☆
デイビーしゃがみ写真ワロスw保守
保守
878 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/02/11(月) 04:50:30 ID:CI86tCPV0
あ
べ
ま
「………香月、落ち着け」
静かに、子供を諭すような口調で大西は囁いた。
「なあ、まだ大丈夫だ、お前がそんなに考え込むほどの状態じゃない。まだ挽回できる」
自分に向かっている矛先を変えること。これが先決だ。
だが香月は何も言わない。重心を低くし、両手で矛を構え、じっと大西を睨み据えている。
「落ち着け、な?とにかく歩こう。まずはカプセルを探さないと……」
「ジミーさんが俺にカプセルくれればいいんですよ」
「お、俺は赤だぞ?香月は黄色だろ?割りに合わない」
「予備が必要です………生き残れるのは1人ですから」
ジリ……
香月の靴が地面を小さく鳴らした。大西も咄嗟に逃げられる体勢を取る為に重心を低くした。
大西の武器はスコップしかない。しかも鞄に差したままだ。今更これを鞄から出して構える時
間など無い。大西には逃げるしか道はないのだ。
説得。
それは最早虚しい言葉に思えた。尋常ではない光をその目に宿らせてしまった香月の前には、
もうどんな言葉も通用しないだろう。
「俺たちは、風に追いかけられてるんですよ」
香月が呟く。
「風が追いつく前に……逃げきらなきゃ」
その目は大西を見据えたまま、揺らぐことはない。
「風に追いつかれたら………一巻の終わり」
風がウィルスを運んでくる。そのウィルスに蝕まれたら命を失う。そこから逃げ切るにはカプ
セルが必要。その風はいつ吹くのかもわからない。
全ては自然のみが知ること。
「そんな面倒な状況なのに………鬱陶しいんですよ!谷さんも大久保さんも!」
突然香月が暴れ始めた。矛を両手で持ち、自分の周囲、自分の体スレスレの場所でその切っ先
を振り回し始めたのだ。
「邪魔だ!どけっ!離れろよ!!」
「か、香月?!」
振り払おうとしているのだ。谷と大久保の幻を。自分が殺したというその2人の姿を。
「香月!誰もいない!」
「離れろぉっ!!」
香月は暴れ続けている。法則性もなく、ただ滅茶苦茶に喚き、暴れている。その光景は、不器
用な孫悟空が長すぎる如意棒を扱いきれない滑稽な演技にすら見えた。しかしそこから発され
る狂気が、大西の背筋に寒気を走らせた。もう香月は一線を越えてしまったのだ。その暴れ狂
う様子がさらに大西を怯えさせた。
「痛てっ!!」
香月が叫ぶ。矛が自分の足に刺さってしまったらしい。
「畜生っ!」
「香月!」
思わず大西が駆け寄ろうとする。しかし長い矛がそれを遮った。
「来るなっ!俺に近寄るなあっ!!畜生!!」
香月は1人で戦っていた。幻と戦っていた。そして、自分自身の罪悪感と戦っていた。
「邪魔だ!みんな邪魔だ!!みんなして俺を邪魔にしやがって!!」
矛を振り回し、香月はひとり踊り続ける。
「邪魔ならそう言えよ!チームにいらないならそう言えよ!サーパスにもいらないならそう言
えよ!さっさと追い出せよ!俺を自由にしろよ!新しい場所で新しいチャンスをくれよ!」
泣き叫ぶように香月が続ける。
「畜生!一軍の奴ら……みっともない成績ばっかり残しやがって……見てろよ!今に見てろ
よ!俺を一軍に上げろよ!投げきってやるよ!ぶっとばしてやるよ!生き残ってやるよ!!」
矛が一際大きく振り回され、風を起こした。慌てて大西は身を引き、これをチャンスと木陰に
隠れた。すでに両足が恐怖で震えていた。
「畜生!離れろって言ってんだよ!!」
矛先が再び香月自身の足を打つ。
「肩が重いんだよ!!ピッチャーの肩に乗るなよ!!」
両肩を必死に振り回す。矛で打ち払おうとして、自らの顔を傷つけた。
「………か………香月…………」
大西はもう前に進み出ることが出来なかった。自分で自分を傷つけてゆく香月をただ見つめる
ことしか出来なかった。
チームメイトを殺してしまった罪悪感、不甲斐ない自分への叱責、追ってくる死への恐怖、そ
れらが一斉に押し寄せ、香月を喰らいつくしてしまったのだ。
(………神様………)
もし神様がいるのなら、今香月が全身に受けている苦しみを取り除いて欲しい。大西は思った。
思わず目を閉じてしまったほどの鬼気迫る狂気と、尋常ならざる悲壮感が空間を圧倒していた。
「うわああああああああああああああっ!!」
一際大きな絶叫が響き渡り、大西は目を開いた。
矛を振り回しながら、香月がものすごい勢いで駆け出していた。大西に背を向け、木々の間を
