサが名プレーヤーになるかどうかは知りません(w
柔和な雰囲気を出そうとしてキムタクに「兄さん」をつけてみたが、
似合わなさすぎる。あと、ギャラを自作自演に入れていいんだか迷いました。
ちゅにちファソにはすまんことをした…。

5に誤字あり。×放す→○話す。気がついたとは思うけど。
1日早い誕生日記念を残してみました。カーサの誕生日くらい球場行くか(w
55864:01/10/03 04:36 ID:L.mGzwZ6
誤字は4だった。鬱だ寝よう
559 :01/10/03 06:25 ID:VZAyIZ2A
面白かったYO!
560 :01/10/03 22:16 ID:dsmqsjvQ
小林幹英勝利投手age
561代打名無し:01/10/03 23:38 ID:vxvFtifw
「不思議の国のカーサ」面白かったよ〜。
他球団スレの話題も盛り込まれていてうまい!
562  :01/10/03 23:44 ID:VdP9sisg
おもわず背番号12、名鑑でヒソーリ調べてしまったよ。
563(・ ε ・):01/10/04 01:01 ID:IqsVaCyo
デ、誰だったの?(w
56464:01/10/04 01:23 ID:cglc8MCk
ヤパーリオサムチャンってあまり知られてなかった?
あの話に関連するスレをはるんで興味があればどうそ(w
話の導入部分は9月26日東京DのGC戦、一打逆転の場面で
●の大飛球をカーサがジャンピングキャッチしたところを使用しました。
投手を覚えてないんだけど、たぶん幹英じゃなかったので半フィクションっす。
・ペドラザのサスペンスぶりがわかる「若田部健一のタテマエとホンネ〜若さまご乱心〜」
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi?bbs=base&key=998310614
・ちゅにち投手陣「( ´昌`)( ・w・)ъ( ゚ー´ ) 応援スレ2」
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi?bbs=base&key=1001505842
・阪神の12番「オサムチャンヒソーリセンリョクガイ」
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi?bbs=base&key=1001679188
56564:01/10/04 01:36 ID:cglc8MCk
「どうそ」かよ!(鬱
勿論「どうぞ」と言いたかったのであって、あまりに鬱すぎるので
録画中継終わったら寝様
566 :01/10/04 01:38 ID:YnblKj6w
>>563
星野修だよ
567(・ ε ・):01/10/04 01:49 ID:IqsVaCyo
カーサのダイビングキャッチはシューリーのときっす
ベンチで抱きついてた(w
56864:01/10/04 02:12 ID:cglc8MCk
なんだかあっけない中継だった

>>567
そうだったんか〜。あの週は忙しくて記憶がないよ
教えてくれてどうもでした
569代打名無し@ス:01/10/04 23:31 ID:L7qHAD6U
一度あげとくよ。

今年は(・ ε ・)はもう限界かな。去年もこんな感じで「マッチ売りのアキヒロ」のネタが
思いついたことを、最近やたらと思いこさせるんですが・・・(鬱
去年はそれでも野々垣に替えられて、この頃はペンチを暖めていたけどね。
今年はそんな事情でもなく・・・。岡上急成長必至と共に東出スタミナ改善が
来年の最重要対策の一つっすね。体力さえあればメンタル面も余裕があるから・・。
でも去年に比べたら、かぷに対して希望をもてるようになりやした。あとは
首脳陣が間違った方向へ行かないことを祈るばかりっす。

さて「広島家の人々」と「ベッチレラ」、どっちの続きを書こうか・・・。
570 :01/10/05 01:02 ID:IzNamdyg
あげー
571 :01/10/05 01:24 ID:vHLlpV6w
>>569
「このマッチしけている…」は名言でした(w
572(`)ε(´):01/10/05 01:38 ID:wc2GIemQ
広島家の人々きぼん

せめてここでは幸せ(?な(・ ε ・)が見たいっす・・・
573広島家の人々84:01/10/05 03:17 ID:VA6npK06
玉木の店に現れた胡散臭い風体の男に、博樹はカバンの中から広島家の土地や家屋の
権利書を取り出し、渡そうとしていた。

そうだ。邪毘屋の風下だけには立ちたくない。この男だけが邪毘屋以外に融資を申し出た。
だから俺は・・・。

相手の男は、博樹が差し出した数種類の権利書を、ふ〜んと建前上でパラパラめくると、
サッとそのまま博樹に返した。
「あ・・・。」
予想もつかない相手の行動にアッケに取られて、博樹はしばらくの間反応できない。
「土地や家は別にいいんですわ。博樹さん、あんたのところまだ弟さんが4人も残っている
やろう。もし、それが全部のうなってしもうてもええんのんか。」
「しかし、それでは担保は・・・。」
「担保はある。」
男はニヤリと笑って、ビシッと指を突き出した。それはまっすぐ博樹の胸元にささる。
「・・・・・・俺?」
「そう、博樹さん、あんた本人が担保じゃ。」
「そ、それは、一体どういう意味ですか。」
「借りた金がもし返せなかったら、あんたの身の上はワシが自由に扱わせてもらうっ
ちゅうこっちゃ。」
「・・・・・・。」
目を丸くしたまま、博樹は返事を返すことができない。
「まあ、いきなりこんな話を持ちかけて、即契約とはいいませんわ。よくよく考えて
ください。ワシは、いつでも構わんけぇ、契約の時はここに連絡してください。ほいじゃ!」
男は落ち着きのない動作で立ち上がると、さっさと玉木の店を出て行く。
後には呆けたようにボーッと前を見ている博樹が残された。
「博樹さん、やめた方がいいですよ。」
じっと動かない博樹を心配して、新しいコーヒーを持って玉木が博樹のいるテーブルに
やってきた。
「弟さんがまだいらっしゃるんでしょう。どんなことがあっても兄弟が離れてしまうのは
一番いけませんよ。」
574代打名無し@ス:01/10/05 03:22 ID:VA6npK06
どうして自分はここにいる?俺がやろうとしていることは何なんだ?

出だし1行入れ忘れた・・・(鬱
広島家の人々とリクエストがあったんで、ところが出番が(・ ε ・)から[・ ε ・]
のエピソードへ。あともう少しで(・ ε ・)再登場なのにね。時間オーバー。
スマナイ。続きは土曜日に・・・。

>>571
あんがとよ〜(w あんなネタまた書いてみたいな。どうも最近は長編傾向でのぅ・・・。
575(ヽ`_ゝ´):01/10/05 21:19 ID:fEiTNX.c
坊主が娘作っちゃ悪いか?
576 :01/10/05 21:53 ID:2sDnU02g
>>575
誰がそんなこと言ったよ?
おめでとうな

順序が違う気もするが…
577(‘ ε ’):01/10/06 01:53 ID:QwiW/PZg
>576 順序は今あまり関係ない時代モナ。
578 :01/10/06 02:06 ID:DXkI1VJY
今日は無いかな〜?
579番外編「サウスポーの約束」1:01/10/06 03:19 ID:sZbGMtGk
緋鯉村にはいささか翳りも見えてきていたけれど、それでも人々は希望を
失わずに生きていた、これはそんな頃のお話し。

貴哉は今日も今日とて釣りに来ていました。毎日河豚しか釣れなかったし、
通り過ぎる人々の失笑はかっていたけど、それでも貴哉は釣りが好きだったし、
いつかは大物が釣れるであろう事を夢見て釣り糸を垂らしていたのでした。
「何か釣れたかい?」
後ろから声をかけられて貴哉は慌てて振り返ります。そこには40くらいの
とても優しそうな男の人が立っていました。
「懐かしいな、僕も昔は君のように毎日釣りをしていたもんだよ」
「そうなんですか?」
「ああ、でも最初は河豚しか釣れなくてね」
とその男性は河豚の入った貴哉のバケツを見て微笑みます。
「じゃあ、何かほかのものが釣れたんですか!?」
貴哉は目を輝かせて聞き返します。
「勿論。腕さえ上げれば何だって釣れるよ。よし、おじさん暇だし
 明日からでもここに来てあげようか?」
「ハイ!」
なんていい人なんだろう。貴哉は河豚以外の魚が釣れると思うと胸の高鳴りを抑えられません。
「今日はこれから寄る所もあるし、この辺で失礼するよ」
男性がにこやかに笑って立ち去ろうとします。最初はボーッと見送っていた
貴哉でしたが、あることに気付いて小さくなった男の後姿に声をかけます。
「あのー、お名前教えてください!」
男性は振り返って叫び返してくれました。
「僕は大野。今日この村に帰ってきたんだ」
貴哉は大野の姿が見えなくなるまで見送っていたのでした。
580番外編「サウスポーの約束」2:01/10/06 03:22 ID:sZbGMtGk
それから毎日貴哉と大野は同じ場所で会い、同じ場所で釣りをするのが
日課となっていました。一人の時より楽しかったし、何より大野を見ていると
とても勉強になるなあ、と貴哉は毎日感心していたのでした。
大野が初めて釣りに来た時、貴哉はとても驚きました。見たこともない上等な
釣竿を持ってきたからです。貴哉の持っている今にも折れそうなものとは
全然違います。どこで手に入れたのか貴哉が聞くと、「どこだったかなあ」と
はぐらかして教えてくれませんでしたが、当時に、
「でもな、道具だけじゃダメなんだよ。それを使いこなせる技術も持たなければいけない。
 じゃないと宝の持ち腐れになってしまうからね。道具を気にするのは、自分の技術に
 自信をもった後でいいんだよ」
とも言ってくれました。たしかに大野の技術は素人の貴哉から見てもすごいものでした。
いとも簡単に魚を釣り上げていきます。
「僕も大野さんのように上手くなってみたい」
貴哉がボソッと呟いたことがありました。そのとき、大野は貴哉のほうを向いて言いました。
「上手くなりたいんなら行動にうつさないとダメだよ。指をくわえて見ているだけじゃ
 ずっと今のままで終わってしまうぞ。何か疑問があったら聞く。自分で盗めるものは
 見て盗む」
「はい!」
いたく他人行儀な返事を返した貴哉を見て、ちょっと間を置いて大野は続けます。
「僕も君くらいの時は下手糞だったよ、この前言ったみたいにね。でも、僕も
 ある時とても釣りの上手いおじさんに出会ってね。怖い人だったけど、
 わからないことはきちんと教えてくれる人だったし、見てるだけでも勉強になった、
 だから毎日そのおじさんを見ては不思議に思ったことを聞いて勉強したんだ。
 それがあったから今の自分があるんだ」
「なんか、今の僕みたい…」
「だろ?君もきっと一人前の釣り人になれるよ。それは自分次第だけどね」
「わかりました、僕頑張ります」
「そうかそうか」
大野はとてもうれしそうです。
「じゃあ、早速一つ質問していいですか?」
「いいよ、なんだい?」
581番外編「サウスポーの約束」3:01/10/06 03:25 ID:sZbGMtGk
大野と出会って2ヶ月余りたちました。佐々岡の爺からは「また釣りですか?」と
小言ももらうようになっていましたが、貴哉は気にしません。いつもの場所へ
行くのが楽しみでなりませんでした。出会った時より大野が少し痩せて見えるのが
気になってはいましたが…。
この頃になると大野は少しずつ貴哉を褒めるようになってきました。そして、口癖のように
「そろそろ大物が釣れると思うんだけどなあ」
とも言っていました。けれども貴哉のバケツに河豚以外の魚が入ることはまだありませんでした。
ただ、この日は少し様子が違っていました。いつもはあんなにかかるはずの河豚さえ釣れません。
おかしいなぁ、と貴哉が思っていた時でした。
ククッ
竿の先が動きます。貴哉は慌ててその様子をうかがいます。いつもとは違う引き方に
貴哉は焦りを隠せません。平常心を装おうとしても無理な話です。大野も貴哉の様子に
気付き貴哉の後ろにつきます。
「むやみに引っ張らないで、タイミングを合わせる!…そう、そう」
大野のアドバイスで貴哉はいくらか冷静になった自分自身に気付きました。
大野さんが見守っていてくれてる、自分が…自分が頑張らなければ!
初めてのこの敵との戦いは予想以上の時間がかかりました。相手にタイミングを合わせ、
向こうが油断した瞬間に引き寄せる、それのくり返しです。貴哉の力もそろそろ限界かと
いう時です。
「貴哉君、引っ張って!」
大野の声で最後の力を振り絞ってえいっ、と引っ張ると、観念したかのようにその敵は
自分の目の前に姿を現しました。全く見たことのないその姿に貴哉は喜びを感じる前に
ただ茫然とするばかり。大野は横で納得の表情で見つめています。釣り上げた魚
――全身真っ黒でヒレに橙の線が入っているその魚は、地上でまだビチビチとはねています。
「どうでしたか、初めての感触は?」
大野に聞かれて初めて貴哉は何か考えようとしますが…
「なんか突然のことでビックリというか…」
と言ったまましばらく言葉がでてきませんでした。大野はニコニコしています。
「でしょう。初めてのときはそんなものですよ」
582番外編「サウスポーの約束」4:01/10/06 03:27 ID:sZbGMtGk
暑い暑い夏がやってきました。貴哉は相変らず釣り糸をたらしていましたが、
その横に大野の姿はありません。ほんの数日前、
「じゃあまた明日」
というお決まりの挨拶をかわして別れたのに、大野はそれ以来ここにやってきません。
貴哉に熱心に教えるその姿が、痩せる、というかやつれてきているように見えてきていたのは
確かです。貴哉はだんだん不安になってきました。しかし、貴哉が大野に会っているという事は
誰にも話してませんし、ましてや大野のことを知っている人などいるのでしょうか?どうしよう。
貴哉は散々迷った挙句いつも最後に頼りにしている人に聞いてみることにしました。
「ねえ爺や、この辺に大野さんって人いる?」
佐々岡の爺はビックリして貴哉を見ます。
「知ってるも何も私たちの兄貴分ですよ。どうして貴哉坊ちゃんが大野さんを知ってるんです?」
貴哉はこの数ヶ月のことを爺に話します。突然こなくなったことも。
「うーん…あんなに責任感強い人が突然来なくなるなんて、何かあったとしか思えませんねぇ。
 昔の家にいれば会えるかもしれませんけど」
貴哉は何も言わずすがるような目で佐々岡の爺を見ます。
「そんな目で見ないで下さいよ、貴哉坊ちゃん。草むしりが終わったら行ってみましょう。
 だから坊ちゃんも手伝ってくださいな」
583番外編「サウスポーの約束」5:01/10/06 03:31 ID:sZbGMtGk
大野の家はそんなに遠いところにはありませんでしたが、とてもひっそりしていて
人がいるようには思えません。玄関をたたいてみますが、誰も出てきません。
「ここにはいないのかもしれませんねえ」
佐々岡の爺は困ったように呟きます。貴哉は下を向いたままです。帰ろうとしたその時、
2人の前にポンコツ三輪車がすごい音を立てて止まりました。土煙がたち、2人は咳き込みました。
「こら!危ないじゃないか」
三輪車から降りてきたのは町医者の福永です。広島家でもよくお世話になっている
彼は大野の家に入ろうとします。
「福永さん、大野さんはそこにいるんですか?」
慌てて佐々岡が聞きます。
「ああ、いるにはいるが数日前から彼は寝込んでるよ」
そう言うと福永医師は大野の家に入っていきます。佐々岡の爺と貴哉は一瞬
顔を見合わせましたが、すぐ福永医師の後を追いました。
福永医師の言う通り、大野は部屋で安静にしていました。医師の後で部屋に
入った2人を見て驚き体を起こそうとしますが、福永医師にたしなめられて再び横になりました。
「釣り、行けなくてごめんな」
大野の一言に貴哉は慌てて首を横に振りました。当然です。どうみても釣りが
できる状態ではありません。
医師の話によると、大野はその人柄と有能さを買われ仕事場を移り緋鯉村に帰ってきた。
しかしなかなか仕事場の人間関係に馴染むことができず、ついに体を壊すまでになって
しまったといいます。体を治すにはとりあえず今の仕事をやめストレスをとるのが一番だ、
ということも福永医師は付け加えて教えてくれました。
「大野さん…無理しないで下さい」
口を開いたのは佐々岡だった。
「僕の知ってる大野さんはものすごく輝いていて、何があっても前向きで
 見ている自分たちも勇気付けられました。そんな大野さんに戻ってほしいですよ」
佐々岡の爺と大野の間には何か長年の信頼のようなものがあるようで、
貴哉は言葉をはさむのをためらってしまいました。大野は佐々岡の爺の
言葉を聞いてしばらく目を閉じた後そのまま安堵したように呟きました。
「ありがとう…」
584番外編「サウスポーの約束」6:01/10/06 03:34 ID:sZbGMtGk
結局大野は仕事をやめ、新しい仕事と体調を整えるために東京へ向かうことに
なりました。貴哉は一抹の寂寥感を感じたものの、仕方のないことだと割り切る
しかありませんでした。
大野が緋鯉村を去るその日、貴哉は佐々岡の爺とともに鯉城駅まで見送りに行きました。
大野は2人の見送りをとても喜んで、そして「これを」と言ってた貴哉にあるものを渡します。
「これ…こんないいもの、僕にはまだもらう資格はないです」
それは大野の愛用していた釣竿でした。大野はその言葉を聞いてないかのように貴哉に質問します。
「あの時貴哉君に話しかけたのは、わけがあってね」
貴哉は不思議そうに大野を見つめます。
「貴哉君、君は利き手はどっちだい?」
「左です」
「僕もだよ」
貴哉は初めて気がつきましたが、よく考えれば兄弟と釣りをする時に自分だけが
感じる違和感を大野といる時だけは全く感じていませんでした。
「釣りの上手いおじさんの話を前にしたよね。…その人も左利きだったんだ。
 だからついその時のことを思い出して声をかけてみたんだよ」
汽笛の音が聞こえます。そろそろホームに汽車が入ってくるようです。
「僕はまたこの村に帰ってくるよ。貴哉君、約束しよう。だからその時は
 僕をビックリさせるくらいの名手になっていると君も約束してくれるかい?」
貴哉はあまり自信がありませんでしたが、ほかでもない、大野との約束です。
「はい、頑張ります。僕、きっと大野さんのようになります」
力強い貴哉の返事に大野はうなずくと左手を差し出しました。貴哉も左手を出します。
2人はガッチリと握手をかわしました。
大野を乗せた汽車は東へ向けて動き出しました。車両が見えなくなった後もしばらく
貴哉はホームで汽車の去った方向を眺めていたのでした。大野にもらった釣竿を握りしめて。

今日も貴哉は釣り糸をたらしています。河豚以外の魚は滅多に釣れませんが、
それでも貴哉はあの時の約束を忘れることなく、ずっとずっと釣り糸を垂らしているのでした。
58564:01/10/06 03:41 ID:sZbGMtGk
ホームテレビの中継を見ていてふと浮かんだネタを思いつくまま
書いてみました。ある程度事実に基づいて(w
本筋に影響してるような影響してないようなくらいの距離で
サイドストーリーをしばらく書いてみます。
助清さん同様たまに暴走することもありますが(助清さんスマソ)

>>577
ワラタ。そういえば(‘ ε ’)もできちゃった婚だったな
58664:01/10/06 03:44 ID:sZbGMtGk
スマソ、また訂正…
>>584 ×言ってた貴哉に→○言って貴哉に
新井の空振り三振並にお約束になって来た自分の誤字訂正に激しく萎え
587(‘ ε ’)=577(w:01/10/06 03:54 ID:1/f2lZ2k
>585 面白かったモナ。サイドストーリー、期待してるモナ。
588 ε ・):01/10/06 13:56 ID:xcyukuns
ここで癒して・・・・
589 :01/10/07 02:26 ID:twC4GOG2
今日も楽しみだっす
590広島家の人々85:01/10/07 02:32 ID:8X5sPaU.
前回>>573

緋鯉村は、いつしか邪毘屋以外に金を借りる手段が取れないシステムに組み込まれて
しまっていた。それは村長である広島家も例外でない。真綿でしめるようにジワジワと
緋鯉村を襲う貧乏と不幸の連続は、とうとう本丸である広島家をも落城させようとしていた。
広島家が落ちれば、緋鯉村はすべて邪毘屋のものになる。
「これは俺や広島家だけの問題じゃない。緋鯉村全体のことなんだ・・・。」
やっと搾り出すように博樹の声が洩れる。
「・・・・・・。」
玉木がふうっとため息をこぼした。
「・・・だったら、せめて弟さんたちにちゃんと相談してから、事を決めなさい。
博樹さん、また一人で悩みを溜め込む、あなたの悪い癖が出ている。」
・・・前に竜士に同じようなことを言われたような気がする。博樹の脳裏に竜士、貴浩、
貴哉そして輝裕の姿が次々と現れた。輝裕・・・!
突然、博樹はバタンとソファから立ち上がった。
「博樹さん!」
ハッと我にかえって、博樹は玉木の店内を見まわした。
ここは夢の世界。自分が、いや広島家が求めてやまなかった希望の世界・・・。
「・・・・・・そうですね。一度弟と話をしたほうがいいですね。」

小路から表の大通りに戻ると、すぐ横の石造の建物の壁に一人の端正な顔立ちの男が
タバコを吸いながら、博樹を待ち構えていた。男は博樹と一切目をあわさず、空を見上げ
ながらタバコを吸っている。胸にはサラシを巻き、藍色のかすりの着物を身体を動かし
やすいように着こなしていたが、気弱そうに見える男の雰囲気とその恰好はひどく違和感
があるように感じられた。
「・・・借金はしないほうがいいですよ。」
591広島家の人々86:01/10/07 02:33 ID:8X5sPaU.
ふいに言葉をかけられた博樹は、驚いて横のサラシの巻いた男に振り向いた。男はまだ
空のを見上げたまま、独り言のように呟く。
「身の丈にあった暮らしが一番幸せなんですよ・・・。たとえ生活が苦しくても。無理をすれば、
必ずそのツケは帰ってくる。ボクのようにね・・・。」
「それは、どういう意味ですか?」
男は、初めて博樹の方に振り向いて寂しげに笑った。
「担保。」
「・・・・・・!」
「これでもボクには子供がいて、しかし借金のコレでなかなか会うことも許されません。
子供がくわしい事情を知らないことが救いですが、しかし、あの子もうすうす感づいている
でしょう。いつ危険な行動を起こすか・・・。」
「・・・そうですか。」
男の話を聞いているうちに、博樹の呼吸が落ち着いていく。
「本当に、もうどこにもあなたの家にはお金が残っていないのですか?」
「いえ、一ヶ所だけ手をつけていない金が・・・。ありがとうございます。その金で盆の金は
返済することにします。借金はしません。」
男は寂しげな、だがどこかうれしそうな笑顔を博樹に向けた。
「おっと、ここにいることを親方にバレたら大変だ。」
男は急にアタフタとタバコを地面に潰し、その場を去ろうとする。博樹は腕を伸ばして、男の
名前を尋ねた。
「建、建さんとでも呼んでください。なに、また会うこともあるでしょう。」
博樹は深々と一礼した。
「身の丈にあった暮らしか・・・。」
貧困のスパイラルに巻き込まれても、いつも広島家は村人より一歩先、どこか背伸びをした
気風を保とうとしていた。父浩二の洋風趣味しかり、長男博樹の進学しかり、そして輝裕
の進学・・・。
大通りに立たずむ博樹の前を、無邪気な笑顔で学生服姿の青年たちが通り過ぎていく。
そのうちの一人が博樹には輝裕の姿に変わっていく。輝裕は笑っている。
「す、すまない・・・。」
覚悟は決めたはずだった。だが博樹の心はまた、いいようもない罪悪感で押しつぶされそう
になっていた。
592 :01/10/07 04:45 ID:Oi/f2d4s
建たんカコイイ(w そっか〜担保のせいで賭博氏やってたんだ〜
悩む[・ ε ・] もいい!(いやいや)切ないの〜
593広島家の人々86(改訂版):01/10/07 05:37 ID:8X5sPaU.
ふいに言葉をかけられた博樹は、驚いて横のサラシの巻いた男に振り向いた。男はまだ
空を見上げたまま、独り言のように呟く。
「身の丈にあった暮らしが一番幸せなんですよ・・・。たとえ生活が苦しくても。無理をすれば、
必ずそのツケは帰ってくる。ボクのようにね・・・。」
「それは、どういう意味ですか?」
男は、初めて博樹の方に振り向いて寂しげに笑った。
「担保。」
「・・・・・・!」
「これでもボクには子供がいて、しかし借金のコレでなかなか会うことも許されません。
子供がくわしい事情を知らないことが救いですが、しかし、あの子もうすうす感づいている
でしょう。いつ危険な行動を起こすか・・・。」
男は担保になったこと、借金返済の苦労などせつせつと博樹に語ってくれた。
「・・・そうですか。」
男の話を聞いているうちに、博樹の呼吸が落ち着いていく。
「本当に、もうどこにもあなたの家にはお金が残っていないのですか?」
「いえ、一ヶ所だけ手をつけていない金が・・・。ありがとうございます。その金で盆の金は
返済することにします。借金はしません。」
男は消え入りそうな、だがどこかうれしそうな笑顔を博樹に向けた。
「おっと、ここにいることを親方にバレたら大変だ。」
男は急にアタフタとタバコを地面に潰し、その場を去ろうとする。博樹は腕を伸ばして、
男の名前を尋ねた。
「建、建さんとでも呼んでください。なに、また会うこともあるでしょう。」
博樹は深々と一礼した。
「身の丈にあった暮らしか・・・。」
貧困のスパイラルに巻き込まれても、いつも広島家は村人より一歩先、どこか背伸びをした
気風を保とうとしていた。父浩二の洋風趣味しかり、博樹の進学しかり、そして輝裕の進学・・・。
大通りに立たずむ博樹の前を、無邪気な笑顔で学生服姿の青年たちが通り過ぎていく。
そのうちの一人が輝裕の姿に変わっていく。輝裕は笑っている。
「す、すまない・・・。」
覚悟を決めたはずだった。だが博樹の心はまた、いいようもない罪悪感で押しつぶされそう
になっていた。
594広島家の人々87:01/10/07 05:38 ID:8X5sPaU.
貴哉と輝裕が家に着いた時は、既に日も暮れ、空に満天の星が輝きはじめていた。
だが、家のどこにも灯りがついていない。
「まだ爺も博樹兄ちゃんも帰ってきてないんだね・・・。」
「竜士兄さんも・・・。」
どこかお化けでもでそうな真っ暗な家に、二人は忍び足で近づいて玄関の扉を開けた。
「電気、電気!!」
貴哉が手探りで壁をさぐり、スイッチを入れた。ぼんやりした黄色い裸電球が二人を
照らす。それでもシーンと家の中は不気味なほど静まり返っている。
「さっさと寝よ。怖いよ、なんだか!」
輝裕はわざと大きく身震いして、さっさと2階の自分の布団のある部屋に駆け上がって
いってしまった。
「う、うん。」
貴哉も玄関の戸締りを確認すると、輝裕の後を追って階段を上がり、布団の中にもぐった。


