55.「境界線」
(1/3)
目を覚ましてすぐに自分の身体の違和感に気がついた。
全身が熱っぽく、だるい。そして
「ぐわぁっっっ」
ゆっくりと上体を起こそうとした福地は、右肩に激痛を感じてとっさに手をあてた。
布がぐるぐると何重にも巻かれている。
(肩…ああそうだ、長谷川に撃たれて…)
身体の違和感の原因を思い出し、福地はまた布団の上に身体を倒した。
そこで初めて、自分が屋内にいることに気がついた。
薄い色合いの広間の窓に引かれたカーテン。
角の丸い家具。馬の形をした木の遊具。
(ここは…保育園?俺はどうしてこんなところに?)
そういえば、自分の寝かされている布団も、子供用の小さなものを並べてある。
あの時。
長谷川と取っ組み合う形になって、銃の引き金が引かれた。
右肩の痛みに驚いて腕を放した隙に長谷川が走って逃げていったことを覚えている。
とどめを刺さなかったのはおそらく制限時間が迫っていたから。
そして自分も逃げようとして…立ち上がって…走って…
そこからの記憶が全く無かった。
「福地さん?よかった!福地さん、気がついたんですね!」
突然の声に驚いて顔を向けると、部屋の引き戸を開けて天野浩一(48)が立っていた。
(2/3)
「とにかく急いで逃げようと思ったら、福地さんが倒れているのを見つけたんです。
どこかで手当てをって思って福地さんを背負ったら誰かが来て、ビックリして。
今、思い返せば栗原だと思うんですけど、でもその時は気が回らなかったんです。
怖くなって逃げ出してしまって、飛び込んだのがこの保育園でした」
「そうか、お前が助けてくれたのか」
「傷口を押さえて、その辺りのシーツで縛っただけです。血の量がすごくて…」
そうだろうなと、福地が呟いた。
靭帯や筋肉の怪我のことは知っていても、銃創のことは何も知らない。
それでも、こうして話している途中で目がかすみ、天野の声が遠ざかりそうになるのは…。
よく知らないなりに、“そういうこと”なのだろうと見当はついた。
動かそうとした感じでは、肩の骨は折れているだろう。そして大量の出血。
かろうじて生きている。そういうことだ。
「あれ、でもどうして俺、生きてるんだ?お前が見つけた時、倒れてたんだろう?
三分以内に学校の周りを離れないと首輪が…」
無傷の左手を動かして首に触ると、確かにそこには金属の輪があった。
どうしてこれが爆発しなかったのだろう?
「地図を見てわかったんですけど。立入禁止区域っていうのは、狭いんです」
そう説明をしながらながら、天野が床に置いてあった地図を引き寄せた。
「学校から半径50mか…100mはない感じに見えます」
目の前にかざされた地図の中央よりやや下の部分に、小さな赤い丸があった。
「福地さんが倒れていたのは、そのギリギリのところだったんじゃないかと」
気を失う前に痛みをこらえて走ったことで、ギリギリで禁止エリアを抜けた。
そのほんの数メートルの差で命拾いしたというわけだ。
福地はまた右の肩に手をやった。
この傷もそうだ。数十センチずれていれば、命がなかったかもしれない。
境界線ギリギリのところで、福地の命はこの島に繋ぎとめられていた。
(3/3)
話しているうちにまた視界がかすんで、福地はゆっくりと息を吐き出した。
少しづつ目の焦点を合わせていく。どれくらいの血が流れたのだろう。
人間が失血死する血液の分量は、何かの本で読んだことがあるがもう忘れてしまった。
まさかそんなことを気にしなければいけない日が来るなんて、思いも寄らなかった。
ふいに、天野が広げている地図の裏の書き込み目がとまった。
「おい天野、その地図の裏。名前のリストにつけてある印はなんだ?佐々岡さん、永川…」
しまった、というような顔をして、天野が慌てて地図を畳む。
「いや、これは…」
「何があった!!」
「……死んだ人です」
その言葉は耳ではなく、心臓に聞こえたような気がした。
「死ん…だ…?」
「朝方、放送があったんです。今までに死んだ人の名前が呼ばれました。」
視界が揺れてぐにゃりと世界が歪んだ気がした。
木村一喜の死はこの目で見た。自分もまた、死にそうになった。
そうだ、今、この島では殺し合いが行われているんだ。
自分がギリギリのところで踏みとどまった生と死の境界線。
しかし、何人かのチームメートが、それを越えていってしまった。
もう一度地図を広げさせて、放送の内容を復唱させながら印のついた名前を追った。
「なあ天野、森笠は生きてるんだよな?」
「森笠さん?あ、はい。名前は呼ばれなかったから多分大丈夫だと」
「そうか…」
天野のその答えを聞きながら、福地はまた自分の意識が遠ざかっていくのを感じていた。
ひどく眠たかった。
【生存者 残り34名】
otudesu
ホシュ
復活キタ━(゚∀゚)━(゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚)━(゚∀゚)━!!!!
復活キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
鯉バト凄い好きだったから嬉しい!職人さん頑張って下さい。
超乙!復活マジで嬉しい(*´∀`)職人さんガンガレ
きたあああああ
マジ期待してます!!
14 :
sage:2007/03/11(日) 14:05:03 ID:PPCKfefE0
保守。
復活してくださってかなり嬉しいです!!
これからも期待してます。
捕手保守
職人さん頑張ってください!
キテター!!!!!!!!!!!!!!!!保守保守ゥ!!
保守。
楽しみにしてます!
ほすほすほす
ほかんこさんの所を読み直しながらwktkで待ってます(*´∀`)
復活嬉シス
56.「回想:罪を負う者」(1/7)
<1st 03:20a.m.>
「……!」
――呼んで いるのは 誰だ……?
