ベイスターズ救世主となるか 売却先に浮上したDeNA[モバゲー]の野望
早すぎる情報流出に疑問の声も
ゲームサイト「モバゲー」運営会社のディー・エヌ・エー(DeNA)に一大転機が訪れている。プロ野球・横浜ベイスターズの売却問題で、名前が浮上したのだ。横浜の親会社・東京放送(TBS)ホールディングスはDeNAなど複数の企業と交渉しているとみられている。
今年6月、創業者の南場智子氏(49)が「夫の看病」を理由に社長を辞任。会社として第2ステージに突入したDeNAは本当に球団経営に乗り出すのか――。
1999年設立のDeNAは、「モバゲー」と呼ばれる携帯電話を使ったソーシャルゲームで売上高1130億円の企業に急成長した。現在、約3000万人の会員を抱える。米国やベトナムのソフト開発企業を買収するなどM&Aも積極的だ。
ソーシャルゲーム市場ではグリーとシ烈な争いを演じている。売上高でははるかにグリーを上回るDeNAだが、時価総額では逆転されてしまった。さらに、DeNAは、昨年12月に公正取引委員会の立ち入り検査が入り、今年6月、独禁法違反で再発防止を命じる排除措置命令を受けている。
「プロ野球界への参入で過去の負のイメージを払拭し、球団とのコラボ商品や企業宣伝効果により、ライバルのグリーを蹴落としたいという狙いがあるのではないか。もちろん、それだけではない。
相次ぐ海外企業買収で分かるように、今後は世界市場に本格進出し、席巻したいという野望が見え隠れしている。球団買収は、そのためのワンステップなのでしょう」(業界関係者)
しかし、話は単純ではない。身売り話そのものがどうなるか分からない、との見方も根強い。
「ニュースが出るのが早すぎた。本気だったらアグリーメント(契約、同意)するまで漏らさないはずですが」と疑問を抱くのは経済ジャーナリストの有森隆氏だ。「いまの横浜を買収することは金食い虫を飼うようなもの。毎年20億円の赤字補填が必要な球団で、年々観客動員数も減っている。相当な金を
つぎ込まないといけないし、いい監督や選手を獲得する経費も必要です。本業での競争の激しさも増してくる。オーナーと現経営陣の意思疎通はうまくいっているのでしょうか。DeNA社内なのか、売り手のTBS側なのか分からないが、情報を早く出すことで話を潰そうという思惑も感じます」
横浜の売却話は、去年も住生活グループとの交渉が表面化したが、結局は破談になった。さて、今回はどうなるか。
日刊ゲンダイ 2011/10/3
http://v.gendai.net/q?uid=1&sid=A817&i=article%2Fdetail&aid=245961&p=2