あれっ、ここはどこだろう?どこかで見たような風景だけど思い出せない・・・。
ふと目が覚めた貴哉は思いがけない周りの光景に戸惑い、飛び起きようとした。
しかし、身体の一部の自由がきかない。
「・・・手錠!!」
貴哉の両手に手錠がかけられていた。あわてて貴哉は周りをもう一度見回した。
閉じ込められた部屋は3畳か4畳くらい。くすんだ灰色の壁に粗末なベット。窓には
鉄格子がはめられ、申し訳程度に備え付けられた机には桶が置いてあり、中では
河豚がすいすいと気持ちよさそうに泳いでいる。
貴哉はどうにかこの状態を打開しようと、ベットの上で体勢を変えて、下にずり落ちた。
手錠をつけながらも、貴哉は何とか立ち上がることができた。と、その時、入り口の
扉の向こうからビシィと革のしなる音がした。
「えっ?」
貴哉は身を構えた。
「ったく、この忙しい時に本官の仕事の邪魔をしおって。いつまでもシラを切らず
さっさと白状せんか!」
595広島家の人々88:01/10/07 05:42 ID:8X5sPaU.
それはムチを持った刑事の緒方だった。
「えっ、い、一体なんのことですか?」
さっぱり事情がわからない。貴哉は気が動転しながらも、緒方に質問を返した。
「そういう態度が人を馬鹿にしているんだよ!」
青筋を立てて、緒方は貴哉にムチを振り下ろす。
「うわぁぁ!」
「お前だろ!広池さんの財布を盗んだのは!善良な一市民のフリをして、
暇さえあればスリ強盗の数々。シラを切ってもこっちで調べがついているんだ。
いい加減、己の罪を認めないか!!」
もう一度ムチが振り下ろされる。すんでのところで、貴哉はムチをかわした。
「ち、違います!ボクが広池さんの財布を盗むなんて、どうしてそんな・・・。」
「こざかしい!この件は広池さんの申告もあるのだ。それでもお前は!!」
「うわぁ!」
今度はムチの先が貴哉の肩に当たった。緒方はだんだんと間合いをつめていく。
狭い部屋の中、このままでは緒方に完全に捕まり、無理矢理自白を強要されてしまう。
どこか逃げ道はないか。貴哉は緒方の向こうにある入り口をジッと睨んだ。
一時でも目の前の緒方を倒せば、あそこから逃げられる。それには・・・。
貴哉の横で、桶の中の河豚がポチャッと水音をたてた。
そうだ、これしか・・・これしか方法がない。
貴哉は、手錠で自由のきかない両手を強く握り、バットにボールを当てるように、
両腕で河豚の桶を緒方の顔面めざして飛ばした。
「うわっ!」
目標から少し外れたが、桶は見事緒方の胸元にあたり、そこから飛び出した水しぶきで
緒方は一瞬視界を失った。河豚がビチャッと床に落ち、ビチビチ身体を揺らしている。
「河豚・・・、ご、ごめん!」
貴哉は心の中で何度も河豚に謝り、緒方の横をスルリと抜け、部屋を飛び出した。
596広島家の人々89:01/10/07 05:46 ID:8X5sPaU.
手錠で身体のバランスがとりにくい。だが、ここは何としても逃げ切らなければ、自分に
無実の罪が着せられてしまう。でも、どうして広池さんが・・・?
駐在所と向かい合う通りの先に広池がいた。あ・・・と貴哉は短い声をあげ、広池のもとに
駆け寄った。
「違います!ボク、広池さんの財布なんか盗んでいません!」
だが、広池は冷たい視線で貴哉に一瞥をくれただけだった。
「キミには、がっかりさせられたよ・・・。」
「えっ?」
貴哉の頭の中が真っ白になった。緒方がムチを持ち、貴哉の後を追いかけてくる。
広池も貴哉の腕を掴み、緒方に突き出そうとする。貴哉は強く広池の手をふりかぶって、
別方向に逃げ出した。緒方ばかりでなく、広池までも貴哉を捕まえようと執拗に追い
かけはじめた。
「どうして・・・どうして・・・どうして・・・!」
貴哉は泣きたくなった。どうしてこうなったのかわからない。緒方と広池はどこまでも
貴哉の後を追いかけていく。手錠をつけられたまま、走りつづけるのも相当苦しく
なってきた。
「たすけて!たすけてUFO仮面!」
いつしか貴哉は、存在するはずのないヒーローに助けを求めるようになっていた。
もちろんUFO仮面が貴哉を助けにくるはずがない。だが・・・
「あ・・・!」
貴哉の目が輝いた。白と赤の覆面マスクをかぶったUFO仮面が、貴哉の行く先に
例の特異なポーズで構えていたからだ。
「ほ、本当にいたんだ、UFO仮面!」
UFO仮面は、一発の手刀で貴哉の手錠を引きちぎった。そして貴哉を後ろにかばい、
ムチを持った緒方と広池の前に立ちはだかる。
「後は頼んだよ・・・UFO仮面!」
ホッとした反動で、貴哉は地面に倒れこんだ。まかしとけ!と、UFO仮面は親指を
あげた。息をぜぇぜぇさせて、貴哉は満面の笑みでうなづいた。
「無実の人間に、あらぬ罪をきせては暴利をむさぼる。お前らのような悪どい輩は、
このUFO仮面が許しておけぬ!」
「なにぃ、いいがかりをつけているのは、どっちの方だ。」
緒方は眉をひそめ、ムチを地面にしならせる。広池も冷たくUFO仮面を見返す。
「さあ貴哉くん、こんな時こそあのポーズだ!」
「う、うん!」
597広島家の人々90:01/10/07 05:48 ID:8X5sPaU.
貴哉は感激に胸いっぱいで、UFO仮面と一緒に、あの特異なポーズの「UFO仮面」
を名乗った。
「がんがれ、UFO仮面ー!」
「おう、まかしとけー!!」
だが、UFO仮面はあっけなく緒方のムチの一発に倒されてしまう。
「えっ・・・。」
もう一度、UFO仮面は反撃を試みるが、今度は完全にトドメをさされてしまう。
「・・・・・・。」
一瞬、場内は静まりかえった。
「す、すまない!貴哉くん!」
突然、UFO仮面はスタコラサッサと逃げ出した。
「ぇええええ!!」
邪魔者がいなくなった緒方と広池は、片頬をあげてニヤリと笑い、貴哉との間合いを
つめていく。その横を
「貴哉くんに謝りなさい!UFO仮面!!」
息せき切って小林青年がUFO仮面を追いかけ、通り過ぎていく。
「UFO仮面が・・・UFO仮面が・・・。」
パニック状態の貴哉に、緒方は容赦なくムチを振り上げる。貴哉から悲鳴があがった。
「ぎゃぁあああああああああああ!!」


「う、うるさいよ・・・貴哉兄ちゃん・・・。」
隣の布団で両耳に手をあてて、輝裕が突っ伏していた。輝裕の声にえっ?と我にかえり
貴哉は部屋を見まわす。いつもの自分の家、自分の寝室、布団だ。
「ゆ、夢だったのか・・・。」
ホッとすると同時に、ショックで貴哉はポロポロと涙をこぼした。
「よっぽど夢見の悪い夢でも見たんだね・・・。」
UFO仮面が・・・UFO仮面が・・・と何度もつぶやいて泣く貴哉に、輝裕も少しばかり
同情する。その時、二人の部屋の襖が音もなくスッと開いた。
「ひぃっ」
幽霊か!二人は恐怖に身を固めた。
「あっ、博樹兄ちゃん!」
598代打名無し@ス:01/10/07 06:01 ID:8X5sPaU.
86の文章があまりにひどすぎたんで、うぷしなおしやした(鬱

>>592
建、カコヨカタ?(w それは良かったある。
[・ ε ・]はまだまだこれから悩むのだよ。今の何事にも動じなくなる
[・ ε ・]に、いつになったらなるのかのぅ。

>>585
へへへっ、今日のは暴走してるかもしれんね・・・(汗
64さんに続き連チャン貴哉ストーリーになりやしたっすな。
また次のお話楽しみにしてます!
599(・ ε ・):01/10/07 22:22 ID:1udVfnQQ
ageるよ!
600 :01/10/08 03:44 ID:5/qr7pZs
夢でヨカタ・・・緒方んがへ(略だったらどうしようと(w
601 :01/10/08 21:04 ID:H7oxubeY
(’。’)10ショウメダヨ…キネンニアゲルカラネ
602代打名無し@ス:01/10/09 00:42 ID:G4bP6nJA
一度あげときやす。

>>600
夢オチっす、大丈夫だよ(^^; でも河内・山内のアレは絶対ネタにするとしても
敵役は誰にするかあんま考えないで書いていたから、緒方がいい位置で初登場して
くれて助かった。夢の中とはいえ、こんな役出来るの、緒方かノムケンぐらいっす。

>>601
もう無理かと思ってたよ。おめっとさん(w 来年もがんがってくれ!
603広島家の人々91:01/10/09 02:26 ID:hTDHkUxc
博樹も二人のオーバーな反応に一瞬不意をつかれて、後ろにのけぞった。
「大丈夫か、さっき貴哉の悲鳴が聞こえたようだが・・・。」
あわてて貴哉は首をふった。
「博樹兄ちゃん、今、帰ってきたの?」
「あ、ああ・・・。」
後ろから貴哉が輝裕の肩をツンツンと指でつつく。
輝裕はパッと笑顔で、布団の下に隠した巾着袋を取り出した。貴哉も広池からもらった
お金も一緒に博樹に差し出す。
「お前たち・・・。」
「博樹兄ちゃん、これ、盆の返済に使ってよ。」
「ボクたち二人が集めたんだ。」
しばらく言葉もなく、博樹は固まっていた。貴哉と輝裕は、肩に温かい感触を感じた。
博樹が二人の肩に手をかけ、うつむいていた。
「・・・お前たちがそこまで考えなくていいんだ。す、すまない・・・本当なら
もっとのびのびとしていいものを、ここまで気をつかわせてしまって・・・。」
嗚咽を殺した声で、博樹は言葉をしぼり出す。二人の肩にかける手が震えていた。
「博樹兄ちゃん・・・。」
どこか胸につかえていたことがある。いうなら今かもしれない。
「博樹兄ちゃん、ボクね、今のままでいいんだ。」
604広島家の人々92:01/10/09 02:27 ID:hTDHkUxc
輝裕の言葉に、博樹はハッと顔をあげる。
「兄ちゃんたちが無理して兄弟がバラバラになるくらいなら、今のままでいい。」
「輝裕・・・。」
「卒業したら、ボクも畑を手伝うよ。」
輝裕はニッコリと笑う。博樹は激しく首を横にふった。
身の丈にあった暮らしがいい。あの時、建からいわれた言葉がよみがえる。
だが輝裕まで農業を手伝う、自作農とは名ばかりの畑と田んぼしか持ちあわせて
いない広島家に、なんの希望があろうか。ジリ貧・・・。限られた選択肢の中、
得られる答えは、もうこれしかないのかもしれなかった。
「風が・・・。」
貴哉が、突然変わった外の様子をいぶかしんで、雨戸を開けた。
あれほど静かだった空がどんよりと曇り、風がどんどん強くなっていく。
「今度は台風か・・・。」
「そういえば爺は?まだ帰ってきてないよ。」
「え?」
貴哉と輝裕はコクンと頷いた。
博樹は顔をしかめて、駆け足で階段を駆け下りた。
「博樹兄ちゃん、どこへ!」
「畑だ!」
「ボクたちも手伝うよ!」
二人も階段を駆け下りて蓑笠を首にかけると、博樹の後を追いかけていった。
605代打名無し@ス:01/10/09 02:35 ID:hTDHkUxc
92まで来ても、話は半分超えたのは間違いない程度のところ。
3分の2くらいまでいったんだろか。いって欲しいなぁ。
いい加減10月中にはケリつけたいな(涙
既に「鳴尾浜」の倍の量書いてやす。なんとか起承転結はついてるけどね。
そろそろ転の部分にくるか。次に登場する初登場人物は澤崎かカーサか。
どっちが早いか書いてみないとわかりやせんが・・。
606 :01/10/09 02:41 ID:xbeel7GI
爺・・・まさかあの脱臼ネタは無いですよね?(w

澤崎かぁ・・・なつかしや
607 :01/10/09 21:45 ID:d3GdtwtQ
(・ ε ・)「明日からは盗塁・失策ともに30個達成を狙うよ兄ちゃん!」
608 :01/10/09 21:48 ID:VHYODb.M
またんかい
609[・ ε ・;]:01/10/09 21:49 ID:B995Hru.
失策はやめろっ!
610_:01/10/09 21:56 ID:pblyN85g
.300、30盗塁、30失策のトリプル3(w
611 :01/10/09 21:56 ID:d3GdtwtQ
|ε ・)サーティーサーティー…プップクプー
612お鏡たん:01/10/09 22:50 ID:byvlVhQk
そこまでしてボクにポジション譲ってくれなくてもいいです・・・
613代打名無し@ス:01/10/10 00:52 ID:Oq05ZZAE
スンマソン・・・。今日は忙しくて続きを書く時間がありやせん。
その代わりといっちゃなんですが、過去ログ倉庫更新しやした。
元祖リレー小説版「広島家の人々」と今書いてる「広島家の人々」
79まで収録しやした。お暇なときにでも、チラッとどうぞ。

http://da1567.hoops.ne.jp/

さあ、今日は神宮でハセガーを見に行く日だ!仕事が終わったら行くぞ!
どうか雨が降らずに済むように・・・ナムナム
614 :01/10/10 01:06 ID:skX0HeOA
助さん・・・こんな風にまとめてあるのをみると自分のつたない文章が(汗
最終回と後日談書いたもんっす

なんか岡上で検索されるってありましたけどHTMLタグに
<head>
<meta name="robots"content="noindex.nofollow">
って入れると、引っかからなくなりますよ(w
615代打名無し@ス:01/10/10 01:35 ID:kGbIvzsw
>>614
そうですね。そんなに神経質になる内容でもないかと
タグはいれなかったけど、ヤフー1ページ目じゃ、ちょとイヤじゃね。
やっぱ入れとくか、タグ。

もし文章の変更等希望があったらいってけれ。
メールでテキストファイル送ってくれたら、なおしておくよ♪

ああ、調べてみたらお鏡たんここに来ている可能性、かなり高いぞ。
ウヒョスレにも書いておこう・・・。
61664:01/10/10 07:36 ID:Lo5fejzU
ぼちぼちageてみる
御鏡たんここやうひょすれに来てるかも、か
ウヒョーは大丈夫でしょ、見られても
昨日も観客を増やそう、て真面目な話してるし(参加したかった)
自分としては正直、カーサに「不思議の国」だけは見られたくない(w

番外編進まんっす。今日中止っぽいしマターリ書き上げようか…
書き終わらぬままとうとう酒井まで初勝利あげてしまって旬逃しまくり(鬱
617代打名無し:01/10/10 21:25 ID:gei0b9/o
さっきビートルズの「レディーマドンナ」聞いたんだけど
あれ妙にカプっぽい歌だったんだな
明るい曲調にだまされた
618代打名無し:01/10/10 22:18 ID:hw7anNnk
>616 自分もカーサと(・ ε ・)、ピーコに
「カーサ姫と7人の東出」だけは見られたくないんだからネ!
常識なんだヨ。

お鏡たんの役どころはビミョーだった・・・。>無機物・・・。
619 :01/10/10 22:32 ID:sSWO7pkE
「カーサ姫と7人の東出」
何ですかソレ(W 激しく見てえ
620代打名無し@スage:01/10/10 23:01 ID:.lONF0nA
あ!「カーサ姫と7人の東出」の作者さんが現れたよ!

スンマソン、「カーサ姫・・・」も過去ログサイトに収録してもいいでしょか?
あっ、タブつけとくからお鏡たんのことは大丈夫だと思うよ。
よろしくっす〜m(_ _)m

雨で中止だ。水曜は一番身体も疲れてボロボロだ(涙 明日、黒田だよね。
黒田が見たいよ。金曜は夜9時以降にならないと神宮に行けないよ(泣
それでも行く価値があるだろか。最終戦だから絶対行きたいんよ・・・。
んがー!なんで今日、雨が降るんじゃ〜〜!!

もう一眠りしたら、続き書きやす・・・。
621代打名無し@618:01/10/10 23:19 ID:XUzUZBzw
>620 あんなショボイモンでよければどうぞどうぞ〜。
版権はマジで助清さんに差し上げますんで(w

>619 自分が書いた白雪姫のパクリもんです。
助清さんのサイトに収録されている、森笠繁スレの400番台くらいにあると思う・・・。
622代打名無し@618:01/10/10 23:41 ID:XUzUZBzw
>621 >619 今自分で調べてみたら600番台でした・・・。スマソ。
623619:01/10/10 23:48 ID:SNHQKMUA
今見てきました。虚実が入り交じってすごい笑えました。
お鏡どころかかぷ関係者にはとても見せられないとも思いました(W
窓からちらっと見た限りではかぷて女子事務員結構多そう。1人くらいは出入りしてても不思議じゃないかも・・・。
624代打名無し@618:01/10/11 00:02 ID:DYJoe38M
>623 自分でも見せられないと思う・・・(w
619さん、ワラテくれて産休。
625 :01/10/11 01:17 ID:wWjWhBr6
最近下がるのがはやいわ〜(wでも微妙な時間なので下げたまま
「眠り姫」
昔々、あるところに王のピーコとそのお后の1001がおりました。
二人は子供が欲しいと毎日とてもがんがっていましたが、不幸にしてなかなか恵まれませんでした。

ところが、ある日のこと、伊与田がいきなりいいだしました。
「お二人の願いは叶います。一年後、姫がお生まれになるでしょう。」
伊予田の逝ったとおりになりました。かわいい女の子が生まれ、福良と名づけられました。
二人は大層喜び、盛大なお祝いを開くことにしました。
二人は親類縁者の他に、姫に幸せを授けてもらえるように占い師も招くことにしました。
ところが予算の関係上、国に13人いる占い師の内、12人しか招くことが出来ませんでした。

お祝いの宴は華やかに行われ、占い師達はお姫様に素晴らしい贈り物をしました。
1人目の小畑は強い精神力を、2人目の佐藤(泰)はコントロールを、3人目の顎イックは強肩を、
という風に、凡そプロ野球界で望まれる全ての能力を姫に授けたのです。
11人の占い師が贈り物をし終わった丁度そのとき、呼ばれなかった13人目の占い師・ヤングが乱入、
呼ばれなかった腹いせに呪いの言葉を叫び、出て逝きました。
「姫は15の時、(゚ μ,゚)に死球を喰らって氏ぬ!」
恐ろしさのあまり、会場の皆は顔を見合わせました。
そのとき、まだ贈り物をしていなかった12人目の占い師・山健が進み出て、こういいました。
「私には呪いを打ち消すことは出来ませんが、和らげることは出来ます。
 姫は、氏ぬのではありません。100年の深い眠りにつくだけです。」
しかしピーコは、かわいい姫を何としても守るために、国中の平本を全て国外退去処分に処しました。
・・・続く。
627代打名無し:01/10/11 03:28 ID:DYJoe38M
・・・>>886の続き
姫は大きくなるにつれて、占い師達の贈ったものが全て備わった人間になって逝きました。
(怪我をしやすいという、思わぬ落とし穴はありましたが)
誰もが一目で姫に心を奪われずにはいられませんでした。
姫が丁度15になった日のこと、ピーコと1001は城を留守にし、
姫は一人で残っていました。
退屈から城の中を歩き回っている内に、まだ一度も来た事が無いところに来ました。
中からは何か物音がします。恐る恐る開けてみると、そこには赤い縦縞のユニフォームを着た、
挙動不審の男がおり、壁に向かって投球練習をしていました。
(゚ μ,゚;) :「だ、誰なんだな?!」
福良    :「それはこっちのせりふです。人んちで何やってるんですか?!」
(゚ μ,゚)  :「と、投球練習なんだな。ひ、一人だから かかか壁相手にやってたんだな。」
福良    :「・・・キャッチャー、やってやろうか?」
(゚ μ,゚) :「た、頼むんだな。か、か感覚掴むためには必要なんだな・・・。」
(゚ μ,゚)は、姫がまだ十分準備をしていない内に第一球を投じ、
しかもそれが運悪く姫の頭を直撃しました。
・・・続く
628代打名無し:01/10/11 03:38 ID:DYJoe38M
・・・>>627の続き。
直撃した瞬間、姫はそこにあったベッドに倒れこみ、深い眠りに落ちました。
眠りは城中に広がり、城に丁度帰ってきたピーコと1001も広間に入るなり眠ってしまいました。
城を茨の垣根が包み、年ごとに茨は背が高くなり、ついにはお城があったということすら分からなくなってしまいました。
城に眠る美しい姫の噂は、色々な国に広まり、たくさんの王子様がやってきてはお城に入ろうとしました。
けれども誰一人成功したものはいませんでした。
そのうち、茨の森の城は忘れ去られていきました。
・・・続く
629代打名無し:01/10/11 03:57 ID:DYJoe38M
・・・>>628 の続き
それから長い年月が過ぎたあと、佐藤(裕)という王子がこの国を訪れ、
ある島崎という老人からとても興味深い話を聞き出しました。
「この国にある茨の森の中にはお城があり、そのな中には大層美しい姫がいる。
 ただ、今まで近づいて帰ってきたものはいない・・・。」
島崎老人はいくらなんでもやめた方がいいよ、と王子を止めましたが、
王子は「美しい姫」という言葉に目がくらんでおり聞く耳を持ちませんでした。
島崎老人は、もう勝手にすれば、と佐藤(裕)王子を送り出しましたが、
おりしもその日は福良姫が(゚ μ,゚)に死球を喰らってから100年目にあたり、
王子が近づくと茨の茂みはひとりでに開き、いとも簡単に入ることが出来ました。

城の時間は100年前から動いてないようでした。
王子は城中を探索し、ついにだらしなく眠りこけている姫をハケーンしました。
王子は、姫が寝こけていてもなお美しいのに感動し、熱いキスをかましました。
キスした瞬間、姫は目覚め、それと同時に城中のものも動き出しました。
それから数日後、姫と王子はケコーンし、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。
・・・終わる。
630代打名無し:01/10/11 03:59 ID:DYJoe38M
>>626-629 駄作だ・・・。
皆さんスマソ。逝って来ます。
63164:01/10/11 07:28 ID:ybEtRiOk
>>630
だらしなく眠りこけている福良に激しく萌えたよ!
おもろかった。うまいよ〜駄作などと言うなかれ
(゚ μ,゚)「ま、ま、また何かか、書いてほしいんだな」

自分は…帰ってきて試合が無いことを知って12時間寝てた(鬱
今の番外編はどうも自分とあわないのかもしれない
なんだか暴走の予感…
632代打名無し:01/10/11 12:25 ID:vQs.Fcvc
>631 ハハハ・・・ありがと(w

あー、あんな百済ないの書いてたらいつの間にか4時に・・・。
そっから寝たら起きたら12時だったよ(鬱
1・2コマサボテしまった・・・。今日は5コマまであるのに。
今からガッコ逝ってきます。
633代打名無し:01/10/11 12:27 ID:vQs.Fcvc
>632 ageてしまった・・・さらに鬱・・・。

64さん、番外編がんがって下さい〜。
634代打名無し:01/10/11 18:10 ID:m3vidzqw
国中の平本・・・・(W
635 :01/10/12 02:40 ID:6XxGno/Q
ヤヴァイからageておこ・・・。
636番外編「矢野地蔵」1@64:01/10/12 03:53 ID:BxuDTiPc
緋鯉村にも冬が訪れ、この日はシンシンと雪まで降り始めた。ここは海に程近い丘の上。
海を見下ろすように2つの小屋が建っている。海風をモロに受けるその小屋のうちの1つから、
ノソリといかつい男が出てきた。男は隣接するもう1つの小屋へ歩いていく。
「おい、今日も走りに行くのか?」
男は勢いよく扉を開け、それに気付いた小道具の手入れをしていたもう1人の男が振り返って言った。
「めずらしいな、お前の方が来るなんて。当たりまえだろ」
「じゃあ早く走りに行こうぜ、今日は雪も降ってきた。遅くなると寒かろう」
やや怖い笑顔でそう言ったのは浅井、小道具の手入れをしていたのは町田といい、
2人とも腕の立つ漁師だった。普段は長い間漁に出る彼らだが、冬は海も荒れなかなか
漁に出ることが出来ないのだった。村にいる間のんびりするのも性に合わない2人は、
次の漁までに体力を落とさぬようこのように毎日トレーニングをしているのだった。
637番外編「矢野地蔵」2:01/10/12 03:56 ID:BxuDTiPc
「おい」
走りながら浅井が話しかけた。
「今日は山の方を走ってみないか?いつも同じ道じゃ面白くもなかろう」
「面白いも何も…走るのに面白いなんて必要ないだろう?」
「俺こんなのあまり好きじゃないんだよ。たまにはいいじゃないか」
そう言うと浅井は腕まくりをして山へ入っていった。渋々町田もついていく。
山道の入り口には「コレヨリ村上山」という古ぼけた看板があった。
村上山は緋鯉村では名の知れた山で、人探しの神様がいると言われている山だった。
浅井と町田はその山道を走っていく。傾斜が思ったよりもきつく2人は汗だくになっていった。
頂上付近へさしかかろうとしたその時―――
カランカラン…パサッ
「おい浅井、何か落とさなかったか?」
「ん?俺は知らんぞ。お前じゃないのか?」
「俺は落とすものなど何も持ってないよ。気のせいか」
そうして2人は何事もなかったかのように走りつづけるのだった。

「まぁちぃだぁー!!」
走るのを終え、町田が家でゆっくり休息をとろうとしていた時、
隣から浅井がものすごい形相をしてやってきた。
「…どうした?」
「お前、さっき俺に何か落とさなかったか聞いたよな」
「ああ、聞いたな。山の中で」
「…落とした」
「はぁ?なんで今ごろ気づくんだよ!遅いじゃないか」
「仕方ないだろ気がつかなかったんだから。今からとりにいく。ついてきてくれないか?」
妙に真剣な浅井の顔を見て、町田は一つ溜息をつくと、
「仕方ないな。それなりの礼はしてくれるんだろうな?」
と意地悪く聞く。それを聞いて浅井の顔にも笑みがこぼれた。
「しゃあないな、夕飯はうちの干物を食わせてやるよ」
「ショボいなあ」
そう言いながらも町田は笑って腰を上げた。
638番外編「矢野地蔵」3:01/10/12 03:59 ID:BxuDTiPc
「たしかこの辺だったと思うがなあ」
雪は相変らず細々と降っていたが、それに加えてだんだんとあたりは薄暗くなってきている。
その中を浅井と町田は歩いていた。浅井は藪を掻き分け地面に顔を近づける。
「ないなぁ」
と言いつつ浅井は藪の中を分け入る。町田はだんだん不安になってきた。
「おい、大丈夫か?」
その時である。
「おあっ!?」
変な声がしたと思った瞬間、ザザザザザと地面を滑るような音がした。
「浅井!?おい、どうした?」
町田が慌てて藪のほうへ駆け寄るが、浅井の姿はなかった。さらに不安になって町田も藪の中へ入る。
いない。浅井がいない。浅井が…と思った瞬間だった。踏み出した左足が地面を捉えることが出来ず
町田はバランスを崩した。一瞬のことだったが町田は左手をとっさに前に出す。左手は地面で体を支え、
右ひざを強打したものの何とか前のめりに倒れるだけで済んだ。見ると左足のあたりに大きな穴があいている。
底らしいものが見えてるからそれ程深くはなさそうだ。もしかしたら浅井はここに落ちたのかもしれないと
思った町田は落ちかけた左足を戻すと穴に向かって叫んだ。
「浅井いるかー?」
すると穴の中から
「おう…来てみろよ」
という浅井の声がしたので町田はとりあえず安堵した。そして恐ろしくはあったが
浅井の誘いに乗って穴の中へ滑り込んでいったのである。
639番外編「矢野地蔵」4:01/10/12 04:01 ID:BxuDTiPc
穴は町田の思った通りそんなに深いものではなく、あっという間に底についた。
底はちょっとした空間になっていた。滑り込んですぐに浅井の姿は確認できたが、
その向こうにもっと目をみはるべきものがあった。
「…それは仏像?」
町田は意外に思って浅井に訊ねる。
「どうもそうらしいな。おだやかな顔をしている」
浅井の言う通り、その顔はおだやか、というかそこら辺にいそうな純朴な青年のような顔をしていた。
普通の仏像とは違ってきっと彫る時に参考にした人間が若かったのだろう、本当に「青年」という
言葉がよく似合う顔つきだった。
「矢野地蔵と言うらしいが、聞いたことあったか?」
浅井が仏像の足もとを指差して聞いてきた。見ると足もとに「矢野地蔵」と筆で書いてある
1冊の古ぼけた冊子がある。少なくとも今あるような冊子ではない。それこそ金本寺などに
収蔵されているような感じの冊子だ。
「いや、知らん。…住職なら何か知ってるかもしれんがな」
「そうだな。こんな所にこんなものがあるなんて誰も知らんよ」
浅井は冊子を手にとって中を見るが、達筆で読めそうにない。
「とりあえずこれを住職に見せてみるか」
浅井はふところに冊子をしまった。
「ところで見つかったか?」
町田はふと本来の目的を思い出す。
「ああ、なぜかこいつの足もとにあった。これも何かのおぼしめしかもしれん」
確かに山道とこの穴とはちょっと離れているし、その間には藪もある。普通草にひっかかって
ここまで転がってくることはないだろう。しかし浅井の捜し物はここにあった。
「何かのおぼしめし」という浅井の言葉に町田は妙に納得した。そして何というか
仏像にやけに見入っている浅井の表情も町田には少し気にかかった。
「とりあえず今日は帰らないか。いい加減日が暮れる」
町田は帰りをせかした。
640      :01/10/12 04:04 ID:brtmPEes
今日のマリナーズのスタメン
 1 RF イチロー
 2 CF キャメロン
 3 1B ブーン
 4 DH マルチネス
 5 1B オルルッド
 6 LF ビューナー
 7 C  ウィルソン
 8 3B ベル
 9 SS マクレモア
 P   モイヤー

ハビエアに変えて、ビューナー起用
フィンリーをとらえられるか、モイヤーは抑えられるか
641広島家の人々93:01/10/12 04:06 ID:owb2PT1g
前回>>604

海も荒れていた。町田や浅井たち漁師は、高波で船が流されないよう、港にキツく縛りつける。
「大変だ・・・!」
貴哉と輝裕は、ガラッと変わった村の光景に思わず息をのんだ。
しかし、博樹は一切目もくれず、畑に向かって直行する。
前からその兆候はあった。自分が輝裕の進学の金を工面した時、あの時から佐々岡の爺は
変わった。どうして気づかなかったんだろう。爺に無理をさせたくないからと依怙地になって、
そのくせ自分のことしか目に見えていなかった。ほっとけば、爺は広島家のために身体が
粉々に壊れるまで働いてしまう人だったというのに。家長だなんだといいながら、結局、
自分はそんな爺に甘えていた・・・。
ふもとに近い田んぼは、既に台風のために見事な防御の手入れができていた。
後は丘の上の畑・・・。雨風を手で払いながら、坂道を駆け上がった博樹の目に、
畑のすみで雨に打たれるまま倒れている佐々岡の爺の姿がうつった。
「爺〜〜!」
後から必死についてきた貴哉と輝裕も、声にならない悲鳴をあげる。
「貴哉!家から早くリアカーを持ってこい! 輝裕!お前は金本寺に行って、住職と貴浩を
呼んできてくれ!」
「う、うん!」
二人は、急いで元来た道を戻っていく。
「爺・・・。」
博樹は泣きそうな顔で、気を失っている佐々岡の爺を抱き起こした。雨に濡れて爺の
身体は冷たくなっていた。
「・・・博樹・・坊ちゃん?」
温かい肌の感触にふれて、佐々岡の爺が気がつく。
「ごめん・・・。」
博樹は頭を下げた。下げたまま、次の言葉を発することができなかった。
「博樹坊ちゃんは、一人で無理をするから・・・。」
「無理をするのはどっちだよ!本当にゴメン・・・ゴメン・・・爺。」
博樹はギュッと佐々岡の爺の身体を抱きしめた。
畑のそばの大木のふもとには、行商で爺が稼いだ金と食べ物が、雨に濡れないように
大切に置かれている。夏祭りの前から、佐々岡の爺は昼夜関係なく、時間があれば
近隣の里のほうぼうを歩いて金を稼いでいたのだ。
64264:01/10/12 04:09 ID:BxuDTiPc
とりあえずあぷしときます。助清さんは応援疲れかな?
ここで64を名乗りだして2人も仏像にしてしまった(シュールと矢野)。
鶏よりましだとは思うが(鶴田んスマソ)。
文量にばらつきがあったり文章がおかしいのはかなりほったらかして
あったのでその間に書き方や書くものそのものの量が変わったからです。
ほったらかしていつの間にか続きなしになりそうなヨカーンもする。

>>632
乙カレー。ガッコに響かぬように(w
まあ学生時代は後悔せん程度に遊んどけ(w
64364:01/10/12 04:10 ID:BxuDTiPc
ウヒョ!助清さんとかぶった!!
スマソ〜消えます
スマソ・・・。64さんの作品の途中になってしもた。
大丈夫かのぅ・・・。
がんがって、ここまでしか書けなかった(涙
明日がんがります!いい加減トドメのシーンまで書きすすめたい。
さあ、一眠りしたらコスモスリーグ見に、浦和に行くぞ!

