おお、三東のブログなんかあるのか
知らなかった
>>228 163.変質
「俺の目的はな、ある人を捜すことなんや」
ぱちぱちと音を立てながら火の粉が薪ストーブの中で踊る。
不穏な空気を携えて黙りこくってしまった杉山との間を保つように、関本は自分
自身について語り出した。
「探しながら……山の上の展望台に向かってる」
ぱちんっ
薪の一部が弾けた。
埃を敷いた床を、ストーブの小窓から覗く焔がうっすらと照らす。橙色。
「ほんまはあの人が見つかって、一緒に迎えに行けたらええんやけど……そう贅沢
も言ってられへんかな。さっさと行かんと、すれ違ってまうかもしれんし」
後半の関本の呟きは、半ば独語めいていて要領を得なかったが、彼が誰かを捜して
いて、さらに別の人間と展望台で落ち合う約束をしているらしい、ということは多少
想像力を膨らませれば推察できた。
ごそごそと尻ポケットを探り、関本は地図を広げて杉山に現在地を尋ねた。
分かる範囲でだいたいの位置を説明すると、関本は頷きながら現在地と展望台へ
の道筋を先の出ていないボールペンでなぞった。
その確認作業を終了すると、ボールペンを床に置き、地図を丁寧に折りたたんで
ポケットに閉まった。
「杉山、頼みがあんねんけど」
「何ですか?」
神妙な様子で切り出され、杉山はやや身構えて応えた。
「江草が起きたらさ、二時間だけ眠らせてくれへん?」
その割には、提出された要求は非常にささやかなもので、こちらが拍子抜けする
ほど謙虚な願いだった。
「ほんまはすぐ動きたいところやけど、もう体力があかん。……二時間くらい寝てて
もあいつも待っててくれるやろ」
関本はあくびをかみ殺し、肩を回して大きく息を吐いた。元気そうに見せているが、
目元に落ちた疲労の色は濃い。
「狩野とも離れた、一番遠いところで眠るし、ちゃんと見張っといてくれてええから」
江草の心境や杉山の立場を考えて、たった二時間の仮眠を取ることにすらこんなに
遠慮がちに頼んでくる。その心遣いが杉山には痛かった。
「……分かりました。二時間とは言わず、ゆっくり休んでください。俺は、あなたを
信じますから」
少なくとも自分くらいはそう言ってやりたい。この親しみやすい訪問者に抱いた感情を、
杉山は可能な限りその一言に込めた。
「あの人追い出してよ!」
小声で、江草がそう嘆願したのは、江草と交代で関本が眠りについてから約三十分
程経ってからだった。
身体が疲れているので、二時間だけでいいので仮眠させて欲しい、というのが関本
からの願いだった。
彼にはこれから向かわなければいけない場所があるらしい。
少し眠って体力を回復させたら、すぐにでも向かいたいとのことだった。
杉山はそのことを端的に、かつ極力関本に好意的に伝えたのだが、案の定、江草から
物わかりの良い返答は望めなかった。小さな落胆と、大きな諦めと、中くらいの納得が
入り交じる。
先を急いでいるというのはもちろん彼の本音だろうが、同時に、関本の存在を歓迎
しない相方への気遣いであることも伺えた。
しかしそんな気遣いも、気遣われている当人にはまったく気付かれない、という
不条理が世の中にはままあることを杉山は目の前で認識させられていた。
「なんで……?」
頭蓋骨の内側に蔓延する緩慢な疲れを吐き出しながら杉山が聞き返すと、江草は
衝撃を受けたように目を見開いた。
あるいはその聞き返し方が、どこか冷めた色を含んでいたことに彼は気付いたの
かもしれない。猜疑心の強い人間というのは、自分に対して向けられるマイナス方向
の感情の動きには驚くほど敏感になっているものだ。
「俺を信用できないの?」
「そういう問題ちゃうやろ」
なぜそういう発想になるのだろう。
彼の非難がましい声に言うべき言葉を見失いかけながら、杉山は苦労して虚空に
台詞を探した。
関本が信用できるという保証はどこにもない。
それでも、一連の会話の中で触れた関本の気遣いに――それはもしかしたら、彼で
なくとも、大抵の人間が持ち合わせている優しさなのかもしれないが――杉山の心は
大きく信用の方に傾いていた。
裏返せば、それは今までずっと一緒にいた仲間への不信にも繋がるものかもしれない。
「杉山は……無理してるんやろ?」
幾ら空気を睨み付けても一向に台詞が思い浮かばない間に、呟いた江草の問いに
ギクリとした。
先ほどの会話を聞いていたのだ。
(ああ、無理してるともさ)
声に出さずに同意する。
「俺といるのが、辛いんや」
辛い? 考えたこともなかった。
(ああだけど――)
確かに、辛いのかもしれない。
(心配して、守ろうと気を張って、無理矢理自分自身を鼓舞して)
独りだったらどれだけ身軽だっただろう。あるいは、せめてフィフティーフィフティー
でお互い、己の身は己で守れるような相手なら。
そこまで考え、自身の発見に驚きながら、杉山は親友の顔を見返した。
拗ねたような口調。拗ねたような表情。
『違うに決まってる。そんなわけがない。馬鹿なことを言うな』
そう言わなければいけない。杉山はそういうつもりだったし、江草はそういう答えを
望んでいるはずだ。
しかし、彼の顔を見た瞬間、杉山はなぜかその言葉を喉から食道に押し戻してしまった。
当人の口から否定形を導き出したいがための子供じみた抗議。
それは、皮肉にも杉山の中の、自身でも気付いていなかった心理を箪笥から引っ張り
だしてしまったのだ。
(俺はこいつらが、うとましいのか?)
