―― 宮内さんは小泉政権で規制改革・民間開放推進会議の議長として、規制緩和を推進してきました。
宮内
その過程で、ずいぶん叩かれ、気がついたら誰も規制緩和を言う人がいなくなっていた。
これは、政治の貧困がもたらしたのではないでしょうか。政治の世界は、世襲がはびこり、
ダイナミズムが全くないですね。
―― 尽力された混合診療の自由化問題についても、なかなか全面解禁には至りません。
この混合診療の議論でも、お金のあるなしで受けられる医療に差が出ると、
格差という言葉を出して反対する人もいるようです。
この格差問題という言葉を錦の御旗に掲げて、改革を阻止しようという動きがあるようにも感じます。
宮内
混合診療というのは、力のあるお医者さんのところへ患者が集まり、腕のいい医者の収入が増えるということ。
これは正しい競争だと思うんです。
日本では多くの先端医療が保険診療には入っていないため、米国で先端医療を勉強してきた医者でも、
日本に帰ってきてから症例がゼロで経験を積むことができません。
やはり世界最先端の医療に常に従事していないと、医者の腕は落ちてしまいます。
格差は認めなきゃいけない。人間社会である限り、格差は生まれるものです。
努力したらきちんと報われる社会を作ることが大事であって、その結果生まれた格差は認めてもいいのでは。
格差問題で留意すべきは、格差そのものが悪いのではなく、格差を固定する社会がいけないということです。
格差を固定しないためには、流動性の高い社会を作ることが必要です。
しかし日本の社会は流動性を高めようという動きとは全く反対です。公務員制度一つ動かない。
農業分野にしても、農地は息子にしか渡しちゃだめ。都会の人が農業に挑戦したいと思っても
難しいというのが現状です。政治家も親が政治家でないとなれない。