タイトルは神宮で横山の裸を見たおらの感想っす。
スポーツ選手らしくねぇ(w
645代打名無し@ス:01/10/12 04:21 ID:owb2PT1g
>>643
かぶっちゃいましたね(^^; こんな日もあるということで、まあ、ええことよ(w

>>629
後日談で(゚ μ,゚)のエピソードきぼーん(w
個人的に13人目のヤングに大ウケしやした。それに福良・・・新鮮だ♪
また新作楽しみにしてます。書いてください。うう、うれしいだよ。
おら以外に書くひとが増えてさ・・・・゚・(ノД`)・゚・。  
646番外編「ペーコ姫」1@64:01/10/13 02:00 ID:J7EWxE8A
シーズン終了全国のファソの皆さん乙カレー&ヤパーリきたへふはすごいんじゃないか記念

むかしむかしあるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。
お爺さんが山へ竹を取りにいってお婆さんがその竹で色々なものを
作り売ることで生計を立てていました。
ある日お爺さんがいつものように竹を取りに行くと1つだけやけに黄色く
光り輝く竹があります。不思議に思ってその竹を半分に切ってみると
中からとてもかわいい…とは言いがたいけど、ホッペの真っ赤な小さな
お姫様がいるではありませんか。お爺さんはその日は竹を取るのをやめ
姫を竹からすくい出すと自分のかごにいれてかえりました。
お婆さんもかわいい姫の出現に大変喜びました。2人は姫を「ペーコ姫」と
名づけ、大変かわいがって育てました。姫は普通の人間とは違うスピードで
すくすく成長していきました。かわいいとはいえないけど、まあそれなりの
顔でしたが、人気だけはありました。ホッペが赤いのは相変らずでした。
一方お爺さんとお婆さんの生活はペーコ姫が来て以来嘘のように裕福に
なり、貯金までできるようになっていったのでした。
647番外編「ペーコ姫」2@64:01/10/13 02:02 ID:J7EWxE8A
姫の噂を聞きつけ日本各地からたくさんの殿方が姫を一目見ようと
あししげく通うようになりました。春が来て夏が訪れ秋が過ぎ冬になり…
だんだん通う人数も少なくなっていきましたが、それでも5人の男たちだけは
毎日毎日やってくるのでした。それを見かねたお爺さんがペーコ姫を
説得し、1日だけ会わせてやりました。男たちは姫に必死に求婚を迫ります。
「私は出雲の佐々岡と申す。姫をお噂を聞きつけはるばる安芸までやってきた」
「それを言うなら私は摂津からやってきた。摂津で武具を売る家に生まれた黒田と言います」
「私は相模からやってきた高橋と言います。気の優しい男と自負しております」
「下総国からやってきた長谷川です。この中なら断然若いです!!」
「甲斐国の鶴田といいます。ここの4人とは違い落ち着いた振る舞いを常としております」
5人は誰1人として一歩も引き下がりません。しかしケコーンなどするつもりのない
ペーコ姫は冷めた目で彼らを見つめています。それを見ていたお婆さんがいいました。
「ペーコ姫よ、この人たちだって皆あなたにあいたいと一生懸命になって来ていただいたのだよ。
 こんなに誠実な人たちがほかにいるかい?お前もいい年だしケコーン相手を決めたらどうだい?
 決めかねるのなら何か競わせてみるとか」
648番外編「ペーコ姫」3@64:01/10/13 02:04 ID:J7EWxE8A
その提案にペーコ姫はちょっと考えた後、「お婆さんの言う通りにしてみましょう」と言います。
「私にはまだ見たこともないものがたくさんあります。一目それらが見れたらどんなにいいでしょう。
 そこで、貴方がたにそれをとってきてほしいのです。一番早く取ってこられた方を私の婿といたしましょう。
 それでよろしいですか?」
5人は皆首を縦に振ります。
「それでは佐々岡殿、貴方は天竺にある巨人が食べるという金の実をとってきて頂きたい」
「黒田殿、貴方には龍神の持っている珠をとってきてもらいましょう」
「鶴田殿には南の島にふりそそぐという星の雫を」
「高橋殿には燕の子安貝を」
「そして長谷川殿には中国に住むという虎の燃えない毛皮をとってきていただきましょう」
皆聞いたこともないものばかりであっけにとられてしまいますが、頷いてしまった以上
取りに行かなくてはなりません。姫の言葉を聞いた5人は我先にと牛車を走らせるのでした。
649番外編「ペーコ姫」3@64:01/10/13 02:06 ID:J7EWxE8A
しかしいずれの男もペーコ姫の希望するものを持ってくる事が出来ませんでした。
佐々岡は見事な金の実をもってきたもののそれがただ金粉をまぶしただけのものだとばれ、
黒田は龍神に会うどころか海で嵐に会い遭難、鶴田は南へ早馬を走らせていて落馬、
高橋は燕の巣をとろうと籠に乗り転落、長谷川は見事な毛皮をもってきたものの
播磨のエセ商人から売られたものだったのでペーコ姫が火をつけるとあっという間に
燃えてしまって話にならず―――。
ペーコ姫は自分の思った通りにいかない男たちにうんざりしてしまいました。
これでは私が男になったほうがよっぽどマシちゃうんか、と。もうね、馬鹿かと。阿呆かと。
それはさておき、その話を聞きつけた帝が国府を通してお爺さんに
「ペーコ姫に会いたい」と言ってきました。帝の命令は絶対です。
しかしペーコ姫はそれを拒みました。それどころか、月を見上げて
オイオイ泣くのです。
これはどうしたことかと話を聞くと、ペーコ姫は泣きながら言います。
「私はこの星のものではありません。月からやってきたのです。月で犯した罪を
 償いにこの世界に降りてきましたが、次の満月の夜に月から迎えの使者が来ます。
 帰らなければならないのです」
それを聞いてお爺さんもお婆さんも泣きに泣きました。涙枯れるまで泣いて、
髪の毛は一夜で真っ白になり十も二十も老いたようになってしまいました。
650番外編「ペーコ姫」5@64:01/10/13 02:07 ID:J7EWxE8A
国府から伝わった話を聞いて帝はすぐにペーコ姫のもとにたくさんの武官を
派遣しました。勿論帝もその一人です。ペーコ姫はそれでも帝に会おうとは
しませんでした。そして家を取り囲む武官を見てもこういうのです。
「こんなことをやっても無駄です。月のものにはこんなもの通用しません」
しかし帝は「まあ、ええことよ」で済ませます。
満月の夜がやってきました。武官たちは一睡もせずペーコ姫の家の周りを
取り囲み監視していました。
丑三つ時少し前でしょうか、突然空が明るくなったかと思うと月からわらわらと
名球会ブレザーを来た月の使者が降り立って着ました。武官たちは
使者めがけて矢を放ちますが、思った方向に行きません。
それを見て先頭の偉そうな使者が苦笑しながら「不発だったね」と言い、
さらに言葉を続けます。
「さあペーコ姫。皆で月へ帰りましょう。こんな所にいると穢れるだけですよ」
といって扉を指差すとかたく閉ざされていた扉がゆっくりと開いてペーコ姫の
姿が現れるではありませんか。お爺さんもお婆さんも泣きながらペーコ姫を
引き止めます。
行かないでおくれ、行かないでおくれ、あんたがいなくなったら安定してきた
うちの生活の全てが崩れてしまう。昔の不安定な生活を変えてくれたのはあなただったんだよ―――。
651番外編「ペーコ姫」6@64:01/10/13 02:11 ID:J7EWxE8A
「さあ、この薬を飲んでこのブレザーを着るのです」
「不発だったね」のおじさんがペーコ姫に進めます。帝は動くことが出来ず
その光景を黄色の眼鏡を通して眺めています。
催促するおじさんに「ちょっと待って」と声をかけ、ペーコ姫は薬をちょっとだけ
なめるとその器を持ってお爺さんとお婆さんの元へ寄りました。
「これは私たちの世界にいる魚の生き血です。これを飲めば貴方がたは
 不老不死の肉体を得ることが出来ます。これを私だと思って後世まで
 大切にとっておいてください」
お爺さんはおそるおそるその器を受け取ります。ペーコ姫はそれだけを言うと
おじさんのもとへ行き、ブレザーを着ました。そうして姫を連れた使者たちは
厳かに月へ帰っていきました。
ペーコ姫がいなくなった後には先ほどの生き血の入った器しか残されませんでした。
「ペーコ姫がいなくなって私たちはどうして長生きなどのぞもうか。こんなもの、こんなもの!」
そういってお爺さんはその生き血を庭に造ってあった川へと流します。
するとその生き血は何十匹もの鯉になって狭そうにビチビチとはねました。
それを見た黄色眼鏡の帝は何を思ったのか―――。それは他の知るところでは
ありませんでしたが、帝はそのたくさんの鯉達を全国へ配ってやりました。
見たこともない魚に人々は甲斐甲斐しく世話をし、いつしか愛でられるようになりました。
鯉の町やお城もでき、いつしかそれをモチーフにしたスポーツチームまで出来ました。
こうして、鯉はいつまでもいつまでもかわいがられているのです。
65264:01/10/13 02:19 ID:J7EWxE8A
非常に面白くも何ともない話でしたが、シーズン終わってなんとなく空虚感
漂う中書いたものです。もう一つあるのですが、それはまた。
元々の話をモチーフにした(5人の男や珍しいものを捜しに行く、薬の器など)ので
日本昔話なんかの話とはちょっと違います。興味あれば是非一読を。
5人の男はもうちょっと詳しく書きたかったけど無理。実況板でマターリしすぎて
全ての力を使い果たした…。

今年は投手もがんがれそうなのがポツポツでてきたし、すごいなペー(コ)は!と
言いたいところだけど、3次元解析装置のおかげの方が強いのか?
ペー(コ)はハセガーにガム禁止令を言い渡さなければもっとマンセーだったんだがなあ。
653 :01/10/13 02:37 ID:JuutL2hE
ワラータ(・∀・)イイ!! かわいくないペー子姫(w
654代打ののがー@Maxたにがわ:01/10/13 02:38 ID:LbBgXyGE
>652 カーサ姫・・・の作者です。面白かったーよ。
個人的には、

>これでは私が男になったほうがよっぽどマシちゃうんか、と。
>もうね、馬鹿かと。阿呆かと。

に激しくワラタ(w

て優香、大学の教養で今平安文学やってて、
丁度かぐや姫ネタにしようかと考えてた所だったんだが、
自分より64さんのが断然おもろいですわ〜(w

次回作にも期待してます(w
655代打名無し@ス:01/10/13 02:48 ID:8Tdl7nZ2
>>652
五人の貴公子の設定で、あっそうか(・∀・)!!と思った(w
うまい。それは考えつかなかったよ!

64さん、がんがるなぁ。おらはコスモスと大学と神宮で今日はギブアップ。
明日一挙に続きをあぷできるよう、がんがりやす。

>>654
平安文学!おらも歴史学の古代史専攻で今、平安時代の文献と睨めっこ
しているところだよ(^^;
656(゚ μ,゚):01/10/13 21:04 ID:5GXfAqyY
ぼ、僕の前スレくらい下がってるから、
あ、あああげておくんだな・・・。
657 :01/10/13 23:46 ID:My35fk5Y
意外とここ荒らされないね(w
スさんと64さんのパワー?
658広島家の人々94:01/10/14 00:17 ID:tPj5Y1V2
前回>>641

「住職!貴浩兄ちゃん!!」
輝裕は懸命に金本寺の門を叩いた。しかし激しい雨風の音にさえぎられ、誰も中から
出てくる気配がない。
「くそ・・・!」
輝裕は思いっきり体当たりで門にぶつかった。ニブイ衝撃の音と共に、木製の錠が
大きくしなる。
「ん・・・?」
離れで寝ていた貴浩が、やっとその音に気づいた。まだ熱が下がっていない住職を
なだめて、貴浩は山門に向かった。
「輝裕!」
門の向こうには、びしょぬれで息をゼエゼエさせながら、決死の表情で立っている
輝裕がいた。

ますます風が強くなっていく。子分らと一緒に、横松の掘立て小屋で酒を片手に
一夜を過ごすつもりだった竜士だったが、突然なにやらひどく悪い胸騒ぎに襲われた。
竜士は立ち上がって、外の様子をうかがう。
「竜士の親分、どうしたんですかい〜!」
酔っ払った子分たちが、口々にからかい口調で竜士に声をかける。
「・・・俺、家に帰るわ。」
「ぇぇええええええ!!」
子分たちは一斉に絶叫をあげた。
「親分、こんな台風の中、外に出るなんて正気の沙汰じゃないっすよ。」
「そうそう、もう少し天気が落ち着いてから帰った方が・・・」
長崎と井生が口々にそういって、なんとか竜士を引きとめようとする。
だが、一度決心した竜士の心は変わらなかった。
「お前たち、後をついてこなくていいからな。それより横松、もう少しこの小屋
補修した方がいいぞ。このまんまじゃ、じきに台風でペシャンコになるぞ!」
横松が口に両手をあて息をのむ。竜士はニンマリ笑って、白いスーツを傘代わりに
外に飛び出していった。
親分〜と呼ぶ子分たちの声が小さくなっていく。
「・・・俺の思い過ごしだったら、いいんだが・・・・・・。」
容赦なく自分に向かっていく雨風にさからいながら、竜士は家路へと急いだ。
どうやらイヤな予感はあたったらしい。向こうから、こんな夜更けの台風の中、
こちらにやってくる人間がいる。
「あっ、竜士兄さん!」
貴哉は、兄の姿を確かめると泣きそうな顔で竜士のもとに駆け寄った。

今日はまだまだ続きを書くよ。
659広島家の人々95:01/10/14 01:27 ID:tPj5Y1V2
「入院が必要ですね・・・。相当身体に無理をさせて、風邪をこじらせて肺炎に
なりかかっています。まずは充分な栄養と休養を与えなくては。それに・・・。」
町医者の福永医師はため息をついた。
「左の肩の関節もおかしくなっていますよ。本当に相当身体を無理させてきた
んでしょうね。」
佐々岡の爺は、福永医師から処方された薬で、ベットの上で眠っていた。兄弟
たちは、あらためて佐々岡の爺の寝顔を見て、表情を暗くする。
「福永先生、これ。」
「竜士・・・。」
竜士はとめようとする博樹の手をおさえて、一枚のお札を差し出した。
「これで爺になにか栄養のつくものを食べさせてあげてください。あと、入院に必要な
金もいってもらえれば、俺が払いますから。」
福永医師は穏やかに笑った。
「わかった、このお金でたくさん精のつく食べ物を買っておくよ。でも心配しなくても
大丈夫だから。」
兄弟たちは深々と頭を下げた。
博樹は力なく待合室の長椅子に座り、頭を抱えた。貴浩は心配そうに博樹を見た。
まだ熱の下がらない知憲住職を何とかなだめすかして、貴浩一人がここに来たが、
こういう時はやはり住職の存在が必要だったかもしれない。竜士がそんな貴浩の肩
をポンと叩いて、博樹のもとにいった。
「博樹兄ちゃん・・・?」
博樹はまったく返事をしない。
「一人でためこむなっていっただろうが!」
竜士はしゃがんで、博樹の肩を両手で揺さぶった。しかし博樹は、頭を激しく振る
ばかりで何もいわない。
「いいか。これは博樹兄ちゃんのせいじゃない!何でも自分のせいにするんじゃねえよ!」
貴浩は、息をのんで二人を見つめる貴哉と輝裕を別の部屋にうながした。
「一緒に向こうの部屋に行こう・・・。」
これ以上、年下の二人に見せられる光景ではなかった。ドアを閉める直前、貴浩は
もう一度二人の姿を見た。頭を抱えながらも、博樹が二言、三言話しはじめている。
それを博樹の肩に手を置いた竜士が、見上げながらコクコクとうなづいている。
どうしよもうなく重たく、ふさがれた気持ちに貴浩は襲われた。
660広島家の人々96:01/10/14 02:34 ID:tPj5Y1V2
校舎がまぶしい。台風一過のさわやかな青空に照らされ、露を含んだまわりの光景が
すべてキラキラと輝いていた。
竜士に強くうながされ、今日は輝裕は学校の門をくぐり抜けた。しかし、輝裕の心は
決まっていた。今日の授業が終わったら、担任の山崎と大下教頭に高等学校進学を
辞退することを言おう。教室にはまだ誰も来ていない。輝裕はシーンと静まり返った教室
の中に入り、自分の席についた。

大下教頭の部屋には、博樹が来ていた。そのことを輝裕は知らない。
「まだまだ未熟者だな。」
しかめっ面で、大下は腕組みをした。博樹は、すみませんと小さく呟き、元気なく
うなだれる。大下はタバコに火をつけ、くわえタバコで本棚の奥にある金庫を開けた。
数十枚の札束が博樹の前に置かれた。博樹は深々と頭を下げた。だが、なかなか手に
取らない。
「どうした、広島?」
大下はニヤリと笑った。しかし博樹は目の前の札束をジッと見つめながらも手にとらない。
ハハハハハハハ・・・
大下は苦笑した。
「やっぱりお前は広島家の長男、浩二の息子だな。」
博樹はどう反応すればよいかわからず、少し顔を赤らめた。大下は機嫌よく向かい側の
ソファに座ると、こういった。
「その金は貸すよ。」
反射的に博樹は顔をあげた。信じられないというように目を丸くして大下を見つめる。
「ワシが輝裕の学費を立て替えてやる。お前が一番気持ちがわかっているだろう。」
「大下先生、ありがとうございます!」
博樹はガバッと頭を下げ、しばらく動くことが出来なかった。大下は苦笑気味にまだ笑っていた。
「まあ広島、あまり気にすんな。ワシもあれは是非とも進学させたいと思っていたからな。」
661代打名無し@ス:01/10/14 02:44 ID:tPj5Y1V2
一旦、このあたりで。もう少しがんがれたら続き書いておきやす。

それと流動的だった「広島家の人々」の骨格も、昨日の段階で完全に
固まりやしたヽ( ´ー`)ノ
鍵を握るのはやっぱり粗い、それとカーサってところですかね(^^;
予想以上にカーサが重要な人物にのしあがってきやした。

あと最近書いてて気がかりなのは、必要上とはいえ博樹が暗すぎる・・・
泣かせすぎているんではないかと・・・。読み返して顔面真っ青になりやした。
澤崎が登場すると開きなおってくれるんですがね。あっ、次の登場人物は
澤崎orカーサと前に書きやしたが、澤崎のほうが早いっすね。
どん底のシーンも含めて、そろそろです。
662 :01/10/14 03:19 ID:DB8rr5D2
わーお疲れ様でーす
しかし・・・・つらーい(w

澤崎はやっぱ[・ ε ・] のライバルっぽく登場ですかね?
663  :01/10/14 03:19 ID:DB8rr5D2
げ、あげてしまった・・・
66464:01/10/14 03:23 ID:C8TgnFW.
続きが!仕事の合間に一気に読みました。
大下いい奴だ。本物もいろんな意味で大好きだが(w
澤崎楽しみにしてます。勿論カーサも楽しみだ。

>>657
どうなんだろう?以前はたまにいたけど誰も相手にしなかったし。
ああいうのは相手にしないのが一番。それができなかったがために
気に入ってたトホホ劇場なんかはなくなってしまった。
しかし自分にパワーなんかない(w お馬鹿な居候です。
665広島家の人々97:01/10/14 04:57 ID:/ylum587
「どうだ広島、こうして久しぶりに来た学校は?なつかしいだろう。」
「そうですね・・・。」
大下に案内された校舎の各々を、博樹はまぶしそうに眺めた。
「あの時の浩二の教育方法にも面くらったが、それを依怙地に真正面から立ち向かって
実践したお前の姿も忘れられんよ。あの頃、いや今でも農家の長男が進学を選ぶのは
キチガイ沙汰扱いだったからな。」
「・・・そうですね。」
当時、農家の長男といえば小学校もしくは高等小学校を卒業したらさっさと家業を継ぎ、
結婚もしてムラのために農業の技術を早く身に付け、リーダーとなることが常識とされていた。
農家出身で進学が許されるのは、次男以下の頭の優秀な少年。長男はどんなに頭が
良くても、長男だからという理由で許されることはまずなかった。
それを父の浩二が、これからは長男だからこそ学を身に付けなければならぬと、博樹を
中学校に進ませ、高等学校進学の勉強もさせたのだ。
二人は、輝裕のいる教室の前を通りがかった。廊下の窓から見える教室の中で、
輝裕は一人席に座って教科書を読んでいる。
「輝裕には、ワシから伝えておく。それともお前のほうからもう話してあるのか?」
「いえ・・・。俺のほうからは・・・。」
「だろうな。」
大下はニヤッと笑った。
「まあ勉強に専念できる環境が整っていたら、あいつの学力なら何の問題もなく
合格できるわ。それだけの能力をもった奴だ。ただ広島家がそのような状態だとすると・・・。」
「・・・・・・。」
「進学もイバラの道だ。」
「・・・はい。」
「ま、その程度の逆境をはねのけんようじゃ、それまでの人間だがのう。しかし・・・。」
大下は顔を曇らせて、窓越しの輝裕の姿をしみじみと見た。
「広島、逆境の中でもお前のほうが幸せだったかもしれぬな。競争相手がいたことで
相手に勝つことに夢中で、お前は外野を無視して走りきることができた。」
「・・・澤崎のことですか?」
コクンと大下はうなずく。
「だが、あいつは一人だ。いや、一人競争相手になりそうな奴がいたことはいたんだが、
もう退学してな、今、この学校から進学するのはあいつ一人だけになってしまったんだ。
一人という重圧に耐えきれるかのう、あいつは・・・。」

そんでは、おやすみ〜(^^;
666代打ののがー@Maxたにがわ:01/10/14 05:40 ID:WU71EUbj
お疲れ様です・・・。ほんと頭が下がる思いです・・・。
澤崎たん黒田のライバルだたーのね!なるほど・・・。

p.s:そのうちメール送りますんで、待っててくらはい・・・。
667 ・):01/10/14 09:28 ID:4NO8VKap
ぼくも〜みらいは〜どこへゆく〜
668 :01/10/14 19:56 ID:rEb9IWU6
669 :01/10/14 20:00 ID:/sGWMtBP
来年
金本・野村・前田・ロペス・ディアス・緒方・新井・西山

5年後
東出・岡上・朝山・新井・広瀬・森笠・松本・木村一
670 :01/10/14 20:43 ID:9v67sudV
ビッグレッドマシンはいいね。
グリフィーシニアやピート-ローズ
いい時代だったね。
671 :01/10/14 20:46 ID:VHHTE3yP
これはさり気にあ(略
672 :01/10/14 22:21 ID:vfoatvGZ
のよろし
673 ・):01/10/15 02:23 ID:ToPnaueg
age-
674代打名無し@ス:01/10/16 01:11 ID:lXiAGdPc
一度あげとくよ。
今日はなんとか続きを書けるようにがんがりやす・・・。
675 :01/10/16 01:16 ID:lR1d0QOP
ガンバレー楽しみにしてま〜す
676番外編「菊太郎」@64:01/10/16 01:45 ID:oNS7z9OR
キムチ原乙カレー&その他中継ぎも乙カレー記念(広島家の前菜にどうぞ)

むかしむかしある所に、お爺さんとお婆さんが住んでいました。
毎日毎日頬の赤いお爺さんは山へ芝刈りに、おっさんくさい顔のお婆さんは
川へ洗濯に行っていました。
ある日のこと、いつものようにお婆さんが川で洗濯をしていると、
川上からドンブラコ、ドンブラコとでかい菊の花が流れてきました。
よく見ると、菊の花の上に男の赤ちゃんが寝ていて、その赤ん坊を
燕が狙っているではありませんか。
「こりゃ危ない」と思ったお婆さんは菊の花共々赤ん坊を川からあげると、
洗濯物そっちのけで家に連れ帰りました。
お爺さんと相談して2人はこの赤ん坊を「菊太郎」と名づけ育てることにしました。
菊太郎はさほど大きな怪我もせずスクスクと育っていきました。
9歳になった頃には大人と見間違うほどの背丈になっていました。
ちょうどその頃、村ではアチコチに鬼が出没し、村人を襲っては財宝を奪っていきました。
その話を聞いて菊太郎はお爺さんとお婆さんに言いました。
「どうか僕を鬼退治に行かせてください。鬱になっている村人を助けたいのです」
お爺さんとお婆さんはまだ未熟な菊太郎を危ない目にあわせたくはありませんでしたが、
これも本人の成長のためと行かせる事にしました。
お爺さんは山で一番の木からバットを作ってあげました。
「戦う時は素手だけでは負けてしまう。これを使って敵をなぎ倒しなさい」
お婆さんは腹が減らぬようにと紅葉饅頭をこしらえてやりました。
「お腹がすいたらこれを食べるんだよ」
2人の見送りを受けて菊太郎は鬼退治に旅立ちました。
677番外編「菊太郎」2:01/10/16 01:46 ID:oNS7z9OR
旅立ってから何日が過ぎたでしょう。ある日、いつものように歩いていると
突然一匹の犬が出てきました。
「菊太郎さん菊太郎さん、あんたは鬼退治に行くのかい?」
「そうだよ」
「あんたは経験も何もないのに1人で鬼退治に行くのかい。殺されに行くようなもんだ。
 わしの豊富な経験と場の流れを変える自作自演であんたを助けてやるよ。
 だから連れていきな」
「ふてぶてしいな。でも仲間がいるのは頼もしい。ついてきてくれよ」
「…あんた俺にタダで来いと言ってるんじゃないだろうな。紅葉饅頭食わせろ」
犬のふてぶてしさに菊太郎は少々カチンときましたが、仕方ないので紅葉饅頭を1つあげました。
犬は食い終わると上機嫌で言いました。
「わしはカンエイと言うんじゃ。鬼が島まで連れて行ってやるよ」
678番外編「菊太郎」3:01/10/16 01:48 ID:oNS7z9OR
しばらく歩くと今度は一匹のサルと出くわしました。
「おや、そこにいるのはカンエイさんじゃないかい。
 そんなミカンみたいな顔の人間とどこに行くのさ?」
「ちょっと鬼が島まで行くんだよ」
「なんだか楽しそうですね。私も連れて行ってくださいよ」
「それはいいかもしれんな。腰のほうは調子はいいんか?」
「無理をしなけりゃ大丈夫ですよ。最近は首のほうがやばいんですけどね」
「そうかそうか。あんたみたいな安定感のあるヤツがおると助かる。
 こいつも連れて行っていいだろ、菊太郎?」
「なんか主人公無視して勝手に決めてる気もしますけどいいですよ」
「そうじゃエンリケ、こいつ紅葉饅頭なんてもん持ってるんだぞ」
「紅葉饅頭!食わせてくれ食わせてくれ!!」
「…なんかこの犬のせいで調子が狂うけど、はいどうぞ。
 あんたエンリケって言うの?」
「そうじゃそうじゃ。この辺では安定感は一番と言われとるんじゃ」
何の安定感?と菊太郎は思いましたが、せっかく仲間になってくれると
いうのですから深く突っ込まない事にしました。
エンリケが紅葉饅頭をたいらげると、菊太郎と2匹は再び歩き出しました。
679番外編「菊太郎」4:01/10/16 01:49 ID:oNS7z9OR
海が見えてきた頃に東のほうから一匹の雉が飛んできました。
「よく見たらエンリケさんとカンエイさんじゃないですか。久しぶりです」
「小山田か。相変らず変な飛び方しとるのう」
よく見ると小山田といわれるその雉は羽根を上下に振るのではなく左右に振っています。
「仕方ないでしょう、上下に振ったら関節痛いんだから。
 それよりエンリケさん、そのさえない顔の人間と何やってんですか?」
「ちょっと鬼が島まで行くんですよ。行きます?」
「うーん、どうしましょうか」
「おい小山田、行くんなら紅葉饅頭食わせてやる」
「本当ですか!行きますから食べさせてください」
カンエイの囁きにひっかかって小山田までも紅葉饅頭をねだります。
菊太郎はしぶしぶ紅葉饅頭をあげました。
すごいスピードで小山田は紅葉饅頭を食べます。
「全くお前は何をするにも速いな。さて、もうちょっとだ。行こうか」
主役気取りでカンエイが言いました。
680番外編「菊太郎」4:01/10/16 01:51 ID:oNS7z9OR
「おい菊太郎、鬼が島はあの島じゃ」
カンエイが指(腕?)さす向こうには海に鳥居のある大きな島がありました。
「これどうやって向こうまで渡るのさ?」
「あれ」
カンエイが再び指さしたところには観光船がとまっていました。
「もっとも、最近この辺は異常潮流で島に渡ること自体危ないんだけどな。
 まあ何とかなるさ」
客の乗っていない観光船はガランとしていて気味悪く感じられましたが、
お供3匹がかくれんぼなどしていて緊張感のカケラも感じられませんでした。
そうこうしてるうちに観光船は出港し、10分足らずで島に到着しました。
島には鹿がたくさんいます。
「なんか鬼が島って感じしないなぁ」
「鬼はあの山の上に住んどるんじゃ。あれに乗っていくぞ」
なるほど菊太郎が見上げるとそこには山がそびえたっています。
そしてまたまたカンエイが指さす先にはなぜかロープウェーが。
「大丈夫なのか?」
「不安ならその足で登ってみるか?」
「…いや、乗っていきましょう」
どうも自分はこの馬鹿犬に見下されてるような気がする。
そう思いながらも菊太郎一行はロープウェーで山頂を目指すのでした。
681番外編「菊太郎」6:01/10/16 01:53 ID:oNS7z9OR
ロープウェーが山頂につきます。さすがにそこはただならぬ空気が漂っていました。
大きな屋敷があり、門には2匹の見張り鬼がいます。
「おうおうおう、そこの人間!何しに来た?」
「お前らを倒しにきたんじゃ!!」
「倒し?フハハハ、笑わせるな。
 そんな貧相な人間と小動物がわれらを倒せるわけがなかろう?」
「それはやってみらんとわからんだろうがぁ」
そう言って菊太郎はバットを取り出すとそこらへんにあった石を
ノックとばかりに門番に打ち込みます。
門番を狙った石はバウンドして転がっていきます。
「ガハハハ、なんじゃそりゃぁ。そんな石、軽くとってやるわ」
門番が手を出したその時でした。石が変なバウンドをおこして跳ね上がると、
一方の門番は腹を、もう一方は顎をそれぞれ直撃しました。
門番たちはズシンと倒れこみます。
「すごい!確率10割ですね」
エンリケが感心します。
「たった2回だけだからな。次外したら一気に7割近くまでガタ落ちじゃ」
カンエイが苦笑してエンリケに囁きます。
「一言多いぞ、そこの犬。早く入ろう」
そうして菊太郎と3匹は門の中に入っていきました。
682番外編「菊太郎」7:01/10/16 01:55 ID:oNS7z9OR
「やあやあ我は菊太郎なり。ここの鬼どもを退治しにやってきた。
 覚悟しろ!」
菊太郎の叫び声に気付いた鬼たちが一斉に出てきました。
「何を!?やっちまえ!」
鬼たちは容赦なく菊太郎たちに襲い掛かります。
「アイタタタタタタ」
鬼がやってきたその時、お腹を抱えて倒れこんだのはカンエイです。
鬼たちは何がおこったのかとカンエイを取り囲みます。
「…なんつってね」
鬼の油断した所を狙ってカンエイは鬼たちの顔をひっかきます。
鬼たちは顔をおさえて逃げ出しました。
「このくらいの演技力がなくては世の中渡っていけないよ」
エンリケは敷地内にあった柿の木に登ると柿をヒョイととっては鬼に投げつけます。
そのコントロールのよさに鬼たちは柿の木にさえ近づけません。
「だから安定感抜群って言っただろ?」
小山田は飛びながらその様子を見ていましたが、エンリケを後ろから狙っている
バカそうな鬼がいたので、これはいけないとその鬼の頭の上に降りて言いました。
「ちょいとちょいと鬼さんよ。お前は4人の鬼に囲まれとる。
 そのうち前にいたヤツと右にいたヤツを倒した。
 お前は何人倒したんかのう?」
バカそうな鬼はしばらく考えた後いいました。
「そりゃあ3人に決まっとろう?」
「アーヒャヒャヒャヒャヒャ思ったとおりバカだった!
 お前はこれでもくらっとけ」
というとヒラリとバカ鬼の顔の前に飛び自慢の羽根で往復ビンタをくらわせました。
バカ鬼は泣いてどこかへ行ってしまいました。
683番外編「菊太郎」8:01/10/16 01:57 ID:oNS7z9OR
その頃菊太郎はというと。
「あんたが鬼の統領か。意外と小さいな」
屋敷の奥まで侵入し、和室でたたずむ鬼を発見したのでした。
色黒で子鬼とも言えそうな鬼でしたが、その物腰やそこらへんの鬼とは
比べ物にならないくらいのものでした。
「ここまで来たからには容赦はしませんよ。僕も3年間程鍛えてますからね」
そう言うと黒鬼は棍棒を取り出します。菊太郎はバットで襲い掛かりますが
黒鬼の棍棒がシャープに振られてあっという間に粉々にされてしまいました。
「くそっ」
菊太郎は棚においてあった水晶玉を無造作に左手でつかむと、とりあえず
全身使って黒鬼に投げ込みました。が、バランスを崩してまたも手前でバウンドします。
「何をやってるんだか。お返しですよ」
そう言って黒鬼が水晶玉をとろうとします。スムーズなバウンドで黒鬼の両手におさまった…
と思ったはずの水晶玉をなんと黒鬼はジャッグルしてしまいました。
黒鬼は慌てて水晶玉をとろうとしています。やるなら今!
「もらった!」
菊太郎は転がった棍棒を奪うと、黒鬼に突き出しました。
黒鬼は部屋の隅までいきますが、逃げ場がありません。
「…畜生、俺の負けだよ」
684番外編「菊太郎」9:01/10/16 01:59 ID:oNS7z9OR
観光船が島から陸地へと向かっています。それに乗るのは菊太郎と3匹。
皆それぞれがとってきた財宝と一緒…のはずですが。
「ヒャッホウ。やっぱり米と日本酒だよ。これさえあれば俺は何もいらねえ!
 越の寒梅最高!!」
「まさかこんなにコーヒー豆があるとは思いませんでした。もう何もいりません」
「納豆は美味いべさ〜」
「小山田さん…変な方言が出てますよ」
「おっとすまない。納豆を目の前にするとつい」
3匹は大爆笑。そうです、こいつらは自分の好物しか持ってこなかったのです。
「動物じゃこれが限界か…」
菊太郎は3匹の様子を見てガクーリしました。
結局たいした財宝を持って帰ることはできないまま菊太郎の冒険は幕を閉じたのでした。