「……!……!」
――……そんなに揺するなよ……力が 入らないんだ――
――体が 焼けるように熱い なのに……冷え冷え と してい……
「……!……さ……!」
――誰……?……でもいい 頼む 俺 を……
「拓也さぁん!!」
――俺を……
… …
<1st 00:15a.m.>
木村拓也(0)は木にもたれ、地図とコンパスを見比べながら思案していた。
――選抜、真の赤ヘル戦士、そこまでは分かる。殺し合いってのはいったい何なんだ。
ここ数年の低迷は言われるまでもなく痛感している。一番痛みを感じているのは選手自身だ。俺もベテランと呼ばれる年齢に達しているからこそ、強く悲壮に責任を感じ、ふがいない成績に情けなく苦渋の思いを抱えてきた。
体力の衰えが無いとは言えない。しかし諦めている訳じゃ無い。台頭してくる若手選手達、その驚異に屈するつもりもまだ毛頭ない。
当然だろう。そう思ってなきゃプロ野球選手なんてやっていられない。だからと言って……
「拓也さん?」
ふいに背後からかけられた声に思考を中断され振り返ると、こんな状況には不似合いとも思える笑顔で比嘉寿光(10)が駆け寄って来た。
「よかった、誰かに会えて。何してたんですか?」
無防備な奴だな、と少し呆れたがそれを言うなら出発した学校からほど近いこんな場所でぼんやりしていた拓也にも当てはまる。だがとりあえずそれは棚に上げておいた。少なくとも比嘉に害意は無さそうだ。
「んーまあ、とりあえず現在位置確認かな。お前は?」
「人を探しながら走ってました。あそこから早く離れなきゃいけないみたいだし」
「そうか……」
そのまま行動を共にしたのは特に理由も無く、言葉で確認し合った訳でも無い。互いに1人では心細かったからだろう。
(2/7)
初っ端からもっと他の誰かを待とうと言う比嘉と、なるべく遠くまで行こうと言う拓也とで衝突した。ここは先輩である拓也の主張が通ったが、なおも比嘉は不満そうだ。
「今はその方がいいだろ。もしこの殺し合いに乗ってる奴に会ったらどうするんだ」
「そんな人いないですよ。だってチームメイトじゃないですか」
そのあまりに純粋で力強い言葉は拓也の胸にも響いたが、同時に不安と微かな苛立ちも掻き立てた。
――それが本心であれ、自分を鼓舞するため自らに言い聞かせている言葉であれ、そんな甘い綺麗事を言っていてこいつは一体どうなるんだ。
一喜の無惨な最期を、田村がその亡骸に容赦ない銃撃を加えたのをついさっき見たはずじゃないか。その姿を自分には置き換えられない、自分に決定的に不利益なことは起こり得ないと慢心できる若さか。
正体の分からない微かな痛みにチリ、と心が音を立てた気がした。
「なあ、そういうの本当にお前の良い所だと思うけどな、今は用心するに越した事はないぞ」
「でも俺は、信じていたいんです。そう決めたんです」
揺るぎなく見返してくる比嘉の目から視線を逸らし、拓也は背を向け歩き出した。
「……とにかく、行くぞ。どこか落ち着ける場所を探そう」
歩き、時には走りながら、口を開けば今の異常な状況の陰鬱な話にしかならない。しかし決定的な事に触れるのは恐ろしく、悲観的な事を言うのははばかられ、努めて悲壮感が漂わないように、他人事のような上っ滑りした会話を交わし続けた。
この先どうなるのか、どうしていくべきか、何の具体的な展望も見い出せない。
それでも比嘉は時に笑顔を交え明るく振る舞い、拓也は渋面でそれを窘め続けていた。
――俺はなんでこんな否定的な事ばかり言ってるのかな……。こんなのは俺のキャラじゃないよなあ。けど、今は状況が状況だ。保身と警戒が何より大事なはずだ。比嘉は無防備過ぎる。俺がフォローしていかなければ。
そう自分に言い聞かせながら結構な距離をきたと思われる頃、小さな平屋の民家を見つけ2人はひとまずそこに上がり込んだ。
(3/7)
「うーわ、何だこれ」
狭い畳の和室に座り込み、思案に耽っている拓也の横でデイバッグを漁っていた比嘉が声を上げた。
「どうした?」
「あ、はい。これが俺の”武器”らしいです。一緒に説明書が……“小型ボウガン折りたたみ式。改造済・殺傷能力もバッチリ”って……悪趣味ですね」
比嘉は溜息をつき、さも嫌そうにそれを傍らに押しやった。
「どっちにしても俺、こんなの使いたくないです」
「そう言うな、護身用と思って持ってろよ。自分を守ることも少しは考えろ」
「うーん……。あ、拓也さんは何入ってたんですか?」
「ああ、そう言やまだちゃんと見てないんだ。何だか箱みたいな……」
そして拓也のバッグから出てきたものは2人を唖然とさせた。
”ママとお料理キッチンセット”?子供の、それも女の子向けのおもちゃ?
笑うか、怒るか、運がないと悲しむか。この場合の通常の反応はそんな所だろう。
しかしこのおもちゃの箱は拓也に対し意外な作用をもたらした。
(――生吹……)
まさに今が可愛い盛りの4歳になる愛娘。その娘にせがまれ、つい最近同じ様なおもちゃを買い与えていた。
この島に来てから今までにも幾度となくその姿を思ったが、手に持っているおもちゃと結びつき、無邪気に遊ぶその姿が鮮やか過ぎる程に脳裏に浮かび上がる。
(恒希……由美子……!)
そしてやんちゃな息子、愛しい妻。何よりもかけがえのない大切な家族。
(――帰りたい!)
心の底から突き上がり体を揺さぶられるような衝動は拓也からほんの一時、理性と判断能力を奪い去った。
それは本当にわずかな時間だったが悲劇を生むには十分だった。
(4/7)
放心している拓也を見て比嘉はごく一般的な解釈をしたのだろう。
「やだなあ、そんなに落ち込まないでくださいよ。俺はそっちの方が良かったな。非常食作れるじゃないですか。あ、そうだ」
言いながら傍らに置いてあったボウガンを笑顔で差し出した。
「……これ、拓也さんに預けます。交換しましょう。拓也さんの方がうまく使いこなせますよ、きっと」
その一点の疑いもない行動と表情も今の拓也にとっては苛立ちを加速させ、好都合な利用するべき対象でしかなかった。
――どこまでも甘い奴だ。言っただろ、今は用心に越した事は無いって。
自分の身を守る事を考えろと、何度も忠告してやっていたのに。
それとも俺は警戒するにも値しないと言うのか。それで笑っているのか。俺を器用な便利屋だと、お前もそう思っているのか。
暴走を始めた思考は止めどなく負の連鎖を引き起こしていく。
狂気へのお膳立ては出来過ぎな程に整い拓也を誘っていた。
――俺は帰りたい。生き延びたい。
こんな、自分の武器を笑って人に差し出すような奴よりも思いが強いんだ。それが生き残る強さ、資格だろう?
