彦野利勝が語る
あれは私が一軍に定着しかけの頃でした。
ある試合で私がエラーをしてしまい、それがきっかけで逆転されました
ベンチに戻ると監督に「バカヤロー、ちょっと出てると思って調子に乗ってるからだ!」と叱られました。
マスコミは私のことを叩きました。
翌日私は早出で守備練習をしました。
試合後コーチから声をかけられ練習することとなったのです。
コーチに失敗した打球と同じ所に打って貰い、私は必死に練習をしました。
そして苦手なコースの打撃練習もしました。
その日の試合、チャンスに私に打順が回ってきました。
私は昨日の悔しさを挽回するべく、思いっきり振ったらホームラン。
ベンチに戻ってナインにタッチされまくりましたが、
監督は片手を出しただけで仏長面でした。
試合終了後、ベンチ裏で片付けをしていると、ベンチから取材を受けている監督の声が聞こえました。
「ははは、だから『彦野はやる』ってワシは言っただろう?誰だ、あんな記事を書いたのは。」
私は涙が出そうになりました。
それを契機に私は自分の心にある甘さを消すために練習を一心不乱にするようになりました。
ファンに報いることが監督への恩返しだと思うようになりました。