荒々しく掻き分けながら消えてゆく。追いすがろうとする谷と大久保の幻を振り払うべく逃げ
出したのだろう。
「か、香月……」
大西は迷っていた。追うべきか。違う道を進むべきか。
答えはすぐに出た。
(俺は、師匠にだけは恥ずかしい生き方をしたくない)
大きく1回深呼吸をする。
(常に自分の目標より上を目指す。そうでしたよね、鈴木コーチ)
念の為鞄からスコップを取り出し右手で握る。そして香月の後を追って走り出した。
【残り・17人?】
ウィルスを運ぶ風はいつ吹くかわからない。
ここでじっとしていても、カプセルを入手しなければ安全は確保されない。
ましてや殺し合いのタイムリミットまであと1日と少し。
彼らは動くしかなかった。
一夜を越した小屋を出て、北川、下山、光原、高木の4人は外へと歩き出した。
小屋にただ1人残した阿部健太の体の上には、丁寧にタオルをかけた。最後に4人で手を合わ
せ、別れの言葉を告げた。「仇は必ずとる」そう誓った者。「みんなを助ける為に全力を尽くし
て、後から行くから」そう告げた者。「俺たちを守ってくれ」そう願った者。「いつか、みんな
が笑顔になれますように」そう祈った者。
それぞれの思いを胸に、小屋を後にした。
北川が左の太ももを負傷している為、のんびりとした歩みになった。特に行く宛てもない彷徨
だ。急ぐ必要もない。下山は左肩を負傷しいる。2人とも適当に布を巻いただけの処置。光原
が以前見つけた薬局から持ち出していた痛み止めが使われたが、やはり治療薬が欲しかった。
「せめて地図に病院とか載せてくれればいいのに」
光原がぼやく。
「病院があったって、薬が使って大丈夫かもわかんないだろ。誰もいない島なんだから」
下山が答える。
「でもですね、誰かが住んでた形跡が残ってるくらいだから、薬もまだ使えると思うんですよ。
使用期限とか書いてありますよね、薬って。俺が前に見つけた街の薬局に行くのも手かな」
「マキロンでいいよマキロンで」
先頭を歩くのは高木。肩に白旗を担いでいる。戦意のない印。仲間を求める友好の旗。
(標的は俺でいい)
もし遠方から銃を持った敵に見つかったなら、狙いはこの白旗になるだろう。狙われるのは自
分1人で十分だ。だから高木は率先して旗を持ち、先頭を歩いた。右手には銃を握っている。
気を抜いてはいけない。仲間を守るのは自分の役割。敵を倒すのが自分の仕事。
(健太が待ってる)
生き残ってはいけないのが自分。
そんな高木の後ろを光原と、光原の肩を借りた北川が歩く。北川は自分1人で歩けると言い張
ったが、もしもの時の為に今のうちに楽をしておくべきだと光原に強引に説得され、その肩を
借りることとなった。
一番後ろを下山が歩く。左肩の傷は時折ズキズキと痛むが、大した支障はないと言っていた。
まずは島の中央へと向かうことにした。もし風が吹いても、風通しのいい海岸付近よりは、木々
が鬱蒼と茂った地域なら、少しでもウィルスの到達が遅れるのではと考えたからだ。素人考え
だということはわかっているが、気持ちの支えになって、自分たちの進む方向を支持してくれ
るなら何でも良かった。
徐々に4人の会話が無くなる。特に話すこともない。朝の優しい陽射しを受け、温かな空気に
包まれながら、4人は歩いていた。やはり自然に包まれた空気は美味しい。下山は何度も深呼
吸を繰り返した。
気になっていることがあった。こうして4人が黙り込む前、まだ会話があった頃。
北川だけが会話に入って来なかった。お喋り好きの北川が黙り込んでいた。
(傷、つらいんだろうか)
光原に支えられて歩くその背中を見た。心なしか足取りがさっきまでより力無いものに見える。
(やっぱりどっかで手当てする道具とか、松葉杖とか見つけた方がいいのかもしれない)
まだ冷静に物事を考えられる自分にホッとする。
(ペーさん、頑張れ!)
祈るように、その背中を見つめた。
その下山自身も左肩の傷が開いていた。怪我をした後も鈴木と争い続け、無茶をしたせいかも
しれない。バイ菌が入った可能性もある。歩いているうちに左肩から血が滲み出し、今や肩の
辺り一体を赤く染め上げていた。上からタオルを巻いてみんなからは見えないようにしている
が、いつかこのタオルにも染み出してしまうだろう。微かに血が腕を伝い落ちている感触もあ
る。そして、時折頭がボーっとしてしまう。不意に足から力が抜けて、足元がよろめいたりす
る。そのたびに前を歩く仲間に気づかれたのではないかと慌てた。
(貧血?そんなことで倒れる俺じゃねえって!)