そうだ、臆するな。目の前に差し出されているこの武器を手にして。
……そして……
「……そうだな、じゃ練習でもしとくか」
ボウガンを受け取りゆっくりと矢をつがえる拓也を比嘉はまったく無防備に見ていた。
おもむろに立ち上がり矢を装填したボウガンを比嘉の左胸、心臓の真上にピタリと当てた時にさえ。
「……拓也、さん?」
少しの恐怖と、信じたくないといったような哀しい目をして拓也を見上げた。
それだけだった。
その気になれば、少しでも疑えば振り払う事くらいできただろうに。
身をかわし逃げる事も、圧倒的な体格差を考えれば逆に組み伏す事もできただろうに。
(5/7)
空気を裂くような発射音とその手から全身へと伝わる反動、鋭利な金属製の矢が肉に深く突き刺さる鈍い音。
瞬間仰け反り、そのまま声も上げずゆっくりと仰向けに倒れていく体。
何の受け身も抵抗もなく畳に倒れた体のどさり、という重い音と、じわじわとユニフォームを染め上げていく鮮血の色に拓也が己の正気を取り戻した時には全てが終わっていた。
目の前に横たわる命の抜けた肉体。チームメイトを信じようとしていた、自分を最期まで信じてくれていた後輩。
「比嘉……」
拓也はどれほど祈ったか知れない。
だがどんなに後悔しても、祈っても、人の命は戻らない。
――俺は……自分に負けた。お前はただ信じてくれていたのにな。
この異常な状況に怯え、若さへの嫉妬に目が曇り、家族への思慕に言い訳を見出し、その宝物のような強い心を受け止めることができなかった。
……すまん。お前の未来を、希望を、輝くような可能性を、そしてお前の家族からかけがえのないお前自身を奪って、俺だけ帰ることはもうしない。
血に染まった手ではバットもボールも握れない。ましてや愛しい家族を抱けるはずもない。
……でも、もう少し。頼む、もう少しだけ。
せめてあと1度、誰かに会いたい。会って、できる事なら笑って話をしたい。
俺にはもうそんな資格が無いのは分かっているが、あと少し、あと一度だけ。
今となっては懐かしい、もう二度と帰る事はないあのグラウンドでそうしたように。
お前とそうできたら良かった。不機嫌な顔しか見せられなかった。お前は笑ってくれていたのにな。
ごめんな、すぐに俺も行くから。
そっちに行ったら俺のした事と、この最後の我が儘を思う存分責めてくれ。
…………
(6/7)
「だぁーっ……っ痛ってぇー……っくしょー……!」
時を置かず、すぐ近くからと思える声が響き拓也は顔を上げ自嘲気味な笑みを漏らした。
――なんだ、もう誰か来たのか。せっかちだな比嘉。やっぱり俺が許せないか。
それでもいい。いっそ早いほうが良かったかも知れない。
じゃ、行くかぁ。
外にいる誰かは、俺と笑い合ってくれるかな?
……そして、俺を殺してくれるかな。
(7/7)
<1st 08:00a.m.>
松本高明(45)は意識を取り戻さない拓也を前に疲れ切り座り込んでいた。
悪い夢のような数時間前の情景が繰り返し頭に浮かぶ。
ボウガンが床に落ちるけたたましい音、ぐったりと倒れ込んだ拓也、左胸よりわずかに肩口へと逸れた弾丸は急所こそ外れたようだが、そこからとめどなく流れ出る生暖かい血。
……己の放った弾丸が引き起こした目を覆いたくなるような惨状。
廊下にはまだべっとりと血だまりが残っている。
家中から集めた布で傷口をぐるぐる巻きに縛り、何とか出血は止まったがあれきり拓也は目を覚まさない。布団に寝かせているがその体は氷のように冷たい。
そして一睡もできないまま夜明けを迎え、予告通り6時に鳴り響いた放送を聞いた。
この目で見、今も同じ屋根の下で冷たくなっている比嘉の名前が呼ばれてもまだ実感など湧かない。
それどころか他にも……何人もの名前が呼ばれた。一歩間違えれば目の前で昏睡している拓也の名前も呼ばれていたのかも知れない。
「俺が――」
――殺していたのかも知れない。そう思うと恐ろしさと悲しさで身がすくむ。
「拓也さん……俺、どうしたらいいんですか……」
何度目かとも分からない呼びかけを口にする度に一つの言葉が蘇る。
倒れた拓也に取りすがり錯乱してただ揺すり続けていたあの時、拓也の口から漏れた高明を我に返らせた言葉。
――『殺して、くれ……』
(最初から、そのつもりだったんですか?……でもそんな……こんなのって……)
「また俺を殺そうとしてもいい、目を覚ましてくださいよ……嫌ですよこんなの……酷いじゃないですかあっ!」
高明の叫びに拓也は応えない。その意識の奥深くに渦巻くような悔恨を抱き、浅い呼吸を繰り返しているだけだった。
【生存者 残り34名】
職人さん乙です!って
拓也あああああ!
そして比嘉あああああorz
続けて新作
キ…(−_−)キ(_− )キ!(− )キッ!( )キタ( ゚)キタ!( ゚∀)キタ!!(゚∀゚ )キタ━━!
つか拓也あああああああああ うわあああん馬鹿あああああああ
福地に天野に拓也ってもうその登場人物だけで涙が止まらんっちゅーねん!
職人さん方マジ乙です!
キタキタキタ(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)
職人さん乙です!
新作キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
職人さん超乙です!
新作乙です!
キムタク切ないなあ……
とても23バトで狂気のMARUHAGE Destroyerとなったのと同一人物とは思えんw
ほすほすほす
ほしゅ。
捕手
おお!!いつのまに復活シテタ―――(・∀・)―――!!
>>1さん職人さん禿しく乙です!!
ついでに保守
保守
wktkしながら待ってます
保守
良スレ捕手
正座して待ちながら保守
>>32 23バトも見てんのかいw
拓也やっぱいいキャラだな・・・
ほしゅ
保管庫さん乙!
保管庫の中の人乙です!
幹英が何を考えてるのかも気になる…………(ノД`)
小悪党(1/3)
誰も信じられないんだよ。
だって、学校を出て、最初に見たのが誰かの死体だぞ?
あんなの見て、他の奴を信用できるかよ。
あの人を殺した奴が、今もこの島のどこかにいるんだ。
そいつは、俺を見たら間違いなく俺を殺そうとするんだ。
…そのうち、この島にはそんな奴しかいなくなるのかもしれないな。
あー!チクショウ!訳わかんねぇよ!
