【ガッツの】小笠原道大 Part4【フルスイング】

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339代打名無し@実況は実況板で
「一発あやまっかぁ」
帽子を脱ぎ捨てると、縦じわでよれよれのジャンパーを整えた。観客の前に立ち股を開く。
既に頬を濡らし、スタジアムの観客は俺の懺悔を待つ。
身体を前にして鏡に映すと、帽子を持ち上げて、泣き顔がそこにあった。
「俺のジャイアンツ一本の懺悔だぜ」声に出していう。
「男はやっぱ懺悔」
やおらユニフォームの脇から、ズルムケ状態の懺悔用の原稿を取り出す、手で涙をさっとぬぐい、逆手で文章をこね回す、
「おせーぞ、早くしろ」観客の声が俺の懺悔中枢を更に刺激する。
「懺悔たまんねぇ」懺悔文の朗読に合わせて、身体を上下させる。
「男の懺悔にゃあこれだよ」ロージンバックを吸い込む。
「スッ、スッ、スッ、スッ」顔から熱くなり、やがて頭の中が真っ白になる。
「懺悔、ザンゲ」「監督のザンゲ」
頃合を見て帽子を叩きつける。俺は自分のこの仕草が好きだ。
白いユニフォームだけが体に残り、ふらふらの監督のバックに、頭垂らして、上体を振り、
左手で帽子を投げ捨て、右手で原稿をめくる。
スタジアムの中の俺は、日本一の伊達男になっていた。
「ちきしょう来年こそは勝ちテェよ」シーズン終盤が近付くと、いつもそう思った。
涙をもう一度ぬぐい、土下座を追加すると、男へ向かってまっしぐらだ。
「男になってやる」「ジャイアンツ一本のほんまもんの男」
「うりゃ、そりゃ」「すんませんでした、来年は勝ちます」懺悔を飛ばしながら、クライマックスをめざす。
「たまんねぇよ」目の奥から、激しいうねりが起こった。やがて奔流となり、俺を悩ます。
-がまんしてぇ- -もっと泣きてぇ-相反する気持ちがせめぎあい、俺は崖っ淵に立つ。
「きたっ」俺は膝を直角に曲げ、それに備える。奔流は堰を切ろうとしていた。
「すんませんでした ! 」/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\「ぶちっ」まぶたを押し分けて、熱
いものの塊がしゃくり出|うるさい黙れ |される。真っ白い時間が過ぎ、目の前が現実に戻る。
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