今日のスポニチ『隠しマイク』より
ヤクルト・石川が練習中グラウンドでアリの巣穴を発見し、バント処理でそこをたまたま踏んでしまった館山に対し烈火のご
とく怒りを爆発させた。
そのまま連係プレーの練習を止めて野手も全員集めての緊急ミーティングとなった。
「ダメだよ。自分の家が踏まれた場合を考えてくれよ。
アリさんも小さくても頑張っているんだ。この小さな巣を
作るのにどれだけの苦労があるかわかっているのか?
館山よ、自分だけよければそれでいいのか?
君はいつもアリさんの事を考えてプレーしていないのか?
例えば、自分の家が宮出のような大きな人に踏み潰された
らどう思う? 野球選手である前に一人の人間としてもっ
とよく考えてプレーしてくれ」
今年新たにキャプテンを任された石川の熱い叫びは30分続いた。
館山はその場で泣き崩れしばらく立ち上がれなかった。
最高責任者の古田は館山に反省文の提出を要求。
誰にも言われてはいないが、高井も作文を書くことを決意。
土橋は半笑いで黒光りするバットを拭いていた。
ふと見ると、高井はいつの間にかアリたちと会話でじゅっくり。
アリたちと高井の意見を取り入れ石井(一)はアリの新居の製作に入っていた。
誇り高き男たちがふと見せた飾り気のない優しさだった。
いつの間にか館山の顔には笑みが戻っていた。
それは小さな環境保護の輪が生まれた瞬間だった。