「菊太郎はツメが甘かったな、婆さんよ」
「考えがなかったですねえ。体を鍛えるのもいいけど、頭も鍛えないといけないですね〜お爺さん」
「そうじゃのう。じゃないとこれからが心配じゃ」
68564:01/10/16 02:05 ID:oNS7z9OR
矢野地蔵に煮詰まると違う話を書いてるんで、くだらん話ばかりたまりますな。
読む人が少しでもいればそれでいいっす。マターリマターリ。
とりあえず中継ぎの皆さんお疲れさん。ピーコもバタもお疲れさん。
澤崎楽しみじゃのう…。
686広島家の人々98:01/10/16 02:08 ID:lXiAGdPc
「ちっ!」
竜士は、胸の奥から何度も湧きおこるいらただしい気持ちをおさえようと、道端の小石を
思いっきり蹴飛ばした。
頭を抱え、混乱状態に陥った博樹をなだめ、やっとのことで語らせた言葉は、竜士を愕然と
させるに十分すぎる内容であった。盆の返済期限は8月15日。今日は12日。今日を含め
後3日しかもう時間が残っていない。
「ったく、博樹兄ちゃんは・・・。」
博樹に対して、また何ともいえない気持ちがこみあげてくる。しかし、今さらジタバタ文句を
いっても仕方がない。
「どうやって金を調達するか・・・。」
前田からは、博打をやめるように諭された。だが、手っ取り早く金を得る方法はもはやこれ
しかない。
「・・・やるしかないか。」
竜士は、行く先を横松の掘立て小屋へと変えた。
「あいつら、あきれるかもしれないな・・・。」
竜士はホッとため息をついた。
687広島家の人々99:01/10/16 02:10 ID:lXiAGdPc
「佐々岡の奴、何故こうなる前にワシに相談しなかったのか!」
やっと床を離れられるようになった知憲住職は、貴浩から聞いた広島家のゴタゴタに、
いらだちもあらわに、拳を本堂の柱に力いっぱいぶつけた。その震動で、寺全体が
ガタガタ揺れる。
「住職!いくら元気になったからって、んな無茶な!!」
あわてて貴浩は近くの柱にしがみついて知憲住職に抗議した。
「フン!」
だが、知憲住職が貴浩のいうことを素直に聞くわけがない。だだっ子のようにソッポを
向いて無視する知憲住職に、貴浩は完全にお手上げの状態だった。しかし、これだけは
いわなければならないことがある。
「住職。これから俺、畑に行ってきてもいいですか?」
ソッポを向いたままの知憲住職の視線だけがジロッと貴浩に向けられる。
「佐々岡の爺がこうなって、今ウチの田畑は博樹兄ちゃんと貴哉しかいなくなって、後、
兄弟で畑を手伝えるのは俺しかいなくて・・・」
「語尾はちゃんとしろ!」
「は、はい!」
貴浩はビシッと背筋をのばして正座した。
「住職、お願いします。俺を畑に行かせてください!」
住職がジロッと貴浩を睨みつけたまま、しばらくの時間が流れた。
「・・・よかろう。」
ボソッと知憲住職は返事をした。と同時に貴浩が飛び上がって喜んだ。
「ありがとうございます!」
もう一回ペタンと正座して深々と頭を下げると、貴浩は気もそぞろに廊下に飛び出して
いった。
バタバタとせわしい貴浩の足音が、あっという間に小さくなっていく。
「フン!」
知憲住職は廊下まで見送って、またソッポを向いた。

まだ続きを書くよ。澤崎登場の前に絶対必要なシーンがあるのだ・・・
「・・・貴浩兄さん!」
田んぼの中で泥だらけの顔をあげた貴哉が、すっとんきょうな声をあげた。だが、それは
貴浩も同じで、広島家の田んぼと畑をキョロキョロ見回すと、はぁ?と信じられないといった
表情で首を横に振った。
「今日は貴哉がずっと一人なのか?」
「・・・・・・うん。」
貴哉は答えにくそうに小さな声で返事をした。
「博樹兄ちゃんと竜士兄ちゃんは?って竜士兄ちゃんが農作業を手伝うわけないか。」
「竜士兄さんは、朝早くから出かけていったよ。博樹兄さんもその後に。」
「博樹兄ちゃん、どうだった?」
「・・・・・・うん。」
その後、貴哉は返事をしようとしなかった。
「・・・・・・わかった。後は何もきかない。それより貴哉、今お前がやっている作業は?」
「稲おこし。台風で水につかった稲を起こしてやっているところ。」
「水につかったままじゃ稲が腐っちまうからな。よし、じゃあ俺も同じ仕事をするわ。」
「ありがとう、貴浩兄さん!」
貴哉の笑顔に貴浩はコクンとうなずいて、田んぼの中に入っていった。片端から稲が
やられている。あっという間に貴浩の顔も泥だらけになった。
それにしてもやっぱり気になるのは二人の兄の動向だ。とくに長男の博樹の様子は
既にまともな状態ではなかった。
「大丈夫かなぁ、博樹兄ちゃん。またどこに出かけていったんだか。」
ぶつくさ文句をいいながら稲おこしの作業を続ける貴浩に、やかんを掲げた貴哉が声を
かけた。
「貴浩兄さん、そろそろ休もう。ここに水も用意しておいたから!」
「おう!」
威勢良く返事をして、貴浩は田んぼから上がる。視界が四方に広がった。なにげなく海が
そしてふもとの家並みが貴浩の目に映った。
「海はまだ濁っているな。」
貴哉が渡した湯飲み茶碗を口にして、貴浩はポツリと呟く。貴哉も海を見ようとした。が、
目の前を湯飲み茶碗ですべてさえぎられた。
「・・・貴哉、スマン。これ・・・。」
視線を遠くの一点に定めたまま、貴浩は貴哉が茶碗を受け取ったことを確認すると、
一直線にふもとに向かって駆け出していった。
「博樹兄ちゃーん!!」
689広島家の人々101:01/10/16 03:57 ID:lXiAGdPc
ふう・・・。博樹はため息をついた。大下に輝裕のことをお願いしますと頼んで、博樹は
校舎を出た。輝裕には自分が来ていることを最後まで知らせなかった。これ以上ゴタゴタ
したことを弟たちに見せたくなかった。大下が何とかしてくれるというなら、素直にまかせて
おいた方がいい。自分は何をしでかすかわからない。佐々岡の爺のように、自分のささいな
言動や行動で今度は弟たちを傷つけるかもしれない。それなら弟たちを理解してくれる
冷静な第三者にまかせた方がいい。大下は輝裕の学費を立て替えてくれるといった。
これで盆の返済も出来る。とりあえずすべては解決したのだ。もっとそれを喜べばいい。
博樹の足取りは、いつしか丘の上から海に流れる農業用水まで辿り着いていた。台風の
影響で用水路は濁った水が溢れんばかりに勢いよく流れている。
そうだ、これでいいんだ。これでいいんだ・・・。
博樹は懐から大下から返してもらかった輝裕の学費の札束を取り出し、見つめた。
そうだ、これでいいんだ。これでいいんだ・・・。
札束の向こうに、激しい農業用水の濁流が見えた。ハッと思い出したように博樹は濁流に
目をはらした。
「・・・田んぼ、畑。・・・そうだ、貴哉一人にまかせちゃいけない・・・。」
690広島家の人々102:01/10/16 03:58 ID:lXiAGdPc
貴浩はころがり落ちるように全速力でふもとに駆け下りていった。濁流のそばに佇む
博樹の思いつめた表情。それも何か狂気的な眼差しで右手を、その下の濁流を見つめて
いる。まさか博樹は・・・。

「そうだ、早く田んぼをなおさないと!」
博樹はクイッと頭をあげた。その時
「博樹兄ちゃん、早まったことはするな〜〜〜!!」
後ろから猛烈な勢いで貴浩に抱きつかれた。

右手に握っていた札束がポロッと落ちた。それは用水路の壁にあたり、札束の舞となって
激しい濁流の中に飲み込まれていった。
一瞬、博樹も貴浩も何が起こったかわからなかった。スローモーションのように、目の前で
お札が次から次へと泥流の中に沈んでいく。
「お、お札・・・。」
やっとのことで枯れた声が貴浩の口から洩れた。それと同時にものすごい勢いで貴浩は
博樹に頬を殴られた。博樹の表情は、この世のものとは思えないほど怒りと絶望でゆがんでいた。
そしてその場にいるのも耐えられず、走り去っていってしまう。後には博樹に殴られたまま、
身動き一つしない貴浩が残された。
「あ、ああ・・・。」
身体を震わせながら、貴浩の口から声が出る。まだ頭の中がまとまらない。あれは・・・あれは・・・。
「ああああああ!!」
その後、息せき切ったように貴浩は悲鳴のような泣き声をあげた。
691代打名無し@ス:01/10/16 04:03 ID:lXiAGdPc
102でドン底突入・・・。ここまでたどり着くのに102もかかったのか(鬱
まあ、ここで起承転結の「転」の部分に入りやした。
さてさて広島家の借金問題はどうなるのか。意外に予想外の結末かも
しれない。楽しみにしてくださんせ。

64さんもおつかれさま♪ これから「菊太郎」読んでみるよ。
あと今日中に過去ログサイトも更新予定です。華宵の絵3点追加と
「広島家の人々」90くらいまで収録予定っす。
692 :01/10/16 10:52 ID:B/p+nxsY
た、貴浩!!!なんてことを〜(wどん底すぎだ・・・

64サン鬼がチビッコですか(wしかもジャッグルって・・・
693_:01/10/16 11:20 ID:JmEUdZrH
100突破オメデト。
んもう粗いさん…そのまんますぎてイライラする(w
しかし放っておけないのが粗いさんやね。
とてもツライ状態で続きが気になりやす。
助清さんがんがれ〜!
64さんのお話もいつも(・∀・)イイ!
楽しみにしてます。
694粗いのキャラが好きだ:01/10/16 15:24 ID:wiwNcV5n
ハセガはいつ出てくるの?
もんの凄く楽しみにしてるんだけど・・・。
695代打名無し@ス:01/10/17 01:03 ID:4WCMBK4j
過去ログサイト、今更新が終了しやしたm(_ _)m
ああ、もう時間がねえ・・・。スマソ、今日は続き書けないかもしれん(涙

>>692
どん底すぎる?(w まだ落ちていくよ・・・(^^; 博樹もだけど今度は竜士だ。

>>693
そこが粗いさんのいいところ♪ 実は粗いさんが一番描写がうまくいっているか
ずっと不安だったけど、らしくなってやすか。それはヨカタよ・・・(ホッ

>>694
ハセガーはカーサの次。遅くなってごめんよ。とにかくカーサが登場するまで
はまだ出番がないと思ってくんさい。
一応、これからの主要初登場人物の登場順は・・・
澤崎→カーサ→ハセガー→ノムケン→広瀬
だと思ふけど。
696エセ3分間クッキング:01/10/17 01:23 ID:ip/k5XNH
チャッチャラチャラララチャッチャッチャ〜♪
さて皆さん、お待ちかねカプの3分間クッキングのお時間です。
今日は子供も大人も大満足!『美味しい自作自演の作り方』です。それではメモのご用意を。

さて、まずは下ごしらえです。これは非常に大切ですので、しっかりやっておきましょう。
同点に追いつかれた7回裏、ノーアウトを作ります。
次にメインとなる官営を取り出しましょう。ここで注意するのは、少し古めのものを
使用してください。
それに四球、ヒット、ワイルドピッチ、フライ等をちりばめ1アウト満塁にします。
次の打者は簡単にファースト頃にするのが良いでしょう。
そしてここからが重要です。まずはいきなり3ボールでも与えてみましょう。盛り上がる事
請け合いです。四球目は3塁線ギリギリのファールを。5,6球と続き、7球目か8球目に
ポール横1メートルの大ファールをやらかします。これでさらに美味しくなります。
そして最後はもちろん三振に討ち取りましょう。
この他にもエラーなどを付け加えても良いかと思われます。試してみてください。
お好みでショート東出、サード粗い、セカンド今岡などを添えて完成です。

皆さんメモは取れましたか?これで楽しく観戦出来るでしょう。
ただ、用意する官営は絶対に『1年目の小林』ではいけません。これだけはお守りください。

それではまた来週お会いしましょう。次週は『タイムリーエラーと三振のリゾット』です。
お楽しみに〜♪
697代打名無し@ス:01/10/17 01:38 ID:4WCMBK4j
>>696
あはははははは・・・
ワラタよ(爆
698エセ料理人:01/10/17 01:52 ID:ip/k5XNH
わーい、笑ってもらえた(爆
テキトーです。笑って済ませて〜ははん
69964:01/10/17 02:40 ID:4fGCnVRv
>>696
「キングオブ自作自演」!あの時は実況板でおおはしゃぎしたよ(w

矢野の番外編が書けないので今日は「菊太郎」の挿絵を。
ジャッグルじゃなくてファンブル?どっちが正しいんかのう?

          △_△
    -=≡/__C)__  アッ・・・
    -=≡(・) ・ 3・)    
    -=≡/ つ  \    ○
   -=≡┌   ) ) @/
        ̄ ̄ ̄ ̄   ⌒⌒⌒

正直、AAは作れないので兄弟スレにあったやつ改造しただけ。スマソ
700_:01/10/17 08:14 ID:7S+AIyvs
>>696 激しくワロタ
見事じゃ!朝から元気が出たよ(w
ぜひ次週もキボソ。
701エセ3分間クッキング@2:01/10/18 01:08 ID:Jkdo8rI5
チャッチャラチャラララチャッチャッチャ〜♪
さあ思わぬ好評で急遽引き続きカプの3分間クッキングをお送りする事となりました。
今日はちょっぴり大人向け『空に向かって打て〜フライ仕立て』です。

さてまずは体長183cm大ぶり3年目の新井を用意します。
用意できない場合は同種の良太でも代用は出来ますが、やはりなるべく新井を使ってください。
まずは下ごしらえから。この素材は細かい所に気を取られると本来の味が引き出せませんので、
大雑把に大胆に逝ってください。
サードのポジションを用意します。ここでまずエラーをやらかしてみましょう。
次に第一ポイント・野村の復帰とアキレス腱痛をしっかり効かせてください。これは後に大切になる所です。
そこへすかさずスタメン落ち、代打起用、三振をまぶします。
そこで第二ポイント・代打→守備固め(なってねえよ!)でコーティングします。
隠し味としてここでもおかしな動き、エラーにならないエラーを。
そして第三のポイント・松原開眼塾。ここが一番重要なポイントなので間違えないようにしてください。
さあこれで完成です。打席に立たせればフライの出来上がりです。
今回は材料調達が難しいものでしたが、それさえ手に入れば後は簡単です。
お子様とご一緒にいかがでしょうか?親子の仲も深まります。

ただ少し注意が必要です。主要材料である新井は未知なる生物でもあるので、この通りに調理しても
5打数5安打なんて事になり『空に向かって打て〜あらやだ2割8分?』が出来上がってしまいます。
こうなってしまってはしょうがないので大切に育ててください。

最後に”金本兄貴のビンタ”と”球をよけるときの微妙な腰つき”を添えて召し上がってください。

ちょっと今日の出来はいまいちだったかもしれませんね。それではまた来週お会いしましょう。
来週は『キムタク、ファインプレーと三振のはさみ揚げ』です。おたのしみに〜
702エセ料理人:01/10/18 01:12 ID:Jkdo8rI5
むゥ・・・今日はシパーイ風味だ・・・
703代打名無し@ス:01/10/18 01:15 ID:FL7Su+Gw
>>701
甘いぞ(w
アキレス腱痛をしっかり効かせる時に、黒田コショウをまんべなく
ふりかけなくては!!
704代打名無し@ス:01/10/18 01:16 ID:FL7Su+Gw
>>703
ありゃ「ん」が抜けてる。まんべんなくね。

P.S 今日は「広島家の人々」の続き書くよ
705エセ料理人:01/10/18 01:18 ID:Jkdo8rI5
ああ!しまった!!そうだった〜この料理には[・ ε ・] が不可欠だったんだ・・・(w
まだまだだな、俺
706 :01/10/18 01:19 ID:KaZQhAH2
粗いさんは体長189センチだYO!
707 :01/10/18 01:22 ID:LsLNEOwL
第1ポイントで「ディアス大噴火」もほしかったかも
シーズン当初はサードの守備固めとかもあったから>神
708エセ:01/10/18 01:34 ID:Jkdo8rI5
ははん(wエディは入れようとオモテたんだけどはしょってしまった・・・
・ガ━━Σ(゚д゚lll)━━ン! って身長も間違えてるシー・・・
709広島家の人々103:01/10/18 02:28 ID:FL7Su+Gw
湯飲み茶碗を目の前に渡された貴哉は、しばらくの間ボーッと湯飲み茶碗とにらめっこを
していた。貴浩の博樹を呼ぶ声とドタバタ走る足音があっという間に小さくなっていく。
「博樹兄さん・・・?」
なぜそこに博樹の名が?気になって、貴哉は貴浩が走り去った方向を見下ろした。
そこへ、ふうっと一陣の風が横殴りに貴哉のまわりを吹き抜ける。バタッと大きな音が田んぼ
の方からした。
「むぅ・・・。」
せっかくまっすぐになおした稲の一部が、元の状態に戻ってしまっている。
「・・・貴浩兄さん、使えない・・・。」
稲の間に中途半端に立てた柵が倒れて、かえって稲をおしつぶす原因になってしまっていた。
貴哉は、フンと大きく胸をそらして田んぼの中に入って、また補修作業にとりかかった。
どのくらいの時間が過ぎただろうか。いつまで経っても貴浩が戻ってくる気配がない。
いくら物事に粗い貴浩であっても、挨拶もなしに勝手に帰ってしまう礼儀知らずな人間ではない。
何かあったんだろうか。そういえば博樹の名前を呼んでいた。博樹の精神状態とて、貴哉から
見ても安心できるものではない。
貴哉は、作業の途中で田んぼから上がり、丘の上から村全体を見回した。
貴浩が走っていったと思われる場所に兄二人はいなかった。いや、村のどこを目をこらして
見ても、兄二人の姿は見当たらなかった。

輝裕はだんだん不安で胸がいっぱいになった。何か今日の学校の様子は違う。いつまで
経っても生徒も、そして担任の山崎も教室にやってこない。
いきなり大下に進学を辞退することを伝えるのは怖かった。できることなら、温和な担任の山崎
か、他の生徒に間に入って欲しかった。しかし、こんな時に限って誰も来てくれない。輝裕は
イラ立って、思わず廊下に飛び出した。
L字に曲がった廊下の向こうから、慌しくこちらにやってくる足音が聞こえてくる。輝裕は教室の
入り口の扉に手をかけ、向こうからやってくる人物に視線を集中させた。
若い誠実そうな、しかし見たこともない青年である。
「ああ、遅くなってしまってすみません。」
青年はペコリと輝裕に頭を下げた。
「あなた、誰ですか?」
輝裕は眉をひそめた。
「あっ、私は先日辞められた山崎先生の代わりの臨時教員で、松本といいます。」
「山崎先生がやめた!どうして!!」
「えっ、もしかして知らなかった。山崎先生は親御さんの病気で突然郷里に帰らなければならない
ことになったんですよ。それで新米の私が代わりとして・・・。」
だが、放心状態の輝裕はその後の言葉を聞いていなかった。その時
「輝裕!」
身体を突き通すような大音量の厳しい声で、大下が輝裕を呼ぶ。反射的にビクッと輝裕は身体を
大下の方へ向けた。
「話がある。ちょっとワシの部屋まで来い。」
またもやってしまった。ここで体力限界・・・(鬱
スマソ、今日はこのあたりまでで。明日起きたら続き書きやす。
(西武ドーム逝くつもりだったが、今ものすごく迷ってる(泣 )
西武ドーム逝かなかったら、結構先まで書けると思うんで。
150でケリつくか?つかんだろな・・・。200まではいかないように
とにかく明日澤崎登場まで続き書けるようにしやす。
711 :01/10/18 02:38 ID:z6qQjfsV
松本先生(;´д`)ハァハァ
健やめちゃったのは現実と同じなのか…シンミリしたよ
712_:01/10/18 11:18 ID:fd/ZDY5h
>>701 >球をよけるときの微妙な腰つき
ワロタ
次もがんがれ、料理人!
助清さんは西武ドム行ったのだろうか?
ドムは冷凍庫なヨカーン
もし行ってたら→レポきぼん。風邪ひかぬよう今日は早く寝たほうが…
中止→続きをがんがれ!博樹が不憫でのぅ。
713  :01/10/18 12:54 ID:aPekEsWK
松本先生・・・ハァハァ
校庭(3塁)からあのフツーな声で「ウチがんばれー」ゆうて
くれそうな・・・
714エセ3分間クッキング@2改正版:01/10/18 15:18 ID:f18B0xVk
チャッチャラチャラララチャッチャッチャ〜♪
さあ思わぬ好評で急遽引き続きカプの3分間クッキングをお送りする事となりました。
今日はちょっぴり大人向け『空に向かって打て〜フライ仕立て』です。

さてまずは体長189cm大ぶりで活きのいい3年目の新井を用意します。
用意できない場合は同種の良太でも代用は出来ますが、なるべく新井を使ってください。
それでは下ごしらえから。この素材は細かい所に気を取られると本来の味が引き出せませんので、
大雑把に大胆に逝ってください。
まずサードのポジションを用意します。ここでエラーをやらかしてみましょう。
トンネルしてみたりはじいてみたり、お好みでどうぞ。
ここで第一のポイント・野村の復帰とアキレス腱痛、さらに”黒田の恨み”をしっかり効かせてください。
これは後に大切になる所です。
そこへすかさずディアス確変、スタメン落ち、代打起用、三振の順でまぶしてください。
そして第二のポイント・代打→守備固め(なってねえよ!)でコーティングします。
隠し味として、”え?今のエラー?足離れてんジャン!!”・”フライの負い方変だぞおい”を入れると
よりいっそうおいしくいただけます。
そして第三のポイント・松原開眼塾。ここが一番重要なポイントなので間違えないようにしてください。
目が痛かろうと瞬きをさせてはいけません。気合で乗り切りましょう。
さあこれで完成です。打席に立たせればみごとなフライ(もしくは三振)の出来上がりです。
簡単ですね。
お子様とご一緒にいかがでしょうか?親子の仲も深まります。

ただ完璧なフライを作るには少々注意が必要です。主要材料である新井は未知なる生物でもあるので、
この通りに調理しても5打数5安打なんて帳尻をやらかし、
『空に向かって打て〜あらやだ2割8分?』が出来上がってしまいます。
こうなってしまってはしょうがないので大切に育ててください。

最後に”金本兄貴・愛のビンタ”と”球をよけるときの微妙な腰つき”を添えて召し上がってください。

それではまた来週お会いしましょう。
来週は『キムタク、ファインプレーと三振のはさみ揚げ』です。おたのしみに〜
715エセ:01/10/18 15:19 ID:f18B0xVk
ちょっと修正・・・(w
716代打名無し:01/10/18 18:58 ID:FMnaahaB
今更言うのもなんですが、「ヘンなダイビングキャッチ」も入れて欲しかった
717_:01/10/18 19:32 ID:Qxw03q2h
粗いさんを料理するのは難しいね(w
その割にはうまくなさそうだが。
718エセ:01/10/18 21:16 ID:mPSZgEf/
>>716
・・・・・・
719広島家の人々104:01/10/18 23:56 ID:nFjcjlwl
「あっ、私は先日辞められた山崎先生の代わりの臨時教員で、松本といいます。」
「山崎先生がやめた!どうして!!」
「えっ、もしかして知らなかった。山崎先生は親御さんの病気で突然郷里に帰らなければならない
ことになったんですよ。それで新米の私が代わりとして・・・。」
だが、放心状態の輝裕はその後の言葉を聞いていなかった。その時、
「輝裕!」
身体を突き通すような大音量の厳しい声で、大下が輝裕を呼んだ。反射的にビクッと輝裕は
身体を大下の方へ向ける。
「話がある。ちょっとワシの部屋まで来い。」
輝裕は、意志をもたない操り人形のように、無表情で規則正しく大下の後をついていった。

ガラガラと重たい引き戸が閉められる。
「あ、あの・・・」
輝裕は、進学の辞退を大下に告げようとした。だが、その前に
「広島、我が校から高等学校に進学する生徒はお前一人と正式に決まった。」
と重々しく宣告する大下に、すべて言葉をさえぎられてしまった。
輝裕の表情が固まる。呆然と大下を見つめ、そして身体を震わせ顔を下にうつむかせていく。
「・・・辞退させてください。」
うつむいたまま、絞り出るような苦しい声で輝裕は呟いた。
「高等学校進学は辞退させてください!」
そして、抑えにおさえていたものを吐き出すように輝裕は叫んだ。
大下は、しばらくの間黙って輝裕を見ていた。
「輝裕、顔をあげろ。」
だが、輝裕はずっとうつむいたままだ。
「顔をあげろといってるのがわからんのか!」
大下の怒鳴り声にビクッと身体が反応し、輝裕は恐る恐る顔をあげた。それと同時に
ビシャッ!
容赦ない大下の平手打ちが輝裕の頬に飛んだ。
「甘ったれるな・・・。」
低く怒りのこもった声が、輝裕に向けられた。
「お前一人が良ければそれでいいのか。随分といいご身分になったもんだなぁ!」
「・・・違います!」
頬をおさえながら、輝裕は反論した。
「もうウチにはお金がないんです!ボクが学校に行っている場合じゃありません。もう、
これ以上、ボクの進学のことで兄たちが無理するのを見てられません!耐えられません!」
今度は、足で力いっぱい腹を蹴飛ばされた。輝裕はそのまま勢いで後ろから床に倒れこむ。
「それが甘えているっていうんだよ・・・。」
キッと輝裕は顔を見上げて、大下を睨みつけた。
「じゃあ、どうすればいいっていうんですか!どうすれば一番いいっていうんですか!」
必死に大下を睨みつけながら、輝裕の顔はみるみるゆがんでいく。大下は無造作に
山積みになった問題用紙の束を輝裕に投げ捨てた。
「フン、随分余裕があるじゃないか。余計な雑念を考えるほどなぁ。そんな暇があったら
もっと勉強してしっかり学力つけとかんか!それは今日の課題だ。それが終わるまで
学校から帰ることは、ワシが許さん。」
そういうと大下はバタンと叩きつけるようにドアを閉めて、部屋から出ていった。その後、
ガシャーン
力まかせに輝裕が投げつけた陶器の花瓶がドアで粉々になった。
720代打名無し@ス:01/10/19 00:04 ID:8yExfPoj
西武ドーム逝かなかったのに、あんま体調がよくなくて
結局、夜書き始めている「広島家の人々」・・・(鬱
スマンのう・・・。でも今は完全に身体もなおったから、澤崎登場まで
書くよ。もう少し待っててけれ。