杉山直久はいざとなったら誰かを殺せる人間だ。自分自身が生き残る為に、誰かを
殺すことを厭わない人間だ。きっとそうだ。そうでなければ生き残れないのだ。
ならば、ここで彼らを殺してしまうことも出来るのではないか?
彼らの存在が、自分の生き残る可能性を挙げるパーツになりうるとはとても思えない。
敵に追われたとき、狩野を抱えて逃げることが出来るだろうか?
情緒不安定な江草が、誰かに襲われて冷静な判断が下せなくなったとき、己も無傷で
彼を救うことが出来るのだろうか?
彼らのせいで自分が死ぬことがあるとすれば、人を殺してでも生き残りたい自分が
彼らを守ろうとする理由は何なのだろうか。
おかしい。おかしい。こんなのはおかしい。
(なんでこんな目に合わなくちゃいけないんだ!)
今まで当たり前だと思っていて耐えていたことが、実は不条理なものであると気付いた
時に、急激に増長する怒りや不満というものは抗いがたい爆発力を持っているものだ。
静かに沸騰していく感情に浸食されていく己を、杉山は明確に感じ取っていた。
「杉山は俺の味方なんでしょ!?」
そして親友の内部で起こっている不穏な変化を察知しないまま、江草は自らの感情を
相手に主張していた。
「俺や、狩野があの人に殺されてもいいの?」
杉山の目には、その時、江草が親鳥に餌を請う雛のように見えた。
ただ一方的に求め、庇護を強要する雛。
そのとき沸いたのは、確かな――微少の殺意にも似た怒りだった。
「……目が覚めたら、出て行くらしいから」
怒りにまかせて怒鳴りつけるようなことを、杉山はしなかった。
ただ静かに、全てを飲み込んでそう小さく告げた。
【残り32人】
職人さん乙です!
仲がいい2人がこれからどうなることやら・・・
新作乙です
エグ目をさましてエグ・・・
お杉の気持ちがよく解る…。
緊張してきた!
そっか、セッキーはチン様と待ち合わせしてたんだったな。
セッキーが出て行く前にエグスギどうかなっちゃうんじゃないか?
なんか心配だな。。。
ほす
ほしゅ
252 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/03/22(土) 09:25:28 ID:SCoenw8Y0
バトルロイヤル
253 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/03/22(土) 17:34:05 ID:t5qezdiO0
典型的なキチガイ珍
23 名前:代打名無し@実況は実況板で 投稿日:2008/03/22(土) 17:06:22 ID:0Lz7x8veO
不公平な審判のハンディとたまたまカラクリだったから入っただけのホームラン
実質は阪神の快勝だったはず
文句あったらいつでも甲子園でやったるからいつでもかかってこい
254 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/03/22(土) 18:03:46 ID:KfrsTN+zO
里崎は、里田まいのおっぱいを揉んでいた
保守
ほす
☆ゅ
ほしゅ
259 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/03/28(金) 00:17:40 ID:rV38CO5j0
ほしゅ
ほす
ほ
hosu
hosyu
>>245 164.崩壊
イメージはゆっくりと沈んでいく小舟。
「ほなな」
きっかり二時間、仮眠をした後、彼はデイバッグをかついで小屋の戸口に立って
いた。
「はい、お気をつけて……」
関本健太郎の出立を見送りながら、杉山はざわり、と押し寄せる不安を胸の内に
抱えていた。
早朝の明るい森を背景に、関本の木訥とした顔が対峙している。
たった数時間を共にしただけだが、その数時間の間に、この島での何日分の笑顔
を彼は自分に提供してくれただろうか。
(この人がいなくなってしまったら――)
喪失感とは違う、ひたひたとを忍び歩く暗い不安が影を落とす。
その正体を、杉山は悟るべきではないと直感した。だが、その直感が答えを隠す
前に、杉山は解答を導き出してしまった。
(俺は、また独り……?)