こんなとこで死ぬわけにはいかねぇんだよ!
いい成績残してマスコミに注目されるようになりたいし、
長谷川さんを超えるくらいモテたいし、
もっともっといい女と付き合いたいし…
クソ!どうすりゃいい!?誰なら信用できる??
───そうだな、やっぱ、100%安全なのは…大竹くらいか。
アイツどこにいんのかな。
アイツならクソ真面目だし、まぁ俺を襲うことはないだろ。それに同期で仲がいい俺なら信用してくれるはずだ。
さすがにずっと一人って訳にはいかねぇ。
寝る時無防備になるのは嫌だし、水や食いもんも調達しなきゃいけないし、
いざって時、盾になる奴がいた方がいいに決まってる。
(2/3)
だって俺、プロ野球選手だぜ?夢の職業だよ、コレ。
それに俺は超イケメンなんだし、こんなとこでひっそりと死ぬなんて勿体無さすぎじゃね?
普通に生きてたらあと何人女を抱ける?
野球はまぁ、しんどくなったら辞めるにしてもだよ。
元プロ野球選手。これだけで歳とってもモテんじゃん?
それが何だよ、こんな男だらけのムサい、狂った島で死ぬなんて…
ありえねぇ。絶対ありえねぇ。
バレンタインデーに俺より大竹がたくさんチョコもらうってくらいありえねぇ。
女子高生が俺より新井さんの方がイケメンだって言うくらいありえねぇ。
末永さんが嫁にプリキュアのコスプレさせるくらいありえねぇよ?ソレ。
ハァ、…嫌になるよ、全く。
早く終わってくれよ。誰でもいいからさ、ぱぱーっと、殺しまくって、さ…
誰が生き残るとかどーでもいいからさ、早く終わらせてくれよ…
この家に上がりこんで、すぐに二階の部屋の押入れの中に隠れた。
朝になったら、仲間を探しに行こうと決めていた。
暗い中で動くのは危険だ。だから、明るくなるまで待とうと思った。
今になって思えば田中さんを殺したのは軽はずみだったかもしれない。
警戒心のかけらもなかったし、あのまま一緒にいれば盾としては申し分なかったと思う。
義理人情に厚い先輩なわけだし、襲われたら多分後輩守ろうとしてくれんじゃん?
仮眠とる間、見張ってくれたりしただろうしさ。
…けどまぁ、仕方ないよ、うん。
殺しちゃったものはさ。もう戻らないし。
もう忘れよう。だって、生き残るためのライバルが1人減ったんだし。
それにあの死に際はグロすぎて思い出したくないし。思い出すと吐きそうになるんだよね…。
(3/3)
とりあえず、朝になったら外探してみるか。
大竹にうまい具合に会えればいいんだけどなー。
まぁ、いい仲間見つからなかったらずっとここに隠れてよっかな…。
だってさ、ほっといてもゲーム進むじゃん?
超やる気になってる奴がいれば、どんどん人殺しまくってくれるはずだし。
そういう奴に任せといて、いつの間にかゲームセット!何もしてない俺が勝利投手、なんてのも有り得るんじゃね?
あ、そう思ったらなんか外出るのも危ないよな。
そういう狂った奴って、やっぱ外にいる奴狙うよね?
こういう、2階の押入れの中にいる奴なんて絶対狙わないよね?じゃあここ超安全じゃね?俺頭良くね?
このまま引きこもりになるのもアリかもしんない。
どうする俺?どうしちゃうの??
続く。
──そんな事を考えていると、いつの間にか朝になっていた。
知らないうちに眠りに落ちていたのかもしれないが。
とりあえず一度下に降りて何か食料でも探そうかと思い、一階に下りた。
田中敬人を殺したあの屋敷でかなりの収穫はあったが、長期戦になれば物資はあるに越したことはない。
軽くあくびをしながら、全く警戒することもなく居間のドアを開けた。
_ガチャッ
「うああああああ!!!」
───それは全く同時だった。
ドアを開けたのと、家中に響くような人間の絶叫が聞こえたのは。
【生存者残り34人】
58.心の歪み(1/6)
─ 俺と…殺り合うか? ─
─ お前もこのゲームに乗ったんだろ? だったら、…お前も殺す ─
強者が弱者を脅す。
─ や、やめ… ─
弱者が強者に怯える。
自然界の摂理であり、どんな生物でもその関係は存在する。
そういえば、さっきは自分もそんな事に巻き込まれたっけ。
──俺は、どっちだったっけ。
弱者?強者?
肝心な部分の記憶が、抜け落ちている。
いや、それだけでない。その後の事も思い出せない。
そもそも誰とのやり取りだったか?それすらも。
一体、俺はどうしてしまったんだ──?
(2/6)
「おはよう」
誰かに呼ばれて、意識がはっきりとした。視界が開け、一人の人物が目に入った。
「玉山…か」
「お前、その体勢で寝てたの?すごいな」
玉山健太(52)は白い歯を見せて笑った。
そう、小島紳二郎(58)はあぐらをかいたまま眠っていたのだ。
玉山の方を向いたまま目を瞑っていた小島がいきなり目を開けたので、玉山も少し驚いたように見えた。
「…あ…あれ?俺、なんでこんなとこに?」
「さぁな。俺が来た時にはもうそこにいたぞ」
玉山は時計に目をやった。
「5時半頃かな。色んな人を探してたんだけど、結局誰も見つからなくてさ。ここで休もうと思って」
「じゃあ、俺はその前からここにいたのか…」
「あ、6時に放送があってな。禁止エリアってのと…、あと、…死んだ人の名前が」
「死んだ人??」
「あぁ…。もう、6人も死んだらしい。一喜さん、佐々岡さん、永川さん、比嘉さん、井生さん」
実感がわかない。突然死んだなんて聞かされても、学校を出る前までは(木村一喜を除いては)
元気な姿で教室に座っていた人達だから。
「あ、あと田中さんか」
その名前を聞いた瞬間、小島の頭に何かが蘇った。
(3/6)
─ や、やめ… ─
─ お前も殺す ─
──そうだ。あのやりとりの相手は、田中敬人その人だ。
「田中さん、死んだって…?」
「あぁ。…どうした?田中さんと会ったのか?」
「…いや、なんでもない」
──じゃあ、どっちが強者で、どっちが弱者だった?