>エセ料理人さん
がんがれよ〜(^o^)丿

>64さん
リンクもう少し待ってね。ホンマにすまん・・・。

>>711-713
あら、松本先生ウヒョーだった(w
山健はね、最初はこの設定じゃなかったけど、今回の戦力外通告で・・・(涙
その後の先生役も候補は3人ほどいたけど、コスモスリーグのいかにも
普通の社会人っぽくいい人の松本に萌えて、この役決定。
博樹は・・・。まだ不幸は続くんだ。
72164:01/10/19 01:09 ID:drLylyI1
   | \
   |粗 ̄)  「誰もいないようだ…自作の詞で踊るぞ」
   |⊂
   |

♪雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ 野次ニモ夏ノ球場ノ暑サニモ負ケヌ
丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモ賑ヤカニ後輩ヲイジメテイル
一日ニプロテイン500gト カープうどんト少シノ野菜ヲタベ
アラユル四死球攻メヲ ジブンノカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ シカシ恨ミハワスレズ
広島ノ街ノホテルノ蔭ノ 小サナ芝生ノハゲタ球場ニイテ    ♪
東ニ熱狂的ファンアレバ 行ッテ記念ノ30号ヲ打ッテヤリ
西ニ新シイ球場アレバ 行ッテ初ホームランヲ打チ名ヲ残シ
南ニ温泉地アレバ 行ッテ半ケツ出シテモイイ?トイイ
北ニ贔屓ノ酷イ実況ヤ解説ガアレバ ツマラナイカラヤメロトイイ
ヒデリノトキハ体重ヲ落トスガ サムサノ冬ハトレーニングニ励ム
ミンナニ「兄貴マンセー」トヨバレ 打テヌトキニモ 腐肉ト慕ワレ
ソウイウモノニ ワタシハナリタイ        ♪

     ♪  Å
   ♪   / \     アニキ、ツイテイキマス…
    煤R( ̄粗 ̄) ノ
        (   へ)         ♪
          く      
72264:01/10/19 01:11 ID:drLylyI1
スマソ、矢野の続きに相変らず煮詰まってくだらんことをしてしまった(;´д`)
723広島家の人々105:01/10/19 01:28 ID:8yExfPoj
「チッ、いつまで畑仕事をやっているつもりじゃ。それより大事なワシの夕飯の準備を
忘れおって、見つけたら身体が覚えこむまでお仕置きをしてやる!」
知憲住職は、カッカと怒りながら寺の階段を下りていった。
もう太陽が海の水平線にふれんばかりに沈んでいる。しかし、いつまで経っても貴浩が
帰ってくる気配がない。こんなことは貴浩が金本寺に住み込むようになって初めての
ことだった。
住職は、はじめ広島家の田畑に行き、次に広島家をのぞいた。子犬のシマと鶏のロペ
が知憲住職の姿を見つけ、騒ぎ出す。しかし広島家のどこを捜しても、広島家の兄弟は
誰一人いなかった。
「はて、めずらしいこともあるものよのぅ・・・。」
田んぼにも畑にも家屋にもいない。ここで何やらとんでもないことが起きているのではないか、
住職に悪い予感がよぎった。
「クッ、手間をかけさせおって・・・。」
住職は力まかせに錫杖の先で地面を叩くと、きびすをかえして村の中心地に向かって走り
はじめた。

住職の悪い予感は次第に強まっていった。どこへいっても兄弟たちの居所を知るものが
いない。
「住職、なにかあったんですか?」
駅員の木村が顔を曇らせて尋ねる。
「いや、なにがというわけではないのだが・・・。」
そこへ郵便の配達をすませた福地が通りがかった。
「おう!ちょうどいいところへ来た!」
サッと知憲住職は福地の前に立ちふさがって、広島家の兄弟たちを見たか福地に尋ねた。
いきなり威圧ある知憲住職に前をふさがれて福地はめんくらったが、住職の真剣な表情に
すぐに真面目な顔になり、記憶を蘇らそうと腕を組んだ。
「んー、ああ貴哉くんなら、1時間くらい前にあの丘の道をトボトボと下りていく姿を見ました
ねえ、後は・・・。ああ後は住職のお弟子さん、彼が海沿いの道を向こうの方へ走っていく姿
を見ましたよ。」
「なにぃ、貴浩が!!」
住職は思わず福地の襟元を両手で掴み、ガクガクと揺らす。その衝撃で福地は気を失いそう
になった。
「住職!」
あわてて木村が止めに入った。
「おっ、すまぬ。いや、ありがとうな福地!」
住職は片手をあげて礼をいうと、突風のようにその場から消えていなくなった。後には
ゲホゲホと胸を叩いて呼吸を整える福地と、心配そうに住職の後ろ姿を見送る木村の姿が
残された。
大下・・・鬼〜(w これも愛情・・・?
ってホントにどうなる広島家!!って感じですねぇ・・・・
725広島家の人々106:01/10/19 03:12 ID:8yExfPoj
知憲住職は懸命に海沿いの道を西に向かって走っていった。港を通りぬけ、いつしか海沿いは
白い砂浜が延々と岬まで続いている。そして海の色は台風の影響も薄れ、やっと元の色を取り
戻しはじめていた。
「一体どこまでいったのか・・・。」
太陽がだんだんと水平線に消え、今にも見えなくなろうとしていた。暗くなってしまうと、明かりも
ない中で貴浩を捜すのは困難だ。いつもは動じない住職が、この時ばかりはあせり始めた。
岬がだんだんと大きくなっていく。住職はホッと胸をなでおろした。岬のくちもとの砂浜に人影が
見える。あの独特の動きは間違いなく貴浩だ。
「貴浩ー!」
知憲住職は大きな声で呼んで、砂浜に降りた。細かな砂に足をとられてなかなか前に進むことが
できない。貴浩はまったく反応しなかった。かがんで、なにやら一心不乱に波打ち際を見つめて
いる。
「貴浩ー!」
いらついて、もう一度知憲住職は貴浩の名前を呼んだ。今度は貴浩は気がついたようだった。
顔を知憲住職の方に向け、スクッと立ち上がる。
「ったく、どこをほっつき歩いていたのだ。ワシに心労をかけさせるでない。」
胸をそらしてエラそうにいいながら、安心からつい知憲住職の口から本音が洩れてしまった。
だが、住職がそれに気づくことはなかった。貴浩の様子がおかしい。目を大きく見開いて住職の
姿を発見したあと、立ち上がったまま微動だにしない。
「貴浩、どうした?」
知憲住職は不思議そうに貴浩を見た。突然、貴浩は顔をくしゃくしゃにした。
「住職ーーーーーーー!」
そして住職に抱きつくと、身体全体で激しく泣きじゃっくった。
「おいおいおい・・・。」
貴浩が見せるはじめての姿に知憲住職はとまどい、貴浩をなだめるように背中をポンポンと
叩いてやる。貴浩の右手から、水を含んでボロボロになったお札が数枚、砂浜に落ちた。
726広島家の人々107:01/10/19 04:12 ID:8yExfPoj
大下から与えられた課題をやり終えると、顔をそむけるようにして輝裕は学校を飛び出して
いった。大下に蹴られた腹がまだ鈍く痛む。もう二度と学校には行きたくなかった。かといって
このまま家に帰る勇気も輝裕にはなかった。一体、自分は今どんな表情をしているのだろう。
お前一人が良ければそれでいいのか。大下の言葉の意味がわからなかった。なぜ、そんな
ことをいわれなければならないのか。兄たちと自分の想いは一緒だと思っていたのに、
それは自分の一人勝手だったとでもいうのだろうか。
「もうわかんないよ・・・。」
輝裕にとって逃げられ甘えられる場所は、もう知憲住職のいる金本寺しかなかった。

金本寺はひっそりと静まりかえっていた。
「住職〜!」
輝裕は大きな声で知憲住職を呼ぶ。だがまったく返事がない。
「貴浩兄ちゃ〜ん!」
厨と離れで貴浩の名前も呼んだ。しかしやはりまったく人のいる気配がない。
「法事の帰りにしちゃ、時間が遅すぎるんだけどなぁ・・・。」
仕方なく輝裕は本堂の廊下に座って、二人の帰りを待っていた。
ここで西山堂のあんこ餅の取り合いをしていたことが、つい昨日のようによみがえる。
今と違う、こうなるとはまったく想像もしなかった平穏だったあの日々。
輝裕の目にこんもりと涙がもりあがった。あわてて輝裕は涙を拭いて廊下に座りなおした。
日がとっぷりと暮れた。鈴虫がリンリンと寺の周りで鳴り響いている。知憲住職と貴浩が
帰ってくる気配はなかった。
「・・・・・・。」
恨めしそうに輝裕は入り口の山門を見つめた。そして仕方なくなく勉強道具の入った袋を
手にとると、肩を落としてトボトボと寺の階段を下りていった。

同じ頃、貴哉は足を棒にして家にたどり着いた。うれしそうに子犬のシマと鶏のロペが駆け
寄ってくる。だが家の灯りはどこもついていなかった。
「やっぱり誰もいない・・・。」
気になって村の至るところへ行って貴浩と博樹の姿を捜したが、とうとう二人の姿を見つける
ことはできなかった。
「待っててね。今、餌を持ってくるから。」
貴哉は土間からシマとロペの餌を取り出した。ロペは喜んで庭をついばみ、シマは尻尾を
ふってエサにむしゃぶりつく。貴哉はずっとシマの頭を撫でていた。誰もいない暗い家の中に
一人でいたくなかった。
向こうの道から、何やら物音が聞こえてきた。誰かがこちらにやってくる。
「帰ってきた!」
貴哉はパッと顔を輝かせ、垣根を越え、道に飛び出した。
727広島家の人々108:01/10/19 04:52 ID:8yExfPoj
「おっ、貴哉どうしたんだ?」
それはぶつくさ文句をいいながら帰ってきた竜士だった。
「竜士兄さん・・・。」
ホッと胸をなでおろした貴哉は、その後の言葉を続けることができなかった。貴哉の様子が
おかしいことは、家の様子でわかった。
「博樹兄ちゃん、帰ってきていないのか。」
「うん・・・。」
「ったく、いいかげんにしろ!クソ兄貴!!」
竜士は近くの小石を思いっきり蹴り上げた。竜士はかなり機嫌が悪い。貴哉は、貴浩と博樹
のことを竜士にいってもよいか、ためらった。
「しっかし、なんであそこでああなるんだ・・・。」
まだ竜士はぶつぶつ文句をいっている。
「賭け事の事?」
貴哉は尋ねた。竜士はバツが悪そうにうなずいた。
「なんでもねえ時なら手ぇ出すもんじゃないけどな、盆の借金のことを考えたら、これしか手段
が思いつかなくてな。」
「盆の借金っていつまでに?」
「15日だとよ。ったく博樹兄ちゃん・・・。昨日になってやっと聞き出せたんだ。」
「・・・時間がない・・・。」
貴哉の顔が青ざめていった。竜士もうつむく。サッと貴哉が家の中に駆け出していった。
そして何かを手にして竜士のもとに戻る。
「竜士兄さん、これを使ってよ。」
それは広池からもらったお札だった。
「お前、これ・・・。」
竜士は目を丸くする。貴哉は首を横に振った。竜士はスマン!と深々と頭を下げた。
そこへ輝裕が家に帰ってきた。竜士と貴哉は息をのんで輝裕を見つめた。輝裕の目が赤く
腫れている。ハッと気づいて輝裕は下にうつむいた。
「な、なんでもないよ。」
ホッとおだやかな顔つきになって、竜士がやさしく輝裕の背中を叩いた。
「ごくろうだったな・・・。」
しばらく微動だにしなかった輝裕が、無言でコクンとうなづいた。
「さっ、いつまでもここにいないで、家の中に入ろう。」
年下二人を寝かせて、竜士は一人茶の間で博樹の帰りを待っていた。しかし、とうとう
博樹が家に帰ってくることはなかった。竜士はイライラが昂じるのをなんとか抑えながら、
じっと博樹が帰るのを待っていた。
728代打名無し@ス:01/10/19 04:58 ID:8yExfPoj
ああ、書いても書いてもまだ澤崎が登場できない。ウソだろ、おい・・・(鬱
スンマソン、さすがにこれ以上起きてるわけにはいかず。あうぅ、上柚木も逝けない
かもしれん・・・(涙 こりゃ150超え確実だな。なんとか200で抑えるを目標に
せねば・・・(泣
澤崎はまず110で登場予定です。カーサが120までに登場できるか。ああ・・・。

それではおやすみなさい・・・。
729(・ ε ・):01/10/19 07:24 ID:LJNgIrd0
アラビアンナイトみたいだね
730(・ ε ・):01/10/19 19:56 ID:8JWxrbt4
あげるよ
731番外編「矢野地蔵」5:01/10/20 01:37 ID:UfbyD1aX
1〜4は>>636-639
(もう忘れ去られてるが矢野と酒井が出てこないのもむごいので続けさせてください)

5
「矢野地蔵?」
西山堂の羊羹をほおばりながら住職が聞き返し、しばらく考え込む。
「ふーむ…聞いたことがないのう」
「やはり住職もご存知ではありませんか」
ここは勿論金本寺である。浅井は先日の地蔵のことを聞きに来ていた。
住職が知らないということで、浅井はそれからしばらく先日の村上山での
一件を住職に説明し、あの場所から持ってきた冊子を差し出した。
「読もうとしたのですがどうも達筆というか悪筆というか…。
住職なら読めるかもしれないと思って」
「どれどれ」
住職は冊子を受け取るとパラパラとめくってみる。
「この程度の文字なら全く問題ない。しかもそんなに古い時代のものではないぞ。
私にでも読めそうだ」
「私にでも、って。古文書なども読めるんでしょう?」
「それが全く読めん。読もうとも思わんがのう」
といって苦笑いを浮かべると住職は冊子を読み始めた。浅井は羊羹を
つまみながら住職に注目する。さすが相当の修行を積んでいるだけあって、
この冊子もいとも簡単に読んでいるようだ。表情一つ変えず読んでいたはずの
住職だったが、突然「ぷっ」と吹き出したかと思うと、神妙な顔つきになったり妙な感じだ。
そうして読み終えたのだろうか、冊子を閉じて言った。
「どうやら面白いモンを見つけたみたいだぞ、浅井」
浅井はあの地蔵の何が面白いのか全くわからず不思議でたまらない。
「とりあえずここに書いてあることを説明しようか。そんなに長くもないし」
そう言うと住職は冊子の内容を浅井に話し始めた。
732番外編「矢野地蔵」6:01/10/20 01:40 ID:UfbyD1aX
ある時、村上山に男の赤ん坊が捨ててあった。偶然薪を拾いに来ていた
安仁屋婆がその子を見つけ、かわいそうにと薪と一緒に拾って帰った。
安仁屋婆はその昔とてもとてもかわいがっていた非常に出来のいい息子に
先立たれていたので、
「この子は村上山の人探しの神様が私に探してきてくださったに違いない」
と思い、名前を矢野と付け本当の子供のようにかわいがった。
成長するにつれ、矢野には不思議な力がそなわっているのに安仁屋婆は
気付いた。人の願いをかなえてくれるらしい。しょっちゅう方向を誤って変な風に
願いをかなえることもあったが、安仁屋婆は喜んだ。これで一儲けできる。
金をたくさんためて、大好きな酒を買おう、と。
それから安仁屋婆は矢野の能力で金儲けを始めた。
何年かたち矢野は立派な青年になった。しかし安仁屋婆の金儲けは相変らずだった。
そして矢野の能力が思ってる方向にいかないのも相変らずだった。しかし皆
「次期待してるからがんがりなさい」というだけで厳しく怒ることはなかった。
期待して呼んできたのは自分たちなわけだし、何より矢野青年は泣き虫だったのである。
泣き出すと止まらなかった。あまり面倒なことは御免、というわけである。
そんな矢野青年の噂を聞きつけ、ある時隣村の富豪が矢野青年を呼びつけた。
聞けば、30過ぎになってやっと生まれた自分の娘の鼻を高くしてほしいとのこと。
矢野青年は「たやすい御用」と富豪の娘に能力を使ってみたのだが、
いつもの悪い癖が出てしまった。鼻を高くするはずのその能力は、
なんと方向を誤って娘の鼻毛をみるみるうちに伸ばしてしまったのだ。
血気盛んな富豪は一瞬のうちに激怒してしまった。
「このノーコン茶坊主!わしの娘に何しやがる!!謝れゴルァ」
そう言うと富豪は矢野青年が謝る前に彼を切りつけてしまった。
勿論、安仁屋婆の目の前で。
一度ならず二度までもかわいい息子を奪われてしまった安仁屋婆は泣きに泣いた。
矢野青年の命を結果的に奪ってしまった自分の卑しい行いも反省した。
安仁屋婆は矢野青年の亡骸を、彼を拾ってきた村上山に誰にも見つからぬよう
人一人入れるくらいの穴をほりさらにその土の中に埋めてやった。
そして彼をしのんで村上山の岩で矢野青年そっくりの地蔵を作ってやり―――
733番外編「矢野地蔵」7:01/10/20 01:42 ID:UfbyD1aX
「―――、そこで記録はとまっておる。きっとこれはその婆さんが書いたもんなんだろうな」
「ということは、あそこにはその青年の亡骸が…」
「ということになるな。下手すると婆さんもそこで自害しとるかもしれん」
浅井は手にもっていた羊羹をポロリと落とした。そんな所を見つけてしまったなんて。
意外と小心者の浅井は祈った。バチが当たりませんように、と。
「しかしおかしな話じゃ。鼻毛を伸ばすなどと、たいした能力の持ち主じゃのう」
「そ、そ、そんなのはどうでもいいんですけど、わしは呪われたりしないですよね?ね?」
「知らん。そりゃお前さんの心がけ次第じゃ」
不気味な笑みを住職が浮かべる。浅井はますます怖くなった。
「そそそそそんな、住職!除霊してくださいよ!!不気味じゃないっすか」
「ほほーう、そんな怖い顔つきしとるお前にも怖いものがあったのか」
「顔つきと性格は関係ないでしょう!?いい加減おちょくってると怒りますよ!」
浅井はちょっと本気になって腕まくりをする。さすが海の男、体つきは住職に引けを取らない。
「わかったよ。すまんすまん」
住職は苦笑しつつ謝る。
「それにしてもよくそんな穴を見つけたもんだ。探し物のあったとか言っておったが…」
「…ええ、これを探してまして」
浅井が差し出して見せたものは木彫りの魚のようなものがついた首飾りであった。
73464:01/10/20 01:47 ID:UfbyD1aX
さっきも括弧書きで書いたように、せっかく1軍で活躍した矢野と酒井の話を
書かないとなんとなく申し訳がたたないのであぷさせてもらいました。
100レス程前の話などもう忘却されてるとは思うけれども。

>助清さん
リンクありがとうございました。あまり無理はせぬよう。

>エセ料理人さん
次回作できたらうぷして下され。笑わせてもらってますよ。
735今日は休むよ・・・@ス:01/10/20 02:08 ID:C0DCTMSI
久しぶりに単なるウヒョスレ住人とノムケン登場場面の参考資料でも読んで
います(^^;さすがに動きすぎたか。明日の予定はすべてキャンセル。英気を
養いやす!
それにしても、これで今シーズン終了。ああ、終わっちゃったんだな・・・。
あっという間だったよ。多分、矢野であろう人物のバイバイでおしまいか・・・(w
64さん、矢野青年笑わせてもらいやした!

>>729
それは延々と続くという意味でいいのかな(^^;
736エセ:01/10/20 02:55 ID:O/hFGm60
うわーい、こんな時間に何してるー(w
次回はキムタクだべ
助清さん、怒らないでねーチビッココンビは好きなんだよー
737代わりにこれヲバ・・・:01/10/20 03:04 ID:O/hFGm60
TRIAL \10,000,000

        .  ∧_∧____   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ___  (´∀` ,) //| <  輝裕は何故あんなにも小さいのか?
    <──<\⊂ へ ∩)//|||   \__________________
    \.  \,>'(_)i'''i~~,,,,/
──┐  ̄|| ̄(_) ̄~||~ ̄
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
━━<  輝裕は何故あんなに小さいのか?                        >━━
    \___________________________________/
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
━━< A:母親が違う                  B:父親が違う                  >━━
     \________________/  \________________/
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
━━< C:上の3人が全部吸い取ったから        D:神様の粘土が足りなかった                    >━━
    \________________/  \________________/



・・・・・おもしろくねぇ・・・
738 :01/10/21 00:53 ID:UOIlrZ7w
期待age
739読売市ね:01/10/21 01:03 ID:liOVBKDT
東で働け 山内働け 沢崎働け 前田働け 官営働け 前田イラン 仁尾か殺せ
740広島家の人々109:01/10/21 03:47 ID:QPUH1ViT
「お願いします・・・。」
博樹は手をついて深々と頭を下げた。
「・・・この条件でも、博樹さんが担保になってもええっちゅうこっちゃな。」
「・・・まだ下に4人の弟がいます。俺でなんとかなるなら、俺がこうなることでなんとかなるなら・・・。
すみません、お願いします!お願いします!」
相手の男はニンマリと不気味な笑みをこぼした。
「ほんなら、ここにサインしてもらおうかのぅ。金ならすぐ用意するけぇ、待っとりんしゃい。」
震える手で博樹はペンを握った。


コケコッコー!

鶏のロペがけたたましく鳴き声をあげる。とうとう朝を迎えてしまった。竜士は怒りで身体が
震えるのを抑えきれなくなっていた。
「竜士兄さん・・・?」
おそるおそる貴哉が階段から降りてきて、竜士の様子をうかがう。竜士はドンとちゃぶ台に
怒りを叩きつけた。
「・・・博樹兄さん、とうとう帰ってこなかったんだ。」
貴哉は、ため息をついた。
「輝裕は?」
「それが・・・学校に行きたくないって・・・。」
「なにぃ!」
竜士はズカズカと階段を上っていった。輝裕は頭から布団をかぶったまま丸まっていた。
「輝裕!」
竜士は無理矢理輝裕の布団を剥ぎ取った。懸命に抵抗していた輝裕だったが、竜士の力に
はかなわず、勢いで部屋のすみまで転がされた。
「一体どういうつもりだ!」
輝裕は床に両手をついたままうつむき、何もいおうとしない。
「貴哉!輝裕の学校道具を持ってこい!」
心配そうに階段から様子をうかがう貴哉に、竜士は命令した。
「ほらっ、ちゃんと学校に行くんだよ!」
そして嫌がる輝裕を強引に着替えさせ、腕をつかんで家の外まで引きずっていく。
「いいか貴哉、無理にでも輝裕を学校に連れていけ!!」
「ほぉ、さすが兄ちゃんたちはわかっているな。」
突然、庭先から豪快な声が聞こえてきた。竜士と貴哉は振り向いた。それは大下だった。
「先生、輝裕のことよろしくお願いします。」
竜士は丁寧に頭を下げた。大下は力強くうなずいた。
イヤだ、イヤだぁ!兄弟たちの前ではじめて激しく反発する輝裕を、大下は有無を言わせず
襟首を引っ張っていった。不安そうに貴哉は二人を見送った。その時だった。玄関からコトンと
何か物音がした。竜士と貴哉はサッと振り向いた。家の中に入ろうとする博樹の姿がある。
「あ・・・。」
博樹兄さん・・・と貴哉がいおうとする前だった。
「博樹兄ちゃん!」
竜士が飛びつかんばかりに博樹にかけより、襟元を激しく掴み、揺さぶった。
「一体、この夜中どこに行っていたんだよ、博樹兄ちゃん!」
741広島家の人々110:01/10/21 05:17 ID:QPUH1ViT
「あ、ああ・・・。盆の返済を済ませてきた。大下先生が金を貸してくれてな。」
空笑いで返事を返した博樹だったが、竜士に激しく揺さぶられた衝動で、襟元に入れた
封書が地面に落ちた。すかさず竜士がそれを拾い、中身を見る。
「な、なんだよ・・・これ・・・!」
竜士の顔が真っ青になり、怒りで身体がブルブルと震えた。博樹は何もいわない。
「クッ・・・!」
竜士は拳で力いっぱい博樹の頬を殴りつけた。博樹の身体は飛ばされ、土間の壁に
叩きつけられた。その衝撃で壁にたてかけた小物や道具がけたたましい音をたてて、
床に落ちた。博樹はまったくさからわなかった。竜士は泣きそうな顔で拳をふるわせた。
「畜生!畜生!畜生ー!!」
そして辺りかまわず家の中のものにあたり、壊しまくっていった。
あっという間に家の中が崩壊していく。悲しそうな表情で、貴哉がその様子を二人を
見つめていた。

緋鯉村と峠をはさんだ隣の町、その中心地の大通りをちょっと外れた一画に、小間物なら
何でも元の新品のように修理すると評判の小さな修理屋があった。
そこの主澤崎は、なにやらけったいな趣味も持っていて、小さな家屋はそれらのコレクション
で足の踏み場もないほどだと、町の人々から少々奇矯がられていた。
今日も澤崎はブリキを使って新しい作品づくりに没頭している。コトッと入り口の扉が物音を
立てた。
「久しぶりだねぇ。」
澤崎は顔をあげて、店に入ってきた人物にニコッと笑った。大きなふろしき包みを首に
かけてやってきた人物、それは博樹だった。
「そんな恰好でやってきたということは・・・、竜士が家に帰ってきたとか。」
博樹は何もいわず、そのまま入り口に突っ立っている。澤崎もまた作品づくりに没頭
しはじめた。
「いいよ〜。また全部タダでなおしておくから。」
作品と向き合ったまま、唄うように澤崎は博樹に告げた。
「すまん・・・。」
博樹は風呂敷を床に落とした。ガシャガシャと広島家のあらゆる小間物が風呂敷から
あふれ出た。
「よし、出来た!」
澤崎はうれしそうに腕を伸ばして、新しい作品を博樹に見せた。
「欧米でいうロボットというのを作っていたんだ。この四角い頭といい、胴体や足といい、
竜士にそっくりだろう。」
博樹は唖然として問題のロボットを見た。ここで迂闊に相槌を打とうものなら、相手は
目を輝かせて延々と新作について語りだす。
「おかしいな・・・。」
博樹からいつまでたっても反応がかえらないことに首をかしげて、澤崎は仕方なくロボット
を後ろの棚に飾った。バレないように博樹は、ホッと胸を撫でおろした。
「玉木さんが、心配していたよ〜。」
棚を整理していながら突然飛び出した澤崎の言葉に、博樹はエッと顔をあげた。
ニッコリと澤崎は笑って、右手を出した。
「証文。どうせもう借りちゃったんだろう、借金。」
742代打名無し@ス:01/10/21 05:27 ID:QPUH1ViT
澤崎登場。さあ次はカーサ登場まで一区間だ!これでラストに向かっての
ストーリー展開に変わっていく・・・(涙
これからしばらく竜士が話の中心になるかもしれやせん。ハセガーも竜士
がらみだし、(ハセガーに関しちゃ申し訳ないほど後半登場になってしまった
んで、広島家の人々完結後、番外編でフォローしようかと思ってやす。)
後は知憲住職のまわりっすね。まだこの辺は劇的な変化があります。
一旦ここで区切りやすが、今日はなるべく続きを書こうと思うてますで、
いろいろオチを予想してみてくんさい(w

>>737
C:上の3人が全部吸い取ったから
D:神様の粘土が足りなかった                   

ひでえ(w
743エセ:01/10/21 13:48 ID:15Frafgx
わーい澤崎だ―(w
こんなにゆったりキャラだったとは

「ストーリー展開」が「ストーカー展開」に見えてしまった・・・欝

>>742
ファイナルアンサー?(w
744 :01/10/21 22:46 ID:B0PCgf9q
おおぅ。竜士が話の中心ですか‥‥。
シリアスもいいけど、アホな次男坊が見たいです(w
ノムケンまだ出てないんだっけか。出たと思ってた。なんでだろ。
期待しちょります。

ちょいと助さんのHPにお邪魔して
過去ログ読み漁ろう(w
懐かしいのが恋しい。
745予定は未定(泣@ス:01/10/22 02:41 ID:4eQuE2Kr
昨日は病院からもろてる薬を飲む日。これ飲むとグスーリ1日以上
寝てしまう副作用があってや〜な予感がしやしたが、案の定今起きた(鬱
しかもまだ寝足りないそうで、もう一度起きて時間があったら続き書きやす。
すんまへん、すんまへん・・・m(_ _;)m

>>744
澤崎登場からどうしよーもないシリアスシーンは終了。(まだ余波はしばらく
続きますが)まっ、希望通りアホな次男坊ではないかと思うちょります。
急に暴力シーンは増えるし、どんどんシリアスになっていくし・・神経使いやした(^^;
ノムケンはですね・・・いかにもな役です。多分納得してもらえるんじゃなかろうかと。

>>743
ファイナルアンサー(w
澤崎はこの話の癒し系役どころっすね。複雑にからんでしまった広島家の問題を
解いていく人物その1ってところかな。
746エセ:01/10/22 14:58 ID:FmEtQ6Fo
わーい、パソコンぶっ壊れたー(w今学校から書いてるシー
あーあ…鬱だ
というわけでしばらくクッキングはお休みってことで(w