一人で、二人を背負わなければいけない。
そう思ってしまった瞬間、杉山は自分が守るべき二人を重荷に感じていることを
自覚した。
関本の姿が見えなくなった後、杉山は地面から三十センチほどの高さに鈴を通した
テグスを確認し、緩んでいるので張り直すことにした。効果の程は実証済みであるから
には、マメに仕掛けておかなければならない。
外に出ると、すっかりと空は白んでいた。朝である。
早朝の空気が頬を撫で、鼻口から入り込んで脳を冷気で満たす。徹夜明けで霞が
かった脳に若干の冴えが戻った。
まったく夜らしい夜を過ごした気がしない。夜とは穏やかな眠りの為にある時間
だと思っていたが、この島では夜とは怯えと緊張と不安との決闘の時間であるらしい。
「やっといなくなった……」
罠を張り終えて小屋に戻ると、江草が明らかに安堵したように肩を落として呟いた。
「俺、もう一回眠るね」
毛布を羽織り、杉山の了承を取るよりも早くストーブの近くに座り込んであくびを
する江草。
「あの人がいると、緊張して全然眠れなかったから」
狩野を見てろと言って目を離している間に一緒に寝こけていたような気もするが。
「おう」
意味のない応答をして、杉山はつられて出たあくびをかみ殺した。
杉山も眠かった。
関本が仮眠している間、江草は杉山も寝ていいと言ってくれたが、自分の意識が
落ちている間に江草が関本相手におかしな気を起こさないかと気が気でなかったので、
起きて江草を監視していたのだ。
つまり、昨夜はほぼ一睡もしていない。
次の放送時間までもう間もないが、ほんのわずかな時間でも寝袋に潜り込み、深夜
から停滞していた眠りの世界に舞い戻る決心を杉山は固めた。
決心は数十分後に打ち砕かれた。
(眠れない……)
確実に脳は睡眠を求めているはずなのに、変に目が冴えて眠れないのだ。
薪ストーブの暖かさが嫌に寝苦しい。
思い通りにいかない身体に苛立ちながら、杉山は一時的に眠ることを諦めて周囲を
見渡した。
緊張してあまり眠れなかったというのは本当なのだろう。小さく寝息を立て、江草
はすっかり寝入っていた。この辺りの切り替えの速さは、やはり杉山よりも江草が
勝っている点だろう。
彼の寝顔を見ながら考えてしまうのは、後半刻もしないうちに定時放送が始まって、
また地獄のような一日がスタートするということだ。
また増えたであろう死者の名を聞き、禁止エリアに怯え、恐慌する彼らを励まさ
なければいけない。
想像するだになんと気が重い日々だろう。
杉山の言いつけ通り、何も知らず眠り続ける狩野恵輔の顔を覗き込む。ストーブの
熱に照らされているせいもあるだろうが、顔色は比較的良く、表情も穏やかだった。
これだけ眠っていれば、明日には大分体調は回復するだろう。精神的な部分の回復
度合いまでは分からないが。
彼には、関本の訪問すら意識にないはずだ。江草とのぎこちない会話も。
それが、酷く羨ましく感じた。
杉山には死体を見て倒れることも、全てを仲間に任せて眠りにつくことも、誰かに
守られることも許されないのだから。
ふと、また同じ疑問が過ぎった。
数刻前、たった一度過ぎった疑問は少しずつ肥大化していって、杉山の脳神経の
一部を静かに圧迫していた。
なぜ自分は彼らを殺さないのだろう?
(殺してしまえば……)
殺してしまえば、少しは楽になるだろうか。
刺し殺すのと、絞め殺すのと、撃ち殺すのと、どれが一番苦しくないだろうか。
前川の遺品である十徳ナイフを枕元において杉山は眠る後輩に馬乗りになった。
十徳ナイフも銃も、ナックルも、武器は全て杉山の手中にあった。彼らが杉山に
刃向かおうとしたとき、抵抗する術はどこにもない。
そう思うと、彼らの象っていた仲間という形が、あまりにもいびつで危うい物
であったことを実感する。
これは信頼と言うよりは、依存ではないのだろうか。
誰かに依存するということは楽だ。義務を放棄し、責任を押しつけることが出来る。
だからこそ、依存した相手に裏切られても、そこには依存した側にも責任が存在
するのだ。
迷った末、杉山は一度立ち上がり、狩野の荷物を探った。
もう一つ、彼らに与えられた武器を思い出したのだ。
探し当てた褐色の小瓶には白い粉末が詰まっていた。
毒殺を選んだのは、その方法が最も「自分が殺した気にならない」からだろう。
小瓶を目の高さまで上げて振りながら、その内容物を確認する。
『KCN』というラベル――かの有名なシアン化カリウム、青酸カリを示す記号なの
だが、杉山はその意味を知らない。
その正体も、自分たちが置かれた状況の主旨からして、恐らく人を殺せる毒なので
あろう、という程度の認識しかない。
まだ十分に残っている狩野のペットボトルの口に小瓶を宛がうと、砂時計の砂のよう
に滑らかに白い粉が水面に落ちていった。薄暗い空間できらきらと輝きながらそれは
あっさりと水に溶けて正体をなくした。
約二分の一ほど入れたところで、小瓶を傾けていた手を止める。
(入れ過ぎか?)