心の中で自分を励ます。
(ペーさんが大変なんだ。俺がみんなを引っ張るんだ!高木だってあんなに心が傷ついても必
死で頑張ってるんだぞ!しんがりを務める俺がしっかりしないと!)
自分を叱咤した。
そして先頭を歩いている高木は、自分のいる風景に違和感を感じていた。
カサリ。
時折木の葉の揺れる音がする。
ガサ、ガサリ。
それは風とは関係ないリズムで聞こえた。
(誰か……いる?)
高木は全身の神経を目と耳に集中させた。
(誰かが……俺たちと一緒に歩いてる?)
視線を感じるのだ。誰かが見ているような。こんな状況に置かれているのだから、些細なこと
が気になってしまうのは仕方がない。単なる被害妄想かもしれない。けれど、葉の音はどうし
ても高木の神経を尖らせた。
(絶対………誰かいるんだ)
銃を握る右手に力がこもった。
だがしばらくすると、その葉の揺れの音も消えていった。やはり気のせいだったのだろうか。
(………いいんだ。注意するに越したことはない)
【残り・17人?】
カラカラン、とベルが鳴り『Cafe Bs』のドアが開いた。いつも通り少しだけビクビクしながら
相川が「いらっしゃいませ」の声を出す。幸い岸田は裏の部屋に戻っていた。また隠しカメラ
で店の様子を見ているのだろう。
「ただいまー」
明るい口調で入ってきたのは田中彰だった。相川の表情がまた少し曇る。彼がこの店にやって
くると、ろくなことがない。穏やかだった時間が必ず波立つ。
「俺、まだ時間に余裕ありますよね?」
尋ねながら悪びれることもなく店内に入り、カウンター席に腰を下ろした。
「ああ。注文は?」
水を差し出しながら相川が尋ねる。田中はニコニコしながら答えた。
「決闘、ひとつ」
相川の手が揺れ、カランとグラスの中の氷が鳴った。
ガルシアとグラボースキーが立ち上がる。
「………誰を?」
震えそうになる声を隠しながら、相川が尋ねた。
田中は楽しそうだった。
「北川さんか下山さん、そのどっちかって表現は駄目?」
「どっちか?」
「そう、北川さんと下山さん、一緒に行動してるんですよ。だからそのどっちか。捕まえやす
い方でお願いします。2人とも怪我してるみたいだから。まだそんな遠くには行ってないから」
「………怪我をしてるから、決闘か」
「そう。元気でピンピンしてる人呼んだって、自分が不利なだけでしょ。決闘するなら自分が
優位じゃなきゃ意味ないし」
ガルシア、グラボースキーが店を出て行く。そしてデイビーとブランボーも、ゆっくりとした
足取りでそれに続いた。
「残り1日、残り17人、いつウィルスの風が吹くかわからない。生き残れるのはただ1人。
だったら出来ることをやりきって生き残らなきゃ。俺、間違ったこと言ってますか?」
あまりに真っ直ぐな田中の問いかけに、相川は言葉を返すことが出来なかった。
【残り・17人?】
今回は以上です。
職人さん乙です!
白旗組ピンチ………!
乙です!
下山の気合に泣けた…
白旗組頑張れええ
乙です!
北川&下山逃げて逃げてー!
大西も無理するなー!
ところでスレの容量が490近くですが、限度っていくつだっけ?
場合によっては次の投下から新スレ立てた方が良いのでは?>職人さん
乙です〜
彰やめてえええ(泣)
ほしゅします
現在489KB、もってあと一回分?ですね
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898 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/02/19(火) 23:35:06 ID:4aZCz0/b0
新スレ立てたいけれど規制が…
誰かお願いします。
俺も規制でダメだった…
容量があるうちに新スレ立てて、ここで移行のお知らせ出来るといいんだが…
下村頑張れ保守
みんなガンガレ保守
しゅ
hosyu
保守
908 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/03/02(日) 16:11:48 ID:q+C29zoU0
ほ
シ
新スレに投下しようとしたら…………誤爆…………orz
保守ありがとうございます。
こちらのスレの容量が491KBを越えているので、新スレに移行しようと思います。
立てて下さった方、ありがとうございました。
職人さん乙です。
よし、じゃあここは埋めよう。
うめ
梅
うめ
もちもちしたパンうめえwwwwww
梅
楳
920 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/03/22(土) 09:25:17 ID:SCoenw8Y0
バトルロイヤル
生め
宇目
923 :
代打名無し@実況は実況板で:2008/03/29(土) 00:32:11 ID:lTJiCgw/0
コンドームつけたい
924 :
代打名無し@実況は実況板で:
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