>>745
薬って…大丈夫っすかい?
で・・・こたえは・・・・・・
747  :01/10/23 00:53 ID:JZgjn0xm
澤崎登場ー!
澤崎のセリフはあのちょっと高い声で読ませていただきました。
もしや組立ててるものはガンプラもどきですか?
748広島家の人々111:01/10/23 02:45 ID:BaYcENnH
「ちっ・・・。」
すべてお見通しされている。中学時代からのライバルであり親友は、有無をいわさず
博樹から問題の証文を奪い取ってしまった。
「ふ〜ん、なるほどね・・・。」
しょぼくれた博樹を向こうに、まじまじと澤崎は証文と店の入り口に散らばった広島家の
小間物を見比べた。
「あのさぁ・・・どうやったらこうなる訳?」
「どうやったらはないやろう、どうやったらは!」
ふうっと呆れた声を出した澤崎に、ムキになって博樹はつっかかった。その博樹の前に、
澤崎は証文を広げて突き出す。
「これ、十一だよ。」
「十一・・・?」
「まさか十一も知らなかったとか。10日で一割の高利だよ。つまり、あと10日経ったら、
借りた分の一割の利子を払わなくちゃ、すぐに契約破綻。」
「そんなアホな!俺が契約した時はそんな条件じゃなかった・・・」
あわてて澤崎から証文を奪い返し中身を確認した博樹の表情がサァーッと青ざめ、
最後には言葉をなくした。
「どうやら騙されたみたいだね・・・。相手は、はなから担保狙いだったんだ。」
「た、担保って俺だよな・・・。」
「うん。でも大の男を一人、何が目的でこうまで執拗に狙ったのか。心当たりは?」
博樹は激しく首を横にふる。
「これが年頃の娘となると理由は明快なんだけどね。男・・・だろう?それもいい年した
青年・・・まさか同じ理由じゃないと思うけど・・」
「ま、まさかな・・・。」
「じゃあ一体・・・。」
「ああ!」
突然、博樹が大きな声をあげた。ビクッと澤崎は後ろにつんのめる。
「そうだ・・・あの人がいた!建さん!」
「建さん?」
「俺より前に担保になった人だ。そうだ!」
「で、どんな感じの人だった?」
何か手がかりがないかと澤崎は飛びついた。だが、博樹はそのまま固まっていた。
「お、おい!」
絶句したまま何の反応も返さない博樹の身体を、澤崎は懸命にゆすった。
「・・・子供がいるって言っていたが・・・。」
「うん!」
「とても子持ちとは思えんほど、綺麗な顔立ちの人やった・・・。」
「・・・・・・。」
どこからともなく二人の間から笑いがこみあがった。そのうち店の外まで響くほど
二人は狂ったように爆笑した。
「遅い!!」
いきなり澤崎は近くにあった扇子でしたたかに博樹の頬を打った。
「こうなる前にもっと早く相談に来いよ!ったく、いつものことだけどさ・・・。」
何もいいかえす言葉もなく、博樹は力なくうなだれた。
「とにかく今は急いで10日後の利子の金を作らないと・・・。あと、その高利貸の目的が
一体何なのか、なるべく時間を稼ぐだけ稼いで・・・。貧乏な緋鯉村で農業やっている
場合じゃないよ。今は日雇いでもいいから、まず金を手に入れないと・・・。」
あっという間に目の前で次の方策がテキパキと決まっていく。自分の身に迫った
とんでもない出来事に、一瞬取り乱した博樹だったが、何故か自然に心の余裕が
できあがっていった。
749代打名無し@ス:01/10/23 02:53 ID:BaYcENnH
スマン、スランプ突入・・・。ここまでしか書けんかった(鬱

>>746
ちょとね、自分の体質でそれを飲むようにいわれてるんで、
あんま大したもんじゃないから。ただ問題は眠りまくること(^^;
時間がもったいなくてのぅ。たまに全然あぷしない時は原因はこれです。
ごめんよ。
それと答え書き忘れてた(汗。Cが一番ツボに入った(w

>>747
そんなところっす。ガンプラよく作ったなぁ・・・。
ガンダムはZが一番(・∀・)イイ!!
750広島家の人々112:01/10/23 15:41 ID:Hhe0ozAY
「ああ〜〜!どこをどうやったら十一なんつーアホなのに引っかかるんだ、あのバカ兄貴!」
憤懣やるかたなく、竜士は髪の毛をくしゃくしゃにかきむしながら、通りにあるものに片っ端
からアタっていた。
十一ばかりでない。担保に博樹が指名されていたことも竜士の胸底をいたく害した。
あれでは人身売買ではないか。いや、人身売買は今の時代いくらでも例がある。問題は、
一家の主がのこのこ担保の対象になってしまうことだった。
「とにかく金、まず10日後の金利の分だけでも作らないと。」
竜士はズボンのポケットから巾着袋を取り出して、中身を確かめた。
ふうーっ
おおげさに竜士は肩を落とす。お札は貴哉からもらった一枚・・・それだけしか入っていなかった。
いつから広島家は、こうも金ばかりに意識を持たなくては、追いまわされなくてはいけなく
なったのか。竜士が働きに出た2年半前は、まだここまでひどくはなかった。まだ心に余裕を
持てていた。それが今では飢えた亡者のように、毎日金を求めて歩いている。
「俺が広島家を離れていた間に何があったんだろうか。」
竜士は未だ2年半の間のギャップを埋めきれていなかった。そして竜士が家に戻ってからも、
坂から転げ落ちるように広島家は崩壊の一途を辿っている。まるで当て書きされたシナリオの
ように。そして、竜士もその中の構成された一員に完全に取り込まれていた。
「ちくしょー!」
賭博以外で手っ取り早く金を得る手段があったら、そっちへ竜士は逃げたくなった。
前田が中盆にいてくれたあの時以来、竜士は一度も博打で勝つことができない。しかも、何故か
壺振りには必ずあの建さんが座っている。どんなに賭場を替えようと時間をずらそうと、竜士の
目の前にいつもあの建がいた。
「何者なんだ・・・。あの壺振りの建さんって。」
気弱ないつも泣きそうな表情をしている建が、ニンマリと勝ち誇ったように竜士に向かって笑う。
「ちっ。」
雑念を振り払うように、竜士は首を何度も横に振った。

たまにはこんな時間帯。目指せカーサ登場120以内(;´Д`)
751エセ:01/10/23 20:58 ID:Q9BZ1VSN
ぎゃあ!にんまり笑う建さんなんて…建さんじゃないやい!!(w
752代打名無し@ス:01/10/23 23:36 ID:FEvHgu8N
>>751
やあ、夢の中や想像の中だとどんな性格でも書けてのぅ。
ムチを持った緒方しかり、冷淡な広池しかり、ニンマリ笑う(’。’)しかり(w
753(・ ε ・):01/10/24 00:41 ID:trOsOuRe
ゴールデングラブ賞に輝くボクとか
754代打名無し@ス:01/10/25 01:21 ID:UaZitu7K
念のため過去ログ逝き阻止のカキコ。
続きは木曜日の予定です、スマソ・・・。

>>753
(・∀・)来年の初夢で是非見てみたい(w
755 :01/10/25 01:46 ID:vXvpnTwn
age
756  :01/10/25 02:43 ID:Pok6cMCu
来年の 初夢は 150km 投げる 横山が (・∀・)イイ・・・ナ
757:01/10/26 00:39 ID:HKKORWxO
きぼーん
758広島家の人々113:01/10/26 00:44 ID:T9ZbuWDX
釣り糸を垂らす。サッと何者かが餌に飛びついた。貴哉は勢いよく釣竿を上げた。
ビチャッ
「・・・・・・。」
今日も河豚しか釣れない。いつもの光景だが、さすがに最近、貴哉はだんだんと滅入ってきた。
「・・・せめて、丸々太った河豚が釣れたら・・・。」
後ろでクスクス必死になって笑いをこらえている人物がいる。
「広池さん!」
これも最近の光景だ。貴哉はぷくぅと頬をふくらませた。いつからこうして広池が緋鯉村に
やってくるようになったのか。夢の中の出来事を思い出して、一瞬ビビった貴哉だったが、
出会った時と変わらず広池は優しく、紳士的な態度で貴哉に接していた。
「ごめんごめん。どれ、その釣竿を貸してごらん。ボクも一度釣ってみよう。」
頬をふくらませたまま、貴哉は広池に釣竿を突き出した。クスクス笑いながら、広池は釣竿
を握る。
「あっ・・・。」
貴哉は目を丸くした。
「広池さんも左利きなんだ!」
突然調子のはずれた声で驚かれて広池は面食らったが、釣竿を握る左手に視線を戻して、
ニッコリと笑った。
「そういえば、貴哉くんも同じ左利きだったね。」
ウンとうなずこうとした貴哉の目の前で釣り糸が揺れた。
「広池さん、きた、きたよ!」
あわてて広池は釣竿を引っ張った。魚がいきおいよく岩場に打ちつけられる。
ビチャッ
「・・・・・・。」
それは・・・やせこけた河豚だった。プッと貴哉は噴きだす。頭をかきかき、広池もつられて
笑った。

釣れた河豚はすべて海に戻された。ため息をついて貴哉は帰り支度をはじめた。
「・・・いつになったら、まともに魚が釣れるようになるんだろう・・・。」
町田と浅井は遠くの海まで漁に出かけ、当分ここに帰ってくる予定がないという。帰りに港で
魚のおこぼれをもらうことも不可能だった。とはいえ、このところ広島家に兄たちは誰も帰って
こなかった。
「・・・今日こそ帰ってくるんだろうか。博樹兄さん・・・竜士兄さん。」
759広島家の人々114:01/10/26 01:44 ID:T9ZbuWDX
借金のことで竜士が博樹を殴ったあの日から、一度だけ博樹は広島家に帰ってきた。日雇い
人夫の仕事を見つけてきたので、しばらくの間そっちで仕事に専念するという。不安そうな目で
博樹を見つめる貴哉を、優しくさとすように博樹は肩を叩き、留守は頼むぞと貴哉に告げた。
竜士はあれから全然戻ってきていない。多分、貴哉が渡したお金でも賭博に負けたのだろう。
メンツが立つまで竜士のことだ、広島家に戻るつもりはまったくないに違いない。
貴浩の行方はさっぱりつかめなかった。心配になって貴哉は金本寺を訪ねたが、知憲住職は、
「ワシは知らん。」ととりつくしまもなかった。ただ、ショボンと落ち込んで家に戻る貴哉に、
住職は「貴浩のことはワシにまかせとけ。心配せんでも大丈夫じゃ。」といってくれたが・・・。
輝裕のことが心配だった。完全に様子がおかしい。夜にちゃんと家に帰ってはくるものの、
顔から精気を失い、ブツクサとひとり言をつぶやきながら、そのまま机に向かってしまう。会話
らしい会話を交わすことも出来なかった。
兄たちがいなくなったのと入れ替わるように、ムラに今、変な人間がやってきていた。プロレタリ
ヤかなんとかいっていたが、なにやら広島家を目の仇にしているような発言の数々は、絶対に
輝裕に聞かせてはならないものだった。
「そうだ。あれから弟さんとは会わないけど、そうそう輝裕くん、彼は今どうしているの?」
くわしい事情を知らない広池が、突然輝裕の話題をもちだした。ちょうどよいタイミングで輝裕の
名前が広池の口から飛び出したので、貴哉は必要以上に動揺した。
「あ、あの、今は学校に行っています。」
「学校?」
「はい、中学校。」
そうだ、輝裕のことを広池に相談すればいいんじゃないだろうか。兄たちがいなくなった今、
身近に相談できる相手が、貴哉にとって広池しかいなくなっていた。
だが、相談をもちかける前に広池から予想もしない質問が飛び出した。
「貴哉くん、キミは学校に行かないの?」
貴哉は頭の中が真っ白になった。
「あっ、こみいったことを尋ねてしまったかな。いや、輝裕くんが学校に行くなら、貴哉くんの年も
学校に行く時期じゃないかなと思って・・・。」
「じゃあ・・・。」
貴哉は気色ばって広池に反論した。
「じゃあ広池さんは?平日の真っ昼間に仕事もしないで、こんな港のはずれでのんびりしている
大人がいるなんて、おかしいよ!」
広池は虚をつかれたように、貴哉を見かえした。貴哉の動揺はまだ止まっていなかった。
760広島家の人々115:01/10/26 02:50 ID:T9ZbuWDX
「まいったな・・・。」
頭をかいて、広池は照れくさそうにうつむいた。
「明日、東京に帰ろうと思っていたんだ。やっと身体も元にもどったことだしね。」
「東京・・・?」
「そう。仕事があるから。ここには静養に来ていたんだよ。」
村の人間とは違う広池の物腰、高価そうな牛革の財布、そして東京・・・。広池がどんな人間か
どんな仕事をしていたか、貴哉にもおおよその見当がついてきた。それこそ今の広島家とは
雲泥の差の世界の人間だった。
「・・・・・・。」
貴哉はうつむいたまま、一言もしゃべらなくなった。
「貴哉くん?」
心配になって広池は貴哉に声をかけた。
「弟は高等学校に進学しなきゃいけないんです。五人兄弟の中で弟が一番頭がいいから。
兄弟の中で誰かが上の学校へいって、広島家や緋鯉村をなんとかしてくれる人になって
くれないと。」
「貴哉くんは?」
「・・・ウチにそこまでお金がありません。弟が上の学校に行ってくれるなら、それで・・・。
そんなこと考えたこともなかった・・・。」
貴哉の動揺はおさまらなかった。まだ広池の顔を見ることも出来ず、うつむいたままだった。
「そうか。」
おちついた声で広池は小さく呟いた。何故だか貴哉は泣きたい気持ちに襲われた。今まで
広島家に降りかかってきた数々の災難、気づかないようにずっと耐えていた気持ちが雪崩の
ようにあふれ出て、暴走を起こしはじめようとしていた。
「やっぱり決めた。」
突然、静かな声で広池が言葉を発した。
「貴哉くん、ボクの養子にならないか?」
貴哉の思考が止まった。

一番金になるからといわれ、挑戦してみた日雇い人夫の仕事だったが、予想以上に体力を
使う肉体労働に、農作業で体力には少々自信があった博樹も昨日あたりからフラフラになって
きていた。それでも街に失業者があふれる今の状況でこの仕事につけただけもマシだった。
これも澤崎の斡旋があったおかげだった。いざとなれば、寝る場所は澤崎の店の隅っこで
寝転がっていればいい。峠を越える体力も惜しんで、博樹は仕事に精を出した。
761代打名無し@ス:01/10/26 03:09 ID:T9ZbuWDX
一旦、ここで中休みと。これ書き終えたら、今日の朝から日曜日まで
関西行く用事がありやして、またしばらくの間中断せねばならない・・(涙
結局11月突入か・・・。スマンのぅ、忙しくてなかなかあぷ出来ない日も
出来るかと思いやすが、必ず完結させますで気長に楽しんでくだされ。

ラストは当然ハッピーエンドです。あの五人の誓いの写真がラスト直前のシーン
になります。今回のラスト“結”の部分は結構自信ありまする(^^;(鳴尾浜より)
ここまで読んでくださっておりやす皆さんが納得してもらえるラストを用意した
と思うとりますで(ホンマ、ハセガーの出番が遅くてスマソ)だいぶストーリーも
収束の方向に向かってきやした。まだ不幸なシーン連続に一見見えて非常に申し訳
ないんすが、もうそろそろどこから見ても浮上しますんで・・・(汗
762広島家の人々116:01/10/26 05:38 ID:T9ZbuWDX
「大丈夫っすか?」
ハァハァ息があがり始めた博樹を心配そうに日雇い人夫仲間の伊与田が声をかける。
「五体満足な身体があってこその仕事っすよ。無理して怪我したら元も子もない。」
同じく日雇い人夫仲間の福良が、もっと身体を大事にするように博樹をさとす。
「ありがとう。でも心配しなくても俺はまだまだいけるから。」
息があがりながらも、精一杯の笑顔で博樹はごまかした。
「スマンなぁ、工期が遅れて今日も残業できる奴は残って欲しいんだがのぅ。広島さん、
あんたはもちろん残業するつもりじゃろ?」
工事監督官の西田が、博樹に声をかけた。
「当然、残業代も付きますよね。」
「おお、もちろんじゃ!」
「俺、やります。やらせてください!」
伊予田と福良は顔を見合わせた。

「あっ、もうやっている・・・。」
福地は顔を曇らせた。郵便の配達を終えて、帰りにこの道を通ると必ずあの人たちに出会う。
「やっぱり私のいったとおりになりましたね。広島家のふがいなさでムラ全体が炎上していま
すよ。これでムラ長だというのですからあきれますね。」
どこからやってきたのか、緋鯉村を愛しているというアカのおエラい先生と弟子が、緋鯉村を
離れる準備で忙しいサトヤスら小作農を集めて毎日つじ説法を繰り広げているのだ。苦言と
いいつつ、それは広島家に対する批判で、本人たちは気づいているのか、とくに末っ子の
輝裕には聞くに耐えない手ひどい言葉をぶつけていた。あまりのことに一度、福地は反論
してみたのだが、青野というおエラい先生に「何か不服でも」と開きなおられる始末。
もっとタチが悪いのが弟子の毛上という人物で、何か輝裕に恨みがあるのか、説法が輝裕
のことにふれると、あの手この手の弁論で輝裕をおとしめることに懸命になっていた。
特高に顔を覚えられてしまったせいか、毛上は何種類もの姿に変装して緋鯉村に現れた。
二人の希望は緋鯉村を共産主義の正真正銘のアカの村に染め上げること。そのために
昔、庄屋としてムラ全体を掌握し、おちぶれた今でもムラ長として一目置かれている広島家
の人間は邪魔な存在だった。とくに広島家出身という理由で高等学校まで進学させてもら
える輝裕は許せない存在らしく、どこから知ったのか輝裕が大下の貸した金で進学すること
を憤り、その条件だったら苦労人であるサトヤスたちが行くべきですよ。と熱気をおびて高説
するのだった。
輝裕はもはや半分ノイローゼ状態になっていた。福地は貴哉から頼まれて、輝裕がこのつじ
説法の場に出会わないように説法中ずっと見張っていたのだが、その貴哉を探して今日に
限って、ここに来るのが遅くなってしまった。
「困ったなぁ・・・。」
貴哉宛てに届いた郵便には現金が入っていた。こういうのは早く本人に渡しておかなければ
ならない。だが、ここの状況も気になる。福地は輝裕がこの場にいないことを祈って、あわてて
つじ説法の場に集まっている人々を隅から隅まで見まわした。
「あ・・・。」
福地は唇をかみしめた。大柄な人たちの間に隠れるように輝裕がいた。うつろな目でボーッ
と目の前のつじ説法を聞いている、と思った瞬間だった。急に輝裕の目に光が戻ったかと
思うと、クルッとUターンして輝裕は群れの輪から飛び出した。
「輝裕くん!」
福地は必死に群れの人々をかき分けて、輝裕を追いかけようとした。アッケにとられた表情で
壇上の青野は駆け去っていく輝裕を見送る。弟子の毛上はニヤリと笑った。
「チッ!」
福地は舌打ちして、あっという間に遠くへ行ってしまった輝裕を懸命に追いかけた。
763代打名無し@ス:01/10/26 05:40 ID:T9ZbuWDX
すっごくヤバいところで時間オーバー(汗
続きは早くて日曜の夜です・・・。
ああ、もう少しマシなところまで書きすすめたかった(涙
764  :01/10/26 16:39 ID:56AZwjll
ああ・・・・ドキドキもんだね(w
たまに上げとかないと落ちちゃうね,こりゃ
というわけであげてみようか・・・
765_:01/10/26 20:29 ID:bNAL+LM7
つじ説法にワロタよ。
うまいなぁ、うまく絡めてくるなぁ(w
どん底の展開、続きが気になる〜。
すっかり広島家ファソだ。
一度あげておきます。
76664:01/10/27 06:37 ID:rZvcmu4s
ヒソーリ防止age
ウヒョスレでは馬鹿なAAはってるやつがいるし、もうね、アホかと。バカかと。

朝から失礼しました。眠れん…
767_:01/10/27 16:14 ID:2ewyFaOC
age
64さんの作品も期待しちょるよ。
76864:01/10/28 01:41 ID:pTbtYNtr
夜中ヒソーリ

>767
前回うぷ以来しばらく続きは休憩中。今はマターリ広島家を楽しんでるんで(w
お蔵入りの可能性もないことはない。というのも、あぷしようか迷っている
別の話を書いてるんだが、長い話なもんでそっちに手をかけてると番外編まで
時間が回せない。先週はまた忙しかったし、正直番外編に手を回せる時間が
今後あるのかどうかもわからんっす。中途半端も嫌ではあるけど。

別の話についてはまた今度。ある程度メドがついたら話題にします。
ここでうぷしないようなら助清さんの所に世話になりそうだし(w
とりあえず今日はつじ説法期待あげで。
769767:01/10/28 09:36 ID:y/EeDHPH
>>64さん
そっかー、忙しいのか。
別の話?おぉ、気になる所だが・・・。
64さんの作品は、最後に心温まる癒し系で
とても好きなのよ。
余裕ができたら、あぷして下さい。

知憲住職ベストナインおめ!あげ。
770.:01/10/28 09:39 ID:wNJm9v9O
ビッグレッドマシンって知ってるか?

ジョニー・ベンチ、ピート・ローズ、ジョー・モーガン、グリフイーの親父・・・・・・後誰が居たっけ?
771_:01/10/28 22:00 ID:qAUzBoBQ
保全age
772代打名無し@ス:01/10/29 00:51 ID:dSh14gDS
ただいまっす。遅くなりやした。今夜は続きをうぷできるか微妙でやんすが、
ちょこっとだけでも何とかなったら、(・ ε ・)のシーンだけでもケリつけたいのぅ。

関西はいろいろ用事があったんすが、その中で某ミュージカル観劇なんてのもありやして。
問題は今こんなのを書いているせいか、こいつかぷの○○に似ている・・・と無意識に
劇中の登場人物とかぷの選手がオーバーラップしてしまうことで。本来なら感動する場面で
ずっとおらは笑いをこらえておりやした(汗 すまんなぁ・・・。だけどよ、

今まで負けてばっかりで人々から愛想をつかされかけていた男が、思いがけない勝利で
実はスタイル、ルックスが良かったから急に女にモテモテ。
おらの印象:(ええんかなぁ、一度勝ったくらいで舞い上がっちゃって、本物の実力かも
わからんのにさぁ、えろう周りも手の平返すのぅ・・・。)

それでも勝ち続けていく。
(ありゃま、運が続いているやね。それにしてもこの男、足が細くて長い。
マジ、スタイルいいなぁ・・・。でも、そろそろ負けるんとちゃう?)

女がほっておかないモテ続ける男。ああどんどん天狗化。そしていきなり暗転。
(・・・・・・。や、やめて欲しいなぁ。来年こうなって欲しくないぞ。)

その男の最後の舞台挨拶で隣の大阪のおばちゃんがポツリ。「ええ男やわぁ・・・(ぽっ」
77364:01/10/29 07:48 ID:dPVsqIQ4
早朝ヒソーリ(あまり意味のない行為だが)

>>772=助清さん
朝からワロタよ。来年暗転とかなってほしくないよ>はせがー
しかし大阪のおばちゃんにニヲタ(というか某球団の選手しかみてないような
ファソ)を投影してしまった。「今投げてる相手のピッチャーかっこいい〜」ってか。
もうね、ア…いや、もうやめておこう。そういう子、きっといただろうな(w

>>769
先週は忙しい波がおしよせてきただけだから、また今週からもとに戻ると思うけどね。
じゃないと体がもたん。週末の休みがありがたかったよ。
>最後に心温まる癒し系
ゲフンゲフン。そんなこと書かれると今手をつけてる別話がうぷできんよ(w
癒しとはかなりかけ離れてるから…。地蔵の方は書きつづけるんならいつもの展開になるだろうけど。
774マサユキ:01/10/29 12:58 ID:vYzjLreb
>>772
もみあげは、どうでしたか?
77564:01/10/29 22:16 ID:9d0EecC0
1日に何回も書き込むのは最近やらんかったんやけど、ちょっと驚いたんで。

http://kaba.2ch.net/test/read.cgi/base/1001689521/613

ちょっと触れてる「カープバトルロワイアル」、今自分が書いてる別話です。
ある程度かいたんで、誰か書き始めたら自分のボツになるのか、でもそれも
もったいないなあと思うてねたばらししました。
ただ、こういう話は嫌いな人もおるやろうし、一度巨人のバトロワスレがヲタ系の
せいで荒れたように何かとトラブルをまねきそうな話なんで、ここでうぷする事が
できないようなら助清さんの協力を得てヒソーリどこかへ保存しようと思ってます。
あと、1「広島家の人々」ファソとして、広島家の人々が終わるまではここへはうぷせず話を
書き溜めようと思ってもいます。
どうでしょう、広島家ハッピーエンド(w後、かぷバトロワをこのスレにうぷしてもよろしいでしょうか。
実はしばらく迷ってたんですが、いい機会だったので住人の皆さんにお聞きしたいです。
(心配なのは結構原作に沿ってるので原作読者にうけるかどうか、あと登場人物を全て
あてはめた上で黙々と書いてるんで他の職人様が番外編等書きづらいことくらいかのう)

助清さん、ご迷惑おかけします…。まさかこんな早い時期にここに書くとは思わなんだ。
776 :01/10/29 22:58 ID:SyyiwZ8l
>64さん
実は自分も他球団や他板のバトロワスレ見て
カプ編でも読みたい!と思ってたのです。
書いて下さるなら是非読みたいっす!
読み手オンリーな自分はいつも無責任なことばかり
書いてるなぁ‥‥‥すみません
でもどういう形であれ読めたら嬉しいです。
777代打名無し@ス:01/10/29 23:40 ID:sAJN9toi
(・ ε ・)には真っ赤なユニが似合っている・・・・゚・(ノД`)・゚・。
じゃのうて、カープバトロワのこと!