「死んだ…」
考えてみろ。田中敬人は死んだんだ。俺と争った人が。
じゃあ、俺が殺した───?そう考えるのが普通じゃないか?
「おい、小島。どうした?」
じゃあ、俺が、強者───?
「ふ…」
言われてみれば、俺が脅したような気がする。
言われてみれば、田中さんは怯えていたような気がする。
言われてみれば、俺が田中さんを殺したような気がする。
(4/6)
─ 殺す ─
─ やめ…て… ─
「ふ…ふふ…。ああ、そうだ、そうだったな…」
自然に、笑みがこぼれていた。
そうだ、俺が殺したんだ。俺は、強い。強者なんだ。
体育会系ってやつじゃ、普通は、いや絶対に先輩は偉いんだ。
一年早く生まれただけでも、その人には逆らえない。
けど俺は、年上の人を、先輩を、余裕たっぷりに殺した。
「…ど、どうした?」
「いや、なんでもないよ…ふふ…」
そう、俺に怖いものなどない。
恐怖に引きつった弱者の顔。余裕たっぷりにそれを見下す強者の強さ。
命乞いをする弱者。容赦なく命を奪う強者。
ああ、なんて気持ちがいいのだろう。
野球の試合なんかじゃ味わえない、禁断の快楽とでも言おうか。
(こいつ…)
小島が狂っていった過程を、玉山は見た。
何か考えこみ、そして出たのが不気味な笑い。
田中が死んだ。そう聞いて出た笑み。
もしかしたら──?
玉山の顔が引きつった。
(いや、田中さんを殺してないとしても、こいつは…危ない)
(5/6)
(ここにいたら── 俺も危ないんじゃ…?)
これは考えすぎというものだろうか。
確証はない。だが、可能性はある。
自分は冷静な判断力を失っているのだろうか?
なにか、言葉に出来ない恐怖にかられ、心臓の鼓動がかなり早まっている事に気づいた。
いや、余計な事は考えなくていい。
一刻も早く、ここから離れなければ。
(いや…でも、素直に逃がしてくれるかどうか…)
そう思い、玉山はちょうど背後にあったディバッグの中にある武器を握り締めた。
こんなもの、使いたくはなかった。しかし、油断すれば、自分の身が危ない。
「小島、悪いけど…」
「ん?」
「俺、もう行くわ」
「…そうか。残念だな。………じゃあ、」
小島はそう言うとポケットに手をつっこみ、何かを握った。(ように見えた)
(銃だ!間違いない!やられる!!)
手にもった武器、それは金属バットほどの長さの棒に刃がついた、丁度使いやすいくらいの大きさの斧だった。
打者転向を薦められた──勿論断固として拒否したが──自分に対する皮肉か、と思ったのは被害妄想だろうか。
せめて手榴弾とか、投手らしい武器にしてほしかったとは何度も思わされた。
その斧を振り上げ、奇声を発して小島に飛びかかろうとしたその時だった。
「うああああああ!!」
_ガチャッ
(6/6)
その玉山の叫び声と全く同時に、二人のすぐ横にあった入り口のドアが開いたのだ。
「…え??」
そのドアを開けた大島崇行(46)はその光景に目を丸くし、呆然と立ち尽くした。
「え、…け、健太…さん??」
「玉山、どうしたの?」
玉山はそこでようやく我に帰り、振り上げた右手を降ろした。
「何してんですか…?」
「ち、違うんだ大島!俺は…お、俺はっ!」
横目でちらりと見たところ、小島は銃など持っていない。
慌てて隠したような、そんな素振りもなかった。
(俺が…錯乱しただけ…なのか?)
とにかく、玉山にとっては、どう説明していいかが分からなかった。
斧を後ろに放り捨て、パニックになった頭を落ち着かせた。
「あーびっくりした。大島、助かったわ」
「…え?あ、はい…」
「まぁ一旦落ち着こうぜ。あ、俺コーヒーでも入れてくるよ」
小島は危うく殺されかけたにも関わらず、何事もなかったかのように立ち上がり、台所に歩いていった。
【生存者残り34人】
59.名探偵(1/2)
居間に残った玉山健太(52)と大島崇行(46)は、
同郷どころか同校出身の、実に長い付き合いである先輩後輩の間柄だった。
しかし今は、二人の間には重苦しい空気が流れていた。
あからさまにけげんそうな顔をしている大島にどう説明するか、玉山はずっと考え込んでいた。
「健太さん、一体どうしたんすか?」
「…大島、これは、全部俺の推測なんだ。けど…」
ようやく頭の中がまとまった玉山は小声で、今までのいきさつを話した。
田中敬人が死んだと聞いて、小島は不気味に笑った。
”ああ、そうだったな”なんて言って。
「そうだった??どうだったってんだ!あいつ、やべーよ!」
しかし、つい先程冷静さを取り戻したばかりだったというのに、玉山はまた興奮していた。
「だから、逃げよう大島!今のうちに、早く!」
玉山は大島の腕をつかみ、無理矢理にでも逃げ出そうとする。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
「なんでだよ!今逃げないと…今、クソッ!!」
「小島が…田中さんを、かぁ…」
それは玉山にとっては不運としか言い様がなかった。
小島が田中を殺したという考えは、正しくないとは言い切れない。
だが、それが間違っている事を知っている人物が、
このゲームに参加している中ではただ一人だけいたのだ。
そう、他でもない。田中敬人を殺した、大島崇行だ。
(健太さん、…大丈夫か?)
(2/2)
田中さんを殺したのは自分だ。それは間違いない。
(あぁ、だから思い出させんなって!グロいんだから!)
ただ、気になる事が一つ。
なんで小島さんは”笑った”んだろうか?本当に狂ってしまってるのか?
が、そんな些細な疑問はこの俺にかかればすぐに解決することになる。
田中さんの言葉をよく思い出してみた。
─ で、末永に会う前に、小島と逢ったんだ。けど、…俺、あいつを脅して追い返してしまったんだ… ─
小島さんを、脅して、追い返した。
小島さんは、田中さんが死んだと聞いて、笑った。
…なるほど。
小島さんは田中さんを恨んでいた…ってことか?
そりゃムカつくよなー。脅されて追い返されたら。
(わかった!)
