【自分が変われば】青木高広3【世界が変わる】

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ルーキーイヤーを終えて
【満たされぬ思い。】
  青木高広
ガムシャラに駆け抜けた、青木高のルーキーイヤーが幕を閉じた。
開幕から先発の一角を担い、勝ち星こそ5勝に終わったが、
シーズンを通してローテーションを守りチームに貢献した。
プロの世界で様々なことに取り組み、成果を出してきた青木高。
しかし、納得できる自分の姿はまだまだ高いところにある。


『負けない気持ちを持って』
――シーズンが終わりました。長かったですか?それとも短かったですか。
「僕にとっては短かったですね。あっという間でした」
――短かったということは、それだけ充実していたということですか。
「そうですね。プロ1年目だし、内容も濃くて充実した日々を送ることができたと思います」
――プロに入る前にイメージしていたプロ野球と、実際にシーズンを終えてみて違いはありますか。
「社会人のときはピークを持っていくので、それに合わせて調整をしていけばよかったのですが、プロは毎日試合があります。
だから試合に向けての調整の仕方が違いました。シーズン中に追い込むときもあれば、そうじゃないときも必要。
10がマックスだとして、その全てをやってたらシーズンはもたない。そういうことに途中で気がつきました。
それが社会人とプロの違いの一つだと感じました」
152HA2:2007/10/26(金) 11:37:21 ID:wB8OD9vfO
――入団会見のとかに先発なら二ケタ勝利、中継ぎなら毎日投げるくらいやりたいと話してました。
  そして先発としてマウンドに上がった訳ですが、数字を見ると5勝11敗、防御率4.77という成績が残りました。
「数字的にはもっと勝ち星がほしかったというのはあります。だけど先発として、任された試合で試合を作るというか、
しっかりと自分の力を出し切ってゼロを積み重ねていくことが目標でした。そういう意味から言えば、僕としてはできることはやってきたと思います」
――数字以外の部分で、今シーズンを戦ってきた中で大事にしてきたものはありますか。
「メンタルというか、気持ちですね。弱気にならない、逃げない、折れない。
そして自分が投げるんだ。そういう気持ちを持ってシーズンを過ごしていきました」
――シーズンを戦っている中で、自分に負けそうになったことはありましたか。
  例えば開幕から好投を続けながらも、初勝利を手にするまで7試合、1ヶ月程かかったときなど。
「そうですね…。やっぱり数字がついてこなかったときは、そういう気持ちになりかけたことはありました。
でもちょうどそういうとき、あまり正確には覚えていないんですが、5月8日頃に広島空港で大学の先輩でもある中日の岩瀬さんと一緒になったんです。
そのとき挨拶に行ったら「大事なのは気持ちだから」とアドバイスをもらいました。岩瀬さんは中日の抑えとして活躍されてる選手です。力になりましたね。
その一言を貰ったことでもう一度気持ちを強く持つことができましたし、それが初勝利(16日の阪神戦)の要因の一つだと思います。
また改めてシーズン中もそういう強い気持ちを持ってやっていこうと思いました」
153HA3:2007/10/26(金) 13:05:05 ID:wB8OD9vfO
――なるほど。今シーズンの青木高投手は毎試合、必ずその日のピッチングを分析し、次の登板に繋げていました。
  そういうふうに切替えがしっかりできるということに、感心させられました。
「僕の場合は、勝ったときも負けたときも、試合のことを考えるのはその日だけにしていました。
だから勝った喜びに浸るのはその日だけだし、負けた試合では確かに落ち込むこともありましたが、それもその日だけ。
そういうふうに、毎試合気持ちをリセットさせて、翌日は次のマウンドに向けてトレーニングをする。それを頭においてやってきました。」
――そういう取り組み方になったのはマーティーの「プラス思考」も影響していますか。
「それはあると思います。ミーティングとかでそういうことを言われましたからね。それに自分でも毎試合切り替えていくことが大事だと思っていました。
ピッチャーはグラウンドの一番高いところに立っています。そこで前の試合のことを引きずっていたり、おどおどしていたり、
まして強い気持ちを持っていなかったら他の選手に影響を与えてしまうと思うんです。
だから試合が終わった翌日は気持ちを次の登板なことに切り替える。そうやってきました」

