[中日球団社長]坂井克彦(67) [直撃インタビュー]
「ファンサービスに力を入れだしたのは観客が減ったからですか?」
中日は今年、「ファンサービス部」を設置。キャンプでは高木監督や選手らが率先してサインをするなどファンと直接交流するケースが増えた。球団広報も増員し、マスコミとの関係強化を図っている。
「勝つことがファンサービス」というのが持論だった落合前監督時代とは大きく変わった中日の坂井球団社長に話を聞いた。
――キャンプでは高木新監督が率先してサインをするなど、ファンサービスに力を入れています。
「昨年、ファンに『中日ドラゴンズに望むものは何か』という内容のアンケートを取った。『選手を身近に感じられるようにしてほしい』という声が一番多かった。差はわずかですが、『勝ってほしい』という声が2位。
私はてっきり、『勝ってほしい』という声が一番大きいかと思っていた。勝つこととファンサービスの両立は簡単ではないが、今、ドラゴンズにとって何が必要なのかを考えたらね」
――中日は昨季、2年連続でリーグ優勝を果たしながら、ナゴヤドームの観客動員がわずかながら減少しました。
「黙っていてもお客さんが球場に来てくれるという時代じゃない。スマートフォンがあったり、野球だけに限らず、スポーツ観戦にお金を使おうという人は減っている。下り坂の中で再び引き上げるというのは相当なパワーが必要です。いろんなものがある中で競争しないといけない」
――ただでさえ、世の中は不景気です。
「不景気になると、会社は3つの『K』を削る。広告費、交際費、交通費です。(親会社の)中日新聞だって交際費を減らす。一般企業が交際費を削れば、シーズンシートの売り上げに影響するし、また広告費を削ればナゴヤドームの看板広告が減る可能性もあります」
――落合監督時代はマスコミとの関係も良好ではありませんでした。
「私はね、スタッフや選手にはマスコミは大事にしなさいよ、とは言っている。やはり取り上げてもらってナンボ。たとえばテレビ業界にしても、試合中継の数が減り、どんどん放送料収入が減っている中、しっかりとした関係を築かないといけない」
――ファンサービスも含めて「脱落合」を推進しているように感じますが……。
「社長が代われば組織は変わる。長が代われば方針が変わる。そういうもんじゃないかと思いますよ」
日刊ゲンダイ 2012/2/25
http://v.gendai.net/q?uid=1&sid=A817&i=article%2Fdetail&aid=258145&p=1