全てがつながった。かっこいいだけじゃなくて頭もいいんだね、俺って。
(…まぁ、言えないけどね。“安心して下さい!田中さんを殺したのは俺です!”なんてね)
信用できるとはいえ、かなりの錯乱状態にある先輩。
出会って一年も経っていないが、襲われたというのに顔色一つ変えなかった強心臓の先輩。
仲間を求める自分の前に、二人が現れた。
さて、どうしたものか。
【生存者残り34名】
>>45の「小悪党」は章番号57が抜けてましたorz
そして誰視点かも抜けてましたorz
新作キタ━(゚∀゚)━!!!職人さん超乙です!
大島もうわかったのか………?本当にわかったのか…………??
一気にキタ━(゚∀゚)━(゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚)━(゚∀゚)━!!!!
職人さん超乙です!
大島わかってないよ大島ww
職人さん乙っす。
大島の脳内どうなってんだよwテラワロスwwwww
グロいとか言ってんじゃねーよw
60 :
無駄に声デカ高坂( ゚∀゚) :2007/03/22(木) 01:25:58 ID:P1nYeBkt0
マジカイ!!! 豪快やんけ! ( ゚∀゚) アハハハハノヽノヽノ \ / \ / \
メスゴリラ末松! 氏ね!
60.「カウント0-2」
(1/4)
一球目、わずかにはずれて、ボール。
二球目、これもはずれて、ボール。
カウント0-2。
ストライクが入らない。
ガサガサという葉音に、長谷川は飛び起きて格子の隙間から外の様子を伺った。
狸が一匹、茂みから飛び出してきてまた消える。ほっとため息をついた。
この、神社の社殿というのは絶好の隠れ場所に思えた。
雨露も凌げるし、土の上より体力の消耗も少ない。
島のほぼ中央で市街地にも山にも近く、身を隠す茂みもたくさんあった。
幸い朝方の放送の“禁止エリア”とやらにも含まれていなかったので、しばらくはここを拠点にすることに決めていた。
辺りに静寂が戻ると、またごろりと横になって先ほどのことを思い出す。
(くそ、絶好のチャンスだったのに…)
嶋と一緒にいた大竹はあまりにも無防備だった。
照準を定めて引き金を引いた。だが、当たらなかった。
最後の瞬間に、腕がぶれた。
ストライクゾーンを大きく外れて、ボール。
(2/4)
今になって考えてみれば、あのまま大竹をマークし続けていればよかったのだ。
慌てて逃げ出してしまったが、彼らがあのまま場所を移動しないとは思えない。
また、一からやりなおし。
この島で長谷川が狙う三人の人間を探し出すのに、どれくらい時間がかかるだろう?
そしてそれは、果たして可能なのかどうか。
動き回ればそれだけ、他のものと遭遇する危険も増える。
真っ先に大竹というターゲットを見つけたという千載一遇の機会を逃したことが、返す返すも悔やまれた。
(まあ、大竹はあれだけ隙だらけなら放っておいても生き残ることは無理だろう…)
自分に言い聞かせながら、床に落ちていた地図を引き寄せて参加者リストを見詰め直す。
出発を待つまでの間に長谷川が考えたのは、生き残ることではない。そんなことは当然だ。
重要なのは、生き残ってそのあとどうするのか、だ。
新しいカープとやらが出来る。そこで自分は何をしたいのか。
結論は呆気なかった。
エースになって活躍して認められて、新監督のツテを頼りにメジャーに行く。
そのためには、生き残った時に自分がエースとなるための障害を取り除いておくことだ。
(3/4)
長谷川は過去には二桁勝利をあげた実績もあるし、今年だってソフトバンクの強力打線をほぼ完璧に押さえて見せた。
自分の持っているボールには自信があった。半端な若手やベテランに負ける気はしない。
それでも、三人。
除いておかなくてはならない顔が思い当たった。
いつの間にか自分の代わりに次期エースと呼ばれている大竹寛。
ストッパーとして実績を残し、今季前半戦抜群の投球を見せた小山田保裕。
そして…
リストに記されている文字はすべて同じフォントで書かれているはずなのに、その名前だけが強調されているように見える。
黒田博樹。背番号15。
その絶対的な名前を取り除かなければ、自分が新チームのエースになることはありえない。
最低でもこの三人を殺して生き残る。
だが、長谷川がその計画を成し遂げるためには、もうあまり余裕はなかった。
カウント0-2。遊び球はあと一球しか投げられない。
(4/4)
今になって、福地を撃ったことを後悔していた。
放送で福地の名前は呼ばれなかったので、あの銃弾がただの無駄球になってしまったのは間違いない。
学校を出て拳銃を確認しただけでは分からなかったのだ…長谷川の武器は拳銃“だけ”で、装填されている6発以外の予備の銃弾が入っていないということを。
(あと4発で三人……)
しとめられるだろうか。
10番台の背番号のところに固まった三人の名前を、穴があくほど睨んだ。
去年までだったら、この近くに自分の名前もあったはずだ。今は『42』の番号は若手の中に埋没している。
余剰の弾は一発しかない。
誰かが先にその三人を殺すか、予備の弾丸が手に入る可能性を考えるか…。
格子ごしの光が小さな神社の社殿の中に差し込んできた。
またため息を一つついて、無造作に地図を放り投げる。
まだ初日の朝になったばかり、時間は充分にあるはずだ。
(大丈夫。三球三振で決めてやるさ)
0-2。
それは荒れ球の長谷川にとっては珍しいカウントではない。
まだまだ、勝負はここからだった。
【生存者 残り34名】
今日もキテタ━(゚∀゚)━!!!嬉しい!職人さん乙です!
大竹ねらったのは長谷川だったのか………長谷川間違ってるよ長谷川……(ノД`)
おお!新作キタ―――(゚∀゚)―――!!職人神超乙です!
ハセガー・・・狂ってたんかい・・・(つД`)
2005時点のハセガーじゃ成功する気がしないな…
長谷川の今後に期待
いったいどんな風になるのだろう…
2005年長谷川のイメージだと四球→被弾だな…
石原だけまだ出てこないんですね。
保守
保管庫さん乙です。
保守しますよ
hosyu
(´倉`)<保守です
(・ ̄‥ ̄) <保守です
アキヒロモナーが保守するよ!
