●礒部公一選手の存在
そんな光景を見届けているうちに僕の目の中に入ってきたのは、目の前のライトのポジションを守る礒部公一選手。
礒部選手といえばあの球団合併騒動の際、愛するチームを守るために、そして野球を愛するファンのために、
大切なシーズン中だというのに球界の経営者という権力者たちと戦い続け、ファンとともに署名活動に参加するなど、
合併反対運動という動きの中には必ず礒部選手の姿がありました。
しかしこの戦いのためにプレーをおろそかにするなんてことはなく、
決して十分に休養・練習の時間も無かったでしょうのに、このシーズンは自己最高の成績を残すなど、
選手としても大きな意地を魅せてくれたんですよね。
僕は当時BWのファンだったわけなのですが、この礒部選手の姿には本当に勇気付けられました。
BW側の合併反対運動は、神戸のファン気質なのか、また吸収合併色が強かったせいか、
イマイチファンの盛り上がりも欠けましたし、BWの当時の選手会長が行動を起こすのも、
近鉄以外の他球団ですら署名活動を始めた後だったというくらい、かなり遅かったんです。
その現状に愕然として、「BWというチームが無くなっても良いの??」って、
選手もファンも信じられなくなった僕の目に焼きついたのが、スーツ姿でもユニフォームでも必死で
「戦う」礒部選手の姿でした。