2時間のインタビューで何度か「あの出来事」にふれたが、多田野は口を閉ざし続けた。
「もう、終わったことですから」と。
――では、どうやって「あの出来事」を乗り越えましたか。
そう聞いたときだけ、多田野は「自分にそんな力はなかったですが、多くの人たちに
教えてもらったことが大きかったと思います」と、言葉を残した。
過去と現在、未来はつながっている。過去に残した染みは永遠に消すことはできないが、
新しい絵筆で塗りつぶすことはできる。
Number666号より抜粋しました
http://www.bunshun.co.jp/mag/number/index.htm