>どうでしょう、広島家ハッピーエンド(w後、かぷバトロワをこのスレにうぷしてもよろしいでしょうか。
それが予想通り今週からずっと忙しくて、カーサも登場が120以降が確実になって、なんだか11月いっぱい
だらだらと「広島家の人々」が続いてしまいそうなんすよ・・・m(_ _;)m
こういうのはタイミングというか勢いが必要だから、おらの「広島家」完結まで待ってもらうのは
申し訳ないっす。ただ64さんも心配なさっているように、バトロワは独特な内容なところがあるのは
確かかもしれないっすね。というても、おらはバトロワを原作も映画も知らないんで
(深作映画ファソでありながら、これだけまだ見ていない(汗 )
あまりくわしい事情はようわからんのですが、もしなんでしたら、「カープバトロワ」単独の
内容で新スレで立ち上げるのはいかがでしょか?なーんか「広島家の人々」だけでこのスレ
使いきってしまいそうやし、オフシーズンに入ったしでネタスレがもう一個増えても大丈夫
のような気がしやす。
こっちは今まで通り、64さんの他のネタやエセさんやののがーさんたちに新ネタを書いて
もらえたらと。どうでしょ(^^; 例えばチュニチの投手と野手の応援スレのように双子の
ような関係で。また64さん、住人さんたちのご意見をお聞かせください。

そんじゃ、今日は竜士再登場シーンまでがんがりたいのぅ。
778癒し系と書いた人:01/10/29 23:42 ID:FyqHd9Zr
>64さん
あ、バトロワだったんすか。
確かに癒しじゃないな、余計な事書いたな(w
いいと思いますよ、うぷするの。
>>776さんと一緒で読み手(と、保全age)のみの住人の自分は、
職人さん達の作品、どれも楽しいです。
自分的にはここでやっても、無問題かと。
時期についてはおまかせするとして、64さんのカプ版バトロワ、ウヒョーて感じッス。

広島家ももちろんウヒョーっす。
アキヒロ、今日の対抗戦がんがったらしいから、
早く浮上させとくれ〜。
あの子が気の毒でのぅ。
779 :01/10/29 23:47 ID:XHH/kYGE
GファソじゃなくてもハマるG版バトロワ
カプ編で是非見たいス

原作先読み後映画派です。
キャラ全然違うけどやっぱ瀬戸=瀬戸ですか?
780癒し系と書いた人:01/10/29 23:48 ID:FyqHd9Zr
あら、レスしたら上に助清さん登場。
今うぷ途中の助清さんの意見が大事と思うッス。
確かに今スレ700後半だもんなぁ。
新スレが必要かも。

無責任スマソ。

むえむ
781癒し系と書いた人:01/10/29 23:51 ID:FyqHd9Zr
>>780
自己レスだが「むえむ」て何だよ(鬱
78264:01/10/30 00:03 ID:PowhEy4k
乙カレーを食べつつはだしのゲンスレ2で感動してたらこんなにレスが(w

広島家が終わったらまたリサイクルスレを探すだろうとタカをくくってましたが
お忙しいみたいっすね>助清さん
巨人バトロワスレは軌道に乗ってるから例外として、ネタスレはタイトルを前面に出すと
どうしても荒らしがよってくると思うんすよ。だから自分はスレリサイクル派なんですが、
かぷ系のリサイクル可能なスレがない!(しいてあげれば天使スレだろうけど…)
どうしますか。2001年後半型part2でもたてますか?(w
とりあえず、このスレは広島家の人々スレつーことで了解しました。
78364:01/10/30 00:13 ID:PowhEy4k
IDかわったと思ったら0時過ぎてたんかよ!
>>779
自分も原作先映画後なんですが、ビデオ複数回借りて寝ずに見終えたん
1回しかないんすよね。だから映画の要素はほぼ入ってないんですが。
瀬戸にあんないい役やれるか!(w あのクラス42人しかいないから
それに入れられなかった選手の話を組み立てるのに頭を使います。
(その割にすぐいなくなったりしてるがナー)

いろんな意見参考になりやす。やはり1人で考えるよりはるかに(・∀・)イイ!!
広島家待ちにならなくても、うぷ準備にはもう少し時間がほしいです。
chapter50まで書き終えてここで話して計画をたてようと思ってたんで。
ちなみに現在予定の半分書けたような所なので、1日1章ずつうぷするとして
1ヶ月分くらい(約30章?)書き溜めができてから開始しましょうか…。
続きを書きつつスレのこと、時期のこと、ちょっと考えます。
784代打名無し@ス:01/10/30 00:28 ID:IH2rcQZM
いや、オフシーズンはタイトルを前面に出しても大丈夫だと思いますよ。
シーズン中はスレが安定しない限り、いきなりタイトル前面というか
ペナントレースよりネタ先行の雰囲気はあんまし気がすすまなかったんで
(今でも、よくシーズン中にネタが書けたな自分なんすよ(^^; )
やるとしてもスレリサイクル派だったんすが、このスレもここまで来て
オフシーズン突入、スレとしても安定してきたんで、次は「夜のベイスレ」の
ようなネタスレとわかるタイトルにしても大丈夫だろう。次作るとしても、
そんなタイトルつけようかと思うてたんすよ。荒らしは大丈夫だと思いやす。
実は先に64さんのバトロワ読ませてもろたんすが、ホント大丈夫っすよ。
おらが一番心配しているのは時期的なタイミングの方なんすよ。新規スレ、
しいて天使スレどちらでも、おらは今うぷできるならした方が、多分64さんが
迷ってらした「その時」が今じゃないかなヽ( ´ー`)ノ
785代打名無し@ス:01/10/30 00:30 ID:IH2rcQZM
あいやー!書いてるうちに64さんが先に意見を書かれていた。
64さん、784の意見は無視してけれ。64さんの意見を尊重してくんさい。
ありゃりゃ、完全にニアミスしてしもたか・・・。
786広島家の人々117:01/10/30 01:44 ID:IH2rcQZM
間もなく最終の汽車が鯉城駅にやってくる。駅員の木村は鋏を取りに改札口に向かった。
今日は誰も駅から汽車に乗る人がいない。
「活気がなくなったなあ・・・。」
木村は寂しそうにホームを見つめた。そこへ突風のように小さな物体が改札口をサッと
通り抜けていった。
「うわわっ!」
いきなりのことに木村は大きく身体をのけぞらせ尻餅をついた。物体はホームの先へ
そのまま突き進んでいく。
「ま、待て!」
あわてて木村は立ち上がり、ホームに飛び出した。
「あ・・・。」
そこにはキツい眼光で、しかし両目にいっぱい涙をためた輝裕の姿があった。輝裕はキッと
木村を睨みつけると、ホームに近づこうとする汽車に向かっていく。考えるより先だった。
木村は飛び込んで後ろから羽交い絞めで輝裕の動きを止めた。
「離せ、離せぇ!」
木村の腕の中で泣きながら輝裕は激しく反抗した。汽車は白い蒸気を吹き上げて駅に
到着した。狂ったように輝裕は暴れまくる。
「ダメだよ、そんなことをしちゃあ。兄さんたちが悲しむだろう、輝裕くん。」
輝裕は兄という言葉に激しく反応した。
「知るか、知らないよ!もう知らないよぉー!」
両手を頭にあてて、悲痛な絶叫の声を輝裕はあげる。
「もうイヤだよ。わからない・・・わからない・・・一体どうすればいいっていうんだよ。
何もかも・・・何もかももう捨てたい・・・。」
そして木村の腕の中で急に力をなくし、輝裕はペタンとホームに座り込んだ。
「あの・・・このまま発車してもいいんですか。」
ホームに到着している汽車の車掌が困惑しながら、木村に尋ねた。輝裕はぼんやりと顔を
あげた。そして大きく目が見開かれる。のろのろと立ち上がったと思った瞬間だった。木村の
一瞬のスキをついて、輝裕は汽車の中に駆け込んだ。車掌が輝裕の姿を確かめて、汽車を
発車させようとする。
「すいません、もう少し待ってください!」
木村は急いで駅員室に戻ると、手持ちの金を出来る限り巾着袋に詰めこんだ。汽車は
のろのろと動きはじめていた。
「輝裕くん、顔を出して!」
輝裕から反応がない。汽車はだんだんと加速度をあげていく。木村は必死でホームを駆けて
輝裕に声をかけた。おずおずと窓から輝裕が顔を出した。
「輝裕くん!」
木村はせいいっぱいの力で巾着袋を輝裕に向かって投げた。駅からどんどん遠ざかっていく
輝裕に無事にそれは届いた。輝裕の顔があっという間に小さくなり、汽車の姿も駅から見えなく
なっていく。
「お、遅かった・・・!」
輝裕の後を追って、やっと駅にたどり着いた福地が地団駄踏んでくやしがった。木村はボーツと
見えなくなった汽車の後を見送っていた。
78764:01/10/30 02:02 ID:PowhEy4k
広島家に割って入ってスマソ
とりあえずリサイクル案と新スレ案検討します。意見も随時募集。
リサイクルになった時用に「カープ内に派閥はあるか?」スレを
捕獲(w しときます。タイトルもなかなか(・∀・)イイ!!
新スレの時は素直に「広島東洋カープバトルロワイアル」?
巨人、中日の三番煎じみたいや…。

助清さん、完全にニアミスでしたな(w
巨人中日両スレにコテハン荒らしがここ数日おるんがちとひっかかってます。
788広島家の人々118:01/10/30 02:51 ID:IH2rcQZM
福地はトボトボと広島家に向かって歩いていった。輝裕を守ることができなかった。櫛の歯が
こぼれ落ちるように一人、また一人と広島家の兄弟がムラから消えていなくなっていく。
空はもう暗くなっていた。福地は手にもっている封筒を見つめた。あと一人・・・貴哉の行方も
さっぱりつかめない。福地は力ないため息をついた。
「あっ・・・。」
福地の憂いは杞憂に終わったようだった。広島家の庭で貴哉が子犬のシマに餌を与えている。
だが家の中はひっそりと、どこも灯りがついていなかった。
「貴哉くん!」
福地の呼びかける声に気が付いて、貴哉は立ち上がった。福地は預かっていた封筒を貴哉に
渡した。
「それから・・・。」
福地は輝裕に起きた出来事をくわしく貴哉に語り、頭を下げて貴哉に謝った。貴哉は小さく口を
あけたまま無表情だった。
「そう・・・ですか・・・。」
やっとのことで貴哉の口から漏れでた言葉は、これだけだった。
福地は心配そうに何度も振り返りながら家路を辿った。貴哉はポツンと庭に立っていたままだった。
シマが心配そうにクンクンと鼻をこすりつける。貴哉は手にしていた封筒の端を丁寧にやぶった。
「・・・・・・。」
貴哉はひっそりとした広島家の家屋を見回した。身体が自然に震えてくる。シマが貴哉の変化を
察して貴哉のズボンをくわえ、引っ張った。
「ごめんね・・・。」
ポツリと貴哉は呟いた。
「ボクももう・・・。」
シマが懸命に貴哉に吠える。貴哉はシマの首輪に紐をつけると、近くの杭にしっかりと縛りつけた。
シマが必死になって貴哉に吠える。河豚の桶を持った貴哉は一度だけ振り返った。しかしその後、
どんなにシマが暴れて吠えても何の反応もなく、どんどん小さく消えてなくなった。
789広島家の人々119:01/10/30 03:55 ID:IH2rcQZM
「あ〜あ、家のことも心配なんだがな・・・。」
とある古びた観音堂の中、竜士はどこかの民家からくすねてきた藁束を枕がわりにフテ寝していた。
帰りたいのはヤマヤマだ。だが貴哉から借りた虎の子のお札ですら、賭けに失敗して失ってしまった。
どの面下げて家に戻れるか。もう手元に残っているのは数枚の小銭だけ。これで相手してもらえるか
わからないが、とにかく賭博ができるチャンスはあと1回だけだ。今度こそ勝たなくては広島家は、
博樹は・・・。そろそろ一回目の金利を払う日が近いことに竜士は焦りを感じずにはいられなかった。
「竜士の親分〜!」
親元に一旦子分たちを帰した後、ただ一人竜士のもとに残った横松がうれしそうな声をあげた。
「んん〜、どぉした〜!」
竜士はおっくうそうに起き上がって、観音の像の後ろでバタバタしている横松に声をかけた。
「これこれ!見てくださいっすよっ!!」
「ん?」
横松は興奮しながら満面の笑みでペタンと竜士の前に座り込むと一枚の紙を差し出した。
「おっ・・・・・・。」
竜士はしばらく言葉を失った。それは三つ編み姿の美少女の絵だった。だが問題はその少女の姿
だった。結ばれた三つ編みは肌にまとわりつくように乱れ、襟元から大きくはだけられるように
制服が縦に切り裂かれている。何より少女は後ろ手に、とくに胸元を強調して緊縛され眉をよせて
あえいでいる。
「・・・どうしたんだ、これ。」
「そこの観音さまの後ろに貼ってあったんすよ。好きでしょう?竜士の親分はこの辺。」
横松はニッコリ笑って、少女にしては少々大きい胸の部分を指差した。
「お前もな・・・。」
ボソッという竜士に横松は懸命に笑ってごまかした。それにしても一体誰がこの絵をここに貼ったのか。
一筆書きのようにさっさと描いた絵にしては写実的でデッサンが整っている美少女の絵に、竜士は
感心してしみじみと眺めた。
「竜士の親分!ここにいまっすか!!」
いきなり入り口の扉がバタンと開けられた。心臓が飛び出るほど竜士と横松は驚いて、あわてて
問題の絵をバタバタと隠した。
「竜士の親分、どうしたんすか?」
観音堂に入ってきた子分の井生は、不思議そうな顔で首をかしげた。
「な、なななんだ井生か。ど、どうしたんだ一体。」
「明日やる賭場がわかりやした!明日は邪毘屋がおおっぴらに前面で仕切るらしいっすよ!」
「なにぃ、それは本当か!」
竜士の表情がギラリと変わった。
790代打名無し@ス:01/10/30 04:03 ID:IH2rcQZM
やっぱりな・・・。カーサ120登場は無理。でも125までには確実に登場するでしょ。
次回はお鏡初登場。実はもう登場していたんだけど、さて何の役だったか。多分予想
つくと思いやす(^^;

>>774
もちろん素敵なもみあげが(w

>>778
スマンのぅ、浮上するどころか家出してしまいやした(・ ε ・)。
(・ ε ・)が浮上するキッカケはどこにあるのか、
“あのひと”登場まで待ってくんさい。

>>787
あのコテハンは無視してかまわんと思いますぜ(w
791 :01/10/30 11:16 ID:GNiQXTlK
ヤパーリ”あの人”がアキヒロ浮上のかぎなんですね?(w
でもかなりどん底・・・の中で横竜・・・(w
792_:01/10/30 20:45 ID:4KWKDMGm
最近暴れまくりのアキヒロ、どこ行くんじゃお前!
そして貴哉まで、どこ行くんじゃ!
濃ゆい広島家のメンツの中で唯一おっとりマターリな貴哉までもが
思い切った行動に・・・出てしまうのか?
気になるッス!!
そして竜士。オモロイのかマジメなのか(w
793代打名無し@ス:01/10/31 02:03 ID:fQiHEvnE
スマソ・・・今日はうぷできそうにありません。明日の夜はなんとかなりそうなんで
最後の砦竜士の某大事件まで続きが書けたらと。博樹にもトドメが。さてさてどう
なってしまうか広島家の兄弟。

>>791
んだね。アキヒロも最終回の鍵をある意味握っている人物だからね。

>>792
貴哉はどうなっちまうか。貴哉にもちゃんと一つの物語が作られておりやす。
広島家の兄弟一人一人がどんな結末を迎えるのか。竜士は今、兄弟の中で一番
息抜き的存在かもね。

それと「野球板名スレ迷スレ」の298(306)さんがいってるカープがはだしの
ゲソうんぬんの物語って、ここのことなんすかね(^^; 今、スレを見てビクーリ
しやしたぜ。昭和前期がはだしのゲソ・・・って意味に変わっちまったんでしょか。
うーん、わからんよ。
794 :01/10/31 23:34 ID:iXacK0qc
(・ ε ・)「ラワーンラワーン」
79564:01/11/01 01:56 ID:FBSFbZ1K
ここで先日話題にしたバトロワ、うぷしはじめました。
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi/base/1002715486/
「カープ内に派閥はあるか?」スレの171から始まっております。
向こうが一段落ついたら矢野地蔵も書き終えるつもりです。
796_:01/11/01 13:01 ID:EWlZWxJn
>>794
よくワカラソがワロタ
797 :01/11/01 16:01 ID:yp/iD9Hk
798広島家の人々120:01/11/01 21:49 ID:3i93/VmE
「やれやれ、いい店が見つからない。」
まわりをせわしく人が往来する。人ゴミの波にのまれないよう巧みによけながら、マスターの玉木は
手のひらを広げ、ため息をついた。中には蓄音機の針と数種類の部品が。
「音楽なしで店を開くというわけにいかんしなぁ・・・。」
通りの先の橋の欄干では、バイオリンを持った一人の青年が通りすがりの人々を相手に流暢に曲を
弾いて奏でていた。
「ほぉ。」
玉木は足を止めて、欄干に集まった聴衆の中に自分も加わった。

キー〜〜〜〜〜

突然、バイオリンの調子がはずれた。
「なんだ、またかよぉ。」
客の一人がうんざりした声をあげた。バリオリン弾きの青年は、あわてておどおどしながらペコペコ
謝った。
「いいかげん、ここで芸を披露するならもう少し腕を上げてからにしてくれよ。」
捨て台詞を残して去った客につられるように、あっという間に一山だかりとなっていた聴衆がくものこを
散らすようにサッといなくなってしまう。聴衆の前に置かれたバイオリンケースには、おざなり程度の
小銭しか入れられなかった。
「あ・・・。」
ショボンとバイオリン弾きの青年はうなだれた。だが橋の上の人々はもはや誰も青年を見向きもしない。
いや、一人を除いて・・・。
仕方なく青年はのろのろと楽器を片付けはじめた。
「いやあ、良かったよ〜!」
突然、橋の向こうの欄干のいる玉木から、青年は盛大な拍手を迎えられた。青年はビクッと驚いて、
まじまじと真正面の玉木を見つめた。


「あれ?マスター、店の雰囲気変えたの?」
重い木造のドアを開けると、いつも耳に心地よく流れるタンゴの曲が今日に限ってない。澤崎は首を
かしげて、カウンターでくつろいでいる玉木に尋ねた。玉木はニッコリ笑って、店の端のボックス席で
楽器の手入れをしている青年を指さした。
「とうとうウチの蓄音機がいかれてね、ナマの演奏も面白いかとあの青年を雇ってみたんだ。ええと、
名前は・・・」
「あっ、岡上といいます。」
二人の会話に、岡上はクルッと振り向いて焦り気味に頭を下げた。
799広島家の人々121:01/11/01 23:25 ID:3i93/VmE
「ふ〜ん・・・。」
澤崎は緊張気味に挨拶する岡上を、いたずらッ子のような目で上から下へと見ると、玉木に
さらっといった。
「マスター。いってくれれば、蓄音機くらいこっちで直したのに・・・。」
「ああっ、そういえば!」
玉木も今はじめて気づいたように、ポンと手を叩いた。岡上は思いっきり動揺した。
「プッ・・・。」
澤崎は玉木と顔を見合わせてクスクスと笑った。
「大丈夫だよ。蓄音機がなおってもキミの採用は決定だよ。」
玉木は穏やかな笑みで岡上にそう告げると、澤崎のためにコーヒーを作りはじめた。
「橋の上ではたまに大きな失敗もするらしいが、ここではそんなこともなく、メリハリある素敵な
演奏を聴かせてくれるよ。なぁに、ミスしたところでアレの針の音飛びの回数に比べたらかわいい
もんでしょう。」
「へえ、それは早く聴いてみたいな。」
カウンターの席に座って、澤崎は満面の笑みで玉木に返事を返した。店の隅の岡上は、まだ
動揺がおさまらないのか、どきまぎした表情もあらわに何度も大きく息を吐いていた。
「ところで、博樹さんのことはあれから・・・。」
「うん。」
玉木から渡されたコーヒーに手をつけた澤崎の顔が曇った。
「案の定、ムキになって日雇い人夫の仕事をやっているよ。ずっと緋鯉村にも帰っていない。
といっても、そのくらい働かないと金利すらすぐ払えなくなるけどね。」
「・・・・・・。」
「でも、あれじゃもう身体がもたないよ。今度の金利は支払えても次の金利はまず払えない。
もう少し時間を稼ぎたかったけど、残された時間はあと1週間ぐらい・・・。ボクもできるだけ金を
用意してみるけど、焼け石に水・・・だろうね。相手の目的は金じゃないんだから、多分。」
「やっぱり博樹さん本人・・・なんでしょうかね。」
「マスターは額面通りに受け取ってみる?」
「・・・・・・。博樹さんはあの時、俺や広島家だけの問題じゃない。緋鯉村全体のことなんだ。
といってましたけどね。」
澤崎はうなずいた。
「担保の意味がどうしてもわからないんだ。一体相手の目的は何なのか。それがわかるだけ
でも見当がつくんだけどね。もし広島家のっとり、緋鯉村のっとりが目的だとしてもさ、竜士が
広島家に帰ってきている。長男の博樹がいなくなっても広島家のっとりにはならないよ。じゃあ
一体・・・。」
「・・・やっぱりお金が目的なんでしょうか。」
玉木は岡上を呼び寄せ、岡上にもコーヒーを渡した。そこへ
「あの・・・ちょっと尋ねたいことがあるんですが・・・。」
いかにもまっすぐで育ちのよさそうな少年が、丁寧に頭を下げ、店の中に入ってきた。
800 :01/11/01 23:26 ID:rx+v1qFU
sosi
801広島家の人々122:01/11/02 01:07 ID:I7jdMgYE
「・・・やっぱりお金が目的なんでしょうか。」
玉木は岡上を呼び寄せ、岡上にもコーヒーを渡した。そこへ
「すみません・・・ちょっとお尋ねしたいことがあるんですが・・・。」
いかにもまっすぐで育ちのよさそうな少年が、丁寧に頭を下げ、店の中に入ってきた。

「どうしたんだい、キミ。」
玉木は少年を澤崎らが座っているカウンター席に手招きして座らせようとした。しかし、少年は
遠慮がちに首を横に振って、自分の名前を甲斐と名乗り、用件を切り出した。
「ここで父の姿を見なかったでしょうか。このあたりにたまに父がいたのを見たことある人がいて、
もしかしてこの店に・・・と思って来てみたんですが・・・。」
「お父さんがいなくなっちゃったの?」
甲斐はコクンとうなずいた。
「1年前から、ある約束があるからといって一緒に暮らすことができなくなりました。それでも、
前はたまにボクのところに帰ってきてくれたんです。でも最近は・・・。お金だけが家に届けられて
父の消息が一切つかめなくなって・・・。」
「それはそれは・・・。この店に来るお客さんで甲斐くんのお父さんらしき人がいるといいんだけど。
お父さんの特徴を出来る限り教えてくれないか。心あたりがあったら・・・」
玉木の言葉をかき消すように澤崎が立ち上がった。
「甲斐くんっていったよね。もしかしてお父さんの名前、建さんっていわないか?」
雷に打たれたようにしばらくの間甲斐は動かず、やっとのことでかすれたような声で言葉を発した。
「ど・・うして、父・・・の名を・・・。」

竜士の顔が強くひきつった。例のごとく賭場の壺振りに、あの建がいる。一体この男はいつ休んで
いるのか。それともやはり竜士が現れるのを見越してあわせているのか。竜士は憤然とあぐらを
かいて座った。手持ちの小銭はわずかな額しかない。勝負は後一回しか許されていない。
「竜士の親分、なんかヤパいっすよ・・・。」
目の前の建の存在に子分たちはみな一様に不安を募らせ、竜士に手を引くよう訴えた。
「うっせぇ!お前らはだまって見ていろ!」
竜士は啖呵をきって壺振りの建を睨みあげた。建はビクッと身体を震わせたが、つとめて冷静な
表情で壺の中にサイコロを入れた。
「さあ、半か丁!どっちを賭けますか!」
片膝を立て、片袖を脱いだサラシ巻き姿の建は、せいいっぱいの見栄で賭場に集まった面々を
見回した。次から次へと畳の上に賭け金が置かれていく。
あの賽の目は、二三の半!
「半!」
竜士は半座の上にわずかな有り金全部を置いた。その時、建の手元がほんのわずかばかり動いた
ような気がした。竜士はそれを見逃さなかった。賭場は異様な空気に包まれている。竜士は怒りも
あらわに賭場に集まった面々を、そして壺振りの建をねめつけた。
「二四の丁!」
建の声が賭場に静かに響き渡った。
802広島家の人々123:01/11/02 02:23 ID:I7jdMgYE
「・・・いかさまやったな・・・。」
竜士は片頬をゆがませてニヤリと笑った。
「・・・今まで俺が賭けた勝負のほとんどがいかさまだったんだろう、ぇえ!」
顔面が真っ青になりながらも、建も必死で竜士の顔を見返す。
「なんや、さっきからアホなこと抜かしとる奴がおるやないか。」
竜士はキッと中盆の声の主を睨みつけた。
「ほぉ・・・。このワイにガンつけよる気か。ええ度胸しとるやないか。」
「竜士の親分、ヤ、ヤバすぎますよ〜!!」
「うるせぇ!こうなったらこっちもとことん殴り込みじゃあ!」
中盆の主清原が悠然と立ち上がった。竜士は着ていたスーツの上着を荒々しく投げ捨てると
子分の長崎に預けていた木刀を構えた。殺気だった賭場の空気がシーンと静まりかえった。
と思った瞬間だった。あっという間に賭場は両陣営相乱れての大乱闘となった。しかし、その場に
なぜかあの壺振りの建の姿が消えてなくなっていた。
「ちくしょー!あいつはどこいった!!」
清原の攻撃を逃れた竜士は、死に物狂いで建の姿を探した。どのくらいの時間が経ったかわからない。
あっという間の出来事だったかもしれない。近所もおびえるほどの大立ち回りとなった大乱闘は、
駆けつけた警察に取り押さえられて一件落着となった。だが、今度はあの清原の姿が消えている。
「えっ・・・。」
愕然とまわりを見回した竜士に複数の警官が襲い掛かり、竜士は手錠をつけられ、無理矢理後ろ手に
縛り上げられた。
「あんたがいると邪魔なんよ〜。」
からかう口調で最後通告をする男に、ハッと我にかえって竜士は振り向いた。
こ、これだ。今までなにかおかしいと思っていたこの感覚。そして・・・
「お、お前だな・・・。お前が博樹兄ちゃんを・・・!」
だが男は竜士をまったく相手にせず、機嫌よくその場から遠く去っていく。
「お、おいっ、待て!ちくしょー!博樹兄ちゃんをどうするつもりだぁーっ!くっ、は、放せっ!
放せったら放せよー!」
しかしきつく縛られた縄に逆らうことも出来ず、竜士は子分たちと一緒に男とは逆方向に
ずるずると引きずられていった。
803代打名無し@ス:01/11/02 02:28 ID:I7jdMgYE
すんまへん。またすごく変なところでタイムオーバーになっているような気がする。
さすがに今日ゼミ発表でレジュメが全然完成してないこの状態はまずい・・・。
文献資料は昨日までにすべて揃えたが。んなもんで続きはそれが終わってから(涙

次回カーサ登場。ハセガー時間の問題になりやした。はぁ、やっとここまで来たか。
200までには絶対終わるよな。最後のアキヒロのエピソードがどれくらいの量を取るか。
週末なるべく話を進ませてみやす・・・。
804一ファソ:01/11/02 02:35 ID:5BekW5n0
今までこっそり見てたけど。
いつも楽しく読ませてもらってます。
話もすごくおもしろいし、何より好きなカプの選手の話だし。
読売バトロワ見てて、カプにもこーゆうのあればなぁって思ってたんで、
このスレ見つけたときすごい嬉しかったです(w
助清サン、64サン、これからも期待してます&がんがってください!
でも無理はしないでくださいねー!
80564:01/11/02 07:29 ID:Tc0WZ+MF
おー、キヨ登場!竜士(・∀・)イイ!!
お鏡タン、もみあげの長いバイオリン弾き(・∀・)イイ!!
動かない頭でこんな感想しか書けない自分が情けない。

お鏡タンの話(向こうの)を今まで書いていたんだけど(仕事できんな…)
バイオリンお鏡タンのさわやかさを見ると、なんだかあまりのギャップに激しく鬱だ(;´д`)
806 :01/11/02 19:25 ID:qddiReRu
横松親分萌え。
807横松のキャラ(・∀・)イイ!! :01/11/03 07:49 ID:e39xTvp5
感動巨編age
808 :01/11/03 08:28 ID:yqZD045W
ゥが突然学校を辞めた理由が知りたいYO!
809_:01/11/03 16:21 ID:LQU51NBx
甲斐タンのパパが建タン?
続きが気になるage
810( ̄∀ ̄):01/11/04 07:28 ID:tpWASFNO
age!
811 :01/11/04 13:33 ID:KOGmFdDT
>>810
痩せろや
812代打名無し@ス:01/11/05 01:08 ID:wKmr+oxx
続きを書くのが遅くなってしもてスマソ・・・。
今書いている部分と過去ログ収録の分の差が随分と開いてしもたんで
過去ログサイト更新しやした。

http://da1567.hoops.ne.jp/


というても、時間がのうて表紙の模様替えは11月中旬以降に。今回は「広島家の人々」
続きのうぷのみです。(現在104までですが、今日中に123まで収録しよかと思うとりやす。)
文章も少々なおしやした。さあて今日は続きを書かなきゃいけんよのぅ。
んでも、さっきのウヒョスレのショックが強いでやんすよ・・・(泣笑 どないしよ・・・。

>>804
ありがとございやす。64さんのかぷバトロワ共々よろしゅうお願いしやす(^^ゞ

>>806-807
おや、まあ親分の人気があがったぞ(w 横松親分はこれから準主役まで出番が増えやす。
多分、あそこのシーンだと思うんすがそれ絡みのエピソードが続いていきやす。「広島家・・・」
の一番の癒し系キャラかもしれんすね(w

>>808
今、ゥは再登場させようか迷っていやす。アキヒロの中の回想シーンでそこはゥに語らせて
みるのもいいかなと。最終回に出る余地があるんすよ、ゥ。

>>809
そうっす。甲斐たんもこれから出番が増えやす。ルーキーくんは
これから出番が増えやすね。無事に(’。’)たんのお父さんと再会
できるのか、ここが甲斐たんのポイントになるかと。

>>64さん
いやぁ、いたるところかぷバトロワと広島家じゃあ対称的なキャラ設定になりそっすね(^^;
お鏡たんがこっちの方がさわやかなら、カーサはバトロワの方がさわやかっす。今のところ(w
カーサ、あんなキャラで大丈夫か、出番直前にしてドキドキもんすよ。
がんがってくんさいね。おらは・・・今はスローテンポでなんとか完結まで。はぁ、時間が欲しいよ。
813プチショックなヨコヲタ:01/11/05 01:39 ID:AMrU66L/
>>812
無理せず続けてくださいな。
と言いつつ続きがきになるんですけどね。


さっきのうひょスレショックってまさか

>「この夜空より君の方が綺麗だ」  [・ ε ・]

↑のこと?(w
814 :01/11/05 07:40 ID:o/2VDQFD
>「この夜空より君の方が綺麗だ」  [・ ε ・]

ワラタ。ある意味ショック。
815_:01/11/05 08:09 ID:bA/eGwPL
>>813-814
朝から茶を吹いたYO!
昨日のウヒョスレは横竜ヲタにとってはキツかった…いまだに鬱。
東西対抗にて久々に仁ニタニタするチビを見ました。
広島家でも笑っていて欲しいものだ。
816 :01/11/05 09:12 ID:9x28ptcb
昨日のウヒョスレは口説き文句について
盛り上がってたね(w
ケコーン話もそろそろ真実味を帯びてくるのだろうか?