『納得は、していません』
――今シーズンを振り返ってみて、青木高投手の中でターニングポイントとなった試合はありますか。
「そうですね…、やっぱり初勝利を挙げた試合ですね。その試合で初めてシュートというかツーシームを投げたんです。
その球が試合で使えるとわかったので、ピッチングに手応えを掴むことが出来ました」
154HA4:2007/10/26(金) 18:43:19 ID:wB8OD9vfO
――それまでの試合では、投げていませんでしたよね。
「大学、社会人の時も投げていませんでしたし、キャンプでも投げていませんでした。
 だけど、開幕から試合を重ねるごとに今のピッチングでは通用しないと思ったんです。
 例えば、右バッターと対戦したとき、僕はインコース中心に攻めていました。
 だけどそれだけでは、抑えることが難しかった。だからアウトコースに逃げてく球が必要だと。
 そう感じているときに、マーティーとツーシームを練習してみて使えそうだったので、
 この試合で初めて使いました。その結果、抑えることが出来たので、それからいけるかなと思いました。」
――ツーシームを覚えたことで、ピッチングの幅が広がり、これまでよりも的を絞らせにくくなったんですね。
「その試合の前までは左バッターにホームランを打たれることが多かったんですが、
 インコースに食い込んでいくツーシームを投げるようになってからは、その割合も減りました。
 また右バッターも微妙に動いてアウトコースに逃げていくので、引っかけてくれたりしましたからね。
 さらにそれまでの自分は、10ある力の全てを使って投げていたんです。
 だけどツーシームを覚えてから7〜8割の力で投げられるようになりました。
 そういうことができるようになったことも自分としては大きかったと思います」
155HA5:2007/10/26(金) 18:54:52 ID:wB8OD9vfO
――なるほど。手応えを掴んでからその後中継ぎ登板5試合など、計21試合マウンドに上がりました。
  ルーキーシーズンを終えて、収穫になったことを教えて下さい。
「自分の取り組みが、結果として表れたことが一番よかったと思います。
具体的には、ランニングの量を増やし、フォームの修正を行いました。それがいい方向に出たと思います。
また、カーブやチェンジアップなど緩い球でタイミングを外すことができ空振りを取れたということも収穫になりました」
――ランニングを増やしたのは、確か5月8日の中日戦後だったと思います。
「そうですね。8日の試合、僕は3回までに6点を取られ、4回のマウンドに上がることができませんでした。
(2回に1失点すると、3回には5連打を浴びるなど一挙5失点)さらに1日のヤクルト戦も3回1/3を投げ7失点(自責点6)でKOされていました。
だから8日に負けたあと、もう一度同じ失敗を繰り返したら絶対にファームに落とされるという危機感を持ったんです。
それからですね。ランニングの量を増やしたのは」
156HA6:2007/10/26(金) 19:16:49 ID:wB8OD9vfO
――何故走る量を増やしたんですか。
「それまで自分の中で疲れているかもしれないと思いがあったので。ランニングの量を減らしていたんです。
だけど、それではいいピッチングができず、後がない状態になっていました。
だから、疲れていても減らすのではなく逆に増やしてみました。具体的に言えば、走る距離を長くしました。
例えば、それまでポール間走を6本走っていたんですが、それを10本にしたり、
短いダッシュは決められた本数をこなすだけではなく自分が納得するまで走る。
そういうふうに疲れていても下半身を鍛え直したことが、初勝利に繋がったと思います。」
――疲れているにも関わらず走る量を増やすということは、体力的にも精神的にもきつくありませんでしたか。
「確かにきつかったですけど、やるしかない、という気持ちでしたからね。
それにいいピッチングをするためだと思ってたので、耐えることが出来ました。」
――OBの方や解説者の方などが「ピッチャーにとって、まずは走ることが大切」
  とよくおっしゃっています。やはり走ることは重要なんですね。
「そうですね。やっぱり、どれだけ走り込むかですね。それを改めて感じました」
157HA7:2007/10/26(金) 19:33:39 ID:wB8OD9vfO
――続いてフォーム修正についてですが、どのように修正したんですか。
「初勝利の前辺りに、足の上げ方を一度変えたんです。それからはずっとそのフォームで投げていたんですが、
8月の中旬ですね。登録を抹消されてファームに行ったときに自分を改めて見つめ直す時間ができたので、
社会人時代のよかった頃のビデオを見たり、そのときの投手コーチに気づいたことを言ってもらったりしました。
それで投げる前の肩の開きを修正しました。それまでは力んでしまって開きが少し早くなっていました。
だから打者に向かっていくときに少し肩を入れて、開きを遅くする。そういうふうに一度壁を作って投げるようにしました。」
――それが再登録後の3勝2敗、防御率3.10という結果、そして数字以外に納得できるピッチングに繋がったと。
「そうですね。フォームを修正できたことが、いい方向に出たと思います」
158HA8:2007/10/26(金) 19:40:58 ID:wB8OD9vfO
――ルーキーイヤーは収穫になったこともありましたし、納得の出来る1年となりましたか。
「自分としては、納得していませんね。開幕からローテーションを守って投げてきた訳ですけど、
投球回数は128回1/3に終わり、144回の規定投球回数に到達することはできませんでした。
また細かいところでは、牽制のときの間が一定だったりしました。
そして、いいピッチングができるときとそうでないときの差、
調子の波が大きくなってしまったことも反省しなければなりません。
そういう意味では、課題もたくさん出た1年になりました」
――ただ、今話に出たようにルーキーシーズンながら先発ローテーションを一年間守りました。
  そのことについては、自信にしてもいいのではないでしょうか。
「そうですね。ここまで投げられたということは、自信にしてもいいかもしれませんね」
159HA9(ラスト):2007/10/26(金) 19:46:13 ID:wB8OD9vfO
――最後に、間もなく秋季キャンプが始まります。
  そこでは、どのようなことに取り組んでいこうという思いですか。
「まずはこれまでやってきた上半身のウエイトトレーニングなどをして、筋力アップを図りたいですね。
あとはバント練習をだったり、そういう細かいことをやっていきたいと思います。
ピッチングについては、今持っているカーブ、チェンジアップ、スライダー、ツーシームの精度を上げていきたいですね。
それがうまくいけば、更に新しい球種にもチャレンジしていきたいと思います」
――シーズンは終わりましたが、まだまだ続きますね。
「そうですね。まだまだ頑張りたいと思います」

  END