/⌒丶
|__C )_
(・)・ε・)
(つ 2つ
(_)_)
hosyu
ほす
保守するよー
捕手
(´倉`)人 (・ ̄‥ ̄)<捕手
保守
保守
t
e
t
s
捕手
保守しますよ。
90 :
代打名無し@実況は実況板で:2007/04/07(土) 01:16:53 ID:7ds7LU9e0
あげ
勝ちオメ保守
61.「胸騒ぎ」
(1/2)
「どういうことだ?」
ゆっくりと深呼吸をしてから、野村謙二郎は同じ言葉を繰り返した。
「どういうことだ……」
そこには、何も知らない人にはさして違和感のない、だがこの場所をよく知る野村には不思議としかいいようがない光景が広がっていた。
広島東洋カープ大野練習場。
オフの時期は限られた数日を除いて、選手たちが厳しい練習に汗を流すはずのこの場所に、今は人の気配すらない。訪れるのが早すぎただろうかと腕時計に目をやったが、いつもならこの時間にはもうとっくに若手選手が練習を始めているはずだった。
キャンプ、納会、ファン感謝デー、野村は自分が日程を勘違いしているのではないかと一つ一つの可能性を思い浮かべ、そしてそれを端から消していく。
この秋、野村は慣れ親しんだカープのユニフォームを脱いだ。
正直、未練もあった。まだ出来るのではないか。そんな思いをしかし、悔いることはない。それも含めてまたいい野球人生だったと、今は胸を張って言うことができる。
引退試合の光景は何度思い返しても心が震える。真っ赤に染め上げられたスタンドがカクテル光線に照らされて、市民球場が幻想に包まれた。あの時のことは、一生忘れないだろう。そしてその夢のような世界の中で、これからも人生の全てをカープに捧げると誓ったことも。
(2/2)
「おーい、誰かいないのか?」
無人の練習場に野村の声だけが響く。答えはない。
第二の野球人生のスタートである野球評論家としての最初の仕事を、野村は“カープの練習の視察”と決めた。またここから始めるのだ。
だがそんな野村を待ち受けていたのは、最下位の屈辱を漱ぐべく闘志を燃やし練習に励む選手たちの姿ではなく、完全なる静寂だった。
「おい、佐々岡!緒方!いないのか?」
何かおかしい。
胸騒ぎがした。
確信があるわけではない。
ただ、長年勝負事の世界に身をおいていることで培われた“カン”のようなものが、何も分からぬままこの場を去ってはならないと、野村の足を引きとめていた。
「前田!新井!誰かいないのか!!」
声を張り上げて、選手の名前を叫んだその時
「けんじろー!」
背後から、どこかで聞き覚えのある声。
記憶を手繰り寄せながら、ゆっくりとふり返る。
「……マーティー?」
【生存者 残り34名】
62.「違和感の二人」
(1/2)
「私ヲ疑ッタカイ?けんじろー」
「いや、自分の目で確かめたかっただけだ。まさか本当に球団事務所に入れなくなっているなんて…」
市民球場に程近いホテルの喫茶店で、野村謙二郎はマーティー・ブラウンと向かい合っていた。
ブラウンはやはり、彼の“カン”て何か違和感を感じたのだという。
「びでおヲ撮ッタンダヨ」
「ビデオ?」
「選手タチノ“さばいばるげーむ”ニ向ケテめっせーじヲト言ワレタ」
「サバイバルゲーム…」
「初メハ自主とれーにんぐカ何カノ話ダト思ッテGoodLuck!ト言ッタノダガ、ソレガ後ニナッテ気ニナッタ」
ブラウンはその違和感を確かめるために球団事務所に行き、次いで大野練習場を訪れたところで野村に出会ったというわけだ。二人はもう一度市民球場へ向かったが、扉はやはり固く閉ざされていた。中に人がいるのかどうかまではわからない。
一軍・二軍の振り分けやレギュラー獲りの競争をサバイバルと称することは多い。来年の新体制に向けて、オフの間から意識を高めさせるのはいいことだ。
それでも、何か。
今はただ二人、何の根拠もない違和感を抱えている。
(2/2)
糸口はひとつ。
選手の力を見極める競争なら、その場に次期監督であるブラウンがいないのはなぜか?
(極秘のサバイバルゲーム。考えろ…あいつらはどこにいる?
その居場所を知っているのは誰だ?どうしてそれが俺に知らされていないんだ?
第一、キャンプにしろ何にしろ、報道がまったくないなんて…)
そこまで考えを巡らせて、野村ははっと息を飲んだ。
そうだ、報道。慌てて、ポケットから携帯電話を取り出した。
「ドウシタ、けんじろー?」
「マスコミだマーティー。いくらオフとはいえ、スポーツ紙や地元紙の番記者は、必ず取材に来ているものなんだ。」
「バンキシャ…」
「だが、大野にも球団事務所にもその姿はなかった。カープ選手の不在が何のニュースにもなっていないとすれば、どこかからカープの取材をするなという圧力がかかった可能性がある。」
日本の野球界には、マスコミに圧倒的な影響力を持つ人間がいる。
そしてその男とカープのオーナー一族との関係は悪くはない。
アドレス帳を開いて、よく知った男の名前を選択する。
3コール、4コール。
カチャ。
『もしもし?野村さん?』
「久しぶりだな!オフの練習は順調か?」
『まあ…なんとか。それにしても珍しいですね。どうしたんですか?』
「ちょっと無理を言ってすまないが、調べて欲しいことがあるんだ……」
ほんとうに細い糸だった。
それでも、繋がるだろうか。
【生存者残り 34名】
キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!
救出はこの二人からか…頑張れけんじろー&マーティー…!
それにしても電話の相手が気になる。
98 :
代打名無し@実況は実況板で:2007/04/09(月) 01:12:14 ID:6v2rTnQB0
かつて33をつけていた人物かな?
マーティがいい人そうで良かったよ。
けんじろーがんばれ
空飛ぶ保守
打てる保守
残留保守
104 :
代打名無し@実況は実況板で:2007/04/13(金) 02:02:44 ID:fZvvyabq0
あ
妖精さん保守
出先から保守
思い立ったら保守
とにかく保守
109 :
代打名無し@実況は実況板で:2007/04/17(火) 22:20:31 ID:IoRlhsR3O
保守age
110 :
保管庫:2007/04/18(水) 01:12:42 ID:LI4HkF7q0
>>1 今更だけど、URLのh抜かなくてもいいっすよ。
ほしゅ
63.「アウトロー」
(1/4)
よし、誰もいない。
この川が地図だとここで…向こう岸に渡らなくても平気かな?