それとも少な過ぎだろうか。
なにひとつ判断基準がないままでの毒殺計画は無謀に過ぎるかもしれない。
致死量はどれくらいなのだろう。
一口? 半分? 全部?
可能性は低いが、これが実は毒ではなかった、という落ちならばかなり滑稽だなと
思った。
同時に、それを望む気持ちも杉山にはあるような気がした。
そうなれば、ろくでもない気を起こすなと誰かが――天とかいうろくでもない
傍観者が――止めてくれたのだと思える。
コトン
残り少なくなった小瓶の蓋を閉め、杉山は小さな音と共にそれを床に置いた。
狩野の脇に据わり、震える手でペットボトルを後輩の口に宛がう。寝息を立てる
唇がわずかに開き、流れ込む死を待っているようだった。
(殺す――殺す……殺してしまえば……)
「何……してるの……?」
声。
極限の緊張の中、痙攣を起こした右手からペットボトルがこぼれ落ちた。鈍い音
を立て、床に跳ねたそれが狩野の寝袋と、杉山の膝を濡らす。
透明の染みを床に広げるシアン化カリウム水溶液以外、時間の停止を錯覚するよう
な数瞬が流れる。
動けない杉山は、同じく動かない江草の視線を受け止めていた。
【残り32人】
職人さん乙です。
おすぎ・・・!
職人さん乙です!
おすぎ・・・ガンガレ!
うおおコエー!職人様おつです
>>270 いやがんばったらあかんやろw
>>271 精神的に安定しろ!って感じで言ったんだがw
スマンw
273 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/04/01(火) 23:52:40 ID:+/a9+v7m0
t
乙です!
うわぁ……これはどう転ぶか分からん展開だ…!
うわあ
乙です!
エグはセッキーが入れ知恵したとか思っちゃうんだろうか…
ほしゅ
ほ
捕手
280 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/04/06(日) 16:03:28 ID:71iWa3M90
保守
281 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/04/06(日) 21:39:33 ID:8gFE7Fpn0
,,-―――――-、
,r´ `\
| ,.-''" ̄ ̄ ̄ `"''-,, .ヽ
|./ ', ',
/- - i .| キム本兄さんも朴(新井)兄さんもキム村投手も
/⌒ヽ /⌒ .| |
,' _ ` ´ _ | .| 金に目がくらんで阪神に来たんやないんや!
|.ノ-・、.〉 , /-・ヽ .|/,⌒i
|  ̄./  ̄ .>ノ.| ワイらの同胞やから阪神に来たんやで!
.', .| -、 .、_ノ
ヽ `¨i⌒´ / / .| 読売の汚い強奪とはちがうんや!!
.|ヽ,ヽlエlエlアヽ / / |
.ヽ、 .ヾ二ノ / .| 来期はスンヨブ兄さんとビョン兄さん獲得で
i\ ‐ ./ / |
| ヽ___,/ ,' .| 同胞打線完成するからお前ら覚悟しとけよ!!
,, -''"´ ̄ ̄`"''- 、
/ \
/ /レリ(( ̄ ̄ ̄\ \
/ .| ― .\ ミ、
,' ,' ⌒ヽ '⌒ヽ/
| / ( , ノ
| ,' `ー・二ヽ. , 〈 r・二ー'ヽ
i'^ヽ| _ノ '、ヽ_ 〉 チョッパリはキム本兄さんを見習え(笑)
',( {|\ (c、,ィ) /
.`r‐| ,.へへ、 .イ ホンマキム本兄さんは民族の誇りやで(笑)
'リl\ 、_∠ィ'lエlュ.レ /
| \ ヽ\ェェン/ /
| \. `ー‐'´/
.|\ '、 . \____/|
_,, -く `"''ー――――''|- ,,_
\ ,ノ
ほす
捕手
ほすほす!
ほす
ほしゅ
ほす
あかぼし
ほしゅ
t