広島家だけじゃなく、現実でも(・ ε ・)には
笑っていて欲しいものだーよ。
817広島家の人々124:01/11/05 16:34 ID:cppc1tS/
「だ〜か〜ら〜、俺ははめられたっちゅうの。いかさま賭博の裏事情なんて何も知らねぇよ。
怨恨・・・?まっ、それはあるかもしれんが・・・。ってさぁ、こんなところでうだうだやってる場合じゃ
ねぇんだよ、俺はぁ!」
手錠をつけられたままの竜士は、ふてくされ気味に両足を取調室の机の上にあげ、ギコギコ自分の
座っている椅子を揺らしながら、向かいの刑事緒方を睨みつけた。だが、相手の緒方は平然とまったく
動じず、半分あきれた表情を顔に浮かべて竜士を見下ろしていた。
「ああ、いい加減広島家の兄弟で振り回されるのはこのぐらいにして欲しいわ。」
錫杖を鳴らし、知憲住職が取調室に入ってきた。
「住職!」
竜士の顔がパッと輝いた。しかし知憲住職はフンと冷たくそっぽを向く。
「住職、わざわざここまでご足労いただきかたじけない。」
緒方が軽く頭を下げた。
「ああ、あんたに頼まれた通り、あいつらの身元引受人を連れてきてやったぜ。」
知憲住職に視線を向けられた取調室の隅ッこで小さく丸まっていた長崎ら子分たちが、ハッと顔をあげた。
「身元引受人がいたら、釈放ということで構わないんだよな。」
「ああ。」
緒方は短く返事をした。
子分たちの家族が次々に取調室に入ってくる。怒り、泣き、目の前でさまざまな愁嘆場を見せられて
今までずっと強気でいきがっていた竜士が、はじめて申し訳なさそうに下にうつむいた。
家族らと一緒に子分たちは駐在所を去っていった。いや、まだ一人、部屋の隅っこで泣きそうな顔で
うずくまっていた少年がいた。知憲住職は首をかしげた。
「はて、ワシは誰ぞ連れてくるのを忘れてしまったかのぅ・・・。」
竜士が事情を説明しようとする。その前に、
「家族なんていないよ!」
キッと顔をあげて横松は知憲住職に叫ぶと、また頭を埋めて小さくうずくまってしまった。
「ほぉ・・・・。」
住職は腕ぐみをして、うんうんと深くうなずいた。
「じゃあ、ワシが身元引受人になろうか・・・。」
反射的に竜士と横松の視線が知憲住職に向けられた。
818広島家の人々125:01/11/05 21:27 ID:LrQ93kan
「今までワシの身のまわりの世話をしていた奴がいのうなってしもうてなぁ、ちと困っておったんじゃ。
うむ、あやつの代わりにその子はちょうどいい。」
「な・・・!」
笑顔でいけしゃあしゃあという知憲住職に、竜士は顔色を変えて住職につっかかろうとした。しかし
「住職がそういってくれると助かりますよ。」
思いっきり竜士の頭をガンと机におしつけて、緒方はニッコリと笑った。
「おい住職!貴浩は、貴浩はどうしたんだよ!!」
グリグリ頭をおさえこまれながらも、必死になって竜士は知憲住職に貴浩のことを尋ねた。だが住職
は竜士をまったく無視して、横松の首根っこをグイッと掴む。
「竜、竜士の親分〜!」
住職のとてつもない力に、横松は恐れをなして無意識に竜士に助けを求めた。
「おい住職!俺も連れてってくれよ〜!こんなところでチンタラやっている場合じゃないんだ。
博樹兄ちゃんが、博樹兄ちゃんが〜!」
「知・る・か。」
取調室の入り口ではじめて竜士の方に振り返って、知憲住職は冷たく言い放った。
「少しそこで頭を冷やすんだな、竜士。」
バタンと扉が閉まる。竜士を呼ぶ横松の声がどんどん小さくなっていった。
「ぐぞ〜!あの生臭坊主がぁ〜〜!!」
机に頭を押し付けられた恰好のまま、竜士は手錠をつけられた両手をゴンゴン机に叩き、地団駄
踏んでくやしがった。竜士も緒方に首根っこを掴まれる。あっと思った瞬間だった。竜士はそのまま
ずるずると取調室の後ろのドアまで引きずられた。奥の部屋は真っ暗で何も見えなかった。緒方は
手慣れた足取りで竜士の首根っこを掴んだまま、その中へ入っていくと、鍵を取り出し、一つの独房の
牢屋に竜士を投げ入れた。
「うわぁ!」
勢いで竜士は牢屋の中で思いっきり倒れた。緒方は無言で無造作に鍵を閉めると、スタスタと元の
部屋に戻っていった。真っ暗な闇の中で竜士一人が取り残された。
「くそぉ!出せ!出せよ、この野郎ぉ!!」
竜士は大声をあげてバタバタ暴れた。だが、むなしく竜士の発した声だけが暗闇の中で何度もこだまする。
「ちぃ・・・。せめてこの手錠ぐらい外せってんだ・・・。」
ガクッと肩を落として竜士は床に座り込んだ。
「ヘヘッ、ヘヘヘヘヘヘヘヘヘへへへ・・・。」
突然、どこからか不気味な笑い声が竜士の耳に入り込んできた。ビクッと竜士は身体を震わせて、
あたりをグルッと見回した。だんだん暗闇に目が慣れて、まわりがどんな光景がうっすらとわかってくる。
独房は複数あった。そしてまったく灯りなどないと思っていた独房の通りの隅に小さなランプが置かれて
あった。そして竜士が入れられた独房の向かい側の独房に・・・。
「ヘヘッ、ヘヘヘヘヘヘヘヘヘへへへ・・・。」
「うわぁぁぁぁ!」
竜士は悲鳴をあげて、牢屋の後ろの壁まで後ずさった。向かい側の独房で牢屋の檻をつかんでこっちを
見てヘラヘラ笑っている青年がいた。
819横松萌え〜:01/11/05 22:53 ID:Fz0+WpUr
牢屋の中のあやしい人物・・・だ、だれ?!
820広島家の人々126:01/11/05 23:27 ID:LrQ93kan
「ドジったようだな。ここに連れ込まれるなんてそうそうないぜ。」
青年はケラケラ笑いながら、竜士に声をかけた。竜士はぷいっとふてくされた顔で檻に近づいて反論した。
「そういうお前はなんだよ。」
「えっ、俺?」
青年は笑いをとめずにスルッと自分の牢屋を抜け出すと、竜士の独房の鍵を開けて自分のその中に
入っていった。竜士は目が点になった。青年は丁寧にもう一度竜士の牢屋の鍵を閉める。
「お、おいっ、頼むよ!そんな技が使えるなら俺をここから出してくれよ。こんなところでチンタラしている
場合じゃねえんだ。このまんまじゃ、博樹兄ちゃんが・・・!」
「ほぉ。」
青年は興味しんしんに竜士の語る事情に耳を傾けた。だが、相変わらずケラケラ笑うばかりである。
だんだん竜士はいらだって青年に蹴りを入れようとした。しかしそれを難なく青年はかわし、後ろに
飛びすさった。
「もう遅いんじゃねーの?」
「はっ?」
そっけなくいう青年に竜士は眉をひそめた。
「もう売られちまったってぇの。その博樹兄ちゃんっていうあんたの兄さん。」
「売られた・・・。」
「だってそうだろ?結局人身売買じゃねぇか、その担保ってのさ。それも若い男が対象になるって
いえば、だいたい年増のババアのツバメ、慰みものにされるってのが相場だぜ。ありゃ便利だよな。
少なくとも生活の保障はされてんだからなぁ。」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
竜士は顔面真っ青になって激しく首を振る。また青年はケラケラ笑った。
「俺は森笠。しがない絵師をやってんだ。」
森笠に名前を名乗られて、竜士は改めてまじまじと森笠の姿を見た。すっかり夜目にも慣れて、さっきは
ぼんやりとしかわからなかったまわりの光景がハッキリと見える。
「・・・・・!」
竜士は目を疑った。森笠の肌のいたるところに赤い線状のアザがついている。
「ああ、これか?」
竜士の視線に気が付いて、森笠はニンマリと笑った。
「ったく、ここの刑事も好きだよなぁ。何かつけてビシバシと鞭で俺の身体をぶつんだぜ。」
呆然と絶句している竜士のスキをついて、森笠は竜士のふところにもぐりこみ、竜士の着ている服の
袖をまくりあげた。
「あ〜あ、こんなに白い肌なら俺よりしっかり跡が残っちゃうかなぁ・・・。」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
全身に鳥肌を立てて竜士は森笠のもとを逃げ、牢屋の入り口の鍵のもとへ駆け寄った。
ガチャガチャどう動かしても、鍵はびくともしない。
「くそ〜!開けろ〜!!開けてくれぇぇぇぇ〜〜!!」
「ちぇ、シケた奴だなぁ。」
あわてふためいて檻をガタガタ揺らす竜士を尻目に、森笠は竜士のふところからかっさらったタバコに
愚痴をこぼした。
「うるせぇぇ!!」
悲鳴のような竜士の声があがる。タバコに火をつけ、後ろの壁に腰を下ろして、森笠はそんな竜士の
様子を楽しみながら、相も変わらずからかうように笑っていた。
821代打名無し@ス:01/11/05 23:37 ID:LrQ93kan
大丈夫だろか・・・。どきどきもんのカーサの初登場シーン。
スマンのう、スマンのう・・・。

今日はもう少し先まで書いておきやす。博樹がどうなってしまうかの
シーンあたりまで書けたらと。それと過去ログの更新が結局104とまりでスマソ。
めずらしく時間が取れたんで遅れてしまった分、今日は続き書いておきやす。

>>813
あはははははははははは・・・(涙 大丈夫っす。もう乗り越えやした。
横竜ヲタのみなさんは、だいぶ立ちなおりやしたか。いきなりこんな情報流れれば
ショックも強いよね。

>>819
もうわかったっすよね(^^; 横松萌えっすか。これからどんどん萌えてくんさい(w
822じゃ俺は横竜萌え〜:01/11/06 00:01 ID:TQVCfRXE
カーサにおびえる横山・・・ワロタヨ
いや、笑っちゃいけない場面だよね。スマソ
続きが気になる。貴浩はどこへ行ったんだ?!
823広島家の人々127:01/11/06 01:22 ID:AavqT97T
「ほれっ。」
金本寺に着くなり、横松は知憲住職に離れの建物まで連れ込まれた。遠慮なく背中を強く押されて、
オロオロと足元がふらつき、そのまま横松は床に両手をついてしまった。部屋には前の住人の息遣い
がまだ色濃く感じられた。どう反応すればいいのかわからず、横松はボーッとまわりを見回した。
「これ、いつまでボーッとしておる。さっさとそれに着替えぬか。」
「は、はい!」
知憲住職に錫杖で追い立てられて、あわてて横松は壁に掛けられている貴浩の作務衣に手をかけた。
「いいか。今までは気楽なチンピラ暮らしが出来たかもしれぬが、ここに来たからは毎日が修行じゃ!
今までのようにはゆかぬぞ。覚悟しておけ。」
「は、はい!」
住職に何をされるかわからない。横松は急いで作務衣に着替えた。前の主がよっぽど大柄だったの
だろう。裾から袖からその作務衣は、横松にはかなりぶかぶかだった。竜士の弟だったという。
一体そのひとはどこへいってしまったのだろうか。知憲住職に尋ねてみようか。だが横松が着替えた
のを見届けた知憲住職は一瞬の暇も与えず、桶と雑巾を横松に突き出した。
「まずは本堂と廊下の雑巾がけじゃ。井戸なら向こうにある。さっさと行け!」
「は、はい!」
ぷかぷかの作務衣に足をとられないように引っ張りあげて、駆け足で横松は桶を片手に井戸に向
かった。


一回目の金利を払う日が来た。澤崎はちらほらと雨が降り出した空を窓から見上げてため息をついた。
博樹が帰ってこない。今日は金利を払う日。今日ぐらいは残業をせずにここにくると思ったが・・・。
それとも金利を払ってから、ここに立ち寄るつもりなのだろうか。玉木の店で建の息子・甲斐に出会った
ことをもっとくわしく博樹に伝えたかった。あれから甲斐も玉木の店で働くことになった。新しく雇った岡上
が店でバイオリンを演奏するためと知った甲斐は、自分もある程度ピアノを弾けるとマスターの玉木に
申し出たのだ。玉木にとっても損な話ではない。早速契約が成立した。今では甲斐は玉木の店で
玉木と一緒に暮らしている。もう少し建について手がかりがないか。ここで金利を払ったら、是非博樹
を玉木の店に連れていきたかった。だが・・・。
空がだんだんと暗くなっていく。
「あ〜あ。」
澤崎は修理した広島家の小間物を全部風呂敷に詰め込んだ。広島家のことも気になる。このまま
博樹がまったく広島家に帰らない状態で良かったのか。これしか手段がなかったとしても、最近の
広島家の状態を聞くにつけ、澤崎は一抹の不安に襲われた。一度自分も広島家を訪ねてみた方が
いいかもしれない。澤崎は風呂敷を首にかけると、店の入り口にある傘を手にとった。
「あ・・・。」
雨がさっきよりもっと強くなっている。
「・・・迎えにいってみるか。」
澤崎は博樹の分の傘も手に取った。
824広島家の人々128:01/11/06 02:42 ID:AavqT97T
「雨だ・・・。」
伊予田は顔をしかめた。まさかこんなに暗くなってから突然降りだすとは思ってもみなかった。
監督小屋からホッとした笑顔の博樹が外に出た。博樹は雨に構わず、そのまま現場を後にしよう
とする。
「広島さ〜ん、この雨の中、傘もささずに帰るつもりですか〜!」
博樹はしばらく走ってから、雨の中でニッコリ笑って伊予田に振り向いた。軽くあげた片手には、
もらったばかりの給料が入っていた。
「早くこれで金利を払いたいんだ。」
「風邪だけは気をつけてくださいよ〜!」
博樹はコクンと笑顔でうなずくと、疲れきった身体も気にせずに雨の中を駆け抜けていった。
これでまず、あと10日はなんとかなる。わずかだが目の見えた結果がでている。事情は相変わらず
絶望的な状況だったが、少しは救われた気持ちになる。金利を支払ったら、澤崎のところに立ち
寄って、小間物を受け取って早く緋鯉村に帰ろう。弟たちが今どうしているかも気になっていた。
でも兄として自分はできる限りのことをした。やっとつかんだ手ごたえのようなものにすがりついて、
博樹は笑っていた。それが束の間の夢の出来事であると思い知らされるのは、もう間もなくのこと
だった。
「誰・・・ですか?」
さきほどから自分に追いすがるようについていく人影が複数ある。博樹は眉をひそめて足をとめた。
「・・・・・・!」
いつの間にかまわりをすべて博樹は囲まれていた。しかも相手はみな、帽子を深くかぶり、さっぱり
顔をわからない。手にしていた金を大事にふところにしまい、博樹は身を構えた。浮浪者のような恰好
の不気味な集団は、巧みに間合いをつめていった。

「えっ、もう帰った?」
「ええ、早く金利を払いたいといって・・・。」
伊予田から博樹の帰宅を聞いた澤崎は顔を曇らせた。
「・・・すれ違ってしまったか・・・。」
心配そうに澤崎の顔をのぞく伊与田に、澤崎はありがとうと礼をいい、元来た道を戻っていった。
高利屋と落ち合う場所をちゃんと聞いておけばよかった。澤崎は手抜かりがあったことを悔やんだ。
相手は金が目当てでない。担保の存在となった博樹が目的なのかもしれない。ならば、今日は
どんなことがあってもちゃんと身柄は確保しなければならなかったのだ。
「こういう場合は、裏通りを探した方がいい!」
澤崎は行く先を変えた。何通り目の道を駆けていっただろうか。通りからまた外れた場所で集団で
一人の人間を殴りつける音が聞こえた。直感で澤崎はその場にかけつけた。澤崎の姿を察して、
人影はあっという間に立ち去っていった。澤崎は言葉をなくした。姿もわからぬほどに全身ボロボロに
殴りつけられた博樹が泥だらけで地面に転がっていた。今日仕事場からもらった給料はすべて
奪われ、金がいれてあった封筒だけが無造作にやぶられ、地面の上でくしゃくしゃに雨水を含んで
いた。
825代打名無し@ス:01/11/06 02:54 ID:AavqT97T
さあ、これで8/1のシーンは書き終えた。後はどこから見ても浮上するだけよ。
まだ、しばらくの間アキヒロ、貴哉の出番はありやせん。貴浩はおいおい
どこにいるかわかるでしょ。そのための横松親分金本寺行きっすから(^^;

これでハセガーが次回書く分に登場。建たんがますます謎の存在になっていく。
オチが見えてきそうで見えてこない。だけど確実にラストは見えてきやした。
はぁ、200で終わるよな。終わってくれよぉー(切実

>>822
笑っても結構っすよ(w あんま真面目なシーンばっか続いてもねと思ってね。
カーサは割とおいしい役だと思いやす。今はカケラもそんな兆候は見えており
やせんがね(^^;
826 :01/11/06 08:17 ID:aJriB/VT
博樹さん・・・
827_:01/11/06 12:32 ID:qHMDkdkC
親分オイシイなぁ(w
貴浩どこ行っちゃったんだよー。
住職が何かたくらんでるのかなぁ、なんて想像してます。
博樹兄ちゃんの苦労っぷりに泣けた。
続きが気になるよー!
828代打名無し@ス:01/11/06 15:20 ID:wnyNApM/
112まで過去ログ収録終了。今日の夜もなんとか時間が取れそうなんで
続き書きやす。このままじゃ博樹がかわいそすぎるからね・・・。
担保の目論見もうすうすわかってきやす。

>>826
ここまで不幸のズンドコに落とすとは最初は思わなかったんすけどね。

>>827
親分そんなにおいしいっすか(^^;そうなのか。
さぁて住職は何を考えてるかね。
829 :01/11/06 15:35 ID:s71BYuAq
なんか、澤崎がカコイイぞ。
830 :01/11/06 19:03 ID:8agt5vQ7
改めて読み返してみると、最初の頃のほのぼのっぷりが切ないね。
貴浩ー・・・あんこ餅食い損ねたぐらいで号泣してる場合じゃないぞ(゚д゚)ゴルァ!
831 :01/11/06 19:05 ID:2eqrjWP1
結構佳境に入ってますよね〜!面白いっ<広島家の不幸じゃなくて話が(w
貴浩が何処にいるのか、さっぱりわからん〜

あと、ホントに自分やなやつでごめんなさい。
伊予田は伊与田です。。。
832 :01/11/06 19:20 ID:tN9rzBT9
>>830
ぶはははは! ほんとそうだよね。あんこ餅どころじゃねーよ!w
最初はこんなドロドロ路線にいくとは思わなかった。
でもめちゃくちゃおもしろい。
833博樹にいさんがんがれ:01/11/07 00:22 ID:U0Tl2JQ+
枯れちゃったエンドウ豆が、これから襲ってくる不幸を暗示していたのだろうか。
834 :01/11/07 04:54 ID:x0qGXgiR
猿べーじ
835広島家の人々129:01/11/07 14:13 ID:zAy4rdiU
肩を貸した相手が時折ガタッと力をなくして崩れ落ちる。
「やっぱりその身体じゃ無理だよ。まず医者に見てもらった方がいいって。」
しかし博樹は目だけはギラリと光らせて前に進もうとする。
「・・・わかったよ。」
何度やめさせようと思ったかわからない。だが澤崎は最後には博樹の気迫に押された。
フッと、しょうがないなあというような表情で笑うと、博樹の腕を自分の肩にかけてまた一歩一歩と
歩き始めた。
首に広島家の小物が入った風呂敷包みをかけ、両手は満身創痍の博樹をかばって歩いていく。
博樹ばかりでなく、澤崎もあっという間に雨で身体がびしょ濡れになった。
「スマン・・・、無理をいって・・・。お前までびしょぬれになっちまったな・・・。」
プッと澤崎は吹き出した。
「今頃になっていうか、それ。」
小さな灯りの数々が視界の先に少しずつ見えてきた。
「さあ、あともう一山超えたら緋鯉村だよ。」

「あ・・・・・。」
今まさに生贄に対する儀式がはじめられようとしている。何も知らない博樹は、周りを囲んだ覆面の
浮浪者たちを胡散臭い目で見つめ、身をかまえた。
建は目の前で行われようとしている狂乱の祭を止めようと必死な表情で駆け出した。
バシッ
何者かに強く腕をつかまれて、建は動きを止められた。キッと建は後ろを振り向いて、腕を掴んだ
人物を睨みつけた。
「これ以上、人をもてあそぶのもいい加減にしてください!」
だが相手の男はニヤニヤ笑ったまま、建の腕を後ろ手に捻りあげ、身動きがとれないようにする。
「ここまで手間ひまかけて、あんたのポカですべてご破算にしとうはないんよ。」
「なにを・・・!」
「消えてもらいましょか。」
「・・・・・・!」
「いかさま賭博ですっかりあんたの顔が割れてしもたんだわ。ここであんたでアシがつけられても
かなわんしのぅ・・・。」
建の首元にはいつしかナイフがつきつけられていた。
「ここで死にとうはないやろう。まだあんたには大事な息子さんもおるしのぅ、なあ建さん・・・。」
「た、達川さん・・・。」
冷や汗が身体中に浮きただせながら、建は悲しみと恐れと悔しさににじませた声をふるわせた。
836 :01/11/07 15:33 ID:y89Y8HpC
達ちゃん‥‥あっちでも(バトロワ)こっちでも
そんな役なの‥‥‥
837広島家の人々130:01/11/07 16:11 ID:zAy4rdiU
一瞬、博樹は目の前の光景を受けつけることができなかった。澤崎も呆然と広島家の家屋を見る。
誰もいなかった。広島家のどこも人の面影が残っていなかった。そればかりでない。いつも博樹
たちが帰ると元気よく鳴いて駆けつけてくる子犬のシマも、縄を引きちぎってどこかにいなくなっていた。
庭に残っていたのは、通りすがりの人に餌をもらってかろうじて生き残っていた小屋の中の鶏のロペ
のみ。
「ほ、本当に誰もいないのか・・・?竜士・・・貴哉・・・輝裕・・・?」
うわごとをいうように、澤崎の手をふりきって博樹はフラフラしながら、家中を探しまわった。
そうだ、裏庭に河豚の入った桶があったら、貴哉は家事の賄いで出かけているだけかもしれない。
「貴哉・・・。いるんだろ、なあ。貴哉・・・貴哉・・・。」
だが桶は置いてなかった。
「竜士。お前だって賭博がたてこんで遅くなっただけだよなぁ・・・。輝裕、お前だって・・・!」
博樹はもう一度家の中に戻り、土間を茶の間をグルリと見回した。しかし・・・
人がまったくいなかったことを告げる蜘蛛の巣の数々。そして特有のカビの匂い・・・。
ぼんやりと博樹は家屋を見つめた。
「ははははははははは・・・。」
博樹から笑いがこみあがった。
「あはははははははははは・・・。」
投げやりな笑いが、広島家の家屋に響き渡った。
「っつう・・・!」
背中にズキンと痛みが走った。博樹は顔をしかめて土間に立てられている柱に身体をもたれた。
涙がとまらなかった。
「俺、俺・・・なにやってきたんやろか。俺のやってきたことはなんだったんだろうか・・・。」
土間に入った澤崎は、かける言葉が見つからなかった。博樹はまだ泣きたい気持ちを必死に
こらえていた。だが、とうとう柱にうち崩れるように倒れ、号泣した。

茶の間に布団をひいて博樹を寝かせ、澤崎は風呂敷に入っていた広島家の小間物を、蜘蛛
の巣を払いながら片付けはじめた。
博樹や玉木の話から、ある程度の広島家の惨状はわかっていたが、これほどのものとは澤崎
も想像できなかった。自分が緋鯉村の中学校に通うことになり、広島家の家族の世話になった
のもそんなに昔のことではない。一体どこをどうすればここまで落ちぶれることができるのか。
ふと、澤崎の視界に茶の間の小さな仏壇が目に入った。
「おじさん・・・。」
仏壇には兄弟たちの父浩二の写真が飾られてあった。そして前には黄色い眼鏡が。眼鏡は
どこか爆撃をうけたのか、一部が割れて変形していた。
「この眼鏡に写真。もしかしておじさんは戦争で・・・。」
博樹は一言もしゃべろうとしなかった。
「ああああああああああ〜!!」
その時、玄関で大きい声を上げ、広島家に駆け込んできた人物がいた。キョトンと澤崎は
その人物を見つめた。
「よ、よかったぁ。帰ってきたんだ!」
泣きそうな顔で興奮した声を出すその人物は、配達員の福地だった。
838中休み@ス:01/11/07 16:27 ID:zAy4rdiU
昨日うぷするつもりが、家に帰って一休みしてからうぷするつもりが、
グスーリ朝まで眠ってしもた(;´Д`)
今日は運良く休講でずっと家にいられるようになったから、少しでも早く
完結できるように書き続けやす。ヤパーリそろそろ時期的にやぱい(鬱

>>829
兄弟全員がバラバラになったとき、兄弟の視点で動いてくれる“6人目の
兄弟”の存在が欲しかったんで、佐々岡の爺がああなった時点で、澤崎しか
この役をできるのはいないだろなあと。まだしばらくおいしい役どころが
続きやす。

>>830-832
このスレを始めから読み直してもらうとわかると思いやすが、最初おらも
ここまでドロドロ路線になるとは思っておらず(^^;
(ほとんどの登場人物が真っ白だったもんなぁ。)この路線がはっきり
プロットで完成したのが8/25、26の甲子園阪神戦前後。ああ、でもやっと
文章化するところまでいったんだな・・・(ホッ

>>833
結局そんな形になりやしたね(^^; でも現実のエンドウにもマジでがんがって
欲しいっすよ。こんなネタにならんよう!

>>836
今のところノーコメントとさせてもらいやす(^^; ただいえることは
まだオチは全然見えてない。こんなところかな。
839ロペ萌え:01/11/07 18:58 ID:Jz2KCinQ
ロペ・・・生きててよかった・・・
840_:01/11/07 19:26 ID:Tqt/GYhK
博樹兄ちゃん気の毒すぎ・・・。
失意のズンドコ真っ最中だけど、
ここからどうやって浮上するのじゃ?
助清さんの腕の見せどころじゃね。期待してるっす
シマまでどこ行った〜!!

>>839
かなり和んだ。良かったね(w
841 :01/11/07 20:56 ID:UaFWKlCx
ロペも家族だもんね。
842広島家の人々131:01/11/07 21:59 ID:kLnmWB+t
福地はそのまま茶の間に駆け上がろうとして、ハタと動きをとめた。
「博樹さん・・・。」
一目見て福地は博樹がどんな状態であるかわかった。チッとくやしそうに舌打ちすると、
福地は土間に土下座をして深々と頭を下げた。
「すみません、博樹さん!」
いきなりの福地の行為に澤崎は驚いて、福地を起こそうと土間におりようとした。しかし、
福地は澤崎の動きを制止して首を横に振ると、「輝裕くんのこと」と博樹に告げた。横に
なっていた博樹の身体がビクッと反応した。
「貴哉くんに頼まれながら、俺が守りきれなかったんです。すみません、すみません!」
「輝裕くんは今、どこに・・・?」
澤崎の問いに、福地は力なく首を振った。
「わかりません・・・。木村さんの手をふりきって東に行く汽車に乗り込んだところまでは俺も
確認したんすが、その後は・・・。木村さんも鯉城駅に来る汽車の車掌に尋ねてみたりしている
そうですが、いつの間にか汽車の中からも消えたとかで・・・。」
その後、福地は輝裕が進学のことですでにノイローゼ状態だったこと。そこへ共産主義の人間
がムラへやってきて輝裕や広島家を非難中傷する演説を繰りひろげ、その内容を輝裕が知って
しまったこと。福地が知っている限りのことを、出来るだけくわしく博樹と澤崎に話して聞かせた。
「貴哉くんも、輝裕くんが家を出てしまったことを俺が教えてから、姿が消えてしまって・・・。」
後は福地も言葉を続けられなくなっていた。
博樹は布団の中で横たわったまま一言も発さなかった。
「あっ、それと今日これが博樹さん宛てに届いて・・・。」
博樹から何の反応もかえらないことに胸がズキズキ痛みながら、福地は今日ここに立ち寄った
理由を思い出した。何やら重々しい雰囲気の漂う封筒を澤崎は博樹の代わりに受け取った。
「開けてもいいかい?」
福地も見守る中で澤崎は封筒を開けた。
「!」
思わず澤崎は仏壇の浩二の写真を振りかえって見た。福地は拳を強く握りしめ、吐き捨てる
ように叫んだ。
「どうして広島家ばかり・・・!」
そこへ横たわっている博樹の姿が視界に入り、福地はホッと胸をなでおろした。澤崎も無言で
うなずいた。いつまでもここに残っているわけにはいかない。
「じゃあ、俺はこのへんで・・・。」
沈んだ声で落ちこみ気味に福地は立ち上がった。
「・・・・・・ありがとう。」
はじめて博樹から言葉が発せられた。ハッと福地は博樹の方に振り返った。
「・・・弟のこと。そして鶏のロペに餌を与えてくれたのも福地だろう?」
泣いているのか笑っているのかなんともいえない表情で福地は大きくうなずいた。
「もし何かあったら遠慮なく俺にいってください。俺、なんでもしますから!」
福地はそう博樹に告げたあと、まだ激しく降る雨の中を颯爽と去っていった。澤崎は福地の後姿
を見送ったあと、また博樹宛てに送られた封筒を開いた。
843広島家の人々132:01/11/07 23:10 ID:kLnmWB+t
「なるほどね・・・。」
地面に落ちる雨の音だけが静かに広島家の家の中に響き渡る。
「確かにこれも人身売買だ・・・。」
澤崎は仏壇の浩二の写真を見上げた。
「良かったね。もう少しで売られるところをそのケガで助かったよ。」
澤崎は封筒の中の召集令状“赤紙”を博樹に渡した。
「その背中のケガじゃ、徴兵検査は合格しないよ。兵隊に取られる心配はまずない。」
博樹はまばたきもせずに赤紙を見つめた。
「多分、その召集令状が担保の意味だったんだよ。でも、これが事実だとしたらとんでもない
犯罪だ・・・。」
澤崎は立ち上がり、小間物の片付けを続けようとした。
「あれ?」
澤崎は壁の上の振り子時計を見上げた。
「この時計も壊れている・・・。」
早速壁から時計を下ろし、隣の部屋の机の上で澤崎は時計の修理をはじめた。
「十一からの借金はもう気にしなくていいと思うよ〜。」
細かい部品の数々を器用に澤崎は組み立て直していった。
「こうなったら次に相手がどんな手で出てくるか、様子を見てみよう。」
博樹はまだジーッと赤紙を見つめていた。
「今までずっと時がとまっていたんだよ、この時計のように。でも、このままじゃない。
もう一度広島家は前に進まなくっちゃ・・・。」
「澤崎。」
「ん?」
突然、博樹に呼びかけられて澤崎は後ろに振り向いた。
「なあ澤崎。兄弟って、兄弟ってなんだろう・・・。」
ボソリと呟くようにいう博樹の様子をしばらくジッと澤崎は見ていたが、「さぁね」と軽く返事を
すると、また時計の修理の作業に戻った。博樹はまだ赤紙の用紙を見つめていた。
キャンキャン
遠くから聞きなれた子犬の鳴き声が聞こえてきた。博樹は耳を疑った。子犬の鳴き声は
どんどんこちらに近づいてくる。一人の人間の足音と共に。
「まさか・・・。」
信じられない気持ちで無理に博樹が布団から起き上がったのと
「博樹兄ちゃん!」
大きな声をあげて、びしょぬれの竜士が家の中に入ってきたのが、ほぼ同時だった。

お待たせ、次回や〜〜っとハセガー登場っす。
844代打名無し@ス:01/11/07 23:13 ID:kLnmWB+t
しもたぁ!!もうすぐ容量オーバーらしい。すぐに新スレを作らにゃいかんよ。
なんかいいタイトルがあったら、提案してくんさい。
そのまま「広島家の人々」スレにしてしまうか、それともかぷネタ共通のタイトル
にするか、それともリサイクルスレを作るか、乞うご意見!!
ひぃぃぃ・・・(鬱
845 :01/11/07 23:50 ID:HUrlghZo
ハセガー登場待ってた!
って、いいタイミングで新スレなんすね。
846新スレできやした!