まったく、禁止エリアなんて言われたってさあ。
実際に山にラインが引いてあるわけじゃないんだからわからないよ。
あ、駄目だ。
南側に降りると人がいるっぽい。しかも二人も。
とするともっと北だな…山道を行くより海岸に降りた方が早いかも。
急ごう。
それにしてもまだこんな時間か。ずいぶん長い間逃げ回ってる気がするんだけどな。
逃げて逃げて逃げて…情けないなあ。
いや、でも仕方ないよな。
だって俺の支給品、武器じゃないし。ただのモニターだけ。戦えないよ。
ただのモニター…これ、映ってる点って俺たちのことだよね?
真ん中の点が、多分俺。石原慶幸(31)。
どうせなら背番号も表示させてくれればいいのに。
点だけじゃどれが誰だか分からないから、気をつけて逃げるしかないよな。
だって実際、人が死んでるんだ。それって誰かが誰かを殺してるんだろう?
うかつに近寄ったら俺の命が危ない。
そうだよ、だからこれが最善の策なんだよ。
逃げて逃げて逃げて逃げて…
(2/4)
逃げて…か。
『なに逃げてるんじゃ石原ー!』、なんてさあ。
嫌なこと思い出しちゃったなあ。
結構聞こえるんだよね。市民は声援も近いけど、その分野次も大きいから。
カウント不利になって、外角。
ランナーたまって、外角。しかも低め。
これでも考えてるんだ。
内角要求して甘い球が来たら長打。大怪我を避けたくて、考えて考えて。
ああ、それでもやっぱり逃げてたのかもしれないなあ。
だって今がそうだろ。初めから逃げることしか考えてなかった。
そうだ、市民のお客さんがいってた通り。
俺はそういう男なんだ。攻めることなんてできない弱虫だ。
学校の周りから逃げて、他の点が近付いてきたら逃げて、銃声が聞こえて逃げて。
で、今は隠れてた場所が禁止エリアに引っかかるから逃げて。
でも逃げて…それからどうする?
俺はこのまま周りが殺し合いをして、最後の六人になるまで待つんだろうか。
そもそも、本当に逃げ切れるのかな。
モニターが壊れたら?禁止エリアが狭まって人と会ってしまったら?
(3/4)
困ったら外角低め。それで逃げ切れたためしがあったっけ?
特に今年は狙い打ちだったなあ。だから野次られるんだよ。
情けない……。
情けない情けない情けない!どれだけメンタル弱いんだろう、俺!
横山さん、やっぱり強気だよな。
俺だって本当は言ってみたいよ、ああいうこと。
でも、やっぱり怖いんだ。大怪我したくない。
すごく怖いんだよー……。
隠れてモニター見てたらさ、ふっ、って点が消えたんだ。
その時、きっと誰かが死んだ。泣きそうに怖かった。
ああ、誰かに会いたいなあ。
倉さーん、大丈夫ですか?東出…は、お前は大丈夫だよな。
っていうか新井さん!あんなカッコいいこと言ったなら待ってて下さいよ!
逃げてたら、誰にも会えない。でも逃げなきゃ怖い。
ピンチの時は、外角低め。
でも、今回はそれでいいのかな?
このまま逃げてて、いいのかな?
(4/4)
ああ!そうか!!どれか二つが固まってる点に近付いてみればいいのか!
二人で居るってことは、殺意がないってことだもんな。
どうしてそれに気がつかなかったんだろう。
取り合えず、この禁止エリアを出て、そういえば南に点が二つあったな!よし!
…って、あれ?何だろう?
人影?ヤバイヤバイ、隠れなきゃ。
でもおかしいな。モニターに映ってないぞ?早速壊れたのか??
でも他の点は今までどおり映ってるし。
だいたい何だここ?山の斜面に建物?
ええと、地図。
ああそうだよな。ここはまだ、もうすぐ禁止エリアになるブロックの中だ。
立て看板にも立ち入り禁止って書いてあるし…
いや、でもこの看板、なんだかすごく古いぞ?
ということは、この建物は、随分前から立ち入り禁止だったってこと?
こんな、街から離れたところに何があるんだろう。
あ、よく見れば人影、二つある。
じゃあ近付いても大丈夫かな?モニターに映ってないのが気になるけど。
………行ってみよう。
【生存者残り34名】
保管庫さんいつも乙です
自分もなのですが、年度始めで他の職人さんもなかなか時間が取れないようで、
投下がスローペースになってしまって申し訳ない
次の投下は少し間隔が空いてしまうかもしれません
2005年の記憶が遠くならないうちに頑張ります
石原だー!!
乙です
逃げんなよ。石原、がんばれよ…
うーたんやっときたー!
ho
干す
121 :
代打名無し@実況は実況板で:2007/04/22(日) 17:53:25 ID:HqtEzfwLO
1:代打名無し@実況は実況板で :2007/04/18(水) 21:08:06 ID:CN3V60rZ0 [sage]
4月8日 広島-巨人戦
広島
9回 三振 三振 三振
8回 三振 三振 三振
おまけ
7回 遊ゴロ 遊ゴロ 遊ゴロ (笑)
保守
ほかんこさんのトップ画像泣ける・゚・。(つД`)・゚・。
粘り強くいつまでも保守
124 :
代打名無し@実況は実況板で:2007/04/24(火) 22:59:56 ID:EobzH+4l0
(´・ω・`)ウンコカープ晒しあげ
ほしゅ
2005年と今じゃ、随分状況も変わったな…
だからこそこのバトがすごく楽しみだ。
一応保守
連休初日だ保守
早めに保守
保守ですよ
いつの間に更新されてた・・・・・・w職人さん乙!
>>52-55 おお!!救出側!!こっちサイドのストーリーって結構好きw
個人的に電話の相手は「メール欄」かなと予想
>>112-115 うーたん逃げるな、ガンガレ
132 :
代打名無し@実況は実況板で:2007/05/01(火) 20:43:21 ID:2Ug8kyY40
捕手
復活してたことに今気付いたw
マーティーは向こう側の人間じゃなかったのか!
>>133 自分もマーティは向こう側の人だと勘違いしてたw
選手側の人だとわかって嬉しいよ
保守しつつ待ち
wktk
保守
wktkしながら保守
良いGWだった。ほすほす
職人さんたち良いGWを過ごされたかな〜?
保守
保守
保守
捕手
144 :
代打名無し@実況は実況板で:2007/05/10(木) 15:27:51 ID:m3JWflog0
あげ
捕手
一応保守
147 :
代打名無し@実況は実況板で:2007/05/13(日) 20:16:43 ID:O/7J3ey60
あげますよ
ほしゅ